JP6068471B2 - 塩素化プロペンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塩素化プロペンの製造方法に関する。
ヒドロフルオロカーボン(HFC)生成物は、冷凍、空調、フォームの膨張、及び医療エアゾール装置などのエアゾール製品用の噴射剤としてなど、多くの用途で幅広く利用されている。HFCは、代用されるクロロフルオロカーボンやヒドロクロロフルオロカーボン製品よりも気候に優しいことが示されているが、それらはかなりの地球温暖化係数(GWP)を示すことが分かっている。
現在のフルオロカーボン生成物の許容可能な代替品の探索は、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)生成物の出現をもたらした。HFO類は、従来のものと比べてオゾン層に及ぼす有害な影響がより少ないか又はないという形で大気に及ぼす影響が少ないこと、また、HFC類に比べてはるかに低いGWPを示すことが期待されている。有利なことに、HFOは低い引火性及び低い毒性も示す。
HFO類の環境上及びそれによる経済上の重要性が高まっているため、その製造に使用される前駆体に対する需要も高まっている。例えば2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン又は1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エンなどの多くの望ましいHFO化合物は、典型的には、クロロカーボン類、特に塩素化プロペンの供給原料(feedstocks)を使用して製造することができ、塩素化プロペンは、ポリウレタン発泡剤、殺生物剤及びポリマーの製造用の供給原料としての用途も見出されている。
残念なことに、多くの塩素化プロペンは、それらの製造に典型的に使用される複雑で多段階の方法に少なくとも部分的に起因して、商業的入手性が限られており及び/又は法外に高いコストでしか入手できない。例えば、塩化アリル又は1,2,3−トリクロロプロパンを出発物質として使用する方法では、連続的な脱塩化水素化と元素状塩素による塩素化を、所望の数の塩素原子が付加されるまで実施することができる。あるいは、幾つかの従来の方法は、最終生成物において望まれるものよりも少ない塩素原子を有する塩素化アルカンの塩素化を必要とする。
全てではないが多くのかかる方法におけるある段階で、テトラクロロプロパン及びペンタクロロプロパンの異性体の混合物が典型的に生成することがあり、それらはいったん生成すると、除去するのが困難であり、及び/又は反応して望ましくない副生成物を生成しうる。そのため、多くの従来の方法は、それらの異性体の除去を必要とし、それによりかかる方法の収率が低下する。また、そうすることによって、すでに多段階であり典型的には費用がかかる方法に、さらなるコスト及び時間が加わる。さらに、かかる方法は、多量の塩化ナトリウム及び1種以上の塩素化有機化合物を含む多量の汚染廃水の生成をもたらすこともある。この廃水を環境に放出する前に、この廃水を典型的には処理しなくてはならず、さらなる費用がかかる。回収された塩化ナトリウムは、回収可能なコストの点でほとんど利益がない。
そのため、冷媒及び他の市販製品の合成における供給原料として有用なクロロカーボン前駆体の改善された製造方法を提供することが望ましい。より具体的には、かかる方法は、あまり望ましくないテトラクロロプロパン及びペンタクロロプロパンの生成を最低限に抑えるか又はなくすことができれば、及び/又は、生成しうる任意の量のあまり望ましくない異性体を経済的に利用することができれば、当該現状の技術に対する改善を提供するであろう。当該方法が、塩化ナトリウムよりも高い商業的又は再利用価値のある副生成物を提供するならば、さらなる利点が実現される。
本発明は、塩素化プロペンの効率的な製造方法を提供する。当該方法は、供給原料として1,2,3−トリクロロプロパンを使用し、従来技術よりもより商業的に実行可能な様式で少なくとも1種のテトラ−又はペンタ−クロロプロパン異性体を使用する。その場合、当該方法は、さらに、あまり望ましくないペンタクロロプロパン異性体1,1,2,3,3−ペンタクロロプロパンの生成を最低限に抑えるか又はなくす。その結果、当該方法の収率及び/又は選択性は、これらの異性体を廃棄する従来の塩素化方法よりも高まり、そのため、時間及びコストの節約がもたらされる。さらに、当該方法は、1又は2以上の苛性脱塩化水素化工程の代わりに、少なくとも1つの触媒的脱塩化水素化工程を使用し、そのため、廃水の生成が最低限に抑えられ、低価値副生成物である塩化ナトリウムの生成も最低限に抑えられる。
一態様において、1,2,3−トリクロロプロパンを含む供給流から塩素化プロペンを製造するための方法が提供される。有利なことに、第1塩素化工程により生成した1,1,2,3−テトラクロロプロパンの少なくとも一部が、第1脱塩化水素化工程に先立って第2塩素化工程にかけられ、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンの混合物をもたらすとともに、あまり望ましくない1,1,2,3,3−ペンタクロロプロパンの生成が回避される。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの脱塩化水素化工程は、触媒の存在下で実施することができ、かかる実施形態において、プロセス生産性の更なる向上が期待される。これらの実施形態は、低価値副生成物である塩化ナトリウムの生成を最低限に抑えることももたらし、代わりに無水HClが生成し、無水HClは必要に応じて当該方法から回収できる。有用な塩素化剤としては、塩素、塩化スルフリル、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
本方法により提供される利点は、塩素化及び/又はフッ素化されたプロペン又はより高級のアルケンを使用することによって、さらに下流の生成物、例えば2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン又は1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エンなどを製造することに及ぶことができる。
以下の詳細な説明は、添付の図面とともに参酌された場合に、よりいっそう理解及び/又は明確になるであろう。
図1は、一実施形態に従う方法の概略図を示す。
本明細書は、本発明をよりよく規定し、本発明の実施において当業者を導くための特定の定義及び方法を提供する。特定の用語又は語句についての定義の有無は、いかなる特定の重要性の有無を示すことを意味するものではない。むしろ、そして、特に断らない限り、用語は、当業者による従来の用法に従って理解されるべきである。
本明細書で使用する「第1」、「第2」などの用語は、いかなる順序、数量又は重要度を意味するものでなく、むしろ1つの要素を別の要素と区別するために使用される。また、単数形は数量の限定を意味するものではなく、むしろ記載事項の少なくとも1つの存在を意味し、用語「前(front)」、「後ろ(back)」、「底部(bottom)」及び/又は「頂部(top)」は、特に断らない限り、単に説明の便宜上使用され、いずれか1つの位置又は空間的配向に限定されない。
範囲が開示されている場合、同じ成分又は特性に関するすべての範囲の端点が包含され、また、独立に組み合わせ可能である(例えば、「最大25質量%、又はより具体的には5質量%〜20質量%」という範囲は、各端点と5質量%〜25質量%の範囲の全ての中間値を包含する)。本明細書において、転化率(%)は、流入する流れに対する比で反応器内の反応物のモル又は質量流量の変化を意味し、選択率(%)は、反応物のモル流量の変化に対する比で反応器内の生成物のモル流量の変化を意味する。
明細書中に記載の「一実施形態」又は「実施形態」は、実施形態について記載された特定の特徴、構造又は特性が少なくとも1つの実施形態に包含されることを意味する。従って、明細書を通じて様々な箇所に出現する用語「一実施形態において」又は「実施形態において」は、必ずしも同じ実施形態を指さない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ又は2以上の実施形態において、任意の好適な方法で組み合わせることができる。
いくつかの例において、「TCP」を1,2,3−トリクロロプロパンの略語として使用することがあり、「ACL」を塩化アリル又は3−クロロプロペンの略語として使用することがあり、さらに「TCPE」を1,1,2,3−テトラクロロプロペンの略語として使用することがある。用語「クラッキング(cracking)」及び「脱塩化水素化」は、同じタイプの反応、すなわち、典型的には塩素化炭化水素試薬中の隣接する炭素原子からの水素及び塩素原子の除去による二重結合の生成をもたらす反応を表すために、互換的に使用される。
本発明は、TCPを単独で含む又は幾つかの実施形態において1又は2種以上の他の塩素化アルカン又はアルケン、例えば塩化アリルとの組み合わせで含む供給流から塩素化プロペンを製造するための効率的な方法を提供する。当該方法により生成した1,1,2,3−テトラクロロプロパンの少なくとも一部は、脱塩化水素化工程にかけられる前に直接塩素化される、すなわち塩素化工程にかけられる。従来の方法は、典型的には、1,1,2,3−テトラクロロプロパンが生成した場合に、あまり望ましくないペンタ異性体1,1,2,3,3−ペンタクロロプロペンの生成を回避するために1,1,2,3−テトラクロロプロパンの即座の脱塩化水素化を必要とする。
さらに、前述の従来の方法は、この即座の脱塩化水素化において液体苛性アルカリを使用するため、塩化ナトリウムが生成する。本発明者らは、驚くべきことに、上記方法により生成した1,1,2,3−テトラクロロプロパンを、代わりに塩素化することができ、より望ましい1,1,1,2,3及び1,1,2,2,3ペンタクロロプロパン異性体がもたらされることを見出した。1,1,2,3−テトラクロロプロパンの即座の脱塩化水素化を回避することによって、本発明の方法は低価値副生成物である塩化ナトリウムの生成を最低限に抑える。本発明の収率及び効率は、従って、従来の方法と比べて改善されたものである。
本発明の方法の塩素化工程に触媒は必要とされないが、反応速度を増加させるために、必要に応じて使用できる。例えば、本方法を促進するために、フリーラジカル触媒又は開始剤を使用できる。かかる触媒は、典型的には、1又は2以上の塩素、過酸化物又はアゾ−(R−N=N−R’)基を含むことができ、及び/又は反応器の相移動度/活性度を示すことができる。本明細書において、語句「反応器の相移動度/活性度」は、相当量の触媒又は開始剤が、反応器の設計上の制限の範囲内で、生成物、塩素化及び/又はフッ素化プロペンの有効なターンオーバーを開始し伝播することのできる十分なエネルギーのフリーラジカルを生成するために利用可能であることを意味する。
さらに、触媒/開始剤は、理論的に最大量のフリーラジカルが本方法の温度/滞留時間で所定の開始剤から生成されるように十分な等方的解離エネルギーを有するべきである。低い濃度又は反応性のために初期ラジカルのフリーラジカル塩素化が妨げられる濃度でフリーラジカル開始剤を使用することは特に有用である。驚くべきことに、フリーラジカル開始剤の使用は、当該方法による不純物の生成を増加させないが、少なくとも50%、もしくは60%以下、70%以下、いくつかの実施形態において、80%以下又はそれより高い塩素化プロペンへの選択率をもたらす。
かかるフリーラジカル開始剤は当業者によく知られており、例えば、“Aspects of some initiation and propagation processes,” Bamford, Clement H. Univ. Liverpool, Liverpool, UK., Pure and Applied Chemistry, (1967), 15(3-4), 333-48及びSheppard, C. S.; Mageli, O. L. “Peroxides and peroxy compounds, organic,” Kirk-Othmer Encycl. Chem. Technol., 3rd Ed. (1982), 17, 27-90に概説されている。
上記事項を考慮し、塩素を含む好適な触媒/開始剤の例としては、四塩化炭素、ヘキサクロロアセトン、クロロホルム、ヘキサクロロエタン、ホスゲン、塩化チオニル、塩化スルフリル、トリクロロメチルベンゼン、過塩素化アルキルアリール官能基、あるいは、有機及び無機の次亜塩素酸塩、例えば次亜塩素酸、次亜塩素酸t−ブチル、次亜塩素酸メチルなど、塩素化アミン(クロラミン)及び塩素化アミド又はスルホンアミド、例えばクロロアミン−T(商標)などが挙げられるが、これらに限定されない。1又は2以上の過酸化物基を含む好適な触媒/開始剤の例としては、過酸化水素、次亜塩素酸、脂肪族及び芳香族過酸化物又はヒドロペルオキシド、例えばジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化クミルなどが挙げられる。ジペルオキシドは、競合的プロセス(例えば、TCP(及びその異性体)及びテトラクロロプロパンへのPDCのフリーラジカル塩素化)を伝播することができないという利点をもたらす。さらに、アゾ基を含む化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及びジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)は、本発明の条件下で、トリクロロプロパン及びテトラクロロプロパンへのPDCの効果的な塩素化を実施する際に有用であり得る。また、これらの任意の組み合わせも有用であり得る。
本方法又は反応器ゾーンは、Breslow, R.によりOrganic Reaction Mechanisms W.A. Benjamin Pub, New York, p 223-224に教示されているように、フリーラジカル触媒/開始剤の光分解を誘導するのに好適な波長でパルスレーザー又は連続UV/可視光源に曝されてもよい。光源の300〜700nmの波長は、市販のラジカル開始剤を解離するのに十分である。かかる光源としては、例えば、反応器チャンバを照射するように構成された適切な波長又はエネルギーのハノビア(Hanovia)UV放電灯、太陽灯又はパルスレーザービームが挙げられる。代わりに、BailleuxらによりJournal of Molecular Spectroscopy, 2005, vol. 229, pp. 140-144に教示されているように、反応器に導入されたブロモクロロメタン供給原料へのマイクロ波放電からクロロプロピルラジカルを生成させることができる。
いくつかの実施形態において、イオン性塩素化触媒を1又は2以上の塩素化工程において使用できる。本方法におけるイオン性塩素化触媒の使用は、アルカンを脱塩化水素化するとともに塩素化するため、特に有利である。すなわち、イオン性塩素化触媒は、隣接する炭素原子から塩素及び水素を除去し、当該隣接する炭素原子は二重結合を形成し、HClが放出される。塩素分子は、次に、再付加し、二重結合を置換し、より高級の塩素化アルカンをもたらす。
イオン性塩素化触媒は、当技術分野においてよく知られており、そのいずれかを本発明の方法において使用できる。イオン性塩素化触媒の例としては、塩化アルミニウム、塩化第二鉄(FeCl3)及び他の鉄含有化合物、ヨウ素、硫黄、五塩化アンチモン(SbCl5)、三塩化ホウ素(BCl3)、ハロゲン化ランタン、金属トリフラート、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の1又は2以上の塩素化工程において触媒が使用される場合、例えばAlCl3及びI2などのイオン性塩素化触媒の使用が好ましいことがある。
本方法の脱塩化水素化工程は、液体苛性アルカリの存在下で触媒なしで同様に実施することができる。気相脱塩化水素化は、有利なことに、液相脱塩化水素化よりも高い価値の副生成物の形成をもたらすが、液相脱塩化水素化反応は、反応物の蒸発を必要としないため、コスト削減をもたらすことができる。また、液相反応において使用されるより低い反応温度は、気相反応において使用されるより高い反応温度よりも低いファウリング速度をもたらすことができ、そのため、反応器の寿命も、少なくとも1つの液相脱塩化水素化が使用された場合に最適化することができる。
多くの化学塩基がこの目的に有用であることが知られており、それらのいずれも使用できる。例えば、好適なクラッキング塩基としては、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなど;アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウムなど;リチウム、ルビジウム及びセシウム、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。相間移動触媒、例えば第四級アンモニウム及び第四級ホスホニウム塩などを、これらの化学塩基により脱塩化水素化反応速度を改善するために添加してもよい。
代わりに、いくつかの実施形態において、本発明の方法の脱塩化水素化工程の1つ又は2つ以上は、触媒の存在下で実施することができるため、反応速度が向上し、当該方法から液体苛性アルカリの使用が削減されるか、又は除かれる。触媒の使用が望ましい場合には、好適な脱塩化水素化触媒としては、塩化第二鉄(FeCl)が挙げられるが、これに限定されない。当業者に知られている気相脱塩化水素化触媒の他の好適な例は、国際特許出願第2009/015304 A1号に開示されている。
塩素化及び/又は脱塩化水素化触媒のいずれか又は全てを、バルク、又は基材、例えば活性炭、グラファイト、シリカ、アルミナ、ゼオライト、フッ素化グラファイト及びフッ素化アルミナなどに結合させて提供することができる。所望の触媒(もしあれば)又はその構成がどのようなものであっても、当業者は、それらの適切な濃度及び導入方法を決定する方法をよく知っている。例えば、多くの触媒は、典型的には、別の供給物として又は他の反応物、例えばTCPとの溶液として、反応ゾーンに導入される。
使用される任意の塩素化及び/又は脱塩化水素化触媒の量は、選択された触媒及び他の反応条件に依存する。一般的に、触媒の使用が望ましい本発明の実施形態において、反応プロセス条件(例えば、必要とされる温度の低下など)又は実現される製品にいくらかの改善をもたらすために十分な触媒が用いられるべきであるが、もし経済的実用性のためだけの場合には、さらなる利益はもたらされない。
例示のためだけに示すが、イオン性塩素化触媒又はフリーラジカル開始剤の有用な濃度は、0.001質量%〜20質量%、0.01質量%〜10質量%、又は0.1質量%〜5質量%であり、それらの間のすべての部分範囲を含むと考えられる。脱塩化水素化触媒が1又は2以上の脱塩化水素化工程に使用される場合、有用な濃度は、70℃〜200℃の温度において、0.01質量%〜5質量%、又は0.05質量%〜2質量%であることができる。化学塩基が1又は2以上の脱塩化水素化に使用される場合、これらの有用な濃度は、0.01〜20グラムモル/L、0.1グラムモル/L〜15グラムモル/L、又は1グラムモル/L〜10グラムモル/Lであり、それらの間のすべての部分範囲を含む。各触媒/塩基の濃度は、供給材料、例えば1,2,3−トリクロロプロパンに対して与えられる。
本発明の方法は、所望の塩素化プロペンを生成させるために1,2,3−トリクロロプロパンを含む供給原料を利用することができる。当該方法の供給原料は、再循環された1,1,2,3−テトラクロロプロパン、又は必要に応じて他の塩素化アルカンを含む再循環されたアルカンも含むことができる。必要に応じて、当業者に知られている任意の方法によって、当該プロセス内で又は当該プロセスの上流側で1,2,3−トリクロロプロパンを生成させてもよい。
本方法の塩素化工程は、任意の塩素化剤を使用して実施することができ、これらのいくつかは当技術分野において知られている。例えば、好適な塩素化剤としては、塩素及び/又は塩化スルフリル(SO2Cl2)が挙げられるが、これらに限定されない。塩素化剤の組み合わせも使用できる。上記イオン性塩素化触媒の使用によって促進される場合は、Cl2及び塩化スルフリルの一方又は両方が特に有効である。
任意の塩素化プロペンは、本発明の方法を使用して製造できるが、3〜5個の塩素原子を有するものが特に商業的に魅力的であり、そのためいくつかの実施形態において好ましいことがある。いくつかの実施形態において、当該方法は、冷媒、ポリマー、殺生物剤などを得るための好ましい供給原料であり得る1,1,2,3−テトラクロロプロペンの製造に使用できる。
さらなる実施形態において、本方法の1又は2以上の反応条件は、さらなる利点、すなわち、反応副生成物の選択率、転化率又は生成の改善をもたらすために最適化することができる。特定の実施形態において、複数の反応条件が最適化され、反応副生成物の選択率、転化率及び生成における更なる改善が見られる。
最適化することのできる本方法の反応条件としては、例えば製造フットプリントにおいて既存の装置及び/又は材料の使用により調節することのできる又は低リソースコストで得られるなど、都合良く調節される任意の反応条件が挙げられる。かかる条件の例としては、温度、圧力、流量、反応物のモル比などの調節を挙げることができるが、これらに限定されない。
本明細書に記載の各工程で使用される特定の条件は重要ではなく、当業者によって容易に決定される。重要なことは、当該方法により生成した1,1,2,3−テトラクロロプロパンの少なくとも一部が、脱塩化水素化工程にかけられる前に直接塩素化される。また、液体苛性アルカリを使用することによるというよりもむしろ少なくとも1つの脱塩化水素化工程が触媒的に実施されることで、無水HClが生成し、塩化ナトリウムの生成が最低限に抑えられるため有利である。当業者は、各工程に好適な装置や、塩素化、脱塩化水素化、分離、乾燥及び異性化工程を行うことのできる特定の条件を容易に決定することができる。
本方法において、1,2,3−トリクロロプロパンはTCPEに変換される。重要なことに、また、有利なことに、当該プロセスにより生成した1,1,2,3−テトラクロロプロパンの少なくとも一部が、直接に脱塩化水素化されるというよりも、むしろ直接塩素化される。驚くべきことに、あまり望ましくない1,1,2,3,3−ペンタクロロプロパン異性体の生成が最低限に抑えられる。
より具体的には、例示的な一実施形態において、TCPは、例えば、内部冷却コイルを備える回分式又は連続式攪拌槽反応器などの液相塩素化反応器に供給される。シェル−多管反応器と、それに続いて気液分離槽又は容器を使用してもよい。好適な反応条件としては、周囲温度(例えば、20℃)〜200℃、30℃〜150℃、40℃〜120℃又は50℃〜100℃の温度が挙げられる。周囲圧力、100kPa〜1000kPa、100kPa〜500kPa、又は100kPa〜300kPaの圧力を使用できる。かかる条件で、TCPは10%、30%、50%、又は60%を超える単流転化率(per pass conversion)で四塩素化及び五塩素化プロパンに変換され、最大80%にまで達する単流転化率を確認できる。単流転化率及び反応条件は、ヘキサクロロプロパンの形成を10%未満に最低限に抑えつつ最終塩素化工程の生成物がテトラクロロプロパンとペンタクロロプロパンの混合物からなるように選択又は最適化される。
塩素化は、ニート、すなわち溶媒の不在下で実施してもよく、あるいは、1もしくは2種以上の溶媒を、塩素化反応器に供給してもよく、また、供給原料の成分として供給してもよく、又は、塩素化反応器からの流れを受けるように効果的に配置された1又は2個以上の分離カラムに再循環させてもよい。例えば、クロロプロパン中間体を、1つの分離カラムから塩素化反応器に再循環させることができ、トリ−及びテトラクロロプロパン中間体を、別の分離カラムから再循環させることができる。さらに、又は代わりに、塩素化反応器に、例えば四塩化炭素、塩化スルフリル、1,1,2,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3,3−ヘキサクロロプロパン、他のヘキサクロロプロパン異性体、又はこれらの組み合わせなどの、塩素化反応に好適な任意の溶媒を供給することができる。
塩素化反応器からのオーバーヘッド蒸気は、冷却され、凝縮されて、第1分離カラム、例えばそのオーバーヘッド流から無水HClを回収するために使用できる蒸留カラムに供給される。この分離カラムは、無水HClをそのオーバーヘッドラインに供給し、塩素を底部再循環ラインに通すのに有効な条件下で運転される。
より具体的には、HClの回収のための分離カラムの頂部温度は、典型的には0℃以下に設定することができ、より好ましくは−70℃〜−10℃の温度に設定することができる。かかるカラムの底部温度は、望ましくは10℃〜150℃、又は30℃〜100℃であり、正確な温度は底部混合組成物にある程度依存する。この分離カラムの圧力は、望ましくは200kPa超に設定され、好ましくは500kPa〜2000kPa、より好ましくは500kPa〜1000kPaに設定される。かかる条件で運転されるカラムの底部流は、過剰な塩素を含むことが期待され、一方、オーバーヘッド流は無水HClを含むことが期待される。
第1塩素化反応器からの底部液体生成物流は、ペンタクロロプロパン異性体及びより重質の副生成物から未反応のTCP及びテトラクロロプロパン異性体を分離するのに有効な条件で運転される第2分離カラムに供給することができる。かかる分離は、例えば180℃より低いリボイラー温度及び大気圧未満の圧力で運転される蒸留カラムに底部液体流を供給することにより達成することができる。
テトラクロロプロパン異性体は、次に、望ましくは少なくとも2つの流れ、すなわち、1,2,2,3−テトラクロロプロパン(163℃の沸点を有する)及び未反応のTCP(157℃の沸点を有する)を含む1つの流れと、1,1,2,3−テトラクロロプロパン(179℃の沸点を有する)を含む別の流れに分けられる。TCP及び1,2,2,3−テトラクロロプロパンを含む流れは、次に、第1塩素化反応器に再循環されるか、又は、例えば165℃より低い底部温度及び大気圧以下の圧力で運転される分離カラムを介して分離されてTCP及び1,2,2,3−テトラクロロプロパンを含む流れをもたらす。後者の実施形態において、分離されたTCPは、次に、第1塩素化反応器に再循環され、1,2,2,3−テトラクロロプロパンは、さらに塩素化されて1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンをもたらすか又は脱塩化水素化され塩素化されて1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンをもたらす。
有利なことに、本方法において、分離された1,1,2,3−テトラクロロプロパンは、望ましくは、次に、直接塩素化され、望ましい1,1,1,2,3及び1,1,2,2,3ペンタクロロプロパン異性体をもたらし、あまり望ましくないペンタ異性体1,1,2,3,3−ペンタクロロプロパンの生成を最低限に抑えるか又は妨げる。かかる塩素化は、第1塩素化反応器とは別個であり第1塩素化反応器と異なる条件で運転される液相塩素化反応器内で望ましくは実施することができる。より具体的には、1,1,2,3−テトラクロロプロパンを、例えば30℃〜120℃の温度及び周囲圧力以上で、反応器流出物で1,1,2,3−テトラクロロプロパンについて10〜60%、好ましくは10%〜40%の単流転化率をもたらすのに十分な条件で運転される連続式撹拌槽反応器に供給することにより塩素化して1,1,1,2,3及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンをもたらすことができる。そのように運転した場合、この塩素化反応は、60%以下の1,1,2,3−テトラクロロプロパン単流転化率と1,1,1,2,3及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンへの80%〜95%の選択率をもたらすことが期待される。
第2塩素化反応器からの産出物は、次に、第2塩素化反応流を、塩素とHClを含むオーバーヘッド流と、未反応の1,1,2,3−テトラクロロプロパン、所望のペンタクロロプロパン異性体及びより重質の副生成物を含む底部流とに分離するのに有効な条件で運転される分離カラムに供給することができる。オーバーヘッド流をさらに分離及び精製して塩素の流れとHClの流れをもたらすことができ、この塩素の流れを、必要に応じて第1塩素化反応器に再循環させることができ、HClの流れを、上記のように、無水HClの回収のために第1分離カラムに供給することができる。
第2塩素化反応器からの底部流を第2分離カラムに供給してオーバーヘッド流において未反応の1,1,2,3−テトラクロロプロパン中間体を回収する。この分離カラムの底部流は、あまり望ましくないペンタクロロプロパン異性体である1,1,2,3,3−ペンタクロロプロパン及びより重質の塩素化反応生成物(これはパージされる)を含む底部流と、望ましいペンタクロロプロパン異性体である1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンを含むオーバーヘッド流とをもたらすのに有効な条件で運転される別の分離カラムにさらに供給される。このオーバーヘッド流は、テトラクロロプロパン異性体に脱塩化水素化することができるペンタクロロプロパン異性体を含むと期待される。
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンを含む流れは、次に、例えば鉄又は鉄含有触媒、例えばFeClなどを使用して、触媒的に脱塩化水素化することができる。より具体的には、脱塩化水素化反応器は、典型的には、回分式又は連続式撹拌槽反応器であることができる。混合は、例えば、供給流の機械的または噴流混合により行うことができる。当業者は、上記の脱塩化水素化を行うために脱塩化水素化反応器を運転する適切な条件を容易に決定することができる。この触媒的脱塩化水素化によって、2,3,3,3−テトラクロロプロペン及び1,1,2,3−テトラクロロプロペンとHClがもたらされ、HClは、有利なことに、反応器から廃棄物流れを初期無水HCl回収カラムに再循環させることにより回収できる。
触媒的脱塩化水素化反応器からの反応流は、次に、所望の塩素化プロペン、例えば1,1,2,3−TCPEを、主に1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンを含むことが期待される残りの流れから分離するために、さらなる蒸留カラムに供給される。この1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンの流れは、次に、苛性分解され、1,1,2,3−TCPEと2,3,3,3−TCPEの混合物をもたらす。苛性脱塩化水素化反応器からの反応流を、必要に応じて、乾燥カラムに供給することができ、乾燥カラムからの乾燥流は、好適な条件下で2,3,3,3−テトラクロロプロペンを1,1,2,3−テトラクロロプロペンに異性化するためのさらなる反応器に供給される。
例えば、異性化を促進するために触媒を用いてもよく、その場合、好適な触媒としては、(i)例えばカオリナイト、ベントナイト及びアタパルジャイトなどの、極性表面を有するシリカ質顆粒、(ii)例えばサポナイト、石英などの、シリカの他の鉱物塩、(iii)例えばシリカゲル、ヒュームドシリカ及びガラスなどのシリカ質非鉱物物質、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。また、かかる反応流に対する乾燥カラムの好適な条件も、米国特許第3,926,758号明細書に示されているように、当業者によく知られている。
かかる方法の概略図が図1に示されている。図1に示されているように、プロセス100は、塩素化反応器102及び110、分離カラム104、106、108、112及び116、脱塩化水素化反応器114及び118、乾燥機120、並びに異性化反応器122を使用する。運転の際、1,2,3−トリクロロプロパン(単独、又は、いくつかの実施形態において、塩化アリルとの組み合わせで)と望ましい塩素化剤(例えば、塩素、SO2Cl2又はこれらの組み合わせ)が塩素化反応器102に供給される。塩素化反応器102は、塩化アリルのTCPへの塩素化及び/又はTCPの四塩素化及び五塩素化プロパンへの塩素化をもたらす実施可能な任意の組の条件で運転できる。
塩素化反応器102のオーバーヘッド流は分離カラム104に供給される。分離カラム104は望ましくは蒸留カラムであることができる。HCl分離カラムへの供給物は、好ましくは、例えば米国特許第4,010,017号明細書に記載されているような分別法を適用することにより実現される−40℃〜0℃の温度で完全に凝縮した液体である。分離カラム104は、無水HClをそのオーバーヘッドラインを介して供給し、塩素及び未反応TCPを塩素化反応器102に供給するのに有効な条件で運転される。
反応器102の底部流は分離カラム106に供給される。分離カラム106は、1,1,2,3−テトラクロロプロパン、ペンタクロロプロパン及びより重質の反応副生成物を含む底部流と、TCP及び他のテトラクロロプロパン異性体を含むオーバーヘッド流とをもたらすのに有効な条件で運転される。このオーバーヘッド流を第1塩素化反応器102に再循環させることができ、一方、分離カラム106からの底部流はさらなる分離カラム108に供給される。
分離カラム108は、1,1,2,3−テトラクロロプロパンを残りのペンタクロロプロパン異性体から分離する役割を果たし、1,1,2,3−テトラクロロプロパンを第2塩素化反応器110に供給する。第2塩素化反応器110は、望ましくは、望ましいペンタ異性体1,1,1,2,3及び1,1,2,2,3の生成を最大限に高めると同時に余り望ましくない1,1,2,3,3ペンタクロロプロパン異性体の生成を最低限に抑えるのに有効な条件で運転される。未反応の1,1,2,3−テトラクロロプロパン及び所望のペンタクロロプロパン異性体を含む反応器110の生成物流は分離カラム108に戻される。無水HCl及び過剰のCl2はカラム104に供給されHClを精製する。
分離カラム108からの底部流は分離カラム112に供給され、分離カラム112は、その流れを、望ましいペンタクロロプロパン異性体(1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン)を含むオーバーヘッド流と、あまり望ましくない1,1,2,3,3−ペンタクロロプロパン、ヘキサクロロプロパン及びより重質の副生成物を含む底部流に分離する。オーバーヘッド流は触媒的脱塩化水素化反応器114に供給され、一方、底部流は適切に廃棄される。
脱塩化水素化反応器114内で、所望のペンタクロロプロパン異性体は、触媒的に脱塩化水素化されて2,3,3,3−テトラクロロプロペン及び1,1,2,3−テトラクロロプロペンを提供する。より具体的には、脱塩化水素化反応器に、例えば、鉄又は鉄含有触媒、例えばFeCl3などを装入し、周囲圧力〜400kPaの圧力、40℃〜150℃の温度及び3時間未満の滞留時間で運転することができる。
脱塩化水素化反応器114からの底部反応流は分離カラム116に供給され、一方、無水HClを含むオーバーヘッド流は、無水HClを回収し精製するために分離カラム104に供給される。テトラクロロプロペン生成物及び未反応のペンタクロロプロパンを含む触媒的脱塩化水素化反応器114からの底部反応流は、次に、分離カラム116に供給される。
分離カラム116は、残りの副生成物、例えば、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンからオーバーヘッド流として、所望の塩素化プロペン、例えば1,1,2,3−TCPEを分離するのに有効な条件で運転される。分離カラム113からの底部流は、苛性脱塩化水素化反応器118に供給され、その生成物流は乾燥カラム120に供給される。乾燥カラム120からの乾燥流は、適切な条件下で2,3,3,3−テトラクロロプロペンを1,1,2,3−テトラクロロプロペンに異性化する異性化反応器122に供給される。
本方法により製造された塩素化プロペンは、典型的には、例えば1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(HFO−1234ze)などのヒドロフルオロオレフィンなどのさらなる下流生成物をもたらすように処理することができる。本発明は、塩素化プロペンの改善された製造方法を提供するため、提供される改善は、これらの下流プロセス及び/又は生成物に及ぶと考えられる。例えば2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(HFO−1234yf)などのヒドロフルオロオレフィンの改善された製造方法も本発明で提供される。
ヒドロフルオロオレフィンを提供するための塩素化プロペンの転化は、式C(X)mCCl(Y)n(C)(X)mで表される化合物を、式CF3CF=CHZで表される少なくとも1種の化合物(ここで、各X、Y及びZは独立にH、F、Cl、I又はBrであり、各mは独立に1、2又は3であり、nは0又は1である)にフッ素化することを含む、概して、単一の反応又は2以上の反応を含むことができる。より具体的な1つの例は、塩素化プロペンの供給原料が、例えば1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd)などの化合物を形成するために、触媒気相反応でフッ素化される多段階プロセスを含み得る。1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパンは、次に、触媒気相反応により、2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン又は1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エンに脱塩化水素化される。
50mLの123−トリクロロプロパン及び500mgのジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を150psigの圧力で管状反応器に加えた。反応器を密閉し、Cl流を開始した(30%v/v、200sccm)。次に、反応器を70℃に加熱した。70℃で200分間後、TCPの23%の転化が観測され、生成物流は1,1,2,3−テトラクロロプロパン、1,2,2,3−テトラクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,3,3−ペンタクロロプロパン(11233)をそれぞれ59.7%、37.2%、2.0%及び1.2%の選択率で含んでいた。1,1,2,3−テトラクロロプロパンを、次に、生成物混合物から分離し、反応器をパージした。
四塩化炭素(45mL)を、次に、上記反応器に加え、反応器を密閉した。Cl2(N2中30%、v/v)を加えた(240sccmで5分間、200sccmで20分間)。反応器を70℃に加熱し、次に密閉した(反応器圧力約150psig)。上記のとおり用意した1,1,2,3−テトラクロロプロパン(3mL)とCCl4(7mL)とジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(20mg)の混合物を加えた(t=0)。試料を定期的に採取した。第3の試料の後、CCl4(5mL)中のジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(20mg)のさらなるショットを加えた。以下の表1は、時間の関数として、全生成物流のモル%として表した生成物分布を示す。表1に示されるように、1,1,2,3−テトラクロロプロパンの脱塩化水素化に先立つ40%未満の転化率での1,1,2,3−テトラクロロプロパンの塩素化によって、ヘキサクロロプロパン異性体112233、111233及び111223の生成が最低限、すなわち10%未満もしくは8%未満又は5%未満に抑えられた。
Figure 0006068471

本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
1,2,3−トリクロロプロパンを含む供給流からの塩素化プロペンの製造方法であって、第1塩素化工程により生成した1,1,2,3−テトラクロロプロパンの少なくとも一部を、第1脱塩化水素化工程にかける前に第2塩素化工程にかける、塩素化プロペンの製造方法。
[態様2]
前記第1塩素化工程によりテトラクロロプロパンとペンタクロロプロパンとを含む混合物が生成する、上記態様1に記載の方法。
[態様3]
前記混合物を分離して1,1,2,3−テトラクロロプロパンを含む流れをもたらす、上記態様2に記載の方法。
[態様4]
前記1,1,2,3−テトラクロロプロパンを第2塩素化工程において塩素化して1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンを含む混合物をもたらす、上記態様3に記載の方法。
[態様5]
第1又は第2塩素化工程が、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)又はこれらの組み合わせを含むフリーラジカル開始剤の存在下で行われる、上記態様1又は4に記載の方法。
[態様6]
第1又は第2塩素化工程がイオン性塩素化触媒の存在下で行われる、上記態様1又は4に記載の方法。
[態様7]
前記混合物がさらに未反応の1,2,3−トリクロロプロパンを含み、当該未反応の1,2,3−トリクロロプロパンは分離され第1塩素化工程に再循環される、上記態様2に記載の方法。
[態様8]
前記混合物がさらにHClを含み、HClが当該方法において無水HClとして分離され回収される、上記態様2に記載の方法。
[態様9]
前記混合物の残りが第1脱塩化水素化工程において脱塩化水素化される、上記態様4に記載の方法。
[態様10]
前記脱塩化水素化が苛性アルカリを使用して又は脱塩化水素化触媒の存在下で行われる、上記態様9に記載の方法。
[態様11]
前記脱塩化水素化工程により、1,1,2,3−テトラクロロプロペン、HCl及び未反応のペンタクロロプロパンを含む混合物が生成する、上記態様9に記載の方法。
[態様12]
前記未反応のペンタクロロプロパンが分離され脱塩化水素化されて1,1,2,3−テトラクロロプロペンと2,3,3,3−テトラクロロプロペンとを含む混合物をもたらす、上記態様11に記載の方法。
[態様13]
第1及び/又は第2塩素化工程において、Cl 、SO 2 Cl 2 又はこれらの組み合わせが塩素化剤として使用される、上記態様1又は4に記載の方法。
[態様14]
前記第2塩素化工程によりHClと塩素も生成する、上記態様4に記載の方法。
[態様15]
上記態様1に記載の方法により製造した塩素化プロペンを2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン又は1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エンに変換することを含む、2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン又は1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エンの製造方法。

Claims (7)

  1. 1,2,3−トリクロロプロパンを含む供給流からの塩素化プロペンの製造方法であって、第1塩素化工程により生成した1,1,2,3−テトラクロロプロパンの少なくとも一部は、第1脱塩化水素化工程にかけられる前に第2塩素化工程にかけられ、前記第1脱塩化水素化工程は、脱塩化水素化触媒の存在下、かつ、苛性アルカリの不在下で行われ、第2塩素化工程はアゾ基を含むフリーラジカル開始剤の存在下で行われ、8モル%未満のヘキサクロロプロパン異性体を含む生成物流が生じる、塩素化プロペンの製造方法。
  2. 前記第1塩素化工程によりテトラクロロプロパンとペンタクロロプロパンとを含む混合物が生成し、
    前記混合物を分離して1,1,2,3−テトラクロロプロパンを含む流れをもたらし、
    前記1,1,2,3−テトラクロロプロパンを、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)又はこれらの組み合わせを含むフリーラジカル開始剤の存在下、第2塩素化工程においてさらに塩素化して1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンを含む混合物をもたらす、請求項1に記載の方法。
  3. 前記混合物がさらに未反応の1,2,3−トリクロロプロパンを含み、当該未反応の1,2,3−トリクロロプロパンは分離され第1塩素化工程に再循環される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記混合物の残りが第1脱塩化水素化工程において脱塩化水素化されて1,1,2,3−テトラクロロプロペン、HCl及び未反応のペンタクロロプロパンを含む混合物が生成する、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記未反応のペンタクロロプロパンが分離され脱塩化水素化されて1,1,2,3−テトラクロロプロペンと2,3,3,3−テトラクロロプロペンとを含む混合物をもたらし、前記混合物を変換して2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン又は1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エンをもたらすことを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記脱塩化水素化触媒が鉄又は鉄含有触媒である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記鉄含有触媒がFeCl である、請求項6に記載の方法。
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