JP2007278470A - シールリング、シール装置及び自動変速機 - Google Patents

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信也 都築
Toshio Oka
登志夫 岡
Takahiro Sasagawa
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Abstract

【課題】液圧路内に気体が混入してしまった場合に、該気体を液圧路外に排出させることができるシール装置、シールリング及び自動変速機を提供する。
【解決手段】入力軸102の外周面102aには、周溝115と、軸方向において周溝115の開口115aの両側に形成された一対の環状溝119とが形成されている。そして、各環状溝119内には、シールリング13がそれぞれ収容され、該シールリング13は、そのシールリング13の外周面13bがスリーブ103の内周面103aに摺接するように配置されている。また、各シールリング13の軸方向における両側面13c,13dのうち周溝115とは反対側の遠面13cには、径方向に向けて延びるスリット16が形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、液圧路内を流通する液体が液圧路外に溢出することを抑制するためのシールリング、該シールリングを有するシール装置、及び該シール装置を有する自動変速機に関する。
一般に、車両用の自動変速機は、作動油及び潤滑油等として機能するATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)が貯留されたトランスミッションケース(以下、「T/Mケース」という。)を備えている(例えば特許文献1参照)。T/Mケース内には、遊星歯車装置などからなる変速機構が収容され、該変速機構には、シール装置が設けられている。このシール装置は、エンジン等の駆動源の駆動に基づく動力を変速機構に入力するための入力軸(筒状部材)が設けられ、該入力軸上には、有底略円筒状のクラッチドラムが配設されている。すなわち、このクラッチドラムの内底面中央部からは円筒状のボス部が軸方向に突出形成されており、該ボス部が入力軸に回転支持されている。
また、T/Mケース内には、クラッチドラムに対して接離するように入力軸の軸方向に沿って移動可能なピストンが設けられている。すなわち、ピストンは、クラッチドラムのボス部の外周面上に軸方向への摺動自在に支持されている。そして、ピストンとクラッチドラムとの対向面間には、油密状態のシリンダ油室が形成され、該シリンダ油室は、クラッチドラムのボス部に貫通形成された径方向孔を介して入力軸に形成されたクラッチ油路と連通している。
また、クラッチドラムのボス部には、ピストンから見て軸方向においてクラッチドラムとは反対側となる位置にキャンセルプレートがスナップリングにより移動が規制された状態で支持されている。そして、このキャンセルプレートとピストンとの間にはリターンスプリングが配設され、該リターンスプリングの付勢力により、ピストンは、常にクラッチドラムに接近する方向へ付勢されている。
上記入力軸内には、該入力軸の軸方向に沿う第1油路が形成されており、該第1油路から入力軸の外周面に向けて延びる油孔が形成されている。また、入力軸の外周面とボス部の内周面との間には、両者間のクリアランスを介して入力軸に形成された油孔から供給されるATFが外部に流出することを規制する一対のシールリングが油孔の両側にそれぞれ配設されている。すなわち、入力軸の外周面には、その軸方向において油孔を両側から挟む二位置に環状溝がそれぞれ形成され、該各環状溝内に各シールリングがそれぞれ収容されている。
以上のように、特許文献1に記載の変速機構では、クラッチを係合させる場合には、入力軸に形成された第1油路、及び一対のシールリングの間などを介してATFをシリンダ油室内に流入させ、該シリンダ油室内に流入したATFの押圧力によりピストンをクラッチドラムから離間する方向へ移動させるようにしている。
なお、入力軸の各環状溝内に収容されるシールリングとしては、例えば特許文献2に記載されるように、該シールリングの上記軸方向と直交する両側面のうち油孔に近い側の側面(以下、「近面」という。)に径方向に沿って延びるスリットが形成されることもある。すなわち、特許文献2では、クラッチ係合時に油孔側から環状溝内にATFが高圧で流入した場合には、その油圧でシールリングが油孔から離れる方向へ環状溝内を移動し、その両側面のうち油孔から遠い側の側面(以下、「遠面」という。)が環状溝の内側面に圧接するようになっている。そして、このようにシールリングの遠面が環状溝の内側面に圧接することにより、油孔側から環状溝内まで溢出した高圧のATFが外部へ流出することを抑制している。
その一方、特許文献2では、クラッチ解除のためにATFがドレーンされた際には、その際に発生する負圧でシールリングが油孔に近づく方向へ環状溝内を移動し、その近面が環状溝の内側面に圧接された場合には、その近面に形成されたスリットを介して外部から空気が油孔側に導入されるようにしている。そして、そのように外部からスリットを介して油孔内に積極的に空気を導入することにより、上記した負圧の緩和を図り、速やかにATFをドレーンできるようにしている。
特開2005−273768号公報(図2) 実開平7−20457号公報(図1)
ところで、上記の変速機構で用いられるATFは、クラッチドラム等の回転によりATFが攪拌されることによって、極微少ながら空気(気体)が混入してしまうことがあった。ここで、ATFが例えば第1油路のようなATF供給油路(液圧路)内において、クラッチの係合圧が掛かっていない状態で長時間滞留した場合には、ATFに混入された極微小な空気が集められ、空気包が形成される。特に、特許文献1に示すように、クラッチの係合圧を供給するクラッチ圧路が入力軸のような回転される部材である場合には、特に空気包が形成されやすい。そして、このように第1油路内に空気包が混入してしまった場合には、クラッチの係合時に係合圧が供給される際に、シリンダ油室へ空気包が入りこんでしまう。そのため、ATF供給油路内に空気が混入してしまった場合には、混入していない場合に比して、上記シリンダ油室内に流入したATFによりピストンをクラッチドラムから離間させる方向へ押圧する押圧力が弱くなってしまうことがあった。したがって、ATF供給油路に空気が混入してしまった場合には、該空気をATF供給油路外に排出させる必要がある。
ところが、上述した第1油路等のATF供給油路には、空気を外部に排出させるための機構が設けられていない。ちなみに、特許文献2において、入力軸の外周面とボス部の内周面との間からATFが外部に流出することを規制するために入力軸の環状溝内に収容されるシールリングには、空気の通過を許容するスリットが形成されている。しかし、そのスリットは、各シールリングの近面(ATF供給油路に面している側)に形成されており、クラッチ係合時に環状溝の内側面に圧接する遠面には形成されていない。したがって、特許文献2に記載のシールリングを用いた場合においても、高圧のATFが油孔側から環状溝内に流入し、更にその環状溝内から外部に流出しようとするクラッチ係合時には、やはり空気の排出経路が確保されないため、ATF供給油路内から空気を外に排出させることができなかった。
そのため、ATF供給油路内に空気が混入してしまった場合においてピストンによって摩擦係合要素を係合させるためには、シリンダ油室内に空気がATF供給油路内に混入していない場合に比して、ATFを多く供給する必要があった。したがって、ATFの供給に費やす時間が長くなり、その分、変速機構101の応答遅れが発生してしまうおそれがあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液圧路内に気体が混入してしまった場合に、該気体を液圧路外に排出させることができるシール装置、シールリング及び自動変速機を提供することにある。
上記目的を達成するために、シール装置にかかる請求項1に記載の発明は、筒状部材と、該筒状部材が挿入される筒状の被挿入部材と、前記筒状部材の外周面に形成された液圧路の開口から前記筒状部材の延設方向に離間し且つ前記開口を挟んで配置された環状溝に収容されるシールリングとを備えるシール装置であって、前記各シールリングのうち少なくとも一方には、前記環状溝内に収容された状態において前記液圧路の開口から前記筒状部材の外周面と前記被挿入部材の内周面との間に溢出する液体の液圧を受けた場合に、前記液圧路の開口と、前記シールリングに対して前記液圧路の開口とは反対側の空間とを連通させる連通路が形成されていることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシール装置において、前記シールリングの外周面において前記延設方向と交差する前記シールリングの両側面間に亘って延びるように形成されるスリットからなることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のシール装置において、前記連通路は、前記シールリングは、合口を有する円環状に形成されており、前記スリットは、前記シールリングの中心を基準とした前記合口と点対称となる反対側部位と前記シールリングの中心とを結ぶ第1仮想線と、該第1仮想線とは別に前記シールリングの中心を通過する第2仮想線との交差角度が55度を越えることになる部位に形成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載のシール装置において、前記シールリングは、合口を有する円環状に形成されており、前記スリットは、前記合口とシールリングの中心とを結ぶ中心仮想線と、該中心仮想線とは別に前記シールリングの中心を通過する範囲指定仮想線との交差角度が10度を越えることになる部位に形成されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のシール装置において、前記連通路は、前記延設方向と交差する前記シールリングの両側面のうちで前記液圧路の開口とは反対側の側面に内周面と外周面との間に亘って延びるように形成されているスリットからなることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のシール装置において、前記シールリングは、合口を有する円環状に形成されており、前記スリットは、該スリットが形成された前記シールリングの側面上において前記合口と該合口を基準とし前記シールリングの中心に対して点対称となる反対側部位とを結ぶ第1仮想線及び該第1仮想線と平行に延びる第2仮想線の間の距離寸法を前記シールリングの外径寸法で除した場合の値が0.32を越えることになる部位に形成されていることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載のシール装置において、前記連通路は、その通路断面積が0.02〜0.36mm2 となるように形成されていることを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のうち何れか一項に記載のシール装置において、前記連通路は、該連通路の断面形状を画定する沿面距離が0.6〜2.4mmとなるように形成されていることを要旨とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のうち何れか一項に記載のシール装置において、底部、該底部から前記延設方向に沿うように形成された外側筒部、及び前記底部から前記延設方向に沿うと共に前記外側筒部に内包されるように形成された内側筒部を有するクラッチドラムと、前記外側筒部に支持される摩擦部材と、前記内側筒部の外周面側に前記延設方向への摺動が可能な状態で支持されると共に、前記摩擦部材に接近する方向に摺動した場合には該摩擦部材を押圧するピストンと、該ピストンと前記クラッチドラムの底部との間に油蜜状に形成されるシリンダ油室と、前記内側筒部に形成されると共に、前記シリンダ油室に液体を供給可能とする油孔とを有するクラッチ装置を有し、前記内側筒部は、前記被挿入部材として機能するように構成されていることを要旨とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のシール装置において、前記筒状部材は、前記延設方向に延びる中心軸線を中心に回転するように設けられていることを要旨とする。
一方、自動変速機にかかる請求項11に記載の発明は、トランスミッションケース内に変速機構が収容されてなる自動変速機であって、前記変速機構は、入力軸の入力回転を減速した減速回転を出力可能な減速プラネタリギヤと、少なくとも4つの回転要素を有するプラネタリギヤセットと、該プラネタリギヤセットの第1の回転要素に前記減速回転を伝達可能とする第1減速伝達クラッチと、前記プラネタリギヤセットの第2の回転要素に前記減速回転を伝達可能とする第2減速伝達クラッチと、前記プラネタリギヤセットの第3の回転要素に前記入力軸の入力回転を伝達可能とする入力伝達クラッチと、前記プラネタリギヤセットの第2の回転要素を前記トランスミッションケースに対して係止可能とする第1係止手段と、前記プラネタリギヤセットの第3の回転要素を前記トランスミッションケースに対して係止可能とする第2係止手段と、前記プラネタリギヤセットの第4の回転要素に接続される出力部材と、請求項9又は請求項10に記載されたシール装置と、を備え、前記クラッチ装置は、前記第1減速伝達クラッチを含んだ構成とされていることを要旨とする。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の自動変速機において、前記第1減速伝達クラッチを係合状態にするとともに、前記第2係止手段にて前記第3の回転要素を前記トランスミッションケースに係止させることにより前進第1速段を、前記第1減速伝達クラッチを係合状態にするとともに、前記第1係止手段にて前記第2の回転要素を前記トランスミッションケースに係止させることにより前進第2速段を、前記第1減速伝達クラッチを係合状態にするとともに、前記第2減速伝達クラッチを係合状態にすることにより前進第3速段を、前記第1減速伝達クラッチを係合状態にするとともに、前記入力伝達クラッチを係合状態にすることにより前進第4速段を、前記入力伝達クラッチを係合状態にするとともに、前記第2減速伝達クラッチを係合状態にすることにより前進第5速段を、前記入力伝達クラッチを係合状態にするとともに、前記第1係止手段にて前記第2の回転要素を前記トランスミッションケースに係止させることにより前進第6速段を、前記第2係止手段にて前記第3の回転要素を前記トランスミッションケースに係止させるとともに、前記第2減速伝達クラッチを係合状態にすることにより後退段を、それぞれ達成することを要旨とする。
他方、シールリングにかかる請求項13に記載の発明は、円環状をなすように形成されたシールリングにおいて、外周面には、その軸線方向と交差する両側面側に亘るスリットが形成されたことを要旨とする。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載のシールリングにおいて、合口を有する円環状に形成されており、前記スリットは、前記スリットは、前記シールリングの中心を基準とした前記合口と点対称となる反対側部位と前記シールリングの中心とを結ぶ第1仮想線と、該第1仮想線とは別に前記シールリングの中心を通過する第2仮想線との交差角度が55度を越えることになる部位に形成されていることを要旨とする。
請求項15に記載の発明は、請求項13又は請求項14に記載のシールリングにおいて、合口を有する円環状に形成されており、前記スリットは、前記合口とシールリングの中心とを結ぶ中心仮想線と、該中心仮想線とは別に前記シールリングの中心を通過する範囲指定仮想線との交差角度が10度を越えることになる部位に形成されていることを要旨とする。
請求項16に記載の発明は、請求項13〜請求項15のうち何れか一項に記載のシールリングにおいて、前記スリットは、その断面積が0.02〜0.36mm2 となるように形成されていることを要旨とする。
請求項17に記載の発明は、請求項13〜請求項16のうち何れか一項に記載のシールリングにおいて、前記スリットは、該スリットの断面形状を画定する沿面距離が0.6〜2.4mmとなるように形成されていることを要旨とする。
本発明によれば、液圧路内に気体が混入してしまった場合に、該気体を液圧路外に排出させることができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明を車両に搭載される自動変速機に具体化した第1の実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の自動変速機80は、トルクコンバータ81と、T/Mケース(トランスミッションケース)100内に収容される変速機構101とを備えている。トルクコンバータ81は、図示しないエンジンの回転駆動に基づき回転するコンバータハウジング82と、該コンバータハウジング82に連結されるポンプシェル83と、該ポンプシェル83の回転に基づき発生したATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)の油流などに基づき回転するタービンランナ84とを備えている。このタービンランナ84は、変速機構101側から延設される入力軸102に連結されている。
この変速機構101は、トルクコンバータ81のタービンランナ84の回転に基づき回転する入力軸102と、変速機構101の駆動を外部に出力するための出力部材としての出力軸86と、プラネタリギヤユニットGYと、カウンタギヤ機構(図示略)と、ディファレンシャル装置(図示略)とを備えている。なお、本実施形態の変速機構101は、図1及び図2に示すように、ラビニョ式のプラネタリギヤセットGを主体とする前進6速・後進1速の変速機構である。
プラネタリギヤユニットGYは、少なくとも4つの回転要素を有するプラネタリギヤセットGと、入力軸102の回転(入力回転)を減速した減速回転をプラネタリギヤセットGに出力する減速プラネタリギヤG1とから構成されている。この減速プラネタリギヤG1は、T/Mケース100に支持されるサンギヤS1と、入力軸102に連結されるリングギヤR1と、該各ギヤS1,R1を噛合させるピニオンギヤP1と、該ピニオンギヤP1を支持するキャリアCR1とを備えている。また、減速プラネタリギヤG1には、該減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転(減速回転)を後述するプラネタリギヤセットGのサンギヤS2に入力する第1減速伝達クラッチC−1と、サンギヤS3に入力する第2減速伝達クラッチC−3とがそれぞれ設けられている。
一方、プラネタリギヤセットGは、後述するサンギヤS2よりも大径のサンギヤ(第1の回転要素)S3と、出力軸86に連結されるリングギヤ(第4の回転要素)R2と、該各ギヤS3,R2を噛合させるロングピニオンギヤP3と、該ロングピニオンギヤP3を支持するキャリアCR3とを備えている。サンギヤS3は、T/Mケース100に設けられたブレーキ(第1係止手段)B−1により係止自在に構成されている。
また、プラネタリギヤセットGは、サンギヤS3よりも小径のサンギヤ(第2の回転要素)S2と、該サンギヤS2及びロングピニオンギヤP3に噛合するショートピニオンギヤP2と、該ショートピニオンギヤP2を支持するキャリア(第3の回転要素)CR2とを備えている。プラネタリギヤセットGのキャリアCR2は、入力軸102と入力伝達クラッチC−2を介して連結可能とされるとともに、T/Mケース100に設けられた第2係止手段としてのブレーキB−2及びワンウェイクラッチF−1に係止自在に構成されている。
次に、本実施形態の自動変速機80の作用について図2に基づき以下説明する。
図2に示すように、ドライブレンジ(前進走行レンジ)における前進第1速段(1ST)では、第1減速伝達クラッチC−1を係合状態にするとともに、ワンウェイクラッチF−1を作動させることにより、キャリアCR2を係止させる。すなわち、キャリアCR2の逆回転が、ワンウェイクラッチF−1によって阻止される。すると、入力軸102の入力回転は、減速プラネタリギヤG1に伝達され、該減速プラネタリギヤG1によって減速される。そして、減速された減速回転が、キャリアCR1及び第1減速伝達クラッチC−1を介してプラネタリギヤセットGに入力される。すると、プラネタリギヤセットGでは、キャリアCR2が停止状態であるため、サンギヤS3は空転するとともに、リングギヤR2を正方向に大幅に減速させた状態で回転させ、その減速した回転(減速回転)が出力軸86に出力される。
ドライブレンジにおける前進第2速段(2ND)では、第1減速伝達クラッチC−1を係合状態にするとともに、ブレーキB−1を係合状態にする一方で、ワンウェイクラッチF−1の係合状態を解消させる。すると、第1速段時では空転状態であったサンギヤS3がブレーキB−1によって係止される。また、リングギヤR1の回転は、第1減速伝達クラッチC−1を介してサンギヤS2に入力されるが、サンギヤS3が停止状態にあるため、リングギヤR2の減速された回転(減速回転)が出力軸86に出力される。
ドライブレンジにおける前進第3速段(3RD)では、第1減速伝達クラッチC−1を係合状態にするとともに、第2減速伝達クラッチC−3を係合状態にする一方で、ブレーキB−1の係合状態を解消させる。すると、入力軸102の入力回転は、リングギヤR1及び第1減速伝達クラッチC−1を介してサンギヤS2に入力されるだけではなく、第2減速伝達クラッチC−3を介してサンギヤS3にも入力される。そのため、プラネタリギヤセットG全体が直結状態となり、該直結状態に基づく回転がリングギヤR2を介して出力軸86に出力される。
ドライブレンジにおける前進第4速段(4TH)では、第1減速伝達クラッチC−1を係合状態にするとともに、入力伝達クラッチC−2を係合状態にする一方で、第2減速伝達クラッチC−3の係合状態が解消される。すると、入力軸102の入力回転は、リングギヤR1及び第1減速伝達クラッチC−1を介してサンギヤS2に入力されるだけではなく、リングギヤR1及び入力伝達クラッチC−2を介してキャリアCR2にも入力される。そのため、プラネタリギヤセットGでは、サンギヤS3を空転させつつ、リングギヤR2から僅かに増速された回転が出力軸86に出力される。
ドライブレンジにおける前進第5速段(5TH)では、入力伝達クラッチC−2を係合状態にするとともに、第2減速伝達クラッチC−3を係合状態にする一方で、第1減速伝達クラッチC−1の係合状態を解消させる。すると、入力軸102の入力回転は、リングギヤR1及び入力伝達クラッチC−2を介してキャリアCR2に入力されるだけではなく、減速プラネタリギヤG1のリングギヤR1及び第2減速伝達クラッチC−3を介してサンギヤS3にも入力される。これにより、プラネタリギヤセットGでは、サンギヤS2を空転させつつ、リングギヤR2の僅かに増速された回転が出力軸86に出力される。
ドライブレンジにおける前進第6速段(6TH)では、入力伝達クラッチC−2を係合状態にするとともに、ブレーキB−1により、減速プラネタリギヤG1からプラネタリギヤセットGへの動力伝達を抑制させる。すると、入力軸102の回転は、入力伝達クラッチC−2を介してキャリアCR2に入力されるが、サンギヤS3が停止状態にあるため、プラネタリギヤセットGでは、入力伝達クラッチC−2及びキャリアCR3の作動により増速した回転がリングギヤR2から出力軸86に出力される。
後退段としてのリバースレンジ(REV)では、第2減速伝達クラッチC−3を係合状態にするとともに、ブレーキB−2を作動させることにより、キャリアCR2を係止させる。すると、入力軸102の回転は、リングギヤR1及び第2減速伝達クラッチC−3を介してサンギヤS3に入力される。しかし、リバースレンジでは、キャリアCR2がブレーキB−2により係止されているため、リングギヤR2が逆回転して、該逆回転が出力軸86に出力される。
上述したように、本実施形態の自動変速機80では、変速段が前進第5速段又は前進第6速段である場合、第1減速伝達クラッチC−1が解放された状態であるため、変速段が他の前進速段(1ST、2ND、3RD及び4TH)である場合に比して、入力軸102は、安定した高回転で回転する。このように入力軸102が高回転状態である場合では、入力軸102内に形成された第1油路112などからなるクラッチ油圧路120内を流動するATF内に空気包(気体)が発生してしまうことがあった(図3参照)。そして、クラッチ油圧路120内に空気包が発生した状態で前進第5段速から前進4段速へのダウンシフトが実行された場合には、第1減速伝達クラッチC−1が解放された状態から係合状態に移行する。この場合、第1減速伝達クラッチC−1のシリンダ油室108(図4参照)内に空気包が混入するおそれがあり、変速機構101の応答遅れが発生する可能性がある。よって、当該自動変速機には、後述する本実施形態のシールリング(スリット付きのシールリング)を使用することが好適である。
次に、本実施形態の変速機構101について図3及び図4に基づき詳述する。
図3及び図4に示すように、本実施形態の変速機構101は、T/Mケース100内に収容されると共に、シール装置Aを備えている。このシール装置Aには、エンジン等の駆動源の駆動に基づく動力を変速機構101に入力するための入力軸(筒状部材)102が設けられると共に、該入力軸102上には、スリーブ103を介して有底略円筒状のクラッチドラム104が配設されている。
このクラッチドラム104には、その周壁(外側筒部)104aに複数枚(本実施形態では4枚)の摩擦係合板(摩擦部材)121が取着されると共に、その内底面中央部からは円筒状のボス部105が入力軸102の延設方向に突出形成されている。そして、このボス部105の内周面と入力軸102の外周面102aとの間にスリーブ103が嵌入されることにより、クラッチドラム104は、変速機構101の入力軸102に対して軸方向(回転軸線Lの延設方向であって、入力軸102の延設方向でもある。)への移動不能な状態で入力軸102と一体回転するように支持されている。したがって、本実施形態では、ボス部105及びスリーブ103が、クラッチドラム104の内側筒部として機能すると共に、入力軸(筒状部材)102が挿入される略円筒形状の被挿入部材としても機能するようになっている。なお、クラッチドラム104におけるボス部105の内周面とクラッチドラム104の内周面に圧入されたスリーブ103の外周面との間には、ボス部105の内周面の一部に溝を形成するにより、ATFの流路となるクラッチ油路106が形成されている。
また、シール装置Aには、クラッチドラム104に対して接離するように入力軸102の軸方向に沿って移動可能なピストン107が設けられている。すなわち、ピストン107は、クラッチドラム104のボス部105の外周面上に上記軸方向への摺動自在に支持されている。そして、ピストン107とクラッチドラム104の底部104bとの対向面間には、ATFを滞留可能なシリンダ油室108が形成され、該シリンダ油室108は、クラッチドラム104のボス部105に貫通形成された径方向孔109を介してクラッチ油路106と連通している。
また、クラッチドラム104のボス部105には、ピストン107から見て上記軸方向においてクラッチドラム104とは反対側となる位置にキャンセルプレート110がスナップリングにより移動が規制された状態で支持されている。そして、このキャンセルプレート110とピストン107との間にはリターンスプリング111が配設され、該リターンスプリング111の付勢力により、ピストン107は、常にクラッチドラム104に接近する方向へ付勢されている。すなわち、シリンダ油室108内へのATFの流入出により、ピストン107が軸方向に沿って移動した場合には、変速機構101における摩擦係合板121,122同士が係合したり、その係合が解消されたりするようになっている。したがって、本実施形態では、クラッチドラム104、ピストン107、キャンセルプレート110、リターンスプリング111、クラッチドラム104に支持される摩擦係合板(摩擦部材)121、及び該摩擦係合板121に係合可能な摩擦係合板122により、第1減速伝達クラッチC−1が構成されている。
上記入力軸102内には、該入力軸102の軸方向に沿う第1油路112が形成され、該第1油路112は、変速機構101の中間軸113内のATF用流路114に対しめくら栓により遮断されている。また、入力軸102の外周面102a上においてスリーブ103の内周面103aと相対する部分には周溝115が形成され、該周溝115は、入力軸102内に径方向に沿うように形成された第2油路116を介して第1油路112と連通している。すなわち、入力軸102の外周面102aには、該入力軸102内からATFを流出させるための開口115aが形成されている。さらに、スリーブ103には、入力軸102の周溝115と上記クラッチ油路106とを連通させる径方向孔117が形成されている。したがって、本実施形態では、クラッチ油路106及び径方向孔117により、シリンダ油室108にATFを供給可能な油孔が構成されている。また、変速機構101では前述した各油路と周溝及び各孔(第1油路112、第2油路116、周溝115、径方向孔117、クラッチ油路106、及び径方向孔109)により、クラッチ油圧路(液圧路)120が構成されている。
変速機構101における摩擦係合板121,122同士を係合させる場合には、クラッチ油圧路120内を流動したATFがピストン107とクラッチドラム104との間のシリンダ油室108内に流入するようになっている。そして、シリンダ油室108内に流入したATFの押圧力により、ピストン107は、クラッチドラム104の底部104bから離間する方向へ移動するようになっている。すなわち、本実施形態のシール装置Aは、クラッチドラム104、摩擦係合板(摩擦部材)121、ピストン107、シリンダ油室108及び油孔(クラッチ油路106及び径方向孔117)を有するクラッチ装置Bを備えた構成とされている。
また、図4に示すように、入力軸102の外周面102aとスリーブ103の内周面103aとの間には、両者間のクリアランスを介して周溝115内のATFが外部に流出することを規制する一対のシールリング13が上記軸方向における周溝115の両側にそれぞれ配設されている。すなわち、入力軸102の外周面102aには、その軸方向において周溝115を両側から挟む二位置に環状溝119がそれぞれ形成され、該各環状溝119内に各シールリング13がそれぞれ収容されている。
そして、各環状溝119内に配設されたシールリング13は、クラッチ油圧路120内を流動するATFが入力軸102とスリーブ103との間のクリアランス11を介して外部へ流出することを抑制している。なお、本実施形態のシール装置Aでは、クラッチ油圧路(液圧路)120内をATFが流動する場合、各シールリング13には、例えばフルスロットル時等において最大で「1.4MPa」の油圧がそれぞれかかる。
次に、本実施形態のシールリング13について図4〜図7に基づき以下説明する。
本実施形態のシールリング13は、図5に示すように、短冊状をなす可撓性材料の長手方向における両端同士を対向させることにより略円環状に形成されている。このシールリング13は、図6に示すように、その軸方向の厚みdが「1.6mm」であると共に、その外径寸法Dが「31.47mm」となるように形成されている。そして、クラッチ油圧路120内を第1油路112側からピストン107とクラッチドラム104との対向面間のシリンダ油室108側に向けてATFが流動する場合、図4に示すように、各シールリング13の内周面13aと各環状溝119の底面119aとの間には、隙間14がそれぞれ形成されるようになっている。また、各シールリング13の外周面13bは、スリーブ103の内周面103aにそれぞれ摺接(当接)するようになっている。
さらに、各シールリング13の上記軸方向と交差する両側面のうち、クラッチ油圧路120とは反対側の一方側面(以下、クラッチ油圧路120からは遠い側の面であることから「遠面」ともいう。)13cは、各環状溝119において遠面13cに相対する内側面(一方側の内側面)119bにそれぞれ圧接するようになっている。一方、各クラッチ油圧路120側の他方側面(以下、クラッチ油圧路120に近い側の面であることから「近面」ともいう。)13dと、各環状溝119において近面13dに相対する内側面(他方側の内側面)119cとの間には、隙間15がそれぞれ形成されるようになっている。
各シールリング13の遠面13cには、図4及び図5に示すように、該各シールリング13の径方向に沿う連通路としてのスリット16がそれぞれ形成されている。すなわち、スリット16は、シールリング13の内周面13aと外周面13bとの間に亘って延びるように形成されている。そして、周溝115内と、該周溝115の開口115aとシールリング13を挟んだ反対側の空間17(以下、「反対側空間」という。)とは、シールリング13と環状溝119との間の隙間14,15及びスリット16を介して連通している。
また、このスリット16は、図7に示すように、シールリング13の合口18と対向する位置からずれた部位に形成されている。シールリング13の遠面13cを側面視した場合に、シールリングの合口両端面をつき合わせた状態で、合口18と該合口18とはシールリング13の中心Pに対して点対称となる反対側部位とを結ぶ第1仮想線L1と、該第1仮想線L1と平行に延びる第2仮想線L2とを描いたとする。そして、この場合において、スリット16は、第1仮想線L1及び第2仮想線L2の間の距離寸法d3をシールリング13の外径寸法Dとの寸法比(d3/D)が「0.32」を越える範囲(図7では破線で囲まれた領域外)の部位に形成されている。本実施形態では、シールリング13の外径寸法Dが「31.47mm」であるため、第1仮想線L1及び第2仮想線L2の間の距離寸法d3が「0〜10mm」になる範囲には、スリット16が形成されていない。なお、以降の記載において、図7にて破線で囲まれた領域のことを、「非形成領域19」と示すものとする。
また、スリット16は、図6に示すように、その断面形状(開口の形状)が略矩形状をなすように形成されている。そして、スリット16は、その通路幅d1が「0.15〜0.6mm」であると共に、その深さd2が「0.1〜0.6mm」となるように形成されている。また、スリット16は、その通路断面積が「0.02〜0.36mm2 」であると共に、その断面形状を画定する沿面距離が「0.6〜2.4mm」となるように形成されている。なお、沿面距離とは、スリット16と環状溝119の内側面119bとにより構成される連通路の開口の外周の長さの総和のことを示すものである。
上述したスリット16の通路幅d1及び深さd2は、シールリング13にスリット16を加工形成する際における設計上の許容値を示している。その一方で、スリット16の通路断面積及び沿面距離は、シールリング13を入力軸102の環状溝119内に収容させた状態における通路断面積及び沿面距離の設定範囲を示している。そのため、通路幅d1及び深さd2がそれぞれ最小値である場合において算出した算出断面積(この場合、「0.015mm2」)が、通路断面積の最小値(この場合、「0.02mm2」)と同一になるものではない。同様に、通路幅d1及び深さd2がそれぞれ最小値である場合において算出した算出延面距離(この場合、「0.5mm」)が、延面距離の最小値(この場合、「0.6mm」)と同一になるものではない。
本実施形態において、スリット16は、その通路幅d1が「0.15mm」であると共に、その深さd2が「0.2mm」となるように形成されている。すなわち、スリット16は、その通路断面積が「0.03mm2 」であると共に、その断面形状を画定する沿面距離が「0.7mm」となる。
次に、クラッチ油圧路120内をATFが流動する際におけるシールリング13の作用について以下説明する。なお、前提として、車両が前進5速段にて長時間移動している際に、クラッチ油圧路120内を流動するATF内には微少ながら空気(気体)が混入してしまったものとする。
さて、ピストン107とクラッチドラム104との間のシリンダ油室108内に向けてクラッチ油圧路120内をATFが流動すると、ピストン107は、該ピストン107とキャンセルプレート110との間のリターンスプリング111の付勢力に抗してクラッチドラム104の底部104bから離間する方向に移動する。すると、このピストン107の移動に伴い該ピストン107から押圧力を受けて、軸方向で隣り合う摩擦係合板121,122同士が互いに係合する。
また、クラッチ油圧路120内を流動する高圧のATFにより、各環状溝119内に収容される各シールリング13には、最大で「1.4MPa」の油圧がそれぞれかかる。そのため、各シールリング13は、ATFからの油圧により、軸方向において周溝115から離間する方向にそれぞれ押圧される結果、それらのシールリング13の遠面13cが、該遠面13cに各別に対応する環状溝119の内側面119bにそれぞれ圧接した状態になる。なお、各シールリング13の近面13dと各環状溝119の内側面119cとの間には、隙間15がそれぞれ形成される。
そして、クラッチ油圧路120内を流動するATF内の空気は、その比重がATFよりも小さい。そのため、中心軸線Lを中心に回転する入力軸102の遠心力によって、比重の大きいATFは、径方向外側へ流動させられる一方、ATF内の比重の小さい空気は、径方向内側へ集められ、例えば入力軸102の第1油路112内に空気包が形成される。ちなみに、上述したように、クラッチ油圧路120内をATFが流動している場合、クラッチ油圧路120内と反対側空間17とは、シールリング13と環状溝119との間の隙間14,15及びスリット16を介して連通している。そのため、第1油路112内に形成された空気包は、入力軸102の外周面102aとスリーブ103の内周面103aとのクリアランス11内を、クラッチ油圧路120内を流動するATFの一部と共にシールリング13が配置される側に向けて流動し、シールリング13と環状溝119との間の隙間14,15内に流入する。
そして、この空気及びATFは、シールリング13のスリット16内を流動し、反対側空間17内に排出される。そのため、クラッチ油圧路120内からは、たとえ該クラッチ油圧路120内を流動するATF内に空気が混入していたとしても、該空気がクラッチ油圧路120外に排出される。その結果、前進5速段から前進4速段にダウンシフトされた場合においても、クラッチ油圧路120内に空気が滞留していることに起因した変速機構101による応答遅れの発生が抑制される。
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)クラッチ油圧路(液圧路)120内に空気(気体)が混入してしまった場合、該空気は、入力軸(軸部材)102の回転に基づき該入力軸102の第1油路112に集められる。そして、この外周面102aに付着した状態の空気は、入力軸(軸部材)102の周溝115の開口115aから入力軸102の外周面102aとスリーブ103の内周面103aとの間のクリアランス11内に溢出したATF(液体)の一部と共に、軸方向において周溝115から離間した方向に流動する。そして、軸方向において周溝115を挟むように形成された各環状溝119内まで流動してきたATF及び空気は、シールリング13に形成されたスリット(連通路)16を介して反対側空間17側に排出される。したがって、クラッチ油圧路120内に空気が混入してしまった場合に、該空気をクラッチ油圧路120外に排出させることができる。
(2)また、本実施形態では、スリット16は、シールリング13の遠面13cに形成されている。そのため、環状溝119とシールリング13との間の隙間14,15間に流入した空気(気体)は、クラッチ油圧路(液圧路)120内におけるATFの液圧によって、シールリング13のスリット16内を介して反対側空間17内に確実に排出させることができる。
(3)もし仮にシールリング13のスリット16から構成される連通路の通路断面積が「0.02mm2 」よりも小さい場合には、クラッチ油圧路(液圧路)120内に混入している空気を反対側空間17側に排出させることが遅れてしまうために、変速機構101による応答遅れが依然として発生してしまうおそれがある。一方、もし仮に連通路の通路断面積が「0.36mm2 」よりも大きい場合には、クラッチ油圧路120内に混入している空気と共に反対側空間17側に排出されるATF(液体)の排出量が多くなりすぎてしまう可能性がある。すなわち、ピストン107とクラッチドラム104との間のATF不足に起因して、リターンスプリング111の付勢力に抗してピストン107をクラッチドラム104の底部104bから離間させる方向に摺動させるための押圧力が低下してしまう結果、やはり変速機構101による応答遅れが発生してしまうおそれがある。しかし、本実施形態では、シールリング13のスリット16は、その通路断面積が「0.03mm2 」となるように形成されている。そのため、クラッチ油圧路120内の空気を反対側空間17側へ排出することが遅れたり、クラッチ油圧路120内から反対側空間17側へのATFの排出量が多くなりすぎたりすることによって、変速機構101による応答遅れが発生することを良好に抑制できる。
(4)もし仮にシールリング13のスリット16から構成される連通路の断面形状を画定する沿面距離が「0.6mm」よりも短い場合には、クラッチ油圧路(液圧路)120内に混入している空気を反対側空間17側に排出させることが遅れてしまうために、変速機構101による応答遅れが発生してしまうおそれがある。一方、もし仮に連通路の断面形状を画定する沿面距離が「2.4mm」よりも長い場合には、クラッチ油圧路120内に混入している空気と共に反対側空間17側に排出されるATF(液体)の排出量が多くなりすぎてしまう可能性がある。すなわち、ピストン107とクラッチドラム104との間のATF不足に起因して、リターンスプリング111の付勢力に抗してピストン107をクラッチドラム104の底部104bから離間させる方向に摺動させるための押圧力が低下してしまう結果、やはり変速機構101による応答遅れが発生してしまうおそれがある。しかし、本実施形態では、シールリング13のスリット16は、連通路の断面形状を画定する沿面距離が「0.7mm」となるように形成されている。そのため、クラッチ油圧路120内の空気を反対側空間17側へ排出することが遅れたり、クラッチ油圧路120内から反対側空間17側へのATFの排出量が多くなりすぎたりすることによって、変速機構101による応答遅れを良好に抑制できる。
(5)スリット16は、シールリング13の合口18とはシールリング13の中心Pに対して点対称となる反対側部位に形成されていない。ここで、シールリング13の合口18とシールリング13の中心Pに対して点対称となる反対側部位は、シールリング13を入力軸(軸部材)102に取り付ける際に、最も負荷のかかる部位である。しかし、本実施形態では、スリット16は、シールリング13の合口18とはシールリング13の中心Pに対して点対称となる反対側部位には形成されていない。そのため、シールリング13の耐久性の低下を抑制できる。したがって、シールリング13の組み付けが困難になることを抑制できる。
(6)もし仮に非形成領域19にスリット16が形成された場合には、上述したように入力軸102にシールリング13を組み付けるときに、スリット16が形成された部位には、応力がかかってしまい、耐久性が低下するおそれがある。しかし、本実施形態では、第1仮想線L1と第2仮想線L2の間の距離寸法d3と、シールリング13の外径寸法Dとの寸法比(d3/D)が0.32以下となるシールリング13の非形成領域19にスリット16が形成されていない。そのため、入力軸102にシールリング13を組み付ける際に、シールリング13にスリット16を形成したことにより、シールリング13の耐久性が低下してしまうことを良好に抑制できる。
(7)もし仮にシールリング13のスリット16の通路幅d1が「0.15mm」よりも狭い場合には、スリット16の深さd2(>0.6mm)が深くなりすぎる可能性があり、入力軸102にシールリング13を組み付けるときに、スリット16が形成された部位には、応力がかかってしまい、耐久性が低下するおそれがある。一方、もし仮にスリット16の通路幅d1が「0.6mm」よりも広い場合には、スリット16の深さd2(<0.1mm)が浅くなりすぎる可能性があり、通路断面積を十分に確保できずに、クラッチ油圧路(液圧路)120内に混入している空気を反対側空間17側に排出させることが遅れてしまうおそれがある。すなわち、変速機構101による応答遅れが発生してしまうおそれがある。しかし、本実施形態では、スリット16は、その通路幅d1が「0.15mm」となるように形成されている。そのため、スリット16の通路幅d1が狭すぎることに起因したシールリング13の耐久性の低下を抑制できると共に、スリット16の通路幅d1が広すぎることに起因したクラッチ油圧路120内の空気の排出の遅れを抑制できる。
(8)もし仮にシールリング13のスリット16の深さd2が「0.1mm」よりも浅い場合には、通路断面積を十分に確保できずに、クラッチ油圧路(液圧路)120内に混入している空気を反対側空間17側に排出させることが遅れてしまい、その結果、変速機構101による応答遅れが発生してしまうおそれがある。一方、もし仮にスリット16の深さd2が「0.6mm」よりも深い場合には、入力軸102にシールリング13を組み付けるときに、スリット16が形成された部位には、応力がかかってしまい、耐久性が低下するおそれがある。しかし、本実施形態では、スリット16は、その深さd2が「0.2mm」となるように形成されている。そのため、スリット16の深さd2が浅すぎることに起因したクラッチ油圧路120内の空気の排出の遅れを抑制できると共に、スリット16の深さd2が深すぎることに起因した入力軸102へのシールリング13の耐久性の低下を抑制できる。
(9)本実施形態のような自動変速機80では、変速段が前進第5速段又は前進第6速段である場合、第1減速伝達クラッチC−1が解放された状態であるため、変速段が他の前進速段(1ST、2ND、3RD及び4TH)である場合に比して、入力軸102は、安定した高回転で回転する。このように入力軸102が高回転状態である場合では、入力軸102内に形成された第1油路112などからなるクラッチ油圧路120内を流動するATF内に空気包が発生してしまうことがあった。しかし、本実施形態のシール装置Aに使用される各シールリング13には、遠面13cにスリット16がそれぞれ形成されている。そのため、入力軸102が高回転状態である場合にクラッチ油圧路120内に発生した空気包は、各シールリング13のスリット16を介して反対側空間17側に排出されることになる。そのため、前進第5段速から前進4段速へのダウンシフトが実行される場合においては、クラッチ油圧路120やシリンダ油室108内に空気が混入することが抑制されるため、変速機構101の応答遅れが発生することを良好に抑制できる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図8に従って説明する。なお、第2の実施形態は、スリットの形成位置が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
図8に示すように、本実施形態のシールリング13は、短冊状をなす可撓性材料の長手方向における両端同士を対向させることにより略円環状に形成されたシールリング13を備えている。このシールリング13の外周面13bには、軸方向に延びる連通路としてのスリット30が形成されている。すなわち、スリット30は、シールリング13の近面13dと遠面13cとの間に亘って延びるように形成されている。そして、周溝115の開口115aと反対側の空間17とは、シールリング13のスリット30を介して連通している。
また、このスリット30は、シールリング13の合口18とはシールリング13の中心Pに対して点対称となる反対側部位から周方向に大きく離れた部位に形成されている。すなわち、シールリング13を側面視した場合に、シールリング13の中心Pを基準とした前記合口18と点対称となる反対側部位とシールリング13の中心Pとを結ぶ第1仮想線L1と、該第1仮想線L1とは別にシールリング13の中心Pを通過する第2仮想線L3とを描いたとする。そして、この場合において、スリット30は、第1仮想線L1と第2仮想線L3との第1交差角度θ1が「0〜55度」になる範囲(図8では破線で囲まれた領域)以外の部位(すなわち、55度を超える範囲)に形成されている。なお、図8では破線で囲まれた領域のことを、「第1非形成領域31」と示すものとする。
また、シールリング13を側面視した場合に、合口18とシールリング13の中心Pとを結ぶ第1仮想線(中心仮想線)L1と、該第1仮想線L1とは別にシールリング13の中心Pを通過する第3仮想線(範囲指定仮想線)L4とを描いたとする。そして、この場合において、スリット30は、第1仮想線L1と第3仮想線L4との第2交差角度θ2が「0〜10度」になる範囲(図8では破線で囲まれた領域)以外の部位(すなわち、10度を超える範囲)に形成されている。なお、図8では破線で囲まれた領域のことを、「第2非形成領域32」と示すものとする。
スリット30は、その断面形状(開口の形状)が略矩形状をなすように形成されている。そして、本実施形態において、スリット30は、その通路幅d1が「0.15mm」であると共に、その深さd2が「0.15mm」となるように形成されている。すなわち、スリット30は、その通路断面積が「0.0225mm2 」であると共に、その断面形状を画定する沿面距離が「0.6mm」となるように形成されている。
本実施形態では、上記第1の実施形態の効果(1),(3)〜(5)及び(7)〜(9)に加え、さらに以下に示す効果をも得ることができる。
(10)本実施形態では、スリット30は、シールリング13の外周面13bに形成されている。そのため、クラッチ油圧路(液圧路)120内に混入した空気(気体)を、周溝115の開口115aから溢出したATFと共に、シールリング13の外周面13bに形成されたスリット30を介して反対側空間17側に確実に排出できる。
(11)もし仮にシールリング13の第1非形成領域31にスリット30が形成された場合には、スリット16が形成された部位には、応力がかかってしまい、耐久性が低下するおそれがある。しかし、本実施形態では、第1仮想線L1と第2仮想線L3との第1交差角度θ1が「0〜55度」になる第1非形成領域31にスリット30が形成されていない。そのため、入力軸102にシールリング13を組み付ける際に、シールリング13にスリット30を形成したことにより、シールリング13の耐久性が低下してしまうことを良好に抑制できる。
(12)入力軸102に取り付けられたシールリング13が熱膨張した場合には、該シールリング13の熱膨張に基づく応力がシールリング13の合口18付近にかかってしまう。しかし、本実施形態では、第1仮想線L1と第3仮想線L4との第2交差角度θ2が「0〜10度」になる第2非形成領域32にスリット30が形成されていない。そのため、シールリング13の熱膨張に基づく応力が大きくかかる合口18付近(第2非形成領域32)以外の部位にスリット30を形成したことにより、シールリング13の耐久性が低下してしまうことを良好に抑制できる。
なお、上記各実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
・第1の実施形態において、スリット16を、シールリング13の遠面13c及び近面13dの両側面に形成してもよい。この場合、遠面13c側のスリット16は、上述したように、クラッチの係合時においてクラッチ油圧路120内の空気包を排出可能とされる一方、近面13d側のスリットは、クラッチの解放時においてシリンダ油室108内に空気を供給させることにより、シリンダ油室108内のATFを速やかに排出させる。また、シールリング13の両側面13c,13dにスリット16が形成された場合には、片方の側面のみにスリット16を形成した場合とは異なり、シールリング13の取り付け向きを考慮することなく、シールリング13を入力軸102に取り付けることができる。したがって、シールリング13を入力軸102に取り付ける際にかかる時間を短縮できる。
・各実施形態において、スリット16,30は、シールリング13の非形成領域19,31以外の部位であれば、シールリング13において任意の位置に形成されてもよい。
・各実施形態において、スリット16,30を、連通路の断面形状を画定する沿面距離が「0.6〜2.4mm」の範囲内に形成することが好適である。
・各実施形態において、スリット16,30を、その通路断面積が「0.02〜0.36mm2 」の範囲内に形成することが好適である。
・各実施形態において、スリット16,30を、その通路幅d1が「0.15〜0.6mm」の範囲内に形成することが好適である。
・各実施形態において、スリット16,30を、その深さd2が「0.1〜0.6mm」の範囲内に形成することが好適である。
・各実施形態において、シールリング13は、そのシールリング13の遠面13c及び外周面13bの両方にスリット16,30が形成されたものであってもよい。この場合、各スリット16,30は、それぞれの通路断面積の和が「0.02〜0.36mm2 」になると共に、それぞれの連通路の断面形状を画定する沿面距離の合計が「0.6〜2.4mm」になるようにそれぞれ形成されることが望ましい。
・第2の実施形態において、シールリング13の外周面13bに形成されるスリット30は、図9に示すように、その断面形状(開口の形状)が三角形状をなすように形成されてもよい。すなわち、スリット30は、V溝状に形成されたものであってもよい。
・また、シールリング13の外周面13bに形成されるスリット30は、図10に示すように、その断面形状(開口の形状)が半円形状をなすように形成されてもよい。
・第1の実施形態において、シールリング13の遠面13cに形成されるスリット16は、図11に示すように、その断面形状(開口の形状)が三角形状をなすように形成されてもよい。すなわち、スリット16は、V溝状に形成されたものであってもよい。
・また、シールリング13の遠面13cに形成されるスリット16は、図12に示すように、その断面形状(開口の形状)が半円形状をなすように形成されてもよい。
・各実施形態において、入力軸102に取り付けられる各シールリング13のうち何れか一方のシールリング13のみにスリット16,30が形成されていてもよい。
・各実施形態において、各環状溝119内に収容される各シールリング13のうち何れか一方のシールリング13にのみ、スリット16,30を設けるようにしてもよい。
・各実施形態において、シールリング13は、様々なタイプの自動変速機(例えば、前進5速・後進1速の変速機構を有する自動変速機)に適用されてもよい。
第1の実施形態における自動変速機のスケルトン図。 第1の実施形態における自動変速機の作動図表。 第1の実施形態における変速機構の一部を示す概略断面図。 第1の実施形態における変速機構の一部を示す概略断面図。 第1の実施形態におけるシールリングの概略斜視図。 第1の実施形態におけるシールリングの概略平面図。 第1の実施形態におけるシールリングの概略側面図。 第2の実施形態におけるシールリングの概略側面図。 第2の実施形態におけるシールリングの別例の一部を示す概略側面図。 第2の実施形態におけるシールリングの他の別例の一部を示す概略側面図。 第1の実施形態におけるシールリングの別例を示す概略平面図。 第1の実施形態におけるシールリングの他の別例を示す概略平面図。
符号の説明
13…シールリング、13a…内周面、13b…外周面、13c…遠面(一方側面)、13d…近面(他方側面)、14,15…隙間、16,30…スリット(連通路)、17…反対側空間、18…合口、80…自動変速機、86…出力軸(出力部材)、100…T/Mケース(トランスミッションケース)、101…変速機構、102…入力軸(筒状部材)、102a…外周面、103…スリーブ(被挿入部材)、103a…内周面、104…クラッチドラム、104a…周壁(外側筒部)、104b…底部、105…ボス部(被挿入部材、内側筒部)、107…ピストン、108…シリンダ油室、115…周溝、115a…開口、119…環状溝、119a…底面、119b…内側面(一方側の内側面)、119c…内側面(他方側の内側面)、120…クラッチ油圧路(液圧路)、121…摩擦係合板(摩擦部材)、A…シール装置、B…クラッチ装置、B−1…ブレーキ(第1係止手段)、B−2…ブレーキ(第2係止手段)、C−1…第1減速伝達クラッチ、C−2…入力伝達クラッチ、C−3…第2減速伝達クラッチ、CR2…キャリア(第3の回転要素)、D…外径寸法、d3…第1仮想線及び第2仮想線の間の距離寸法、F−1…ワンウェイクラッチ(第2係止手段)、G…プラネタリギヤセット、G1…減速プラネタリギヤ、L…中心軸線、L1…第1仮想線(中心仮想線)、L2,L3…第2仮想線、L4…第3仮想線(範囲指定仮想線)、R2…リングギヤ(第4の回転要素)、P…中心、S2…サンギヤ(第2の回転要素)、S3…サンギヤ(第1の回転要素)、θ1…第1交差角、θ2…第2交差角。

Claims (17)

  1. 筒状部材と、該筒状部材が挿入される筒状の被挿入部材と、前記筒状部材の外周面に形成された液圧路の開口から前記筒状部材の延設方向に離間し且つ前記開口を挟んで配置された環状溝に収容される一対のシールリングとを備えるシール装置であって、
    前記各シールリングのうち少なくとも一方には、前記環状溝内に収容された状態において前記液圧路の開口から前記筒状部材の外周面と前記被挿入部材の内周面との間に溢出する液体の液圧を受けた場合に、前記液圧路の開口と、前記シールリングに対して前記液圧路の開口とは反対側の空間とを連通させる連通路が形成されているシール装置。
  2. 前記連通路は、前記シールリングの外周面において前記延設方向と交差する前記シールリングの両側面間に亘って延びるように形成されるスリットからなる請求項1に記載のシール装置。
  3. 前記シールリングは、合口を有する円環状に形成されており、前記スリットは、前記シールリングの中心を基準とした前記合口と点対称となる反対側部位と前記シールリングの中心とを結ぶ第1仮想線と、該第1仮想線とは別に前記シールリングの中心を通過する第2仮想線との交差角度が55度を越えることになる部位に形成されている請求項2に記載のシール装置。
  4. 前記シールリングは、合口を有する円環状に形成されており、前記スリットは、前記合口とシールリングの中心とを結ぶ中心仮想線と、該中心仮想線とは別に前記シールリングの中心を通過する範囲指定仮想線との交差角度が10度を越えることになる部位に形成されている請求項2又は請求項3に記載のシール装置。
  5. 前記連通路は、前記延設方向と交差する前記シールリングの両側面のうちで前記液圧路の開口とは反対側の側面に内周面と外周面との間に亘って延びるように形成されているスリットからなる請求項1に記載のシール装置。
  6. 前記シールリングは、合口を有する円環状に形成されており、前記スリットは、該スリットが形成された前記シールリングの側面上において前記合口と該合口を基準とし前記シールリングの中心に対して点対称となる反対側部位とを結ぶ第1仮想線及び該第1仮想線と平行に延びる第2仮想線の間の距離寸法を前記シールリングの外径寸法で除した場合の値が0.32を越えることになる部位に形成されている請求項5に記載のシール装置。
  7. 前記連通路は、その通路断面積が0.02〜0.36mm2 となるように形成されている請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載のシール装置。
  8. 前記連通路は、該連通路の断面形状を画定する沿面距離が0.6〜2.4mmとなるように形成されている請求項1〜請求項7のうち何れか一項に記載のシール装置。
  9. 底部、該底部から前記延設方向に沿うように形成された外側筒部、及び前記底部から前記延設方向に沿うと共に前記外側筒部に内包されるように形成された内側筒部を有するクラッチドラムと、
    前記外側筒部に支持される摩擦部材と、
    前記内側筒部の外周面側に前記延設方向への摺動が可能な状態で支持されると共に、前記摩擦部材に接近する方向に摺動した場合には該摩擦部材を押圧するピストンと、
    該ピストンと前記クラッチドラムの底部との間に油蜜状に形成されるシリンダ油室と、
    前記内側筒部に形成されると共に、前記シリンダ油室に液体を供給可能とする油孔とを有するクラッチ装置を有し、
    前記内側筒部は、前記被挿入部材として機能するように構成されている請求項1〜請求項8のうち何れか一項に記載のシール装置。
  10. 前記筒状部材は、前記延設方向に延びる中心軸線を中心に回転するように設けられている請求項9に記載のシール装置。
  11. トランスミッションケース内に変速機構が収容されてなる自動変速機であって、
    前記変速機構は、
    入力軸の入力回転を減速した減速回転を出力可能な減速プラネタリギヤと、
    少なくとも4つの回転要素を有するプラネタリギヤセットと、
    該プラネタリギヤセットの第1の回転要素に前記減速回転を伝達可能とする第1減速伝達クラッチと、
    前記プラネタリギヤセットの第2の回転要素に前記減速回転を伝達可能とする第2減速伝達クラッチと、
    前記プラネタリギヤセットの第3の回転要素に前記入力軸の入力回転を伝達可能とする入力伝達クラッチと、
    前記プラネタリギヤセットの第2の回転要素を前記トランスミッションケースに対して係止可能とする第1係止手段と、
    前記プラネタリギヤセットの第3の回転要素を前記トランスミッションケースに対して係止可能とする第2係止手段と、
    前記プラネタリギヤセットの第4の回転要素に接続される出力部材と、
    請求項9又は請求項10に記載されたシール装置と、を備え、
    前記クラッチ装置は、前記第1減速伝達クラッチを含んだ構成とされている自動変速機。
  12. 前記第1減速伝達クラッチを係合状態にするとともに、前記第2係止手段にて前記第3の回転要素を前記トランスミッションケースに係止させることにより前進第1速段を、
    前記第1減速伝達クラッチを係合状態にするとともに、前記第1係止手段にて前記第2の回転要素を前記トランスミッションケースに係止させることにより前進第2速段を、
    前記第1減速伝達クラッチを係合状態にするとともに、前記第2減速伝達クラッチを係合状態にすることにより前進第3速段を、
    前記第1減速伝達クラッチを係合状態にするとともに、前記入力伝達クラッチを係合状態にすることにより前進第4速段を、
    前記入力伝達クラッチを係合状態にするとともに、前記第2減速伝達クラッチを係合状態にすることにより前進第5速段を、
    前記入力伝達クラッチを係合状態にするとともに、前記第1係止手段にて前記第2の回転要素を前記トランスミッションケースに係止させることにより前進第6速段を、
    前記第2係止手段にて前記第3の回転要素を前記トランスミッションケースに係止させるとともに、前記第2減速伝達クラッチを係合状態にすることにより後退段を、それぞれ達成する請求項11に記載の自動変速機。
  13. 円環状をなすように形成されたシールリングにおいて、
    外周面には、その軸線方向と交差する両側面側に亘るスリットが形成されたシールリング。
  14. 合口を有する円環状に形成されており、
    前記スリットは、前記シールリングの中心を基準とした前記合口と点対称となる反対側部位と前記シールリングの中心とを結ぶ第1仮想線と、該第1仮想線とは別に前記シールリングの中心を通過する第2仮想線との交差角度が55度を越えることになる部位に形成されている請求項13に記載のシールリング。
  15. 合口を有する円環状に形成されており、
    前記スリットは、前記合口とシールリングの中心とを結ぶ中心仮想線と、該中心仮想線とは別に前記シールリングの中心を通過する範囲指定仮想線との交差角度が10度を越えることになる部位に形成されている請求項13又は請求項14に記載のシールリング。
  16. 前記スリットは、その断面積が0.02〜0.36mm2 となるように形成されている請求項13〜請求項15のうち何れか一項に記載のシールリング。
  17. 前記スリットは、該スリットの断面形状を画定する沿面距離が0.6〜2.4mmとなるように形成されている請求項13〜請求項16のうち何れか一項に記載のシールリング。
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