JP2012196921A - 繊維強化複合材料、およびその製造方法 - Google Patents

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隆行 藤原
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Abstract

【課題】強度、表面外観、および耐熱性に優れ、スポーツ用途または一般産業用途などの各種用途に好適な繊維強化複合材料の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも強化繊維と熱硬化性樹脂とからなるプリプレグから、ガラス転移温度が160℃以上である繊維強化複合材料を加圧成形により製造する方法であって、成形圧力(P)と樹脂粘度(η)が下記(1)〜(3)を満たす条件で成形することを特徴とする、繊維強化複合材料の製造方法。(1)成形圧力(P)/樹脂粘度(η)の最大値が、0.3×10〜1.5×10/s。(2)成形開始からP/ηが0.01×10以上の範囲のP/ηの時間積分値が、55×10〜380×10。(3)ηの最低値が、0.7Pa・s以上。
【選択図】図1

Description

本発明は、強度、表面外観、および耐熱性に優れた、繊維強化複合材料の製造方法に関するものである。さらに、詳細には、例えば、航空機、船舶、自動車、自転車等、およびポンプや刈払い機などの産業機械における各種フレーム、パイプ、シャフト、ホイールさらにそれらの曲円板、または、ゴルフクラブ用シャフト、釣り竿、スキーポール、テニスやバトミントンラケット用シャフト、自転車フレームテントの支柱などの管状体、または、スキー板、スノーボード、ゴルフクラブ用ヘッド、自転車用リムなどの各種スポーツ/レジャー用品、電気製品等の筐体、または土木建築用資材とその補修・補強などに好適に使用できる、繊維強化複合材料の加圧成形による製造方法に関するものである。
炭素繊維やアラミド繊維などを強化繊維として用いた繊維強化複合材料は、その高い比強度・比弾性率を利用して、航空機や自動車などの構造材料や、テニスやバトミントンラケット、ゴルフシャフト、釣り竿、自転車などのスポーツ、一般産業用途などに広く利用されている。
このような用途において、ゴルフシャフト、釣竿、自転車、ラケット等の複雑な形状の中空成形品を成形する方法としては、内圧成形法がよく用いられる。内圧成形法とは、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せしめ、成形する方法である。また、筐体や自動車部品等の比較的単純な形状の成形品を成形する方法としては、プレス成形法がよく用いられる。
一般的に、内圧成形法やプレス成形法では、製造工程の簡便化や効率化を目的に、あらかじめ樹脂の硬化温度まで加熱したプレス機に、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームをセットした金型やプリプレグをセットし、プリプレグを高速で昇温し、短時間で繊維強化複合材料を成形するため、樹脂の流動性制御が非常に重要である。硬化時の樹脂が十分に流動しない場合、成形品内部にボイドが残り、成形品の強度が不足したり、樹脂が十分に成形品全体に行き渡らないため、樹脂の欠損により外観が悪化したりする問題がある。また、樹脂が流動しすぎると、成形品の樹脂含有率が低下により成形品の耐衝撃性が下がったり、強化繊維の配向の乱れによる強度低下と表面外観の悪化や、成形品表面の強化繊維の浮き出し、成形品表面のボイド発生等の表面外観の悪化や、成形品中の樹脂不足による成形品内部のボイド発生に起因する成形品の強度低下が発生したり、製品重量のばらつきが大きくなる問題がある。
また、航空機のタービンケース、自動車の外板部材、自転車のリム材等は、近年、繊維強化複合材料化が進行しつつあり、これらの用途では高い耐熱性が求められている。例えば、自転車のリムは、制動時のブレーキシューとの摩擦により発熱し、リムの温度が160℃以上になるため、少なくともガラス転移温度が160℃以上の繊維強化複合材料が求められている。
一般的に、耐熱性の高い繊維強化複合材料を得るためには、高い成形温度で繊維強化複合材料を成形する必要がある。上記の内圧成形法やプレス成形法で繊維強化複合材料の耐熱性を上げる場合、プレス機の温度が高くなるため、昇温速度が大きくなり、樹脂の最低粘度が低くなりすぎたり、樹脂の流動性が大きくなりすぎたりする傾向がある。
このような樹脂の流動調整については、種々検討されており、例えば150℃の熱硬化性樹脂のゲルタイムと150℃で10kg/cmの圧力を加えたときの樹脂フロー指数、および樹脂含有率を適当な範囲に調整することにより、樹脂の流動を調整する方法がある(特許文献1)。しかし、この方法で得られる繊維強化複合材料の耐熱性は十分でなく、また、成形条件については何ら検討されていないため、樹脂の流動量が大きくなりすぎる場合があり、十分とはいえない。
また、特許文献2にも、内圧成形法による繊維強化複合材料の管状体の製造方法が開示されている。しかし、管状体の軽量化については検討されているものの、繊維強化複合材料の耐熱性が低いだけでなく、樹脂の流動調整については検討されておらず、樹脂の流動量も大きすぎるため十分とはいえない。
さらに、特許文献3にも、内圧成形法による繊維強化複合材料の管状体の製造方法が開示されている。この場合も、プリプレグの賦形性については検討されているものの、繊維強化複合材料の耐熱性が低いだけでなく、樹脂の流動調整については検討されておらず、樹脂の流動量が大きすぎるため十分とはいえない。
特開2000−86784号公報 特開2000−238152号公報 特開2008−254425号公報
本発明は、強度、表面外観、および耐熱性に優れ、スポーツ用途または一般産業用途などの各種用途に好適な繊維強化複合材料を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、成形時の樹脂の粘度と成形圧力を特定の範囲に調整することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、以下の構成からなる。
(I)少なくとも強化繊維と熱硬化性樹脂から構成されるプリプレグを用いて、ガラス転移温度が160℃以上である繊維強化複合材料を加圧成形により製造する方法であって、成形圧力(P)と樹脂粘度(η)が下記(1)〜(3)を満たす条件で成形することを特徴とする、繊維強化複合材料の製造方法。
(1)P/ηの最大値が、0.3×10〜1.5×10/s。
(2)成形開始からP/ηが0.01×10以上の範囲のP/ηの時間積分値が、55×10〜380×10
(3)ηの最低値が、0.7Pa・s以上。
(II)加圧成形温度が160℃以上である、上記(I)に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(III)熱硬化性樹脂が、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤および/または(C)硬化促進剤から構成されるエポキシ樹脂組成物である、上記(I)または(II)のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(IV)(A)エポキシ樹脂100質量部中に、3官能以上のエポキシ樹脂が40質量部以上含まれる、上記(III)に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(V)(B)硬化剤が、芳香族アミンおよびフェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む、上記(III)または(IV)のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(VI)前記プリプレグが、さらに(D)熱可塑性樹脂を含む、上記(I)〜(V)のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(VII)(D)熱可塑性樹脂が、ポリアミド、ポリイミド、およびポリスルホンから選ばれる少なくとも1種を含む、上記(VI)に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(VIII)強化繊維が炭素繊維である、上記(I)〜(VII)のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(IX)1.5℃/minで昇温したときの熱硬化性樹脂の80℃におけるηが、0.01〜300Pa・sである、上記(I)〜(VIII)のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(X)上記(I)〜(IX)のいずれかに記載の方法で製造される、スポーツ用途または一般産業用途に用いられる繊維強化複合材料。
本発明によれば、強度、表面外観、および耐熱性に優れた繊維強化複合材料が得られる。すなわち、本発明の繊維強化複合材料の製造方法によれば、ガラス転移温度が160℃以上である繊維強化複合材料を、P/ηの最大値と時間積分値およびηの最低値を特定の範囲に調整することによって、強度、表面外観、および耐熱性に優れた繊維強化複合材料を製造することが可能となり、航空宇宙用途、スポーツ用途、および一般産業用途に用いられる製品や部品等の製造に有用なものである。
繊維強化複合材料の成形過程における時間とP/ηの関係を示したイメージ図である。 150℃、160℃、180℃で内圧成形した時のプリプレグ表面の温度−時間のグラフである。
本発明で用いられるプリプレグは、少なくとも強化繊維と熱硬化性樹脂から構成されることが必要である。
本発明の強化繊維は、特に限定されるものではなく、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維等が用いられ、これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。この中で、軽量かつ高剛性な繊維強化複合材料が得られる炭素繊維を用いることが好ましい。
かかる強化繊維の形態は特に限定されるものではなく、たとえば、一方向に引き揃えた長繊維、トウ、織物、マット、ニット、組み紐、10mm未満の長さにチョップした短繊維などが用いられる。ここでいう、長繊維とは、実質的に10mm以上連続な単繊維もしくは繊維束のことを指す。また、短繊維とは、10mm未満の長さに切断された繊維束である。また、特に、比強度、比弾性率が高いことを要求される用途には、強化繊維束が単一方向に引き揃えられた配列が最も適しているが、取り扱いの容易なクロス(織物)状の配列も本発明には適している。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂は、熱により架橋反応が進行して、少なくとも部分的に三次元架橋構造を形成する樹脂であれば特に限定されない。かかる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂および熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられ、これらの変性体および2種類以上ブレンドした樹脂なども用いることができる。また、これらの熱硬化性樹脂は、加熱により自己硬化するものであっても良いし、硬化剤や硬化促進剤などを配合するものであっても良い。
エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではなく、ビスフェノール型エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂などの中から1種以上を選択して用いることができる。
ここで、ビスフェノール型エポキシ樹脂とは、ビスフェノール化合物の2つのフェノール性水酸基がグリシジル化されたものであり、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、もしくはこれらビスフェノールのハロゲン、アルキル置換体、水添品等が挙げられる。また、単量体に限らず、複数の繰り返し単位を有する高分子量体も好適に使用することができる。
かかるビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”825、828、834、1001、1002、1003、1003F、1004、1004AF、1005F、1006FS、1007、1009、1010(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、“jER(登録商標)”505、5050、5051、5054、5057(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、ST5080、ST4000D、ST4100D、ST5100(以上、新日鐵化学(株)製)などが挙げられる。
前記ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”806、807、4002P、4004P、4007P、4009P、4010P(以上、三菱化学(株)製)、“エポトート(登録商標)”YDF2001、YDF2004(以上、新日鐵化学(株)製)などが挙げられる。テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、YSLV−80XY(新日鐵化学(株)製)などが挙げられる。
かかるビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、“エピクロン(登録商標)”EXA−154(DIC(株)製)などが挙げられる。
中でも、弾性率、靭性と耐熱性のバランスが良いことから、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂が好ましい。
かかるアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシリレンジアミンや、これらのハロゲン、アルキノール置換体、水添品などが挙げられる。
かかるテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンとしては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(住友化学(株)製)、YH434L(新日鐵化学(株)製)、“jER(登録商標)”604(三菱化学(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY720、MY721(以上、ハンツマン・アドバンズド・マテリアルズ(株)製)などが挙げられる。トリグリシジルアミノフェノールまたはトリグリシジルアミノクレゾールとしては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM100、ELM120(以上、住友化学(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY0500、MY0510、MY0600(以上、ハンツマン・アドバンズド・マテリアルズ(株)製)、“jER(登録商標)”630(三菱化学(株)製)などが挙げられる。テトラグリシジルキシリレンジアミンおよびその水素添加品として、TETRAD−X、TETRAD−C(以上、三菱ガス化学(株)製)などが挙げられる。
かかるフェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては“jER(登録商標)”152、154(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”N−740、N−770、N−775(以上、DIC(株)製)などが挙げられる。
かかるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”N−660、N−665、N−670、N−673、N−695(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−104S(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
かかるレゾルシノール型エポキシ樹脂の具体例としては、“デナコール(登録商標)”EX−201(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
かかるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては“エピクロン(登録商標)”HP−7200、HP−7200L、HP−7200H、HP−7200HH、HP−7200HHH(以上、DIC(株)製)、“Tactix(登録商標)”558(ハンツマン・アドバンスト・マテリアル(株)製)、XD−1000−1L、XD−1000−2L(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
かかるビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”YX4000H、YX4000、YL6616(以上、三菱化学(株)製)、NC−3000(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
かかるイソシアネート変性エポキシ樹脂の市販品としては、オキサゾリドン環を有するXAC4151、AER4152(旭化成エポキシ(株)製)やACR1348((株)ADEKA製)などが挙げられる。
かかるテトラフェニルエタン型エポキシ樹脂の市販品としては、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン型エポキシ樹脂である“jER(登録商標)”1031(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
かかるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂の市販品としては、“タクチックス(登録商標)”742(ハンツマン・アドバンズド・マテリアルズ(株)製)などが挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、α,β−不飽和ジカルボン酸を含む酸成分とアルコールとを反応させて得られる不飽和ポリエステルを、重合性不飽和単量体に溶解したものが挙げられる。α,β−不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等及びこれらの酸無水物等の誘導体等が挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。また、必要に応じてα,β−不飽和ジカルボン酸以外の酸成分としてフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等の飽和ジカルボン酸及びこれらの酸無水物等の誘導体をα,β−不飽和ジカルボン酸と併用してもよい。アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族グリコール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピレンオキシド(1〜100モル)付加物、キシレングリコール等の芳香族ジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール等が挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。不飽和ポリエステル樹脂の具体例としては、例えば、フマル酸又はマレイン酸とビスフェノールAのエチレンオキサイド(以下、EOと略す。)付加物との縮合物、フマル酸又はマレイン酸とビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下、POと略す。)付加物との縮合物及びフマル酸又はマレイン酸とビスフェノールAのEO及びPO付加物(EO及びPOの付加は、ランダムでもブロックでもよい)との縮合物等が含まれ、これらの縮合物は必要に応じてスチレン等のモノマーに溶解したものでもよい。不飽和ポリエステル樹脂の市販品としては、“ユピカ(登録商標)”(日本ユピカ(株)製)、“リゴラック(登録商標)”(昭和電工(株)製)、“ポリセット(登録商標)”(日立化成工業(株)製)等が挙げられる。
ビニルエステル樹脂としては、前記エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸とをエステル化させることで得られるエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。α,β−不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、チグリン酸及び桂皮酸等が挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。ビニルエステル樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(メタ)アクリレート変性物(ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基と(メタ)アクリル酸のカルボキシル基とが反応して得られる末端(メタ)アクリレート変性樹脂等)等が含まれ、これらの変性物は必要に応じてスチレン等のモノマーに溶解したものでもよい。ビニルエステル樹脂の市販品としては、“ディックライト(登録商標)”(DIC(株)製)、“ネオポール(登録商標)”(日本ユピカ(株)製)、“リポキシ(登録商標)”(昭和高分子(株)製)等が挙げられる。
ベンゾオキサジン樹脂としては、o−クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、m−クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、p−クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール−メチルアミン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール−シクロヘキシルアミン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール−m−トルイジン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール−3,5−ジメチルアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA−アミン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールF−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールS−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ジヒドロキシジフェニルスルホン−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ジヒドロキシジフェニルエーテル−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾフェノン型ベンゾオキサジン樹脂、ビフェニル型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールAF−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA−メチルアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール−ジアミノジフェニルメタン型ベンゾオキサジン樹脂、トリフェニルメタン型ベンゾオキサジン樹脂、およびフェノールフタレイン型ベンゾオキサジン樹脂などが挙げられる。ベンゾオキサジン樹脂の市販品としては、BF−BXZ、BS−BXZ、BA−BXZ(以上、小西化学工業(株)製)等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、カシュー油、リグニン、レゾルシン及びカテコール等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びフルフラール等のアルデヒド類との縮合により得られる樹脂が挙げられ、ノボラック樹脂やレゾール樹脂等が挙げられる。ノボラック樹脂は、シュウ酸等の酸触媒存在下で、フェノールとホルムアルデヒドとを同量又はフェノール過剰の条件で反応させることで得られる。レゾール樹脂は、水酸化ナトリウム、アンモニア又は有機アミン等の塩基触媒の存在下で、フェノールとホルムアルデヒドとを同量又はホルムアルデヒド過剰の条件で反応させることにより得られる。フェノール樹脂の市販品としては、“スミライトレジン(登録商標)”(住友ベークライト(株)製)、レヂトップ(群栄化学工業(株)製)、“AVライト(登録商標)”(旭有機材工業(株)製)等が挙げられる。
尿素樹脂としては、尿素とホルムアルデヒドとの縮合によって得られる樹脂が挙げられる。尿素樹脂の市販品としては、UA−144((株)サンベーク製)等が挙げられる。
メラミン樹脂としては、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合により得られる樹脂が挙げられる。メラミン樹脂の市販品としては、“ニカラック(登録商標)”((株)三和ケミカル製)等が挙げられる。
熱硬化性ポリイミド樹脂としては、少なくとも主構造にイミド環を含み、かつ末端又は主鎖内にフェニルエチニル基、ナジイミド基、マレイミド基、アセチレン基等から選ばれるいずれか一つ以上を含む樹脂が挙げられる。ポリイミド樹脂の市販品としては、PETI−330(宇部興産(株)製)等が挙げられる。
これらの熱硬化性樹脂の中でも、耐熱性、力学特性および炭素繊維との接着性のバランスに優れていることから、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤および/または(C)硬化促進剤から構成されるエポキシ樹脂組成物が好ましく用いられる。
かかるエポキシ樹脂組成物は、耐熱性、弾性率などの力学特性の観点から、(A)エポキシ樹脂100質量部中に3官能以上のエポキシ樹脂が40質量部以上含まれることが好ましく、より好ましくは3官能以上のエポキシ樹脂が50質量部以上、さらに好ましくは55質量部以上含まれることである。
かかる3官能以上のエポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシリレンジアミンや、これらのハロゲン、アルキノール置換体、水添品、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、3官能以上のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂などが挙げられる。かかる3官能以上のエポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”152、154、604、630、1031(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”N−660、N−665、N−670、N−673、N−695、N−740、N−770、N−775、HP−7200H、HP−7200HH、HP−7200HHH(以上、DIC(株)製)“スミエポキシ(登録商標)”ELM100、ELM120、ELM434(以上、住友化学(株)製)、YH434L(以上、新日鐵化学(株)製)、TETRAD−X、TETRAD−C(以上、三菱ガス化学(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY0500、MY0510、MY0600、MY720、MY721、“Tactix(登録商標)”742(以上、ハンツマン・アドバンズド・マテリアルズ(株)製)等が挙げられる。
かかる(B)硬化剤としては、特に限定されるものではないが、芳香族アミンや脂環式アミンなどのアミン、フェノール樹脂、ジシアンジアミドまたはその誘導体、酸無水物、ポリアミノアミド、有機酸ヒドラジド、イソシアネートを用いてもよい。
かかる芳香族アミンとしては、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
かかるフェノール樹脂としては、上記フェノール樹脂で例示されたものを任意に用いることができる。
これらの中でも、耐熱性に優れることから芳香族アミンやフェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、耐熱性、保存安定性、力学特性のバランスに優れていることからより好ましくはジアミノジフェニルスルホンを用いることである。
また、かかる硬化剤の総量は、全エポキシ樹脂成分のエポキシ基1当量に対し、活性水素基が0.6〜1.2当量の範囲となる量を含むことが好ましく、より好ましくは0.7〜0.9当量の範囲となる量を含むことである。ここで、活性水素基とは、硬化剤成分のエポキシ基と反応しうる官能基を意味し、活性水素基が0.6当量に満たない場合は、硬化物の反応率、耐熱性、弾性率が不足し、また、繊維強化複合材料のガラス転移温度や強度が不足する場合がある。また、活性水素基が1.2当量を超える場合は、硬化物の反応率、ガラス転移温度、弾性率は十分であるが、塑性変形能力が不足するため、繊維強化複合材料の耐衝撃性が不足する場合がある。
かかる(C)硬化促進剤としては、ウレア化合物、第三級アミンとその塩、イミダゾールとその塩、トリフェニルホスフィンまたはその誘導体、カルボン酸金属塩や、ルイス酸類やブレンステッド酸類とその塩類などが挙げられる。中でも、保存安定性と触媒能力のバランスから、ウレア化合物が好適に用いられる。
かかるウレア化合物としては、例えば、N,N‐ジメチル‐N’‐(3,4‐ジクロロフェニル)ウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’‐メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、3‐フェニル‐1,1‐ジメチルウレアなどを使用することができる。かかるウレア化合物の市販品としては、DCMU99(保土ヶ谷化学(株)製)、“Omicure(登録商標)”24、52、94(以上、Emerald Performance Materials, LLC製)などが挙げられる。
かかるウレア化合物の配合量は、全エポキシ樹脂成分100質量部に対して1〜4質量部含むことが好ましい。かかるウレア化合物の配合量が1質量部に満たない場合は、反応が十分に進行せず、硬化物の弾性率と耐熱性が不足することがある。また、かかるウレア化合物の配合量が4質量部を超える場合は、エポキシ樹脂の自己重合反応が、エポキシ樹脂と硬化剤との反応を阻害するため、硬化物の靭性が不足することや、弾性率が低下することがある。
本発明で用いられるプリプレグには、靱性や流動性を調整するために、(D)熱可塑性樹脂が含まれることが好ましく、耐熱性の観点から、ポリアミド、ポリイミド、およびポリスルホンから選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。なお、かかる(D)熱可塑性樹脂は、プリプレグを構成する熱硬化性樹脂に含まれていると良い。さらに、熱硬化性樹脂として(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤および/または(C)硬化促進剤から構成されるエポキシ樹脂組成物が用いられる場合、かかる(D)熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂に可溶性の熱可塑性樹脂や、ゴム粒子および熱可塑性樹脂粒子等の有機粒子等を配合することができる。かかるエポキシ樹脂に可溶性の熱可塑性樹脂としては、樹脂と強化繊維との接着性改善効果が期待できる水素結合性の官能基を有する熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
かかるエポキシ樹脂可溶で、水素結合性官能基を有する熱可塑性樹脂として、アルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂、アミド結合を有する熱可塑性樹脂やスルホニル基を有する熱可塑性樹脂を使用することができる。
かかるアルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂を挙げることができ、また、アミド結合を有する熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルピロリドンを挙げることができ、さらに、スルホニル基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリスルホンを挙げることができる。ポリアミド、ポリイミドおよびポリスルホンは、主鎖にエーテル結合、カルボニル基などの官能基を有してもよい。ポリアミドは、アミド基の窒素原子に置換基を有してもよい。
かかるエポキシ樹脂に可溶で水素結合性官能基を有する熱可塑性樹脂の市販品を例示すると、ポリビニルアセタール樹脂として、デンカブチラール(電気化学工業(株)製)、“ビニレック(登録商標)”(チッソ(株)製)、フェノキシ樹脂として、“UCAR(登録商標)”PKHP(ユニオンカーバイド(株)製)、ポリアミド樹脂として“マクロメルト(登録商標)”(ヘンケル白水(株)製)、“アミラン(登録商標)”(東レ(株)製)、ポリイミドとして“ウルテム(登録商標)”(ジェネラル・エレクトリック(株)製)、“Matrimid(登録商標)”5218(チバ(株)製)、ポリスルホンとして“スミカエクセル(登録商標)”(住友化学(株)製)、“UDEL(登録商標)”、RADEL(登録商標)”(以上、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製)、ポリビニルピロリドンとして、“ルビスコール(登録商標)”(ビーエーエスエフジャパン(株)製)を挙げることができる。
また、アクリル系樹脂は、エポキシ樹脂との相溶性が高く、増粘等の流動性調整のために好適に用いられる。アクリル樹脂の市販品を例示すると、“ダイヤナール(登録商標)”BRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、“マツモトマイクロスフェアー(登録商標)”M,M100,M500(松本油脂製薬(株)製)、“Nanostrength(登録商標)”E40F、M22N、M52N(アルケマ(株)製)などを挙げることができる。
本発明に好ましく用いられるエポキシ樹脂組成物には、ゴム粒子を配合することもできる。かかるゴム粒子としては、架橋ゴム粒子、および架橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコアシェルゴム粒子が、取り扱い性等の観点から好ましく用いられる。
前記架橋ゴム粒子の市販品としては、カルボキシル変性のブタジエン−アクリロニトリル共重合体の架橋物からなるFX501P(JSR(株)製)、アクリルゴム微粒子からなるCX−MNシリーズ(日本触媒(株)製)、YR−500シリーズ(新日鐵化学(株)製)等を使用することができる。
コアシェルゴム粒子の市販品としては、例えば、ブタジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物からなる“パラロイド(登録商標)”EXL−2655(呉羽化学工業(株)製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体からなる“スタフィロイド(登録商標)”AC−3355、TR−2122(以上、武田薬品工業(株)製)、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合物からなる“PARALOID(登録商標)”EXL−2611、EXL−3387(以上、Rohm&Haas社製)、“カネエース(登録商標)”MX(カネカ(株)製)等を使用することができる。
熱可塑性樹脂粒子としては、ポリアミド粒子やポリイミド粒子が好ましく用いられ、ポリアミド粒子の市販品として、SP−500(東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”(アルケマ(株)製)等を使用することができる。
本発明では、本発明の効果を損なわない範囲において、エポキシ樹脂組成物の増粘等の流動性調整のため、エポキシ樹脂組成物に、シリカ、アルミナ、スメクタイトおよび合成マイカ等の無機粒子を配合することができる。
本発明で得られる繊維強化複合材料のガラス転移温度は、160℃以上であることが必要であり、好ましくは170℃以上である。繊維強化複合材料のガラス転移温度が160℃に満たない場合、耐熱性が不足するため、自動車の外板部材に使用した際は塗装工程で変形したり、自転車のリムに使用した場合は、ブレーキング際にブレーキシューとの摩擦熱により、リムが加熱されて変形したり、さらには繊維強化複合材料を加圧成形し、金型等から取り出す際に変形する。
かかるガラス転移温度が160℃に満たない場合は、本発明の範囲内で、例えば、下記の調整方法の少なくとも1つ以上の方法を行うことにより、ガラス転移温度を向上させることができる。
(1)加圧成形温度を高くする。
(2)熱硬化性樹脂が(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤および/または(C)硬化促進剤から構成されるエポキシ樹脂組成物である場合は、3官能以上のエポキシ樹脂を配合する、または配合量を増やす。
(3)熱硬化性樹脂が(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤および/または(C)硬化促進剤から構成されるエポキシ樹脂組成物である場合は、(B)硬化剤として芳香族アミンおよびフェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種を配合する。
(4)熱硬化性樹脂の芳香環骨格の含有割合を増やす。
(5)ベンゾオキサジン樹脂を配合する、または配合量を増やす。
(6)フェノール樹脂を配合する、または配合量を増やす。
(7)メラミン樹脂を配合する、または配合量を増やす。
(8)熱硬化性ポリイミド樹脂を配合する、または配合量を増やす。
ここで、繊維強化複合材料のガラス転移温度とは、繊維強化複合材料から10mgを切り出し、TAインスツルメンツ社製DSC2910(型番)を用いて、30℃〜350℃の温度範囲を昇温速度5℃/minにて、測定を行って得られた、ガラス転移領域の中点のことを指す。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、成形圧力(P)/樹脂粘度(η)の最大値が、0.3×10〜1.5×10/sの範囲のあることが必要である(図1参照)。P/ηの最大値が、0.3×10に満たない場合は、樹脂の流動が不足し、繊維強化複合材料内部にボイドが残り、繊維強化複合材料の強度が不足したり、樹脂が十分に繊維強化複合材料全体に行き渡らないため、樹脂の欠損により外観が悪化する。また、かかる最大値が、1.5×10を超える場合は、繊維強化複合材料中の樹脂の流動性が高すぎるため、成形品の樹脂含有率が低下により成形品の耐衝撃性が下がったり、強化繊維の配向の乱れによる強度低下と表面外観の悪化や、成形品表面の強化繊維の浮き出し、成形品表面のボイドが発生等の表面外観の悪化や、成形品中の樹脂不足による成形品内部のボイド発生に起因する成形品の強度低下が発生したり、製品重量のばらつきが大きくなる。
ここで、加圧成形過程におけるηを測定する手段は、特に限定されるものではないが、以下の方法で測定することができる。まず、加圧成形過程におけるプリプレグの温度を測定する。プリプレグの温度は、プリプレグ表面に温度センサーを貼付し、かかるプリプレグを加圧成形することにより測定する。かかる方法で得られた温度条件で、本発明で用いる熱硬化性樹脂を、動的粘弾性測定装置(ARES:TA Instruments社製)で、パラレルプレートの直径40mm、周波数0.5Hz、プレート間隔1mmの条件で測定することにより、加圧成形過程におけるηが測定できる。
また、本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、P/ηが0.01×10以上の範囲のP/ηの時間積分値が、55×10〜380×10である必要がある(図1参照)。かかる時間積分値が55×10に満たない場合は、繊維強化複合材料中の樹脂の流動が不足し、繊維強化複合材料中にボイドが残るため、得られる繊維強化複合材料の強度が低下したり、樹脂の欠損により表面外観が悪くなる。また、かかる時間積分値が380×10を超える場合は、繊維強化複合材料中の樹脂の流動が多すぎるため、得られる繊維強化複合材料の樹脂含有率が低下し、耐衝撃性が低下したり、繊維強化複合材料中の樹脂が不足するため、繊維強化複合材料中にボイドが発生し、得られる繊維強化複合材料の強度が低下したり、表面外観が悪くなる。かかる時間積分値は、P/ηと時間のグラフより、台形法やシンプソン法等の数値積分法の理論を用いて算出できる。
さらに、本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、ηの最低値が0.7Pa・s以上である必要がある。かかるηが、0.7Pa・sに満たない場合は、成形中の樹脂の流動性が高すぎるため、繊維強化複合材料中で樹脂が沈みこみ、繊維強化複合材料の上面の樹脂が欠損し、表面外観が悪くなる。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂の1.5℃/minで昇温したときの80℃におけるηは、タックの制御やプリプレグへの塗布し易さの観点から、0.01〜300Pa・sの範囲であることが好ましく、より好ましくは、1〜200Pa・sの範囲である。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、加圧成形の温度が、160℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましい。かかる温度が160℃に満たない場合は、得られる繊維強化複合材料のガラス転移温度が、低くなりがちであるため好ましくない。
本発明の熱および圧力を付与する方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、内圧成形法等を適宜使用することができる。
オートクレーブ成形法は、所定の形状のツール板にプリプレグを積層して、バッギングフィルムで覆い、積層物内を脱気しながら加圧、加熱硬化させる方法であり、繊維配向が精密に制御でき、またボイドの発生が少ないため、力学特性に優れ、また高品位な成形体が得られる。
また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せしめ、成形する方法である。本方法は、ゴルフシャフト、バッド、テニスやバドミントン等のラケットの如き複雑な形状物を成形する際に好ましく用いられる。
本発明の方法で製造された繊維強化複合材料は、スポーツ用途、一般産業用途および航空宇宙用途に好適に用いられる。より、具体的には、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニスやバドミントンのラケット用途、ホッケー等のスティック用途、自転車用部品、自転車フレーム、自転車リムおよびスキーポール用途に用いられる。また、一般産業用途では、外板部材等の自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、および補修補強材料等に用いられる。航空宇宙用途では、胴体、主翼、尾翼、動翼、タービンケース、フェアリング、カウル、ドア、座席、内装材などの航空機用途、構体、アンテナなどの人工衛星部材等に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
本実施例および比較例に用いた熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂および強化繊維は、以下の通りである。
<(A)エポキシ樹脂>
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”828、三菱化学(株)製、エポキシ当量:189、2官能)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”1001、三菱化学(株)製、エポキシ当量:475、2官能)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”1002、三菱化学(株)製、エポキシ当量:650、2官能)
・イソシアネート変性エポキシ樹脂(XAC4151、旭化成エポキシ(株)製、エポキシ当量:420、2官能)
・フェノールノボラック型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”154、三菱化学(株)製、エポキシ当量:178、6.5官能)
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(住友化学(株)製、エポキシ当量:120、4官能)。
<(B)硬化剤>
・ジシアンジアミド(DICY7、三菱化学(株)製、活性水素当量:12)
・4,4’‐ジアミノジフェニルスルホン(“セイカキュカ(登録商標)”S、和歌山精化工業(株)製、活性水素当量:62)。
<(C)硬化促進剤>
・3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DCMU99、保土ヶ谷化学工業(株)製)
・2,4−トルエンビス(ジメチルウレア)(“Omicure(登録商標)”24、Emerald Performance Materials, LLC製)。
<(D)熱可塑性樹脂>
・ポリビニルホルマール(“ビニレック(登録商標)”K、チッソ(株)製)
・ポリスルホン(“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P、住友化学(株)製)。
<強化繊維>
・炭素繊維(“トレカ(登録商標)”T700S、東レ(株)製、引張弾性率:230GPa、引張強度:4900MPa)。
同様に、上記以外の原料は、以下の通りである。
・サポナイト(“スメクトン(登録商標)”SA、クニミネ工業(株)製)
・N−イソブトキシメチルアクリルアミド(アマイドIBM、笠野興産(株)製)。
(1)繊維強化複合材料のガラス転移温度の測定方法
繊維強化複合材料から10mgを切り出し、TAインスツルメンツ社製DSC2910(型番)を用いて、30℃〜350℃の温度範囲を昇温速度5℃/minにて、測定を行って得られた曲線から、ガラス転移領域の中点を算出し、これをガラス転移温度とした。
(2)加圧成形過程における温度の測定
プリプレグの加圧成形過程における温度は、プリプレグ表面に温度センサーを貼付し、かかるプリプレグを加圧成形することにより測定した(図2参照)。
(3)熱硬化性樹脂の加圧成形過程におけるηの測定方法
熱硬化性樹脂の加圧成形過程におけるηは、前記(2)項で測定した温度条件で、動的粘弾性測定装置(ARES:TA Instruments社製)を用いて、パラレルプレートの直径40mm、周波数0.5Hz、プレート間隔1mmの条件で測定した。
(4)加圧成形におけるP/ηの算出方法
加圧成形におけるP/ηは、前記(3)項で得られた熱硬化性樹脂の加圧成形過程におけるηで成形圧力Pを除することにより、算出できる(図1参照)。
(5)加圧成形におけるP/ηの時間積分値の算出方法。
加圧成形におけるP/ηの時間積分値は、前記(4)項で得られた加圧成形のおけるP/ηが0.01×10以上である範囲を、1区間を10秒として台形法を用いて積分することにより、算出した。
(6)熱硬化性樹脂の1.5℃/minで昇温したときの80℃におけるηの測定方法
熱硬化性樹脂の1.5℃/minで昇温したときの80℃におけるηは、動的粘弾性測定装置(ARES:TA Instruments社製)を用いて、40〜100℃の温度範囲を昇温速度1.5℃/minにて、パラレルプレートの直径40mm、周波数0.5Hz、プレート間隔1mmの条件で測定した。
(7)繊維強化複合材料のボイド含有率の測定方法。
かかる繊維強化複合材料のボイド含有率は、繊維強化複合材料の断面をサンドペーパーおよびアルミナ粉で研磨し、光学顕微鏡で25倍に拡大して断面写真を撮影する。かかる断面写真から繊維強化複合材料のボイド含有率を測定した。かかるボイド含有率が8%以内のものを○、8%を超えるものを×と評価した。
(8)繊維強化複合材料の表面外観の観察方法
かかる繊維強化複合材料の表面外観は、繊維強化複合材料の表面を観察し、強化繊維の配向の乱れ、樹脂の欠損、強化繊維の浮き出し、成形品表面のボイドが見られないものを○、見られるものを×と評価した。
(実施例1)
表1の実施例1の通り、“エピコート(登録商標)”jER828を15質量部、“エピコート(登録商標)”jER1001を20質量部、XAC4151を35質量部、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434を30質量部混合し、加熱溶融混練したのち、“ビニレック(登録商標)”Kを7質量部加え、170℃で1時間かけて溶解させた。次に60℃まで冷却し、DICY7を5質量部とDCMU99を3質量部加え、熱硬化性樹脂組成物を調製した。得られた熱硬化性樹脂を、リバースコーターを使用して離型紙上に塗布し、樹脂フィルムを作製した。シート状に一方向に整列させた“トレカ(登録商標)”T700Sに、かかる樹脂フィルム2枚を“トレカ(登録商標)”T700Sの両面から重ね、加熱プレスロールで加圧して熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、実施例1に記載の単位面積当たりの繊維質量125g/m、繊維質量含有率63%の一方向プリプレグを作製した。次に、得られたプリプレグを用いて、成形温度150℃、成形圧力0.6MPa、成形時間30分の条件で内圧成形を行い、内径30mm、積層構成[90/0の円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値と時間積分値は、それぞれ、0.3×10/s、76.9×10であり、ηの最低値と80℃における値は、それぞれ、2.1Pa・s、144.7Pa・sで良好であった。得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度は、165℃で良好であった。また、得られた繊維強化複合材料内部のボイド含有率と表面外観も、良好であった。
(実施例2)
表1の実施例2に記載の通り、“ビニレック(登録商標)”Kを4質量部に変えた以外は、実施例1と同様に熱硬化性樹脂組成物、ならびにプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用いて、内圧成形の成形圧力と時間を1.0MPaで8分、1.8MPaで22分に変えた以外は、実施例1と同様に内圧成形を行い、円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値と時間積分値、ηの最低値と80℃における値、ならびに得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度、内部のボイド含有率、表面外観は、いずれも良好であった。
(実施例3)
表1の実施例3に記載の通り、実施例1と同様に熱硬化性樹脂組成物、ならびにプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用いて、内圧成形の成形圧力と時間を0.3MPaで8分間加圧した後、0.8MPaで22分間加圧する方法に変えた以外は、実施例1と同様に内圧成形を行い、円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値と時間積分値、ηの最低値と80℃における値、ならびに得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度、内部のボイド含有率、表面外観は、いずれも良好であった。
(実施例4)
表1の実施例4に記載の通り、実施例2と同様に熱硬化性樹脂組成物、ならびにプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用いて、内圧成形の成形圧力を1.6MPaに変えた以外は、実施例1と同様に内圧成形を行い、円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値と時間積分値、ηの最低値と80℃における値、ならびに得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度、内部のボイド含有率、表面外観は、いずれも良好であった。
(実施例5)
表1の実施例5に記載の通り、実施例1と同様に熱硬化性樹脂組成物、ならびにプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用いて、内圧成形の成形温度を160℃、成形圧力を1.5MPaに変えた以外は、実施例1と同様に内圧成形を行い、円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値と時間積分値、ηの最低値と80℃における値は良好であり、得られた繊維強化複合材料は、実施例1に比べて成形温度を上げることにより、そのガラス転移温度が向上し、その内部のボイド含有率と表面外観も良好であった。
(実施例6)
表1の実施例6に記載の通り、“エピコート(登録商標)”jER828を20質量部、“エピコート(登録商標)”jER1001を25質量部、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434を55質量部、“ビニレック(登録商標)”Kを6質量部、DICY7を8質量部用いた以外は、実施例1と同様に熱硬化性樹脂組成物、ならびにプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用いて、内圧成形の成形圧力を0.4MPaに変えた以外は、実施例1と同様に内圧成形を行い、円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値と時間積分値、ηの最低値と80℃における値は良好であり、得られた繊維強化複合材料は、3官能以上のエポキシ樹脂の配合量を増やすことにより、実施例1に比べて、そのガラス転移温度が向上し、その内部のボイド含有率と表面外観も良好であった。
(実施例7)
表1の実施例7に記載の通り、(B)硬化剤を、DICY7を5.5質量部、“セイカキュカ(登録商標)”Sを7質量部に変えた以外は、実施例1と同様に熱硬化性樹脂組成物、ならびにプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用いて、内圧成形の成形圧力を1.8MPaに変えた以外は、実施例1と同様に内圧成形を行い、円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値と時間積分値、ηの最低値と80℃における値は良好であり、得られた繊維強化複合材料は、硬化剤として芳香族アミンを用いることにより、実施例1に比べて、そのガラス転移温度が向上し、その内部のボイド含有率と表面外観も良好であった。
(実施例8)
表1の実施例8に記載の通り、“ビニレック(登録商標)”Kの代わりに、“スミカエクセル(登録商標)”PES5003Pを8質量部用いた以外は、実施例1と同様に熱硬化性樹脂組成物、ならびにプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用いて、実施例7と同様に円筒状の繊維強化複合材料を作製した。このときのP/ηの最大値と時間積分値、ηの最低値と80℃における値は良好であり、得られた繊維強化複合材料は、熱可塑性樹脂としてポリスルホンを用いることにより、実施例1に比べて、そのガラス転移温度が向上し、その内部のボイド含有率と表面外観も良好であった。
(実施例9)
表1の実施例9に記載の通り、内圧成形の成形温度180℃、成形圧力1.6MPaに変えた以外は、実施例1と同様に、熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値と時間積分値、ηの最低値と80℃における値は良好であり、得られた繊維強化複合材料は、実施例5に比べて、成形温度を上げることにより、そのガラス転移温度が向上し、その内部のボイド含有率と表面外観も良好であった。
(実施例10)
表1の実施例10に記載の通り、“エピコート(登録商標)”jER828を20質量部、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434を80質量部混合し、加熱溶融混練したのち、“スミカエクセル(登録商標)”PES5003Pを13質量部加え、170℃で1時間かけて溶解させた。次に60℃まで冷却し、DICY7を5質量部、“セイカキュカ(登録商標)”Sを15質量部、DCMU99を4質量部加え、熱硬化性樹脂組成物を調製した。プリプレグは、実施例1同様に作製した。得られたプリプレグを用いて、内圧成形の成形温度を180℃、成形圧力を1.0MPaに変えた以外は、実施例1と同様に内圧成形を行い、円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値と時間積分値、ηの最低値と80℃における値は良好であり、得られた繊維強化複合材料は、実施例5や実施例9に比べてそのガラス転移温度が向上し、その内部のボイド含有率と表面外観も良好であった。
(実施例11)
表1の実施例11に記載の通り、“エピコート(登録商標)”jER1002を30質量部、“エピコート(登録商標)”jER154を70質量部混合し、加熱溶融混練したのち、60℃まで冷却し、“スメクトン(登録商標)”SAを15質量部、DICY7を10質量部、“Omicure(登録商標)”24を5質量部加え熱硬化性樹脂組成物を調製した。プリプレグは、実施例1同様に作製した。得られたプリプレグを用いて、実施例10と同様に、円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値と時間積分値、ηの最低値と80℃における値は良好であり、得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度、内部のボイド含有率、表面外観は、いずれも良好であった。
(比較例1)
表2の比較例1に記載の通り、“スメクトン(登録商標)”SAを5質量部、DICY7を2質量部、“Omicure(登録商標)”24を2質量部に変えた以外は、実施例11と同様に熱硬化性樹脂組成物、ならびにプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用いて、内圧成形の成形圧力を1.0MPa、成形時間を10分に変えた以外は、実施例1と同様に円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値と時間積分値、ηの最低値は好ましくなく、得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度は低く、その内部のボイド含有率、表面外観も好ましくかなった。
(比較例2)
表2の比較例2に記載の通り、実施例11と同様に熱硬化性樹脂組成物、ならびにプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用いて、比較例1と同様に円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値と時間積分値、ηの最低値と80℃における値は良好であり、得られた繊維強化複合材料の内部のボイド含有率、表面外観は良好であったが、そのガラス転移温度が不足していた。
(比較例3)
表2の比較例3に記載の通り、“エピコート(登録商標)”jER828を40質量部、“エピコート(登録商標)”jER1001を50質量部、“エピコート(登録商標)”jER154を10質量部混合し、加熱溶融混練したのち、“ビニレック(登録商標)”Kを7質量部加え、170℃で1時間かけて溶解させた。次に60℃まで冷却し、DICY7を5質量部、DCMU99を3質量部、アマイドIBMを5質量部加え、熱硬化性樹脂組成物を調製した。プリプレグは、実施例1同様に作製した。得られたプリプレグを用いて、実施例7と同様に円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値と時間積分値、ηの最低値は好ましくなく、得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度は低く、その内部のボイド含有率、表面外観も好ましくかなった。
(比較例4)
表2の比較例4に記載の通り、“エピコート(登録商標)”jER828を30質量部、“エピコート(登録商標)”jER1001を35質量部、“エピコート(登録商標)”jER154を35質量部混合し、加熱溶融混練したのち、“ビニレック(登録商標)”Kを5質量部を加え、170℃で1時間かけて溶解させた。次に60℃まで冷却し、DICY7を3.5質量部、DCMU99を4質量部加え、熱硬化性樹脂組成物を調製した。プリプレグは、実施例1同様に作製した。得られたプリプレグを用いて、成形圧力0.3MPaに変えた以外は、実施例1と同様に円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのηの最低値は低く、得られた繊維強化複合材料の表面外観も好ましくなかった。
(比較例5)
表2の比較例5に記載の通り、実施例1と同様に、熱硬化性樹脂組成物、ならびにプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用いて、成形温度を180℃、成形圧力を1.9MPaに変えた以外は、実施例1と同様に円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値は大きく、得られた繊維強化複合材料の内部のボイド含有率、表面外観も好ましくかなった。
(比較例6)
表2の比較例6に記載の通り、実施例1と同様に、熱硬化性樹脂組成物、ならびにプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用いて、成形圧力を0.5MPaに変えた以外は、実施例1と同様に円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの最大値は小さく、得られた繊維強化複合材料の内部のボイド含有率、表面外観も好ましくかなった。
(比較例7)
表2の比較例7に記載の通り、実施例2と同様に、熱硬化性樹脂組成物、ならびにプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用いて、成形圧力を1.7MPaに変えた以外は、実施例1と同様に円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの時間積分値は大きく、得られた繊維強化複合材料の内部のボイド含有率、表面外観も好ましくかなった。
(比較例8)
表2の比較例8に記載の通り、実施例1と同様に、熱硬化性樹脂組成物、ならびにプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用いて、成形圧力と温度を0.3MPaで8分間加圧した後、0.6MPaで22分間加圧する方法に変えた以外は、実施例1と同様に円筒状の繊維強化複合材料を得た。このときのP/ηの時間積分値は小さく、得られた繊維強化複合材料の内部のボイド含有率、表面外観も好ましくかなった。
Figure 2012196921
Figure 2012196921

Claims (10)

  1. 少なくとも強化繊維と熱硬化性樹脂から構成されるプリプレグを用いて、ガラス転移温度が160℃以上である繊維強化複合材料を加圧成形により製造する方法であって、成形圧力(P)と樹脂粘度(η)が下記(1)〜(3)を満たす条件で成形することを特徴とする、繊維強化複合材料の製造方法。
    (1)P/ηの最大値が、0.3×10〜1.5×10/s。
    (2)成形開始からP/ηが0.01以上の範囲のP/ηの時間積分値が、55×10〜380×10
    (3)ηの最低値が、0.7Pa・s以上。
  2. 加圧成形温度が160℃以上である、請求項1に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  3. 熱硬化性樹脂が(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤および/または(C)硬化促進剤から構成されるエポキシ樹脂組成物である、請求項1または2に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  4. (A)エポキシ樹脂100質量部中に、3官能以上のエポキシ樹脂が40質量部以上含まれる、請求項3に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  5. (B)硬化剤が、芳香族アミンおよびフェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項3または4に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  6. 前記プリプレグが、さらに(D)熱可塑性樹脂を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  7. (D)熱可塑性樹脂が、ポリアミド、ポリイミド、およびポリスルホンから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項6に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  8. 強化繊維が炭素繊維である、請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  9. 1.5℃/分で昇温したときの熱硬化性樹脂の80℃におけるηが、0.01〜300Pa・sである、請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の方法で製造される、スポーツ用途または一般産業用途に用いられる繊維強化複合材料。
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