JP2015105723A - 多段変速機 - Google Patents

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卓也 中島
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Abstract

【課題】多段変速機の変速性能の向上やコンパクト化を図りつつ、ピストンと共にクラッチの係合油室を画成する油室画成部材の移動を規制するスナップリングが径方向に拡張するのを抑制する。
【解決手段】クラッチC2では、ピストン240と共に係合油室250を画成する油室画成部材270が、クラッチハブ200が固定されると共にスラスト軸受90により軸方向に支持される第3サンギヤ23sのシャフト部230にスナップリング溝230gを用いて固定され、油室画成部材270は、スナップリング溝230gに装着されたスナップリング280の外周面と間隔をおいて対向する内周面を有する環状凹部271を有し、スラスト軸受90のレース91は、スナップリング280の外周面を径方向に支持するように油室画成部材270の環状凹部271内に差し込まれる突出部91pを有する。
【選択図】図8

Description

本発明は、複数の回転要素のうちの2つを互いに接続すると共に両者の接続を解除するクラッチを含む多段変速機に関する。
従来、この種の多段変速機のクラッチとして、クラッチハブと、当該クラッチハブにより移動自在に支持されるピストンと、クラッチハブに嵌合されてピストンと共に係合油室を画成する油室画成部材と、クラッチハブに形成されたスナップリング溝に装着されて当該クラッチハブに対する油室画成部材の軸方向における移動を規制するスナップリングとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このクラッチにおいて、スナップリングは、径方向に拡がってスナップリング溝から離脱しないように油室画成部材に形成された環状の凹部(段差部)に嵌め込まれる。
米国特許出願公開第2010/0178102号明細書
上述のようなクラッチの組み立てに際しては、クラッチハブに摩擦係合プレート、ピストンおよび油室画成部材を順番に嵌合した後、ピストンおよび油室画成部材を摩擦係合プレートに向けて押し込み、スナップリング溝にスナップリングを装着する。そして、油室画成部材をスナップリング側へと戻し、当該油室画成部材に形成された環状の溝にスナップリングを嵌め込む。従って、特許文献1のクラッチにおいて、スナップリングをクラッチハブのスナップリング溝と油室画成部材の凹部との双方に嵌め込んでスナップリングの径方向への拡張を抑制するためには、ピストンのストロークを比較的大きくとる必要がある。しかしながら、ピストンのストロークを大きくすると、クラッチの油圧応答性が低下して変速性能が悪化してしまい、多段変速機のコンパクト化を図ることも困難となる。
そこで、本発明は、多段変速機の変速性能の向上やコンパクト化を図りつつ、ピストンと共にクラッチの係合油室を画成する油室画成部材の移動を規制するスナップリングが径方向に拡張するのを抑制することを主目的とする。
本発明による多段変速機は、
複数の回転要素のうちの2つを互いに接続すると共に両者の接続を解除するクラッチを含み、車両の原動機から入力部材に伝達された動力を変速して出力部材に伝達する多段変速機において、
前記クラッチは、
第1摩擦係合プレートの外周部が嵌合されると共に前記2つの回転要素の一方に常時連結されるクラッチドラムと、
第2摩擦係合プレートの内周部が嵌合されると共に前記2つの回転要素の他方に常時連結され、スラスト軸受により軸方向に支持されるハブ部材と、
前記ハブ部材により軸方向に移動自在に支持されると共に前記第1および第2摩擦係合プレートを押圧して摩擦係合させるピストンと、
前記ハブ部材と一体に回転するように該ハブ部材に取り付けられると共に、前記ピストンと共に作動油が供給される係合側油室を画成する油室画成部材と、
前記ハブ部材に対する前記油室画成部材の前記軸方向における移動を規制するように該ハブ部材に形成されたスナップリング溝に装着されるスナップリングとを備え、
前記油室画成部材は、前記スナップリング溝に装着されたスナップリングの外周面と間隔をおいて対向する内周面を有する環状凹部を有し、
前記スラスト軸受のレースは、前記スナップリングの外周面を径方向に支持するように前記油室画成部材の前記環状凹部内に差し込まれる突出部を有することを特徴とする。
本発明による多段変速機では、拡張したスナップリングを収容し得る程度の大きさの環状凹部を油室画成部材に形成しておくことにより、ピストンのストロークが小さくても、ハブ部材のスナップリング溝にスナップリングを容易に装着することが可能となる。そして、スナップリング溝にスナップリングが装着された後、スラスト軸受のレースの突出部を環状凹部の内周面とスナップリングの外周面との間の隙間に差し込めば、スナップリングの外周面を当該突出部により径方向に支持することができる。従って、このクラッチによれば、ピストンのストロークを適正化して多段変速機の変速性能の向上やコンパクト化を図りつつ、油室画成部材の移動を規制するスナップリングが径方向に拡張するのを良好に抑制することが可能となる。
本発明による多段変速機を含む動力伝達装置の概略構成図である。 本発明による多段変速機における入力回転速度に対する各回転要素の回転速度の比を示す速度線図である。 本発明による多段変速機における各変速段とクラッチおよびブレーキの作動状態との関係を示す作動表である。 本発明による多段変速機を示す断面図である。 本発明による多段変速機を示す拡大断面図である。 本発明による多段変速機を示す拡大断面図である。 本発明による多段変速機を示す拡大断面図である。 本発明による多段変速機の要部を示す拡大断面図である。
次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る多段変速機としての自動変速機20を含む動力伝達装置10の概略構成図である。これらの図面に示す動力伝達装置10は、後輪駆動車両の前部に縦置きに搭載される駆動源としての図示しないエンジン(内燃機関)のクランクシャフトおよび/または電気モータのロータに接続されると共にエンジン等からの動力(トルク)を図示しない左右の後輪(駆動輪)に伝達可能なものである。図示するように、動力伝達装置10は、エンジン等から入力軸20iに伝達された動力を変速して出力軸20oに伝達する自動変速機20に加えて、トランスミッションケース(静止部材)11や、発進装置(流体伝動装置)12、オイルポンプ17等を含む。
発進装置12は、上述のような駆動源に連結される入力側のポンプインペラ14pや、自動変速機20の入力軸(入力部材)20iに連結される出力側のタービンランナ14t、ポンプインペラ14pおよびタービンランナ14tの内側に配置されてタービンランナ14tからポンプインペラ14pへの作動油の流れを整流するステータ14s、図示しないステータシャフトより支持されると共にステータ14sの回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ14o等を有するトルクコンバータを含む。更に、発進装置12は、エンジンのクランクシャフト等に連結されたフロントカバーと自動変速機20の入力軸20iとを互いに接続すると共に両者の接続を解除するロックアップクラッチ15と、フロントカバーと自動変速機20の入力軸20iとの間で振動を減衰するダンパ機構16とを有する。なお、発進装置12は、ステータ14sを有さない流体継手を含むものであってもよい。
オイルポンプ17は、ポンプボディとポンプカバーとを含むポンプアッセンブリ、チェーンまたはギヤ列を介して発進装置12のポンプインペラ14pに連結された外歯ギヤ(インナーロータ)、当該外歯ギヤに噛合する内歯ギヤ(アウターロータ)等を有するギヤポンプとして構成される。オイルポンプ17は、エンジン等からの動力により駆動され、図示しないオイルパンに貯留されている作動油(ATF)を吸引して油圧制御装置60(図4参照)へと圧送する。
自動変速機20は、10段変速式の変速機として構成されており、図1に示すように、入力軸20iに加えて、図示しないデファレンシャルギヤおよびドライブシャフトを介して左右の後輪に連結される出力軸(出力部材)20oや、自動変速機20(入力軸20iや出力軸20o)の軸方向に並べて配設されるシングルピニオン式の第1遊星歯車21および第2遊星歯車22、ダブルピニオン式遊星歯車とシングルピニオン式遊星歯車とを組み合わせて構成される複合遊星歯車機構としてのラビニヨ式遊星歯車機構25とを含む。更に、自動変速機20は、入力軸20iから出力軸20oまでの動力伝達経路を変更するための第1係合要素としてのクラッチC1(第1クラッチ)、第2係合要素としてのクラッチC2(第2クラッチ)、第3係合要素としてのクラッチC3(第3クラッチ)、第4係合要素としてのクラッチC4(第4クラッチ)、第5係合要素としてのブレーキB1(第1ブレーキ)および第6係合要素としてのブレーキB2(第2ブレーキ)を含む。
本実施形態において、第1および第2遊星歯車21,22並びにラビニヨ式遊星歯車機構25は、発進装置12すなわちエンジン側(図1における左側)から、ラビニヨ式遊星歯車機構25、第2遊星歯車22、第1遊星歯車21、すなわち、ラビニヨ式遊星歯車機構25を構成するシングルピニオン式遊星歯車、ラビニヨ式遊星歯車機構25を構成するダブルピニオン式遊星歯車、第2遊星歯車22、第1遊星歯車21という順番で並ぶようにトランスミッションケース11内に配置される。これにより、ラビニヨ式遊星歯車機構25は、発進装置12に近接するように車両の前部側に配置され、第1遊星歯車21は、出力軸20oに近接するように車両の後部側に配置され、第2遊星歯車22は、ラビニヨ式遊星歯車機構25と第1遊星歯車21との間に配置される。
第1遊星歯車21は、外歯歯車である第1サンギヤ21sと、第1サンギヤ21sと同心円上に配置される内歯歯車である第1リングギヤ21rと、それぞれ第1サンギヤ21sおよび第1リングギヤ21rに噛合する複数の第1ピニオンギヤ21pと、複数の第1ピニオンギヤ21pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する第1キャリヤ21cとを有する。本実施形態において、第1遊星歯車21のギヤ比λ1(第1サンギヤ21sの歯数/第1リングギヤ21rの歯数)は、例えば、λ1=0.277と定められている。
第1遊星歯車21の第1キャリヤ21cは、図1に示すように、入力軸20iに連結された自動変速機20の中間軸(インターミディエイトシャフト)20mに常時連結(固定)される。これにより、エンジン等から入力軸20iに動力が伝達されている際、第1キャリヤ21cには、エンジン等からの動力が入力軸20iおよび中間軸20mを介して常時伝達されることになる。第1キャリヤ21cは、クラッチC4の係合時に第1遊星歯車21の入力要素(自動変速機20の第1入力要素)として機能し、クラッチC4の解放時には空転する。また、第1リングギヤ21rは、クラッチC4の係合時に当該第1遊星歯車21の出力要素(自動変速機20の第1出力要素)として機能する。
第2遊星歯車22は、外歯歯車である第2サンギヤ22sと、第2サンギヤ22sと同心円上に配置される内歯歯車である第2リングギヤ22rと、それぞれ第2サンギヤ22sおよび第2リングギヤ22rに噛合する複数の第2ピニオンギヤ22pと、複数の第2ピニオンギヤ22pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する第2キャリヤ(プラネタリキャリヤ)22cとを有する。本実施形態において、第2遊星歯車22のギヤ比λ2(第2サンギヤ22sの歯数/第2リングギヤ22rの歯数)は、例えば、λ2=0.244と定められている。
第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sは、図1に示すように、第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sと一体化(常時連結)されており、当該第1サンギヤ21sと常時一体(かつ同軸)に回転または停止する。ただし、第1サンギヤ21sと第2サンギヤ22sとは、別体に構成されると共に図示しない連結部材(第1連結部材)を介して常時連結されてもよい。また、第2遊星歯車22の第2キャリヤ22cは、出力軸20oに常時連結されており、当該出力軸20oと常時一体(かつ同軸)に回転または停止する。これにより、第2キャリヤ22cは、第2遊星歯車22の出力要素(自動変速機20の第2出力要素)として機能する。更に、第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rは、当該第2遊星歯車22の固定可能要素(自動変速機20の第1固定可能要素)として機能する。
ラビニヨ式遊星歯車機構25は、外歯歯車である第3サンギヤ23sおよび第4サンギヤ24sと、第3サンギヤ23sと同心円上に配置される内歯歯車である第3リングギヤ23rと、第3サンギヤ23sに噛合する複数の第3ピニオンギヤ(ショートピニオンギヤ)23pと、第4サンギヤ24sおよび複数の第3ピニオンギヤ23pに噛合すると共に第3リングギヤ23rに噛合する複数の第4ピニオンギヤ(ロングピニオンギヤ)24pと、複数の第3ピニオンギヤ23pおよび複数の第4ピニオンギヤ24pを自転自在(回転自在)かつ公転自在に保持する第3キャリヤ23cとを有する。
このようなラビニヨ式遊星歯車機構25は、ダブルピニオン式遊星歯車(第3遊星歯車)とシングルピニオン式遊星歯車(第4遊星歯車)とを組み合わせて構成される複合遊星歯車機構である。すなわち、ラビニヨ式遊星歯車機構25の第3サンギヤ23s、第3キャリヤ23c、第3および第4ピニオンギヤ23p,24p、並びに第3リングギヤ23rは、ダブルピニオン式の第3遊星歯車を構成する。また、ラビニヨ式遊星歯車機構25の第4サンギヤ24s、第3キャリヤ23c、第4ピニオンギヤ24p、および第3リングギヤ23rは、シングルピニオン式の第4遊星歯車を構成する。そして、本実施形態において、ラビニヨ式遊星歯車機構25は、ダブルピニオン式の第3遊星歯車のギヤ比λ3(第3サンギヤ23sの歯数/第3リングギヤ23rの歯数)が、例えば、λ3=0.488となり、かつシングルピニオン式の第4遊星歯車のギヤ比λ4(第4サンギヤ24sの歯数/第3リングギヤ23rの歯数)が、例えば、λ4=0.581となるように構成される。
また、ラビニヨ式遊星歯車機構25(第3および第4遊星歯車)を構成する回転要素のうち、第4サンギヤ24sは、ラビニヨ式遊星歯車機構25の固定可能要素(自動変速機20の第2固定可能要素)として機能する。更に、第3キャリヤ23cは、図1に示すように、入力軸20iに常時連結(固定)されると共に、連結部材(第2連結部材)としての中間軸20mを介して第1遊星歯車21の第1キャリヤ21cに常時連結される。これにより、エンジン等から入力軸20iに動力が伝達されている際、第3キャリヤ23cには、エンジン等からの動力が入力軸20iを介して常時伝達されることになる。従って、第3キャリヤ23cは、ラビニヨ式遊星歯車機構25の入力要素(自動変速機20の第2入力要素)として機能する。また、第3リングギヤ23rは、当該ラビニヨ式遊星歯車機構25の第1出力要素として機能し、第3サンギヤ23sは、当該ラビニヨ式遊星歯車機構25の第2出力要素として機能する。
クラッチC1は、常時連結された第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとラビニヨ式遊星歯車機構25の第1出力要素である第3リングギヤ23rとを互いに接続すると共に両者の接続を解除するものである。クラッチC2は、常時連結された第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとラビニヨ式遊星歯車機構25の第2出力要素である第3サンギヤ23sとを互いに接続すると共に両者の接続を解除するものである。クラッチC3は、第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rとラビニヨ式遊星歯車機構25の第1出力要素である第3リングギヤ23rとを互いに接続すると共に両者の接続を解除するものである。クラッチC4は、第1遊星歯車21の出力要素である第1リングギヤ21rと出力軸20oとを互いに接続すると共に両者の接続を解除するものである。
ブレーキB1は、ラビニヨ式遊星歯車機構25の固定可能要素である第4サンギヤ24sを静止部材としてのトランスミッションケース11に対して回転不能に固定(接続)すると共に当該第4サンギヤ24sをトランスミッションケース11に対して回転自在に解放するものである。ブレーキB2は、第2遊星歯車22の固定可能要素である第2リングギヤ22rをトランスミッションケース11に対して回転不能に固定(接続)すると共に当該第2リングギヤ22rを静止部材としてのトランスミッションケース11に対して回転自在に解放するものである。
本実施形態では、クラッチC1〜C4として、ピストン、複数の摩擦係合プレート(例えば環状部材の両面に摩擦材を貼着することにより構成された摩擦プレートおよび両面が平滑に形成された環状部材であるセパレータプレート)、それぞれ作動油が供給される係合油室および遠心油圧キャンセル室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧クラッチ(摩擦係合要素)が採用される。また、ブレーキB1およびB2としては、ピストン、複数の摩擦係合プレート(摩擦プレートおよびセパレータプレート)、作動油が供給される係合油室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧ブレーキが採用される。そして、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2は、油圧制御装置60による作動油の給排を受けて動作する。
図2は、自動変速機20における入力軸20iの回転速度(入力回転速度)に対する各回転要素の回転速度の比を示す速度線図である(ただし、入力軸20iすなわち第1キャリヤ21cおよび第3キャリヤ23cの回転速度を値1とする)。また、図3は、自動変速機20の各変速段とクラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2の作動状態との関係を示す作動表である。
図2に示すように、シングルピニオン式の第1遊星歯車21を構成する3つの回転要素、すなわち第1サンギヤ21s、第1リングギヤ21rおよび第1キャリヤ21cは、当該第1遊星歯車21の速度線図(図2における左側の速度線図)上でギヤ比λ1に応じた間隔をおいて図中左側から第1サンギヤ21s、第1キャリヤ21c、第1リングギヤ21rという順番で並ぶ。このような速度線図での並び順に従い、本発明では、第1サンギヤ21sを自動変速機20の第1回転要素とし、第1キャリヤ21cを自動変速機20の第2回転要素とし、第1リングギヤ21rを自動変速機20の第3回転要素とする。従って、第1遊星歯車21は、速度線図上でギヤ比λ1に応じた間隔をおいて順番に並ぶ自動変速機20の第1回転要素、第2回転要素および第3回転要素を有する。
また、シングルピニオン式の第2遊星歯車22を構成する3つの回転要素、すなわち第2サンギヤ22s、第2リングギヤ22rおよび第2キャリヤ22cは、当該第2遊星歯車22の速度線図(図2における中央の速度線図)上でギヤ比λ2に応じた間隔をおいて図中左側から第2サンギヤ22s、第2キャリヤ22c、第2リングギヤ22rという順番で並ぶ。このような速度線図での並び順に従い、本発明では、第2サンギヤ22sを自動変速機20の第4回転要素とし、第2キャリヤ22cを自動変速機20の第5回転要素とし、第2リングギヤ22rを自動変速機20の第4回転要素とする。従って、第2遊星歯車22は、速度線図上でギヤ比λ2に応じた間隔をおいて順番に並ぶ自動変速機20の第4回転要素、第5回転要素および第6回転要素を有する。
更に、ラビニヨ式遊星歯車機構25を構成する4つの回転要素、すなわち固定可能要素としての第4サンギヤ24s、入力要素としての第3キャリヤ23c、第1出力要素としての第3リングギヤ23r、並びに第2出力要素としての第3サンギヤ23sは、この順番で図中左側からシングル式の第3遊星歯車のギヤ比λ3およびダブルピニオン式の第4遊星歯車のギヤ比λ4に応じた間隔をおいて当該ラビニヨ式遊星歯車機構25の速度線図(図2における右側の速度線図)上に並ぶ。このような速度線図での並び順に従い、本発明では、第4サンギヤ24sを自動変速機20の第7回転要素とし、第3キャリヤ23cを自動変速機20の第8回転要素とし、第3リングギヤ23rを自動変速機20の第9回転要素とし、第3サンギヤ23sを自動変速機20の第10回転要素とする。従って、ラビニヨ式遊星歯車機構25は、速度線図上でギヤ比λ3,λ4に応じた間隔をおいて順番に並ぶ自動変速機20の第7回転要素、第8回転要素、第9回転要素および第10回転要素を有する。
そして、自動変速機20では、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2を図3に示すように係合または解放させて上述の第1〜第10回転要素(ただし、第1回転要素と第4回転要素が常時連結に連結されているので、実質的には合計9個の回転要素)の接続関係を変更することで、入力軸20iから出力軸20oまでの間に前進回転方向に10通りおよび後進回転方向に1通りの動力伝達経路、すなわち第1速段から第10速段の前進段と後進段とを設定することができる。
具体的には、前進第1速段は、クラッチC1,C2およびブレーキB2を係合させると共に、残余のクラッチC3,C4およびブレーキB1を解放させることにより形成される。すなわち、前進第1速段の形成に際しては、クラッチC1により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23r(第1出力要素)とが互いに接続されると共に、クラッチC2により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3サンギヤ23s(第2出力要素)とが互いに接続され、更に、ブレーキB2により第2遊星歯車22の第2リングギヤ22r(固定可能要素)がトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態(第1および第2遊星歯車21,22並びに第3および第4遊星歯車のギヤ比がλ1=0.277,λ2=0.244,λ3=0.488,λ4=0.581である場合、以下同様)において、前進第1速段におけるギヤ比(入力軸20iの回転速度/出力軸20oの回転速度)γ1は、γ1=5.091となる。
前進第2速段は、クラッチC1、ブレーキB1およびB2を係合させると共に、残余のクラッチC2,C3およびC4を解放させることにより形成される。すなわち、前進第2速段の形成に際しては、クラッチC1により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23r(第1出力要素)とが互いに接続され、更に、ブレーキB1によりラビニヨ式遊星歯車機構25の第4サンギヤ24s(固定可能要素)がトランスミッションケース11に対して回転不能に固定されると共に、ブレーキB2により第2遊星歯車22の第2リングギヤ22r(固定可能要素)がトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、前進第2速段におけるギヤ比γ2は、γ2=3.219となる。また、前進第1速段と前進第2速段との間のステップ比は、γ1/γ2=1.581となる。
前進第3速段は、クラッチC2、ブレーキB1およびB2を係合させると共に、残余のクラッチC1,C3およびC4を解放させることにより形成される。すなわち、前進第3速段の形成に際しては、クラッチC2により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3サンギヤ23s(第2出力要素)とが互いに接続され、更に、ブレーキB1によりラビニヨ式遊星歯車機構25の第4サンギヤ24s(固定可能要素)がトランスミッションケース11に対して回転不能に固定されると共に、ブレーキB2により第2遊星歯車22の第2リングギヤ22r(固定可能要素)がトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、前進第3速段におけるギヤ比γ3は、γ3=2.324となる。また、前進第2速段と前進第3速段との間のステップ比は、γ2/γ3=1.385となる。
前進第4速段は、クラッチC4、ブレーキB1およびB2を係合させると共に、残余のクラッチC1,C2およびC3を解放させることにより形成される。すなわち、前進第1速段の形成に際しては、クラッチC4により第1遊星歯車21の第1リングギヤ21r(出力要素)と出力軸20oとが互いに接続され、更に、ブレーキB1によりラビニヨ式遊星歯車機構25の第4サンギヤ24s(固定可能要素)がトランスミッションケース11に対して回転不能に固定されると共に、ブレーキB2により第2遊星歯車22の第2リングギヤ22r(固定可能要素)がトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、前進第4速段におけるギヤ比γ4は、γ4=1,886となる。また、前進第3速段と前進第4速段との間のステップ比は、γ3/γ4=1.232となる。
前進第5速段は、クラッチC2,C4およびブレーキB1を係合させると共に、残余のクラッチC1,C3およびブレーキB2を解放させることにより形成される。すなわち、前進第5速段の形成に際しては、クラッチC2により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3サンギヤ23s(第2出力要素)とが互いに接続されると共に、クラッチC4により第1遊星歯車21の第1リングギヤ21r(出力要素)と出力軸20oとが互いに接続され、更に、ブレーキB1によりラビニヨ式遊星歯車機構25の第4サンギヤ24s(固定可能要素)がトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、前進第5速段におけるギヤ比γ5は、γ5=1.491となる。また、前進第4速段と前進第5速段との間のステップ比は、γ4/γ5=1.265となる。
前進第6速段は、クラッチC1,C4およびブレーキB1を係合させると共に、残余のクラッチC2,C3およびブレーキB2を解放させることにより形成される。すなわち、前進第6速段の形成に際しては、クラッチC1により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23r(第1出力要素)とが互いに接続されると共に、クラッチC4により第1遊星歯車21の第1リングギヤ21r(出力要素)と出力軸20oとが互いに接続され、更に、ブレーキB1によりラビニヨ式遊星歯車機構25の第4サンギヤ24s(固定可能要素)がトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、前進第6速段におけるギヤ比γ6は、γ6=1.192となる。また、前進第5速段と前進第6速段との間のステップ比は、γ5/γ6=1.251となる。
前進第7速段は、クラッチC1,C3およびC4を係合させると共に、残余のクラッチC2,ブレーキB1およびB2を解放させることにより形成される。すなわち、前進第7速段の形成に際しては、クラッチC1により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23r(第1出力要素)とが互いに接続されると共に、クラッチC3により第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23r(第1出力要素)とが互いに接続され、更に、クラッチC4により第1遊星歯車21の第1リングギヤ21r(出力要素)と出力軸20oとが互いに接続される。本実施形態において、前進第7速段におけるギヤ比γ7は、γ7=1.000となる。また、前進第6速段と前進第7速段との間のステップ比は、γ6/γ7=1.192となる。
前進第8速段は、クラッチC3,C4およびブレーキB1を係合させると共に、残余のクラッチC1,C2およびブレーキB2を解放させることにより形成される。すなわち、前進第8速段の形成に際しては、クラッチC3により第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23r(第1出力要素)とが互いに接続されると共に、クラッチC4により第1遊星歯車21の第1リングギヤ21r(出力要素)と出力軸20oとが互いに接続され、更に、ブレーキB1によりラビニヨ式遊星歯車機構25の第4サンギヤ24s(固定可能要素)がトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、前進第8速段におけるギヤ比γ8は、γ8=0.785となる。また、前進第7速段と前進第8速段との間のステップ比は、γ7/γ8=1.273となる。
前進第9速段は、クラッチC1,C3およびブレーキB1を係合させると共に、残余のクラッチC2,C4およびブレーキB2を解放させることにより形成される。すなわち、前進第9速段の形成に際しては、クラッチC1により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23r(第1出力要素)とが互いに接続されると共に、クラッチC3により第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23r(第1出力要素)とが互いに接続され、更に、ブレーキB1によりラビニヨ式遊星歯車機構25の第4サンギヤ24s(固定可能要素)がトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、前進第9速段におけるギヤ比γ9は、γ9=0.632となる。また、前進第8速段と前進第9速段との間のステップ比は、γ8/γ9=1.242となる。
前進第10速段は、クラッチC2,C3およびブレーキB1を係合させると共に、残余のクラッチC1,C4およびブレーキB2を解放させることにより形成される。すなわち、前進第10速段の形成に際しては、クラッチC2により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3サンギヤ23s(第2出力要素)とが互いに接続されると共に、クラッチC3により第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23r(第1出力要素)とが互いに接続され、更に、ブレーキB1によりラビニヨ式遊星歯車機構25の第4サンギヤ24s(固定可能要素)がトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、前進第10速段におけるギヤ比γ10は、γ10=0.588となる。また、前進第9速段と前進第10速段との間のステップ比は、γ9/γ10=1.076となる。そして、自動変速機20におけるスプレッド(ギヤ比幅=最低変速段である前進第1速段のギヤ比γ1/最高変速段である前進第10速段のギヤ比γ10)は、γ1/γ10=8.660となる。
後進段は、クラッチC2,C3およびブレーキB2を係合させると共に、残余のクラッチC1,C4およびブレーキB1を解放させることにより形成される。すなわち、後進段の形成に際しては、クラッチC2により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3サンギヤ23s(第2出力要素)とが互いに接続されると共に、クラッチC3により第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23r(第1出力要素)とが互いに接続され、更に、ブレーキB2により第2遊星歯車22の第2リングギヤ22r(固定可能要素)がトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、後進段におけるギヤ比γrevは、γrev=−4.860となる。また、前進第1速段と後進段との間のステップ比は、|γrev/γ1|=0.955となる。
上述のように、自動変速機20によれば、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2の係脱により第1速段から第10速段までの前進段と後進段とを提供することが可能となる。この結果、自動変速機20では、スプレッドをより大きくして(本実施形態では、8.660)特に高車速時の車両の燃費や各変速段での加速性能を向上させると共に、ステップ比を適正化(より大きくなるのを抑制)して変速フィーリングを向上させることができる。従って、自動変速機20によれば、車両の燃費とドライバビリティーとの双方を良好に向上させることができる。
また、自動変速機20では、6つの係合要素、すなわちクラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2のうち、何れか3つを係合させると共に残余の3つを解放させることにより前進第1速段から前進第10速段および後進段が形成される。これにより、例えば6つのクラッチやブレーキのうちの2つを係合させると共に残余の4つを解放させることにより複数の変速段を形成する変速機に比べて、変速段の形成に伴って解放される係合要素の数を減らすことが可能となる。この結果、変速段の形成に伴って解放された係合要素における部材間の僅かな接触に起因した引き摺り損失を低減させて、自動変速機20における動力の伝達効率をより一層向上させることができる。
更に、自動変速機20では、ラビニヨ式遊星歯車機構25の第3キャリヤ23c(入力要素)と同様に、第1遊星歯車21の第1キャリヤ21c(第2回転要素)が中間軸20mを介して入力軸20iに常時連結され、前進第4速段から前進第8速段の形成時に、第1遊星歯車21の第1リングギヤ21r(第3回転要素)がクラッチC4により出力軸20o(第2遊星歯車22の第2キャリヤ22c)に接続される。これにより、例えば第1遊星歯車の第1リングギヤ(第3回転要素)が第2遊星歯車の第2キャリヤ(第5回転要素)と共に出力軸に常時連結され、かつ第1遊星歯車の第1キャリヤ(第2回転要素)が入力軸に選択的に接続される変速機(特許文献1のFIG.2参照)において第1キャリヤ(第2回転要素)と入力軸とを選択的に接続させるクラッチに比べて、クラッチC4のトルク分担を低減させることができる。
すなわち、第1遊星歯車21の第1キャリヤ21cを入力軸20iに常時連結される第2回転要素とすると共に、第1遊星歯車21の第1リングギヤ21rをクラッチC4により出力軸20oに選択的に接続される第3回転要素とすることで、例えば第1遊星歯車の第1リングギヤが第2遊星歯車22の第2キャリヤと共に出力軸に常時連結されると共に第1遊星歯車の第1キャリヤが入力軸に選択的に接続される変速機において第1キャリヤと入力軸とを選択的に接続させるクラッチに比べて、係合したクラッチC4を介して伝達されるトルクを低下させる(1/(1+λ1)にする)ことができる。従って、自動変速機20では、クラッチC4のトルク分担を良好に低減させることが可能となる。この結果、自動変速機20では、クラッチC4を軸方向および径方向の少なくとも何れか一方においてコンパクト化することができる。従って、自動変速機20によれば、動力の伝達効率とドライバビリティーとの双方を向上させると共に、装置全体の大型化を抑制することが可能となる。
また、第1および第2遊星歯車21,22をシングルピニオン式の遊星歯車とすることで、両者の少なくとも何れか一方を例えばダブルピニオン式の遊星歯車とした場合に比べて、第1および第2遊星歯車21,22における回転要素間の噛み合い損失を低減させて自動変速機20における動力の伝達効率をより向上させると共に、部品点数を削減して装置全体の重量増を抑制しつつ組立性を向上させることが可能となる。更に、上記自動変速機20のように、ダブルピニオン式の第3遊星歯車とシングルピニオン式の第4遊星歯車とを組み合わせて構成される複合遊星歯車列であるラビニヨ式遊星歯車機構25を採用すれば、部品点数を削減して装置全体の重量増を抑制しつつ組立性を向上させることが可能となる。
続いて、自動変速機20の具体的構成について詳細に説明する。
図4は、自動変速機20を示す断面図であり、図5から図7は、自動変速機20を示す拡大断面図である。図1および図4に示すように、ラビニヨ式遊星歯車機構25の固定可能要素である第4サンギヤ24sをトランスミッションケース11に対して回転不能に固定(接続)するブレーキB1は、4つのクラッチC1〜C4および2つのブレーキB1,B2の中で最も発進装置12(エンジン)に近接するように、ラビニヨ式遊星歯車機構25に対して第1および第2遊星歯車21,22とは反対側、すなわちラビニヨ式遊星歯車機構25よりも車両前部側(図1における左側)に配置される。
ブレーキB1は、図4および図5に示すように、第4サンギヤ24sに常時連結(固定)されるブレーキハブ500と、複数の摩擦プレート501と、摩擦プレート501と交互に配設される複数のセパレータプレート502およびバッキングプレートと、摩擦プレート501およびセパレータプレート502を押圧して摩擦係合させるピストン540と、ピストン540を摩擦プレート501およびセパレータプレート502から離間するように付勢する複数のリターンスプリング(コイルバネ)SP5とを含む。
ブレーキB1の複数の摩擦プレート501(それぞれの内周部)は、ブレーキハブ500の外周面に形成されたスプラインに嵌合され、ブレーキハブ500と一体に回転すると共に軸方向に移動可能となるように当該ブレーキハブ500により支持される。また、ブレーキB1の複数のセパレータプレート502(それぞれの外周部)は、トランスミッションケース11に固定されて当該トランスミッションケース11(静止部材)の一部を構成する環状のフロントサポート(前側の支持部)11fから入力軸20iの軸方向に延びるドラム部11dの内周面に形成されたスプラインに嵌合される。これにより、複数のセパレータプレート502は、トランスミッションケース11に対して回転不能かつ軸方向に移動可能となるようにフロントサポート11fにより支持される。ピストン540は、トランスミッションケース11に対して回転不能かつ軸方向に移動自在となるようにフロントサポート11fにより支持され、当該フロントサポート11fと共にブレーキB1の係合油室550を画成する。
ブレーキB1の係合油室550には、入力軸20iやフロントサポート11fに形成された油路を介して油圧制御装置60により調圧されたブレーキB1への係合油圧(作動油)が供給される。また、複数のリターンスプリングSP5は、ピストン540に対して係合油室550とは反対側に位置するようにスナップリングを用いてフロントサポート11fに固定される環状のスプリング支持部材570と、ピストン540との間に周方向に間隔をおいて配設され、係合油室550と対向する。なお、ブレーキB1のリターンスプリングSP5としては、複数のコイルバネの代わりに単一の板バネが用いられてもよい。
図1および図4に示すように、クラッチC1は、ラビニヨ式遊星歯車機構25(第3遊星歯車)に近接するように第2遊星歯車22とラビニヨ式遊星歯車機構25との間に配置される。また、クラッチC2は、クラッチC1の構成部材により少なくとも一部が囲まれると共にラビニヨ式遊星歯車機構25(第3遊星歯車)に近接するように第2遊星歯車22とラビニヨ式遊星歯車機構25との間に配置される。更に、クラッチC3は、第2遊星歯車22に近接するように当該第2遊星歯車22とラビニヨ式遊星歯車機構25との間に配置される。また、ブレーキB2は、クラッチC3の少なくとも一部を囲むと共に第2遊星歯車22に近接するように当該第2遊星歯車22とラビニヨ式遊星歯車機構25との間に配置される。
クラッチC1およびC2は、上述のように、第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sを共通の接続対象要素とすることから、図5に示すように、第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sに常時連結(固定)されると共にクラッチC1のクラッチハブおよびクラッチC2のクラッチドラムとして機能するドラム部材120を共用する。また、クラッチC1およびC3は、上述のように、ラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23rを共通の接続対象要素とすることから、第3リングギヤ23rに常時連結(固定)されると共にクラッチC1のクラッチドラムおよびクラッチC3のクラッチハブとして機能するドラム部材130を共用する。更に、クラッチC3およびブレーキB2は、上述のように、第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rを接続対象要素または固定対象要素とすることから、クラッチC3のクラッチドラムおよびブレーキB2のブレーキハブとして機能するドラム部材360を共用する。
ドラム部材120は、クラッチC1により利用されるハブ部121と、クラッチC2により利用されるドラム部122と、クラッチC1およびC2の接続対象要素である第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sに常時連結(固定)される連結部125とを含む。ハブ部121は、外周面に形成されたスプラインを有する筒状部121aと、筒状部121aの一端(図5における左端)から径方向内側に延出された環状のフランジ部121bとを有する。本実施形態において、筒状部121aの内周面は、凹凸を有さない凹円柱面状に形成されている。これにより、筒状部121aの厚みを大きくすることなくハブ部121の強度を確保することが可能となる。なお、フランジ部121bの径方向における長さは、クラッチC1およびC2に要求されるトルク容量に応じて任意に定められる。
ドラム部122は、一端(図5における左端)が開口した有底円筒状に形成されており、円筒部および当該円筒部の一端(図5における右端)から径方向内側に延出された環状側壁部を有する。ドラム部122(円筒部)の内周面には、スプラインが形成されており、ドラム部122(円筒部)の外周面は、凹凸を有さない円柱面状に形成されている。これにより、ドラム部122の厚みを大きくすることなく、その強度を確保することが可能となる。連結部125は、長尺の筒状部および当該筒状部の一端(図5における左端)から径方向外側に延出されたフランジ部を有し、ブッシュあるいはラジアル軸受等を介して入力軸20iにより同軸かつ回転自在に支持される。連結部125の筒状部(その他端)は、スプライン等を介して第1および第2サンギヤ21s,22sに連結され、連結部125のフランジ部は、ドラム部122の内周部に溶接等により強固に固定される。これにより、ドラム部122は、連結部125を介して第1および第2サンギヤ21s,22sに常時連結される。
図5に示すように、ドラム部122の開口側の端部は、ハブ部121のフランジ部121b(開口)内に圧入され、ドラム部122の開口側の端部の外周面とフランジ部121bの内周面とは溶接により強固に固定される。これにより、ハブ部121は、ドラム部122および連結部125を介して第1および第2サンギヤ21s,22sに常時連結される。そして、ドラム部122の開口側の端部の外周に固定されるフランジ部121bは、環状のリブとして機能することになる。また、ハブ部121の筒状部121aの内周面は、フランジ部121bの径方向における寸法に応じた間隔をおいてドラム部122の外周面と対向し、ハブ部121の筒状部121aとドラム部122との間には、ドラム部122の開口側の端部やフランジ部121bとは反対側で開口する環状の空間121c(油溜め)が画成される。
ドラム部材130は、クラッチC1により利用されるドラム部131と、クラッチC3により利用されるハブ部133と、環状の支持部135とを含む。本実施形態において、ドラム部131、ハブ部133および支持部135は、例えばアルミニウム合金等を鋳造することにより一体に成形される。ドラム部131は、クラッチC1およびC3の接続対象要素であるラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23rに常時連結(固定)される開口側端部(図5における左端部)を有する円筒部および当該円筒部の一端(図5における右端)から径方向内側に延出された環状側壁部を有する。ドラム部131(円筒部)の内周面には、スプラインが形成されており、ドラム部131(円筒部)の外周面は、凹凸を有さない円柱面状に形成されている。これにより、ドラム部131の厚みを大きくすることなく、その強度を確保することが可能となる。
ドラム部材130のハブ部133は、ドラム部131の環状側壁部から当該ドラム部131(円筒部)の開口側端部とは反対側(図5における右側)に延出される。本実施形態において、ハブ部133は、ドラム部131よりも小さい外径を有する筒状に形成されている。また、ハブ部133の外周面には、スプラインが形成されており、ハブ部133の内周面は、凹凸を有さない凹円柱面状に形成されている。これにより、ハブ部133の厚みを大きくすることなく、その強度を確保することが可能となる。支持部135は、本実施形態において、ハブ部133の内周面から径方向内側に延出されており、その内周部は、ブッシュあるいはラジアル軸受等を介してドラム部材120の連結部125(の外周面)により同軸かつ回転自在に支持される。更に、ドラム部材130の支持部135とドラム部材120の連結部125のフランジ部との間には、スラスト軸受が配置される。
ドラム部材360は、一端(図5における左端)が開口した有底円筒状に形成されたドラム部361と、クラッチC3およびブレーキB2の接続対象要素(固定対象要素)である第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rと一体に回転するリングギヤフランジ(連結部材)220に常時連結(固定)される連結部365とを含む。ドラム部材360のドラム部361は、円筒部および当該円筒部の一端(図5における右端)から径方向内側に延出された環状側壁部を有する。ドラム部361(円筒部)の内周面および外周面には、スプラインが形成されており、ドラム部361(環状側壁部)の内周部には、連結部365の外周部が溶接等により強固に固定される。
ドラム部材360の連結部365は、図6に示すように、自動変速機20(入力軸20iや出力軸20o)の軸方向に延びる筒状部366を有する。連結部365の筒状部366は、ブッシュ、ドラム部材120の連結部125、第2サンギヤ22sのシャフト部を介して入力軸20iにより回転自在に支持(調心)される。また、トランスミッションケース11には、ドラム部材360のドラム部361(ラビニヨ式遊星歯車機構25)と第2遊星歯車22との間に位置して当該トランスミッションケース11(静止部材)の一部を構成する環状のセンターサポート(中間の支持部)11cが固定されている。センターサポート11cは、図示するように、トランスミッションケース11の内周面から径方向内側に向けて延在しており、中心孔を有する筒状の内周部115を含む。内周部115の内周面には、筒状部366に設けられるシール部材の摺動によるブッシュ(アルミ製)の摩耗を抑制するための鉄製スリーブが固定される。
また、連結部365の筒状部366の先端部367は、センターサポート11cの内周部115の内周面により囲まれる部分よりも小さい外径を有するように形成されており、当該先端部367の外周面には、スプラインが形成されている。更に、リングギヤフランジ220は、連結部365の先端部367のスプラインに嵌合(スプライン嵌合)される内周部221と、第2リングギヤ22rの内周面に形成されたスプラインに嵌合(スプライン嵌合)される外周部222とを有する。これにより、ドラム部材360(ドラム部361)は、リングギヤフランジ220の内周側および外周側に設けられた2箇所の嵌め合い嵌合部(スプライン嵌合部)を介して第2リングギヤ22rに常時連結される。
本実施形態において、リングギヤフランジ220の内周部221とドラム部材360の先端部367との嵌合部およびリングギヤフランジ220の外周部222と第2リングギヤ22rとの嵌合部の少なくとも何れか一方は、互いに隣り合うスプライン歯同士の周方向におけるバックラッシよりも大きい径方向のガタ(内周部221や外周部222のスプラインの歯底面と、先端部367や第2リングギヤ22rのスプラインの歯先面との間隙)を有する調心機能をもたない嵌合部として構成される。また、上述のようにドラム部材360の筒状部366の先端部367は、センターサポート11cの内周面によって支持される部分よりも小さい外径を有することから、センターサポート11cによる連結部365(筒状部366)の支持位置よりも内側(中間軸20mにより近接した位置)でリングギヤフランジ220の内周部221に嵌合される。
上述のドラム部材120,130を構成部材とするクラッチC1は、当該ドラム部材120,130に加えて、複数の摩擦プレート(摩擦係合プレート)101と、摩擦プレート101と交互に配設される複数のセパレータプレート(摩擦係合プレート)102およびバッキングプレートと、摩擦プレート101およびセパレータプレート102を押圧して摩擦係合させるピストン140と、ピストン140を摩擦プレート101およびセパレータプレート102から離間するように付勢する複数のリターンスプリング(コイルバネ)SP1と、環状のキャンセルプレート(キャンセル油室画成部材)170とを含む。
クラッチC1の複数の摩擦プレート101(それぞれの内周部)は、ドラム部材130のドラム部131によって囲まれるように配置されるドラム部材120のハブ部121すなわち筒状部121aの外周面に形成されたスプラインに嵌合される。これにより、複数の摩擦プレート101は、ハブ部121と一体に回転すると共に軸方向に移動可能となるようにクラッチハブとして機能するドラム部材120により支持される。また、クラッチC1の複数のセパレータプレート102(それぞれの外周部)は、ドラム部材130のドラム部131の内周面に形成されたスプラインに嵌合される。これにより、複数のセパレータプレート102は、ドラム部131と一体に回転すると共に軸方向に移動可能となるようにクラッチドラムとして機能するドラム部材130により支持される。
ピストン140は、ドラム部材130のドラム部131とドラム部材120のドラム部122との間に配置され、ドラム部材130と一体に回転すると共に軸方向に移動自在となるように当該ドラム部材130の支持部135により支持される。また、キャンセルプレート170は、ピストン140とドラム部材120のドラム部122との間、すなわちピストン140に対してドラム部材130の支持部135とは反対側に配置され、スナップリングを用いて当該支持部135に固定される。そして、ピストン140は、ドラム部材130の支持部135と共にクラッチC1の係合油室(第1係合油室)150を画成する。更に、キャンセルプレート170は、ピストン140および支持部135と共に係合油室150内で発生する遠心油圧をキャンセルするための遠心油圧キャンセル室(第1遠心油圧キャンセル室)190を画成する。
これにより、クラッチC1の全油室、すなわち係合油室150および遠心油圧キャンセル室190は、ラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23r(第1出力要素)と一体に回転するドラム部材130(支持部135)、ピストン140およびキャンセルプレート170により画成される。また、本実施形態において、クラッチC1の係合油室150および遠心油圧キャンセル室190は、図4および図5に示すように、ドラム部材120のハブ部121やドラム部122よりもラビニヨ式遊星歯車機構25から離間すると共に第2遊星歯車22に近接するように画成される。
クラッチC1の係合油室150には、入力軸20iやドラム部材120の連結部125、ドラム部材130の支持部135等に形成された油路を介して油圧制御装置60により調圧されたクラッチC1への係合油圧(作動油)が供給される。また、遠心油圧キャンセル室190には、入力軸20iやドラム部材120の連結部125、ドラム部材130の支持部135等に形成された油路を介して油圧制御装置60からの作動油(例えば、潤滑・冷却用のドレン油)が供給される。複数のリターンスプリングSP1は、ピストン140とキャンセルプレート170との間に位置するように遠心油圧キャンセル室190の内部に周方向に間隔をおいて配設される。なお、クラッチC1のリターンスプリングSP1としては、複数のコイルバネの代わりに単一の板バネが用いられてもよい。
上述のドラム部材120を構成部材とするクラッチC2は、当該ドラム部材120に加えて、クラッチハブ200と、複数の摩擦プレート(第1摩擦係合プレート)201と、複数のセパレータプレート202(第2摩擦係合プレート)およびバッキングプレートと、摩擦プレート201およびセパレータプレート202を押圧して摩擦係合させるピストン240と、環状の油室画成部材270と、ピストン240を摩擦プレート201およびセパレータプレート202から離間するように付勢する複数のリターンスプリング(コイルバネ)SP2とを含む。
クラッチハブ200は、外周面に形成されたスプラインを有する筒状部と、当該筒状部から径方向内側に延出されると共にラビニヨ式遊星歯車機構25の第3サンギヤ23sから軸方向に延出されたシャフト部230に常時連結(固定)される環状の連結部とを有する。クラッチC2の複数の摩擦プレート201(それぞれの外周部)は、クラッチハブ200を囲むように配置されるドラム部材120のドラム部122の内周面に形成されたスプラインに嵌合される。これにより、複数の摩擦プレート201は、ドラム部122と一体に回転すると共に軸方向に移動自在となるようにクラッチドラムとして機能するドラム部材120により支持される。また、クラッチC2の複数のセパレータプレート202(それぞれの内周部)は、クラッチハブ200(筒状部)の外周面に形成されたスプラインに嵌合される。これにより、複数のセパレータプレート202は、クラッチハブ200と一体に回転すると共に軸方向に移動自在となるように当該クラッチハブ200により支持される。
ピストン240は、ドラム部材120のドラム部122によって囲まれると共に内周側の一部がクラッチハブ200の筒状部の内側に入り込むように配置され、第3サンギヤ23sのシャフト部230と一体に回転すると共に軸方向に移動自在となるように当該シャフト部230により支持される。また、油室画成部材270は、ピストン240とドラム部材120との間、すなわちピストン240(その内周部)に対してクラッチハブ200の連結部や第3サンギヤ23sとは反対側に位置するようにスナップリングを用いてシャフト部230に固定される。そして、ピストン240は、油室画成部材270およびシャフト部230と共にクラッチC2の係合油室(第2係合油室)250を画成する。更に、ピストン240は、クラッチハブ200およびシャフト部230と共に係合油室250内で発生する遠心油圧をキャンセルするための遠心油圧キャンセル室(第2遠心油圧キャンセル室)290を画成する。
これにより、クラッチC2の全油室、すなわち係合油室250および遠心油圧キャンセル室290は、ラビニヨ式遊星歯車機構25の第3サンギヤ23s(第2出力要素)と一体に回転するシャフト部230、ピストン240および油室画成部材270により画成される。また、本実施形態において、クラッチC2の係合油室250および遠心油圧キャンセル室290は、図4および図5に示すように、クラッチC1のキャンセルプレート170、すなわちクラッチC1の係合油室150および遠心油圧キャンセル室190よりもラビニヨ式遊星歯車機構25に近接すると共に第2遊星歯車22から離間し、かつ入力軸20iに近接するように画成される。
クラッチC2の係合油室250には、入力軸20iや第3サンギヤ23sのシャフト部230等に形成された油路を介して油圧制御装置60により調圧されたクラッチC2への係合油圧(作動油)が供給される。また、遠心油圧キャンセル室290には、入力軸20iや第3サンギヤ23sのシャフト部230等に形成された油路を介して油圧制御装置60からの作動油(例えば、潤滑・冷却用のドレン油)が供給される。複数のリターンスプリングSP2は、ピストン240とクラッチハブ200(連結部)との間に位置するように遠心油圧キャンセル室290の内部に周方向に間隔をおいて配設される。なお、クラッチC2のリターンスプリングSP2としては、複数のコイルバネの代わりに単一の板バネが用いられてもよい。更に、本実施形態において、ハブ部材としての第3サンギヤ23sのシャフト部230およびクラッチハブ200は、ブッシュあるいはラジアル軸受を介して入力軸20iにより同軸かつ回転自在に支持されると共に、スラスト軸受を介してラビニヨ式遊星歯車機構25の第3キャリヤ23cとドラム部材120の連結部125とにより軸方向に支持される。
上述のドラム部材130および360を構成部材とするクラッチC3は、当該ドラム部材130,360に加えて、複数の摩擦プレート301と、摩擦プレート301と交互に配設される複数のセパレータプレート302およびバッキングプレートと、摩擦プレート301およびセパレータプレート302を押圧して摩擦係合させるピストン340と、ピストン340を摩擦プレート301およびセパレータプレート302から離間するように付勢する複数のリターンスプリング(コイルバネ)SP3と、環状のキャンセルプレート(キャンセル油室画成部材)370とを含む。
クラッチC3の複数の摩擦プレート301(それぞれの内周部)は、第2遊星歯車22側すなわち車両後部側に向けて延びるドラム部材130のハブ部133の外周面に形成されたスプラインに嵌合される。これにより、複数の摩擦プレート301は、ハブ部133と一体に回転すると共に軸方向に移動自在となるようにクラッチハブとして機能するドラム部材130により支持される。また、クラッチC3の複数のセパレータプレート302(それぞれの外周部)は、ドラム部材130のハブ部133を囲むように配置されるドラム部材360のドラム部361の内周面に形成されたスプラインに嵌合される。これにより、複数のセパレータプレート302は、ドラム部361と一体に回転すると共に軸方向に移動自在となるようにクラッチドラムとして機能するドラム部材360により支持される。
ピストン340は、ドラム部材130とドラム部材360のドラム部361との間に配置され、ドラム部材360と一体に回転すると共に軸方向に移動自在となるように当該ドラム部材360の連結部365により支持される。また、キャンセルプレート370は、ピストン340とドラム部材130との間、すなわちピストン340に対してドラム部材360の連結部365とは反対側に配置され、スナップリングを用いて当該連結部365に固定される。そして、ピストン340は、ドラム部材360と共にクラッチC3の係合油室(第3係合油室)350を画成する。更に、キャンセルプレート370は、ピストン340と共に係合油室350内で発生する遠心油圧をキャンセルするための遠心油圧キャンセル室(第3遠心油圧キャンセル室)390を画成する。
これにより、クラッチC3の全油室、すなわち係合油室350および遠心油圧キャンセル室390は、第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rと一体に回転するドラム部材360、ピストン340およびキャンセルプレート370により画成される。また、本実施形態において、クラッチC3の係合油室350および遠心油圧キャンセル室390は、図5に示すように、ドラム部材130の支持部135、すなわちクラッチC1の係合油室150および遠心油圧キャンセル室190よりもラビニヨ式遊星歯車機構25から離間すると共に第2遊星歯車22に近接するように画成される。
クラッチC3の係合油室350には、センターサポート11cや、ドラム部材360の連結部365等に形成された油路を介して油圧制御装置60により調圧されたクラッチC3への係合油圧(作動油)が供給される。また、遠心油圧キャンセル室390には、中間軸20mやドラム部材120の連結部125、ドラム部材360の連結部365等に形成された油路を介して油圧制御装置60からの作動油(例えば、潤滑・冷却用のドレン油)が供給される。複数のリターンスプリングSP3は、ピストン340とキャンセルプレート370との間に位置するように遠心油圧キャンセル室390の内部に周方向に間隔をおいて配設される。なお、クラッチC3のリターンスプリングSP3としては、複数のコイルバネの代わりに単一の板バネが用いられてもよい。
上述のドラム部材360を構成部材とするブレーキB2は、図6に示すように、複数の摩擦プレート(摩擦係合プレート)601と、摩擦プレート601と交互に配設される複数のセパレータプレート(摩擦係合プレート)602およびバッキングプレートと、摩擦プレート601およびセパレータプレート602を押圧して摩擦係合させる第1ピストン641と、第1ピストン641を押圧可能な第2ピストン642と、第1ピストン641を摩擦プレート601およびセパレータプレート602から離間するように付勢する複数のリターンスプリング(コイルバネ)SP6とを含む。
ブレーキB2の複数の摩擦プレート601(それぞれの内周部)は、ドラム部材360のドラム部361の外周面に形成されたスプラインに嵌合され、ドラム部361と一体に回転すると共に軸方向に移動自在となるようにブレーキハブとして機能するドラム部材360により支持される。また、ブレーキB2の複数のセパレータプレート602(それぞれの外周部)は、トランスミッションケース11の内周面に形成されたスプラインに嵌合され、トランスミッションケース11に対して回転不能かつ軸方向に移動可能となるように当該トランスミッションケース11により支持される。図4から図6に示すように、ブレーキB2の摩擦プレート601およびセパレータプレート602は、センターサポート11cに対して第2遊星歯車22とは反対側、すなわちセンターサポート11cよりもラビニヨ式遊星歯車機構25側に配置される。
図5から図7に示すように、センターサポート11cには、第2遊星歯車22とは反対側すなわちラビニヨ式遊星歯車機構25側(図中左側)に向けて開口する環状の第1凹部111と、同様に第2遊星歯車22とは反対側に向けて開口する環状の第2凹部112とが形成されている。第1凹部111は、第2凹部112の径方向内側に形成され、第2凹部112により包囲される。第1および第2凹部111,112は、互いに連通しないように環状の仕切壁113(図6参照)により仕切られており、本実施形態では、互いに概ね同一の軸長を有するように形成される。
第1ピストン641は、環状の第1受圧部641aと、第1および第2摩擦係合プレートを押圧するプレート押圧部641bとを有する。第1受圧部641aは、第1凹部111内に移動自在に嵌合され、第1受圧部641aの内周面と第1凹部111の内側内面との間および第1受圧部641aの外周面と第1凹部111の外側内面との間には、Oリング等のシール部材が1個ずつ配置される。これにより、第1受圧部641aは、軸方向に移動自在となるようにセンターサポート11cにより支持され、当該センターサポート11cと共にブレーキB1の第1係合油室651を画成する。また、プレート押圧部641bは、第1受圧部641aから径方向外側に延出され、トランスミッションケース11のスプラインに嵌合されて最も第2遊星歯車22側に位置するセパレータプレート602と当接可能となるようにラビニヨ式遊星歯車機構25(第2遊星歯車22とは反対側)に向けて突出する。
第2ピストン642は、第2受圧部642aと、ピストン押圧部642bとを有する。第2受圧部642aは、第2凹部112内に移動自在に嵌合され、第2受圧部642aの内周面と第2凹部112の内側内面との間および第2受圧部642aの外周面と第2凹部112の外側内面との間には、Oリング等のシール部材が1個ずつ配置される。これにより、第2受圧部642aは、軸方向に移動自在となるようにセンターサポート11cにより支持され、当該センターサポート11cと共にブレーキB1の第2係合油室652を画成する。また、ピストン押圧部642bは、第1ピストン641のプレート押圧部641bの背面と当接可能となるように、第2受圧部642aからラビニヨ式遊星歯車機構25(第2遊星歯車22とは反対側)に向けて延出される。
ブレーキB2の第1および第2係合油室651および652には、センターサポート11cに形成された油路を介して油圧制御装置60により調圧された係合油圧(作動油)がそれぞれ独立に供給される。また、複数のリターンスプリングSP6は、第1ピストン641に対して第1係合油室651とは反対側に位置するようにスナップリングを用いてセンターサポート11cに固定される環状のスプリング支持部材670と、第1ピストン641との間に周方向に間隔をおいて配設され、第1係合油室651と対向する。なお、ブレーキB2のリターンスプリングSP6としては、複数のコイルバネの代わりに単一の板バネが用いられてもよい。
図4および図7に示すように、クラッチC4は、4つのクラッチC1〜C4および2つのブレーキB1,B2の中で最も出力軸20oに近接するように、第2遊星歯車22に対してラビニヨ式遊星歯車機構25とは反対側、すなわち第1遊星歯車21よりも車両後部側(図1における右側)に配置される。図7に示すように、クラッチC4は、クラッチハブ400と、クラッチドラム410と、複数の摩擦プレート401と、摩擦プレート401と交互に配設される複数のセパレータプレート402およびバッキングプレートと、摩擦プレート401およびセパレータプレート402を押圧して摩擦係合させるピストン440と、ピストン440を摩擦プレート401およびセパレータプレート402から離間するように付勢する複数のリターンスプリング(コイルバネ)SP4と、環状のキャンセルプレート(キャンセル油室画成部材)470とを含む。
クラッチハブ400は、ブッシュあるいはラジアル軸受を介して中間軸20mにより回転自在に支持されると共に、前後に配置される2つのスラスト軸受を介して中間軸20mに形成されたフランジ部と出力軸20oとにより軸方向に支持される。また、クラッチハブ400は、スプラインおよびスナップリングを介して第1遊星歯車21の第1リングギヤ21rに常時連結(固定)される。クラッチドラム410は、出力軸20oに形成された拡径部に溶接等により固定される環状側壁部411と、一端(図7における左端)が開口した有底円筒状に形成されると共に環状側壁部411の外周部に溶接等により接合されて出力軸20o等の軸方向に沿って延びる円筒部412とを有する。円筒部412の開口側の端部(図7における左端部)は、スプライン等を介して第2遊星歯車22の第2キャリヤ22cに常時連結(固定)される。
クラッチC4の複数の摩擦プレート401(それぞれの内周部)は、クラッチハブ400の外周面に形成されたスプラインに嵌合される。これにより、複数の摩擦プレート401は、クラッチハブ400と一体に回転すると共に軸方向に移動自在となるように当該クラッチハブ400により支持される。また、クラッチC4の複数のセパレータプレート402(それぞれの外周部)は、クラッチドラム410の円筒部412の内周面に形成されたスプラインに嵌合される。これにより、複数のセパレータプレート402は、クラッチドラム410と一体に回転すると共に軸方向に移動自在となるように当該クラッチドラム410により支持される。
ピストン440は、クラッチドラム410の円筒部412内で環状側壁部411よりも第1遊星歯車21側(車両前部側)に配置され、出力軸20oと一体に回転すると共に軸方向に移動自在となるように当該出力軸20oにより支持される。また、キャンセルプレート470は、ピストン440よりも第1遊星歯車21側(車両前部側)に位置するようにスナップリングを用いて出力軸20oに固定される。そして、ピストン440は、油室画成部としてのクラッチドラム410や出力軸20oと共にクラッチC4の係合油室(第1係合油室)450を画成する。更に、キャンセルプレート170は、ピストン440および出力軸20oと共に係合油室450内で発生する遠心油圧をキャンセルするための遠心油圧キャンセル室(第4遠心油圧キャンセル室)490を画成する。これにより、クラッチC4の全油室、すなわち係合油室450および遠心油圧キャンセル室490は、第2遊星歯車22の第2キャリヤ22cおよび出力軸20oと一体に回転するクラッチドラム410、ピストン440およびキャンセルプレート470により画成される。
クラッチC4の係合油室450には、トランスミッションケース11や出力軸20o等に形成された油路を介して油圧制御装置60により調圧されたクラッチC4への係合油圧(作動油)が供給される。また、遠心油圧キャンセル室490には、トランスミッションケース11や出力軸20o等に形成された油路を介して油圧制御装置60からの作動油(例えば、潤滑・冷却用のドレン油)が供給される。複数のリターンスプリングSP4は、ピストン440とキャンセルプレート470との間に位置するように遠心油圧キャンセル室490の内部に周方向に間隔をおいて配設される。なお、クラッチC4のリターンスプリングSP4としては、複数のコイルバネの代わりに単一の板バネが用いられてもよい。また、出力軸20oは、ブッシュやラジアル軸受、スラスト軸受を介してトランスミッションケース11により回転自在に支持される。
図8は、自動変速機20の要部、すなわちクラッチC2の周辺の構成を示す拡大断面図である。上述のように、クラッチC2の係合油室250は、ラビニヨ式遊星歯車機構25の第3サンギヤ23s(第2出力要素)と一体に回転すると共にクラッチハブ200と共にハブ部材を構成するシャフト部230、ピストン240および油室画成部材270により画成される。そして、図8に示すように、油室画成部材270は、第3サンギヤ23sのシャフト部230にシール部材(Oリング)を介して嵌合される。また、シャフト部230に形成されたスナップリング溝230gには、油室画成部材270の係合油室250側とは反対側すなわち第2遊星歯車22側(図8における右側)の端面と当接するようにスナップリング280が装着される。これにより、油室画成部材270のシャフト部230(クラッチハブ200)に対する軸方向における移動がスナップリング280により規制され、油室画成部材270は、シャフト部230やクラッチハブ200と一体回転するように当該シャフト部230に固定される。
このようなクラッチC2の組み立てに際しては、クラッチハブ200にセパレータプレート202を間に挟んだ状態の複数の摩擦プレート201を嵌合すると共に、クラッチハブ200に一体化(固定)された第3サンギヤ23sのシャフト部230に、複数のリターンスプリングSP2を保持したスプリングシートが組み付けられたピストン240および油室画成部材270を順番に嵌合する。そして、ピストン240および油室画成部材270をセパレータプレート202や摩擦プレート201側に向けて押し込み、スナップリング溝230gにスナップリング280を装着することになる。すなわち、クラッチC2の組み立てに際しては、クラッチハブ200に複数の摩擦プレート201や複数のセパレータプレート202、バッキングプレートが組み付けられた状態で、シャフト部230のスナップリング溝230gにスナップリング280を装着しなければならない。
従って、スナップリング280の装着に際してピストン240および油室画成部材270に許容される軸方向の移動量は、クラッチC2の作動時におけるピストン240のストロークと概ね同一に制限される。更に、本実施形態の自動変速機20では、クラッチC2の油圧応答性を良好に確保して変速性能を向上させると共に、装置全体のコンパクト化を図るべく、ピストン240のストロークが比較的小さく定められる。このため、クラッチC2において、油室画成部材270に環状の凹部を形成すると共に当該凹部の内周面によりスナップリング280の外周面を径方向に支持しようとすると、スナップリング溝230gにスナップリング280を装着し得なくなってしまう。また、ピストン240のストロークを小さくしつつ、スナップリング溝230gへのスナップリング280の装着を可能にするために、より大きな(大径の)環状の凹部を油室画成部材270に形成すると、当該凹部の内周面によりスナップリング280の外周面を径方向に支持し得なくなってしまう。
これを踏まえて、油室画成部材270の係合油室250側とは反対側(図8における右側)の端面の内周部には、図8に示すように、拡張したスナップリング280を収容し得る程度の大きさの環状凹部271が形成される。すなわち、環状凹部271の内周面の半径は、拡張したスナップリング280をシャフト部230に嵌め込んだ際に当該スナップリング280の外周面と環状凹部271の内周面とが接触しないように定められる。これにより、スナップリング280がスナップリング溝230gに装着された際には、環状凹部271の内周面は、スナップリング溝230g内で収縮したスナップリング280の外周面と間隔をおいて対向する。
更に、本実施形態では、スラスト軸受90が第3サンギヤ23sのシャフト部230の一端(図8における右端)を軸方向に支持するように油室画成部材270に近接して配置され、当該スラスト軸受90のシャフト部230と当接する円環状のレース91には、突出部91pが形成されている。図8に示す例において、突出部91pは、レース91の外周部からシャフト部230に向けて延出されると共に、収縮したスナップリング280の外径よりも僅かに大きい内径と環状凹部271の内周面よりも僅かに小さい外径を有する円筒状に形成される。
これにより、スナップリング溝230gが環状凹部271の内周面により完全に囲まれるようにピストン240および油室画成部材270をセパレータプレート202や摩擦プレート201に向けて押し込めば、ピストン240のストロークが小さくても、シャフト部230のスナップリング溝230gにスナップリング280を容易に装着することが可能となる。そして、スナップリング溝230g内でスナップリング280を収縮させた後、スラスト軸受90の組み付けに際してレース91の突出部91pを環状凹部271の内周面とスナップリング280の外周面との間の隙間に差し込めば、スナップリング280の外周面を当該突出部91pにより径方向に支持することができる。従って、クラッチC2によれば、ピストン240のストロークを適正化して自動変速機20の変速性能の向上やコンパクト化を図りつつ、油室画成部材270の移動を規制するスナップリング280が径方向に拡張するのを良好に抑制することが可能となる。
また、クラッチC2では、図8に示すように、レース91の突出部91pが環状凹部271の内周面と当接して当該内周面により径方向に支持されることになる。これにより、ハブ部材としてのシャフト部230およびクラッチハブ200を軸方向に支持するスラスト軸受90のレース91のガタつきを良好に抑制することが可能となる。ただし、スラスト軸受90のレース91は、油室画成部材270以外の部材によって径方向に支持されてもよい。この場合、油室画成部材270の環状凹部271をより大きな切欠とすることができるので、スナップリング溝230gに対するスナップリング280の装着性を向上させることが可能となる。更に、レース91に形成される突出部91pは、円筒状のものに限られるものではない。すなわち、複数の突出部がスナップリング280の外周面と当接するようにレース91から周方向に間隔をおいて延出されてもよく、スナップリング280の拡張を抑制し得るのであれば、1個の突出部がスナップリング280の外周面の一部と当接するようにレース91から延出されてもよい。
そして、自動変速機20において、ラビニヨ式遊星歯車機構25は、第4サンギヤ24sがブレーキB1により回転不能に固定された際、第3サンギヤ23sの回転速度が第3リングギヤ23rよりも高くなるように第3キャリヤ23cに伝達された動力を増速して第3リングギヤ23rおよび第3サンギヤ23sに伝達する(図2参照)。従って、第3サンギヤ23sと一体に回転するシャフト部230およびクラッチハブ200を含むクラッチC2に上述のような構成を適用すれば、シャフト部230およびクラッチハブ200が第3サンギヤ23sと一体に高速で回転しても、スナップリング280が遠心力により径方向に拡張するのを極めて良好に抑制することが可能となる。
なお、本実施形態において、第3サンギヤ23sのシャフト部230には、遠心油圧キャンセル室290から作動油を排出させるための油孔230hが形成されている。そして、自動変速機20において、当該油孔230hを介して遠心油圧キャンセル室290から流出する作動油は、第3キャリヤ23c(キャリヤ本体またはキャリヤカバー)に形成された複数の径方向油路235に流入し、当該径方向油路235やピニオンシャフトに形成された油孔等を介して、第3ピニオンギヤ23pや第4ピニオンギヤ24pと第3リングギヤ23rとの噛合部に潤滑・冷却媒体として供給される。
更に、第3キャリヤ23cには、径方向油路235の内周側すなわちシャフト部230側の開口を入力軸20iの軸方向における前後から挟むように当該第3キャリヤ23cの内周に沿って延びる第1および第2環状壁部236および237が形成されている。そして、第1環状壁部236に比べてクラッチハブ200に近接する第2環状壁部237は、第3キャリヤ23cとクラッチハブ200との間の軸方向の間隙の内側開口を覆うように第3キャリヤ23cからクラッチハブ200側に延出される。また、第2環状壁部237の内周は、第1環状壁部236の内周よりも径方向外側に位置するように形成される。これにより、油孔230hを介して遠心油圧キャンセル室290から流出する作動油をクラッチハブ200の油孔205にも導いて、クラッチC2の摩擦プレート201およびセパレータプレート202に潤滑・冷却媒体として供給することが可能となる。
以上説明したように、本発明による多段変速機は、複数の回転要素のうちの2つを互いに接続すると共に両者の接続を解除するクラッチを含み、車両の原動機から入力部材に伝達された動力を変速して出力部材に伝達する多段変速機において、前記クラッチは、第1摩擦係合プレートの外周部が嵌合されると共に前記2つの回転要素の一方に常時連結されるクラッチドラムと、第2摩擦係合プレートの内周部が嵌合されると共に前記2つの回転要素の他方に常時連結され、スラスト軸受により軸方向に支持されるハブ部材と、前記ハブ部材により軸方向に移動自在に支持されると共に前記第1および第2摩擦係合プレートを押圧して摩擦係合させるピストンと、前記ハブ部材と一体に回転するように該ハブ部材に取り付けられると共に、前記ピストンと共に作動油が供給される係合側油室を画成する油室画成部材と、前記ハブ部材に対する前記油室画成部材の前記軸方向における移動を規制するように該ハブ部材に形成されたスナップリング溝に装着されるスナップリングとを備え、前記油室画成部材は、前記スナップリング溝に装着されたスナップリングの外周面と間隔をおいて対向する内周面を有する環状凹部を有し、前記スラスト軸受のレースは、前記スナップリングの外周面を径方向に支持するように前記油室画成部材の前記環状凹部内に差し込まれる突出部を有することを特徴とする。
すなわち、本発明による多段変速機のクラッチは、スラスト軸受により軸方向に支持されるハブ部材と、ハブ部材により軸方向に移動自在に支持されるピストンと、ハブ部材と一体に回転するように当該ハブ部材に取り付けられると共に、ピストンと共に作動油が供給される係合側油室を画成する油室画成部材と、ハブ部材に形成されたスナップリング溝に装着されて当該ハブ部材に対する油室画成部材の軸方向における移動を規制するスナップリングとを含む。そして、本発明によるクラッチにおいて、油室画成部材は、スナップリング溝に装着されたスナップリングの外周面と間隔をおいて対向する内周面を有する環状凹部を有し、スラスト軸受のレースは、スナップリングの外周面を径方向に支持するように油室画成部材の環状凹部内に差し込まれる突出部を有する。
これにより、拡張したスナップリングを収容し得る程度の大きさの環状凹部を油室画成部材に形成しておけば、ピストンのストロークが小さくても、ハブ部材のスナップリング溝にスナップリングを容易に装着することが可能となる。そして、スナップリング溝にスナップリングが装着された後、スラスト軸受のレースの突出部を環状凹部の内周面とスナップリングの外周面との間の隙間に差し込めば、スナップリングの外周面を当該突出部により径方向に支持することができる。従って、このクラッチによれば、ピストンのストロークを適正化して多段変速機の変速性能の向上やコンパクト化を図りつつ、油室画成部材の移動を規制するスナップリングが径方向に拡張するのを良好に抑制することが可能となる。
また、前記レースの突出部は、前記環状凹部の前記内周面により径方向に支持されてもよい。これにより、ハブ部材を軸方向に支持するスラスト軸受のレースのガタつきを良好に抑制することが可能となる。
更に、前記多段変速機は、入力要素と、固定可能要素と、第1出力要素および第2出力要素とを有するラビニヨ式遊星歯車機構と、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記固定可能要素を静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除するブレーキとを含んでもよく、前記ラビニヨ式遊星歯車機構は、前記固定可能要素が前記ブレーキにより回転不能に固定された際に、前記第2出力要素の回転速度が前記第1出力要素よりも高くなるように前記入力要素に伝達された動力を増速して前記第1および第2出力要素に伝達するものであってもよく、前記ハブ部材は、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記第2出力要素に常時連結されてもよい。すなわち、このように構成される多段変速機では、ハブ部材に常時連結されるラビニヨ式遊星歯車機構の第2出力要素が高速で回転しても、スナップリングが遠心力により径方向に拡張するのを極めて良好に抑制することができる。
また、前記多段変速機は、速度線図上でギヤ比に対応した間隔をおいて順番に並ぶ第1回転要素、第2回転要素および第3回転要素を有する第1遊星歯車と、速度線図上でギヤ比に対応した間隔をおいて順番に並ぶ第4回転要素、第5回転要素および第6回転要素を有する第2遊星歯車と、第1、第2、第3および第4クラッチと、第1および第2ブレーキとを備えてもよく、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記入力要素と前記第1遊星歯車の前記第2回転要素とは前記入力部材に常時連結されてもよく、前記第1遊星歯車の前記第1回転要素と前記第2遊星歯車の前記第4回転要素とは常時連結されてもよく、前記第2遊星歯車の前記第5回転要素と前記出力部材とは常時連結されてもよく、前記第1クラッチは、常時連結された前記第1遊星歯車の前記第1回転要素および前記第2遊星歯車の前記第4回転要素と、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記第1出力要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものであってもよく、前記第2クラッチは、常時連結された前記第1遊星歯車の前記第1回転要素および前記第2遊星歯車の前記第4回転要素と、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記第2出力要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除する前記クラッチであってもよく、前記第3クラッチは、前記第2遊星歯車の前記第6回転要素と、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記第1出力要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものであってもよく、前記第4クラッチは、常時連結された前記第2遊星歯車の前記第5回転要素および前記出力部材と、前記第1遊星歯車の前記第3回転要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものであってもよく、前記第1ブレーキは、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記固定可能要素を静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除する前記ブレーキであってもよく、前記第2ブレーキは、前記第2遊星歯車の前記第6回転要素を前記静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除するものであってもよい。
かかる態様の多段変速機は、ラビニヨ式遊星歯車機構と、第1および第2遊星歯車と、第1から第4クラッチと、第1および第2ブレーキとを備えるものである。そして、この多段変速機では、第1から第4クラッチ並びに第1および第2ブレーキのうちの何れか3つを選択的に係合させることにより、第1速段から第10速段までの前進段と後進段とを形成することが可能となる。この結果、この多段変速機では、スプレッド(ギヤ比幅=最低変速段のギヤ比/最高変速段のギヤ比)をより大きくして動力の伝達効率すなわち車両の燃費や加速性能を向上させると共に、ステップ比(ある変速段のギヤ比/1段階高速段側の変速段のギヤ比)を適正化(より大きくなるのを抑制)して変速フィーリングを向上させることができる。従って、この多段変速機によれば、動力の伝達効率とドライバビリティーとの双方を良好に向上させることができる。
更に、この多段変速機では、ラビニヨ式遊星歯車機構の入力要素と同様に、第1遊星歯車の第2回転要素が入力部材に常時連結され、第1遊星歯車の第3回転要素が第4クラッチにより出力部材(および第2遊星歯車の第5回転要素)に選択的に接続される。これにより、例えば第1遊星歯車の第3回転要素が第2遊星歯車の第5回転要素と共に出力部材に常時連結され、かつ第1遊星歯車の第2回転要素が入力部材に選択的に接続される変速機において第2回転要素と入力部材とを選択的に接続させるクラッチに比べて、第4クラッチのトルク分担を低減させることができる。この結果、第4クラッチを軸方向および径方向の少なくとも何れか一方においてコンパクト化することができる。従って、この多段変速機によれば、動力の伝達効率とドライバビリティーとの双方を向上させると共に、装置全体の大型化を抑制することが可能となる。
そして、この多段変速機では、次のように第1から第4クラッチ並びに第1および第2ブレーキを係合させることにより、第1速段から第10速段までの前進段と後進段とを形成することができる。すなわち、前進第1速段は、第1クラッチ、第2クラッチおよび第2ブレーキを係合させることにより形成される。また、前進第2速段は、第1クラッチ、第1ブレーキおよび第2ブレーキを係合させることにより形成される。更に、前進第3速段は、第2クラッチ、第1ブレーキおよび第2ブレーキを係合させることにより形成される。また、前進第4速段は、第4クラッチ、第1ブレーキおよび第2ブレーキを係合させることにより形成される。更に、前進第5速段は、第2クラッチ、第4クラッチおよび第1ブレーキを係合させることにより形成される。また、前進第6速段は、第1クラッチ、第4クラッチおよび第1ブレーキを係合させることにより形成される。更に、前進第7速段は、第1クラッチ、第3クラッチおよび第4クラッチを係合させることにより形成される。また、前進第8速段は、第3クラッチ、第4クラッチおよび第1ブレーキを係合させることにより形成される。更に、前進第9速段は、第1クラッチ、第3クラッチおよび第1ブレーキを係合させることにより形成される。更に、前進第10速段は、第2クラッチ、第3クラッチおよび第1ブレーキを係合させることにより形成される。また、後進段は、第2クラッチ、第3クラッチおよび第2ブレーキを係合させることにより形成される。
このように、本発明による多段変速機では、6つの係合要素、すなわち第1から第4クラッチ並びに第1および第2ブレーキのうち、何れか3つを係合させると共に残余の3つを解放させることにより前進第1速段から前進第10速段および後進段が形成される。これにより、例えば6つの係合要素のうちの2つを係合させると共に残余の4つを解放させることにより複数の変速段を形成する変速機に比べて、変速段の形成に伴って解放される係合要素の数を減らすことができる。この結果、変速段の形成に伴って解放された係合要素における引き摺り損失を低減させて、多段変速機における動力の伝達効率をより一層向上させることが可能となる。
更に、前記出力部材は、デファレンシャルギヤを介して車両の後輪に連結される出力軸であってもよい。すなわち、本発明による多段変速機は、後輪駆動車両に搭載される変速機として構成されてもよい。ただし、本発明による多段変速機が前輪駆動車両に搭載される変速機としても構成され得ることは、上述のとおりである。
そして、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記発明を実施するための形態は、あくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本発明は、多段変速機の製造産業等において利用可能である。
10 動力伝達装置、11 トランスミッションケース、11c センターサポート、11d ドラム部、11f フロントサポート、12 発進装置、14o ワンウェイクラッチ、14p ポンプインペラ、14s ステータ、14t タービンランナ、15 ロックアップクラッチ、16 ダンパ機構、17 オイルポンプ、20 自動変速機、20i 入力軸、20m 中間軸、20o 出力軸、21 第1遊星歯車、21c 第1キャリヤ、21p 第1ピニオンギヤ、21r 第1リングギヤ、21s 第1サンギヤ、22 第2遊星歯車、22c 第2キャリヤ、22p 第2ピニオンギヤ、22r 第2リングギヤ、22s 第2サンギヤ、23c 第3キャリヤ、23p 第3ピニオンギヤ、23r 第3リングギヤ、23s 第3サンギヤ、24p 第4ピニオンギヤ、24s 第4サンギヤ、25 ラビニヨ式遊星歯車機構、60 油圧制御装置、90 スラスト軸受、91 レース、91p 突出部、101,201,301,401,501,601 摩擦プレート、102、202,302,402,502,602 セパレータプレート、111 第1凹部、112 第2凹部、113 仕切壁、115 内周部、120,130,360 ドラム部材、121 ハブ部、121a 筒状部、121b フランジ部、121c 空間、122 ドラム部、125 連結部、131 ドラム部、133 ハブ部、135 支持部、140,240,340,440,540 ピストン、150,250,350,450,550 係合油室、170,370,470 キャンセルプレート、190、290,390,490 遠心油圧キャンセル室、200,400 クラッチハブ、220 リングギヤフランジ、221 内周部、222 外周部、230 シャフト部、230g スナップリング溝、230h 油孔、235 径方向油路、236 第1環状壁部、237 第2環状壁部、270 油室画成部材、271 環状凹部、280 スナップリング、361 ドラム部、365 連結部、366 筒状部、367 先端部、410 クラッチドラム、411 環状側壁部、412 円筒部、500 ブレーキハブ、570,670 スプリング支持部材、641 第1ピストン、641a 第1受圧部、641b プレート押圧部、642 第2ピストン、642a 第2受圧部、642b ピストン押圧部、651 第1係合油室、652 第2係合油室、B1,B2 ブレーキ、C1,C2,C3,C4 クラッチ、SP1,SP2,SP3,SP4,SP5,SP6 リターンスプリング。

Claims (6)

  1. 複数の回転要素のうちの2つを互いに接続すると共に両者の接続を解除するクラッチを含み、車両の原動機から入力部材に伝達された動力を変速して出力部材に伝達する多段変速機において、
    前記クラッチは、
    第1摩擦係合プレートの外周部が嵌合されると共に前記2つの回転要素の一方に常時連結されるクラッチドラムと、
    第2摩擦係合プレートの内周部が嵌合されると共に前記2つの回転要素の他方に常時連結され、スラスト軸受により軸方向に支持されるハブ部材と、
    前記ハブ部材により軸方向に移動自在に支持されると共に前記第1および第2摩擦係合プレートを押圧して摩擦係合させるピストンと、
    前記ハブ部材と一体に回転するように該ハブ部材に取り付けられると共に、前記ピストンと共に作動油が供給される係合側油室を画成する油室画成部材と、
    前記ハブ部材に対する前記油室画成部材の前記軸方向における移動を規制するように該ハブ部材に形成されたスナップリング溝に装着されるスナップリングとを備え、
    前記油室画成部材は、前記スナップリング溝に装着されたスナップリングの外周面と間隔をおいて対向する内周面を有する環状凹部を有し、
    前記スラスト軸受のレースは、前記スナップリングの外周面を径方向に支持するように前記油室画成部材の前記環状凹部内に差し込まれる突出部を有することを特徴とする多段変速機。
  2. 請求項1に記載の多段変速機において、
    前記レースの突出部は、前記環状凹部の前記内周面により径方向に支持されることを特徴とする多段変速機。
  3. 請求項1または2に記載の多段変速機において、
    入力要素と、固定可能要素と、第1出力要素および第2出力要素とを有するラビニヨ式遊星歯車機構と、
    前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記固定可能要素を静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除するブレーキとを含み、
    前記ラビニヨ式遊星歯車機構は、前記固定可能要素が前記ブレーキにより回転不能に固定された際に、前記第2出力要素の回転速度が前記第1出力要素よりも高くなるように前記入力要素に伝達された動力を増速して前記第1および第2出力要素に伝達し、
    前記ハブ部材は、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記第2出力要素に常時連結されることを特徴とする多段変速機。
  4. 請求項3に記載の多段変速機において、
    速度線図上でギヤ比に対応した間隔をおいて順番に並ぶ第1回転要素、第2回転要素および第3回転要素を有する第1遊星歯車と、
    速度線図上でギヤ比に対応した間隔をおいて順番に並ぶ第4回転要素、第5回転要素および第6回転要素を有する第2遊星歯車と、
    第1、第2、第3および第4クラッチと、
    第1および第2ブレーキとを備え、
    前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記入力要素と前記第1遊星歯車の前記第2回転要素とは前記入力部材に常時連結され、
    前記第1遊星歯車の前記第1回転要素と前記第2遊星歯車の前記第4回転要素とは常時連結され、
    前記第2遊星歯車の前記第5回転要素と前記出力部材とは常時連結され、
    前記第1クラッチは、常時連結された前記第1遊星歯車の前記第1回転要素および前記第2遊星歯車の前記第4回転要素と、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記第1出力要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、
    前記第2クラッチは、常時連結された前記第1遊星歯車の前記第1回転要素および前記第2遊星歯車の前記第4回転要素と、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記第2出力要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除する前記クラッチであり、
    前記第3クラッチは、前記第2遊星歯車の前記第6回転要素と、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記第1出力要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、
    前記第4クラッチは、常時連結された前記第2遊星歯車の前記第5回転要素および前記出力部材と、前記第1遊星歯車の前記第3回転要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、
    前記第1ブレーキは、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記固定可能要素を静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除する前記ブレーキであり、
    前記第2ブレーキは、前記第2遊星歯車の前記第6回転要素を前記静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除することを特徴とする多段変速機。
  5. 請求項4に記載の多段変速機において、
    前記第1クラッチ、前記第2クラッチおよび前記第2ブレーキの係合により前進第1速段が形成され、
    前記第1クラッチ、前記第1ブレーキおよび前記第2ブレーキの係合により前進第2速段が形成され、
    前記第2クラッチ、前記第1ブレーキおよび前記第2ブレーキの係合により前進第3速段が形成され、
    前記第4クラッチ、前記第1ブレーキおよび前記第2ブレーキの係合により前進第4速段が形成され、
    前記第2クラッチ、前記第4クラッチおよび前記第1ブレーキの係合により前進第5速段が形成され、
    前記第1クラッチ、前記第4クラッチおよび前記第1ブレーキの係合により前進第6速段が形成され、
    前記第1クラッチ、前記第3クラッチおよび前記第4クラッチの係合により前進第7速段が形成され、
    前記第3クラッチ、前記第4クラッチおよび前記第1ブレーキの係合により前進第8速段が形成され、
    前記第1クラッチ、前記第3クラッチおよび前記第1ブレーキの係合により前進第9速段が形成され、
    前記第2クラッチ、前記第3クラッチおよび前記第1ブレーキの係合により前進第10速段が形成され、
    前記第2クラッチ、前記第3クラッチおよび前記第2ブレーキの係合により後進段が形成されることを特徴とする多段変速機。
  6. 請求項1から5の何れか一項に記載の多段変速機において、
    前記出力部材は、デファレンシャルギヤを介して車両の後輪に連結される出力軸であることを特徴とする多段変速機。
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