JP2010095557A - プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

プリプレグおよび繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】プロセス性とタック性を満足させるプリプレグ、および衝撃後圧縮強度と高温高湿時における層間剪断強度とを満足させる炭素繊維強化複合材料用の提供。
【解決手段】強化繊維(A)、硬化物の曲げ弾性率が2.8GPa以上5.7GPa以下であるエポキシ樹脂組成物(B)および硬化物の曲げ弾性率が3.1GPa以上6.0GPa以下であるエポキシ樹脂組成物(C)からなり、前記エポキシ樹脂組成物(C)の硬化物の曲げ弾性率が前記エポキシ樹脂組成物(B)の硬化物の曲げ弾性率より大きく、前記エポキシ樹脂組成物(C)が前記エポキシ樹脂組成物(B)より表面側に偏在しているプリプレグ、および上記プリプレグを硬化して得られる炭素繊維強化複合材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリプレグと優れた力学特性、特に航空機構造材に必要な衝撃後圧縮強度と高温高湿時における層間剪断強度に優れた繊維強化複合材料に関するものである。
炭素繊維とマトリックス樹脂とを含む炭素繊維強化複合材料(以下、CFRPと略すことがある。)は、比強度、比剛性、耐熱性および耐環境性に優れているため、スポーツ分野や航空機分野を始め、幅広く普及し使用されている。特に近年、航空機分野においては、近年の燃料高から低燃費の航空機の需要が高まっており、比強度と比剛性に優れているため、機体の軽量化が期待できるCFRPの性能向上がますます待望されている。
航空機構造材に必要とされる力学特性の中でも、衝撃後圧縮強度(以下、CAIと略することがある。)と高温高湿時における層間剪断強度(以下、HW ILSSと略することがある。)は最も重要とされている。そのため、これらの力学特性を向上させる技術が多数開示されており、CAIを向上させる方法として、熱可塑性樹脂の粒子をプリプレグ層間に配しCAIを向上させる方法が提案されている(特許文献1参照。)。また、プリプレグの表面と内部の樹脂組成を変えてCAIと高温高湿時の機械的特性を向上させる方法が提案されている(特許文献2および3参照。)。また別に、プリプレグの中間層の樹脂層にゴムを含有させることによりCAIと高温高湿時の機械的特性を向上させる方法が提案されている(特許文献4参照。)。しかしながら、CFRPのCAIと高温高湿時の機械的特性はまだ十分ではなかった。
このように、CFRPの優れたCAIと高温高湿時の機械的特性とを満足させる手段はこれまでに存在せず、両方の力学特性を両立させる新たな技術が待たれて久しかった。
特開平10−231372号公報 特開平8−225666号公報 特開平8−176325号公報 特公平5−88261号公報
本発明の目的は、繊維強化複合材料の優れた衝撃後圧縮強度(CAI)と高温高湿時における層間剪断強度(HW ILSS)とを満足させるプリプレグ、およびそのCAIとHW ILSSに優れた繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。
本発明のプリプレグは、強化繊維(A)、硬化物の曲げ弾性率が2.8GPa以上5.7GPa以下であるエポキシ樹脂組成物(B)および硬化物の曲げ弾性率が3.1GPa以上6.0GPa以下であるエポキシ樹脂組成物(C)からなり、前記エポキシ樹脂組成物(C)の硬化物の曲げ弾性率が前記エポキシ樹脂組成物(B)の硬化物の曲げ弾性率より大きく、前記エポキシ樹脂組成物(C)が前記エポキシ樹脂組成物(B)より表面側に偏在していることを特徴とするプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい様態によれば、前記のエポキシ樹脂組成物(C)の硬化物の破壊靱性値KICは1.2MPa・m1/2以上3.0MPa・m1/2以下である。
本発明のプリプレグの好ましい様態によれば、前記のエポキシ樹脂組成物(C)に微粒子が含有されていることである。
本発明のプリプレグの好ましい様態によれば、前記の微粒子の成分は熱可塑性樹脂である。
本発明のプリプレグの好ましい様態によれば、前記の微粒子の成分の熱可塑性樹脂はポリアミドである。
本発明のプリプレグの好ましい様態によれば、前記の微粒子の成分の熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂を含有することである。
本発明のプリプレグの好ましい様態によれば、前記の強化繊維(A)は炭素繊維である。
本発明において「微粒子」とは、球状に限らず不定形も含む粒子で、粒径はメディアン径で0.001μm以上150μm以下の粒子を意味する。
本発明の繊維強化複合材料は、前記のいずれかに記載のプリプレグを加熱硬化させる工程を含む方法により製造することができる。
本発明において「プリプレグ」とは、強化繊維にマトリックス樹脂が含浸された前記強化繊維複合材料の中間材料を意味する。
本発明において「繊維強化複合材料」とは、プリプレグを硬化して得られる繊維強化複合材料を意味する。
本発明によれば、プロセス性とタック性に優れたプリプレグ、および衝撃後圧縮強度(CAI)と高温高湿時における層間剪断強度(HW ILSS)が共に優れた繊維強化複合材料が得られる。
本発明の炭素繊維強化複合材料(CFRP)は、航空機の部材の他に、テニスラケットやゴルフシャフトなどのスポーツ用品、自動車のバンパーやドアなどの外板部材、およびシャシーやフロントサイドメンバなど自動車の構造部材などに適用することができる。
以下、本発明のプリプレグと繊維強化複合材料について具体的に説明する。
本発明のプリプレグには、2種類のエポキシ樹脂組成物が用いられる。すなわち、圧縮強度に寄与するプリプレグ内部には、硬化物の曲げ弾性率が2.8GPa以上5.7GPa以下であるエポキシ樹脂組成物(B)を用い、耐衝撃性と疲労に関与するプリプレグ表面には、硬化物の曲げ弾性率が3.1GPa以上6.0GPa以下で、かつプリプレグ内部の硬化物よりも曲げ弾性率が高いエポキシ樹脂組成物(C)を用いる。これにより、硬化物が高弾性率であるエポキシ樹脂組成物もしくは硬化物が高靱性であるエポキシ樹脂組成物を単独でプリプレグのマトリックス樹脂として使用する場合のプリプレグ特性やCFRP特性の欠点を解消することができる。
さらに、プリプレグ表面には、硬化物の破壊靱性値KICが1.2MPa・m1/2以上3.0MPa・m1/2以下である前記のエポキシ樹脂組成物(C)を用いることにより、CFRP特性の耐衝撃性を向上させることができる。
本発明で用いられる強化繊維(A)としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維および炭化ケイ素繊維などが用いられる。これらのうちでは、特に炭素繊維が好ましく用いられる。
本発明で用いられる強化繊維は、連続繊維であることが好ましい。本発明において連続繊維は、10mm以上の長さの連続した繊維で、必ずしも繊維強化層全体にわたって連続した繊維である必要はなく、途中で分断されていても特に問題はない。強化繊維の長さが短くなりすぎると、強化繊維を複合材料に加工したときに、補強繊維としての強度を十分に発揮させることが困難となる場合がある。強化繊維は、その形状や配列については特に限定されず、例えば、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物状および組み紐状であっても良い。特に、比強度と比弾性率が高いことを要求される用途には、強化繊維束が単一方向に引き揃えられた配列のものが最も適しているが、取り扱いの容易な織物状に配列のものも本発明に適している。
また、強化繊維が強化繊維束の場合は、通常、取り扱い性や得られたCFRPの力学特性に優れているという観点から、その総繊度は好ましくは100tex以上5,000tex以下であり、またそのフィラメント本数は好ましくは3,000以上60,000以下の範囲である。強化繊維束の繊度は、JIS R 7601(1986)によって測定することができる。
強化繊維の形態としては、一方向に引き揃えた長繊維、トウ、織物、マット、ニットおよび組み紐などが好ましく用いられる。
本発明の繊維強化複合材料用のプリプレグは、プリプレグ全質量に対する強化繊維の含有質量(以下、Wfと表すことがある。)が30〜90重量%であることが好ましく、Wfはより好ましくは35〜85重量%であり、さらに好ましくは40〜85重量%である。Wfが30重量%より小さいと、樹脂の量が多すぎて繊維強化複合材料に要求される諸特性を満たすことができない場合がある。また、Wfが90重量%より大きいと、強化繊維とマトリックス樹脂の接着性が低下し、プリプレグを積層した際にプリプレグ同士が接着せず、得られる繊維強化複合材料において層間で剥離してしまう場合がある。ここでいうWfは、JIS K7071(1988)にしたがって測定される強化繊維質量含有率を意味する。
プリプレグ内部に用いられるエポキシ樹脂組成物(B)は、その硬化物の曲げ弾性率が2.8GPa以上5.7GPa以下であるエポキシ樹脂組成物(B)が用いられる。エポキシ樹脂組成物(B)の硬化物の曲げ弾性率の測定は、180℃の温度で、2時間硬化させ、エポキシ樹脂組成物を硬化してカットし、厚み2mm、幅10mm、長さ60mmの試験片を作製し、スパン間32mmの3点曲げで測定する。
エポキシ樹脂組成物(B)は、その硬化物の曲げ弾性率が2.8GPa以上5.7GPa以下で、好ましくは2.8GPa以上5.0GPa以下、より好ましくは2.8GPa以上4.5GPa以下、さらに好ましくは2.8GPa以上4.0GPa以下、特に好ましくは2.8GPa以上3.8GPa以下のエポキシ樹脂組成物(B)が用いられる。
炭素繊維強化複合材料を構造材料として用いる場合は、高温高湿時の物性低下が小さいことが必要である。マトリックス樹脂の弾性率の高温高湿時の低下が小さいことは、この点で重要になる。エポキシ樹脂組成物(B)は、主として、エポキシ樹脂と硬化剤よりなる。エポキシ樹脂としては、例えば、分子内に水酸基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、分子内にアミノ基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、分子内にカルボキシル基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、および分子内に二重結合を有する化合物を酸化することから得られる脂環式エポキシ樹脂、あるいはこれらから選ばれる2種類以上のタイプの基が分子内に混在するエポキシ樹脂などが用いられる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールADとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシノールとエピクロロヒドリンの反応により得られるレゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールとホルムアルデヒドの反応生成物であるフェノールノボラックとエピクロロヒドリンの反応により得られるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、およびこれらの位置異性体やアルキル基やハロゲンでの置換体が挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER”(登録商標)827、“jER”(登録商標)828(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン”(登録商標)840、“エピクロン”(登録商標)850(以上、DIC(株)製)、“エポトート”(登録商標)YD−128(東都化成(株)製)、DER−331、DER−332(ダウケミカル社製)、 “Bakelite”(登録商標)EPR162、“Bakelite”(登録商標)EPR172、“Bakelite”(登録商標)EPR173、および“Bakelite”(登録商標)EPR174(以上、Bakelite AG社製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER”(登録商標)806、“jER”(登録商標)807、“jER”(登録商標)1750(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン”(登録商標)830、“エピクロン”(登録商標)835(以上、DIC(株)製)、“エポトート”(登録商標)YD−170、“エポトート”(登録商標)YD−175(東都化成(株)製)、“Bakelite”(登録商標)EPR169(Bakelite AG社製)、GY281、GY282、およびGY285(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)などが挙げられる。
ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の市販品としては、“EPOMIK”(登録商標)R710、“EPOMIK”(登録商標)R1710(以上、(株)プリンテック製)などが挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール”(登録商標)EX−201(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER”(登録商標)152、“jER”(登録商標)154(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン”(登録商標)740(DIC(株)製)、およびEPN179、EPN180(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)などが挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂の具体例としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類、アミノフェノールのグリシジル化合物類、グリシジルアニリン類、およびキシレンジアミンのグリシジル化合物などが挙げられる。
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類の市販品としては、“スミエポキシ”(登録商標)ELM434(住友化学(株)製)、“アラルダイト”(登録商標)MY720、“アラルダイト”(登録商標)MY721、“アラルダイト”(登録商標)MY9512、“アラルダイト”(登録商標)MY9612、“アラルダイト”(登録商標)MY9634、“アラルダイト”(登録商標)MY9663(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)、“jER”(登録商標)604(ジャパンエポキシレジン社製)、“Bakelite”(登録商標)EPR494、“Bakelite”(登録商標)EPR495、“Bakelite”(登録商標)EPR496、および“Bakelite”(登録商標)EPR497(以上、Bakelite AG社製)などが挙げられる。
アミノフェノールのグリシジル化合物類の市販品としては、“jER”(登録商標)630(ジャパンエポキシレジン(株)製)、“アラルダイト”(登録商標)MY0500、“アラルダイト”(登録商標)MY0510(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)、“スミエポキシ”(登録商標)ELM120、および“スミエポキシ”(登録商標)ELM100(以上住友化学(株)製)などが挙げられる。
グリシジルアニリン類の市販品としては、GAN、GOT(以上、日本化薬(株)製)や“Bakelite”(登録商標)EPR493(Bakelite AG社製)などが挙げられる。
キシレンジアミンのグリシジル化合物としては、TETRAD−X(三菱瓦斯化学(株)製)が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂の具体例としては、フタル酸ジグリシジルエステルや、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステルやそれぞれの各種異性体が挙げられる。
フタル酸ジグリシジルエステルの市販品としては、“エポミック”(登録商標)R508(三井化学(株)製)や“デナコール”(登録商標)EX−721(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルの市販品としては、“エポミック”R540(三井化学(株)製)やAK−601(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ダイマー酸ジグリシジルエステルの市販品としては、“jER”(登録商標)871(ジャパンエポキシレジン(株)製)や“エポトート”(登録商標)YD−171(東都化成(株)製)などが挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂の市販品としては、“セロキサイド”(登録商標)2021P(ダイセル化学工業(株)製)、CY179(ハンツマン・アドバンスド・マテリアル社製)、“セロキサイド”(登録商標)2081(ダイセル化学工業(株)製)、および“セロキサイド”(登録商標)3000(ダイセル化学工業(株)製)などが挙げられる。
上記のエポキシ樹脂は、一種または二種以上で用いることができる。
エポキシ樹脂と組み合わせて用いられる硬化剤としては、例えば、芳香族アミン、脂肪族アミン、ポリアミドアミン、カルボン酸無水物、ルイス酸錯体、酸系硬化触媒、および塩基系硬化触媒などが挙げられる。芳香族アミンの具体的な例としては、ジアミノジフェニルスルホンやジアミノジフェニルメタンなどが用いられる。また、脂肪族アミンの具体的な例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジシアンジアミド、テトラエチレンペンタミン、ジプロプレンジアミン、ピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ポリアミドアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、ココアルキルアミン、牛脂アルキルアミン、オレイルアミン、硬化牛脂アルキルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、およびN,N−ジメチルミリスチルアミンなどが挙げられる。なかでも、反応性の点から脂肪族アミンが好ましく用いられる。
エポキシ樹脂と組み合わせる硬化剤の市販品としては、 4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(SEIKACURE―S(和歌山精化工業(株)製))、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化工業(株)製)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA―220(三井武田ケミカル(株)製))、ジシアンジアミド(DICY7(ジャパンエポキシレジン(株)社製))、芳香族ポリアミン(“アンカミン”(登録商標)2049(エアープロダクツジャパン(株)製))、ポリアミドアミン(“トーマイド”(登録商標)235S、“トーマイド”(登録商標)296、および“トーマイド”(登録商標)2400(以上富士化成工業(株)製)などを挙げることができる。
また、これらの硬化剤は、その硬化活性を高めるために適当な硬化助剤を組み合わせて用いることができる。エポキシ樹脂に硬化助剤を組み合わせる場合の好ましい例としては、ジシアンジアミドに、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)などの尿素誘導体を硬化助剤として組み合わせる例、芳香族アミンに三フッ化ホウ素エチルアミン錯体を硬化助剤として組み合わせる例、およびカルボン酸無水物やノボラック樹脂に3級アミンを硬化助剤として組み合わせる例などが挙げられる。
熱硬化性樹脂に対する硬化剤の使用割合は、耐熱性と反応性の点から熱硬化性樹脂に対して化学量論比であることが好ましい。また、硬化助剤を使用する場合は、熱硬化性樹脂の官能基に対し0.001から1当量であることが好ましい。
本発明で用いられるエポキシ樹脂組成物(B)には、さらに硬化前のマトリックス樹脂に熱可塑性樹脂を溶解させ、硬化後のマトリックス樹脂において海島構造を形成する熱可塑性樹脂、あるいは硬化前のマトリックス樹脂に熱可塑性樹脂を溶解させ、硬化後のマトリックス樹脂においても相溶し海島構造を形成しない熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂に含んでいても良い。このような熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合およびカルボニル結合からなる群から選ばれた結合を有するものが挙げられる。特に、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミドおよびポリイミドからなる群から選ばれた1種以上の樹脂が好ましく用いられる。熱可塑性樹脂を混合させるときは、エポキシ樹脂100重量部に対して熱可塑性樹脂を好ましくは1から30重量部混合させることにより、エポキシ樹脂に適度な粘弾性や力学特性を与えることができる。
エポキシ樹脂組成物(B)の硬化物の曲げ弾性率が2.8GPa以上5.7GPa以下を実現するには、エポキシ樹脂成分中の60重量%以上が3官能以上のエポキシ樹脂であることが好ましい。3官能以上のエポキシ樹脂としては、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタンのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂やナフタレン型エポキシ樹脂、およびノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらのうち1種あるいは2種以上を配合して用いることができる。特に、高温高湿条件での曲げ弾性率低下を少なくするという観点から、4官能のグリシジルアミン型エポキシ樹脂であるテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンや3官能のトリグリシジルアミノフェノールを主成分として配合することが好ましい。
剛直な骨格を有する2官能性のエポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格や、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、ジシクロペンタジエン骨格を分子内に有するエポキシ樹脂、およびグリシジルアニリン類のエポキシ樹脂を配合することもまた、高弾性率および高温高湿条件での小さい曲げ弾性率低下の実現の効果を持ち好ましい態様である。これらのうち1種あるいは2種以上を配合して用いることができる。特に、高温高湿条件での曲げ弾性率低下を少なくするという観点から、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリシジルアニリン類のエポキシ樹脂を主成分として配合することが好ましい。
また、エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率は、硬化剤の選択によっても高めることができる。例えば、剛直な骨格の硬化剤が好ましく用いられる。剛直な骨格の硬化剤としては、ジアミノジフェニルスルホンやジアミノジフェニルメタンなどが用いられる。これらのうち1種あるいは2種以上を配合して用いることができる。特に、高温高湿条件での弾性率低下を少なくするという観点から、ジアミノジフェニルスルホンを主成分として配合することが好ましい。さらに、ジアミノジフェニルスルホンの異性体のうち、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンが高弾性率を実現させるためにより好ましく用いられる。
エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率を高めるために用いられる一般的な方法は、エポキシ樹脂組成物に無機物や熱可塑性樹脂を配合する方法である。無機物としては、シリカ、マイカ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、およびフラーレンなどが挙げられる。なかでも、シリカが入手しやすいことから好ましく、カーボンナノチューブは少量の添加で高い曲げ弾性率を得ることができることから好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリエーテルニトリル、およびポリベンズイミダゾールが挙げられる。なかでも、ポリベンズイミダゾールやポリフェニレンスルフィドは高い曲げ弾性率を得ることができることから好ましい。
無機物や熱可塑性樹脂の配合量は、エポキシ樹脂組成物中に5〜60重量%が好ましい。5重量%を下回ると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率にほとんど変化がなく、60重量%を超えると、組成物の粘度が高くなりベース樹脂(エポキシ樹脂)との混合が困難になる上、プリプレグのタック性とドレープ性が大幅に低下してしまう。
本発明において、プリプレグ表面に用いられるエポキシ樹脂組成物(C)は、その硬化物の曲げ弾性率が3.1GPa以上6.0GPa以下であり、かつエポキシ樹脂組成物(B)の硬化物よりも曲げ弾性率が0.1GPa以上高いものが用いられる。エポキシ樹脂組成物(C)の硬化物の曲げ弾性率の測定は、180℃の温度で、2時間硬化させ、エポキシ樹脂組成物を硬化してカットし、厚み2mm、幅10mm、長さ60mmの試験片を作製し、スパン間32mmの3点曲げで測定する。
エポキシ樹脂組成物(C)は、その硬化物の曲げ弾性率が3.1GPa以上6.0GPa以下で、好ましくは3.1GPa以上5.5GPa以下、より好ましくは3.1GPa以上4.5GPa以下、さらに好ましくは3.1GPa以上4.0GPa以下、特に好ましくは、3.1GPa以上3.8GPa以下のエポキシ樹脂組成物(C)が用いられる。
さらにエポキシ樹脂組成物(C)の硬化物の破壊靱性値KICが1.2MPa・m1/2以上3.0MPa・m1/2以下であると、繊維強化複合材料としたときの耐衝撃性が高くなる。硬化物の破壊靱性値KICの測定には、公知の破壊靭性測定法であるsingle edge notched bend;SENB法、conpact tension;CT法、double torsion;DT法等(試験法の詳細は「プラスチックの破壊靭性」成澤郁夫著、ASTM−D5045−91等に記載されている)のいずれを用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物(C)は、その硬化物の破壊靱性値KICが1.2MPa・m1/2以上3.0MPa・m1/2以下で、好ましくは1.2MPa・m1/2以上2.5MPa・m1/2以下、より好ましくは1.2MPa・m1/2以上2.0MPa・m1/2以下、さらに好ましくは1.2MPa・m1/2以上1.8MPa・m1/2以下、特に好ましくは1.2MPa・m1/2以上1.6MPa・m1/2以下のエポキシ樹脂組成物(C)が用いられる。
本発明で用いられるエポキシ樹脂組成物(C)も、主として、エポキシ樹脂と硬化剤よりなる。エポキシ樹脂としては、例えば、分子内に水酸基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、分子内にアミノ基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、分子内にカルボキシル基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、および分子内に二重結合を有する化合物を酸化することから得られる脂環式エポキシ樹脂、あるいはこれらから選ばれる2種類以上のタイプの基が分子内に混在するエポキシ樹脂などが用いられる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールADとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシノールとエピクロロヒドリンの反応により得られるレゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールとホルムアルデヒドの反応生成物であるフェノールノボラックとエピクロロヒドリンの反応により得られるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、およびこれらの位置異性体やアルキル基やハロゲンでの置換体が挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER”(登録商標)827、“jER”(登録商標)828(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン”(登録商標)840、“エピクロン”(登録商標)850(以上、DIC(株)製)、“エポトート”(登録商標)YD−128(東都化成(株)製)、DER−331、DER−332(ダウケミカル社製)、 “Bakelite”(登録商標)EPR162、“Bakelite”(登録商標)EPR172、“Bakelite”(登録商標)EPR173、および“Bakelite”(登録商標)EPR174(以上、Bakelite AG社製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER”(登録商標)806、“jER”(登録商標)807、“jER”(登録商標)1750(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン”(登録商標)830、“エピクロン”(登録商標)835(以上、DIC(株)製)、“エポトート”(登録商標)YD−170、“エポトート”(登録商標)YD−175(東都化成(株)製)、“Bakelite”(登録商標)EPR169(Bakelite AG社製)、GY281、GY282、およびGY285(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)などが挙げられる。
ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の市販品としては、“EPOMIK”(登録商標)R710、“EPOMIK”(登録商標)R1710(以上、(株)プリンテック製)などが挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール”(登録商標)EX−201(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER”(登録商標)152、“jER”(登録商標)154(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン”(登録商標)740(DIC(株)製)、およびEPN179、EPN180(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)などが挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂の具体例としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類、アミノフェノールのグリシジル化合物類、グリシジルアニリン類、およびキシレンジアミンのグリシジル化合物などが挙げられる。
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類の市販品としては、“スミエポキシ”(登録商標)ELM434(住友化学(株)製)、“アラルダイト”(登録商標)MY720、“アラルダイト”(登録商標)MY721、“アラルダイト”(登録商標)MY9512、“アラルダイト”(登録商標)MY9612、“アラルダイト”(登録商標)MY9634、“アラルダイト”(登録商標)MY9663(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)、“jER”(登録商標)604(ジャパンエポキシレジン社製)、“Bakelite”(登録商標)EPR494、“Bakelite”(登録商標)EPR495、“Bakelite”(登録商標)EPR496、および“Bakelite”(登録商標)EPR497(以上、Bakelite AG社製)などが挙げられる。
アミノフェノールのグリシジル化合物類の市販品としては、“jER”(登録商標)630(ジャパンエポキシレジン(株)製)、“アラルダイト”(登録商標)MY0500、“アラルダイト”(登録商標)MY0510(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)、“スミエポキシ”(登録商標)ELM120、および“スミエポキシ”(登録商標)ELM100(以上住友化学(株)製)などが挙げられる。
グリシジルアニリン類の市販品としては、GAN、GOT(以上、日本化薬(株)製)や“Bakelite”(登録商標)EPR493(Bakelite AG社製)などが挙げられる。
キシレンジアミンのグリシジル化合物としては、TETRAD−X(三菱瓦斯化学(株)製)が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂の具体例としては、フタル酸ジグリシジルエステルや、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステルやそれぞれの各種異性体が挙げられる。
フタル酸ジグリシジルエステルの市販品としては、“エポミック”(登録商標)R508(三井化学(株)製)や“デナコール”(登録商標)EX−721(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルの市販品としては、“エポミック”R540(三井化学(株)製)やAK−601(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ダイマー酸ジグリシジルエステルの市販品としては、“jER”(登録商標)871(ジャパンエポキシレジン(株)製)や“エポトート”(登録商標)YD−171(東都化成(株)製)などが挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂の市販品としては、“セロキサイド”(登録商標)2021P(ダイセル化学工業(株)製)、CY179(ハンツマン・アドバンスド・マテリアル社製)、“セロキサイド”(登録商標)2081(ダイセル化学工業(株)製)、および“セロキサイド”(登録商標)3000(ダイセル化学工業(株)製)などが挙げられる。
上記のエポキシ樹脂は、一種または二種以上で用いることができる。
エポキシ樹脂と組み合わせて用いられる硬化剤としては、例えば、芳香族アミン、脂肪族アミン、ポリアミドアミン、カルボン酸無水物、ルイス酸錯体、酸系硬化触媒、および塩基系硬化触媒などが挙げられる。
芳香族アミンの具体的な例としては、ジアミノジフェニルスルホンやジアミノジフェニルメタンなどが用いられる。また、脂肪族アミンの具体的な例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジシアンジアミド、テトラエチレンペンタミン、ジプロプレンジアミン、ピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ポリアミドアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、ココアルキルアミン、牛脂アルキルアミン、オレイルアミン、硬化牛脂アルキルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、およびN,N−ジメチルミリスチルアミンなどが挙げられる。なかでも反応性の点から脂肪族アミンが好ましい。
エポキシ樹脂と組み合わせる硬化剤の市販品としては、 4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(SEIKACURE−S(和歌山精化工業(株)製))、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化工業(株)製)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA―220(三井武田ケミカル(株)製))、ジシアンジアミド(DICY7(ジャパンエポキシレジン(株)社製))、芳香族ポリアミン(“アンカミン”(登録商標)2049(エアープロダクツジャパン(株)製))、ポリアミドアミン(“トーマイド”(登録商標)235S、“トーマイド”(登録商標)296、および“トーマイド”(登録商標)2400(以上富士化成工業(株)製)などを挙げることができる。
また、これらの硬化剤は、その硬化活性を高めるために適当な硬化助剤を組み合わせて用いることができる。エポキシ樹脂に硬化助剤を組み合わせる場合の好ましい例としては、ジシアンジアミドに、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)などの尿素誘導体を硬化助剤として組み合わせる例、芳香族アミンに三フッ化ホウ素エチルアミン錯体を硬化助剤として組み合わせる例、およびカルボン酸無水物やノボラック樹脂に3級アミンを硬化助剤として組み合わせる例などが挙げられる。
熱硬化性樹脂に対する硬化剤の使用割合は、耐熱性と反応性の点から熱硬化性樹脂に対して化学量論比であることが好ましい。また、硬化助剤を使用する場合は、熱硬化性樹脂の官能基に対し0.001から1当量であることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物(C)の硬化物の曲げ弾性率が3.1GPa以上6.0GPa以下を実現するには、エポキシ樹脂成分中の60重量%以上が3官能以上のエポキシ樹脂であることが好ましい。3官能以上のエポキシ樹脂としては、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタンのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂やナフタレン型エポキシ樹脂、およびノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらのうち1種あるいは2種以上を配合して用いることができる。特に、高温高湿条件での曲げ弾性率低下を少なくするという観点から、4官能のグリシジルアミン型エポキシ樹脂であるテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンや3官能のトリグリシジルアミノフェノールを主成分として配合することが好ましい。
剛直な骨格を有する2官能性のエポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格や、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、ジシクロペンタジエン骨格を分子内に有するエポキシ樹脂、およびグリシジルアニリン類のエポキシ樹脂を配合することもまた、高弾性率および高温高湿条件での小さい曲げ弾性率低下の実現の効果を持ち好ましい態様である。これらのうち1種あるいは2種以上を配合して用いることができる。特に、高温高湿条件での曲げ弾性率低下を少なくするという観点から、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリシジルアニリン類のエポキシ樹脂を主成分として配合することが好ましい。
また、エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率は、硬化剤の選択によっても高めることができる。例えば、剛直な骨格の硬化剤が好ましく用いられる。剛直な骨格の硬化剤としては、ジアミノジフェニルスルホンやジアミノジフェニルメタンなどが用いられる。これらのうち1種あるいは2種以上を配合して用いることができる。特に、高温高湿条件での弾性率低下を少なくするという観点から、ジアミノジフェニルスルホンを主成分として配合することが好ましい。さらに、ジアミノジフェニルスルホンの異性体のうち、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンが高弾性率を実現させるためにより好ましく用いられる。
エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率を高めるために用いられる一般的な方法は、エポキシ樹脂組成物に無機物や熱可塑性樹脂を配合する方法である。無機物としては、シリカ、マイカ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、およびフラーレンなどが挙げられる。なかでも、シリカが入手しやすいことから好ましく、カーボンナノチューブは少量の添加で高い曲げ弾性率を得ることができることから好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリエーテルニトリル、およびポリベンズイミダゾールが挙げられる。なかでも、ポリベンズイミダゾールやポリフェニレンスルフィドは高い曲げ弾性率を得ることができることから好ましい。
無機物や熱可塑性樹脂の配合量は、エポキシ樹脂組成物中に5〜60重量%が好ましい。5重量%を下回ると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率にほとんど変化がなく、60重量%を超えると、組成物の粘度が高くなりベース樹脂(エポキシ樹脂)との混合が困難になる上、プリプレグのタック性とドレープ性が大幅に低下してしまう。
硬化物が高靱性であるエポキシ樹脂組成物を得る手法は、様々なものが知られている。エポキシ樹脂の配合による手法としては、架橋密度を小さくする手法が有効であり、1官能ないし2官能のエポキシ樹脂をエポキシ樹脂成分中の50重量%以上配合することにより達成することができる。1官能ないし2官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、ジグリシジルレゾルシノール型エポキシ樹脂、および種種の反応性希釈剤が挙げられる。2官能エポキシ樹脂では、架橋点感距離が大きくなるエポキシ当量の大きい品種が有効である。しかしながら、これだけでは、弾性率や耐熱性が低下するため、例えば、グリシジルアミン型エポキシ樹脂と配合するなどの方法をとることが好ましい。2官能エポキシ樹脂のなかでも、ナフタレン骨格、フルオレン骨格およびビフェニル骨格を分子内に有するものは、弾性率や耐熱性に優れているため好ましく用いられる。
また、エポキシ樹脂硬化物の靱性は、硬化剤の選択によっても高めることができる。例えば、N,N′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルスルホンや、4,4′−フェニレンジイソプロピリデンビス(2,5−ジメチルアニリン)、4,4′−ジアミノジフェニルメタンおよびそのアルキル置換誘導体、m−フェニレンジアミン、およびm−キシリレンジアミンのような硬化剤の配合は、靱性を高める効果がある。
エポキシ樹脂靱性を高めるために最も一般的に用いられる方法は、エポキシ樹脂に可溶のエラストマーまたは熱可塑性樹脂を配合する方法である。ここで、エラストマーまたは熱可塑性樹脂がエポキシ樹脂に可溶とは、エラストマーまたは熱可塑性樹脂を配合したエポキシ樹脂組成物が、均一相をなす温度領域が存在することを意味する。均一相をなす温度領域以外での樹脂組成物の相分離や硬化物の相分離が起こってもよい。むしろ、硬化物では、エラストマーまたは熱可塑性樹脂に富む相が分離することは好ましく、相分離の形態が熱可塑性樹脂に富む相が連続相となる逆海島構造或いは相互侵入網目構造をとることが、特に好ましい態様である。20℃から30℃の温度で樹脂組成物が相分離する場合は、樹脂組成物の調製の過程において、一度完全に溶解し、20℃から30℃の温度において相分離が生じても実質的にエラストマーまたは熱可塑性樹脂が樹脂組成物中に均一に分布させることが好ましい。
エラストマーとしては、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、およびポリエステル系熱可塑性エラストマーなどを用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、および芳香族ポリエステルを用いることができる。
これらエラストマーまたは熱可塑性樹脂は、分子量が大きいと、添加により樹脂組成物の粘度を高くする作用が著しくなる。そのため、分子量の小さいもの、あるいはオリゴマーを用いることが好ましい。硬化物でエラストマーまたは熱可塑性樹脂に富む相が分離する場合、相間の接着が靱性発現に影響し、接着が不十分になると靱性発現が不十分になる場合がある。この場合、エラストマーまたは熱可塑性樹脂にエポキシ樹脂あるいは硬化剤と反応し得る、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基およびアミノ基などの官能基をもたせると、相間の接着が改良され硬化物の靱性を向上させる効果がある。また、エポキシ樹脂とこれに配合するエラストマーまたは熱可塑性樹脂の双方に親和性をもつ相溶化剤を添加することも、接着性改良のためには好ましい態様である。相溶化剤の添加には、相分離の形態を制御して靱性を向上させる効果もある。硬化物が熱可塑性樹脂に富む相が連続相となる逆海島構造あるいは相互侵入網目構造のような相分離構造をとるようにするためには、エポキシ樹脂と相溶性のよい成分と相溶性に乏しい成分からなるブロック共重合体からなるエラストマーまたは熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
一般に、エラストマーと熱可塑性樹脂の添加を比較すると、熱可塑性樹脂を添加した場合の方がエラストマーを添加した場合より、繊維強化複合材料の耐熱性が優れている。熱可塑性エラストマーは、通常のエラストマーと異なり耐熱性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明で用いられるエポキシ樹脂組成物(C)には、上記手法を適宜組み合わせて適用することができる。
また、本発明において、エポキシ樹脂組成物(C)中に、好適には微粒子が含有され存在する。微粒子であれば、エポキシ樹脂組成物(C)と混合したときにマトリックス樹脂中に分散した状態で存在するため、マトリックス樹脂のもつタック性とドレープ性がプリプレグ特性として反映され、取り扱い性に優れたプリプレグとなり、またエポキシ硬化物の靱性が高くなる。
微粒子が、上記のエポキシ樹脂組成物(C)中に含有されて存在する場合、繊維強化複合材料の耐衝撃性がさらに高くなる。高い耐熱性も維持され、層間剪断強度も損なわれない。微粒子の成分として、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、無機物、エラストマーおよび熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
微粒子の成分として特に適している成分は、熱可塑性樹脂である。微粒子として用いられる熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合およびカルボニル結合から選ばれる結合を有する熱可塑性樹脂が代表的である。特に、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリエーテルニトリルおよびポリベンズイミダゾールは、耐衝撃性に優れるので、本発明で用いられる微粒子の素材として適している。これらの中でも、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンおよびポリスルホンは、高靭性かつ耐熱性良好であるため、本発明に好的である。ポリアミドは、靭性が特に優れており好ましく用いられる。非晶質透明ナイロンに属するものは、特に耐熱性をも兼ね備えている。
ポリアミドの市販品として、“グリルアミド”(登録商標)TR55(エムザベルケ社製)、“グリルアミド”(登録商標)TR55LX(エムザベルケ社製)、“グリルアミド”(登録商標)TR70(エムザベルケ社製)と“グリルアミド”(登録商標)TR70LX(エムザベルケ社製)、“グリルアミド”(登録商標)TR90(エムザベルケ社製)、“TROGAMID”(登録商標)CX7323(デグサ社製)、“TROGAMID”(登録商標)T5000(デグサ社製)、透明ナイロンT−714E(東洋紡社製)、6TナイロンTY−502NZ(東洋紡社製)、MXD6 T−600(東洋紡社製)、ナイロン/オレフィンNB―1700(東洋紡社製)、ナイロン/オレフィンNB―2700(東洋紡社製)、ナイロン/エラストマーT−222SA(東洋紡社製)、ナイロン/エラストマーTY―102ND(東洋紡社製)、SP−500(東レ社製)、およびジェネスタ(クラレ社製)などが挙げられる。
また、上記の微粒子に、熱硬化性樹脂が含有されている微粒子であっても良い。上記の微粒子に熱硬化性樹脂を含有させることにより、微粒子としての耐熱性や弾性率などを制御することができる。熱硬化性樹脂としては、具体的には、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、マレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂および尿素樹脂などが挙げられる。
微粒子として、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との組合せによりセミIPN化したもしくはセミIPN化し得る樹脂微粒子も微粒子そのものが、耐溶剤性に優れ、繊維強化複合材料全体の耐溶剤性を維持するため好ましく用いられる。ここでIPNとは、インターペネトレーティングポリマーネットワーク(Interpenetrating Polymer Network)の略で、架橋高分子同士の相互侵入網目構造をいう。一方、セミIPNとは、架橋高分子と直鎖状高分子との相互侵入網目構造をいう。
このようなセミIPN化するための手段としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を加熱溶融させ均一に混合した後、冷却してブロック状にする方法、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を共通溶媒に溶解させ均一に混合した後、溶媒を揮発させて除去しブロック状にする方法、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を共通溶媒に溶解させ均一に混合した後、霧状に飛散させ乾燥させる、いわゆるスプレードライ法、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を共通溶媒に溶解させ均一に混合した後、両樹脂を溶解しない溶媒中に霧状に投入し沈殿させる、いわゆるスプレー再沈法、および熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を共通溶媒に溶解させ、溶液を攪拌しながら該溶液に相溶しにくい分散媒を徐々に加えることにより、その溶液を分散媒中に粒子分散させ、溶媒を除去した後に微粒子として補収する方法などがある。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とをセミIPN化したものを微粒子とすれば、その組成を選ぶことにより、粒子自体の靭性を保ちつつ耐溶剤性やマトリックス樹脂との接着性の良好な微粒子を得ることができる。但し、このセミIPN化は、繊維強化複合材料成形中に達成されるものであっても差し支えない。これを微粒子としたプリプレグを成形して得られた繊維強化複合材料は、耐衝撃性、耐溶剤性および耐疲労性に優れている。
セミIPN化樹脂微粒子における熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との比率は、微粒子の耐溶剤性を優れたものとする一方、微粒子の靭性不足により繊維強化複合材料の耐衝撃特性が劣るのを防止する観点から、熱可塑性樹脂の重量分率は好ましくは30〜99重量%であり、さらに好ましくは50〜98重量%である。セミIPN化樹脂微粒子においては、熱硬化性樹脂の重量分率が意外にも2重量%程度の少量でも耐溶剤性の向上効果は大きく、また疲労特性も急激に向上する。
一方、用いられる熱可塑性樹脂微粒子は、熱硬化性樹脂とのセミIPN化によって靭性が低下すると考えられるため、繊維強化複合材料の耐衝撃性は熱可塑性樹脂微粒子そのものを用いた場合と比べて低下することが通常予想される。しかしながら、熱硬化性樹脂の重量分率の小さい範囲においては、意外にも耐衝撃性は向上傾向にある。これは、セミIPN化によって、微粒子とマトリックス樹脂中のエポキシ樹脂組成物との接着性が向上するためと考えられる。
微粒子が、ポリアミドとエポキシ樹脂によりセミIPNを形成した、もしくはセミIPNを形成し得る微粒子である場合、最終目的物である繊維強化複合材料の種々の特性、すなわち耐衝撃特性、耐溶剤性、疲労特性および耐熱性等のバランスに優れたものが得られる。
微粒子として、熱硬化性樹脂微粒子を用いることもできる。この場合、微粒子そのものの靭性は熱可塑性樹脂に比べて低下するが、エポキシ樹脂組成物(C)として靭性が十分高いものを組合せて用いる場合、微粒子の靭性が大きくなくても、微粒子の存在によって積層層間部に高靭性な樹脂層が安定して形成されるため、繊維強化複合材料の耐衝撃性と層間靭性などが大きく向上する。また、熱硬化性樹脂微粒子は、熱可塑性樹脂微粒子に比べて一般的に耐熱性が高く、繊維強化複合材料の耐熱性維持に寄与するという利点も有する。
このような熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、マレイミド樹脂、およびシアン酸エステル樹脂および尿素樹脂などが好ましく用いられる。
その微粒子の量は、エポキシ樹脂組成物(C)および微粒子の総和に対して3重量%〜60重量%の範囲が適している。そのような微粒子の量が3重量%未満では微粒子の効果がほとんど現れず、また微粒子の量が60重量%を超えるとベース樹脂(エポキシ樹脂)との混合が困難になる上、プリプレグのタック性とドレープ性が大幅に低下してしまう。特に、エポキシ樹脂組成物(B)の剛性を繊維強化複合材料の圧縮強度の発現に活かしたまま、破断伸度が大きく高靭性を有する微粒子で繊維強化複合材料の層間を高靭化するような場合は、微粒子の量はむしろ5重量%〜40重量%と少ない範囲の方が好適である。エポキシ樹脂組成物(C)が十分高靭性な樹脂である場合は、例えば、5重量%程度のような意外なほど少量の微粒子の添加で、高い耐衝撃性と層間靭性などを得ることができる。微粒子の使用量が少なければ、耐熱性や層間剪断強度の維持にとってより好ましい態様である。
弾性率の高い微粒子を積層層間部に局在化させた繊維強化複合材料は、硬化条件の変化によらず、卓越した耐衝撃性と層間靭性などを与えることに寄与する。例えば、微粒子として適切な弾性率を有するポリアミド樹脂を用いた特に好ましい態様においては、高い耐熱性と層間剪断強度を維持しつつ、驚くべき非繊維方向の特性を発現する。しかも、意外なことに、この卓越した耐衝撃性や層間靭性が、成形条件の変化によらず安定して発現する。ここで微粒子は、積層層間部に10〜70μmの樹脂層を安定して形成させる役割をはたす。微粒子は、2種以上の成分が混合されていてもよい。
ガラス転移温度が40℃以上の樹脂を微粒子の成分として用いることは、耐熱性の維持にとって好ましい態様である。より好ましくは、ガラス転移温度が140℃以上の樹脂をその微粒子の成分とするときである。ここで、微粒子の成分となる樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度10℃/分にて測定したものをいう。繊維強化複合材料となったとき、微粒子は積層層間附近に局在化して存在することが高い耐衝撃性と層間靭性などを与えるために重要であり、すでに述べたエポキシ樹脂組成物(C)に含有されて存在することが好ましい。より好ましくは、エポキシ樹脂組成物(C)からなる層の中に、微粒子の全量の90重量%以上が局在化する場合である。
図1は、本発明の一例である炭素繊維強化複合材料(CFRP)のモデルを示す縦断面図である。図1において、CFRPは、基本CFRP層1、基本CFRP層2および基本CFRP層3が積層され構成されている。図1では、基本CFRP層1は、炭素繊維が紙面に対し垂直方向に配列されており、基本CFRP層2は、炭素繊維が紙面に対し45度方向に配列されており、基本CFRP層3は、炭素繊維が紙面に対し並行で横方向に配列されている。
また、図1において層間領域4が、隣接する基本CFRP層同士の間の接する部分(例えば、図1の場合は基本CFRP層1と基本CFRP層2の間、あるいは、基本CFRP層2と基本CFRP層3の間)に形成されている。層間領域4は、各基本CFRP層の平均厚みをtとすると、層と層とが接する面から厚さ方向に上下へ0.10から0.20tずつ入った0.20から0.40tの厚みを持つ領域をいう。本発明の効果を得るためには、CFRP全体に存在する微粒子5のうち、その80重量%以上がこの層間領域4に存在していることが好ましく、この条件を満たす層間領域がCFRP中に好ましくは全体の20重量%以上90重量%以下、より好ましくは、全体の50重量%以上90重量%以下存在することが好ましい。
炭素繊維強化複合材料において層間領域を形成させるためには2層以上の積層数が必要である。
本発明において、図1の層間領域4に存在する微粒子5の量は、次の方法によって求めることができる。まず、CFRPを積層面に垂直に切断し、その断面を70倍以上に拡大して200mm×200mm以上の断面写真を作成する。この断面写真を用いて、まずは平均的な基本CFRP層の厚みを求める。基本CFRP層の平均厚みは断面写真上で、少なくとも2層以上の積層部分の厚みを、任意に選んだ5カ所で測定し、その値を該積層数で除して求める。次に、同じCFRPの断面を500倍以上に拡大して200mm×200mm以上の断面写真を作成する。この断面写真を用い、一つの基本CFRP層間に着目し、その基本CFRP層間部分のほぼ中心に線を引く。次いで、先に求めた基本CFRP層の平均厚みの30%を間隔とする2本の線、および基本CFRP層の平均厚みを間隔とする2本の線をその中心線に対して対称に引く。断面写真中の基本CFRP層の平均厚みの30%を間隔とする2本の線に囲まれた部分が層間領域である。そして、層間領域の中の微粒子の面積、および、基本CFRP層の平均厚みを間隔とする2本の線に囲まれた部分における微粒子の面積をそれぞれ定量し、その比を取ることにより層間領域に存在する微粒子の割合を算出することができる。この測定を複数の層間で任意に選んだ5カ所以上で行い、平均した割合を層間領域に存在する微粒子の割合とする。
上記の微粒子の面積は、例えば、Adobe社製Photoshop等の画像処理ソフトに写真を取り込み、微粒子の色に相当する部分を面積測定機能で測定することにより求めることができる。本発明においては重量%によって、層間領域に存在する微粒子の量を規定しているが、重量比は先の面積比に比重をかけた値と同じであるので、面積比の値は重量比の値と同義である。
微粒子の形状は、球状に限られるものではない。もちろん球状であってもよいが、樹脂塊を粉砕した微粉体や、スプレードライ法、再沈殿法で得られる微粒子のごとく形状さまざまの不定形状態で一向に差し支えない。微粒子の形状は、その他、繊維を短く切断したミルドファイバー状でも、また針状、ウイスカー状でも差し支えない。特に、成形後の繊維強化複合材料中においては、成形前の形態から変化し粒子同士が幾分融着して連続化したものでも差し支えない。微粒子の大きさは粒径で表現されるが、この場合の粒径とは遠心沈降速度法などで求められる体積平均粒径を意味する。
本発明において、これらの微粒子の粒径は、そのメディアン径が、0.001μm以上150μm以下であることが必要であり、0.1μm以上150μm以下であることが好ましい。粒径が150μmを超えると、炭素繊維の配列を乱したり、積層して得られるCFRPの厚さが厚くなり相対的に炭素繊維の体積含有率を下げ、力学特性を低下させることがある。また、粒径が0.1μmを下回ると、炭素繊維の繊維間に粒子が入り込み、層間部分に局在化せず、粒子の存在効果が十分に得られず耐衝撃性が低くなることがある。メディアン径は1μm以上50μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが層間部分に局在し、耐衝撃性が高くなることからさらに好ましい態様である。
本発明におけるメディアン径とは、いわゆるミーの散乱・回折理論に基づくレーザー回折式粒度分布計で測定されるメディアン径を示す。具体的には、粒子径と固体粒子量との粒度分布曲線を求めた場合について、全体固体粒子量に対する積算固体粒子量が50vol%となる粒子径(いわゆる50vol%粒子径)を意味するものである。
本発明のプリプレグにおけるエポキシ樹脂組成物(B)とエポキシ樹脂組成物(C)の好ましい重量比は、10:90〜90:10であり、さらに好ましくは30:70〜80:20である。
本発明でいう層間強化とは、20〜30℃の温度から硬化温度にいたる温度範囲において、エポキシ樹脂に溶解しない微粒子を層間部分に局在化させ、積層層間を強化する技術を指す。プリプレグ表面側に存在しているエポキシ樹脂組成物(C)中の微粒子がこの層間強化技術に該当するが、さらにエポキシ樹脂組成物(C)とは別に微粒子を添加することもできる。従って、層間強化に用いられる材料と、エポキシ樹脂組成物(C)に靭性向上を目的として添加するエポキシ可溶の熱可塑性樹脂、エラストマーおよび熱可塑性エラストマー等とは、厳密に区別される。
本発明において、層間強化技術を適用する場合、層間強化材料の周囲のマトリックス樹脂が脆いと、層間強化の効果の発現が制限され、逆にマトリックス樹脂の靱性が高いと、効果が大きくなる。したがって、本発明のプリプレグに層間強化技術を適用すると、層間部分には高靱性の樹脂が存在することになり、層間強化の効果をよりよく発現させることが可能で、高い衝撃後圧縮強度と高温高湿時における層間剪断強度をかねそなえた繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明のプリプレグは、まず、エポキシ樹脂組成物(B)を離型紙などの上にコーティングしたフィルムを用いて、シート状にした強化繊維の両側あるいは片側から樹脂を含浸させて一次プリプレグを作製し、続いてエポキシ樹脂組成物(C)を離型紙などの上にコーティングしたフィルムをその両側に貼り付けさらに含浸を行うことにより製造される。
本発明に層間強化技術を適用した場合のプリプレグを製造するには、次にあげるような方法を用いることができる。第一の方法は、前記の方法で作製したプリプレグの片面または両面に、層間強化用熱可塑性樹脂を貼着または散布する方法である。第二の方法は、層間強化用熱可塑性樹脂が多孔質フィルム、織物、ニットおよび不織布などシート状形態をとる場合に適用できる方法で、一次プリプレグの片面または両面にシート状形態をとる層間強化用熱可塑性樹脂に、マトリックス樹脂を含浸させたものを貼着して製造する方法である。第三の方法は、層間強化用熱可塑性樹脂が、粒子や短繊維などの離散した形態をとる場合に適用可能な方法で、一次プリプレグの両面に、層間強化用熱可塑性樹脂を分散させたエポキシ樹脂組成物(C)を離型紙などに塗布したフィルムを貼着する方法である。
次に、本発明のCFRPを製造するために好適な方法について説明する。
本発明のCFRPは、上記したプリプレグを積層し、未硬化のマトリックス樹脂を硬化させることによって得ることができる。
CFRPを成形する温度は、エポキシ樹脂組成物(B)やエポキシ樹脂組成物(C)に含まれる硬化剤の種類などによるが、通常80〜220℃の温度が好ましく、より好ましくは130〜180℃の温度である。成形温度が低すぎると、十分な硬化性が得られない場合があり、逆に高すぎると、熱歪みによる反りが発生しやすくなったりする場合がある。
硬化剤として芳香族アミン、ルイス酸錯体、酸系硬化触媒および塩基系硬化触媒を用いる場合は、180℃の温度で成形することが好ましく、また、硬化剤として脂肪族アミン、ポリアミドアミンおよびカルボン酸無水物を用いる場合は、130℃の温度で成形することが好ましい。
CFRPを成形する時間は、上記した成形する温度で0.5〜10時間が好ましく、10〜30℃から上記の成形温度までの昇温過程、降温過程を含め0.5〜15時間が好ましく、0.5〜6時間がより好ましい。
本発明のCFRPは、プリプレグを複数積層後、硬化する方法以外にも、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法およびレジントランスファーモールディング法などの成形方法を用いて製造することもできる。
本発明の強化繊維(A)、エポキシ樹脂組成物(B)、エポキシ樹脂組成物(C)からなるプリプレグは、エポキシ樹脂組成物(C)がエポキシ樹脂組成物(B)より表面側に偏在しているプリプレグであることから、エポキシ樹脂組成物(C)の粘度、配合がプリプレグの特性に適正となるため、プロセス性とタック性を満足させることが可能となる。
また、上記したプリプレグを積層し、未硬化のマトリックス樹脂を硬化させることによって得られるCFRPは、エポキシ樹脂組成物(C)がエポキシ樹脂組成物(B)より表面側に偏在しているプリプレグを硬化していることから、CFRPが衝撃後に層間で破壊しやすく、CFRPの衝撃後圧縮強度が衝撃前と比較し高く維持することが可能となる。またエポキシ樹脂組成物(C)がエポキシ樹脂組成物(B)より表面側に偏在しているプリプレグを硬化していることから、高温高湿時における層間の樹脂硬化物部分の曲げ弾性率が乾燥時、23℃の温度、相対湿度50%の環境下で試験した場合と比較し高く維持されることから、CFRPについても高温高湿時における層間剪断強度を高く維持することが可能となる。
以下、実施例により本発明のプリプレグとCFRPについてさらに具体的に説明する。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1〜7、比較例1〜3)
実施例で用いた各特性値は、次のようにして測定したものである。以下の記載で、部数は全て重量部を表す。
(1)エポキシ樹脂組成物(B)の作製
混練装置に、エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂であるポリエーテルスルホンのうち、表1に示す成分を所定量加え、混練しつつ、160℃ の温度まで昇温し、160℃の温度で2時間混練することにより、透明な粘調液を得た。この透明な粘調液を80℃の温度まで混練しつつ降温させ、これに表1に示す硬化剤を所定量添加し、混練しエポキシ樹脂組成物(B)を得た。このエポキシ樹脂組成物(B)を1次樹脂とした。各実施例と各比較例の成分配合比は、表1に示すとおりである。
(2)エポキシ樹脂組成物(C)の作製
混練装置に、エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂であるポリエーテルスルホンのうち、表1に示す成分を所定量加え、混練しつつ、160℃の温度まで昇温し、160℃の温度で2時間混練することにより、透明な粘調液を得た。この透明な粘調液を80℃の温度まで混練しつつ降温させ、表1に示す微粒子を所定量加え30分混練することにより微粒子を分散させた。そして、表1に示す硬化剤を所定量添加し、混練しエポキシ樹脂組成物(C)を得た。このエポキシ樹脂組成物(C)を2次樹脂とした。各実施例と各比較例の成分配合比は、表1に示すとおりである。
上記の(1)と(2)で用いた原料等は、次に示すとおりである。
<エポキシ樹脂>
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(住友化学(株)製ELM−434)
・トリグリシジルアミノフェノール(ジャパンエポキシレジン(株)製“jER”(登録商標)630)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製“jER”(登録商標)825)
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製“jER”(登録商標)807)
・ジグリシジルアニリン(日本化薬(株)製 GAN)
<熱可塑性樹脂>
・ポリエーテルスルホン(住友化学(株)製 スミカエクセルPES5003P)
<エポキシ樹脂硬化剤>
・4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化工業(株)製SEIKACURE―S)
・3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化工業(株)製)
<微粒子>
・グリルアミド樹脂真球状微粒子、TN粒子(ポリアミド粒子、東レ(株)製)、平均粒径12.5μm。
(3)エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率測定方法
未硬化のエポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、厚さ2mmの“テフロン”(登録商標)製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中で180℃の温度で2時間硬化させ、厚さ2mmのエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。このエポキシ樹脂組成物の硬化物を、幅10±0.1mm、長さ60±1mmでカットして試験片を得た。インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、23℃の温度、相対湿度50%の環境下、JIS−K7171に従って、スパン間32mmの3点曲げを測定し、曲げ弾性率を求めた。測定数はn=5とし、その平均値を求めた。
(4)エポキシ樹脂組成物の硬化物の破壊靱性値測定方法
未硬化のエポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、厚さ6mmの“テフロン”(登録商標)製スペーサーにより厚み6mmになるように設定したモールド中で180℃の温度で2時間硬化させ、厚さ6mmのエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。このエポキシ樹脂組成物の硬化物を12.7×150mmでカットし、試験片を得た。インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、23℃の温度、相対湿度50%の環境下、ASTEM D5045に従って試験片を加工・実験を行った。試験片への初期の与亀裂の導入は、液体窒素温度まで冷やした剃刀の刃を試験片にあてハンマーで剃刀に衝撃を加えることで行った。ここでいう、樹脂硬化物の靱性とは、変形モード1(開口型)の臨界応力強度のことを指している。
(5)プリプレグの作製
上記(1)で作成した1次樹脂を、目付け26g/mとなるように離型紙上にフィルムコーティングしたものを2枚作製した。コーティング面を向かい合わせにした間に、強化繊維(A)として炭素繊維(東レ(株)製、“トレカ”(登録商標)T800H―12K:単繊維繊度0.445g/m、密度1.81g/cm3、フィラメント数12,000本、引張強度5490MPa、引張弾性率294GPa)を一方向に整列させ、加熱加圧して1次樹脂を含浸させ、炭素繊維目付が190g/mで、樹脂含有率が21.5重量%の1次プリプレグを得た。
次に、上記(2)で作成した2次樹脂を目付け26g/mとなるように離型紙上にフィルムコーティングしたものを2枚作製した。この2次樹脂をコーティングしたフィルムを向かい合わせにした間に、上記の1次プリプレグを通し、1次プリプレグのときと同じように加熱加圧し、炭素繊維目付が190g/mで、樹脂含有率が35.4重量%の2次プリプレグを作製した。この2次プリプレグを、CFRPのCAIおよびHW ILSS測定用中間材料として供試した。
(6)プリプレグのタック(粘着性)測定
上記の(5)で作製したプリプレグのタックを、タックテスタ(PICMAタックテスタII:東洋精機(株)製)を用い、23℃の温度、相対湿度50%の環境下、18mm×18mmのカバーガラスを0.4kgfの力で5秒間プリプレグに圧着し、30mm/分の速度にて引張り、剥がれる際の抵抗力にてタックを測定した。ここで、タックは、下記の3段階で評価した。測定数はn=5とし、測定結果が異なる場合は悪い方の評価を採用した。判定は、○を合格とし、△、×を不合格とした。
○:タック値が0.3kg以上、2.0kg以下であり、程良い粘着性を示す。
△:タック値が0.1kg以上0.3kg未満、または2.0kgより大きく3.0kg以下であり、粘着性がやや強すぎる若しくはやや弱い。
×:タック値が0.0kg以上0.1kg未満、または3.0kgより大きく、粘着性が強すぎる若しくは粘着性がない。
(7)プリプレグのプロセス性(ドレープ性)評価
プリプレグのプロセス性評価として、プリプレグのドレープ性を評価した。プリプレグのドレープ性が良い場合は、プリプレグを作製する際にマトリックス樹脂の強化繊維への含浸性が良くプリプレグ作製時のプロセス性も良い。逆に、プリプレグのドレープ性が悪い場合は、プリプレグを作製する際にマトリックス樹脂の強化繊維への含浸性が悪く、プリプレグ作製時のプロセス性も悪い。
ドレープ性の評価は、プリプレグの曲げ弾性率測定により行った。曲げ弾性率の測定方法としては、23℃の温度、相対湿度50%の環境下、JIS K7074(1988)に準じて行った。サンプルは、プリプレグを繊維方向に85mm、幅方向15mmの長さにカットして作製した。測定装置として、インストロン4201型万能試験機(インストロン・ジャパン(株)製)を使用して、下記の条件で測定した。測定は、プリプレグ表面から離型紙を引き剥がした直後に行った。
・負荷速度:5mm/分
・支点間距離:40mm
・圧子径:4mm
ドレープ性は、得られた弾性率の逆数を指標として用い、測定数はn=5とし、平均値を算出した。平均値が0.05以上0.085以下のものを○(合格)と判定し、0.01以上0.05未満若しくは0.085より大きく、0.1以下のものを△(不合格)と判定し、0.01未満もしくは0.1より大きいものを×(不合格)と判定した。
(8)CFRPのCAI測定
CFRPを構成するプリプレグを、[45°/0°/−45°/90°]3s(記号sは、鏡面対称を示す。)の構成で積層し、オートクレーブ中で温度180℃、圧力0.6MPaで2時間加熱硬化し、CFRPを得た。このCFRPについて、JIS K7089(1996)に従い、0度方向が152.4mm、90度方向が101.6mmの長方形に切り出し、この中央に落下高さ571mmで5.4kgの落錘衝撃を与え平均衝撃後圧縮強度を求めた。また、測定については、室温乾燥状態(25℃±2℃、相対湿度50%)で行った。
(9)CFRPの高温高湿時における層間剪断強度(HW ILSS)測定
CFRPを構成するプリプレグを0度方向に12層積層し、オートクレーブ中で温度180℃、圧力0.6MPaで2時間加熱硬化し、CFRPを得た。このCFRPについて、ASTM D2402−07に従い、0度方向が13mm、幅方向が6.35mmの長方形に切り出し、ASTM D2402―07に従って、71℃の温水中に2週間浸漬し、充分に吸水させた後、82℃の環境化で層間剪断強度を測定した。
各実施例と各比較例におけるエポキシ樹脂組成物の配合比は、表1のとおりである。各比較例も樹脂組成物の組成が異なること以外は、樹脂組成物作製の手順やプリプレグ、繊維強化複合材料作製の手順は基本的に実施例と同様である。
Figure 2010095557
実施例1〜7の結果は、比較例1〜2と比較し、CFRPのCAIとHW ILSSは同等であるが、プリプレグ特性が向上していることがわかる。また、実施例1〜7の結果から分かるとおり、CFRPのCAIとHW ILSSが比較例3と比較し高いことがわかる。
図1は、本発明の一例である炭素繊維強化複合材料(CFRP)のモデル縦断面図である。
符号の説明
1 基本CFRP層
2 基本CFRP層
3 基本CFRP層
4 層間領域
5 微粒子

Claims (8)

  1. 強化繊維(A)、硬化物の曲げ弾性率が2.8GPa以上5.7GPa以下であるエポキシ樹脂組成物(B)および硬化物の曲げ弾性率が3.1GPa以上6.0GPa以下であるエポキシ樹脂組成物(C)からなり、前記エポキシ樹脂組成物(C)の硬化物の曲げ弾性率が前記エポキシ樹脂組成物(B)の硬化物の曲げ弾性率より大きく、前記エポキシ樹脂組成物(C)が前記エポキシ樹脂組成物(B)より表面側に偏在していることを特徴とするプリプレグ。
  2. エポキシ樹脂組成物(C)の硬化物の破壊靱性値KICが1.2MPa・m1/2以上3.0MPa・m1/2以下である請求項1のプリプレグ。
  3. エポキシ樹脂組成物(C)に微粒子が含有されている請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. 微粒子の成分が熱可塑性樹脂である請求項3に記載のプリプレグ。
  5. 熱可塑性樹脂がポリアミドである請求項4に記載のプリプレグ。
  6. 熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂を含有する請求項4または5に記載のプリプレグ。
  7. 強化繊維(A)が炭素繊維である請求項1〜6のいずれかに記載のプリプレグ。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のプリプレグを硬化して得られる繊維強化複合材料。
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