JP6426795B2 - 塩素化プロペンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塩素化プロペンの製造方法に関する。
ヒドロフルオロカーボン(HFC)製品は、冷凍、空調、泡の膨張、医療エアロゾルデバイス等のエアゾール製品用の噴射剤など、多くの用途で幅広く利用されている。 HFCは、置換されるクロロフルオロカーボンやヒドロクロロフルオロカーボン製品よりも気候に優しいことが示されているが、今では、それもかなりの地球温暖化係数(GWP)を示すことが発見されている。
より受け入れ可能なフッ素製品代替品に対する最近の探索は、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)製品の出現をもたらした。従前のものに比べて、HFO類は、オゾン層に対する有害な影響が少ない又はない形で、大気にほとんど影響を及ぼさず、HFCに比べて、はるかに低いGWPを示すことが期待されている。また、有利なことに、HFOは低引火性及び低毒性を示す。
HFOの環境上及びそれによる経済上の重要性が高まっているため、その製造に用いられる前駆体に対しては、需要がある。例えば、2,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エン又は1,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エンなどの所望の多くのHFO化合物は、一般に、塩化炭素原料を用いて製造することができ、また、特にポリウレタンの発泡剤や殺生物剤、ポリマーの製造用原料としても用いられる塩素化プロペンを用いて、製造することができる。
残念なことに、多くの塩素化プロペンは、限られた商業的可用性及び/又は法外に高いコストでのみ、利用することができる。これは、従来の製造方法が、供給原料として有用な大規模生産の製造業者が経済的に生産するのに、非常に高価な出発物質の使用を必要とし得るという事実に、少なくとも部分的に起因し得る。さらに、従来の方法は、最終製品において所望レベルの塩素化を達成するために、複数の塩素化及び脱塩化水素工程を必要とし得る。脱塩化水素工程は、一般に、水性塩基で行われるため、多量の塩化ナトリウム及び/又は塩素化有機化合物を含む多量の廃水が生じる。この廃水の処理は、時間が掛かり、高価であるため、副生成物の回収率は低い値となる。
冷媒及びその他の市販製品の合成原料として有用なクロロカーボン前駆体の大容量及び/又は連続生産のための改善された方法を提供することが望ましい。より具体的には、出発物質のコスト、製造時間、及び/又はその方法を実施し、維持するために必要な資本コストが少なくなれば、そのような方法は最新技術の改善をもたらすものとなる。そのような方法が提供された場合、塩化ナトリウムよりも高い価値又は実際に任意の価値を有する副生成物の生成が、更に有利になるであろう。
本発明は、塩素化プロペンの効率的な製造方法を提供する。有利なことに、前記方法は、低コストの出発材料として、クロロヒドリンの製造における副生成物である1,2−ジクロロプロパンを、単独で又は1,2,3−トリクロロプロパンと組み合わせて用いることができる。前記方法の選択性は、イオン性塩素化触媒を用いた連続的な塩素化工程及び脱塩化水素工程を用いることによって、従来の塩素化方法よりも向上する。1,2−ジクロロプロパン及び1,2,3−トリクロロプロパンは、塩素化プロペン異性体に直接塩素化されるため、従来の方法よりも必要となる工程が少なく、また、資本コスト及び時間の節約がもたらされる。さらに、少量の塩素化プロパン中間体が苛性クラッキングを介して処理されるため、無水HClは、複数の苛性クラッキング工程によって生成する低い価値のNaClよりも、前記方法から回収することができる。そのようにして少量の廃水は生成され、時間及びコストの節約をもたらす。
一態様において、本発明は、1種又は複数種の塩素化アルカンから塩素化プロペンを製造するための方法を提供する。本方法は、イオン性塩素化触媒の存在下で行われる少なくとも1つの液相塩素化工程、及び少なくとも1つの脱塩素化水素工程を含む。1種又は複数種の塩素化アルカンは1,2−ジクロロプロパンを含み、さらに、1,2,3−トリクロロプロパンを含んでいてもよい。塩素化剤としては、塩素、塩化スルフリル(SO2Cl2)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。望ましいイオン性塩素化触媒としては、塩化アルミニウム(AlCl3)、ヨウ素(I2)、塩化第二鉄(FeCl3)及びその他の鉄を含む化合物、ヨウ素、硫黄、五塩化アンチモン(SbCl5)、三塩化ホウ素(BCl3)、ハロゲン化ランタン、金属トリフレート又はこれらの組み合わせが挙げられる。製造される塩素化プロペンは、望ましくは3〜5個の塩素原子を含み、いくつかの実施形態では、1,1,2,3−テトラクロロプロペンであってもよい。本方法により、副生成物としてHClが生成され、いくつかの実施形態では、例えば下流工程で使用するために、無水の形で回収することができる。さらに、1種又は複数種の反応物が、本方法の範囲内又は上流で生成されてもよい。
本方法によってもたらされる利点は、例えば、2,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エン又は1,3,3,3−テトラフルオロプロプー1−エンなどの更に下流の生成物を製造するのに、塩素化及び/又はフッ素化プロペンを用いて進行させることができことである。
図1は、一実施形態による方法の概略図を示す。
図2は、別の実施形態による方法の概略図を示す。
本明細書は、特定の定義、及び本発明をよりよく定義し、本発明の実施において当業者を導くための方法を提供するものである。特定の用語又は語句についての定義の有無は、如何なる特定の重要性の有無を示唆することを意味するものではない。寧ろ、用語は、特に断りのない限り、当業者による従来の用法に従って理解されるべきである。
本明細書で使用する「第一」、「第二」等の用語は、如何なる順序、数量又は重要度を意味するものではなく、寧ろ1つの要素を別の要素と区別するために使用される。用語“a”と“an”も数量の限定を意味するものではなく、寧ろ記載事項の少なくとも1つの存在を意味し、用語「前面」、「背面」、「下部」及び/又は「頂部」は、特に断らない限り、単に説明の便宜上使用され、いずれか一つの位置又は空間的配向を限定するものではない。
範囲が開示されている場合、同じ成分又は特性に関するすべての範囲の終点が包含され、また、独立して組み合わせることができる(例えば、「最大25wt%、又はより具体的には5wt%〜20wt%」の範囲は、各終点と5wt%〜25wt%の範囲のすべての中間値を包含する)。本明細書で使用するパーセント(%)転化率は、供給物流量に対する反応器内の反応物のモル又は質量流量の比の変化を表すものを意味し、パーセント(%)選択率は、反応物のモル流量の変化に対する反応器内の生成物のモル流量の比の変化を意味する。
明細書を通じて記載される「一実施形態(one embodiment)」又は「実施形態(an embodiment)」は、実施形態に関して記載される特定の特徴、構造又は特性が、少なくとも1つの実施形態に包含されることを意味する。したがって、明細書を通じて様々な箇所に出現する「一実施形態では」又は「実施形態では」という語句は、必ずしも同じ実施形態に関するものではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせることができる。
いくつかの例では、「PDC」は、1,2−ジクロロプロパンの略語として用いることができ、「TCP」は、1,2,3−トリクロロプロパンの略語として用いることができ、さらに「TCPE」は、1,1,2,3−テトラクロロプロペンの略語として用いることができる。用語「クラッキング(cracking)」及び「脱塩化水素」は、同じタイプの反応、すなわち、塩素化炭化水素試薬中の隣接する炭素原子から水素及び塩素原子の除去を介して、典型的には二重結合の形成をもたらす反応を表すために、互換的に使用される。
本発明は、塩素化プロペンの製造のための効率的な方法を提供する。本方法は、PDCを含む1種又は複数種の塩素化アルカンにおける連続的なイオン性塩素化及び脱塩化水素工程を行うことを含む。触媒は、選択性の高いイオン性塩素化を促進する1つ又は複数の塩素化工程の間に使用される。出発物質として、多くのクロロヒドリン方法における副生成物であるPDCを用いることは、いくつかの従来のクロロヒドリン方法に関して行われているような焼却による処分よりも経済的に魅力的なものである。
販売できる製品は、従来の方法に比べて低い資本コストとなる少ない工程で到達することができるため、本方法は更に有利である。より具体的には、本方法がフリーラジカルの塩素化を用いて液相中で行われるということは、反応物の蒸発を必要としない液相反応を含む方法のため、製造光熱費が低いことから、気相熱的塩素化反応を用いる塩素化プロペンの従来の製造方法に比べて有利である。また、本液相反応に用いられる低反応温度は、気相反応に関して用いられる高い温度よりも、低い汚染率(fouling rates)をもたらす傾向がある。一方、高い汚染率は、反応器の寿命を制限する傾向があり、望ましくない副生成物の形成を生じ得る。
いくつかの実施形態では、本方法は、従来の方法と比較して苛性クラッキング工程の削減をもたらすことができ、そして、無水HClを回収することができる。無水HClは、従来の苛性クラッキング工程を用いた場合に副生成物として生成される塩化ナトリウムよりも、価値が大きい。そして、本方法は、例えば、エチレンジクロライドを製造するためのエチレンオキシ塩素化などの他の方法の原料として販売又は使用のいずれかを行うことのできる、副生成物の生成をもたらす。
本発明の方法は、所望の塩素化プロペンを製造するために1種又は複数種の塩素化アルカンを使用する。望ましい1種又は複数種の塩素化アルカンとしては、1,2−ジクロロプロパンが挙げられ、そして、それは多くのクロロヒドリン方法における副生成物として生成されるため、低コストで利用することができる。所望であれば、前記方法の供給原料として、トリクロロプロパン又は他の塩素化アルカンを挙げることができる。そして、所望であれば、前記1種又は複数種の塩素化アルカンは、例えば、クロロヒドリン方法における又は当業者に公知の任意の他の方法における副生成物として、前記方法の範囲内又は上流で生成することができる。
商業的には3〜5個の塩素原子を有するものが求められているが、任意の塩素化プロペンを本発明の方法を用いて製造することができ、また、その製造は、いくつかの実施形態において好ましい。いくつかの実施形態では、その方法は、冷媒、ポリマー殺生物剤などの原料として非常に需要のある1,1,2,3−テトラクロロプロペンの製造に用いることができる。
本方法において、イオン性塩素化触媒の使用は、脱塩化水素とアルカンの塩素化を同時に行うため、特に有利である。すなわち、イオン性塩素化触媒が隣接する炭素原子から塩素及び水素を除去し、前記隣接する炭素原子は二重結合を形成して、HClが放出される。より高度に塩素化されたアルカンを提供するために、塩素が後で添加され、前記二重結合が置換される。
イオン性塩素化触媒は、当技術分野においてよく知られており、そのいずれかを本方法に用いることができる。イオン性塩素化触媒の例としては、限定されないが、塩化アルミニウム、塩化第二鉄(FeCl3)及び他の鉄を含有する化合物、ヨウ素、硫黄、五塩化アンチモン(SbCl5)、三塩化ホウ素(BCl3)、ハロゲン化ランタン、金属トリフレート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態では、反応速度を向上させ、苛性液の使用を低減又は本方法から除去するために、本方法の脱塩化水素工程を触媒の存在下で行うことができる。このような実施形態は、水性HClよりも高価値の副生成物である無水HClが生成されるという点で、更に有利である。触媒の使用が望ましい場合、好適な脱塩化水素触媒としては、限定されないが、苛性の代替としての塩化第二鉄(FeCl3)が挙げられる。
他の実施形態では、本方法の1つ又は複数の脱塩化水素工程は、液体苛性の存在下で行うことができる。気相の脱塩化水素は、液相の脱塩化水素よりも有利に、高価値の副生成物の形成をもたらすが、液相の脱塩化水素反応は、反応物の蒸発を必要としないため、コスト削減をもたらすことができる。また、液相反応に用いられる低い反応温度は、気相反応に用いられる高い反応温度よりも低い汚染率(fouling rates)をもたらすことができ、反応器の寿命も、少なくとも1つの液相の脱塩化水素が用いられたときに最適化され得る。
液体の脱塩化水素に有用な多くの化学塩基が当技術分野において知られており、そのいずれかを用いることができる。例えば、好適な塩基としては、限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、リチウム、ルビジウム、セシウム、又はこれらの組み合わせが挙げられる。また、第四級アンモニウム及び第四級ホスホニウム塩(例えば、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム又は臭化ヘキサデシルトリブチルホスホニウム等)などの相間移動触媒を、これらの化学塩基により脱ハロゲン化水素の反応速度を改善するために、添加することができる。
本方法に用いられる触媒の一部又はすべてを、バルク、又は活性炭、グラファイト、シリカ、アルミナ、ゼオライト、フッ化黒鉛及びフッ素化アルミナ等の基板との接続に提供することができる。所望の触媒(もしあれば)又はその形式のいずれについても、好適な形式の決定方法及びその導入方法が当業者によく知られている。例えば、多くの触媒は、通常、別の供給物として又は他の反応物との溶液として、反応領域に導入される。
用いられる任意のイオン性塩素化及び/又は脱塩化水素触媒の量は、選択された触媒の種類と同様に、他の反応条件にも依存する。一般に、触媒の使用が望ましい本発明のある実施形態では、十分な触媒が反応工程条件又は現実の製品にいくらかの改善(例えば、必要温度の低減など)をもたらすために用いられるべきであるが、経済的な実用性の理由だけの場合は、如何なる追加の利益ももたらされない。
例示目的のみに示すが、イオン性塩素化触媒の有用な濃度は、重量で0.001%〜20%、0.01%〜10%、又は0.1%〜5wt%の範囲であり、それらの間のすべての部分範囲を含むものと考えられる。脱塩化水素触媒が1つ又は複数の脱塩化水素工程に用いられる場合、有用な濃度は、70℃〜200℃の温度において、0.01wt%〜5wt%、又は0.05wt%〜2wt%の範囲とすることができる。化学塩基が1つ又は複数の脱塩化水素に用いられる場合、これらの有用な濃度は、0.01グラムモル/L〜20グラムモル/L、0.1グラムモル/L〜15グラムモル/L、又は1グラムモル/L〜10グラムモル/Lの範囲であり、それらの間のすべての部分範囲を含む。各触媒/塩基の相対濃度は、例えば、1,2−ジクロロプロパン単独又は1,2,3−トリクロロプロパンとの組み合わせ等の供給物に応じて決まる。
本方法の塩素化工程は、任意の塩素化剤を用いて行うことができ、これらのいくつかは当技術分野において知られている。例えば、好適な塩素化剤としては、限定されないが、塩素及び/又は塩化スルフリル(SO2Cl2)が挙げられる。塩素化剤の組み合わせも使用することができる。上記イオン性塩素化触媒の使用によって促進されるような場合は、Cl2及び塩化スルフリルのいずれか又は両方が、特に有効である。
更なる実施形態では、本方法の1つ又は複数の反応条件は、反応副生成物の選択率、転化率又は生成の改善という更なる利点をもたらすように、最適化することができる。特定の実施形態では、複数の反応条件が最適化され、反応副生成物の選択率、転化率及び生成における更なる改善が見られる。
最適化することのできる本方法の反応条件は、例えば、製造フットプリントにおいて既存の装置及び/又は材料の使用を介して調節することのできる又は低リソースコストで得ることのできるなど、適宜調節される任意の反応条件を含む。このような条件の例としては、限定されないが、温度、圧力、流量、反応物のモル比などの調節を挙げることができる。
しかしながら、本明細書に記載の各工程で採用される特定の条件は重要ではなく、当業者によって容易に決定される。重要なことは、1,2−ジクロロプロパン単独又は1,2,3−トリクロロプロパンとの組み合わせのいずれかを含む供給物流が出発物質として用いられ、及び/又はイオン性塩素化触媒が用いられること及び/又は無水HClの回収のために供給されることである。当業者は、各工程のための好適な装置と同様に、塩素化、脱塩化水素化、分離、乾燥、及び異性化工程を行うことのできる特定の条件を容易に決定することができる。
本発明の方法では、新しい1,2−ジクロロプロパン単独又はある実施形態における1,2,3−トリクロロプロパンとの組み合わせのいずれかを含む供給物流は、イオン性塩素化触媒の存在下で行われる少なくとも1つの塩素化工程に用いるTCPEに転化される。
例示的な一実施形態では、PDCは、例えば、内部冷却コイルを備えるバッチ又は連続攪拌槽オートクレーブ反応器などの液相反応器に供給される。気液解放タンク又は容器に付随するシェルと多管交換器を使用することもできる。好適な反応条件としては、周囲温度(例えば、20℃)〜200℃、30℃〜150℃、40℃〜120℃又は50℃〜100℃の温度が挙げられる。周囲圧力、100kPa〜1000kPa、100kPa〜500kPa、又は100kPa〜300kPaを用いることができる。このような条件、及び1種又は複数種のイオン性塩素化触媒を用いるとき、PDCは、60%、70%、80%、85%、90%又は95%を超える転化率、又は最大100%の転化率で見られる三塩化、四塩化及び五塩化プロパンに塩素化される。
本方法は、ストレート、すなわち溶媒の非存在下で実施してもよく、又は1種若しくは複数種の溶媒を塩素化反応器に供給してもよく、また、原料として供給しても、塩素化反応器からの流れを受けるように配置された運転可能な1つ又は複数の分離カラムから再循環してもよい。例えば、モノクロロプロペン中間体は、1つの分離カラムから塩素化反応器に再循環することができ、三塩化及び四塩化プロパン中間体は、別の分離カラムから再循環することができ、及び/又は前記塩素化反応器は、例えば、四塩化炭素、塩化スルフリル、1,1,2,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3,3−ヘキサクロロプロパン、他のヘキサクロロプロパン異性体、他の好適な水性若しくはアルコール系溶媒又はこれらの組み合わせなどの塩素化反応のための任意の好適な溶媒原料を供給することができる。
塩素化反応器からの上部蒸気は、冷却され、凝縮されて、第一の分離カラムに供給される。このカラムは、無水HClをその上部ラインに供給し、塩素を下部再循環ラインを介して供給するのに有効な条件下で運転される。
より具体的には、そのようなカラムの頂部温度は、通常0℃以下に設定することができ、より好ましくは−70℃〜−10℃の温度に設定することができる。このカラムの下部温度は、下部の混合組成物にある程度依存する正確な温度によって、10℃〜150℃、又は30℃〜100℃に設定することが望ましい。このカラムの圧力は、200kPa以上の圧力に設定することが望ましく、好ましくは500kPa〜2000kPa、より好ましくは500kPa〜1000kPaに設定される。このような条件で運転されるカラムの下部流は、過剰な塩素、未反応のPDC及びモノクロロプロペン中間体を含むことが予想される一方、上部流は、無水HClを含むことが予想される。
塩素化反応器からの液体生成物流は、五塩化プロパンから三塩化及び四塩化プロパンを分離するのに有効な条件下で運転される第二分離カラムに供給することができる。三塩化及び四塩化プロパンを含むこの分離カラムからの上部流は、更なる転化/塩素化のために前記塩素化反応器に再循環することができる一方、ペンタクロロプロパン及びヘキサクロロプロパンの異性体などの重質副生成物を含むと予想される下部流は、更なる分離カラムに供給することができる。
この第三の分離カラムは、所望のペンタクロロプロパン、すなわち1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,1,2,2−ペンタクロロプロパンを、下部流としてパージされる望ましくない1,1,2,3,3−ペンタクロロプロパン及び重質成分から分離する。
1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,1,2,2−ペンタクロロプロパンを含有する前記上部流は、その後、反応器に供給され、2,3,3,3−テトラクロロプロペン及び1,1,2,3−テトラクロロプロペンを提供するために脱塩化水素される。より具体的には、脱塩化水素反応器としては、通常、バッチ又は連続攪拌槽型反応器を挙げることができる。混合は、例えば、機械的又は供給物流のジェット混合によって行うことができる。当業者は、前述の脱塩化水素を行うために脱塩化水素反応器を運転するのに好適な条件を容易に決定することができる。
脱塩化水素反応器からの反応物流は、必要に応じて乾燥カラムに提供してもよく、そこからの乾燥物流は、好適な条件下で、2,3,3,3−テトラクロロプロペンを1,1,2,3−テトラクロロプロペンに異性化するための更なる反応器に提供される。例えば、前記異性化を促進するために触媒を用いてもよく、その場合、好適な触媒としては、限定されないが、(i)カオリナイト、ベントナイト及びアタパルジャイトを含む極性表面を有する珪質顆粒、(ii)サポナイト、石英などのその他のシリカのミネラル塩、(iii)シリカゲル、ヒュームドシリカ、ガラス又はこれらの任意の組み合わせなどの珪質非ミネラル物質が挙げられる。また、このような反応物流用の乾燥カラムのための好適な条件は、米国特許第3,926,758号明細書から明らかなように、当業者によく知られている。
このような方法の概略図を図1に示す。図1に示すように、方法100は、塩素化反応器102、分離カラム104、116及び120、脱塩化水素反応器124、乾燥機126並びに異性化反応器128を使用する。運転においては、1,2−ジクロロプロパン(単独又はトリクロロプロパンとの組み合わせで)、1種又は複数種のイオン性塩素化触媒及び所望の塩素化剤(例えば、塩素、SO2Cl2又はこれらの組み合わせ)が、塩素化反応器102に供給、或いは提供され、三塩化、四塩化及び五塩化プロパンへのPDCの塩素化用に提供するために運転可能な条件の任意のセットで、運転することができる。
塩素化反応器102の上部流が、分離カラム104に供給される。前記分離カラムへの供給は、米国特許第4,010,017号明細書に記載されているような分別法を適用することにより実現された−40℃〜0℃の温度で、完全に液体に凝縮されることが好ましい。
分離カラム104は、上部ラインを介して無水HClを提供し、塩素、PDC及びモノクロロプロペン中間体を塩素化反応器102に戻すのに有効な条件下で運転される。反応器102の前記下部流が、五塩化プロパンから三塩化及び四塩化プロパンを分離するのに有効な条件で運転される分離カラム116に供給される。三塩化及び四塩化プロパンは、更なる転化/塩素化のために塩素化反応器102に再循環され、分離カラムからの下部流は、分離カラム120に提供される。
分離カラム120は、カラム116からの下部流を、所望のペンタクロロプロパン異性体(1,1,1,2,2−ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン)を含む上部流と、望ましくない1,1,2,3,3−ペンタクロロプロパン、ヘキサクロロプロパン及び重質副生成物を含む下部流に分離する。前記上部流は、脱塩化水素反応器124に供給される一方、前記下部流は適切に処置される。
脱塩化水素反応器124内において、所望のペンタクロロプロパンの異性体は、2,3,3,3−テトラクロロプロペン及び1,1,2,3−テトラクロロプロペンを提供するために脱塩化水素される。より具体的には、脱塩化水素反応器124は、例えば、脱塩化水素触媒又は苛性を充填することができ、また、周囲圧力〜400kPaの圧力、40℃〜150℃の温度及び3時間未満の滞留時間で運転することができる。脱塩化水素反応器124からの反応物流は、乾燥カラム126に供給され、そして、そこからの乾燥物流は、好適な条件下で2,3,3,3−テトラクロロプロペンを1,1,2,3−テトラクロロプロペンに異性化するために、異性化反応器128に提供される。
塩素化プロペンを製造するための1つの更なる例示的な方法を、図2に概略的に示す。方法200は、塩素化反応器202内のCl2の代わりにSO2Cl2が使用されることを除けば、方法100と同様である。そして、塩素化反応器202からの上部流は、HCl、PDC、Cl2及びSO2を含む。分離カラム204は、ライン208を介してこの流れを受け、そして、そこから無水HClを分離し、それから上部ライン206を介して排出される。分離カラム204の下部流は、反応器209に供給される。反応器209において、モノクロロプロペン中間体とSO2は、添加された新しいCl2と反応して、それぞれトリクロロプロパンとSO2Cl2を生成し、それらはライン210を介して反応器202に再循環される。SO2Cl2は、塩素化反応器202内のPDCと、TCPと又はTCP無しで混和性があるので、より良い歩留り及び生産性を提供できる可能性があるため、SO2Cl2を用いることは有益である。方法200は、その他の点では図1に示される方法100と同様である。
本方法により製造される塩素化プロペンは、通常、例えば、1,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エン(HFO−1234ze)などのヒドロフルオロオレフィンとして含む更なる下流生成物を提供するように処理することができる。本発明は、塩素化プロペンを製造するための改善された方法を提供するので、提供される改善は、これらの下流工程及び/又は生成物に改善をもたらすと考えられる。例えば、2,3,3,3−テトラフルオロプロプー1−エン(HFO−1234yf)などのヒドロフルオロオレフィンの改善された製造方法も、このように本明細書に提供される。
ヒドロフルオロオレフィンを提供する塩素化プロペンの転化としては、式C(X)mCCl(Y)n(C)(X)mで表される化合物を、式CF3CF=CHZで表される少なくとも1つの化合物(ここで、各X、Y及びZは、独立してH、F、Cl、I又はBrであり、各mは、独立して1、2又は3であり、nは、0又は1である)にフッ素化することを含む、単一の反応又は2つ以上の反応が概して挙げられる。より具体的な例としては、塩素化プロペンの原料が、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd)などの化合物を形成するために、触媒された気相反応においてフッ素化される多段階工程を含み得る。1−クロロー2,3,3,3−テトラフルオロプロパンは、それから触媒された気相反応を介して、2,3,3,3−テトラフルオロプロプー1−エン又は1,3,3,3−テトラフルオロプロプー1−エンに脱塩化水素される。
実施例I
0.95gのPDCの1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン(240aa)への塩素化は、50℃〜70℃で8時間、4.5モル当量のSO2Cl2を用いて行った。マイクロフリー(micro-flea)攪拌棒と、上部をN2で充填された水冷却器とを備えた4ドラムバイアルを使用した。複合触媒(7mgのI2、20mgのAlCl3)をN2下で溶媒に添加し、反応器を55℃で3時間加熱した。HCl及びSO2の喪失はこの期間中に減少し、NMRによって監視しながら反応物を加熱し、4時間還流(上部70℃)した。7時間で、別のSO2Cl2(1.13g)の1当量を添加し、還流を1時間以上継続した。それから反応内容物を、鮮明な白色の油相を得るために混合しながら5mLの冷水に添加した。下相を慎重に分注し、水相を4mLのCH2Cl2で抽出した。合わせた有機相をMgSO4で乾燥し、蒸発して、主成分の1,1,2,2,3−PCPと1,2,3−TCPを、4:1の比で1.55g(推定89%の理論回収量)得た。
PDCに対するSO2Cl2が3.5モル比である反応の最初の7時間後の生成物の分類を表1に示す。1,1,2,3,3−ペンタクロロプロパン(11233)の存在しないことは、同様の脱塩化水素が望ましくないTCPE異性体(シス/トランス−1,2,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン)をもたらし得るので、非常に望ましい。一方、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンの脱塩化水素は、TCPE又は容易にTCPEへ異性化される2,3,3,3−テトラクロロプロペンのいずれかをもたらす(例えば、米国特許第3,823,195号参照)。1,1,1,2,2−ペンタクロロプロパンの脱塩化水素は、望ましい中間体2,3,3,3−テトラクロロプロペンをもたらす。生成物の約4.24%は、ヘキサクロロプロパンと廃棄中間体の混合物であった。この量は、反応物(すなわち、SO2Cl2/PDC)に対する触媒の比率、反応時間及び/又は温度を調節することによって最小にすることができる。また、三塩化及び四塩化プロパン中間体は、歩留まりを向上させるためにリサイクルすることができる。
Figure 0006426795
SO2Cl2の追加の1等モルを使用して、表1に示した反応混合物を更に塩素化した生成組成物を表2に列記する。これらの結果は、三塩化及び四塩化プロパン中間体の更なる塩素化が、実質的な又は如何なる1,1,2,3,3−ペンタクロロプロパンを形成することなく、所望の1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,1,2,2−ペンタクロロプロパンをもたらすことを示している。
Figure 0006426795
実施例II
この実施例は、図1に示す方法に従って行うことができる。
反応器102において、PDCは、50℃〜70℃の温度、200kPaの圧力で、PDCの重量パーセントに基づいて、1wt%〜5wt%のAlCl3及び0.5〜2wt%のI2の存在下、リサイクルされたトリクロロプロパン(C35Cl3)、テトラクロロプロパン(C34Cl4)及びモノクロロプロペンと共に、液相中で塩素化した。反応器からの上部蒸気は、−40℃〜−10℃の温度で凝縮し、凝縮した液体を、過剰のCl2、PDC、モノクロロプロペン及びHClを回収するために、500kPa〜1000kPaの圧力に設定された分離カラム104に供給した。分離カラム104からの上部流として、精製された無水HClを取り出す一方、Cl2、PDC及びモノクロロプロペン中間体を含む下部流は、塩素化反応器102に再循環した。
塩素化反応器102からの液体生成物流は、95℃以下のリボイラー温度、50kPa未満で運転している分離カラム116に供給し、前記生成物流からトリクロロプロパンとテトラクロロプロパンを分離して、それらを前記塩素化反応器102に再循環させた。分離カラム116の下部流は、ペンタクロロプロパン(PCP)と重質副生成物を含んでおり、これを分離カラム120に供給した。このカラムにおいて、所望のペンタクロロプロパン異性体を、このカラムの下部流を介してパージされる望ましくない1,1,2,3,3−ペンタクロロプロパン異性体及び重質成分から精製した。また、このカラムは、リボイラー温度を120℃以下に最小化するために、50kPa以下で運転した。
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンを含むこの分離カラム122からの精製されたペンタクロロプロパン上部流を、60℃〜90℃の温度で、2〜5グラムモル/Lの苛性を用いてクラッキング反応器124内で、2333TCPEとTCPEに苛性クラッキングした。乾燥126の後、TCPEと2333を、40分以下の滞留時間、100kPa〜150kPaの圧力で運転しているクレイ顆粒又はシリカ固定床反応器を用いて、所望のTCPE生成物に(反応器128で)異性化した。
実施例III
50mLのフラスコを、60℃に加熱する前に、49gのSO2Cl2と1.9gのAlCl3で充填した。一度加熱して、4.1gのPDCを前記反応器に充填し、24時間反応させた。粗生成混合物をガスクロマトグラフィーにより分析すると、77.2%の1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン、9.2%のヘキサクロロプロパン、4.5%のテトラクロロプロパン、及び4.5%の残留トリクロロプロパンであることが判明した。
粗生成混合物を塩化メチレンで希釈し、2.4当量の水酸化ナトリウム水溶液と反応器に充填した。溶液を42℃に加熱し、23時間保持した。前記粗生成混合物をGCにより分析すると、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンの1,1,2,3−テトラクロロプロペンへの9%の転化率が、この低い温度で達成されることを示した。クロロプロパン不純物の残分は、苛性クラッキング処理の過程で変わらなかった。
実施例IV
塩素を、〜125psigの反応器圧力、100℃で5時間、〜200sccmで、PDC(57.80g)とFeCl3(1g)の混合物に通過させた(N2下、30%v/v)。前記粗生成混合物は、炭酸水素ナトリウム水溶液で急冷(quench)した。NMR分光法による分析結果は、PDCの完全な消費と表3に示す生成組成物を示した。この実施例は、PDCが、高い選択率で直接トリクロロプロパンに塩素化することができ、具体的には、10%未満の副生成物(例えば、1,1,2,3−テトラ及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン)の選択率、80%より高いPDC転化率で、1,1,2−トリクロロプロパン及び1,2,3−トリクロロプロパンに塩素化することができることを示した。
Figure 0006426795
実施例V
1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン(240aa)を含む混合物へのPDCの塩素化は、Cl2を、〜100psigの反応器圧力、70℃で6.75時間、〜100sccmで、PDC(11.56g)、AlCl3(0.170g)、SbCl5(0.381g)及びCH2Cl2(37.2mL)の混合物に通過させることによって、達成した。粗生成混合物は、NaHCO3水溶液で急冷した。NMR分光法による分析結果は、PDCの完全な消費と表3に示す生成組成物を示した。この実施例は、PDCを、高い選択率で直接1,1,2−トリクロロプロパンに塩素化することができ、また、1,2,3−トリクロロプロパン、1,1,2,3−テトラ及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンを、ヘキサクロロプロパンの生成を抑制しつつ生じさせることができることを示した。
Figure 0006426795
実施例VI
トリクロロプロパン異性体へのPDCの転化は、0.3gのFeCl3と51gのSO2Cl2を、60℃に加熱する前の50mLフラスコに充填することにより達成した。その後、反応物を9.5gのPDCと充填した。8時間後、サンプルの一部をGCにより分析すると、79%の出発物質、7.1%の1,1,2−トリクロロプロパン、6.2%の1,2,3−トリクロロプロパン、2.5%の1,1,2,2−テトラクロロプロパン、1.2%の1,2,2,3−テトラクロロプロパン及び0.2%の1,1,2,3−テトラクロロプロパンからなる反応混合物を示した。この混合物は、上記実施例で詳述したように、クロロプロペンの製造に更に利用することができる。以下、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
1,2−ジクロロプロパンを含む1種又は複数種の塩素化アルカンから塩素化プロペンを製造するための方法であって、イオン性塩素化触媒の存在下で行われる塩素化工程と、脱塩化水素工程とを含む、上記方法。
[2]
上記1種又は複数種の塩素化アルカンは、1,2,3−トリクロロプロパンを更に含む、項目1に記載の方法。
[3]
上記塩素化工程は、トリクロロプロパン、テトラクロロプロパン及びペンタクロロプロパンの混合物を生成する、項目1又は2に記載の方法。
[4]
上記トリクロロプロパン、テトラクロロプロパン及びペンタクロロプロパンの混合物は、脱塩化水素触媒の存在下で脱塩化水素される、項目3に記載の方法。
[5]
上記イオン性塩素化触媒は、AlCl 3 、I 2 、FeCl 3 、硫黄、鉄、五塩化アンチモン、三塩化ホウ素、1種又は複数種のハロゲン化ランタン、1種又は複数種の金属トリフレート、又はこれらの組み合わせを含む、項目1に記載の方法。
[6]
上記塩素化プロペンは、1,1,2,3−テトラクロロプロペンを含む、項目1に記載の方法。
[7]
上記脱塩化水素は、液相中で行われる、項目4に記載の方法。
[8]
上記脱塩化水素は、気相中で行われる、項目4に記載の方法。
[9]
塩素化剤として、Cl 2 、SO 2 Cl 2 又はこれらの組み合わせを用いることを更に含む、項目1に記載の方法。
[10]
副生成物としてHClが生成され、無水HClとして回収される、項目1、2、3又は5に記載の方法。
[11]
ペンタクロロプロパンへの塩素化のPDCのパス当たりの転化率は、50%以上に限られる、項目1、2、3又は5に記載の方法。
[12]
トリクロロプロパン及びテトラクロロプロパン中間体の副生成物は、PDC塩素化反応器に再循環される、項目11に記載の方法。
[13]
トリクロロプロパン及び/又はテトラクロロプロパンは、共に精製され、PDCとは別に塩素化される、項目12に記載の方法。
[14]
2,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エン又は1,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エンを調製するための方法であって、項目1、2、3又は5の方法によって調製された塩素化及び/又はフッ素化プロペンを、2,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エン又は1,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エンに転化する工程を含む、上記方法。
[15]
上記1種又は複数種の塩素化アルカンが、上記方法に使用するために生成される、項目1に記載の方法。

Claims (10)

  1. 1,2−ジクロロプロパンを含む1種又は複数種の塩素化アルカンの混合物から塩素化プロペンを製造するための方法であって、前記方法は:
    a.イオン性塩素化触媒の存在下、前記1種又は複数種の塩素化アルカンの混合物を塩素化して、トリクロロプロパン、テトラクロロプロパン及びペンタクロロプロパンの混合物を生成する、連続的な塩素化工程であって、前記ペンタクロロプロパンは、1,1,1,2,2−ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン若しくは1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、又はこれらの組み合わせを含む、連続的な塩素化工程と
    b.前記トリクロロプロパン、テトラクロロプロパン及びペンタクロロプロパンの混合物の脱塩化水素触媒の存在下における、連続的な脱塩化水素工程と;
    c.2,3,3,3−テトラクロロプロペンを含む塩素化プロペンの混合物の形成と;
    d.前記塩素化プロペンの混合物を異性化して1,1,2,3−テトラクロロプロペンを形成することと
    を含む、方法。
  2. 前記1種又は複数種の塩素化アルカンは、1,2,3−トリクロロプロパンを更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記イオン性塩素化触媒は、AlCl3、I2、FeCl3、硫黄、鉄、五塩化アンチモン、三塩化ホウ素、1種又は複数種のハロゲン化ランタン、1種又は複数種の金属トリフレート、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記イオン性塩素化触媒が、前記1種又は複数種の塩素化アルカンの混合物を脱塩化水素化し、そして同時に塩素化する、請求項1に記載の方法。
  5. 塩素化剤として、Cl2、SO2Cl2又はこれらの組み合わせを用いることを更に含む、請求項1に記載の方法。
  6. ペンタクロロプロパン異性体への1,2−ジクロロプロパンの%転化率は、50%以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  7. トリクロロプロパン及びテトラクロロプロパンの混合物はペンタクロロプロパンから分離されて塩素化反応器に再循環される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記脱塩化水素は、液相中で行われる、請求項1に記載の方法。
  9. 前記脱塩化水素は、気相中で行われる、請求項1に記載の方法。
  10. 副生成物としてHClが生成され、無水HClとして回収される、請求項1に記載の方法。
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