JP2008019428A - 液晶ポリマー組成物およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】[1]下式(I)、(II)および(III)で表される構造単位を含む液晶ポリマー(A)と、下式(IV)、(II)および(III)で表される構造単位を含む液晶ポリマー(B)とを含有し、(A)と(B)の総重量に対して(B)が5〜80重量%の範囲である、液晶ポリマー組成物。
(I) -OC-Ar1-O- (IV) -OC-Ar4-O-
(II) -O-Ar2-X- (V) -O-Ar5-X-
(III)-OC-Ar3-CO- (VI) -OC-Ar6-CO-
(上式中、Ar1は、2,6−ナフタレンであり、Ar4は、1,4−フェニレンである。Ar2及びAr3は、2価の基である。Xは、−O−又は−NH−を表す。)
[2]さらに充填剤を含む、[1]の液晶ポリマー組成物。
[3]上記[1]または[2]の液晶ポリマー組成物を成形してなる成形品。
【選択図】なし
Description
近年、電子部品の軽薄短小化が進み、それに使用される液晶ポリマーの要求特性として高度の薄肉成形性の要求に加え、成形された部品の反りが問題視されてきている。
このような反りの発生を低減し得る液晶ポリマーとしては、例えば、特許文献1には、液晶ポリマーに繊維状充填剤および粒状充填材を添加した液晶ポリマー組成物が開示されている。
しかしながら、当該液晶ポリマー組成物でも反りを低減できる特性(以下、「低反り性」ということがある)に関しては不十分であり、電子部品加工の更なる精密化が求められている状況下、従来以上に、高度の低反り性を有する液晶ポリマー組成物が求められている。
本発明の目的は、薄肉成形性に優れ、得られる成形品が低反り性と、ハンダリフロープロセスに対する耐ブリスター性を有し、かつ当該プロセスの前後での寸法変化が極めて小さい成形品を製造し得る液晶ポリマー組成物およびそれを用いてなる成形品を提供することにある。
すなわち本発明は、下記[1]の液晶ポリマー組成物を提供するものである。
[1]下記の、式(I)で表される構造単位と、式(II)で表される構造単位および/または式(III)で表される構造単位とを含み、これらの構造単位の合計[(I)+(II)+(III)]に対して、式(I)で表される構造単位が15〜80mol%である液晶ポリマー(A)と、
下記の、式(IV)、式(V)および式(VI)で表される構造単位を含み、これらの構造単位の合計[(IV)+(V)+(VI)]に対して、式(IV)で表される構造単位が30〜80mol%であり、式(V)および式(VI)で表される構造単位が、それぞれ10〜35mol%である液晶ポリマー(B)と、
を含有し、(A)と(B)の合計重量に対して(B)が5〜80重量%の範囲である、液晶ポリマー組成物
(I) -OC-Ar1-O-
(II) -O-Ar2-O-
(III)-OC-Ar3-CO-
(IV) -OC-Ar4-O-
(V) -O-Ar5-X-
(VI) -OC-Ar6-CO-
(上式中、Ar1、Ar2およびAr3は2,6−ナフチレンを表し、Ar4は、1,4−フェニレンを表す。Ar5およびAr6は、それぞれ独立に、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニリレン、2,6−ナフチレン、および下記(A−1)〜(A−8)からなる群から選ばれる少なくとも1種の、2価の基である。また、Xは、−O−または−NH−を表す。)
(上式中、nは3以上の整数であり、mは2以上6以下の整数である。)
[2]液晶ポリマー(A)が、さらに、下記の式(VII)で表される構造単位および/または式(VIII)で表される構造単位を含む液晶ポリマーである、[1]の液晶ポリマー組成物
(VII) -O-Ar7-X-
(VIII)-OC-Ar8-CO-
(上式中、Ar7およびAr8は、それぞれ独立に、1,3−フェニレン、1,4−フェニレンおよび4,4’−ビフェニリレンから選ばれる少なくとも1種を表す。また、Xは、−O−または−NH−を表す。)
[3]液晶ポリマー(A)が、式(I)で表される構造単位と式(III)で表される構造単位を含み、全構造単位の合計に対して、式(I)および式(III)で表される構造単位の合計が70mol%以上である、[1]または[2]の液晶ポリマー組成物
[4]液晶ポリマー(B)を構成する式(V)で表される構造単位が、下記の式(Va)および/または式(Vb)で表される構造単位であり、
式(VI)で表される構造単位が、下記の式(VIa)および/または式(VIb)で表される構造単位である、[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物
[5]液晶ポリマー(A)と液晶ポリマー(B)が、以下の(1)および(2)の要件を満たす、[1]〜[4]のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物
(1)液晶ポリマー(A)の流動開始温度が、液晶ポリマー(B)の流動開始温度
より5℃以上高いこと
(2)(A)と(B)の合計重量に対して、(B)が15〜45重量%の範囲である
こと
[6]液晶ポリマー(A)と液晶ポリマー(B)に加えて、有機充填剤および無機充填剤からなる群から選ばれる、少なくとも1つの充填剤を含む、[1]〜[5]のいずれかの液晶ポリマー組成物
[7]上記のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物を成形して得られる成形品
[8]荷重たわみ温度が220℃以上である、[7]に記載の成形品
[9][7]または[8]に記載の成形品を用いてなる、表面実装用電子部品
液晶ポリマー(A)は、光学的異方性を有する溶融相を形成するポリマーであり、上記式(I)で表される構造単位(以下、「式(I)構造単位」という)と、式(II)および式(III)より選択される少なくとも一つの構造単位とを含み、これらの構造単位の合計[(I)+(II)+(III)]に対して、式(I)構造単位が15〜80mol%であることを特徴とする。
式(I)構造単位が、15mol%を下回るか80mol%を越えると、液晶ポリマーの融点が上昇しやすく、また著しいときは液晶ポリマー中に不溶不融物が発生し、通常の成形機で成形するのが困難となる傾向がある。また、式(I)構造単位が、前記構造単位の合計[(I)+(II)+(III)]に対して、この範囲であると、得られる成形品の熱処理に係る寸法変化を著しく低減することができる。なお、液晶性向上の観点からは、式(I)構造単位が、30〜70mol%の範囲が好ましく、40〜65mol%がより好ましく、50〜55mol%の範囲が特に好ましい。
ここで流動開始温度とは、内径1mm、長さ10mmのダイスを取付けた毛細管型レオメーターを用い、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下において昇温速度4℃/分で液晶ポリマーをノズルから押出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度である。なお、この流動開始温度測定法は、当該分野で周知の液晶ポリマーの分子量を表す指標である(例えば、小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、95〜105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行を参照)。
(VII) -O-Ar7-X-
(VIII)-OC-Ar8-CO-
(上式中、Ar7およびAr8は、それぞれ独立に、1,3−フェニレン、1,4−フェニレンおよび4,4’−ビフェニリレンから選ばれる少なくとも1種を表す。また、Xは、−O−または−NH−を表す。)
式(II)構造単位の一部または全部を式(VII)構造単位に置き換えるか、式(III)構造単位の一部または全部を式(VIII)構造単位に置き換えると、液晶ポリマー(A)の融点が低くなる傾向があるので、より実用的な成形温度で成形品を得ることができる。ただし、式(II)構造単位の全部を式(VII)構造単位に置き換え、かつ式(III)構造単位の全部を式(VIII)構造単位に置き換えてなる液晶ポリマー、すなわち式(II)構造単位および式(III)構造単位をとも有しない液晶ポリマーは、得られる成形品が、ハンダリフロープロセス前後の寸法変化が大きくなる傾向にあるので、本発明に適用する液晶ポリマー(A)として不適当である。
一方、式(VIII)構造単位は、イソフタル酸、テレフタル酸または4,4’−ビフェニルジカルボン酸から誘導される構造単位であり、コストを低くする観点からは、イソフタル酸またはテレフタル酸から誘導される構造単位が好ましい。
(A1)式(I)構造単位と、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから誘導される構造単位と、式(III)構造単位との組合わせ
(A2)式(I)構造単位と、ハイドロキノンから誘導される構造単位と、式(III)構造単位との組合わせ
(A3)式(I)構造単位と、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから誘導される構造単位と、式(III)構造単位と、テレフタル酸から誘導される構造単位との組合わせ
(A4)式(I)構造単位と、ハイドロキノンから誘導される構造単位と、式(III)構造単位と、イソフタル酸から誘導される構造単位との組合わせ
(A5)式(I)構造単位と、式(II)構造単位と、テレフタル酸から誘導される構造単位との組合わせ
(A6)式(I)構造単位と、式(II)構造単位と、イソフタル酸から誘導される構造単位との組合わせ
なお、得られた液晶ポリマー(A)を、エタノールアミン等のアミン化合物を作用させることで分解させ、得られた分解物を、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等で分析することにより、液晶ポリマー(A)を構成する構造単位およびその共重合モル比を求めることもできる。
本発明の液晶ポリマー(B)は、光学的異方性を有する溶融相を形成するものであり、その構造単位が、上記の式(IV)で表される構造単位(以下、「式(IV)構造単位」という)、式(V)で表される構造単位(以下、「式(V)構造単位」という)および式(VI)で表される構造単位(以下、「式(VI)構造単位」という)を含み、これらの構造単位の合成[(IV)+(V)+(VI)]に対して、式(IV)構造単位が30〜80mol%、式(V)構造単位および式(VI)構造単位が、それぞれ10〜35mol%であることを特徴とする液晶ポリマーである。
式(IV)構造単位はp−ヒドロキシ安息香酸から誘導される構造単位であり、全構造単位の合計[(IV)+(V)+(VI)]に対する共重合モル比は上記の範囲である。この共重合モル比が30mol%を下回るか80mol%を越えると融点が上昇し、また著しいときはポリマー中に不溶不融物ができ、通常の成形機で目的の成形品を成形するのが困難となるため、好ましくない。また、式(IV)構造単位の共重合モル比が上記の範囲である液晶ポリマー(B)を用いると、得られる成形品が、反りを十分低減化することができる。
かかる式(IV)構造単位の共重合モル比についても、液晶性向上の観点から、40〜70mol%の範囲であると好ましく、45〜65mol%であるとさらに好ましく、50〜65mol%の範囲であると、特に好ましい。
一方、液晶ポリマー(B)における式(VI)構造単位に係る、好ましい例示としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸または4,4’−ビフェニルジカルボン酸から誘導される構造単位であると、これらの芳香族ジカルボン酸が、入手が容易であるため好ましい。また、これらの芳香族ジカルボン酸から誘導される構造単位が、液晶ポリマー(B)中に2種以上有していてもよい。
特に、下記の式(VIa)で表される構造単位および/または式(VIb)で表される構造単位を構造単位(V)として用いると、より耐熱性が向上した液晶ポリマー(B)が得られるため好ましい。
かかる重合としては、公知の方法を用いることができ、直接重縮合法、エステル交換縮合法、溶融重縮合法、溶液重縮合法、固相重合法またはこれらの重合法を組合わせて実施することもできる。好適には、例えば、特公昭47−47870号公報に記載の方法に準拠したエステル交換縮合法、特開2005−75843号公報に記載された方法に準拠した、溶融重縮合法と固相重合法を組合わせる製造方法や、特開2002−220444号公報に記載された方法に準拠し、脂肪酸無水物共存下に上記液晶ポリマー原料を重合させる方法などが挙げられる。また、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することもでき、該触媒としては例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N,N-ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾールなどの有機化合物触媒などが挙げられる。
当該液晶ポリマー組成物は、液晶ポリマー(A)と液晶ポリマー(B)の総重量に対する、液晶ポリマー(B)の混合重量割合が5〜80重量%にすることを必要とする。該液晶ポリマー(B)の混合重量割合が、5〜55重量%であると好ましく、5〜45重量%であると、さらに好ましく、15〜45重量%であると、特に好ましい。液晶ポリマー(B)の混合重量割合が上記の範囲であると、薄肉部を有する成形品を得る上で、特に優れた流動性が発現される。
また、液晶ポリマー(A)と液晶ポリマー(B)は、上記のとおりそれぞれ単独でも、成形後の反りを低減化できるが、上記の重量範囲で混合することにより、単独で用いる場合よりも、効率的に低反り性を発現する。さらにはハンダリフロープロセス前後の寸法変化の低減化も可能となる。かかる効果は、本発明者らの独自の知見に基づくものである。
特に、該充填剤の使用は機械強度の低下に影響するため、その配合量は、液晶ポリマー(A)と、液晶ポリマー(B)と、充填剤との総重量100重量部に対して、充填剤が1〜80重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは充填剤が5〜65重量部であり、特に好ましくは20〜55重量部である。
一方、粉粒状充填剤としてはカーボンブラック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ミルドガラスファイバー、ガラスバルーン、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリン、クレー、硅藻土、ウォラストナイトの如き硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナの如き金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き金属の硫酸塩、その他フェライト、炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末等が挙げられる。
また、板状充填剤としてはマイカ、ガラスフレーク、タルク、各種の金属箔等が挙げられる。
有機充填剤の例を示せば芳香族ポリエステル繊維、液晶ポリマー繊維、芳香族ポリアミド、ポリイミド繊維等の耐熱性高強度合成繊維等である。
これらの無機充填剤および/または有機充填剤は、1種または2種以上併用することができる。繊維状充填剤と、粒状または板状充填剤との併用は、特に機械的強度と寸法精度、電気的性質等を兼備する上では、好ましい組み合わせである。
具体的な方法を例示すると、
1)液晶ポリマー(A)および液晶ポリマー(B)それぞれに充填剤を配合したものを押出し機でブレンドする方法
2)液晶ポリマー(A)および液晶ポリマー(B)それぞれに充填剤を配合したものをペレットの状態でドライブレンドし、直接成形する方法
3)充填剤が配合されていない液晶ポリマー(A)および液晶ポリマー(B)と、所定量の充填剤を押出し機にて混合する方法
などが挙げられる。混合機は必ずしも押出し機を使用する必要は無く、ニーダーなども使用することができる。
上記に例示するような方法を用いることで、本発明の液晶ポリマー組成物を製造することが可能であるが、該液晶ポリマー組成物は、本発明の企図する効果を損なわない範囲であれば、上記に例示した充填剤以外の添加剤を混合することも可能である。また、液晶ポリマー組成物の機械的特性、耐熱性を維持できる範囲において、他の樹脂を混合することもできる。かかる添加剤としては、公知のカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤などが挙げられる。
ここで、荷重たわみ温度とは射出成形により、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ6.4mmの試験片を作製し、ASTM D648に準拠し、18.6kg/cm2の荷重で測定した値である。
なお、成形品の荷重たわみ温度を220℃以上にするには、例えば、上記の液晶ポリマー(A)と液晶ポリマー(B)がともに、荷重たわみ温度が220℃以上になるように選択することで達成される。
このような表面実装用電子部品の中でも、本発明の液晶ポリマー組成物からなる成形品は、プリント基板用コネクター、IC/LSI用ソケット、カード用コネクターまたは角型コネクターに、特に好適に使用することができる。
具体的に得られる成形品を例示すると、上記表面実装用電子部品以外の電気・電子部品はもとより、
VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具等の家庭電気製品部品;
ランプリフレクター、ランプホルダー等の照明器具部品;
コンパクトディスク、レーザーディスク、スピーカー等の音響製品部品;
光ケーブル用フェルール、電話機部品、ファクシミリ部品、モデム等の通信機器部品;
分離爪、ヒータホルダー等の複写機、印刷機関連部品;
インペラー、ファン歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品およびケース等の機械部品;
自動車用機構部品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品等の自動車部品;
マイクロ波調理用鍋、耐熱食器等の調理用器具;
床材、壁材などの断熱、防音用材料、梁、柱などの支持材料、屋根材等の建築資材、または土木建築用材料;
航空機、宇宙機、宇宙機器用部品;
原子炉等の放射線施設部材、海洋施設部材、洗浄用治具、光学機器部品、バルブ類、パイプ類、ノズル類、フィルター類、膜、医療用機器部品および医療用材料、センサー類部品、サニタリー備品、スポーツ用品、レジャー用品などが挙げられ、これらの用途にも用いることができる。
フローテスター〔島津製作所社製、「CFT−500型」〕を用いて試料量約2gを内径1mm、長さ10mmのダイスを取付けた毛細管型レオメーターに充填させる。9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下において昇温速度4℃/分で液晶ポリマーをノズルから押出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度を流動開始温度とした。
長さ127mm、幅12.7mm、厚さ6.4mmの試験片を用い、ASTM D648に準拠し、18.6kg/cm2の荷重で測定した。
JIS K71131(1/2)号ダンベル×1.2mmtを260℃のH60Aハンダ(スズ60%、鉛40%)に60秒浸漬し、成形品に発泡、膨れの有無を確認した。
図2に示すコネクターの金型を用い(端子部肉厚0.15mm)、射出成形機(日精樹脂工業(株)製 UH-1000型)で射出速度200mm/sec、保持圧力50MPaの条件で試料を成形した。取り出した成形品を定盤において、ゲート側から反ゲート側まで1mmごとに定盤からの高さをマイクロメーターで測定、ゲート側の位置を基準面として、各測定値の基準面からの変位を求めた。これを、最小自乗法プログラムにより反り形状を求め、その最大値を各成形品の反り量とし、5個の成形品の平均値をもって反り量とした。
次に、反りを測定した後のサンプルに対し、内温260℃の雰囲気としたオーブン内に入れ、90秒間の熱処理を行った。熱処理後、サンプルを取り出し、その反り量を上記と同様にして求めた。得られた値を、熱処理後の反り量とした。この熱処理前後の反り量の変化は、該熱処理に係る寸法変化を表す指標である。
図1に示す製品部厚さ0.2mmのキャビティーを4個有する薄肉流動長測定金型を用い、射出成形機(日精樹脂工業(株)製PS10E1ASE型)で350℃の測定温度で試料を成形した(射出速度95%、射出圧力900Kg/cm2)。取り出した成形品の4個のキャビティー部の長さを測定し、その平均値をもって薄肉流動長とした。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 987.95g(5.25モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 486.47g(2.612モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸 513.45g(2.375モル)、無水酢酸 1174.04g(11.5モル)および触媒として1−メチルイミダゾール 0.194gを添加し、室温で15分間攪拌した後、攪拌しながら昇温した。内温が145℃となったところで、同温度を保持したまま1時間攪拌し、触媒である1−メチルイミダゾール 5.83gをさらに添加した。
次に、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から310℃まで3時間30分かけて昇温した。同温度で2時間保温して芳香族ポリエステルを得た。得られた芳香族ポリエステルを室温に冷却し、粉砕機で粉砕して、粒子径が約0.1〜1mmの芳香族ポリエステルの粉末を得た。
この芳香族液晶ポリエステル粉末についてフローテスターを用いて、流動開始温度を測定したところ、273℃であった。
得られた粉末を25℃から250℃まで1時間かけて昇温したのち、同温度から300℃まで10時間かけて昇温し、次いで同温度で12時間保温して固相重合させた。その後、固相重合した後の粉末を冷却し、液晶ポリマーを粉末状で得た。得られた液晶ポリマーを液晶ポリマー(A)−1とする。
なお、液晶ポリマー(A)−1の流動開始温度は324℃であり、得られた液晶ポリマー(A)−1の構造単位に係る実質的な共重合モル分率は、式(I)構造単位:式(III)構造単位:式(VII)構造単位で表して、52.5mol%:23.75mol%:23.75mol%である。また液晶ポリマー(A)−1において全構造単位に対する [(I)+(III)]の共重合モル分率は76.25mol%である。
合成例1と同様の反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1034.99g(5.5モル)、ハイドロキノン272.52g(2.475モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸378.33g(1.75モル)、テレフタル酸83.07g(0.5モル)、無水酢酸1226.87g(11.9モル)および触媒として1−メチルイミダゾール0.17gを添加し、室温で15分間攪拌した後、攪拌しながら昇温した。内温が145℃となったところで、同温度を保持したまま1時間攪拌した。
次に、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から310℃まで3時間30分かけて昇温した。同温度で3時間保温して液晶ポリマーを得た。得られた液晶ポリマーを室温に冷却し、粉砕機で粉砕して、粒子径が約0.1〜1mmの液晶ポリマーの粉末(プレポリマー)を得た。
このプレポリマーについてフローテスターを用いて、流動開始温度を測定したところ、267℃であった。
得られた粉末を25℃から250℃まで1時間かけて昇温したのち、同温度から310℃まで10時間かけて昇温し、次いで同温度で5時間保温して固相重合させた。その後、固相重合した後の粉末を冷却し、液晶ポリマーを粉末状で得た。得られた液晶ポリマーを液晶ポリマー(A)−2とする。
得られた液晶ポリマー(A)−2の流動開始温度は333℃であり、得られた液晶ポリマー(A)−2の構造単位に係る実質的な共重合モル分率は、式(I)構造単位:式(III)構造単位:式(VII)構造単位:式(VIII)構造単位で表して、55.0mol%:17.5mol%:22.5mol%:5.0mol%である。また液晶ポリマー(A)−2において全構造単位に対する [(I)+(III)]の共重合モル分率は72.5mol%である。
合成例1と同様の反応器に、p―ヒドロキシ安息香酸を911g(6.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを409g(2.2モル)、イソフタル酸を91g(0.55モル)、テレフタル酸を274g(1.65モル)、無水酢酸を1235g(12.1モル)用いて攪拌した。次いで、1−メチルイミダゾールを0.17g添加し反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して1時間還流させた。その後、1−メチルイミダゾールを1.7g添加した後、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。
次いで、合成例1と同様にしてプレポリマーの粉末(粒子径は約0.1mm〜約1mm)を得た。流動開始温度は257℃であった。
得られた粉末を25℃から250℃まで1時間かけて昇温したのち、同温度から285℃まで5時間かけて昇温し、次いで同温度で3時間保温して固相重合させた。その後、固相重合した後の粉末を冷却し、液晶ポリマーを粉末状で得た。得られた液晶ポリマーを液晶ポリマー(B)−1とする。
得られた液晶ポリマー(B)−1の流動開始温度は327℃であり、得られた液晶ポリマー(B)−1の構造単位に係る実質的な共重合モル分率は、式(IV)構造単位:式(V)構造単位:式(VI)構造単位で表して、60.0mol%:20.0mol%:20.0mol%である。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、p―ヒドロキシ安息香酸を995g(7.2モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを447g(2.4モル)、イソフタル酸を159g(0.96モル)、テレフタル酸を239g(1.44モル)、無水酢酸を1348g(13.2モル)用いて攪拌した。次いで、1−メチルイミダゾールを0.18g添加し反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して1時間還流させた。その後、1−メチルイミダゾールを5.4g添加した後、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。
次いで、合成例1と同様にしてプレポリマーの粉末(粒子径は約0.1mm〜約1mm)を得た。流動開始温度は242℃であった。
得られた粉末を25℃から200℃まで1時間かけて昇温したのち、同温度から242℃まで5時間かけて昇温し、次いで同温度で3時間保温して固相重合させた。その後、固相重合した後の粉末を冷却し、液晶ポリマーを粉末状で得た。得られた液晶ポリマーを液晶ポリマー(B)−2とする。
得られた液晶ポリマー(B)−2の流動開始温度は288℃であり、得られた液晶ポリマー(B)−2の構造単位に係る実質的な共重合モル分率は、式(IV)構造単位:式(V)構造単位:式(VI)構造単位で表して、60.0mol%:20.0mol%:20.0mol%である。
実施例1と同様の反応器に、パラヒドロキシ安息香酸828.72g(6.00モル)、ハイドロキノン330.33g(3.30モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸648.57g(3.00モル)、無水酢酸1408.84g(13.8モル)および触媒として1−メチルイミダゾール0.181gを添加し、室温で15分間攪拌した後、攪拌しながら昇温した。内温が145℃となったところで、同温度を保持したまま30分間攪拌した。
次に、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から310℃まで3時間かけて昇温した。その後、1−メチルイミダゾール1.808gをさらに加えたのち、同温度で1時間保温して液晶ポリマーを得た。得られた液晶ポリマーを室温に冷却し、粉砕機で粉砕して、液晶ポリマーの粉末(粒子径は約0.1mm〜約1mm)を得た。
得られた粉末を25℃から250℃まで1時間かけて昇温したのち、同温度から305℃まで10時間かけて昇温し、次いで同温度で4時間保温して固相重合させた。その後、固相重合した後の粉末を冷却し、液晶ポリマーを粉末状で得た。得られた液晶ポリマーを液晶ポリマー(B)−3とする。
得られた液晶ポリマー(B)−3の流動開始温度は327℃あり、得られた液晶ポリマー(B)−3の構造単位に係る実質的な共重合モル分率は、式(IV)構造単位:式(V)構造単位:式(VI)構造単位で表して、50.0mol%:25.0mol%:25.0mol%である。
合成例1と同様の反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸903.26g(4.80モル)、パラヒドロキシ安息香酸27.62g(0.20モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを465.53g(2.50モル)、テレフタル酸415.33g(2.50モル)、無水酢酸1122.99g(11.0モル)および触媒として1−メチルイミダゾール0.18gを添加し、室温で15分間攪拌した後、攪拌しながら昇温した。内温が145℃となったところで、同温度を保持したまま1時間攪拌した。
次に、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から310℃まで3時間30分かけて昇温した。同温度で3時間保温して液晶ポリマーを得た。得られた液晶ポリマーを室温に冷却し、粉砕機で粉砕して、粒子径が約0.1〜1mmの液晶ポリマーの粉末(プレポリマー)を得た。
このプレポリマーについてフローテスターを用いて、流動開始温度を測定したところ、265℃であった。
得られた粉末を25℃から250℃まで1時間かけて昇温したのち、同温度から320℃まで10時間かけて昇温し、次いで同温度で5時間保温して固相重合させた。その後、固相重合した後の粉末を冷却し、液晶ポリマーを粉末状で得た。得られた液晶ポリマーを液晶ポリマー(C)−1とする。
得られた液晶ポリマー(C)−1の流動開始温度は337℃であった。
合成例1〜6で得られた、液晶ポリマーを表1の割合でブレンドした後、二軸押出機を用い、第一フィードから、ブレンドした液晶ポリマーを、サイドフィードからチョップドグラスファイバー(旭ファイバーガラス社製、CS03JAPX−1)を供給し、表1または表2に示す割合で混錬を行い、ペレットを作製した。得られたペレットについて射出成形機(PS40EASE(日精樹脂工業製))にて成形を行い各種試験片を得た後、物性評価を実施した。
同様に液晶ポリマーを表2の割合でブレンドした後、二軸押出機を用い、第一フィードから、ブレンドした液晶ポリマーを、サイドフィードからミルドグラスファイバー(セントラル硝子社製、EFH75−01)を供給し、表2に示す割合で混錬を行い、ペレットを作製した。得られたペレットについて射出成形機(PS40EASE(日精樹脂工業製))にて成形を行い各種試験片を得た後、物性評価を実施した。
Claims (9)
- 下記の、式(I)で表される構造単位と、式(II)で表される構造単位および/または式(III)で表される構造単位とを含み、これらの構造単位の合計[(I)+(II)+(III)]に対して、式(I)で表される構造単位が15〜80mol%である液晶ポリマー(A)と、
下記の、式(IV)、式(V)および式(VI)で表される構造単位を含み、これらの構造単位の合計[(IV)+(V)+(VI)]に対して、式(IV)で表される構造単位が30〜80mol%であり、式(V)および式(VI)で表される構造単位が、それぞれ10〜35mol%である液晶ポリマー(B)と、
を含有し、(A)と(B)の合計重量に対して(B)が5〜80重量%の範囲である、液晶ポリマー組成物。
(I) -OC-Ar1-O-
(II) -O-Ar2-O-
(III)-OC-Ar3-CO-
(IV) -OC-Ar4-O-
(V) -O-Ar5-X-
(VI) -OC-Ar6-CO-
(上式中、Ar1、Ar2およびAr3は2,6−ナフチレンを表し、Ar4は、1,4−フェニレンを表す。Ar5およびAr6は、それぞれ独立に、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニリレン、2,6−ナフチレン、および下記(A−1)〜(A−8)からなる群から選ばれる少なくとも1種の、2価の基である。また、Xは、−O−または−NH−を表す。)
(上式中、nは3以上の整数であり、mは2以上6以下の整数である。) - 液晶ポリマー(A)が、さらに、下記の式(VII)で表される構造単位および/または式(VIII)で表される構造単位を含む液晶ポリマーである、請求項1記載の液晶ポリマー組成物。
(VII) -O-Ar7-X-
(VIII)-OC-Ar8-CO-
(上式中、Ar7およびAr8は、それぞれ独立に、1,3−フェニレン、1,4−フェニレンおよび4,4’−ビフェニリレンから選ばれる少なくとも1種を表す。また、Xは、−O−または−NH−を表す。) - 液晶ポリマー(A)が、式(I)で表される構造単位と式(III)で表される構造単位を含み、全構造単位の合計に対して、式(I)および式(III)で表される構造単位の合計が70mol%以上である請求項1または2に記載の液晶ポリマー組成物。
- 液晶ポリマー(A)と液晶ポリマー(B)が、以下の(1)および(2)の要件を満たす、請求項1〜4のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物。
(1)液晶ポリマー(A)の流動開始温度が、液晶ポリマー(B)の流動開始温度
より5℃以上高いこと
(2)(A)と(B)の合計重量に対して、(B)が15〜45重量%の範囲である
こと - 液晶ポリマー(A)と液晶ポリマー(B)に加えて、有機充填剤および無機充填剤からなる群から選ばれる、少なくとも1つの充填剤を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物を成形して得られる成形品。
- 荷重たわみ温度が220℃以上である、請求項7に記載の成形品。
- 請求項7または8に記載の成形品を用いてなる、表面実装用電子部品。
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