JP2002241477A - 不飽和ポリエステル化合物、その製造方法及び硬化性組成物 - Google Patents
不飽和ポリエステル化合物、その製造方法及び硬化性組成物Info
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Abstract
かに硬化すると共に、加熱による硬化も可能であり、か
つ、側鎖に一級の水酸基を有することにより各種基材に
対する密着性や、他の諸特性に優れた硬化物を与える不
飽和ポリエステル化合物、その製造方法及び該化合物を
含有する硬化性組成物を提供する。 【解決手段】 (a)1分子中に少なくとも2つのオキ
セタン環を有する化合物と、(b)1分子中に少なくと
も2つのカルボキシル基を有する化合物及び(c)不飽
和モノカルボン酸とを、反応促進剤の存在下、上記化合
物(a)と(b)の割合がモル比で0.1<(b)/
(a)<1の範囲で反応させることにより、末端にエチ
レン性不飽和基、側鎖にヒドロキシメチル基を有する不
飽和ポリエステル化合物が得られる。硬化性組成物は、
(A)該不飽和ポリエステル化合物、及び(B)重合開
始剤を必須成分として含有する。
Description
エステル化合物及びその製造方法に関する。該不飽和ポ
リエステル化合物は、末端にエチレン性不飽和基、側鎖
にヒドロキシメチル基を有するため、種々の分野におい
て光硬化性成分及び/又は熱硬化性成分として有利に用
いることができる。本発明はさらに、上記不飽和ポリエ
ステル化合物を含有し、紫外線又は電子線などの活性エ
ネルギー線の照射により速やかに硬化し、あるいはさら
に加熱によって硬化し、柔軟性(耐屈曲性)と強度を兼
ね備え、かつ、基材との密着性に優れた硬化物を与える
硬化性組成物に関する。該組成物は接着剤、コーティン
グ材料、プリント配線板用レジスト材料など広範囲に利
用可能である。
化は、その硬化速度が速いことなどから、金属塗装、木
材コーティング、印刷インキ、電子材料などに広く利用
されている。これらの分野において用いられる光硬化性
組成物は、一般的に、不飽和二重結合を有するプレポリ
マー、重合性モノマー、及び光重合開始剤を必須成分と
している。光硬化性成分として主に用いられる前記プレ
ポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ウレタ
ンアクリレート、及びエポキシアクリレートが挙げられ
る。これらプレポリマーは、重合性の不飽和基を有して
いるので、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発
生する化合物(光重合開始剤)と混合することで架橋可
能である。
は、側鎖に水酸基などの極性基がほとんど存在しないた
め、更なる変性反応に用いることが不可能である。ウレ
タンアクリレートは、基材との密着性には優れるもの
の、耐熱性に劣るウレタン結合を有しているためその用
途は限定されている。エポキシアクリレートは、物性面
で最も優れており、種々の分野での応用がなされている
が、主に2級の水酸基を有するため、密着性の点では満
足すべき性能が得られていないのが現状である。
レポリマーは、一般に分子量が小さく、活性エネルギー
線の照射により瞬間的に硬化するため、塗膜中に残留応
力が生じ、基材への密着性、機械的特性が低下する問題
点があった。かかる問題点を解決するために、オキセタ
ンのカチオン重合を硬化反応として使用する組成物が報
告されているが、ラジカル重合性のプレポリマー又はモ
ノマーと比べて、使用できる材料の種類が少ないため、
所望の硬化物特性を達成することは困難であった。
高分子反応への応用の観点から、4員環エーテルである
オキセタン環の開環付加反応を利用した有機合成が報告
されており、例えばオキセタン化合物と活性エステルと
の付加反応(T. Nishikubo and K. Sato, Chem. Lett.,
697 (1992))や、ビスオキセタンとジカルボン酸との
重付加反応による側鎖一級の水酸基を有するポリエステ
ルの合成(T. Nishikubo, A. Kameyama, and A. Suzuk
i, Reactive & Functional Polymers, 37, 19 (1998))
が報告されている。
には、カルボキシル基含有樹脂にオキセタン基含有(メ
タ)アクリレートモノマーを開環付加するか、あるいは
オキセタン環を含有する樹脂にカルボキシル基含有不飽
和モノマーを開環付加することで、活性エネルギー線硬
化型樹脂を製造する方法が開示されている。しかしなが
ら、前記したような公知文献にも、本発明の化合物類及
びそれを用いた硬化性組成物に関する記載は無い。
間の活性エネルギー線の照射により速やかに硬化すると
共に、加熱による硬化も可能であり、かつ、側鎖に一級
の水酸基を有することにより各種基材に対する密着性に
優れ、また他の諸特性にも優れた硬化物を与える不飽和
ポリエステル化合物を提供することにある。本発明の他
の目的は、このような不飽和ポリエステル化合物を生産
性良く製造できる方法を提供することにある。本発明の
さらに他の目的は、紫外線又は電子線などの活性エネル
ギー線の照射により速やかに硬化し、あるいはさらに加
熱によって硬化し、柔軟性(耐屈曲性)と強度を兼ね備
え、かつ、基材に対する密着性等の諸特性に優れた硬化
物が得られる硬化性組成物を提供することにある。
に、本発明の一側面によれば、(a)1分子中に少なく
とも2つのオキセタン環を有する化合物と、(b)1分
子中に少なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物
及び(c)不飽和モノカルボン酸との反応から得られる
ことを特徴とする、末端にエチレン性不飽和基、側鎖に
ヒドロキシメチル基を有する不飽和ポリエステル化合物
が提供される。
で表わされ、末端にエチレン性不飽和基、側鎖にヒドロ
キシメチル基を有する不飽和ポリエステル化合物が提供
される。
R2は2官能オキセタン残基、R3はジカルボン酸残基、
R4、R5及びR6は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜
6のアルキル基、アリール基、アラルキル基、シアノ
基、フッ素原子、又はフリル基を表わし、nは1〜30
0、好ましくは1〜150、さらに好ましくは1〜50
の整数である。
中に少なくとも2つのオキセタン環を有する化合物と、
(b)1分子中に少なくとも2つのカルボキシル基を有
する化合物及び(c)不飽和モノカルボン酸とを、反応
促進剤の存在下、上記化合物(a)と化合物(b)の割
合がモル比で0.1<(b)/(a)<1の範囲で反応
させることを特徴とする不飽和ポリエステル化合物の製
造方法が提供される。
(a)1分子中に少なくとも2つのオキセタン環を有す
る化合物と、(b)1分子中に少なくとも2つのカルボ
キシル基を有する化合物及び(c)不飽和モノカルボン
酸との反応から得られる不飽和ポリエステル化合物、及
び(B)重合開始剤を必須成分として含有することを特
徴とする硬化性組成物が提供される。好適な態様におい
ては、上記不飽和ポリエステル化合物(A)は、前記一
般式(1)で表わされ、末端にエチレン性不飽和基、側
鎖にヒドロキシメチル基を有する不飽和ポリエステル化
合物である。
とも2つのオキセタン環を有する化合物(以下、ビスオ
キセタン化合物という)と、1分子中に少なくとも2つ
のカルボキシル基を有する化合物(以下、ジカルボン酸
という)との重付加反応を行なう際に、不飽和モノカル
ボン酸共存下、及び/又は重付加反応終了後に不飽和モ
ノカルボン酸を添加しさらに付加反応を行なうことによ
り、ポリマーの末端に重合性の不飽和基が導入され、か
つ、側鎖に一級水酸基を有する不飽和ポリエステル化合
物が得られること、及びこの化合物は、オキセタン環の
開環反応によって生成する一級の水酸基と、末端に不飽
和二重結合を併せ持つ特定の構造を有するため、短時間
の活性エネルギー線の照射により速やかに硬化すると共
に、不飽和二重結合の存在により熱ラジカルによる加熱
硬化が可能であり、また、上記側鎖の一級水酸基の存在
のために水酸基と反応し得る硬化剤(例えば、イソシア
ネート類)の添加により加熱硬化も可能であること、か
つ、一級水酸基の水素結合性によって、得られた硬化物
は各種基材に対して優れた密着性を示すこと、さらに、
主鎖がエーテル結合とエステル結合の直鎖状構造のた
め、これを硬化性成分として含有する組成物は、硬化収
縮が少なく、柔軟性(耐屈曲性)と強度を兼ね備え、さ
らには主鎖のポリエステル構造に起因する優れた機械的
特性も有する硬化物を与えることを見出した。また、こ
のような化合物の工業的に有利な製造方法も見出し、本
発明を完成するに至った。
発明の不飽和ポリエステル化合物は、ビスオキセタン化
合物(a)と、ジカルボン酸(b)及び不飽和モノカル
ボン酸(c)との反応から得られることを特徴とする、
末端に重合性不飽和基を有する活性エネルギー線硬化性
樹脂であると共に、熱硬化性樹脂でもあり、反応促進
剤、例えば三級アミン、四級オニウム塩、三級ホスフィ
ン等の存在下、簡便な工程を経て製造することができ
る。その反応過程は以下の通りである。 まず、下記反応式のようにビスオキセタン化合物
(a)とジカルボン酸(b)の重付加反応が進行する。
この反応は、ビスオキセタン化合物(a)をジカルボン
酸(b)よりも過剰に用いることによりほぼ理論的に進
行し、両末端にオキセタン環を有する化合物が得られ
る。
付加反応の生成物の末端オキセタン環に対する不飽和モ
ノカルボン酸(c)の開環付加反応が生起し、本発明の
不飽和ポリエステル化合物が得られる。なお、副反応と
して、未反応のジカルボン酸が一方の末端オキセタン環
に反応し、そのまま一方の末端にカルボキシル基が残存
する可能性も考えられるが、この化合物も末端に重合性
の不飽和基が導入され、かつ、側鎖に一級水酸基を有す
る不飽和ポリエステル化合物であり、混在していてもな
んら差し支えない。
ン化合物(a)の代表例としては、下記一般式(2)で
示されるビスオキセタン類が挙げられる。
り、R2は、炭素数1〜12の線状又は分岐状飽和炭化
水素類、炭素数1〜12の線状又は分岐状不飽和炭化水
素類、下記式(A)、(B)、(C)、(D)及び
(E)で示される芳香族炭化水素類、式(F)及び
(G)で示されるカルボニル基を含む直鎖状又は環状の
アルキレン類、式(H)及び(I)で示されるカルボニ
ル基を含む芳香族炭化水素類から選択される2価の原子
価を持った基である。
基、アリール基、又はアラルキル基を表わし、R8は、
−O−、−S−、−CH2−、−NH−、−SO2−、−
CH(CH3)−、−C(CH3)2−、又は−C(C
F3)2−を表わし、R9は、水素原子又は炭素数1〜6
のアルキル基を表わす。
代表例としては、下記一般式(3)で示されるジカルボ
ン酸類が挙げられる。
ウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
ウンデカ二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラ
デカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オ
クタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸等の
炭素数2〜20の直鎖脂肪族ジカルボン酸;メチルマロ
ン酸、エチルマロン酸、n−プロピルマロン酸、ブチル
マロン酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、1,1,
3,5−テトラメチルオクチルコハク酸等の炭素数3〜
20の分岐状脂肪族ジカルボン酸;マレイン酸、フマル
酸、シトラコン酸、メチルシトラコン酸、メサコン酸、
メチルメサコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等の直鎖
又は分岐状脂肪族不飽和ジカルボン酸;ヘキサヒドロフ
タル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレ
フタル酸、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シ
クロヘキセン−1,6−ジカルボン酸、シクロヘキセン
−3,4−ジカルボン酸、シクロヘキセン−4,5−ジ
カルボン酸、式(J)でそれぞれ示されるメチルヘキサ
ヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロイソフタル酸及び
メチルヘキサヒドロテレフタル酸等のテトラヒドロフタ
ル酸などが挙げられる。
ボン酸、シクロヘキセン−1,5−ジカルボン酸、シク
ロヘキセン−3,5−ジカルボン酸等のテトラヒドロイ
ソフタル酸;シクロヘキセン−1,4−ジカルボン酸、
シクロヘキセン−3,6−ジカルボン酸等のテトラヒド
ロテレフタル酸;1,3−シクロヘキサジエン−1,2
−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−1,6
−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−2,3
−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−5,6
−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−1,2
−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−1,6
−ジカルボン酸等のジヒドロフタル酸;1,3−シクロ
ヘキサジエン−1,3−ジカルボン酸、1,3−シクロ
ヘキサジエン−3,5−ジカルボン酸等のジヒドロイソ
フタル酸;1,3−シクロヘキサジエン−1,4−ジカ
ルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−2,5−ジカ
ルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−1,4−ジカ
ルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−3,6−ジカ
ルボン酸等のジヒドロテレフタル酸;式(K)で示され
るメチルテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラ
ヒドロフタル酸、エンド−cis−ビシクロ[2.2.
1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(商品
名:ナジック酸)及びメチルエンド−cis−ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン
酸(商品名:メチルナジック酸)などの飽和又は不飽和
脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
フタル酸、3−メチルフタル酸、3−エチルフタル酸、
3−n−プロピルフタル酸、3−sec−ブチルフタル
酸、3−イソブチルフタル酸、3−tert−ブチルフ
タル酸等の3−アルキルフタル酸類;2−メチルイソフ
タル酸、2−エチルイソフタル酸、2−プロピルイソフ
タル酸、2−イソプロピルイソフタル酸、2−n−ブチ
ルイソフタル酸、2−sec−ブチルイソフタル酸、2
−tert−ブチルイソフタル酸等の2−アルキルイソ
フタル酸;4−メチルイソフタル酸、4−エチルイソフ
タル酸、4−プロピルイソフタル酸、4−イソプロピル
イソフタル酸、4−n−ブチルイソフタル酸、4−se
c−ブチルイソフタル酸、4−tert−ブチルイソフ
タル酸等の4−アルキルイソフタル酸:メチルテレフタ
ル酸、エチルテレフタル酸、プロピルテレフタル酸、イ
ソプロピルテレフタル酸、n−ブチルテレフタル酸、s
ec−ブチルテレフタル酸、tert−ブチルテレフタ
ル酸等のアルキルテレフタル酸;ナフタレン−1,2−
ジカルボン酸、ナフタレン−1,3−ジカルボン酸、ナ
フタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5
−ジカルボン酸、ナフタレン−1,6−ジカルボン酸、
ナフタレン−1,7−ジカルボン酸、ナフタレン−1,
8−ジカルボン酸、ナフタレン−2,3−ジカルボン
酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、アントラセン
−1,3−ジカルボン酸、アントラセン−1,4−ジカ
ルボン酸、アントラセン−1,5−ジカルボン酸、アン
トラセン−1,9−ジカルボン酸、アントラセン−2,
3−ジカルボン酸、アントラセン−9,10−ジカルボ
ン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
の他に、下記一般式(L)で示されるジカルボン酸を用
いることができる。
−、−SO2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)
2−、又は−C(CF3)2−を表わす。
(c)としては、分子中に重合性の不飽和基とカルボキ
シル基を併せ持つ化合物であれば公知のものが使用可能
である。具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル
酸、ケイ皮酸、クロトン酸、ソルビン酸、α−シアノケ
イ皮酸、β−スチリルアクリル酸等が挙げられる。ま
た、二塩基酸無水物と水酸基を有する(メタ)アクリレ
ート類とのハーフエステルを用いてもよい。具体的に
は、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフ
タル酸、マレイン酸、コハク酸等の酸無水物と、ヒドロ
キシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレ
ート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプ
ロピルメタクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレ
ート類とのハーフエステルなどが挙げられる。これらの
不飽和モノカルボン酸は、単独で又は2種以上を組み合
わせて使用してもよい。なお、本明細書中において、
(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレー
トを総称する用語であり、他の類似の表現についても同
様である。
(a)とジカルボン酸(b)との割合(反応混合物中の
仕込み割合)は、モル比で0.1<(b)/(a)<1
の範囲が好ましく、より好ましくは0.5<(b)/
(a)<1の範囲である。上記割合が0.1以下である
と、生成する樹脂中へのジカルボン酸骨格の導入量が少
なくなり、所望の分子量のポリエステル樹脂が得られ
ず、充分な塗膜物性が得られないので好ましくない。一
方、上記割合が1を超えると、重付加反応において重合
末端がカルボキシル基となるため、引き続く不飽和モノ
カルボン酸(c)の付加反応が進行せず、重合性基の導
入が困難となるため好ましくない。
(c)の割合(反応混合物中の仕込み割合)は、オキセ
タニル基1モルに対し不飽和モノカルボン酸が約0.1
〜3.0モルの割合であることが好ましく、さらに好ま
しくは0.3〜1.5モルの割合、より好ましくは0.
5〜1.0モルの割合である。不飽和モノカルボン酸の
量がオキセタニル基1モル当り0.1モルより少ない場
合は、前記重付加生成物中への重合性基の導入が不充分
となり、充分な光硬化性が得られないので好ましくな
い。未反応の不飽和モノカルボン酸が残存した場合は、
減圧留去、アルカリ洗浄などの周知の方法にて除去して
もよい。また、不飽和モノカルボン酸(c)の添加方法
は、前記ビスオキセタン化合物(a)とジカルボン酸
(b)との重付加反応終了後に添加するか、又はビスオ
キセタン化合物、ジカルボン酸、及び不飽和モノカルボ
ン酸の3成分を一括で添加する方法のいずれかでかまわ
ないが、作業性を考慮すると一括で添加するのが好まし
い。
において使用する反応促進剤としては、三級アミン、三
級アミン塩、四級オニウム塩、三級ホスフィン、クラウ
ンエーテル錯体、又はホスホニウムイリドの中から任意
に選択することが可能であり、これらを単独で又は2種
以上を組み合わせて用いてもよい。
トリブチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ
[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、DBN(1,5
−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)、D
ABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オク
タン)、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリ
ジンなどが挙げられる。三級アミン塩としては、例え
ば、サンアプロ(株)製のU−CATシリーズなどが挙
げられる。
塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム
塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム
塩、スタンノニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられ
る。特に好ましいものは、アンモニウム塩及びホスホニ
ウム塩である。アンモニウム塩の具体例としては、テト
ラn−ブチルアンモニウムクロライド(TBAC)、テ
トラn−ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、テ
トラn−ブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)
等のテトラn−ブチルアンモニウムハライドや、テトラ
n−ブチルアンモニウムアセテート(TBAAc)など
が挙げられる。ホスホニウム塩の具体例としては、テト
ラn−ブチルホスホニウムクロライド(TBPC)、テ
トラn−ブチルホスホニウムブロミド(TBPB)、テ
トラn−ブチルホスホニウムアイオダイド(TBBI)
等のテトラn−ブチルホスホニウムハライド、テトラフ
ェニルホスホニウムクロライド(TPPC)、テトラフ
ェニルホスホニウムブロミド(TPPB)、テトラフェ
ニルホスホニウムアイオダイド(TPPI)等のテトラ
フェニルホスホニウムハライドや、エチルトリフェニル
ホスホニウムブロミド(ETPPB)、エチルトリフェ
ニルホスホニウムアセテート(ETPPAc)などが挙
げられる。
のアルキル基、又はアリール基を有する、三価の有機リ
ン化合物であればよい。具体例としては、トリエチルホ
スフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフ
ィンなどが挙げられる。
と、カルボン酸あるいは酸性の強いフェノールとの付加
反応により形成される四級オニウム塩も反応促進剤とし
て使用可能である。これらは、反応系に添加する前に四
級塩を形成するか、もしくはそれぞれを別に添加して反
応系中で四級塩形成を行なわせるいずれの方法でもよ
い。具体的には、トリブチルアミンと酢酸より得られる
トリブチルアミン酢酸塩、トリフェニルホスフィンと酢
酸より形成されるトリフェニルホスフィン酢酸塩などが
挙げられる。
ては、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18
−クラウン−6、ジベンゾ18−クラウン−6、21−
クラウン−7、24−クラウン−8等のクラウンエーテ
ル類と、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウ
ム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウ
ム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウムなど
のアルカリ金属塩との錯体が挙げられる。
ム塩と塩基との反応により得られる化合物であれば公知
のものが使用可能であるが、取扱いの容易さから安定性
の高いものの方が好ましい。具体的な例としては、(ホ
ルミルメチレン)トリフェニルホスフィン、(アセチル
メチレン)トリフェニルホスフィン、(ピバロイルメチ
レン)トリフェニルホスフィン、(ベンゾイルメチレ
ン)トリフェニルホスフィン、(p−メトキシベンゾイ
ルメチレン)トリフェニルホスフィン、(p−メチルベ
ンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(p−ニ
トロベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、
(ナフトイル)トリフェニルホスフィン、(メトキシカ
ルボニル)トリフェニルホスフィン、(ジアセチルメチ
レン)トリフェニルホスフィン、(アセチルシアノ)ト
リフェニルホスフィン、(ジシアノメチレン)トリフェ
ニルホスフィンなどが挙げられる。
基1モルに対して約0.1〜25モル%の割合であるこ
とが望ましく、さらに好ましくは0.5〜20モル%の
割合であり、より好ましくは1〜15モル%の割合であ
る。反応促進剤の使用量がオキセタニル基に対して0.
1モル%よりも少ない割合の場合、実用的な速度で反応
が進行し難く、一方、25モル%を超えて多量に存在し
ても顕著な反応促進効果は見られないため、経済性の点
で好ましくない。
における反応温度としては、約100〜200℃の範囲
が望ましく、さらに好ましくは120〜160℃であ
る。反応温度が100℃よりも低い場合には、反応が進
行し難くなるので好ましくない。一方、200℃を超え
た場合には、生成物の二重結合が反応して熱重合を生じ
易くなり、また低沸点の不飽和モノカルボン酸が蒸発す
るので好ましくない。反応時間は、原料の反応性、反応
温度に応じて適時選択すればよいが、約5〜72時間が
好適である。
における前記反応は、有機溶媒の存在下又は無溶剤下の
いずれでも進行するが、反応速度が速い点では無溶剤の
方が望ましい。一方、反応時の攪拌効果を改善するため
に希釈剤の存在下で行なうこともできる。用いる希釈剤
としては反応温度を維持できるものであれば特に限定さ
れないが、好ましくは原料を溶解するものが良い。ま
た、合成時の希釈剤として有機溶媒を用いた場合には、
減圧蒸留など公知の方法にて溶媒を除去してもよい。さ
らには、製造時に後述する反応性モノマーなどの反応性
希釈剤の存在下で行なうことも可能である。
反応温度を維持できるものであれば公知のものが使用で
きる。具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジ
プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレ
ングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジ
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジ
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートな
どのグリコールエステル類;ジエチレングリコールジメ
チルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテ
ル等のエーテル類;メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香
族炭化水素類などが挙げられる。
ポリエステル化合物(A)の1種又は2種以上の混合物
に、重合開始剤(B)として光ラジカル重合開始剤及び
/又は熱ラジカル重合開始剤を混合することにより、光
硬化性及び/又は熱硬化性の組成物が得られる。さらに
該組成物に希釈剤(C)として後述するような反応性モ
ノマーを添加することにより、光硬化性を向上させるこ
とができる。なお、本発明の硬化性組成物に含まれる不
飽和ポリエステル化合物(A)の使用量には、特に制限
が無い。
る光ラジカル重合開始剤としては、活性エネルギー線の
照射によりラジカルを発生する公知の化合物が使用可能
であり、その具体例としては、ベンゾイン、ベンゾイン
メチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾ
インとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,
2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−
(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセト
フェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキ
ノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアン
トラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキ
ノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジ
イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサント
ン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタ
ール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベン
ゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチ
ルエチル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テト
ラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノ
ン等のベンゾフェノン類;2−メチルチオ−1−[4−
(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン
−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン等のア
ミノアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾ
イルホスフィンオキシド等のアルキルホスフィン類;9
−フェニルアクリジン等のアクリジン類などが挙げられ
る。
又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これ
らの光ラジカル重合開始剤の配合量は、前記不飽和ポリ
エステル化合物(A)100質量部当り0.1〜30質
量部の割合が好ましい。光ラジカル重合開始剤の配合量
が上記範囲よりも少ない場合、活性エネルギー線の照射
を行なっても硬化しないか、もしくは照射時間を増やす
必要があり、適切な塗膜物性が得られ難くなる。一方、
上記範囲よりも多量に光ラジカル重合開始剤を添加して
も、硬化性に変化は無く、経済的に好ましくない。
ネルギー線による硬化を促進させるために、硬化促進剤
及び/又は増感剤を上記のような光ラジカル重合開始剤
と併用してもよい。使用し得る硬化促進剤としては、ト
リエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチル
アミノエタノール、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エ
チルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソア
ミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエ
ート等の三級アミン類;β−チオジグリコール等のチオ
エーテル類などが挙げられる。増感剤としては、(ケ
ト)クマリン、チオキサンテン等の増感色素類;及びシ
アニン、ローダミン、サフラニン、マラカイトグリー
ン、メチレンブルー等の色素のアルキルホウ酸塩などが
挙げられる。これらの硬化促進剤及び/又は増感剤は、
それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いること
ができる。その使用量は、前記不飽和ポリエステル化合
物(A)100質量部当り0.1〜30質量部の割合が
好ましい。
開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、アセチル
パーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、
ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、
ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパー
オキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸
化物;2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2
´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−
アゾビス−2,4−ジバレロニトリル、1,1´−アゾ
ビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、1´−
アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチ
ル−2,2´−アゾビスイソブチレイト、4,4´−ア
ゾビス−4−シアノバリックアシツド、2−メチル−
2,2´−アゾビスプロパンニトリル等のアゾ系開始剤
が挙げられ、より好ましくはノンシアン、ノンハロゲン
タイプの1,1´−アゾビス(1−アセトキシ−1−フ
ェニルエタン)が挙げられる。熱ラジカル重合開始剤
は、前記不飽和ポリエステル化合物(A)100質量部
当り0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部
の割合で用いられる。
酸化物のうち硬化速度の小さいものを用いる場合には、
トリブチルアミン、トリエチルアミン、ジメチル−p−
トルイジン、ジメチルアニリン、トリエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン等の三級アミン、あるいはナフ
テン酸コバルト、オクトエ酸コバルト、ナフテン酸マン
ガン等の金属石鹸を促進剤として用いることができる。
を合成時あるいは合成後に加えることができる。希釈剤
(C)としては、硬化反応に関与することができる重合
性基を有する化合物を好適に用いることができ、単官能
(メタ)アクリレート類及び/又は多官能(メタ)アク
リレート類などの公知の反応性希釈剤が使用可能であ
る。具体的な例としては、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メ
タ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル
(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシポリエ
チレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシ
ル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メ
タ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレー
ト、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−
ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク
リレート、ポリエステルアクリレート、及び二塩基酸無
水物と1分子中に少なくとも1個以上の不飽和基を有す
るアルコールとの反応物などを挙げることができる。さ
らに、粘度調整のために前記したような有機溶剤を希釈
剤として添加することも可能である。希釈剤(C)は、
単独で又は2種以上の混合物で用いられ、その使用量に
は制限が無い。
に応じて硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸
カルシウムなどの公知慣用の充填剤、フタロシアニンブ
ルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボン
ブラックなどの公知慣用の着色顔料、消泡剤、密着性付
与剤、レベリング剤等の各種添加剤類を加えてもよい。
エネルギー線照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀
灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタ
ルハライドランプなどが適当である。また、レーザー光
線なども露光用活性光線として利用できる。その他、電
子線、α線、β線、γ線、X線、中性子線なども利用可
能である。
いてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に
限定されるものではない。なお、以下において「部」及
び「%」とあるのは特に断りのない限りすべて質量基準
である。
4つ口フラスコに、テレフタレートビスオキセタン(宇
部興産(株)製)18.1g、イソフタル酸2.5g、
メタクリル酸4.3g、テトラフェニルホスホニウムブ
ロミド1.0g、メトキノン0.05g、及びプロピレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート20gを加
え、140℃にて12時間撹拌することで不飽和ポリエ
ステル化合物を55%含む樹脂溶液を得た。GPCにて
モノマー成分が全て消費されているのを確認し、反応が
完結したと判断した。その構造はIRスペクトル及び1
H−NMRにより確認した。また、GPC測定より重量
平均分子量は2500であった。これを、樹脂−Aとす
る。得られた樹脂のIRスペクトルを図1に示す。
仕込み量を1.5gに変えたこと以外は、合成例1と同
様な方法にて重量平均分子量4200の不飽和ポリエス
テル化合物を55%含む樹脂溶液を得た。その構造はI
Rスペクトル及び1H−NMRにより確認した。また、
GPC測定より重量平均分子量は4200であった。こ
れを、樹脂−Bとする。
4つ口フラスコに、ビス(3−エチル−3−オキセタニ
ル)エーテル(宇部興産(株)製)10.7g、アジピ
ン酸5.5g、テトラフェニルホスホニウムブロミド
1.0g、及びN−メチルピロリドン20gを加え、1
40℃にて12時間撹拌し重付加反応を行なった。この
反応溶液に、メタクリル酸2.2g及びメトキノン0.
1gを添加してさらに140℃にて12時間撹拌した。
得られた反応混合物を大量の水に注ぎ、沈澱物を減圧乾
燥することで不飽和ポリエステル化合物を8.5g得
た。その構造はIRスペクトル及び1H−NMRにより
確認した。また、GPC測定より重量平均分子量は21
00であった。これを、樹脂−Cとする。
4つ口フラスコに、4,4´−ビス(3−エチル−3−
オキセタニル)ビフェノール9.6g、テレフタル酸
3.2g、テトラフェニルホスホニウムブロミド1.0
g、及びN−メチルピロリドン20gを加え、140℃
にて12時間撹拌し重付加反応を行なった。この反応溶
液に、メタクリル酸2.2g及びメトキノン0.05g
を添加してさらに140℃にて12時間撹拌した。得ら
れた反応混合物を大量のメタノールに注ぎ、沈澱物を減
圧乾燥することで不飽和ポリエステル化合物を9.7g
得た。その構造はIRスペクトル及び1H−NMRによ
り確認した。また、GPC測定より重量平均分子量は9
000であった。これを、樹脂−Dとする。
例4と同様の方法にて不飽和ポリエステル化合物を1
0.6g得た。その構造はIRスペクトル及び1H−N
MRにより確認した。また、GPC測定より重量平均分
子量は8000であった。これを、樹脂−Eとする。
ン酸4.6gに変えたこと以外は、合成例4と同様の方
法にて不飽和ポリエステル化合物を12.4gを得た。
その構造はIRスペクトル及び1H−NMRにより確認
した。また、GPC測定より重量平均分子量は7000
であった。
1に示す。
を用いて混練し、活性エネルギー線硬化性組成物を調製
し、以下の性能試験に供した。
箔上に10μmの膜厚で塗布し、高圧水銀灯を用いて光
照射を行ない、タックフリーとなるまでの時間を測定し
た。
の膜厚になるように塗布し、高圧水銀灯にて120秒間
光照射を行ない、IRスペクトルにて二重結合の転化率
を測定した。
膜厚になるように塗布し、高圧水銀灯にて120秒間光
照射を行ない、硬化塗膜を作成した。この塗膜を、アセ
トンをしみ込ませた脱脂綿でこすり、表面に曇りが見ら
れるまでの回数を目視にて評価した。
膜厚になるように塗布し、高圧水銀灯にて120秒間光
照射を行ない、硬化塗膜を作成した。この塗膜にクロス
カットを入れ、セロハン粘着テープでのピーリングによ
り塗膜の剥がれ具合を目視にて評価した。評価基準は以
下のとおりである。 ○ 100/100で全く変化が見られないもの △ 50/100〜90/100 × 0/100〜50/100
10μmの膜厚になるように塗布し、高圧水銀灯にて1
20秒間光照射を行ない、評価サンプルを作成した。こ
の評価サンプルを180°に折り曲げた際のクラックの
有無を目視にて評価した。 ○ 全くクラックの無いもの △ わずかにクラックが発生したもの × 全面にクラックが発生したもの
〜5の活性エネルギー線硬化性組成物は、硬化性及び耐
溶剤性については充分であることが確認できた。また、
比較例に係る組成物では、密着性の評価において剥がれ
が多く、しかも、耐屈曲性の試験においてクラックが多
く発生した。この点、本発明に係る組成物では、表3に
示す結果から明らかなように、密着性及び耐屈曲性に優
れた硬化物を与えることが分かる。
テル化合物は、オキセタン環の開環反応によって生成す
る一級の水酸基と、不飽和二重結合を併せ持つ特定の構
造を有するため、短時間の活性エネルギー線の照射によ
り速やかに硬化すると共に、不飽和二重結合の存在によ
り熱ラジカルによる加熱硬化が可能であり、また、上記
側鎖の一級水酸基の存在のために水酸基と反応し得る硬
化剤(例えば、イソシアネート類)の添加により加熱硬
化も可能である。しかも、一級水酸基の水素結合性によ
つて、得られた硬化物は各種基材に対して優れた密着性
を示す。従って、本発明の不飽和ポリエステル化合物
は、様々の分野において、硬化性組成物の光硬化性成分
や熱硬化性成分などとして有利に用いることができる。
さらに本発明の方法によれば、上記のような不飽和ポリ
エステル化合物を収率良く製造できる。また、このよう
な不飽和ポリエステル化合物を光硬化性成分及び/又は
熱硬化性成分として含有する本発明の硬化性組成物は、
短時間の活性エネルギー線の照射により速やかに硬化す
ると共に、加熱硬化も可能であり、また主鎖がエーテル
結合とエステル結合の直鎖状構造のため、これを硬化性
成分として含有する組成物は硬化収縮が少なく、各種基
材に対する密着性に優れると共に、柔軟性(耐屈曲性)
と強度を兼ね備え、さらには主鎖のポリエステル構造に
起因する優れた機械的特性も有する硬化物が得られるの
で、各種保護膜、塗料、接着剤、シーリング剤、印刷イ
ンキ、電気絶縁材料、プリント配線基板の各種レジス
ト、層間絶縁材料などの様々の応用分野において有利に
用いることができる。
のIRスペクトルである。
Claims (5)
- 【請求項1】 (a)1分子中に少なくとも2つのオキ
セタン環を有する化合物と、(b)1分子中に少なくと
も2つのカルボキシル基を有する化合物及び(c)不飽
和モノカルボン酸との反応から得られることを特徴とす
る、末端にエチレン性不飽和基、側鎖にヒドロキシメチ
ル基を有する不飽和ポリエステル化合物。 - 【請求項2】 下記一般式(1)で表わされ、末端にエ
チレン性不飽和基、側鎖にヒドロキシメチル基を有する
不飽和ポリエステル化合物。 【化1】 式中、R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、
R2は2官能オキセタン残基、R3はジカルボン酸残基、
R4、R5及びR6は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜
6のアルキル基、アリール基、アラルキル基、シアノ
基、フッ素原子、又はフリル基を表わし、nは1〜30
0の整数である。 - 【請求項3】 (a)1分子中に少なくとも2つのオキ
セタン環を有する化合物と、(b)1分子中に少なくと
も2つのカルボキシル基を有する化合物及び(c)不飽
和モノカルボン酸とを、反応促進剤の存在下、上記化合
物(a)と化合物(b)の割合がモル比で0.1<
(b)/(a)<1の範囲で反応させることを特徴とす
る不飽和ポリエステル化合物の製造方法。 - 【請求項4】 (A)(a)1分子中に少なくとも2つ
のオキセタン環を有する化合物と、(b)1分子中に少
なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物及び
(c)不飽和モノカルボン酸との反応から得られる不飽
和ポリエステル化合物、及び(B)重合開始剤を必須成
分として含有することを特徴とする硬化性組成物。 - 【請求項5】 前記不飽和ポリエステル化合物(A)
が、下記一般式(1)で表わされ、末端にエチレン性不
飽和基、側鎖にヒドロキシメチル基を有する不飽和ポリ
エステル化合物であることを特徴とする請求項4に記載
の硬化性組成物。 【化2】 式中、R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、
R2は2官能オキセタン残基、R3はジカルボン酸残基、
R4、R5及びR6は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜
6のアルキル基、アリール基、アラルキル基、シアノ
基、フッ素原子、又はフリル基を表わし、nは1〜30
0の整数である。
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