JPH08267613A - スクロール型コンプレッサ用シール部材組成物 - Google Patents

スクロール型コンプレッサ用シール部材組成物

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JPH08267613A
JPH08267613A JP7607895A JP7607895A JPH08267613A JP H08267613 A JPH08267613 A JP H08267613A JP 7607895 A JP7607895 A JP 7607895A JP 7607895 A JP7607895 A JP 7607895A JP H08267613 A JPH08267613 A JP H08267613A
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Fumitada Satoji
文規 里路
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秀夫 野村
Tadayasu Kobayashi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スクロール型コンプレッサ用シール部材組成
物を、低摩擦係数であるという摺動特性に加えて、溶融
成形時における良好な流動性および1,1,1,2−テ
トラフルオロエチレンなどの代替フロンガスやPAG系
の潤滑油に耐性を有するという条件を全て兼ね備えたも
のとする。 【構成】 ポリエーテルケトン樹脂60〜95重量%と
流動温度(すなわち、4℃/分の昇温速度で加熱された
樹脂を荷重100kgf/cm2 のもとで、内径1m
m、長さ10mmのノズルから押し出す時に、溶融粘度
が48000ポイズを示す温度)が、300℃以上の液
晶ポリエステル樹脂40〜5重量%を含む樹脂組成物か
らなるスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物と
する。または、上記のスクロール型コンプレッサ用シー
ル部材組成物90〜45重量%に対して、フッ素樹脂5
〜20重量%、炭素繊維5〜25重量%、芳香族ポリア
ミド樹脂10重量%以下を添加したことを特徴とするス
クロール型コンプレッサ用シール部材組成物とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、スクロール型コンプ
レッサの摺動面を気密化するために用いるスクロール型
コンプレッサ用シール部材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的なスクロール型コンプレッサの構
造を図1〜4に基づいて説明する。図1に示すように、
スクロール型コンプレッサは、アルミニウムまたはアル
ミニウム合金などの軽金属製の基板3の片面に同材料製
の渦巻き壁4を直立するように形成し、渦巻き壁4の上
端面2の長手方向には溝6(図3参照)を形成し、溝6
に四フッ化エチレン樹脂(以下、PTFEと略記する)
などの潤滑性樹脂からなる渦巻き線形シール部材1(図
2参照)を組み付けた一対のスクロール部材5を有す
る。
【0003】そして、図4に示すように、一方のスクロ
ール部材と、これと渦巻き方向が逆向きの渦巻き壁を有
する他方のスクロール部材(図示せず)を、その渦巻き
壁相互を偏心状態にかみ合わせた状態で動作させると
き、一対のスクロール部材は、それぞれの軸周りに相対
的に公転運動を行なうので、渦巻き壁4の間に形成され
る密閉空間が中心方向に移動して空間内の流体は圧縮さ
れ、流体は中心部から吐出されるのである。
【0004】そのような動作時において、一対のスクロ
ール部材5、5´のシール部材1、1´は、相互に他の
スクロール部材5´、5 の渦巻き壁の底に摺接し、こ
れにより渦巻き壁4の間を通過する流体をシールしてい
る。
【0005】前記したようなPTFEを主要成分とした
シール部材1は、射出成形が不可能であるので生産性が
悪く、また耐クリープ性にも劣るので、近年では射出成
形可能な潤滑性樹脂材料からなるシール部材が開発され
ている。
【0006】本願の発明者らが出願し、特開昭62−2
23488号公報で開示された射出成形可能なスクロー
ル型コンプレッサのシール部材は、芳香族ポリエーテル
ケトン樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリエー
テルイミド樹脂を主成分とし、PTFEおよび射出成形
可能な含フッ素樹脂を添加したものである。同発明者ら
の出願による特開昭63−158362号公報で開示さ
れたものは、芳香族ポリエーテルケトン樹脂を主成分と
し、いずれも射出成形が可能であって潤滑性、耐クリー
プ性の点でも優れたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
のシール部材用組成物は、射出成形時に必要とされる溶
融状態での流動性が充分に良好でないという問題点があ
る。
【0008】シール部材用組成物の溶融状態における流
動性に起因する不具合について具体的にみると、流動性
不良の成形用樹脂では、渦巻き壁の長手方向に略同じ長
さで(通常、20〜60cm)、線状にシール部材を射
出成形する際に、金型のシール部材の全長(展開長さ)
の中間位置にゲート口を設けなければ端部まで均等に充
填できない。
【0009】このようにして、中間位置にゲート口を配
置して射出成形されたシール部材は、成形後、側面に突
出したゲート部分を後加工にて取り除く必要がある。こ
のため、スクロール型コンプレッサー用シール部材の生
産効率は悪く、すなわち低コスト化の要請に応えること
ができず、また後加工の方法の技能的良否によってゲー
ト部分の成形寸法精度が安定しないので、シール性能の
安定した製品が得られない場合もある。
【0010】また、シール部材に所要の物性についてみ
ると、シール部材は、スクロール型コンプレッサの運転
時に加熱され、その状態でフロンガスなどの冷媒や各種
添加剤を含有した潤滑油に接するので、物性の劣化が起
こり易く、本来の耐摩耗性(長寿命)が長時間安定して
発揮できないという問題点もある。
【0011】特に、近年の地球環境擁護の要求に応じ
て、いわゆる特定フロンから環境破壊性のない代替フロ
ンとして、1,1,1,2−テトラフルオロエチレン
(フロンR134a)などが採用されるようになってき
たが、これを熱媒体(冷媒)として用いるコンプレッサ
ーに使用される潤滑油も従来の鉱油を基油とするスニソ
オイルから、ポリアルキレングリコール(以下、PAG
と略記する。)系の潤滑油が採用されるようになってき
た。
【0012】ところが、PAG系の潤滑油は、通常、極
圧剤などの添加剤を含んで調製されており、またPAG
は吸湿性があるから、高温でシール部材に接するという
スクロール型コンプレッサーの通常の使用条件でシール
部材を加水分解するという問題点が生ずる。
【0013】そこで、この発明の課題は、上記した問題
点を解決して低摩擦係数であるという本来所要の摺動特
性に加えて、溶融成形時における良好な流動性および
1,1,1,2−テトラフルオロエチレンなどの代替フ
ロンガスやPAG系の潤滑油に充分な耐性を有するとい
う条件を全て兼ね備えたスクロール型コンプレッサ用シ
ール部材組成物とすることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、スクロール型コンプレッサ用
シール材組成物を、ポリエーテルケトン樹脂60〜95
重量%と下記の方法で求めた流動温度が300℃以上の
液晶ポリエステル樹脂40〜5重量%を含むものとした
のである。
【0015】上記流動温度は、4℃/分の昇温速度で加
熱された樹脂を荷重100kgf/cm2 のもとで、内
径1mm、長さ10mmのノズルから押し出すときに、
溶融粘度が48000ポイズを示す温度である。
【0016】また、前記のスクロール型コンプレッサ用
シール部材組成物90〜45重量%に対して、フッ素樹
脂5〜20重量%、炭素繊維5〜25重量%を添加した
のである。
【0017】また、前記のスクロール型コンプレッサ用
シール部材組成物90〜45重量%に対して、フッ素樹
脂5〜20重量%、炭素繊維5〜25重量%、芳香族ポ
リアミド樹脂10重量%以下を添加したのである。
【0018】以下に、その詳細を述べる。この発明に用
いるポリエーテルケトン樹脂とは、フェニルケトン構造
とフェニルエーテル構造を主構造として併せもつ樹脂で
ある。ポリエーテルケトンの構造としては、例えば下記
の化3の式で示されるものを例示することができるが、
これに限定されるものではない。
【0019】
【化3】
【0020】耐熱性、機械的物性、加工性のバランスか
ら、特に好ましいポリエーテルケトンは、上式(D)で
表わされる繰り返し構造単位のものであり、市販品とし
てはVictrex PEEK(VICTREX社製)
が挙げられる。特に、この発明に用いるポリエーテルケ
トン樹脂としては、分子量の低いVictrex PE
EK 150Pが好ましい。
【0021】次に、この発明に用いる液晶ポリエステル
樹脂は、異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸またはこれ
らのエステル形成性誘導体から合成されるか、芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族
ジオールあるいはこれらのエステル形成性誘導体から合
成され、含有する繰り返し構造単位(A)、(B)、
(C)として次に示すものを例示できる。
【0022】(A)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来
する繰り返し構造単位:
【0023】
【化4】
【0024】(B)芳香族ジカルボン酸に由来する繰り
返し構造単位:
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】(C)芳香族ジオールに由来する繰り返し
構造単位:
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】また、スクロール型コンプレッサのシール
部材としての耐熱性、機械的特性、加工性のバランスが
取れたものであって、より好ましい液晶ポリエステル樹
脂は、前記した化2の式に示される(A)、(B)およ
び(C)で表わされる繰り返し構造単位からなるもので
ある。
【0031】このような液晶ポリエステル樹脂の配合割
合は、全組成物量の5〜40重量%である。5重量%未
満では、組成物の溶融粘度が高くなく、溶融成形時の流
動性を改善するという初期の目的が達成できない。ま
た、40重量%を越えて多量に配合すると、PAGに対
する耐薬品性が低下してその目的を達成できないからで
ある。
【0032】液晶ポリエステル樹脂の流動温度は、前記
したような所定の条件において測定されたものであり、
いわゆる高化式フローテスタを用いて測定することがで
きる。
【0033】次に、この発明に用いるフッ素樹脂は、シ
ール部材組成物に低摩擦係数で非粘着性特性を導入する
ものであって、コンプレッサの設計性能に応じて適当な
摩擦係数となる周知のフッ素樹脂を採用することができ
る。この発明に採用可能なフッ素樹脂の具体例として
は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(以下、PTFE
と略記する。)、ポリテトラフルオロエチレン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体、ポリトリクロロフルオロ
エチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアル
キルビニルエーテル共重合体などが挙げられる。このう
ち、最も低摩擦係数であるPTFEが最も好ましいので
あるが、その形態は平均粒径が20μm以下の滑剤級の
粉末が好ましい。
【0034】平均粒径が20μm以下で滑剤級の粉末P
TFEの市販品としては、英国のアイ・シー・アイ社
製:フルオン(商標)L169、同L170、同L17
1、ダイキン工業社製:ルブロン(商標)、L−2、同
LD−1、デュポン社製:テフロン(商標)、TLP−
10、同TLP−10F−1等を挙げることができる。
【0035】なお、シール部材組成物に良好な溶融粘度
を維持させるためには、未成形のPTFEよりも一度焼
成したPTFEを粉砕した再生PTFEを用いること
が、繊維状化し難い点で好ましい。また、再生PTFE
に代え、もしくは再生PTFEと共に、未成形のPTF
Eにγ線照射処理してこれを低分子量化したPTFE粉
末を用いることができる。γ線照射処理した市販の潤滑
剤用PTFEとしては、喜多村社製:KT400Hを例
示することができる。
【0036】上記したフッ素樹脂の配合割合は5〜20
重量%である。フッ素樹脂の配合割合が5重量%未満の
少量では、シール部材用組成物の潤滑性が不充分となっ
て好ましくなく、逆に20重量%を越える多量では、所
期した溶融流動性が得られず、分散性、相溶性が低下し
て均質な組成物が得られにくいといった問題が生じるか
らである。
【0037】この発明に用いる炭素繊維は、平均繊維径
が好ましくは1〜20μm、より好ましくは10〜18
μmであり、かつアスペクト比が1〜80、より好まし
くは5〜50のものが好ましい。
【0038】なぜなら、炭素繊維の平均繊維径が1μm
未満の細径では繊維間の凝集する現象が見られて組成物
中に均一分散し難くなり、20μmを越える太径のもの
では、摺動時にアルミニウム合金製の相手材を摩耗す
る。また、アスペクト比が1未満のものでは、マトリッ
クス自体の補強効果が損なわれて機械的特性が低下し、
逆にアスペクト比が80を越えると、混合時の均一分散
が極めて困難となって、耐摩耗性が充分に改善されずに
品質低下を招くことになるからである。
【0039】このような炭素繊維の配合割合は、5〜2
5重量%であり、好ましくは10〜20重量%である。
なぜなら、5重量%未満の少量では、耐摩耗性の改善効
果がほとんどなく、25重量%を越える多量では、溶融
流動性が著しく低下して良好な成形品が得られないから
である。10〜20重量%であれば、組成物の耐摩耗性
の改善、および溶融流動性の非阻害性において最も好ま
しい結果が得られる。
【0040】この発明に用いる芳香族ポリアミド樹脂
は、例えば下記の化9の式で示される一般式(メタ系ま
たはパラ系)を繰り返し単位とする公知の樹脂からな
り、このような樹脂のうちメタ系の分子構造を有する芳
香族ポリアミド樹脂の代表例として、米国デュポン社
製:ノーメックス(紙状)、帝人社製:コーネックスが
挙げられ、パラ系の分子構造を有する樹脂の代表例とし
て米国デュポン社製:ケブラー(繊維状)、帝人社製:
テクノーラがある。
【0041】
【化9】
【0042】芳香族ポリアミド樹脂の形態としては、繊
維長0.2〜1mmであり、繊維径10〜15μmの繊
維が好ましい。なぜなら、上記範囲未満では均一に分散
させるのに非常な時間とエネルギーを要し、分散系の流
動特性が悪くなるからであり、上記範囲を越えると、マ
トリックス中で分散状態が悪く、機械的強度、耐摩耗性
が劣ることとなって好ましくないからである。
【0043】このような条件を満足する市販の芳香族ポ
リアミド樹脂としては、アクゾ社製:トワロン(TWA
RON;パラ系、繊維長0.25mm、繊維径13μ
m)がある。
【0044】このような芳香族ポリアミド樹脂のシール
部材組成物への配合割合は、0〜10重量%、すなわち
10重量%以下である。芳香族ポリアミド樹脂を添加す
ることによって、シール部材組成物の耐摩耗性がさらに
改善され、10重量%を越える多量では溶融成形時の流
動性を阻害するからである。このような傾向から、芳香
族ポリアミド樹脂のより好ましい配合割合は、3〜8重
量%である。
【0045】なお、上記以外の添加剤として、この発明
の効果を阻害しない範囲内で、例えば自己潤滑性、機械
的強度、熱安定性などの向上、または着色などの目的で
固体潤滑剤、増量剤、充填剤または顔料などであって、
300℃以上でも熱安定性のあるもの、または液晶ホモ
ポリマーのように液晶コポリマーと相性のよいものを適
宜混合してもよい。
【0046】
【作用】この発明に係るスクロール型コンプレッサ用シ
ール部材組成物は、ポリエーテルケトン樹脂に所定の液
晶ポリエステル樹脂を所定の割合で配合したことによ
り、液晶ポリエステル樹脂を配合しないポリエーテルケ
トン樹脂に比べて約1.5〜2.5倍の溶融流動性のあ
るものとなる。
【0047】また、この組成物はポリエーテルケトン樹
脂と所定の液晶ポリエステル樹脂との併用によって、高
温時における剛性および機械的強度が増強されたものと
なり、1,1,1,2−テトラフルオロエチレンなどの
代替フロンガスやPAG系の潤滑油に対する耐性もあ
る。
【0048】このような組成物に対して、さらにフッ素
樹脂を配合したものは極めて低摩擦係数を示し、また炭
素繊維を所定の配合割合で添加しているので、前記した
溶融流動性を阻害することなく、耐クリープ性と共に耐
摩耗性に極めて優れたものとなる。
【0049】上記組成物に対して、さらに芳香族ポリア
ミド樹脂を添加したものでは、前記した溶融流動性を阻
害することなく、耐摩耗性がさらに改善されたものとな
る。
【0050】このようにシール部材用組成物は、所定の
成分を所定の割合で配合したことにより、シール部材の
所定の使用条件で、代替フロンガスおよびPAG系の潤
滑油に対する耐性に優れたものとなり、かつ優れた耐摩
耗性を兼ね備えたシール部材用組成物となる。
【0051】
【実施例】実施例および比較例に用いた原材料を一括し
て示すと次の通りである。なお、括弧〔 〕内に略称を
示した。なお、(A)、(B1 )、(B2 )(C1 )は
前記した液晶ポリエステル樹脂の繰り返し単位を示し、
溶融粘度は、全て前記した所定の方法によって測定し
た。
【0052】(1)ポリエーテルケトン樹脂〔PEK〕 ビクトレックス社製:Victrex PEEK 15
0P (2)液晶ポリエステル樹脂〔LCP−1〕 構成成分(モル%)がA:B1 :B2 :C1 =60:1
5:5:20であり、前記した高化式フローテスタ(島
津製作所製)による流動温度が323℃であるもの (3)液晶ポリエステル樹脂〔LCP−2〕 ポリプラスチック社製:ベクトラA950(前記した高
化式フローテスタ(島津製作所製)による流動温度が2
61℃であるもの) (4)炭素繊維 呉羽化学社製:M107T(平均繊維径18μm、アス
ペクト比38) (5)ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕 喜多村社製:KT400H (6)芳香族ポリアミド樹脂〔アラミド繊維〕 アクゾ社製:TWARON(平均繊維長0.25mm、
繊維径13〜14μm) 〔実施例1〜6、比較例1〜3〕上記した原材料1〜6
を表1または表2に示す割合で配合した後、ヘンシェル
ミキサーで充分に混合した後、二軸溶融押出機(池貝鉄
鋼社製:PCM−30型)に供給し、温度380〜40
0℃、スクリュー回転数100〜150rpmの条件で
直径2mmの孔を有するストランドダイから押し出して
ペレット状に造粒した。このペレットをノズル温度38
0〜400℃、金型温度180〜200℃、射出圧力1
500〜2000kgf/cm2 の射出成形機にかけ
て、図2に示すような渦巻状のシール部材1を射出成形
した。
【0053】また、上記した成形条件と全く同様にし
て、試験片を作成し、これを用いて摩擦係数、摩耗量ま
たは組成物の溶融流動性を以下の方法で測定した。
【0054】[摩擦係数および摩耗量]鈴木・松原式摩
擦摩耗試験機を用い、内径17mm、外径21mm、高
さ10mmのリング試験片を、圧力15kgf/c
2 、速度:128m/分の条件下において、ねずみ鋳
鉄(FC25)製の相手材に摺接させた。摩耗量は、試
験片の試験前後の高さの差(μm)を測定し、結果を表
1または表2中に併記した。
【0055】[流動性試験]射出成形機(住友重機社
製:プロマット)を用い、幅1.7mm、厚み1.5m
mの方形状断面を有するインボリュート曲線型の金型を
使用してスパイラルフロー試験を行ない、その流動長
(cm)を測定し、この結果を表1または表2中に併記
した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】表1および表2の結果からも明らかなよう
に、比較例1では比較的良好な耐摩耗性を示したが、流
動性が低い値であった。比較例2は、流動温度が300
℃以下の液晶ポリエステル樹脂であるため、耐熱性が低
く成形時に発泡が生じた。PEKを配合しなかった比較
例3では、耐薬品性(耐PAG性、耐代替フロン性)に
劣っていた。
【0059】このような比較例に対して、全ての配合条
件を満足する実施例1〜6は、試験片の摩耗量および摩
擦係数が小さく、また溶融流動性にも優れたものであっ
た。
【0060】〔実施例7、比較例4〜7〕原材料1と2
を表1または表2に示す割合で配合し、実施例1〜6と
全く同様にして試験片を形成し、以下の試験を行ない、
この結果を表1または2中に併記した。
【0061】[冷媒・冷凍機油に対する耐久性試験]試
験片をステンレス製の耐圧容器に収容し、ポリアルキレ
ングリコール(PAG、水分1重量%含有)を入れ、内
圧が180℃にて30kgf/cm2 となるように代替
フロンであるCH2 F−CF3 (1,1,1,2−テト
ラフルオロエチレン)を圧入し、そのまま180℃で5
00時間静置した。その後、曲げ試験を実施し、試験前
の曲げ強度を100とする曲げ強度保持率で評価し、結
果を表1または表2中に併記した。
【0062】この試験結果からは、PEKの配合割合が
所定量以上(実施例7、または比較例4)でなければ、
組成物が充分な耐薬品性(耐PAG性、耐代替フロン
性)を発揮できないことがわかる。
【0063】
【効果】この発明は、以上説明したように、ポリエーテ
ルケトン樹脂に所定の物性を有する液晶ポリエステル樹
脂を配合したことにより、低摩擦係数であるという摺動
特性に加えて、溶融成形時における良好な流動性および
1,1,1,2−テトラフルオロエチレンなどの代替フ
ロンガスやPAG系の潤滑油に耐性を有するという条件
を全て兼ね備えたスクロール型コンプレッサ用シール部
材となる利点がある。
【0064】またはポリエーテルケトン樹脂に所定の物
性を有する液晶ポリエステル樹脂を配合すると共に、フ
ッ素樹脂を配合したものでは極めて低摩擦係数であり、
この場合においてさらに炭素繊維を所定の配合割合で添
加したものでは、前記した溶融流動性を阻害することな
く、耐クリープ性と共に耐摩耗性に極めて優れたスクロ
ール型コンプレッサ用シール部材となる利点がある。
【0065】そして、芳香族ポリアミド樹脂を添加した
ものでは、前記した溶融流動性を阻害することなく、耐
摩耗性はより向上する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクロール型コンプレッサのスクロール部材を
示す斜視図
【図2】実施例を示す斜視図
【図3】図1の要部縦断面図
【図4】一対のスクロール部材を組み合わせた状態の断
面図
【符号の説明】
1、1´ シール部材 3 基板 4 渦巻き壁 5、5´ スクロール部材 6 溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 71/10 LQK C08L 71/10 LQK 77/10 LQT 77/10 LQT C09K 3/10 C09K 3/10 Z F04C 18/02 311 F04C 18/02 311S 311T 27/00 321 27/00 321 F16J 15/16 F16J 15/16 Z // B29K 71:00 (72)発明者 野村 秀夫 茨城県つくば市梅園2丁目13−1−2− 203 (72)発明者 小林 忠康 茨城県つくば市二の宮1丁目12−19−206

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエーテルケトン樹脂60〜95重量
    %と下記の方法で求めた流動温度が300℃以上の液晶
    ポリエステル樹脂40〜5重量%を含む樹脂組成物から
    なるスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物。 記 流動温度は4℃/分の昇温速度で加熱された樹脂を荷重
    100kgf/cm2のもとで、内径1mm、長さ10
    mmのノズルから押し出すときに、溶融粘度が4800
    0ポイズを示す温度である。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のスクロール型コンプレッ
    サ用シール部材組成物90〜45重量%に対して、フッ
    素樹脂5〜20重量%、炭素繊維5〜25重量%を添加
    したことを特徴とするスクロール型コンプレッサ用シー
    ル部材組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のスクロール型コンプレッ
    サ用シール部材組成物90〜45重量%に対して、フッ
    素樹脂5〜20重量%、炭素繊維5〜25重量%、芳香
    族ポリアミド樹脂10重量%以下を添加したことを特徴
    とするスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物。
  4. 【請求項4】 前記ポリエーテルケトン樹脂が下記の化
    1式で表わされる繰り返し単位からなる構造であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスク
    ロール型コンプレッサ用シール部材組成物。 【化1】
  5. 【請求項5】 前記液晶ポリエステル樹脂が下記の化2
    の式(A)、(B)および(C)で表わされる繰り返し
    構造単位を含む化合物である請求項1〜4のいずれか1
    項に記載のスクロール型コンプレッサ用シール部材組成
    物。 【化2】 (式中、nは0または1であり、(A):(B)のモル
    比は、1:1〜10:1の範囲にあり、(B):(C)
    のモル比は、9:10〜10:9の範囲にある。また、
    式(B),(C)中の芳香族の置換基は互いにパラまた
    はメタの位置にある。)
  6. 【請求項6】 前記スクロール型コンプレッサーが、冷
    媒として1,1,1,2−テトラフルオロエチレンを使
    用し、潤滑油としてポリアルキレングリコールを使用す
    るものである請求項1〜5のいずれか1項に記載のスク
    ロール型コンプレッサ用シール部材組成物。
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