JP5281751B2 - 液晶性ポリマー組成物及びその製造方法、並びに、これを用いた成形品及び平面状コネクター - Google Patents

液晶性ポリマー組成物及びその製造方法、並びに、これを用いた成形品及び平面状コネクター Download PDF

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本発明は、液晶性ポリマー組成物及びその製造方法、並びに、これを用いた成形品及び平面状コネクターに関する。
プリント基板、半導体、コネクター、リレー、スイッチ等の電子部品には、成形性に優れる熱可塑性樹脂が多く用いられている。特に、表面実装に用いられる電子部品には、成形性に加え、優れた耐熱性や強度も必要とされており、これらの要求を満たす材料として液晶性ポリマーが用いられている。この液晶性ポリマーに対しては、より多様な用途への適用を可能とするため、各種の特性を向上させる試みが盛んになされている。
例えば、液晶性ポリマーの成形性を向上させるため、各種の材料を添加することで液晶性ポリマーの流動性を改良する方法が知られている。具体的には、液晶性ポリマーにp−ヒドロキシ安息香酸のオリゴマーを添加する方法(特許文献1)、液晶性ポリマーに低分子量の液晶性ポリマーをブレンドする方法(特許文献1、2)、異なる融点を有する液晶ポリエステル樹脂を混合する方法(特許文献3)等が開示されている。
また、近年では、電子部品の小型化、薄肉化が進んでおり、電子部品、特にコネクターに用いられる液晶性ポリマーに対しては、優れた流動性、耐熱性及び機械的強度を維持しながら、成形品におけるそりの発生を低減し得ることが要求されている。
このようなそりの発生を低減し得る液晶性ポリマーとしては、液晶性ポリエステル樹脂に数平均繊維長が0.12〜0.25mmとなるようにガラス繊維を充填したもの(特許文献4)、液晶性ポリマーに繊維状充填剤及び粒状充填材を添加したもの(特許文献5)、流動温度の異なる2種の液晶ポリマーの組み合わせに繊維状及び/又は板状の無機充填剤を配合したもの(特許文献6)等が開示されている。
さらに、より薄型の成形品を形成する場合であっても優れた耐熱性、流動性が得られ、成形品のそりも一層低減できる液晶性ポリマーとして、所定の液晶性ポリエステルに、所定の条件を満たす繊維状無機充填剤及び板状無機充填剤を添加したもの(特許文献7)も開示されている。また、流動性を十分に維持したまま、剛性を向上することができる液晶性ポリマーとして、融点、ガラス転移温度、粘度等の特定の性質を有する液晶ポリマー組成物も知られている(特許文献8)。
特開平3−252457号公報 特許第2823873号公報 特開2002−249647号公報 特許第3045065号公報 特開2000−178443号公報 特開平10−219085号公報 特開2002−294038号公報 特開2005−298772号公報
しかしながら、近年では、電子部品等の加工の更なる精密化が求められていることから、かかる要求を満たすため、更にそりを低減できる液晶性ポリマー組成物が求められている。
また、液晶性ポリマーの成形品は、表面実装に用いられる際にはんだリフロー処理が施される場合が多いため、液晶性ポリマー組成物に対しては、成形時のそりを低減するだけでなく、成形後の高温処理時におけるそりも十分に低減できることが求められている。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、成形時のそりの発生を十分に低減できるだけでなく、成形後の高温処理時におけるそりの発生をも低減することができる液晶性ポリマー組成物を提供することを目的とする。本発明はまた、かかる液晶性ポリマー組成物の製造方法、並びに、この液晶性ポリマーを用いた成形品及び平面状コネクターを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の液晶性ポリマー組成物は、荷重たわみ温度が200℃以上である第1の液晶性ポリマー、及び、荷重たわみ温度が200℃未満である第2の液晶性ポリマーを含有し、第1の液晶性ポリマー及び第2の液晶性ポリマーは、これらの合計質量中、それぞれ30〜95質量%及び5〜70質量%含まれており、且つ、第2の液晶性ポリマーは、270℃以上400℃未満の融点を有し、且つ、流動開始温度が270℃以上であることを特徴とする。
ここで、本発明における「液晶性ポリマー」とは、溶融時に液晶性を示す、いわゆるサーモトロピック液晶性ポリマーをいう。また、液晶性ポリマーが有する「荷重たわみ温度」は、その液晶性ポリマーを用いて形成した長さ127mm、幅12.7mm、厚さ6.4mmの試験片を、ASTM D648に準拠する方法にしたがって、18.6kg/cmの荷重で測定することにより得ることができる。さらに、液晶ポリマーの「融点」は、10〜25℃/分の昇温速度による示差走査熱量測定(DSC)によって観測される融点である。さらにまた、「流動開始温度」は、サンプルを内径1mm、長さ10mmのダイスを取り付けた毛細管型レオメーターに充填し、これに9.8MPa(100kg/cm)の荷重を加え、昇温速度4℃/分でサンプルを押出しながらフローテスターを用いて溶融粘度を測定し、4800Pa・s(48000ポイズ)の溶融粘度が得られたときの温度である。
上記構成を有する本発明の液晶性ポリマー組成物によれば、成形時の流動性に優れており、成形時のそりの発生が少なく、更に成形後の高温処理時のそりの発生も低減することができる。さらに、かかる液晶性ポリマー組成物によれば、優れた耐熱性も得られるのに加え、成形体の曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)等の機械的強度も向上させることが可能となる。このような効果は、必ずしも明らかではないものの、2種の液晶性ポリマーのうち、一方を200℃以上という高い荷重たわみ温度を有するものとし、また、他方をこれよりも低い荷重たわみ温度を有する上、所定の融点及び所定の流動開始温度を有するものとして、これらを組み合わせることによって、全体として適度な液晶性を有するようになったためであると考えられる。
上記本発明の液晶性ポリマー組成物において、第1の液晶性ポリマーは、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来するモノマー単位、芳香族ジオールに由来するモノマー単位及び芳香族ジカルボン酸に由来するモノマー単位を有するものであることが好ましい。このような液晶性ポリマーは、分子が剛直であり液晶性が高いことから、かかる第1の液晶性ポリマーを含むことで、組成物の流動性、耐熱性及び成形時のそりの発生をより低減し得る。
また、第2の液晶性ポリマーは、当該ポリマーを構成している構造単位同士を結合するエステル結合を含有するものであると好ましい。こうすれば、成形時や成形後の高温処理時のそりの発生を一層低減することができる。
さらに、第2の液晶性ポリマーは、295℃以上400℃未満の融点を有するものであるとより好ましい。このような融点を有する第2の液晶性ポリマーを含むことで、成形後の高温処理時におけるそりの発生を一層低減することが可能となる。
また、第2の液晶性ポリマーは、1,3−フェニレン骨格を有するモノマー単位、2,3−フェニレン骨格を有するモノマー単位及び2,3−ナフタレン骨格を有するモノマー単位からなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマー単位を10〜45モル%含むものであると好ましい。
これらのモノマー単位が有している骨格は、いずれも屈曲した構造を有している。第2の液晶性ポリマーは、このようなモノマー単位を上記所定の割合で有していることから、分子中に屈曲した構造を含み、適度に液晶性(異方性)が低下したものとなる。したがって、このような第2の液晶性ポリマーを含有することによって、液晶性ポリマー組成物の異方性をより良好に低減することができるようになり、成形時及び成形後のそりの発生を更に抑制することが可能となる。
さらに、第1の液晶性ポリマーは、第2の液晶性ポリマーの有するモノマー単位を全て含むものであるとより好ましい。こうすれば、溶融時等における両者の相溶性が向上して液晶性ポリマー組成物全体の異方性が更に低くなる。その結果、成形品のそりが一層低減されるようになる。
さらにまた、液晶性ポリマー組成物は、第1の液晶性ポリマー及び第2の液晶性ポリマーを、それぞれ1mm以下の平均粒径を有する粉末状で含有していると好ましい。これにより、液晶性ポリマー組成物において第1及び第2の液晶性ポリマーがより均一に混合され、異方性の低下、ひいてはそりの低減がより効果的になされるようになる。
より具体的には、第2の液晶性ポリマーは、1mm以下の平均粒径を有する粉末状のプレポリマーを固相重合して得られたものであると好ましい。このような第2の液晶性ポリマーは、液晶性ポリマー組成物の異方性を良好に低下させることができる。
また、本発明の液晶性ポリマー組成物は、有機充填剤又は無機充填材を更に含むことがより好ましい。有機充填剤又は無機充填材を更に含むことで、そりの発生が更に抑制されるようになる。
さらにまた、本発明の液晶性ポリマー組成物は、組成物全体として荷重たわみ温度が220℃以上であると好ましい。このような液晶性ポリマー組成物は、極めて耐熱性に優れることからリフロー等の高温処理にも適用でき、またそりの発生も更に少ないものとなる。
本発明はまた、上記本発明の液晶性ポリマー組成物からなる成形品を提供する。このような成形品としては平面状コネクターが好適である。かかる成形品は、上記本発明の液晶性ポリマーを成形して得られたものであるため、もともともそりが小さい上、基板等に搭載されてはんだリフロー等が施されたとしてもそりの発生が小さく、リフロー時等の形状安定性に優れている。
また、本発明の液晶性ポリマー組成物の製造方法は、1mm以下の平均粒径を有する粉末状の第1のプレポリマーを固相重合して、荷重たわみ温度が200℃以上である第1の液晶性ポリマーを得る工程と、1mm以下の平均粒径を有する粉末状の第2のプレポリマーを固相重合して、荷重たわみ温度が200℃未満であり、270℃以上400℃未満の融点を有し、且つ、流動開始温度が270℃以上である第2の液晶性ポリマーを得る工程と、第1の液晶性ポリマーと第2の液晶性ポリマーとを混合する工程とを有することを特徴とする。このような製造方法により、上記本発明の液晶性ポリマー組成物を良好に製造することが可能となる。上記本発明の製造方法においては、295℃以上400℃未満の融点を有する第2の液晶性ポリマーを得ることがより好ましい。
本発明によれば、成形時のそりの発生を十分に低減できるだけでなく、成形後の高温処理時におけるそりの発生をも低減することができる液晶性ポリマー組成物及びその製造方法を提供することが可能となる。また、本発明によれば、かかる液晶性ポリマー組成物を用いて得られ、成形後の高温処理によるそりの発生が少ない成形品、特に平面型コネクターを提供することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
[液晶性ポリマー組成物]
まず、好適な実施形態に係る液晶性ポリマー組成物について説明する。液晶性ポリマー組成物は、荷重たわみ温度が200℃以上である第1の液晶性ポリマー及びこれよりも荷重たわみ温度が低い第2の液晶性ポリマーを含むものである。以下、第1及び第2の液晶性ポリマーについてそれぞれ説明する。
第1の液晶性ポリマーは、溶融時に液晶性を示すサーモトロピック液晶性ポリマーであり、荷重たわみ温度が200℃以上、好ましくは220℃以上のポリマーである。この第1の液晶性ポリマーは、その融点については特に限定されない。すなわち、融点が観測されない非晶質のものであってもよく、融点が観測される結晶構造を有するものであってもよい。また、第1の液晶性ポリマーのガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、第1の液晶性ポリマーとしては、Tgが観測されないものであるとより好ましい。
このような第1の液晶性ポリマーとしては、全芳香族ポリエステル、芳香族−脂肪族ポリエステル、全芳香族ポリ(エステル−アミド)、脂肪族ポリアゾメチン、芳香族ポリエステル−カーボネート等が挙げられる。全芳香族ポリエステル又は全芳香族ポリ(エステル−アミド)は、優れた耐熱性が得られるようになる傾向にあることから好ましい。
なかでも、液晶性ポリマー組成物の吸水性を低下させて、成形時等の寸法変化を小さくする観点からは、全芳香族ポリエステルが好ましい。ここで、「全芳香族」とは、そのポリマーを構成する実質的に全てのモノマー単位が芳香環(ベンゼン環が好ましい)を有することを意味し、より具体的には、全モノマー単位中、50%以上、より好ましくは80%以上が芳香環を有している状態である。
第1の液晶性ポリマーとして好適な全芳香族ポリエステルとしては、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来するモノマー単位、芳香族ジオールに由来するモノマー単位及び芳香族ジカルボン酸に由来するモノマー単位を有するものが挙げられる。なお、特定のモノマーに「由来するモノマー単位」とは、換言すれば、そのモノマーの「重合によって形成された構造単位」である。したがって、各モノマー単位は、重合に寄与しなかったモノマー中の構造をそのまま含む構造を有する。
これらのモノマー単位を構成する好適なモノマーとしては、以下のものが例示できる。すなわち、まず、芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、パラヒドロキシ安息香酸、メタヒドロキシ安息香酸、2―ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2―ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1―ヒドロキシ−4−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4’−カルボキシジフェニルエーテル、2,6−ジクロロ−パラヒドロキシ安息香酸、2−クロロ−パラヒドロキシ安息香酸、2,6−ジフルオロ−パラヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸等が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、これらの一種類のみを適用してもよく、複数種を組み合わせてもよい。
これらのなかでも、パラヒドロキシ安息香酸又は2―ヒドロキシ−6−ナフトエ酸が、第1の液晶性ポリマーの荷重たわみ温度を上記範囲とし易く、また、入手が容易であることから好ましい。
芳香族ジオールとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン、アセトキシハイドロキノン、ニトロハイドロキノン、4,4’―ジヒドロキシビフェニル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2―ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2―ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2―ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2―ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2―ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。これらは単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらのなかでも、4,4’―ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン又は2,6−ジヒドロキシナフタレンが、第1の液晶性ポリマーの耐熱性を向上する効果に優れるほか、入手が容易であることから好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、1,5―ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルケトン−4,4’−ジカルボン酸、2,2’―ジフェニルプロパン−4,4’−ジカルボン酸等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらのなかでも、テレフタル酸、イソフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸が、第1の液晶性ポリマーの耐熱性を向上する効果に優れるほか、入手が容易であるため好ましい。
また、第1の液晶性ポリマーとしては、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来するモノマー単位を30〜80mol%、芳香族ジオールに由来するモノマー単位を10〜35mol%、芳香族ジカルボン酸に由来するモノマー単位を10〜35mol%有するものが好ましい。かかる構造の第1の液晶性ポリマーは、荷重たわみ温度等が上述した範囲となり易い。このような第1の液晶性ポリマーは、各モノマーを上記の割合で配合して重合させることにより得ることができる。
第1の液晶性ポリマーは、上述したモノマー単位を含む構成を有しているが、この第1の液晶性ポリマーは、屈曲した構造を有するモノマー単位の含有量が、下記第2の液晶性ポリマーよりも小さいことが好ましい。特に、この屈曲した構造を有するモノマー単位の含有量が、10モル%未満であると好ましい。これにより、第1の液晶性ポリマーの荷重たわみ温度が上述した好適な範囲となり易くなる。なお、屈曲した構造を有するモノマー単位とは、例えば、1,3−フェニレン骨格を有するモノマー単位、2,3−フェニレン骨格を有するモノマー単位、2,3−ナフタレン骨格を有するモノマー単位等が挙げられる。
第2の液晶性ポリマーは、溶融時に液晶性を示すサーモトロピック液晶性ポリマーであり、荷重たわみ温度が200℃未満であって第1の液晶性ポリマーよりも低いポリマーである。この第2の液晶性ポリマーは、好ましくは荷重たわみ温度が190℃以下、より好ましくは150℃以下のポリマーである。また、第2の液晶性ポリマーとしては、その構造単位同士を結合するエステル結合を有するものが好ましい。さらに、第2の液晶性ポリマーは、アミド結合は有していないポリマーであると更に好ましい。
第2の液晶性ポリマーは、270℃以上400℃未満の融点を有する。この融点は、上述の如く、10〜25℃/分の昇温速度によるDSC測定で観測される値である。第2の液晶性ポリマーの融点は、295℃以上であると好ましく、310℃以上であるとより好ましい。第2の液晶性ポリマーの融点が270℃未満であると、成形品にはんだリフロー等を施した場合に、成形品の発泡や膨れが生じやすくなる。一方、400℃以上であると、成形に過度の高温が必要となり、成形時の液晶性ポリマー組成物の劣化が生じ易くなる。
また、第2の液晶性ポリマーは、ガラス転移温度を有するポリマーであると好ましい。第2の液晶性ポリマーの有するガラス転移温度は、50〜200℃であると好ましく、70〜180℃であるとより好ましく、100〜180℃であると更に好ましい。第2のポリマーがこのようにガラス転移温度を有することで、第2の液晶性ポリマーの荷重たわみ温度を上記の好適範囲とし易くなるほか、得られる成形品の残留応力を低減することができる。その結果、成形品のそりをより効果的に低減できるようになる。なお、ガラス転移温度は、上述したDSC測定によって測定することができる。
さらに、第2の液晶性ポリマーは、流動開始温度が270℃以上である。第2の液晶性ポリマーの流動開始温度が270℃未満であると、液晶性ポリマー組成物を成形して得られる成形品を用いてはんだリフロー等の処理を行った場合に、成形品に発泡や膨れが生じ易くなる傾向にある。このような不都合を更に低減する観点から、第2の液晶性ポリマーの流動開始温度は277℃以上であるとより好ましい。ただし、第2の液晶性ポリマーの流動開始温度は、成形時の液晶性ポリマー組成物の劣化防止の観点から、400℃未満であることが望ましい。
このような第2の液晶性ポリマーとしては、上述の特性を満たすものであれば特に制限されないが、例えば、全芳香族ポリエステル、芳香族−脂肪族ポリエステル等が挙げられ、液晶性ポリマー組成物の成形品のはんだリフロー後の発泡や膨れを低減する観点からは、全芳香族ポリエステルが好ましい。好適な全芳香族ポリエステルとしては、上述した第1の液晶性ポリマーと同様に、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来するモノマー単位、芳香族ジオールに由来するモノマー単位及び芳香族ジカルボン酸に由来するモノマー単位を有するものが好適である。
第2の液晶性ポリマーは、その構造中に、屈曲した構造を有するモノマー単位を有することが好ましい。このような屈曲した構造を有するモノマー単位としては、1,3−フェニレン骨格を有するモノマー単位、2,3−フェニレン骨格を有するモノマー単位及び2,3−ナフタレン骨格を有するモノマー単位が挙げられる。
第2の液晶性ポリマーがこのような屈曲した構造を有するモノマー単位を含むことで、第2の液晶性ポリマーが好適な荷重たわみ温度を有しやすくなるとともに、第1の液晶性ポリマーに比して液晶性が適度に低下する。その結果、液晶性ポリマー組成物が、成形時及び成形後の高温処理時におけるそり等を発生し難くなる。かかる効果をより確実に得る観点からは、第2の液晶性ポリマーは、これらの屈曲した構造を有するモノマー単位を、10〜45モル%有することが好ましく、12.5〜40mol%有することがより好ましい。
上記の屈曲した構造を有するモノマー単位としては、より具体的には、イソフタル酸、フタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、レゾルシン又はこれらの誘導体に由来するモノマー単位や、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,3’−ビフェニルジカルボン酸又はこれらの誘導体に由来するモノマー単位が挙げられる。なかでも、イソフタル酸又はレゾルシンに由来するモノマー単位は、第2の液晶性ポリマーを良好な特性のものとし易い傾向にある。
第1及び第2の液晶性ポリマーは上述したものであるが、本実施形態の液晶性ポリマー組成物においては、第1の液晶性ポリマーが、第2の液晶性ポリマーの有するモノマー単位を全て含むものであると好適である。これにより、成形時等に第1の液晶性ポリマーと第2の液晶性ポリマーとの相溶性が良好となって、より効果的に液晶性ポリマー組成物の液晶性(異方性)を低下し得るようになる。
第1及び第2の液晶性ポリマーの好適な組み合わせとしては、まず、第1の液晶性ポリマーが、第2の液晶性ポリマーの全てのモノマー単位を含むのに加え、その他のモノマー単位を更に有している場合が挙げられる。この場合、第1の液晶性ポリマーが有する他のモノマー単位としては、屈曲した構造を有しないモノマー単位が好ましい。このようなモノマー単位としては、例えば、テレフタル酸に由来するモノマー単位や2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来するモノマー単位が挙げられる。
また、第1及び第2の液晶性ポリマーが同一のモノマー単位から構成される場合であっても、上述した荷重たわみ温度等の相違を生じるようにモノマー単位の配合比が異なっていれば、好適な組み合わせとなり得る。
第1及び第2の液晶性ポリマーの好適な組み合わせとしては、第1及び第2の液晶性ポリマーが、それぞれ、(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来するモノマー単位(以下、「ヒドロキシカルボン酸単位」と略す)、(2)芳香族ジオールに由来するモノマー単位(以下、「ジオール単位」と略す)、及び、(3)芳香族ジカルボン酸に由来するモノマー単位(以下、「ジカルボン酸単位」と略す)を含むポリマーである組み合わせが挙げられ、このような組み合わせとしては、次の(A)又は(B)が挙げられる。
まず、(A)として、第1の液晶性ポリマーが、(1)ヒドロキシカルボン酸単位として、パラヒドロキシ安息香酸及び2−ヒドロキシ―6―ナフトエ酸のうちの1種以上のモノマー単位を有し、(2)ジオール単位として、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン及び2,6−ジヒドロキシナフタレンのうちの1種以上のモノマー単位を有し、(3)ジカルボン酸単位として、イソフタル酸からなるモノマー単位を少なくとも有し、且つ、必要に応じてテレフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸のうちの1種以上のモノマー単位を有するポリマーであり、第2の液晶ポリマーが、(3)ジカルボン酸単位としてイソフタル酸からなるモノマー単位のみを含むこと以外は、第1の液晶ポリマーと同じモノマー単位から構成されるポリマーである組み合わせが挙げられる。
また、(B)として、第1の液晶ポリマーが、(1)ヒドロキシカルボン酸単位として、パラヒドロキシ安息香酸及び2−ヒドロキシ―6―ナフトエ酸のうちの1種以上のモノマー単位を有し、(2)ジオール単位として、レゾルシンからなるモノマー単位を少なくとも有し、且つ、必要に応じて4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン及び2,6−ジヒドロキシナフタレンのうちの1種以上のモノマー単位を有し、(3)ジカルボン酸単位として、テレフタル酸、イソフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸のうちの1種以上のモノマー単位を有するポリマーであり、第2の液晶ポリマーが(2)ジオール単位としてレゾルシンからなるモノマー単位のみを含むこと以外は、第1の液晶ポリマーと同じモノマー単位から構成されるポリマーである組み合わせが挙げられる。
より具体的には、上記(A)の組み合わせのうち、(1)ヒドロキシカルボン酸単位として、(C)パラヒドロキシ安息香酸からなるモノマー単位のみを有するような組み合わせが好適である。特に、かかる組み合わせのなかでも、(2)ジオール単位として、(D)4,4’−ジヒドロキシビフェニルからなるモノマー単位のみを有するもの、(E)ハイドロキノンからなるモノマー単位のみを有するもの、又は、(F)4,4’−ジヒドロキシビフェニルからなるモノマー単位とハイドロキノンからなるモノマー単位とを有するもの、が好ましい。
また、上記(A)の組み合わせとしては、芳香族ヒドロキシカルボン酸からなるモノマー単位として(G)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸からなるモノマー単位のみを有するような組み合わせも好適である。かかる組み合わせのなかでも、(2)ジオール単位として、(H)4,4’−ジヒドロキシビフェニルからなるモノマー単位のみを有するもの、(I)ハイドロキノンからなるモノマー単位のみを有するもの、又は、(J)4,4’−ジヒドロキシビフェニルからなるモノマー単位とハイドロキノンからなるモノマー単位とを有するもの、が好ましい。
本実施形態の液晶性ポリマー組成物において、第1の液晶性ポリマー及び第2の液晶性ポリマーは、これらの合計質量中、それぞれ30〜95質量%及び5〜70質量%含まれている。換言すれば、第1の液晶性ポリマー及び第2の液晶性ポリマーの合計質量中、第2の液晶性ポリマーの含有量は、5〜70質量%である。この第2の液晶性ポリマーの含有量は、15〜60質量%であると好ましく、30〜45質量%であると更に好ましい。第2の液晶性ポリマーの含有量が70質量%以上であると、液晶性ポリマー組成物の耐熱性が低下してリフロー等に成形品の変形が著しく生じるようになる。一方、5質量%未満であると、成形品のそりの発生を十分に低減できなくなる。
また、液晶性ポリマー組成物において、第1の液晶性ポリマー及び第2の液晶性ポリマーは、それぞれ1mm以下の平均粒径を有する粉末状であると好ましく、それぞれ0.1〜1mmの平均粒径を有する粉末状であるとより好ましい。この場合、粉末を構成する粒子の形状は特に限定されない。これにより、液晶性ポリマー組成物において第1及び第2の液晶性ポリマーが均一に分散されたものとなり易い。その結果、両者の混合による異方性の低減効果が良好に得られ、成形品のそりを更に低減し易くなる。特に、第2の液晶性ポリマーは、1mm以下の平均粒径を有する粉末状のプレポリマーを固相重合して得られたものであると好ましい。このような第2の液晶性ポリマーによれば、液晶性ポリマー組成物の異方性を更に低下させることが可能となる。
好適な実施形態に係る液晶性ポリマー組成物は、上記第1及び第2の液晶性ポリマーに加え、有機又は無機充填剤を更に含んでいると好ましい。有機又は無機充填剤を含むことにより、成形品のそりが一層低減され易くなる。有機又は無機充填剤としては、繊維状、粉粒状や板状のものを特に制限なく適用できる。
無機充填剤としては、例えば、繊維状の充填剤として、ガラス繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、ウォラストナイト等の珪酸塩の繊維、硫酸マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維や、その他、ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物等が挙げられる。なかでも、ガラス繊維が好適である。
また、粉粒状の充填剤として、カーボンブラック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ミルドガラスファイバー、ガラスバルーン、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリン、クレー、硅藻土、ウォラストナイト等の硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナ等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩、その他、フェライト、炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素や金属粉末等が挙げられる。さらに、板状充填剤としては、マイカ、ガラスフレーク、タルクや各種の金属箔等が挙げられる。
また、有機充填剤としては、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の高融点を有する有機繊維状物質や、芳香族ポリエステル繊維、液晶性ポリマー繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリイミド繊維等の耐熱性及び高強度を有する合成繊維等が挙げられる。
これらの有機又は無機充填剤は、1種又は2種以上を併用することができる。特に、有機充填剤及び無機充填剤を併用すると、液晶性ポリマー組成物から得られる成形品の機械的強度、寸法精度、電気的性質等を向上し得る傾向にある。
有機又は無機充填剤の配合量は、液晶性ポリマー組成物の全質量中、1〜80質量%であると好ましく、5〜65質量%であるとより好ましく、20〜55質量%であると更に好ましい。なお、有機充填剤及び無機充填剤を組み合わせて含む場合は、これらの合計が上記の配合量であると好ましい。有機又は無機充填剤の配合量が1質量%未満であると、成形品のそりを低減する効果を十分に得られなくなる場合がある。一方、80質量%を超えると、成形品の機械強度が不都合に低下するおそれがある。
上記各成分を含む本実施形態の液晶性ポリマー組成物は、全体として荷重たわみ温度が220℃以上であると好ましく、230℃以上であるとより好ましく、250℃以上であると更に好ましい。液晶性ポリマー組成物全体で220℃以上の荷重たわみ温度を有することで、成形品の耐熱性が良好となるほか、成形品のそりの発生を極めて良好に低減できるようになる。
また、液晶性ポリマー組成物は、上述した特性等を損なわない範囲で、第1及び第2の液晶性ポリマー、有機又は無機充填剤以外の他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、上記以外の樹脂やカップリング剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等が挙げられる。
[液晶性ポリマー組成物の製造方法]
次に、上述した液晶性ポリマー組成物の好適な製造方法の例について説明する。
好適な実施形態の液晶性ポリマー組成物の製造方法は、1mm以下の平均粒径を有する粉末状の第1のプレポリマーを固相重合して、荷重たわみ温度が200℃以上である第1の液晶性ポリマーを得る工程、1mm以下の平均粒径を有する粉末状の第2のプレポリマーを固相重合して、荷重たわみ温度が200℃未満であって第1の液晶性ポリマーよりも低く、270℃以上400℃未満の融点を有し、且つ、流動開始温度が270℃以上である第2の液晶性ポリマーを得る工程、及び、第1の液晶性ポリマーと第2の液晶性ポリマーとを混合する工程を有する。このような製造方法により、上述したような液晶性ポリマー組成物を良好に製造することが可能となる。
より具体的には、例えば、以下のような方法が挙げられる。すなわち、まず、第1又は第2の液晶性ポリマーの各原料モノマーを反応させて第1又は第2のプレポリマーをそれぞれ得る。第1又は第2のプレポリマーは、例えば、第1又は第2の液晶性ポリマーが上述した全芳香族ポリエステルである場合、原料モノマーの水酸基を酸無水物によりアシル化した後、このアシル化部分と原料モノマーのカルボキシル基のエステル交換反応を行う方法により合成することができる。このような合成方法としては、特開2002−220444号公報や、特開2002−146003号公報に開示された方法が適用できる。こうして得られるプレポリマーは、その分子量が2000〜60000であると好ましい。
次いで、得られた第1又は第2のプレポリマーを、それぞれ室温程度まで冷却して固形物とした後、得られた固形物を粉砕する等して、パウダー状、フレーク状等の粉末状に加工する。第1又は第2のプレポリマーの粉末は、これらの平均粒径が好ましくは1mm以下、より好ましくは0.1〜1mmとなるようにする。
その後、第1又は第2のプレポリマーを、粉末状のまま加熱する等により固相重合を生じさせて更に重合(高分子量化)する。これにより、1mm以下、好ましくは0.1mm〜1mmの平均粒径を有する粉末状の第1又は第2の液晶性ポリマーがそれぞれ得られる。かかる固相重合は、第1又は第2の液晶性ポリマーがそれぞれ上述した条件(荷重たわみ温度)を満たすまで行う。
それから、得られた第1の液晶性ポリマー、第2の液晶性ポリマー及び必要に応じて有機又は無機充填剤(以下、まとめて「充填剤」と表現する)やその他の成分を混合して、液晶性ポリマー組成物を得る。液晶性ポリマー組成物の調製方法としては、例えば、(1)第1の液晶性ポリマー及び第2の液晶性ポリマーのそれぞれに充填剤を配合し、これらを押し出し機やニーダで混合する方法、(2)第1の液晶性ポリマー及び第2の液晶性ポリマーのそれぞれに充填剤を加えてペレットを形成し、成形時にこれらを組み合わせる方法、(3)第1の液晶性ポリマー及び第2の液晶性ポリマーを混合し、更に充填剤を加えて押し出し機やニーダで混合する方法、等が挙げられる。
[成形品]
上述した実施形態の液晶性ポリマー組成物は、成形により所望の形状を有する成形品に加工することができる。かかる液晶性ポリマー組成物は、上記第1及び第2の液晶性ポリマーを含むものであるため、溶融時の流動性に優れるほか、比較的低温での成形が可能であるという特性を有している。液晶性ポリマー組成物の成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形等種々の成形方法を適用でき、立体形状、繊維状、フィルム状等種々の形状への加工が容易である。
液晶性ポリマー組成物は、上述の如く、成形時のそりを低減できるばかりでなく、リフロー等の成形後の高温処理におけるそりをも低減できるものである。したがって、液晶性ポリマー組成物の成形品は、例えば、プリント配線基板、半導体、抵抗、コンデンサー、コイル、スイッチ、リレー、コネクター等の表面実装用の電子部品として好適である。なかでも、フレキシブルプリント基板用の基板対基板コネクターや、ファインピッチ多端子コネクター、カードコネクター、メモリー用ソケット、CPUソケットのような平面状コネクターとして好適である。平面状コネクターとは、プリント配線基板に、表面実装により接合されるLSIやメモリー等のパッケージを接続するための部品、或いは、他基板との通信用の配線をプリント配線基板に接続するための部品である。
図1は、成形品の一例である平面状コネクターを示す斜視図である。平面状コネクター1は、本体部2及び表面に多数のリブ6が設けられたリブ部4とから構成され、これらはそれぞれ上述した液晶性ポリマー組成物が成形されたものである。本体部2は、比較的肉厚となっており、平面状コネクター1の強度を維持する機能を有している。また、リブ部4は、本体部2と比べて薄くされた構造となっている。この平面状コネクター1は、例えば、プリント配線基板上に載置されるとともに、リブ部6におけるリブ6に実装部品等の金属端子が挿入されることで、プリント配線基板と実装部品との接続を行うことができる。平面状コネクター1においては、要求される強度やピン数に応じて、本体部2やリブ部4の幅、厚さ、本体部2とリブ部4との比率、これらの形状等が決定される。
平面状コネクター1は、このように薄いリブ部4を有しているにもかかわらず、上述した本実施形態の液晶性ポリマー組成物の成形物からなることから、はんだリフロー等を行った場合であってもそりの発生が少ないものとなる。したがって、平面状コネクター1は、はんだリフロー等を行う際の形状や寸法安定性に優れており、コネクターとして好適に適用できる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[ポリマーの特性評価]
以下の第1又は第2の液晶性ポリマーの合成において、測定対象のポリマーの流動開始温度、ガラス転移温度、融点及び荷重たわみ温度は、以下の方法にしたがってそれぞれ測定した。
(流動開始温度)
流動開始温度は、フローテスター(島津製作所社製、CFT−500型)を用いて測定した。具体的には、まず、試料約2gを内径1mm、長さ10mmのダイスを取付けた毛細管型レオメーターに充填した。そして、9.8MPa(100kg/cm)の荷重を加え、昇温速度4℃/分で液晶性ポリマーをノズルから押出しながら、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度を測定し、この温度を流動開始温度とした。
(ガラス転移温度測定及び融点測定)
測定対象のポリマーについて、セイコーインスツルメンツ株式会社製、分析示差走査熱量測定システム「DSC6200」を用い、10℃/分の昇温速度で得られる熱量プロファイルを測定し、得られた吸熱曲線における吸熱ピークの最低温度を融点とした。また、融点より低温側に現れる吸熱曲線における変極点となる温度をガラス転移温度とした。
(荷重たわみ温度)
まず、測定対象のポリマーを造粒してペレットを得た。これを120℃で3時間乾燥させた後、射出成形機(日清樹脂工業(株)製PS40E5ASE型)を用いて、シリンダー温度を350℃とし、所定の金型温度で成形を行い、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ6.4mmの試験片を形成した。これを用いてASTM D648に準拠する方法により、18.6kg/cmの荷重で測定した。下記合成例1及び2の液晶性ポリマーに対しては成形時の金型温度を130℃とし、下記合成例3〜6の液晶性ポリマーに対しては成形時の金型温度を70℃とした。
[液晶性ポリマーの合成]
(合成例1)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p―ヒドロキシ安息香酸を911g(6.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを409g(2.2モル)、イソフタル酸を91g(0.55モル)、テレフタル酸を274g(1.65モル)、無水酢酸を1235g(12.1モル)加え、これらを攪拌した。次に、攪拌後の混合物中に1−メチルイミダゾールを0.17g添加し、反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、そのまま温度を保持して1時間還流させた。その後、1−メチルイミダゾールを更に1.7g添加した後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温した。トルクの上昇が認められた時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。
次いで、取り出した内容物を室温に冷却した後、粉砕機で粉砕して、約0.1mm〜約1mmの粒径を有するプレポリマーの粉末を得た。得られたプレポリマーの粉末を一部取り出し、その流動開始温度を測定したところ、257℃であった。
それから、プレポリマーの粉末を25℃から250℃まで1時間かけて昇温した後、この温度から285℃まで5時間かけて昇温し、更に同温度で3時間保温して、固相重合させた。固相重合後の粉末を冷却して、液晶性ポリマーの粉末を得た。得られた液晶性ポリマーの流動開始温度を上記と同様に測定したところ、327℃であった。また、液晶性ポリマーの粉末についてDSC測定を実施したところ、融点は340℃であり、ガラス転移温度は観測されなかった。
さらに、液晶性ポリマーの一部を造粒によりペレットとし、射出成形により荷重たわみ温度測定用の試験片に加工した。得られた試験片を用いて荷重たわみ温度を測定したところ、241℃であった。
(合成例2)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p―ヒドロキシ安息香酸を995g(7.2モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを447g(2.4モル)、イソフタル酸を159g(0.96モル)、テレフタル酸を239g(1.44モル)、無水酢酸を1348g(13.2モル)加え、これらを攪拌した。次に、攪拌後の混合物中に1−メチルイミダゾールを0.18g添加し、反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、そのまま温度を保持して1時間還流させた。その後、1−メチルイミダゾールを更に1.8g添加した後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温した。トルクの上昇が認められた時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。
次いで、合成例1と同様にして、約0.1mm〜約1mmの粒径を有するプレポリマーの粉末を得た。得られたプレポリマーの粉末を一部取り出し、その流動開始温度を測定したところ、242℃であった。
それから、プレポリマーの粉末を25℃から200℃まで1時間かけて昇温した後、この温度から242℃まで5時間かけて昇温し、更に同温度で3時間保温して、固相重合させた。固相重合後の粉末を冷却して、液晶性ポリマーの粉末を得た。得られた液晶性ポリマーの流動開始温度を上記と同様に測定したところ、288℃であった。また、液晶性ポリマーの粉末についてDSC測定を実施したところ、融点は310℃であり、ガラス転移温度は観測されなかった。
さらに、液晶性ポリマーの一部を造粒によりペレットとし、射出成形により荷重たわみ温度測定用の試験片に加工した。得られた試験片を用いて荷重たわみ温度を測定したところ、220℃であった。
(合成例3)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p―ヒドロキシ安息香酸を828g(6.0モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを559g(3.0モル)、イソフタル酸を498g(3.0モル)、無水酢酸を1348g(13.2モル)加え、これらを攪拌した。次に、攪拌後の混合物中に1−メチルイミダゾールを0.19g添加し、反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、そのまま温度を保持して1時間還流させた。その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温した。トルクの上昇が認められた時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。
次いで、合成例1と同様にして、約0.1mm〜約1mmの粒径を有するプレポリマーの粉末を得た。得られたプレポリマーの粉末を一部取り出し、その流動開始温度を測定したところ、230℃であった。
それから、プレポリマーの粉末を25℃から200℃まで1時間かけて昇温した後、この温度から240℃まで5時間かけて昇温し、更に同温度で3時間保温して、固相重合させた。固相重合後の粉末を冷却して、液晶性ポリマーの粉末を得た。得られた液晶性ポリマーの流動開始温度を上記と同様に測定したところ、283℃であった。また、液晶性ポリマーの粉末についてDSC測定を実施したところ、ガラス転移温度が129℃であり、融点が326℃であった。
さらに、液晶性ポリマーの一部を造粒によりペレットとし、射出成形により荷重たわみ温度測定用の試験片に加工した。得られた試験片を用いて荷重たわみ温度を測定したところ、133℃であった。
(合成例4)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p―ヒドロキシ安息香酸を1243g(9.0モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを279g(1.5モル)、イソフタル酸を249g(1.5モル)、無水酢酸を1348g(13.2モル)加え、これらを攪拌した。次に、攪拌後の混合物中に1−メチルイミダゾールを0.19g添加し、反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、そのまま温度を保持して1時間還流させた。その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温した。トルクの上昇が認められた時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。
次いで、合成例1と同様にして、約0.1mm〜約1mmの粒径を有するプレポリマーの粉末を得た。得られたプレポリマーの粉末を一部取り出し、その流動開始温度を測定したところ、262℃であった。
それから、プレポリマーの粉末を25℃から200℃まで1時間かけて昇温した後、この温度から260℃まで5時間かけて昇温し、更に同温度で3時間保温して、固相重合させた。固相重合後の粉末を冷却して、液晶性ポリマーの粉末を得た。得られた液晶性ポリマーの流動開始温度を上記と同様に測定したところ、307℃であった。また、この液晶性ポリマーの粉末についてDSC測定を実施したところ、ガラス転移温度が104℃であり、融点が312℃であった。
さらに、液晶性ポリマーの一部を造粒によりペレットとし、射出成形により荷重たわみ温度測定用の試験片に加工した。得られた試験片を用いて荷重たわみ温度を測定したところ、138℃であった。
(合成例5)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p―ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を941g(5.0モル)、4−アミノフェノールを273g(2.5モル)、イソフタル酸を415.3g(2.5モル)、無水酢酸を1123g(11モル)加え、これらを攪拌した。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、そのまま温度を保持して3時間還流させた。その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温した。トルクの上昇が認められた時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。
次いで、合成例1と同様にして、約0.1mm〜約1mmの粒径を有するプレポリマーの粉末を得た。得られたプレポリマーの粉末を一部取り出し、その流動開始温度を測定したところ、182℃であった。
それから、プレポリマーの粉末を25℃から200℃まで1時間かけて昇温した後、この温度から260℃まで5時間かけて昇温し、更に同温度で10時間保温して、固相重合させた。固相重合後の粉末を冷却して、液晶性ポリマーの粉末を得た。得られた液晶性ポリマーの流動開始温度を上記と同様に測定したところ、323℃であった。また、この液晶性ポリマーの粉末についてDSC測定を実施したところ、ガラス転移温度が160℃であり、融点は観測されなかった。
さらに、液晶性ポリマーの一部を造粒によりペレットとし、射出成形により荷重たわみ温度測定用の試験片に加工した。得られた試験片を用いて荷重たわみ温度を測定したところ、152℃であった。
(合成例6)
まず、合成例3と同様の工程で、約0.1mm〜約1mmの粒径を有するプレポリマーの粉末を得た。それから、このプレポリマーの粉末を25℃から200℃まで1時間かけて昇温した後、この温度から220℃まで5時間かけて昇温し、更に同温度で3時間保温して、固相重合させた。固相重合後の粉末を冷却して、液晶性ポリマーの粉末を得た。得られた液晶性ポリマーの流動開始温度を上記と同様に測定したところ、265℃であった。また、液晶性ポリマーの粉末についてDSC測定を実施したところ、ガラス転移温度が104℃であり、融点が312℃であった。
さらに、液晶性ポリマーの一部を造粒によりペレットとし、射出成形により荷重たわみ温度測定用の試験片に加工した。得られた試験片を用いて荷重たわみ温度を測定したところ、136℃であった。
[液晶性ポリマー組成物の調製]
(実施例1〜4、比較例1〜7)
上述した合成例1〜5の液晶性ポリマー、充填剤であるチョップドガラスファイバー(旭ファイバーガラス社製、CS03JAPX−1)を、表1に示す混合割合(重量比)で混合し、二軸押出し機(池貝鉄工(株)製PCM−30型)を用いてシリンダー温度340℃で造粒し、更に混練して液晶性ポリマー組成物を得た。また、得られた液晶性ポリマー組成物の荷重たわみ温度を、射出成形機(日清樹脂工業(株)製PS40E5ASE型)を用いて、上記と同様にしてそれぞれ測定した。これらの値も表1中に併せて示した。
Figure 0005281751

[特性評価]
実施例1〜4、及び、比較例1〜7の液晶性ポリマー組成物をそれぞれ用い、以下に示す方法にしたがって液晶性ポリマー組成物から得られる成形品のそり、はんだ発泡試験による発泡等の有無について評価した。また、実施例1、比較例1〜3及び比較例6〜7の液晶性ポリマーから得られた成形品について、曲げ特性の評価を行った。
(成形品のそりの評価)
各液晶性ポリマー組成物を造粒し、得られたペレットを120℃で3時間乾燥させた後、円盤金型を用いて射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、UH1000)により、シリンダー温度350℃、金型温度130℃で成形して、直径64mm、厚さ0.5mmの円盤状のサンプルを得た。それから、得られたサンプルを定盤上におき、円盤の外周を基準面とするとともに定盤からもっとも離れた部位をゲート部とし、基準面からゲート部までの高さをマイクロメータで測定して変位を求めた。得られた値を、成形品のそり量とした。
次に、そりを測定した後のサンプルに対し、内温260℃の雰囲気としたオーブン内に入れ、90秒間の熱処理を行った。処理後、サンプルを取り出し、そのそり量を上記と同様にして求めた。得られた値を、熱処理後のそり量とした。
得られた成形品のそり量、及び、熱処理後のそり量を、それぞれ表2に示した。これらの測定は、各実施例又は比較例の液晶性ポリマーを用いたそれぞれ5つのサンプルを用いて行い、これらの平均値を表2中に示した。なお、熱処理後にそり量の測定が困難なほどに形状の変化を起こしたサンプルについては、表中、「形状変化」と示した。
(はんだ発泡試験)
各液晶性ポリマー組成物を造粒し、得られたペレットを120℃で3時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製、PS40E5ASE型)を用いて、シリンダー温度350℃、金型温度130℃で、JIS K71131(1/1)号ダンベル(厚み1.2mm)のサンプルを成形した。得られたサンプルを、260℃のH60Aはんだ(スズ60%、鉛40%)に60秒間浸漬した。その後、サンプルを引き上げ、発泡や膨れの発生の有無を確認した。得られた結果を表2に示す。
Figure 0005281751
(曲げ特性)
各液晶性ポリマー組成物を造粒し、得られたペレットを120℃で3時間乾燥させた後、円盤金型を用いて射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、PS40E5ASE型)により、シリンダー温度350℃、金型温度130℃で成形して、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ6.4mmの試験片(サンプル)を作製した。そして、ASTMD790に準拠する方法により、これらのサンプルの曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。得られた結果を表3に示す。
Figure 0005281751

[液晶性ポリマー組成物の調製]
(比較例8)
合成例1で得られた液晶性ポリマーと、合成例6で得られた液晶性ポリマーとを下記表4に示す混合割合(重量比)で用い、上記と同様にして比較例8の液晶性ポリマー組成物を調製した。
[特性評価]
(はんだ発泡試験)
比較例8の液晶性ポリマー組成物を用い、上記と同様の方法によりはんだ発泡試験を行った。得られた結果を表4に示す。
Figure 0005281751
表1及び2より、実施例1〜4の液晶性ポリマーを用いた場合は、成形品のそり及び熱処理後のそりの両方が小さいことが確認された。これに対し、比較例1〜7の液晶性ポリマーを用いた場合は、成形品及び熱処理後のそりが実施例よりも大きく、特に、熱処理後のそりが顕著に大きいことが判明した。また、表3より、実施例の液晶性ポリマーを用いた成形品は、比較例のものに比しても遜色ない曲げ特性を有しており、実用に十分な機械的特性を有していることが確認された。さらに、表4より、第2の液晶性ポリマーとして、流動開始温度が低いものを組み合わせると、成形後の高温処理で発泡や膨れが生じ易いことが判明した。
平面状コネクターを示す斜視図である。
符号の説明
1…平面状コネクター、2…本体部、4…リブ部、6…リブ。

Claims (7)

  1. 荷重たわみ温度が200℃以上である第1の液晶性ポリマー、及び、荷重たわみ温度が200℃未満である第2の液晶性ポリマーを含有し、
    前記第1の液晶性ポリマー及び前記第2の液晶性ポリマーは、これらの合計質量中、それぞれ30〜95質量%及び5〜70質量%含まれており、
    前記第2の液晶性ポリマーは、270℃以上400℃未満の融点を有し、且つ、流動開始温度が270℃以上であり、
    前記第1の液晶性ポリマーは、前記第2の液晶性ポリマーの有するモノマー単位を全て含み、
    前記第1の液晶性ポリマーは、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来するモノマー単位を30〜80モル%、芳香族ジオールに由来するモノマー単位を10〜35モル%、芳香族ジカルボン酸に由来するモノマー単位を10〜35モル%有し、且つ、1,3−フェニレン骨格を有するモノマー単位、2,3−フェニレン骨格を有するモノマー単位及び2,3−ナフタレン骨格を有するモノマー単位の含有量が合計で10モル%未満であるものであり、
    前記第2の液晶性ポリマーは、1,3−フェニレン骨格を有するモノマー単位、2,3−フェニレン骨格を有するモノマー単位及び2,3−ナフタレン骨格を有するモノマー単位からなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマー単位を10〜45モル%含むものでる、
    ことを特徴とする液晶性ポリマー組成物。
  2. 前記第2の液晶性ポリマーは、当該ポリマーを構成している構造単位同士を結合するエステル結合を含有するものである、ことを特徴とする請求項記載の液晶性ポリマー組成物。
  3. 前記第2の液晶性ポリマーは、295℃以上400℃未満の融点を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶性ポリマー組成物。
  4. 有機充填剤又は無機充填剤を更に含む、ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶性ポリマー組成物。
  5. 当該組成物全体の荷重たわみ温度が220℃以上である、ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶性ポリマー組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶性ポリマー組成物を成形して得ることのできる成形品。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶性ポリマー組成物を成形して得ることのできる平面状コネクター。


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