JP5354095B2 - プリプレグ、繊維強化複合材料およびプリプレグの製造方法 - Google Patents

プリプレグ、繊維強化複合材料およびプリプレグの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スポーツ用途および一般産業用途に適した、剛性、強度、制振性に優れる繊維強化複合材料に関する。また、本発明は、この繊維強化複合材料を得るのに好適なプリプレグとその製造方法に関する。
炭素繊維やアラミド繊維などを強化繊維として用いた繊維強化複合材料は、その高い比強度、比弾性率を利用して、航空機や自動車などの構造材料や、テニスラケット、ゴルフシャフト、釣り竿、自転車などのスポーツ・一般産業用途などに広く利用されている。最近のゴルフクラブは、ヘッドのほとんどが金属製であり、しかもヘッドが大型化している。そのため、打球時の手に伝わる振動や硬質感が高まり、制振性や打球感の改良に対する要求が強まっている。
特許文献1には、繊維強化樹脂製のシャフトの長手方向の少なくとも一部に、金属繊維の編組でできた振動減衰層を有するゴルフクラブシャフトが開示されている。また、特許文献2には、繊維強化樹脂層間または繊維強化樹脂層の最内層の内面に、ポリエステルフィルムを1層以上有するゴルフクラブシャフトが開示されている。
テニスラケットについても、軽量化、反発力重視および操作性向上が求められ、エポキシ樹脂をマトリックスとした炭素繊維複合材料が積極的に用いられている。ラケットを用いてボールを打つ際の衝撃は、振動としてラケットを通して体に伝わる。この振動を繰り返し受けると、肘に疲労が蓄積し、肘に痛みが現れるいわゆるテニス肘の原因となることが知られている。そのため、このような振動は低減されることが好ましいとされている。
特許文献3には、特定のエポキシ樹脂とエポキシ樹脂に非相溶なゴム粒子およびポリビニルホルマールを含むエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として使用した繊維強化複合材料製テニスラケットが開示されている。この技術では、エポキシ樹脂に非相溶なゴム粒子が、強化繊維束内部にまで入り込むと同時に、強化繊維によってある程度のゴム微粒子が濾過され、プリプレグの内部より表面により多くのゴム成分が存在する。このため、積層後はプリプレグの層間に多くのゴム成分を存在させることができる。この技術は、エポキシ樹脂に可溶なゴム微粒子を用いて均一にゴム成分が存在した場合に比べて、より制振性が高く、同時に打撃感に優れるラケットを提供することができる。しかし、強化繊維束内部にまでエポキシ樹脂に比べて弾性率の低いゴム粒子が入り込むことにより、強化繊維束中のマトリックス樹脂弾性率が低下し、ラケットの剛性や強度が低下する。
一方、強化繊維束への粒子の入り込みを抑え、プリプレグ表面に粒子が多く存在することを特徴とするプリプレグが特許文献4および特許文献5に例示されている。この技術では、エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂とでできたコアシェル型の粒子やナイロン12粒子が適用されている。
さらに、小さな魚信を高感度に伝えるために、制振性を高めた釣り竿が、特許文献6に例示されている。この文献では、繊維強化樹脂層間にエポキシエラストマーシートが配置されている。
特開2009−261473号公報 特開2008−237373号公報 特開2003−012889号公報 特開2010−116484号公報 特開昭63−170428号公報 特開平04−207139号公報
しかしながら、これら技術には様々な問題がある。特許文献1の技術では、制振性は向上するが、ゴルフシャフトに通常使用される炭素繊維より比重の大きい金属繊維を使用するため、シャフトの質量が大きくなる。
特許文献2の技術では、制振性は向上するが、ゴルフシャフト用繊維強化樹脂のマトリックス樹脂として通常使用されるエポキシ樹脂に比べて、ポリエステルは弾性率が低いため、シャフトの曲げ強度やねじり強度が低くなる。
特許文献3の技術では、前述のとおり強化繊維束内部にまでエポキシ樹脂に比べて弾性率の低いゴム粒子が入り込むことにより、強化繊維束中のマトリックス樹脂弾性率が低下し、ラケットの剛性や強度が低下する。
特許文献4および5の技術では、繊維強化複合材料の耐衝撃性や疲労特性は向上するものの、室温付近での制振性が十分でない。
特許文献6の技術では、エポキシエラストマーシートにより制振性が大きく向上するが、繊維強化複合材料の剛性と強度が大きく低下する。
本発明は、これら従来技術の問題点を解決し、剛性、強度および制振性に優れる繊維強化複合材料を提供する。また、本発明は、この繊維強化複合材料を得るのに好適なプリプレグとその製造方法を提供する。
本発明のプリプレグは、下記構成要素(A)、(B)(C)および(P)を含み、構成要素(A)および(P)が、構成要素(B)および(C)を含む層の片面または両面に配置され、構成要素(A)および(P)の90面積%以上が、構成要素(A)、(B)(C)および(P)を含むプリプレグの表面からプリプレグ平均厚みの20%までの部位に存在している;
(A)10℃におけるtanδが0.15以上であって、かつ、3次元架橋構造を有するエポキシ粒子;
(B)第1のエポキシ樹脂組成物;
(C)強化繊維
(P)ヤング率が2GPa以上で、平均粒径が5〜100μmの粒子
本発明の繊維強化複合材料は、下記構成要素(E)、(F)(G)および(Q)を含み、構成要素(F)および(G)を含む強化繊維層を2層以上有しており、繊維強化複合材料の断面を観察した際に、構成要素(E)および(Q)の90面積%以上が、強化繊維層と、その強化繊維層に隣接する他の強化繊維層との間の構成要素(G)を含まない層間領域に局在化している;
(E)10℃におけるtanδが0.15以上であって、かつ、3次元架橋構造を有するエポキシ粒子;
(F)第3のエポキシ樹脂組成物の硬化物;
(G)強化繊維
(Q)ヤング率が2GPa以上で、平均粒径が5〜100μmの粒子
本発明のプリプレグの製造方法は、構成要素(B)を構成要素(C)に含浸させてプリプレグ前駆体を得る工程と、このプリプレグ前駆体に構成要素(A)および(P)を貼付する工程を含む製造方法である。
また、本発明のプリプレグの製造方法は、下記(I’)、(II’)および(III’)の工程を含む製造方法である;
(I’)構成要素(A)および(P)を構成要素(D)に分散させ、この分散体をフィルムにする工程;
(II’)構成要素(B)を構成要素(C)に含浸させ、プリプレグ前駆体を作製する工程;
(III’)(I’)で得られたフィルムを(II’)で得られたプリプレグ前駆体に貼付する工程。
本発明によれば、剛性、強度および制振性に優れる繊維強化複合材料を提供できる。また、本発明によれば、この繊維強化材料を得るのに好適なプリプレグとその製造方法を提供できる。すなわち、本発明の繊維強化複合材料およびプリプレグによれば、振動減衰性が高く、かつ3次元架橋構造を有するエポキシ粒子を、繊維強化複合材料の層間に局在化させることにより、繊維強化複合材料の剛性、強度を低下させることなく、制振性を向上させることができる。本発明は、ゴルフシャフトの打球感改善、テニスラケットの衝撃吸収性向上、釣り竿の魚信感度改善等の目的のために有効な技術である。
図1は、構成要素(A)、(B)および(C)からなり、構成要素(A)が、構成要素(B)および(C)からなる層の片面に配置されたプリプレグの断面図である。 図2は、構成要素(A)、(B)および(C)からなり、構成要素(A)が、構成要素(B)および(C)からなる層の両面に配置されたプリプレグの断面図である。 図3は、構成要素(A)、(B)、(C)および(P)からなり、構成要素(A)および(P)が、構成要素(B)および(C)からなる層の片面に配置されたプリプレグの断面図である。 図4は、構成要素(A)、(B)、(C)および(P)からなり、構成要素(A)および(P)が、構成要素(B)および(C)からなる層の両面に配置されたプリプレグの断面図である。 図5は、構成要素(A)、(B)、(C)および(D)からなり、構成要素(A)が構成要素(D)に含まれた状態で構成要素(B)および(C)からなる層の片面に配置されたプリプレグの断面図である。 図6は、構成要素(A)、(B)、(C)および(D)からなり、構成要素(A)が構成要素(D)に含まれた状態で構成要素(B)および(C)からなる層の両面に配置されたプリプレグの断面図である。 図7は、構成要素(A)、(B)、(C)、(D)および(P)からなり、構成要素(A)および(P)が構成要素(D)に含まれた状態で構成要素(B)および(C)からなる層の片面に配置されたプリプレグの断面図である。 図8は、構成要素(A)、(B)、(C)、(D)および(P)からなり、構成要素(A)および(P)が構成要素(D)に含まれた状態で構成要素(B)および(C)からなる層の両面に配置されたプリプレグの断面図である。 図9は、構成要素(E)、(F)および(G)からなり、構成要素(F)および(G)からなる層の積層体の層間に、構成要素(E)が存在する繊維強化複合材料の断面図である。 図10は、構成要素(E)、(F)、(G)および(Q)からなり、構成要素(F)および(G)からなる層の積層体の層間に、構成要素(E)および(Q)が存在する繊維強化複合材料の断面図である。 図11は、構成要素(E)、(F)、(G)および(H)からなり、構成要素(F)および(G)からなる層の積層体の層間に、構成要素(E)および構成要素(H)が存在し、かつ構成要素(E)が構成要素(H)に含まれた状態で存在している繊維強化複合材料の断面図である。 図12は、構成要素(E)、(F)、(G)、(H)および(Q)からなり、構成要素(F)および(G)からなる層の積層体の層間に、構成要素(E)、(Q)および構成要素(H)が存在し、かつ構成要素(E)および(Q)が構成要素(H)に含まれた状態で存在している繊維強化複合材料の断面図である。
[プリプレグ]
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明のプリプレグは、次の構成要素(A)、(B)および(C)を含むプリプレグである。
(A)10℃におけるtanδが0.15以上であって、かつ、3次元架橋構造を有するエポキシ粒子
(B)第1のエポキシ樹脂組成物
(C)強化繊維。
図1〜8に本発明のプリプレグの好ましい態様の例の断面図を示す。図1〜8に示すように、構成要素(B)が構成要素(C)に含浸して層を形成し、構成要素(A)が、構成要素(B)および(C)からなる層の片面または両面に配置されている。
[構成要素(A)]
構成要素(A)は、3次元架橋構造を有するエポキシ粒子であることが必要である。エポキシ粒子が3次元架橋構造を有することで、優れた剛性、強度および制振性を有する繊維強化複合材料を得ることができる。3次元架橋構造がない場合、エポキシ粒子が後述する構成要素(B)である第一のエポキシ樹脂組成物に溶解しやすくなる。その場合、得られる繊維強化複合材料は、剛性、強度およびガラス転移温度が低い上に、制振性の向上効果もあまり期待できない。同じ理由から、構成要素(A)と構成要素(B)とが非相溶であることが好ましい。
本発明に適用されるエポキシ粒子は、少なくともエポキシ樹脂と硬化剤とからなり、これらを反応させることで得られる。使用するエポキシ樹脂は特に限定されるものではなく、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、および分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化して得られるエポキシ樹脂等の中から1種以上を選択して用いることができる。中でも、10℃での高いtanδ値を得るため、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンおよびひまし油などのポリオールとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好適に用いられる。
ネオペンチルグリコール型エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール(登録商標)”EX−211(ナガセケムテックス(株)製)、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール(登録商標)”EX−821、“デナコール(登録商標)”EX−830、“デナコール(登録商標)”EX−841、“デナコール(登録商標)”EX−861、(以上、ナガセケムテックス(株)製)、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール(登録商標)”EX−941、“デナコール(登録商標)”EX−931(以上、ナガセケムテックス(株)製)、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール(登録商標)”EX−212(ナガセケムテックス(株)製)、トリメチロール型エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール(登録商標)”EX−321(ナガセケムテックス(株)製)等が挙げられる。
使用する硬化剤は特に限定されるものではなく、エポキシ樹脂の硬化剤として通常用いられるアミン系、酸無水物系、フェノール樹脂系、その他メルカプタン系などが用いられる。この中でも特に脂肪族アミン、芳香族アミン、ポリアミドアミンのようなアミン系化合物が好ましく用いられる。このような硬化剤の市販品を例示すると、ジシアンジアミド(DICY(三菱化学(株)製))、脂肪族アミン型の(“jERキュア(登録商標)”(三菱化学(株)製))、ポリオキシアルキレンアミン類の(“Jeffamine(登録商標)”(ハンツマン(株)製))、ポリアミドアミン類の(“ラッカマイド”(登録商標)(DIC(株)製))などが挙げられる。なかでも反応速度の点からポリアミドアミン、脂肪族アミンが好ましい。
また、エポキシ樹脂の硬化触媒を用いることもできる。このような硬化触媒としては、ウレア化合物、第三級アミン類とその塩類、イミダゾールとその塩類、ルイス酸類やブレンステッド酸類とその塩類などが挙げられる。中でも、保存安定性と触媒能力のバランスから、ウレア化合物が好適に用いられる。
ウレア化合物としては、例えば、N,N‐ジメチル‐N’‐(3,4‐ジクロロフェニル)ウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’‐メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、3‐フェニル‐1,1‐ジメチルウレアなどを使用することができる。このようなウレア化合物の市販品としては、DCMU99(保土ヶ谷化学(株)製)、Omicure24、Omicure52、Omicure94(以上、Emerald Performance Materials, LLC製)などが挙げられる。
さらに、本発明の効果が失われない範囲において、エポキシ粒子はその構成成分として熱可塑性樹脂を添加することができる。このような熱可塑性樹脂としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂を挙げることができる。また、アミド結合を有する熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルピロリドンを挙げることができる。さらに、スルホニル基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルスルホンを挙げることができる。
熱可塑性樹脂の市販品を例示すると、ポリビニルアセタール樹脂として、デンカブチラールおよび“デンカホルマール(登録商標)”(電気化学工業(株)製)、“ビニレック(登録商標)”(チッソ(株)製)、フェノキシ樹脂として、“UCAR(登録商標)”PKHP(ユニオンカーバイド(株)製)、ポリアミド樹脂として“マクロメルト(登録商標)”(ヘンケル白水(株)製)、“アミラン(登録商標)”CM4000(東レ(株)製)、ポリイミドとして“ウルテム(登録商標)”(ジェネラル・エレクトリック(株)製)、“Matrimid(登録商標)”5218(チバ(株)製)、ポリエーテルスルホンとして“スミカエクセル(登録商標)”(住友化学(株)製)、“UDEL(登録商標)”(ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製)、ポリビニルピロリドンとして、“ルビスコール(登録商標)”(ビーエーエスエフジャパン(株)製)を挙げることができる。
上記化合物から本発明のエポキシ粒子を得る方法について説明するが、これらの方法に限定されるものではない。なお、本発明における粒子は、球状に限らず不定形状のものも含まれる。第1の方法としては、エポキシ樹脂と硬化剤をあらかじめ反応させて硬化した後、ボールミルやジェットミル等を用いて機械的に粉砕し粒子を得る方法がある。第2の方法としては、上記の混合物を水主体あるいは非水溶性の液体中に懸濁させて粒子化する方法がある。粒子の均一性、真球性などから第2の方法が好ましく用いられる。第2の方法の具体例としては次のような方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
(1)上記混合物またはその溶液を霧状に飛散させ乾燥させる(スプレードライ法)、
(2)上記混合物またはその溶液を貧溶媒中に霧状に投入し、沈殿させる(スプレー再沈法)、
(3)上記混合物またはその溶液を、界面活性剤を用いて乳化する方法、
(4)保護コロイド性物質を含む水性液体で上記混合物またはその溶液を乳化する方法。
上記方法において、使用される界面活性剤としては、特に限定するものではないが、ポリオキシ・エチレン・フェノール置換エーテル系やポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック・ポリエーテル系などエーテル型非イオン界面活性剤、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸エステルや多価アルコールの脂肪酸エステルなどエステル型の非イオン界面活性剤およびアルコキシル化ロジン類などのノニオン系のものが代表的である。また、保護コロイド性物質としては、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、アルギン酸ナトリウムなどがあり、一般的に使用される。
上記混合物または溶液を水性液体に乳化分散する方法としては、強く攪拌されている上記混合物またはその溶液中に水性媒体を徐々に加えるか、逆に強く攪拌されている水性媒体中に上記混合物またはその溶液を徐々に加える方法が一般的である。最後に粒子中のエポキシ樹脂と硬化剤を反応させるために常圧あるいは加圧下で加熱硬化処理を行い、続いて、濾過や遠心分離、洗浄などを行って粒子を得る。
構成要素(A)と構成要素(B)とが非相溶であることは、構成要素(A)および構成要素(B)からなる樹脂組成物の硬化物を動的粘弾性測定したときの貯蔵弾性率曲線から得られるガラス転移温度により確認することができる。すなわち、動的粘弾性測定を用いて、構成要素(A)および構成要素(B)からなる樹脂組成物の硬化物、構成要素(A)のみからなる板状成形物、および構成要素(B)のみを硬化して得られる樹脂硬化物のガラス転移温度をそれぞれ測定する。構成要素(A)と構成要素(B)が非相溶である場合は、構成要素(A)のみからなる板状成形物のガラス転移温度、および構成要素(B)のみを硬化して得られる樹脂硬化物のガラス転移温度と同じ温度に、構成要素(A)および構成要素(B)からなる樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が見られる。ここで同じ温度とは、ガラス転移温度の違いが、それぞれ−3〜3℃の範囲内にあることを意味する。
構成要素(A)および構成要素(B)からなる樹脂組成物の硬化物の作製は、次のようにして行う。構成要素(A)と構成要素(B)を混練した後、得られた樹脂組成物を真空中で脱泡する。その後、樹脂組成物を2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中に注入し、完全に構成要素(B)が硬化する条件で硬化することでボイドのない板状硬化物が得られる。ここで完全に構成要素(B)が硬化する条件とは、硬化して得られた硬化物を室温〜350℃の範囲で示差走査熱量測定した際、残存発熱が認められないことである。
また、構成要素(A)のガラス転移温度は、構成要素(A)を構成するエポキシ樹脂、硬化剤および他の添加物との混合物を、真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中で、完全に硬化する条件で硬化することでボイドのない板状成形物が得られる。
構成要素(B)のみからなる樹脂硬化物の作製は、次のようにして行う。構成要素(B)を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中に注入し、完全に構成要素(B)が硬化する条件で硬化することで、ボイドのない板状硬化物が得られる。
また、構成要素(A)は10℃におけるtanδが0.15以上である必要がある。好ましくは0.2以上である。tanδが0.15より小さいと、制振性が十分でない。ここで、10℃におけるtanδは、前記方法で作製した構成要素(A)のみからなる板状硬化物を動的粘弾性測定することにより、測定できる。
プリプレグに含まれる構成要素(A)のうちの90面積%以上が、プリプレグの表面からプリプレグ平均厚みの20%までの部位に存在することが必要である。すなわち、構成要素(A)、(B)および(C)を含むプリプレグに含まれる構成要素(A)の全体を100面積%として、その90面積%以上が、プリプレグの表面付近、すなわちプリプレグの表面からプリプレグ平均厚みの20%までの間の部位に存在することが必要である。図1〜8のプリプレグの断面図に示されるように、プリプレグの片面または両面の表面に、プリプレグの内部よりも高濃度に構成要素(A)が分布していることにより、剛性、強度および制振性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。プリプレグの表面からプリプレグ平均厚みの20%までの部位に存在する構成要素(A)の割合が90面積%未満である場合は、強化繊維束内部にまでエポキシ粒子が入り込むことにより、得られる繊維強化複合材料の剛性や強度が低下する上に、制振性向上効果も小さくなる。
ここで、プリプレグ中の粒子の局在化の程度は、特開平1−104624号公報に開示されている方法で評価できる。まずプリプレグを2枚の平滑な支持板の間にはさんで密着させ、長時間かけて徐々に温度を上げて硬化させる。この時に重要なのはできる限り低温でゲル化させることである。ゲル化しないうちに温度を上げるとプリプレグ中の樹脂が流動し、粒子が移動するため、元のプリプレグ中における正確な粒子分布の評価ができない。ゲル化した後、さらに時間をかけて徐々に温度をかけてプリプレグを硬化させる。硬化したプリプレグの断面を200倍以上に拡大して写真を撮る(図1〜8参照)。この断面写真を用い、まずプリプレグの平均厚みを求める。プリプレグ一層の平均厚み(1)は、写真上で任意に選んだ少なくとも5ヶ所でプリプレグの厚みを測り、その平均をとる。次に両方の支持板に接していたプリプレグの表面(2)からプリプレグの平均厚みの20%の位置にプリプレグの表面(2)と平行に線(3)を引く。支持板に接していた表面(2)と20%の平行線(3)との間に存在する対象粒子全ての断面積を、プリプレグの両面について合計し合計値1とする。なお、「対象粒子」とは、局在化の程度を求める対象としている粒子のことである。また、平行線(3)をまたいでいる対象粒子は、表面(2)と平行線(3)との間に存在しているものとして、合計値に含める。さらに、プリプレグ全厚みに渡って存在する対象粒子全ての断面積を合計して合計値2とする。合計値2に対する合計値1の比(合計値1/合計値2)をとることによりプリプレグ表面からプリプレグの厚さの20%以内に存在する対象粒子の比率、すなわち表面局在化率が算出される。
粒子断面積の定量は、イメージアナライザーを用いて測定してもよいし、断面写真から所定の領域に存在する粒子部分をすべて切り取りその質量を量ることによって算出してもよい。粒子の断面積の合計を求める際、粒子の中には断面が中心を通らず、実際の粒径より小さい状態で観察される粒子も存在している可能性があるが、それらは考慮せず粒子の断面積を定量する。この断面積のばらつきによる、局在化率への影響を低減するため、この評価は得られた写真の幅全域に渡って行い、かつ、任意に選んだ5ヶ所以上の写真について同様の評価を行い、その平均をとる。また、対象粒子と、それ以外の粒子やマトリックス樹脂との見分けがつきにくい時は、対象粒子を選択的に染色するか、対象粒子以外の成分を選択的に染色して観察する。顕微鏡は光学顕微鏡でも走査型電子顕微鏡でもよく、粒子の大きさや染色方法によって使い分けるとよい。なお、本発明においては、面積比によってプリプレグ表面に局在化する粒子の比率を測定しているが、粒子の質量比はこの面積比と等しいので、実質的に質量比を測定していることに等しい。
構成要素(A)の90面積%以上を、プリプレグの表面からプリプレグ平均厚みの20%までの部位に存在させるためには、構成要素(A)の平均粒径が5μm以上であることが好ましい。ここで言う平均粒径とは、体積平均粒子径であり、ナノトラック粒度分布測定装置(日機装(株)製)、またはJISK5600−9−3(2006)に従い、LMS−24((株)セイシン企業製)を用いて測定することができる。平均粒径を5μm以上とすることで、構成要素(C)の強化繊維束により構成要素(A)が濾過され、表面に存在しやすくなる。また、構成要素(A)の平均粒径は20μm以下であることが好ましい。平均粒径が20μmを超えると、本発明のプリプレグを積層および硬化させて得られる繊維強化複合材料において、層間領域の厚みが大きくなるため、層間領域にボイドが発生しやすくなる。その場合、ボイド発生を抑えるためにエポキシ樹脂組成物を増やすと、強化繊維含有率の低い繊維強化複合材料となり、剛性および強度が低下する傾向がある。
なお、本発明において層間領域とは、プリプレグを積層および硬化させて得られる繊維強化複合材料において、強化繊維層と隣接する強化繊維層との間の強化繊維を含まない領域のことである。また、強化繊維層とは、構成要素(B)および(C)を含む樹脂組成物で形成されている層のことである。
構成要素(A)は、プリプレグ中に2〜20質量%含まれていることが好ましい。より好ましくは2〜10質量%である。含有量が2質量%未満の場合は、得られる繊維強化複合材料の剛性および強度は優れているが、制振性が低くなる傾向がある。一方、含有量が20質量%を超える場合は、得られる繊維強化複合材料の制振性には優れているが、剛性および強度が低くなりすぎる傾向がある。
さらに、構成要素(A)は真球状であることが好ましい。真球状であることにより、構成要素(A)の平均粒径と配合率より、本発明のプリプレグより得られる繊維強化複合材料の強化繊維層間の厚みが簡便に制御でき、繊維強化複合材料の剛性、強度および制振性を調整しやすくなる。
本発明の構成要素(A)のガラス転移温度は、−10℃より大きく100℃より小さい範囲に存在しないことが好ましい。この温度範囲にガラス転移温度が存在すると、得られた繊維強化複合材料をゴルフシャフトや、テニスラケット、釣り竿、スキー板等に適用した際、使用環境により、それらの強度が変わる場合がある。
[構成要素(B)]
構成要素(B)の第1のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂組成物であれば特に限定されるものではなく、エポキシ樹脂および硬化剤から構成され、必要に応じて硬化触媒等を含むこともできる。
構成要素(B)のエポキシ樹脂の例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中から1種以上を選択して用いることができる。
ここで、ビスフェノール型エポキシ樹脂とは、ビスフェノール化合物の2つのフェノール性水酸基がグリシジル化されたものであり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、もしくはこれらのハロゲン置換体、アルキル置換体、水添品等が挙げられる。また、単量体に限らず、複数の繰り返し単位を有する高分子量体も好適に使用することができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”825、“jER(登録商標)”828、“jER(登録商標)”834、“jER(登録商標)”1001、“jER(登録商標)”1002、“jER(登録商標)”1003、“jER(登録商標)”1003F、“jER(登録商標)”1004、“jER(登録商標)”1004AF、“jER(登録商標)”1005F、“jER(登録商標)”1006FS、“jER(登録商標)”1007、“jER(登録商標)”1009、“jER(登録商標)”1010(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、“jER(登録商標)”505、“jER(登録商標)”5050、“jER(登録商標)”5051、“jER(登録商標)”5054、“jER(登録商標)”5057(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、ST5080、ST4000D、ST4100D、ST5100(以上、新日鐵化学(株)製)などが挙げられる。
前記ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”806、“jER(登録商標)”807、“jER(登録商標)”4002P、“jER(登録商標)”4004P、“jER(登録商標)”4007P、“jER(登録商標)”4009P、“jER(登録商標)”4010P(以上、三菱化学(株)製)、“エポトート(登録商標)”YDF2001、“エポトート(登録商標)”YDF2004(以上、新日鐵化学(株)製)などが挙げられる。テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、YSLV−80XY(新日鐵化学(株)製)などが挙げられる。
前記ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、“エピクロン(登録商標)”EXA−154(DIC(株)製)などが挙げられる。
中でも、弾性率、靭性および耐熱性のバランスがよいことから、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
アミン型エポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェル、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシリレンジアミンや、これらのハロゲン、アルキノール置換体、水添品などが挙げられる。
前記テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンとしては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(住友化学(株)製)、YH434L(新日鐵化学(株)製)、“jER(登録商標)”604(三菱化学(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY720、MY721(以上、ハンツマン・アドバンズド・マテリアルズ(株)製)などが挙げられる。トリグリシジルアミノフェノールまたはトリグリシジルアミノクレゾールとしては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM100(住友化学(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY0500、MY0510、MY0600(以上、ハンツマン・アドバンズド・マテリアルズ(株)製)、“jER(登録商標)”630(三菱化学(株)製)などが挙げられる。テトラグリシジルキシリレンジアミンおよびその水素添加品として、TETRAD−X、TETRAD−C(以上、三菱ガス化学(株)製)などが挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては“jER(登録商標)”152、“jER(登録商標)”154(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”N−740、N−770、N−775(以上、DIC(株)製)などが挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”N−660、N−665、N−670、N−673、N−695(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−104S(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の具体例としては、“デナコール(登録商標)”EX−201(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては“エピクロン(登録商標)”HP7200、HP7200L、HP7200H、HP7200HH(以上、DIC(株)製)、“Tactix(登録商標)”558(ハンツマン・アドバンスト・マテリアル(株)製)、XD−1000−1L、XD−1000−2L(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”YX4000H、YX4000、YL6616(以上、三菱化学(株)製)、NC−3000(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ウレタンおよびイソシアネート変性エポキシ樹脂の市販品としては、オキサゾリドン環を有するAER4152(旭化成エポキシ(株)製)やACR1348((株)ADEKA製)などが挙げられる。
また、エポキシ当量が800〜5500のエポキシ樹脂がエポキシ粒子との接着性を高め、優れた制振性を与えるため、好ましく用いられる。より好ましくは、エポキシ当量が800〜2500のエポキシ樹脂である。エポキシ当量が800よりも小さいと接着性向上効果が十分ではない場合がある。エポキシ当量が、5500よりも大きいと得られるエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり、プリプレグ作製が困難になる場合がある。さらに、エポキシ当量800〜5500のビスフェノール型エポキシ樹脂が、制振性と靱性のバランスからより好ましく、さらに好ましくはエポキシ当量800〜5500のビスフェノールA型エポキシ樹脂、およびビスフェノールF型エポキシ樹脂である。
構成要素(B)の硬化剤としては、特に限定されるものではないが、保存安定性がよいことから、ジシアンジアミドまたはその誘導体、ジアミノシフェニルスルホンが好ましく用いられる。その他にも芳香族アミン、脂環式アミンなどのアミン類、酸無水物類、ポリアミノアミド類、有機酸ヒドラジド類、イソシアネート類を用いてもよい。
ジシアンジアミドの市販品としては、DICY−7、DICY−15(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
また、硬化剤の総量は、全エポキシ樹脂成分のエポキシ基1当量に対し、活性水素基が0.6〜1.2当量の範囲となる量を含むことが好ましい。より好ましくは0.7〜1.0当量の範囲となる量を含むことである。ここで、活性水素基とは、硬化剤成分のエポキシ基と反応しうる官能基を意味する。活性水素基が0.6当量に満たない場合は、硬化物の反応率、耐熱性および弾性率が低下し、また、繊維強化複合材料のガラス転移温度や強度が低下する場合がある。また、活性水素基が1.2当量を超える場合は、硬化物の反応率、ガラス転移温度および弾性率は十分であるが、塑性変形能力が低下するため、繊維強化複合材料の耐衝撃性が低下する場合がある。
構成要素(B)の硬化触媒を用いることもできる。硬化触媒としては、ウレア化合物、第三級アミン類とその塩類、イミダゾールとその塩類、ルイス酸類やブレンステッド酸類とその塩類などが挙げられる。中でも、保存安定性と触媒能力のバランスから、ウレア化合物が好適に用いられる。
ウレア化合物としては、例えば、N,N−ジメチル−N’−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、3−フェニル−1,1−ジメチルウレアなどを使用することができる。ウレア化合物の市販品としては、DCMU99(保土ヶ谷化学(株)製)、Omicure24、Omicure52、Omicure94(以上、Emerald Performance Materials, LLC製)などが挙げられる。
ウレア化合物の配合量は、全エポキシ樹脂成分100質量部に対して1〜4質量部が好ましい。より好ましくは1.5〜3質量部である。ウレア化合物の配合量が1質量部に満たない場合は、反応が十分に進行せず、硬化物の弾性率と耐熱性が低下することがある。また、ウレア化合物の配合量が4質量部を超える場合は、エポキシ樹脂の自己重合反応が、エポキシ樹脂と硬化剤との反応を阻害するため、硬化物の靭性が低下することや、弾性率が低下することがある。
構成要素(B)を、硬化させたときの硬化物のガラス転移温度が100℃以上であることが好ましい。硬化物のガラス転移温度が100℃に満たない場合は、繊維強化複合材料の成形時に反りや歪みが発生する場合があり、また高温環境下で使用の際、変形を起こす場合がある。構成要素(B)の硬化は、例えば130℃で90分間加熱することにより行うことができる。
さらに構成要素(B)には、本発明の効果が失われない範囲において、構成要素(A)以外の熱可塑性樹脂および無機粒子、無機フィラー等を添加することができる。このような熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂に可溶性の熱可塑性樹脂や、ゴム粒子および熱可塑性樹脂粒子等の有機粒子等を配合することができる。エポキシ樹脂に可溶性の熱可塑性樹脂としては、樹脂と強化繊維との接着性改善効果が期待できる水素結合性の官能基を有する熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。エポキシ樹脂に可溶で、水素結合性官能基を有する熱可塑性樹脂としては、アルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂、アミド結合を有する熱可塑性樹脂およびスルホニル基を有する熱可塑性樹脂などを挙げることができる。
アルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂を挙げることができる。アミド結合を有する熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルピロリドンを挙げることができる。スルホニル基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリスルホンを挙げることができる。ポリアミド、ポリイミドおよびポリスルホンは、主鎖にエーテル結合、カルボニル基などの官能基を有してもよい。ポリアミドは、アミド基の窒素原子に置換基を有してもよい。
エポキシ樹脂に可溶で、水素結合性官能基を有する熱可塑性樹脂の市販品を例示すると、ポリビニルアセタール樹脂として、デンカブチラールおよび“デンカホルマール(登録商標)”(電気化学工業(株)製)、“ビニレック(登録商標)”(チッソ(株)製)、フェノキシ樹脂として、“UCAR(登録商標)”PKHP(ユニオンカーバイド(株)製)、ポリアミド樹脂として“マクロメルト(登録商標)”(ヘンケル白水(株)製)、“アミラン(登録商標)”CM4000(東レ(株)製)、ポリイミドとして“ウルテム(登録商標)”(ジェネラル・エレクトリック(株)製)、“Matrimid(登録商標)”5218(チバ(株)製)、ポリスルホンとして“スミカエクセル(登録商標)”(住友化学(株)製)、“UDEL(登録商標)”(ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製)、ポリビニルピロリドンとして、“ルビスコール(登録商標)”(ビーエーエスエフジャパン(株)製)を挙げることができる。
また、アクリル系樹脂は、エポキシ樹脂との相溶性が高く、粘弾性制御のために好適に用いられる。アクリル樹脂の市販品を例示すると、“ダイヤナール(登録商標)”BRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、“マツモトマイクロスフェアー(登録商標)”M,M100,M500(松本油脂製薬(株)製)、“Nanostrength(登録商標)”E40F、M22N、M52N(アルケマ(株)製)などを挙げることができる。
ゴム粒子を配合することもできる。ゴム粒子としては、架橋ゴム粒子、および架橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコアシェルゴム粒子が、取り扱い性等の観点から好ましく用いられる。
架橋ゴム粒子の市販品としては、カルボキシル変性のブタジエン−アクリロニトリル共重合体の架橋物からなるFX501P(日本合成ゴム工業(株)製)、アクリルゴム微粒子からなるCX−MNシリーズ(日本触媒(株)製)、YR−500シリーズ(新日鐵化学(株)製)等を使用することができる。
コアシェルゴム粒子の市販品としては、例えば、ブタジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物からなる“パラロイド(登録商標)”EXL−2655(呉羽化学工業(株)製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体からなる“スタフィロイド(登録商標)”AC−3355、TR−2122(以上、武田薬品工業(株)製)、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合物からなる“PARALOID(登録商標)”EXL−2611、EXL−3387(Rohm&Haas社製)、“カネエース(登録商標)”MXシリーズ(カネカ(株)製)等を使用することができる。
熱可塑性樹脂粒子としては、ポリアミド粒子やポリイミド粒子が好ましく用いられ、ポリアミド粒子の市販品として、SP−500(東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”(アルケマ(株)製)等を使用することができる。
無機粒子、無機フィラーとしては、カーボンブラック、クレイ、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、中空カーボンファイバー、金属微粒子を使用することができる。
[構成要素(C)]
構成要素(C)として、強化繊維が用いられる。強化繊維は特に限定されるものではなく、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維等が用いられる。これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。この中で、軽量かつ高剛性な繊維強化複合材料が得られる炭素繊維を用いることが好ましい。
炭素繊維の中でも引張弾性率が230〜450GPaである炭素繊維であると、より軽量かつ高剛性な繊維強化複合材料が得られるだけでなく、制振性に優れるため好ましい。引張弾性率が230GPa未満の場合、得られる繊維強化複合材料の剛性や制振性が低くなりがちである。また、引張弾性率が450GPaを超えると、炭素繊維とエポキシ樹脂の接着特性が低下しがちで、炭素繊維とエポキシ樹脂の摩擦熱によるエネルギー変換により、得られる繊維強化複合材料の制振性が向上することがあるが、一方で、強度が低下することがある。得られる繊維強化複合材料の力学特性と制振性のバランスから、引張弾性率が230〜300GPaの炭素繊維がより好ましく用いられる。
強化繊維の形態は特に限定されない。たとえば、一方向に引き揃えた長繊維、トウ、織物、マット、ニット、組み紐、10mm未満の長さにチョップした短繊維などが用いられる。ここでいう、長繊維とは実質的に10mm以上連続な単繊維もしくは繊維束のことをさす。また、短繊維とは、10mm未満の長さに切断された繊維束である。また、特に、比強度および比弾性率が高いことを要求される用途には、強化繊維束が単一方向に引き揃えられた配列が最も適している。取り扱いの容易な点から、クロス(織物)状の配列も本発明には適している。
本発明のプリプレグは、ヤング率が2GPa以上で、平均粒径が5〜100μmの粒子である構成要素(P)を含んでいる。ヤング率が2GPa以上であることで、構成要素(A)を配合することによる層間領域の剛性低下を抑えることができ、繊維強化複合材料の弾性率や強度の低下を抑制することができる。より好ましくはヤング率が3GPa以上である。ヤング率が2GPa未満の場合、繊維強化複合材料中のマトリックス樹脂のヤング率より低くなり、層間領域の剛性が低下してしまう可能性がある。
プリプレグに含まれる構成要素(P)のうちの90面積%以上が、プリプレグの表面からプリプレグ平均厚みの20%までの部位に存在することを必須とする。すなわち、構成要素(A)、(B)、(C)および(P)を含むプリプレグに含まれる構成要素(P)の全体を100面積%として、その90面積%以上が、プリプレグの表面付近、すなわちプリプレグの表面からプリプレグ平均厚みの20%までの間の部位に存在する図3、4、7、8のプリプレグの断面図に示されるように、プリプレグの片面または両面の表面に、プリプレグの内部よりも高濃度に構成要素(P)が分布していることにより、層間領域の剛性低下抑制に効果的に機能する。プリプレグの表面からプリプレグ平均厚みの20%までの部位に存在する構成要素(P)の割合が90面積%未満である場合は、強化繊維束内部にまで構成要素(P)の粒子が入り込むことにより、得られる繊維強化複合材料の剛性や強度が低下する傾向がある。
ここで、プリプレグ中の構成要素(P)の粒子の局在化の程度は、特開平1−104624号公報に開示されている方法で前記構成要素(A)と同様の手法で評価できる。構成要素(P)の90面積%以上を、プリプレグの表面からプリプレグ平均厚みの20%までの部位に存在させるためには、構成要素(P)の平均粒径が5μm以上であることが好ましい。ここで言う平均粒径とは、体積平均粒子径であり、ナノトラック粒度分布測定装置(日機装(株)製)、またはJISK5600−9−3(2006)に従い、LMS−24((株)セイシン企業製)を用いて測定することができる。平均粒径を5μm以上とすることで、構成要素(C)の強化繊維束により構成要素(P)が濾過され、表面に存在しやすくなる。また、構成要素(P)の平均粒径は100μm以下であることが好ましい。平均粒径が100μmを超えると、本発明のプリプレグを積層および硬化させて得られる繊維強化複合材料において、層間領域の厚みが大きくなるため、層間領域にボイドが発生しやすくなる。その場合、ボイド発生を抑えるためにエポキシ樹脂組成物を増やすと、強化繊維含有率の低い繊維強化複合材料となり、剛性および強度が低下する傾向がある。
このような構成要素(P)の例としては、カーボン粒子、シリカ粒子、金属粒子、熱可塑性樹脂粒子、無機材料または無機材料の核が導電性物質で被覆されてなる粒子が挙げられる。
カーボン粒子としては、例えば、“ベルパール(登録商標)”C−600、C−800、C−2000(エア・ウォーター(株)製)、“NICABEADS(登録商標)”ICB、PC、MC(日本カーボン(株)製)、グラッシーカーボン(東海カーボン(株)製)、高純度人造黒鉛SGシリーズ、SGBシリーズ、SNシリーズ(SECカーボン(株)製)、真球状カーボン(群栄化学工業(株)製)などが挙げられる。
金属粒子を用いる場合、何れの金属の粒子を用いてもよいが、高い安定性を示すことから、白金、金、銀、銅、錫、ニッケル、またはチタンが好ましく用いられる。なお、これら金属は単独で用いられてもよいし、これら金属を主成分とする合金として用いられてもよい。金属粒子の例としては、例えば、“ブライト(登録商標)”GNM−Ni(日本化学工業(株)製)などが挙げられる。
無機材料の核または有機材料の核に被覆して導電性の粒子とする際に用いられる導電性の物質は、電気的に良好な導体である物質が含有されていればよい。例えば、白金、金、銀、銅、ニッケル、チタン、コバルト、パラジウム、錫、亜鉛、鉄、クロム、アルミニウム等の金属、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリエチレンジオキシチオフェン等の導電性ポリマー、チェネルブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、中空カーボンファイバー等の炭素を使用することができる。
特に、有機材料として熱可塑性樹脂を用い、熱可塑性樹脂の核が前記導電性の物質で被覆されてなる粒子を採用すれば、得られる繊維強化複合材料において優れた耐衝撃性を実現できるため好ましい。
このような粒子の例としては、ジビニルベンゼンポリマー粒子に金属被覆を施した粒子“ミクロパール(登録商標)”AU215、AU225、CU215、NI215(積水化学(株)製)等が挙げられる。
熱可塑性樹脂粒子としては、例えば、ポリアミド粒子、ポリアミドイミド粒子、ポリエーテルスルホン粒子、ポリエーテルイミド粒子、ポリアセチレン粒子、ポリアニリン粒子、ポリピロール粒子、ポリチオフェン粒子、ポリイソチアナフテン粒子、ポリエチレンジオキシチオフェン粒子等が挙げられる。
構成要素(P)の粒子の形状は、球状、非球状、多孔質、針状、ウイスカー状またはフレーク状のいずれでもよいが、球状が好ましい。球状であると、熱硬化性樹脂の流動特性を低下させないため炭素繊維への含浸性が優れる。また、球状であると、炭素繊維強化複合材料への落錘衝撃(または局所的な衝撃)時に、局所的な衝撃により生じる層間剥離がより低減され、繊維強化複合材料の耐衝撃性が高まる。層間剥離部分は、衝撃後の炭素繊維強化複合材料に応力がかかった場合において、応力集中による破壊の起点となるからである。
[構成要素(D)]
本発明のプリプレグは、図5および6に示すように、構成要素(D)をさらに含み、この構成要素(D)が、構成要素(B)および(C)からなる層の片面または両面に配置されており、かつ、構成要素(A)が構成要素(D)に含まれた状態で存在していることが好ましい。さらに、本発明のプリプレグが構成要素(P)も含む場合には、図7および8に示すように、構成要素(A)および(P)が構成要素(D)に含まれた状態で存在していることが好ましい。構成要素(D)は、構成要素(A)と相溶しない第2のエポキシ樹脂組成物である。構成要素(A)および構成要素(P)を構成要素(D)に含まれた状態にしておくことにより、プリプレグを積層および硬化して繊維強化複合材料を得る際に発生するボイドを抑制することができる。構成要素(D)は、エポキシ樹脂組成物であれば特に限定されるものではなく、エポキシ樹脂および硬化剤から構成され、必要に応じて硬化触媒等を含むこともできる。構成要素(D)のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒等は、構成要素(B)で例示されたものを用いることができる。また、構成要素(D)(第2のエポキシ樹脂組成物)は、構成要素(B)(第1のエポキシ樹脂組成物)と異なっていてもよいが、同一であることがより好ましい。ここで同一であるとは、構成要素(B)を構成するエポキシ樹脂、硬化剤および硬化触媒の種類が同じであり、それぞれの成分の含有量の差が5質量%以内であることを意味する。
構成要素(D)を硬化させたときの硬化物のガラス転移温度も100℃以上であることが好ましい。100℃に満たない場合は、繊維強化複合材料の成形時に反りや歪みが発生する場合があり、また高温環境下で使用の際、変形を起こす場合がある。構成要素(D)の硬化は、例えば130℃で90分間加熱することにより行うことができる。
[プリプレグの製造方法]
本発明のプリプレグの製造方法は、特に限定されるものではないが、下記の(1)または(2)のいずれかの方法で好適に製造することができる。
(1)構成要素(B)を構成要素(C)に含浸させてプリプレグ前駆体を得る工程と、このプリプレグ前駆体に構成要素(A)を貼付する工程を含むプリプレグの製造方法。
(2)下記(I)、(II)および(III)の工程を含むプリプレグの製造方法。
(I)構成要素(A)を構成要素(D)に分散させ、この分散体をフィルムにする工程
(II)構成要素(B)を構成要素(C)に含浸させ、プリプレグ前駆体を作製する工程
(III)(I)で得られたフィルムを(II)で得られたプリプレグ前駆体に貼付する工程。
なお、本発明のプリプレグ構成要素(P)を含むことから、下記の(3)または(4)のいずれかの方法で好適に製造することができる。
(3)構成要素(B)を構成要素(C)に含浸させてプリプレグ前駆体を得る工程と、このプリプレグ前駆体に構成要素(A)および(P)を貼付する工程を含むプリプレグの製造方法。
(4)下記(I’)、(II’)および(III’)の工程を含むプリプレグの製造方法。
(I’)構成要素(A)および(P)を構成要素(D)に分散させ、この分散体をフィルムにする工程
(II’)構成要素(B)を構成要素(C)に含浸させ、プリプレグ前駆体を作製する工程
(III’)(I’)で得られたフィルムを(II’)で得られたプリプレグ前駆体に貼付する工程。
構成要素(B)を構成要素(C)に含浸させる方法としては、エポキシ樹脂組成物をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、含浸させるウェット法と、加熱により低粘度化し、含浸させるホットメルト法(ドライ法)等を挙げることができる。
ウェット法は、強化繊維をエポキシ樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法である。ホットメルト法は、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物を直接、強化繊維からなる繊維基材に含浸させる方法、または一旦エポキシ樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで前記強化繊維からなる繊維基材の両側または片側に前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより前記強化繊維からなる繊維基材に樹脂を含浸させる方法である。ホットメルト法によれば、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上皆無となるため好ましい。
構成要素(B)を構成要素(C)に含浸させて得られるプリプレグ前駆体は、単位面積あたりの強化繊維量が50〜300g/mであることが好ましい。強化繊維量の上限は200g/m以下がより好ましい。強化繊維量が50g/m未満では、繊維強化複合材料成形の際に所定の厚みを得るために積層枚数を多くする必要があり、作業が繁雑となることがある。一方で、強化繊維量が300g/mを超えると、プリプレグのドレープ性が悪くなる傾向にある。
また、プリプレグ前駆体中の強化繊維の含有率は、好ましくは60〜90質量%である。より好ましくは65〜85質量%であり、さらに好ましくは70〜80質量%である。強化繊維の含有率が60質量%未満では、樹脂の量が多すぎて、比強度と比弾性率に優れる繊維強化複合材料の利点が得られなかったり、繊維強化複合材料の作製の際、硬化時の発熱量が高くなりすぎたりすることがある。また、強化繊維の含有率が90質量%を超えると、樹脂の含浸不良が生じ、得られる繊維強化複合材料はボイドの多いものとなる恐れがある。
プリプレグ前駆体に構成要素(A)、構成要素(P)を貼付する方法としては、構成要素(A)、構成要素(P)をプリプレグ前駆体上に散布装置により散布する方法、プリプレグ前駆体上に構成要素(A)、構成要素(P)を散布した後、所定の間隔を有する隙間にこのプリプレグ前駆体を通過させる方法、離型紙または離型フィルム上に散布装置により構成要素(A)、構成要素(P)を散布した後、この離型紙または離型フィルムをプリプレグ前駆体と圧着させることにより一体化させる方法、構成要素(A)、構成要素(P)を構成要素(A)および構成要素(P)が溶解しない液体中にあらかじめ分散しておき、この分散液をプリプレグ前駆体に付着させた後、液体を乾燥除去する方法、および、静電気を利用して構成要素(A)、構成要素(P)をプリプレグ前駆体に付着させる方法などが挙げられる。
構成要素(A)、構成要素(P)を構成要素(D)に分散させる方法としては、ニーダー、3本ロール、ビーズミル、プラネタリーミキサーおよび2軸押出機などを用いて構成要素(A)、構成要素(P)と構成要素(D)を混練する方法などが好ましく用いられる。
構成要素(A)、構成要素(P)を構成要素(D)に分散させた樹脂組成物をフィルムに加工する方法としては、樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングしてフィルム状にする方法が挙げられる。
[繊維強化複合材料]
本発明の繊維強化複合材料は、下記構成要素(E)、(F)および(G)を含み、構成要素(F)および(G)を含む強化繊維層を2層以上有しており、繊維強化複合材料の断面を観察した際に、構成要素(E)の90面積%以上が、強化繊維層と、その強化繊維層に隣接する他の強化繊維層との間の層間領域に局在化している。
(E)10℃におけるtanδが0.15以上であって、かつ、3次元架橋構造を有するエポキシ粒子
(F)第3のエポキシ樹脂組成物の硬化物
(G)強化繊維
このような繊維強化複合材料の好ましい態様の例の断面図を図9〜12に示す。
[構成要素(E)]
本発明で用いる構成要素(E)は、3次元架橋構造を有するエポキシ粒子であることが必要である。エポキシ粒子が3次元架橋構造を有することで、第3のエポキシ樹脂組成物に非相溶となり、優れた剛性、強度および制振性を有する繊維強化複合材料を与えることができる。エポキシ粒子が3次元架橋構造を有さない場合、硬化前の第3のエポキシ樹脂組成物に溶解しやすくなる。エポキシ粒子が第3のエポキシ樹脂組成物に溶解すると、繊維強化複合材料は、剛性、強度およびガラス転移温度が低くなる上に、制振性の効果が十分ではない。
構成要素(E)が第3のエポキシ樹脂組成物に非相溶であることは、構成要素(E)および第3のエポキシ樹脂組成物からなる樹脂組成物の硬化物を動的粘弾性測定したときの貯蔵弾性率曲線から得られるガラス転移温度により確認することができる。すなわち、動的粘弾性測定を用いて、構成要素(E)および第3のエポキシ樹脂組成物からなる樹脂組成物の硬化物、構成要素(E)のみからなる板状成形物、および第3のエポキシ樹脂組成物のみを硬化して得られる樹脂硬化物のガラス転移温度をそれぞれ測定する。構成要素(E)と第3のエポキシ樹脂組成物が非相溶である場合は、構成要素(E)のみからなる板状成形物のガラス転移温度、および第3のエポキシ樹脂組成物のみを硬化して得られる樹脂硬化物のガラス転移温度と同じ温度に、構成要素(E)および第3のエポキシ樹脂組成物からなる樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が見られる。ここで同じ温度とは、ガラス転移温度の違いが、それぞれ−3〜3℃の範囲内にあることを意味する。
構成要素(E)および第3のエポキシ樹脂組成物からなる樹脂組成物の硬化物、構成要素(E)からなる板状成型物、および第3のエポキシ樹脂組成物のみを硬化して得られる樹脂硬化物の作製は、それぞれ前述の構成要素(A)と構成要素(B)からなる樹脂組成物の硬化物、前記構成要素(A)のみからなる板状成型物、および構成要素(B)のみを硬化して得られる硬化物を得る方法と同様の方法で得られる。また、ガラス転移温度は、前記方法で作製した板状硬化物および板状成型物を前記方法で動的粘弾性測定することにより、求めることができる。
また、構成要素(E)の10℃におけるtanδが0.15以上である必要がある。好ましくは0.2以上である。tanδが0.15より小さいと、制振性が十分でない。ここで、10℃におけるtanδは、前記方法で作製した板状硬化物を前記方法で動的粘弾性測定することにより、求めることができる。
構成要素(E)は、繊維強化複合材料中に2〜20質量%含まれていることが好ましい。より好ましくは2〜10質量%である。含有量が2質量%未満の場合は、得られる繊維強化複合材料の剛性および強度は優れているが、制振性が低くなる傾向がある。一方、含有量が20質量%を超える場合は、得られる繊維強化複合材料の制振性は優れているが、剛性および強度が低くなりすぎる傾向がある。
構成要素(E)としては、前記構成要素(A)で例示されたものを用いることができる。
本発明の繊維強化複合材料において、断面を観察した際に、繊維強化材料中の構成要素(E)のうちの90面積%以上が、層間領域に局在化していることが必要である。すなわち、繊維強化複合材料に含まれる構成要素(E)の全体を100面積%として、その90面積%以上が、層間領域に存在していることが必要である。ここで、層間領域とは、繊維強化複合材料において、強化繊維層と、その強化繊維層に隣接する他の強化繊維層との間の強化繊維を含まない領域のことである。また、強化繊維層とは、構成要素(F)および(G)を含む樹脂組成物で形成されている層のことである。層間領域に存在する構成要素(E)の比率が90面積%に満たない場合は、エポキシ粒子が強化繊維束内部にまで入り込むことにより、強化繊維束中のマトリックス樹脂弾性率が低下し、剛性や強度が低下する上に、制振性向上効果も小さくなる。
ここで、繊維強化複合材料中の粒子の局在化の程度は、次の方法で評価できる。すなわち、繊維強化複合材料の断面を200倍以上に拡大して写真(図9〜12参照)を撮る。この断面写真を用い、まず構成要素(F)および(G)からなる層と構成要素(G)が存在しない層の平均境界線(4)を引く。ここで、平均境界線(4)の引き方は以下の通りである。まず、写真上で構成要素(F)および(G)からなる層と構成要素(G)が存在しない層との境界線の一つの上で、5ヶ所以上の点を選ぶ。5ヶ所の点の選択方法は、繊維強化複合材料が、積層板の場合は、任意の5ヶ所以上を選択すればよいが、繊維強化複合材料が円筒形、または複雑な形状の場合は、その形状が反映できる程度に点の間隔を細かくなるように選択することが好ましい。例えば、円筒形の場合は、任意の点から60°間隔で合計6点またはそれよりも狭い間隔で選択することが好ましい。次に、繊維強化複合材料のいずれか一方の表面を基準線として、そこから前記選択した5ヶ所以上の点までの距離を測定して平均を取る。前記基準線から、計算により得られた平均距離だけ離れた位置に、前記基準線と平行に線を引く。その線を平均境界線と呼ぶ。
次に、構成要素(F)および(G)からなる層の平均中心厚み線(5)をひく。ここで、平均中心厚み線とは、一つの構成要素(F)および(G)からなる層について、その両面の平均境界線(4)を前記のようにして引き、その2本の平均境界線のちょうど中心となる線のことである。2本の平均境界線から、ちょうど等距離になるように、平均境界線と平行になるように線を引き、平均中心厚み線とする。
2本の平均境界線ではさまれた、構成要素(G)が存在しない領域が層間領域である。層間領域に存在する対象粒子全ての断面積の合計を求め合計値3とする。なお、「対象粒子」とは、局在化の程度を求める対象としている粒子のことである。次に、このように測定した構成要素(G)が存在しない層に対して隣接する構成要素(F)および(G)からなる層の平均中心厚み線(5)から、前記構成要素(G)が存在しない層をはさんで反対側に隣接する構成要素(F)および(G)からなる層の平均中心厚み線(5)までの領域を粒子の断面積の測定における全領域と定義する。この全領域に存在する対象粒子全ての断面積の合計を求め合計値4とする。
合計値4に対する合計値3の比(合計値3/合計値4)をとることにより層間領域に存在する対象粒子の比率、すなわち層間局在化率が算出される。粒子断面積の定量はイメージアナライザーによってもよいし、断面写真から所定の領域に存在する粒子部分をすべて切り取りその質量を量ることによってもよい。粒子の断面積の合計を求める際、粒子の中には断面が中心を通らず、実際の粒径より小さい状態で観察される粒子も存在している可能性があるが、それらは考慮せず粒子の断面積を定量する。この断面積のばらつきによる、局在化率への影響を低減するため、この評価は得られた写真の幅全域に渡って行い、かつ、任意に選んだ5ヶ所以上の写真について同様の評価を行い、その平均をとる。対象粒子と、それ以外の粒子やマトリックス樹脂との見分けがつきにくい時は、対象粒子を選択的に染色するか、対象粒子以外の成分を選択的に染色して観察する。顕微鏡は光学顕微鏡でも走査型電子顕微鏡でもよく、粒子の大きさや染色方法によって使い分けるとよい。なお、本発明においては、面積比によって層間領域に存在する粒子の比率を測定しているが、粒子の質量比はこの面積比と等しいので、実質的に質量比を測定していることに等しい。
[構成要素(F)]
構成要素(F)は第3のエポキシ樹脂組成物を硬化させたものである。第3のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂および硬化剤から構成され、必要に応じて硬化触媒等を含むこともできる。エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒等は、前記構成要素(B)で例示されたものを用いることができる。
[構成要素(G)]
構成要素(G)には、強化繊維が用いられる。強化繊維としては、前記構成要素(C)で例示されたものを用いることができる。
本発明の繊維強化複合材料は、ヤング率が2GPa以上で、平均粒径が5〜100μmの粒子である構成要素(Q)を含んでいる。ヤング率が2GPa以上であることで、構成要素(E)を配合することによる層間領域の剛性低下を抑えることができ、繊維強化複合材料の弾性率や強度の低下を抑制することができる。より好ましくはヤング率が3GPa以上である。ヤング率が2GPa未満の場合、繊維強化複合材料中のマトリックス樹脂のヤング率より低くなり、層間領域の剛性が低下してしまう可能性がある。
本発明の繊維強化複合材料において、断面を観察した際に、繊維強化複合材料に含まれる構成要素(Q)のうちの90面積%以上が、層間領域に局在化していることを必須とする。すなわち、繊維強化複合材料に含まれる構成要素(Q)の全体を100面積%として、その90面積%以上が、層間領域に存在している層間領域に存在する構成要素(Q)の比率が90面積%に満たない場合は、構成要素(Q)が強化繊維束内部にまで入り込むことにより、得られる繊維強化複合材料の剛性や強度が低下する傾向がある。
ここで、繊維強化複合材料中の粒子の局在化の程度は、前期構成要素(E)と同様の方法で測定できる。構成要素(Q)の90面積%以上を、層間領域に存在させるためには、構成要素(Q)の平均粒径が5μm以上であることが好ましい。ここで言う平均粒径とは、体積平均粒子径であり、ナノトラック粒度分布測定装置(日機装(株)製)、またはJISK5600−9−3(2006)に従い、LMS−24((株)セイシン企業製)を用いて測定することができる。平均粒径を5μm以上とすることで、構成要素(G)の繊維束中に入り込みにくくなり、層間領域に存在しやすくなる。また、構成要素(Q)の平均粒径は、100μm以下であることが好ましい。平均粒径が100μmを超えると、本発明の繊維強化複合材料において、層間領域の厚みが大きくなるため、層間領域にボイドが発生しやすくなる。その場合、ボイド発生を抑えるためにエポキシ樹脂組成物を増やすと、強化繊維含有率の低い繊維強化複合材料となり、剛性および強度が低下する傾向がある。構成要素(Q)としては、前記構成要素(P)で例示されたものを用いることができる。
[構成要素(H)]
本発明の繊維強化複合材料は、図11に示すように構成要素(H)をさらに含み、構成要素(E)が構成要素(H)に含まれた状態で存在していることが好ましい。さらに、本発明の繊維強化複合材料が構成要素(Q)も含む場合には、図12に示すように、構成要素(E)および(Q)が構成要素(H)に含まれた状態で存在していることが好ましい。構成要素(H)は、構成要素(E)が非相溶である第4のエポキシ樹脂組成物の硬化物である。構成要素(E)および構成要素(Q)を構成要素(H)に含まれた状態にしておくことにより、積層および硬化して繊維強化複合材料を得る際に発生するボイドを抑制することができる。
第4のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂および硬化剤から構成され、必要に応じて硬化触媒等を含むこともできる。構成要素(H)のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒等は、構成要素(B)で例示されたものを用いることができる。
[繊維強化複合材料の製造方法]
本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、特に限定されるものではないが、プリプレグ積層成形法、レジントランスファーモールディング法、レジンフィルムインフュージョン法、ハンドレイアップ法、シートモールディングコンパウンド法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法、などにより製造することができる。なかでも上記本発明のプリプレグを用いたプリプレグ積層成形法が、繊維強化複合材料の剛性、強度に優れているため好ましい。
プリプレグ積層成形法とは、プリプレグを賦形および/または積層後、賦形物および/または積層物に圧力を付与しながら樹脂を加熱硬化させる方法である。ここで熱および圧力を付与する方法には、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法等を適宜使用することができる。
オートクレーブ成形法は、所定の形状のツール板にプリプレグを積層して、バッギングフィルムで覆い、積層物内を脱気しながら加圧加熱硬化させる方法である。オートクレーブ成形法は、繊維配向が精密に制御でき、またボイドの発生が少ないため、力学特性に優れ、また高品位な成形体が得られる。
ラッピングテープ法は、マンドレル等の芯金にプリプレグを捲回して、繊維強化複合材料製の管状体を成形する方法である。ラッピングテープ法は、ゴルフシャフト、釣り竿等の棒状体を作製する際に好適な方法である。より具体的には、マンドレルにプリプレグを捲回し、プリプレグの固定および圧力付与のため、プリプレグの外側に熱可塑性フィルムからなるラッピングテープを捲回し、オーブン中で樹脂を加熱硬化させた後、芯金を抜き取って管状体を得る方法である。
また、内圧成型法は、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱し、成形する方法である。本方法は、ゴルフシャフト、バッド、テニスやバドミントン等のラケットの如き複雑な形状物を成形する際に好ましく用いられる。
繊維強化複合材料をオートクレーブで成形する場合の硬化温度および時間としては、選択した硬化剤や硬化触媒の種類と量により最適な温度および時間が異なる。硬化後の耐熱性の観点から120〜220℃の温度で、0.5〜8時間かけて硬化させることが好ましい。昇温速度は、0.1〜10℃/分昇温が好ましく用いられる。昇温速度が0.1℃/分未満では、目標とする硬化温度までの到達時間が非常に長くなり作業性が低下することがある。また、昇温速度が10℃/分を超えると、強化繊維各所での温度差が生じてしまうため、均一な硬化物が得られなくなることがある。
繊維強化複合材料を成形する際は、加圧または減圧することで、表面の品位向上や、内部ボイドの抑制などの効果が得られやすい。
本発明の繊維強化複合材料は、その損失係数が、構成要素(E)および(Q)を含まない以外はその繊維強化複合材料と同一の繊維強化複合材料の損失係数に対して、130%以上であることが好ましい。130%未満の場合、ゴルフシャフト、釣り竿、テニスラケット等を成形した時に、打球感の改善効果や肘の疲労の軽減効果が低くなりがちである。ここで、「構成要素(E)および(Q)を含まない以外は前記繊維強化複合材料と同一の繊維強化複合材料」とは、構成要素(E)および(Q)を抜いた以外は、測定対象の繊維強化複合材料と同一の組成割合および全く同一の製造条件で繊維強化複合材料を作製し、それを物性測定の対照サンプルとして用いることを意味する。ここで、同一の組成割合とは、それぞれの成分の含有量の差が5質量%以内であることを意味する。
また、本発明の繊維強化複合材料は、その曲げ強度が、構成要素(E)および(Q)を含まない以外はその繊維強化複合材料と同一の繊維強化複合材料の曲げ強度に対して、90%以上であることが好ましい。ここで、曲げ強度とは、繊維含有率60体積%に換算した値のことを指す。曲げ強度が90%に満たない場合は、ゴルフシャフト、釣り竿、テニスラケット等を成形した時の強度が十分ではなく、また十分な強度を得ようとすると、重量が増加することになりえる。
さらに、本発明の繊維強化複合材料の0度曲げ弾性率が、構成要素(E)を含まない以外は前記繊維強化複合材料と同一の繊維強化複合材料の0度曲げ弾性率に対して、90%以上であることが好ましい。0度曲げ弾性率が90%未満の場合、ゴルフシャフト、釣り竿、テニスラケット等を成形した時の剛性が十分ではなく、また十分な剛性を得ようとすると、重量が増加する場合がある。
さらに、本発明の繊維強化複合材料は、10〜90℃の間にガラス転移温度がないことが好ましい。この温度範囲にガラス転移温度があると、繊維強化複合材料の塗装工程や研磨工程で変形するおそれがある。
本発明のプリプレグを硬化してなる繊維強化複合材料および本発明の繊維強化複合材料は、スポーツ用途、一般産業用途および航空宇宙用途に好適に用いられる。より具体的には、スポーツ用途では、ゴルフクラブのシャフト、ゴルフクラブのヘッド、釣り竿、テニスやバドミントンのラケット、ホッケー等のスティック、自転車用部品、自転車のフレーム、自転車のホイール、自転車のリム、テントの支柱、スキー板、スノーボード、およびスキーポールなどに用いられる。また、一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、パイプおよび補修補強材料等に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。なお、実施例21,22、25が本発明の実施例であり、その他の実施例は参考実施例である。
本実施例および比較例に用いた構成要素(A)または(E)は、以下の通りである
(A−1):3次元架橋型エポキシ粒子(平均粒径:15μm、10℃におけるtanδ:1.08、ガラス転移温度:−10℃)
(A−2):3次元架橋型エポキシ粒子(平均粒径:7μm、10℃におけるtanδ:1.08、ガラス転移温度:―10℃)
(A−3):3次元架橋型エポキシ粒子(平均粒径:13μm、10℃におけるtanδ:0.22、ガラス転移温度:―2℃)
(A−4):非架橋型エポキシ粒子(平均粒径:17μm、10℃におけるtanδ:0.18、ガラス転移温度:−67℃)
(A−5):3次元架橋型エポキシ粒子(平均粒径:15μm、10℃におけるtanδ:0.05、ガラス転移温度:118℃)
(A−6):ポリプロピレン粒子(“プライムポリプロ(登録商標)”J105G((株)プライムポリマー製)を冷凍粉砕した、平均粒径:3μm、10℃におけるtanδ:0.07、ガラス転移温度:−3℃、不定形)
(A−7):ポリプロピレン粒子(“プライムポリプロ(登録商標)”J105G((株)プライムポリマー製)を冷凍粉砕した、平均粒径:40μm、10℃におけるtanδ:0.07、ガラス転移温度:−3℃、不定形)
(A−8):ナイロン12粒子(SP−500(東レ(株)製))、平均粒径:5μm、10℃におけるtanδ:0.03、ガラス転移温度:40℃)
(A−9):エポキシフィルム(tanδ:1.08、ガラス転移温度:−10℃、フィルム厚み:30μm)30μmのスペーサーを設置したステンレス板に(A−1)を構成するエポキシ樹脂、硬化剤の混合物を配置し、150℃、圧力50kg/cmで30分間かけてプレス成形した。
同様に、構成要素(B)、(D)、第3のエポキシ樹脂、第4のエポキシ樹脂は、以下の通りである
<エポキシ樹脂>
(B−1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”1001、三菱化学(株)製、エポキシ当量:475)
(B−2):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”828、三菱化学(株)製、エポキシ当量:189)
(B−3):ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“エポトート(登録商標)”YDF2001、新日鐵化学(株)製、エポキシ当量475)
(B−4):ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”807、三菱化学(株)製、エポキシ当量170)
(B−5):フェノールノボラック型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”154、三菱化学(株)製、エポキシ当量:178)
(B−6):ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(“エピクロン(登録商標)”HP7200H、DIC(株)製、エポキシ当量:283)
(B−7):多官能アミン型エポキシ樹脂(“スミエポキシ(登録商標)”ELM434、住友化学(株)製、エポキシ当量:120)
(B−8):ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂(“jER(登録商標)”YX4000、三菱化学(株)製、エポキシ当量:186)
(B−9):イソシアネート変性エポキシ樹脂(AER4152、旭化成エポキシ(株)製、エポキシ当量:340)
(B−10):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”1004FS、三菱化学(株)製、エポキシ当量:810)
(B−11):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”1007、三菱化学(株)製、エポキシ当量:1930)
(B−12):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”1010、三菱化学(株)製、エポキシ当量:4000)
(B−13):ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”4004P、三菱化学(株)製、エポキシ当量:800)
(B−14):ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”4007、三菱化学(株)製、エポキシ当量:2270)
(B−15):ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”4010、三菱化学(株)製、エポキシ当量:4400)。
<硬化剤>
(B−16):ジシアンジアミド(DICY7、三菱化学(株)製、活性水素当量:12)
(B−17):4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(“セイカキュア(登録商標)”S、和歌山精化工業(株)製、活性水素当量:62)
(B−18):メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30(質量比)の混合物(“リカシッド(登録商標)”MH700、新日本理化(株)製、活性水素当量:163)。
<硬化触媒>
(B−19):ウレア化合物(DCMU99、保土ヶ谷化学工業(株)製)
(B−20):トリフェニルホスフィン(TPP、北興化学工業(株)製)。
同様に、構成要素(C)および(G)は、以下の通りである
<強化繊維>
(C−1):炭素繊維(“トレカ(登録商標)”T700S、東レ(株)製、引張弾性率:230GPa、引張強度:4900MPa)
(C−2):炭素繊維織物(“トレカクロス(登録商標)”BT70−30、東レ(株)製、炭素繊維:“トレカ(登録商標)”T700、織り組織:平織、目付:300g/m
(C−3):炭素繊維(“トレカ(登録商標)”T800S、東レ(株)製、引張弾性率:294GPa、引張強度:5880MPa)
(C−4):炭素繊維(“トレカ(登録商標)”M40J、東レ(株)製、引張弾性率:377GPa、引張強度:4400MPa)
(C−5):炭素繊維(“トレカ(登録商標)”M46J、東レ(株)製、引張弾性率:436GPa、引張強度:4200MPa)
(C−6):炭素繊維(“トレカ(登録商標)”M50J、東レ(株)製、引張弾性率:475GPa、引張強度:4120MPa)。
本実施例および比較例に用いた構成要素(P)または(Q)は、以下の通りである
(P−1):カーボン粒子“NICABEADS(登録商標)”ICB−2020(日本カーボン(株)製)ヤング率35GPa 平均粒径20μm
(P−2):金属被覆ポリマー粒子“ミクロパール(登録商標)”CU215(積水化学(株)製)ヤング率4.8GPa、平均粒径15μm。
同様に、上記以外の原料は、以下の通りである
・ポリビニルホルマール(“ビニレック(登録商標)”E、チッソ(株)製)
・S−B−M共重合体(“Nanostrength(登録商標)” E40F、アルケマ(株)製、Sがスチレン、Bが1,4−ブタジエン、Mがメタクリル酸メチル)
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P、住友化学(株)製)。
(1)構成要素(A)エポキシ粒子の作製方法
表1に記載のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒を用い、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒を塩化メチレンとメタノールの混合溶媒中に添加、溶解して粘稠なポリマー溶液を得た。この溶液を室温で攪拌しながら、5%濃度のポリビニルアルコール水溶液を15分間で連続的に添加し、初期の油中水滴型乳化液から最終的に水中油滴型乳化液を得た。次に、この乳化液を攪拌しながら60℃に昇温し、塩化メチレンおよびメタノールを揮発除去した。さらに、この乳化液をオートクレーブ中85℃で2.5時間、続いて150℃で2時間加熱処理しエポキシ樹脂を硬化させた。室温まで冷却して濾過し、粒子を得た((A−1)〜(A−5))。
(2)冷凍粉砕による粒子作製方法
粉砕機(PULVERIZER、ホソカワミクロン(株)製)を用いて、ドライアイスで樹脂ペレットをガラス転移温度以下まで冷却しながら冷凍粉砕した。
(3)体積平均粒径の測定方法
体積平均粒径は、JIS K5600−9−3(2006)に従い、LMS−24((株)セイシン企業製)を用いて、レーザー回析・散乱法で測定した。
(4)粒子のヤング率の測定方法
微小圧縮試験機MCTM−500((株)島津製作所製)を用いて、圧縮速度2.6mN/secの条件で粒子を圧縮した。このときの10%変位時の荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定し、得られた値からヤング率を下記式により算出した。
E=(3/√2)×F×L-3/2×D-1/2
E:ヤング率
F:10%変位時圧縮荷重(N)
L:10%変位時圧縮変位(mm)
D:粒子径(mm)。
(5)構成要素(A)の板状成形物の作製方法
構成要素(A)を構成するエポキシ樹脂、硬化剤および他の添加物との混合物を、真空中で脱泡する。この脱泡した混合物を、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中に注入する。そして、完全に硬化する条件で混合物を硬化することでボイドのない板状成形物が得られる。
(6)構成要素(B)の硬化物の作製方法
構成要素(B)を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中に注入する。そして、各参考例に記載の条件で、完全に構成要素(B)を硬化させた。
(7)構成要素(A)(構成要素(A)および(P))と構成要素(B)からなる樹脂組成物の硬化物の作製方法
構成要素(A)(構成要素(A)および(P))と構成要素(B)を混練した後、得られた樹脂組成物を真空中で脱泡する。この脱泡した樹脂組成物を、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中注入した。そして、(5)と同じ条件で完全に構成要素(B)を硬化させた。
(8)樹脂硬化物、または板状成形物のガラス転移温度および10℃におけるtanδの測定方法
樹脂硬化物、または板状成形物をダイヤモンドカッターで幅13mm、長さ35mmに切り出しサンプルとした。このサンプルを動的粘弾性測定装置(DMAQ800:ティー・エイ・インスツルメンツ社製)を用い、−70℃〜250℃まで昇温速度5℃/分で昇温し、周波数1.0Hzの曲げモードで貯蔵弾性率とtanδの測定を行った。このときの貯蔵弾性率のオンセット温度をガラス転移温度とした。
(9)樹脂硬化物の硬化状態の確認方法
樹脂硬化物の任意の場所から、約10mgのサンプルを切り出した。このサンプルを、示差走査熱量測定装置(DSC2910:ティー・エイ・インスツルメンツ社製)を用い、昇温速度10℃/分で室温から350℃まで昇温した。このとき、発熱ピークが認められない場合を完全硬化していると判断した。
(10)プリプレグ中の粒子の分布状態を測定する方法
プリプレグを2枚の平滑な“テフロン(登録商標)”製樹脂板の間に挟んで密着させた。この状態で、2℃/hの昇温速度で、各実施例および比較例に記載の最高温度まで昇温することにより、プリプレグをゲル化および硬化させた。得られたプリプレグの硬化物を、“テフロン(登録商標)”製樹脂板との密着面と垂直な方向から鋭利なカッターで切断した。なお、切断面が平滑でない場合は、切断面を研磨した。切断面を光学顕微鏡で200倍以上に拡大し、かつ、硬化物の上下面が視野内に納まるようにして、写真を撮影した。次に、撮影した写真から、任意の5ヶ所の厚みを測定し、それらの平均値をプリプレグ平均厚みとした。
この硬化物の両面について、硬化物の表面から、厚さが20%深さの位置に、硬化物の表面と平行な線を2本引いた。次に、硬化物の表面と上記厚さが20%深さの位置を示す線との間に存在する対象粒子全ての合計面積1と、測定範囲の硬化物の厚みに渡って存在する対象粒子全ての合計面積2を求めた。なお、「対象粒子」とは、局在化の程度を求める対象としている粒子のことである。そして、合計面積2に対する合計面積1の比率(合計値1/合計値2:表面局在化率)を計算した。これら粒子の合計面積は、断面写真から粒子部分を刳り抜き、その質量から換算して求めた。この測定は、プリプレグの硬化物から5ヶ所を任意に選択して行い、平均値を算出した。マトリックス樹脂中に分散する対象粒子の写真撮影後の判別が困難な場合は、対象粒子を染色するか、対象粒子以外の成分を染色する手段を用いて判別した。
(11)繊維強化複合材料中の粒子の分布状態を測定する方法
繊維強化複合材料を、表面と垂直の方向からダイヤモンドカッターを用い切断した。なお、硬化物の切断面が平滑でない場合は、切断面を研磨した。
この断面を光学顕微鏡で200倍以上に拡大し、かつ、繊維強化複合材料の少なくともいずれか一方の表面が視野内に収まるように、写真を撮影した。この断面写真を用い、本文中に記載した繊維強化複合材料中の粒子の分布状態を測定する手法に従い、1枚の写真から5ヶ所を任意に選択し、平均境界線および平均中心厚み線を引いた。本文中に記載した繊維強化複合材料中の粒子の分布状態を測定する手法に従い、断面写真から粒子部分を刳り抜き、その質量から、全領域に存在する対象粒子全ての断面積の合計値4に対する、層間領域に存在する対象粒子全ての断面積の合計値3の比(合計値3/合計値4:層間局在化率)を求めた。分散する対象粒子の写真撮影後の判別が困難な場合は、対象粒子を染色するか、対象粒子以外の成分を染色する手段を用いて判別した。
(12)繊維強化複合材料の損失係数の測定方法
繊維強化複合材料から、ダイヤモンドカッターを用いて、幅10mm、長さ200mmのサンプルを切り出した。このとき、一方向材の場合は、長手方向が繊維と平行になるように切りだし、織物材の場合は、長手方向にどちらか一方の繊維が平行になるように切り出した。このサンプルの長さ方向の端から35mmまでをクランプで把持し、195mmの位置を3cm下方にたわませ、この撓みを解放したときの振動を、50mmの位置に貼付したひずみゲージで測定し、得られた波形から損失係数を求めた。
(13)繊維強化複合材料の曲げ弾性率、および曲げ強度の測定方法
繊維強化複合材料の曲げ強度の指標として、一方向材の場合は、繊維強化複合材料の0°および90°曲げ強度を測定し、織物の場合は、どちらか一方の繊維方向に平行になる方向の曲げ強度を測定した。一方向材の90°曲げ強度および織物材の曲げ強度は、以下の方法で測定した。繊維強化複合材料を、厚み2mm、幅15mm、長さ60mmとなるように切り出した。インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、クロスヘッド速度1.0mm/分、スパン40mm、圧子径10mm、支点径4mmで測定を行ない、曲げ強度を計算した。また、一方向材の0°曲げ弾性率および曲げ弾性率、ならびに、織物の曲げ弾性率は、次の方法で測定した。繊維強化複合材料を、厚み2mm、幅15mm、長さ100mmとなるように切り出した。インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、クロスヘッド速度5.0mm/分、支点スパン81mm、圧子スパン27mm、支点径4mm、圧子径10mmで4点曲げ測定を行ない、曲げ強度と5N〜50Nのデータから曲げ弾性率を計算した。なお、試験片からJIS7075(1991)に記載の燃焼法に基づいて、実Vfを求めた後、得られた曲げ強度をVf60%に換算した。
(14)繊維強化複合材料のガラス転移温度の測定方法
繊維強化複合材料を用いて、上記(8)と同様の方法で測定した。
(参考例1〜9、20〜27)
表2,3,5〜7に記載の参考例1〜9、20〜27に示すエポキシ樹脂を、加熱溶融混練したのち、60℃まで冷却し、硬化剤および硬化触媒を加えることにより、エポキシ樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚のテフロン(登録商標)製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールドに注入した。そして、各参考例に記載の条件で硬化させ、厚さ2mmの樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物のガラス転移温度を各表に示す。参考例1〜9、および21〜27は、ガラス転移温度が100℃以上であり、良好であった。参考例20は100℃未満であった。また、DSCによる測定の結果、いずれの参考例の硬化物も発熱ピークは認められず、完全硬化していた。
(参考例10)
表10の参考例10に示すエポキシ樹脂を溶融混練したのち、80℃まで冷却し、硬化剤を加えることにより、エポキシ樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物から、硬化条件を180℃×2時間にした以外は参考例1と同様の方法で樹脂硬化物を得た。硬化物のガラス転移温度、発熱ピークとも良好であった。
(参考例11)
表10の参考例11に示す硬化剤に硬化触媒を加え、50℃で溶解させた後、室温まで冷却し、エポキシ樹脂を加えることにより、エポキシ樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物から、参考例1に記載の方法で樹脂硬化物を得た。硬化物のガラス転移温度、発熱ピークとも良好であった。
(参考例12、13、16、17)
表3〜5の参考例12、13、16、17に示すエポキシ樹脂を溶融混練したのち、ポリビニルホルマールまたはS−B−M共重合体を加え、170℃で1時間かけて溶解させた。次に、60℃まで冷却し、硬化剤および硬化触媒を加えることにより、エポキシ樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物から、参考例1に記載の方法で樹脂硬化物を得た硬化物のガラス転移温度、発熱ピークとも良好であった。
(参考例14、15)
表4の参考例14、15に示すエポキシ樹脂を溶融混練したのち、ポリエーテルスルホンを加え、170℃で1時間かけて溶解させた。次に、80℃まで冷却し、硬化剤を加えることにより、エポキシ樹脂組成物を調製した。硬化物のガラス転移温度、発熱ピークとも良好であった。
(参考例18,19)
表5の参考例18,19に示すエポキシ樹脂を溶融混練したのち、カーボン粒子または金属被覆ポリマー粒子を加え、混練、分散させた。次に、80℃まで冷却し、硬化剤を加えることにより、エポキシ樹脂組成物を調製した。硬化物のガラス転移温度、発熱ピークとも良好であった。
(参考例28〜43、54〜61)
表8,9,11に記載の参考例28〜43、および54〜61に示すエポキシ樹脂を、加熱溶融混練したのち、60℃まで冷却し、構成要素(A)または(E)を加えて混練した後、同じ温度で硬化剤および硬化触媒を加えることにより、エポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物から参考例1と同様の方法で樹脂硬化物を得た。参考例31は、エポキシ樹脂組成物に(A−4)が溶解したため、(A−4)のガラス転移温度が消失した。参考例28〜30、32〜43、54〜61では、構成要素(A)または(E)のエポキシ樹脂組成物への溶解は認められなかった。
(参考例44)
表10の参考例44に示すエポキシ樹脂を溶融混練したのち、80℃まで冷却し、構成要素(A)または(E)を加え混練した後、硬化剤を加えることにより、エポキシ樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物から、参考例10と同様の方法で樹脂硬化物を得た。この樹脂組成物から参考例10に記載の方法で樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物のガラス転移温度、発熱ピークとも良好であった。
(参考例45)
表10の参考例45に示す硬化剤に硬化触媒を加え、50℃で溶解させた後、室温まで冷却した。一方で、エポキシ樹脂に室温で構成要素(A)または(E)を混練した。これらを室温で混練してエポキシ樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物から、参考例1に記載の方法で樹脂硬化物を得た。樹脂硬化物のガラス転移温度、発熱ピークとも良好であった。
(参考例46、47、50、51)
表10の参考例46、47、50、51に示すエポキシ樹脂を溶融混練したのち、ポリビニルホルマールまたはS−B−M共重合体を加え、170℃で1時間かけて溶解させた。次に、60℃まで冷却し、構成要素(A)または(E)を加え混練した後、硬化剤および硬化触媒を加えることにより、エポキシ樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物から、参考例1に記載の方法で樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物のガラス転移温度、発熱ピークとも良好であった。
(参考例48、49)
表10の参考例48、49に示すエポキシ樹脂を溶融混練したのち、ポリエーテルスルホンを加え、170℃で1時間かけて溶解させた。次に、80℃まで冷却し、構成要素(A)または(E)を加え混練した後、硬化剤を加えることにより、エポキシ樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物から、参考例10と同様の方法で樹脂硬化物を得た。硬化物のガラス転移温度、発熱ピークとも良好であった。
(参考例52,53)
表10,11の参考例52、53に示すエポキシ樹脂を溶融混練したのち、ポリエーテルスルホンを加え、170℃で1時間かけて溶解させた。次に、80℃まで冷却し、構成要素(A)または(E)およびカーボン粒子または金属被覆ポリマー粒子を加え、混練した後、硬化剤を加えることにより、エポキシ樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物から、参考例10と同様の方法で樹脂硬化物を得た。硬化物のガラス転移温度、発熱ピークとも良好であった。
(比較例1)
参考例1で得られた構成要素(B)をリバースロールコーターを使用して離型紙上に塗布し、樹脂フィルムを作製した。次に、この樹脂フィルム2枚を、シート状に一方向に整列させた(C−1)の両面から重ね、加熱プレスロールで加圧して参考例1の樹脂組成物を含浸させ、単位面積当たりの繊維質量125g/m、繊維質量含有率68%の一方向プリプレグ前駆体を作製した。次に、この一方向プリプレグ前駆体20層を、繊維方向を一方向に揃えて積層した後、オートクレープ内で、参考例1に記載の温度および時間、圧力0.3MPaで加熱加圧して硬化し、繊維強化複合材料を作製した。損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度、Tgを測定した。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例1)
比較例1で得られた一方向プリプレグ前駆体の片面に、構成要素(A)として前記(A−1)を均一に散布し、離型紙に挟んで加熱プレスロールを通すことにより、一方向プリプレグを得た。表面局在化率は98%で良好であった。次に、この一方向プリプレグを、繊維方向を一方向に揃え、構成要素(A)を散布した面が上になるように19層積層した後、さらに比較例1で得られた一方向プリプレグ前駆体を1層積層し、比較例1と同様の方法で繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は96%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例1に比べて、それぞれ188%、98%、101%、100%と良好であった。Tgも良好であった。
(比較例2)
構成要素(B)を参考例2にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例2)
比較例2で得られた一方向プリプレグ前駆体の片面に、構成要素(A)として前記(A−2)を均一に散布した以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は、実施例1に比べて構成要素(A)の粒径が小さくなったため、実施例1に比べて若干低下したが良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は、実施例1に比べて若干低下したが、良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、構成要素(A)の層間局在化率が低下したため、実施例1に比べて若干劣るが、比較例2と比べて、それぞれ176%、92%、98%、99%で良好であった。Tgも良好であった。
(実施例3)
構成要素(A)として前記(A−3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は96%で良好であった。また、構成要素(A−3)の10℃でのtanδが(A−1)に比べて低いため、損失係数は実施例1に比べて若干劣るが、比較例1と比べて、それぞれ145%、98%、100%、100%で良好であり、Tgも実施例1に比べて、低下したが良好であった。
(実施例4)
構成要素(A)を(A−1)、配合量を7質量%にかえた以外は、実施例2と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は95%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例1と比べて、それぞれ210%、93%、99%、100%であった。Tgも良好であった。実施例1と比較すると、損失係数が大きく向上した。
(実施例5)
構成要素(A)の配合量を15質量%にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は96%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例1と比べて、それぞれ250%、91%、96%、98%で良好であった。また、Tgも良好であった。実施例1と比較すると、損失係数が大きく向上したが、曲げ強度および0°曲げ弾性率が低下した。
(比較例3)
構成要素(B)を参考例3の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例6)
構成要素(B)を参考例3にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は97%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例3と比べて、それぞれ180%、98%、96%、100%で良好であり、硬化剤を1.0当量にすることにより、実施例1に比べて、曲げ強度が若干向上した。また、Tgも良好であった。
(比較例4)
構成要素(B)を参考例4の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例7)
構成要素(B)を参考例4の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は97%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例4と比べて、それぞれ174%、98%、100%、100%で良好であり、硬化剤を0.8当量にすることにより、実施例1に比べて、曲げ強度が若干向上した。また、Tgも良好であった。
(実施例8)
構成要素(B)を参考例2の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は97%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例2と比べて、それぞれ180%、98%、97%、101%で良好であり、構成要素(B)中の硬化触媒を2質量%にすることにより、実施例1に比べて、曲げ強度が若干向上した。Tgも良好であった。
(比較例5)
構成要素(B)を参考例5の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例9)
構成要素(B)を参考例5の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は98%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は97%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例5と比べて、それぞれ184%、99%、100%、100%であった。Tgも良好であった。実施例1に比べて、構成要素(B)のエポキシ樹脂の一部にフェノールノボラック型エポキシ樹脂を用いることにより、曲げ強度とTgが向上した。
(比較例6)
構成要素(B)を参考例20の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数とTgが低く、好ましくなかった。
(実施例10)
構成要素(B)を参考例20の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は98%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は95%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例6と比べて、それぞれ196%、98%、100%、99%で、良好であった。しかし、構成要素(B)のエポキシ樹脂にビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いることにより、実施例1に比べて、Tgが低下した。
(比較例7)
構成要素(B)を参考例6の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例11)
構成要素(B)を参考例6の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は98%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は96%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例7と比べて、それぞれ172%、99%、104%、99%で、良好であった。構成要素(B)のエポキシ樹脂にジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を用いることにより、実施例1に比べて、Tgが大きく向上した。
(比較例8)
構成要素(B)を参考例7の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例12)
構成要素(B)を参考例7の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は97%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例8と比べて、それぞれ176%、98%、99%、101%で、良好であった。構成要素(B)のエポキシ樹脂に多官能アミン型エポキシ樹脂を用いることにより、実施例1に比べて、曲げ強度とTgが大きく向上した。
(比較例9)
構成要素(B)を参考例8の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例13)
構成要素(B)を参考例8の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は95%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例9と比べて、それぞれ174%、98%、105%、99%で、良好であった。構成要素(B)のエポキシ樹脂にビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂を用いることにより、実施例1に比べて、曲げ強度とTgが大きく向上した。
(比較例10)
構成要素(B)を参考例9の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例14)
構成要素(B)を参考例9の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は96%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例10と比べて、それぞれ182%、97%、99%、101%で、良好であった。構成要素(B)のエポキシ樹脂にイソシアネート変性エポキシ樹脂を用いることにより、実施例1に比べて、曲げ強度が若干低下したが、Tgが向上した。
(比較例11)
構成要素(B)を参考例10の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例15)
構成要素(B)を参考例10の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は98%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は95%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例11と比べて、それぞれ180%、98%、98%、101%で、良好であった。構成要素(B)の硬化剤に4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを用いることにより、実施例13に比べて、Tgが向上した。
(比較例12)
構成要素(B)を参考例12の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例16)
構成要素(B)を参考例12の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は95%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例12と比べて、それぞれ176%、99%、100%、100%で良好であった。Tgも良好であった。
(比較例13)
構成要素(B)を参考例13の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例17)
構成要素(B)を参考例13の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は96%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例13と比べて、それぞれ176%、99%、103%、99%で良好であった。Tgも良好であった。
(比較例14)
構成要素(B)を参考例14の樹脂組成物にかえた以外は、比較例11と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例18)
構成要素(B)を参考例14の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は96%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例14と比べて、それぞれ184%、99%、103%、98%で良好であった。Tgも良好であった。
(比較例15)
構成要素(B)を参考例15の樹脂組成物にかえた以外は、比較例11と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例19)
構成要素(B)を参考例15の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は96%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例14と比べて、それぞれ180%、99%、103%、98%で良好であった。Tgも良好であった。
(比較例16)
構成要素(B)を参考例16の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例20)
構成要素(B)を参考例16の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は98%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は97%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例16と比べて、それぞれ174%、98%、96%、100%で良好であった。Tgも良好であった。
(比較例18)
構成要素(B)を参考例18の樹脂組成物にかえた以外は、比較例11と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例21)
構成要素(B)を参考例18の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は96%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例18と比べて、それぞれ183%、99%、100%、101%で良好であった。Tgも良好であった。構成要素(B)のエポキシ樹脂に、カーボン粒子を配合することにより、実施例18に比べて、弾性率、強度が向上した。
(比較例19)
構成要素(B)を参考例19の樹脂組成物にかえた以外は、比較例11と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例22)
構成要素(B)を参考例19の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は96%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例19と比べて、それぞれ176%、98%、100%、101%で良好であった。Tgも良好であった。構成要素(B)のエポキシ樹脂に、金属被覆ポリマー粒子を配合することにより、実施例19に比べて、弾性率、強度が向上した。
(比較例17)
構成要素(B)を参考例17の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例23)
参考例17の樹脂組成物と前記(A−1)を、参考例51と同様の方法で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物および参考例1のエポキシ樹脂組成物を、それぞれリバースコーターを使用して離型紙上に塗布し、それぞれの樹脂フィルムを作製した。次に、参考例1から得られた樹脂フィルムを用いて、比較例1と同様の方法で単位面積当たりの繊維質量125g/m、繊維質量含有率76%の1方向プリプレグ前駆体を得た。この一方向プリプレグ前駆体の片面に、参考例17の樹脂組成物と前記(A−1)から得られた樹脂フィルムを、加熱プレスロールで加圧して貼付し、一方向プリプレグを得た。表面局在化率は、99%で良好であった。この一方向プリプレグを用いて、実施例1に記載の方法で繊維強化複合材料を得た。層間局在化率は96%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例1と比べて、それぞれ176%、98%および、比較例17と比べて、それぞれ176%、98%、98%、100%で良好であった。Tgも良好であった。
(実施例24)
参考例17のエポキシ樹脂組成物と前記(A−1)を、参考例51と同様の方法で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物および参考例17のエポキシ樹脂組成物を、それぞれリバースコーターを使用して離型紙上に塗布し、それぞれの樹脂フィルムを作製した。次に、参考例17の樹脂組成物から得られた樹脂フィルムを用いて、比較例1と同様の方法で単位面積当たりの繊維質量125g/m、繊維質量含有率76%の一方向プリプレグ前駆体を得た。この一方向プリプレグ前駆体の片面に、参考例17の樹脂組成物と前記(A−1)から得られた樹脂フィルムを、加熱プレスロールで加圧して貼付し、一方向プリプレグを得た。表面局在化率は、98%で良好であった。この一方向プリプレグを用いて、実施例1に記載の方法で繊維強化複合材料を得た。層間局在化率は95%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例17と比べて、それぞれ178%、98%、102%、99%で良好であった。Tgも良好であった。
(実施例25)
参考例18のエポキシ樹脂組成物と前記(A−1)を、参考例52と同様の方法で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物および参考例14のエポキシ樹脂組成物を、それぞれリバースコーターを使用して離型紙上に塗布し、それぞれの樹脂フィルムを作製した。次に、参考例14の樹脂組成物から得られた樹脂フィルムを用いて、比較例1と同様の方法で単位面積当たりの繊維質量125g/m、繊維質量含有率76%の一方向プリプレグ前駆体を得た。この一方向プリプレグ前駆体の片面に、参考例18の樹脂組成物と前記(A−1)から得られた樹脂フィルムを、加熱プレスロールで加圧して貼付し、一方向プリプレグを得た。表面局在化率は、99%で良好であった。この一方向プリプレグを用いて、実施例1に記載の方法で繊維強化複合材料を得た。層間局在化率は97%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例18と比べて、それぞれ185%、99%、101%、101%で良好であった。Tgも良好であった。
(実施例26)
比較例1で得られた一方向プリプレグ前駆体の両面に、構成要素(A)として前記(A−1)を均一に散布し、離型紙に挟んで加熱プレスロールを通すことにより、一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。この一方向プリプレグを18層積層した後、さらにこれの両面に比較例1で得られた一方向プリプレグ前駆体を1層ずつ積層した以外は、比較例1と同様の方法で繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は96%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例1に比べて、それぞれ170%、99%、100%、101%と良好であった。Tgも良好であった。
(比較例20)
構成要素(B)を参考例21の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例27)
構成要素(B)を参考例21の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は96%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例20と比べて、それぞれ188%、98%、103%、100%で良好であった。Tgも良好であった。構成要素(B)のエポキシ樹脂に、エポキシ当量が810であるビスフェノールA型エポキシ樹脂を配合することにより、実施例1に比べて、損失係数が向上した。
(比較例21)
構成要素(B)を参考例22の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例28)
構成要素(B)を参考例22の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は98%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は97%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例21と比べて、それぞれ188%、98%、93%、101%で良好であった。Tgも良好であった。構成要素(B)のエポキシ樹脂に、エポキシ当量が1930であるビスフェノールA型エポキシ樹脂を配合することにより、実施例1に比べて、損失係数が向上した。
(比較例22)
構成要素(B)を参考例23の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例29)
構成要素(B)を参考例23の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は98%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は95%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例22と比べて、それぞれ192%、99%、100%、100%で良好であった。Tgも良好であった。構成要素(B)のエポキシ樹脂に、エポキシ当量が4000であるビスフェノールA型エポキシ樹脂を配合することにより、実施例1に比べて、損失係数が向上した。
(比較例23)
構成要素(B)を参考例24の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例30)
構成要素(B)を参考例24の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は97%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は98%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例23と比べて、それぞれ190%、98%、103%、100%で良好であった。Tgも良好であった。構成要素(B)のエポキシ樹脂に、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を配合することにより、実施例1に比べて、強度が向上した。
(比較例24)
構成要素(B)を参考例25の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例31)
構成要素(B)を参考例25の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は97%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例24と比べて、それぞれ186%、98%、96%、99%で良好であった。Tgも良好であった。構成要素(B)のエポキシ樹脂に、エポキシ当量が800のビスフェノールF型エポキシ樹脂を配合することにより、実施例30に比べて、損失係数が向上した。
(比較例25)
構成要素(B)を参考例26の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例32)
構成要素(B)を参考例26の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は99%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は97%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例25と比べて、それぞれ192%、98%、96%、100%で良好であった。Tgも良好であった。構成要素(B)のエポキシ樹脂に、エポキシ当量が2270のビスフェノールF型エポキシ樹脂を配合することにより、実施例30に比べて、損失係数が向上した。
(比較例26)
構成要素(B)を参考例27の樹脂組成物にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例33)
構成要素(B)を参考例27の樹脂組成物にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は98%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は97%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例26と比べて、それぞれ190%、100%、97%、100%で良好であった。Tgも良好であった。構成要素(B)のエポキシ樹脂に、エポキシ当量が4400のビスフェノールF型エポキシ樹脂を配合することにより、実施例30に比べて、損失係数が向上した。
(比較例27)
比較例1で得られた一方向プリプレグ前駆体の片面に、構成要素(A)として前記(A−9)を貼付し、離型紙に挟んで、加熱プレスロールを通すことにより、一方向プリプレグを得た。表面局在化率は100%で良好であった。この一方向プリプレグを用いて、実施例1に記載の方法で繊維強化複合材料を得た。層間局在化率は100%で良好であった。また、損失係数も比較例1と比べて、580%と良好であったが、曲げ強度が82%と低く、さらに構成要素(A)の一部が構成要素(B)に溶解したため、高温側のTgが低下した。
(比較例28)
構成要素(A)を前記(A−4)にかえた以外は、実施例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。(A−4)が参考例1に溶解したため、表面局在化率は測定できなかった。この一方向プリプレグを用いて、実施例1に記載の方法で繊維強化複合材料を得た。層間局在化率は測定できなかった。損失係数と曲げ強度は、比較例1と比べて、それぞれ112%、85%と好ましくなかった。また、Tgも好ましくなかった。
(比較例29)
構成要素(A)を前記(A−5)にかえた以外は、実施例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。表面局在化率は97%で良好であった。この一方向プリプレグを用いて、実施例1に記載の方法で繊維強化複合材料を得た。層間局在化率は95%で良好であった。また、比較例1と比べて、曲げ強度は99%と良好であったが、損失係数が110%と低かった。Tgは良好であった。
(比較例30)
構成要素(A)を前記(A−6)にかえた以外は、実施例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。表面局在化率は88%と不十分であった。この一方向プリプレグを用いて、実施例1に記載の方法で繊維強化複合材料を得た。層間局在化率は83%と不十分であった。また、実施例1と比べて、損失係数や曲げ強度も不十分であった。
(比較例31)
構成要素(A)を前記(A−7)にかえた以外は、実施例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。表面局在化率は100%と良好であった。この一方向プリプレグを用いて、実施例1に記載の方法で繊維強化複合材料を得た。層間局在化率は99%であり、損失係数は比較例1と比べて、142%と良好であった。しかし、曲げ強度は、比較例1と比べて、88%と好ましくなかった。
(比較例32)
構成要素(A)を前記(A−8)にかえた以外は、実施例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。表面局在化率は93%と良好であった。この一方向プリプレグを用いて、実施例1に記載の方法で繊維強化複合材料を得た。層間局在化率は91%で良好であった。また、比較例1と比べて、曲げ強度は100%と良好であったが、損失係数が104%と低かった。Tgは良好であった。
(比較例33)
構成要素(C)を前記(C−3)にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例34)
構成要素(C)を前記(C−3)にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は98%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は98%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例33と比べて、それぞれ142%、98%、99%、100%で良好であった。Tgも良好であった。構成要素(C)に(C−3)を用いることで、実施例1と同様に損失係数、弾性率と強度のバランスが良好であった。
(比較例34)
構成要素(C)を前記(C−4)にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例35)
構成要素(C)を前記(C−4)にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は97%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は98%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例34と比べて、それぞれ132%、98%、101%、101%で良好であった。Tgも良好であった。
(比較例35)
構成要素(C)を前記(C−5)にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例36)
構成要素(C)を前記(C−5)にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は98%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は96%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例35と比べて、それぞれ138%、97%、100%、101%で良好であった。Tgも良好であった。
(比較例36)
構成要素(C)を前記(C−6)にかえた以外は、比較例1と同様に、一方向プリプレグ前駆体と繊維強化複合材料を得た。損失係数が低く、好ましくなかった。
(実施例37)
構成要素(C)を前記(C−6)にかえた以外は、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。表面局在化率は97%で良好であった。次に、実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料を作製した。層間局在化率は97%で良好であった。また、損失係数、90°曲げ強度、0°曲げ弾性率および強度は、比較例36と比べて、それぞれ136%、95%、100%、101%で良好であった。Tgも良好であった。
(比較例37)
長さ300mm×幅300mm×厚み2mmの板状キャビティーを持つ金型のキャビティー内に、前記(C−2)を6枚積層し、プレス装置で型締めを行った。次に、100℃(成形温度)に保持した金型内を、真空ポンプにより、大気圧−0.1MPaに減圧し、あらかじめ50℃に加温しておいた参考例11のエポキシ樹脂を、硬化剤および硬化触媒の混合液と樹脂注入機を用いて混合し、0.2MPaの圧力で注入した。エポキシ樹脂組成物の注入開始後、30分(硬化時間)で金型を開き、得られた維強強化複合材料前駆体を脱型した。得られた維強強化複合材料前駆体を、130℃に予熱したオーブンで1時間、後硬化を行い、維強強化複合材料を得た。繊維強化複合材料の損失係数は不十分であった。
(実施例38)
長さ300mm×幅300mm×厚み2mmの板状キャビティーを持つ金型のキャビティー内に、前記(A−1)を層間に均一に散布しつつ、前記(C−2)を6枚積層し、プレス装置で型締めを行った。次に、100℃(成形温度)に保持した金型内を、真空ポンプにより、大気圧−0.1MPaに減圧し、あらかじめ50℃に加温しておいた参考例11のエポキシ樹脂を、硬化剤および硬化触媒の混合液と樹脂注入機を用いて混合し、0.2MPaの圧力で注入した。エポキシ樹脂組成物の注入開始後、30分(硬化時間)で金型を開き、得られた維強強化複合材料前駆体を脱型した。得られた維強強化複合材料前駆体を、130℃に予熱したオーブンで1時間、後硬化を行い、維強強化複合材料を得た。繊維強化複合材料の層間局在化率は95%で良好であった。また、損失係数、曲げ強度は、比較例37と比べて、それぞれ178%、98%で良好であった。さらに、Tgも良好であった。
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1 プリプレグ平均厚み
2 支持板に接していた面
3 プリプレグ厚みの20%の平行線
4 平均境界線
5 平均中心厚み線
A 構成要素(A)
B 構成要素(B)
C 構成要素(C)
D 構成要素(D)
E 構成要素(E)
F 構成要素(F)
G 構成要素(G)
H 構成要素(H)
P 構成要素(P)
Q 構成要素(Q)

Claims (15)

  1. 下記構成要素(A)、(B)(C)および(P)を含むプリプレグであって、
    前記構成要素(A)および(P)が、前記構成要素(B)および(C)を含む層の片面または両面に配置され、
    前記構成要素(A)および(P)の90面積%以上が、前記プリプレグの表面からプリプレグ平均厚みの20%までの部位に存在する、プリプレグ;
    (A)10℃におけるtanδが0.15以上であって、かつ、3次元架橋構造を有するエポキシ粒子;
    (B)第1のエポキシ樹脂組成物;
    (C)強化繊維
    (P)ヤング率が2GPa以上で、平均粒径が5〜100μmの粒子。
  2. 前記構成要素(A)が前記構成要素(B)に非相溶である、請求項1のプリプレグ。
  3. 前記構成要素(A)の平均粒径が5〜20μmである、請求項1または2のプリプレグ。
  4. 前記構成要素(A)がプリプレグ中に2〜20質量%含まれている、請求項1〜3のいずれかのプリプレグ。
  5. 前記構成要素(B)が、少なくともエポキシ当量が800〜5500のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物である、請求項1〜4のいずれかのプリプレグ。
  6. 前記構成要素(C)が炭素繊維である、請求項1〜5のいずれかのプリプレグ。
  7. 前記構成要素(C)が、引張弾性率が230〜550GPaの炭素繊維である、請求項6のプリプレグ。
  8. 下記構成要素(D)をさらに含み、
    前記構成要素(D)が、前記構成要素(B)および(C)を含む層の片面または両面に配置され、
    前記構成要素(A)および(P)が前記構成要素(D)に含まれた状態で存在している、請求項1〜7のいずれかのプリプレグ;
    (D)前記構成要素(A)と相溶しない第2のエポキシ樹脂組成物。
  9. 前記構成要素(D)が前記構成要素(B)と同一である、請求項8のプリプレグ。
  10. 請求項1〜いずれかのプリプレグを製造する方法であって、
    前記構成要素(B)を前記構成要素(C)に含浸させてプリプレグ前駆体を得る工程と、
    前記プリプレグ前駆体に前記構成要素(A)および(P)を貼付する工程と、を含むプリプレグの製造方法。
  11. 請求項8または9のプリプレグを製造する方法であって、下記(I’)、(II’)および(III’)の工程を含むプリプレグの製造方法;
    (I’)前記構成要素(A)および(P)を前記構成要素(D)に分散させ、この分散体をフィルムにする工程;
    (II’)前記構成要素(B)を前記構成要素(C)に含浸させ、プリプレグ前駆体を作製する工程;
    (III’)(I’)で得られたフィルムを(II’)で得られたプリプレグ前駆体に貼付する工程。
  12. 下記構成要素(E)、(F)(G)および(Q)を含む繊維強化複合材料であって、
    前記構成要素(F)および(G)を含む強化繊維層を2層以上有しており、
    前記繊維強化複合材料の断面を観察した際に、構成要素(E)および(Q)の90面積%以上が、強化繊維層と、その強化繊維層に隣接する他の強化繊維層との間の構成要素(G)を含まない層間領域に局在化している、繊維強化複合材料;
    (E)10℃におけるtanδが0.15以上であって、かつ、3次元架橋構造を有するエポキシ粒子;
    (F)第3のエポキシ樹脂組成物の硬化物;
    (G)強化繊維
    (Q)ヤング率が2GPa以上で、平均粒径が5〜100μmの粒子。
  13. 下記構成要素(H)をさらに含み、前記構成要素(E)および(Q)が前記構成要素(H)に含まれた状態で存在している、請求項12の繊維強化複合材料;
    (H)第4のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
  14. 前記繊維強化複合材料の損失係数が、前記構成要素(E)および(Q)を含まない以外は前記繊維強化複合材料と同一の繊維強化複合材料の損失係数に対して、130%以上である、請求項12または13の繊維強化複合材料。
  15. 前記繊維強化複合材料の曲げ強度が、前記構成要素(E)および(Q)を含まない以外は前記繊維強化複合材料と同一の繊維強化複合材料の曲げ強度に対して、90%以上である、請求項12〜14のいずれかの繊維強化複合材料。
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