JP3611639B2 - 歯車成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,ポリアミド樹脂と炭素繊維とからなる,歯車特性の良好なポリアミド樹脂複合材に関する発明であり,自動車関連機器の分野,電子・電機用機器の分野,一般産業機械部品分野等に用いられる樹脂製歯車の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の上記分野用の樹脂製歯車は,金属歯車に比べて軽量,自己潤滑性,耐腐蝕性,低騒音性,量産性等の特徴を有するため,金属製に代わって多方面に簡易に利用される。樹脂材料としては,その機械的特性や摺動特性の点から,ポリアセタール,ポリアミド樹脂が挙げられ,特に前者を主成分とする樹脂組成物は,比較的優れた歯車負荷特性を持ち,生産性も高い事より,歯車用樹脂材料として多用されている。
【0003】
然しながら,近年樹脂製歯車への要望として,更に一層の高負荷,即ち歯元強度が高く,無潤滑仕様においても低摩耗性を保持しつつ,かつ低騒音,低摩擦音である,所謂「鳴き」を生じない,摺動特性の優れた長寿命のものが求められており,既存の材料では対応しきれなくなってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の樹脂製歯車,例えばポリアセタール樹脂(POMと略記)の場合,その単体,若しくはそれとガラス繊維又は炭素繊維等による補強材充填組成物は,無潤滑下で負荷条件が厳しくなると,歯車の噛み合い摩擦による騒音,所謂「鳴き」現象が発生し,又歯面の摩擦も大となり,歯車寿命が低下する欠点が挙げられている。
【0005】
又,当該POM樹脂を,グリースを初期塗布した潤滑条件下において使用した場合,炭素繊維を補強材として充填した組成物の摩耗は,寧ろ先の無潤滑仕様の場合以上に多くなる。この際,グリースは特別な物でなくても,シリコン系,リチウム系,フッ素系でも同様に,一般的に摩耗増大現象が起こり,グリースの調度が高い程,短期間で摩耗量が多くなる欠点がある。
【0006】
他の樹脂製歯車,例えばポリアミド(PAと略記)の場合,PA6,PA66,PA46等が知られるが,これらはポリアミド系樹脂の一般的特性として,吸水(湿)による機械的特性の経時的低下の現象が起こり,これに伴って歯車寿命も低下することにもなる。 これらPA樹脂に,補強材を充填して強化組成物として使用した場合は,ポリアセタール歯車同様に,無潤滑下で負荷条件が厳しくなると,「鳴き」が発生し,グリース塗布による潤滑条件下では,同条件下で寧ろ無潤滑以上に摩耗が多くなる。
【0007】
PA12は,他のポリアミド系樹脂に較べ,一般的に軟らかいと言う欠点が有り,機械的に高負荷用途には不向きであったが,その軟質と謂う特徴を生かし,従来,単体(繊維等を配合しない無充填材)として消音歯車として用いられた記事(例えば「最近のプラスチック成形歯車」;”プラスッチック”誌VOL.41・No7,p55,工業調査会刊)がある。然し強度,弾性率が低いため高負荷条件下での使用には適さないとされていた。
【0008】
また二硫化モリブデンやグラファイト,或いは四フッ化エチレン等の固体潤滑材を配合した組成物,又は含油組成物では,無潤滑下で「鳴き」の発生を防止出来る利点がある反面,組成物の機械特性がベースポリマー単体と較べて低下する欠点が有るため,高負荷条件での使用には適さない。
【0009】
この様な高負荷用途に対して,本発明者等による特願平3ー152553号,特開平5ー39405号に示される様な組成物を用いる先の提案がある。
即ち特願平3ー152553号には,マトリックスとして熱可塑性ポリエーテル芳香族ケトン,補強材としてピッチ系炭素繊維を配合した,歯車用組成物が提案されている。
又特願平3ー217862号には,マトリックスとしてポリアセタール樹脂,補強材として芳香族ポリアミド繊維,潤滑性付与材として4フツ化エチレン樹脂からなる,歯車用組成物も提案されている。
【0010】
然しこれらを以てしても,更に進んだ産業分野における要求,特に低摩耗性,低騒音性,高歯元強度(高負荷)の要請を満たすには不充分となり,かつ材料コストも高い欠点が有った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の様な,より進んだ産業上の要請に対し,従来技術が未だ充分でない点を補ない,歯元強度が高く,かつ吸水による強度の低下が少なく,無潤滑仕様において低摩耗,歯車噛み合い摩擦による「鳴き」の発生の無い,又潤滑(グリース初期塗布)仕様では,高摩耗化しない,多岐にわたる高度な要求に対処し得る,歯車成形品用の材料の,配合処方について種々研究を行った。
【0012】
その結果,1)摺動特性に優れるポリアミド樹脂を選び,且つその中でも,この種のPA樹脂の一般的な欠点である,吸水(湿)性による機械的強度の低下が特に少ない,ポリアミド12の特徴を生かし,これをベースポリマーとして選んだ。
2)然し,このベースポリマーが軟らかく,強度が不足する欠点を補う為,補強材として特定の種類の炭素繊維を,3)特定量配合することにより,4)当該ベースポリマーの分子量分布,若しくは溶融粘度の最適範囲の選択と相まって,射出成形による製作が可能であり,且つ高強度,高弾性率を有し,「鳴き」が無く,摩耗量の少ない,吸湿等による性能の経時変化のない,高耐久性を有する所期の歯車材を得ることができた。
【0013】
更に本願の対象とする組成物の構成成分について敷衍する。
本発明に謂うポリアミド12とは,数平均分子量(Mnと略記)が,(2〜6)×104 ,特に好ましくは(2〜4)×104 の範囲の,ポリアミド12 〔A〕が適当である。この範囲の物が,所定の炭素繊維(C)を配合した組成物として,流動性等の点で射出成型可能で,且つ高強度を有する歯車のベースポリマーとなりうるからである。
【0014】
若しくは,Mnが(2〜6)×104 ,好ましくは(2〜4)×104 のポリアミド12〔A〕と,Mnが(1〜2)×104 のポリアミド12〔B〕との混合物で,12〔A〕と12〔B〕の重量配合比が3〜8である混合物が適当である。この様にMnの小さい低分子量重合物を少量配合することにより,成形時の組成物の流れ特性が一段と良くなり,精密成形性と生産性の向上が達せられる。
【0015】
此処に謂うポリアミド12とは,ωーラウロラクタム,ωーアミノドデカン酸を原料モノマーとして,開環重合,縮重合等の公知の方法で高分子化して得られる,別称ナイロン12とも言われる合成高分子化合物である。
【0016】
また,数平均分子量(Mn)とは,分子量分布を持つ合成高分子の平均分子量を数平均法で表した値であり,下記のように定義される。
【0017】
【数1】
MN = W / Σ Ni = Σ Ni ・ Mi / Σ Ni
【0018】
但し Ni :分子量 Mi の分子数 , W :分子量 Mの分子の重量
具体的には,氷点降下法,蒸気圧降下法,浸透圧法,又は末端基定量法等の熱力学的,化学的方法により測定される。
引用文献;「化学便覧(応用編)」757頁〔日本化学会〕改訂3版(丸善)「ポリエチレン樹脂」46頁〔プラスチック材料講座4〕日刊工業新聞社
【0019】
又,本発明に係るポリアミド12樹脂は,他の異なる物性,即ち,当該樹脂の溶融温度2300 C,剪断速度1000/秒における溶融粘度(η)を以て,規定することも出来る。
この様な条件で測定したηが,(2〜8)×103 ポイズの範囲内であるポリアミド12樹脂を用いても,先のMnを以て規定した樹脂と同様に,冒頭に記す本技術分野の課題を解決することが出来る。
【0020】
高分子は単一の分子量のみから成る単分散高分子となることは非常に珍しく,一般的に或る分布を持った多分散高分子となっている。従って平均の値で示され,測定方法により数平均,重量平均,Z平均分子量等で表示される。
そこで,本願のように数平均法で表した場合,〔数1〕に示す様な或る元となる高分子(Mn)に,この高分子よりはるかに分子量の低い(又は高い)高分子を添加すると,配合量により,Mn値が大きく変化することとなる。
従って,本願においては,数平均法(Mn)のみで定義するのでなく,溶融粘度(η)によっても,射出成形可能で,本願に謂う特性を落とさない,ベースポリマーの物性を規定した。 Mnとηとは,それぞれ別個の物性表示法であり,独立して規定されうるものである。
尚,後記する実施例にて使用する樹脂については,同一樹脂について,Mn表示と,η表示とを併記した。
【0021】
上記の理由により,下記の方法,条件で測定したηが,(2〜8)×103 ポイズであるポリアミド12(E)と,ηが(0.8〜2)×103 ポイズであるポリアミド12(F)との配合物であって,12(E)/12(F)の配合比が3〜8である樹脂配合物をベースポリマーに使用しても,同様に目的を達せられる。この様に溶融粘度の低い12(F)を少量配合する事により,成形時の流れ特性が一段とよくなり,精密成形性と生産性の向上が達せられる。
【0022】
溶融粘度を測定する装置並びに方法は,種々知られて居るが,本発明実験においては〔フローテスター;CFTー500C(島津製作所製)〕を用い,上記の所定の条件下で測定した。
その装置の一例を図10に,計算は下式によった。
【0023】
【数2】
見掛けのShear Stress; τω= Pr/2L (Pa)
見掛けのShear Rate; γω= 4Q/πr3 (sec−1)
見掛けのViscosity; η = τω/γω (Pa・s)
【0024】
引用文献;「化学便覧(応用編)」770頁〔日本化学会〕改訂3版(丸善)
「フローテスター取扱説明書」(島津製作所刊)
ベースポリマーとなる樹脂の溶融粘度の測定結果は,図9及び〔0021〕以降の供試試料の説明の欄に示す。
図9にても明らかな様に,樹脂の溶融粘度(η)は測定する温度,及び剪断速度により異なってくるので,本願においては2300 C,1000/秒に於ける値を以て規定することとした。
【0025】
本発明に謂う炭素繊維(C)とは,各種グレードのPAN系(ポリアクリロニトリル原料)炭素繊維である。実施例1,7と比較例7との対比で明らかな様にピッチ系繊維では充分な性能の歯車が得られない。尚,PAN系炭素繊維には,製法により汎用品,高強度品,高弾性品等,幾つかのグレードが知られるが,ポリアミドと繊維との密着性が同レベルであれば,これらのグレードによる歯車負荷特性に対する効果は大差ない。(図6)
この様な実験結果から,上記のベースポリマーに配する強化用繊維(C)としては,PAN系炭素繊維に限定され,又特別な性能を要求される特注品を除き,一般的には経済性の点から,PAN系の中でも比較的安価に入手し得る,汎用グレードPAN系炭素繊維が好ましい。
【0026】
ベースポリマーに配する炭素繊維の配合量は,ポリマー量100重量部に対して5〜40部が好ましい。5部以下では補強効果の発現が少なく,40部以上では溶融粘度が過大で,射出成形が難しくなる。又,歯面の肌合いも良くない。
【0027】
本発明の組成物には,上記主成分,即ちポリアミド12(A)又は(A+B),若しくはポリアミド12(E)又は(E+F)及びPAN系炭素繊維(C)の他,高分子材料に一般的に加えられる各種添加剤(D)を,上述の樹脂組成物の特性を損なわない範囲で添加する事ができる。通常の添加剤とは,熱安定剤,酸化防止剤,耐候安定剤,離型剤,滑剤,可塑剤,潤滑剤,染顔料,帯電防止剤等である。
【0028】
これらの主成分及び添加剤をタンブラー,或いはヘンシェルミキサー等で混合し,混合した配合物は,公知の一軸或いは二軸,溶融混練押出機により,ぺレット状混合物を得,更に公知の射出成形法にて成形体を得ることが出来る。
【0029】
【発明実施の態様】
本発明は,上記の様にベースポリマーとして,吸水性による強度低下が比較的小さいポリアミド12を特定し,且つ成形加工性の点から,その分子量(Mn),若しくは溶融粘度(η)を特定して,成形性を良くし,且つ軟らかく消音性に優れるが,強度,弾力性に劣る当該樹脂の欠点を補うため,PAN系炭素繊維を特定し,且つこれを特定量配合する,これらの特定条件を組合せる事により,歯元強度が高く,無潤滑条件でも,潤滑条件でも,低騒音,低摩耗,高耐久性の歯車成形品を得る事が出来た。
以下に本発明を実施例により,比較例と対比しつつ発明実施の態様について具体的に説明する。
【0030】
【実施例1〜7】
【比較例1〜7】
1)供試試料の調製
〔実施例1〕
ポリアミド12(UBEナイロン3035U:宇部興産製:Mn3.5×104 )100重量部に,PAN系炭素繊維(ベスファイトHTAーC6NRS:東邦レーヨン製:引張強度3720MPa,引張弾性率235GPa)30重量部をミキサーで混合し,二軸スクリユー押出機にて射出成形用ペレットを得た。
尚,本例のベースポリマーとなる12〔3035U〕の,溶融温度2300 C,剪断速度1000/秒における溶融粘度(η)は,図9の結果から5×103 であった。
尚,後記〔0044〕に述べる,〔3035U〕単体の射出成形時の射出圧力は,図2(a)に参考例として示す。
【0031】
〔実施例2〕
実施例1において,炭素繊維19部を用いた他は,例1と同条件にて試料を調製した。
【0032】
〔実施例3〕〔実施例4〕〔実施例5〕
ポリアミド12(UBEナイロン3035U:Mn3.5×104 ),ポリアミド12(UBEナイロン3014U:Mn1.4×104 )を,A/B=7.5〔例3〕:4.7〔例4〕:3.3〔例5〕〔何れも重量比)で混合したブレンドポリアミド12,100重量部に,実施例1,2で用いた炭素繊維30重量部をミキサーで混合し,同様にペレットを得た。
尚,本例のベースポリマーとなるポリアミド12の,所定条件下のηは,図9の結果から,それぞれ3035Uは5×103 ,3014Uは1×103 ポイズであった。
【0033】
〔実施例6〕
ポリアミド12(UBEナイロン3024U:Mn2.4×104 )100部に,上記炭素繊維30部を混合し,同様にペレットを得た。
尚,本例のベースポリマーとなる12〔3024U〕の,所定条件下のηは,3.0×103 であった。
【0034】
〔実施例7〕
ポリアミド12(UBEナイロン3035U:Mn3.5×104 )100部に,PAN系炭素繊維(ベスファイトHM40,C6URS,引張強度2740MPa,引張弾性率382GPa:東邦レーヨン製)32部を混合し,同様にペレットを得た。
【0035】
〔比較例1〕
ポリアミド12(UBEナイロン1014U:Mn1.4×104 )100部に,実施例6と同じ炭素繊維30部を混合し,同様にペレットを得た。
尚,本例のベースポリマーとなる12〔3014U〕の,所定条件下のηは,図9の結果から1×103 であった。
【0036】
〔比較例2〕
市販ポリアセタール樹脂(POM・M90,ポリプラスチックス社製)をそのまま,単体にて使用,本願材料と比較した。
【0037】
〔比較例3〕
ポリアミド6(UBEナイロン1030B:Mn3.0×104 )100部に,上記炭素繊維27部を混合し,同様にペレットを得た。
【0038】
〔比較例4〕
ポリフタルアミド(アモデルAー1000HN:帝人アモコ製)100部に,上記炭素繊維26部を混合し,同様にペレットを得た。
【0039】
〔比較例5〕
ポリアミド46(TW400:日本合成ゴム製)100部に,上記炭素繊維
26部を混合し,同様にペレットを得た。
【0040】
〔比較例6〕
レオナCF300(旭化成製・市販品),PA66/炭素繊維系材料品。
【0041】
〔比較例7〕
ポリアミド12(実施例6に同じ)に,ピッチ系炭素繊維(ダイヤリードK223N−M,引張強度2300MPa,引張弾性率215GPa:三菱化学製)34部を混合し,同様にペレットを得た。
【0042】
2)試験方法
上記に例示の材料及び方法にてペレットを得,常法にて射出成形法により,下記〔0038〕に記載の歯車を製作した。図1に示す動力吸収式,動的歯車試験機を用い,歯車の負荷能力並びに摩耗量等を評価した。
【0043】
樹脂組成物の射出成形性の指標となる溶融時の流動性は,20mm幅×1mm厚で,50mm長を流れるのに必要な最低射出圧力で評価した(図2)。該歯車はインボリュウート歯車で,モジュール1.0:圧力角200 :歯数30枚:歯幅8mm:取付ボス部内径20mmで,JIS:B1701に準拠した標準歯車である。
【0044】
3)試験結果
各種試料と射出成形時の射出(充填)圧力の関係についての試験結果を,図2に示す。圧力が低い方が流動性が良く,成形容易なことを示す。
又各種材料の歯車負荷特性に関する試験は,前記の同種歯車を組合せ,リチウム系グリース初期塗布仕様,回転数200 rpm,室温下にて測定した。結果を図3〜6に示す。
「鳴き」発生現象の有無については,同種歯車を組合せ,無潤滑仕様,無負荷にて,1時間運転させた後,20〜1000rpm,曲げ応力:0〜55MPaの領域で評価した。結果を表1に示す。
歯車の歯面摩耗に関しては,同種歯車組合せ,リチウム系グリース初期塗布仕様,回転数200rpm,室温下,歯元曲げ応力55MPaの条件下で実験し,歯車面の摩耗高さ量を投影機にて測定した。結果を図7に示す。
【0045】
図9は,ベースポリマーとなる基本成分樹脂について,炭素繊維を加えない状態で,溶融温度を2300 Cに保って,剪断速度を変えた場合の粘度(η)を示す。本図のように(η)は溶融温度,剪断速度により変わるので,〔請求項〕の記載は2300 C,1000/秒における値で規定した。
【0046】
4)試験結果からの所見
▲1▼ 図6は,炭素繊維の種類のみを変え,他の条件を同じくした比較実験の結果を示し,PAN系炭素繊維を用いた場合(実施例1,7)は,ピッチ系の繊維を用いた場合(比較例7)よりも良好な成績を示している。
また,この図の実施例1(汎用品)と,実施例7(高弾性品)との対比から,PAN系の炭素繊維であれば,製造プロセスや,物性に関係無く,共に高い負荷能力を有する歯車用樹脂組成物が得られる事が判った。
炭素繊維とベースポリマーとの配合比は,実施例1〜7の試料を用いた図2〜7の結果から,ベースポリマー100重量部に対し炭素繊維が5〜40部の範囲内であれば,射出成形性,製品強度,外観性とも良好な歯車を得ることができた。尚,図では示されていないが,試作実験を通じての所見事項として5部以下では強度向上効果が少なく,40部以上では成形性,製品外観が悪くなることが認められた。
【0047】
▲2▼ 特定のMn,又はηを有するポリアミド12(A)もしくは(E)を用いた,本発明にかかる歯車成形品(図5・実施例1)は,同条件下でのポリアセタール(POM)歯車(図5・比較例2)や,他の種のポリアミド(PA)を使用した歯車(図5・比較例3,4,5)に較べ,高い負荷能力を有することが明らかである。
【0048】
▲3▼ 又,無潤滑条件下での,「鳴き」の発生に関する試験でも,特定の条件を具備する実施例群の試料は,全部の試験条件下で「鳴き」が無いことが認められ,条件を具備しない比較例群の試料とは顕著に差が認められた。(表1)
【0049】
▲4▼ 又,Mn,或いはηが稍小さいポリアミド12を少量配合した場合(図2・d,e,f)は,炭素繊維を更に配合しても,これらを配合しない場合(図2・b,c)と較べ,溶融時の流動性を向上させることが出来,結果として射出成形作業を一層容易にすることが出来た。(図2)
この様にMn,或いはηが稍小さい成分を少量配合する事による機械的強度に及ぼす影響については,図3,4に示される様に,12(A)/12(B)比,若しくは12(E)/12(F)比がが3〜8の範囲であれば,殆ど無視出来る程度であり,実質的に強度を落とさず,且つ成形性を向上させる両立効果が認められた。
【0050】
▲5▼ 本発明に規定するポリアミド12を使用した歯車(図7・実施例1及び2)は,他のポリアミド,例えばPA6,46,66をベースポリマーとしたもの(比較例3,5,6)に比べて,摩耗が少ない。
【0051】
▲6▼ 所定のMn,或いはηの範囲であるPA12を用い,上記のように処方,調製された歯車は,図8に示される様に,他の種類のポリアミド樹脂,例えばPA6,66を用いた場合に比べ吸湿性が極めて少なく,結果として機械的強度,曲弾性率等の経時変化の小さい,性能の安定した歯車を得ることが出来た。
【0052】
【発明の効果】
上記の処方により製作された本願発明に係る歯車成形品は,従来から広く使用されているポリアセタール系歯車や,他の種のポリアミド系歯車と較べて,歯元強度が高く,無潤滑仕様においても,噛み合い摩擦による「鳴き」の発生が無い,低騒音歯車が得られる。
又,潤滑仕様においても,グリース初期塗布下における歯車の歯面摩耗も,極めて低レベルで耐久性があり,且つ吸湿性が低いため性能の経時変化も小さい特徴がある。
上記のような利点が有りながら,射出成形性,製品外観性も良好であり,産業上,とくに精密機器用歯車として新規な製品を提供し得るものである。
【0053】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】供試試料の評価に用いた歯車試験機である。
【図2】溶融樹脂の流動特性の測定結果を示す図である。
【図3】PAN系材料と歯車負荷特性の関係を示す図である。
【図4】PA12(B)とPA12(C)の配合比と歯元曲げ応力との関係を示す図である。
【図5】ベースポリマーの種類と歯車負荷特性の関係を示す図である。
【図6】炭素繊維の種類と歯車特性の関係を示す図である。
【図7】各種処方による歯車の摩耗特性の比較試験結果を示す図である。
【図8】各種処方による歯車の吸水特性の比較試験結果を示す図である。
【図9】ベースポリマーの溶融粘度と剪断速度との関係の測定結果を示す図である。
【図10】ベースポリマーの溶融粘度を測定する装置の概略図である。
【符号の説明】
1 モーター
2 Vプーリー
3 軸受箱
4 トルクメータ
5 駆動歯車
6 被動歯車
7 スリップリング
8 カップリング
9 パウダークラッチ
11 ピストン
12 バレル
13 キャピラリー
P バレル内圧
F 押出荷重
R バレル半径
r キャピラリー半径
L キャピラリー長さ
Q フローレイト
Claims (4)
- 数平均分子量(Mn)が,(2〜6)×104 であるポリアミド12(A):100重量部と,PAN系炭素繊維(C):5〜40重量部よりなる樹脂組成物を,成形してなる歯車成形品。
- 数平均分子量(Mn)が,(2〜6)×104 であるポリアミド12(A)と,Mnが(1〜2)×104 であるポリアミド12(B)との配合物であって,12(A)/12(B)の配合(重量)比が3〜8であるポリアミド12(A+B)樹脂配合物:100重量部と,PAN系炭素繊維(C):5〜40重量部よりなる樹脂組成物を,成形してなる歯車成形品。
- 溶融温度230℃,剪断速度1000/秒における溶融粘度(η)が,(2〜8)×103 ポイズであるポリアミド12(E);100重量部と,PAN系炭素繊維(C);5〜40重量部よりなる樹脂組成物を,成形してなる歯車成形品。
- 溶融温度230℃,剪断速度1000/秒における溶融粘度(η)が,(2〜8)×103 ポイズであるポリアミド12(E)と,ηが(0.8〜2)×103 ポイズであるポリアミド12(F)との配合物であって,12(E)/12(F)の配合比が3〜8であるポリアミド12(E+F)樹脂配合物;100重量部と,PAN系炭素繊維(C);5〜40重量部よりなる樹脂組成物を,成形してなる歯車成形品。
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