JPH09100919A - シールリング - Google Patents

シールリング

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JPH09100919A
JPH09100919A JP8136496A JP13649696A JPH09100919A JP H09100919 A JPH09100919 A JP H09100919A JP 8136496 A JP8136496 A JP 8136496A JP 13649696 A JP13649696 A JP 13649696A JP H09100919 A JPH09100919 A JP H09100919A
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JP
Japan
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seal ring
fiber
gap
ring
outer diameter
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JP8136496A
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Inventor
Kozo Kakehi
幸三 筧
Jiro Matsumoto
二郎 松本
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シールリングの両側シール面のシール性を損
うことなく、シール対象液の潤滑膜をその全面に形成し
て耐摩耗性を向上させる。 【構成】 シールリング20の両側シール面21に、そ
の内外周側に貫通し、かつシール性を損わない程度の微
小な潤滑溝22を形成し、その潤滑溝22からリークす
るシール対象液でシール面21を潤滑する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、シールリングに関
し、主として自動車の自動変速機等の作動油を密封する
ために用いられる耐熱性合成重合体のオイルシールリン
グに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8に示すように、一般にシールリング
1は軸2の周溝3に装着され、シールリング1の外周シ
ール面をシリンダ4の内周面4’に押圧することにより
シールすると共に、両側シール面の一方のシール面5を
周溝3の内壁に押圧することにより周溝3をシールす
る。
【0003】軸2が回転する装置の場合は、シール面5
と周溝3の内壁との間に摺動摩擦抵抗と摩耗が発生する
ため、これらを低減する目的で図9及び図10に示すご
ときシールリング1を使用することが提案されている
(実開平3−88062号公報参照)。
【0004】これらのシールリング1は、シール面5に
潤滑溝6、7を形成したものであり、その潤滑溝6、7
にシール対象液を導入することによりシール面5に潤滑
膜を形成するようにしたものである。また、図16に示
されるようなストレートカット、またアングルカット型
の合い口形状のシールリングは、仕様や条件にもよる
が、リーク量が最大約300〜600cc/min以上
となることもある。
【0005】そしてまた、アングルカット合い口形状の
シールリングでは、使用時に低温から高温へ周囲温度が
変化した場合、シールリングの熱膨張により合い口量が
変化して、シールのリーク量が不安定となることもあっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
潤滑溝6、7はシール面5のシール性を損わないように
するため、シール面5の内周側は開放されているが、外
周側は閉塞されている。このため、シール面5の外周部
分はその全周面にわたり周壁3の内面と密着するので、
潤滑膜が形成され難い。その結果、軸2がアルミニウム
合金等の軟質材ではシールリング1と軸2との間の相対
回転によりシール面5に摩耗が生じたり、或いは軸2が
アルミニウム等の耐摩耗性の低い材料である場合は周壁
3の内面、例えばシール面5を摩耗させることがあっ
た。
【0007】そこで、この発明はシールリングのシール
性を維持しつつ潤滑膜がシール面の全面に生じるように
することにより、シールリング自体或いは相手部材の耐
摩耗性を向上させることを第1の目的とする。
【0008】一方、従来のシールリング1の断面形状は
全体として正方形又は長方形でありこのようなシールリ
ング1を合成樹脂により成形する場合は、金型8の合せ
面9は、シールリング1の一方の側面10と外周面11
との間のコーナ部分(即ち外周面11の一方の端)に設
定される。このように設定すると、成形時のバリ12
が、側面10及び外周面11のいずれからも外れた位置
に生じ、かつその生じる位置がコーナ部分であるので、
バリ12が除去されやすいこと等を考慮したものであ
る。
【0009】しかしながら、前述の第1の目的を達成す
るために、シール面の全面に潤滑膜を生じさせるべく、
内外に貫通した潤滑溝19を形成した場合に、これを上
記のごとき金型8で射出成形すると、バリ12が該潤滑
溝19を閉塞するためその目的を達成するシールリング
を得ることができない。
【0010】そこで、この発明は、合成樹脂製のシール
リングにおいて、成形時のバリによって影響を受けるこ
となく、シール面の全面に潤滑膜を生じさせることがで
きるシールリングを提供することを第2の目的とする。
【0011】また、低温時、高温時とも安定したリーク
量のシールリングを提供することを第3の目的とする。
【0012】そしてまた、良好な摺動特性を有する摺動
材料のシールリングを提供することを第4の目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明は前記の第1の
目的を達成するために、リング両側面にシール面を形成
してなるシールリングにおいて、上記シール面にシール
性を損わない範囲の微小な潤滑溝を、その内周から外周
に貫通状に設けた構成を採用したものである。
【0014】上記の構成によると、シール対象液が潤滑
溝をリークするため、相手部材との相対回転によりシー
ル面の全幅にわたる潤滑膜が形成される一方、リーク量
はわずかであるのでシールリング本来の機能は維持され
る。
【0015】また、第2の目的を達成するために、この
発明はリング両側面と外周面との間、及びリング両側面
と内周面との間に、それぞれ前記潤滑溝の深さより大き
い段差部を設けた構成を採用した。
【0016】上記の構成によると、バリは段差部の高さ
分だけ潤滑溝から離れた位置に生じるため、潤滑溝がバ
リにより閉塞されることが避けられる。
【0017】さらに、第3の目的を達成するために、矩
形断面を有するシールリングの相対する合い口からなる
合い口部において、上記合い口は、上記矩形断面の4辺
のうちそれぞれ相対する2辺の中心部を結んで4つの矩
形断面部分に分割するとき、上記シールリングの外径面
側に有する2つの矩形断面部分の一方の矩形断面部分に
突起を設け、上記外径面側の2つの矩形断面部分の他方
の矩形断面部分に上記突起受け入れる切欠部を設け、上
記相対する一方の合い口の上記突起を嵌合する位置に他
方の合い口の上記切欠部を形成したのである。
【0018】また、上記突起の先端面と上記突起と相対
向する切欠部の段差面との間にシール性を損なわない範
囲の間隔を設けたのである。
【0019】さらに、上記それぞれの合い口の上記シー
ルリングの内径面側の上記2つの矩形断面部分からなる
突き合わせ面は、互いに平行であり、上記相対する合い
口を突き合わせたとき、一方の合い口の突き合わせ面と
他方の合い口の突き合わせ面は、シール性を損なわない
範囲の間隙を設けたのである、さらにまた、上記シール
リングの外径面側であって、上記突起部の先端面と上記
突起と相対向する切欠部の段差面との間の外径面側間隙
と、上記シールリングの内径面側であって、上記一方合
い口の突き合わせ面と他方の合い口の突き合わせ面の間
の内径面側間隙とは、等しいか、あるいは、上記外径面
側間隙間隙は上記内径面側間隙よりも長い間隙としたの
である。
【0020】所定の合い口係合部を形成したので、シー
ル性を維持することができる。また、所定の間隔を設け
たので、合い口を不用意に閉じても、外周面突起に無理
な力がかからず、欠損を防止することができる。
【0021】さらにまた、第4の目的を達成するため
に、熱可塑性芳香族系耐熱合成重合体90〜50重量
%、強化ファイバ10〜50重量%を含有する樹脂組成
物としたのである。
【0022】
【発明の実施の形態】耐熱性合成重合体からなる組成物
を成形して得られる上記油中摺動材を用いたオイルシー
ルリングについて説明する。
【0023】まず、合い口を有し、その両者の間に半径
方向の重なりのない形状にシールリングを射出成形して
成形品を得るのであるが、その方法は、通常の方法を用
いることにより得られる。得られたシールリングは、図
11に示すように、一部に相対向した合い口105の間
に隙間を有しており、このシールリング104は、シー
ルリング104の全長の中央から若干ずらせた(±10
°〜±30°程度)位置に材料注入位置106であるゲ
ート107を有する金型から射出成形することにより得
られている。
【0024】これは、シールリングを相手部材のシール
溝に組付ける際の応力が全長の中央に集中するので、ゲ
ート部に応力が集中するのを避けるため、注入位置10
6をその中央から若干ずれた位置に配置するのである。
特に、合い口形状がステップカット形状を有するシール
リングにおいて、ゲート位置をシールリングの全長の中
央から±10°〜±30°程度ずれせば、成形後の熱固
定やシールリングのピストンへの組み込み時にステップ
カットの突起部長さだけより多く広げたり閉じたりする
ことがあっても、ゲート部分に大きな力が加わることを
緩和できる。
【0025】具体的には、応力集中をさけるため、シー
ルリングの全長のほぼ中央部両端の±1°の範囲をさ
け、±1〜±30°、好ましくは±3〜±30°、更に
好ましくは±10〜±30°の範囲に注入位置、または
ゲート位置を設ければよい。また、注入位置、ゲート位
置は、機械的強度が弱くなるウェルド部分を無くすた
め、各図のように1ヶ所のみとすることが好ましい。
【0026】このようなシールリングはリング外径が2
5mm以上、好ましくは30mm以上、又はこれらの外
径寸法を越える値(上限値は特に限定しないが200m
m以下、好ましくは100mm以下)でリング断面の肉
厚、幅とも3mm以内、好ましくは2.5mm以内、
(下限値は特に限定しないが1mm以上、好ましくは
1.5mm以上)のような展開長さが長く、肉厚、幅寸
法とも小さい中径、大径のシールリングに好適である。
前記の樹脂材料は例えばポリアセタールと異なり溶融粘
度が高いので、このようなシールリングに本発明を適用
することで、従来の問題を解決できる。
【0027】上記の射出成形後、次に、図12に示すご
とき、合成樹脂製又はゴム製の円柱体102及びリング
ゲージ103とからなる治具を用い、上記の方法で得ら
れる射出成形品101をリングゲージ103の内径面に
挿入し、その射出成形品101の内側に円柱体102を
挿入する。上記の円柱体102を構成する樹脂はリング
ゲージ103より熱膨張率の大きい物質、例えばリング
ゲージ103より熱膨張率の大きい樹脂又はエラストマ
ー等の重合物質等であり、加熱した際の熱膨張により成
形品101の内側から強制力を加える。エラストマー系
重合体の場合、ゴム硬度(Hs)が約60〜100程
度、好ましくは65〜90程度であれば、良好な弾性強
制力が得られ好ましいと考えられる。ゴム硬度が高すぎ
ると硬すぎるため、射出成形品101の内側に円柱体1
02を挿入しづらく、ゴム硬度が低すぎると柔らかすぎ
るため、適度な弾性強制力が得られにくい。
【0028】次に、上記の治具全体を電気炉等に入れ、
射出成形品101のベース樹脂のガラス転移点以上の温
度になるよう加熱して、上記射出成形品1の熱固定を行
う。
【0029】このようにして得られたシールリングをそ
のまま用いることができるが、角部の摺動時における引
っ掛かり等の問題を有する場合があり、また、潤滑剤の
供給が問題となる場合がある。このような場合、必要に
応じて、角部に面取りを行ったり、段差部を設けたり、
潤滑用の溝を設けてもよい。そのようなものを設けた例
を図13に示す。図13(a)〜(f)は、本発明の複
雑な形状の合い口119の構造を有するシールリング1
10である。合い口119の形状は、その目的に応じ
て、所望の形状をとることができる。そのリング110
の一方の側面のシール面111にはほぼ3等分位置に内
周側から外周側に貫通した潤滑溝112が形成され、ま
た他方の側面のシール面121にも、若干位置をずらせ
て同様の潤滑溝112が形成されている。
【0030】これらの潤滑溝112は深さ0.1mm程
度、幅0.1mm程度の微細なものであり、図示のよう
に1〜5箇所、好ましくは1〜3箇所程度設けてもシー
ル性を損わない。また潤滑溝112のシール面111側
の開口端には、面取り部113が施される。
【0031】また、上記潤滑溝112は、図13(c)
に示すように台形が好ましく、シール面111と潤滑溝
112との境界におけるシール面111と潤滑溝112
の面とのなす角度θが鈍角、すなわち、90°を越えて
180°未満がよく、仕様等により、90°を越え12
0°未満、また120°〜135°が好ましい。また、
上記角度θを調整することにより、任意の潤滑溝112
の開口端の面積を得ることができ、金型を用いたときに
生成するバリをバレル処理で容易に取り除くことができ
る。
【0032】この潤滑溝112を潤滑剤を通って、シー
ル性を損なわない程度にリング側面のシール面を内外方
向にリークするため、相手材との相対回転によりシール
面の全幅にわたる潤滑膜が全周にわたって形成される。
このため、シール面全面にわたる潤滑性が改善され、耐
摩耗性が向上し、さらに、相手材を摩耗させない効果を
有する。また、周囲の潤滑剤が少なくなると潤滑剤が補
給され、円滑な回転が長期にわたって維持される。
【0033】上記潤滑溝112は、図13(a)のよう
にリング両側面111において1〜180°、好ましく
は3〜60°、更に好ましくは5〜30°の範囲にて位
置を互いにずらして形成すればよい。この角度が少なす
ぎると互いの溝が接近しあい、その部分の肉厚が減って
機械的強度に期待できず、大きすぎても他の潤滑溝や合
い口部分に干渉したりして好ましくない。
【0034】上記のシールリング110の断面形状は図
13(d)(e)に示すように、両側シール面111と
外周面114との間及び両側シール面111と内周面1
15との間にそれぞれ段差部116が設けられる。段差
部116は図13(f)に示すようにシール面111に
対する直角面117と、外周面114に対する直角面1
17’及びこれら両方の直角面117、117’間に形
成された傾斜面118とから成り、その段差部116の
高さhは、潤滑溝112の深さより高い。
【0035】上記の段差部116の高さhは特に限定し
ないが、シールリング110の矩形断面の半径方向の長
さ、または、軸方向長さのそれぞれ約5〜50%程度、
好ましくは、約5〜25%程度、更に好ましくは、約5
〜10%程度とし、シールリング110の片面又は両面
部に設けることが好ましい。具体的には、上記の段差部
116の高さhは、その下限値が0.05mmがよく、
0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。ま
た、その上限値は、0.5mmがよく、0.4mmが好
ましく、0.3mmがより好ましい。上記いずれの数値
範囲についても、下限値を超え、上限値未満の範囲に選
定してもよい。
【0036】上記の段差の高さhが少なすぎると、金型
の長期にわたる使用での可動型と固定型とのズレが比較
的短い周期で発生した時に、不具合を招来する可能性が
あり、多すぎると、シールリングのシール部分面積、い
わゆるシールランドが減少してしまうため、確実で、良
好な密封特性に期待できない。
【0037】ところで、合い口119の形状は、その目
的、使用場所等に応じて、いわゆるストレートカット
型、ステップカット型等のいずれを用いることができる
が、最も好ましくは、上記の各形状の合い口の形状より
ももっと複雑な形状、すなわち、本発明の図1、図13
の合い口部があげられる。以下に、まず図14の合い口
について説明する。
【0038】本発明の複雑な形状を有する合い口とし
て、図14(a)(b)(c)に1つの型を有する合い
口121、121’を示す。この合い口121、12
1’は外径面側突起122と外径面側段部127から成
り、両方の合い口121、121’の外径面側突起12
2と外径面側段部127、外径面側段部127と外径面
側突起122とが相補的に一定の間隙をおいて嵌合する
ものであり、更に詳細に説明すると次のとおりである。
【0039】矩形断面を有するシールリングの相対する
合い口121、121’からなる合い口部において、上
記合い口121、121’は、上記矩形断面の4辺のう
ちそれぞれ相対する2辺の中心部を結んで4つの矩形断
面部分に分割するとき、上記シールリングの外径面13
1側に有する2つの矩形断面部分の一方の矩形断面部分
(図14(c)の斜線部A)に突起122を設け、上記
外径面131側の2つの矩形断面部分の他方の矩形断面
部分に上記突起受け入れる切欠部、すなわち、外径面側
段部127を設けたのである。また、上記相対する一方
の合い口121の上記突起122を嵌合する位置に他方
の合い口121’の上記切欠部、すなわち、外径面側段
部127を形成し、上記合い口121及び121’を嵌
合できるようにしたのである。
【0040】また、上記突起122の先端面129と上
記突起122と相対向する切欠部、すなわち、外径面側
段部127の段差面128とは、接してもよいが、これ
らの間にシール性を損なわない範囲で間隔を有してもよ
い。この間隔を有することで、上記突起122の負荷を
抑えることができる。
【0041】さらに、矩形断面を有するシールリングの
相対する合い口121、121’からなる合い口部にお
いて、上記それぞれの合い口121、121’の上記シ
ールリングの内径面側の上記2つの矩形断面部分からな
る突き合わせ面130(図14(c)の斜線部B)は、
互いに平行であり、上記相対する合い口121、12
1’を突き合わせたとき、一方の合い口121の突き合
わせ面130と他方の合い口121’の突き合わせ面1
30は、シール性を損なわない範囲の間隙を有するよう
に、シールリングを成形、アニーリングするときに設け
ることができる。これにより、このシールリングの使用
時に潤滑溝として使用することができる。
【0042】さらにまた、矩形断面を有するシールリン
グの相対する合い口121、121’からなる合い口部
において、上記シールリングの外径面131側であっ
て、上記突起122の先端面と上記突起122と相対向
する切欠部すなわち、外径面側段部127の段差面12
8との間の外径面側間隙と、上記シールリングの内径面
側であって、上記一方合い口の突き合わせ面と他方の合
い口の突き合わせ面の間の内径面側間隙とは、等しい
か、あるいは、上記外径面側間隙間隙は上記内径面側間
隙よりも長い間隙としてもよい。このようにすると、上
記突起122の負荷を抑えることができる。
【0043】上記突出部の長さは、特に限定されない
が、シールリングの展開長さの0.01〜0.1倍の長
さであれば強度等の面から好ましい。このようにする
と、合い口部が重なり合ってもシールリングの肉厚より
も大きくなることがなく、合い口部分のみの片当たり等
の偏摩耗が発生することがない。
【0044】また、上記間隙の長さは、特に限定されな
いが、内径面側の間隙及び外径面側の間隙共、シールリ
ングの展開長さの0.001〜0.01倍の長さである
ことが好ましい。特に、外径面側の間隙は、摺動寸法の
基準に影響するので、上記範囲にすることがより好まし
い。
【0045】尚、一方の合い口121について、リング
本体から外径面側突起122が周方向に突き出す部分及
び外径面側段部127を形成する凹所が反対方向へ延び
出す部分の内径面側の先端の面を基準とし、この面を突
き合わせ面130と呼ぶことにすると、外径面側突起1
22は、その突き合わせ面130を左右両側に二分した
場合の一側面側、かつ内外(リング本体111の内径側
と外径側)に二分した場合の外径側に設けられ、その外
径面側突起122の外径面131は、リング本体の外面
と段差なく連続し、同じ曲率をもつように形成される。
【0046】また、突き合わせ面130を基準とした一
対の突起122の突出長さは、双方とも等しい長さの場
合は、シールリングのピストン等への組み込んだとき、
油圧側と排圧側とも上記突起122の突出長さが等しく
なる。よって、シールリングを方向性を配慮することな
く、効率よく、かつ、素早くピストン等へ組み込むこと
ができる。
【0047】また、外径面側段部127は、上記の突き
合わせ面130を同様に左右及び内外に二分した場合の
他の側面側かつ外径側に設けられ、その外径面側段部1
27の内面132は、リング本体の内径面と同じ曲率を
もつように形成される。
【0048】他方の合い口121’は、上記の合い口1
21と相補的な形態に形成され、両方の合い口121、
121’は一定の間隙をおいて相互に嵌合し、シールリ
ングはほぼ真円形をなす。
【0049】また、この合い口121、121’は、所
望に応じて、面取り部や、すみ肉を設けてもよい。面取
り部は、所定の曲率をもった円弧状のもの(アールとも
いう。)でもよいが、曲率0のもの、すなわち斜面によ
り面取り状のもの(チャンファーともいう。)であって
も差し支えない。このような面取り部は、例えば、連続
して曲率がさまざまに変化するような形状をとることが
できる。面取り部やすみ肉を設けることにより、合い口
121、121’同士、または、合い口と相手材との間
の突出量が零となるか、又は少なくなるので、局部的接
触を防止することができる。
【0050】合い口121、121’に設けることので
きる面取り部、すみ肉としては、次のものがあげられ
る。各外径面側突起122の先端面129とその外径面
131との境界に面取り部123、各外径面側段部12
7の段差面128とリング本体の外径面131との間に
面取り部123’、各外径面側突起122と先端面12
9と外径面側突起122の内側面133との境界に面取
り部124、各外径面側突起122の先端面129と外
径面側突起122の内径側面136との境界に面取り部
124’、各外径面側段部127の内面132と、突き
合わせ面130との境界に面取り部124”、各外径面
側段部127の段差面128と外径面側突起122の内
側面133との境界にすみ肉125’、又は、各外径面
側段部127の段差面128と外径面側段部内面132
の境界に丸みであるすみ肉125を設けることができ
る。なお、前述の角部分に相当する部位以外の角部分を
面取り形状、又はすみ肉を加えた形状としてもよい。
【0051】さらに、合い口121、121’同士の接
触を防止するため、外径面側突起122の内径側面13
6と、これと対面した他方の合い口121’又は121
の外径面側断部127の内面132との間に所定の間隙
1 を設けることができる。このようにすると、外径面
側突起122がシールリングの外径面側へ突出する量が
一層少なくなる。
【0052】また、外径面側突起122及び外径面側段
部127の厚さ方向の寸法公差もこの間隙g1 により吸
収することができ、各前記外径面側突起122の外径面
側への突出を防止する。
【0053】また、両方の合い口121、121’の各
前記外径面側突起122の相互に対面する内側面133
相互間にも所定の間隙g2 を設けることもできる。この
間隙g2 は各前記外径面側突起122の幅方向の寸法公
差を吸収し、各前記外径面側突起122の両側面側への
突出を防止する。
【0054】さらにまた、図15に示すように、リング
本体の外径面131や内径面137と側面134との境
界に段差部135を設けることもできる。この段差部1
35の大きさは、シールリングのシール性を保つ範囲で
あればよい。
【0055】上記の間隙g1 、g2 は特に限定しない
が、シールリングの矩形断面の半径方向の長さ、また
は、軸方向長さのそれぞれ約5〜50%程度、好ましく
は、約5〜25%程度、更に好ましくは、約5〜10%
程度とし、シールリングの片面又は両面部に設けること
が好ましい。具体的には、上記間隙g1 、g2 は、その
下限値が0.05mmがよく、0.1mmが好ましく、
0.2mmがより好ましい。また、その上限値は、0.
5mmがよく、0.4mmが好ましく、0.3mmがよ
り好ましい。上記いずれの数値範囲についても、下限値
を超え、上限値未満の範囲に選定してもよい。
【0056】ところで、これらの面取り部分又はすみ肉
部分の形状は、曲率ないしは斜面のものいずれでもよい
が、より好ましい形状は曲率の面取り形状である。その
面取り部分又はすみ肉部分の最小値付近の寸法は、シー
ルリング断面部の軸方向寸法又は径方向寸法のいずれか
のうちの約5%〜50%程度、好ましくは約5%〜25
%程度である。この値が小さすぎると、合い口部分の突
出量がわずかに有る場合に相手部材を傷つけることが考
えられる。
【0057】一方、曲率ないしは斜面のものの面取り部
分又はすみ肉部分の形状の最大値付近の寸法は、シール
リング外周径、内周径、ないしはそれらの中間部の径寸
法のいずれかのうちの、約5〜50%程度、好ましく
は、約25〜50%程度であればよい。この値が大きす
ぎると、面取り部を設けるという効果が薄れ、実質的に
シールリングの外周径の曲率とほぼ同等の面取り部しか
形成できず、合い口部分の突出量を零とするか、又は少
なくすること期待できない。いずれにしても面取り部寸
法はこれらの最小値以上又はこの値を越え、これらの最
大値以下又はこれ未満の範囲であればよい。
【0058】そして、本発明の形状の合い口形状、側面
の溝形状、及びリング本体の外径面や内径面と側面との
境界部分を段差形状とするようなこれらの少なくとも一
種類以上、好ましくはこの3種類の形態を全て満足する
シールリングであって、そしてまた、本発明の組成材料
のシールリングとしれば、かなり優れた性能のシールリ
ングを提供することができる。
【0059】(シールリングの材料)この発明のシール
リングに用いられる耐熱性合成重合体としては、例えば
以下のごときものがある。
【0060】 ポリエーテル・エーテルケトン樹脂等
のポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルニトリル樹
脂、全芳香族熱可塑性ポリイミド樹脂、またはポリアミ
ド4−6樹脂からなる群から選ばれるいずれか一つの樹
脂90〜50重量%、カーボン系ファイバ等の強化ファ
イバ10〜50重量%、必要ならばフッ素系樹脂等の潤
滑性付与剤2〜25重量%、更に必要ならば粉末状タル
ク10〜40重量%を主要成分とする樹脂組成物。 ポリエーテル・エーテルケトン樹脂等のポリエーテ
ルケトン系樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、全芳香族
熱可塑性ポリイミド樹脂、又はポリアミド4−6樹脂か
らなる群から選ばれるいずれか一つの樹脂90〜50重
量%、カーボン系ファイバ等の強化ファイバ10〜50
重量%、必要ならばフッ素系樹脂等の潤滑性付与剤2〜
25重量%、更に必要ならば粉末状カルシウム化合物1
0〜40重量%を主要成分とする樹脂組成物。
【0061】また、仕様、用途により、 前記耐熱性合成重合体30〜82重量%、カーボン
系ファイバ等の強化ファイバ5〜45重量%およびフッ
素系樹脂等の潤滑性付与剤2〜25重量%を含む樹脂組
成物。 前記耐熱性合成重合体30〜82重量%、カーボン
系ファイバ等の強化ファイバ5〜45重量%、フッ素系
樹脂2〜25重量%および粉末状タルク10〜40重量
%を含む樹脂組成物。 前記耐熱性合成重合体30〜82重量%、カーボン
系ファイバ等の強化ファイバ5〜45重量%、フッ素系
樹脂2〜25重量%、粉末状タルク10〜40重量%お
よび二硫化モリブデン1〜10重量%を含む樹脂組成
物。 前記の粉末状タルク10〜40重量%に代えてカル
シウム系粉末充填剤10〜40重量%を配合したもの。 前記のカーボン系ファイバ5〜45重量%に代え
て、芳香族ポリアミド繊維5〜45重量%を配合したも
の。 前記のカーボン系ファイバ5〜45重量%に代えて
芳香族ポリアミド繊維5〜45重量%を配合し、かつ粉
末状タルク10〜40重量%に代えてカルシウム系粉末
充填剤10〜40重量%を配合した樹脂組成物。
【0062】以下、その詳細を述べる。この発明に用い
るポリエーテル・エーテルケトン樹脂(以下、PEEK
と称する)等の熱可塑性芳香族ポリエーテルケトン系樹
脂(以下、PEK樹脂と称する)、ポリエーテルニトリ
ル樹脂(以下、PENと称する)、全芳香族熱可塑性ポ
リイミド樹脂(以下、TPIと称する)、またはポリア
ミド4−6樹脂(以下、PA4−6と称する)は、オイ
ルシールリングの成形ベース材料として用いる。このよ
うな合成樹脂は、高い耐熱性、耐燃性に加え、優れた機
械的性質、電気的性質、耐薬品性を有するものである
が、それぞれ市販されている周知の樹脂を採用すること
ができる。すなわち具体例としては、PEEKとして三
井東圧化学社製:VICTREX−PEEK150P、
PEK樹脂としてビクトレックス社製:VICTREX
−PEK220G、PENとして出光興産社製:ID3
00、TPIとして三井東圧社製:オーラム450、P
A46として日本合成ゴム社製:スタニールTW300
等を例示することができる。上記PEEK等のPEK樹
脂、PEN、TPI、又はPA46からなる群から選ば
れるいずれか一つの樹脂の配合割合は、90〜50重量
%である。なぜなら50重量%未満の少量では強度が低
下してしまう結果となるからであり、90重量%を越え
る多量では、充填剤による補強効果が得られず、耐摩耗
性が劣る結果となって好ましくないからである。
【0063】この発明に用いられるPEEK等のPEK
樹脂としては、その融点が330℃以上であるケトン系
ポリマーを限定なく採用することができる。PEK樹脂
はエーテル結合(−O−)とケトン結合(−CO−)の
両者を含んで芳香族環を結合したものであり、例として
下記(化1)〜(化4)で表される構造単位を有する樹
脂をあげることができる。これらは、結晶性の樹脂であ
る。これら(化1)〜(化4)に、必要に応じて(化
5)、(化6)が共重合されたものであってもよいが、
エーテル基、あるいはケトン基間の結合は、全て芳香族
環で結合された熱可塑性全芳香族ポリエーテルケトン樹
脂は耐熱性が優れているので好ましい。
【0064】これらPEK樹脂は、機械的、電気的性
質、耐薬品性、熱的寸法性に優れており、熱固定などの
熱収縮や、自動変速機等の高温下でのオイルシールリン
グとして用いても寸法変化が少なく、このような寸法精
度を必要とする合い口形状のシールリングで高温下にお
いて使用される場合に好適である。
【0065】
【化1】
【0066】(nは、整数を示す。)
【0067】
【化2】
【0068】(nは、整数を示す。)
【0069】
【化3】
【0070】(nは、整数を示す。)
【0071】
【化4】
【0072】(nは、整数を示す。)
【0073】
【化5】
【0074】(nは、整数を示す。)
【0075】
【化6】
【0076】(nは、整数を示す。) 上記の樹脂のうち、(化1)の樹脂のガラス転移点(T
g)は約165℃、融点(Tm)は365℃であり、代
表的な例として、ビクトレックスリミテド社製:VIC
TREX−PEK 220G(商品名)が挙げられる。
また、(化2)の樹脂のガラス転移点(Tg)は約15
0℃、融点(Tm)は334〜337℃であり、代表的
な例として、ビクトレックス社製:VICTREX−P
EEK150P(商品名)が挙げられる。また、(化
3)の樹脂のガラス転移点(Tg)は約160℃、融点
(Tm)は360〜380℃であり、代表的な例とし
て、独国ヘキスト社製:HOSTATEC(商品名)が
挙げられる。さらに、(化4)の樹脂のガラス転移点
(Tg)は約170〜175℃、融点(Tm)は375
〜381℃であり、代表的な例として、独国ビー・エー
・エス・エフ社製:ULTRA PEK−A1000
(商品名)が挙げられる。
【0077】上記のPA46は、下記の化7の式で表わ
される直鎖脂肪族ポリアミドであって、ジアミノブタン
とアジピン酸の重縮合反応によって工業的に製造される
周知の樹脂を採用することができる。
【0078】
【化7】
【0079】このようなポリアミド4−6樹脂は、ポリ
アミドが一般的に備えている潤滑性、耐摩耗性、耐薬品
性を有すると共に、ポリアミド6樹脂、ポリアミド6−
6樹脂に比較して、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率
などの機械的強度および耐熱性の点でより優れたもので
ある。ポリアミド4−6樹脂の市販品としては、日本合
成ゴム社製:スタニール TW300、ユニチカ社製:
F5001などを挙げることができる。
【0080】つぎに、この発明における強化ファイバと
しては、カーボン系ファイバがあげられ、その1例であ
るカーボン系ファイバは、ピッチ系、PAN系のカーボ
ンファイバが好ましく、また、平均繊維径が1〜25μ
m、好ましくは5〜20μmで、しかもアスペクト比が
1〜80、好ましくは5〜50のものが好ましい。なぜ
ならば、平均繊維径が1μm未満の細いものでは繊維間
の凝集が起こり、均一分散が困難となり、また20μm
を越える太いものでは軟質相手材を摩耗させ、アスペク
ト比が1未満のものではマトリックス自体の補強効果が
損われ機械的特性が低下し、逆に80を越えると混合時
の均一分散がきわめて困難であって、摩耗特性に支障を
来たし品質低下を招くなど好ましくないからである。
【0081】具体的に説明すると、この発明に用いられ
るカーボン系ファイバの一例であるカーボン系ファイバ
は、現在汎用されている1000℃以上、好ましくは1
200〜1500℃の高温に耐えるものであれば、レー
ヨン系、ポリアクリロニトリル系、リグニン−ポバール
系混合物、特殊ピッチ系など原料の種類の如何によらず
使用することができる。そして、その形状は長短いずれ
の単繊維であっても、クロス、フェルト、ペーパ、ヤー
ン等のように一次加工を経た編織布、不織布、糸、紐等
の製品形体をしたものであってもよい。
【0082】また、その材質を特に制限することなく、
ピッチ系、PAN系、カーボン質のいずれであってもよ
く、例えば、繊維径1〜25μm、好ましくは4〜20
μm、繊維長約0.01〜1mm、好ましくは0.01
〜0.5mmのものであれば、前記樹脂組成物中に均一
に分散し、これを充分に補強するので適当である。
【0083】適度な弾性率、引張強度等の機械的特性と
シリンダやピストン等の相手材への攻撃性や成形時の樹
脂組成物の流動性等を考慮して、カーボン系ファイバ径
は、平均5〜14μm、また繊維長は0.01〜0.3
mmであることが好ましい。
【0084】尚、これらの繊維は、溶融混練時、射出成
形時等に折れたりして、短くなることもある。
【0085】カーボン系ファイバは、上記に示したよう
な種々の有機高分子繊維を平均1000〜3000℃程
度に焼成して生成される。この構造は、主に炭素原子六
角網平面から構成される。この網平面が繊維軸に平行に
近く配列したものとして、高配向、異方性を有するPA
N系や液晶ピッチ系のカーボン系ファイバがあげられ、
一方、この網平面が乱雑に集合したものとして、等方性
を有するピッチ系カーボン系ファイバがあげられる。
【0086】高配向、異方性のカーボン系ファイバは、
特定の方向の弾力性や引張強度に対して高く優れてお
り、等方性のカーボン系ファイバは、全方向から受ける
荷重に対しても比較的耐えうる。
【0087】ピッチ系カーボン系ファイバは、例えば、
石油精製で副生される石油ピッチ等のような構造上無定
形の等方性ピッチ系カーボン系ファイバと、一定方向の
構造、例えば光学異方性の異方性ピッチ系カーボン系フ
ァイバがあげられる。
【0088】等方性ピッチ系カーボン系ファイバは、石
油系、石炭系、合成品系、液化石炭系等に分類され、そ
れらの原料を溶融紡糸でピッチ繊維にして、不融化処理
をした後に、炭素化することにより製造される。
【0089】また、液晶ピッチ系カーボン系ファイバ
は、ピッチ類を不活性化気相中で加熱し、350〜50
0℃で液晶状態とした後、固化してコークスとする。こ
れを溶融紡糸して酸化雰囲気で加熱すると酸化繊維とな
って不溶不融の繊維となり、さらにこれを例えば不活性
気相中で約1000℃以上に加熱する方法等により製造
される。
【0090】これらは、引張弾性率が平均30〜50G
Pa程度の低弾性率から平均240〜500GPa程度
の中・高弾性率のものを要求により選択することがで
き、その他引張強度の機械的特性に優れた繊維を所定の
樹脂組成物に混合することにより、適切な機械的強度を
有するシール材を得ることができる。
【0091】このようなピッチ系カーボン系ファイバの
例としては、呉羽化学社製:クレハH107T、M20
7S(繊維径は、12〜13μm)等の「クレハ」(商
品名)シリーズ全般があげられる。
【0092】また、PAN系カーボン系ファイバは、ポ
リアクリロニトリル繊維等のアクリル系繊維を加熱して
焼く方法で製造することができる。加熱温度によって所
定の引張弾性率を得ることができ、例えば、約1000
〜1500℃で加熱すると引張弾性率は平均20〜30
GPa、引張強度は平均300〜6000MPaとな
る。また、約2000℃で加熱して、引張弾性率を平均
350〜500GPa、好ましくは平均400〜500
GPaとすることもできる。従って、PAN系カーボン
系ファイバは、高い引張強度の繊維で、加熱温度により
引張強度は平均500〜6000MPaの範囲のものも
得られ、要求により平均500〜3000MPaの範囲
のものを製造することもできると考えられる。これらの
数値が低すぎると圧縮クリープ等に関する補強が期待で
きず、これらの数値が高すぎると、ピストン、シリンダ
等の相手材を攻撃することも予想される。
【0093】このPAN系カーボン系ファイバの例とし
ては、東邦レーヨン社製「ベスファイト」(商品名)シ
リーズ全般があげられ、その具体例としては、ベスファ
イトHTA−CMF−0040−E、ベスファイトHT
A−CMF−0160−E、ベスファイトHTA−CM
F−1000−E、ベスファイトHTA−C6−E等
(いずれも、繊維長7〜8μm)があげられる。また、
東レ社製の「トレカ」(商品名)シリーズ全般もあげら
れ、その具体例としては、トレカMLD−300、トレ
カMLD−1000等があげられる。
【0094】これらのカーボン系ファイバの有する引張
強度としては、550〜1000MPaが好ましく、ビ
ッカース硬度(Hv)は400〜600が好ましい。引
張強度が550MPaより小さいときやビッカース硬度
(Hv)が400より小さいときは、カーボン系ファイ
バを添加する補強効果が期待できず、引張強度が100
0MPaより大きいときやビッカース硬度(Hv)が6
00より大きいときは、相手材を攻撃して摩耗させるこ
とが考えられ、好ましくない。
【0095】前記のカーボン系ファイバは、平均繊維径
が約1〜20μm、好ましくは約5〜18μmであり、
かつアスペクト比が約1〜80、より好ましくは約5〜
50のものが好ましい。なぜなら、平均繊維径が約1μ
m未満の細いものでは繊維間の凝集が起こり、均一分散
が困難となり、また約20μmを越える太いものでは軟
質相手材を摩耗させるからであり、平均繊維径が約5〜
18μmではこのような傾向がより少なくなって好まし
い。また、アスペクト比が約1未満のものではマトリッ
クス自体の補強効果が損われ機械的特性が低下し、逆に
約80を越えると混合時の均一分散がきわめて困難とな
って、摩耗特性に支障を来たし、品質低下を招くからで
ある。アスペクト比が約1〜80では、このような傾向
が比較的少なく、好ましい結果が得られる。
【0096】これらのカーボン系ファイバは、酸やアル
カリ等の薬品類の影響を受けにくく、また、耐摩耗性も
有している。
【0097】なお、これらのカーボン系ファイバと前記
PEK樹脂等の耐熱樹脂との密着性を高め、油中摺動材
の機械的特性等を向上させるために、これらのカーボン
系ファイバの表面をエポキシ系樹脂、ポリアミド系樹
脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂等
含有の処理剤やシラン系カップリング剤等により表面処
理を施してもよい。
【0098】上記カーボン系ファイバのなかで、引張強
度が490〜1000MPa、好ましくは550〜98
0MPa、引張弾性率30〜50GPaの範囲にあるも
のが特に好ましい。引張強度、引張弾性率が下限値未満
ではカーボン系ファイバによる補強効果が得られず、上
限値を越える値では耐摩耗性に劣ることも推定される。
【0099】上記カーボン系ファイバの全組成物中の配
合割合は10〜45重量%、好ましくは15〜40重量
%、更に好ましくは15〜30重量%である。10重量
%未満では油中摺動材の耐摩耗性の向上をほとんど期待
できず、45重量%を越える多量では溶融流動性が著し
く低下して成形性が悪くなるからである。
【0100】また、他の強化ファイバの一例である芳香
族ポリアミド繊維は、下記の化8の式で表わされる繊維
状の耐熱樹脂として周知のものであり、芳香族環がメタ
位でアミド結合によって結合されたもの、芳香族環がパ
ラ位でアミド結合によって結合されたもののいずれであ
ってもよい。
【0101】
【化8】
【0102】パラ系芳香族ポリアミド繊維としては、下
記化9の式で表わされる反復単位を含むパラ系芳香族ポ
リアミド繊維が挙げられる。
【0103】
【化9】
【0104】このような組成物に添加されるパラ系芳香
族ポリアミド繊維は、繊維軸方向に分子鎖が配列してい
るので、軸方向に高弾性・高強度であるが、直角方向に
は分子間力が弱いものである。このようにパラ系芳香族
ポリアミド繊維は軸方向の強度によって、配合された樹
脂組成物の耐摩耗性をよく向上させることができ、一
方、繊維直角方向に圧縮力を受けると分子鎖が座屈しま
たは破壊され易いので、軟質の摺動相手材を損傷しない
と考えられる。
【0105】また、パラ系以外の芳香族ポリアミド繊維
を採用する場合は、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素
系樹脂の所定量を含むものを添加することによって、前
記組成物と同様に軟質の摺動相手材を損傷せず、耐摩耗
性に優れた組成物となる。
【0106】パラ系芳香族ポリアミド繊維は、前記した
化3に示す反復単位を含む重合体からなり、下記化10
に示すメタ系芳香族ポリアミド樹脂とは分子構造が異な
るものである。パラ系芳香族ポリアミド繊維の市販品と
しては、デュポン・東レ・ケブラー社製:ケブラー、日
本アラミド社製:トワロン、帝人社製:テクノーラが挙
げられる。
【0107】
【化10】
【0108】パラ系以外の芳香族ポリアミド繊維(すな
わち、メタ系の芳香族ポリアミド繊維)を使用する場合
は、フッ素系樹脂として四フッ化エチレン樹脂(以下、
PTFEと称する。)を採用し、その所定量を添加す
る。この場合さらに、他のフッ素系樹脂を併用すること
もできる。メタ系芳香族ポリアミド繊維の市販品として
は、デュポン・東レ・ケブラー社製:ノーメックス、帝
人社製:コーネックスが挙げられる。
【0109】このような芳香族ポリアミド繊維の形態
は、繊維長約0.15〜3mm、アスペクト比約1〜2
30程度の範囲のものとなっている。
【0110】芳香族ポリアミド繊維の形態としては、平
均繊維径が約1〜25μmのものが好ましく、より好ま
しくは約5〜20μmのものである。また、アスペクト
比は、約1〜60のものが好ましく、より好ましくは約
15〜40のものである。
【0111】芳香族ポリアミド繊維が所定範囲未満の繊
維長では、耐摩耗性が不充分となり、上記範囲を越える
繊維長では組成物中の分散不良で好ましくない。また、
上記範囲未満のアスペクト比では、粉末形状に近くなっ
て耐摩耗性改善効果が不充分となり、上記範囲を越える
アスぺクト比では組成物中の均一分散が困難で好ましく
ない。
【0112】そして、平均繊維径が約1μm未満の細径
のものでは、マトリックスに混合した際に繊維間に凝集
が起こり均一な分散が困難であり、平均繊維径が約25
μmを越える太径のものでは、組成物が軟質相手材を摺
動摩耗するからであり、平均繊維径が約5〜20μm、
好ましくは5〜15μmのものではこのような傾向が全
くみられずに極めて好ましい。また、アスペクト比が約
1μm未満のものではマトリックスの補強効果がなく機
械的特性が低くなり、約60を越えると混合時の均一な
分散が困難となり、組成物の摩耗特性が一様でなくなる
からである。このような条件を満足する市販の芳香族ポ
リアミド繊維としては、アクゾ社製:トワロン(商品
名)が挙げられる。
【0113】また、シールリングの仕様、用途により、
上記した芳香族ポリアミド繊維、または前記したカーボ
ン系ファイバの全組成物中の配合割合は、5〜45重量
%、好ましくは10〜30重量%であってもよい。なぜ
なら、5重量%未満では成形体の耐摩耗性が殆ど向上せ
ず、45重量%を越える多量では溶融流動性が著しく低
下して成形性が悪くなるからである。同配合割合が10
〜30重量%であれば、このような傾向がほとんどな
く、好ましい結果が得られる。
【0114】この発明に用いる潤滑性付与剤の代表例で
あるフッ素系樹脂、その中でもPTFEは、四ふっ化エ
チレンの単独重合体で、圧縮成形可能な樹脂として市販
のものを用いることができ、例えば喜多村社製KTL6
10、300H等であってよい。上記した潤滑性付与剤
の配合割合は2〜25重量%、好ましくは5〜25重量
%である。なぜなら2重量%未満では、自己潤滑性およ
び耐摩耗性などの摺動特性の改良が顕著に認められず、
また25重量%をこえると成形性が悪くなり、機械的特
性も低下するからである。
【0115】具体的に詳しく説明すると、例えば、この
発明に用いられるパーフルオロ系フッ素樹脂は、ポリテ
トラフルオロエチレン(以下、PTFEと称する。)に
代表されるフッ素系樹脂である。この樹脂は、骨格であ
る炭素原子の周囲を全てフッ素原子又は微量の酸素原子
で取り囲まれた状態であり、C−F間の強固な結合によ
り、フッ素系樹脂の中でも比較的耐熱温度が高く、ま
た、低摩擦係数、非粘着性、耐薬品性等の諸特性に優れ
ている。PTFEは、四フッ化エチレン単独重合体で圧
縮成形可能な樹脂であり、その熱分解温度は約508〜
538℃である。これは、市販のものを用いることがで
き、例えば、喜多村社製:KTL610、400H等を
用いることができる。
【0116】パーフルオロ系フッ素樹脂としては、PT
FE以外に、テトラフルオロエチレン−パーフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体(PFA、熱分解温度約
464℃以上)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフル
オロプロピレン共重合体(FEP、熱分解温度約419
℃以上)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプ
ロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体(EPE、熱分解温度約440℃)等があげられる。
また、これらに加えて、ポリクロロトリフルオロエチレ
ン(PCTFE、熱分解温度約347〜418℃)、テ
トラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE、
熱分解温度約347℃以上)、クロロトリフルオロエチ
レン−エチレン共重合体(ECTFE、熱分解温度約3
30℃以上)、ポリビニリデンフルオライド(PVD
F、熱分解温度約400〜475℃)、ポリビニルフル
オライド(PVF、熱分解温度約372〜480℃)等
があげられ、これらを混合してもよい。
【0117】また、パーフルオロ系フッ素樹脂は、上記
フッ素樹脂のモノマーの例えば約1:10から10:1
の重合割合で2種類以上の共重合体や、3元共重合体な
どのフッ素化ポリオレフィンなどであってもよく、これ
らは、固体潤滑剤としての特性を示す。これらのなかで
も、PTFEは、耐熱性、耐薬品性、非粘着性、低摩擦
係数などの諸特性に優れており好ましい。
【0118】これらのパーフルオロ系フッ素樹脂は、微
分熱分解開始温度が比較的高く好ましい。例えば、PT
FE,PVDFの熱分解点はそれぞれ約490℃、約3
50℃であり、これらの微分熱分解開始温度は、それぞ
れ約555℃、約460℃を示し、中でも、PTFE、
PFA、FEP等は、高温特性に優れていて好ましい。
このため、上記樹脂を含む組成物を溶融して油中摺動材
とする過程での熱履歴に比較的耐え得る。
【0119】このうちPTFEは、融点が約327℃で
あり、約340〜380℃でも溶融粘度が約1011〜1
12ポイズと高く、融点を越えても流動し難く、フッ素
樹脂のなかでは最も耐熱性に優れた樹脂であると考えら
れている。このようなPTFEを採用する場合は、これ
が成形用の粉末であっても、また、いわゆる固体潤滑剤
用の微粉末であってもよく、市販品としては三井・デュ
ポンフロロケミカル社製:テフロン7J、TLP−1
0、旭硝子社製:フルオンG163、ダイキン工業社
製:ポリフロンM15、ルブロンL5などを例示するこ
とができる。また、アルキルビニルエーテルで変性され
たようなPTFEであってもよい。一般にPTFEは、
四フッ化エチレンの単独重合体で、圧縮成形可能な樹脂
として市販のものを用いることができ、例えば喜多村社
製:400H等も採用できる。
【0120】PFAとしては、三井・デュポンフロロケ
ミカル社製:テフロンPFA−J、MP−10、ヘキス
ト社製:ホスタフロンTFA、ダイキン工業社製:ネオ
フロンPFAを、FEPとしては三井・デュポンフロロ
ケミカル社製:テフロンFEP−J、ダイキン工業社
製:ネオフロンFEPを、ETFEとしては三井・デュ
ポンフロロケミカル社製:テフゼル、旭硝子社製:アフ
ロンCOPを、また、EPEとしては三井・デュポンフ
ロロケミカル社製:テフロンEPE−J、などを挙げる
ことができる。
【0121】PTFE、PFA、FEPは、フッ素系樹
脂のなかでも比較的耐熱温度が高く好ましいものであ
る。PVDFとしては、呉羽化学工業社製;KFポリマ
ーなどを例示できる。
【0122】これらのフッ素樹脂、なかでもパーフルオ
ロ系フッ素樹脂を2〜25重量部、好ましくは5〜25
重量部添加することで、機械的特性に優れ、標準品等で
圧縮強さが、例えば50〜200MPa程度の良好な耐
クリープ特性及び耐熱性、耐油性や耐薬品性等に優れる
特性に加えて、耐衝撃性、耐疲労性、耐摩耗性等を向上
することもできると考えられる。
【0123】添加量が2重量部未満では、これらの効果
が期待できず、自己潤滑性及び耐摩耗性等の摺動特性の
改良が顕著に認められない。また、25重量部を越える
と、これらの溶融粘度等により造粒時や射出成形時に溶
融成形機等のシリンダーにかかる負荷が大きく、成形性
が悪くなり、安定した造粒性、射出成形性及び寸法精度
が期待できず、機械的特性が低下する場合がある。
【0124】PTFEを粉末状にしてPEK樹脂等の耐
熱性樹脂に添加する場合は、粉末状にすればその形状や
大きさを特に限定することなく用いることができるが、
粒状で粒径が1〜70μm、好ましくは10〜70μm
のものが、樹脂組成を均一にするために好ましい。
【0125】また、バージン材のPTFE粉末に代え、
再生PTFE粉末をも良好に用いることができる。再生
PTFE粉末とは、バージン材を一度焼成した後、粉砕
して得られる粉末であり、このものは繊維状になりにく
い性質を有しており、配合した樹脂組成物を良好な溶融
粘度に維持するので、再生PTFE粉末のみばかりでな
く、バージン材に再生PTFE粉末を添加した場合にお
いても、成形性を改善する上で優れた添加剤となり得る
と考えられる。
【0126】このような、パーフルオロ系フッ素樹脂等
の潤滑性付与剤の全組成物中の配合割合は、前記配合比
よりも、更に好ましくは5〜15重量%がよい。5重量
%未満だと、摺動特性、耐摩耗性の問題点を有し、15
重量%を越えると、成形性等の問題点を有する。
【0127】なお、上記材料以外の添加剤として、この
発明の効果を阻害しない範囲内で、例えば自己潤滑性、
機械的強度、および熱安定性などの向上及び着色等の目
的で固体潤滑剤、タルク等の増量剤、粉末充填剤および
顔料など350℃程度以上の高温で安定な物質を適宜混
合してもよい。例えば、樹脂組成物の潤滑性をさらに改
良するために、耐摩耗性の改良剤を配合することができ
る。この耐摩耗性改良剤の具体例としては、カーボン、
グラファイト、マイカ、ウォラストナイト、リン酸塩、
炭酸塩、ステアリン酸塩、超高分子量ポリエチレン、硫
酸カルシウムなどのウィスカ、二硫化モリブデン等の金
属酸化物の粉末などを例示することができる。このよう
な添加剤を添加する際の残部耐熱性樹脂は、40重量
%、好ましくは50重量%を下回らないようにすること
が好ましい。
【0128】具体的には、この発明に用いる粉末状タル
クは、平均粒径を0.5〜40μm、好ましくは1〜3
0μmのものが好ましい。0.5μm未満の小粒では粒
子間の凝集が起こり、均一分散が困難となり、40μm
を越える大粒では表面平滑性が悪くなって好ましくない
からである。このようなタルクの配合割合は、10〜4
0重量%、好ましくは10〜30重量%である。なぜな
ら、10重量%未満では、軟質相手材を摩耗させ、40
重量%を越えると成形性が悪くなり、機械的特性も低下
するからである。
【0129】この発明に用いる粉末状カルシウム化合物
としては、カルシウムの炭酸塩、硫酸塩、酸化物、水酸
化物が挙げられ、なかでも炭酸カルシウムまたは硫酸カ
ルシウムが好ましい。これらカルシウム化合物は、平均
粒径を0.5〜40μm、好ましくは1〜30μmのも
のが好ましい。0.5μm未満の小粒では粒子間の凝集
が起こり、均一分散が困難となり、また40μmを越え
る大粒では表面平滑性が悪くなって好ましくないからで
ある。このようなカルシウム化合物の配合割合は、10
〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。な
ぜなら、10重量%未満では軟質相手材を摩耗させ、4
0重量%を越えると成形性が悪くなり、機械的特性も低
下するからである。
【0130】また、例えば芳香族系ポリエステル樹脂
は、下記の化11の式に示すポリオキシベンゾイルポリ
エステルの他、これを共重合成分として含む共重合体を
更に約1〜10重量%程度混合してもよい。このような
芳香族系ポリエステル樹脂は、化5に示すポリオキシベ
ンゾイルポリエステルの市販品として、住友化学工業社
製:エコノールE101などを例示できる。
【0131】
【化11】
【0132】また、二硫化モリブデンは、耐摩耗性の向
上を図るために必須成分として添加され、その配合割合
は、1〜10重量%である。なぜなら、上記所定範囲未
満の配合量では、自己潤滑性および耐摩耗性などの摺動
特性の改良が顕著に認められず、また上記所定範囲を越
える配合量では、機械的強度が低下し、かつ配合量に見
合う耐摩耗性の向上が見られないからである。
【0133】これらの耐熱性樹脂に対して各種の添加物
を添加混合する方法は特に限定するものではなく、通常
広く用いられている方法、たとえば主成分となる樹脂、
その他の諸原料をそれぞれ個別に、またはヘンシェルミ
キサー、ボールミル、タンブラーミキサー等の混合機に
よって適宜乾式混合した後、溶融混合性のよい射出成形
機もしくは溶融押出成形機に供給するか、又は予め熱ロ
ール、ニーダ、バンバリーミキサー、溶融押出機などで
溶融混合するなどの方法を利用すればよい。
【0134】さらに、前記の組成物を油中摺動材に成形
する際には、特に成形方法を限定するものではなく、圧
縮成形、押出成形、射出成形等の通常の方法、または組
成物を溶融混合した後、これをジェットミル、冷凍粉砕
機等によって粉砕し、所望の粒径に分級することも可能
である。なかでも射出成形法は、生産性に優れ、安価な
油中摺動材を提供することができる。
【0135】また、このようにして得られたペレットな
どの粒は、成形前に後述の熱処理と同程度の乾燥処理を
施しても良い。充分にペレット等の粒から水分などを蒸
発させることで、油中摺動材の膨れや強度低下を防ぐこ
とができると考えられる。
【0136】このようにして得られた油中摺動材は、熱
固定及び成形時のひずみを除いて高温使用時の寸法安定
性を確保するため、約100〜350℃で約0.1〜2
4時間程度のアニール熱処理をしておくことが望まし
い。
【0137】例えばPEK樹脂を例にすると、アニール
熱処理温度は、PEK樹脂の融点未満、例えば約140
〜330℃程度、寸法形状によっては約143〜300
℃程度や約150〜260℃程度で行われることが適当
である。これらのPEK樹脂は、広い温度範囲にわたっ
て剛性が高く、耐衝撃性も優れており、クリープなどの
歪みに対しても強く、また殆どの種類の油類や薬品等に
も耐性を示す樹脂である。また、これらの樹脂は結晶性
であって、結晶化度の上昇で強度や剛性の増加、耐摩耗
性や潤滑性の向上、熱膨張係数や吸水率の低下などの性
質をもっている。
【0138】熱処理温度が約140〜150℃未満の低
温では、結晶化の進行に多大の時間を要して効率が悪
く、油中摺動材のわずかな歪みを除くことも難しくな
り、寸法安定性も得られ難いと考えられる。
【0139】また、PA46を例にすると、アニール熱
処理温度は、PA46の融点未満、好ましくは約150
〜260℃程度で行われることが適当である。ポリアミ
ド4−6樹脂は、広い温度範囲にわたって剛性が高く、
耐衝撃性も優れており、クリープなどの歪みに対しても
強く、また殆どの種類の油類や薬品等にも耐性を示す樹
脂である。また、この樹脂は結晶性であって、その結晶
化速度は大きく、吸水率はポリアミド6−6樹脂よりも
大きいが、吸水による寸法変化量は、ポリアミド6−6
樹脂よりも少ないと考えられている。また、結晶化度の
上昇で強度や剛性の増加、耐摩耗性や潤滑性の向上、熱
膨張係数や吸水率の低下などの性質をもっている。
【0140】熱処理温度が約150℃未満の低温では、
結晶化の進行に多大の時間を要して効率が悪く、成形体
のわずかな歪みを除くことも難しくなり、寸法安定性も
得られ難いと考えられる。
【0141】アニール熱処理温度がシールリング油中摺
動材の融点や熱変形温度よりも約20〜30℃程度を越
えると、樹脂にかかる熱履歴の影響が大きくなり好まし
くないと考えられ、これ以下で熱処理することが好まし
い。熱処理時は、前記所定の温度に達する前に、例えば
常温、約80℃、約130℃、約180℃、約220
℃、約230℃、約260℃、約300℃というよう
に、数段階に分けて、約15〜180分程度の範囲で、
約15〜60分毎に徐々に昇温し、前記温度範囲内の最
適な温度にて、前記時間の範囲で温度を一定に保持して
もよい。その場合の最高温度の保持時間は、約15〜4
80分程度であればよい。最高温度の保持時間が所定時
間よりも短時間であると、樹脂の結晶化が不充分となっ
て寸法安定性が悪くなり、所定時間よりも長時間である
と、「ソリ」などの不適当な熱変形が起こり、また電気
炉などのエネルギー消費量の増大や製造時間の長時間化
からみても製造コストの低減を図ることが難しくなる。
【0142】また、約85〜120℃程度に昇温した時
にそのような一定温度で保持してもよい。このようにす
ると、油中摺動材内に僅かに取り込まれた水分を乾燥さ
せることができ、その後、結晶化させることができる。
一方、短時間で急激に加熱して熱処理を終了させること
は好ましくない。前記水分が沸点を越えて気化し、その
際の体積膨張によって油中摺動材に「膨れ」などの不具
合が発生する可能性が高くなるからである。
【0143】結晶化工程後の冷却は、前記昇温時と逆の
段階を経て冷却してもよく、または約60〜180分程
度の時間をかけて連続的に徐冷してもよい。
【0144】以上のような熱処理工程を行なうことによ
り、油中摺動材の膨れなどの不具合の発生を極力防ぐと
共に、樹脂の結晶化を確実かつ徐々に進行させて、油中
摺動材の寸法安定性を高めて寸法精度の高い油中摺動材
を提供することができる。
【0145】また、油中摺動材と相手部材の少なくとも
一方の摺動面の表面粗さは、Rmax、Ra、Rz等の
JISで定義された評価法によって測定され、約3〜2
5μm以下であり、約8μm以下が好ましく、約3μm
以下がより好ましい。なぜなら、表面粗さが前記所定範
囲を越えると、摺動面に傷が多く付くようになり、これ
は摩耗の原因になると考えられるからである。なお、表
面粗さの下限値は、加工時の効率性も考慮して、約0.
1μm程度以上であればよい。
【0146】また、相手材表面の仕上げ加工などの工程
に長時間を要するので、効率的でないことや樹脂材の転
移膜の形成に影響される可能性もあるため、摩耗に影響
されないような仕様や条件であれば、約3〜8μm程度
の範囲以下としても良いとも推定される。
【0147】また、ピストン、シリンダー等の相手材
は、S45C,SCM420H等の炭素鋼、FCD45
等の球状黒鉛鋳鉄等あるいはこれらの硬化処理材等の硬
質材料であっても、又はADC12等のアルミニウム合
金等の軟質材であってもよい。相手材は、加工時の効率
や、生産性、価格等で平均して総合的に優れる鋳物系金
属、その中でもADC等の軽量鋳物金属系合金等が好ま
しいが、特に限定しない。
【0148】
【実施例】図1(a)〜(f)は第1実施例のシールリ
ング20であり、このシールリング20は、図1(a)
−2に示すように、リングの両側面21と外周面24と
の間や、上記両側面21と内周面25との間にそれぞれ
段差部26が設けられたものであり、また、図1(a)
−1に示すように、上記段差部26に加えて、そのリン
グ20の一方の側面のシール面21にはほぼ3等分位置
に内周側から外周側に貫通した潤滑溝22を設け、また
他方の側面のシール面21にも、若干位置をずらせて同
様の潤滑溝22を設けたものである。なお、図1(b)
〜(f)は、図1(a)−1の拡大図又は断面図を示
す。
【0149】上記リング両側面21と外周面24との間
の段差部26は、リング側面21に対して直角な面27
及び外周面24に対して直角な面27’を有し、かつ、
上記2つの直角面27、27’の間によって形成された
傾斜面28とを有しており、リング側面21と内周面2
5との間の段差部26は、リング側面21に対して直角
な面27及び内周面25に対して直角な面27’を有
し、かつ、上記2つの直角面27、27’の間によって
形成された傾斜面28とを有している。この段差部26
は、リング両側面21と外周面24との間の2箇所の周
辺、又はリング側面21と内周面25との間の2箇所の
周辺のいずれかに設けることができるが、この4か所全
てに設けることもできる。
【0150】上記段差部26を設けると、成形時の型離
れが容易となり、また、使用時において、オイル不純物
や摩耗粉が堆積しにくいため、摺動面にオイル不純物や
摩耗粉が侵入することを防止することができる。
【0151】上記段差部26は、図1(f)に示すよう
に、傾斜面28が平面である角形であっても、傾斜面2
8が曲面である丸形であってもよい。また、直角面2
7、27’と傾斜面28とのなす角度は直角又は鈍角、
すなわち90°以上180°未満がよく、仕様等により
90°以上135°以下、また、90°を越えて120
°以下が好ましい。また、上記角度を調整することによ
りオイル不純物や摩耗粉が堆積しにくく、また、射出金
型からの離型性がよい。なお、段差部は角形のほうが射
出金型を製造するうえで容易に段差部を形成できて効率
的であり、また、結果として安価となる。
【0152】上記の潤滑溝22は深さ0.1mm程度、
幅0.1mm程度の微細なものであり、図示のように3
箇所程度設けてもシール性を損わないものである。また
潤滑溝22のシール面21側の開口端には、クラウニン
グ23が施される。
【0153】上記の段差部26の高さhは特に限定しな
いが、シールリング20の矩形断面の半径方向の長さ、
または、軸方向長さのそれぞれ約5〜50%程度、好ま
しくは、約5〜25%程度、更に好ましくは、約5〜1
0%程度とし、シールリング20の片面又は両面部に設
けることが好ましい。具体的には、上記の段差部26の
高さhは、その下限値が0.05mmがよく、0.1m
mが好ましく、0.2mmがより好ましい。また、その
上限値は、0.5mmがよく、0.4mmが好ましく、
0.3mmがより好ましい。上記いずれの数値範囲につ
いても、下限値を超え、上限値未満の範囲に選定しても
よい。
【0154】上記の段差の高さhが少なすぎると、金型
の長期にわたる使用での可動型と固定型とのズレが比較
的短い周期で発生した時に、不具合を招来する可能性が
あり、多すぎると、シールリングのシール部分面積、い
わゆるシールランドが減少してしまうため、確実で、良
好な密封特性に期待できない。
【0155】なお、合い口30の形状はステップ型、ス
トレート型、アングル型等任意である。また合い口30
の無い無端状のものでもよいが、図1や図3〜図15に
示される複雑な形状を有する合い口形状を採用した。
【0156】図2は上記のシールリング20を合成樹脂
で射出成形する場合の金型29の合せ面31の位置を示
している。即ち、合せ面31は外周面24の一方の段差
部26側の端に設定される。合せ面31をこのような位
置に設定すると、バリ32は潤滑溝22から離れた位置
に生じるので、該潤滑溝22を閉塞することがない。
【0157】図3(a)(b)は第2実施例のシールリ
ング20であり、この場合の潤滑溝22は、両側シール
面21の中央部分に全周にわたり形成された周溝33
と、その周溝33から、外周方向及び内周方向にそれぞ
れ形成された外径方向溝34及び内径方向溝35とから
成り、外径方向溝34と内径方向溝35の位置が周方向
にずれている。
【0158】図4(a)(b)の第3実施例のシールリ
ングの潤滑溝22は、周溝33と同一位置に形成された
外径方向溝34と内径方向溝35とから成る。
【0159】図5(a)(b)は、シールリングの各種
段差部26の形状の諸例を示すものであり、いずれも金
型の合せ面31と潤滑溝22との間には段差があり、バ
リによって潤滑溝22が閉塞されることを防ぐ。また、
これらはいずれも金型の合せ面31が直角面27’と一
致するので、固定金型と可動金型の合わせ面が多少ずれ
ても、外周面24又は内周面25側にはみ出す部分が生
じることがない。
【0160】(耐久試験) (1)ポリエーテルエーテルケトン樹脂(ビクトレック
ス社製:VICTREX−PEEK 150P)50重
量部を主材料とし、カーボン繊維(呉羽化学社製:クレ
ハM207S(繊維径12〜13μm、アスペクト比4
8、ピッチ系))20重量部、四フッ化エチレン樹脂
(喜多村社製:400H)10重量部を充填材として配
合した材料を用い、図1に示した第1実施例の形状のシ
ールリング20を射出成形により得た。上記シールリン
グ20の断面には略矩形であり、4つのコーナ部に段差
部26を設けた。このシールリング20は、外径45m
m、リングの幅2.4mm、リング肉厚2.3mm、外
周面(摺動部)の幅1.5mm、側面(摺動部)の幅を
1.8mmとした。潤滑溝22は深さ0.1mm、幅
0.1mmで全周にわたり3箇所形成し、両側シール面
21に潤滑溝22の位置を10°程度位置をずらせて形
成した。各潤滑溝22の角部にクラウニング23を施し
た。上記のシールリング20を耐久試験に供し、回転ト
ルク、リング側面の摩耗及び相手軸溝の摩耗量を測定し
た。軸の材料はダイカスト用アルミニウム合金ADC1
2を使用した。耐久試験の結果を表1に示す。耐久試験
の条件は次のとおりである。 油 圧:0.8MPa 回転数:7000rpm 温 度:120℃ 時 間:100hr. オイル:自動車オートマチック・トランスミッション用オイル 昭和シェル石油社製デキシロンII シリンダ(回転):S45C 軸(固定):ADC12。
【0161】(2)前記耐久試験のものと同一材料のシ
ールリング20で外径45mm、断面形状が2.3mm
×2.4mmの矩形であって、段差部及び潤滑溝のない
もの(図6参照)を比較例1とする。前記比較例1と同
一材料、同一サイズのシールリング20の両側面に15
°間隔で周方向に15°の長さの内周側に開放された凹
所36を形成したもの(図7参照)を比較例2とする。
上記比較例1及び2につき前記と同一条件で耐久試験に
供した。その結果を表1に示す。
【0162】
【表1】
【0163】(結果)実施例のものは比較例1、2に比
べ回転トルクも劣ることなく、リング側面及び相手溝の
磨耗が少ない。これは内外方向に貫通した潤滑溝22を
通ってオイルが内外方向にリークすることでリング側面
の摺接面の全幅にわたる油膜が全周にわたり形成される
こと及びオイルのリークにより摩耗粉や異物が排除され
やすいことによるものである。またリーク量は微小であ
り、シール性を損うことがない。
【0164】熱可塑性芳香族系ポリエーテルケトン樹脂
のシールリング及びPTFE製の従来型シールリングに
ついて、リーク測定データを図18に示す。図18は各
種合い口に対するオイル温度とリークの関係を示したも
のである。
【0165】ストレートカットリングについてみると、
オイル温度の上昇に伴いリークが増加し、ある温度に達
すると減少している。これは温度の上昇に伴いオイル粘
度が低下すること及びリングが膨張し合い口すきまが減
少することと関係している。
【0166】低温(−30℃付近)では合い口すきまが
大きくてもオイル粘度が高いためリークは少ない。温度
上昇に伴いリングが膨張すると合い口すきまは減少しリ
ークは少なくなるべきであるが、オイル粘度は低下0℃
付近まではリークし易くなる。即ち、0℃付近までは合
い口すきま減少の効果がオイル粘度低下分をカバーでき
ずリークが増加する。その後、合い口すきま減少の効果
がオイル粘度低下分よりも大きくなりリークは減少し、
最終的には合い口すきまがゼロとなりリークもゼロとな
る。
【0167】アングルカットについては、合い口すきま
がストレートカットのものと同じにもかかわらずストレ
ートカットに比べてリークは少ない。これは、アングル
にカットすることでリークに影響するすきまはアングル
の角度により決定されると考えられるためである。
【0168】アングルカットでは温度上昇に伴い一度リ
ークがゼロとなった後、再びリークが増える傾向が認め
られる。これは、合い口部が突き合い、すきまがゼロと
なった後は合い口部で横ずれが起こりリングの側面から
リークするためである。
【0169】以上のように従来型シールリングの合い口
形状ではオイルリークは温度の影響を受けやすい。
【0170】一方、熱可塑性全芳香族系ポリエーテルケ
トン樹脂の合い口特殊複雑形状についてみると、合い口
すきまからのリークは図14のg2 でシールされ、側面
からのリークはg1 でシールされるので、基本的にはリ
ークはゼロである。しかし、寸法公差により微小すきま
が生ずるのでリークがあるが非常に少ない。
【0171】
【発明の効果】この発明のシールリングは、以上のごと
きものであるから、シール対象液が潤滑溝を通ってシー
ル性を損わない程度にリング側面のシール面を内外方向
にリークするため、相手材との相対回転によりシール面
の全幅にわたる潤滑膜が全周にわたり形成される。
【0172】このため、シール面の全面にわたる潤滑性
が改善され、耐摩耗性が向上し、更に相手材を磨耗させ
ない効果がある。
【0173】また、4コーナ部に段差部を形成すること
により、射出成形時のバリが潤滑溝を閉塞することがな
く、また段差部の分だけ相手材との摺接面積が減少する
ので、回転トルクも低下する効果がある。
【0174】さらにまた、低温から高温まで安定したリ
ーク量のシールリングを提供でき、特定の材質にするこ
とにより、優れた摺動特性を有するシールリングを提供
することができる。
【0175】また、上記の優れた摺動特性を有するシー
ルリングが得られるので、油圧流体クラッチを有する変
速機等の自動変速機に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a−1)第1実施例の正面図 (a−2)他の実施例の正面図 (b)(a−1)の一部拡大正面図 (c)同上の一部拡大平面図 (d)(b)図のd−d線断面図 (e)(b)図のe−e線断面図 (f)(d)図の一部シリンダ拡大断面図
【図2】第1実施例の成形時の断面図
【図3】(a)第2実施例の一部拡大正面図 (b)同上の断面図
【図4】(a)第3実施例の一部拡大正面図 (b)同上の断面図
【図5】(a)(b)シールリングの他の諸例の断面図
【図6】(a)比較例1の一部拡大正面図 (b)同上のb−b線断面図
【図7】(a)比較例2一部拡大正面図 (b)同上のb−b線の断面図
【図8】(a)従来例の使用状態の拡大断面図 (b)同上の成形時の拡大断面図
【図9】(a)従来例の一部拡大正面図 (b)同上の断面図
【図10】(a)他の従来例の一部拡大正面図 (b)同上の断面図
【図11】この発明のオイルシールリングの一例を示す
正面図
【図12】オイルシールリングの熱固定処理を示す断面
【図13】(a)この発明のオイルシールリングの他の
一例を示す正面図 (b)同上の一部拡大正面図 (c)同上の一部拡大平面図 (d)(b)図のd−d線断面図 (e)(b)図のe−e線断面図 (f)(d)図の一部拡大断面図
【図14】(a)この発明のオイルシールリングの合い
口の一例を示す一部正面図 (b)同上の一部拡大平面図 (c)同上の一部斜視図
【図15】図14に段差部を設けた一部斜視図
【図16】(a)従来のオイルシールリングの合い口の
他の一例を示す一部正面図 (b)同上の一部拡大平面図
【図17】回転試験機を説明する縦断面図
【図18】合い口形状とリークの関係を示すグラフ
【図19】シール性試験の油漏れ量と耐久時間の関係を
示すグラフ
【図20】シール性試験の油漏れ量と温度の関係を示す
グラフ
【符号の説明】
20 シールリング 21 シール面 22 潤滑溝 23 クラウニング 24 外周面 25 内周面 26 段差部 27、27′ 直角面 28 傾斜面 29 金型 30 合い口 31 合せ面 32 バリ 33 周溝 34 外径方向溝 35 内径方向溝 36 凹所 101 射出成形品 102 円柱体 103 リングゲージ 104 オイルシールリング 105 合い口 106 注入位置 107 ゲート 110 シールリング 111 シール面 112 潤滑溝 113 面取り部 114 外周面 115 内周面 116 段差部 117 直角面 118 傾斜面 119 合い口 121、121’ 合い口 122 外径面側突起 123、123’ 面取り部 124、124’、124” 面取り部 125、125’ すみ肉 127 外径面側段部 128 段差面 129 先端面 130 突き合わせ面 131 リング外径面 132 外径面側段部内面 133 外径面側突起内側面 134 リング側面 135 段差部 136 外径面側突起内径側面 137 リング内径面 171 軸 172、172’ リング溝 173、173’ オイルシールリング 174 シリンダー 175 油の供給管 178 メスシリンダ

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リング両側面にシール面を形成してなる
    シールリングにおいて、上記シール面にシール性を損わ
    ない範囲の微小な潤滑溝を、その内周から外周に貫通状
    に設けたことを特徴とするシールリング。
  2. 【請求項2】 リング両側面と外周面との間、又はリン
    グ両側面と内周面との間に段差部が設けられ、上記リン
    グ側面と外周面との間の段差部は、上記リング側面に対
    して直角な面及び上記外周面に対して直角な面を有し、
    かつ、上記2つの直角面の間によって形成された傾斜面
    とを有しており、上記リング側面と内周面との間の段差
    部は、上記リング側面に対して直角な面及び上記内周面
    に対して直角な面を有し、かつ、上記2つの直角面の間
    によって形成された傾斜面とを有しているシールリン
    グ。
  3. 【請求項3】 リング両側面と外周面との間、及びリン
    グ両側面と内周面との間に、それぞれ前記潤滑溝の深さ
    より大きい段差部を設けたことを特徴とする請求項1又
    は2に記載のシールリング。
  4. 【請求項4】 矩形断面を有するシールリングの相対す
    る合い口からなる合い口部において、上記合い口は、上
    記矩形断面の4辺のうちそれぞれ相対する2辺の中心部
    を結んで4つの矩形断面部分に分割するとき、上記シー
    ルリングの外径面側に有する2つの矩形断面部分の一方
    の矩形断面部分に突起を設け、上記外径面側の2つの矩
    形断面部分の他方の矩形断面部分に上記突起受け入れる
    切欠部を設け、上記相対する一方の合い口の上記突起を
    嵌合する位置に他方の合い口の上記切欠部を形成したこ
    とを特徴とするシールリング。
  5. 【請求項5】 上記突起の先端面と上記突起と相対向す
    る切欠部の段差面との間にシール性を損なわない範囲の
    間隔を有していることを特徴とする請求項4に記載のシ
    ールリング。
  6. 【請求項6】 矩形断面を有するシールリングの相対す
    る合い口からなる合い口部において、上記それぞれの合
    い口の上記シールリングの内径面側の上記2つの矩形断
    面部分からなる突き合わせ面は、互いに平行であり、上
    記相対する合い口を突き合わせたとき、一方の合い口の
    突き合わせ面と他方の合い口の突き合わせ面は、シール
    性を損なわない範囲の間隙を有することを特徴とする請
    求項4又は5に記載の記載のシールリング。
  7. 【請求項7】 矩形断面を有するシールリングの相対す
    る合い口からなる合い口部において、上記シールリング
    の外径面側であって、上記突起の先端面と上記突起と相
    対向する切欠部の段差面との間の外径面側間隙と、上記
    シールリングの内径面側であって、上記一方合い口の突
    き合わせ面と他方の合い口の突き合わせ面の間の内径面
    側間隙とは、等しいか、あるいは、上記外径面側間隙間
    隙は上記内径面側間隙よりも長い間隙としたことを特徴
    とする請求項6に記載のシールリング。
  8. 【請求項8】 上記突起の長さがシールリングの展開長
    さの0.01〜0.1倍の長さであることを特徴とする
    請求項4のシールリング。
  9. 【請求項9】 上記間隙の長さがシールリングの展開長
    さの0.001〜0.01倍の長さであることを特徴と
    する請求項5から7のいずれかに記載のシールリング。
  10. 【請求項10】 熱可塑性芳香族系耐熱合成重合体90
    〜50重量%、強化ファイバ10〜50重量%を含有す
    る樹脂組成物からなる請求項1から9のいずれかに記載
    のシールリング。
  11. 【請求項11】 潤滑性付与剤を添加することを特徴と
    する請求項10に記載のシールリング。
  12. 【請求項12】 前記強化ファイバの引張強度が550
    〜1000MPa、ビッカース硬度(Hv)が400〜
    600であることを特徴とする請求項10又は11に記
    載のシールリング。
  13. 【請求項13】 前記強化ファイバは、ファイバ長0.
    01〜0.1mm、ファイバ径1〜25μmであること
    を特徴とする請求項10から12のいずれかに記載のシ
    ールリング。
  14. 【請求項14】 前記熱可塑性芳香族系耐熱合成重合体
    は、熱可塑性芳香族系ポリエーテルケトン樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載の
    シールリング。
  15. 【請求項15】 前記強化ファイバは、カーボン系ファ
    イバであることを特徴とする請求項10から14のいず
    れかに記載のシールリング。
  16. 【請求項16】 前記強化ファイバは、ピッチ系カーボ
    ンファイバであることを特徴とする請求項10から14
    のいずれかに記載のシールリング。
  17. 【請求項17】 上記潤滑性付与剤は、フッ素系樹脂、
    グラファイト、二硫化モリブデンのうち少なくとも1種
    類の潤滑性付与剤であることを特徴とする請求項11か
    ら16のいずれかに記載のシールリング。
  18. 【請求項18】 上記シールリングを自動変速機用のオ
    イルシールリングとして用いられることを特徴とする請
    求項1から17のいずれかに記載のシールリング。
  19. 【請求項19】 前記自動変速機は、油圧流体クラッチ
    を有する変速機であることを特徴とする請求項1から1
    8のいずれかに記載のシールリング。
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