JP5584047B2 - ベンゾオキサジン樹脂組成物及び繊維強化複合材料 - Google Patents

ベンゾオキサジン樹脂組成物及び繊維強化複合材料 Download PDF

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本発明は、特に、航空機用途に必要な、優れた各種機械物性が高次元で達成可能なベンゾオキサジン樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた、航空機用途、船舶用途、自動車用途、スポーツ用途、その他一般産業用途に好適で、特に、優れた各種機械物性が高次元で同時に得られることから更なる軽量化が可能な繊維強化複合材料、及び該複合材料を得るために利用可能なプリプレグに関する。
各種繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化複合材料は、その優れた力学物性から、航空機、船舶、自動車、スポーツ用品やその他一般産業用途などに広く使われている。
近年、その使用実績を積むに従い、繊維強化複合材料の適用範囲はますます拡がっている。
このような繊維強化複合材料として、ベンゾオキサジン環を有する化合物を利用したものが、例えば、特許文献1及び2に提案されている。該ベンゾオキサジン環を有する化合物は、優れた耐湿性及び耐熱性を有するが、靱性に劣る問題があり、エポキシ樹脂や各種樹脂微粒子等を配合してその欠点を補う工夫がなされている。
ところで、特に、航空機用途で必要とされる力学特性の中でも衝撃後圧縮強度(以下CAIと略す)、高温高湿時における層間剪断強度(以下ILSSと略す)及び曲げ破壊靱性等を高次元で同時に達成させることで、材料の更なる軽量化が望まれている。加えて、高温特性を維持するために、使用する樹脂材料のガラス転移温度も高く維持する必要がある。しかし、上記特許文献に具体的に記載された例では、必ずしもこれらが高次元で同時に達成できるとは言えない。
上記力学特性を向上させる技術として、例えば、特許文献3には、CAIを向上させる目的で、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂にポリアミド12微粒子を配合する技術が開示されている。
このような技術を利用した繊維強化複合材料は、CAIをある程度高く維持することは可能であるが、高温高湿時におけるILSSを両立させるには至っていない。
従って、現在使用されている複合材料を代替する場合、現状よりも軽量化を進めるためにより高い各種機械物性を同時に有する材料の開発が要求されている。
特開2007−16121号公報 特開2010−13636号公報 特開2009−286895号公報
本発明の課題は、優れたCAI、ILSS及び曲げ破壊靱性を高次元で同時に達成でき、且つ樹脂材料のガラス転移温度も高く維持しうる繊維強化複合材料、それに用いるプリプレグ及びベンゾオキサジン樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(A)特定のベンゾオキサジン環を有する化合物と、(B)エポキシ樹脂と、(C)硬化剤と、(D)靭性向上剤と、特定粒径のポリアミド12粒子とを、従来提案されている範囲よりも狭い特定割合で配合するとともに、且つポリアミド12粒子の平均粒径によってその配合割合を変更することにより、予想外にもトレードオフ関係にある各種機械物性を高次元で同時に達成しうることを見い出し、本発明を完成した。
本発明によれば、(A)分子中に式(1)で表されるベンゾオキサジン環を有する化合物と、
Figure 0005584047
(式中、R1は、炭素数1〜12の鎖状アルキル基、炭素数3〜8の環状アルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜12の鎖状アルキル基若しくはハロゲンで置換されたフェニル基を示す。また、式中の芳香環の酸素原子が結合している炭素原子のオルト位とパラ位の少なくとも一方の炭素原子には水素原子が結合している。)
(B)エポキシ樹脂と、(C)硬化剤と、(D)靭性向上剤と、(E1)平均粒径1μm以上15μm未満のポリアミド12粒子を含み、
(A)成分及び(B)成分の含有割合が合計100質量%となるように、(A)成分70〜78質量%、及び(B)成分22〜30質量%を含み、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、(C)成分5〜20質量部、(D)成分3〜20質量部及び(E1)成分20〜30質量部含有し、(D)成分が溶解しているベンゾオキサジン樹脂組成物(以下、本発明の第1の組成物という場合がある)が提供される。
また本発明によれば、上記(A)〜(D)成分と、(E2)平均粒径15μm以上60μm以下のポリアミド12粒子を含み、
(A)成分及び(B)成分の含有割合が合計100質量%となるように、(A)成分70〜78質量%、及び(B)成分22〜30質量%を含み、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、(C)成分5〜20質量部、(D)成分3〜20質量部及び(E1)成分5質量部以上20質量部未満含有し、(D)成分が溶解しているベンゾオキサジン樹脂組成物(以下、本発明の第2の組成物という場合がある)が提供される。
更に本発明によれば、上記本発明の第1の組成物又は本発明の第2の組成物(以下、まとめて本発明の組成物ということがある)を強化繊維基材に含浸してなるプリプレグが提供される。
更にまた本発明によれば、本発明の組成物の硬化物と繊維強化基材とからなる繊維強化複合材料が提供される。
本発明の繊維強化複合材料は、本発明の組成物を採用するので、優れたCAI、ILSS及び曲げ破壊靱性を高次元で同時に達成でき、且つ樹脂材料のガラス転移温度も高く維持することができる。従って、本発明の繊維強化複合材料は、航空機用途、船舶用途、自動車用途、スポーツ用途、その他一般産業用途に好適に利用でき、特に、航空機用途に有用である。
以下本発明について詳細に説明する。
本発明の組成物に用いる(A)成分は、上記式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂である。
式(1)において、R1は、炭素数1〜12の鎖状アルキル基、炭素数3〜8の環状アルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜12の鎖状アルキル基若しくはハロゲンで置換されたフェニル基を示す。
炭素数1〜12の鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が挙げられる。
炭素数3〜8の環状アルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
炭素数1〜12の鎖状アルキル基若しくはハロゲンで置換されたフェニル基としては、例えば、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−エチルフェニル基、m−エチルフェニル基、p−エチルフェニル基、o−t−ブチルフェニル基、m−t−ブチルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、o−クロロフェニル基、o−ブロモフェニル基が挙げられる。
1としては、上記例示の中でも、良好な取り扱い性を与えることから、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、o−メチルフェニル基が好ましい。
(A)成分のベンゾオキサジン樹脂としては、例えば、以下の式で表されるモノマー、該モノマーが数分子重合したオリゴマー、これらモノマーとは異なる構造を有するベンゾオキサジン環を有する化合物とこれらモノマーの少なくとも1種との反応物が好ましく挙げられる。
Figure 0005584047
Figure 0005584047
Figure 0005584047
(A)成分は、ベンゾオキサジン環が開環重合することにより、フェノール樹脂と同様の骨格をつくるために、難燃性に優れる。また、その緻密な構造から、低吸水率や、高弾性率といった優れた機械特性が得られる。
本発明の組成物に用いるエポキシ樹脂である(B)成分は、組成物の粘度をコントロールし、また、組成物の硬化性を高める成分である。
(B)成分としては、例えば、アミン類、フェノール類、カルボン酸、分子内不飽和炭素等の化合物を前駆体とするエポキシ樹脂が好ましい。
アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、キシレンジアミンのグリシジル化合物、トリグリシジルアミノフェノールや、グリシジルアニリンのそれぞれの位置異性体やアルキル基やハロゲンでの置換体が挙げられる。
以下、市販品を例示する場合、液状のものには、後述の動的粘弾性測定装置により得られる25℃における複素粘弾性率η*を粘度として記載している。
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンの市販品としては、例えば、「スミエポキシ」(登録商標。以下同じ)ELM434(住友化学(株)製)、「アラルダイト」(登録商標、以下同じ)MY720、「アラルダイト」MY721、「アラルダイト」MY9512、「アラルダイト」MY9612、「アラルダイト」MY9634、「アラルダイト」MY9663(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、「jER」(登録商標、以下同じ)604(三菱化学(株)製)が挙げられる。
トリグリシジルアミノフェノールの市販品としては、例えば、「jER」630(粘度:750mPa・s)(三菱化学(株)製)、「アラルダイト」MY0500(粘度:3500mPa・s)、MY0510(粘度:600mPa・s)(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、ELM100(粘度:16000mPa・s)(住友化学製)が挙げられる。
グリシジルアニリン類の市販品としては、例えば、GAN(粘度:120mPa・s)、GOT(粘度:60mPa・s)(以上日本化薬(株)製)が挙げられる。
フェノールを前駆体とするグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂やそれぞれの各種異性体やアルキル基、ハロゲン置換体が挙げられる。
また、フェノールを前駆体とするエポキシ樹脂をウレタンやイソシアネートで変性したエポキシ樹脂も、このタイプに含まれる。
液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、「jER」825(粘度:5000mPa・s)、「jER」826(粘度:8000mPa・s)、「jER」827(粘度:10000mPa・s)、「jER」828(粘度:13000mPa・s)、(以上三菱化学(株)製)、「エピクロン」(登録商標、以下同じ)850(粘度:13000mPa・s)(DIS(株)製)、「エポトート」(登録商標、以下同じ)YD−128(粘度:13000mPa・s)(新日鐵化学(株)製)、DER−331(粘度:13000mPa・s)、DER−332(粘度:5000mPa・s)(ダウケミカル社製)が挙げられる。
固形もしくは半固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、「jER」834、「jER」1001、「jER」1002、「jER」1003、「jER」1004、「jER」1004AF、「jER」1007、「jER」1009(以上三菱化学(株)製)が挙げられる。
液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、「jER」806(粘度:2000mPa・s)、「jER」807(粘度:3500mPa・s)、「jER」1750(粘度:1300mPa・s)、「jER」(以上三菱化学(株)製)、「エピクロン」830(粘度:3500mPa・s)(DIC(株)製)、「エポトート」YD−170(粘度:3500mPa・s)、「エポトート」YD−175(粘度:3500mPa・s)、(以上、新日鐵化学(株)製)が挙げられる。
固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、4004P、「jER」4007P、「jER」4009P(以上三菱化学(株)製)、「エポトート」YDF2001、「エポトート」YDF2004(以上新日鐵化学(株)製)が挙げられる。
ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、例えば、EXA−1515(DIC(株)製)が挙げられる。
ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、「jER」YX4000H、「jER」YX4000、「jER」YL6616(以上、三菱化学(株)製)、NC−3000(日本化薬(株)製)が挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、「jER」152、「jER」154(以上三菱化学(株)製)、「エピクロン」N−740、「エピクロン」N−770、「エピクロン」N−775(以上、DIC(株)製)が挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、「エピクロン」N−660、「エピクロン」N−665、「エピクロン」N−670、「エピクロン」N−673、「エピクロン」N−695(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−104S(以上、日本化薬(株)製)が挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、「デナコール」(登録商標、以下同じ)EX−201(粘度:250mPa・s)(ナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、「エピクロン」HP4032(DIC(株)製)、NC−7000、NC−7300(以上、日本化薬(株)製)が挙げられる。
トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、TMH−574(住友化学(株)製)が挙げられる。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、「エピクロン」HP7200、「エピクロン」HP7200L、「エピクロン」HP7200H(以上、DIC(株)製)、「Tactix」(登録商標)558(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、XD−1000−1L、XD−1000−2L(以上、日本化薬(株)製)が挙げられる。
ウレタンおよびイソシアネート変性エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、オキサゾリドン環を有するAER4152(旭化成イーマテリアルズ(株)製)が挙げられる。
カルボン酸を前駆体とするエポキシ樹脂としては、例えば、フタル酸のグリシジル化合物や、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸のグリシジル化合物やそれぞれの各種異性体が挙げられる。
フタル酸ジグリシジルエステルの市販品としては、例えば、「エポミック」(登録商標、以下同じ)R508(粘度:4000mPa・s)(三井化学(株)製)、「デナコール」EX−721(粘度:980mPa・s)(ナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルの市販品としては、例えば、「エポミック」R540(粘度:350mPa・s)(三井化学(株)製)、AK−601(粘度:300mPa・s)(日本化薬(株)製)が挙げられる。
ダイマー酸ジグリシジルエステルの市販品としては、例えば、「jER」871(粘度:650mPa・s)(三菱化学(株)製)、「エポトート」YD−171(粘度:650mPa・s)(新日鐵化学(株)製)が挙げられる。
分子内不飽和炭素を前駆体とするエポキシ樹脂としては、例えば、脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。
具体的には、(3',4'−エポキシシクロヘキサン)メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートの市販品としては、例えば、「セロキサイド」(登録商標、以下同じ)2021P(粘度:250mPa・s)(ダイセル化学工業(株)製)、CY179(粘度:400mPa・s)(ハンツマン・アドバンスドマテリアルズ社製)、(3',4'−エポキシシクロヘキサン)オクチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートの市販品としては、例えば、「セロキサイド」2081(粘度:100mPa・s)(ダイセル化学工業(株)製)、1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタンの市販品としては、例えば、「セロキサイド」3000(粘度:20mPa・s)(ダイセル化学工業(株)製)が挙げられる。
25℃で液状のエポキシ樹脂の25℃における粘度は、低ければ低いほどタックやドレープ性の観点から好ましく、エポキシ樹脂の市販品として得られる下限である5mPa・s以上20000mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上15000mPa・s以下がより好ましい。20000mPa・sを超えると、タックやドレープ性が低下することがある。
25℃で固形のエポキシ樹脂としては、芳香族含有量の高いエポキシ樹脂が難燃性を高めるために好ましく、例えば、ビフェニル骨格をもつエポキシ樹脂や、ナフタレン骨格をもつエポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明の組成物において、(A)成分及び(B)成分の含有割合は、これらの合計が100質量%となるように、(A)成分65〜78質量%、好ましくは70〜75質量%、及び(B)成分22〜35質量%、好ましくは25〜30質量%である。(A)成分の含有割合が65質量%未満、即ち、(B)成分の含有割合が35質量%を超える場合には、得られる強化繊維複合体のILSSが低下し、また樹脂硬化物のガラス転移温度が低下するおそれがある。
本発明の組成物において(C)成分の硬化剤としては、例えば、ジエチルトルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタキシレンジアミン、これらの各種誘導体等の芳香族アミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン等の脂肪族アミン、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等のカルボン酸無水物、アジピン酸ヒドラジド等のカルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、単官能フェノールやビスフェノールAのような多官能フェノール化合物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ポリフェノール化合物、ポリメルカプタン、カルボン酸塩、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体等のルイス酸錯体等の単独あるいは2以上の混合物が使用でき、なかでも芳香族アミン、スルホン酸エステル、単官能フェノールやビスフェノールAのような多官能フェノール化合物、ポリフェノール化合物の単独あるいは2以上の混合物が好ましい。
これら硬化剤は(A)成分のベンゾオキサジンや(B)成分のエポキシ樹脂と反応することで、耐熱・耐湿性に優れる樹脂組成物あるいは繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明の組成物において(C)成分の含有割合は、(A)成分+(B)成分100質量部に対して、5〜20質量部、好ましくは7〜15質量部である。5質量部未満では、硬化反応が遅いために、樹脂組成物全体の硬化度を上げるために、高温、長時間を要する。20質量部を超えると、硬化物のガラス転移温度等の機械物性が低下するおそれがある。
本発明の組成物において、(D)成分の靭性向上剤は、本発明の組成物に溶解する成分であって、有機微粒子、または有機微粒子を液状樹脂あるいは樹脂モノマー中に溶解させたものからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
ここで溶解とは、(D)成分の微粒子が組成物中に分散し、当該微粒子と組成物を構成する物質とが相互に親和性を有し、均一または混和した状態となっていることを意味する。
液状樹脂あるいは樹脂モノマーとしては、例えば、反応性エラストマー、ハイカーCTBN変性エポキシ樹脂、ハイカーCTB変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ニトリルゴム添加エポキシ樹脂、架橋アクリルゴム微粒子添加エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、熱可塑性エラストマー添加エポキシ樹脂が使用できる。
有機微粒子としては、例えば、熱硬化性樹脂微粒子、熱可塑性樹脂微粒子またはこれらの混合物を用いることができる。
熱硬化性樹脂微粒子としては、例えば、エポキシ樹脂微粒子、フェノール樹脂微粒子、メラミン樹脂微粒子、ウレア樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、ウレタン樹脂微粒子またはこれらの混合物等が挙げられる。
熱可塑性樹脂微粒子としては、例えば、共重合ポリエステル樹脂微粒子、フェノキシ樹脂微粒子、ポリイミド樹脂微粒子、ポリアミド樹脂微粒子、アクリル系微粒子、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂微粒子、スチレン系微粒子、オレフィン系微粒子、ナイロン系微粒子、ブタジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体またはこれらの混合物が挙げられる。
またアクリル系微粒子としては、メタクリル酸メチル・ブチルアクリレート・メタクリル酸メチルからなる共重合体として市販されている、Nanostrength M22(商品名、アルケマ社製)を利用することもできる。
コア/シェル型微粒子の市販されているものとして、スタフィロイドAC3355(商品名、ガンツ化成(株)製)、MX120(商品名、カネカ社製)等も利用することができる。
アクリル系微粒子の製法としては、(1)モノマーの重合、(2)ポリマーの化学処理法、(3)ポリマーの機械的粉砕法などがあるが、(3)の方法では微細なものが得られず、形状が不定形なため好ましくない。
重合法としては、例えば、乳化重合、ソープフリー乳化重合、分散重合、シード重合、懸濁重合またはこれらを互いに併用した方法があり、粒径が微細で、一部架橋構造、コア/シェル構造、中空構造、極性構造(エポキシ基、カルボキシル基、水酸基など)を有する微粒子が得られる、乳化重合、シード重合が用いられる。
コア/シェル型微粒子の市販されているものとして、スタフィロイドAC3355(商品名、武田薬品工業社製)、F351(商品名、日本ゼオン社製)、クレハパラロイドEXL−2655(商品名、呉羽化学工業社製)、MX120(商品名、カネカ社製)等が挙げられる。
本発明の組成物において樹脂の靭性等を向上させるために用いられる(D)成分の含有割合は、(A)成分+(B)成分100質量部に対して、3〜20質量部、好ましくは5〜15質量部である。3質量部未満では、樹脂組成物の靭性が低く、樹脂組成物硬化中にクラックが発生するおそれがあり、20質量部を超える場合には、樹脂組成物の耐熱性が低下するおそれがある。
本発明の組成物に用いる(E1)成分又は(E2)成分のポリアミド12粒子は、本発明の組成物中において粉末状態を維持しうる、好ましくは融点が170℃以上のものが好ましく、特に、175〜185℃のものが望ましい。ここで、融点は、示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定し、融解熱がピークとなる温度である。
(E1)成分のポリアミド12粉末の平均粒径は、1μm以上15μm未満、好ましくは5μm以上15μm未満である。(E2)成分のポリアミド12粉末の平均粒径は、15μm以上60μm以下、好ましくは15μm以上30μm以下である。このように、平均粒径により(E1)成分と(E2)成分とを分けている理由は、後述するこれら成分の含有割合を異なるように制御しないと、本発明の所望の効果が得られないからである。
ここで、平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて200〜500倍に拡大した粒子の任意に選択した100個の粒子について測定した、各粒子の長径の長さの平均値を意味する。
本発明に用いるポリアミド12粒子としては、市販品を用いることができ、例えば、「VESTOSINT1111、VESTOSINT2070、VESTOSINT2157、VESTOSINT2158、VESTOSINT2159(以上、登録商標、ダイセル・エボニック株式会社製)が挙げられる。
ポリアミド12粒子は、本発明の組成物の流動特性を低下させない点から球状粒子が好ましいが、非球状粒子でもよい。
本発明の第1の組成物において(E1)成分の含有割合は、(A)成分+(B)成分100質量部に対して、20〜30質量部、好ましくは20〜25質量部である。20質量部未満では、CAIが低下し、30質量部を超える場合には、ILSSが低下するおそれがある。
本発明の第2の組成物において(E2)成分の含有割合は、(A)成分+(B)成分100質量部に対して、5質量部以上20質量部未満、好ましくは7〜18質量部である。5質量部未満では、CAIおよび靱性が低下し、20質量部以上ではILSSが低下し、本発明の所望の効果が得られないおそれがある。
本発明の組成物には、その物性を損なわない範囲で、例えば、ナノカーボンや難燃剤、離型剤等を配合することができる。
ナノカーボンとしては、例えば、カーボンナノチューブ、フラーレンやそれぞれの誘導体が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、赤燐、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホルフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビスフェニルホスフェート、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート等のリン酸エステルや、ホウ酸エステル等が挙げられる。
離型剤としては、例えば、シリコンオイル、ステアリン酸エステル、カルナウバワックス等が挙げられる。
本発明の組成物の混練方法は、特に限定されない。例えば、ニーダーやプラネタリーミキサー、2軸押出機などが用いられる。また、粒子成分の分散性の点から、予めホモミキサー、3本ロール、ボールミル、ビーズミルおよび超音波などで、粒子をベンゾオキサジン樹脂組成物中に配合する液状樹脂成分に拡散させておくことが好ましい。更に、マトリックス樹脂との混合時や、粒子の予備拡散時等には、必要に応じて加熱・冷却、加圧・減圧しても良い。保存安定性の観点から、混練後は、速やかに冷蔵・冷凍庫で保管することが好ましい。
本発明の組成物の粘度は、タックやドレープ性の観点から、50℃において、10〜3000Pa・sが好ましい。より好ましくは10〜2500Pa・s、最も好ましくは100〜2000Pa・sである。10Pa・s未満では、本発明の組成物の沈み込みによるタックの経時変化が大きくなることがある。また、3000Pa・sを超えると、タックが弱くなり、また、ドレープ性も低下することがある。
本発明のプリプレグ及び繊維強化複合材料において、強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維等が好ましい。これらの繊維を2種以上混合して用いても構わないが、より軽量で、より耐久性の高い成形品を得るために、炭素繊維や黒鉛繊維を用いるのが良い。
本発明においては、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが可能であるが、耐衝撃性に優れ、高い剛性および機械強度を有する複合材料を得られることから、ストランド引張試験における引張弾性率が150〜650GPaであることが好ましく、より好ましくは200〜550GPaであり、さらに好ましくは230〜500GPaである。
なお、ストランド引張試験とは、束状の炭素繊維に下記組成の樹脂を含浸させ、130℃の温度で35分間硬化させた後、JIS R7601(1986)に基づいて行う試験をいう。
本発明のプリプレグ及び繊維強化複合材料において強化繊維の形態は特に限定されるものではなく、例えば、一方向に引き揃えた長繊維、トウ、織物、マット、ニット、組み紐、10mm未満の長さにチョップした短繊維等が用いられる。
ここで、長繊維とは実質的に10mm以上連続な単繊維もしくは繊維束である。短繊維とは10mm未満の長さに切断された繊維束である。また、特に、比強度、比弾性率が高いことを要求される用途には強化繊維束が単一方向に引き揃えられた配列が最も適しているが、取り扱いの容易なクロス(織物)状の配列も本発明には適している。
本発明のプリプレグは、本発明の組成物を繊維機材に含浸させてなるものである。
含浸させる方法としては、本発明の組成物をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、含浸させるウェット法、加熱により低粘度化し、含浸させるホットメルト法(ドライ法)等を挙げることができる。
ウェット法は、強化繊維をベンゾオキサジン樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法であり、ホットメルト法は、加熱により低粘度化したベンゾオキサジン樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、又は一旦ベンゾオキサジン樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで強化繊維の両側又は片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより強化繊維に樹脂を含浸させる方法である。
ホットメルト法においては、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上皆無となるため好ましい。
本発明のプリプレグは、単位面積あたりの強化繊維量が70〜3000g/m2であることが好ましい。強化繊維量が70g/m2未満では、繊維強化複合材料成形の際に所定の厚みを得るために積層枚数を多くする必要があり、作業が繁雑となることがある。一方、強化繊維量が3000g/m2を超えると、プリプレグのドレープ性が悪くなる傾向にある。なお、プリプレグが平面もしくは単純な局面であれば、強化繊維量は3000g/m2を超えても良い。また、繊維重量含有率は、好ましくは30〜90質量%であり、より好ましくは35〜85質量%であり、更に好ましくは40〜80質量%である。繊維重量含有率が30質量%未満では、樹脂の量が多すぎて、比強度と比弾性率に優れる繊維強化複合材料の利点が得られなかったり、繊維強化複合材料の成形の際、硬化時の発熱量が大きくなりすぎることがある。繊維重量含有率が90重量%を超えると、樹脂の含浸不良が生じ、得られる複合材料はボイドの多いものとなる恐れがある。
本発明のプリプレグは、積層後、積層物に圧力を付与しながら樹脂を加熱硬化させる方法等により、本発明の繊維強化複合材料とすることができる。
ここで熱及び圧力を付与する方法には、例えば、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法が挙げられる。
ラッピングテープ法は、マンドレル等の芯金にプリプレグを捲回して、繊維強化複合材料製の管状体を成形する方法であり、ゴルフシャフト、釣り竿等の棒状体を作製する際に好適な方法である。より具体的には、マンドレルにプリプレグを捲回し、プリプレグの固定及び圧力付与のため、プリプレグの外側に熱可塑性フィルムからなるラッピングテープを捲回し、オーブン中で樹脂を加熱硬化させた後、芯金を抜き取って管状体を得る方法である。
内圧成型法は、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せしめ、成形する方法である。この方法は、ゴルフシャフト、バッド、テニスやバドミントン等のラケットの如き複雑な形状物を成形する際に好ましく用いられる。
本発明の繊維強化複合材料は、基材に直接、樹脂組成物を含浸させ硬化させることによっても得られる。例えば、強化繊維基材を型内に配置し、その後、本発明の組成物を流し込み含浸させ硬化させる方法や、強化繊維基材および本発明の組成物からなるフィルムを積層し、該積層体を加熱・加圧する方法によっても製造できる。
本発明の組成物からなるフィルムとは、予め離型紙や離型フィルム上に所定量の組成物を均一な厚みで塗布したものを指す。ここで強化繊維基材としては、一方向に引き揃えた長繊維、二方向織物、不織布、マット、ニット、組み紐などが挙げられる。
積層とは、単に繊維基材を重ね合わせる場合のみならず、各種型やコア材に貼り付けてプリフォームする場合も含むものである。
コア材としては、フォームコアやハニカムコアなどが好ましく用いられる。フォームコアとしては、ウレタンやポリイミドが好ましく用いられる。ハニカムコアとしてはアルミコアやガラスコア、アラミドコアなどが好ましく用いられる。
本発明の繊維強化複合材料は、後述する実施例における条件で測定した、衝撃後圧縮強度(CAI)が、通常250MPa以上、好ましくは290MPa以上、層間せん断強度(ILSS)が、通常45MPa以上、好ましくは50MPa以上、曲げ破壊靱性が通常1.0MPa・m1/2以上、好ましくは1.2MPa・m1/2以上であり、かつ本発明の組成物を180℃、2時間の条件で硬化させた硬化物のガラス転移温度が通常180℃以上、好ましくは190℃以上であり、優れたCAI、ILSS及び曲げ破壊靱性を高次元で同時に達成でき、且つ樹脂材料のガラス転移温度にも優れるので、鉄道車両、航空機、建築部材や、その他一般産業用途に好適に用いられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。各種物性の測定は次の方法によった。結果を表1及び表2に示す。
実施例1〜5、比較例1〜9
各実施例、比較例について、表1及び表2に示す割合で原料を混合し、ベンゾオキサジン樹脂組成物を得た。
なお、ここで用いた原料は以下に示す通りである。
(A)成分:ベンゾオキサジン樹脂
F−a(ビスフェノールF−アニリン型、四国化成(株)製)
P−a(フェノール−アニリン型、四国化成(株)製)
(B)成分:エポキシ樹脂
「セロキサイド」(登録商標)2021P(ダイセル化学工業(株)製)
ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(YD−128、新日鐵化学(株)製)
(C)成分:硬化剤
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド(東京化成(株)製)
(D)成分:靭性向上剤
Nanostrength (M22、アルケマ社製)
フェノキシ樹脂(YP−70、新日鐵化学(株)製)
(E)成分
「VESTOSINT」(登録商標)2157(平均粒径55μmのポリアミド12、ダイセル・エボニック株式会社製)
「VESTOSINT」(登録商標)2158(平均粒径20μmのポリアミド12、ダイセル・エボニック株式会社製)
「VESTOSINT」(登録商標)2159(平均粒径10μmのポリアミド12、ダイセル・エボニック株式会社製)
「VESTOSINT」(登録商標)2170(平均粒径5μmのポリアミド12、ダイセル・エボニック株式会社製)
<ガラス転移温度の測定>
得られたベンゾオキサジン樹脂組成物を、180℃のオーブン中で2時間硬化して樹脂硬化物を得た。得られた硬化物を、示差熱量計(DSC)を用いて、JIS K7121(1987)に基づいて求めた中間点温度をガラス転移温度として測定した。
<プリプレグタック性試験>
得られたベンゾオキサジン樹脂組成物を用いて離型紙上に塗布し、樹脂フィルムを得た。該樹脂フィルムを、一方向に引き揃えた炭素繊維の上下から供給して含浸し、プリプレグを作製した。このプリプレグの単位面積当たりの炭素繊維量は150g/m2、マトリックス樹脂量は67g/m2であった。
得られたプリプレグのタックを触感法で判定した。プリプレグ表面から離型紙を引き剥がした直後に指でプリプレグを押さえタックの程よいものを○、やや強すぎるもしくはやや弱いものを△、タックが強すぎて指から剥がれないものや全くタックがなく指につかないものを×とした。
<CAIの測定>
得られたプリプレグを、[+45°/0°/−45°/90°]4s構成で、擬似等方的に32プライ積層し、オートクレーブにて、温度180℃、圧力0.6MPaで2時間加熱硬化し、CFRPを得た。このCFRPについて、SACMA SRM 2R−94に従い、縦150mm×横100mmのサンプルを切り出し、サンプルの中心部に6.7J/mmの落錘衝撃を与え、衝撃後圧縮強度を求めた
<ILSSの測定>
得られたプリプレグを、0度方向に12層積層し、オートクレーブ中で温度180℃、圧力0.6MPaで2時間加熱硬化し、CFRPを得た。このCFRPについて、ASTM D2402−07に従い、0度方向が13mm、幅方向が6.35mmの長方形に切り出し、ASTM D2402―07に従って、71℃の温水中に2週間浸漬し、充分に吸水させた後、82℃の環境下で層間剪断強度を測定した。
<曲げ破壊靱性の測定>
180℃の温度で2時間硬化させ、厚さ6mmの樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物を2.7 ×150mmでカットし、試験片を得た。インストロン万能試験機(インストロン社製) を用い、ASTEM D5045に従って試験片を加工・実験をおこなった。ここで言う、樹脂硬化物の靱性とは、変形モード1( 開口型)の臨界応力強度のことをさしている。
Figure 0005584047
Figure 0005584047
表2より、比較例1では、(E)成分を含まないのでCAI及び曲げ破壊靱性が低いこと、比較例2では、(D)成分を含まず、(E)成分の含有割合が高いのでILSS及び曲げ破壊靱性が低く、プリプレグタック性も悪いこと、比較例3では、(D)成分を含まないので曲げ破壊靱性が低いこと、比較例4では、(A)成分の含有割合が低く、(B)成分の含有割合が高いのでILSS及びガラス転移温度が低いこと、比較例5ではビスフェノールA型エポキシ樹脂の含有割合が高いので、ガラス転移温度が低いこと、比較例6では(A)成分の含有割合が高く、(B)成分の含有割合が低いので粘度が高くてプリプレグの作製ができないこと、比較例7では、(D)成分の含有割合が高いのでガラス転移温度が低いこと、比較例8及び9では、(E)成分の含有割合が高いのでILSSが低いことがそれぞれわかった。

Claims (8)

  1. (A)分子中に式(1)で表されるベンゾオキサジン環を有する化合物と、
    Figure 0005584047
    (式中、R1は、炭素数1〜12の鎖状アルキル基、炭素数3〜8の環状アルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜12の鎖状アルキル基若しくはハロゲンで置換されたフェニル基を示す。また、式中の芳香環の酸素原子が結合している炭素原子のオルト位とパラ位の少なくとも一方の炭素原子には水素原子が結合している。)
    (B)エポキシ樹脂と、(C)硬化剤と、(D)靭性向上剤と、(E1)平均粒径1μm以上15μm未満のポリアミド12粉末を含み、
    (A)成分及び(B)成分の含有割合が合計100質量%となるように、(A)成分70〜78質量%、及び(B)成分22〜30質量%を含み、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、(C)成分5〜20質量部、(D)成分3〜20質量部及び(E1)成分20〜30質量部含有し、(D)成分が溶解しているベンゾオキサジン樹脂組成物。
  2. (A)分子中に式(1)で表されるベンゾオキサジン環を有する化合物と、
    Figure 0005584047
    (式中、R1は、炭素数1〜12の鎖状アルキル基、炭素数3〜8の環状アルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜12の鎖状アルキル基若しくはハロゲンで置換されたフェニル基を示す。また、式中の芳香環の酸素原子が結合している炭素原子のオルト位とパラ位の少なくとも一方の炭素原子には水素原子が結合している。)
    (B)エポキシ樹脂と、(C)硬化剤と、(D)靭性向上剤と、(E2)平均粒径15μm以上60μm以下のポリアミド12粉末を含み、
    (A)成分及び(B)成分の含有割合が合計100質量%となるように、(A)成分70〜78質量%、及び(B)成分22〜30質量%を含み、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、(C)成分5〜20質量部、(D)成分3〜20質量部及び(E2)成分5〜20質量部含有し、(D)成分が溶解しているベンゾオキサジン樹脂組成物。
  3. (D)靭性向上剤が、無機微粒子、有機微粒子、あるいは無機微粒子及び/又は有機微粒子を液状樹脂あるいは樹脂モノマー中に分散させたものからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載のベンゾオキサジン樹脂組成物。
  4. (B)エポキシ樹脂が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、芳香族系グリシジルエステル型エポキシ樹脂、芳香族系アミン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、又は脂環式エポキシ樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種類のエポキシ樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂組成物。
  5. (C)硬化剤が、芳香族アミン、単官能フェノール、多官能フェノール化合物、又はポリフェノール化合物からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂組成物を強化繊維基材に含浸してなるプリプレグ。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂組成物の硬化物と繊維強化基材とからなる繊維強化複合材料。
  8. SACMA SRM 2R−94に従い測定した衝撃後圧縮強度(CAI)が290MPa以上、ASTM D2402−07に従い測定した層間せん断強度(ILSS)が50MPa以上、ASTEM D5045に従い測定した曲げ破壊靱性が1.2MPa・m1/2以上であり、かつ前記ベンゾオキサジン樹脂組成物を180℃、2時間の条件で硬化させた硬化物のガラス転移温度が190℃以上である請求項7記載の繊維強化複合材料。
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