JP2006182877A - 摺動部材 - Google Patents

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Toshio Nakayama
敏雄 中山
Satoshi Murouchi
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Abstract

【課題】ディスク装置の機構部品に使用される剛性、摺動性、摺動面からの微粉末の剥離、飛散とのバランスに優れた薄肉摺動部材の提供。
【解決手段】液晶ポリエステル40〜80質量%とタルク5〜55質量%およびフッ素樹脂5〜20質量%(全体で100質量%とする。)とからなり、せん断速度100sec−1、370℃で測定される溶融粘度が150〜400Pa・secの範囲にある液晶ポリエステル樹脂組成物を射出成形して得られる摺動部材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶ポリエステル樹脂組成物の射出成形品からなる摺動部材に関する。特に、ハードディスク装置内部で使用される、高速、高頻度の摺動が金属との間に生じる薄肉精密機構部品、例えばラッチアーム、に使用されるに適した摺動部材に関する。
近年電子部品の軽量化、小型化は急速に進行しており、その技術革新は目覚しいものがある。例えば、ハードディスク装置(HDD)においては、主にパーソナルコンピューター用として3.5インチのHDDが主流であったが、携帯電話、PDA、ノートパソコンを始めとしたモバイル用途の普及に従い、そのインチサイズは小さくなり、現在では、1.0インチレベル、さらにはそれ以下のサイズにまで達している。
それに従い、HDDに使用される金属との摺動部を有する部材(摺動部材)についても小型化、薄肉化が急速に進行しており、その肉厚は0.1〜0.4mmレベルまで進み、これら摺動部材には、摺動性に優れることに加え、薄肉成形ができること、その成形品の寸法精度高く、かつ、使用時の繰り返し負荷に対して容易に変形しない剛性を有することが要求されるようになった。このような摺動部材としては、ラッチアーム、ランプなどが挙げられる。ラッチアームとはHDDにおいてキャリッジをラッチするために設けられている部材であり、金属軸により、ラッチ位置とラッチ解除位置との間を回動自在に支持されており、ラッチアームの軸受け部は回動時に金属軸および該金属軸のフランジ部との間で摩擦が生じる。さらに、ラッチアームのような高速、高頻度で摺動が行われる部材では、これら摺動の繰り返しによって摺動面での剥離が生じてはならないことも要求される。
従来、HDDのラッチアームに用いられる樹脂材料としては、金属との摺動特性の優れたポリアセタール樹脂組成物が用いられてきた。ところが、ポリアセタール樹脂組成物では、0.1〜0.4mm範囲の薄肉での成形性、その成形品の寸法精度、剛性が不足する。
そこで、ポリアセタールに比べて優れた薄肉成形性を有し、高い寸法精度、剛性を有する、ガラス繊維や酸化チタンのごとき硬度の高い充填剤を含有するサーモトロピック液晶ポリエステルが使用されるようになった。
ところが、これら樹脂組成物からなる摺動部材は、ポリアセタールと比較して金属軸や該金属軸のフランジ部との摺動性が不足し、また、近年の高速摺動化において、ガラス繊維や酸化チタンの剥離が生じて、微紛が脱落し、データ読み取り不良を誘発する危険性がでてきた。また、液晶ポリエステルにタルク等の硬度の低い充填材を含有した樹脂材料も同様の問題を有している。
硫酸カルシウムや炭酸カルシウムを充填した材料が提案されているが、これらは、前記した剥離に関する問題は抑制されるものの、充填剤のアスペクト比が小さいために、ガラス繊維や酸化チタン相当の剛性は得ることは困難であることに加え、硫酸イオン、炭酸イオン、カルシウム等のアルカリ金属イオンの発生による、HDD金属部品腐食新の問題を含有する。
これら問題を解決するために、優れた摺動特性を有するポリテトラフルオロエチレンに代表されるフッ素樹脂を液晶ポリエステルに充填した樹脂材料も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、例えば、液晶ポリエステルにフッ素樹脂を充填した材料からなる0.1〜0.4mmの薄肉成形品であるアームラッチは、剛性が不足して使用時に成形品が変形してしまうという問題が生じることがある。
また、液晶ポリエステルにフッ素樹脂およびタルクを充填した組成物も提案されているが(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)、これら樹脂材料からなる0.1〜0.4mmの薄肉成形品であるアームラッチは、HDD駆動時の高速、高回数の摺動において摺動面から剥離、飛散した微紛がデータデータ読み取り不良を誘発する可能性があることが判明した。
特開昭63−230756号公報 特開平5−105804号公報 特許3282505号公報 特開2003−171538号公報
以上述べたよう従来の液晶ポリエステル樹脂組成物からなる摺動部材では、剛性、摺動性、摺動面からの微粉末の剥離、飛散とのバランスのトレードオフの関係を断ち切ることが不可能であった。
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、剛性、摺動性、摺動面からの微粉末の剥離、飛散とのバランスに優れた液晶ポリエステル樹脂組成物からなる摺動部材を実現することを目的とするものであり、特に、ディスク装置の機構部品に使用される摺動特性が必要となる部品に適した液晶ポリエステル樹脂組成物からなる摺動部材を実現することを目的とする。
本発明の第1は、液晶ポリエステル40〜80質量%とタルク5〜55質量%およびフッ素樹脂5〜20質量%(全体で100質量%とする。)とからなり、せん断速度100sec−1、370℃で測定される溶融粘度が150〜400Pa・secの範囲にある液晶ポリエステル樹脂組成物を射出成形して得られる摺動部材に関するものである。
本発明の第2は、本発明の第1において、前記摺動部材がハードディスクドライブ内部で金属との摺動部に使用されるものである摺動部材に関するものである。
本発明の第3は、本発明の第1または第2において、前記摺動部材がハードディスクドライブ内部で設けられるラッチアームである摺動部材に関するものである。
本発明に係る液晶ポリエステル樹脂組成物からなる摺動部材は、剛性、摺動性、摺動面からの微粉末の剥離、飛散とのバランスに優れ、特に、ディスク装置の機構部品に使用される摺動部材を提供できる。
本発明で用いる液晶ポリエステルとは、一般にサーモトロピックと呼ばれるポリエステルであり、異方性溶融体を形成するものである。全芳香族液晶ポリエステルは、これらの中で、実質的に芳香族化合物のみの重縮合反応によって得られるものをいう。
本発明で用いる液晶ポリエステル樹脂組成物を構成する液晶ポリエステル樹脂の構造単位としては、例えば、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸との組み合わせからなるもの、異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸からなるもの、芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせからなるもの、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの、等があげられ、具体的構造単位としては、例えば下記のものが挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位:
Figure 2006182877
芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位:
Figure 2006182877
芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単位:
Figure 2006182877
Figure 2006182877
耐熱性、機械物性、加工性のバランスの観点から、好ましい液晶ポリエステルは、上記構造単位(A1)を30モル%以上有するもの、更に好ましくは(A1)と(B1)をあわせて60モル%以上有するものである。
特に好ましい液晶ポリエステルは、p−ヒドロキシ安息香酸(I)、テレフタル酸(II)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(III)(これらの誘導体を含む。)を80〜100モル%(但し、(I)と(II)の合計を60モル%以上とする。)、および、(I)(II)(III)のいずれかと脱縮合反応可能な他の芳香族化合物0〜20モル%を重縮合してなる融点320℃以上の全芳香族液晶ポリエステル、または、p−ヒドロキシ安息香酸(I)、テレフタル酸(II)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(III)(これらの誘導体を含む。)を90〜99モル%(但し、(I)と(II)の合計を60モル%以上とする。)、および、(I)(II)(III)と脱縮合反応可能な他の芳香族化合物1〜10モル%(両者をあわせて100モル%とする。)を重縮合してなる融点320℃以上の全芳香族液晶ポリエステルである。
上記構造単位の組み合わせとしては、
(A1)
(A1)、(B1)、(C1)
(A1)、(B1)、(B2)、(C1)
(A1)、(B1)、(B2)、(C2)
(A1)、(B1)、(B3)、(C1)
(A1)、(B1)、(B3)、(C2)
(A1)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)
(A1)、(A2)、(B1)、(C1)
が好ましく、特に好ましいモノマー組成比としては、p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(これらの誘導体を含む)を80〜100モル%とこれら以外の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からなる群から選ばれる芳香族化合物0〜20モル%(両者を合わせて100モル%とする)とを重縮合してなる全芳香族液晶ポリエステルである。p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニルが80モル%以下になると耐熱性が低下し好ましくない。
本発明で用いる液晶ポリエステルの調製方法としては、公知の方法を採用することができる。溶融重合のみによる製造、あるいは溶融重合と固相重合の2段重合による製造方法を用いることができる。具体的な例示としては、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ジヒドロキシカルボン酸化合物および芳香族ジカルボン酸化合物から選択されたモノマーを反応器に仕込み、無水酢酸を投入してモノマーの水酸基をアセチル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する。例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸、および4,4’−ジヒドロキシビフェニルを窒素雰囲気下の反応器に投入し、無水酢酸を加えて無水酢酸還流下にアセトキシ化を行い、その後昇温して150〜350℃の温度範囲で酢酸を留出しながら脱酢酸溶融重縮合を行うことによりポリエステルを製造する方法が挙げられる。重合時間は、1時間から数十時間の範囲で選択することができる。本発明のサーモトロピック液晶ポリエステルの製造においては、製造前にモノマーの乾燥を行ってもよく、行わなくてもよい。
溶融重合により得られた重合体についてさらに固相重合を行う場合は、溶融重合により得られたポリマーを固化後に粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、公知の固相重合方法により、例えば、窒素などの不活性雰囲気下において200〜350℃の温度範囲で1〜30時間熱処理する。固相重合は、攪拌しながら行ってもよく、また攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。
重合反応において触媒は使用してもしなくてもよい。使用する触媒としては、ポリエステルの重縮合用触媒として従来公知の触媒を使用することができ、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチアネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N−メチルイミダゾールなどの有機化合物触媒等が挙げられる。
また、溶融重合における重合器は特に限定されるものではないが、一般の高粘度反応に用いられる攪拌設備、例えば、錨型、多段型、螺旋帯、螺旋軸等の各種形状の攪拌機またはそれらを変形したものを有する攪拌槽型重合器、具体的にはワーナー式ミキサー、バンバリーミキサー、ポニーミキサー、ミュラーミキサー、ロールミル、連続操作可能のコニーダー、パグミル、ギアーコンパウンダーなどから選ぶことが望ましい。
本発明に用いるタルクは、樹脂組成物を構成する材料として使用されている公知のタルクであれば特に制限は無い。理論上の化学構造は含水ケイ酸マグネシウムであるが、特に天然物である場合は、酸化鉄、酸化アルミニウム等の不純物を含むことがある。本発明においては、鱗片状でなめらかな物理的形状が剛性、摺動、対剥離に係る特性バランスに関与していると考えられる。したがって、これらのバランスが最も効果的に発揮できるのは、レーザー回折法による平均粒径が2.5〜40μmの範囲、アスペクト比が2〜20の範囲にあるものである。さらに、タルクに含有される不純物の合計が、10質量%未満、であることが好ましい。
本発明に用いるフッ素樹脂は、摺動性樹脂組成物を構成する材料として使用されている公知のフッソ樹脂であれば特に制限は無い。本発明においては、フッ素樹脂中のフッ素含有量が、摺動特性に関与していると考えられる。したがって、これらのバランスが最も効果的に発揮できるのは、フッ素含有量の多いポリテトラフルオロエチレンである。フッ素樹脂の好ましい平均粒径は、30〜80μmである。
本発明においては、これらの液晶ポリエステル40〜80質量%、タルク5〜55質量%、フッ素樹脂5〜20質量%の範囲で合計100質量%とし、溶融混練する。液晶ポリエステルが40質量%未満であると成形性が不十分であり80質量%を超えると剛性と摺動性が不十分となる。タルクが5質量%未満であると剛性が不十分であり55質量%を超えると成形性が不十分となる。フッ素樹脂が5質量%未満であると摺動性が不十分であり55質量%を超えると剛性と成形性が不十分となる。
更に、本発明の組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料(たとえばニグロシンなど)および顔料(たとえば硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラックなど)を含む着色剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤などの通常の添加剤や他の熱可塑性樹脂を添加して、所定の特性を付与することができる。
本発明に係る液晶ポリエステル樹脂組成物は液晶ポリエステルを溶融して他の成分と混練して得られるが、溶融混練に用いる機器および運転方法は、一般に液晶ポリエステルの溶融混練に使用するものであれば特に制限はない。好ましくは、一対のスクリュをする混練機で、ポッパーから液晶ポリエステル、タルクおよびフッ素樹脂を投入し、溶融混練し押し出してペレット化する方法が好ましい。これらは、2軸混練機と呼ばれるもので、これらの中でも、切り替えし機構を有することで充填材の均一分散を可能とする異方向回転式であるもの、食い込みが容易となるバレル−スクリュウ間の空隙が大きい40mmφ以上のシリンダー径を有するもの、2条タイプのもの、および、スクリュウ間の噛合いが大きいもの、具体的には、噛合い率が1.45以上のものが好ましい。
本発明においては、このようにして得られた液晶ポリエステル樹脂組成物の剪断速度100sec−1、370℃で測定される溶融粘度が150〜400(Pa・sec)の範囲あることが必要である。溶融粘度は、インテスコ株式会社製キャピラリーレオメーター(Model2010)を用い、キャピラリーとして径1.00mm、長さ40mm、流入角90°のものを用い、せん断速度100sec−1で320℃から+4℃/分の昇温速度で等速加熱をしながら見掛け粘度測定を行い、370℃における見かけ粘度を求める。
本発明の摺動部材は上記組成物から射出成形で得られるが、成形品に目的とする剛性、摺動性能を発揮させるには、上記の溶融粘度範囲が必要である。該摺動部材の摺動部の厚みが0.1〜0.4mmのような薄肉の場合、上記範囲の溶融粘度範囲にある樹脂組成物を用いることにより、金型内の0.1〜0.4mmの厚みの空間に高速で射出充填されたときに、金型内で均一に流動して、組成の偏りがない成形品を得ることができる。このようにして得られた摺動部材は、摺動性能、剛性にすぐれ、摩耗粉の発生が抑制されたものである。
なお、本発明に用いる射出成形条件あるいは射出成形機は、液晶ポリエステルの成形に一般に使用されている公知のものであれば特に制限は無い。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例における性能の測定方法および評価方法を以下に示す。
(1)溶融粘度の測定
溶融粘度は、インテスコ株式会社製キャピラリーレオメーター(Model2010)を用い、キャピラリーとして径1.00mm、長さ40mm、流入角90°のものを用い、せん断速度100sec−1で320℃から+4℃/分の昇温速度で等速加熱をしながら見掛け粘度測定を行い、370℃における見かけ粘度を求めた。
(2)摩擦磨耗試験
シリンダー温度350℃、射出圧力3MPaの条件で射出成形して、直径26mm、厚さ3mm、高さ20mmの円筒形試験片を作成し、鈴木式摩擦磨耗試験機を用い、圧力2MPa、速度10m/分、時間30分間の条件で、相手材にSUS304を用いて摩擦係数、磨耗量を測定した。
(3)曲げ強度
シリンダー温度350℃、射出圧力1.5MPaの条件で射出成形して、幅12.7mm、厚さ3.0mm、長さ13.0mmの試験片を作成し、スパン間距離25mmでASTMD−790に準拠して行った。
(4)成形性
幅12.7mm、厚さ0.3mm、長さ4.0mmの形状の試験片を、射出速度200mm/秒、シリンダー温度350℃で射出成形した時、観測される射出圧力プロファイルの最大値が100MPa未満であったものを成形性が良好であったと評価して「○」、101MPa以上150MPa未満であったものを成形性が普通であったと評価して「△」、150MPa以上であったものを成形性が不良であったと評価して「×」とした。
液晶ポリエステルの製造例を以下に示す。
液晶ポリエステルAの製造:
SUS316を材質とし、ダブルヘリカル攪拌翼を有する1700L重合槽(神戸製鋼株式会社製)にp−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬株式会社製)298g(2.16キロモル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(本州化学工業株式会社製)134kg(0.72キロモル)、テレフタル酸(三井化学株式会社製)90kg(0.54キロモル)、イソフタル酸(エイ・ジ・インターナショナルケミカル株式会社製)30kg(0,18キロモル)、触媒として酢酸カリウム(キシダ化学株式会社製)0.04kg、酢酸マグネシウム(キシダ化学株式会社製)0.10kgを仕込み、重合槽の減圧−窒素注入を2回行って窒素置換を行った後、無水酢酸390kg(3.82キロモル)を添加し、攪拌翼の回転数45rpmで150℃まで1.5時間で昇温して還流状態で2時間アセチル化反応を行った。アセチル化終了後、酢酸留出状態にして0.5℃/分で昇温して、リアクター温度が305℃になったところで重合物をリアクター下部の抜き出し口から取り出し、冷却装置で冷却固化した。得られた重合物をホソカワミクロン株式会社製の粉砕機により2.0mmメッシュ以下に粉砕してプレポリマーを得た。
得られたプレポリマーを高砂工業株式会社製のロータリーキルンを用いて固相重合を行った。プレポリマーを該キルンに400kg充填し、窒素を16Nm/時間流通し、回転数2rpmでヒーター温度を室温から350℃まで1時間で昇温し、350℃で10時間保持した。キルン内の樹脂粉末温度が295℃に到達したことを確認し、加熱を停止してロータリーキルンを回転しながら4時間かけて冷却し、液晶ポリエステルAを得た。溶融粘度は100Pa・secであった。
液晶ポリエステルBの製造:
プレポリマーの製造方法は液晶ポリエステルAと同様の操作で行った。
得られたプレポリマーを高砂工業株式会社製のロータリーキルンを用いて固相重合を行った。プレポリマーを該キルンに400kg充填し、窒素を16Nm/時間流通し、回転数2rpmでヒーター温度を室温から350℃まで1時間で昇温し、350℃で11時間保持した。キルン内の樹脂粉末温度が300℃に到達したことを確認し、加熱を停止してロータリーキルンを回転しながら4時間かけて冷却し、液晶ポリエステルBを得た。溶融粘度は400Pa・secであった。
液晶ポリエステルCの製造:
プレポリマーの製造方法は液晶ポリエステルAと同様の操作で行った。
得られたプレポリマーを高砂工業株式会社製のロータリーキルンを用いて固相重合を行った。プレポリマーを該キルンに400kg充填し、窒素を16Nm/時間流通し、回転数2rpmでヒーター温度を室温から350℃まで1時間で昇温し、350℃で9時間保持した。キルン内の樹脂粉末温度が280℃に到達したことを確認し、加熱を停止してロータリーキルンを回転しながら4時間かけて冷却し、液晶ポリエステルCを得た。溶融粘度は40Pa・secであった。
以下の実施例および比較例で使用した充填材を示す。
(1)タルク:林化成株式会社製、PK−NX
平均粒径24μm、アスペクト比7
(2)フッ素樹脂:ポリテトラフルオロエチレン(株式会社喜多村社製、KT−400M)
平均粒径30μm
実施例および比較例における樹脂組成物製造の際の混練は、いずれもシリンダー径46mmの2軸押出機(神戸製鋼製株式会社KTX−46:2条タイプ、噛合い率=1.47)を用い、混練速度は、すべて100kg/時間で行った。
<実施例1>
液晶ポリエステルA50質量%とタルク40質量%とポリテトラフルオロエチレン10質量%をリボンブレンダーを用いて混合し、その混合物をエアーオーブン中で150℃/2時間乾燥した。この乾燥した混合物を、シリンダーの最高温度380℃で溶融混練してペレットを得た。各種試験片を成形し試験を行った。
<実施例2>
液晶ポリエステルA50質量%とタルク35質量%とポリテトラフルオロエチレン15質量%をリボンブレンダーを用いて混合し、その混合物をエアーオーブン中で150℃/2時間乾燥した。この乾燥した混合物を、シリンダーの最高温度380℃で溶融混練してペレットを得た。各種試験片を成形し試験を行った。
<実施例3>
液晶ポリエステルB50質量%とタルク40質量%とポリテトラフルオロエチレン10質量%をリボンブレンダーを用いて混合し、その混合物を乾燥操作せずに、シリンダーの最高温度380℃で溶融混練してペレットを得た。各種試験片を成形し試験を行った。
<比較例1>
液晶ポリエステルA50質量%とタルク40質量%とポリテトラフルオロエチレン10質量%をリボンブレンダーを用いて混合し、その混合物を乾燥操作せずに、シリンダーの最高温度380℃で溶融混練してペレットを得た。各種試験片を成形し試験を行った。
<比較例2>
液晶ポリエステルC50質量%とタルク40質量%とポリテトラフルオロエチレン10質量%をリボンブレンダーを用いて混合し、その混合物を乾燥操作せずに、シリンダーの最高温度380℃で溶融混練してペレットを得た。各種試験片を成形し試験を行った。
<比較例3>
液晶ポリエステルB50質量%とタルク40質量%とポリテトラフルオロエチレン10質量%をリボンブレンダーを用いて混合し、その混合物をエアーオーブン中で150℃/2時間乾燥し、シリンダーの最高温度380℃で溶融混練してペレットを得た。各種試験片を成形し試験を行った。
<比較例4>
液晶ポリエステルA90質量%とタルク5質量%とポリテトラフルオロエチレン5質量%をリボンブレンダーを用いて混合し、その混合物をエアーオーブン中で150℃/2時間乾燥し、シリンダーの最高温度380℃で溶融混練してペレットを得た。各種試験片を成形し試験を行った。
<比較例5>
液晶ポリエステルA30質量%とタルク40質量%とポリテトラフルオロエチレン30質量%をリボンブレンダーを用いて混合し、その混合物をエアーオーブン中で150℃/2時間乾燥し、シリンダーの最高温度380℃で溶融混練してペレットを得た。各種試験片を成形し試験を行った。
<比較例6>
液晶ポリエステルA50質量%とタルク10質量%とポリテトラフルオロエチレン40質量%をリボンブレンダーを用いて混合し、その混合物をエアーオーブン中で150℃/2時間乾燥し、シリンダーの最高温度380℃で溶融混練してペレットを得た。各種試験片を成形し試験を行った。
<比較例7>
液晶ポリエステルA50質量%とポリテトラフルオロエチレン50質量%をリボンブレンダーを用いて混合し、その混合物をエアーオーブン中で150℃/2時間乾燥し、シリンダーの最高温度380℃で溶融混練してペレットを得た。各種試験片を成形し試験を行った。
<比較例8>
液晶ポリエステルA50質量%とタルク50質量%をリボンブレンダーを用いて混合し、その混合物をエアーオーブン中で150℃/2時間乾燥し、シリンダーの最高温度380℃で溶融混練してペレットを得た。各種試験片を成形し試験を行った。
表1に実施例および比較例の組成比を、表2に実施例および比較例の評価結果を示した。
Figure 2006182877
Figure 2006182877
表2に示したように、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物(実施例1〜3)は、溶融粘度が本発明の規定範囲に入っており、その結果、良好な成形性を示し、摩擦係数および磨耗量が低く、曲げ弾性率が高いという良好な結果が得られた。それら組成物によりラッチアームを成形し、1.8インチのHDDに搭載して、駆動−停止の操作を10000回行ったが、駆動異常は発生せず、ラッチアームからの粉の発生もなかった。それに対し、比較例1〜8のごとく本発明の規定範囲から外れる樹脂組成物の場合は、成形性、摩擦特性、摩耗量あるいは曲げ弾性率少なくとも一つが劣っている結果となった。

Claims (3)

  1. 液晶ポリエステル40〜80質量%とタルク5〜55質量%およびフッ素樹脂5〜20質量%(全体で100質量%とする。)とからなり、せん断速度100sec−1、370℃で測定される溶融粘度が150〜400Pa・secの範囲にある液晶ポリエステル樹脂組成物の射出成形品からなる摺動部材。
  2. 前記摺動部材がハードディスクドライブ内部で金属との摺動部に使用されるものである請求項1記載の摺動部材。
  3. 前記摺動部材がハードディスクドライブ内部に設けられるラッチアームである請求項1または2記載の摺動部材。
JP2004376570A 2004-12-27 2004-12-27 摺動部材 Pending JP2006182877A (ja)

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