JP6739178B2 - プリプレグの製造方法 - Google Patents
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Description
また、前記導電材を、分散材に導電材が分散した導電材ペーストとして配置することが好ましい。
導電材を配置する高さは、マトリクス樹脂に不溶な粒子の平均粒子径の1.2倍以上であることが好ましく、1.5〜10倍であることがより好ましい。
ホットメルト法は、離型紙の上に、上記マトリクス樹脂組成物を薄いフィルム状に塗布して樹脂組成物フィルムを形成し、次いで形成したフィルムを離型紙から剥離して樹脂組成物フィルムを得、その後導電性繊維基材に樹脂組成物フィルムを積層して加圧下に加熱することにより樹脂組成物を導電性繊維基材に含浸させる方法である。
マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を用い、エポキシ樹脂組成物フィルムをホットメルト法で導電性繊維基材に含浸させる場合の含浸温度は、50〜150℃の範囲が好ましい。含浸温度は60〜145℃がより好ましく、70〜140℃が特に好ましい。
導電材局在樹脂フィルムは、マトリクス樹脂と導電性繊維基材をホットメルト法で一体化させる場合に用いるマトリクス樹脂組成物フィルムとして導電性繊維基材に積層し一体化させることができる。また、導電材局在樹脂フィルムを、マトリクス樹脂組成物が含浸された導電性繊維基材にさらに積層し一体化しても良い。
導電材局在樹脂フィルムを構成する樹脂フィルムは、マトリクス樹脂からなる樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムに導電材を局在配置する箇所としては、特に制限はないが、樹脂フィルムの表面に導電材を配置した導電材局在樹脂フィルムであることが好ましい。
分散材として溶媒を使用する場合は、導電材ペーストを配置した後、溶媒を除去することが好ましい。また、分散材として樹脂を使用する場合、熱硬化性樹脂、UV硬化樹脂等、硬化可能な樹脂を用いることが好ましい。
転写により導電体を配置させる場合、転写の支持体は特に限定されるものではないが、シリコーン系離型剤などの離型剤を含んだ離型紙や、フッ素樹脂フィルムなどの離形フィルムなど、離形性を有する面状体でることが好ましい。
上記方法を用いて得られるプリプレグによれば、優れた導電性と機械特性とを兼ね備えた繊維強化複合材料を得ることができる。
導電性繊維として用いられる繊維としては、導電性を有する繊維であれば特に制限はなく、例えば、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、金属繊維が挙げられる。また、繊維表面が、例えば金属メッキ処理などの方法により、導電性物質で被覆された炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維などの強化繊維を用いることもできる。
これらの導電性繊維の中でも、比強度、比弾性率が良好で、軽量かつ高強度の繊維強化複合材料が得られる点で、炭素繊維がより好ましい。引張強度に優れる点でポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が特に好ましい。
シート状の導電性繊維基材の厚さは、0.01〜3mmが好ましく、0.1〜1.5mmがより好ましい。これらの導電性繊維基材シートは、公知のサイズ剤を公知の含有量で含んでいても良い。
本発明で用いる導電材としては、電気的に良好な導体として機能する導電物質であれば良く、導体のみに限定されない。好ましくは体積固有抵抗が100〜10−9Ωcmであり、より好ましくは10〜10−9Ωcmであり、さらに好ましくは1〜10−9Ωcmであり、特に好ましくは10−1〜10−9Ωcmである導電物質である。体積固有抵抗が低い方が、得られる繊維強化複合材料の導電性をより効率よく向上させることができる。
上記の導電材の中でも、高い導電性及び安定性を示すことから、金属材料、炭素材料が好ましい。
本発明で用いる導電材の形態は、特に制限はなく、フィラーや連続体状の導電材などを用いる事が出来る。本発明において、導電材の形態は、導電領域の形成のしやすさからフィラーであることが好ましい。
繊維状のフィラーを用いる場合、その長さは0.1〜500μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。直径は、0.001〜100μmが好ましく、0.005〜5μmがより好ましく、0.01〜1μmがさらに好ましく、0.05〜0.5μmが特に好ましい。
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックなどを使用することができ、これらを2種類以上ブレンドしたカーボンブラックも好適に用いられる。
また、導電材の配合量は、導電領域において体積占有率が、20〜95体積%となるように配合することが好ましい。プリプレグ全体に占める導電材の添加量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。プリプレグ全体に占める導電材の添加量の下限は、特に限定されないが、得られる複合材料の導電性の観点から、0.0005質量%以上であることが好ましく、0.001質量%以上であることがより好ましい。
本発明で用いるマトリクス樹脂には特に制限はなく、例えば硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を用いることができる。
マトリクス樹脂として硬化性樹脂を用いる場合、熱硬化性樹脂は、高い耐熱性を有する繊維強化複合材料を製造できるので、好ましい。熱硬化性樹脂としては、耐熱性および機械特性の観点から、熱により架橋反応が進行して、少なくとも部分的に三次元架橋構造を形成する熱硬化性樹脂が好ましい。
これらの硬化性樹脂の中でも、耐熱性、機械特性および炭素繊維との接着性のバランスに優れているエポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂が好ましく、機械特性の面からはエポキシ樹脂がさらに好ましく、耐熱性の面からはビスマレイミド樹脂がより好ましい。
中でも、分子内に芳香族基を有するエポキシ樹脂を用いることが好ましく、グリシジルアミン構造、グリシジルエーテル構造の何れかを有するエポキシ樹脂がより好ましい。また、脂環族エポキシ樹脂も好適に用いることができる。
グリシジルエーテル構造を有するエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が例示される。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、ビスフェノールS型樹脂等が挙げられる。具体的にはジャパンエポキシレジン社製jER815(商品名)、jER828(商品名)、jER834(商品名)、jER1001(商品名)、jER807(商品名)、三井石油化学製エポミックR−710(商品名)、大日本インキ化学工業製EXA1514(商品名)等が例示される。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン社製jER152(商品名)、jER154(商品名)、ダウケミカル社製DEN431(商品名)、DEN485(商品名)、DEN438(商品名)、DIC社製エピクロンN740(商品名)等、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂として、ハンツマン社製社製アラルダイトECN1235(商品名)、ECN1273(商品名)、ECN1280(商品名)、日本化薬製EOCN102(商品名)、EOCN103(商品名)、EOCN104(商品名)等が例示される。
これらのエポキシ樹脂は、適宜選択して1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。この中で、ビスフェノール型に代表される2官能エポキシ樹脂は、分子量の違いにより液状から固形まで種々のグレードの樹脂がある。従って、これらの樹脂はプリプレグ用マトリクス樹脂の粘度調整を行う目的で配合すると好都合である。
[マトリクス樹脂に不溶な粒子]
本発明のマトリクス樹脂組成物には、マトリクス樹脂に不溶な粒子が含まれている。マトリクス樹脂に不溶な粒子は、プリプレグを製造する際、導電性繊維シート表面に残留し、層間粒子となりやすい。この層間粒子は、FRPが受ける衝撃の伝播を抑制する。その結果、得られるFRPの耐衝撃性が向上する。マトリクス樹脂に不溶な粒子としては、無機粒子、ゴム粒子、樹脂粒子などが挙げられる。繊維強化複合材料の機械特性の観点から、後述のマトリクス樹脂不溶性熱可塑性樹脂からなる粒子であることが好ましい。
マトリクス樹脂に不溶な粒子平均粒子径は、1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることが特に好ましい。
マトリクス樹脂として硬化性樹脂を用いる場合は、必要に応じて樹脂を硬化させる硬化剤がマトリクス樹脂組成物に配合されていてもよい。硬化剤としては、マトリクス樹脂を硬化させる公知の硬化剤が用いられる。
例えば、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合に使用される硬化剤としては、ジシアンジアミド、芳香族アミン系硬化剤の各種異性体、アミノ安息香酸エステル類が挙げられる。ジシアンジアミドは、プリプレグの保存安定性に優れるため好ましい。また、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミン化合物及びそれらの非反応性置換基を有する誘導体は、耐熱性の良好な硬化物を与えるという観点から特に好ましい。ここで、非反応性置換基は、エポキシ樹脂の説明において述べた非反応性置換基と同様である。
マトリクス樹脂として、低粘度の樹脂を用いる場合、樹脂組成物に適切な粘度を与えるために、熱可塑性樹脂を配合してもよい。この樹脂組成物に粘度調節のために配合する熱可塑性樹脂には、最終的に得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性などの機械特性を向上させる効果もある。
マトリクス樹脂組成物に配合する上記熱可塑性樹脂の量は、樹脂組成物に用いるマトリクス樹脂の種類に応じて異なり、樹脂組成物の粘度が後述する適切な値になるように適宜調節すればよい。通常、樹脂組成物に含まれるマトリクス樹脂100質量部に対して、熱可塑性樹脂は5〜100質量部となるように配合することが好ましい。
マトリクス樹脂可溶性熱可塑性樹脂が完全に溶解していない場合は、マトリクス樹脂組成物の硬化過程で加熱されることによりマトリクス樹脂に溶解し、マトリクス樹脂組成物の粘度を増加させることができる。これにより、硬化過程における粘度低下に起因するマトリクス樹脂組成物のフロー(プリプレグ内から樹脂組成物が流出する現象)を防止することができる。
マトリクス樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、マトリクス樹脂の硬化温度においてマトリクス樹脂に80質量%以上溶解する樹脂が好ましい。
マトリクス樹脂可溶性熱可塑性樹脂の具体的例としては、例えば、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。マトリクス樹脂組成物に含まれるマトリクス樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、重量平均分子量(Mw)が8000〜40000の範囲のポリエーテルスルホン、ポリスルホンが特に好ましい。マトリクス樹脂可溶性熱可塑性樹脂の分子量分布は均一であることが好ましい。特に、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比である多分散度(Mw/Mn)が1〜10の範囲であることが好ましく、1.1〜5の範囲であることがより好ましい。
マトリクス樹脂との反応性を有する反応基としては、例えば、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、水酸基、カルボン酸基、イミノ基、アミノ基などが好ましい。水酸基末端のポリエーテルスルホンを用いると、得られるFRPの耐衝撃性、破壊靭性及び耐溶剤性が特に優れるためより好ましい。
マトリクス樹脂可溶性熱可塑性樹脂の形態は、特に限定されないが、粒子状であることが好ましい。粒子状のマトリクス樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、樹脂組成物中に均一に配合することができる。また、得られるプリプレグの成形性が高い。マトリクス樹脂可溶性熱可塑性樹脂の平均粒子径は、1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることが特に好ましい。
マトリクス樹脂組成物には、マトリクス樹脂可溶性熱可塑性樹脂の他に、マトリクス樹脂不溶性熱可塑性樹脂を含有していても良い。本発明において、マトリクス樹脂組成物はマトリクス樹脂可溶性熱可塑性樹脂及びマトリクス樹脂不溶性熱可塑性樹脂の両者を含有していることが好ましい。
マトリクス樹脂不溶性熱可塑性樹脂やマトリクス樹脂可溶性熱可塑性樹脂の一部(硬化後のマトリクス樹脂において溶解せずに残存したエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂)は、その粒子がFRPのマトリクス樹脂中に分散する状態となる(以下、この分散している粒子を「層間粒子」ともいう)。この層間粒子は、FRPが受ける衝撃の伝播を抑制する。その結果、得られるFRPの耐衝撃性が向上する。
マトリクス樹脂組成物中のマトリクス樹脂不溶性熱可塑性樹脂の含有量は、マトリクス樹脂組成物の粘度に応じて適宜調整される。プリプレグの加工性の観点から、マトリクス樹脂100質量部に対して、5〜60質量部であることが好ましく、15〜40質量部であることがより好ましい。マトリクス樹脂不溶性熱可塑性樹脂の好ましい平均粒子径や形態は、マトリクス樹脂可溶性熱可塑性樹脂と同様である。
マトリクス樹脂組成物は、必要に応じて、導電領域に存在する導電材以外の導電材を含んでいても良い。導電材としては、前述の導電材と同じものを用いることができる。導電材の配合量は、マトリクス樹脂組成物に含まれる主剤樹脂100質量部に対して、0.0001〜20質量部となるように配合することが好ましく、0.0005〜10質量部がより好ましく、0.001〜5質量部が特に好ましい。
マトリクス樹脂組成物は、上記成分以外に、本発明の目的・効果を阻害しない限り、必要に応じて、適宜、酸無水物、ルイス酸、ジシアンジアミド(DICY)やイミダゾール類の如く塩基性硬化剤、尿素化合物、有機金属塩、反応希釈剤、充填剤、酸化防止剤、難燃剤、顔料などの各種添加剤を含むことができる。
具体的には、酸無水物としては、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、無水ピロメリット酸等が例示される。ルイス酸としては、三フッ化ホウ素塩類が例示され、更に詳細には、BF3モノエチルアミン、BF3ベンジルアミン等が例示される。イミダゾール類としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールが例示される。また、尿素化合物である3−[3,4−ジクロロフェニル]−1,1−ジメチル尿素(DCMU)等や、有機金属塩であるCo[III]アセチルアセトネート等を例示することができる。反応性希釈剤としては、例えば、ポリプロピレンジグリコール・ジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等の反応性希釈剤が例示される。
マトリクス樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のいずれの方法を用いてもよい。例えば、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合は、樹脂組成物製造時に適用される混練温度としては、10〜160℃の範囲が例示できる。160℃を超える場合は、エポキシ樹脂の熱劣化や、部分的に硬化反応が開始し、得られる樹脂組成物並びにそれを用いて製造されるプリプレグの保存安定性が低下する場合がある。10℃より低い場合は、エポキシ樹脂組成物の粘度が高く、実質的に混練が困難となる場合がある。好ましくは20〜130℃であり、更に好ましくは30〜110℃の範囲である。
本発明の製造方法により得られるプリプレグは、マトリクス樹脂組成物を、導電性繊維基材を構成する各繊維基材の間隙に含浸させてなる。
マトリクス樹脂組成物の含有率は、プリプレグの全質量を基準として、15〜60質量%であることが好ましい。含有率が15質量%よりも少ない場合は、得られる複合材料に空隙などが発生し、機械特性を低下させる場合がある。含有率が60質量%を超える場合は、強化繊維による補強効果が不十分となり、実質的に質量対比機械特性が低いものになる場合がある。好ましくは、含有率は、20〜50量%であり、より好ましくは25〜50質量%である。
ここで、マトリクス樹脂がエポキシ樹脂の場合は、組成物の含有率は、プリプレグを硫酸に浸漬し、必要により加熱し、エポキシ樹脂が分解して質量を減少させるために生じる質量変化量から算出される割合を樹脂組成物の含有量として求めることが出来る。
プリプレグの形態は、導電性繊維基材に、マトリクス樹脂組成物が含浸されている形状であれば、特に制限はないが、導電性繊維と、前記導電性繊維間に含浸されたマトリクス樹脂組成物とからなる導電性繊維層と、前記導電性繊維層の表面に被覆された樹脂層とからなるプリプレグであることが好ましい。樹脂層の厚みは2〜100μmが好ましい。樹脂層の厚みは、5〜50μmがより好ましく、10〜40μmが特に好ましい。
繊維強化複合材料は、プリプレグを目的に応じて積層し、成形並びに硬化させることで、従来公知の方法により製造することができる。繊維強化複合材料の製造方法としては、例えば、マニュアルレイアップ、自動テープレイアップ(ATL)、自動繊維配置、真空バギング、オートクレーブ硬化、オートクレーブ以外の硬化、流体援用加工、圧力支援プロセス、マッチモールドプロセス、単純プレス硬化、プレスクレーブ硬化、又は連続バンドプレスを使用する方法が適用される。
(導電性繊維基材)
・使用した東邦テナックス社製の炭素繊維ストランド(テナックス IMS60(商品名))の引張強度と弾性率は下記の通りである。
・引張強度:5800MPa
・弾性率:290GPa
(エポキシ樹脂)
・グリシジルアミン型エポキシ樹脂(3官能基)[ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製アラルダイトMY0600(商品名)](MY0600)
・グリシジルアミン型エポキシ樹脂(4官能基)[ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製アラルダイトMY721(商品名)](MY721)
(エポキシ樹脂硬化剤)
・4,4’−ジアミノジフェニルスルホン[和歌山精化社製の芳香族アミン系硬化剤](4,4’−DDS)
(熱可塑性樹脂)
・熱可塑性樹脂A
平均粒子径20μmのポリエーテルスルホン[住友化学工業(株)製PES−5003P(商品名)](エポキシ樹脂に可溶な熱可塑性樹脂)
・熱可塑性樹脂B
平均粒子径20μmのグリルアミド[エムスケミージャパン社製TR−55(商品名)](エポキシ樹脂に不溶な熱可塑性樹脂)
(導電材ペースト)
・銀ペースト
サンユレック株式会社製エレクトロニクス用導電性接着剤 GA−6278(商品名)
(導電材:銀微粒子(平均粒子径:2μm)、分散材:エポキシ樹脂 電気抵抗値:5×10−4Ω・cm 導電材含有率:75wt%)
・フッ素系離型フィルム(FEPフィルム)[日本エアーテック株式会社製 A4000R Red Release Film(商品名)]
(1)平均粒子径
導電材ペーストに含まれる導電材の平均粒子径は、導電材ペーストを有機溶媒で希釈した後、走査型電子顕微鏡にて粒子を10000倍に拡大して写真撮影し、無作為に30個の粒子を選定し、その粒子径を測定し平均値を求めた。
本発明において、複合材料の導電性は、Z方向(厚さ方向)の体積抵抗率を用いて評価した。体積抵抗率とは、所与の材料の固有抵抗である。三次元材料の導電率の測定の単位はオーム−cm(Ω・cm)である。材料のZ方向体積抵抗率ρは、通常下式により定義される。
ρ=RA/L
R:試験片の電気抵抗値(デジタルオームメーターで測定)
L:試験片の厚さ(m)
A:試験片の断面積(m2)
本発明においては、体積抵抗はZ方向にのみ(複合材料の厚み方向)測定する。計算においては厚みが常に考慮されるので、すべての場合において、この値は「体積」抵抗率となる。
プリプレグをカット、積層し、積層構成[+45/0/−45/90]2Sの積層体を得た。真空オートクレーブ成形法を用い、0.49MPaの圧力下、180℃で120分間成形した。得られた成形物を幅40mm×長さ40mmの寸法に切断し、サンドペーパーを用いて、成形物の表面を炭素繊維が露出するまで研磨した。最後に、2000番のサンドペーパーを用いて表面仕上げを行い、試験片を得た。得られた試験片を、幅50mm×長さ50mmの金メッキを施した2枚の電極間に挟んだ。
両電極間に0.06MPaの荷重をかけた状態で、デジタルオームメーター(ADEX社製 AX−114N)でZ方向の試験片の抵抗値を測定し、上式から体積抵抗率を求めた。10枚の試験片について抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出し、その平均値を用いて評価した。
直径200μmのドット(円)を幅方向、長さ方向それぞれ5mm間隔で格子状に配置させたスクリーン印刷版を用意した。FEPフィルム上にサンユレック株式会社製真空印刷機VPES−HAIVを使用し、導電材ペーストを印刷した。印刷時の圧力は100KPa、クリアランスは1mmであった。印刷後、120℃で120分間乾燥した。印刷後の導電材ペーストの形状は直径140μm、高さ45μmの半球状であった。
混練装置で、エポキシ樹脂である50質量部のMY0600と50質量部のMY721に、可溶性熱可塑性樹脂である10質量部のポリエーテルスルホン5003P(熱可塑性樹脂A)を添加し、120℃で30分間攪拌機を用いて撹拌し、熱可塑性樹脂Aを完全溶解させエポキシ樹脂組成物を調製した。次いで、調製したエポキシ樹脂組成物を、フィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、表層用樹脂フィルム(樹脂目付:10g/m2)を得た。得られた表層用樹脂フィルムの表面に、導電材ペーストをスクリーン印刷したFEPフィルムを、印刷面がエポキシ樹脂組成物に接するようにして貼り合わせた。その後、FEPフィルムを剥がし、導電材ペーストを表層用樹脂フィルムに転写させた。転写後の導電材ペーストは半球体の形態を保っていた。
導電性繊維基材の両面に、含浸用樹脂フィルムを貼り合わせ、ホットメルト法により、樹脂組成物を導電性繊維基材に含浸させ一次プリプレグを作製した。得られた一次プリプレグの両面に、導電材ペーストを転写させた表層用樹脂フィルムを、導電材ペーストが導電性繊維基材と接するように貼り合わせプリプレグを作製した。導電材ペーストの形状から算出した、このプリプレグ中の導電材の配合量は0.038wt.%であった。
作製したプリプレグを用いて体積抵抗率測定試料を成形し、繊維強化複合材料の導電性を評価した。得られた繊維強化複合材料の電気抵抗は、180Ω・cmを示した。
維強化複合材料の断面を電子顕微鏡で観察したところ、炭素繊維層のそれぞれの層間の樹脂層に、マトリクス樹脂に分散した導電材が高濃度に局在化し存在している領域が、樹脂層を厚み方向に横断し、炭素繊維層に接触して存在していた。また、導電材を高密度に含む領域のマトリクス樹脂と、他の領域のマトリクス樹脂は一体化し連続相を成していた。
スクリーン印刷版を、直径100μmのドット(円)を、幅方向、長さ方向それぞれ2mm間隔で格子状に配置させたスクリーン印刷版に変更した以外は、実施例1と同様にして、プリプレグを得た。スクリーン印刷後の導電材ペーストの形状は直径94μm、高さ17μmの半球状であった。プリプレグ中の導電材の配合量は0.041wt.%であった。
作製したプリプレグを用いて体積抵抗率測定試料を成形し、繊維強化複合材料の導電性を評価した。得られた繊維強化複合材料の電気抵抗は、600Ω・cmを示し、実施例1と比較して導電性が不十分であった。
維強化複合材料の断面を電子顕微鏡で観察したところ、炭素繊維層のそれぞれの層間の樹脂層に、マトリクス樹脂に分散した導電材が高濃度に局在化し存在している領域が、形成されていたものの、マトリクス樹脂に不溶な熱可塑性樹脂粒子の近傍では、導電材の局在領域が樹脂層を厚み方向に横断できず、炭素繊維層に十分接触していなかった。
スクリーン印刷版を、直径150μmのドット(円)を、幅方向、長さ方向それぞれ3mm間隔で格子状に配置させたスクリーン印刷版に変更した以外は、実施例1と同様にして、プリプレグを得た。スクリーン印刷後の導電材ペーストの形状は直径108μm、高さ24μmの半球状であった。プリプレグ中の導電材の配合量は0.036wt.%であった。
作製したプリプレグを用いて体積抵抗率測定試料を成形し、繊維強化複合材料の導電性を評価した。得られた繊維強化複合材料の電気抵抗は、350Ω・cmを示した。
維強化複合材料の断面を電子顕微鏡で観察したところ、炭素繊維層のそれぞれの層間の樹脂層に、マトリクス樹脂に分散した導電材が高濃度に局在化し存在している領域が、樹脂層を厚み方向に横断し、炭素繊維層に接触して存在していた。また、導電材を高密度に含む領域のマトリクス樹脂と、他の領域のマトリクス樹脂は一体化し連続相を成していた。
スクリーン印刷版を、直径300μmのドット(円)を、幅方向、長さ方向それぞれ7mm間隔で格子状に配置させたスクリーン印刷版に変更した以外は、実施例1と同様にして、プリプレグを得た。スクリーン印刷後の導電材ペーストの形状は直径168μm、高さ58μmの半球状であった。プリプレグ中の導電材の配合量は0.036wt.%であった。
作製したプリプレグを用いて体積抵抗率測定試料を成形し、繊維強化複合材料の導電性を評価した。得られた繊維強化複合材料の電気抵抗は、180Ω・cmを示した。
維強化複合材料の断面を電子顕微鏡で観察したところ、炭素繊維層のそれぞれの層間の樹脂層に、マトリクス樹脂に分散した導電材が高濃度に局在化し存在している領域が、樹脂層を厚み方向に横断し、炭素繊維層に接触して存在していた。また、導電材を高密度に含む領域のマトリクス樹脂と、他の領域のマトリクス樹脂は一体化し連続相を成していた。
スクリーン印刷版を、直径500μmのドット(円)を、幅方向、長さ方向それぞれ10mm間隔で格子状に配置させたスクリーン印刷版に変更した以外は、実施例1と同様にして、プリプレグを得た。スクリーン印刷後の導電材ペーストの形状は直径246μm、高さ100μmの半球状であった。プリプレグ中の導電材の配合量は0.044wt.%であった。
作製したプリプレグを用いて体積抵抗率測定試料を成形し、繊維強化複合材料の導電性を評価した。得られた繊維強化複合材料の電気抵抗は、180Ω・cmを示した。
維強化複合材料の断面を電子顕微鏡で観察したところ、炭素繊維層のそれぞれの層間の樹脂層に、マトリクス樹脂に分散した導電材が高濃度に局在化し存在している領域が、樹脂層を厚み方向に横断し、炭素繊維層に接触して存在していた。また、導電材を高密度に含む領域のマトリクス樹脂と、他の領域のマトリクス樹脂は一体化し連続相を成していた。
2 導電性繊維層
3 樹脂層
4 導電領域
5 導電材
Claims (5)
- マトリクス樹脂に不溶な粒子を含むマトリクス樹脂組成物を導電性繊維基材に一体化させるプリプレグの製造方法であって、
樹脂フィルムの一部に導電材を、マトリクス樹脂と相溶性のある樹脂である分散材に導電材が分散した導電材ペーストとして、局在配置した導電材局在樹脂フィルムであり、前記導電材が、樹脂フィルムの厚み方向に前記マトリクス樹脂に不溶な粒子の平均粒子径以上の高さで配置された導電材局在樹脂フィルムを、予めマトリクス樹脂が含浸されている導電性繊維基材に積層し一体化させることを特徴とするプリプレグの製造方法。 - 導電材局在樹脂フィルムが、マトリクス樹脂からなるフィルムの表面に導電材を配置した導電材局在樹脂フィルムである請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
- 導電材局在樹脂フィルムが、支持体に導電材を配置した後、マトリクス樹脂からなるフィルムに導電材を転写した導電材局在樹脂フィルムである請求項1または2に記載のプリプレグの製造方法。
- 導電材を、線状または格子状に連続配置、または、点状または島状に不連続配置する請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
- 導電材ペーストの分散材が、硬化性樹脂であり、さらに、導電材ペーストの分散材である硬化性樹脂を半硬化の状態として配置する請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
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