JP2019163448A - エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた弾性率と靭性を併せ持つ樹脂硬化物を与え、かつ耐熱性に優れたエポキシ樹脂組成物、ならびに、該エポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグおよび繊維強化複合材料の提供。【解決手段】下記成分(A)、(B)および(C)を含むエポキシ樹脂組成物、ならびに該ポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグおよび繊維強化複合材料。エポキシ樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は180℃以上、220℃以下であることが好ましい。成分(A):エポキシ樹脂成分(B):硬化剤成分(C):カプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマー【選択図】なし

Description

本発明は、スポーツ用途および一般産業用途に適した繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として好ましく用いられるエポキシ樹脂組成物、ならびにこれをマトリックス樹脂としたプリプレグおよび繊維強化複合材料に関するものである。
炭素繊維やアラミド繊維などを強化繊維として用いた繊維強化複合材料は、その高い比強度および比弾性率を利用して、航空機や自動車などの構造材料、テニスラケット、ゴルフシャフト、釣り竿などのスポーツ用途、一般産業用途などに広く利用されている。これら繊維強化複合材料の製造方法には、強化繊維にマトリックス樹脂が含浸されたシート状中間材料であるプリプレグを用い、それを複数枚積層した後、硬化する方法がよく用いられている。プリプレグを用いる方法は、強化繊維の配向を厳密に制御でき、また積層構成の設計自由度が高いことから、高性能な繊維強化複合材料を得やすい利点がある。プリプレグに用いられるマトリックス樹脂としては、耐熱性や生産性の観点から、主に熱硬化性樹脂が用いられ、中でも強化織維との接着性などの力学特性の観点からエポキン樹脂が好ましく用いられる。
近年では、金属等の従来材料を繊維強化複合材料に置き換えることで軽量化を目指す動きに加えて、様々な用途において、繊維強化複合材料そのもののさらなる軽量化を求める動きが活発化してきている。軽量化を達成する方法としては、より高弾性率な強化繊維を使用し、繊維強化複合材料の剛性は維持したまま軽量化する方法が挙げられる。
しかし、強化繊維を高弾性率化した場合、繊維方向圧縮強度などの強度特性は、低下する傾向にある。
繊維方向圧縮強度などの強度特性を改善するには、マトリックス樹脂として用いるエボキン樹脂の弾性率を向上させることが有効である。
エポキシ樹脂の弾性率を向上させる手法としては、カーボンナノチューブなどの無機フィラーの添加や弾性率の高いアミン型エポキン樹脂の配合が挙げられる。例えば、特許文献1では、高弾性率なアミン型エポキシ樹脂を配合することで、エボキシ樹脂の弾性率が向上し、これをマトリックス樹脂として適用した繊維強化複合材料において、繊維方向圧縮強度と相関の強い繊維方向曲げ強度に顕著な向上が見られている。
しかし、この方法では、エポキシ樹脂の靱性が低下するために、耐衝撃性が低下する。
繊維強化複合材料の耐衝撃性を向上させるためには、繊維強化複合材料を構成する強化繊維の伸度やエポキシ樹脂の塑性変形能力や靭性を向上させる必要がある。これらのうち、特にエポキシ樹脂の靭性を向上させることが重要かつ有効であるとされている。
従来、エポキシ樹脂の靭性を向上させる方法としては、靱性に優れるゴム成分や熟可塑性樹脂を配合する方法などが試されてきた。
しかし、ゴムは、弾性率やガラス転移温度がエポキシ樹脂に比べて大幅に低いため、エポキシ樹脂に配合した場合、エポキシ樹脂の弾性率やガラス転移温度の低下が見られ、靱性と弾性率のバランスを取ることが困難である。
また、熱可塑性樹脂を配合する方法としては、例えばスチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチルからなる共重合体や、ブタジエン−メタクリル酸メチルからなるブロック共重合体などブロック共重合体を配合することにより、エポキシ樹脂の靭性を大きく向上させる方法が提案されている(特許文献2、3)。
しかし、これらの方法には、耐熱性の低下や増粘によるプロセス性の悪化、ボイド発生等の品位低下といった問題があった。また、この方法でも弾性率が不十分であった。
弾性率と靭性のバランスを向上させる方法としては、特定の数平均分子量を有するジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂と前記エポキシ樹脂と特定の範囲でSP値が異なるエポキシ樹脂を組み合わせる方法が開示されている(特許文献4)。
しかし、この方法でも、弾性率と靭性のバランスが不十分であるだけでなく、粘度が高くなりがちであり、不十分であった。
特開昭62−1717号公報 国際公開第2006/077153号 特表2003−535181号公報 国際公開第2009/107697号
本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を改良し、優れた弾性率と靭性を併せ持つ樹脂硬化物を与え、かつ耐熱性に優れたエポキシ樹脂組成物、ならびに、該エポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグおよび繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記構成からなるエポキシ樹脂組成物を見いだし、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明の要旨は、以下の(1)から(11)に存する。
(1) 下記成分(A)、(B)および(C)を含む、エポキシ樹脂組成物。
成分(A):エポキシ樹脂
成分(B):硬化剤
成分(C):カプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマー
(2) ASTM D4065に準じて測定したガラス転移温度(Tg)が180℃以上、220℃以下である、上記(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(3) 180℃以上、190℃以下の範囲内で硬化する、上記(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(4) 成分(C)をエポキシ樹脂組成物中に1〜10質量%含む、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
(5) 成分(C)が下記式1で表されるアクリルモノマーである、上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 2019163448
(6) 成分(C)が下記式2で表されるアクリルモノマーある、上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 2019163448
(7) 成分(A)が、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂およびトリグリシジルアミノフェノール型エポキシ樹脂の少なくとも一方を含む、上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
(8) 成分(B)がアミン型である、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
(9) 上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物が強化繊維に含浸した、プリプレグ。
(10) 強化繊維とマトリックス樹脂を含むプリプレグであって、
マトリックス樹脂が下記成分(A)、(B)および(C)を含むエポキシ樹脂組成物である、プリプレグ。
成分(A):エポキシ樹脂
成分(B):硬化剤
成分(C):カプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマー
(11) 上記(9)または(10)に記載のプリプレグを加熱硬化して得られる、繊維強化複合材料。
本発明のエポキシ樹脂組成物は優れた弾性率と靭性を併せ持つ樹脂硬化物を与え、かつ耐熱性に優れる。本発明のエポキシ樹脂組成物を繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として用いることによって、優れた機械物性、耐熱性をもったプリプレグおよび繊維強化複合材料が得られる。
logG’を温度に対してプロットし、ゴム状態に転移する前の平坦領域におけるlogG’の近似直線と、ゴム状態に転移した後の領域におけるlogG’の近似直線との交点から求めた温度をガラス転移温度(Tg)として記録した図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、下記成分(A)、(B)および(C)を含むエポキシ樹脂組成物である。
成分(A):エポキシ樹脂
成分(B):硬化剤
成分(C):カプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマー
また、本発明のプリプレグは、強化繊維とマトリックス樹脂を含むプリプレグであって、マトリックス樹脂が下記成分(A)、(B)および(C)を含むエポキシ樹脂組成物(「硬化性樹脂組成物」ともいう。)であるプリプレグである。
成分(A):エポキシ樹脂
成分(B):硬化剤
成分(C):カプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマー
<成分(A)>
本発明における成分(A)の「エポキシ樹脂」とは、二官能以上のエポキシ樹脂が配合されることが好ましい。二官能以上のエポキシ樹脂としては特に制限は無い。ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アミノグリシジル型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、アミノクレゾール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型、イソシアネート型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を挙げることができる。特に優れた弾性率、耐熱性を付与させる観点からテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂およびトリグリシジルアミノフェノール型エポキシ樹脂の少なくとも一方が含まれることが好ましく、更に好ましくは、エポキシ樹脂100質量%中にテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂が30〜70質量%、トリグリシジルアミノフェノール型エポキシ樹脂が30〜70質量%含まれることである。より好ましくは、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂が30〜60質量%、トリグリシジルアミノフェノール型エポキシ樹脂が30〜60質量%含まれることである。テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、スミエポキンELM434(住友化学(株)製)、YH434L(新日鐵化学(株)製)、jER604(三菱ケミカル(株)製)、アラルダイトMY720、MY721(以上、ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社製)等を使用することができる。トリグリシジルアミノフェノール型エポキシ樹脂としては、アラルダイトMY0500、MY0510、MY0600(以上、ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社製)、 jER630(三菱ケミカル(株)製)等を使用することができる。
<成分(B)>
本発明における成分(B)の「硬化剤」としては、エポキシ樹脂を硬化させるものであれば特に限定はなく、芳香族アミン、脂環式アミンなどのアミン類、酸無水物類、ポリアミノアミド類、有機酸ヒドラジド類、イソシアネート類、イミダゾール等が挙げられる。以下、アミン類である硬化剤を特に「アミン型」または「アミン硬化剤」ともいう。
アミン硬化剤は、エポキシ樹脂組成物の硬化物(以下、「樹脂硬化物」という。)の力学特性や耐熱性に優れることから好ましい。アミン硬化剤としては、芳香族アミンであるジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタンや、脂肪族アミンであるジシアンジアミドまたはその誘導体、ヒドラジド化合物等が用いられる。ジシアンジアミドの市販品としては、 DICY−7、DICY−15(以上、三菱ケミカル(株)製)などが挙げられる。ジシアンジアミドの誘導体は、ジシアンジアミドに各種化合物を結合させたものであり、エポキシ樹脂との反応物、ビニル化合物やアクリル化合物との反応物などが挙げられる。ジシアンジアミドまたはその誘導体を粉体としてエポキシ樹脂組成物に配合することは、室温での保存安定性や、プリプレグ化時の粘度安定性の観点から好ましい。ジシアンジアミドまたはその誘導体を粉体として樹脂に配合する場合、その平均粒径は10μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは7μm以下である。例えば、プリプレグ製造工程において加熱加圧により強化繊維束にエポキシ樹脂組成物を含浸させる際、10μmを超える粒径を持つジシアンジアミドまたはその誘導体は、強化繊維束中に入り込まず、繊維束表層に取り残される場合がある。成分(B)としてジシアンジアミドを用いる場合、促進剤を併用することにより低温、短時間で硬化させることが出来る。促進剤としては、ウレア類、イミダゾール類、ルイス酸触媒などが挙げられる。ウレア類としては、N,N−ジメチル−N’−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’−メチレンビス(フェニルジメテルウレア)、3−フェニル−1,1−ジメチルウレアなどのウレア化合物を使用することができる。かかるウレア化合物の市販品としては、DCMU99(保土ヶ谷化学(株)製)、Omicure24、52、94(以上CVC Specialty Chemicals,Inc製)などが挙げられる。イミダゾール類の市販品としては、2MZ、2PZ、2E4MZ、2PHZ(以上、四国化成(株)製)などが挙げられる。ルイス酸触媒としては、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素・モノエテルアミン錯体、三フッ化ホウ素・トリエタノールアミン錯体、三塩化ホウ素・オクテルアミン錯体などの、ハロゲン化ホウ素と塩基の錯体が挙げられる。
中でも、保存安定性と触媒能力のバランスから、促進剤としてはウレア化合物が好ましく用いられる。かかるウレア化合物の配合量は、エポキシ樹脂組成物に含まれる成分(A)(全エポキシ樹脂)100質量部に対して1〜5質量部が好ましい。ウレア合物の配合量が1質量部に満たない場合は、反応が充分に進行せず、樹脂硬化物の弾性率と耐熱性が低下しがちである。また、ウレア化合物が5質量部を超える場合は、エポキシ樹脂の自己重合反応が、エポキシ樹脂と硬化剤との反応を阻害するため、樹脂硬化物の靭性が低下する上、弾性率も低下する。
ジアミノジフェニルスルホンは4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン等挙げられる。優れた弾性率、靭性を付与できる観点から好ましくは3,3’−ジアミノジフェニルスルホンである。ジアミノジフェニルスルホン等の成分(B)の配合比は本発明のエポキシ樹脂組成物のエポキシ当量に対するアミン当量の比が0.7〜1.5倍当量比であることが好ましい。0.7倍当量未満であると耐熱性が低下する傾向になる。また、1.5倍当量を超えると耐熱性が低下する傾向になる。更に好ましくは0.8〜1.1倍当量である。かかるジアミノジフェニルスルホンの市販品としては、セイカキュアーS(和歌山精化工業(株)製)、Aradur 976−1、9664−1、9719−1(以上、ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社製)等を使用することができる。
<成分(C)>
本発明における成分(C)の「カプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマー」がエポキシ樹脂組成物中に含まれることにより弾性率、耐熱性の低下を抑えつつ靭性付与させる効果を有する。カプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマーの配合量はエポキシ樹脂組成物100質量%中に1〜10質量%含まれることが好ましい。1質量%未満では、靭性付与の効果が極めて低く、10質量%を超えると弾性率、耐熱性の低下が著しい。好ましくは、1〜6質量%である。かかるカプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマーの市販品としては、KAYARAD DPCA−20、30、60、120(以上、日本化薬(株)製)等を使用することができる。
中でも下記式1または下記式2で表される構造のカプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマーを用いることにより弾性率、耐熱性の低下を抑えつつ靭性付与させる効果が顕著となる。
Figure 2019163448
Figure 2019163448
これらは一種単独でまたは二種以上を併用して用いることができる。
<任意成分>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、更にまた、エポキシ樹脂硬化の前にアクリルモノマーを硬化させ樹脂硬化物中に海島構造を形成させ樹脂硬化物の靭性付与させる為にラジカル重合開始剤を配合することが出来る。ラジカル重合開始剤としては、アゾ系化合物類、パーオキサイド系化合物類、光ラジカル重合開始剤等を用いることができるが、特にパーオキサイド系化合物類の中から選ばれる少なくとも1種の硬化剤を用いるのが好ましい。
アゾ系化合物類としては、例えば2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、ジメチル1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)等が挙げられる。
パーオキサイド系化合物類としては、例えばメチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、P−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α、α'−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、桂皮酸パーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、α、α'−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチ−ルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル]フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤は、一種単独で、または二種以上を併用して用いることができるが、プリプレグの保存安定性の面で、10時間半減期温度が100℃以上であるものが好適に用いられる。
また、上記のラジカル重合開始剤の配合量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる成分(A)(全エポキシ樹脂)100質量部に対し、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜3質量部がより好ましい。0.1質量部以上であれば、エポキシ樹脂組成物中に含まれるアクリレート化合物類の硬化が充分に出来る傾向にある。一方、5質量部以下であれば、保存安定性に優れたエポキシ樹脂組成物が得られる傾向にある。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、加熱硬化時の樹脂フローの制御、樹脂硬化物の靭性付与させる目的のため熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。使用できる熱可塑性樹脂としては、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテル、ポリオレフィン、液晶ポリマー、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアクリロニトリルスチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ABS、AES、ASA、ポリ塩化ビニル、ポリビニルホルマール樹脂、フェノキシ樹脂、ブロックポリマー等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、樹脂フロー制御性等に優れることから、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリビニルホルマール樹脂が好ましい。また、フェノキシ樹脂やポリエーテルスルホンは、樹脂硬化物の耐熱性や難燃性をより高める観点から好ましく、ポリビニルホルマール樹脂は、樹脂硬化物の耐熱性を損なうことなく、得られるプリプレグのタックを適切な範囲に容易に制御でき、また強化繊維とエポキシ樹脂組成物の接着性を改善する観点から好ましい。
これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノキシ樹脂としては、YP−50、YP−50S、YP−70、ZX−1356−2、FX−316(以上、新日鉄住金化学株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリビニルホルマール樹脂としては、ビニレック(登録商標)K(平均分子量:59,000)、ビニレックL(平均分子量:66,000)、ビニレックH(平均分子量:73,000)、ビニレックE(平均分子量:126,000)(以上、JNC株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、樹脂硬化物に180℃を超える耐熱性が必要とされる場合、熱可塑性樹脂としてはポリエーテルスルホンやポリエーテルイミドが好ましく用いられる。具体的には、ポリエーテルスルホンとして、スミカエクセル(登録商標)3600P(平均分子量:16,400)、スミカエクセル5003P(平均分子量:30,000)、スミカエクセル5200P(平均分子量:35,000)、スミカエクセル7600P(平均分子量:45,300)(以上、住友化学株式会社製)、ULTRASON(登録商標)E2020P(平均分子量:48,000)(以上、BASF社製)等が挙げられる。ポリエーテルイミドとしては、ULTEM1000(平均分子量:32,000)、ULTEM1010(平均分子量:32,000)、ULTEM1040(平均分子量:20,000)(以上、SABICイノベーティブプラスチックス株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
特に硬化時の樹脂フロー、樹脂硬化物での靭性、耐熱性を両立させる観点からポリエーテルスルホンが好ましい。ポリエーテルスルホンの好ましい平均分子量は、20,000〜50,000である。ポリエーテルスルホンの好ましい添加量は成分(A)(全エポキシ樹脂)100質量部に対して10〜40質量部である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の様々な添加剤を含有してもよく、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性向上や、硬化物層の変色や変質を避けるために、酸化防止剤や光安定剤を添加することもできる。
酸化防止剤や光安定剤の具体例としては、例えば、各種市販されている、住友化学(株)製スミライザーBHT、スミライザーS、スミライザーBP−76、スミライザーMDP−S、スミライザーGM、スミライザーBBM−S、スミライザーWX−R、スミライザーNW、スミライザーBP−179、スミライザーBP−101、スミライザーGA−80、スミライザーTNP、スミライザーTPP−R、スミライザーP−16;旭電化工業(株)製アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60AO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−330、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ329K、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010;チバスペシャリティーケミカルズ(株)製チヌビン770、チヌビン765、チヌビン144、チヌビン622、チヌビン111、チヌビン123、チヌビン292;日立化成工業(株)製ファンクリルFA−711M、FA−712HM等が挙げられる。
これら酸化防止剤や光安定剤の添加量は特に限定されないが、それぞれ成分(A)(全エポキシ樹脂)と全(メタ)アクリレート化合物類の合計100質量部に対して、0.001〜5質量部の範囲で添加することが好ましく、0.01〜3質量部の範囲がより好ましい。
酸化防止剤および光安定剤以外のその他添加剤としては、エラストマー、熱可塑性エラストマー、難燃剤(例えばリン含有エポキシ樹脂や赤燐、ホスファゼン化合物、リン酸塩類、リン酸エステル類等)、シリコーンオイル、湿潤分散剤、消泡剤、脱泡剤、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド、エステル類、パラフィン類等の離型剤、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の粉体や金属酸化物、金属水酸化物、ガラス繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン等の無機フィラー、炭素繊維、セルロースナノファイバー等の有機フィラー、表面有機化処理した無機フィラー等、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シランカップリング剤、導電材等公知の添加剤が挙げられる。さらに必要に応じて、スリップ剤、レベリング剤、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤、紫外線吸収剤等を配合することもできる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
<物性>
本発明のエポキシ樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は180〜220℃が好ましく、200〜210℃がより好ましい。エポキシ樹脂組成物のTgが、180℃以上であれば繊維強化プラスチックとして充分な耐熱性を有することができ、220℃以下であればエポキシ樹脂の欠点である脆さを抑制することができる。特に、エポキシ樹脂組成物のTgが200〜210℃であれば、繊維強化プラスチックとして充分な耐熱性と、強度の双方をバランスよく兼ね備えることができる。
エポキシ樹脂組成物のTgは、ASTM D4065に準じて測定される値である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、180〜190℃の範囲内で硬化しやすい。硬化温度が、180℃以上であれば繊維強化プラスチックとして充分な耐熱性である180℃以上のガラス転移温度(Tg)を得ることができ、190℃以下であれば硬化に要する熱エネルギーコストを抑制することができる。
<エポキシ樹脂組成物の製造方法および用途>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、これに限定されないが、例えば、上述した各成分を混合することにより得られる。各成分の混合方法としては、三本ロールミル、プラネタリミキサー、ニーダー、ホモジナイザー、ホモディスパー等の混合機を用いる方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば、後述するように、強化繊維集合体に含浸させてプリプレグの製造に用いることができる。他にも、本発明のエポキシ樹脂組成物を離型紙等に塗布して硬化することで、本発明のエポキシ樹脂組成物のフィルムを得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、強化繊維とマトリックス樹脂を含むプリプレグのマトリックス樹脂として好適である。
<作用効果>
以上説明した本発明のエポキシ樹脂組成物は、上述した成分(A)、成分(B)および成分(C)と、必要に応じて任意成分とを含むため、優れた弾性率と靭性を併せ持つ樹脂硬化物を与え、かつ耐熱性に優れる。よって、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いれば、優れた弾性率と靭性を併せ持ち、かつ耐熱性に優れたプリプレグ及び繊維強化複合材料を得ることができる。
<エポキシ樹脂組成物からなるフィルム>
本発明により得られる成形品の実施形態の一つに、フィルムとしての使用がある。このフィルムはプリプレグを製造するための中間材料として、また、基材に貼り付けた後、硬化させることによって、表面保護フィルムまたは接着フィルムとしても有用である。
また、その使用方法は、これに限定されないが、本発明のエポキシ樹脂組成物を離型紙等の基材の表面に塗布することが好ましい。得られた塗布層は、未硬化のまま別の基材に貼り付けて硬化させることで、フィルムとして使用してもよく、前記塗布層自体を硬化させることで、フィルムとして使用してもよい。
<プリプレグ>
本発明のプリプレグは、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物が強化繊維の集合体(以下、「強化繊維集合体」という。)に含浸したものである。本発明のエポキシ樹脂組成物を強化繊維集合体に含浸させる方法としては、公知の方法でよく、例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して、低粘度化してから含浸させるウェット法と、加熱により低粘度化してから含浸させる、ホットメルト法(ドライ法)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
ウェット法は、強化繊維をエポキシ樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法である。一方でホットメルト法には、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物を直接、強化繊維に含浸させる方法と、一旦、エポキシ樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで強化繊維の両側または片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより強化繊維に樹脂を含浸させる方法がある。ホットメルト法によれば、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上存在しないため好ましい。
本発明のプリプレグ中のエポキシ樹脂組成物の含有量(以下、「樹脂含有量」という。)は、本発明のプリプレグの全質量を100質量%としたとき、15〜50質量%であることが好ましく、20〜45質量%であることがより好ましく、25〜40質量%であることがさらに好ましい。樹脂含有量が、15質量%以上であれば、強化繊維集合体とエポキシ樹脂組成物との接着性を十分確保することができ、50質量%以下であれば機械物性を高く保持できる。
強化繊維集合体を構成する強化繊維としては特に限定されず、繊維強化複合材料を構成する強化繊維として公知のものから用途等に応じて適宜選択すればよい。例えば、炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、高強度ポリエステル繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維等の各種の無機繊維または有機繊維を用いることができる。これらの中でも、比強度、比弾性の観点から、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維が好ましく、機械物性や軽量化の観点から炭素繊維が特に好ましい。強化繊維として炭素繊維を用いる場合、金属による表面処理を施してもよい。これらの強化繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
本発明のプリプレグを加熱硬化して得られる繊維強化複合材料の剛性の観点から、炭素繊維のストランド引張強度は、1〜9GPaが好ましく、1.5〜9GPaがより好ましく、炭素繊維のストランド引張弾性率は150〜1,000GPaが好ましく、200〜1,000GPaがより好ましい。なお、当該炭素繊維のストランド引張強度およびストランド引張弾性率は、JIS R 7601:1986に準拠して測定される値である。
強化繊維集合体の形態としては特に制限されず、通常のプリプレグの基材として使用される形態を採用でき、例えば、強化繊維が一方向に引き揃えられたものであってもよく、織物や不織布、またはノンクリンプファブリックでもよい。本発明のプリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物を強化繊維集合体に含浸させてなるので、機械物性に優れた繊維強化複合材料(「繊維強化プラスチック」ともいう。)の原材料とすることができる。
<繊維強化複合材料>
本発明の繊維強化複合材料は、本発明のプリプレグを加熱硬化して得られ、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維とからなる。本発明の繊維強化複合材料に限定されないが、例えば、上述した本発明のプリプレグを積層した後、積層体に圧力を付与しながら、硬化性樹脂を加熱硬化させる方法等により成形して得られる。
本発明の繊維強化複合材料の特性、難燃性、耐熱性、電磁波遮蔽性等に優れることから、繊維強化複合材料は強化繊維として炭素繊維を含むことが好ましい。
本発明の繊維強化複合材料の成形方法は、成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法、シートラップ成形法や、強化繊維のフィラメントやプリフォームにエポキシ樹脂組成物を含浸させて硬化し成形品を得るRTM(Resin Transfer Molding)、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding:真空樹脂含浸製造法)、フィラメントワインディング、RFI(Resin Film Infusion)等が挙げられるが、これらの成形方法に限られるものではない。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
<Tgの測定>
エポキシ樹脂組成物のTgは、ASTM D4065に準じて以下のようにして測定した。具体的には、樹脂硬化板を湿式ダイヤモンドカッターにて長さ55mm×幅12.7mmの寸法にて切断して、試験片を作製した。TA Instrument社製のDMA ARES−RDAを用い、昇温速度5℃/分、Freq.1Hz、歪0.05%の条件でDMA(動的粘弾性測定)を行い、貯蔵弾性率(G’)を測定した。logG’を温度に対してプロットし、ゴム状態に転移する前の平坦領域におけるlogG’の近似直線と、ゴム状態に転移した後の領域におけるlogG’の近似直線との交点から求めた温度をガラス転移温度(Tg)として記録した(図1参照)。
<エポキシ樹脂組成物>
[原料]
エポキシ樹脂組成物の製造に用いた原料を以下に示す。
[エポキシ樹脂(A)]
・jER604:N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(商品名:jER604、エポキシ当量120g/eq、三菱ケミカル(株)製)
・MY0510:トリグリシジルパラアミノフェノール(商品名:アラルダイトMY0510、エポキシ当量100.5g/eq、ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社製)
・jER1001:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(商品名:jER1001、エポキシ当量475g/eq、三菱ケミカル(株)製)
[硬化剤(B)]
・Aradur 9719−1:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(商品名:アラルダイトAradur 9719−1、活性水素当量:62g/eq、ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社製)
[カプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマー(C)]
・DPCA60:品名:KAYARAD DPCA−60、日本化薬(株)製
・DPCA120品名:KAYARAD DPCA−120、日本化薬(株)製
[その他の成分]
・E2020P:ポリエーテルスルホン(商品名:ULTRASON、平均分子量:48,000、BASF社製)
・M52N:ラジカル制御重合アクリル系ブロックコポリマー(商品名:nasostrength M52N、アルケマ(株)製)
・パーヘキシルD:ジ−t−ヘキシルパーオキサイド(商品名:パーヘキシルD、日本油脂(株)製)
<エポキシ樹脂組成物調製>
表1,2に示す組成に従い、各例のエポキシ樹脂組成物を得た。具体的には、成分(A)であるエポキシ樹脂、その他の成分であるポリエーテルスルホン、ブロックコポリマーを132℃にて均一溶解させベース樹脂を得た。得られたベース樹脂を65℃以下まで冷却したのちに成分(B)である硬化剤、成分(C)であるカプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマー、その他の成分であるジ−t−ヘキシルパーオキサイドを配合、均一分散させてエポキシ樹脂組成物を得た。
<樹脂硬化板の作製>
上記で調製したエポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン”(登録商標)製スペーサーにより厚み2、3mmになるように設定したモールド中に注入した。180℃の温度で2時間硬化させ、厚さ2、3mmの樹脂硬化板を得た。
<樹脂硬化板の曲げ強度、曲げ弾性率、破断伸度(破断歪み)の測定>
上記「樹脂硬化板の作製」で得られた厚さ2mmの樹脂硬化板を、長さ60mm×幅8mmに加工して試験片とした。該試験片について、温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具(圧子R=3.2mm、サポートR=3.2mm、サポート間距離(L)=32mm)を設置した万能試験機(INSTRON社製、「INSTRON 5565」)を用いて、クロスヘッドスピード2mm/分の条件で、樹脂硬化板の曲げ強度、曲げ弾性率、破断伸度(破断歪み)を測定した。
<G1c(破壊靭性値)の測定>
上記「樹脂硬化板の作製」で得られた厚さ3mmの樹脂硬化板を用いて、ASTM D5045準拠した試験法にて、G1cを測定した。
<実施例1〜6>
実施例1〜6は、比較例1のエポキシ樹脂組成物にカプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマーを3〜8質量%添加した樹脂組成物である。比較例1のエポキシ樹脂組成物と比較して硬化物性は弾性率の低下を抑えつつ、耐熱性は同等で靭性(G1c)の向上が顕著であった。各種測定結果を表1に示す。
<比較例1>
比較例1は、実施例1〜6のエポキシ樹脂組成物からカプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマー添加なしの樹脂組成物である。実施例1〜6のエポキシ樹脂組成物と比較して靭性(G1c)が劣る。各種測定結果を表2に示す。
<比較例2,3>
比較例2,3は、比較例1のエポキシ樹脂組成物に直鎖状のビスフェノールA型エポキシを添加した樹脂組成物である。耐熱性の低下が顕著で若干の靭性(G1c)の向上に留まる。各種測定結果を表2に示す。
<比較例4,5>
比較例4,5は、比較例1のエポキシ樹脂組成物にラジカル制御重合アクリル系ブロックコポリマーを添加した樹脂組成物である。曲げ強度、破断歪みの低下が顕著であった。各種測定結果を表2に示す。
Figure 2019163448
Figure 2019163448
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いることにより、優れた弾性率と靭性を併せ持つ樹脂硬化物を与え、かつ耐熱性に優れたエポキシ樹脂組成物を与え、本発明のエポキシ樹脂組成物を繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として用いることによって、優れた機械物性、耐熱性を持った繊維強化複合材料が得られる。

Claims (11)

  1. 下記成分(A)、(B)および(C)を含む、エポキシ樹脂組成物。
    成分(A):エポキシ樹脂
    成分(B):硬化剤
    成分(C):カプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマー
  2. ASTM D4065に準じて測定したガラス転移温度(Tg)が180℃以上、220℃以下である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 180℃以上、190℃以下の範囲内で硬化する、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 成分(C)をエポキシ樹脂組成物中に1〜10質量%含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 成分(C)が下記式1で表されるアクリルモノマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2019163448
  6. 成分(C)が下記式2で表されるアクリルモノマーある、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2019163448
  7. 成分(A)が、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂およびトリグリシジルアミノフェノール型エポキシ樹脂の少なくとも一方を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 成分(B)がアミン型である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物が強化繊維に含浸した、プリプレグ。
  10. 強化繊維とマトリックス樹脂を含むプリプレグであって、
    マトリックス樹脂が下記成分(A)、(B)および(C)を含むエポキシ樹脂組成物である、プリプレグ。
    成分(A):エポキシ樹脂
    成分(B):硬化剤
    成分(C):カプロラクトン変性構造を有するアクリルモノマー
  11. 請求項9または10に記載のプリプレグを加熱硬化して得られる、繊維強化複合材料。
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