JP6308419B2 - 重合ロジン系硬化性化合物、その製造方法および硬化性組成物 - Google Patents

重合ロジン系硬化性化合物、その製造方法および硬化性組成物 Download PDF

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本発明は、重合ロジン系硬化性化合物、その製造方法および硬化性組成物に関する。
近年、化学原料や化学素材に対して、バイオマス利用の要求が一層高まっている。バイオマスとしては、例えば、天然ロジン、これを変性して得られる各種の変性ロジン、該誘導体などが知られている。
ロジン誘導体としては、例えばロジン金属塩、ロジンアルコール、ロジンエステルなどがあり、ロジンエステルの一例として、ロジングリシジルエステルが知られている。また、ロジングリシジルエステルと(メタ)アクリル酸との反応生成物であるロジン(メタ)アクリレートも、例えば特許文献1〜3に開示されており、例えば反応性希釈剤や、光硬化性組成物用の配合成分などとして各種用途に適用されている。
バイオマス利用などの環境配慮要請から、ロジン誘導体に関しても、一層の多様化や高度利用化が期待されている。
しかしながら、前記いずれの特許文献にも、重合ロジングリシジルエステルや、該エステルと(メタ)アクリル酸との反応生成物についての一切の教示や示唆はなされていない。
特開平5−331419号公報 特開2002−289039号公報 特開2008−143941号公報
本発明は、環境配慮や硬化性などの観点から、重合ロジン骨格を有する新規有用な硬化性化合物を提供することを目的とする。
本発明者は、環境配慮型で有用性の高いロジン誘導体が求められている現状下、重合ロジン系エポキシ化合物に着目し鋭意検討を重ねた。すなわち、重合ロジングリシジルエステルや重合ロジンアルコールグリシジルエーテルは、いずれもバイオマスを利用したエポキシ樹脂とみなすことができ、該重合ロジン系エポキシ化合物の誘導体が有用な硬化性化合物となりうるとの観点で検討を重ねた。その結果、該重合ロジン系エポキシ化合物と特定の不飽和カルボン酸類とからなる反応生成物が、高性能な熱硬化性・光硬化性の化合物となりうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、一般式(1):
(式中、RおよびRは同一または異なって水素原子またはメチル基を、Roは重合ロジン残基または重合ロジンアルコール残基を、Xはカルボニル基またはメチレン基を表す。)および/または
一般式(2):
(式中、R、RoおよびXはいずれも前記と同じ。)で表される成分をそれらの合計量で60重量%以上含有する重合ロジン系硬化性化合物に係る。また本発明は、重合ロジングリシジルエステルおよび/または重合ロジンアルコールグリシジルエーテルと、(メタ)アクリル酸とをエポキシ開環反応させる前記重合ロジン系硬化性化合物の製造方法に係る。更に本発明は、前記重合ロジン系硬化性化合物を含有する硬化性組成物に係る。
本発明により、環境配慮型で、熱硬化性および/または光硬化性に優れる化合物を提供できる。該重合ロジン系硬化性化合物のうち熱硬化性を有するものは、ポリエステルなどの合成樹脂用の原料、改質剤、架橋剤などとして、また接着剤、塗料や不飽和ポリエステルなどの成形材用の配合剤などに適用できる。また、該重合ロジン系硬化性組成物のうち光硬化性を有するものは、光硬化性用途(例えば、接着剤、塗料・インキ、成形材など)向けの配合成分、改質剤など、広範に使用できる。
本発明の重合ロジン系硬化性化合物は、重合ロジン系エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸から得られるものであり、前記一般式(1):
(式中、RおよびRは同一または異なって水素原子またはメチル基を、Roは重合ロジン残基または重合ロジンアルコール残基を、Xはカルボニル基またはメチレン基を表す。)および/または
一般式(2):
(式中、R、RoおよびXはいずれも前記と同じ。)で表される成分をそれらの合計量で60重量%以上含有するものであり、より好ましくは該成分を80重量%以上含有するものである。
一般式(1)で表される成分(以下、成分(1)という)の性状は、数平均分子量が750〜950、好ましくは770〜920であり、(メタ)アクリル当量が375〜475g/eq、好ましくは385〜460g/eqである。
一般式(2)で表される成分(以下、成分(2)という)の性状は、数平均分子量が650〜850、好ましくは680〜820であり、(メタ)アクリル当量が650〜850g/eq、好ましくは680〜820g/eqであり、エポキシ当量が650〜850g/eq、好ましくは680〜820g/eqである。
重合ロジン系硬化性化合物の性状は、成分(1)と成分(2)の含有割合に応じて適宜に決定されるため、一義的に決定できない。
前記重合ロジン系エポキシ化合物の構成原料である重合ロジングリシジルエステルとしては、その性状は格別に限定されないが、用途に応じて色調などが重視される場合は、該性状などを適宜に選択すればよい。例えば、色調がガードナー3以下、好ましくは2以下であり、軟化点が65〜120℃、好ましくは70〜110℃であり、エポキシ当量が300〜400g/eq、好ましくは320〜380g/eqであり、かつ二量体含有率が60重量%以上、より好ましくは80重量%以上であるものを、好適に使用できる(以下、特定重合ロジングリシジルエステルという)。なお、色調は、JIS K5902により測定した値であり、軟化点は、JIS K2207(環球法)により測定した値であり、エポキシ当量はJIS K7236:2001により測定した値である。
特定重合ロジングリシジルエステルを得るためには、その原料重合ロジンとして、色調がガードナー3以下、酸価が160〜185mgKOH/g、軟化点が145〜200℃であり、かつ二量体含有率が60重量%以上、より好ましくは80重量%以上のものを好適に用いることができる(以下、特定重合ロジンという)。なお、酸価はJIS K2501により測定した値である。
特定重合ロジンを得るには、蒸留や再結晶などの方法により得られる精製ロジンを出発原料として用いたり、こうして得られる重合ロジンを更に水素化することが好ましい。該色調は、より好ましくはガードナー1以下であり、更に好ましくはハーゼン水準(JIS K0071−1による)のものとされる。該特定重合ロジンの製造法としては、格別限定されず、公知各種の方法を採用できる。例えば、重合反応触媒として、ペンダントスルホン基を有する高分子を用いる方法(特開2006−45396号公報);ギ酸、p−トルエンスルホン酸、塩化亜鉛などを用いる方法などが挙げられる。
得られる重合ロジングリシジルエステルの軟化点が60℃未満である場合は、これを用いてなる硬化性樹脂組成物のガラス転移点が低くなる傾向があり、また120℃を超える場合は該硬化物のガラス転移点が過度に高くなる傾向がある。また、重合ロジングリシジルエステルのエポキシ当量が300g/eq未満の場合は、理論上その製造が困難となる。また、エポキシ当量が400g/eqを超える重合ロジングリシジルエステルは、硬化性が低下する傾向がある。
重合ロジングリシジルエステルの製造法は、特に限定されないが、例えば以下の二段法を好ましく採用できる。該方法は、特定重合ロジンとエピハロヒドリンを反応させて重合ロジンエピハロヒドリンエステルとする工程(以下、第一工程という)と、ついでアルカリにより脱ハロゲン化水素してエポキシ閉環する工程(以下、第二工程という)とからなる。
第一工程で用いるエピハロヒドリンとしては、例えばエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、エピヨードヒドリン、エピフルオロヒドリンが挙げられるが、工業的にはエピクロルヒドリンが好ましい。エピハロヒドリンの使用量は、特定重合ロジンのカルボキシル基が反応生成物中に残存しなくなるように適宜決定する必要があり、通常は、特定重合ロジンのカルボキシル基と等モル数以上とされるが、好ましくは1〜10倍モル程度とされる。10倍モルを超えて用いた場合は、不経済であるだけでなく、副反応により、反応生成物のエポキシ当量が大きくなる傾向がある。
第一工程で用いるエステル化触媒としては、公知各種のものを格別限定なく使用できるが、アミン塩を好ましく使用することができる。公知のエステル化触媒のうちアミンは、触媒活性が低くなる傾向がある。
該アミン塩とは、アミンにハロゲン酸、硫酸などの強酸を反応させて得られる酸性化合物であり、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩のいずれをも有効に使用できる。
第1級アミン塩の具体例としては、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、アニリンなどの第1級アミンの塩酸塩、臭化水素酸塩、フッ化水素酸塩、硫酸塩などが挙げられる。第2級アミン塩の具体例としては、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルアニリン、ベンジルメチルアミンなどの第2級アミンの塩酸塩、臭化水素酸塩、フッ化水素酸塩、硫酸塩などが挙げられる。第3級アミン塩の具体例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミンなどの第3級アミンの塩酸塩、臭化水素酸塩、フッ化水素酸塩、硫酸塩などが挙げられる。また第4級アンモニウム塩の具体例としては、例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、アリルトリエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムなどの各種第4級アミンの塩素化物、臭素化物、フッ素化物、硫酸塩などが挙げられる。
第一工程で用いるエステル化触媒の使用量は、特定重合ロジンに対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜1重量%である。該使用量が0.01重量%未満である場合は、第一工程の完結に長時間を要する傾向があり、また10重量%を超える場合は不経済である。
第一工程における反応条件は、重合ロジンハロヒドリンエステルの収率を考慮して適宜決定されるが、通常は反応温度が50〜120℃、好ましくは80〜100℃であり、反応時間は1〜10時間、好ましくは1〜4時間である。反応の終点はHLC(高速液体カラムクロマトグラフィー)測定法により容易に確認できるが、第二工程への移行は、未反応重合ロジンがほとんど残存せず、重合ロジンのカルボキシル基がほぼ完全にハロヒドリンエステルに転化したことを確認した後に行うのがよい。すなわち、反応系内に未反応重合ロジンが存在する場合には、該重合ロジンと、第二工程で得られる重合ロジングリシジルエステルとが反応して、副生物である重合ロジングリセライドを生成するからである。
第二工程で用いるアルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、その具体例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。アルカリの使用形態は特に限定されないが、通常は固形のまま反応系に添加するのが好ましいが、水溶液として添加してもよい。アルカリ水溶液を用いる場合は、その濃度が40重量%以上となるよう調整するのがよく、40重量%に満たない場合は、副反応が進むため、特定重合ロジングリシジルエステルの収量が低下する傾向がある。
アルカリの使用量は、重合ロジンエピハロヒドリンエステルの該エステル基1当量に対して少なくとも1当量、好ましくは1.0〜1.2倍当量とするのがよい。該使用量が1当量未満の場合は、反応が完結せず、また1.2倍当量を超えて使用しても反応上の優位性はなく、却って経済的に不利となる。
第二工程における反応条件は、重合ロジングリシジルエステルの収率を考慮して適宜決定されるが、通常は反応温度が50〜120℃、好ましくは100〜120℃であり、反応時間は1〜10時間、好ましくは1〜2時間である。反応の終点は、前記と同様にHLC測定法により確認すればよい。
該反応中、アルカリとともに添加される水または反応により生成した水は、反応系から共沸などの方法で除去することにより、得られる重合ロジングリシジルエステルの加水分解による副反応を抑制するのがよい。
反応終了後、例えば減圧蒸留等の操作により反応系内から過剰のエピハロヒドリンを除去する。ついで、得られた残留物に適当な溶媒を添加し溶解させることにより副生塩を濾別した後、該溶媒を留去して目的物である特定重合ロジングリシジルエステルを収得することができる。
また前記重合ロジン系エポキシ化合物の構成原料である重合ロジンアルコールグリシジルエーテルとしては、その性状・物性は格別に限定されないが、用途に応じて色調などが重視される場合は、該性状などを適宜選択すればよい。例えば、色調がガードナー3以下、好ましくは2以下であり、軟化点が60〜120℃、好ましくは70〜110℃であり、エポキシ当量が280〜380g/eq、好ましくは300〜360g/eqからなる性状を有するものを、より好適に使用できる(以下、特定重合ロジンアルコールグリシジルエーテルという)。
重合ロジンアルコールグリシジルエーテルが前記性状を有するためには、その原料である重合ロジンアルコールや、更には該重合ロジンアルコールの原料であるロジン及び重合ロジンが、それぞれ以下のような特定性状を有していることが望ましい。
すなわち、用いる重合ロジンアルコールは、色調がガードナー3以下、好ましくは2以下、更に好ましくはハーゼン水準であり、軟化点が110〜150℃、好ましくは120〜140℃であり、水酸基価が130〜180mgKOH/g、好ましくは140〜170mgKOH/gであり、酸価が3mgKOH/g以下、好ましくは1mgKOH/gであり、二量体含有率が60重量%以上、より好ましくは80重量%以上のものとされる(以下、特定重合ロジンアルコールという)。なお水酸基価はJIS K0070により測定した値である。
特定重合ロジンアルコールを得るために用いるロジンや重合ロジンとしては、前記の特定重合ロジングリシジルエステルの製造に用いるそれらをそのまま使用できる。
特定重合ロジンアルコールは、各種公知の水素化方法を適用して、前記重合ロジン中の不飽和結合およびカルボキシル基を水素化還元することにより収得できる。工業的水素化方法を例示すると、重金属触媒の存在下、または300℃程度の高温かつ高圧下に、銅クロム触媒により樹脂酸メチルエステルを水素添加する方法、溶解したロジンをラネーニッケルで直接水素添加する方法、銅、コバルト、ニッケル系触媒を用いて高温、高圧下で水素添加しアルコールに還元する方法などを挙げることができる。このようにして得られるロジンアルコールは、テトラヒドロアビエチルアルコール、ジヒドロアビエチルアルコール、デヒドロアビエチルアルコールなどを含む混合物である。
特定重合ロジンアルコールから得られるグリシジルエーテルの軟化点が60℃未満である場合は、貯蔵時にブロッキングしやすくなり、また120℃を超える場合は有機溶剤に対する溶解性が低下する傾向がある。ロジンアルコールグリシジルエーテルのエポキシ当量が280g/eq未満の場合は、理論上その製造が困難となる。また、エポキシ当量が380g/eqを超える重合ロジンアルコールグリシジルエーテルは硬化性が低下する傾向がある。
重合ロジンアルコールグリシジルエーテルの製造では、例えば以下の二段法または一段法を採用できる。二段法は、重合ロジンアルコールとエピハロヒドリンとを、触媒の存在下に反応させて相当するハロヒドリンエーテルとし、ついで該エーテルをアルカリにより脱ハロゲン化水素する方法である。以下、必要に応じて、ハロヒドリンエーテルの製造工程を第一工程といい、脱ハロゲン化水素する工程を第二工程という。
二段法の第一工程で用いるエピハロヒドリンとしては、前記の重合ロジングリシジルエステルの製造に用いるものと同様である。エピハロヒドリンの使用量は、重合ロジンアルコールの水酸基が反応生成物中に残存しなくなるように適宜決定する必要があり、通常は、重合ロジンアルコールの水酸基と等モル数以上とされるが、好ましくは1〜10倍モル程度とされる。10倍モルを超えて用いた場合は、不経済であるだけでなく、副反応により、反応生成物のエポキシ当量が大きくなる傾向がある。
二段法の第一工程で用いる触媒としては、各種のルイス酸、第3級アミン塩および第4級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種が、好ましく用いられる。
該ルイス酸としては、例えば塩化アルミニウム、塩化アンチモン、塩化スズ、塩化鉄、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素錯体などが挙げられる。三フッ化ホウ素錯体としては、例えば三フッ化ホウ素・エチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・フェノール錯体などが挙げられる。また、第3級アミン塩および第4級アンモニウム塩としては、前記の重合ロジングリシジルエステルの製造に用いるそれらと同様である。
第一工程で用いる触媒の使用量は、重合ロジンアルコールに対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜1重量%である。該使用量が0.01重量%未満である場合は、第一工程の完結に長時間を要する傾向があり、また10重量%を超える場合は反応上の優位性はなく不経済となる。
第一工程における反応条件は、前記ハロヒドリンエステルの収率を考慮して適宜決定されるが、通常は反応温度が50〜120℃、好ましくは80〜100℃であり、反応時間は1〜10時間、好ましくは1〜4時間である。反応の終点はHLC(高速液体カラムクロマトグラフィー)測定法により容易に確認できるが、第二工程への移行は、未反応重合ロジンアルコールがほとんど残存せず、該水酸基がほぼ完全にハロヒドリンエーテルに転化したことを確認した後に行うのがよい。
第二工程で用いるアルカリとしては、前記の重合ロジングリシジルエステルの製造に用いるそれらと同様であり、またアルカリの使用形態も前記とどうようである。
アルカリの使用量は、前記ハロヒドリンエーテルの該エーテル基1当量に対して少なくとも1当量、好ましくは1.0〜1.2倍当量とするのがよい。該使用量が1当量未満の場合は反応が完結しない傾向があり、また1.2倍当量を超えて使用しても反応上の優位性はなく、却って不経済となる。
第二工程における反応条件は、重合ロジンアルコールグリシジルエーテルの収率を考慮して適宜決定されるが、通常は反応温度が50〜120℃、好ましくは100〜120℃であり、反応時間は1〜10時間、好ましくは1〜2時間である。反応の終点は、前記と同様にHLC測定法により確認すればよい。該反応中、アルカリとともに添加される水または反応により生成した水は、反応系から共沸などの方法で除去すればよい。
反応終了後、例えば減圧蒸留等の操作により反応系内から過剰のエピハロヒドリンを除去する。ついで、得られた残留物に適当な溶媒を添加し溶解させることにより副生塩を濾別した後、該溶媒を留去して目的物である重合ロジンアルコールグリシジルエーテルを収得することができる。
重合ロジンアルコールグリシジルエーテルを製造するための前記の一段法は、重合ロジンアルコールとエピハロヒドリンとを、アルカリおよび層間移動触媒の存在下に反応させる方法である。
一段法で用いるアルカリとしては、二段法で用いる前記アルカリを区別なく使用できる。一段法で用いるアルカリの使用量も、二段階法におけると同様である。
一段法で用いる層間移動触媒としては、二段法の第一工程で用いる前記触媒のうち、第4級アンモニウムを好ましく使用できる。該触媒の使用量は、特に限定されないが、一般には、重合ロジンアルコールとエピハロヒドリンの合計量に対して、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%とされる。該使用量が上記範囲の下限未満の場合には反応速度が遅くなり、副反応が進行して反応生成物のエポキシ当量が小さくなりやすい。また上限を超えて用いても不経済なだけである。
また、一段法においては、層間移動触媒に次のような金属触媒を併用することができる。該金属触媒としては、銅、亜鉛、鉄、マグネシウム、銀、カルシウム、スズから選ばれるメタロイドまたはアンモニウムイオン、ならびにBF 、PF およびSiF 2−から選ばれる対イオンから形成される金属化合物を好ましく例示でき、より具体的には、Sn(BF、Fe(BF、Ca(BF、Zn(BF、Mg(BF、Cu(BF、MgSiF、AgSiFが好ましい。
該金属触媒の使用量は、格別限定されないが、一般には、重合ロジンアルコールとエピハロヒドリンの合計量に対して、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%とされる。該金属触媒の使用量が上記範囲の下限未満の場合には反応速度が遅くなるため実用的ではなく、また上限を超えても反応速度の向上は見られない。
一段法で用いるエピハロヒドリンの使用量は、二段階法におけると同様であり、通常は、重合ロジンアルコールの水酸基と等モル数以上であるが、好ましくは1〜10倍モル程度とされる。
本発明の重合ロジン系硬化性化合物は、前記のように、重合ロジン系エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸からなる反応生成物である。(メタ)アクリル酸は、本発明の目的物である重合ロジン系硬化性化合物の硬化性などの物性に鑑みて選定されたものである。なお、該重合ロジン系硬化性化合物の物性を低下させない範囲であれば、(メタ)アクリル酸以外に、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸などの熱硬化性および/または光硬化性を有する不飽和カルボン酸類を使用しても差し支えない。
本発明の重合ロジン系硬化性化合物は、前記の重合ロジン系エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸をエポキシ開環付加反応させて得られる。重合ロジン系エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との使用割合は、得られる重合ロジン系硬化性化合物の(メタ)アクリル当量および数平均分子量が所定範囲内になるように、適宜に決定できる。成分(1)を製造する場合は、通常は、重合ロジン系エポキシ化合物のエポキシ基1モルに対して、(メタ)アクリル酸の使用量は0.8〜1.2モル程度、好ましくは0.9〜1.1モルとされる。成分(2)を製造する場合は、重合ロジン系エポキシ化合物の1分子が有する2個のエポキシ基のうちの1個を(メタ)アクリル酸と反応させればよいため、(メタ)アクリル酸使用量は成分(1)における使用量の半分でよい。成分(1)と成分(2)の生成割合は、前記のように、目的用途に応じて適宜に決定できるため、重合ロジン系エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との仕込割合は、成分(1)と成分(2)の目的生成割合に応じて適宜に決定できる。なお、成分(1)と成分(2)をそれぞれ単独で製造し、その後、両者を所望の比率に混合してもよいことはもとよりである。
重合ロジン系硬化性化合物の製造方法は、格別限定されず、従来公知の方法を採用できる。例えば、反応容器に重合ロジン系エポキシ化合物、(メタ)アクリル酸、重合禁止剤などを仕込み、酸素バブリング下に攪拌しながら、80〜120℃程度でエポキシ開環付加反応を進行させればよい。このようにして、前記成分(1)、成分(2)および該混合物を容易に収得できる。
重合ロジン系硬化性化合物の(メタ)アクリル当量が前記の各下限値に満たない場合は、理論上それらの製造が困難となりやすく、また該(メタ)アクリル当量が前記の各上限値を超える場合は、これを用いてなる硬化性組成物の光硬化性が低下する傾向がある。重合ロジン系硬化性化合物の数平均分子量が前記の各下限値に満たない場合は、原料成分が未反応のまま残存しやすくなり、また該数平均分子量が前記の各上限値を超える場合は、これを用いてなる硬化性組成物の光硬化性が低下する傾向がある。
また、重合ロジン系硬化性化合物のエポキシ当量が前記の下限値に満たない場合は、理論上それらの製造が困難となり、また該エポキシ当量が前記の上限値を超える場合は、これを用いてなる硬化性組成物の熱硬化性が低下する傾向がある。
本発明の重合ロジン系硬化性化合物である成分(1)は、分子中にほぼ2個の(メタ)アクリル基を有するだけではなく、重合ロジン部位由来のバルキーな構造であるため、高性能な硬化性化合物として利用価値は大きい。また、本発明の重合ロジン系硬化性化合物である成分(2)は、分子中に(メタ)アクリル基とエポキシ基をほぼ1個づつ有し、しかも重合ロジン部位由来のバルキーな構造であるため、成分(1)と同様に多様性のある硬化性化合物となりうる。
より具体的には、成分(1)は、(メタ)アクリル基由来の光硬化性があり、それ自体で光反応性の希釈剤や多官能単量体として利用できる他、該成分を含有する各種の光硬化性組成物を調製できる。また、成分(2)は、該光硬化性のみならずエポキシ基由来の熱硬化性があるため、いわゆるデュアル硬化性の組成物を調製できる。デュアル効果方式の適用例として、次のような例が挙げられる。すなわち、該組成物を基材に塗布し、これを熱硬化させることにより後工程で要求される程度の耐溶剤性や加工性が担保できるような予備的な硬化塗膜(例えば、Aステージ物品と称す)を形成させた後、該塗装物の上に異なる層(印刷層など)を積層したり、所望の形状に加工した後に、更に光硬化させて高硬度で優れた物性(耐摩耗性、耐溶剤性など)を有する目的物品(例えば、Bステージ物品と称す)を製造することができる。
本発明の重合ロジン系硬化性化合物を用いて光硬化性組成物を調製する場合は、該組成物から得られる硬化物の諸物性を考慮の上、光硬化性単量体、光硬化性樹脂、光重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤などを適宜に配合でき、必要に応じて、更にレベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、抗菌剤、防黴剤、充填剤、顔料、溶剤などの添加剤を適宜に配合してもよい。
光硬化性単量体としては、例えば、各種公知の単官能性単量体、多官能性単量体が挙げられ、また光硬化性樹脂としては、各種公知のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノンなどの水素引き抜きによってラジカルを発生するタイプの化合物や、ベンゾイン、ジアルコキシアセトフェノン、アシルオキシムエステル、ベンジルケタール、ヒドロキシアルキルフェノン、ハロゲノケトンなどの分子内分裂によってラジカルを発生するタイプの化合物を、適宜に選択採用できる。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、トルハイドロキノン、パラターシャリーブチルカテコールなどが挙げられる。また、光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミンなどのアミン類、o−トリルチオ尿素などの尿素類、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネートなどの硫黄化合物などが挙げられる。
本発明の光硬化性樹脂組成物を硬化させるには、公知の活性エネルギー線(電子線、紫外線など)を照射して行う。該光源としては、例えば、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどを有する紫外線照射装置が使用され、必要に応じて光量、光源の配置などが調整される。高圧水銀灯を使用する場合は、通常80〜160W/cmの光量を有したランプ1灯に対して搬送速度5〜50m/分で硬化させるのが好ましい。一方、電子線により硬化させる場合は、通常10〜300kVの加速電圧を有する電子線加速装置にて、搬送速度5〜50m/分で硬化させるのが好ましい。
本発明の重合ロジン系硬化性化合物を用いて熱硬化性組成物、例えばエポキシ樹脂組成物を調製する場合は、溶剤、硬化剤、顔料、充填剤、エポキシ樹脂などの各種配合物を用途に応じて適宜に配合できる。重合ロジン系硬化性化合物の含有率は、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ化合物の総量(固形分換算100重量部)に対し、通常5〜50重量%程度(固形分換算)、好ましくは10〜40重量%とされる。特定重合ロジングリシジルエステルと併用可能なエポキシ化合物としては、格別限定されず公知各種のエポキシ樹脂が使用でき、例えばノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。なお、本発明の重合ロジン系硬化性化合物は分子中に水酸基を有するため、イソシアネート化合物とウレタン結合を形成するため、熱硬化性組成物中にイソシアネート化合物を配合できる。また、必要に応じて、主剤と硬化剤からなる2液型として使用してもよい。
前記エポキシ樹脂組成物に配合される硬化剤としては、各種公知の硬化剤を格別限定なく使用でき、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール系化合物、2−(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの第3級アミン系化合物、トリフェニルフォスフィン化合物などが挙げられる。
前記エポキシ樹脂組成物においては、各種公知の溶剤を格別限定なく使用でき、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールアルキルエーテル類;プロピレングリコールアセテート、セロソルブアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。
以下に参考例および実施例をあげて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、部および%は特記しない限り重量基準である。なお、本発明に用いる重合ロジンおよび重合ロジングリシジルエステルの色調、軟化点、エポキシ当量、二量体含有率の測定・算出は、以下の方法による。また、本発明の重合ロジン系硬化性化合物の数平均分子量、(メタ)アクリル当量、およびエポキシ当量の測定・算出は、以下の方法による。
(色調)
JIS K5902に準拠してガードナー色度を目視測定した。
(軟化点)
JIS K2207(環球法)に準拠して測定した。
エポキシ当量(g/eq):JIS K7236:2001に準拠して測定した。
(二量体含有率)
HLC測定法により求めた。測定条件は以下の通りである。
カラム:ODS(日本分光(株)製)
溶媒:メチルアルコール/0.01%リン酸=9/1(容量比)
流速:1ml/分、
検出器:示差屈折計(日本分光(株)製)
(数平均分子量)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算値を示す。
(アクリル当量)
計算値(g/eq)を示す。
参考例1(重合ロジングリシジルエステルの合成)
撹拌機、温度計、分水管付き冷却器および窒素導入管を備えた反応容器に、重合ロジン(酸価178mgKOH/g、軟化点150℃、色調ガードナー1、二量体含有率65%)300部とトリメチルアミン塩酸塩0.6部をエピクロルヒドリン600部に加え、窒素気流下に80℃に加熱し、3時間保温した。クロロヒドリンエステルが生成し、未反応の重合ロジンがなくなったことをHLC測定法により確認した後、反応系内を120℃に昇温し、水酸化ナトリウム40部を1時間かけて5分割して添加した。この間、生成水はエピクロルヒドリンと共沸させて除いた。ついで、エピクロルヒドリンを減圧下に留去し、さらに4kPa、135℃にて、5分間保持した後、重合ロジングリシジルエステルを得た。該エステルの色調はガードナー2、軟化点は75℃、エポキシ当量は349g/eq、二量体含有率は62%であった。
参考例2(重合ロジングリシジルエステルの合成)
参考例1において、前記重合ロジンに代えて、水素化重合ロジン(酸価178mgKOH/g、軟化点167℃、色調ハーゼン100、二量体含有率80%)を用いた他は、同様に反応を行い、重合ロジングリシジルエステルを得た。該エステルの色調はガードナー1、軟化点は72℃、エポキシ当量は336g/eq、二量体含有率は77%であった。
参考例3(重合ロジンアルコールグリシジルエーテルの合成)
前記の反応容器に、重合ロジンアルコール(色調ガードナー2、水酸基価170mgKOH/g、軟化点130℃、二量体含有率65%)286部(0.5モル部)と、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム2.5部、Sn(BF(スタナステトラフルオロボレート)の45%水溶液1.3部、およびエピクロルヒドリン370部(4モル部)を加え、窒素気流下に80℃に昇温し同温度に保ちながら、水酸化ナトリウム40部を1時間かけて5分割添加し、更に3時間反応を続けた。この間、生成水はエピクロルヒドリンと共沸留去した。ついで、残余のエピクロルヒドリンを減圧下に留去することにより重合ロジンアルコールグリシジルエーテルを得た。該エーテルの色調はガードナー2、軟化点は75℃、エポキシ当量は345g/eq、二量体含有率は62%であった。
実施例1(成分(1)の合成)
撹拌機、温度計、冷却管、滴下ロートおよび空気導入管を備えた反応装置に、参考例1で得た重合ロジングリシジルエステル2050部、アクリル酸(以下、AAという)380.3部、メトキノン2.0部およびトリフェニルフォスフィン5.4部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、110℃にて8時間保温後、メトキノン1.4部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるよう酢酸エチルを加え、成分(1)溶液を得た(以下、成分(1−1)という)。成分(1−1)は、数平均分子量が875、アクリル当量が固形分換算で450g/eqであった。
実施例2(成分(1)の合成)
実施例1において、参考例1で得た重合ロジングリシジルエステルに代えて参考例2で得た重合ロジングリシジルエステルを用いた他は、同様に反応を行い、成分(1)溶液を得た(以下、成分(1−2)という)。成分(1−2)は、数平均分子量が887、アクリル当量が固形分換算で445g/eqであった。
実施例3(成分(1)の合成)
実施例1において、参考例1で得た重合ロジングリシジルエステルに代えて参考例3で得た重合ロジングリシジルエーテルを用いた他は、同様に反応を行い、成分(1)溶液を得た(以下、成分(1−3)という)。成分(1−3)は、数平均分子量が805、アクリル当量が固形分換算で405g/eqであった。
実施例4(成分(2)の合成)
実施例1において、参考例1で得た重合ロジングリシジルエステルの使用量を 1025部に代えた他は、同様に反応を行い、成分(1)溶液を得た(以下、成分(2−1)という)。成分(2−1)は、数平均分子量が803、アクリル当量が固形分換算で803g/eq、エポキシ当量が固形分換算で820g/eqであった。
実施例5(成分(2)の合成)
実施例4において、参考例1で得た重合ロジングリシジルエステルに代えて参考例3の重合ロジンアルコールグリシジルエーテルに代えた他は、同様に反応を行い、成分(1)溶液を得た(以下、成分(2−2)という)。成分(2−2)は、数平均分子量が730、アクリル当量が固形分換算で730g/eq、エポキシ当量が固形分換算で740g/eqであった。
実施例6〜10(光硬化性組成物の調製)
実施例1〜3で得られた成分(1)、光重合開始剤(チバ・スペシャルテイー・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア184」、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、反応性希釈剤および希釈溶剤(メチルエチルケトン)を表1に示す割合で配合することにより、光硬化性組成物を調製した(順に硬化性組成物1〜5という)。
表1中、BC300は多官能ポリエステルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名「ビスコート300」を、TMPTAはトリメチロールプロパントリアクリレートを、MEKはメチルエチルケトンを意味する。
(光硬化膜の作製)
硬化性組成物1〜5を、それぞれポリエチレンテレフタレート樹脂板にバーコーターで塗装し、70℃で1分間の予備乾燥を行った後、空気下で高圧水銀灯を用いて600mj/cmの照射量となるよう紫外線照射を行い、膜厚15μmの光硬化膜を得た。
(評価例)
光硬化膜の性能試験条件と評価方法は以下の通りである。各評価結果を表2に示す。
(評価方法)
鉛筆硬度:JIS K5400に準拠。評価結果を表2に示す。
硬化塗膜の耐温水試験:
40℃の温水を入れた水槽中に試験板を浸漬し、80時間経過後の塗膜外観を目視にて以下の基準に従い評価した。
○:硬化塗膜に変化が認められない。
△:硬化塗膜が白化したが、溶解、脱膜、破れが認められない。
×:溶解、脱膜、破れが認められる。
耐摩耗性試験:
600gの重りの底に10mm×10mmの範囲に付けたスチールウールで試験板を30回擦り、外観を観察し、以下の基準で評価した。
○:変化無し。
△:細かいキズ有り。
×:大きなキズ有
実施例11〜13(熱および光硬化性組成物の調製)
実施例6〜8で得られた硬化性組成物に、エポキシ硬化剤(2−メチルイミダゾール)をそれぞれ所定量(各組成物中の重合ロジン系硬化性化合物に対して5%)を添加し充分混合することにより、デュアル硬化性組成物を調製した(順に硬化性組成物6〜8という)。
(デュアル硬化膜の作製および評価)
硬化性組成物6〜8を、脱脂鋼板にそれぞれスプレーで塗装し、90℃で5分間加熱して乾燥および熱硬化を行った後、前記と同様にして紫外線照射することにより、膜厚15μmの硬化膜(順に試験板1〜3という)を得た。試験板1〜3につき、JIS K5400に準拠して耐塩水噴霧試験を行い、塩水噴霧120時間後の錆の発生状態を目視観察した。試験板1〜3のクロスカット部の剥離幅は、いずれも2mm以下であり、該塗膜の防錆性は良好であった。
表1および上記防錆性の評価結果から、本発明の重合ロジン系硬化性化合物を配合してなる硬化性組成物が、優れた硬化物性を発現できることが分かる。従って、本発明の重合ロジン系硬化性化合物は、環境配慮型の熱および/または光硬化性の新規な硬化性化合物として各種用途に好適であることが明らかである。

Claims (10)

  1. 一般式(1):
    (式中、R1およびR2は同一または異なって水素原子またはメチル基を、Roは重合ロジン残基または重合ロジンアルコール残基を、Xはカルボニル基またはメチレン基を表す。)および/または
    一般式(2):
    (式中、R1、RoおよびXはいずれも前記と同じ。)で表される成分をそれらの合計量で60重量%以上含有しており、該一般式(1)で表される化合物の(メタ)アクリル当量が375〜475g/eqであり、該一般式(2)で表される化合物の(メタ)アクリル当量が650〜850g/eq、エポキシ当量が650〜850g/eqである、硬化塗膜用の重合ロジン系硬化性化合物。
  2. 前記一般式(1)で表される化合物が、数平均分子量750〜950である請求項1に記載の硬化塗膜用の重合ロジン系硬化性化合物。
  3. 前記一般式(2)で表される化合物が、数平均分子量650〜850である請求項1に記載の硬化塗膜用の重合ロジン系硬化性化合物。
  4. 熱硬化性および/または光硬化性を有する請求項1〜3のいずれかに記載の硬化塗膜用の重合ロジン系硬化性化合物。
  5. 重合ロジングリシジルエステルおよび/または重合ロジンアルコールグリシジルエーテルと、(メタ)アクリル酸とをエポキシ開環付加反応させる重合ロジン系硬化性化合物の製造方法であって、該重合ロジングリシジルエステルが、エポキシ当量が300〜400g/eqであり、該重合ロジンアルコールグリシジルエーテルが、エポキシ当量が280〜380g/eqである、重合ロジン系硬化性化合物の製造方法。
  6. 前記重合ロジングリシジルエステルが、色調がガードナー3以下、軟化点が65〜120℃、かつ二量体含有率が60重量%以上のものである請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記重合ロジンアルコールグリシジルエーテルが、色調がガードナー3以下、軟化点が60〜120℃、かつ二量体含有率が60重量%以上のものである請求項5に記載の製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性化合物を含有する硬化塗膜用の硬化性組成物。
  9. 更に、光硬化性単量体、光硬化性樹脂、光重合開始剤、光重合禁止剤、および光増感剤から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項8に記載の硬化塗膜用の硬化性組成物。
  10. 更に、溶剤、硬化剤、顔料、充填剤、エポキシ樹脂用硬化剤、エポキシ樹脂、およびイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項8に記載の硬化塗膜用の硬化性組成物。
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