前述した特許文献3に記載の構成では、作業の終了後に第1作業装置を作業状態から格納状態に切り替えることによって水田作業機の全幅を狭くすることができ、これにより、トラックの荷台に積載して輸送する場合や納屋に格納する場合などにおいて有利にすることができる。
そこで、前述した特許文献1又は2に記載の水田作業機においても特許文献3に記載の構成を採用することが考えられる。しかしながら、この場合には、第1作業装置を作業状態から格納状態に切り替える際に第1作業部側に変位する第2作業部の第2作業装置との干渉を回避するために、第1作業装置と第2作業装置との間に第2作業部の第1作業部側への変位を許容する空間を確保する必要がある。そのため、非作業時には水田作業機の全幅を狭くすることができる反面、作業時と非作業時とに関係なく、水田作業機の全長が長くなる、又は、水田作業機の全高が高くなる、などの不都合が生じるようになる。そして、このような不都合が生じることにより、作業時における機体の旋回性や安定性の低下などを招くことになる。
本発明の目的は、作業時における機体の旋回性や安定性の低下などを招くことなく、輸送や格納などの面において有利にすることにある。
本発明の課題解決手段は、
作業装置用の連結機構を後部に備えた走行車体と、前記走行車体の横幅よりも幅広に構成した第1作業装置と、前記第1作業装置よりも幅狭に構成した第2作業装置とを備え、
前記第1作業装置は、前記連結機構に連結する第1作業部と、少なくとも前記第1作業部の左右両側端のうちの一方に隣接配備する第2作業部と、前記第1作業部に前記第2作業部を変位可能に連結する連結部とを備えて、前記第1作業部と前記第2作業部とが左右に隣接して並ぶ作業状態と、前記第2作業部が第1作業部側に変位して前記作業状態よりも横幅が狭くなる格納状態とに切り替え可能に構成し、
前記第2作業装置は、前記第1作業装置に前記第2作業装置を変位可能に連結する連結フレームを備えて、前記第1作業装置に隣接して前記第1作業装置の前記作業状態から前記格納状態への切り替えと干渉する作業位置と、前記第1作業装置から離れて前記第1作業装置の前記作業状態から前記格納状態への切り替えを許容する退避位置とに変位可能に構成されており、
前記連結フレームは、前記第1作業装置に前記第2作業装置を変位可能に連結する支軸を備え、
前記第2作業装置は、前記支軸のまわりで所定の下降位置と所定の上昇位置とにわたって昇降変位し、
前記下降位置を前記作業位置に設定し、前記上昇位置を前記退避位置に設定している。
この手段によると、作業の終了後は、第2作業装置を作業位置から退避位置に変位させた後、第1作業装置の第2作業部を作業位置から格納位置に変位させることにより、第2作業部を第2作業装置に干渉させることなく、第1作業装置を幅広の作業状態から幅狭の格納状態に切り替えることができる。これにより、水田作業機の全幅を狭くすることができ、トラックの荷台に積載して輸送する場合や納屋に格納する場合などにおいて有利にすることができる。
又、作業を行う場合には、第1作業装置の第2作業部を格納位置から作業位置に変位させた後、第2作業装置を退避位置から作業位置に変位させることにより、第2作業部を第2作業装置に干渉させることなく、第1作業装置を格納状態から作業状態に切り替えることができるとともに、作業状態の第1作業装置に対して第2作業装置を隣接させることができる。これにより、作業時に水田作業機の全長が長くなる、又は、水田作業機の全高が高くなる、などの不都合が生じる虞を回避することができ、これらの不都合に起因した作業時での機体の旋回性や安定性の低下などを回避することができる。
従って、走行車体の横幅よりも幅広に構成した第1作業装置と第1作業装置よりも幅狭に構成した第2作業装置とを走行車体の後部に連結機構を介して連結装備する水田作業機を、作業時における機体の旋回性や安定性の低下などを招くことなく、輸送や格納などの面において有利にすることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記連結フレームは、前記第1作業装置に連結する第1部材と、前記第2作業装置に連結する第2部材とを備え、かつ、前記第1部材に前記第2部材を揺動可能に連結して、前記第2部材の揺動操作によって前記第2作業装置を前記作業位置と前記退避位置とにわたって変位させる揺動式に構成している。
この手段によると、連結フレームを、例えば、第2作業装置の着脱による作業位置と退避位置との付け替え変位を可能にする着脱式に構成する場合に比較して、第2作業装置を変位させる際に要する労力を軽減することができる。又、第2作業装置を作業位置と退避位置とにわたって摺動変位可能に支持する摺動式に構成する場合に比較して、構成の簡素化やコストの削減などを図ることができる。
従って、労力の軽減、又は、構成の簡素化やコストの削減などを図りながら、作業時における機体の旋回性や安定性の低下などを招くことなく、輸送や格納などの面において有利にすることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記第2部材は、左右向きの支軸を支点にして上下揺動するように前記第1部材に連結し、
前記第2作業装置は、前記第2部材の揺動操作によって所定の下降位置と所定の上昇位置とにわたって昇降変位し、
前記下降位置を前記作業位置に設定し、前記上昇位置を前記退避位置に設定している。
この手段によると、第2作業装置の下降位置を作業位置に設定することにより、上昇位置を作業位置に設定する場合に比較して作業時の重心位置を低くすることができる。これにより、作業時における機体の安定性を向上させることができる。
又、上昇位置を退避位置に設定することにより、作業位置の後方箇所を退避位置に設定する場合に比較して、第2作業装置を退避位置に変位させた状態での水田作業機の全長を短くすることができる。これにより、輸送や格納などの面において有利にすることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記支軸は、前記第1作業装置の上端よりも上方の位置に配備し、
前記第2作業装置は、前記第1作業装置よりも後側の位置に、その前記作業位置での上下中間部位の高さ位置に前記支軸が位置する状態で配備している。
この手段によると、第2作業装置を退避位置に変位させた状態では、作業位置での第2作業装置の上部が第1作業装置の上方を覆うようになる。これにより、例えば、第2作業装置を、第1作業装置よりも後側の位置に、その作業位置での上端部位の高さ位置に支軸が位置する状態で配備する場合に比較して、第2作業装置を退避位置に変位させた状態での第1作業装置から後方に張り出す第2作業装置の張り出し長さを短くすることができ、水田作業機の全長を短くすることができる。
従って、輸送や格納などの面において更に有利にすることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記第1作業装置は、上端部に補給口を備えたホッパと前記補給口を開閉する揺動操作式の蓋体とを上部に備え、
前記支軸は、前記作業状態の前記第1作業装置と前記退避位置の前記第2作業装置との間に前記蓋体の揺動操作を許容する空間を確保する高さ位置に配備している。
この手段によると、第2作業装置を退避位置に変位させた状態においても、第1作業装置の蓋体を開閉操作することができ、第1作業装置のホッパに対する補給作業やメンテナンスなどを行うことができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記第2作業装置は、その前記作業位置及び前記退避位置での固定保持を可能にするロック機構を備え、
前記ロック機構は、前記第2作業装置の前記作業位置への到達に連動して前記第2作業装置を前記作業位置にて固定保持し、前記第2作業装置の前記退避位置への到達に連動して前記第2作業装置を前記退避位置にて固定保持する連動固定式に構成している。
この手段によると、第2作業装置を作業位置又は退避位置に変位させた後の作業位置又は退避位置での固定操作を不要にしながら、第2作業装置を作業位置又は退避位置にて固定保持することができる。
従って、第2作業装置を作業位置又は退避位置に変位させる際の操作性を向上させることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記第2作業装置は、肥料又は薬剤を散布する散布装置である。
この手段によると、第1作業装置の第2作業部との干渉を回避するために散布装置を適正高さよりも高い位置に配備する必要がないことから、散布装置を高く配備した場合に生じる肥料又は薬剤の不必要な広範囲への拡散を回避することができる。
従って、肥料又は薬剤の散布を無駄なく良好に行うことができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記散布装置は、複数の散布部を左右方向に所定間隔をあけて配備している。
この手段によると、散布装置をより低い位置に配備しながら、第1作業装置の作業幅に対応した適正な肥料又は薬剤の散布を行うことができる。
従って、作業時における機体の安定性を向上させながら、散布装置による肥料又は薬剤の散布を良好に行うことができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記格納状態では、前記第2作業部が前記第1作業部の後方に位置するように構成している。
この手段によると、第2作業部を前後方向に変位させることにより、第1作業装置を作業状態と格納状態とに切り替えることができる。これにより、第2作業部を上下方向に変位させる場合に比較して、第2作業部の変位操作に要する労力を軽減することができる。
従って、第1作業装置を作業状態と格納状態とに切り替える際の操作性を向上させることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記連結部は、前記第1作業部に備える第1フレームに、前記第2作業部に備える第2フレームを揺動可能に連結して、前記第2フレームの揺動操作によって前記第1作業装置が前記作業状態と前記格納状態とに切り替わる揺動切り替え式に構成している。
この手段によると、連結部を、例えば、第1作業部に対する第2作業部の着脱変位によって第1作業装置が作業状態と格納状態とに切り替わる着脱式に構成する場合に比較して、第2作業部を変位させる際に要する労力を軽減することができる。又、第1作業部に対する第2作業部の摺動変位によって第1作業装置が作業状態と格納状態とに切り替わる摺動式に構成する場合に比較して、構成の簡素化やコストの削減などを図ることができる。
従って、構成の複雑化やコストの高騰などを抑制しながら、第1作業装置を作業状態と格納状態とに切り替える際の操作性を向上させることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記第1作業装置は、前記第1作業部における左右両側端のそれぞれに、前記連結部を介して前記第2作業部を変位可能に連結している。
この手段によると、第1作業装置の格納状態での横幅が広くなることを防止しながら、第1作業装置の作業幅を広くすることができる。
従って、輸送や格納などの面において有利にしながら、作業効率を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を水田作業機の一例である乗用直播機に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜8に示すように、本実施形態で例示する乗用直播機は、乗用型の4輪駆動形式に構成した走行車体1の後部に、作業装置用の連結機構としてのリンク機構2を、油圧式の昇降シリンダ3の作動で上下揺動するように連結し、このリンク機構2の後端に、走行車体1の横幅よりも幅広に構成した第1作業装置Aとしての10条用の直播装置4をローリング可能に連結して10条播種用に構成している。そして、10条用の施肥装置5を走行車体1の後部と直播装置4とにわたって装備するミッドマウント施肥仕様で、直播装置4よりも幅狭に構成した第2作業装置Bとしての10条用の薬剤散布装置6を直播装置4の後方に配備するリアマウント施薬仕様に構成している。
図1〜3に示すように、走行車体1は、その前部にエンジン7を防振搭載し、かつ、その後部側に搭乗運転部8を形成している。そして、エンジン7からの動力を、主変速装置として備えた静油圧式無段変速装置(図示せず)、及び、走行用の副変速装置として備えたギア式変速装置(図示せず)、などを介して、左右の前輪9、左右の後輪10、及び、施肥装置5に伝達し、かつ、静油圧式無段変速装置、作業用の副変速装置として備えた株間変速装置(図示せず)、及び、走行車体1から直播装置4にわたる外部伝動軸11、などを介して直播装置4に伝達している。又、搭乗運転部8に、前輪操舵用のステアリングホイール12、及び、前後方向に位置調節可能な運転座席13、などを配備している。左右の後輪10は、車体内側に配置する主車輪10Aと車体外側に配置する補助車輪10Bとを左右に隣接配備して構成している。
図1〜8に示すように、直播装置4は、リンク機構2の後端部にローリング可能に連結する第1作業部14、第1作業部14の左右両側端に隣接配備する左右の第2作業部15、及び、第1作業部14に左右の第2作業部15を変位可能に連結する左右の連結部16、などを備えている。そして、第1作業部14と左右の第2作業部15とが左右に隣接して並ぶ作業状態と、左右の第2作業部15が第1作業部14の後方に変位して作業状態よりも横幅が狭くなる格納状態とに切り替え可能に構成している。
図1〜7及び図9〜11に示すように、第1作業部14は、前後向きのローリング軸17を備えた第1フレーム18に、種子の一例である鉄コーティング処理が施された種籾を3条分ずつ貯留する左右の第1貯留部19、対応する第1貯留部19から所定量の種籾を間欠的に下方に繰り出す6つの第1繰出部20、対応する第1繰出部20が繰り出した種籾を真下に落下供給する6つの第1供給部21、作業走行時に作業対象の圃場泥面を整地する平面視T字状の3つの第1フロート22、作業走行時に圃場の所定箇所に排水溝を形成する左右の溝切具23、走行車体1からの動力を各第1繰出部20に伝達する第1伝動ユニット24、左右の補助車輪10Bによる轍などを整地するレーキ状の左右の整地板25、及び、左右の後輪10が跳ね上げる泥土の後方の第1フロート22などへの飛散を防止する左右の泥除カバー26、などを備えている。そして、外部伝動軸11などを介して伝達される走行車体1からの動力で各第1繰出部20が作動することにより、所定量の種籾を1株分として前後方向に所定間隔をあけた状態で圃場の泥土表面に最大6条分の播種を行う6条用の泥面点播式に構成している。
ローリング軸17は、リンク機構2の後端下部に前後向きに備えたボス部材27に相対回転可能に内嵌した状態で前後方向に相対摺動不能に連結している。一方、リンク機構2の後端上部と第1作業部14の第1フレーム18とにわたって、ローリング軸17を支点にした走行車体1に対する直播装置4のローリングを許容しながら、直播装置4を走行車体1に対する平行姿勢に復帰付勢する左右のバランスバネ28を架設している。
第1貯留部19は、上端部に補給口を備えた第1ホッパ29、及び、前側を支点にした上下揺動によって第1ホッパ29の補給口を開閉する揺動操作式の第1蓋体30、などを備えて、第1作業部14の上部に配備している。第1ホッパ29は、その下端に6つの種子排出口(図示せず)を左右方向に一定間隔をあけて整列形成している。そして、各種子排出口形成箇所のそれぞれに第1繰出部20を連接している。
各第1繰出部20は、左右向きの入力軸31、及び、この入力軸31と一体回転する入力ギア32、などを備えている。そして、それぞれの入力ギア32に走行車体1からの動力が第1伝動ユニット24などを介して伝達されることにより、1条分の種籾を所定量ずつ間欠的に下方に繰り出すように構成している。
各第1供給部21は、後方を開放する平面視U字状に形成して、それらの上端部分を対応する第1繰出部20の下端部分に着脱可能に連結している。
第1伝動ユニット24は、走行車体1からの動力を、ベベルギア式の第1伝動機構33及び三連ギア式の第2伝動機構34などを介して左右向きの第1伝動軸35に伝達し、この第1伝動軸35から6つの第1クラッチ36及び6つの第1中継ギア37を介して、各第1繰出部20の入力ギア32に断続可能に分配伝達するように構成している。
図1〜5及び図8〜11に示すように、左右の第2作業部15は、それぞれ、第1フレーム18の対応する左右一端部に連結部16を介して前後揺動可能に連結した平面視L字状の第2フレーム38に、種子の一例である鉄コーティング処理が施された種籾を2条分ずつ貯留する第2貯留部39、対応する第2貯留部39から所定量の種籾を間欠的に下方に繰り出す2つの第2繰出部40、対応する第2繰出部40が繰り出した種籾を真下に落下供給する2つの第2供給部41、作業走行時に作業対象の圃場泥面を整地する平面視T字状の第2フロート42、第1伝動ユニット24からの動力を各第2繰出部40に伝達する第2伝動ユニット43、及び、第2フレーム38の揺動操作時に使用する平面視U字状の把持部材44、などを備えている。そして、外部伝動軸11及び第1伝動ユニット24などを介して伝達する走行車体1からの動力で各第2繰出部40が作動することにより、所定量の種籾を1株分として前後方向に所定間隔をあけた状態で圃場の泥土表面に最大2条分の播種を行う2条用の泥面点播式に構成している。
各第2貯留部39は、上端部に補給口を備えた第2ホッパ45、及び、前側を支点にした上下揺動によって第2ホッパ45の補給口を開閉する揺動操作式の蓋体46、などを備えて、第1作業部14の上部に配備している。各第2ホッパ45は、その下端に2つの種子排出口(図示せず)を左右方向に一定間隔をあけて整列形成している。そして、各種子排出口形成箇所のそれぞれに第2繰出部40を連接している。
各第2繰出部40は、左右向きの入力軸47、及び、この入力軸47と一体回転する入力ギア48、などを備えている。そして、それぞれの入力ギア48に走行車体1からの動力が第1伝動ユニット24及び第2伝動ユニット43などを介して伝達されることにより、1条分の種籾を所定量ずつ間欠的に下方に繰り出すように構成している。
各第2供給部41は、後方を開放する平面視U字状に形成して、それらの上端部分を対応する第2繰出部40の下端部分に着脱可能に連結している。
各第2伝動ユニット43は、第1作業部14からの動力を、直播装置4の作業状態において第1伝動ユニット24の第1伝動軸35と一直線に並ぶ第2伝動軸49、及び、2つの第2伝動ギア50、などを介して、対応する第2繰出部40の入力ギア48に断続可能に分配伝達するように構成している。
左右の連結部16は、それぞれ、第1フレーム18の対応する左右一端部の後端部位にボルト連結した上下のブラケット51,52、及び、上下のブラケット51,52の間に係入した第2フレーム38の一端部を上下のブラケット51,52に枢支連結する上下向きで上下一対の枢支ボルト53、などを備えて、第1フレーム18の左右両端部に左右の対応する第2フレーム38を上下の枢支ボルト53を支点にした前後方向への揺動操作が可能となるように連結している。これにより、各第2フレーム38の揺動操作により、左右の第2作業部15を揺動変位させて直播装置4を作業状態と格納状態とに切り替える揺動切り替え式に構成している。又、第1伝動軸35の対応する左右一端部に第2伝動軸49の一端部を断続可能に接続する第2クラッチ54を備えて、直播装置4の格納状態から作業状態への切り替えに伴って第1伝動軸35と左右の第2伝動軸49とを一体回転可能に接続し、かつ、直播装置4の作業状態から格納状態への切り替えに伴って第1伝動軸35と左右の第2伝動軸49とを一体回転不能に分離するように構成している。
図2〜5、図7〜9、図12及び図13に示すように、直播装置4は、対応する第2作業部15を、第1作業部14の左右一側端に隣接する作業位置に固定する左右の第1ロック機構55、及び、第1作業部14の後端に隣接する格納位置に固定する左右の第2ロック機構56を備えている。
左右の第1ロック機構55は、それぞれ、第1フレーム18の対応する左右一端部に左右向きの支軸部57Aを枢支連結したL字状の係合部材57、及び、第2フレーム38における係合部材57との対応箇所に固定した板状の被係合部材58を備えている。各係合部材57は、支軸部57Aを支点にした姿勢操作によって、遊端側の把持部57Bが下向きになるロック姿勢と上向きになる解除姿勢とに姿勢変更可能で、かつ、その自重によるロック姿勢への復帰保持が可能となるように構成している。一方、各被係合部材58は、解除姿勢に姿勢変更した係合部材57の挿通を許容する凹部58Aを、その上端から下向きに凹入形成している。
この構成から、左右の第1ロック機構55は、それらの係合部材57を解除姿勢に姿勢変更することにより、対応する第2作業部15の作業位置と格納位置とにわたる揺動変位を許容することができる。そして、対応する第2作業部15が作業位置に位置する状態において、それらの係合部材57をロック姿勢に姿勢変更することにより、対応する第2作業部15を作業位置に固定保持することができる。
左右の第2ロック機構56は、それぞれ、第1フレーム18における前述した把持部材44との対応箇所に固定した被係合部材59、被係合部材59に上下揺動可能に連結したフック状の抜止具60、及び、抜止具60を下降付勢する圧縮バネ61、などを備えている。各被係合部材59は、把持部材44の挿通を許容する凹部59Aを、その後端から前向きに凹入形成している。各抜止具60は、それらの後下部に、対応する把持部材44との接触による圧縮バネ61の作用に抗した上昇揺動を可能にする後上がり姿勢のカム部60Aを備えている。
この構成から、左右の第2ロック機構56は、対応する第2作業部15を格納位置から作業位置に揺動変位させることにより、各抜止具60のカム部60A及び各圧縮バネ61の作用によって、対応する第2作業部15を作業位置に固定保持することができる。その後、各圧縮バネ61の作用に抗して各抜止具60を上昇揺動させることにより、対応する第2作業部15の作業位置から格納位置への揺動変位を許容することができる。
図1〜5、図8、図9、図15及び図16に示すように、直播装置4は、その作業状態と格納状態との切り替えに応じた作業位置と格納位置とにわたる変位操作が可能な左右の保護部材62、及び、対応する保護部材62の作業位置と格納位置での固定保持を可能にする左右のロック機構63を備えている。
左右の保護部材62は、それぞれ、第1フレーム18における前側の左右両端部に固定した側面視下向きU字状の支持部材64に相対回転可能かつ相対摺動可能に挿通する左右向きの基端部62Aと、基端部62Aの外端から基端部62Aに対する直交方向に延出する遊端部62Bとを有するように、L字状に屈曲形成した丸パイプ鋼材によって構成している。そして、対応する支持部材64に対する回転操作と摺動操作によって作業位置と格納位置とにわたって変位し、作業位置では、それらの遊端部62Bが基端部62Aの外端から後下方に延出する後下がり姿勢で作業状態に切り替えた直播装置4の横側端に隣接して、走行車体1から左右に大きく張り出す左右の第2作業部15を保護するように構成している。又、格納位置では、それらの遊端部62Bが基端部62Aの外端から下方に延出する垂下姿勢で格納状態に切り替えた直播装置4の横側端に隣接して、直播装置4の横幅を狭くするとともに、直播装置4を所定の高さ位置に保持するスタンドとして機能するように構成している。
左右のロック機構63は、それぞれ、対応する保護部材62の基端側の端部に備えた第1係合ピン62C、対応する保護部材62の基端部62Aにおける屈曲端側に備えた第2係合ピン62D、対応する支持部材64における上面の横内端から横外端に向けて凹入形成した第1係合凹部64A、対応する支持部材64における上面の横外端から横内端に向けて凹入形成した第2係合凹部64B、及び、対応する支持部材64に左右中央部位をボルト連結したバネ鋼板からなる被係合部材65によって構成している。各被係合部材65は、それらの横内端側に、対応する第1係合ピン62Cの挿通を許容する第1係合孔65A、及び、第1係合ピン62Cとの接触による横内端側の上方への弾性変形を可能にする第1ガイド部65Bを備えている。又、それらの横外端側に、対応する第2係合ピン62Dの挿通を許容する第2係合孔65C、及び、第2係合ピン62Dとの接触による横外端側の上方への弾性変形を可能にする第2ガイド部65Dを備えている。
この構成から、左右の保護部材62を作業位置から格納位置に変位させる場合には、対応する被係合部材65の横内端側を上方に弾性変形させて、その被係合部材65の第1係合孔65Aから対応する第1係合ピン62Cを抜き出すことにより、各保護部材62の作業位置での固定保持を解除することができる。そして、その解除後に、各保護部材62の摺動操作と回転操作とを行うことにより、先ず、対応する支持部材64の第1係合凹部64Aから第1係合ピン62Cを抜き出すことができる。次に、対応する支持部材64の第2係合凹部64Bに第2係合ピン62Dを係入することができる。又、その係入に伴って、第2係合ピン62Dが対応する被係合部材65の第2ガイド部65Dに接触することにより、その被係合部材65の横外端側を上方に弾性変形させることができる。その後、各保護部材62が格納位置に到達すると、対応する被係合部材65の弾性によって第2係合ピン62Dが対応する被係合部材65の第2係合孔65Cに挿通し、これにより、各保護部材62を格納位置に固定保持することができる。
逆に、左右の保護部材62を格納位置から作業位置に変位させる場合には、対応する被係合部材65の横外端側を上方に弾性変形させて、その被係合部材65の第2係合孔65Cから対応する第2係合ピン62Dを抜き出すことにより、各保護部材62の格納位置での固定保持を解除することができる。そして、その解除後に、各保護部材62の摺動操作と回転操作とを行うことにより、先ず、対応する支持部材64の第2係合凹部64Bから第2係合ピン62Dを抜き出すことができる。次に、対応する支持部材64の第1係合凹部64Aに第1係合ピン62Cを係入することができる。又、その係入に伴って、第1係合ピン62Cが対応する被係合部材65の第1ガイド部64aに接触することにより、その被係合部材65の横内端側を上方に弾性変形させることができる。その後、各保護部材62が作業位置に到達すると、対応する被係合部材65の弾性によって第1係合ピン62Cが対応する被係合部材65の第1係合孔65Aに挿通し、これにより、各保護部材62を作業位置に固定保持することができる。
要するに、直播装置4は、播種作業を行う場合には、左右の第2作業部15及び左右の保護部材62を、それぞれの格納位置での固定保持を解除した後、それぞれの作業位置に変位させて固定保持することにより、左右の第2作業部15及び左右の保護部材62が走行車体1の左右に大きく張り出して、各第1供給部21及び各第2供給部41が対応する第1繰出部20及び第2繰出部40とともに左右方向に一定間隔をあけて整列する作業状態に切り替えることができる。これにより、10条分の播種を好適に行うことができる。
又、播種作業の終了後は、左右の第2作業部15及び左右の保護部材62を、それぞれの作業位置での固定保持を解除した後、それぞれの格納位置に変位させて固定保持することにより、10条分の作業幅を横幅として有する幅広の作業状態から、走行車体1の横幅と略同じ長さになる6条分の横幅を有する幅狭の格納状態に切り替えることができる。これにより、トラックの荷台に積載して輸送する場合や納屋に格納する場合などにおいては、格納状態に切り替えることにより、輸送や格納などの面において有利にすることができる。
図1、図5、図7、図10及び図11に示すように、直播装置4は、左側の2つの第1クラッチ36が同じ作動状態に切り替わり、左右中央側の2つの第1クラッチ36が同じ作動状態に切り替わり、右側の2つの第1クラッチ36が同じ作動状態に切り替わるように、対応する2つの第1クラッチ36を連動連結する3つの連動部材66を備えている。
一方、リンク機構2は、その後端上部に左右揺動式の3本の第1レバー67を左右方向に所定間隔をあけた状態で配備している。又、左右揺動式の2本の第2レバー68を、その後端上部における左側の第1レバー67から左方に所定間隔をあけた位置と右側の第1レバー67から右方に所定間隔をあけた位置とに分散配備している。
そして、左側の第1レバー67は左側の連動部材66に、左右中央側の第1レバー67は左右中央側の連動部材66に、右側の第1レバー67は右側の連動部材66に、それぞれ対応する第1連係ワイヤ69を介して、各第1レバー67による対応する2つの第1クラッチ36の断続操作が可能となるように操作連係している。又、左側の第2レバー68は左側の第2クラッチ54に、右側の第2レバー68は右側の第2クラッチ54に、それぞれ対応する第2連係ワイヤ70を介して、各第2レバー68による対応する第2クラッチ54の断続操作が可能となるように操作連係している。
この構成から、各レバー67,68を走行車体側から任意に揺動操作することにより、直播装置4の作業状態を、全ての繰出部20,40を作動させる10条播種状態、全ての第1繰出部20と左側の2つの第2繰出部40とを作動させる左8条播種状態、左側の4つの第1繰出部20と左側の2つの第2繰出部40とを作動させる左6条播種状態、左側の2つの第1繰出部20と左側の2つの第2繰出部40とを作動させる左4条播種状態、左側の2つの第2繰出部40のみを作動させる左2条播種状態、全ての第1繰出部20と右側の2つの第2繰出部40とを作動させる右8条播種状態、右側の4つの第1繰出部20と右側の2つの第2繰出部40とを作動させる右6条播種状態、右側の2つの第1繰出部20と右側の2つの第2繰出部40とを作動させる右4条播種状態、及び、右側の2つの第2繰出部40のみを作動させる右2条播種状態に、択一的に切り替えることができる。
図1〜8に示すように、施肥装置5は、肥料の一例である粒状の肥料を貯留する10条用の肥料貯留部71、対応する肥料貯留部71から2条分の肥料を所定量ずつ間欠的に繰り出す5つの肥料繰出部72、対応する肥料繰出部72が繰り出した肥料を流下案内する10本の肥料案内管73、対応する肥料案内管73が案内した肥料を圃場に供給する10個の肥料供給部74、走行車体1での走行用の動力を各肥料繰出部72に分配伝達する伝動ユニット(図示せず)、及び、各肥料繰出部72が繰り出した肥料を対応する肥料供給部74に向けて搬送する搬送風を発生させる電動式のブロワ75、などを備えている。そして、伝動ユニットを介して伝達される走行車体1からの動力によって各肥料繰出部72が作動し、かつ、走行車体1からの電力によってブロワ75が作動することにより、所定量の肥料を前後方向に所定間隔をあけた状態で最大10条分の施肥を行う10条用に構成している。
肥料貯留部71は、上端部に補給口を備えた肥料ホッパ76、及び、後側を支点にした上下揺動によって肥料ホッパ76の補給口を開閉する揺動操作式の蓋体77、などを備えて施肥装置5の上部に配備している。肥料ホッパ76は、その下端に5つの肥料排出口(図示せず)を左右方向に一定間隔をあけて整列形成している。そして、各肥料貯留部71における肥料排出口形成箇所のそれぞれに肥料繰出部72を連接している。各肥料繰出部72は、対応する肥料貯留部71に連接した状態において左右方向に所定間隔をあけて並ぶように構成している。
各肥料供給部74は、後方を開放する平面視U字状に形成した施肥用の作溝器78により整地後の圃場泥面に作溝して溝内に肥料を供給する作溝式に構成している。そして、対応する第1供給部21又は第2供給部41よりも機体前側の位置で、かつ、対応する第1供給部21又は第2供給部41から機体横幅方向に所定間隔をあけた位置に位置するように、対応する第1フロート22又は第2フロート42の前端側部分に備えた左右の張り出し領域における左右中心寄りの部位に固定装備している。
各肥料案内管73は、昇降シリンダ3の作動による直播装置4の昇降駆動を許容するために、それらの肥料搬送方向の上手側部位を弾性変形可能に構成している。又、それらの肥料搬送方向の上手側端部を対応する肥料繰出部72の肥料排出部位72Aに着脱可能に接続している。そして、直播装置4を作業状態から格納状態に切り替える場合には、左右両端に位置する肥料繰出部72の肥料排出部位72Aに接続した肥料案内管73の一端部を取り外すことにより、直播装置4における各第2作業部15の前述した作業位置から格納位置への揺動変位を許容するように構成している。
一方、直播装置4の各第2作業部15は、直播装置4を作業状態から格納状態に切り替える場合に左右両端の肥料繰出部72から取り外した各肥料案内管73の一端部の保持を可能にする棒状の保持具79を備えている。これにより、左右両端の肥料繰出部72から取り外した各肥料案内管73の一端部を所定位置に保持することができる。
図示は省略するが、伝動ユニットは、対応する肥料繰出部72への伝動を断続する5つの施肥クラッチを備えている。各施肥クラッチは、対応する第1レバー67又は第2レバー68に、それらによる断続操作が可能となるように施肥用の連係機構を介して操作連係している。
この構成から、各レバー67,68を走行車体側から任意に揺動操作することにより、直播装置4での作業状態の切り替えに対応して、施肥装置5の作業状態を、全ての肥料繰出部72を作動させる10条施肥状態、左側の4つの肥料繰出部72を作動させる左8条施肥状態、左側の3つの肥料繰出部72を作動させる左6条施肥状態、左側の2つの肥料繰出部72を作動させる左4条施肥状態、左端の肥料繰出部72のみを作動させる左2条施肥状態、右側の4つの肥料繰出部72を作動させる右8条施肥状態、右側の3つの肥料繰出部72を作動させる右6条施肥状態、右側の2つの肥料繰出部72を作動させる右4条作業状態、及び、右端の肥料繰出部72のみを作動させる右2条作業状態に、択一的に切り替えることができる。
図1〜5、図8、図9、図12及び図17〜20に示すように、薬剤散布装置6は、直播装置4の第1作業部14に対して、その左右両端部の後上方箇所に位置するように左右方向に所定間隔をあけて分散配備した左右の薬剤散布機構80により構成している。
各薬剤散布機構80は、除草剤や防薬剤などの粉状の薬剤を貯留する薬剤貯留部81、薬剤貯留部81に貯留した薬剤を所定量ずつ繰り出す電動式の薬剤繰出部82、及び、薬剤繰出部82が繰り出した薬剤を回転体にて拡散放出することにより圃場の泥表面に散布する電動式の散布部83、などを備えて、施肥及び播種後の圃場泥面に薬剤を散布する泥面散布仕様に構成している。そして、各散布部83の高さ位置を、それらの下端位置が直播装置4における各貯留部19,39の上下中間部位に対応する高さ位置に設定することにより、各散布部83による薬剤の散布領域が5条分の作業幅に好適に対応するように構成している。その結果、10条分の薬剤散布を無駄なく良好に行うことができる。
各薬剤貯留部81は、上端部に補給口を備えた薬剤ホッパ84、及び、薬剤ホッパ84の補給口を開閉する蓋体85、などを備えて対応する薬剤散布機構80の上部に配備している。各薬剤ホッパ84は、それらの下端に薬剤排出口(図示せず)を形成し、かつ、対応する散布部83を連接している。各散布部83は、対応する薬剤貯留部81に連接した状態において左右方向に所定間隔をあけて並ぶように構成している。
図示は省略するが、各薬剤散布機構80は、走行車体1におけるステアリングホイール12の近くに備えた左右のスイッチの操作に基づいて作動状態と停止状態とに切り替えることができる。又、各スイッチの操作に基づいて作動状態に切り替わった場合には、直播装置4への伝動を断続するように走行車体1に備えた作業クラッチ(図示せず)の断続操作に基づいて、作業クラッチの遮断状態への切り替えに連動して停止状態に切り替わり、作業クラッチの接続状態への切り替えに連動して作動状態に切り替わるように構成している。
図1〜5、図8、図9、図12及び図17〜20に示すように、薬剤散布装置6は、直播装置4の第1作業部14に左右の薬剤散布機構80を変位可能に連結する左右の連結フレーム86を備えて、各薬剤散布機構80を、直播装置4における第1作業部14の背面に隣接する作業位置と、第1作業部14の背面から離れて直播装置4の前述した作業状態から格納状態への切り替えを許容する退避位置とに変位可能に構成している。
各連結フレーム86は、第1作業部14の第1フレーム18に着脱可能に立設する第1部材87、及び、対応する薬剤散布機構80の散布部83に連結する第2部材88を備えている。そして、第1部材87に第2部材88を揺動可能に装備することにより、第2部材88の揺動操作によって対応する薬剤散布機構80を前述した作業位置と退避位置とにわたって変位させる揺動式に構成している。
各第1部材87は、上下向きの支柱部89Aと左右向きの支軸部89Bとを有するL字状に屈曲形成した丸パイプ鋼材89、支柱部89Aの上下中間部位に支柱部89Aに対する直交姿勢で溶接した連結板90、及び、支柱部89Aの上端部位に後上がり姿勢で溶接した支持アーム91、などを備えている。そして、各連結板90を直播装置4の対応する連結部16に備えた上側のブラケット51にボルト連結し、かつ、各丸パイプ鋼材89における支柱部89Aの下端部に外嵌する保持板92を、直播装置4の対応する連結部16に備えた下側のブラケット52にボルト連結することにより、直播装置4の第1作業部14における左右両端部の後端箇所に適正な支持姿勢で安定性良く立設装備することができる。又、この立設状態では、各丸パイプ鋼材89の支軸部89Bが直播装置4の上端よりも上方の位置に位置するように構成している。
各第1部材87において、各支軸部89Bは対応する第2部材88を揺動可能に支持する支軸Cとして機能するように構成している。各支持アーム91は、それらの溶接端側に、対応する第2部材88を受け止めることで薬剤散布機構80の作業位置から前方への揺動を阻止する棒状の第1ストッパ93を左右向き姿勢で溶接装備している。又、それらの延出端に、対応する第2部材88を受け止めることで薬剤散布機構80の退避位置から上方への揺動を阻止する第2ストッパ94を屈曲形成している。
各第2部材88は、U字状に屈曲形成した基端側鋼板95と、基端側鋼板95よりも幅広のU字状に屈曲形成した遊端側鋼板96とを備えている。そして、各基端側鋼板95の一端側を対応する丸パイプ鋼材89の支軸部89Bに相対回転可能に外嵌している。又、各基端側鋼板95の他端側を対応する遊端側鋼板96の一端側にボルト連結している。更に、各遊端側鋼板96の他端側を対応する薬剤散布機構80の散布部83にボルト連結している。
これらの構成により、各薬剤散布機構80を、直播装置4よりも後側の位置に、それらの作業位置での上下中間部位の高さ位置に対応する丸パイプ鋼材89の支軸部89Bが位置する状態で配備している。そして、各薬剤散布機構80を、対応する丸パイプ鋼材89の支軸部89Bを支点にして上下揺動させることができ、この上下揺動によって、第1作業部14の背面に隣接する所定の下降位置としての作業位置と、第1作業部14の背面から上方に離れる所定の上昇位置としての退避位置とにわたって昇降変位させることができる。
図8、図9、図12及び図17〜20に示すように、薬剤散布装置6は、各薬剤散布機構80の作業位置及び退避位置での固定保持を可能にする左右のロック機構97を備えている。各ロック機構97は、対応する薬剤散布機構80の作業位置への到達に連動して、その薬剤散布機構80を作業位置にて固定保持し、又、対応する薬剤散布機構80の退避位置への到達に連動して、その薬剤散布機構80を退避位置にて固定保持する連動固定式に構成している。
具体的には、各ロック機構97は、対応する基端側鋼板95の遊端側に左右方向に相対摺動可能に装備したL字状の操作ロッド98、操作ロッド98を対応する支持アーム91に向けて摺動付勢する圧縮バネ99、対応する支持アーム91の溶接端側に形成した第1係止孔91A、及び、対応する支持アーム91の延出端側に形成した第2係止孔91B、などを備えている。そして、対応する薬剤散布機構80の作業位置又は退避位置への変位操作中は、操作ロッド98の係止側端部が圧縮バネ99の作用によって支持アーム91の側面に接触することにより、その薬剤散布機構80の変位操作を許容する。その後、対応する薬剤散布機構80が作業位置に到達すると、操作ロッド98の係止側端部が第1係止孔91Aに対向して圧縮バネ99の作用によって第1係止孔91Aに係入することにより、その薬剤散布機構80を作業位置にて固定保持する。又、対応する薬剤散布機構80が退避位置に到達すると、操作ロッド98の係止側端部が第2係止孔91Bに対向して圧縮バネ99の作用によって第2係止孔91Bに係入することにより、その薬剤散布機構80を退避位置にて固定保持する。
以上の構成により、この乗用直播機による作業の終了後は、薬剤散布装置6を作業位置から退避位置に変位させた後、直播装置4の第2作業部15を作業位置から格納位置に変位させることにより、第2作業部15を薬剤散布装置6に干渉させることなく、直播装置4を幅広の作業状態から幅狭の格納状態に切り替えることができる。これにより、この乗用直播機の全幅を狭くすることができ、トラックの荷台に積載して輸送する場合や納屋に格納する場合などにおいて有利にすることができる。
逆に、この乗用直播機によって作業を行う場合には、直播装置4の第2作業部15を格納位置から作業位置に変位させた後、薬剤散布装置6を退避位置から作業位置に変位させることにより、第2作業部15を薬剤散布装置6に干渉させることなく、直播装置4を格納状態から作業状態に切り替えることができるとともに、薬剤散布装置6を、10条分の薬剤散布に適した高さ位置に位置させた状態で、作業状態の直播装置4の後部に隣接させることができる。これにより、10条分の薬剤散布を無駄なく良好に行うことができる上に、作業時に乗用直播機の全長が長くなることに起因した作業時での機体の旋回性や安定性の低下などを回避することができる。
図18に示すように、薬剤散布装置6は、各薬剤散布機構80の揺動支点となる各支軸部89Bを、作業状態の直播装置4と退避位置の各薬剤散布機構80との間に、直播装置4の各第1貯留部19に備えた蓋体30の揺動操作を許容する空間100を確保する高さ位置に配備している。これにより、各薬剤散布機構80を退避位置に固定保持した状態においても、各第1貯留部19の蓋体30を揺動開閉することができ、各第1貯留部19に対して種籾を補給する補給作業や、各第1貯留部19に対する清掃などのメンテナンスを行うことができる。
〔別実施形態〕
〔1〕水田作業機は、第1作業装置Aとして直播装置4を備え、かつ、第2作業装置Bとして肥料用の散布装置あるいは作溝式の施薬装置又は施肥装置を備えた乗用直播機、第1作業装置Aとして苗植付装置を備え、かつ、第2作業装置Bとして肥料用又は薬剤用の散布装置6あるいは作溝式の施薬装置又は施肥装置を備えた乗用田植機、第1作業装置として散布式又は作溝式の施肥装置を備え、かつ、第2作業装置として散布式又は作溝式の施薬装置を備えた乗用施肥機、もしくは、第1作業装置として散布式又は作溝式の施薬装置を備え、かつ、第2作業装置として散布式又は作溝式の施肥装置を備えた乗用施薬機、などであってもよい。
〔2〕第1作業装置Aに採用する直播装置4は、カルパーコーティング処理を施した種籾、コーティング処理を施していない種籾、又は、麦や野菜などの種子を圃場に播くように構成したものであってもよい。
〔3〕第1作業装置A又は第2作業装置Bに採用する散布式又は作溝式の施薬装置は、粉状や粒状又は液状の薬剤を圃場に供給するように構成したものであってもよい。
〔4〕第1作業装置A又は第2作業装置Bに採用する肥料用又は薬剤用の散布装置6は、単一の散布部83を備えたもの、又は、3つ以上の散布部83を左右方向に所定間隔をあけて配備したものであってもよい。又、左右に延出する肥料又は薬剤案内用のビームに多数のノズル型の散布部を備えるように構成したものであってもよい。
〔5〕第1作業装置A又は第2作業装置Bに採用する散布式又は作溝式の施肥装置は、粉状や粒状又は液状の肥料を圃場に供給するように構成したものであってもよい。
〔6〕作業装置用の連結機構2は、走行車体1の後部に昇降不能に固定装備したものであってもよい。
〔7〕第1作業装置A及び第2作業装置Bは、10条用以外の例えば8条用又は12条用などに構成したものであってもよい。
〔8〕第1作業装置Aは、第1作業部14の左右一側端のみに第2作業部15を隣接配備するように構成したものであってもよい。
〔9〕第1作業装置Aは、上端部に補給口を備えたホッパ29,45と、後側を支点にした上下揺動によって補給口を開閉する揺動操作式の蓋体30,46、又は、着脱式の蓋体などを上部に備えるように構成したものであってもよい。
〔10〕第1作業装置Aの連結部16は、第1作業部14に対する第2作業部15の着脱変位によって第1作業装置Aが作業状態と格納状態とに切り替わる着脱式に構成してもよい。又、第1作業部14に対する第2作業部15の摺動変位によって第1作業装置Aが作業状態と格納状態とに切り替わる摺動式に構成してもよい。
〔11〕第1作業装置Aの連結部16は、第1作業部14の上方に第2作業部15を変位させた状態が第1作業装置Aの格納状態となるように、第1作業部14に第2作業部15を連結するものであってもよい。
〔12〕水田作業機が、例えば、第1作業装置Aとして苗植付装置を備える乗用田植機である場合には、苗植付装置の苗載台を主苗載部と分割苗載部とに分割可能に構成し、又、苗植付装置における苗載台以外の部分と主苗載部とが第1作業部14となり、分割苗載部が第2作業部15となるように構成して、主苗載部の上方に分割苗載部を変位させた状態が第1作業装置Aの格納状態となるように構成してもよい。
〔13〕第2作業装置Bの連結フレーム86は、第2作業装置Bの着脱による作業位置と退避位置との付け替え変位を可能にする着脱式に構成してもよい。又、第2作業装置Bを作業位置と退避位置とにわたって摺動変位可能に支持する摺動式に構成してもよい。
〔14〕第2作業装置Bの連結フレーム86は、例えば、第1作業装置Aを第1作業部14の上方に第2作業部15を変位させた状態が格納状態となるように構成する場合などにおいては、第1作業装置Aの上方箇所が作業位置となり、第1作業装置Aの後方箇所が退避位置となるように構成してもよい。
〔15〕第2作業装置Bのロック機構97は、ロック機構97に対する所定の操作によって第2作業装置Bを作業位置にて固定保持し、又、ロック機構97に対する所定の操作によって第2作業装置Bを退避位置にて固定保持する手動固定式に構成したものであってもよい。