JP3576253B2 - スクロール型コンプレッサ用シール部材組成物 - Google Patents

スクロール型コンプレッサ用シール部材組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、スクロール型コンプレッサの摺動面を気密化するために用いるスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なスクロール型コンプレッサの構造を図1〜4に基づいて説明する。
図1に示すように、スクロール型コンプレッサは、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの軽金属製の基板3の片面に同材料製の渦巻き壁4を直立するように形成し、渦巻き壁4の上端面2の長手方向には溝6(図3参照)を形成し、溝6に四フッ化エチレン樹脂(以下、PTFEと略記する)などの潤滑性樹脂からなる渦巻き線形シール部材1(図2参照)を組み付けた一対のスクロール部材5を有する。
【0003】
そして、図4に示すように、一方のスクロール部材と、これと渦巻き方向が逆向きの渦巻き壁を有する他方のスクロール部材(図示せず)を、その渦巻き壁相互を偏心状態にかみ合わせた状態で動作させるとき、一対のスクロール部材は、それぞれの軸周りに相対的に公転運動を行なうので、渦巻き壁4の間に形成される密閉空間が中心方向に移動して空間内の流体は圧縮され、流体は中心部から吐出されるのである。
【0004】
そのような動作時において、一対のスクロール部材5、5´のシール部材1、1´は、相互に他のスクロール部材5´、5 の渦巻き壁の底に摺接し、これにより渦巻き壁4の間を通過する流体をシールしている。
【0005】
前記したようなPTFEを主要成分としたシール部材1は、射出成形が不可能であるので生産性が悪く、また耐クリープ性にも劣るので、近年では射出成形可能な潤滑性樹脂材料からなるシール部材が開発されている。
【0006】
本願の発明者らが出願し、特開昭62−223488号公報で開示された射出成形可能なスクロール型コンプレッサのシール部材は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂を主成分とし、PTFEおよび射出成形可能な含フッ素樹脂を添加したものである。同発明者らの出願による特開昭63−158362号公報で開示されたものは、芳香族ポリエーテルケトン樹脂を主成分とし、いずれも射出成形が可能であって潤滑性、耐クリープ性の点でも優れたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来のシール部材用組成物は、射出成形時に必要とされる溶融状態での流動性が充分に良好でないという問題点がある。
【0008】
シール部材用組成物の溶融状態における流動性に起因する不具合について具体的にみると、流動性不良の成形用樹脂では、渦巻き壁の長手方向に略同じ長さで(通常、20〜60cm)、線状にシール部材を射出成形する際に、金型のシール部材の全長(展開長さ)の中間位置にゲート口を設けなければ端部まで均等に充填できない。
【0009】
このようにして、中間位置にゲート口を配置して射出成形されたシール部材は、成形後、側面に突出したゲート部分を後加工にて取り除く必要がある。このため、スクロール型コンプレッサー用シール部材の生産効率は悪く、すなわち低コスト化の要請に応えることができず、また後加工の方法の技能的良否によってゲート部分の成形寸法精度が安定しないので、シール性能の安定した製品が得られない場合もある。
【0010】
また、シール部材に所要の物性についてみると、シール部材は、スクロール型コンプレッサの運転時に加熱され、その状態でフロンガスなどの冷媒や各種添加剤を含有した潤滑油に接するので、物性の劣化が起こり易く、本来の耐摩耗性(長寿命)が長時間安定して発揮できないという問題点もある。
【0011】
特に、近年の地球環境擁護の要求に応じて、いわゆる特定フロンから環境破壊性のない代替フロンとして、1,1,1,2−テトラフルオロエチレン(フロンR134a)などが採用されるようになってきたが、これを熱媒体(冷媒)として用いるコンプレッサーに使用される潤滑油も従来の鉱油を基油とするスニソオイルから、ポリアルキレングリコール(以下、PAGと略記する。)系の潤滑油が採用されるようになってきた。
【0012】
ところが、PAG系の潤滑油は、通常、極圧剤などの添加剤を含んで調製されており、またPAGは吸湿性があるから、高温でシール部材に接するというスクロール型コンプレッサーの通常の使用条件でシール部材を加水分解するという問題点が生ずる。
【0013】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して低摩擦係数であるという本来所要の摺動特性に加えて、溶融成形時における良好な流動性および1,1,1,2−テトラフルオロエチレンなどの代替フロンガスやPAG系の潤滑油に充分な耐性を有するという条件を全て兼ね備えたスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物とすることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明においては、スクロール型コンプレッサ用シール材組成物を、ポリエーテルケトン樹脂60〜95重量%と下記の方法で求めた流動温度が300℃以上の液晶ポリエステル樹脂40〜5重量%を含むものとしたのである。
【0015】
上記流動温度は、4℃/分の昇温速度で加熱された樹脂を荷重100kgf/cmのもとで、内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出すときに、溶融粘度が48000ポイズを示す温度である。
【0016】
また、前記のスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物90〜45重量%に対して、フッ素樹脂5〜20重量%、炭素繊維5〜25重量%を添加したのである。
【0017】
また、前記のスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物90〜45重量%に対して、フッ素樹脂5〜20重量%、炭素繊維5〜25重量%、芳香族ポリアミド樹脂10重量%以下を添加したのである。
【0018】
以下に、その詳細を述べる。
この発明に用いるポリエーテルケトン樹脂とは、フェニルケトン構造とフェニルエーテル構造を主構造として併せもつ樹脂である。ポリエーテルケトンの構造としては、例えば下記の化3の式で示されるものを例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0019】
【化3】
Figure 0003576253
【0020】
耐熱性、機械的物性、加工性のバランスから、特に好ましいポリエーテルケトンは、上式(D)で表わされる繰り返し構造単位のものであり、市販品としてはVictrex PEEK(VICTREX社製)が挙げられる。特に、この発明に用いるポリエーテルケトン樹脂としては、分子量の低いVictrex PEEK 150Pが好ましい。
【0021】
次に、この発明に用いる液晶ポリエステル樹脂は、異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体から合成されるか、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールあるいはこれらのエステル形成性誘導体から合成され、含有する繰り返し構造単位(A)、(B)、(C)として次に示すものを例示できる。
【0022】
(A)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
【0023】
【化4】
Figure 0003576253
【0024】
(B)芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
【0025】
【化5】
Figure 0003576253
【0026】
【化6】
Figure 0003576253
【0027】
(C)芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単位:
【0028】
【化7】
Figure 0003576253
【0029】
【化8】
Figure 0003576253
【0030】
また、スクロール型コンプレッサのシール部材としての耐熱性、機械的特性、加工性のバランスが取れたものであって、より好ましい液晶ポリエステル樹脂は、前記した化2の式に示される(A)、(B)および(C)で表わされる繰り返し構造単位からなるものである。
【0031】
このような液晶ポリエステル樹脂の配合割合は、全組成物量の5〜40重量%である。5重量%未満では、組成物の溶融粘度が高くなく、溶融成形時の流動性を改善するという初期の目的が達成できない。また、40重量%を越えて多量に配合すると、PAGに対する耐薬品性が低下してその目的を達成できないからである。
【0032】
液晶ポリエステル樹脂の流動温度は、前記したような所定の条件において測定されたものであり、いわゆる高化式フローテスタを用いて測定することができる。
【0033】
次に、この発明に用いるフッ素樹脂は、シール部材組成物に低摩擦係数で非粘着性特性を導入するものであって、コンプレッサの設計性能に応じて適当な摩擦係数となる周知のフッ素樹脂を採用することができる。この発明に採用可能なフッ素樹脂の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(以下、PTFEと略記する。)、ポリテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリトリクロロフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などが挙げられる。このうち、最も低摩擦係数であるPTFEが最も好ましいのであるが、その形態は平均粒径が20μm以下の滑剤級の粉末が好ましい。
【0034】
平均粒径が20μm以下で滑剤級の粉末PTFEの市販品としては、英国のアイ・シー・アイ社製:フルオン(商標)L169、同L170、同L171、ダイキン工業社製:ルブロン(商標)、L−2、同LD−1、デュポン社製:テフロン(商標)、TLP−10、同TLP−10F−1等を挙げることができる。
【0035】
なお、シール部材組成物に良好な溶融粘度を維持させるためには、未成形のPTFEよりも一度焼成したPTFEを粉砕した再生PTFEを用いることが、繊維状化し難い点で好ましい。また、再生PTFEに代え、もしくは再生PTFEと共に、未成形のPTFEにγ線照射処理してこれを低分子量化したPTFE粉末を用いることができる。γ線照射処理した市販の潤滑剤用PTFEとしては、喜多村社製:KT400Hを例示することができる。
【0036】
上記したフッ素樹脂の配合割合は5〜20重量%である。フッ素樹脂の配合割合が5重量%未満の少量では、シール部材用組成物の潤滑性が不充分となって好ましくなく、逆に20重量%を越える多量では、所期した溶融流動性が得られず、分散性、相溶性が低下して均質な組成物が得られにくいといった問題が生じるからである。
【0037】
この発明に用いる炭素繊維は、平均繊維径が好ましくは1〜20μm、より好ましくは10〜18μmであり、かつアスペクト比が1〜80、より好ましくは5〜50のものが好ましい。
【0038】
なぜなら、炭素繊維の平均繊維径が1μm未満の細径では繊維間の凝集する現象が見られて組成物中に均一分散し難くなり、20μmを越える太径のものでは、摺動時にアルミニウム合金製の相手材を摩耗する。また、アスペクト比が1未満のものでは、マトリックス自体の補強効果が損なわれて機械的特性が低下し、逆にアスペクト比が80を越えると、混合時の均一分散が極めて困難となって、耐摩耗性が充分に改善されずに品質低下を招くことになるからである。
【0039】
このような炭素繊維の配合割合は、5〜25重量%であり、好ましくは10〜20重量%である。なぜなら、5重量%未満の少量では、耐摩耗性の改善効果がほとんどなく、25重量%を越える多量では、溶融流動性が著しく低下して良好な成形品が得られないからである。10〜20重量%であれば、組成物の耐摩耗性の改善、および溶融流動性の非阻害性において最も好ましい結果が得られる。
【0040】
この発明に用いる芳香族ポリアミド樹脂は、例えば下記の化9の式で示される一般式(メタ系またはパラ系)を繰り返し単位とする公知の樹脂からなり、このような樹脂のうちメタ系の分子構造を有する芳香族ポリアミド樹脂の代表例として、米国デュポン社製:ノーメックス(紙状)、帝人社製:コーネックスが挙げられ、パラ系の分子構造を有する樹脂の代表例として米国デュポン社製:ケブラー(繊維状)、帝人社製:テクノーラがある。
【0041】
【化9】
Figure 0003576253
【0042】
芳香族ポリアミド樹脂の形態としては、繊維長0.2〜1mmであり、繊維径10〜15μmの繊維が好ましい。なぜなら、上記範囲未満では均一に分散させるのに非常な時間とエネルギーを要し、分散系の流動特性が悪くなるからであり、上記範囲を越えると、マトリックス中で分散状態が悪く、機械的強度、耐摩耗性が劣ることとなって好ましくないからである。
【0043】
このような条件を満足する市販の芳香族ポリアミド樹脂としては、アクゾ社製:トワロン(TWARON;パラ系、繊維長0.25mm、繊維径13μm)がある。
【0044】
このような芳香族ポリアミド樹脂のシール部材組成物への配合割合は、0〜10重量%、すなわち10重量%以下である。芳香族ポリアミド樹脂を添加することによって、シール部材組成物の耐摩耗性がさらに改善され、10重量%を越える多量では溶融成形時の流動性を阻害するからである。このような傾向から、芳香族ポリアミド樹脂のより好ましい配合割合は、3〜8重量%である。
【0045】
なお、上記以外の添加剤として、この発明の効果を阻害しない範囲内で、例えば自己潤滑性、機械的強度、熱安定性などの向上、または着色などの目的で固体潤滑剤、増量剤、充填剤または顔料などであって、300℃以上でも熱安定性のあるもの、または液晶ホモポリマーのように液晶コポリマーと相性のよいものを適宜混合してもよい。
【0046】
【作用】
この発明に係るスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物は、ポリエーテルケトン樹脂に所定の液晶ポリエステル樹脂を所定の割合で配合したことにより、液晶ポリエステル樹脂を配合しないポリエーテルケトン樹脂に比べて約1.5〜2.5倍の溶融流動性のあるものとなる。
【0047】
また、この組成物はポリエーテルケトン樹脂と所定の液晶ポリエステル樹脂との併用によって、高温時における剛性および機械的強度が増強されたものとなり、1,1,1,2−テトラフルオロエチレンなどの代替フロンガスやPAG系の潤滑油に対する耐性もある。
【0048】
このような組成物に対して、さらにフッ素樹脂を配合したものは極めて低摩擦係数を示し、また炭素繊維を所定の配合割合で添加しているので、前記した溶融流動性を阻害することなく、耐クリープ性と共に耐摩耗性に極めて優れたものとなる。
【0049】
上記組成物に対して、さらに芳香族ポリアミド樹脂を添加したものでは、前記した溶融流動性を阻害することなく、耐摩耗性がさらに改善されたものとなる。
【0050】
このようにシール部材用組成物は、所定の成分を所定の割合で配合したことにより、シール部材の所定の使用条件で、代替フロンガスおよびPAG系の潤滑油に対する耐性に優れたものとなり、かつ優れた耐摩耗性を兼ね備えたシール部材用組成物となる。
【0051】
【実施例】
実施例および比較例に用いた原材料を一括して示すと次の通りである。なお、括弧〔 〕内に略称を示した。なお、(A)、(B)、(B)(C)は前記した液晶ポリエステル樹脂の繰り返し単位を示し、溶融粘度は、全て前記した所定の方法によって測定した。
【0052】
(1)ポリエーテルケトン樹脂〔PEK〕
ビクトレックス社製:Victrex PEEK 150P
(2)液晶ポリエステル樹脂〔LCP−1〕
構成成分(モル%)がA:B:B:C=60:15:5:20であり、前記した高化式フローテスタ(島津製作所製)による流動温度が323℃であるもの
(3)液晶ポリエステル樹脂〔LCP−2〕
ポリプラスチック社製:ベクトラA950(前記した高化式フローテスタ(島津製作所製)による流動温度が261℃であるもの)
(4)炭素繊維
呉羽化学社製:M107T(平均繊維径18μm、アスペクト比38)
(5)ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕
喜多村社製:KT400H
(6)芳香族ポリアミド樹脂〔アラミド繊維〕
アクゾ社製:TWARON(平均繊維長0.25mm、繊維径13〜14μm)
〔実施例1〜6、比較例1〜3〕
上記した原材料1〜6を表1または表2に示す割合で配合した後、ヘンシェルミキサーで充分に混合した後、二軸溶融押出機(池貝鉄鋼社製:PCM−30型)に供給し、温度380〜400℃、スクリュー回転数100〜150rpmの条件で直径2mmの孔を有するストランドダイから押し出してペレット状に造粒した。このペレットをノズル温度380〜400℃、金型温度180〜200℃、射出圧力1500〜2000kgf/cmの射出成形機にかけて、図2に示すような渦巻状のシール部材1を射出成形した。
【0053】
また、上記した成形条件と全く同様にして、試験片を作成し、これを用いて摩擦係数、摩耗量または組成物の溶融流動性を以下の方法で測定した。
【0054】
[摩擦係数および摩耗量]
鈴木・松原式摩擦摩耗試験機を用い、内径17mm、外径21mm、高さ10mmのリング試験片を、圧力15kgf/cm、速度:128m/分の条件下において、ねずみ鋳鉄(FC25)製の相手材に摺接させた。摩耗量は、試験片の試験前後の高さの差(μm)を測定し、結果を表1または表2中に併記した。
【0055】
[流動性試験]
射出成形機(住友重機社製:プロマット)を用い、幅1.7mm、厚み1.5mmの方形状断面を有するインボリュート曲線型の金型を使用してスパイラルフロー試験を行ない、その流動長(cm)を測定し、この結果を表1または表2中に併記した。
【0056】
【表1】
Figure 0003576253
【0057】
【表2】
Figure 0003576253
【0058】
表1および表2の結果からも明らかなように、比較例1では比較的良好な耐摩耗性を示したが、流動性が低い値であった。比較例2は、流動温度が300℃以下の液晶ポリエステル樹脂であるため、耐熱性が低く成形時に発泡が生じた。PEKを配合しなかった比較例3では、耐薬品性(耐PAG性、耐代替フロン性)に劣っていた。
【0059】
このような比較例に対して、全ての配合条件を満足する実施例1〜6は、試験片の摩耗量および摩擦係数が小さく、また溶融流動性にも優れたものであった。
【0060】
〔実施例7、比較例4〜7〕
原材料1と2を表1または表2に示す割合で配合し、実施例1〜6と全く同様にして試験片を形成し、以下の試験を行ない、この結果を表1または2中に併記した。
【0061】
[冷媒・冷凍機油に対する耐久性試験]
試験片をステンレス製の耐圧容器に収容し、ポリアルキレングリコール(PAG、水分1重量%含有)を入れ、内圧が180℃にて30kgf/cmとなるように代替フロンであるCHF−CF(1,1,1,2−テトラフルオロエチレン)を圧入し、そのまま180℃で500時間静置した。その後、曲げ試験を実施し、試験前の曲げ強度を100とする曲げ強度保持率で評価し、結果を表1または表2中に併記した。
【0062】
この試験結果からは、PEKの配合割合が所定量以上(実施例7、または比較例4)でなければ、組成物が充分な耐薬品性(耐PAG性、耐代替フロン性)を発揮できないことがわかる。
【0063】
【効果】
この発明は、以上説明したように、ポリエーテルケトン樹脂に所定の物性を有する液晶ポリエステル樹脂を配合したことにより、低摩擦係数であるという摺動特性に加えて、溶融成形時における良好な流動性および1,1,1,2−テトラフルオロエチレンなどの代替フロンガスやPAG系の潤滑油に耐性を有するという条件を全て兼ね備えたスクロール型コンプレッサ用シール部材となる利点がある。
【0064】
またはポリエーテルケトン樹脂に所定の物性を有する液晶ポリエステル樹脂を配合すると共に、フッ素樹脂を配合したものでは極めて低摩擦係数であり、この場合においてさらに炭素繊維を所定の配合割合で添加したものでは、前記した溶融流動性を阻害することなく、耐クリープ性と共に耐摩耗性に極めて優れたスクロール型コンプレッサ用シール部材となる利点がある。
【0065】
そして、芳香族ポリアミド樹脂を添加したものでは、前記した溶融流動性を阻害することなく、耐摩耗性はより向上する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクロール型コンプレッサのスクロール部材を示す斜視図
【図2】実施例を示す斜視図
【図3】図1の要部縦断面図
【図4】一対のスクロール部材を組み合わせた状態の断面図
【符号の説明】
1、1´ シール部材
3 基板
4 渦巻き壁
5、5´ スクロール部材
6 溝

Claims (6)

  1. ポリエーテルケトン樹脂60〜95重量%と下記の方法で求めた流動温度が300℃以上の液晶ポリエステル樹脂40〜5重量%を含む樹脂組成物からなるスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物。

    流動温度は4℃/分の昇温速度で加熱された樹脂を荷重100kgf/cmのもとで、内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出すときに、溶融粘度が48000ポイズを示す温度である。
  2. 請求項1記載のスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物90〜45重量%に対して、フッ素樹脂5〜20重量%、炭素繊維5〜25重量%を添加したことを特徴とするスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物。
  3. 請求項1記載のスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物90〜45重量%に対して、フッ素樹脂5〜20重量%、炭素繊維5〜25重量%、芳香族ポリアミド樹脂10重量%以下を添加したことを特徴とするスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物。
  4. 前記ポリエーテルケトン樹脂が下記の化1式で表わされる繰り返し単位からなる構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物。
    Figure 0003576253
  5. 前記液晶ポリエステル樹脂が下記の化2の式(A)、(B)および(C)で表わされる繰り返し構造単位を含む化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物。
    Figure 0003576253
    (式中、nは0または1であり、(A):(B)のモル比は、1:1〜10:1の範囲にあり、(B):(C)のモル比は、9:10〜10:9の範囲にある。また、式(B),(C)中の芳香族の置換基は互いにパラまたはメタの位置にある。)
  6. 前記スクロール型コンプレッサーが、冷媒として1,1,1,2−テトラフルオロエチレンを使用し、潤滑油としてポリアルキレングリコールを使用するものである請求項1〜5のいずれか1項に記載のスクロール型コンプレッサ用シール部材組成物。
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