JP3282505B2 - 液晶ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents
液晶ポリエステル樹脂組成物Info
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Description
有し、かつ良好な機械物性及び熱安定性を有する成形体
を与える液晶ポリエステル樹脂組成物に関する。
機構部品用途においても、軽量化、コストダウンの要求
が強まり、合成樹脂が使われることが多くなってきた。
こうした、機構部品用途においては、良好な摺動特性が
要求される場合も多く、従来から、ポリアセタール、ポ
リアミド、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂、ある
いは、それらに固体潤滑剤、潤滑油等を摺動性改良材と
して添加した組成物等が使用されてきた。これらは、通
常の機械使用温度雰囲気、たとえば、ー40℃〜70℃の温
度範囲においては良好な摺動特性を示すものの、高温多
湿の条件下では、摩耗量の増大、寸法変化、変形などを
起こし使用することができなくなる。また、OA機器
や、電子部品などにおいて、部品の高密度化や表面実装
等の組立工程における高温雰囲気下では、ポリアミド、
ポリアセタール等の汎用エンジニアリングプラスチック
は、耐熱性が不足し、変形はおろか、溶融を起こして使
用に耐えなかった。また、このような汎用エンジニアリ
ングプラスチックでは、成形収縮率や線膨張係数が大き
いため、小型精密機構部品などで要求される寸法精度を
満足することができなかった。
し、かつ摺動特性を付与する目的で、ガラス繊維、炭素
繊維、各種ウィスカー等の充填材を液晶ポリエステルに
添加することも提案されているが、摺動部の相手材が、
従来の鋼、ステンレス等の硬質の金属やセラミックスな
どから、アルミニウムや銅などの軟質の金属、あるい
は、耐熱性、寸法安定性の優れたいわゆるスーパーエン
ジニアリングプラスチックが使われる場合が多くなって
きており、この場合、使用する充填材によっては、相手
材を傷つけやすいといった問題も生じる。たとえば、特
開平4-4296号公報には、液晶ポリエステルに充填材とし
てガラス状炭素を用いることが提案されているが、この
場合、相手材がステンレス鋼などの硬質の金属に対して
は良好な摺動特性を示すものの、アルミニウムのような
軟質金属に対しては、相手材を磨耗させてしまうため好
ましくない。特開昭59-147034号公報には、液晶ポリエ
ステルに充填材として特定形状のウォラストナイトを用
いることが提案されている。しかしながら、上記公報に
おいては、自分自身の磨耗が抑制されるものの、摩擦係
数の低減に対しては、その効果が不十分であった。特開
平5-320675号公報および特開平5-320676号公報には、液
晶ポリエステルに充填材としてモース硬度2〜4の無機粉
粒体を用いることが提案されているが、該組成物におい
ても摩擦係数の低減効果は不十分であった。特開平5-10
5804号公報には、液晶ポリエステルに充填材として特定
のフッ素樹脂を用いることが提案されている。この場
合、摺動条件、とりわけ小型精密機構部品のように、軽
摺動条件下ではむしろ摩擦係数が上昇し、使用すること
ができなかった。
点を解決して、優れた摺動特性を有し、かつ良好な機械
物性及び熱安定性を有する成形体を与える液晶ポリエス
テル樹脂組成物を提供することを目的とするものであ
る。
点を解決するために鋭意検討した結果、液晶ポリエステ
ルに周期律表の1Aまたは2A族に属する金属の酸化
物、過酸化物、複酸化物、及び炭酸化物から選ばれた少
なくとも1種以上の化合物と、フッ素樹脂とをそれぞれ
特定量配合することにより上記目的が達成される液晶ポ
リエステル樹脂組成物を得、該組成物を用いることによ
り摺動特性に優れた部品をつくることができることを見
出し本発明に至った。すなわち、本発明は以下に示すと
おりである。 (1)液晶ポリエステル100重量部に対して、周期律
表の1Aまたは2A族に属する金属の酸化物、過酸化
物、複酸化物、及び炭酸化物から選ばれた少なくとも1
種以上の化合物5〜180重量部と、フッ素樹脂0.1
〜80重量部を配合してなる液晶ポリエステル樹脂組成
物。 (2)周期律表の1Aまたは2A族に属する金属の酸化
物、過酸化物、複酸化物、及び炭酸化物から選ばれた少
なくとも1種以上の化合物が、タルク、ウォラストナイ
ト、ドロマイト、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム
から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることを
特徴とする上記(1)記載の液晶ポリエステル樹脂組成
物。 (3)周期律表の1Aまたは2A族に属する金属の酸化
物、過酸化物、複酸化物、及び炭酸化物から選ばれた少
なくとも1種以上の化合物が、少なくともその90重量
%以上が300メッシュ以下の大きさを有するものであ
ることを特徴とする上記(1)または(2)記載の液晶
ポリエステル樹脂組成物。 (4)フッ素樹脂が、分子鎖末端までフッ素化され、下
記の方法で求めた流動温度が350℃以下の低分子量フ
ルオロカーボン重合体であることを特徴とする上記
(1)、(2)または(3)記載の液晶ポリエステル樹
脂組成物 流動温度:内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管
レオメータを用い、100kg/cm2 の荷重下におい
て、4℃/分の昇温速度で加熱溶融体をノズルから押し
出すときに、溶融粘度が48000ポイズを示す温度。 (5)液晶ポリエステルが後記の式(A1 )で表される
繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含むものであ
ることを特徴とする上記(1)記載の液晶ポリエステル
樹脂組成物。 (6)上記(1)、(2)、(3)、(4)または
(5)記載の液晶ポリエステル樹脂組成物からなる成形
体。
テルは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリ
エステルであり、(1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸との組み合わせからなるもの、
(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸からなるも
の、(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組
み合わせからなるもの、(4)ポリエチレンテレフタレ
ートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸
を反応させたもの、等が挙げられ、400℃以下の温度で
異方性溶融体を形成するものである。なお、これらの芳
香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよび芳香族ヒドロ
キシカルボン酸の代わりに、それらのエステル形成性誘
導体が使用されることもある。該液晶ポリエステルの繰
り返し構造単位としては下記のものを例示することがで
きるが、これらに限定されるものではない。 芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し構造単
位:
ら特に好ましい液晶ポリエステルは、前記式A1 で表さ
れる繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含むもの
である。具体的には繰り返し構造単位の組み合わせが下
記(a)〜(f)のものが好ましい。 (a):(A1)、(B1)または(B1)と(B2)の混
合物、(C1)。 (b):(A1 ),(A2 )。 (c):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、A1 の一部をA2 で置き換えたもの。 (d):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、B1の一部をB3で置き換えたもの。 (e):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、C1の一部をC3で置き換えたもの。 (f):(b)の構造単位の組み合わせたものにB1と
C1の構造単位を加えたもの。 これらのうちで(a)の組み合わせのものにおいて、A
1 /C1 のモル比率が0.2〜1.0、(B1 +B2 )
/C1 のモル比率が0.9〜1.1、B1 /B 2 のモル
比率が0〜1.0のモル比率であるものがより好まし
く、さらに、前述の方法により定義した流動温度が28
0〜400℃、好ましくは300℃〜360℃、さらに
好ましくは315〜330℃であるものが用いることが
できる。基本的な構造となる(a)、(b)の液晶ポリ
エステルについては、それぞれ、例えば特公昭47ー4
7870号公報、特公昭63ー3888号公報等に記載
されている。
は2A族に属する金属の酸化物、過酸化物は、一般式M
2 O、M’OまたはM’O2(これらの式中、Mは1A
族、M’は2A族に属する金属元素である。)で表され
るものである。特にMはNa、Kから選ばれたものが好
ましく、M’はMg,Ca,Baから選ばれたものであ
ることが好ましい。この例としては、和光純薬工業
(株)より入手できる酸化カルシウム(99.9%)、酸化
マグネシウム(重質、試薬特級)、酸化バリウム(化学
用)、過酸化バリウム(和光一級)、協和化学工業
(株)より入手できる商品名パイロキスマ3320、ミ
クロマグ3-30などが挙げられるがこれに限定されるもの
ではない。
は2A族に属する金属を含む複酸化物とは、一般式M2
O・mM”O2 ・xH2 O、pM’O・mM”O2・x
H2O、M2 O・pM'''2 O3 ・mM”O2・xH2 O
またはM2 O・pM’OmM'''2 O3 ・nM”O2・x
H2 O(これらの式中、Mは1A族に属する金属元素、
M’は2A族に属する金属元素、M”は4価の金属元
素、M'''は3価の金属元素、p,m,nは1以上の正
数、xは0以上の正数)で表されるものである。特に、
MはKであることが好ましく、M’はMg,Ca,Ba
から選ばれたものであることが好ましい。この例として
は、タルク、ウォラストナイト、アタパルジャイト、セ
リサイト、マイカ、チタン酸カリウム、チタン酸バリウ
ムなどが挙げられるがこれらに限定されるものではな
い。
は2A族に属する金属を含む炭酸化物とは、一般式M2
CO3、M’CO3またはM’・M”(CO3)2(これら
の式中、Mは1A族、M’およびM”は2A族に属する
金属元素)で表されるものである。特に、MはKである
ことが好ましく、M’およびM”はMg,Ca,Baか
ら選ばれたものであることが好ましい。この例として
は、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、ドロマイトなどが
挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら
のうち、タルク、ウォラストナイト、ドロマイト、酸化
マグネシウム、チタン酸カリウムであることが好まし
く、ウォラストナイト、タルクであることが特に好まし
い。これらは、単独で、または1種以上を同時に用いる
ことができる。また、本発明で用いられる周期律表の1
A、または2A族に属する金属の酸化物、過酸化物、複
酸化物、及び炭酸化物から選ばれた少なくとも1種以上
の化合物の粒子の大きさは、300メッシュパス以下の
ものが好ましい。300メッシュパスよりも大きい場
合、液晶ポリエステルに摺動特性を付与する効果は、3
00メッシュパス以下のものとさほど変わらないが、成
形品の外観、成形品中での均一分散性などの面から好ま
しくない。
中にフッ素原子を含むオレフィンからなる重合体で、基
本的な重合体の例としてはポリテトラフルオロエチレン
(以下PTFEと略す)、テトラフルオロエチレン−ヘ
キサフルオロプロピレン共重合体、ポリトリクロロフル
オロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合体などであるが、特にP
TFEが好ましい。本発明で用いられるフッ素樹脂は、
分子鎖の末端までフッ素化され、前述の方法により定義
した流動温度が350℃以下の低分子量フルオロカーボ
ン重合体であることが好ましい。該フルオロカーボン重
合体は、特開昭61−118331号公報や特開昭61
−162503号公報に記載されているように、フッ素
化されていない水素原子を含む含フッ素ポリマーを25
0〜550℃において、含窒素フッ素化合物と接触反応
させることにより製造されるか、分子状フッ素、ハロゲ
ン化フッ化物、および希ガスのフッ化物の少なくとも1
種と接触反応させることにより製造される。この例とし
ては、セントラル硝子(株)より入手できる商品名セフ
ラルルーブI、IPなどが挙げられる。
いて、周期律表の1Aまたは2A族に属する金属の酸化
物、過酸化物、複酸化物、及び炭酸化物から選ばれた少
なくとも1種以上の化合物の配合割合は、液晶ポリエス
テル100重量部に対し、5〜180重量部であり、好
ましくは10〜150重量部であり、さらに好ましくは
20〜120重量部である。1Aまたは2A族に属する金
属の酸化物、過酸化物、複酸化物、及び炭酸化物から選
ばれた少なくとも1種以上の化合物の配合割合が180
重量部よりも多い場合は、成形加工時の流動性が悪くな
り、良好な成形品を得ることが難しくなるとともに、成
形機のシリンダーや金型の摩耗が大きくなるため好まし
くない。また、1Aまたは2A族に属する金属の酸化物、
過酸化物、複酸化物、及び炭酸化物から選ばれた少なく
とも1種以上の化合物の配合割合が5重量部未満の場合
も、目的とする摺動特性の向上効果が不十分となり好ま
しくない。本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物におい
て、フッ素樹脂の配合割合は、液晶ポリエステル樹脂1
00重量部に対し、0.1〜80重量部であり、好まし
くは0.5〜50重量部であり、さらに好ましくは1〜
30重量部である。フッ素樹脂の配合割合が80重量部
より多い場合は、力学強度の低下や耐熱性の低下をまね
くため好ましくない。また、フッ素樹脂の配合割合が
0.1重量部未満の場合も、目的とする摺動特性の向上
効果が不十分となり好ましくない。なお、本発明で用い
られる液晶ポリエステル樹脂組成物に対して、本発明の
目的を損なわない範囲でガラスファイバー、ガラスビー
ズ、カーボンファイバーなどの補強材;染料、顔料など
の着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電
防止剤;界面活性剤などの通常の添加剤を1種以上添加
することができる。また、たとえば高級脂肪酸、高級脂
肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系
界面活性剤等の外部滑剤効果を有するものを1種以上添
加することも可能である。
リアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、
ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレ
ンエーテル及びその変性物、ポリスルフォン、ポリエー
テルスルフォン、ポリエーテルイミド等や、少量の熱硬
化性樹脂、たとえば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、
ポリイミド樹脂等の、1種または2種以上を添加するこ
ともできる。本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を得
るための原料成分の配合手段は特に限定されず、各成分
を各々別々に溶融混合機に供給するか、またはこれらの
原料成分を乳鉢、ヘンシェルミキサー、ボールミル、リ
ボンブレンダーなどを利用して予備混合してから溶融混
合機に供給することもできる。本発明の液晶ポリエステ
ル樹脂組成物は、可動部を有する種々の機構部品、たと
えば、電気・電子部品(スイッチ、リレー、コネクタ
ー、ソケット等)、OA・AV機器(プリンター、複写
機、ファクシミリ、ビデオデッキ、ビデオカメラ、フロ
ッピーディスクドライブ、ハードディスクドライブ、C
D−ROMドライブ、光磁気ディスクドライブ等)、そ
の他の機構部品(スチールカメラ、電磁波を用いた加熱
調理器、自動車部品)に好適に用いられる。
れらに限定されるものではない。なお、実施例中の物性
は次の方法で測定した。 (1)摩擦係数 鈴木式摩擦摩耗試験機(TRI−S100D型:高千穂
精機(株)製)を用い、内径17mm、外径21mm、高さ
10mmのリング試験片を、圧力2kg/cm2、速度5
m/分の条件下で、相手材には同一材料を用いて測定を
行った。 (2)引張強度 ASTM4号引張ダンベルを用いて、ASTM D63
8に準拠して測定した。 (3)クリープ試験 クリープ試験機(PSS−6型:島津製作所(株)製)
を用い、幅12.6mm、厚さ6.4mm、長さ126mmの
棒状試験片を3点曲げ試験ジグに装着し、槽内温度20
0℃、150kg/cm2 の荷重下でその変形量の時間
変化を測定した。
なり、A1 :B1 :B 2 :C1 のモル比が60:15:
5:20であり、前述の方法で定義された流動開始温度
が323℃である液晶ポリエステルと、周期律表の1A
または2A族に属する金属の酸化物、過酸化物、複酸化
物、および炭酸化物から選ばれた少なくとも1種以上の
化合物で300メッシュパス以下のものとしてウォラス
トナイト(NYCO社製、商品名NYAD#400)、
およびフッ素樹脂としてPTFE(セントラル硝子
(株)製、商品名セフラルルーブI)とを表1に示す組
成でヘンシェルミキサーで混合後、二軸押し出し機(池
貝鉄工(株)製PCM−30型)を用いて、シリンダー
温度340℃で造粒し、液晶ポリエステル樹脂組成物を
得た。これらの液晶ポリエステル樹脂組成物を120℃
で3時間乾燥後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製P
S40E5ASE型)を用いて、シリンダー温度350
℃、金型温度130℃でリング試験片、ASTM4号引
張ダンベル、ならびにクリープ試験用棒状試験片を成形
した。これらの試験片を用い、摩擦係数、引張強度、お
よびクリープ試験の測定を行った。結果を表1および表
2に示す。同様にして、フッ素樹脂を含まない液晶ポリ
エステル樹脂組成物(比較例1)、ウォラストナイトの
充填量が0.05重量部、フッ素樹脂が5重量部である
液晶ポリエステル樹脂組成物(比較例2)、およびウォ
ラストナイトの充填量が133重量部、フッ素樹脂の充
填量が100重量部である液晶ポリエステル樹脂組成物
(比較例3)について、摩擦係数、引張強度を測定し
た。結果を表1に示す。ウォラストナイトとフッ素樹脂
とを含む組成物(実施例1〜3)は、フッ素樹脂を含ま
ない組成物(比較例1)に比べ、摩擦係数が低く、かつ
その経時変化が小さい上に、優れた機械物性を有するこ
とがわかる。また、ウォラストナイトの充填量が0.0
5重量部、フッ素樹脂が5重量部である液晶ポリエステ
ル樹脂組成物(比較例2)は、摩擦係数の低減効果が不
十分であった。一方、ウォラストナイトの充填量が13
3重量部、フッ素樹脂の充填量が100重量部である液
晶ポリエステル樹脂組成物(比較例3)は、摩擦係数の
経時変化が大きい上、引張物性の大幅な低下がみられ
た。さらに、実施例1および3の組成物は、高温雰囲気
下において試験片の変形が小さく、優れた耐熱性を示し
ている。
製、商品名X−50)、ドロマイト(ヘキスト合成
(株)製、商品名マイクロドールI)、チタン酸カリウ
ム(チタン工業(株)製、商品名HT300)、酸化マ
グネシウム(協和化学(株)製、商品名パイロキスマ3
320)を用いる以外は実施例1と同様な方法で実験を
行った。結果を表1に示す。タルク、ドロマイト、チタ
ン酸カリウム、酸化マグネシウムとフッ素樹脂とを含む
液晶ポリエステル樹脂組成物は、摩擦係数が低く、かつ
その経時変化が小さい上に、優れた機械物性を有するこ
とがわかる。また、フッ素樹脂を含まない液晶ポリエス
テル樹脂組成物(比較例4〜7)は、摩擦係数が大き
く、その経時変化も大きかった。
え、ガラス繊維17重量部を含む液晶ポリエステル樹脂
組成物について、実施例1と同様にして摩擦係数、引張
強度を測定した。結果を表1に示す。ウォラストナイ
ト、フッ素樹脂にガラス繊維を加えたものも摩擦係数が
良好で、その経時変化も小さく、優れた機械物性を有し
ていることがわかる。
ルフィド樹脂にガラス繊維46重量部とフッ素樹脂8重
量部を含むポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を用
い、シリンダー温度を280℃、金型温度を160℃と
して射出成形する以外は実施例1と同様にして、試験片
変形量の時間変化を測定した。この場合、短時間で測定
限界以上の試験片の変形が起こり、実用に耐えなかった
(表2)。
は、優れた摺動特性を有し(摩擦係数が低く)、かつ良
好な機械物性および熱安定性を有する成形体を与えるこ
とができ、優れた摺動部材を効率よく得ることができ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】液晶ポリエステル100重量部に対して、
周期律表の1Aまたは2A族に属する金属の酸化物、過
酸化物、複酸化物、及び炭酸化物から選ばれた少なくと
も1種以上の化合物5〜180重量部と、分子鎖末端ま
でフッ素化され、下記の方法で求めた流動温度が350
℃以下の低分子量フルオロカーボン重合体0.1〜80
重量部を配合してなる液晶ポリエステル樹脂組成物。流動温度:内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管
レオメータを用い、100kg/cm 2 の荷重下におい
て、4℃/分の昇温速度で加熱溶融体をノズルから押し
出すときに、溶融粘度が48000ポイズを示す温度。 - 【請求項2】周期律表の1Aまたは2A族に属する金属
の酸化物、過酸化物、複酸化物、及び炭酸化物から選ば
れた少なくとも1種以上の化合物が、タルク、ウォラス
トナイト、ドロマイト、酸化マグネシウム、チタン酸カ
リウムから選ばれる少なくとも1種以上の化合物である
ことを特徴とする請求項1記載の液晶ポリエステル樹脂
組成物。 - 【請求項3】周期律表の1Aまたは2A族に属する金属
の酸化物、過酸化物、複酸化物、及び炭酸化物から選ば
れた少なくとも1種以上の化合物が、少なくともその9
0重量%以上が300メッシュパス以下の大きさを有す
るものであることを特徴とする請求項1または2記載の
液晶ポリエステル樹脂組成物。 - 【請求項4】液晶ポリエステルが下記式(A1 )で表さ
れる繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含むもの
であることを特徴とする請求項1記載の液晶ポリエステ
ル樹脂組成物。 【化1】 - 【請求項5】請求項1、2、3または4記載の液晶ポリ
エステル樹脂組成物からなる成形体。
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1996
- 1996-07-09 JP JP17912996A patent/JP3282505B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2006182877A (ja) * | 2004-12-27 | 2006-07-13 | Nippon Petrochemicals Co Ltd | 摺動部材 |
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JPH1025402A (ja) | 1998-01-27 |
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