JP2006077202A - 難燃性プリプレグ - Google Patents

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Abstract

【課題】
優れた力学物性と難燃性とを兼ね備えた繊維強化プラスチック、およびそれを得るための成形性に優れた難燃性プリプレグを提供する。
【解決手段】
下記の構成要素A〜Eを必須成分とするエポキシ樹脂組成物を炭素繊維に含浸してなる難燃性プリプレグ。
[構成要素A]臭素化エポキシ樹脂
[構成要素B]エポキシ当量が400〜5,500のビスフェノールA型エポキシ樹脂
[構成要素C]ノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量が250以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂およびN,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンからなる群から選ばれた少なくとも1種のエポキシ樹脂
[構成要素D]リン化合物
[構成要素E]エポキシ樹脂用硬化剤
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性プリプレグに関するものである。詳しくは、本発明は、特に、ノートパソコンなどのOA機器やヘッドホンステレオ、CDプレーヤーやビデオカムコーダーなどのAV機器、および航空機内装部品などを軽量かつ薄型化し、しかも優れた難燃特性を併せ持つプリプレグに関するものである。
炭素繊維とマトリックス樹脂からなる炭素繊維強化プラスチックは、特にその力学的特性が優れていることから、ゴルフクラブ、テニスラケットおよび釣り竿などのスポーツ用途をはじめ、航空機などの構造材料の分野に至る幅広い用途に使用されてきた。かかる炭素繊維強化プラスチックは、通常、炭素繊維に樹脂組成物を含浸したプリプレグを用いて作製される。
これらのプリプレグは、一般に、シート状のプリプレグ(以下、シートプリプレグと称す)として供されるが、最近では、炭素繊維の長さ方向にスリットしたスリットプリプレグ(以下、スリットプリプレグと称す)の形態で使用されことも多い。
シートプリプレグには、シート平面の中で連続繊維が一方向に配列したものや、連続繊維織物になったもの、不連続繊維を任意の方向に配列させたものなど、目的に応じて様々な補強形態のものがある。
近年になって、ノートパソコンやハンディーターミナルなどのOA機器やヘッドホンステレオ、CDプレーヤーやビデオカムコーダーなどのAV機器のような電気・電子製品を軽量かつ薄型化するために、炭素繊維強化プラスチックを使用することが提案されているが、これらの電気・電子製品に炭素繊維強化プラスチックを組込むには、防災のための難燃化が必要である。
一方、スリットプリプレグは、航空機の胴体などを始めとした複雑な曲面を有する部材を成形するためのファイバープレースメント法において、近年特に好ましく使用され注目されている。しかしながら、このような構造部材に繊維強化複合材料を組込むに当たっても防災のための難燃化が不可欠な要素である。
従来、エポキシ樹脂を難燃化する方法としては、(1)ハロゲン化エポキシ樹脂による方法、(2)ハロゲン含有硬化剤による方法、および(3)アンチモン化合物やリン化合物などの添加型難燃剤による方法などが知られている。上記の(1)と(2)の方法は、反応性の難燃剤を用いてハロゲン原子を直接エポキシ樹脂の網目構造に取り入れる方法であり、エポキシ樹脂の物性をそれほど低下させずに難燃化することが可能である。上記の(3)の方法は、エポキシ樹脂を手軽に難燃化することができ、また難燃剤同志の組合わせも比較的容易にできるという特徴がある。
従来のエポキシ樹脂の難燃化技術は上述のような特徴を有するものの、シートプリプレグの成形性が不十分であった。例えば、シートプリプレグにおいてその粘着性が不足すると、シートプリプレグ積層時にシートプリプレグ同士が粘着しないために、強化繊維の向きを正確に揃えることが困難になる。逆に、粘着性が過度であると、いったん積層したシートプリプレグを剥がすことができなくなるので、強化繊維の向きを正確に揃えるための修正作業が困難になってしまう。
さらに、シートプリプレグのフローコントロールが適正でないと、成形時に樹脂フローが大きくなり過ぎて成形品の樹脂含有率が小さくなり、逆に樹脂フローが小さい場合には成形品中にボイドが発生して、いずれの場合にも成形品の力学物性が低下するという問題点が指摘されていた。
また、スリットプリプレグの場合についても、取り扱いや成形性が不十分であった。例えば、ファイバープレースメント成形においては、複数のスリットプリプレグを同時に配列させて積層するため、粘着性が過度であると、積層時にスリットプリプレグ同士が粘着してうまく配列出来ないなどのトラブルが発生しやすくなる。逆に、粘着性を低下させるために固形のエポキシ樹脂や熱可塑性樹脂を多量に使用すると、スリットプリプレグの柔軟性が不足してボビン巻が困難になってしまう。さらに、スリットプリプレグのフローコントロールが適正でないと、成形時に樹脂フローが大きくなり過ぎて成形品の樹脂含有率が小さくなってしまう。逆に、樹脂フローが小さい場合には成形品中にボイドが発生する等のトラブルが見られる。いずれの場合にも、成形品の力学物性や取り扱い性が低下するという問題点が指摘されていた。
上記した欠点を解決する目的で、特定の分子量を有するエポキシ樹脂や、これに熱可塑性樹脂等を組み合わせる方法が提案されている(特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)が、プリプレグの難燃性に関しては言及されていない。
一方、臭素化エポキシ樹脂を配合してなる難燃性エポキシ樹脂組成物を用いた炭素繊維強化プリプレグおよび複合材料が提案されている(特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7参照)。しかしながら、これらの樹脂組成物は、成形時のフローコントロールが不十分であることに加えて、航空機や建築材料などに使用するに十分な難燃レベル(例えば、UL試験におけるV−0レベル)には到達していないという問題点があった。
また別に、臭素化エポキシ樹脂に三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物を添加することによる難燃化手法も提案されている(特許文献8参照)が、使用する三酸化アンチモンは化学物質管理促進法(PRTR法)の第1種指定化学物質および毒物・劇物取締法の指定令第2条劇物に分類されており、また着火して消火するまでの間に有害ガスを発生するため、取り扱いに注意を要するので最適とは云えない。
さらに、臭素化エポキシ樹脂と赤燐の組合せによる、強化繊維を用いない樹脂単独の難燃化の方法も提案されている(特許文献9参照)が、赤燐および臭素化エポキシ樹脂の難燃性効果を向上させるために、水和アルミナ化合物を大量に配合する必要があり、プリプレグの取り扱い性、成形性およびコンポジット物性の観点から炭素繊維と組み合わせた補強用マトリックス樹脂としては好ましくない。
特公昭60−37810号公報 特公昭61−25740号公報 特公昭62−5447号公報 特公昭59−2446号公報 特公昭59−52653号公報 特公昭62−44770号公報 特公昭63−38050号公報 特開平9−278914号公報 特開昭54−31512号公報
そこで本発明の目的は、上述の問題を解消し、優れた力学物性と難燃性とを兼ね備えた繊維強化プラスチック、およびそれを得るための成形性に優れた難燃性プリプレグを提供することにある。
本発明の難燃性プリプレグは、下記の構成要素A〜Eを必須成分とするエポキシ樹脂組成物を炭素繊維に含浸してなる難燃性プリプレグである。
[構成要素A]臭素化エポキシ樹脂
[構成要素B]エポキシ当量が400〜5,500のビスフェノールA型エポキシ樹脂
[構成要素C]ノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量が250以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂およびN,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンからなる群から選ばれた少なくとも1種のエポキシ樹脂
[構成要素D]リン化合物
[構成要素E]エポキシ樹脂用硬化剤
また、本発明の難燃性プリプレグは、次のような好ましい実施態様を有している。
(a) 前記の構成要素Aの臭素化エポキシ樹脂の含有率が、構成要素A、構成要素Bおよび構成要素Cからなるエポキシ樹脂成分中、10〜60重量%の範囲であること。
(b) 前記の構成要素Bのエポキシ当量が400〜5,500のビスフェノールA型エポキシ樹脂の含有率が、構成要素A、構成要素Bおよび構成要素Cからなるエポキシ樹脂成分中、5〜40重量%の範囲であること。
(c) 前記の構成要素Dのリン化合物が赤燐であり、かつその含有量が、構成要素A、構成要素Bおよび構成要素Cの合計量100重量部に対して、0.1〜5重量部であること。
(d) 前記の炭素繊維の形態が、実質的に撚りのない連続糸条であること。
(e) 難燃性プリプレグの形態が、炭素繊維の長さ方向にスリットしたスリットテープであること。
(f) 前記の炭素繊維は、引張弾性率が200GPa以上で、破壊歪エネルギーが38,000kJ/m以上であること。
(g) 前記の構成要素Eのエポキシ樹脂用硬化剤がジシアンジアミドであり、かつ、エポキシ樹脂組成物には、さらに該エポキシ樹脂用硬化剤の硬化促進剤が含有され、エポキシ樹脂組成物の硬化物は引張破断伸びが5%以上であること。
本発明によれば、以下に説明するとおり、優れた難燃性及び力学特性を有する軽量の繊維強化プラスチック、およびそれを得るためのタックやドレープなどのハンドリング性、硬化時の樹脂フローなどの成形性に優れたプリプレグを得ることが出来る。
本発明の難燃性プリプレグは、上記の構成要素A〜Eを必須成分とするエポキシ樹脂組成物を炭素繊維に含浸してなるものである。
本発明で用いられる構成要素Aの臭素化エポキシ樹脂としては、臭素化ビスフェノールAのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂および臭素化フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。これらは、臭素含有量が16〜50重量%のものであり、“エピクロン”152(大日本インキ社製、登録商標)、“エピクロン”1120(大日本インキ社製、登録商標)、EBS340、“エピコート”1050(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)、およびBRENS等の商品名で市販されている。
この臭素化エポキシ樹脂から得られる硬化物は、耐水性および弾性率が高い反面、エポキシ当量が大きいため架橋密度が低くなり耐熱性が低い。さらに、臭素原子に起因する立体障害のため、樹脂伸度が小さい。これらの特性を考慮して、臭素化エポキシ樹脂の添加量は、構成要素A、構成要素Bおよび構成要素Cからなるエポキシ樹脂成分中10〜60重量%とすることが好ましい。臭素化エポキシ樹脂の添加量をこの範囲より多くすると、硬化物の耐熱性が低下したり、プリプレグの粘着性が小さくなり過ぎる場合がある。一方、その添加量を少なくすると、硬化物の難燃性、弾性率および耐水性が低下することがある。
樹脂の弾性率が低下すると、得られる炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRPと略記する)の層間剪断強度および圧縮強度が低下する。臭素化エポキシ樹脂の添加量は、より好ましくは構成要素A、構成要素Bおよび構成要素Cからなるエポキシ樹脂成分中20〜40重量%である。
本発明において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とは、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂をいう。本発明で用いられる構成要素Bのエポキシ当量が400〜5,500のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、“エピコート”1001(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)、“エピコート”1004(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)、“エピコート”1009(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)、“エピクロン”4050(大日本インキ社製、登録商標)、“エピクロン”9055(大日本インキ社製、登録商標)、“DER”668(ダウケミカル社製、登録商標)、および“DER”669(ダウケミカル社製、登録商標)等の商品名で市販されている。
このような高分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂を添加する目的は、プリプレグの粘着性や成形中の樹脂フローを制御することである。このような目的のためには、ニトリルゴムなどのエラストマーや熱可塑性樹脂等を添加することがある。しかしながら、ニトリルゴムを添加すると樹脂の難燃性や耐熱性および弾性率等が大きく損なわれてしまうことが多く、また、熱可塑性樹脂を使用するとメチルエチルケトンなどの低沸点溶剤を使用するウエット方式によるプリプレグ化ができなくなる。したがって、エポキシ当量が400〜5,500の高分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用する方法が有利である。しかしながら、このビスフェノールA型エポキシ樹脂を多量に用いて得られる硬化物は、樹脂伸度が大きい反面、弾性率やTgが低い。また、室温で固形であるためプリプレグの粘着性が低くなる。更に、溶融粘度が高いために成形中の樹脂フローが小さくなる。
従って、これらの特性を考慮すると、この構成要素BのビスフェノールA型エポキシ樹脂の添加量は、構成要素A、構成要素Bおよび構成要素Cからなるエポキシ樹脂成分中、好ましくは5〜40重量%であり、より好ましくは10〜30重量%である。その添加量を40重量%より多くすると硬化物の弾性率やTgが低下したり、プリプレグの粘着性や成形中の樹脂フローが小さくなり過ぎる場合がある。一方、その添加量を5重量%より少なくすると、硬化物の伸度が低下したり、プリプレグの粘着性や成形中のフローが大きくなり過ぎることがある。
本発明におけるエポキシ樹脂組成物では、上述した構成要素Aと構成要素Bのエポキシ樹脂に加えて、構成要素Cのノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量が250以下、好ましくはエポキシ当量が150〜250のビスフェノールA型エポキシ樹脂、または/および、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンを用いる。
本発明で用いられる構成要素Cのノボラック型エポキシ樹脂であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂は、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂であり、“エピコート”152(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)、“エピコート”154(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)、“DER”485(ダウケミカル社製、登録商標)、N740(大日本インキ社製)、N673(大日本インキ社製)、ESCN220(住友化学社製)等の商品名で市販されている。これらノボラック型エポキシ樹脂は、高耐熱性で高耐水性の硬化物になるという長所があるが、弾性率の低い硬化物になるという欠点がある。これらの特性を考慮して、構成要素Cのノボラック型エポキシ樹脂を用いる場合には、その添加量はエポキシ樹脂成分中とすることが好ましい。ノボラック型エポキシ樹脂がこの範囲より多いと硬化物の弾性率が低下し、少なくすると硬化物の耐水性および伸度が低下することがある。また、液状のフェノールノボラック樹脂の場合、上述の範囲より多いとプリプレグの粘着性が大きくなり過ぎる場合がある。一方、添加量が少なくなるとプリプレグの粘着性が小さくなり過ぎることがある。逆に、固形のクレゾールノボラック樹脂の場合、上述の範囲より多いとプリプレグの粘着性が小さくなり過ぎ、一方、添加量が少なくなるとプリプレグの粘着性が大きくなり過ぎる場合がある。ノボラック型エポキシ樹脂のより好ましい添加量は、10〜50重量%の範囲である。
本発明で用いられる構成要素Cのエポキシ当量が250以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂は、“エピコート”828(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)、YD128(東都化成社製)、“エピクロン”840(大日本インキ社製、登録商標)、ELA128(住友化学社製)、“DER”331(ダウケミカル社製、登録商標)等の商品名で市販されている。
このエポキシ当量が250以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂から得られる硬化物は、樹脂伸度が大きい反面、弾性率が低い。また、室温で液状でありプリプレグの粘着性が高くなる。更に、溶融粘度が低いために成形中の樹脂フローが大きくなる。従って、これらの特性を考慮すると、構成要素Cのエポキシ当量が250以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いる場合には、その添加量はエポキシ樹脂成分中10〜50重量%とすることが好ましく、より好ましくは10〜40重量%である。その添加量が50重量%より多くなると、硬化物の弾性率が低下したり、プリプレグの粘着性や成形中の樹脂フローが大きくなり過ぎることがある。一方、その添加量が10重量%より少なくなると、硬化物の伸度が低下したり、プリプレグの粘着性や成形中の樹脂フローが小さくなり過ぎることがある。
本発明において、構成要素CのN,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンを用いる場合には、その添加量は、エポキシ樹脂成分中10〜60重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜50重量%である。この範囲より多くすると伸度および耐水性が低下し、少なくすると硬化物の耐熱性および弾性率が低下することがある。
本発明において、構成要素Cとして挙げたエポキシ樹脂は、単独で使用することも、複数を組み合わせて使用することもできる。
本発明における構成要素Dのリン化合物としては、分子中にリン原子を含むものであれば特に限定されないが、リン酸エステル、縮合リン酸エステルおよびホスファフェナントレン系化合物などのリン含有化合物や赤燐が好ましく用いられる。
赤燐は、比重が2.2と金属酸化物に比べて小さく、さらに赤燐中に含まれる難燃剤を付与する働きをするリン原子含有率が非常に大きいため、十分な難燃効果を得るために加えなくてはならない難燃剤の添加量が少量でよい。よって、赤燐を難燃剤として添加して得られる樹脂硬化物および繊維強化複合材料は比重が小さいものが得られ、軽量化のメリットが十分生かせることができる。また、リン化合物の添加量が少量に抑えられることで、エポキシ樹脂組成物のフローコントロールが容易になる点で特に好ましい。赤燐の添加量は、構成要素A、構成要素Bおよび構成要素Cの合計量100重量部に対して、0.1〜5重量部であることが好ましい。赤燐の添加量が0.1重量部未満であると難燃効果が十分得られないことがあり、5重量部を超えると、得られる複合材料の力学特性に悪影響を及ぼすことがある。より好ましい赤燐添加量の範囲は、0.5〜4重量部である。
また、リン酸エステルおよび縮合リン酸エステルは、赤燐に比べてリン原子の含有率が少ないため、同程度の難燃性を得るためには多少添加量が増加する。しかしながら、リン酸エステルおよび縮合リン酸エステルの比重が難燃剤を加える前のエポキシ樹脂組成物の硬化物の比重とほとんど同じかそれ以下であるため(1.2程度)、得られる樹脂硬化物および繊維強化複合材料の比重を増加させることなく難燃性を付与することができる。
また、市販のリン酸エステルおよび縮合リン酸エステルの多くは常温で液体であるため、金属水酸化物を用いた際におこるような複合材料の機械特性低下が抑えられ、特性を高く維持した繊維強化複合材料を得ることができる。これらのリン化合物は、硬化反応中にエポキシ樹脂骨格に取り込まれても、エポキシ樹脂組成物に分散または相溶しても構わない。
赤燐は、赤燐の表面を金属水酸化物および/または樹脂等の被覆剤を用いて被覆し安定性を高めたものがより好適に用いられる。赤燐の表面を被覆する金属酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛および水酸化チタン等が挙げられる。赤燐の表面を被覆する樹脂の種類について特に限定はないが、樹脂としてはベース樹脂であるエポキシ樹脂との親和性が高いフェノール樹脂、エポキシ樹脂およびポリメチルメタクリレート等が好ましい。また、被覆剤の量は、赤燐重量の5%以上、20%以下が好ましい。被覆剤の量が5%よりも少ない場合には、被覆効果が十分ではなく、高温での混練時などにホスフィンガスが発生する場合がある。被覆剤の量が20%を超えると難燃化の効果が小さくなる。
また、粉体のリン化合物の最大粒径は200μm以下であることが好ましい。これより粒径が大きくなると、エポキシ樹脂に対する分散性が悪化したり、プリプレグの製造工程通過性に悪影響を及ぼす場合がある。更に好ましくは、粉体のリン化合物は、最大粒径が150μm以下であることが好ましい。
また、粉体のリン化合物としては、平均粒径が0.1〜70μmの範囲のものを用いることが好ましい。これにより、エポキシ樹脂に対する分散性を向上させ、成形性や難燃性等のばらつきを小さくすることができることに加え、少量で効果的な難燃性を発現させることができる。より好ましい平均粒径は、0.5〜50μmである。
また、リン化合物を予め樹脂等に混練してマスターバッチ状にしたものを用いてもよい。リン酸エステルの具体例としては、トリアリルホスフェート、アルキルアリルホスフェート、アルキルホスフェート、およびスフォネートが挙げられる。トリアリルホスフェートとしては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ2,6−キシレニルホスフェート、およびヒドロキシジフェニルホスフェート等がある。アルキルアリルホスフェートとしては、オクチルジフェニルホスフェート等がある。アルキルホスフェートとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリn−ブチルホスフェート、トリイソブチルホスフォネート、およびトリス(2−メチルヘキシル)ホスフェート等がある。ホスフォネートとしては、ジメチルメチルホスフォネート等がある。縮合リン酸エステルとしては、レゾルシノールビス(ジホスフェート)およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等がある。
これらのリン化合物の中でも、分子量中のリン原子重量含有率ができるだけ高い方が好ましく用いられる。 なお、使用できるリン酸エステル、縮合リン酸エステルは、具体例に限られるものではない。
本発明においては、前記した構成要素Aの臭素化エポキシ樹脂と、上記構成要素Dのリン化合物とを併用しているため、その相乗効果により、得られるCFRPは優れた難燃性を有するばかりか、前記した少なくとも3種のエポキシ樹脂を併用しているために、その取り扱い性や成形性に優れている。
本発明で用いられる構成要素Eのエポキシ樹脂用硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(以下、DICYと略記する)、ジアミノジフェニルスルホン(以下、DDSと略記する)、アミノ安息香酸エステル類、および各種酸無水物などが挙げられる。DICYは、プリプレグの保存安定性に優れるため好ましく用いられる。また、DDSなどの芳香族ジアミンを硬化剤として用いると、耐熱性の良好なエポキシ樹脂硬化物が得られる。また、これらの硬化剤と併用して、あるいは単独で尿素化合物、三フッ化ほう素のアミン塩やイミダゾール化合物なども使用することができる。また、エポキシ樹脂用硬化剤としてDICYを用いる場合には、3、4−ジクロロフェニル−1、1−ジメチルウレア(以下、DCMUと略記する)などの硬化促進剤を併用することが一般的である。
本発明で用いられるエポキシ樹脂組成物の硬化物は、その引張破断伸びが5%以上であることが好ましい。それにより、プリプレグを硬化して繊維強化複合材料としたときに十分高い炭素繊維の強さ発現率を得ることができる。樹脂硬化物の引張破断伸びを大きくするには、硬化物の架橋密度を低く保つことが必要であり、斯かる目的のためにはビスフェノールA型などの2官能エポキシ樹脂を使用することが好ましく、また、架橋点間の距離を大きくした高分子量のエポキシ樹脂、例えばエポキシ当量が400〜5,500のビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用することは、架橋密度が低下するため更に好ましい態様である。逆に、ノボラック型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどの多官能エポキシ樹脂や、2官能エポキシ樹脂であっても分子量の小さいビスフェノールA型エポキシ樹脂を多用すると、架橋密度が高くなり、結果として樹脂の引張破断伸びが小さくなってしまうために好ましくない。但し、引張破断伸びを大きくすることは、硬化物の耐熱性や弾性率の低下を伴うことが多い。通常知られているエポキシ樹脂と硬化剤の組合せでは、引張破断伸びが12%を超えると耐熱性や弾性率が低くなり過ぎて、得られた炭素繊維強化複合材料の力学特性が損なわれてしまう。従って、樹脂硬化物の引張破断伸びは12%を上限とすることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物の硬化物の引張伸びは、次のようにして測定される。厚み2mmの硬化物の板からJIS−K−7113(1995)記載の方法に従ってダンベル型試験片加工機により試験片に加工し、その試験片に歪みゲージを貼り付け、引張速度1mm/minで引張試験を行なう。なお、硬化物を得るための樹脂組成物の硬化条件は、DICY硬化剤に硬化助剤を組み合わせて使用した樹脂組成物の場合には、130℃の温度で2時間、DDSを硬化剤として使用した樹脂組成物の場合には、180℃の温度で2時間とする上記したエポキシ樹脂組成物を、強化材である炭素繊維に含浸してプリプレグとなす。
本発明で用いられる炭素繊維としては、力学的特性を考慮するとポリアクリロニトリル系の炭素繊維が好ましい。
炭素繊維の形態は、一方向または織物または不織布または編み物または組み紐等から選択することができる。また、炭素繊維に、ガラス繊維、アラミド繊維あるいは金属繊維などを組合わせて使用することもできる。
炭素繊維として、実質的に撚りのない連続糸条を用いると、複合材料における炭素繊維の強さ発現率が高く、特に引張強さを要求される用途、例えば、繊維強化複合材料製のタンクなどに好適である。炭素繊維糸条に撚りがある場合は、繊維束を構成するフィラメントの配列が平行でないために、プリプレグ自身や、それを用いて製造した複合材料の強さ低下の原因となることもある。
炭素繊維のフィラメント数は、好ましくは1,000〜100,000本であり、より好ましくは6,000〜50,000本である。フィラメント数が少ない炭素繊維糸条は一般にコスト高であり、得られるプリプレグのコストアップに繋がる。また、あまりにフィラメント数が多い太糸条の炭素繊維では加工性が低下することがある。
実質的に撚りが無い連続炭素繊維糸条としては、定量的にはフックドロップ値で10cm以上、更には12cm以上の炭素繊維が好ましい。ここでフックドロップ値とは、温度23℃、湿度60%の雰囲気で炭素繊維束を垂直に釣り下げ、これに12gの重りを引っ掛けて30分経過後の重りの落下距離で表される値である。この値は撚りがあると小さくなる。
また、一方向に引き揃えられた炭素繊維に樹脂を含浸して得られた一方向プリプレグを繊維方向に裁断したスリットプリプレグが、近年、航空機用部品の製造用に注目されている。スリットテーププリプレグの幅は2〜150mmが好ましいが、ファイバープレースメント法などで複雑な形状の部材を製造する用途には2〜5mmの、より細幅のスリットテーププリプレグが好ましい。プリプレグプリプレグ同士の粘着を防止し、ボビンからの解舒性を良好にするため、スリットテープにはカバーフィルムを貼付しておくことが好ましい。該カバーフィルムはスリットする前にプリプレグに貼付した後にスリットしても良いし、またスリットしてからカバーフィルムを貼付しても良い。カバーフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどから得られ、10〜80μmの厚みを有するものが好ましく使用される。また、カバーフィルムの幅は、スリットテープの幅より狭いと、スリットテープ同士が粘着してボビンからの解舒性が悪くなるので、これを防ぐために、スリットテープの幅以上とすることが好ましい。
また、引張弾性率が200GPa以上で、かつ破壊歪エネルギーが38,000kJ/m以上である炭素繊維も、複合材料における炭素繊維強度の発現率が高く、特に引張強さを要求される用途に好適である。ここで、引張弾性率は、JIS R7601(1986)に準拠して測定される値Eであり、破壊歪エネルギーとは、JIS R7601(1986)に準拠して測定される引張強さσと上記したEの値とを用いて、式W=σ/2Eに基づいて算出されるWのことをいう。
引張弾性率が200GPaより小さい炭素繊維を用いたスリットプリプレグから繊維強化複合材料を製造した場合には、複合材料の変形量を設計許容範囲に抑えるために断面積を大きくする必要が生じるので軽量化効果が小さくなり、使用に制限を受けることがある。例えば、圧力容器などの強度部材として本発明による繊維強化複合材料を適用した場合、負荷される引張応力場での変形量を所定の範囲内に収めることが困難となる。
また、炭素繊維の破壊歪エネルギーが38,000kJ/m未満の場合には、複合材料、特に圧力容器などのような繊維の引張方向に大きな荷重が加わる部材において十分に高い炭素繊維の強さ発現率を得ることが出来ないことがある。
得られる繊維強化複合材料の強度と弾性率は、強化繊維量に大きく依存する。つまり、一定量の強化繊維を含有する場合、組み合わせるマトリックス樹脂の量を少なくするほど、繊維強化複合材料や最終製品の性能をほぼ一定に維持したままで、製品重量を軽量化することができる。このような目的のため、本発明におけるプリプレグおよび繊維強化複合材料全重量に対する強化繊維の含有量は30〜95重量%であることが好ましく、50〜90重量%であることがより好ましく、60〜90重量%が更に好ましい。強化繊維の含有量が30重量%未満の場合は、軽量化効果が十分でない場合があり、95重量%を超えると樹脂量が少ないため複合材料中にボイドが残存し、機械特性が低下する場合がある。
本発明のプリプレグは、樹脂組成物をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し含浸させるウエット法や、加熱により低粘度化し、含浸させるホットメルト法等によって製造することができる。
ウェット法は、強化繊維を樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発せしめ、プリプレグを得る方法である。
ホットメルト法は、加熱により低粘度化した樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、または樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングした樹脂フィルムを作製しておき、次に強化繊維の両側、または片側からそのフィルムを重ね、加熱加圧することにより樹脂を含浸せしめ、プリプレグを得る方法である。このホットメルト法では、プリプレグ中に溶媒が実質的に残存しないため好ましく用いられる。
ホットメルト法でプリプレグを得る場合には、樹脂フィルムをコーティングする工程における樹脂組成物の温度は30〜80℃であることが好ましく、40〜70℃であることがより好ましい。温度が30℃未満であると粘度が高くなって樹脂フィルムの目付が安定しない場合があり、また温度が80℃を超えるとコーティング中に樹脂の硬化が進行して大きく粘度上昇してしまう場合がある。また、上記の樹脂フィルムを使用して、加熱した炭素繊維の両側からホットメルト法で含浸する際の温度は、70〜150℃であることが好ましく、80〜130℃であることがより好ましい。温度が70℃未満であると粘度が高くなって繊維中への樹脂の含浸が十分でない場合があり、また温度が150℃を超えると、樹脂粘度が低くなり過ぎて樹脂が炭素繊維束からはみ出たり、含浸中に樹脂の硬化が進行して得られたプリプレグのタック性やドレープ性が損なわれる場合がある。
また、本発明のプリプレグを用いて、熱や圧力を付与しながら樹脂を加熱硬化させることなどにより繊維強化複合材料を製造できる。熱および圧力を付与する方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、および圧成形法等が使用される。
繊維強化複合材料を成形する温度は、エポキシ樹脂組成物に含まれる硬化剤の種類などよるが、80〜220℃であることが好ましい。かかる成形温度が80℃未満であると十分な速硬化性が得られない場合があり、220℃を超えると熱歪みによる反りが発生しやすくなったりする場合がある。特に、成形サイクルを短縮させるにはプレス成形が望ましい。低温での成形は真空圧化でのバッギング成形が望ましい。
本発明の難燃性プリプレグは、特に、ノートパソコンなどのOA機器やヘッドホンステレオ、CDプレーヤーやビデオカムコーダーなどのAV機器、鉄道などの車両用構造材、航空機内装部品などを始めとして、ゴルフシャフト、釣り竿当のスポーツ用途、その他一般産業用途に好適に用いられる。
以下、実施例によって本発明の難燃性プリプレグを更に詳しく説明する。なお、実施例中、CFRP板の難燃性(94UL燃焼試験)は、次のようにして測定した。
(1)CFRP板を、厚さ0.8mm、長さ127mm、幅12.7mmに切断して試験片を作製する。
(2)黄色チップのない19mm高さの青色バーナー炎中に、上記試験片を、その先端が炎の先端から9.5mm上方の位置になるように10秒間保持して後、抜き去り、抜き去ってから燃焼終了までの時間(燃焼時間)を計測する。
(3)燃焼が終了したら、再度(2)と同様の操作を繰り返し、燃焼時間を計測する。
(4)試験片5本について(2)、(3)の操作を行い、10回の燃焼時間が全て10秒以下であり、かつ、10回の燃焼時間の合計が50秒以下である場合にV−0規格を満たしたものとする。
また、実施例で用いたエポキシ樹脂組成物の材料成分を表1に示す。
Figure 2006077202
[実施例1]
20重量部の“エピコート”1009(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)、35重量部の“エピコート”154(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)、30重量部の“エピコート”828(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)、15重量部の“エピクロン”152(大日本インキ社製、登録商標)、2.5重量部の“ノーバレッド”120(燐化学工業社製、登録商標)、3.5重量部の硬化剤DICY(日本カーバイド社製)、および、4.0重量部の硬化促進剤DCMU(保土ヶ谷化学社製)を、メチルエチルケトンとメタノールの混合溶媒に溶解した、固形分50重量%の溶液を、東レ(株)製炭素繊維織物CO6343B(繊維目付け 198g/m)に含浸した後に乾燥し、樹脂含有比率が40重量%のシートプリプレグを製造した。昇温法(1.5℃/分)で測定した樹脂固形分の最低粘度は、25ポアズであった。得られたシートプリプレグは、良好な粘着性を有していた。このシートプリプレグを、オートクレーブ中で130℃×2時間、6kgf/cmの条件で硬化させてCFRP板を得た。得られたCFRP板(0.8mm厚み)について難燃性試験を行なったところ、5サンプル1組について10回行なった燃焼時間の平均値は2秒であり、V−0クラスの優れた難燃性を示した。また、曲げ強度および層間剪断強度は、それぞれ82および7.6kgf/mmであった。結果を表2に示す。
[比較例1]
臭素化エポキシ樹脂“エピクロン”152(大日本インキ社製、登録商標)を、フェノールノボラック型エポキシ樹脂“エピコート”154(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシートプリプレグおよびCFRP板を作製した。CFRP板(0.8mm厚み)の難燃性を評価したところ、燃焼時間の平均値は10秒以上となり、難燃性は劣っていた。結果を表2に示す。
[比較例2]
固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂“エピコート”1009(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)を用いず、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂“エピコート”828(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)の添加量を50重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂含有比率が40重量%のシートプリプレグおよびCFRP板を得た。昇温法(1.5℃/分)で測定した樹脂固形分の最低粘度は0.1ポアズであった。得られたCFRP板は、樹脂フローが大きいために樹脂含有率が32重量%にまで減少した。このCFRP板の曲げ強度および層間剪断強度は、それぞれ60および5.0kgf/mmとなり、力学特性が極端に劣っていた。結果を表2に示す。
[比較例3]
ノーバレッド120を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてシートプリプレグおよびCFRP板を得た。得られたCFRP板(0.8mm厚み)の難燃性を評価したところ、燃焼時間の平均値は10秒以上となり、難燃性は劣っていた。結果を表2に示す。
[実施例2]
臭素化エポキシ樹脂“エピクロン”152(大日本インキ社製、登録商標)および液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂“エピコート”828(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)の添加量を、それぞれ70重量部および30重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシートプリプレグおよびCFRP板を得た。得られたシートプリプレグの粘着性は実施例1よりも不足していたが、CFRP板の力学物性は実施例1と同等であった。また、難燃性試験を行なったところ、燃焼時間の平均値は1秒となりV−0規格を満足する難燃性を示した。結果を表2に示す。
[実施例3]
臭素化エポキシ樹脂“エピクロン”152(大日本インキ社製、登録商標)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂“エピコート”154(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)、および液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂“エピコート”828(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)の添加量を、それぞれ、5重量部、45重量部および30重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシートプリプレグおよびCFRP板を作製した。難燃性試験を行なったところ、燃焼時間の平均値は4秒となり実施例1よりも劣っていたがV−0規格を満足する難燃性を示した。結果を表2に示す。
[実施例4]
固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂“エピコート”1009(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)および液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂“エピコート”828(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)の添加量をそれぞれ3重量部および47重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂含有比率が40重量%のシートプリプレグおよびCFRP板を得た。昇温法(1.5℃/分)で測定した樹脂固形分の最低粘度は5ポアズであった。得られたCFRP板は、樹脂フローが大きいために樹脂含有率は38%にまで減少したが、曲げ強度および層間剪断強度はそれぞれ79および7.3kgf/mmであり、実施例1と殆ど変わらなかった。また、難燃性試験を行なったところ、燃焼時間の平均値は2秒となりV−0規格を満足する難燃性を示した。結果を表2に示す。
[実施例5]
固形ビスフェノールA型エポキシ“エピコート”1009(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)および液状ビスフェノールA型エポキシ“エピコート”828(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)の添加量を、それぞれ50重量部および35重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂含有比率が40重量%のシートプリプレグおよびCFRP板を得た。昇温法(1.5℃/分)で測定した樹脂固形分の最低粘度は150ポアズであった。得られたCFRP板には、樹脂フローが小さいことに由来すると思われるボイドが見られたが、曲げ強度および層間剪断強度はそれぞれ80および7.2kgf/mmであり、実施例1と殆ど変わらなかった。また、難燃性試験を行なったところ、燃焼時間の平均値は2秒となりV−0規格を満足する難燃性を示した。結果を表2に示す。
[実施例6]
ノーバレッド1120の添加量を4.5重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシートプリプレグおよびCFRP板を得た。得られたCFRP板の曲げ強度および層間剪断強度は、それぞれ73および6.5kgf/mmであり、実施例1よりもやや劣っていた。また、難燃性試験を行なったところ、燃焼時間の平均値は1秒となりV−0規格を満足する難燃性を示した。結果を表2に示す。
[実施例7]
ノーバレッド120の添加量を1.0重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシートプリプレグおよびCFRP板を得た。得られたCFRP板の難燃性は、燃焼時間の平均値が4.5秒であり実施例1よりも劣っていたがV−0規格を満足する難燃性を示した。結果を表2に示す。
Figure 2006077202
[実施例8]
表3に示す成分を、ニーダーを用いて均一に混練してエポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物を、180℃の温度で2時間加熱して得られた硬化物の引張破断伸びは5.5%であった。次いで、シリコーン樹脂を塗布した離型紙に、上記のように調製したエポキシ樹脂をコーティングして樹脂フィルムを作製し、一方向に引き揃えた東レ(株)製炭素繊維“トレカ”(登録商標)T700GC−12K−31E(フィラメント数:12,000本、E=240GPa,σ=4,900MPa、実質的に無撚り)の上下から該樹脂フィルムで挟み込んだ後に、圧力と温度を加えて樹脂を含浸せしめて一方向プリプレグを作製した。得られたプリプレグを平らなツールの上面にプライ積層し、バグフィルムで覆った後に内部を減圧にしてからオートクレーブ中で180℃×2時間硬化させてCFRP板(Vf=57%)を作製した。
得られたCFRP板(0.8mm)について難燃性試験を行なったところ、5サンプル1組について10回行なった燃焼時間の平均値は2秒であり、V−0クラスの優れた難燃性を示した。このCFRP板から長さ25cmの試験片を切り出し、ASTM D3039−95a(1995)に基づき引張試験を行ったところ、引張強さは2265MPa、強さ発現率は81%であった。また、長さ1cmの試験片を切り出し、ASTM D2344−84(Reapproved 1995)に基づき層間剪断試験を行ったところ、層間剪断強さは115MPaであった。なお、ここでいう強さ発現率とは、複合材料の引張強さ{実測値/(炭素繊維引張強さ×繊維体積含有率)}×100であり、炭素繊維引張強さはJIS R7601(1986)に基づいて得られた値である。
また、上記プリプレグを繊維方向に幅3mmにスリットし、これをアルミニウム容器(6061−T6処理アルミニウム合金製、胴部厚み2.2mm、胴部外径158mm)に巻き付けた。巻き付け構成は、フープ巻き2層+ヘリカル巻き1層(角度20°)+フープ巻き1層とし、180℃×2時間処理して硬化させた。CFRP断面部分のボイド率は0.1%であった。更に、得られたCFRP補強アルミ合金容器について、アルミニウム合金ライナー・炭素繊維製一般複合容器の技術基準KHK S 1121 (2000)に基づいて耐圧試験を実施したところ、破壊圧力は120 MPaであった。結果を表3に示す。硬化剤DDS(ジアミノジフェニルスルフォン)としては、住友化学(株)製の“スミキュアS”(登録商標)を使用した。
[比較例4]
“エピクロン”152(大日本インキ社製、登録商標)の代わりに“エピコート”154(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)を用いたこと以外は、実施例8と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物を180℃の温度で2時間加熱して得られた硬化物の引張破断伸びは5.0%であった。該エポキシ樹脂組成物を用いて実施例8と同様にプリプレグを作製して燃焼性試験を実施したところ、燃焼時間の平均値は10秒以上となり、難燃性は劣っていた。なお、コンポジット特性およびスリットテープ成形品(圧力容器)の特性は実施例1と同等であった。結果を表3に示す。
[比較例5]
“エピコート”1009(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)の代わりに“エピコート”828(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)を用いたこと以外は、実施例8と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物を180℃の温度で2時間加熱して得られた硬化物の引張破断伸びは5.8%であった。該エポキシ樹脂組成物を用いて実施例8と同様にプリプレグを作製して燃焼性試験を実施したところ、燃焼時間の平均値は2秒であり、V−0クラスの優れた難燃性を示した。しかしながら、成形時の樹脂フローが大きくコンポジット中にボイドが発生したため、コンポジット特性およびスリットテープ成形品(圧力容器)の特性は劣っていた。結果を表3に示す。
[実施例9]
炭素繊維として、東レ(株)製炭素繊維“トレカ”(登録商標)T800SC−24K−10E(フィラメント数:24,000本、E=294GPa,σ=5880MPa、実質的に無撚り)を用いたこと以外は、実施例8と同様にしてプリプレグを作製して燃焼性試験を実施したところ、燃焼時間の平均値は2秒であり、V−0クラスの優れた難燃性を示した。また、コンポジットの引張強度保持率は90%と優れていた。更に、スリットテープ成形品(圧力容器)のボイド率は0.09%と少なく、破壊圧力も140MPaと優れた特性を示した。結果を表3に示す。
Figure 2006077202
本発明の難燃性プリプレグは、ノートパソコンなどのOA機器やヘッドホンステレオ、CDプレーヤーやビデオカムコーダーなどのAV機器、鉄道などの車両用構造材、および航空機内装部品などを軽量かつ薄型化することができ、有用である。

Claims (9)

  1. 下記の構成要素A〜Eを必須成分とするエポキシ樹脂組成物を炭素繊維に含浸してなる難燃性プリプレグ。
    [構成要素A]臭素化エポキシ樹脂
    [構成要素B]エポキシ当量が400〜5,500のビスフェノールA型エポキシ樹脂
    [構成要素C]ノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量が250以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂およびN,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンからなる群から選ばれた少なくとも1種のエポキシ樹脂
    [構成要素D]リン化合物
    [構成要素E]エポキシ樹脂用硬化剤
  2. 構成要素Aの臭素化エポキシ樹脂の含有率が、構成要素A、構成要素Bおよび構成要素Cからなるエポキシ樹脂成分中、10〜60重量%の範囲であることを特徴とする請求項1記載の難燃性プリプレグ。
  3. 構成要素Bのエポキシ当量が400〜5,500のビスフェノールA型エポキシ樹脂の含有率が、構成要素A、構成要素Bおよび構成要素Cからなるエポキシ樹脂成分中、5〜40重量%の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の難燃性プリプレグ。
  4. 構成要素Dのリン化合物が赤燐であり、かつその含有量が、構成要素A、構成要素Bおよび構成要素Cの合計量100重量部に対して、0.1〜5重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性プリプレグ。
  5. 炭素繊維の形態が、実質的に撚りのない連続糸条であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグ。
  6. 炭素繊維の長さ方向にスリットしたスリットテープであることを特徴とする請求項5に記載の難燃性プリプレグ。
  7. 炭素繊維は、引張弾性率が200GPa以上で、破壊歪エネルギーが38,000kJ/m以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性プリプレグ。
  8. 構成要素Eのエポキシ樹脂用硬化剤がジシアンジアミドであり、かつ、エポキシ樹脂組成物には、さらに該エポキシ樹脂用硬化剤の硬化促進剤が含有され、エポキシ樹脂組成物の硬化物は引張破断伸びが5%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性プリプレグ。
  9. 構成要素Eのエポキシ樹脂用硬化剤がジアミノジフェニルスルホンであり、エポキシ樹脂組成物の硬化物は引張破断伸びが5%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性プリプレグ。
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