JP7203667B2 - コネクター - Google Patents
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このような問題点に対し、異なる結晶構造等を有する2種類の液晶性ポリエステルを混合した液晶性樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。この液晶性樹脂組成物を用いることで、成形体の異方性、ウェルド強度の改善が図られる。
しかしながら、上述のような従来の液晶性樹脂組成物を用いた成形体においては、製品を構成する部材の強度、特に厚さの薄い超薄肉部(ここでは、0.10mm以下の製品厚さ)の曲げ強度に対する要求がある。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[結晶子サイズの測定方法]
液晶ポリエステル成形体の結晶子サイズは、波長1×10-10mのX線を用いた広角X線回折法によって測定されたX線回折スペクトルにおける110面の回折ピークに基づいて、下式(1)で表されるScherrerの式より求まる。
D=K・λ/βcosθ ・・・(1)
式中、Dは結晶子サイズであり、λは測定X線波長であり、βは半値幅(ラジアン)であり、θは回折角であり、KはScherrer定数(0.94)である。
-O-Ar1-CO- ・・・(2)
-CO-Ar2-CO- ・・・(3)
-X-Ar3-Y- ・・・(4)
式中、Ar1、Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。但し、これらのフェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基が有する水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基で置換されていてもよい。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(-NH-)を表す。
本実施形態の液晶ポリエステル成形体は、後述の[結晶子サイズの測定方法]により求まる結晶子サイズから算出される成形体中心部の結晶子サイズが、120×10-10m以上である。
また、成形体中心部の結晶子サイズは、上限値として220×10-10m以下であることが好ましく、200×10-10m以下がより好ましく、180×10-10m以下がさらに好ましく、160×10-10m以下が特に好ましい。この成形体中心部の結晶子サイズの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。
成形体中心部の結晶子サイズが、前記範囲の下限値以上であれば、部材の超薄肉部の曲げ強度がより高められた液晶ポリエステル成形体が得られる。一方、成形体中心部の結晶子サイズが、前記の好ましい範囲の上限値以下であれば、衝撃に対する強度がより高められた液晶ポリエステル成形体が得られやすくなる。
また、成形体全体の平均結晶子サイズが、上限値として220×10-10m以下であることが好ましく、200×10-10m以下がより好ましく、180×10-10m以下がさらに好ましく、160×10-10m以下が特に好ましい。この成形体全体の平均結晶子サイズの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。
成形体全体の平均結晶子サイズが、前記の好ましい範囲の下限値以上であれば、部材の超薄肉部の曲げ強度がより高められた液晶ポリエステル成形体が得られやすくなる。一方、成形体全体の平均結晶子サイズが、前記の好ましい範囲の上限値以下であれば、衝撃に対する強度がより高められた液晶ポリエステル成形体が得られやすくなる。
液晶ポリエステル成形体の結晶子サイズは、波長1×10-10mのX線を用いた広角X線回折法によって測定されたX線回折スペクトルにおける110面の回折ピークに基づいて、下式(1)で表されるScherrerの式より求まる。
D=K・λ/βcosθ ・・・(1)
式中、Dは結晶子サイズであり、λは測定X線波長であり、βは半値幅(ラジアン)であり、θは回折角であり、KはScherrer定数(0.94)である。
手順(3):決定した110面の回折ピークの半値幅(β)を求める。
手順(4):Scherrerの式を用いて結晶子サイズを求める。
手順(5):成形体にX線が入射した開始点から終了点の全測定データに対し、手順(3)及び手順(4)により結晶子サイズを算出する。
液晶ポリエステルにおける「成形体全体の平均結晶子サイズ」は、上記手順により得られた、成形体の厚さ方向全体の結晶子サイズの平均値とする。
上記[結晶子サイズの測定方法]において、成形体の形状は任意でよく、X線を照射する位置は、成形体の厚さが最も薄くなる方向を適宜選択すればよい。
液晶ポリエステルの種類による制御については、液晶ポリエステルを構成する繰り返し単位の種類又はその割合などを適宜選択すればよい。
本実施形態の成形体に用いられる液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示すポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものが好ましい。
本実施形態における液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。本実施形態における液晶ポリエステルは、なかでも、原料モノマーとして芳香族化合物のみを重合している全芳香族液晶ポリエステルが好ましい。
エステル形成誘導体の例としてのエステルは、カルボキシ基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるものが挙げられる。
前記の酸ハロゲン化物としては、カルボキシ基をハロホルミル基に変換してなるものが挙げられる。
前記の酸無水物としては、カルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるものが挙げられる。
-CO-Ar2-CO- ・・・(3)
-X-Ar3-Y- ・・・(4)
式中、Ar1、Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。但し、これらのフェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基が有する水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基で置換されていてもよい。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(-NH-)を表す。
(a)2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸/ハイドロキノン/2,6-ナフタレンジカルボン酸/テレフタル酸共重合体
(b)4-ヒドロキシ安息香酸/2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル/テレフタル酸共重合体
(c)4-ヒドロキシ安息香酸/2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸共重合体
(d)2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン共重合体
(e)2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル共重合体
(f)4-ヒドロキシ安息香酸/2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン共重合体
(g)4-ヒドロキシ安息香酸/2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン/4,4’-ジヒドロキシビフェニル共重合体
(h)4-ヒドロキシ安息香酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル共重合体
(i)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン共重合体
(j)4-ヒドロキシ安息香酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン共重合体
(k)4-ヒドロキシ安息香酸/2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン共重合体
(l)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン/4,4’-ジヒドロキシビフェニル共重合体
(m)2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸/テレフタル酸/4-アミノフェノール共重合体
(n)4-ヒドロキシ安息香酸/2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸/テレフタル酸/4-アミノフェノール共重合体
(o)4-ヒドロキシ安息香酸/2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸/テレフタル酸/エチレングリコール共重合体
(p)4-ヒドロキシ安息香酸/2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール共重合体
(q)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル共重合体
液晶ポリエステル中の繰り返し単位(u2)の含有率が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、本実施形態の液晶ポリエステル成形体の曲げ強度を高められやすい。一方、繰り返し単位(u2)の含有率が、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、溶融粘度を容易に低くすることができる。そのため、液晶ポリエステルの成形に必要な温度が低くなりやすい。
液晶ポリエステル中の2,6-ナフチレン基を含む繰り返し単位の割合が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、本実施形態の液晶ポリエステル成形体の曲げ強度を高められやすい。一方、2,6-ナフチレン基を含む繰り返し単位の割合が、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、溶融粘度を容易に低くすることができる。
また、液晶ポリエステルは、繰り返し単位(u1)~(u3)以外の繰り返し単位を1種又は2種以上有してもよいが、その含有率は、全繰り返し単位の合計量に対して、好ましく10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
因子(III):繰り返し単位[-O-(2,6-ナフチレン基)-CO-]と、繰り返し単位[-CO-(2,6-ナフチレン基)-CO-]とを併有する場合、加熱処理(アニール)を施すことにより、後者による前者同士のスタッキング阻害が緩和されて、最安定な状態を取りやすい(すなわち、結晶子サイズが大きくなりやすい)。
流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(例えば、小出直之編、「液晶ポリマー-合成・成形・応用-」、95-105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行を参照)。
次に、本実施形態における液晶ポリエステルの製造方法の一例について説明する。
なお、室温から反応温度までは3~20時間かけて昇温することが好ましく、昇温は多段階で行ってもよい。該熱処理に使用される装置としては、例えば、既知の乾燥機、反応機、イナートオーブン、電気炉が挙げられる。
成形時の各部の温度差が上記範囲の場合、結晶核となり得る結晶子が成形機のシリンダー内で溶融せずに保持されるため、結晶成長の観点から好ましい。
なお、熱処理温度は、Tm-20℃以上、成形体の融点未満の温度範囲内であれば、熱処理中に一定であってもよく、変化させてもよい。
以下に示す、液晶ポリエステル(1)、液晶ポリエステル(2)、液晶ポリエステル(3)をそれぞれ用いた。
撹拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(1034.99g、5.5モル)と、2,6-ナフタレンジカルボン酸(378.33g、1.75モル)と、テレフタル酸(83.07g、0.5モル)と、ヒドロキノン(272.52g、2.475モル、2,6-ナフタレンジカルボン酸及びテレフタル酸の合計量に対して0.225モル過剰)と、無水酢酸(1226.87g、12モル)とを仕込んだ。反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、1-メチルイミダゾール0.17gを添加し、窒素ガス気流下、撹拌しながら、室温から145℃まで15分かけて昇温し、145℃で1時間還流させた。
次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から310℃まで3.5時間かけて昇温し、310℃で3時間保持した後、内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粒径約0.1~1mmに粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から310℃まで10時間かけて昇温し、310℃で5時間保持することにより、固相重合を行った。得られた固相重合物を室温まで冷却して、液晶ポリエステル(1)を得た。
液晶ポリエステル(1)は、分子中にAr1が2,6-ナフチレン基である繰り返し単位(u11)と、Ar2が2,6-ナフチレン基である繰り返し単位(u21)と、Ar2が1,4-フェニレン基である繰り返し単位(u22)と、Ar3が1,4-フェニレン基である繰り返し単位(u31)とを有し、その流動開始温度は324℃であった。
撹拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p-ヒドロキシ安息香酸(994.5g、7.20モル)と、テレフタル酸(272.1g、1.64モル)と、イソフタル酸(126.6g、0.76モル)と、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(446.9g、2.40モル)と、無水酢酸1347.6g(13.20モル)とを仕込んだ。反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、1-メチルイミダゾール0.18gを添加し、窒素ガス気流下で撹拌しながら、室温から150℃まで30分かけて昇温し、150℃で30分間還流させた。
次いで、1-メチルイミダゾール2.40gを添加した後、副生した酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から320℃まで2時間50分かけて昇温し、トルクの上昇が認められた時点で反応終了とし、反応器から内容物を取り出して、室温まで冷却した。次いで、粉砕機を用いてこのプレポリマーを粉砕し、得られた粉砕物を窒素ガス雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から280℃まで5時間かけて昇温し、280℃で3時間保持することにより、固相重合を行った。得られた固相重合物を室温まで冷却して、液晶ポリエステル(2)を得た。
液晶ポリエステル(2)は、分子中にAr1が1,4-フェニレン基である繰返し単位(u12)と、Ar2が1,4-フェニレン基である繰返し単位(u22)と、Ar2が1,3-フェニレン基である繰返し単位(u23)と、Ar3が4,4’-ビフェニリレン基である繰返し単位(u32)とを有し、その流動開始温度は312℃であった。
撹拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p-ヒドロキシ安息香酸(33.15g、0.24モル)と、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(1083.92g、5.76モル)と、テレフタル酸(498.39g、3.00モル)と、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(558.63g、3.00モル)と、無水酢酸(1347.59g、13.20モル)とを仕込んだ。反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、1-メチルイミダゾール0.22gを添加し、窒素ガス気流下、撹拌しながら、室温から150℃まで30分かけて昇温し、150℃で1時間還流させた。
次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から335℃まで4.5時間かけて昇温し、トルクの上昇が認められた時点で反応終了とし、反応器から内容物を取り出して、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粒径約0.1~1mmに粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から300℃まで5時間かけて昇温し、300℃で3時間保持することにより、固相重合を行った。得られた固相重合物を室温まで冷却して、液晶ポリエステル(3)を得た。
液晶ポリエステル(3)は、分子中にAr1が1,4-フェニレン基である繰返し単位(u12)と、Ar1が2,6-ナフチレン基である繰返し単位(u11)と、Ar2が1,4-フェニレン基である繰返し単位(u22)と、Ar3が4,4’-ビフェニリレン基である繰返し単位(u32)とを有し、その流動開始温度は338℃であった。
液晶ポリエステル成形体を製造する際、図1に示す金型と同一形態である、厚さXmm(X=0.08、0.10)の金型を用いた。
[射出成形条件]
ノズル側の温度をC1と表記し、ノズル側からホッパー下までのシリンダー温度をC1/C2/C3/C4/C5/HPと表記する。
シリンダー温度:C1/C2/C3/C4/C5/HP=350/350/330/310/280/80℃(液晶ポリエステル(1)、液晶ポリエステル(2)の場合)
シリンダー温度:C1/C2/C3/C4/C5/HP=370/370/350/330/310/80℃(液晶ポリエステル(3)の場合)
金型温度:120℃
計量値:20mm
射出速度:200mm/秒(試験例1、2、4~9)、300mm/秒(試験例3)
VP切り替え:150MPaにて圧力切り替え
保圧:20MPa
前記[射出成形条件]で、射出成形機から、図1に示すものと同一形態である金型のゲートより金型内に、溶融状態の液晶ポリエステル(1)を供給した。
次いで、金型内で固化した液晶ポリエステル(1)を取り出し、無酸化雰囲気恒温器(イナートオーブンIPHH-201(エスペック社))内で、窒素雰囲気下にて、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から310℃まで6時間かけて昇温し、310℃で5時間の加熱処理を行い、厚さ0.08mmtの液晶ポリエステル成形体(1)を得た。
金型の厚さを変更した以外は、試験例1と同様にして、厚さ0.10mmtの液晶ポリエステル成形体(2)を得た。
前記[射出成形条件]で、射出成形機から、図1に示すものと同一形態である金型のゲートより金型内に、溶融状態の液晶ポリエステル(3)を供給し固化させて、厚さ0.08mmtの液晶ポリエステル成形体(3)を得た。
金型の厚さを変更した以外は、試験例3と同様にして、厚さ0.10mmtの液晶ポリエステル成形体(4)を得た。
液晶ポリエステル(3)を液晶ポリエステル(1)に変更した以外は、試験例3と同様にして、厚さ0.08mmtの液晶ポリエステル成形体(5)を得た。
液晶ポリエステル(1)を液晶ポリエステル(2)に変更した以外は、試験例5と同様にして、厚さ0.08mmtの液晶ポリエステル成形体(6)を得た。
液晶ポリエステル(1)を液晶ポリエステル(2)に変更した以外は、試験例1と同様にして、厚さ0.08mmtの液晶ポリエステル成形体(7)を得た。
液晶ポリエステル(3)を液晶ポリエステル(2)に変更した以外は、試験例4と同様にして、厚さ0.10mmtの液晶ポリエステル成形体(8)を得た。
液晶ポリエステル(1)を液晶ポリエステル(2)に変更した以外は、試験例2と同様にして、厚さ0.10mmtの液晶ポリエステル成形体(9)を得た。
各例の液晶ポリエステル成形体(1)~(9)について、以下に示す方法により、成形体中心部の結晶子サイズの測定、成形体全体の平均結晶子サイズの測定、曲げ強度の評価及びハンダ耐熱性の評価をそれぞれ行った。
各例の液晶ポリエステル成形体に対するX線回折測定を、大型放射光施設SPring-8のビームラインBL03XU(FSBL第2ハッチ、ビームサイズ1μm、検出器Pilatus)を用いて行った。
得られた各例の液晶ポリエステル成形体から、厚さ80μmの試験片及び厚さ100μmの試験片をそれぞれ切り出し、測定用試料を調製した。
手順(2):液晶ポリエステル由来の110面の回折ピークを決定した。
手順(3):決定した110面の回折ピークの半値幅(β)を求めた。
手順(4):次いで、下式(1)で表されるScherrerの式より、結晶子サイズを求めた。 D=K・λ/βcosθ ・・・(1) 式中、Dは結晶子サイズであり、λは測定X線波長であり、βは半値幅(ラジアン)であり、θは回折角であり、KはScherrer定数(0.94)である。
得られた各例の液晶ポリエステル成形体から、幅5mm×長さ10mmの試験片を切り出した。
この試験片について、精密荷重測定器(アイコーエンジニアリング株式会社製、MODEL-1605 II VL)を用い、試験速度を10mm/分、支点間距離を「試験片の厚さの16倍(厚さ0.08mmtの場合には1.3mm、厚さ0.10mmtの場合には1.6mm)」、圧子の幅1mmにて、3点曲げ試験を5回行い、その平均値を曲げ強度とした。この結果を表1に示した。
得られた各例の液晶ポリエステル成形体から、幅5mm×長さ5mmの試験片を切り出した。この試験片を、280℃に加熱したハンダ浴に10秒間浸漬した。そして、かかる浸漬後の試験片をハンダ浴から取り出し、試験片における変形の有無を確認して、ハンダ耐熱性を評価した。
試験片に変形が確認されなかったものを「○」、試験片に変形が確認されたものを「×」と表記した。この結果を表1に示した。
試験例3と試験例5との対比、試験例3と試験例6との対比から、液晶ポリエステル(3)を用いた成形体の方が、液晶ポリエステル(1)、(2)を用いた成形体に比べて、成形体中心部の結晶子サイズが大きく、曲げ強度が高いことが確認できる(図2参照)。
また、試験例1と試験例5との対比、試験例6と試験例7との対比から、液晶ポリエステル(1)を用いることで、加熱処理により結晶子が成長して、曲げ強度がより高められることが確認できる(図4参照)。
試験例4と試験例8との対比から、液晶ポリエステル(3)を用いた成形体の方が、液晶ポリエステル(2)を用いた成形体に比べて、成形体中心部の結晶子サイズが大きく、曲げ強度が高いことが確認できる。
Claims (3)
- 液晶ポリエステルの成形体からなるコネクターであって、
前記成形体は、下記[結晶子サイズの測定方法]により求まる結晶子サイズから算出される成形体中心部の結晶子サイズが120×10-10m以上であり、
前記液晶ポリエステルは、下式(2)で表される繰り返し単位(u1)と、下式(3)で表される繰り返し単位(u2)と、下式(4)で表される繰り返し単位(u3)とを有する、コネクター。
-O-Ar 1 -CO- ・・・(2)
-CO-Ar 2 -CO- ・・・(3)
-X-Ar 3 -Y- ・・・(4)
式中、Ar 1 及びAr 2 は、それぞれ、2,6-ナフチレン基を表し、Ar 3 は、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。但し、これらのフェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基が有する水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基で置換されていてもよい。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(-NH-)を表す。
[結晶子サイズの測定方法]
液晶ポリエステルの成形体の結晶子サイズは、波長1×10-10mのX線を用いた広角X線回折法によって測定されたX線回折スペクトルにおける110面の回折ピークに基づいて、下式(1)で表されるScherrerの式より求まる。
D=K・λ/βcosθ ・・・(1)
式中、Dは結晶子サイズであり、λは測定X線波長であり、βは半値幅(ラジアン)であり、θは回折角であり、KはScherrer定数(0.94)である。
液晶ポリエステルの成形体にX線が入射して、液晶ポリエステル由来の110面の回折ピークが出現した成形体端部を開始点、および液晶ポリエステル由来の110面の回折ピークが消失した成形体端部を終了点とそれぞれ定義する。成形体中心部とは、前記開始点と前記終了点との中点の位置と定義する。X線を照射する位置は、成形体の厚さが最も薄くなる方向とする。 - さらに、前記[結晶子サイズの測定方法]により求まる結晶子サイズから算出される成形体全体の平均結晶子サイズが、100×10-10m以上である、請求項1に記載のコネクター。
- 前記の繰り返し単位(u1)~(u3)のうち、2,6-ナフチレン基を含む繰り返し単位の割合が、前記液晶ポリエステルを構成する全繰り返し単位の合計の割合に対して、40モル%以上である、請求項1又は2に記載のコネクター。
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