JPH0920883A - スクロール型コンプレッサ用シール部材組成物 - Google Patents

スクロール型コンプレッサ用シール部材組成物

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JPH0920883A
JPH0920883A JP7899596A JP7899596A JPH0920883A JP H0920883 A JPH0920883 A JP H0920883A JP 7899596 A JP7899596 A JP 7899596A JP 7899596 A JP7899596 A JP 7899596A JP H0920883 A JPH0920883 A JP H0920883A
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JP7899596A
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Takumi Shimokusuzono
工 下楠薗
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクロール型コンプレッサ用シール部材組成
物を、低摩擦係数であるという摺動特性に加えて、溶融
成形時における良好な流動性および1,1,1,2−テ
トラフルオロエチレンなどの代替フロンガスやPAG系
の潤滑油に耐性を有するという条件を全て兼ね備えたも
のとする。 【解決手段】 ポリエーテルケトンエーテルケトンケト
ン樹脂などの融点が350℃以上のポリエーテルケトン
系樹脂60〜95重量%と所定流動温度が、300℃以
上の液晶ポリエステル樹脂40〜5重量%を含む樹脂組
成物からなるスクロール型コンプレッサ用シール部材組
成物とする。または、上記のスクロール型コンプレッサ
用シール部材組成物90〜45重量%に対して、フッ素
樹脂5〜20重量%、炭素繊維などの強化繊維5〜25
重量%、芳香族ポリアミド樹脂10重量%以下を添加し
たことを特徴とするスクロール型コンプレッサ用シール
部材組成物とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スクロール型コ
ンプレッサの摺動面を気密化するために用いるスクロー
ル型コンプレッサ用シール部材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的なスクロール型コンプレッサの構
造を図1〜4に基づいて説明すると、このものは、アル
ミニウムまたはアルミニウム合金などの軽金属製の基板
3の片面に同材料製の渦巻き壁4を直立するように形成
した一対のスクロール部材5からなる。そして、渦巻き
壁4の上端面2の長手方向には溝6(図3参照)が形成
されており、溝6に四フッ化エチレン樹脂(以下、PT
FEと略記する)などの潤滑性樹脂製の渦巻き線形シー
ル部材1(図2参照)を組み付け、一方のスクロール部
材と、これと渦巻き方向が逆向きの渦巻き壁を有する他
方のスクロール部材(図示せず)を、その渦巻き壁相互
を偏心状態にかみ合わせた状態で動作させるものであ
る。すなわち、一対のスクロール部材は、それぞれの軸
周りに相対的に公転運動を行わせることによって、渦巻
き壁4の間に形成される密閉空間を中心方向に移動させ
ながら空間内の流体を圧縮し、流体を中心部から吐出す
るように動作させる。
【0003】その際、図4に示すように、一対のスクロ
ール部材5、5´のシール部材1、1´は、相互に他の
スクロール部材5´、5 の渦巻き壁の底に摺接し、こ
れにより渦巻き壁4の間を通過する流体をシールしてい
る。
【0004】PTFEを主要成分としたシール部材1
は、射出成形が不可能であるので生産性が悪く、また耐
クリープ性にも劣るので、近年では射出成形可能な潤滑
性樹脂材料からなるシール材が開発されている。
【0005】本願の発明者らが出願し、特開昭62−2
23488号公報で開示された射出成形可能なスクロー
ル型コンプレッサのシール材は、芳香族ポリエーテルケ
トン樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリエーテ
ルイミド樹脂を主成分とし、PTFEおよび射出成形可
能な含フッ素樹脂を添加したものである。同発明者らの
出願による特開昭63−158362号公報で開示され
たものは、芳香族ポリエーテルケトン樹脂を主成分と
し、いずれも射出成形が可能であって潤滑性、耐クリー
プ性の点でも優れたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
のシール部材用組成物は、射出成形時に必要とされる溶
融状態での流動性が充分に良好でないという問題点があ
る。
【0007】シール部材用組成物の溶融状態における流
動性に起因する不具合について具体的にみると、流動性
不良の成形用樹脂では、渦巻き壁の長手方向に略同じ長
さで(通常、20〜60cm)、線状にシール部材を射
出成形する際に、金型のシール部材の全長(展開長さ)
の中間位置にゲート口を設けなければ端部まで均等に充
填できない。
【0008】このようにして、中間位置にゲート口を配
置して射出成形されたシール部材は、成形後、側面に突
出したゲート部分を後加工にて取り除く必要がある。こ
のため、スクロール型コンプレッサ用シール部材の生産
効率は悪く、すなわち低コスト化の要請に応えることが
できず、また後加工の方法の技能的良否によってゲート
部分の成形寸法精度が安定しないので、シール性能の安
定した製品が得られない場合もある。
【0009】また、シール部材に所要の物性についてみ
ると、シール部材は、スクロール型コンプレッサの運転
時に加熱され、その状態でフロンガスなどの冷媒や各種
添加剤を含有した潤滑油に接するので、物性の劣化が起
こり易く、本来の耐摩耗性(長寿命)が長時間安定して
発揮できないという問題点もある。
【0010】特に、近年の地球環境擁護の要求に応じ
て、いわゆる特定フロンから環境破壊性のない代替フロ
ンとして、1,1,1,2−テトラフルオロエチレン
(フロンR134a)などが採用されるようになってき
たが、これを熱媒体(冷媒)として用いるコンプレッサ
に使用される潤滑油も従来の鉱油を基油とするスニソオ
イルから、ポリアルキレングリコール(以下、PAGと
略記する。)系の潤滑油が採用されるようになってき
た。
【0011】ところが、PAG系の潤滑油は、通常、極
圧剤などの添加剤を含んで調製されており、またPAG
は吸湿性があるから、高温でシール部材に接するという
スクロール型コンプレッサの通常の使用条件でシール部
材を加水分解するという問題点が生ずる。
【0012】そこで、この発明の課題は、上記した問題
点を解決して低摩擦係数であるという本来所要の摺動特
性に加えて、溶融成形時における良好な流動性および
1,1,1,2−テトラフルオロエチレンなどの代替フ
ロンガスやPAG系の潤滑油に充分な耐性を有するとい
う条件を全て兼ね備えたスクロール型コンプレッサ用シ
ール部材組成物とすることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、スクロール型コンプレッサ用
シール部材組成物を、ポリエーテルケトンエーテルケト
ンケトン樹脂などの融点が350℃以上のポリエーテル
ケトン系樹脂60〜95重量%と下記の方法で求めた流
動温度が300℃以上の液晶ポリエステル40〜5重量
%を含むものとしたのである。
【0014】記 流動温度:4℃/分の昇温速度で加熱された樹脂を荷重
100kgf/cm2のもとで、内径1mm、長さ10
mmのノズルから押し出すときに、溶融粘度が4800
0ポイズを示す温度である。
【0015】また、前記のスクロール型コンプレッサ用
シール部材組成物90〜45重量%に対して、フッ素樹
脂5〜20重量%、炭素繊維などの強化繊維5〜25重
量%を添加したのである。
【0016】また、前記のスクロール型コンプレッサ用
シール部材組成物90〜45重量%に対して、フッ素樹
脂5〜20重量%、炭素繊維5〜25重量%、芳香族ポ
リアミド樹脂10重量%以下を添加したのである。
【0017】この発明に係るスクロール型コンプレッサ
用シール部材組成物は、ポリエーテルケトンエーテルケ
トンケトン樹脂などの融点が350℃以上のポリエーテ
ルケトン系樹脂に所定の液晶ポリエステル樹脂を所定の
割合で配合したことにより、液晶ポリエステル樹脂を配
合しないポリエーテルケトンエーテルケトンケトン樹脂
(PEKEKK)などの融点が350℃以上のポリエー
テルケトン系樹脂に比べて約1.5〜2.5倍の溶融流
動性が得られる。
【0018】また、この組成物はPEKEKKなどの所
定の融点のポリエーテルケトン系樹脂と所定の液晶ポリ
エステルとの併用によって、高温時における剛性および
機械的強度が増強されたものとなり、1,1,1,2−
テトラフルオロエチレンなどの代替フロンガスやPAG
系の潤滑油に対する耐性もある。
【0019】このような組成物に対して、さらにフッ素
樹脂を配合したものは極めて低摩擦係数を示し、また炭
素繊維などの強化繊維を所定の配合割合で添加している
ので、前記した溶融流動性を阻害することなく、耐クリ
ープ性と共に耐摩耗性に極めて優れたものとなる。
【0020】上記組成物に対して、さらに芳香族ポリア
ミド樹脂を添加したものでは、前記した溶融流動性を阻
害することなく、耐摩耗性がさらに改善されたものとな
る。
【0021】このようにシール部材用組成物は、所定の
成分を所定の割合で配合したことにより、シール部材の
所定の使用条件で、代替フロンガスおよびPAG系の潤
滑油に対する耐性に優れたものとなり、かつ優れた耐摩
耗性を兼ね備えたシール部材用組成物となる。
【0022】
【発明の実施の形態】この発明に用いられるポリエーテ
ルケトンエーテルケトンケトンその他のPEK系樹脂と
しては、その融点が350℃以上であるケトン系ポリマ
ーを限定なく採用することができる。
【0023】PEK系樹脂は、エーテル結合(−O−)
とケトン結合(−CO−)の両者を含んで芳香族環を結
合したものであり、例として下記の化2で表わされる構
造単位を有する結晶性の樹脂が挙げられる。これらのP
EK系樹脂は、熱的寸法性に優れており、熱固定などの
熱収縮や、圧縮機用などの高圧下でのシール部材として
用いた場合でも寸法変化が少なく、このような寸法精度
を必要とするスクロール型コンプレッサ用シールにて高
圧下で使用される場合に好適なものである。
【0024】具体的には、この発明に用いるポリエーテ
ルケトンエーテルケトンケトン樹脂(以下、PEKEK
Kと略記する。)などのポリエーテルケトン系樹脂は、
フェニルケトンとフェニルエーテルを組み合わせて結合
した繰り返し単位を有する耐熱性の結晶性高分子であっ
て、下記の化2の式で示されるものが代表例である。
【0025】
【化2】
【0026】化2の式で示されるPEKEKKの市販品
としては、BASF社製:ULTRA PEK−A10
00,A2000などがある。
【0027】上記のPEK系樹脂以外に前記化2のポリ
エーテルケトン(PEK)樹脂のガラス転移点(Tg)
は約165℃、融点(Tm)は365℃であり、代表的
な例として、ビクトレックスリミテド社製:VICTR
EX−PEK 220G(商品名)が挙げられる。ま
た、化2のポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂
のガラス転移点(Tg)は約160℃、融点(Tm)は
360〜380℃であり、代表的な例として、独国ヘキ
スト社製:HOSTATEC(商品名)が挙げられる。
【0028】因みに、前記した化2のポリエーテルケト
ンエーテルケトンケトン(PEKEKK)樹脂のガラス
転移点(Tg)は約170〜175℃、融点(Tm)は
375〜381℃であり、代表的な例として、独国ビー
・エー・エス・エフ社製:ULTRA PEK−A10
00,A2000(商品名)等が挙げられる。
【0029】前記PEK系樹脂の融点の上限値は、各結
合基間に働く結合エネルギーの度合いによって決まる
が、約500℃がその上限であると考えられる。また、
成形性と耐熱性とを考慮した熱可塑性全芳香族ポリエー
テルケトン樹脂の融点の上限値は、450℃、また分子
結合によっては400℃であると推定される。また、前
記ケトン系ポリマーのガラス転移点が、150〜250
℃の範囲にあることからも、この発明に用いる前記PE
K系樹脂が、優れた耐熱性を有していることが判る。
【0030】次に、この発明に用いる液晶ポリエステル
樹脂は、異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸またはこれ
らのエステル形成性誘導体から合成されるか、芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族
ジオールあるいはこれらのエステル形成性誘導体から合
成され、含有する繰り返し構造単位(A)、(B)、
(C)として次に示すものを例示できる。
【0031】(A)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来
する繰り返し構造単位:
【0032】
【化3】
【0033】(B)芳香族ジカルボン酸に由来する繰り
返し構造単位:
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】(C)芳香族ジオールに由来する繰り返し
構造単位:
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】また、スクロール型コンプレッサのシール
部材としての耐熱性、機械的特性、加工性のバランスが
取れたものであって、より好ましい液晶ポリエステル樹
脂は、前記した化2の式に示される(A)、(B)およ
び(C)で表わされる繰り返し構造単位からなるもので
ある。
【0040】このような液晶ポリエステル樹脂の配合割
合は、全組成物量の5〜40重量%である。5重量%未
満の少量では、組成物の溶融粘度が高く、溶融成形時の
流動性を改善するという所期の目的が達成できない。ま
た、40重量%を越えて多量に配合すると、PAGに対
する耐薬品性が低下してその目的を達成できないからで
ある。
【0041】次に、この発明に用いるフッ素系樹脂とし
ては、例えばポリテトラフルオロエチレン(以下、PT
FEと略称する)、テトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体(PFAと略称す
る)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEPと略称する)、エチレン−テトラ
フルオロエチレン共重合体(ETFEと略称する)、テ
トラフルオロエチレン−フルオロアルキルビニルエーテ
ル−フルオロオレフィン共重合体(EPEと略称す
る)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFEと
略称する)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共
重合体(ECTFEと略称する)、ポリフッ化ビニリデ
ン(PVDFと略称する)、ポリフッ化ビニル(PVF
と略称する)等が挙げられる。これらは、それぞれ単独
もしくは、例えば1:10から10:1の範囲で前記2
種以上の共重合体や3元共重合体等のフッ素化ポリオレ
フィン等であってもよく、これらは良好な固体潤滑剤と
しての特性を示す。
【0042】このうちPTFEは、融点が約327℃で
あり、約340〜380℃でも溶融粘度が約1011〜1
12ポイズと高く、融点を越えても流動し難く、フッ素
樹脂の中では最も耐熱性に優れた樹脂であると考えられ
ている。
【0043】このようなPTFEを採用する場合は、こ
れが成形用の粉末であってもよく、また、いわゆる固体
潤滑剤用の微粉末であってもよく、市販品としては三井
・デュポンフロロケミカル社製:テフロン7J(商品
名)、TLP−10(商品名)、旭硝子社製:フルオン
G163(商品名)、ダイキン工業社製:ポリフロンM
15(商品名)、ルブロンL5(商品名)などを例示す
ることができる。また、アルキルビニルエーテルで変性
されたようなPTFEであってもよい。
【0044】PTFEは、一般に四フッ化エチレンの単
独重合体であり、市販の圧縮成形可能な樹脂を用いるこ
とができ、例えば喜多村社製:KT400H(商品名)
等を採用できる。
【0045】PFAとしては、三井・デュポンフロロケ
ミカル社製:テフロンPFA−J(商品名)、MP−1
0(商品名)、ヘキスト社製:ホスタフロンTFA(商
品名)、ダイキン工業社製:ネオフロンPFA(商品
名)を、FEPとしては三井・デュポンフロロケミカル
社製:テフロンFEP−J(商品名)、ダイキン工業社
製:ネオフロンFEP(商品名)を、ETFEとしては
三井・デュポンフロロケミカル社製:テフゼル(商品
名)、旭硝子社製:アフロンCOP(商品名)を、ま
た、EPEとしては三井・デュポンフロロケミカル社
製:テフロンEPE−J(商品名)などを挙げることが
できる。
【0046】PTFE、PFA、FEP等のパーフルオ
ロ系フッ素樹脂は、骨格である炭素原子の周囲を全てフ
ッ素原子または微量の酸素原子で取り囲まれた状態であ
り、C−F間の強固な結合により、フッ素系樹脂のなか
でも比較的耐熱温度が高く、また、低摩擦係数、非粘着
性、耐薬品性等の諸特性に優れており好ましい。PVD
Fとしては、呉羽化学工業社製;KFポリマー(商品
名)などを例示できる。
【0047】より具体的には、この発明に用いるフッ素
樹脂は、シール部材組成物に低摩擦係数で非粘着性特性
を導入するものであって、コンプレッサの設計性能に応
じて適当な摩擦係数となる周知のフッ素樹脂を採用する
ことができる。この発明に採用可能な前述のフッ素樹脂
のうち、最も低摩擦係数であるPTFEが最も好ましい
のであるが、その形態は平均粒径が1μm以上20μm
以下の滑剤級の粉末が好ましい。
【0048】平均粒径が1μm以上20μm以下で滑剤
級の粉末PTFEの市販品としては、英国のアイ・シー
・アイ社製:フルオン(商標)L169、同L170、
同L171、ダイキン工業社製:ルブロン(商標)、L
−2、同LD−1、デュポン社製:テフロン(商標)、
TLP−10、同TLP−10F−1等を挙げることが
できる。
【0049】なお、シール部材組成物に良好な溶融粘度
を維持させるためには、非加熱で未成形のPTFEより
も一度焼成したPTFEを粉砕した再生PTFEを用い
ることが、繊維状化し難い点で好ましい。また、再生P
TFEに代え、もしくは再生PTFEと共に、未成形の
PTFEにγ線照射処理してこれを低分子量化したPT
FE粉末を用いることができる。γ線照射処理した市販
の潤滑剤用PTFEとしては、喜多村社製:KT400
Hを例示することができる。
【0050】上記したフッ素樹脂の配合割合は5〜20
重量%である。フッ素樹脂の配合割合が5重量%未満の
少量では、シール部材用組成物の潤滑性が不充分となっ
て好ましくなく、逆に20重量%を越える多量では、所
期した溶融流動性が得られず、分散性、相溶性が低下し
て均質な組成物が得られにくいといった問題が生じるか
らである。
【0051】次に、この発明に用いる強化繊維の一例で
ある炭素繊維は、現在汎用されている1000℃以上、
好ましくは1200〜1500℃の高温に耐えるもので
あれば、レーヨン系、ポリアクリロニトリル系、リグニ
ン−ポバール系混合物、特殊ピッチ系など原料の種類の
如何に拘わらず使用できる。そして、その形状は長短い
ずれの単繊維であってもよく、クロス、フェルト、ペー
パ、ヤーン等のように一次加工を経た編織布、不織布、
糸、紐等の製品形体のものでもよい。
【0052】また、上記炭素繊維は、その材質を特に制
限することなく、ピッチ系、PAN系、カーボン質のい
ずれであってもよい。また炭素繊維の形態は、繊維径約
1〜20μm、繊維長約10〜1000μm、好ましく
は10〜500μmのものであれば、前記樹脂組成物中
に均一に分散し、これを充分に補強するので好ましいも
のといえる。なお、より好ましい炭素繊維径は、平均約
5〜14μm、また繊維長は約10〜500μmであ
る。適度な弾性率があり、引張強度等の機械的特性とス
クロール部材5、5’等の相手材への攻撃性や成形時の
樹脂組成物の流動性等があるからである。
【0053】炭素繊維は、前記したような種々の有機高
分子繊維を平均1000〜3000℃程度に焼成して生
成される。この構造は、主に炭素原子六角網平面から構
成される。この網平面が繊維軸に平行に近く配列したも
のとしては、高配向、異方性を有するPAN系や液晶ピ
ッチ系の炭素繊維があげられ、一方、この網平面が乱雑
に集合したものとしては、等方性を有するピッチ系炭素
繊維が挙げられる。高配向で異方性の炭素繊維は、特定
の方向の弾力性や引張強度に優れており、等方性の炭素
繊維は、全方向から受ける荷重に対しても比較的良く耐
え得る。
【0054】上記のピッチ系炭素繊維は、例えば、石油
精製で副生される石油ピッチなどの構造上無定形の等方
性ピッチ系炭素繊維と、一定方向の構造のものとして、
例えば光学異方性の異方性ピッチ系炭素繊維が挙げられ
る。
【0055】等方性ピッチ系炭素繊維は、石油系、石炭
系、合成品系、液化石炭系などの炭素繊維に分類でき、
各原料を溶融紡糸でピッチ繊維にし、不融化処理をした
後に炭素化して製造される。
【0056】また、液晶ピッチ系炭素繊維は、ピッチ類
を不活性化気相中で加熱し、350〜500℃で液晶状
態とした後、固化してコークスとする。これを溶融紡糸
して酸化雰囲気で加熱すると酸化繊維となって不溶不融
の繊維となり、さらにこれを例えば不活性気相中で約1
000℃以上に加熱する方法等により製造できる。
【0057】これらは、引張弾性率が平均30〜50G
Pa程度の低弾性率から平均240〜500GPa程度
の中・高弾性率のものを選択的に採用でき、機械的特性
(引張強度)に優れた繊維を所定の樹脂組成物に混合す
ることにより、所要の機械的強度のシール材が得られ
る。このようなピッチ系炭素繊維の例としては、呉羽化
学社製:クレハM107T,M207S(繊維長は、1
2〜13μm)等の「クレハ」(商品名)シリーズ全般
が挙げられる。
【0058】また、PAN系炭素繊維は、ポリアクリロ
ニトリル繊維等のアクリル系繊維を加熱して焼く方法で
製造することができる。このものは、加熱温度によって
所定の引張弾性率に調整でき、例えば、約1000〜1
500℃で加熱すると引張弾性率は平均20〜30GP
a、引張強度は平均300〜6000MPaとなる。ま
た、約2000℃で加熱すれば引張弾性率を平均350
〜500GPaにでき、好ましくは平均400〜500
GPaにできる。
【0059】このようにPAN系炭素繊維は、高い引張
強度の繊維であって、加熱温度によって引張強度を平均
500〜6000MPaの範囲で調整でき、平均500
〜3000MPaの範囲のものを製造可能と考えられ
る。引張強度の値が所定範囲より低すぎると圧縮クリー
プなどの補強ができず、所定範囲より高すぎると、スク
ロール部材5,5’等の相手材を攻撃することも予想さ
れる。
【0060】このPAN系炭素繊維の例としては、東邦
レーヨン社製「ベスファイト」(商品名)シリーズ全般
があげられ、その具体例としては、ベスファイトHTA
−CMF−0040−E、ベスファイトHTA−CMF
−0160−E、ベスファイトHTA−CMF−100
0−E、ベスファイトHTA−C6−E等(いずれも、
繊維長7〜8μm)があげられる。また、東レ社製の
「トレカ」(商品名)シリーズ全般があり、トレカML
D−300、トレカMLD−1000等が挙げられる。
【0061】これらの炭素繊維の有する引張強度は、5
50〜1000MPaが好ましく、ビッカース硬度(H
v)は400〜600が好ましい。引張強度が550M
Paより小さいものや、ビッカース硬度(Hv)が40
0より小さいものは、炭素繊維を添加する補強効果が期
待できず、引張強度が1000MPaより大きいもの
や、ビッカース硬度(Hv)が600より大きいもの
は、相手材を攻撃して摩耗させることとが予想されて好
ましくない。これらの炭素繊維は、酸やアルカリ等の薬
品類の影響を受け難く、また耐摩耗性も有する。
【0062】なお、これらの炭素繊維と前記した樹脂群
との密着性を高め、油中摺動材の機械的特性等を向上さ
せるために、これらの炭素繊維の表面をエポキシ系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ
アセタール系樹脂等含有の処理剤やシラン系カップリン
グ剤等により表面処理を施してもよい。
【0063】上記炭素繊維のなかで、引張強度が550
〜1000MPa、引張弾性率30〜50GPaの範囲
にあるものが特に好ましい。引張強度、引張弾性率が下
限値以下では炭素繊維による補強効果が得られず、上限
値以上では耐摩耗性に劣るからである。
【0064】この発明に用いる炭素繊維として具体的に
より好ましい形態としては、平均繊維径が4〜20μ
m、より好ましくは10〜18μmであり、かつアスペ
クト比が1〜80、より好ましくは5〜50のものであ
る。
【0065】なぜなら、炭素繊維の平均繊維径が1μm
未満の細径では繊維間の凝集する現象が見られて組成物
中に均一分散し難くなり、20μmを越える太径のもの
では、摺動時にアルミニウム合金製の相手材を摩耗す
る。また、アスペクト比が1未満のものでは、マトリッ
クス自体の補強効果が損なわれて機械的特性が低下し、
逆にアスペクト比が80を越えると、混合時の均一分散
が極めて困難となって、耐摩耗性が充分に改善されずに
品質低下を招くことになるからである。
【0066】このような炭素繊維の配合割合は、5〜2
5重量%であり、好ましくは10〜20重量%である。
なぜなら、5重量%未満の少量では、耐摩耗性の改善効
果がほとんどなく、25重量%を越える多量では、溶融
流動性が著しく低下して良好な成形品が得られないから
である。10〜20重量%であれば、組成物の耐摩耗性
の改善、および溶融流動性の非阻害性において最も好ま
しい結果が得られる。
【0067】この発明に用いる芳香族ポリアミド樹脂
は、例えば下記の化8の式で示される一般式(メタ系ま
たはパラ系)を繰り返し単位とする公知の樹脂からな
り、このような樹脂のうちメタ系の分子構造を有する芳
香族ポリアミド樹脂の代表例として、米国デュポン社
製:ノーメックス(紙状)、帝人社製:コーネックスが
挙げられ、パラ系の分子構造を有する樹脂の代表例とし
て米国デュポン社製:ケブラー(繊維状)、帝人社製:
テクノーラがある。
【0068】
【化8】
【0069】パラ系芳香族ポリアミド繊維は、繊維軸方
向に分子鎖が配列しているので、軸方向に高弾性・高強
度であるが、直角方向には分子間力が弱いものである。
このようにパラ系芳香族ポリアミド繊維は軸方向の強度
によって、配合された樹脂組成物の耐摩耗性をよく向上
させることができ、一方、繊維直角方向に圧縮力を受け
ると分子鎖が座屈しまたは破壊され易いので、軟質摺動
相手材などを損傷しないと考えられる。
【0070】また、パラ系以外の芳香族ポリアミド繊維
を採用する場合は、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素
系樹脂の所定量を含むものを添加することによって、前
記組成物と同様に軟質の摺動相手材を損傷せず、耐摩耗
性に優れた組成物とすることができる。
【0071】このような芳香族ポリアミド繊維は、繊維
長約0.15〜3mm、アスペクト比約1〜230程度
の範囲のものがよい。また、平均繊維径が約1〜20μ
mのものが好ましく、より好ましくは約5〜15μmの
ものである。また、アスペクト比は、約1〜60のもの
が好ましく、より好ましくは約15〜40のものであ
る。芳香族ポリアミド繊維が所定範囲未満の繊維長で
は、耐摩耗性が不充分となり、上記範囲を越える繊維長
では組成物中の分散不良で好ましくない。また、アスペ
クト比が1未満のものでは、粉末形状に近くなって耐摩
耗性改善効果が不充分となってマトリックスの補強効果
がなくなり、機械的特性も低くなる。また、60を越え
ると混合時の均一な分散が困難となり、組成物の摩耗特
性が一様でなくなる。
【0072】また、平均繊維径が約1μm未満の細径の
ものでは、マトリックスに混合した際に、繊維間に凝集
が起こって均一な分散が困難であり、平均繊維径が約2
0μmを越える太径のものでは、組成物が軟質相手材を
摺動摩耗するおそれがある。平均繊維径が約5〜15μ
mのものでは、前記傾向が比較的みられ難く、極めて好
ましい。
【0073】より具体的に好ましい芳香族ポリアミド樹
脂の形態としては、繊維長0.2〜1mmであり、繊維
径10〜15μmのものが好ましい。なぜなら、上記範
囲未満では均一に分散させるのに非常な時間とエネルギ
ーを要し、分散系の流動特性が悪くなるからであり、上
記範囲を越えるとマトリックス中で分散状態が悪く、機
械的強度、耐摩耗性が劣って好ましくないからである。
【0074】このような条件を満足する市販の芳香族ポ
リアミド樹脂としては、アクゾ社製:トワロン(TWA
RON;パラ系、繊維長0.25mm、繊維径13μ
m)がある。
【0075】このような芳香族ポリアミド樹脂のシール
部材組成物への配合割合は、0〜10重量%、すなわち
10重量%以下である。芳香族ポリアミド樹脂を若干で
も添加することによって、シール部材組成物の耐摩耗性
がさらに改善され、10重量%を越える多量では溶融成
形時の流動性を阻害するからである。このような傾向か
ら、芳香族ポリアミド樹脂のより好ましい配合割合は、
3〜8重量%である。
【0076】前記強化繊維の配合割合は、繊維長に応じ
て分布させることは好ましく、例えば繊維の全体重量
(100重量部)のうち、繊維長が0.1mm未満のも
のが1〜10重量部、0.1mm以上0.3mm未満の
ものは1〜50重量部、0.3mm以上0.5mm未満
のものは10〜60重量部、0.5mm以上0.7mm
以下のものは5〜70重量部、0.7mmを越えるもの
は1〜10重量部というように分布していてもよい。繊
維全体量のうち、繊維長が0.1〜0.5mm、または
0.2〜0.7mmのものが50〜100重量%、好ま
しくは70〜100重量%の範囲で組成物中に含有され
ていれば、適度な機械的強度を有するシール材になって
好ましい。
【0077】なお、上記以外の添加剤として、この発明
の効果を阻害しない範囲内で、例えば自己潤滑性、機械
的強度、熱安定性などの向上、または着色などの目的で
固体潤滑剤、増量剤、充填剤または顔料などであって、
300℃以上でも熱安定性のあるもの、または液晶ホモ
ポリマーのように液晶コポリマーと相性のよいものを適
宜混合してもよい。
【0078】また、この発明の組成材料と相手部材また
は成形用金型の少なくとも一つの摺動面の表面・形状粗
さは、最大粗さ(Rmax)、算術平均粗さ(Ra)、
十点平均粗さ(Rz)などのJISで定義された評価法
によって測定されるが、約3〜25μm以下であり、約
8μm以下が好ましく、約3.2μm以下であれば、よ
り好ましい。
【0079】なぜなら、表面・形状粗さが前記した所定
範囲を越えると、摺動面に傷が多く付いて摩耗の原因に
なる可能性があり、金型からの離型性にも悪影響を及ぼ
す傾向があるからである。なお、表面粗さの下限値は、
加工時の効率を考慮し、約0.1μm以上あればよい。
また、相手材や成型用金型の表面の仕上加工などに長時
間を要して効率的に製造できないことや、樹脂材の転移
膜の形成に影響される可能性もあるため、摩耗に影響し
ない仕様や条件であれば、前記摺動面の表面・形状粗さ
は、約3〜8μmの範囲以下としても良いと考えられ
る。
【0080】
【実施例】実施例および比較例に用いた原材料を一括し
て示すと次の通りである。なお、括弧〔 〕内に略称を
示した。なお、(A)、(B1)、(B2)、(C1 )は前
記した液晶ポリエステル樹脂の繰り返し単位を示し、溶
融粘度は、全て前記の所定方法によって測定した。
【0081】(1)ポリエーテルケトンエーテルケトン
ケトン樹脂〔PEKEKK〕 BASF社製:ULTRA PEK A1000 (2)液晶ポリエステル樹脂〔LCP−1〕 (構成成分(モル%)がA:B1 :B2 :C1 =50:
25:5:25であり、前記した高化式フローテスタ
(島津製作所製)による流動温度が352℃である。) (3)液晶ポリエステル樹脂〔LCP−2〕 ポリプラスチック社製:ベクトラA950 (前記した高化式フローテスタ(島津製作所製)による
流動温度が261℃である。) (4)炭素繊維 呉羽化学社製:M107T(平均繊維径18μm、アス
ペクト比38) (5)ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕 喜多村社製:KT400H (6)芳香族ポリアミド樹脂〔アラミド繊維〕 アクゾ社製:TWARON(平均繊維長0.25mm、
繊維径13〜14μm)。
【0082】〔実施例1〜6、比較例1〜3〕上記した
原材料1〜6を表1または表2に示す割合で配合した
後、ヘンシェルミキサーで充分に混合した後、二軸溶融
押出機(池貝鉄鋼社製:PCM−30型)に供給し、温
度390〜400℃、スクリュー回転数100〜150
rpmの条件で直径2mmの孔を有するストランドダイ
から押し出してペレット状に造粒した。このペレットを
ノズル温度390〜410℃、金型温度200℃、射出
圧力1500〜2000kg/cm2 の射出成形機にか
けて、図2に示すような渦巻状のシール部材1を射出成
形した。
【0083】また、上記した成形条件と全く同様にし
て、試験片を作成し、これを用いて摩擦係数、摩耗量ま
たは組成物の溶融流動性を以下の方法で測定した。
【0084】[摩擦係数および摩耗量]鈴木・松原式摩
擦摩耗試験機を用い、内径17mm、外径21mm、高
さ10mmのリング試験片を、圧力15kgf/c
2 、速度:128m/分の条件下において、ねずみ鋳
鉄(FC25)製の相手材に摺接させた。摩耗量は、試
験片の試験前後の高さの差(μm)を測定し、結果を表
1または表2中に併記した。
【0085】[流動性試験]住友重機社製射出成形機:
プロマットを用い、幅1.7mm、厚み1.5mmの方
形状断面を有するインボリュート曲線型の金型を使用し
てスパイラルフロー試験を行ない、その流動長(cm)
を測定し、この結果を表1または表2中に併記した。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】表1および表2の結果からも明らかなよう
に、比較例1では比較的良好な耐摩耗性を示したが、液
晶ポリエステル樹脂を含んでいないので、流動性が低い
値であった。比較例2は、流動温度が300℃以下の液
晶ポリエステル樹脂を採用したため、耐熱性が低く成形
時に発泡が生じた。PEKEKKを配合しなかった比較
例3では、耐薬品性(耐PAG性、耐代替フロン性)に
劣っていた。
【0089】このような比較例に対して、全ての配合条
件を満足する実施例1〜6は、試験片の摩耗量および摩
擦係数が小さく、また溶融流動性にも優れたものであっ
た。
【0090】〔実施例7、比較例4〜7〕原材料1と2
を表1または表2に示す割合で配合し、実施例1〜6と
全く同様にして試験片を形成し、以下の試験を行ない、
この結果を表1または2中に併記した。
【0091】[冷媒・冷凍機油に対する耐久性試験]試
験片をステンレス製の耐圧容器に収容し、ポリアルキレ
ングリコール(PAG、水分1重量%含有)を入れ、内
圧が180℃にて30kgf/cm2 となるように代替
フロンであるCH2 F−CF3 (1,1,1,2−テト
ラフルオロエチレン)を圧入し、そのまま180℃で5
00時間静置した。その後、曲げ試験を実施し、試験前
の曲げ強度を100とする曲げ強度保持率で評価し、結
果を表1または表2中に併記した。
【0092】この試験結果からは、PEKEKKの配合
割合が所定量以上(実施例7、または比較例4)でなけ
れば、組成物が充分な耐薬品性(耐PAG性、耐代替フ
ロン性)を発揮できないことがわかる。
【0093】
【効果】この発明は、以上説明したようにポリエーテル
ケトンエーテルケトンケトン樹脂などの融点が350℃
以上のポリエーテルケトン系樹脂に、所定の物性を有す
る液晶ポリエステル樹脂を配合したことにより、低摩擦
係数であるという摺動特性に加えて、溶融成形時におけ
る良好な流動性と、1,1,1,2−テトラフルオロエ
チレンなどの代替フロンガスやPAG系の潤滑油に耐性
を有するという条件を全て兼ね備えたスクロール型コン
プレッサ用シール部材となる利点がある。
【0094】また、ポリエーテルケトンエーテルケトン
ケトン樹脂などの融点が350℃以上のポリエーテルケ
トン系樹脂に、所定の物性を有する液晶ポリエステル樹
脂を配合すると共に、フッ素樹脂を配合した発明では極
めて低摩擦係数であり、この場合においてさらに炭素繊
維などの強化繊維を所定の配合割合で添加したもので
は、前記した溶融流動性を阻害することなく、耐クリー
プ性と共に耐摩耗性に極めて優れたスクロール型コンプ
レッサ用シール部材となる利点がある。
【0095】そして、芳香族ポリアミド樹脂を添加した
ものでは、前記した溶融流動性を阻害することなく、耐
摩耗性はより向上する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクロール型コンプレッサのスクロール部材を
示す斜視図
【図2】実施例を示す斜視図
【図3】図1の要部縦断面図
【図4】一対のスクロール部材を組み合わせた状態の断
面図
【符号の説明】
1、1´ シール部材 3 基板 4 渦巻き壁 5、5´ スクロール部材 6 溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 71/10 LQK C08L 71/10 LQK 77/10 LQT 77/10 LQT F04C 18/02 311 F04C 18/02 311T 27/00 321 27/00 321 // B29C 45/00 9543−4F B29C 45/00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が350℃以上のポリエーテルケト
    ン系樹脂60〜95重量%と下記の方法で求めた流動温
    度が300℃以上の液晶ポリエステル樹脂40〜5重量
    %を含む樹脂組成物からなるスクロール型コンプレッサ
    用シール部材組成物。 記 4℃/分の昇温速度で加熱された樹脂を荷重100kg
    f/cm2 のもとで、内径1mm、長さ10mmのノズ
    ルから押し出すときに、溶融粘度が48000ポイズを
    示す温度である。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のスクロール型コンプレッ
    サ用シール部材組成物90〜45重量%に対して、フッ
    素樹脂5〜20重量%および強化繊維5〜25重量%を
    添加したことを特徴とするスクロール型コンプレッサ用
    シール部材組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のスクロール型コンプレッ
    サ用シール部材組成物90〜45重量%に対して、フッ
    素樹脂5〜20重量%、炭素繊維5〜25重量%および
    芳香族ポリアミド樹脂10重量%以下を添加したことを
    特徴とするスクロール型コンプレッサ用シール部材組成
    物。
  4. 【請求項4】 前記液晶ポリエステル樹脂が下記の化1
    の式(A)、(B)および(C)で表わされる繰り返し
    構造単位を含む化合物である請求項1〜3のいずれか1
    項に記載のスクロール型コンプレッサ用シール部材組成
    物。 【化1】 (式中、nは0または1であり、(A):(B)のモル
    比は、1:1〜10:1の範囲にあり、(B):(C)
    のモル比は、9:10〜10:9の範囲にある。また、
    式(B),(C)中の芳香族の置換基は互いにパラまた
    はメタの位置にある。)
  5. 【請求項5】 前記スクロール型コンプレッサが、冷媒
    として1,1,1,2−テトラフルオロエチレンを使用
    し、潤滑油としてポリアルキレングリコールを使用する
    ものである請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクロ
    ール型コンプレッサ用シール部材組成物。
  6. 【請求項6】 融点が350℃以上のポリエーテルケト
    ン系樹脂が、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン
    樹脂である請求項1記載のスクロール型コンプレッサ用
    シール部材組成物。
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