JP2021172694A - プリプレグ - Google Patents

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Abstract

【課題】プリプレグとして優れた保存安定性を有するとともに、優れた圧縮特性、耐湿熱特性、層間靭性および導電性を有する繊維強化複合材料を製造することができるプリプレグを提供する。【解決手段】強化繊維基材と、該強化繊維基材が形成する強化繊維層内に含浸されたエポキシ樹脂組成物Aとからなる1次プリプレグと、該1次プリプレグの片面または両面に形成されるエポキシ樹脂組成物Bからなる表面層と、からなるプリプレグであって、エポキシ樹脂組成物Aはエポキシ当量120g/eq以下のエポキシ樹脂を含み、エポキシ樹脂組成物Bは4官能基のエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂の硬化剤を含み、該硬化剤の含有量がエポキシ樹脂組成物Bに含まれるエポキシ樹脂の総量に対する当量比で150〜300%であるエポキシ樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、繊維強化複合材料を製造するために用いるプリプレグに関する。
強化繊維と樹脂とからなる繊維強化複合材料(以下「コンポジット」という場合がある)は、軽量、高強度、高弾性率等の特長により、航空機、スポーツ・レジャー、一般産業に広く応用されている。この繊維強化複合材料は、予め強化繊維と樹脂とが一体化されているプリプレグを経由して製造されることが多い。
プリプレグを構成する樹脂には、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が使用されている。とりわけ、そのタック性、ドレープ性による成形自由度の高さから、熱硬化性樹脂を用いたプリプレグが広く使用されている。しかし、熱硬化性樹脂は一般に低靱性であるため、プリプレグを構成する樹脂として熱硬化性樹脂を用いると、このプリプレグを用いて作製されるコンポジットの耐衝撃性が低くなるという課題がある。そのため、耐衝撃性を改善する方法が多く検討されている。
耐衝撃性を改善する方法として、例えば特許文献1〜5に記載の方法が従来から知られている。
特許文献1には、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を溶解させることにより、熱硬化性樹脂に靱性を付与させる方法が記載されている。この方法によれば、熱硬化性樹脂に対してある程度の靱性を付与させることができる。しかし、高い靱性を付与させるためには、熱硬化性樹脂に多量の熱可塑性樹脂を溶解させなければならない。その結果、多量の熱可塑性樹脂が溶解している熱硬化性樹脂は、粘度が著しく高くなり、炭素繊維からなる強化繊維基材内部に、十分な量の樹脂を含浸させることが困難となる。この様なプリプレグを用いて作製されるコンポジットは、ボイド等の欠陥を含む。その結果、コンポジット構造体の圧縮性能および損傷許容性にマイナスの影響を及ぼす。
特許文献2〜4には、プリプレグ表面に熱可塑性樹脂微粒子を局在化させたプリプレグが記載されている。これらのプリプレグは、表面に粒子形状の熱可塑性樹脂が局在しているため、初期のタック性が低い。また、表層に内在する硬化剤との硬化反応が進行するため、保存安定性が悪く、経時的にタック性やドレープ性が低下する。さらに、この様な硬化反応の進行してしまったプリプレグを用いて作製されるコンポジットは、多くのボイド等の欠陥が内在し、コンポジット構造体の機械的物性が著しく低下する。
特許文献5には、熱可塑性樹脂の粒子、繊維またはフィルムが片面または両面の表層近傍に分布したプリプレグが記載されている。熱可塑性樹脂として粒子または繊維を用いる場合は、前述の特許文献2〜4と同様の理由により、タック性が低かったり、得られるコンポジットの機械的物性が低下したりする。また、熱可塑性樹脂としてフィルムを用いる場合には、熱硬化性樹脂の利点であるタック性、ドレープ性が失われる。また、耐溶剤性が悪いといった熱可塑性樹脂に由来する欠点がコンポジット構造体において顕著に反映されてしまう。
特開昭60−243113号公報 特開平07−41575号公報 特開平07−41576号公報 特開平07−41577号公報 特開平08−259713号公報
本発明の目的は、プリプレグとして優れた保存安定性を有するとともに、優れた圧縮特性、耐湿熱特性、層間靭性および導電性を有する繊維強化複合材料を製造することができるプリプレグを提供することにある。
すなわち本発明は、強化繊維基材と、該強化繊維基材が形成する強化繊維層内に含浸されたエポキシ樹脂組成物Aとからなる1次プリプレグと、該1次プリプレグの片面または両面に形成されるエポキシ樹脂組成物Bからなる表面層と、からなるプリプレグであって、エポキシ樹脂組成物Aとエポキシ樹脂組成物Bがそれぞれ、以下に示す配合であることを特徴とするプリプレグである。
エポキシ樹脂組成物A:
エポキシ当量が120g/eq以下であるエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物
エポキシ樹脂組成物B:
下記化学式(1)で示されるエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂の硬化剤を含み、該硬化剤の含有量がエポキシ樹脂組成物Bに含まれるエポキシ樹脂の総量に対する当量比で150〜300%であるエポキシ樹脂組成物
Figure 2021172694
(ただし、化(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、ハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを表し、Xは−CH−、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−O−C(=O)−、−NHCO−、−CONH−、−SO−から選ばれる1つを表す。)
本発明によれば、プリプレグとして優れた保存安定性を有するとともに、優れた圧縮特性、耐湿熱特性、層間靭性および導電性を有する繊維強化複合材料を製造することができるプリプレグを提供することができる。
図1は、本発明のプリプレグの断面概略を示す説明図である。 図2の2(a)、2(b)および2(c)は、本発明のプリプレグが製造される過程を順次示す説明図である。 図3は、本発明のプリプレグの製造工程の一例を示す概念図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
(1)プリプレグの構造
本発明のプリプレグは、強化繊維基材と、該強化繊維基材が形成する強化繊維層内に含浸されたエポキシ樹脂組成物Aとからなる1次プリプレグと、該1次プリプレグの片面または両面に形成されるエポキシ樹脂組成物Bからなる表面層と、が一体化されてなるプリプレグである。
図1は、本発明のプリプレグの断面概略を示す説明図である。図1中、100は本発明のプリプレグであり、10は1次プリプレグである。1次プリプレグ10は、強化繊維11から成る強化繊維層と、この強化繊維層内に含浸しているエポキシ樹脂組成物A13とから構成されている。1次プリプレグ10の表面には、エポキシ樹脂組成物B15から成る樹脂層が、1次プリプレグ10と一体となって形成されている。
本発明のプリプレグにおいて、良好なタック性および室温保存安定性を得る観点から、1次プリプレグを構成するエポキシ樹脂組成物Aに含まれるエポキシ樹脂と表面層を構成するエポキシ樹脂組成物Bに含まれるエポキシ樹脂の質量比は、好ましくは9:1〜1:1である。
(2)1次プリプレグ
本発明において1次プリプレグは、プリプレグ断面における中央部のシート状の繊維強化基材と該強化繊維基材に含浸されたエポキシ樹脂組成物Aとからなる層である。1次プリプレグは、図2(b)および(c)中、1次プリプレグ10として表される。
1次プリプレグに用いられる強化繊維基材は、強化繊維を各種形状に加工した基材である。強化繊維基材は、シート状の形態であることが好ましい。強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維およびスラッグ繊維が使用できる。これらの強化繊維の中でも、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましく、比強度および比弾性率が良好で軽量かつ高強度の複合材料が得られることから、炭素繊維がさらに好ましく、引張強度に優れることからPAN系炭素繊維が特に好ましい。
強化繊維が炭素繊維である場合、その炭素繊維の引張弾性率は、好ましくは170〜600GPa、さらに好ましくは220〜450GPaである。この炭素繊維の引張強度は、好ましくは3920MPa以上である。この条件を満たす炭素繊維を用いることにより、本発明のプリプレグを用いたコンポジットの機械的性質を向上させることができる。
シート状の強化繊維基材としては、例えば、多数本の強化繊維を一方向に引き揃えたシート状物や、平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組紐、強化繊維を抄紙した紙を例示することができる。シート状の強化繊維基材の厚さは、例えば0.01〜3mm、好ましくは0.1〜1.5mmである。
(3)エポキシ樹脂組成物A
以下、エポキシ樹脂組成物Aに用いられる各成分について説明する。
(i)エポキシ樹脂
本発明で用いるエポキシ樹脂組成物Aは、エポキシ当量が120g/eq以下であるエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂組成物Aにおける、エポキシ当量が120g/eq以下であるエポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂組成物Aの全質量を基準に60〜100質量%、好ましくは70〜90質量%である。エポキシ当量が120g/eq以下のエポキシ樹脂をこの範囲で含むことで、プリプレグ作製時に高い樹脂含浸性を得ることができるとともに、硬化樹脂の弾性率が向上し、本発明のプリプレグを用いて製造されたコンポジ
ットの各種物性を向上できる。
エポキシ当量が120g/eq以下のエポキシ樹脂としては、例えば、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、テトラグリシジルビス(アミノメチル)シクロヘキサン、およびこれらの誘導体のようなグリシジルアミン型のエポキシ樹脂を用いることができ、なかでもトリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンのような芳香族基を含有するエポキシ樹脂を用いることが好ましく、特にトリグリシジルアミノフェノールおよびその誘導体のような3官能のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
プリプレグの硬化成形後に、優れたコンポジット物性を発現させるために、エポキシ樹脂組成物Aおよびエポキシ樹脂組成物Bの中に含まれるエポキシ樹脂の合計量(以下、「全エポキシ樹脂量」ともいう)あたり、3官能基のエポキシ樹脂が好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは30〜70質量%含まれる。3官能基のエポキシ樹脂が30質量%未満であると圧縮特性が低下する場合があり好ましくなく、他方70質量%を超えると得られるプリプレグの取扱い性が低下する場合があり好ましくない。
エポキシ樹脂は、その硬化剤との熱硬化反応により架橋して網目構造を形成する。3官能基のエポキシ樹脂を用いることで、高架橋密度のコンポジットを得ることができる。3官能基のエポキシ樹脂として、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノールを例示することができる。
エポキシ樹脂組成物Aにおける、エポキシ当量が120g/eq以下であるエポキシ樹脂の含有量が上記の範囲であれば、さらにその他のエポキシ樹脂を含んでもよい。その他のエポキシ樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができる。具体的には、以下に例示されるものを用いることができる。これらの中でも芳香族基を含有するエポキシ樹脂が好ましく、グリシジルアミン構造、グリシジルエーテル構造のいずれかを含有するエポキシ樹脂が好ましい。また、脂環族エポキシ樹脂も好適に用いることができる。
グリシジルアミン構造を含有するエポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−3−メチル−4−アミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体などが例示される。
グリシジルエーテル構造を含有するエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が例示される。
また、これらのエポキシ樹脂は、必要に応じて、芳香族環構造などに、非反応性置換基を有していてもよい。非反応性置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基やフェニルなどの芳香族基やアルコキシル基、アラルキル基、塩素や臭素などの如くハロゲン基などが例示される。
エポキシ樹脂組成物Aは、室温保存安定性の観点から、エポキシ樹脂の硬化剤を実質的に含まないことが好ましい。ここで実質的に含まないとは、該組成物の全質量のうちの硬化剤の含有量が40質量%以下、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下であることを意味する。
(ii)熱可塑性樹脂
エポキシ樹脂組成物Aは、好ましくはエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含有する。ま
た、エポキシ樹脂組成物Aは、好ましくはエポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂を含有する。特に好ましい態様は、エポキシ樹脂組成物Aが、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂およびエポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂の両方を含有する態様である。
エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の一部(硬化後のマトリクス樹脂において溶解せずに残存したエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂)は、その粒子が、本発明のプリプレグを用いて製造されたコンポジットのマトリクス樹脂中に分散する状態となる(以下、この分散している粒子を「層間粒子」ということがある)。この層間粒子はコンポジットが受ける衝撃の伝播を抑制する。このため、エポキシ樹脂組成物Aが、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂を含有することにより、本発明のプリプレグから得られるコンポジットの耐衝撃性を向上することができる。
(ii−1)エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂
エポキシ樹脂組成物Aがエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含有することにより、エポキシ樹脂組成物の粘度を調整するとともに、得られるコンポジットの耐衝撃性が向上する。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂とは、本発明のプリプレグを用いてコンポジットを成形する温度またはそれ以下の温度において、エポキシ樹脂に一部または全部が溶解し得る熱可塑性樹脂である。ここで、エポキシ樹脂に一部が溶解するとは、エポキシ樹脂100質量部に対して、平均粒子径が20〜50μmの熱可塑性樹脂10質量部を混合して190℃で1時間撹拌した際に粒子が消失するか、粒子の大きさが10%以上変化することを意味する。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂が完全に溶解していない場合は、エポキシ樹脂の硬化過程で加熱されることによりエポキシ樹脂に溶解し、エポキシ樹脂組成物の粘度を増加させることができる。これにより、硬化過程における粘度低下に起因するエポキシ樹脂組成物のフロー(プリプレグ内から樹脂組成物が流出する現象)を防止することができる。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、190℃でエポキシ樹脂に80質量%以上溶解する樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の具体的例として、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネートを例示することができる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量(Mw)が8000〜100000の範囲のポリエーテルスルホンまたはポリスルホンが特に好ましい。重量平均分子量(Mw)が8000よりも小さいと、得られるFRPの耐衝撃性が不十分となり、また100000よりも大きいと粘度が著しく高くなり取扱性が著しく悪化する場合がある。エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の分子量分布は均一であることが好ましい。特に、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比である多分散度(Mw/Mn)が1〜10の範囲であることが好ましく、1.1〜5の範囲であることがさらに好ましい。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂と反応性を有する反応基または水素結合を形成する官能基を有していることが好ましい。このようなエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂の硬化過程中における溶解安定性を向上させることができる。また、プリプレグの硬化後に得られるコンポジットに靭性、耐薬品性、耐熱性および耐湿熱性を付与することができる。
エポキシ樹脂との反応性を有する反応基としては、水酸基、カルボン酸基、イミノ基、アミノ基などが好ましい。水酸基末端のポリエーテルスルホンを用いると、プリプレグから得られるコンポジットの耐衝撃性、破壊靭性および耐溶剤性が特に優れるためより好ましい。
エポキシ樹脂組成物Aに含まれるエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の含有量は、粘度に応じて適宜調整することができる。プリプレグの加工性の観点から、エポキシ樹脂組成物Aに含有されるエポキシ樹脂100質量部に対して好ましくは5〜90質量部、さらに好ましくは5〜40質量部、特に好ましくは15〜35質量部である。5質量部未満の場合は、プリプレグから得られるコンポジトの耐衝撃性が不十分となる場合があり好ましくない。エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の含有量が90質量部より多いと、粘度が著しく高くなり、プリプレグの取扱性が著しく悪化する場合があり好ましくない。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂には、アミン末端基を有する反応性芳香族オリゴマー(以下、単に「芳香族オリゴマー」ともいう)を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂組成物Aは、加熱硬化時にエポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応により高分子量化する。高分子量化により二相域が拡大することによって、エポキシ樹脂組成物Aに溶解していた芳香族オリゴマーは、反応誘起型の相分離を引き起こす。この相分離により、硬化後のエポキシ樹脂と、芳香族オリゴマーと、が共連続となる樹脂の二相構造をマトリックス樹脂内に形成する。また、芳香族オリゴマーはアミン末端基を有していることから、エポキシ樹脂との反応も生じる。この共連続の二相構造における各相は互いに強固に結合しているため、耐溶剤性も向上している。
この共連続の構造は、プリプレグから得られるコンポジットに対する外部からの衝撃を吸収してクラック伝播を抑制する。その結果、アミン末端基を有する反応性芳香族オリゴマーを含むプリプレグを用いて作製されるコンポジットは、高い耐衝撃性および破壊靭性を有する。
この芳香族オリゴマーとしては、公知のアミン末端基を有するポリスルホン、アミン末端基を有するポリエーテルスルホンを用いることができる。アミン末端基は第一級アミン(−NH)末端基であることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物Aに配合される芳香族オリゴマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が8000〜40000であることが好ましい。重量平均分子量が8000未満である場合、マトリクス樹脂の靱性向上効果が低く好ましくない。また、重量平均分子量が40000を超える場合、樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎて、強化繊維層内に樹脂組成物が含浸しにくくなる等の加工上の問題点が発生しやすくなり好ましくない。
芳香族オリゴマーとしては、「Virantage DAMS VW−30500 RP(登録商標)」(Solvay Specialty Polymers社製)のような市販品を好ましく用いることができる。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の形態は、粒子状であることが好ましい。粒子状のエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を用いることにより、樹脂組成物中に均一に配合することができ、また、成形性の高いプリプレグを得ることができる。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の平均粒子径は、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは3〜30μmである。1μm未満である場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が著しく増粘し、エポキシ樹脂組成物に十分な量のエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を添加する
ことが困難となる場合があり好ましくない。他方50μmを超える場合、エポキシ樹脂組成物をシート状に加工する際、均質な厚みのシートが得られ難くなる場合があり、また、エポキシ樹脂への溶解速度が遅くなり、プリプレグから得られるコンポジットが不均一となるため好ましくない。
(ii−2)エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂
エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂は、プリプレグを用いてコンポジットを成形する温度またはそれ以下の温度において、エポキシ樹脂に実質的に溶解しない熱可塑性樹脂をいう。すなわち、エポキシ樹脂100質量部に対して、平均粒子径が20〜50μmの熱可塑性樹脂10質量部を混合して190℃で1時間撹拌した際に、粒子の大きさが10%以上変化しない熱可塑性樹脂をいう。なお、一般的に、コンポジットを成形する温度は100〜190℃である。また、粒子径は、顕微鏡によって目視で測定され、平均粒子径とは、無作為に選択した100個の粒子の粒子径の平均値を意味する。
エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルニトリル、ポリベンズイミダゾールが例示される。これらの中でも、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドは、靭性および耐熱性が高いため好ましい。ポリアミドやポリイミドは、コンポジットに対する靭性向上効果が特に優れている。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの共重合体を用いることもできる。
特に、非晶性ポリイミドや、ポリアミド6(カプロラクタムの開環重縮合反応により得られるポリアミド)、ポリアミド11(ウンデカンラクタムの開環重縮合反応により得られるポリアミド)、ポリアミド12(ラウリルラクタムの開環重縮合反応により得られるポリアミド)、ポリアミド1010(セバシン酸と1,10−デカンジアミンとの共重反応により得られるポリアミド)、非晶性のポリアミド(透明ポリアミドとも呼ばれ、ポリマーの結晶化が起こらないか、ポリマーの結晶化速度が極めて遅いポリアミド)のようなポリアミドを使用することにより、プリプレグから得られるコンポジットの耐熱性を向上させることができる。
エポキシ樹脂組成物A中のエポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂の含有量は、エポキシ樹脂組成物の粘度に応じて適宜調整される。プリプレグの加工性の観点から、エポキシ樹脂組成物Aに含有されるエポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部、さらに好ましくは10〜45質量部、特に好ましくは20〜40質量部である。5質量部未満の場合、得られるFRPの耐衝撃性が不十分になる場合があり好ましくない。50質量部を超える場合、エポキシ樹脂組成物の含浸性や、得られるプリプレグのドレープ性などを低下させる場合があり好ましくない。
エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂の好ましい平均粒子径や形態は、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂と同様である。
(iii)その他の添加剤
エポキシ樹脂組成物Aには、導電性粒子や難燃剤、無機系充填剤、内部離型剤が配合されてもよい。
導電性粒子としては、ポリアセチレン粒子、ポリアニリン粒子、ポリピロール粒子、ポリチオフェン粒子、ポリイソチアナフテン粒子およびポリエチレンジオキシチオフェン粒子等の導電性ポリマー粒子、カーボン粒子、炭素繊維粒子、金属粒子、無機材料または有機材料から成るコア材を導電性物質で被覆した粒子が例示される。
難燃剤としては、リン系難燃剤が例示される。リン系難燃剤としては、分子中にリン原子を含むものを用いることができ、例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物、ポリリン酸塩などの有機リン化合物や赤リンが挙げられる。
無機系充填材としては、例えば、ホウ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、グラファイト、硫酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸塩鉱物が挙げられる。特に、ケイ酸塩鉱物を用いることが好ましい。ケイ酸塩鉱物の市販品としては、THIXOTROPIC AGENT DT 5039(ハンツマン・ジャパン株式会社製)が挙げられる。
内部離型剤としては、例えば、金属石鹸類、ポリエチレンワックスやカルバナワックス等の植物ワックス、脂肪酸エステル系離型剤、シリコンオイル、動物ワックス、フッ素系非イオン界面活性剤を挙げることができる。これら内部離型剤の配合量は、金型からの離型効果が好適に発揮させる観点から、エポキシ樹脂組成物Aの100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、さらに好ましくは0.2〜2質量部である。
内部離型剤の市販品としては、“MOLD WIZ(登録商標)” INT1846(AXEL PLASTICS RESEARCH LABORATORIES INC.製)、Licowax S、Licowax P、Licowax OP、Licowax PE190、Licowax PED(クラリアントジャパン社製)、ステアリルステアレート(SL−900A;理研ビタミン株式会社製)が挙げられる。
(4)エポキシ樹脂組成物B
エポキシ樹脂組成物Bは、化学式(1)で示されるエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂の硬化剤を含む。該硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂組成物Bに含まれるエポキシ樹脂の総量に対する当量比で150〜300%である。
このエポキシ樹脂組成物Bは、図2(c)中において、本発明のプリプレグの表面層15aを構成する成分である。以下、エポキシ樹脂組成物Bに用いられる各成分について説明する。
(i)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂組成物Bは、下記化学式(1)で示されるエポキシ樹脂を含む。
Figure 2021172694
(ただし、化(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、ハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを表し、Xは−CH−、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−O−C(=O)−、−NHCO−、−CONH−、−SO−から選ばれる1つを表す。)
〜Rが、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基の場合、その炭素数は1〜4
であることが好ましい。
化学式(1)で示されるエポキシ樹脂は、4官能基のエポキシ樹脂であり、2個のグリシジル基を有するアミノ基がジアミノジフェニル骨格にパラ位およびメタ位でそれぞれ結合されている。この構造により生じる硬化樹脂の特殊な立体構造に起因して、硬化樹脂の弾性率および耐熱性が高くなると本発明者らは推定している。
化学式(1)で示されるエポキシ樹脂は、好ましくはテトラグリシジル−3,4’−ジアミノジフェニルエーテルである。R〜Rが水素原子である場合、硬化樹脂の特殊な立体構造形成が阻害されにくいため好ましい。また、当該化合物の合成が容易になるためXが−O−であることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物Bにおける、エポキシ樹脂の総量に対する、化学式(1)で示されるエポキシ樹脂が占める割合は、好ましくは20〜95質量%、さらに好ましくは25〜90質量%、特に好ましくは30〜85質量%である。20質量%未満の場合、得られる硬化樹脂の耐熱性および弾性率が低下する場合があり好ましくない。他方、95質量%を超える場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が高く、繊維強化基材への含浸性が低下し易くなり、プリプレグから得られるコンポジットの各種物性が低下する場合があり好ましくない。
(ii)硬化剤
エポキシ樹脂組成物Bに用いる硬化剤には、公知のエポキシ樹脂用の硬化剤を用いることができる。中でも、アミン系硬化剤を用いることが好ましい。アミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、芳香族アミン系硬化剤の各種異性体、アミノ安息香酸エステル類が挙げられる。
ジシアンジアミドは、プリプレグの保存安定性に優れるため好ましい。また、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミン化合物およびそれらの非反応性置換基を有する誘導体は、耐熱性の良好な硬化物を与えることから特に好ましい。ここで、非反応性置換基は、エポキシ樹脂の説明において述べた非反応性置換基と同様である。
アミノ安息香酸エステル類としては、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエートやネオペンチルグリコールジ−p−アミノベンゾエートが好ましく用いられる。これらを用いて硬化させた複合材料は、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体と比較して耐熱性は劣るが、引張伸度に優れる。そのため、複合材料の用途に応じて、使用する硬化剤の種類は適宜選択される。
エポキシ樹脂組成物Bに含まれる硬化剤の量は、全てのエポキシ樹脂を硬化させる観点から、エポキシ樹脂組成物Bに含まれるエポキシ樹脂の総量に対する当量比で150〜300%、好ましくは200〜280%である。硬化剤の量は、上記の範囲で用いるエポキシ樹脂および硬化剤の種類に応じて適宜調節すればよい。硬化剤の量は、硬化剤・硬化促進剤の有無と添加量、エポキシ樹脂との化学反応量論および組成物の硬化速度などを考慮して、適宜調整する。
(iii)熱可塑性樹脂
エポキシ樹脂組成物Bは、エポキシ樹脂に溶解した熱可塑性樹脂を含有してもよい。この熱可塑性樹脂は、既に説明したエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂である。エポキシ樹脂組成物Bに配合されるエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂組成物Aに配合されるエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂と同一のものであってもよく、それぞれ異なるも
のであってもよい。
エポキシ樹脂組成物Bにエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含有させる場合、エポキシ樹脂組成物Bに含まれるエポキシ樹脂100質量部あたり、好ましくは5〜50質量部、さらに好ましくは5〜40質量部である。5質量部未満であると、得られるプリプレグおよび複合材料の耐衝撃性が不十分となる場合があり好ましくない。他方、50質量部を超える場合、粘度が著しく高くなり取扱い性が著しく悪化する場合があり好ましくない。
(iv)その他の添加剤
エポキシ樹脂組成物Bには、さらに、既に説明した導電性粒子や難燃剤、無機系充填剤、内部離型剤が配合されてもよい。
(5)エポキシ樹脂組成物の製造方法
エポキシ樹脂組成物Aおよびエポキシ樹脂組成物Bは、エポキシ樹脂組成物Aのエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物Bを構成する成分を混合することにより製造することができる。これらの混合の順序は問わない。従来公知の方法を適用することができ、混合温度は、例えば40〜120℃、好ましくは50〜100℃、さらに好ましくは50〜90℃である。120℃を超える場合、部分的に硬化反応が進行して強化繊維基材層内への含浸性が低下したり、得られるエポキシ樹脂組成物およびそれを用いて製造されるプリプレグの保存安定性が低下する場合がある。40℃未満である場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が高く、実質的に混合が困難となる場合がある。
混合には従来公知の混合機械装置を用いることができる。具体的な例としては、ロールミル、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、バンバリーミキサー、攪拌翼を備えた混合容器、横型混合槽が挙げられる。各成分の混合は、大気中または不活性ガス雰囲気下で行うことができる。大気中で混合が行われる場合は、温度、湿度が管理された雰囲気が好ましい。例えば、30℃以下の一定温度に管理された温度や、相対湿度50%RH以下の低湿度雰囲気で混合することが好ましい。
(6)プリプレグの製造方法
本発明のプリプレグは、上記のエポキシ樹脂組成物Aおよびエポキシ樹脂組成物Bを用いて、従来公知の方法を利用して製造することができる。加熱により粘度を低下させた樹脂組成物Aを強化繊維層内に含浸させる乾式法によって製造されることが好ましい。かかる乾式法は、有機溶媒に溶解させたエポキシ樹脂組成物Aを強化繊維層内に含浸させた後に該有機溶媒を除去する湿式法と比べて、有機溶媒が残存しないため好ましい。以下、乾式法による製造方法により本発明のプリプレグの製造方法を説明する。
先ず、エポキシ樹脂組成物Aからなるフィルム(以下、「樹脂Aフィルム」という)とエポキシ樹脂組成物Bから成るフィルム(以下、「樹脂Bフィルム」という)を製造する。これは公知の方法で行うことができる。
次に、強化繊維層の厚さ方向片側または両側に樹脂Aフィルムを積層し、熱ローラー等により熱プレスする。これにより、樹脂Aフィルムのエポキシ樹脂組成物Aが強化繊維層内に含浸され1次プリプレグが得られる。その後、この1次プリプレグの厚さ方向の片側または両側に樹脂Bフィルムを積層し、熱ローラー等により熱プレスして1次プリプレグと樹脂Bフィルムとを一体化される。これにより、本発明のプリプレグを得ることができる。
図2(a)〜(c)は、本発明のプリプレグが製造される過程を順次示す説明図である。先ず、強化繊維11から成る強化繊維層12の厚さ方向両側に、エポキシ樹脂組成物A
から成る樹脂Aフィルム13aが積層される(図2(a))。この強化繊維層12と樹脂Aフィルム13aとは、熱ローラー等により熱プレスされる。これにより、エポキシ樹脂組成物Aが強化繊維層12に含浸され、1次プリプレグ10が得られる(図2(b))。その後、この1次プリプレグ10の厚さ方向の片側または両側に、エポキシ樹脂組成物Bから成る樹脂Bフィルム15aが積層される(図2(c))。次いで、熱ローラー等により熱プレスされて、1次プリプレグ10と樹脂Bフィルム15aとは一体化される。これにより、本発明のプリプレグ100が得られる(図1)。
図3は、本発明のプリプレグの製造工程の一例を示す概念図である。図3中、21は炭素繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維層であり、矢印A方向に走行している。この強化繊維層21の厚さ方向両側に、離型紙14a付きの樹脂Aフィルム13aがフィルムロール23から供給される。この強化繊維層21と樹脂Aフィルム13aとは、離型紙14aを介して熱ローラー40により熱プレスされ、1次プリプレグ10が形成される。その後、1次プリプレグの片面または両面にある離型紙14aがローラー24に巻き取られる。次いで、離型紙が巻き取られた1次プリプレグ10の片面または両面に、離型紙付きの樹脂Bフィルム15aがフィルムロール25から供給される。この1次プリプレグ10と樹脂Bフィルム15aとは、離型紙を介して熱ローラー41により熱プレスされ、本発明のプリプレグ100が形成される。このプリプレグ100は、ローラー101に巻き取られる。
樹脂Aフィルムの熱プレス時の温度は、例えば70〜160℃、好ましくは70〜140℃である。樹脂Aフィルムの熱プレス時の温度が70℃未満である場合、樹脂Aフィルムを構成するエポキシ樹脂組成物Aの粘度が十分に低下しない。その結果、エポキシ樹脂組成物Aを強化繊維層内に十分に含浸させ難い。
樹脂Aフィルムの熱プレス時の線圧は、例えば1〜25kg/cm、好ましくは2〜15kg/cmである。樹脂Aフィルムの熱プレス時の線圧が1kg/cm未満である場合、樹脂Aフィルムを構成する樹脂組成物Aを強化繊維層内に十分に含浸させ難い。樹脂Aフィルムの熱プレス時の線圧が25kg/cmを超える場合、強化繊維自身を損傷させるため、含浸圧力を上げることができない。
樹脂Bフィルムの熱プレス時の温度は、例えば50〜130℃、好ましくは60〜120℃である。樹脂Bフィルムの熱プレス時の温度が50℃未満である場合、表面のタックが強すぎて、樹脂フィルムの離型性が悪化し、プリプレグ製造の工程安定性を損なう恐れがある。樹脂Bフィルムの熱プレス時の温度が130℃を超える場合、1次プリプレグに使用されているエポキシ樹脂組成物Aと混ざり、反応が進行する。その結果、長期間保存した場合、タック性、ドレープ性が損なわれる。
樹脂Bフィルムの熱プレス時の線圧は、例えば0.1〜10kg/cm、好ましくは0.5〜6kg/cmである。樹脂Bフィルムの熱プレス時の線圧が0.1kg/cm未満である場合、1次プリプレグに樹脂Bフィルムを十分に接着できない。熱プレス時の線圧が10kg/cmを超える場合、1次プリプレグに使用されているエポキシ樹脂組成物Aへの沈み込みが起こることにより、硬化剤との反応が進行する。その結果、長期間保存した場合、タック性、ドレープ性が損なわれる。
上記製造方法により製造される本発明のプリプレグは、図1のように強化繊維層内にエポキシ樹脂組成物A13が存在している。
プリプレグの生産速度は、生産性や経済性などを考慮すると、例えば0.1m/min以上、好ましくは1m/min以上、さらに好ましくは、5m/min以上である。
樹脂Aフィルムおよび樹脂Bフィルムは、それぞれ公知の方法で作製できる。例えば、ダイコーター、アプリケーター、リバースロールコーター、コンマコーター、ナイフコーターなどによって、離型紙、フィルムなどの支持体上に流延、キャストすることにより作成できる。フィルム化の際の樹脂温度は、その樹脂組成や粘度に応じて適宜設定できる。
樹脂Bフィルムの厚さは、好ましくは2〜30μm、さらに好ましくは5〜20μmである。樹脂Bフィルムの厚さが2μm未満の場合は、得られるプリプレグのタック性が低下するため好ましくない。樹脂Bフィルムの厚さが30μmを超える場合は、得られるプリプレグの取扱い性やコンポジットの成形精度が低下するため好ましくない。
本発明のプリプレグは、上記の製造方法に限らず、例えば、強化繊維層の厚さ方向両側に樹脂Aフィルム、樹脂Bフィルムを順次積層して、1段階で熱プレスして製造することもできる。この場合は、エポキシ樹脂組成物B内に含まれている硬化剤が、エポキシ樹脂組成物A内に拡散しないように低温で熱プレスを行う必要がある。
本発明のプリプレグには、本発明の効果を妨げない範囲において、安定剤や離型剤、フィラー、着色剤等が配合されていてもよい。
本発明のプリプレグにおいて、強化繊維の含有量は、好ましくは40〜80質量%、さらに好ましくは50〜70質量%である。強化繊維の含有量が40質量%未満の場合は、このプリプレグを用いて作製されるコンポジットの強度等が不足するため好ましくない。強化繊維の含有量が80質量%を超える場合は、プリプレグの強化繊維層内に含浸される樹脂量が不足し、その結果、このプリプレグを用いて作製されるコンポジットにボイド等を発生させるため好ましくない。
本発明のプリプレグは、圧力を付与しながら加熱することによって、エポキシ樹脂組成物B中に含まれている硬化剤がエポキシ樹脂組成物A中に拡散される。これにより、エポキシ樹脂組成物Aとエポキシ樹脂組成物Bとが共に硬化される。
(7)繊維強化複合材料
本発明のプリプレグを特定の条件で加熱加圧して硬化させることにより、繊維強化複合材料(コンポジット)を得ることができる。本発明のプリプレグを用いて、コンポジットを製造する方法として、オートクレーブ成形やプレス成形といった公知の成形法を挙げることができる。
(i)オートクレーブ成形法
本発明のプリプレグを用いてコンポジットを製造する場合、オートクレーブ成形法を好ましく用いることができる。オートクレーブ成形法は、金型の下型にプリプレグおよびフィルムバッグを順次敷設し、該プリプレグを下型とフィルムバッグとの間に密封し、下型とフィルムバッグとにより形成される空間を真空にするとともに、オートクレーブ成形装置で、加熱と加圧をする成形方法である。成形時の条件は、昇温速度を1〜50℃/分とし、0.2〜0.7MPa、130〜180℃で10〜300分間、加熱および加圧することが好ましい。
(ii)プレス成形法
本発明のプリプレグを用いてコンポジットを製造する他の方法として、プレス成形法を好ましく用いることができる。プレス成形法による繊維強化複合材料の製造は、本発明のプリプレグまたは本発明のプリプレグを積層して形成したプリフォームを、金型を用いて加熱加圧することにより行う。金型は、予め硬化温度に加熱しておくことが好ましい。
プレス成形時の金型の温度は、好ましくは150〜210℃である。成形温度が150
℃以上であれば、十分に硬化反応を起こすことができ、高い生産性で繊維強化複合材料を得ることができる。また、成形温度が210℃以下であれば、樹脂粘度が低くなり過ぎることがなく、金型内における樹脂の過剰な流動を抑えることができる。その結果、金型からの樹脂の流出や繊維の蛇行を抑制できるため、高品質のコンポジットを得ることができる。
成形時の圧力は、例えば0.05〜2MPa、好ましくは0.2〜2MPaである。圧力が0.05MPa以上であれば、樹脂の適度な流動が得られ、外観不良やボイドの発生を防ぐことができる。また、プリプレグが十分に金型に密着するため、良好な外観のコンポジットを製造することができる。圧力が2MPa以下であれば、樹脂を必要以上に流動させることがないため、得られるFRPの外観不良が生じ難い。また、金型に必要以上の負荷をかけることがないため、金型の変形等が生じ難い。成形時間は例えば1〜8時間である。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本実施例および比較例において使用する成分や試験方法を以下に記載する。
〔成分〕
用いた成分の詳細は、以下のとおりである。
(エポキシ樹脂)
・テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(ハンツマン社製 Araldite MY721、グリシジルエーテル個数/芳香環個数=0、エポキシ当量=112g/eq、以下「4,4’−TGDDM」と略記する)
・テトラグリシジル−3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(下記の合成例1の方法で合成したもの。化(1)で表される。エポキシ当量=112g/eq、以下「3,4’−TGDDE」と略記する)
Figure 2021172694
(ただし、化(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、ハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを表し、Xは−CH−、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−O−C(=O)−、−NHCO−、−CONH−、−SO−から選ばれる1つを表す。)
・トリグリシジル−m−アミノフェノール(ハンツマン社製 Araldite MY0600、グリシジルエーテル個数/芳香環個数=1、エポキシ当量=106g/eq、以下「TG−mAP」と略記する)
・レゾルシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製 EX−201、グリシジルエーテル個数/芳香環個数=2、エポキシ当量=115g/eq、以下「Resorcinol−DG」と略記する)
(アミン系硬化剤)
・3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(小西化学工業株式会社製、以下、「3,3’−DDS」と略記する)
(エポキシ樹脂不溶熱可塑性樹脂)
・TR−55(商品名):(エムスケミージャパン社製 グリルアミド、平均粒子径5〜35μm、以下「TR−55」と略記する)
・VEST0SINT 2158(商品名):(ダイセル・エボニック社製 ポリアミド12、平均粒子径5〜35μm、以下「PA12」と略記する)
(エポキシ樹脂可溶熱可塑性樹脂)
・ポリエーテルスルホン(住友化学工業株式会社製 スミカエクセルPES−5003P、平均粒子径20μm、以下「PES」と略記する)
(炭素繊維)
・テナックス(登録商標)IMS65 E23 830tex:(炭素繊維ストランド、引張強度 5.8GPa、引張弾性率 290GPa、サイジング剤付着量 1.2質量%、帝人株式会社製)
・テナックス(登録商標)IMS65 E22 830tex(炭素繊維ストランド、引張強度 5.8GPa、引張弾性率 290GPa、サイジング剤付着量 0.5質量%、帝人株式会社製)
(合成例1) 3,4’−TGDDEの合成
3,4’−TGDDEを以下の方法で合成した。温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、エピクロロヒドリン1110.2g(12.0mol)を仕込み、窒素パージを行いながら温度を70℃まで上げて、これにエタノール1000gに溶解させた3,4’−ジアミノジフェニルエーテル200.2g(1.0mol)を4時間かけて滴下した。さらに6時間撹拌し、付加反応を完結させ、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)−3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを得た。続いて、フラスコ内温度を25℃に下げてから、これに48%NaOH水溶液500.0g(6.0mol)を2時間で滴下してさらに1時間撹拌した。環化反応が終わってからエタノールを留去して、400gのトルエンで抽出を行い5%食塩水で2回洗浄を行った。有機層からトルエンとエピクロロヒドリンを減圧下で除くと、褐色の粘性液体が361.7g(収率85.2%)得られた。主生成物である3,4’−TGDDEの純度は、84%(HPLC面積%)であった。
(1)プリプレグの性質
(1−1)含浸性
繊維基材への樹脂の含浸性をプリプレグの吸水率により評価した。この評価では、得られたプリプレグの吸水率が低い方が樹脂の含浸性が高い。
プリプレグを一辺が100mmの正方形にカットし、質量(W)を測定した。その後、デシケーター中で、プリプレグを水中に沈めた。デシケーター内を、10kPa以下に減圧し、プリプレグ内部の空気と水を置換させた。プリプレグを水中から取り出し、表面の水を拭き取り、プリプレグの質量(W)を測定した。これらの測定値から下記式
吸水率(%)=[(W−W)/W]×100
:プリプレグの質量(g)
:吸水後のプリプレグの質量(g)
を用いて吸水率を算出し、以下の基準で評価した。
○:吸水率が10%未満。
×:吸水率が10%以上
(1−2)室温保存安定性
プリプレグを温度26.7℃、湿度65%に10日間保存した後に、プリプレグをカットし、金型に積層することにより評価した。評価基準は以下のとおりとした。
○:金型へ積層しても十分追従し、製造直後とほとんど変わらない取扱い性。
△:プリプレグの硬化反応が進行し、タック・ドレープ性が低下しているが、金型へ積層しても、使用するには問題の無いレベル。
×:プリプレグの硬化反応が進行し、タック・ドレープ性が著しく低下しており、金型へ積層することが困難な状況。
(2)プリプレグ加工品の物性
(2−1)有孔圧縮強度(OHC)
上記(1−2)で得られたプリプレグを一辺が360mmの正方形にカット、積層し、積層構成[+45/0/−45/90]3Sの積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物を幅38.1mm×長さ304.8mmの寸法に切断し、試験片中心に直径6.35mmの穴あけ加工を施し、有孔圧縮強度(OHC)試験の試験片を得た。試験片と試験は、SACMA SRM3に則って測定し、最大点荷重から有孔圧縮強度を算出した。
(2−2)Hot−wet OHC
上記(1−2)で得られたプリプレグを一辺が360mmの正方形にカット、積層し、積層構成[+45/0/−45/90]3Sの積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物を幅38.1mm×長さ304.8mmの寸法に切断し、試験片中心に直径6.35mmの穴あけ加工を施し、有孔圧縮強度(OHC)試験の試験片を得た。プレッシャークッカー(エスペック社製、HASTEST PC−422R8)を用い、121℃、72時間の条件にて準備したOHC試験片の吸水処理を行った。
試験は、SACMA SRM3に則って実施し、最大点荷重から有孔圧縮強度を算出した。なお、測定は104℃および121℃で行った。
(2−3)層間破壊靭性モードI(GIc)
上記(1−2)で得られたプリプレグを一辺が360mmの正方形にカットした後、積層し、0°方向に10層積層した積層体を2つ作製した。初期クラックを発生させるために、離型シートを2つの積層体の間に挟み、両者を組み合わせ、積層構成[0]20のプリプレグ積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物を幅25.0mm×長さ160.0mmの寸法に切断し、層間破壊靭性モードI(GIc)の試験片を得た。
GIcの試験方法として、双片持ちはり層間破壊靱性試験法(DCB法)を用い、離型シートの先端から2〜5mmの予亀裂(初期クラック)を発生させた後に、さらに亀裂を進展させる試験を行った。試験は、JIS K 7086に則って実施し、n=5で測定を行った。
(2−4)厚み方向体積抵抗率
上記(1−2)で得られたプリプレグを一辺が360mmの正方形にカット、積層し、積層構成[+45/0/−45/90]4Sの積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物を幅40.0mm×長さ40.0mmの寸法に切断し、厚み方向体積抵抗率測定の試験片を得た。試験片の表面・裏面間に電圧を印加して、厚み方向体積抵抗率(Ω・cm)
を測定した。なお、測定は、デジタルオームメータを利用して行った。
〔実施例1〕
攪拌機を用いてエポキシ樹脂(TG−mAP)に熱可塑性樹脂(PES5003PおよびPA−12)を120℃で溶解させた。その後、80℃まで降温し、30分間混合し、エポキシ樹脂組成物Aを調製した。用いた成分の種類および量は表1に記載のとおりとした。
また、攪拌機を用いてエポキシ樹脂(3,4’−TGDDE)に熱可塑性樹脂(PES5003P)および硬化剤(3,3’−DDS)を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物Bを調製した。用いた成分の種類および量は表1に記載のとおりとした。
リバースロールコーターを用いて、離型紙上にエポキシ樹脂組成物Aを塗布して樹脂フィルムAを作製した。また、リバースロールコーターを用いて、離型紙上にエポキシ樹脂組成物Bを塗布して樹脂フィルムBを作製した。目付は、樹脂フィルムAを60g/m、樹脂フィルムBを40g/mとした。
次に、樹脂Aフィルム2枚の間に、炭素繊維ストランドを一方向に均一に配列(目付け190g/m)させて供給し、ローラーを用いて、温度70〜140℃および圧力10kg/cmで加圧および加熱して、一次プリプレグを得た。
その後、樹脂Bフィルム2枚の間に前記一次プリプレグを供給し、ローラーを用いて、温度60〜120℃および圧力1.5kg/cmで加圧および加熱して、ロールに巻き取り、プリプレグを得た。
プリプレグ全体に対する樹脂の含有率は35質量%であった。得られたプリプレグの各種性能を表1に示した。実施例1は、コンポジット物性も非常に高い値が得られ、室温保存安定性も良好であった。
〔実施例2〕
実施例1においてエポキシ樹脂組成物Aに用いるエポキシ樹脂としてTG−mAPおよび4,4’−TGDDMを表1に記載の量で用い、熱可塑性樹脂PES5003Pを表1記載の量で添加した以外は実施例1と同様に実施してプリプレグを得た。
〔比較例1〜7〕
エポキシ樹脂組成物Aおよびエポ期樹脂組成物Bを得るために用いる成分および量を表1に記載のものに変更した他は実施例1と同様に実施してプリプレグを得た。
比較例1は、含浸層(内層)に3官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂MY0600が高濃度に存在し、タック層(表層)に硬化剤3,3’−DDSが存在するため、室温保存安定性は改善できた。しかし、タック層(表層)含有樹脂が4官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂4,4’−TGDDMであるため、コンポジットの機械物性Hot−wet OHCが低下した。
比較例2は、含浸層(内層)、タック層(表層)ともに含有樹脂が4官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂4,4’−TGDDMであり、タック層(表層)に硬化剤3,3’−DDSが存在するため、室温保存安定性は改善できた。しかし、コンポジットの機械物性OHC、Hot−wet OHCが低下した。
比較例3は、含浸層(内層)に硬化剤3,3’−DDSが存在し、タック層(表層)に高濃度の3官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂MY0600が高濃度に存在するため、室温保存安定性は改善できた。しかし、コンポジットの機械物性OHC,Hot−wet
OHCが低下した。
比較例4は、含浸層(内層)に硬化剤3,3’−DDSが存在し、タック層(表層)に高濃度の3官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂MY0600が高濃度に存在するため、室温保存安定性は改善できた。しかし、コンポジットの機械物性OHC,Hot−wet
OHCが低下した。
比較例5は、含浸層(内層)、タック層(表層)に高濃度の3官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂MY0600と、硬化剤3,3’−DDSとが存在するため、室温保存安定性が悪化した。
比較例6は、含浸層(内層)、タック層(表層)に高濃度の3官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂MY0600と、硬化剤3,3’−DDSとが存在するため、室温保存安定性が悪化した。
比較例7は、含浸層(内層)、タック層(表層)に高濃度の3官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂MY0600と、硬化剤3,3’−DDSとが存在するため、室温保存安定性が悪化した。
〔比較例8、9〕
エポキシ樹脂組成物Aおよびエポ期樹脂組成物Bを得るために用いる成分および量を表1に記載のものに変更した他は実施例1と同様に実施してプリプレグを得た。
Figure 2021172694
本発明のプリプレグは繊維強化複合材料(コンポジット)の製造に用いることができる。
100・・・プリプレグ
10・・・1次プリプレグ
11・・・炭素繊維
12・・・強化繊維層
13・・・エポキシ樹脂組成物A
13a・・・樹脂Aフィルム
14a・・・離型紙
15・・・エポキシ樹脂組成物B
15a・・・樹脂Bフィルム
21・・・強化繊維層
23・・・樹脂Aフィルムのロール
24・・・離型紙の巻き取りロール
25・・・樹脂Bフィルムのロール
40、41・・・熱ローラー
101・・・プリプレグの巻き取りロール

Claims (10)

  1. 強化繊維基材と、該強化繊維基材が形成する強化繊維層内に含浸されたエポキシ樹脂組成物Aとからなる1次プリプレグと、該1次プリプレグの片面または両面に形成されるエポキシ樹脂組成物Bからなる表面層と、からなるプリプレグであって、エポキシ樹脂組成物Aとエポキシ樹脂組成物Bがそれぞれ、以下に示す配合であることを特徴とするプリプレグ。
    エポキシ樹脂組成物A:
    エポキシ当量が120g/eq以下であるエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物
    エポキシ樹脂組成物B:
    下記化学式(1)で示されるエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂の硬化剤を含み、該硬化剤の含有量がエポキシ樹脂組成物Bに含まれるエポキシ樹脂の総量に対する当量比で150〜300%であるエポキシ樹脂組成物
    Figure 2021172694
    (ただし、化(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、ハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを表し、Xは−CH−、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−O−C(=O)−、−NHCO−、−CONH−、−SO−から選ばれる1つを表す。)
  2. エポキシ樹脂組成物Aがエポキシ樹脂の硬化剤を実質的に含まない、請求項1記載のプリプレグ。
  3. エポキシ樹脂組成物Aおよびエポキシ樹脂組成物Bに含まれるエポキシ樹脂の合計量の30質量%以上が3官能基のエポキシ樹脂である、請求項2に記載のプリプレグ。
  4. エポキシ樹脂組成物Aがさらにエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載のプリプレグ。
  5. 前記エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂が、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミドまたはポリカーボネートである、請求項4に記載のプリプレグ。
  6. エポキシ樹脂組成物Aがさらにエポキシ樹脂不溶熱可塑性樹脂を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載のプリプレグ。
  7. エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂が、非晶性ポリアミド、ポリアミド6、ポリアミド12または非晶性ポリイミドである、請求項6に記載のプリプレグ。
  8. エポキシ樹脂組成物Bに含まれる硬化剤が芳香族ジアミン化合物である、請求項1乃至7のいずれかに記載のプリプレグ。
  9. 芳香族ジアミン化合物が、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンである請求項8記載のプリプレグ。
  10. 強化繊維基材が炭素繊維からなる、請求項1乃至9のいずれかに記載のプリプレグ。
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