JP6131593B2 - プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた耐熱性、圧縮強度、外観品位を有する繊維強化複合材料を提供することができる、エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料に関するものである。
炭素繊維やアラミド繊維などを強化繊維として用いた繊維強化複合材料は、その高い比強度、比弾性率を利用して、航空機や自動車などの構造材料や、テニスラケット、ゴルフシャフト、釣り竿、自転車、筐体などのスポーツ、一般産業用途などに広く利用されている。繊維強化複合材料の製造方法には、強化繊維に未硬化のマトリックス樹脂が含浸されたシート状中間材料であるプリプレグを複数枚積層した後、加熱硬化させる方法や、モールド中に配置した強化繊維に液状の樹脂を流し込み加熱硬化させるレジントランスファーモールディング法などが用いられている。これらの製造方法のうちプリプレグを用いる方法は、強化繊維の配向を厳密に制御でき、また積層構成の設計自由度が高いことから、高性能な繊維強化複合材料を得やすい利点がある。このプリプレグに用いられるマトリックス樹脂としては、耐熱性や生産性の観点から、主に熱硬化性樹脂が用いられ、中でも強化繊維との接着性などの力学特性の観点からエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
繊維強化複合材料は、近年、軽量化が要求される自転車用途、すなわち、自転車用構造体や自転車用部品に使用されるようになってきた。自転車用部品のなかでも、自転車用ホイールは、一般的に鋼、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属で製作されている。しかし、競技用のホイールはさらに軽量であることが要求され、炭素繊維を主とした繊維強化複合材料化が進んでおり、繊維強化複合材料製板の中央にアルミハニカムを挟んで接着したディスクホイールや、スポークに一定断面形状を持たせた繊維強化複合材料で一体成形したもの等が開発されるようになってきた。これらのホイールは、従来のアルミ製のものでは実現できなかった構造と軽量化が可能となり、これによって競技用途を中心に利用者が増加している。
しかしながら、繊維強化複合材料製ホイールには、金属製ホイールにはなかった問題がある。その一つは、制動時にブレーキシューとホイールのリム部との摩擦により発生する発熱である。一般的に、従来のスポーツ、一般産業用途で使用されている繊維強化複合材料は、かかる発熱に耐えうるほどガラス転移温度が高くない。よって、制動時に繊維強化複合材料の温度がガラス転移温度以上になり、繊維強化複合材料の強度が低下し、変形する。また、自転車用ホイールには、ライダーや路面からの荷重がかかるため、優れた圧縮強度が求められる。
上記の問題を解決する方法として、ブレーキ接触面にアルミニウム製部材を使用し、繊維強化複合材料製の部材と接合した自転車用ホイールの作製方法が提案されている(特許文献1、2)。かかる方法は、アルミニウム製部材と繊維強化複合材料製の部材の接合方法や、繊維強化複合材料製の部材の形状を工夫することにより、これら問題を解決しようとしたものである。しかしながら、この場合、繊維強化複合材料の耐熱性、強度の向上については検討されておらず、かかる方法ではこれら特性の向上には限界があり、充分でない。
繊維強化複合材料の耐熱性と圧縮強度を向上させる方法として、テトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂とジアミノジフェニルスルホンをマトリックス樹脂に適用する方法がある。この方法で調製されたエポキシ樹脂組成物は、自転車のリムに使用されるのに充分な耐熱性と弾性率を有している(特許文献3)。
また、スポーツ用途に用いられる繊維強化複合材料は、力学特性以外にも良好な外観品位が求められる。例えば、炭素繊維強化複合材料の外観品位を向上させる方法としては、マトリックス樹脂にカーボンブラックなどの顔料やアゾ化合物などの染料で着色する方法が提案されている(特許文献4、5)。
米国特許第5975645号明細書 米国特許第6991298号明細書 特開2000−17090号公報 特開2011−195723号公報 特開2008−133412号公報
上述のとおり、繊維強化複合材料のマトリックス樹脂にアミン型エポキシ樹脂を用いることは、硬化したエポキシ樹脂組成物(以下、樹脂硬化物という)の耐熱性と弾性率を向上させるには効果的な方法である。しかし、アミン型エポキシ樹脂から得られる樹脂硬化物は黄色味がかっていることから、この樹脂を用いて作製した繊維強化複合材料の成形品も黄色味を帯び、外観品位が悪いことがある。また、アミン型エポキシ樹脂が多く配合されたエポキシ樹脂組成物は、高温で硬化するほど樹脂硬化物の黄色味が一段と濃くなる。自転車ホイールに用いられる繊維強化複合材料は、150℃程度で成形される場合が多く、150℃〜200℃の高温で後硬化する場合もある。このとき、アミン型エポキシ樹脂をマトリックス樹脂として用いると、得られる繊維強化複合材料の外観品位が損なわれることがある。また、この繊維強化複合材料をホイールに用いた場合、ブレーキング時にブレーキとリム部との摩擦熱によりリム表面の温度が上昇するため、ホイールが黄変し、外観品位が損なわれる。
樹脂硬化物の黄色味を隠す方法として、エポキシ樹脂組成物に顔料や染料を添加する方法がある。しかし、顔料のpHが低いと樹脂硬化物の物性が低下したり、顔料の添加量が多いと繊維強化複合材料の繊維目が見えなくなり、繊維強化複合材料特有の意匠性を損なうという課題があった。また、エポキシ樹脂組成物に添加する顔料の平均粒径が大きい場合、繊維強化複合材料の繊維配向が乱れて強度が低下したり、黄色味を隠すためには添加量が多くなり、強度がさらに低下するという欠点があった。さらに、染料を添加した樹脂硬化物は、頻繁に高熱にさらされると変色するため、ホイールに適用できないという問題もある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の成分を特定の割合で配合したエポキシ樹脂組成物を用いることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、高耐熱性のアミン型エポキシ樹脂を用いて、その黄色がかっているという欠点を補うべく、下記に示すようなカーボンブラックを特定の配合量添加し、外観品位を飛躍的に向上させるものであって、下記(1)〜(7)に示すようなプリプレグ、または()または()に示すような繊維強化複合材料からなるものである。
(1)下記[A]〜[C]を含み、[A]が3官能以上のアミン型エポキシ樹脂を30〜100質量%含み、かつ[C]が(a)〜(c)を満たす、エポキシ樹脂組成物と強化繊維からなるプリプレグ
[A]エポキシ樹脂
[B]硬化剤
[C]カーボンブラック
(a)平均粒径が1〜40nmである
(b)pHが7〜9である
(c)全エポキシ樹脂組成物中に0.05〜0.8質量%含まれている
(2)前記[A]が3官能以上のアミン型エポキシ樹脂を50〜100質量%含む、(1)に記載のプリプレグ
(3)前記[B]がジシアンジアミドまたはその誘導体を含む、(1)または(2)に記載のプリプレグ
(4)前記[B]がジアミノジフェニルスルホンを含む、(1)〜(3)のいずれかに記載のプリプレグ
(5)前記[B]の活性水素基の総量が、前記[A]の全成分のエポキシ基1当量に対し、0.6〜1.0当量の範囲にある、(1)〜(4)のいずれかに記載のプリプレグ
(6)前記[A]が、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、およびナフタレン型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、(1)〜(5)のいずれかに記載のプリプレグ
7)強化繊維が炭素繊維である、(1)〜(6)のいずれかに記載のプリプレグ。
(1)〜(7)のいずれかに記載のプリプレグを硬化させてなる、繊維強化複合材料。
下記[A]〜[C]を含み、[A]が3官能以上のアミン型エポキシ樹脂を30〜100質量%含み、かつ[C]が(a)〜(c)を満たすエポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維からなる、繊維強化複合材料
[A]エポキシ樹脂
[B]硬化剤
[C]カーボンブラック
(a)平均粒径が1〜40nmである
(b)pHが7〜9である
(c)全エポキシ樹脂組成物中に0.05〜0.8質量%含まれている
本発明のプリプレグに係るエポキシ樹脂組成物から得られる樹脂硬化物は、優れた耐熱性、弾性率および外観品位を有しており、本発明のプリプレグに係るエポキシ樹脂組成物を用いて製造される繊維強化複合材料は、優れた外観品位を有するとともに、高い耐熱性、圧縮強度を有するので、自転車用部品、特に自転車用リムに好ましく使用される。
本発明のプリプレグに係るエポキシ樹脂組成物は、下記[A]〜[C]を含み、[A]が3官能以上のアミン型エポキシ樹脂を30〜100質量%含み、かつ[C]が(a)〜(c)を満たすエポキシ樹脂組成物である。
[A]エポキシ樹脂
[B]硬化剤
[C]カーボンブラック
(a)平均粒径が1〜40nmである
(b)pHが7〜9である
(c)全エポキシ樹脂組成物中に0.05〜0.8質量%含まれている。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、[A]はエポキシ樹脂であり、耐熱性向上のため、3官能以上のアミン型エポキシ樹脂を、その全成分の30〜100質量%含むことが必要であり、より好ましくは50〜100質量%含むことである。アミン型エポキシ樹脂とは、少なくとも2つのグリシジル基が結合したアミノ基を分子内に少なくとも1つ以上有するエポキシ樹脂をいう。本発明の3官能以上のアミン型エポキシ樹脂とは、かかるアミノ基を1つ以上有し、かつ合計グリシジル基を3つ以上もつエポキシ樹脂である。かかる構造を有することにより、樹脂硬化物とした場合に架橋密度が高くなるので、高耐熱かつ高弾性率な特性が得られる。かかる3官能以上のアミン型エポキシ樹脂が[A]の全成分に対し30質量%以上含まれる場合、樹脂硬化物の架橋密度が高くなり、樹脂硬化物の耐熱性や弾性率が向上する。また、[A]に含まれる3官能以上のアミン型エポキシ樹脂の配合量が、[A]の全成分に対し100質量%に近いほど、耐熱性と弾性率が向上する。さらに、1分子中に含まれるグリシジル基数が多いほど、架橋密度が高くなり、樹脂硬化物の耐熱性が向上する。
3官能以上のアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシリレンジアミンや、これらのハロゲン、アルキル置換体、水添品などを使用することができる。
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンとしては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(住友化学(株)製)、YH434L(新日鉄住金化学(株)製)、“jER(登録商標)”604(三菱化学(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY720、MY721(ハンツマン(株)製)等を使用することができる。テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホンとして、TGDDS(小西化学(株)製)等を使用することができる。トリグリシジルアミノフェノールまたはトリグリシジルアミノクレゾールとしては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM100、ELM120(住友化学(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY0500、MY0510、MY0600(ハンツマン(株)製)、“jER(登録商標)”630(三菱化学(株)製)等を使用することができる。テトラグリシジルキシリレンジアミンおよびその水素添加品として、“TETRAD(登録商標)”−X、“TETRAD(登録商標)”−C(三菱ガス化学(株)製)等を使用することができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、未硬化時の粘弾性を調整して作業性を向上させたり、樹脂硬化物の弾性率、耐熱性、靭性または撓み量などを向上させる目的で、3官能以上のアミン型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を、本発明の効果が失われない範囲において配合することができ、好ましい配合量は[A]の70質量%を超えない範囲であり、より好ましくは50質量%を超えない範囲である。これらは1種類だけでなく、複数種組み合わせて添加しても良い。具体的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂として、ビスフェノール化合物の2つのフェノール性水酸基をエピクロルヒドリンと反応させグリシジルオキシ基に変換されたものであれば特に限定されるものではなく、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、もしくはこれらビスフェノールのハロゲン、アルキル置換体、水添品等が用いられる。また、単量体に限らず、複数の繰り返し単位を有する高分子量体も好ましく使用することができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”825、“jER(登録商標)”828、“jER(登録商標)”834、“jER(登録商標)”1001、“jER(登録商標)”1002、“jER(登録商標)”1003、“jER(登録商標)”1003F、“jER(登録商標)”1004、“jER(登録商標)”1004AF、“jER(登録商標)”1005F、“jER(登録商標)”1006FS、“jER(登録商標)”1007、“jER(登録商標)”1009、“jER(登録商標)”1010(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、“jER(登録商標)”505、“jER(登録商標)”5050、“jER(登録商標)”5051、“jER(登録商標)”5054、“jER(登録商標)”5057(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、ST5080、ST4000D、ST4100D、ST5100(以上、新日鉄住金化学(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”806、“jER(登録商標)”807、“jER(登録商標)”4002P、“jER(登録商標)”4004P、“jER(登録商標)”4007P、“jER(登録商標)”4009P、“jER(登録商標)”4010P(以上、三菱化学(株)製)、“エポトート(登録商標)”YDF2001、“エポトート(登録商標)”YDF2004(以上、新日鉄住金化学(株)製)などが挙げられる。テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、YSLV−80XY(新日鉄住金化学(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、“エピクロン(登録商標)”EXA−1514(DIC(株)製)などが挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては“エピコート(登録商標)”152、“エピコート(登録商標)”154(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”N−740、“エピクロン(登録商標)”N−770、“エピクロン(登録商標)”N−775(以上、DIC(株)製)などが挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”N−660、“エピクロン(登録商標)”N−665、“エピクロン(登録商標)”N−670、“エピクロン(登録商標)”N−673、“エピクロン(登録商標)”N−695(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−104S(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の具体例としては、“デナコール(登録商標)”EX−201(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては“エピクロン(登録商標)”HP7200、“エピクロン(登録商標)”HP−7200L、“エピクロン(登録商標)”HP−7200H、“エピクロン(登録商標)”HP−7200HH、“エピクロン(登録商標)”HP−7200HHH(以上、DIC(株)製)、Tactix558(ハンツマン(株)製)、XD−1000−1L、XD−1000−2L(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂の市販品としては、“エピコート(登録商標)”YX4000H、“エピコート(登録商標)”YX4000、“エピコート(登録商標)”YL6616(以上、三菱化学(株)製)、NC−3000(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ウレタン変性エポキシ樹脂の市販品としては、オキサゾリドン環を有するAER4152(旭化成エポキシ(株)製)やACR1348(ADEKA(株)製)などが挙げられる。
ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂の市販品としては、“エポトート(登録商標)”ESN−155、“エポトート(登録商標)”ESN−355、“エポトート(登録商標)”ESN−375、“エポトート(登録商標)”ESN−475V、“エポトート(登録商標)”ESN−485、“エポトート(登録商標)”ESN−175(以上、新日鉄住金化学(株)製)などが挙げられる。
テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”1031(三菱化学(株)製)、GTR−1800(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
トリフェニルメタン型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”1032S50(三菱化学(株)製)、“タクチックス(登録商標)”742(ハンツマン(株)製)、EPPN−501H(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
フルオレン型エポキシ樹脂の市販品としては、PG−100、CG−200、EG−200(大阪ガスケミカル(株)製)、LME10169(ハンツマン(株)製)などが挙げられる。
ナフタレン型エポキシ樹脂の市販品としては、HP−4032、HP−4032D、HP−4700、HP−4710、HP−4770、EXA-4701、EXA-4750、EXA−7240(以上、DIC(株)製)などが挙げられる。
中でも、3官能以上のアミン型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂として、弾性率、耐熱性、靱性および撓み量のバランスが良いことから、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、またはビスフェノールS型エポキシ樹脂を含んでいることが好ましい。さらに耐熱性の面から、平均エポキシ当量が小さいビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることが、樹脂硬化物の架橋密度が高くなり、樹脂硬化物の耐熱性が向上するため、好ましい。
また、3官能以上のアミン型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂として、耐熱性と色調のバランスが良いことから、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、およびナフタレン型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化剤[B]はエポキシ樹脂組成物を硬化させるために必要である。
かかる[B]としては、芳香族アミンや、脂肪族アミンなどのアミン類、酸無水物類、ポリアミノアミド類、有機酸ヒドラジド類、フェノール樹脂、イソシアネート類、およびジシアンジアミド類などが挙げられる。
中でも、本発明のエポキシ樹脂組成物の[B]として、ジシアンジアミドまたはその誘導体を用いることが好ましい。ジシアンジアミドまたはその誘導体は、低温での硬化性、弾性率、耐熱性のバランスに優れ、エポキシ樹脂組成物の保存安定性にも優れる。ジシアンジアミドの誘導体とは、ジシアンジアミドに各種化合物を結合させたものであり、エポキシ樹脂との反応物、ビニル化合物やアクリル化合物との反応物などが挙げられる。
ジシアンジアミドの市販品としては、DICY−7、DICY−15(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
さらに、[B]として、ジアミノジフェニルスルホンを用いることが好ましい。ジアミノジフェニルスルホンを用いることで、樹脂硬化物に高い耐熱性を与える。
ジアミノジフェニルスルホンは、微粒子状のものを使用することが好ましい。ジアミノジフェニルスルホンには芳香環上のアミノ基の置換位置により、構造異性体が存在する。本発明においては、いずれの異性体も使用することができるが、異性体の種類を選択することにより、マトリックス樹脂、および得られる複合材料の特性を制御することができる。例えば、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンを用いると、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを用いた場合に比べて、弾性率が向上する。
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物の[B]の総量は、[A]の全成分のエポキシ基1当量に対し、活性水素基が0.6〜1.0当量の範囲となる量を含むことが好ましい。ここで、活性水素基とは、エポキシ基と反応しうる官能基を意味する。[B]の活性水素基の総量が[A]のエポキシ基1当量に対し0.6当量以上の場合は、樹脂硬化物の耐熱性が向上し、繊維強化複合材料の強度が向上する傾向にある。また、[B]の活性水素基の総量が[A]のエポキシ基1当量に対し活性水素基が1.0当量以下である場合、未反応のまま残る[B]が少なく、欠陥が少なくなる。
[B]は、硬化促進剤[D]と組み合わせて用いても良い。組み合わせる[D]としては、ウレア類、第三級アミン類とその塩類、イミダゾールとその塩類、ルイス酸類やブレンステッド酸類とその塩類などが挙げられる。[D]として、本発明の効果を失わない範囲であれば、これら以外のその他の硬化促進剤との組み合わせが含まれていても良い。
かかるウレア化合物としては、例えば、N,N-ジメチル-N’-(3,4-ジクロロフェニル)ウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、3-フェニル-1,1-ジメチルウレアなどを使用することができる。ウレア化合物の市販品としては、DCMU99(保土ヶ谷化学(株)製)、“Omicure(登録商標)”24、52、94(以上、CVC SpecialtyChemicals,Inc.製)などが挙げられる。
イミダゾール類の市販品としては、2MZ、2PZ、2E4MZ(以上、四国化成(株)製)などが挙げられる。ルイス酸触媒としては、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素・モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・トリエタノールアミン錯体、三塩化ホウ素・オクチルアミン錯体などのハロゲン化ホウ素と塩基の錯体が挙げられる。
[B]としてジシアンジアミドまたはその誘導体を用いる場合は、[D]としてウレア化合物を組み合わせることが好ましい。ジシアンジアミドまたはその誘導体とウレア化合物との組み合わせは、成形性と保存安定性に優れ、ジシアンジアミドを単独で用いるよりも[A]とジシアンジアミドとの反応が促進し、樹脂硬化物の耐熱性が向上する。
[D]は、[A]の全成分100質量部に対して2〜5質量部含むことが好ましい。[D]の配合量が2質量部以上である場合は、反応が充分に進行し、樹脂硬化物の弾性率と耐熱性が向上する傾向にある。また、[D]の配合量が5質量部以下である場合は、エポキシ樹脂の自己重合反応が抑えられる。
さらに好ましくはジアミノジフェニルスルホンとジシアンジアミドまたはその誘導体、およびウレア化合物を併用することである。ジアミノジフェニルスルホンだけでは、180℃以上で加熱しなければ、硬化しにくいが、ジシアンジアミドまたはその誘導体と併用することで150℃以上180℃未満でも硬化しやすくなる。また、併用することで樹脂硬化物の弾性率が向上する効果がある。
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物に配合するカーボンブラック[C]は、本発明のエポキシ樹脂を硬化した樹脂硬化物および繊維強化複合材料に優れた力学特性と外観品位を与えるために、次の(a)〜(c)を満たす必要がある。
(a)平均粒径が1〜40nmである
(b)pHが7〜9である
(c)全エポキシ樹脂組成物中に0.05〜0.8質量%含まれている。
[C]の平均粒径が40nm以下の場合、着色力が充分で、添加量が少なくすむため、強化繊維の配列が乱れず、繊維強化複合材料の強度が[C]を含まない繊維強化複合材料と同等に保たれる。[C]の平均粒径が小さいほど、着色力がさらに向上し、より少量の添加で効果が出るため、より好ましい。また、[C]の平均粒径が1nm以上であった場合、エポキシ樹脂組成物の粘度の上昇が抑えられるため、製造し易く取り扱い性も良好である。
[C]のpHが7以上である場合、エポキシ樹脂組成物を保存中に[C]が触媒的に硬化剤と反応せず、充分な耐熱性と弾性率を有する樹脂硬化物が得られる。また、[C]のpHが9以下であれば、[C]の存在によりエポキシ樹脂のグリシジル基が開環せず、充分な耐熱性と弾性率を有する樹脂硬化物が得られる。
[C]は、本発明のエポキシ樹脂組成物中に0.05〜0.8質量%含まれることが必要であり、0.05〜0.7質量%であることが好ましい。[C]の配合量が0.05質量%以上である場合、エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂とする繊維強化複合材料の黄みを十分に消すことができる。また、[C]の配合量が0.8質量%以下である場合、エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂とする繊維強化複合材料の表面に強化繊維の繊維目が見えやすくなる。
また、[C]のDBP吸収量が50〜400cm/100gの範囲にあることが好ましい。この範囲にあれば、[C]が凝集しにくいため、強化繊維の配列が乱れにくくなる。このため、繊維強化複合材料の物性が低下することなく、また樹脂硬化物および繊維強化複合材料の外観品位が向上する傾向にある。カーボンブラックのDBP吸収量は、JIS K6217−4(2001)に準拠し、測定する(単位はcm/100g)。
本発明においてカーボンブラックの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により求められる。具体的には、カーボンブラック試料を150kHz、0.4kWの超音波分散器により、10分間クロロホルムに分散させて分散試料を作製し、これをカーボン補強した支持膜に振り掛けて固定する。これを透過型電子顕微鏡で撮影し、50,000〜200,000倍に拡大した画像をEndterの装置を用いてランダムに1,000個以上のカーボンブラックの粒子の直径を測定し、その平均値を平均粒径とする。
カーボンブラックとしては、カーボンブラック#40、#30、MA600、#32(以上、三菱化学(株)製)、ケッチェンブラックEC300J(ライオン(株)製)などが挙げられる。
本発明によるエポキシ樹脂組成物には、レオロジー特性の制御、後述するプリプレグのタック制御、樹脂硬化物の弾性率や靭性の向上、また繊維強化複合材料における強化繊維とマトリックス樹脂との接着性向上などの改良効果をもたせるために、熱可塑性樹脂を含んでもよい。熱可塑性樹脂は、[A]の全成分100質量部に対して0.1〜15質量部含むことが好ましい。かかる範囲で熱可塑性樹脂を配合することで、上記効果が充分に得られる傾向にある。
熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂に可溶性の熱可塑性樹脂や、ゴム粒子および熱可塑性樹脂粒子等の有機粒子等を配合することができる。エポキシ樹脂に可溶性の熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂組成物と強化繊維との接着性改善効果が期待できる水素結合性の官能基を有する熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
エポキシ樹脂可溶で、水素結合性官能基を有する熱可塑性樹脂として、アルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂、アミド結合を有する熱可塑性樹脂やスルホニル基を有する熱可塑性樹脂を使用することができる。
アルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂を挙げることができる。また、アミド結合を有する熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルピロリドンを挙げることができる。さらに、スルホニル基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリスルホンを挙げることができる。ポリアミド、ポリイミドおよびポリスルホンは主鎖にエーテル結合、カルボニル基などの官能基を有してもよい。ポリアミドは、アミド基の窒素原子に置換基を有してもよい。
エポキシ樹脂可溶で、水素結合性官能基を有する熱可塑性樹脂の市販品としては、ポリビニルアセタール樹脂として、デンカブチラールおよび“デンカホルマール(登録商標)”(電気化学工業(株)製)、“ビニレック(登録商標)”(jNC(株)製)、フェノキシ樹脂として、“UCAR(登録商標)”PKHP(ユニオンカーバイド社製)、ポリアミド樹脂として“マクロメルト(登録商標)”(ヘンケルジャパン(株)製)、“アミラン(登録商標)”(東レ(株)製)、ポリイミドとして“ウルテム(登録商標)”(ジェネラル・エレクトリック社製)、ポリスルホンとして“Victrex(登録商標)”(三井化学(株)製)、“UDEL(登録商標)”(ユニオンカーバイド社製)、ポリエーテルスルホンとして、“スミカエクセル(登録商標)”(住友化学(株)製)、ポリビニルピロリドンとして、“ルビスコール(登録商標)”(ビーエーエスエフジャパン(株)製)を挙げることができる。
また、アクリル系樹脂はエポキシ樹脂との相溶性が高く、粘弾性制御のために好ましく用いられる。アクリル樹脂の市販品を例示すると、“ダイヤナール(登録商標)”BRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、“マツモトマイクロスフェアー(登録商標)”M,M100,M500(以上、松本油脂製薬(株)製)などを挙げることができる。
ゴム粒子としては、架橋ゴム粒子、および架橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコアシェルゴム粒子が、取り扱い性等の観点から好ましく用いられる。
架橋ゴム粒子の市販品としては、カルボキシル変性のブタジエン−アクリロニトリル共重合体の架橋物からなるFX501P(JSR(株)製)、アクリルゴム微粒子からなるCX−MNシリーズ(日本触媒(株)製)、YR−500シリーズ(新日鉄住金化学(株)製)等を使用することができる。
コアシェルゴム粒子の市販品としては、例えば、ブタジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物からなる“パラロイド(登録商標)”EXL−2655(クレハ(株)製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体からなる“スタフィロイド(登録商標)”AC−3355、TR−2122(武田薬品工業(株)製)、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合物からなる“PARALOID(登録商標)”EXL−2611、EXL−3387(Rohm&Haas社製)、“カネエース(登録商標)”MXシリーズ(カネカ(株)製)等を使用することができる。
熱可塑性樹脂粒子としては、ポリアミド粒子やポリイミド粒子が好ましく用いられ、ポリアミド粒子の市販品として、SP−500(東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”(アルケマ社製)等を使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の調製には、ニーダー、プラネタリーミキサー、3本ロールおよび2軸押出機などが好ましく用いられる。[B]および[D]以外を投入した後、撹拌しながらエポキシ樹脂組成物の温度を100〜180℃の任意の温度まで昇温することにより、[B]および[D]以外の樹脂を溶解させつつ[C]を均一に分散させ、次に、撹拌しながら好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下の温度まで下げて、[B]および[D]を添加し混練する方法は、エポキシ樹脂組成物の保存安定性に優れるため好ましく用いられる。
上記の方法で[C]が均一に分散しない場合は、エポキシ樹脂に[C]をあらかじめ均一分散させたマスターバッチを調製し、これをエポキシ樹脂組成物の調製の際に用いることが好ましい。マスターバッチの製造方法は、様々な公知の方法で製造することができる。例えば、ボールミル、ビーズミルによる撹拌、ホモミキサーやホモジナイザーによる撹拌、超音波による撹拌などがある。
樹脂硬化物の作製は次のようにして行う。エポキシ樹脂組成物を気圧0.3kPa以下、温度80℃以下で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中で、150〜210℃の範囲の温度で1時間硬化させることで、ボイドのない板状樹脂硬化物が得られる。
耐熱性を表す数値として、ガラス転移温度が一般的によく用いられる。樹脂硬化物のガラス転移温度は、140〜210℃であることが好ましい。樹脂硬化物のガラス転移温度が140℃以上ならば、自転車用リムに用いる場合、得られる繊維強化複合材料の耐熱性が充分である。また、樹脂硬化物のガラス転移温度が210℃以下ならば、得られる繊維強化複合材料中のエポキシ樹脂組成物の熱残留応力が小さくなり、得られる繊維強化複合材料は強度特性が向上する傾向にある。
また、かかるガラス転移温度が140℃に満たない場合は、本発明の範囲内で、[A]に含まれる3官能以上のアミン型エポキシ樹脂を増量することにより、ガラス転移温度を向上させることができる。
さらに、かかるガラス転移温度が210℃を超える場合は、本発明の範囲内で、[A]に含まれる3官能以上のアミン型エポキシ樹脂を減量することによりガラス転移温度を低下させることができる。
さらに、かかる樹脂硬化物の3点曲げ弾性率は、3.2GPa以上であることが好ましく、より好ましくは3.5GPa以上である。樹脂硬化物の3点曲げ弾性率が3.2GPa以上ならば、得られる繊維強化複合材料の圧縮強度が充分である。
かかる曲げ弾性率が3.2GPaに満たない場合は、本発明の範囲内で、下記の調整方法の少なくとも1つ以上の方法を行うことにより、曲げ弾性率を3.2GPa以上にすることができる。
(1)[A]に含まれる3官能以上のアミン型エポキシ樹脂を増量する。
(2)[B]を増量する。
樹脂硬化物の色調は、樹脂硬化物や繊維強化複合材料に優れた外観品位を与えるために、JIS Z 8729(2004)で規定されるL表色系において、L=0〜70、a=−20〜60、b=0〜60の範囲にあることが好ましい。ここで、L表色系は物質の色を表すのに用いられているもので、Lで明度を表し、aとbで色度を表す。ここで、aは赤方向、−aは緑方向、bは黄方向、−bは青方向を示す。
樹脂硬化物の色調の測定は、たとえば次のように行われる。まず、樹脂硬化板から切り出した50mm角、厚さ2mmの試験片を使用し、多光源分光測色計(MSC−P、スガ試験機(株)製)を用いて、波長380〜780nmの範囲において、透過光モード、C光源、2°視野、8°入射、正反射光を含まない条件での分光透過率を測定する。
本発明のプリプレグおよび繊維強化複合材料は、本発明のエポキシ樹脂組成物と強化繊維から構成される。かかる強化繊維は、特に限定されるものではなく、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維等が用いられる。これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。この中で、軽量かつ高剛性な繊維強化複合材料が得られる炭素繊維を用いることが好ましい。
強化繊維の形態は特に限定されるものではなく、たとえば、一方向に引き揃えた長繊維、トウ、織物、マット、ニット、組み紐、10mm未満の長さにチョップした短繊維などが用いられる。ここでいう、長繊維とは実質的に10mm以上連続な単繊維もしくは繊維束のことをさす。また、短繊維とは10mm未満の長さに切断された繊維束である。また、特に、比強度、比弾性率が高いことを要求される用途には強化繊維束が単一方向に引き揃えられた配列が最も適している。また、取り扱いの容易なクロス(織物)状の配列も本発明には適している。
本発明のプリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物を、強化繊維からなる繊維基材に含浸させて構成されてなるものである。含浸させる方法としては、エポキシ樹脂組成物をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し含浸させるウェット法と、加熱により低粘度化し含浸させるホットメルト法(ドライ法)等を挙げることができる。
ウェット法は、強化繊維をエポキシ樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法である。ホットメルト法は、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維からなる繊維基材に含浸させる方法、または一旦エポキシ樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで前記強化繊維からなる繊維基材の両側または片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより前記強化繊維からなる繊維基材に樹脂を含浸させる方法である。ホットメルト法を用いることは、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上皆無となるため好ましい。
プリプレグは、単位面積あたりの強化繊維量が30〜200g/mであることが好ましい。かかる強化繊維量が30g/m以上ならば、繊維強化複合材料を成形する際に所定の厚みを得るための積層枚数を少なくでき、作業工程が短くなる。一方で、強化繊維量が200g/m以下ならば、プリプレグのドレープ性が良好な傾向にある。また、繊維質量含有率は、好ましくは60〜90質量%であり、より好ましくは65〜85質量%であり、さらに好ましくは70〜80質量%である。繊維質量含有率が60質量%以上ならば、比強度と比弾性率に優れる繊維強化複合材料の利点が得られ、繊維強化複合材料の作製の際の硬化による発熱量を抑えやすい。また、繊維質量含有率が90質量%以下ならば、樹脂の含浸不良が生じにくく、得られる繊維強化複合材料はボイドの少ないものとなる。
プリプレグを賦形および/または積層後、賦形物および/または積層物に圧力を付与しながらエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させる方法等により、本発明の繊維強化複合材料が作製される。
ここで、プリプレグ積層成形法において、熱および圧力を付与する方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法等を適宜使用することができる。
オートクレーブ成形法は、所定の形状のツール板にプリプレグを積層して、バッギングフィルムで覆い、積層物内を脱気しながら加圧、加熱し、硬化させる方法である。このオートクレーブ成形法を用いることで、繊維配向を精密に制御でき、またボイドの発生を少なくできるため、力学特性に優れ、高品位な成形体が得られる。成形時に掛ける圧力は0.3〜1.0MPaが好ましい。また、成形温度は90〜210℃の範囲であることが好ましい。
ラッピングテープ法は、マンドレル等の芯金にプリプレグを捲回して、繊維強化複合材料製の管状体を成形する方法であり、ゴルフシャフト、釣り竿等の棒状体を作製する際に好ましい方法である。より具体的には、マンドレルにプリプレグを捲回し、プリプレグの固定および圧力付与のため、捲回したプリプレグの外側に熱可塑性フィルムからなるラッピングテープを、張力をかけつつ捲回し、プリプレグに圧力を加える。それらをオーブン中で加熱硬化させた後、マンドレルを抜き取って管状体を得る方法である。ラッピングテープを巻く張力は20〜78Nであることが好ましい。また成形温度は80〜210℃の範囲であることが好ましい。
また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せしめ、成形する方法である。本方法は、ゴルフシャフト、バッド、テニスやバドミントン等のラケットのような複雑な形状物を成形する際に好ましく用いられる。成形時に付与する圧力は0.1〜2.0MPaが好ましい。また成形温度は80℃〜210℃の範囲であることが好ましい。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法としては、150〜210℃で硬化させることが好ましい。150℃以上の場合は、充分な耐熱性を得られる傾向にある。さらに、生産効率のためにも昇温時間を除き、1時間以内に硬化させることが好ましい。硬化温度が150℃以上の場合は、樹脂硬化物および炭素繊維複合材料が充分な耐熱性を付与できる傾向にある。硬化温度が210℃以下の場合は、エポキシ樹脂組成物が分解せずに硬化する傾向にある。
また、繊維強化複合材料の0°圧縮強度は、1200MPa以上であることが好ましく、さらに好ましくは1240MPa以上である。1200MPa以上ならば、自転車用リムなどの強度としては充分である。
さらに、繊維強化複合材料のガラス転移温度は、140〜210℃であることが好ましい。すなわち、ガラス転移温度をこの範囲とすることにより、自転車用リムに用いた場合の耐熱性が充分で、かつ繊維強化複合材料中のエポキシ樹脂組成物の熱残留応力が小さくなり、得られる繊維強化複合材料が強度特性が向上する傾向にあるため好ましい。
本発明の繊維強化複合材料は、スポーツ用途、一般産業用途および航空宇宙用途に好ましく用いられる。より具体的には、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニスやバドミントンのラケット用途、ホッケー等のスティック用途、およびスキーポール用途に用いられる。また、一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、および補修補強材料等に用いられる。さらに好ましくは、自転車用部品、特に自転車用リムに用いられる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。エポキシ樹脂組成物の調製、樹脂硬化物、プリプレグおよび繊維強化複合材料の作製、および各種の測定は次の方法によった。なお、これらの物性は、特に断りのない限り、温度23℃、相対湿度50%の環境で測定した。
(1)エポキシ樹脂組成物の調製
ニーダー中に、[B]および[D]以外の成分を所定量加え、混練しつつ160℃まで昇温し、160℃で1時間混練することにより、[C]が均一に分散した粘凋液体を得た。80℃まで混練しつつ降温させ、80℃以下で[B]および[D]を所定量添加し、さらに混練することによりエポキシ樹脂組成物を得た。
なお、ここで用いた原料の平均エポキシ当量等を以下に示す。各実施例、比較例の成分配合比および各種測定結果は、表1〜5に示す。
<エポキシ樹脂> [A]
アミン型エポキシ樹脂
・トリグリシジル−m−アミノフェノール(“アラルダイド(登録商標)”MY0600、ハンツマン(株)製、平均エポキシ当量:116g/当量)
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(“スミエポキシ(登録商標)”ELM434、住友化学(株)製、平均エポキシ当量:125g/当量)
・トリグリシジル−p−アミノフェノール(“アラルダイド(登録商標)”MY0500、ハンツマン(株)製、平均エポキシ当量:110g/当量)
・テトラグリシジルキシリレンジアミン(“TETRAD(登録商標)”−X、三菱ガス化学(株)製、平均エポキシ当量:100)
その他のエポキシ樹脂
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”828、三菱化学(株)製、平均エポキシ当量:189g/当量)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”1001、三菱化学(株)製、平均エポキシ当量:475g/当量)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”1009、三菱化学(株)製、平均エポキシ当量:3300g/当量)。
・ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂(“エピコート(登録商標)”YX4000、三菱化学(株)製、平均エポキシ当量:186g/当量)
・ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(“エポトート(登録商標)”ESN−155、新日鉄住金化学(株)製、平均エポキシ当量:242g/当量)
・フルオレン型エポキシ樹脂(PG−100、大阪ガスケミカル(株)製、平均エポキシ当量:259g/当量)
・ナフタレン型エポキシ樹脂(HP−4700、DIC(株)製、平均エポキシ当量:163)
<硬化剤>[B]
・4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(“セイカキュカ”−S、和歌山精化工業(株)製、活性水素基当量:62g/当量)
・ジシアンジアミド(DICY7、三菱化学(株)製、活性水素基当量:12g/当量)。
<カーボンブラック>[C]
・カーボンブラック(“カーボンブラック#40”、三菱化学(株)製、平均粒径24nm、DBP吸収量110cm/100g、pH7.5)
・カーボンブラック(“カーボンブラックMA600”、三菱化学(株)製、平均粒径20nm、DBP吸収量131cm/100g、pH7)
・カーボンブラック(“カーボンブラック#30”、三菱化学(株)製、平均粒径30nm、DBP吸収量113cm/100g、pH8)
・カーボンブラック(“カーボンブラック#32”、三菱化学(株)製、平均粒径30nm、DBP吸収量100cm/100g、pH8)
・カーボンブラック(ケッチェンブラックEC300J、ライオン(株)、平均粒径30nm、DBP吸収量360cm/100g、pH9)
・カーボンブラック(“カーボンブラック#5”、三菱化学(株)製、平均粒径76nm、DBP吸収量71cm/100g、pH7.5)
・カーボンブラック(“カーボンブラックMA100”、三菱化学(株)製、平均粒径24nm、DBP吸収量100cm/100g、pH3.5)
・カーボンブラック(“カーボンブラック#44”、三菱化学(株)製、平均粒径40nm、DBP吸収量78cm/100g、pH7.5)。
<硬化促進剤>[D]
・DCMU99(3−(3,4−ジクロロフェニル)1,1−ジメチルウレア、保土ヶ谷化学工業(株)製)。
<その他の成分>
熱可塑性樹脂
・ポリビニルホルマール(“ビニレック(登録商標)”K、jNC(株)製)
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P、住友化学(株)製)。
(2)平均エポキシ当量の測定
平均エポキシ当量はエポキシ基1個あたりの分子量を指し、JIS K−7236(1995)に準拠し測定した。
(3)活性水素当量の測定
活性水素当量は、活性水素基1個あたりの分子量を指す。実施例および比較例で用いた硬化剤[B]の活性水素当量は、JIS K−7237(1986)に準拠し測定した。
(4)複数のエポキシ樹脂を併用する場合の全エポキシ樹脂成分[A]のエポキシ当量の計算法
複数のエポキシ樹脂を併用する場合の全エポキシ樹脂成分[A]のエポキシ当量は、以下とおり概算可能である。例えば、3種類のエポキシ樹脂を併用する場合を例に計算方法を説明する。エポキシ当量がEx(g/当量)のエポキシ樹脂XをWx質量部、エポキシ当量がEy(g/当量)のエポキシ樹脂YをWy質量部、エポキシ当量がEz(g/当量)のエポキシ樹脂ZをWz質量部配合する場合、[A]の平均エポキシ当量は以下の計算式で求められる。
平均エポキシ当量=(Wx+Wy+Wz)/(Wx/Ex+Wy/Ey+Wz/Ez)
複数の硬化剤[B]を用いる場合の[B]の平均活性水素当量も同様にして計算可能である。
(5)カーボンブラックの平均粒径の測定
カーボンブラック試料を150kHz、0.4kWの超音波分散器により、10分間クロロホルムに分散させて分散試料を作製し、これをカーボン補強した支持膜に振り掛けて固定した。これを透過型電子顕微鏡で撮影し、50,000〜200,000倍に拡大した画像をEndterの装置を用いてランダムに1,000個以上のカーボンブラックの粒子の直径を測定し、その平均値を平均粒径とした。
(6)カーボンブラックのpH測定
カーボンブラックのpHは、ASTM D−1512−84に準拠し、測定した。
(7)樹脂硬化物の曲げ弾性率および曲げ撓み量の測定
エポキシ樹脂組成物を気圧0.3kPa以下、温度80℃以下で脱泡した後、2mm厚のテフロン(登録商標)製スペーサーにより厚さ2mmになるように設定したモールド中で、各実施例と各比較例に記載の温度で1時間硬化させ、厚さ2mmの板状樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、スパンを32mm、クロスヘッドスピードを2.5mm/分とし、JIS K7171(1994)に従って3点曲げを実施し、曲げ弾性率および曲げ撓み量を測定した。サンプル数はn=5とし、その平均値で比較した。
(8)樹脂硬化物のガラス転移温度の測定
上記(7)に従い作製した板状樹脂硬化物からダイヤモンドカッターを用い、幅13mm、長さ50mmのサンプルを切り出した。このサンプルを、動的粘弾性測定装置(レオメーターRDA2:レオメトリックス社製)を用い、昇温速度5℃/分で昇温し、周波数1.0Hzのねじりモードで貯蔵弾性率を測定した。このときの貯蔵弾性率のオンセット温度をガラス転移温度とした。また、測定数はn=3とし、その平均値で比較した。
(9)プリプレグの作製
上記(1)に従い調製したエポキシ樹脂組成物を、リバースロールコーターを使用して離型紙上に塗布し、20g/mの樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に一方向に整列させた炭素繊維“トレカ(登録商標)”T700S(東レ(株)製、引張弾性率:230GPa、引張強度:4900MPa)に樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧してエポキシ樹脂組成物を含浸させ、単位面積当たりの炭素繊維質量125g/m、繊維質量含有率68%の、T700S使い一方向プリプレグを作製した。
(10)一方向積層板のガラス転移温度の測定
次の(a)および(b)の操作により、繊維強化複合材料製一方向積層板(以下、一方向積層板という)を作製した。
(a)上記(9)で作製した一方向プリプレグを、繊維方向を揃えて20ply積層した。
(b)積層したプリプレグをナイロンフィルムで隙間のないように覆った。これをオートクレーブ中で、内圧0.3MPa下で、25℃から各実施例と各比較例に記載の温度まで1.5℃/分で昇温させ、その後各実施例と各比較例に記載の温度で、1時間加熱加圧して硬化し、一方向積層板を作製した。
得られた一方向積層板からダイヤモンドカッターを用い、幅13mm、長さ50mmのサンプルを切り出した。このサンプルを、動的粘弾性測定装置(レオメーターRDA2:レオメトリックス社製)を用い、昇温速度5℃/分で昇温し、周波数1.0Hzのねじりモードで貯蔵弾性率の測定を行った。このときの貯蔵弾性率のオンセット温度をガラス転移温度とした。また、測定数はn=3とし、その平均値で比較した。
(11)一方向積層板の0°圧縮強度の測定
上記(10)と同様にして、一方向積層板を作製した。得られた一方向積層板からJIS K7076(1991)のA法試験片の形状および寸法で試験片を切り出し、0°圧縮強度を測定した。測定数はn=5とし、その平均値を求めた。
(12)外観品位の確認
上記(9)に従い作製した一方向プリプレグを上記(10)の(a)、(b)と同様に積層、硬化し、得られた繊維強化複合材料を50,000〜100,000ルクスの日光に照らして、繊維強化複合材料の外観品位を視覚的に確認した。黄色味については、10人の観察者のうち8〜10人が黄色味がかっていないと判定した場合を○、5〜7人の場合を△、5人未満の場合を×とした。繊維目については、10人の観察者のうち8〜10人が繊維目が見えると判定した場合を○、5〜7人の場合を△、5人未満の場合を×とした。ここで、黄色味と繊維目についての判定が、それぞれ○または△であった場合を外観品位良好とし、いずれかの判定が×の場合を外観品位が悪いとした。
さらにかかる繊維複合材料を、オーブンを用いて200℃で2時間加熱することにより、色調変化の加速試験をおこない、同様に外観品位の確認をおこなった。
上記方法により各実施例、比較例についてエポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび一方向積層板を作製し、特性を測った結果を表1〜4にまとめて示す。なお、特記しない限り、「部」は「質量部」を表す。
(実施例1)
[A]としてMY0600を30部、jER828を45部、jER1001を25部、[B]としてDICY7を0.8当量、[C]としてカーボンブラック#40をエポキシ樹脂組成物の0.05質量%、[D]としてDCMU99を3部、さらに熱可塑性樹脂としてビニレックKを6部用いて、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物およびプリプレグを積層したものを、それぞれ25℃から150℃まで1.5℃/分で昇温し、150℃で1時間硬化し、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物および繊維強化複合材料の力学特性は良好であり、その繊維強化複合材料の外観品位も良好であった。さらに200℃で2時間の加速試験をおこなった繊維強化複合材料の外観品位も良好であった。
(実施例2)
[A]としてELM434を30部とした以外は、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。4官能のアミン型エポキシ樹脂を用いたため、得られた樹脂硬化物および繊維強化複合材料のガラス転移温度が3官能のアミン型エポキシ樹脂を用いた実施例2対比向上した。得られた炭素繊維複合材料の外観品位は良好であり、加速試験後も良好であった。
(実施例3)
[A]としてELM434を50部、jER828を25部、[C]としてカーボンブラック#40をエポキシ樹脂組成物の0.20質量%とした以外は、実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。アミン型エポキシ樹脂の配合量が増えたため、得られた樹脂硬化物の曲げ弾性率とガラス転移温度は、実施例2に比べて向上した。得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度と0°圧縮強度も、実施例2に比べて向上し、外観品位も良好であった。また、加速試験をおこなった繊維強化複合材料の外観品位も良好であった。
(実施例4)
[A]としてjER1001の代わりに、jER1009を25部用い、熱可塑性樹脂としてビニレックKを2部とした以外は、実施例3と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。[A]の中で、実施例3対比長鎖ビスフェノールA型エポキシ樹脂jER1009を用いたため、得られた樹脂硬化物のガラス転移温度が実施例3対比わずかに低下したが、良好な力学特性であった。得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度も実施例3対比わずかに低下したが、良好な力学特性と外観品位であった。また、加速試験をおこなった繊維強化複合材料の外観品位も良好であった。
(実施例5)
[A]としてjER828を10部とjER1001を40部、熱可塑性樹脂としてビニレックKを2部とした以外は実施例3と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。[A]として、実施例3対比jER828の配合量が減ったため、得られた樹脂硬化物は、実施例3対比ガラス転移温度が低下したものの、良好な力学特性であった。その結果、得られた繊維強化複合材料は、ガラス転移温度が実施例3対比低下したものの、良好な力学特性であり、外観品位も良好であった。また、加速試験をおこなった繊維強化複合材料の外観品位も良好であった。
(実施例6)
[A]としてELM434を100部、[C]としてカーボンブラック#40をエポキシ樹脂組成物の0.8質量%、熱可塑性樹脂としてビニレックKを12部とした以外は実施例3と同様に、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。アミン型エポキシ樹脂の配合量が増えたため、得られた樹脂硬化物は、実施例3対比ガラス転移温度および曲げ弾性率が向上した。その結果、得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度および0°圧縮強度が実施例3対比向上した。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験後も良好であった。
(実施例7)
[B]としてセイカキュア−Sを0.1当量、DICY7を0.4当量とした以外は実施例3と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。[B]の配合量が0.6当量に満たないため、得られた樹脂硬化物のガラス転移温度と弾性率は実施例3対比低下したが、充分であった。また、得られた繊維強化複合材料の力学特性および外観品位も良好であった。また、加速試験をおこなった繊維強化複合材料の外観品位も良好であった。
(実施例8)
[B]としてセイカキュア−Sを0.2当量とした以外は、実施例7と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。実施例7対比、[B]の当量を増やしたため、この樹脂硬化物の曲げ弾性率とガラス転移温度は向上した。得られた繊維強化複合材料の0°圧縮強度とガラス転移温度も向上した。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験をおこなっても良好であった。
(実施例9)
[B]としてDICY7を0.7当量、セイカキュア−Sを0.1当量用いた以外は、実施例8と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。実施例8対比、[B]を増量し、0.8当量としたため、樹脂硬化物の曲げ弾性率およびガラス転移温度が向上した結果、繊維強化複合材料のガラス転移温度および0°圧縮強度も向上した。得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験をおこなった繊維強化複合材料の外観品位も良好であった。
(実施例10)
[B]としてセイカキュア−Sを0.3当量とした以外は実施例9と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。活性水素当量は、1.0当量であった。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物は、実施例9よりセイカキュア−Sを増量したため、実施例9対比弾性率が向上し、良好な力学特性であった。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性も良好であった。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験をおこなっても良好であった。
(実施例11)
[B]としてセイカキュア−Sを0.5当量とした以外は実施例10と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物は、活性水素当量が1.0当量を越えたため、実施例10対比ガラス転移温度が低下したが、良好な力学特性であった。その結果、得られた繊維強化複合材料は、実施例10対比ガラス転移温度は低下したが、良好な力学特性であった。また、得られた繊維強化複合材料の外観は良好であり、加速試験後も良好であった。
(実施例12)
[D]としてDCMUを2部用いた以外は実施例8と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物の力学特性は、実施例8対比同等であった。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性も実施例9と同等であり、外観品位も良好であった。また、加速試験をおこなった繊維強化複合材料の外観品位も良好であった。
(実施例13)
[D]としてDCMUを5部用いた以外は実施例8と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物は、DCMUの配合量が増えたため実施例8対比自己重合する割合が増え、ガラス転移温度が低下したが、良好な力学特性であった。その結果、得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度が実施例8対比低下したが、良好な力学特性であり、外観品位も良好であった。また、加速試験をおこなった繊維強化複合材料の外観品位も良好であった。
(実施例14)
[C]としてカーボンブラックMA600をエポキシ樹脂組成物の0.20質量%用いた以外は実施例9と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。カーボンブラックMA600はカーボンブラック#40と同等の特性を有しているので、得られた樹脂硬化物は、実施例9対比同等の力学特性を示した。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性は実施例9対比同等であった。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験をおこなっても良好であった。
(実施例15)
[C]としてカーボンブラック#30をエポキシ樹脂組成物の0.20質量%用いた以外は実施例9と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。カーボンブラック#30はカーボンブラック#40と同等の特性を有しているので、得られた樹脂硬化物は、実施例9対比同等の力学特性を示した。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性は実施例9対比同等であった。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験をおこなっても良好であった。
(実施例16)
[C]としてカーボンブラック#32をエポキシ樹脂組成物の0.20質量%用いた以外は実施例9と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。カーボンブラック#32はカーボンブラック#40と同等の特性を有しているので、得られた樹脂硬化物は、実施例9対比同等の力学特性を示した。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性は実施例9対比同等であった。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験をおこなっても良好であった。
(実施例17)
[C]としてカーボンブラック#44をエポキシ樹脂組成物の0.25質量%用いた以外は実施例9と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物は、実施例9対比同等の力学特性を示した。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性は実施例9対比同等であった。また、カーボンブラック#44は、カーボンブラック#40より平均粒径が大きく、DBP吸収量が低いが、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験をおこなっても良好であった。
(実施例18)
[C]としてケッチェンブラックEC300Jをエポキシ樹脂組成物の0.20質量%用いた以外は実施例9と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。ケッチェンブラックEC300JのpHは9であり、実施例9で用いているカーボンブラック#40対比高いため、得られた樹脂硬化物は、実施例9対比同等の力学特性が低下するが、良好な力学特性であった。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性は実施例9対比低下するが、良好であった。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験をおこなっても良好であった。
(実施例19)
熱可塑性樹脂としてPES5003Pを4部用いた以外は実施例9と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物は、実施例9対比同等の力学特性を示した。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性は実施例9と同等であった。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験をおこなっても良好であった。
(実施例20)
[A]としてELM434を30部とjER828を45部、[C]としてカーボンブラック#40をエポキシ樹脂組成物の0.05質量%とした以外は実施例9と同様に、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物の力学特性は、実施例9対比、アミン型エポキシ樹脂の配合量が減少したため、低下したが、良好な力学特性であった。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性および外観品位も良好であった。また、加速試験をおこなった繊維強化複合材料の外観品位も良好であった。
(実施例21)
[A]としてELM434を75部、jER1001を25部、[C]としてカーボンブラック#40をエポキシ樹脂組成物の0.45質量%、熱可塑性樹脂としてビニレックKを8部とした以外は実施例9と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。アミン型エポキシ樹脂の配合量が増えたため、得られた樹脂硬化物は、実施例9対比ガラス転移温度および曲げ弾性率が向上した。その結果、得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度および圧縮強度が実施例9対比向上した。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は、良好であり、加速試験後も良好であった。
(実施例22)
[A]としてELM434を90部、jER1001を10部、[C]としてカーボンブラック#40をエポキシ樹脂組成物の0.6質量%、熱可塑性樹脂としてビニレックKを10部とした以外は実施例9と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。アミン型エポキシ樹脂の配合量が増えたため、得られた樹脂硬化物は、実施例9対比ガラス転移温度および曲げ弾性率が向上した。その結果、得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度および圧縮強度が実施例9対比向上した。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は、良好であり、加速試験後も良好であった。
(実施例23)
[A]としてELM434を100部、[C]としてカーボンブラック#40をエポキシ樹脂組成物の0.7質量%、熱可塑性樹脂としてビニレックKを11部とした以外は実施例21と同様に、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。アミン型エポキシ樹脂の配合量が増えたため、得られた樹脂硬化物は、実施例21対比ガラス転移温度および曲げ弾性率が向上した。その結果、得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度および圧縮強度が実施例21対比向上した。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は、良好であり、加速試験後も良好であった。
(実施例24)
[C]としてカーボンブラック#40をエポキシ樹脂組成物の0.8質量%とした以外は実施例23と同様に、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物は、実施例23対比同等のガラス転移温度および曲げ弾性率を示した。その結果、得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度および0°圧縮強度が実施例23対比同等であった。実施例23対比カーボンブラック#40の配合量が増え、0.8質量%となったため、得られた繊維強化複合材料の黄色味は○であったが、繊維目は△であった。また、加速試験後の外観品位は、加速試験前の外観品位と同等であった。
(実施例25)
実施例24と同様に調製したエポキシ樹脂組成物およびプリプレグを積層したものを25℃から200℃まで1.5℃/分で昇温し、200℃で1時間でそれぞれ硬化し、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。硬化温度を200℃にしたため、得られた樹脂硬化物は、実施例24対比ガラス転移温度が向上した。その結果、得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度が実施例24対比向上した。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位、および加速試験後の外観品位のいずれも実施例24と同等であった。
(実施例26)
[A]としてMY0500を30部とした以外は、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物の力学特性は良好であった。また、得られた繊維強化複合材料の力学特性、外観品位、および加速試験後の外観品位のいずれも良好であった。
(実施例27)
[A]としてTETRAD−Xを30部とした以外は、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物の力学特性は良好であった。また、得られた繊維強化複合材料の力学特性、外観品位、および加速試験後の外観品位のいずれも良好であった。
(実施例28)
[C]の配合量を0.2質量%とし、熱可塑性樹脂としてPES5003Pを6部用いた以外は実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、硬化温度を180℃とした以外は実施例2と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物は、実施例2対比同等の力学特性を示し、ガラス転移温度が若干向上した。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性は実施例2と同等であり、ガラス転移温度は若干向上した。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験をおこなっても良好であった。
(実施例29)
[A]のその他のエポキシ樹脂としてYX−4000を70部用いた以外は、実施例28と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例28と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物は、実施例28対比、ガラス転移温度と曲げ弾性率が向上した。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性は実施例28対比、ガラス転移温度と0°圧縮強度が向上した。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験をおこなっても良好であった。
(実施例30)
[A]のその他のエポキシ樹脂としてESN−155を70部用いた以外は、実施例28と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例28と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物は、実施例28対比、ガラス転移温度が向上した。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性は実施例28対比、ガラス転移温度が向上した。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験をおこなっても良好であった。
(実施例31)
[A]のその他のエポキシ樹脂としてPG−100を70部用いた以外は、実施例28と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例28と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物は、実施例28対比、ガラス転移温度と曲げ弾性率が向上した。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性は実施例28対比、ガラス転移温度と0°圧縮強度が向上した。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験をおこなっても黄色味が極めて少なく、良好であった。
(実施例32)
[A]のその他のエポキシ樹脂としてHP−4700を70部用いた以外は、実施例28と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例28と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物は、実施例28対比、ガラス転移温度が向上した。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性は実施例28対比、ガラス転移温度が向上した。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験をおこなっても良好であった。
Figure 0006131593
Figure 0006131593
Figure 0006131593
Figure 0006131593
(比較例1)
[A]として、ELM434を20部、jER828を55部を用いた以外は、実施例2と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例2と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。3官能以上のアミン型エポキシ樹脂の配合量が[A]の30質量%に満たなかったので、得られた樹脂硬化物は、ガラス転移温度が低い上に、弾性率も不充分であった。また、繊維強化複合材料は、ガラス転移温度、0°圧縮強度が不充分であった。得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験後も良好であった。
(比較例2)
[A]としてELM434を20部、jER828を80部、熱可塑性樹脂としてビニレックKを12部用いた以外は、比較例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。3官能以上のアミン型エポキシ樹脂の配合量が[A]の30質量%に満たなかったので、得られた樹脂硬化物のガラス転移温度、曲げ弾性率のいずれも不充分であった。また、繊維強化複合材料は、ガラス転移温度、0°圧縮強度のいずれも不充分であった。得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験後も良好であった。
(比較例3)
[B]としてセイカキュア−Sを0.1当量、DICY7を0.7当量用いた以外は、比較例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。3官能以上のアミン型エポキシ樹脂の配合量が[A]の30質量%に満たなかったので、得られた樹脂硬化物は、ガラス転移温度と曲げ弾性率が不充分であった。また、繊維強化複合材料は、ガラス転移温度と0°圧縮強度が不充分であった。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は良好であり、加速試験後も良好であった。
(比較例4)
[C]を用いなかった以外は実施例9と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物は、実施例9対比同等の力学特性を示した。得られた繊維強化複合材料の力学特性は実施例9対比同等であった。しかし[C]を用いなかったために、得られた繊維強化複合材料の外観品位は黄色味を帯びおり、加速試験後も黄色味を帯びていて、悪かった。
(比較例5)
[C]をエポキシ樹脂組成物の1.0質量%用いた以外は実施例9と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性は実施例9対比同等であったが、[C]の配合量が0.8質量%を越えたために、炭素繊維の繊維目が見えなかった。また、加速試験をおこなった場合も同様に繊維強化複合材料の炭素繊維の繊維目が見えなかった。
(比較例6)
[C]としてカーボンブラックMA100を用いた以外は実施例9と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。カーボンブラックMA100のpHが7未満であったために、得られた樹脂硬化物の力学特性は実施例9対比低下し不足した。その結果、得られた繊維強化複合材料の力学特性も実施例9対比低下し、不足した。また、得られた繊維強化複合材料の外観品位は、良好であり、加速試験後も良好であった。
(比較例7)
[C]としてカーボンブラック#5を用いた以外は実施例9と同様にエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様の条件で、樹脂硬化物および繊維強化複合材料を得た。カーボンブラック#5の平均粒径が40nmを超えたため、得られた樹脂硬化物の物性は良好であったが、得られた繊維強化複合材料の外観品位は、黄色味がかっていて悪かった。さらに得られた繊維強化複合材料の力学特性は、実施例9対比低下していた。さらに、加速試験後の繊維強化複合材料の外観品位はさらに悪化した。
Figure 0006131593

Claims (9)

  1. 下記[A]〜[C]を含み、[A]が3官能以上のアミン型エポキシ樹脂を30〜100質量%含み、かつ[C]が(a)〜(c)を満たすエポキシ樹脂組成物と強化繊維からなるプリプレグ
    [A]エポキシ樹脂
    [B]硬化剤
    [C]カーボンブラック
    (a)平均粒径が1〜40nmである
    (b)pHが7〜9である
    (c)全エポキシ樹脂組成物中に0.05〜0.8質量%含まれている
  2. 前記[A]が3官能以上のアミン型エポキシ樹脂を50〜100質量%含む、請求項1に記載のプリプレグ
  3. 前記[B]がジシアンジアミドまたはその誘導体を含む、請求項1または2に記載のプリプレグ
  4. 前記[B]がジアミノジフェニルスルホンを含む、請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ
  5. 前記[B]の活性水素基の総量が、前記[A]の全成分のエポキシ基1当量に対し、0.6〜1.0当量の範囲にある、請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグ
  6. 前記[A]が、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、およびナフタレン型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のプリプレグ。
  7. 化繊維が炭素繊維である、請求項1〜6のいずれかに記載のプリプレグ。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のプリプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料。
  9. 下記[A]〜[C]を含み、[A]が3官能以上のアミン型エポキシ樹脂を30〜100質量%含み、かつ[C]が(a)〜(c)を満たすエポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維からなる繊維強化複合材料
    [A]エポキシ樹脂
    [B]硬化剤
    [C]カーボンブラック
    (a)平均粒径が1〜40nmである
    (b)pHが7〜9である
    (c)全エポキシ樹脂組成物中に0.05〜0.8質量%含まれている
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