JP2020176249A - エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、プリプレグの製造方法、及び繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents
エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、プリプレグの製造方法、及び繊維強化複合材料の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2020176249A JP2020176249A JP2019081508A JP2019081508A JP2020176249A JP 2020176249 A JP2020176249 A JP 2020176249A JP 2019081508 A JP2019081508 A JP 2019081508A JP 2019081508 A JP2019081508 A JP 2019081508A JP 2020176249 A JP2020176249 A JP 2020176249A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- epoxy resin
- resin composition
- prepreg
- particles
- resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【課題】本発明の目的は、耐衝撃性や高温高湿時の機械的特性に優れた繊維強化複合材料を、短い成形サイクルで与えるエポキシ樹脂組成物およびプリプレグを提供することである。【解決手段】本発明は、少なくとも[A]エポキシ樹脂と[B]エポキシ樹脂硬化剤および[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子からなるエポキシ樹脂組成物である。エポキシ樹脂組成物が、さらに[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。[A]エポキシ樹脂100質量部に対して、[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子を10〜50質量部含有することが好ましく、[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を10〜50質量部含有することも好ましい。[B]硬化剤は、ジシアンジアミド、ウレア系硬化促進剤または芳香族アミンの何れか、もしくはその組み合わせであることが好ましい。また、[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子は、芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンとの開環重付加反応を施したポリアミドイミド樹脂粒子であることが好ましい。【選択図】なし
Description
本発明は、エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、プリプレグの製造方法、及び繊維強化複合材料の製造方法に関する。更に詳述すれば、高温高湿時における層間剪断強度に優れた繊維強化複合材料を与えるエポキシ樹脂組成物、かかるエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグおよび繊維強化複合材料に関する。
強化繊維と樹脂とからなる繊維強化複合材料(単に複合材料、またはFRPともいう)は、軽量、高強度、高弾性率等の特長を有し、航空機、自動車、スポーツ・レジャー、一般産業に広く応用されている。この繊維強化複合材料は、強化繊維と、マトリクス樹脂と呼ばれる樹脂が予め一体化されているプリプレグを経由して製造されることが多い。
マトリクス樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が使用されている。特に、そのタック性、ドレープ性による成形自由度の高さから、熱硬化性樹脂、中でもエポキシ樹脂を用いたプリプレグが広く使用されている。エポキシ樹脂は、一般に靱性が低いため、プリプレグを構成する樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性が低くなるという課題がある。特に、航空機や自動車などの輸送機器用途では、複合材料に対して、高い耐衝撃性(特に、衝撃後圧縮強度(CAI))や高温高湿環境での高い機械特性(特に、高温高湿時の層間剪断強度(HW ILSS))が求められている。そのため、これらの力学特性を向上させる技術が検討されてきた。
例えば、特許文献1には、耐衝撃性を向上させる方法として、熱可塑性樹脂の粒子をプリプレグ層間に配する方法が提案されている。また、特許文献2には、プリプレグの表面と内部の樹脂組成を変えて耐衝撃性と高温高湿時の機械的特性を向上させる方法が提案されている。しかしながら、これらの技術で得られる複合材料の耐衝撃性と高温高湿時の機械的特性はまだ十分ではなかった。
また、一般的に、エポキシ樹脂を用いたプリプレグから機械的特性の優れた複合材料を得るためには、高温・高圧で環境制御可能なオートクレーブを用いて、1時間以上の加熱硬化が必要であり、昇温降温の時間を含めると一回の成形に3時間〜6時間程度の成形時間が必要とされている。そこで近年、成形時間を短縮し成形コスト低減を図るべく、これらの成形サイクルを向上させる技術が検討されている。成形サイクルを向上させる方法として、例えば、特許文献3には、ジシアンジアミドなどの硬化剤やウレア系硬化促進剤など、比較的硬化時間の短い硬化剤・硬化促進剤を用いる事が提案されている。ところが、このような硬化時間の短い硬化剤を用いると、その硬化物は吸湿しやすく、湿熱後の耐熱性が低くなってしまい、高温高湿時の機械的特性がさらに低下してしまう問題もある。
そのため、耐衝撃性や高温高湿時の機械的特性に優れた繊維強化複合材料を、短い成形サイクルで与えるエポキシ樹脂組成物が必要とされている。
本発明の目的は、耐衝撃性や高温高湿時の機械的特性に優れた繊維強化複合材料を、短い成形サイクルで与えるエポキシ樹脂組成物およびプリプレグを提供することである。
上記目的を達成する本発明は、少なくとも[A]エポキシ樹脂と[B]エポキシ樹脂硬化剤および[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子からなるエポキシ樹脂組成物である。本発明においては、エポキシ樹脂組成物が、さらに[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。本発明において、[A]エポキシ樹脂100質量部に対して、[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子を10〜50質量部含有することが好ましく、[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を10〜50質量部含有することも好ましい。
本発明で用いる[B]硬化剤は、ジシアンジアミド、ウレア系硬化促進剤または芳香族アミンの何れか、もしくはその組み合わせであることが好ましい。また、[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子は、芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンとの開環重付加反応を施したポリアミドイミド樹脂粒子であることが好ましく、その平均粒子径が、マイクロトラック法(レーザー回折法)を用いて測定される粒子径として、D50の値が5〜50μmのポリイミド粒子であることが好ましい。[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、重量平均分子量Mwが1000〜20000の熱可塑性樹脂であることが好ましく、ポリサルホンであることも好ましい。
本発明は、かかるエポキシ樹脂組成物を強化繊維基材へ含浸させたプリプレグ、かかるプリプレグの製造方法、および、かかるプリプレグを硬化させた繊維強化複合材料を包含する。
本発明のエポキシ樹脂組成物によれば、耐衝撃性や高温高湿時の機械的特性に優れた繊維強化複合材料を、短い成形サイクルで与えるプリプレグを得ることができる。
また、本発明のプリプレグによれば、耐衝撃性や高温高湿時の機械的特性に優れた繊維強化複合材料を、短い成形サイクルで得ることができる。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料、及びそれらの製造方法の詳細について説明する。
(1) エポキシ樹脂組成物
本発明のエポキシ樹脂組成物は、[A]エポキシ樹脂と[B]硬化剤、[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子とを含んでなる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、[A]エポキシ樹脂と[B]硬化剤、[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子とを含んでなる。
ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子は、硬化後のマトリクス樹脂中に溶解せずに粒子として残存する。そのため、この粒子は、複合材料のマトリクス樹脂中に分散した状態となる(以下、この分散している粒子を「層間粒子」ともいう)。この層間粒子は、複合材料が受ける衝撃の伝播を抑制する。その結果、得られる複合材料の耐衝撃性が向上する。
また、ポリイミド樹脂粒子のポリアミック酸型イミド骨格内の2級アミンが、エポキシ樹脂の硬化時に、硬化促進触媒として働くため、樹脂組成物の硬化時間を短縮し、成形サイクルを短くすることができる。また、硬化した樹脂組成物は、分子の架橋構造の密度が高密度な樹脂硬化物となる。その結果、高温・湿度環境下での飽和吸水率が低くなり、高い弾性率が保持される。それにより、得られる繊維強化複合材料の高温高湿時の機械的特性を高くすることができる。
さらに、ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子を用いると、エポキシ樹脂硬化時に、ポリアミック酸型イミド骨格内の2級アミンがエポキシ樹脂の硬化を促進させるだけでなく、2級アミンの活性水素とエポキシ樹脂が反応し、ポリイミド樹脂粒子とエポキシ樹脂との界面接着性が強固に形成される。その結果、ポリイミド樹脂粒子が層間粒子として、複合材料が受ける衝撃の伝播を抑制する効果がさらに高くなり、得られる複合材料の耐衝撃性がさらに向上する。
そのため、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いると、耐衝撃性や高温高湿時の機械的特性に優れた繊維強化複合材料を、短い成形サイクルで製造することができる。
本発明において、ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子は、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を開環重付加反応させ、ポリアミドイミド樹脂の中間体であるポリアミド酸を合成した後、一部分を脱水反応させて得られるポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子であることが、プリプレグを製造しやすいため好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに、[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含んでいることが好ましい。エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂組成物の粘度を調整するとともに、得られるFRPの耐衝撃性を向上させる。
[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂と反応性を有する反応基又は水素結合を形成する官能基を有する熱可塑性樹脂であることがより好ましい。このようなエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂との親和性が高いため、エポキシ樹脂の硬化過程での析出しにくく、溶解安定性に優れている。また、硬化後に得られるFRPに靭性、耐薬品性、耐熱性及び耐湿熱性を付与することができる。
エポキシ樹脂との反応性を有する反応基としては、水酸基、カルボン酸基、イミノ基、アミノ基などが好ましい。これらの中でも、アミン末端、または、水酸基末端のポリサルホン、ポリエーテルスルホンを用いると、得られるFRPの耐衝撃性、破壊靭性及び耐溶剤性が特に優れるためより好ましい。
本発明においては、[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂が、反応性アミン末端基を有する熱可塑性樹脂であることが特に好ましい。反応性アミン末端基を有する熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂組成物に用いると、加熱時に[A]エポキシ樹脂と[B]硬化剤とが反応して硬化するとともに、[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂のアミン末端基と[A]エポキシ樹脂とが反応して高分子量化する。これにより、エポキシ樹脂組成物に溶解していた熱可塑性樹脂が反応誘起型の相分離をし、[A]エポキシ樹脂と[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂との反応物が、マトリックス樹脂中に粒子として析出する。相分離によって生じた粒子であるため、また、熱可塑性樹脂がアミン末端基を介してエポキシ樹脂との共有結合を有しているため、この相分離により析出した粒子はマトリックス樹脂と強固に結合している。この粒子は、繊維強化複合材料に対する外部からの衝撃を吸収してクラック伝播を抑制する。その結果、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性および破壊靭性がさらに高くなる。さらに、熱可塑性樹脂の末端基が反応しマトリックス樹脂と強固に結合しているため、耐溶剤性に関しても優れた性能を発揮することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、これらの他に、熱可塑性樹脂やその他の添加剤を含んでいても良い。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、100℃における粘度が、0.1〜1000Pa・sであることが好ましく、1〜100Pa・sであることがより好ましい。100℃における粘度がこの範囲であると、複合材料の成形時に樹脂が流失しにくい一方、樹脂が繊維に十分含侵するため、得られる繊維強化複合材料においてボイド等が形成されにくくなる。粘度が低すぎる場合、成形時にプリプレグから樹脂が流出し易くなる傾向がある。粘度が高すぎる場合、プリプレグに未含浸部分が生じる場合があり、得られる繊維強化複合材料においてボイド等が形成される場合がある。
上記のような本発明のエポキシ樹脂組成物を用いると、耐衝撃性や高温高湿時の機械的特性に優れた繊維強化複合材料を、短い成形サイクルで製造することができる。以下、本発明のエポキシ樹脂組成物の各成分および製造方法について、さらに詳細に説明する。
(1−1) [A]エポキシ樹脂
本発明で用いる[A]エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、公知のエポキシ樹脂を用いる事ができる。[A]エポキシ樹脂としては、例えば、分子内に水酸基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、分子内にアミノ基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、分子内にカルボキシル基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、および分子内に二重結合を有する化合物を酸化することから得られる脂環式エポキシ樹脂、あるいはこれらから選ばれる2種類以上のタイプの基が分子内に混在するエポキシ樹脂などが、高温高湿時にも硬化物の弾性率の低下が小さく、複合材料とした際の高温高湿時の物性に優れるため、好ましく用いられる。
本発明で用いる[A]エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、公知のエポキシ樹脂を用いる事ができる。[A]エポキシ樹脂としては、例えば、分子内に水酸基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、分子内にアミノ基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、分子内にカルボキシル基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、および分子内に二重結合を有する化合物を酸化することから得られる脂環式エポキシ樹脂、あるいはこれらから選ばれる2種類以上のタイプの基が分子内に混在するエポキシ樹脂などが、高温高湿時にも硬化物の弾性率の低下が小さく、複合材料とした際の高温高湿時の物性に優れるため、好ましく用いられる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールADとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシノールとエピクロロヒドリンの反応により得られるレゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールとホルムアルデヒドの反応生成物であるフェノールノボラックとエピクロロヒドリンの反応により得られるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、およびこれらの位置異性体やアルキル基やハロゲンでの置換体が挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、“jER”(登録商標)827、“jER”(登録商標)828(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン”(登録商標)840、“エピクロン”(登録商標)850(以上、DIC(株)製)、“エポトート”(登録商標)YD−128(新日鉄住金化学(株)製)、DER−331、DER−332(Olin社製)などが具体的にあげられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、“jER”(登録商標)806、“jER”(登録商標)807、“jER”(登録商標)1750(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン”(登録商標)830、“エピクロン”(登録商標)835(以上、DIC(株)製)、“エポトート”(登録商標)YD−170、“エポトート”(登録商標)YD−175(新日鉄住金化学(株)製)などが具体的にあげられる。
ビスフェノールAD型エポキシ樹脂としては、“EPOMIK”(登録商標)R710、“EPOMIK”(登録商標)R1710(以上、(株)プリンテック製)などが具体的に挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂としては、“デナコール”(登録商標)EX−201(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、“jER”(登録商標)152、“jER”(登録商標)154(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン”(登録商標)740(DIC(株)製)などが挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類、アミノフェノールのグリシジル化合物類、グリシジルアニリン類、およびキシレンジアミンのグリシジル化合物などが挙げられる。
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類としては、“スミエポキシ”(登録商標)ELM434(住友化学(株)製)、“アラルダイト”(登録商標)MY720、“アラルダイト”(登録商標)MY721、“アラルダイト”(登録商標)MY9512、“アラルダイト”(登録商標)MY9612、“アラルダイト”(登録商標)MY9634、“アラルダイト”(登録商標)MY9663(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、“jER”(登録商標)604(三菱化学社製)などが具体的に挙げられる。
アミノフェノールのグリシジル化合物類としては、“jER”(登録商標)630(三菱化学(株)製)、“アラルダイト”(登録商標)MY0500、“アラルダイト”(登録商標)MY0510(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、“スミエポキシ”(登録商標)ELM120、および“スミエポキシ”(登録商標)ELM100(以上住友化学(株)製)などが挙げられる。
グリシジルアニリン類としては、GAN、GOT(以上、日本化薬(株)製)などが具体的に挙げられる。キシレンジアミンのグリシジル化合物としては、TETRAD−X(三菱瓦斯化学(株)製)が挙げられる。
(1−2) [B]硬化剤
本発明で用いる硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤であれば特に制限はないが、例えば、芳香族アミン、脂肪族アミン、ポリアミドアミン、カルボン酸無水物、ルイス酸錯体、酸系硬化触媒、および塩基系硬化触媒などが挙げられる。なかでも、反応性の点から脂肪族アミンが好ましく用いられ、得られる硬化物の物性の観点からは、芳香族アミンが好ましく用いられる。
本発明で用いる硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤であれば特に制限はないが、例えば、芳香族アミン、脂肪族アミン、ポリアミドアミン、カルボン酸無水物、ルイス酸錯体、酸系硬化触媒、および塩基系硬化触媒などが挙げられる。なかでも、反応性の点から脂肪族アミンが好ましく用いられ、得られる硬化物の物性の観点からは、芳香族アミンが好ましく用いられる。
芳香族アミンとしては、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられ、より具体的には、SEIKACURE―S(和歌山精化工業(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)、3,3’−DAS(三井化学ファイン(株)製、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン)、“アンカミン”(登録商標)2049(エアープロダクツジャパン(株)製芳香族ポリアミン)、などが挙げられる。
本発明において、芳香族ポリアミンは、アミノ基に対するオルト位に少なくとも1つの脂肪族置換基、芳香族置換基、ハロゲン原子のいずれかの置換基を有する芳香族ポリアミンからなる硬化剤であることがプリプレグ保存安定性、耐湿熱特性の観点でより好ましい。このような芳香族ポリアミンとしては、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’ 5,5’ 5,5’−テトラエチルジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−2,2’,6,6’−テトラエチル−4,4’−メチレンジアニリンなどが挙げられる。より具体的には、“Lonzacure M−MIPA”(登録商標)(ロンザ社製4,4’−ジアミノ−3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン)、 “MED−J”(登録商標)(クミアイ化学社製4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン)、“Lonzacure M−DEA”(登録商標)(ロンザ社製4,4’−ジアミノ−3,3’ 5,5’ 5,5’−テトラエチルジフェニルメタン)、“Lonzacure M−CDEA”(登録商標)(ロンザ社製3,3’−ジクロロ−2,2’,6,6’−テトラエチル−4,4’−メチレンジアニリン)などを挙げることができる。
脂肪族アミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジシアンジアミド、テトラエチレンペンタミン、ジプロプレンジアミン、ピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ポリアミドアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、ココアルキルアミン、牛脂アルキルアミン、オレイルアミン、硬化牛脂アルキルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、およびN,N−ジメチルミリスチルアミンなどが挙げられる。より具体的には、DICY7(ジャパンエポキシレジン(株)社製 ジシアンジアミド)などが挙げられる。
ポリアミドアミンとしては、より具体的には、“トーマイド”(登録商標)235S、“トーマイド”(登録商標)296、および“トーマイド”(登録商標)2400(以上富士化成工業(株)製)などを挙げることができる。
また、これらの硬化剤は、その硬化活性を高めるために硬化促進剤(硬化助剤)を組み合わせて用いることが好ましい。エポキシ樹脂に硬化助剤を組み合わせる場合の好ましい例としては、ジシアンジアミドに、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)などの尿素誘導体を硬化助剤として組み合わせる例、芳香族アミンに三フッ化ホウ素エチルアミン錯体を硬化助剤として組み合わせる例、およびカルボン酸無水物やノボラック樹脂に3級アミンを硬化助剤として組み合わせる例などが挙げられる。
本発明において、硬化剤が、ジシアンジアミド、ウレア系硬化促進剤および芳香族アミンの何れか又はその組み合わせであることが、成形性と、得られる複合材料の機械特性の点からの特に好ましい。また、ジシアンジアミド、ウレア系硬化促進剤および芳香族アミンの3種を組み合わせることが、得られる繊維強化複合材料の吸水性を下げ、高湿時の耐熱性を上げられるため、より好ましい。熱硬化性樹脂に対する硬化剤の添加量は、耐熱性と反応性の点から熱硬化性樹脂に対して化学量論比に基づいて調整することが好ましい。また、硬化助剤を使用する場合は、熱硬化性樹脂の官能基に対し0.001から1当量であることが好ましい。
(1−3) [C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子
本樹脂組成物には、ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子が配合される。ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子としては、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を開環重付加反応させ、ポリアミドイミド樹脂の中間体であるポリアミド酸を合成した後、一部分を脱水反応させて得られるポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子であることが好ましい。
本樹脂組成物には、ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子が配合される。ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子としては、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を開環重付加反応させ、ポリアミドイミド樹脂の中間体であるポリアミド酸を合成した後、一部分を脱水反応させて得られるポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子であることが好ましい。
本発明に用いられるポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子の平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折法)による平均粒子径(D50メジアン径)が、0.1〜150μmであることが好ましく、より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは5〜50μm、特に好ましくは、5〜30μmである。
本発明において、ポリイミド樹脂粒子の添加量は、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性、高温高湿時の機械的特性の観点から、[A]エポキシ樹脂100質量部に対して、[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子10〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは、15〜35質量部である。
(1−4) [D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに、[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含んでいることが好ましい。エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂組成物の粘度を調整するとともに、得られるFRPの耐衝撃性を向上させる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに、[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含んでいることが好ましい。エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂組成物の粘度を調整するとともに、得られるFRPの耐衝撃性を向上させる。
本発明において、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂とは、エポキシ樹脂に一部又は全部が加熱等により溶解し得る熱可塑性樹脂を言う。ここで、エポキシ樹脂に一部が溶解するとは、エポキシ樹脂100質量部に対して、平均粒子径が20〜50μmの熱可塑性樹脂10質量部を混合して190℃で1時間撹拌した際に粒子が消失するか、粒子の大きさが10%以上変化することを意味する。
エポキシ樹脂と組み合わせて用いられるエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。これらの中でも、ポリサルホンまたは/およびポリエーテルスルホンを用いると、得られるFRPの耐衝撃性、破壊靭性及び耐溶剤性が特に優れるためより好ましく、ポリサルホンを用いることがさらに好ましい。
[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂と反応性を有する反応基又は水素結合を形成する官能基を有する熱可塑性樹脂であることがより好ましい。このようなエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂の硬化過程での溶解安定性に優れている。また、硬化後に得られるFRPに靭性、耐薬品性、耐熱性及び耐湿熱性を付与することができる。
エポキシ樹脂との反応性を有する反応基としては、水酸基、カルボン酸基、イミノ基、アミノ基などが好ましい。これらの中でも、アミン末端、または、水酸基末端のポリサルホン、ポリエーテルスルホンを用いると、得られる複合材料の耐衝撃性、破壊靭性及び耐溶剤性が特に優れるためより好ましい。
エポキシ樹脂と組み合わせる反応性末端基を有するエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の市販品としては、末端反応性水酸基を有するポリエーテルサルホン“スミカエクセル”(登録商標)PES5003P(住友化学(株)社製)、“Virantage”(登録商標)VW−10700RSF(ソルベイ・スペシャルティ・ポリマーズ社製)、末端反応性水酸基を有するポリエーテルサルホン“Virantage”(登録商標)DAMS VW−30500RP(ソルベイ・スペシャルティ・ポリマーズ社製)などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、反応性アミン末端基を有する熱可塑性樹脂が配合されていることが特に好ましい。アミン末端基は第一級アミン(−NH2)末端基であることが好ましい。アミン末端基を有する熱可塑性樹脂としては特に制限はないが、アミン末端基を有するポリサルホン(以下、「ATPSF」ともいう)を好ましく用いることができる。このATPSFは、公知のATPSFを用いることができる。ATPSFとしては、好ましく用いられる市販品としては、例えば、「Virantage DAMS VW−30500 RP(登録商標)」(Solvay Specialty Polymers社製)が挙げられる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、重量平均分子量が1000〜20000であることが好ましい。重量平均分子量がこの範囲であると、得られる硬化物に十分な靭性を与えることができる。分子量が低すぎる場合、充分な靱性を得にくい。また、分子量が高すぎる場合、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、強化繊維に樹脂組成物が含浸しにくくなる等の加工上の問題点が発生しやすくなる傾向がある。
本樹脂組成物における[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、5〜60質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがより好ましく、10〜40質量部であることが特に好ましい。熱可塑性樹脂の含有量がこの範囲内にあると、得られる樹脂組成物の粘度が高くなりすぎず、樹脂組成物の製造工程やプリプレグの製造工程における取り扱い性がよく、かつ、繊維強化複合材料の耐衝撃性が高くすることができる。
(1−5) その他の添加剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、成分[C]および[D]以外の熱可塑性樹脂粒子、導電性粒子や難燃剤、無機系充填剤、内部離型剤などが配合されてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、成分[C]および[D]以外の熱可塑性樹脂粒子、導電性粒子や難燃剤、無機系充填剤、内部離型剤などが配合されてもよい。
熱可塑性樹脂粒子としては、特に制限はないが、熱可塑性ポリアミド樹脂粒子が好ましく用いられ、その優れた靭性のため耐衝撃性を大きく向上できる。ポリアミド樹脂粒子としては、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66やポリアミド6/12共重合体、特開平1−104624号公報の実施例1記載のエポキシ化合物にてセミIPN(高分子相互侵入網目構造)化されたポリアミド(セミIPNポリアミド)などを好適に用いることができる。ポリアミド粒子の市販品としては、SP−500、SP−10、TR−1、TR−2、842P−48、842P−80(以上、東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”1002D、2001UD、2001EXD、2002D、3202D、3501D,3502D、(以上、アルケマ(株)製)、“グリルアミド(登録商標)”TR90、TR55(以上、エムスケミー社製)、“TROGAMID(登録商標)”CX7323、CX9701、CX9704、(以上、エボニック(株)社製)等を使用することができる。これらのポリアミド粒子は、単独で使用しても複数を併用してもよい。
導電性粒子としては、ポリアセチレン粒子、ポリアニリン粒子、ポリピロール粒子、ポリチオフェン粒子、ポリイソチアナフテン粒子及びポリエチレンジオキシチオフェン粒子等の導電性ポリマー粒子、カーボン粒子、炭素繊維粒子、金属粒子、無機材料又は有機材料から成るコア材を導電性物質で被覆した粒子が例示される。
難燃剤としては、リン系難燃剤が例示される。リン系難燃剤としては、分子中にリン原子を含むものであれば特に限定されず、例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物、ポリリン酸塩などの有機リン化合物や赤リンが挙げられる。
無機系充填材としては、例えば、ホウ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、グラファイト、硫酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸塩鉱物が挙げられる。特に、ケイ酸塩鉱物を用いることが好ましい。ケイ酸塩鉱物の市販品としては、THIXOTROPIC AGENT DT 5039(ハンツマン・ジャパン株式会社製)が挙げられる。
内部離型剤としては、例えば、金属石鹸類、ポリエチレンワックスやカルバナワックス等の植物ワックス、脂肪酸エステル系離型剤、シリコンオイル、動物ワックス、フッ素系非イオン界面活性剤を挙げることができる。これら内部離型剤の配合量は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.2〜2質量部であることがさらに好ましい。この範囲内においては、金型からの離型効果が好適に発揮される。
内部離型剤の市販品としては、“MOLD WIZ(登録商標)” INT1846(AXEL PLASTICS RESEARCH LABORATORIES INC.製)、Licowax S、Licowax P、Licowax OP、Licowax PE190、Licowax PED(クラリアントジャパン社製)、ステアリルステアレート(SL−900A(理研ビタミン(株)製)等が挙げられる。
(1−6) エポキシ樹脂組成物の製造方法
本発明のエポキシ樹脂組成物は、[A]エポキシ樹脂、[B]硬化剤と[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子、必要に応じて、[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂、その他の成分とを混合することにより製造できる。[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂[A]に[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を、攪拌機を用いて予め混合溶解させることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、[A]エポキシ樹脂、[B]硬化剤と[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子、必要に応じて、[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂、その他の成分とを混合することにより製造できる。[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂[A]に[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を、攪拌機を用いて予め混合溶解させることが好ましい。
混合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のいずれの方法を用いてもよい。混合温度としては、80〜120℃の範囲が例示できる。混合温度が高すぎる場合、部分的に硬化反応が進行して強化繊維基材層内への含浸性が低下したり、得られるエポキシ樹脂組成物及びそれを用いて製造されるプリプレグの保存安定性が低下したりする場合がある。一方、混合温度が低すぎる場合、エポキシ樹脂組成物への溶解が不十分となり、プリプレグ製造時の品質に影響が生じる場合がある。好ましくは90〜120℃であり、さらに好ましくは100〜120℃の範囲である。
[A]エポキシ樹脂に、[B]硬化剤と[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子、必要に応じてその他成分を混合する場合、混合温度は、40〜90℃の範囲で行うことが好ましく、より好ましくは60〜90℃であり、さらに好ましくは60〜80℃の範囲である。
混合機械装置としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な例としては、ロールミル、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、バンバリーミキサー、攪拌翼を備えた混合容器、横型混合槽などが挙げられる。各成分の混合は、大気中又は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。大気中で混合が行われる場合は、温度、湿度が管理された雰囲気が好ましい。特に限定されるものではないが、例えば、30℃以下の一定温度に管理された温度や、相対湿度50%RH以下の低湿度雰囲気で混合することが好ましい。
上記のようにして得られる本発明のエポキシ樹脂組成物を用いると、耐衝撃性や高温高湿時の機械的特性に優れた繊維強化複合材料を、短い成形サイクルで製造することができる。
(2) プリプレグ
本発明のプリプレグは、強化繊維基材と、強化繊維基材内に含浸された本発明のエポキシ樹脂組成物とから成る。
本発明のプリプレグは、強化繊維基材と、強化繊維基材内に含浸された本発明のエポキシ樹脂組成物とから成る。
本発明のプリプレグは、強化繊維基材の一部又は全体に上記エポキシ樹脂組成物が含浸されたプリプレグである。プリプレグ全体におけるエポキシ樹脂組成物の含有率は、複合材料の機械特性の観点から、プリプレグの全質量を基準として、15〜60質量%であることが好ましい。樹脂含有率が低すぎる場合、得られる繊維強化複合材料に空隙などが発生し、機械物性を低下させる場合がある。樹脂含有率が高すぎる場合、強化繊維による補強効果が不十分となり、実質的に質量対比機械物性が低いものになる場合がある。樹脂含有率は、20〜55質量%であることが好ましく、25〜50質量%であることがより好ましい。
(2−1) 強化繊維基材
本発明で用いる強化繊維基材としては、特に制限はなく、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維などが挙げられる。
本発明で用いる強化繊維基材としては、特に制限はなく、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維などが挙げられる。
これらの強化繊維の中でも、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましい。比強度、比弾性率が良好で、軽量かつ高強度の繊維強化複合材料が得られる点で、炭素繊維がより好ましい。引張強度に優れる点でポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が特に好ましい。
強化繊維にPAN系炭素繊維を用いる場合、その引張弾性率は、100〜600GPaであることが好ましく、200〜500GPaであることがより好ましく、230〜450GPaであることが特に好ましい。また、引張強度は、2000MPa〜10000MPaであることが好ましく、3000〜8000MPaであることがより好ましい。炭素繊維の直径は、4〜20μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。このような炭素繊維を用いることにより、得られる繊維強化複合材料の機械的性質を向上できる。
強化繊維は、強化繊維束であってもよく、強化繊維をシート状に形成した強化繊維シートとして用いてもよい。シート状に形成して用いることが好ましい。強化繊維シートとしては、例えば、多数本の強化繊維を一方向に引き揃えたシートや、平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組紐、強化繊維を抄紙した紙を挙げることができる。これらの中でも、強化繊維を連続繊維としてシート状に形成した一方向引揃えシートや二方向織物、多軸織物基材を用いると、より機械物性に優れた繊維強化複合材料が得られるため好ましい。シート状の強化繊維基材の厚さは、0.01〜3mmが好ましく、0.1〜1.5mmがより好ましい。
(2−2) プリプレグの製造方法
本発明のプリプレグの製造方法は、特に制限がなく、従来公知のいかなる方法も採用できる。具体的には、ホットメルト法や溶剤法が好適に採用できる。
本発明のプリプレグの製造方法は、特に制限がなく、従来公知のいかなる方法も採用できる。具体的には、ホットメルト法や溶剤法が好適に採用できる。
ホットメルト法は、離型紙の上に、樹脂組成物を薄いフィルム状に塗布して樹脂組成物フィルムを形成し、強化繊維基材に樹脂組成物フィルムを積層して加圧下で加熱することにより樹脂組成物を強化繊維基材層内に含浸させる方法である。
樹脂組成物を樹脂組成物フィルムにする方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知のいずれの方法を用いることもできる。具体的には、ダイ押し出し、アプリケーター、リバースロールコーター、コンマコーターなどを用いて、離型紙やフィルムなどの支持体上に樹脂組成物を流延、キャストをすることにより樹脂組成物フィルムを得ることができる。フィルムを製造する際の樹脂温度は、樹脂組成物の組成や粘度に応じて適宜決定する。具体的には、前述のエポキシ樹脂組成物の製造方法における混合温度と同じ温度条件が好適に用いられる。樹脂組成物の強化繊維基材層内への含浸は1回で行っても良いし、複数回に分けて行っても良い。
溶剤法は、エポキシ樹脂組成物を適当な溶媒を用いてワニス状にし、このワニスを強化繊維基材層内に含浸させる方法である。
本発明のプリプレグは、これらの従来法の中でも、溶剤を用いないホットメルト法により好適に製造することができる。
エポキシ樹脂組成物フィルムをホットメルト法で強化繊維基材層内に含浸させる場合の含浸温度は、50〜120℃の範囲が好ましい。含浸温度が低すぎる場合、エポキシ樹脂の粘度が高く、強化繊維基材層内へ十分に含浸しない場合がある。含浸温度が高すぎる場合、エポキシ樹脂組成物の硬化反応が進行し、得られるプリプレグの保存安定性が低下したり、ドレープ性が低下したりする場合がある。含浸温度は、60〜110℃がより好ましく、70〜100℃が特に好ましい。
エポキシ樹脂組成物フィルムをホットメルト法で強化繊維基材層内に含浸させる際の含浸圧力は、その樹脂組成物の粘度・樹脂フローなどを勘案し、適宜決定する。
具体的な含浸圧力は、1〜245(N/cm)であることが好ましい。
具体的な含浸圧力は、1〜245(N/cm)であることが好ましい。
(3) 繊維強化複合材料
本発明のプリプレグを特定の条件で加熱加圧して硬化させることにより、繊維強化複合材料(FRP)を得ることができる。本発明のプリプレグを用いて、FRPを製造する方法としては、オートクレーブ成形やプレス成形等の公知の成形法を用いることができる。
本発明のプリプレグを特定の条件で加熱加圧して硬化させることにより、繊維強化複合材料(FRP)を得ることができる。本発明のプリプレグを用いて、FRPを製造する方法としては、オートクレーブ成形やプレス成形等の公知の成形法を用いることができる。
(3−1)オートクレーブ成形法
本発明のFRPの製造方法としては、オートクレーブ成形法が好ましく用いられる。オートクレーブ成形法は、金型の下型にプリプレグ及びフィルムバッグを順次敷設し、プリプレグを下型とフィルムバッグとの間に密封し、下型とフィルムバッグとにより形成される空間を真空にするとともに、オートクレーブ成形装置で、加熱と加圧をする成形方法である。成形時の条件は、昇温速度を1〜50℃/分とし、0.2〜0.7MPa、130〜180℃で10〜30分間、加熱及び加圧することが好ましい。
本発明のFRPの製造方法としては、オートクレーブ成形法が好ましく用いられる。オートクレーブ成形法は、金型の下型にプリプレグ及びフィルムバッグを順次敷設し、プリプレグを下型とフィルムバッグとの間に密封し、下型とフィルムバッグとにより形成される空間を真空にするとともに、オートクレーブ成形装置で、加熱と加圧をする成形方法である。成形時の条件は、昇温速度を1〜50℃/分とし、0.2〜0.7MPa、130〜180℃で10〜30分間、加熱及び加圧することが好ましい。
(3−2)プレス成形法
本発明のFRPの製造方法としては、プレス成形法が好ましく用いられる。プレス成形法によるFRPの製造は、本発明のプリプレグ又は本発明のプリプレグを積層して形成したプリフォームを、金型を用いて加熱加圧することにより行う。金型は、予め硬化温度に加熱しておくことが好ましい。
本発明のFRPの製造方法としては、プレス成形法が好ましく用いられる。プレス成形法によるFRPの製造は、本発明のプリプレグ又は本発明のプリプレグを積層して形成したプリフォームを、金型を用いて加熱加圧することにより行う。金型は、予め硬化温度に加熱しておくことが好ましい。
プレス成形時の金型の温度は、150〜210℃が好ましい。成形温度が150℃以上であれば、十分に硬化反応を起こすことができ、高い生産性でFRPを得ることができる。また、成形温度が210℃以下であれば、樹脂粘度が低くなり過ぎることがなく、金型内における樹脂の過剰な流動を抑えることができる。その結果、金型からの樹脂の流出や繊維の蛇行を抑制できるため、高品質のFRPが得られる。
成形時の圧力は、0.2〜10MPaである。圧力が0.2MPa以上であれば、樹脂の適度な流動が得られ、外観不良やボイドの発生を防ぐことができる。また、プリプレグが十分に金型に密着するため、良好な外観のFRPを製造することができる。圧力が0.2MPa以下であれば、樹脂を必要以上に流動させることがないため、得られるFRPの外観不良が生じ難い。また、金型に必要以上の負荷をかけることがないため、金型の変形等が生じ難い。成形時間は10〜30分が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物によれば、耐衝撃性や高温高湿時の機械的特性に優れた繊維強化複合材料を、短い成形サイクルで得ることができる。そのため、上記のように本発明のエポキシ樹脂組成物をマトリクス樹脂として用いて繊維強化複合材料を製造すると、生産性良く耐衝撃性や高温高湿時の機械的特性に優れた繊維強化複合材料を製造することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて得られる繊維強化複合材料は、航空機、自動車、スポーツ・レジャー、一般産業など、広い分野で用いることができる。特に、航空機や自動車などの輸送機器用途など、複合材料に対して、高い耐衝撃性や高温高湿環境での高い機械特性が必要とされる分野で好ましく用いることができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本実施例、比較例において使用する成分や評価方法を以下に記載する。
〔成分〕
[A]エポキシ樹脂
・MY721:TGDDM(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン)、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製 “アラルダイト”(登録商標)MY721
・jER828:ビスフェノールA型エポキシ、三菱ケミカル株式会社製 jER828(製品名)
・jER807:ビスフェノールF型エポキシ、三菱ケミカル株式会社製 jER807(製品名)
・MY0510:トリグリシジル−パラアミノフェノール、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製 アラルダイト MY0510(製品名)
〔成分〕
[A]エポキシ樹脂
・MY721:TGDDM(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン)、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製 “アラルダイト”(登録商標)MY721
・jER828:ビスフェノールA型エポキシ、三菱ケミカル株式会社製 jER828(製品名)
・jER807:ビスフェノールF型エポキシ、三菱ケミカル株式会社製 jER807(製品名)
・MY0510:トリグリシジル−パラアミノフェノール、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製 アラルダイト MY0510(製品名)
[B]硬化剤・硬化促進剤
・3,3’−DDS:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業株式会社製
・4,4’−DDS:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、和歌山精化工業株式会社製 SEIKACURE” (登録商標)―S
・MED−J:4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、クミアイ化学工業株式会社製 “MED−J”(登録商標)
・M−MIPA:4,4’−ジアミノ−3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、ロンザ社製 “Lonzacure M−MIPA”(登録商標)
・DDA5:ジシアンジアミド、EMERALD Performance Materials社製 “オミキュア” (登録商標) −DDA5
・U24:2,4−Toluene bis Dimethyl Urea、EMERALD Performance Materials社製 “オミキュア” (登録商標) −U24
・3,3’−DDS:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業株式会社製
・4,4’−DDS:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、和歌山精化工業株式会社製 SEIKACURE” (登録商標)―S
・MED−J:4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、クミアイ化学工業株式会社製 “MED−J”(登録商標)
・M−MIPA:4,4’−ジアミノ−3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、ロンザ社製 “Lonzacure M−MIPA”(登録商標)
・DDA5:ジシアンジアミド、EMERALD Performance Materials社製 “オミキュア” (登録商標) −DDA5
・U24:2,4−Toluene bis Dimethyl Urea、EMERALD Performance Materials社製 “オミキュア” (登録商標) −U24
[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子
・4000TF:芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンとの開環重付加反応を施したポリアミドイミド樹脂粒子、ソルベイ・スペシャルティ・ポリマーズ社製 “トーロン”(登録商標)4000TF、平均粒子径22μm
・4000TF:芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンとの開環重付加反応を施したポリアミドイミド樹脂粒子、ソルベイ・スペシャルティ・ポリマーズ社製 “トーロン”(登録商標)4000TF、平均粒子径22μm
[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂
・DAMS:反応性アミン末端基を有するポリサルホン、ソルベイ・スペシャルティ・ポリマーズ社製 “Virantage”(登録商標) DAMS VW−30500RP、重量平均分子量14000
・PES−5003P:末端水酸基型ポリエーテルサルホン樹脂、住友化学工業株式会社製 スミカエクセル PES−5003P(製品名)、重量平均分子量47000、平均粒子径20μm
・DAMS:反応性アミン末端基を有するポリサルホン、ソルベイ・スペシャルティ・ポリマーズ社製 “Virantage”(登録商標) DAMS VW−30500RP、重量平均分子量14000
・PES−5003P:末端水酸基型ポリエーテルサルホン樹脂、住友化学工業株式会社製 スミカエクセル PES−5003P(製品名)、重量平均分子量47000、平均粒子径20μm
[その他成分]
・ポリアミド粒子:ポリアミド12粒子、アルケマ社製 “オルガソール(登録商標)”2002D
・ポリアミド粒子:ポリアミド12粒子、アルケマ社製 “オルガソール(登録商標)”2002D
[炭素繊維]
・帝人株式会社製 炭素繊維ストランド “テナックス”(登録商標) STS40 F22 24000tex、引張強度4.0GPa、引張弾性率235GPa
・帝人株式会社製 炭素繊維ストランド “テナックス”(登録商標) STS40 F22 24000tex、引張強度4.0GPa、引張弾性率235GPa
[評価方法]
(1)試験環境
層間せん断強度(ILSS)と面内せん断強度(IPSS)は、それぞれ室温環境下、高温・恒湿環境下で評価を行った。それぞれの試験環境は以下のとおりである。
(1)試験環境
層間せん断強度(ILSS)と面内せん断強度(IPSS)は、それぞれ室温環境下、高温・恒湿環境下で評価を行った。それぞれの試験環境は以下のとおりである。
(1−1)室温試験
測定試料を室温23℃、湿度50%環境下に48時間放置し、23℃の恒温環境下で試験を実施した。
測定試料を室温23℃、湿度50%環境下に48時間放置し、23℃の恒温環境下で試験を実施した。
(1−2)H/W試験(高温・恒湿環境試験)
測定試料を温水70℃に2週間浸漬させ、CFRPに吸水させた。その後、測定試料を取り出し、温度90℃の恒温環境下で試験を実施した。
測定試料を温水70℃に2週間浸漬させ、CFRPに吸水させた。その後、測定試料を取り出し、温度90℃の恒温環境下で試験を実施した。
(2) 層間せん断強度(ILSS)
測定試料は、オートクレーブ成形法を用いて製造した。即ち、得られたプリプレグをカットし、積層し、積層構成[0]10の積層体を得た。この積層体を、通常のオートクレーブ成形法で成形した。成形条件は、圧力0.588MPaで、温度150℃で、20分間であった。得られた成形物を幅6.35mm×長さ25.4mmの大きさに切断し、SACMA SRM8−88に則って測定し、降伏点応力の荷重を用いてILSS強度を算出した。試験は、室温試験とH/W試験を実施し、物性評価を実施した。
測定試料は、オートクレーブ成形法を用いて製造した。即ち、得られたプリプレグをカットし、積層し、積層構成[0]10の積層体を得た。この積層体を、通常のオートクレーブ成形法で成形した。成形条件は、圧力0.588MPaで、温度150℃で、20分間であった。得られた成形物を幅6.35mm×長さ25.4mmの大きさに切断し、SACMA SRM8−88に則って測定し、降伏点応力の荷重を用いてILSS強度を算出した。試験は、室温試験とH/W試験を実施し、物性評価を実施した。
(3) 面内せん断強度(IPSS)
測定試料は、オートクレーブ成形法を用いて製造した。即ち、得られたプリプレグをカットし、積層し、積層構成[+45/−45]2Sの積層体を得た。この積層体を、通常のオートクレーブ成形法で成形した。成形条件は、圧力0.588MPaで、温度150℃で、20分間であった。得られた成形物を幅25.4mm×長さ228.6mmの大きさに切断し、SACMA SRM7−88に則って測定し、降伏点応力の強度をIPS降伏点強度とした。試験は、室温試験とH/W試験を実施し、物性評価を実施した。
測定試料は、オートクレーブ成形法を用いて製造した。即ち、得られたプリプレグをカットし、積層し、積層構成[+45/−45]2Sの積層体を得た。この積層体を、通常のオートクレーブ成形法で成形した。成形条件は、圧力0.588MPaで、温度150℃で、20分間であった。得られた成形物を幅25.4mm×長さ228.6mmの大きさに切断し、SACMA SRM7−88に則って測定し、降伏点応力の強度をIPS降伏点強度とした。試験は、室温試験とH/W試験を実施し、物性評価を実施した。
(4) 衝撃後圧縮強度(CAI)
測定試料は、オートクレーブ成形法を用いて製造した。即ち、得られたプリプレグを、をカットし、積層し、積層構成[+45°/0°/−45°/90°]3S構成で積層体を得た。この積層体を、通常のオートクレーブ成形法で成形した。成形条件は、圧力0.588MPaで、温度150℃で、20分間であった。この得られた繊維強化複合材料について、SACMA SRM2R−94に従い、縦152.4mm×横101.6mmのサンプルを切り出し、サンプルの中心部に6.7J/mmの落錘衝撃を与え、負荷速度1.27mm/minで衝撃後圧縮強度(CAI)を求めた。
測定試料は、オートクレーブ成形法を用いて製造した。即ち、得られたプリプレグを、をカットし、積層し、積層構成[+45°/0°/−45°/90°]3S構成で積層体を得た。この積層体を、通常のオートクレーブ成形法で成形した。成形条件は、圧力0.588MPaで、温度150℃で、20分間であった。この得られた繊維強化複合材料について、SACMA SRM2R−94に従い、縦152.4mm×横101.6mmのサンプルを切り出し、サンプルの中心部に6.7J/mmの落錘衝撃を与え、負荷速度1.27mm/minで衝撃後圧縮強度(CAI)を求めた。
(5) DMA−Tg
ASTM D7028−07法に準じて、炭素繊維強化複合材料のガラス転移温度を測定した。Tgの測定は、室温環境(Dry)での測定と、測定試料を温水70℃に2週間浸漬させ、CFRPに吸水させた状態(Wet)での測定を行った。
ASTM D7028−07法に準じて、炭素繊維強化複合材料のガラス転移温度を測定した。Tgの測定は、室温環境(Dry)での測定と、測定試料を温水70℃に2週間浸漬させ、CFRPに吸水させた状態(Wet)での測定を行った。
〔実施例1〕
表1に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を110℃で溶解させた。その後、80℃まで降温し、硬化剤、ポリアミック酸型ポリイミド粒子を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物フィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、樹脂シートを得た。
表1に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂にエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を110℃で溶解させた。その後、80℃まで降温し、硬化剤、ポリアミック酸型ポリイミド粒子を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物フィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、樹脂シートを得た。
次に、炭素繊維を一方向に均一に配列させることにより、炭素繊維をシート状にし、強化繊維基材[目付け(190g/m2)]を得た。樹脂シート2枚の間に、強化繊維基材を配置し積層シートとし、ローラーを用いて積層シートを110℃で加圧及び加熱して、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂の含有率は35質量%であった。得られたプリプレグを用いて作製したCFRPの各種性能を表1に示した。
20分という短い成形時間であったにもかかわらず、得られたCFRPは、H/W IPSS、H/W ILSS、CAIのいずれの物性も高く、耐衝撃性や高温高湿時の機械的特性に優れた複合材料であった。さらに、吸水後(Wet)のCFRPのガラス転移温度も高く耐熱性に優れた複合材料であった。
〔実施例2〜実施例5〕
エポキシ樹脂組成物の各成分を表1に記載する割合に変更した以外は、実施例1と同様の手法を用いてプリプレグを作製し、CFRPの各種性能を評価した。得られたCFRPの各種性能を表1に示した。20分という短い成形時間であったにもかかわらず、いずれの実施例でも、得られたCFRPは、H/W IPSS、H/W ILSS、CAIのいずれの物性も高く、耐衝撃性や高温高湿時の機械的特性に優れた複合材料であった。さらに、吸水後(Wet)のCFRPのガラス転移温度も高く耐熱性に優れた複合材料であった。
エポキシ樹脂組成物の各成分を表1に記載する割合に変更した以外は、実施例1と同様の手法を用いてプリプレグを作製し、CFRPの各種性能を評価した。得られたCFRPの各種性能を表1に示した。20分という短い成形時間であったにもかかわらず、いずれの実施例でも、得られたCFRPは、H/W IPSS、H/W ILSS、CAIのいずれの物性も高く、耐衝撃性や高温高湿時の機械的特性に優れた複合材料であった。さらに、吸水後(Wet)のCFRPのガラス転移温度も高く耐熱性に優れた複合材料であった。
〔比較例1〕
表2に記載する割合で、実施例1と同様の手法を用いて樹脂を混練、プリプレグを作製し、CFRPの各種性能を評価した。得られたCFRPの各種性能を表2に示した。比較例1では、イミド樹脂粒子の代わりにポリアミド粒子を用いた。ポリアミック酸型イミド樹脂粒子を用いていない比較例1ではイミド樹脂粒子の硬化促進作用がないため、硬化度が不安定となった。そのため、得られた複合材料のガラス転移温度のバラツキが大きく、成形ロバスト性の点で乏しかった。また、得られたCFRP物性は、室温、H/W時のILSS、室温、H/W時のIPSSが低く、特に吸水後(Wet)のCFRPのガラス転移温度が大幅に低下した。比較例1で得られた複合材料は、樹脂硬化物の分子架橋密度が低いため、吸水しやすく、弾性率も低いものであり、H/W時のILSSが特に低いものであった。
表2に記載する割合で、実施例1と同様の手法を用いて樹脂を混練、プリプレグを作製し、CFRPの各種性能を評価した。得られたCFRPの各種性能を表2に示した。比較例1では、イミド樹脂粒子の代わりにポリアミド粒子を用いた。ポリアミック酸型イミド樹脂粒子を用いていない比較例1ではイミド樹脂粒子の硬化促進作用がないため、硬化度が不安定となった。そのため、得られた複合材料のガラス転移温度のバラツキが大きく、成形ロバスト性の点で乏しかった。また、得られたCFRP物性は、室温、H/W時のILSS、室温、H/W時のIPSSが低く、特に吸水後(Wet)のCFRPのガラス転移温度が大幅に低下した。比較例1で得られた複合材料は、樹脂硬化物の分子架橋密度が低いため、吸水しやすく、弾性率も低いものであり、H/W時のILSSが特に低いものであった。
〔比較例2、3〕
表2に記載する割合で、実施例1と同様の手法を用いて樹脂を混練、プリプレグを作製し、プリプレグを所定の寸法にカット、積層し、オートクレーブ成形を実施した。しかし、20分という短い硬化時間では、硬化反応が十分進まず未硬化の状態であり、複合材料を得ることができず、物性評価することができなかった。
表2に記載する割合で、実施例1と同様の手法を用いて樹脂を混練、プリプレグを作製し、プリプレグを所定の寸法にカット、積層し、オートクレーブ成形を実施した。しかし、20分という短い硬化時間では、硬化反応が十分進まず未硬化の状態であり、複合材料を得ることができず、物性評価することができなかった。
〔比較例4〕
[C]ポリアミック酸型イミド樹脂粒子を用いなかった以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製し、CFRPの各種性能を評価した。得られたCFRPの各種性能を表2に示した。ポリアミック酸型イミド樹脂粒子を用いていない比較例4ではイミド樹脂粒子の硬化促進作用がないため、硬化度が不安定となり、得られた複合材料のガラス転移温度のバラツキが大きく、成形ロバスト性の点で乏しかった。得られたCFRP物性は、実施例1と比べ、室温、吸水後のTgがともに大きく低下し、耐熱性が低下した。
[C]ポリアミック酸型イミド樹脂粒子を用いなかった以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製し、CFRPの各種性能を評価した。得られたCFRPの各種性能を表2に示した。ポリアミック酸型イミド樹脂粒子を用いていない比較例4ではイミド樹脂粒子の硬化促進作用がないため、硬化度が不安定となり、得られた複合材料のガラス転移温度のバラツキが大きく、成形ロバスト性の点で乏しかった。得られたCFRP物性は、実施例1と比べ、室温、吸水後のTgがともに大きく低下し、耐熱性が低下した。
〔比較例5〕
[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子の代わりに、ポリアミド樹脂粒子15質量部を用いた以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製し、CFRPの各種性能を評価した。ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子を用いていない比較例5ではイミド樹脂粒子の硬化促進作用がないため、硬化度が不安定となり、得られた複合材料のガラス転移温度のバラツキが大きく、成形ロバスト性の点で乏しかった。ポリアミドを層間粒子として使用した比較例5では、亀裂伝播は抑制されるものの、マトリックス樹脂であるエポキシ樹脂に比べ、ポリアミド樹脂の弾性率が低いため、ILSSが低下した。また、比較例5で得られた複合材料は、樹脂硬化物の分子架橋密度が低いため、吸水しやすく、弾性率も低いものであり、H/W時のILSSが特に低いものであった。
[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子の代わりに、ポリアミド樹脂粒子15質量部を用いた以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製し、CFRPの各種性能を評価した。ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子を用いていない比較例5ではイミド樹脂粒子の硬化促進作用がないため、硬化度が不安定となり、得られた複合材料のガラス転移温度のバラツキが大きく、成形ロバスト性の点で乏しかった。ポリアミドを層間粒子として使用した比較例5では、亀裂伝播は抑制されるものの、マトリックス樹脂であるエポキシ樹脂に比べ、ポリアミド樹脂の弾性率が低いため、ILSSが低下した。また、比較例5で得られた複合材料は、樹脂硬化物の分子架橋密度が低いため、吸水しやすく、弾性率も低いものであり、H/W時のILSSが特に低いものであった。
Claims (12)
- 少なくとも[A]エポキシ樹脂、[B]硬化剤、および[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- さらに、[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含む請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- [A]エポキシ樹脂100質量部に対して、[C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子10〜50質量部を含有する請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- [A]エポキシ樹脂100質量部に対して、[D]エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂10〜50質量部を含有する請求項2または3に記載のエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂が、ポリサルホンである請求項2〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂が、重量平均分子量Mwが1000〜20000の熱可塑性樹脂である請求項2〜5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- [B]硬化剤が、ジシアンジアミド、ウレア系硬化促進剤および芳香族アミンの何れか又はその組み合わせである請求項1〜6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- [C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子が、芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンとの開環重付加反応を施したポリアミドイミド樹脂粒子である請求項1〜7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- [C]ポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子が、マイクロトラック法(レーザー回折法)を用いて測定された平均粒子径D50の値が5〜50μmの平均粒子径を有するポリアミック酸型ポリイミド樹脂粒子である請求項1〜8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物と強化繊維基材からなるプリプレグ。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸させるプリプレグの製造方法。
- 請求項10に記載のプリプレグを、加熱加圧して硬化させる繊維強化複合材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019081508A JP2020176249A (ja) | 2019-04-23 | 2019-04-23 | エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、プリプレグの製造方法、及び繊維強化複合材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019081508A JP2020176249A (ja) | 2019-04-23 | 2019-04-23 | エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、プリプレグの製造方法、及び繊維強化複合材料の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020176249A true JP2020176249A (ja) | 2020-10-29 |
Family
ID=72937505
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019081508A Pending JP2020176249A (ja) | 2019-04-23 | 2019-04-23 | エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、プリプレグの製造方法、及び繊維強化複合材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020176249A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114410065A (zh) * | 2022-01-21 | 2022-04-29 | 深圳市郎搏万先进材料有限公司 | 一种环氧树脂组合物及碳纤维预浸料、碳纤维复合材料 |
-
2019
- 2019-04-23 JP JP2019081508A patent/JP2020176249A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114410065A (zh) * | 2022-01-21 | 2022-04-29 | 深圳市郎搏万先进材料有限公司 | 一种环氧树脂组合物及碳纤维预浸料、碳纤维复合材料 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102081662B1 (ko) | 에폭시 수지 조성물, 프리프레그 및 탄소 섬유 강화 복합 재료 | |
KR101096855B1 (ko) | 섬유 강화 복합 재료용 에폭시 수지 조성물, 프리프레그 및 섬유 강화 복합 재료 | |
JP5469086B2 (ja) | 熱硬化性樹脂組成物とそれを用いたプリプレグ | |
JP5739361B2 (ja) | 繊維強化複合材料 | |
KR20140127868A (ko) | 섬유강화 복합 재료 | |
JP5584047B2 (ja) | ベンゾオキサジン樹脂組成物及び繊維強化複合材料 | |
KR20110120314A (ko) | 벤조옥사진 수지 조성물 | |
WO2013046434A1 (ja) | ベンゾオキサジン樹脂組成物及び繊維強化複合材料 | |
JP7003662B2 (ja) | プリプレグおよびその製造方法 | |
JP2010059225A (ja) | 炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料 | |
TWI798298B (zh) | 預浸料及其製造方法及纖維強化複合材料之製造方法 | |
JP7448409B2 (ja) | プリプレグ | |
KR20140127867A (ko) | 섬유강화 복합 재료 | |
JP2016132709A (ja) | エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 | |
JP2010095557A (ja) | プリプレグおよび繊維強化複合材料 | |
JP5912922B2 (ja) | 繊維強化複合材料 | |
JP5912920B2 (ja) | 繊維強化複合材料 | |
JP6782553B2 (ja) | プリプレグの製造方法 | |
TWI815628B (zh) | 碳纖維束、預浸體、纖維強化複合材料 | |
JP2020176249A (ja) | エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、プリプレグの製造方法、及び繊維強化複合材料の製造方法 | |
JP2019156981A (ja) | プリプレグ、繊維強化複合材料、及びそれらの製造方法 | |
JP2017039875A (ja) | エポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 | |
JP2019157096A (ja) | エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、及び繊維強化複合材料 | |
CN105073853B (zh) | 预浸料、纤维强化复合材料和含有颗粒的树脂组合物 | |
JP5912921B2 (ja) | 繊維強化複合材料 |