JP2005002296A - 芳香族ポリエステルおよびそのフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルム状に加工することが容易で、電気特性および耐熱性が一層、優れる芳香族ポリエステルを提供する。
【解決手段】2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する繰り返し構造単位30〜80mol%と、ヒドロキノンに由来する繰り返し構造単位35〜10mol%と、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位35〜10mol%との実質的に3つの構造単位からなる芳香族ポリエステル;該芳香族ポリエステルを溶融成形して得られる芳香族ポリエステルフィルム;該芳香族ポリエステルフィルムと金属層との積層体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する繰り返し構造単位を有する芳香族ポリエステルおよびそのフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリエステルは、吸水性が低く、耐熱性、薄肉成形性などに優れていることから、コネクターなどの電子部品に幅広く用いられている。最近では、芳香族ポリエステルの電気特性を生かし(低誘電損失性)、フレキシブルプリント配線板や、リジッドプリント基板、モジュール基板などの電子基板にも幅広く利用されている。具体的な芳香族ポリエステルとして、パラヒドロキシ安息香酸に由来する繰り返し構造単位を主成分とする芳香族ポリエステルが提案されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−359145号公報([請求項2]、[0004])
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フィルム用途に用いられている芳香族ポリエステルは、電気特性には優れるものの、近年の鉛フリー対応など、樹脂の高耐熱化要求が進む中では、まだ耐熱性に改善の余地が残されていた。
本発明の目的は、フィルム状に加工することが容易で、電気特性および耐熱性が一層、優れる芳香族ポリエステルを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する繰り返し構造単位30〜80mol%と、ヒドロキノンに由来する繰り返し構造単位35〜10mol%と、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位35〜10mol%との実質的に3つの構造単位からなる芳香族ポリエステルである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の芳香族ポリエステルは、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する繰り返し構造単位と、ヒドロキノンに由来する繰り返し構造単位と、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位との実質的に3つの構造単位からなる芳香族ポリエステルである。
ここで実質的に3つの構造単位からなる芳香族ポリエステルとは、芳香族ポリエステルを構成する構造単位の合計100mol%に対して、3つの構造単位が95mol%以上であることを意味する。中でも芳香族ポリエステルを構成する構造単位の合計100mol%に対して、3つの構造単位が99mol%以上であることが好ましく、とりわけ、3つの構造単位のみからなる芳香族ポリエステルが好適である。
本発明の芳香族ポリエステルは、溶融時に光学的異方性を示すサーモトロピック液晶ポリマーであると成形性に優れることから好ましい。
【0007】
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する繰り返し構造単位は、下記式(1)
Figure 2005002296
によって表され、該構造単位は、通常、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸によって与えられる。該酸のカルボキシル基は、酸塩化物、酸無水物、酸とアルコール類とのエステルなどの誘導体であってもよい。
また、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸のフェノール性水酸基は、水酸基のまま用いてもよいが、通常、無水酢酸などの脂肪酸無水物によってフェノール性水酸基がアシル化された誘導体として用いられる。
【0008】
芳香族ポリエステルにおける2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する繰り返し構造単位の含有量は、芳香族ポリエステルを構成する全ての構造単位100mol%に対し、30〜80mol%であり、好ましくは35〜75mol%、とりわけ好ましくは40〜70mol%である。
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する繰り返し構造単位が、30mol%以上であると、得られる芳香族ポリエステルが液晶性を発現しやすく、成形性が向上する傾向にあることから好ましく、80mol%以下であると、成形性や芳香族ポリエステルをフィルム化する際の加工性に優れる傾向にあることから好ましい。
【0009】
ヒドロキノンに由来する繰り返し構造単位は、下記式(2)
Figure 2005002296
によって表され、該構造単位は、ヒドロキノンのまま用いてもよいが、通常、無水酢酸などの脂肪酸無水物によってフェノール性水酸基がアシル化された誘導体として用いられる。
【0010】
芳香族ポリエステルにおけるヒドロキノンに由来する繰り返し構造単位の含有量は、芳香族ポリエステルを構成する全ての構造単位100mol%に対し、10〜35mol%であり、好ましくは12.5〜32.5mol%、とりわけ好ましくは15〜30mol%である。
ヒドロキノンに由来する繰り返し構造単位が、10mol%以上であると、得られる芳香族ポリエステルが液晶性を発現しやすく、耐熱性が向上する傾向にあることから好ましく、35mol%以下であると、成形性や芳香族ポリエステルをフィルム化する際の加工性に優れる傾向にあることから好ましい。
【0011】
2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位は、下記式(3)
Figure 2005002296
によって表され、該構造単位は、通常、2,6−ナフタレンジカルボン酸によって与えられる。該酸のカルボキシル基は、酸塩化物、酸無水物、酸とアルコール類とのエステルなどの誘導体であってもよい。
【0012】
芳香族ポリエステルにおける2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位の含有量は、芳香族ポリエステルを構成する全ての構造単位100mol%に対し、10〜35mol%であり、好ましくは12.5〜32.5mol%、とりわけ好ましくは15〜30mol%である。
2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位が、10mol%以上であると、得られる芳香族ポリエステルが液晶性を発現しやすく、耐熱性が向上する傾向にあることから好ましく、35mol%以下であると、成形性や芳香族ポリエステルをフィルム化する際の加工性に優れる傾向にあることから好ましい。
【0013】
ヒドロキノンに由来する繰り返し構造単位と2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位とのモル比は、95/100〜100/95であることが好ましい。この範囲であると、重合度が向上したり、機械強度が向上する傾向がある。
【0014】
本発明の芳香族ポリエステルは、重合度が高いと、機械特性が向上する傾向があるため、重合度を示す指標である芳香族ポリエステルの極限粘度が0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。
一方、重合度が低いと、溶融粘度や溶液粘度が低くなり、例えば、芳香族ポリエステルをフィルム化する際の加工性が向上する傾向があるため、極限粘度は5以下であることが好ましく、3.3以下であることがより好ましい。
【0015】
本発明の芳香族ポリエステルの製造方法としては、例えば、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸およびヒドロキノンを過剰量の脂肪酸無水物によりアシル化してアシル化物を得、得られたアシル化物と、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸とをエステル交換(重縮合)することにより溶融重合する方法が挙げられる。アシル化物としては、予めアシル化して得た脂肪酸エステルを用いてもよい。具体的には、特開2002−220444号公報および特開2002−146003号公報に記載の方法が推奨される。
【0016】
アシル化反応においては、脂肪酸無水物の添加量がフェノール性水酸基の1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.1倍当量である。脂肪酸無水物の添加量が1.0倍当量以上では、エステル交換(重縮合)時にアシル化物や2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが昇華し、反応系が閉塞し難い傾向があり、また、1.2倍当量以下の場合には、得られる芳香族ポリエステルの着色が低減される傾向がある。
【0017】
アシル化反応は、通常、130〜180℃で5分〜10時間反応させ、好ましくは、140〜160℃で10分〜3時間反応させる。
【0018】
アシル化反応に使用される脂肪酸無水物としては,例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸などが挙げられ、これらは2種類以上を混合して用いてもよい。価格と取り扱い性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸が好ましく、より好ましくは、無水酢酸である。
【0019】
エステル交換においては、アシル化物のアシル基がカルボキシル基の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
【0020】
エステル交換は、130〜400℃で0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行うことが好ましく、150〜350℃で0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行うことがより好ましい。
【0021】
アシル化して得た脂肪酸エステルとカルボン酸とをエステル交換させる際、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物は、蒸発させるなどして系外へ留去させることが好ましい。
【0022】
なお、アシル化反応、エステル交換は、触媒の存在下に行ってもよい。該触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N,N−ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾールなどの有機化合物触媒などを挙げることができる。
該触媒は、通常、モノマー類の投入時に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、該触媒を除去しない場合にはそのままエステル交換を行うことができる。
これらの触媒の中で、N,N−ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾールなどの窒素原子を2個以上含む複素環状化合物が好ましく使用される。
窒素原子を2個以上含む複素環状化合物を用いた芳香族ポリエステルの製造方法としては、特開2002−146003号公報に記載の方法が推奨される。
【0023】
エステル交換による重縮合は、通常、溶融重合により行なわれるが、溶融重合終了後にさらに固相重合することが推奨される。
固相重合の具体的な製造方法としては、例えば、溶融重合工程からポリマーを抜き出し、その後、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、窒素などの不活性雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で熱処理する方法などが挙げられる。固相重合は、攪拌しながらでも、攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお適当な攪拌機構を備えることにより溶融重合槽と固相重合槽とを同一の反応槽とすることもできる。
固相重合後、得られた芳香族ポリエステルは、粉体状として取り出してもよいし、ペレット化などの成形体として取り出してもよい。
芳香族ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
【0024】
本発明の芳香族ポリエステルフィルムは、かくして得られた芳香族ポリエステルを用いてフィルム状に成形したものであり、具体的には、溶融して成膜する方法などが挙げられる。
溶融して成膜する芳香族ポリエステルフィルムとしては、例えば、芳香族ポリエステルを押し出し機で溶融混練し、Tダイを通して押し出した溶融樹脂を巻き取り機の方向(長手方向)に延伸しながら巻き取って得られる一軸配向フィルム、または二軸延伸フィルム、円筒形のダイから押し出した溶融体シートをインフレーション法で成膜するインフレーションフィルムなどが挙げられる。
【0025】
一軸配向フィルムについて以下に説明すると、一軸配向フィルムの製造時の押し出し機の設定条件は、芳香族液晶ポリエステルのモノマー組成に応じて異なるが、シリンダーの設定温度は通常、200〜400℃程度、好ましくは230〜380℃程度である。シリンダーの設定温度がこの範囲内であると、芳香族ポリエステルの熱分解を抑制したり、成膜が容易になる傾向があることから好ましい。
【0026】
Tダイのスリット間隔は、0.1〜2mmが好ましい。
本発明における一軸配向フィルムのドラフト比は、通常、1.1〜45程度の範囲である。ここでいうドラフト比とは、Tダイスリットの断面積を長手方向のフィルム断面積で除した値をいう。ドラフト比が1.1以上であると、フィルム強度が向上する傾向があり、ドラフト比が45以下であると、フィルムの表面平滑性に優れる傾向があることから好ましい。ドラフト比は、押し出し機の設定条件、巻き取り速度などにより調整することができる。
【0027】
二軸延伸フィルムは、一軸配向フィルムと同様の押し出し機の設定条件、即ちシリンダーの設定温度が、通常、200〜400℃程度、好ましくは230〜380℃程度であり、Tダイのスリット間隔は、通常、0.1〜2mmの範囲で溶融押し出しを行う。
二軸延伸方法としては、Tダイから押し出した溶融体シートを長手方向および長手方向と垂直方向(横手方向)に同時に延伸する方法、Tダイから押し出した溶融体シートをまず長手方向に延伸し、ついでこの延伸シートを同一工程内で100〜400℃の高温下でテンターより横手方向に延伸する逐次延伸の方法などが挙げられる。
【0028】
二軸延伸フィルムの延伸比は、長手方向に1.1〜20倍、横手方向に1.1〜20倍の範囲であることが好ましい。延伸比が上記の範囲内であると、得られるフィルムの強度に優れ、均一な厚みのフィルムを得ることが容易になる傾向がある。
【0029】
次に、インフレーションフィルムの製造方法について説明する。
本発明の芳香族ポリエステルを環状スリットのダイを備えた溶融混練押し出し機に供給して、シリンダー設定温度を、通常、200〜400℃程度、好ましくは230〜380℃程度で溶融混練を行って、押し出し機の環状スリットから筒状の芳香族ポリエステルフィルムを上方または下方へ押し出す。環状スリットの間隔は、通常、0.1〜5mm、好ましくは0.2〜2mm、環状スリットの直径は、通常、20〜1000mm、好ましくは25〜600mmである。
【0030】
溶融押し出された筒状の溶融樹脂フィルムに、長手方向(MD)にドラフトをかけるとともに、この筒状溶融樹脂フィルムの内側から空気または不活性ガス、例えば、窒素ガス等を吹き込むにより、長手方向と直角な横手方向(TD)にフィルムを膨張延伸させる。
【0031】
ブローアップ比(最終チューブ径と初期径の比)は、通常、1.5〜10である。
MD延伸倍率は、通常、1.5〜40であり、この範囲内であると厚さが均一でしわのない高強度の芳香族ポリエステルフィルムを得る傾向にあることから好ましい。
膨張延伸させたフィルムは、空冷または水冷させた後、ニップロールを通過させて引き取る。
【0032】
インフレーション成膜に際しては、芳香族ポリエステルの組成に応じて、筒状の溶融体フィルムが均一な厚みで表面平滑な状態に膨張するような条件を選択することが好ましい。
【0033】
かくして得られた芳香族液晶ポリエステルフィルムの厚みは、製膜性や機械特性の観点から、通常、0.5〜500μmであり、取り扱い性の観点から1〜100μmであることが好ましい。
【0034】
本発明の芳香族ポリエステルフィルムには、金属層を積層してもよい。
金属層を積層するにあたって、芳香族ポリエステルフィルムの金属層を積層する面には、接着力を高めるためコロナ放電処理、紫外線照射処理、またはプラズマ処理を実施してもよい。
【0035】
本発明の芳香族ポリエステルフィルムに金属層を積層する方法としては、例えば、
(1)芳香族ポリエステルフィルムを加熱圧着により金属箔に貼付する方法、
(2)芳香族ポリエステルフィルムと金属箔とを接着剤により貼付する方法、
(3)芳香族ポリエステルフィルムに金属層を蒸着により形成する方法
等により製造することができる。
【0036】
中でも、(1)の積層方法は、プレス機または加熱ロールを用いて芳香族ポリエステルフィルムの流動開始温度付近で金属箔と圧着する方法であり、容易に実施できることから推奨される。
【0037】
(2)の積層方法において使用される接着剤としては、例えば、ホットメルト接着剤、ポリウレタン接着剤などが挙げられる。中でもエポキシ基含有エチレン共重合体などが接着剤として好ましく使用される。
【0038】
(3)の積層方法としては、例えば、イオンビームスパッタリング法、高周波スパッタリング法、直流マグネトロンスパッタリング法、グロー放電法などが挙げられる。中でも高周波スパッタリング法が好ましく使用される。
【0039】
本発明で金属層に使用される金属としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウムなどが挙げられる。タブテープ、プリント配線板用途では銅が好ましく、コンデンサー用途ではアルミニウムが好ましい。
【0040】
このようにして得られる積層体の構造としては、例えば、芳香族ポリエステルフィルムと金属層との二層構造、芳香族液晶ポリエステルフィルム両面に金属層を積層させた三層構造、芳香族液晶ポリエステルフィルムと金属層を交互に積層させた五層構造などが挙げられる。
また、該積層体には、高強度発現の目的で、必要に応じて、熱処理を行ってもよい。
【0041】
本発明の芳香族ポリエステルフィルムには、本発明の目的を損なわない範囲で、フィラー、添加剤等を添加してもよい。
フィラーとしては、例えば、エポキシ樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、尿素樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリエステル樹脂粉末、スチレン樹脂などの有機系フィラー、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、カオリン、炭酸カルシウム、燐酸カルシウムなどの無機フィラーなどが挙げられる。
添加剤としては、例えば、カップリング剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤などが挙げられる。
【0042】
また、本発明の芳香族ポリエステルフィルムには、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミドなどの熱可塑性樹脂、グリシジルメタクリレートとポリエチレンの共重合体などのエラストマーなどを一種または二種以上を添加してもよい。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないことは言うまでもない。
【0044】
(実施例1)
<アシル化反応>
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシー6−ナフトエ酸1037.34g(5.512モル)、ハイドロキノン274.59g(2.494モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸539.12g(2.494モル)、無水酢酸1232.74(12.08モル)および触媒として1−メチルイミダゾール0.185gを添加し、室温で15分間攪拌した後、攪拌しながら昇温した。内温が145℃となったところで、同温度を保持したまま1時間攪拌した。
【0045】
<エステル交換反応>
その後、窒素原子を2原子以上含む複素環状有機塩基化合物として1−メチルイミダゾール1.857gを添加し、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら3時間30分かけて内温310℃まで昇温し、同温度で1時間保温してエステル交換反応を終了した。得られた樹脂を室温まで冷却し、粉砕機で粉砕して、粉末(粒子径は約0.1mm〜約1mm)を得た。
【0046】
<固相重合>
上記で得た粉末を25℃から250℃まで1時間かけて昇温したのち、同温度から315℃まで5時間かけて昇温し、次いで同温度で3時間保温して固相重合させた。その後、固相重合した後の粉末を冷却し、冷却後の粉末(芳香族ポリエステル)をフローテスター〔島津製作所社製、「CFT−500型」〕を用いて、流動開始温度を測定したところ、329℃であった。
【0047】
<芳香族ポリエステルフィルムの製造例>
固相重合して得られた芳香族ポリエステルの粉末を、一軸押し出し機(スクリュー径50mm)内で溶融し、その押し出し機先端のTダイ(リップ長さ300mm、リップクリアランス1mm、ダイ温度360℃)より、ドラフト比4の条件でフィルム状に押し出し、冷却して厚さ250μmのフィルムを得た。
得られたフィルムについて、誘電率、誘電損失をヒューレットパッカード(株)製インピーダンス・マテリアルアナライザーにより測定した。
結果を表1に示す。
【0048】
<DTUL(荷重たわみ温度)の測定>
前項で得られた芳香族ポリエステルフィルムを長さ127mm、幅12.7mm、厚さ6.4mmの試験片に調整し、該試験片をASTM D648に準拠し、1.82MPa(18.6kg/cm)の荷重下、120℃/Hrの昇温速度で昇温し、変形量が0.254mmになったときの温度をDTUL(荷重たわみ温度)として求めた。荷重たわみ温度が高いほど、その樹脂の耐熱性が高いという指標になる。
結果を表1にまとめた。
【0049】
(実施例2)
実施例1と同様の反応器に、2−ヒドロキシー6−ナフトエ酸1086.74g(5.775モル)、ハイドロキノン260.13g(2.362モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸510.75g(2.362モル)、無水酢酸1232.74(12.08モル)および触媒として1−メチルイミダゾール0.185gを添加した。以下、実施例1と同様にアシル化反応、エステル交換反応、固相重合、および芳香族ポリエステルフィルムの製造を実施した。
結果は表1にまとめた。
【0050】
(比較例1)
実施例1と同様の反応器に、p―ヒドロキシ安息香酸 911g(6.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 409g(2.2モル)、テレフタル酸 274g(1.65モル)、イソフタル酸91g(0.55モル)及び無水酢酸 1235g(12.1モル)を添加した。以下、実施例1と同様にアシル化反応、エステル交換反応、固相重合、および芳香族ポリエステルフィルムの製造を実施した。
結果は表1にまとめた。
【0051】
【表1】
Figure 2005002296
【0052】
【発明の効果】
本発明の芳香族ポリエステルは、流動開始温度が比較的低いことから容易に溶融成膜して、フィルム状に成形することができる。得られた芳香族ポリエステルフィルムは、広い周波数域において誘電率が低く、誘電損失が小さいという電気特性が一層、優れる。さらに、DTULからも明らかなように耐熱性に優れる。
このような優れた特性から、本発明の芳香族ポリエステルは、例えば、フレキシブルプリント配線板やリジッドプリント配線板、モジュール基板などの電子基板用の基板材料、層間絶縁材料及び表面保護フィルムなどに使用することができる。また、本芳香族ポリエステルフィルムと金属層との積層体は、コンデンサーや電磁波シールド材として使用することができる。

Claims (3)

  1. 2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する繰り返し構造単位30〜80mol%と、ヒドロキノンに由来する繰り返し構造単位35〜10mol%と、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位35〜10mol%との実質的に3つの構造単位からなる芳香族ポリエステル。
  2. 請求項1に記載の芳香族ポリエステルを溶融成形して得られる芳香族ポリエステルフィルム。
  3. 請求項2に記載の芳香族ポリエステルフィルムと金属層との積層体。
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