JP7332323B2 - 繊維強化接着シート - Google Patents
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Description
当該文献には、この長繊維と樹脂マトリックスからなる複合材料を接着材用途に適用したことは、具体的に記載されておらず、比較的大きな接着厚みの場合でも施工が容易である接着材についても記載されていない。プリプレグは、構造材料として適用されることを前提に設計されているため、接着材に好適に用いることができる程度の高い樹脂量を含まず、初期タック性が低く接着材として効率的に施工することは現実的に難しいと考えられる。
また、当該文献においては、同発明者による特許第3580689号に記載の方法によって製造された炭素短繊維の使用が推奨されている一方、繊維長の分布が広い(応力分布が均等化されていない)市販の炭素ミルドファイバーの使用によっては所望の特性が得られなかったことが報告されている。
当該文献は、硬化後の粘接着層が柔軟性を有するように粘接着剤の成分として、コアシェルゴムやゴム変性のエポキシ樹脂を用いるが、炭素繊維等のフィラーを含ませることは記載されていない。コアシェルゴムやゴム変性のエポキシ樹脂を含む粘接着層は、硬化後において低い弾性率(ヤング率)を与えると予想される。
当該文献には、接着強度が優れかつ硬化後の柔軟性を有する粘接着シートを与えることを目的とするものではあるが、硬化後の粘接着シート自体の弾性率、強度などのデータの記載はない。当該文献の実施例1では、芯材に目付5.9g/m2の液晶ポリマーを用いているが、その充填量は約11wt%と低く、この芯材による粘接着シートの弾性率、強度の向上効果も期待できない。
製品パンフレットによれば、「Y-582A」の厚みは170μmであり、引張せん断接着強さは14.7MPaであるが、硬化後のフィルム接着剤自体の弾性率、強度などのデータは公表されていない。この接着剤は、強化繊維等のフィラーを含まない。
公知の接着剤の硬化物は、一般的に、高くても32MPa程度の引張破断強度、および高くても5.6GPa程度の弾性率(ヤング率)を有する(例えばLORD社のFusor(登録商標)380NS/383NS接着剤についてのカタログ https://www.lord.com/sites/default/files/Documents/TechnicalDataSheet/DS3386_Fusor380NS-383NS.pdf参照)。
なお、このような従来技術による通常の接着剤では、接着厚みが大きくなるにつれて、硬化時の引張せん断接着強さが低下することが知られている。
[1].
芯材としての繊維層およびこの繊維層の両面に配置された樹脂組成物の粘着層を含み、
この樹脂組成物が、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物、またはフィラーおよび熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物であり、かつ、前記繊維層に前記粘着層を構成する樹脂組成物を含浸させた、繊維強化接着シートであって、
前記繊維層を構成する繊維含有量が、繊維強化接着シートの総質量に対して15質量%~65質量%である、
繊維強化接着シート。
[2].
前記繊維層が、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維からなる群から選択される繊維から構成されている、上記[1]項に記載の繊維強化接着シート。
[3].
前記繊維層の繊維が、1mm以上の平均繊維長を有する繊維から構成されている、上記[1]または[2]項に記載の繊維強化接着シート。
[4].
前記繊維層が炭素繊維から構成されており、この炭素繊維がチョップドファイバー、不織布、織布、UD材またはこれらのいずれかの組み合わせである、上記[1]~[3]項のいずれか1項に記載の繊維強化接着シート。
[5].
上記粘着層を構成する樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であり、フィラーとしての炭素繊維がミルド炭素繊維である、上記[1]~[4]項のいずれか1項に記載の繊維強化接着シート。
[6].
硬化後において、100MPa以上の引張強度を有する、上記[1]~[5]項のいずれか1項に記載の繊維強化接着シート。
[7].
硬化後において、10GPa以上の弾性率を有し、100MPa以上の引張強度を有し、かつ厚み0.5mm以上のシート状にて15MPa以上の引張せん断接着強さを有する、上記[1]~[5]項のいずれか1項に記載の繊維強化接着シート。
[8].
硬化後において、10GPa以上の弾性率を有し、厚み2mm以上のシート状にて15MPa以上の引張せん断接着強さを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の繊維強化接着シート。
[9].
2つの被着体を接着するために繊維強化接着シートを使用する方法であって、
当該方法は、この繊維強化接着シートを加熱することを含み、
この繊維強化接着シートが、芯材としての繊維層およびこの繊維層の両面に配置された樹脂組成物の粘着層を含み、
この樹脂組成物が、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物、またはフィラーおよび熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物であり、かつ、前記繊維層に前記粘着層を構成する樹脂組成物を含浸させた、繊維強化接着シートであって、
前記繊維層を構成する繊維含有量が、繊維強化接着シートの総質量に対して15質量%~65質量%である、上記方法。
また、本発明に係る繊維強化接着シートは、接着・硬化後において高い弾性率および強度(好ましくは10GPa以上の弾性率、100MPa以上の引張強度)を併せ持ち、接着厚みが大きい場合(厚みが大きいシート状の硬化物)においても高い引張せん断接着強さ(好ましくは、接着厚みが0.5mm以上の場合において15MPa以上の引張せん断接着強さ)を保持することができる。
繊維層は、単一の繊維シートから構成されていてよいし、複数の繊維シートを直接積層させた積層体として構成されていてもよい。
なお、本明細書にて言及された用語「粘着層」は、繊維強化接着シートの構成部分であるから「接着層」と読み替えられるものとする。
ここで、参照符号1は、繊維強化接着シートを示す。参照符号2は、樹脂組成物を含浸させた繊維層(芯材)を示す。参照符号3は、この繊維層の両面に配置された樹脂組成物の粘着層を示す。また、参照符号4は、樹脂組成物に含まれるフィラー(例えば後述の炭素ミルドファイバー)を示す。
繊維層を構成する繊維としては、主に繊維強化接着シートの強度向上の観点から、炭素繊維が好ましく用いられる。
繊維層には、繊維強化接着シートの製造過程で含浸された樹脂組成物が含まれている。
繊維強化接着シートの接着・硬化後における高い弾性率および強度の両立の観点から、織物またはUD材の形態の炭素繊維を用いるのが最も一般的である。
また、繊維層を構成する繊維としていずれの種類または形態の繊維を用いるにせよ、平均繊維長が1mm以上の材料を採用することが好ましい。このような平均繊維長を有する繊維材料を採用することにより、繊維強化接着シートの接着・硬化後における高い弾性率が期待される。
これらの中でも、繊維強化接着シートの接着・硬化後の強度等の機械的物性向上の観点から、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、BT樹脂、シアネートエステル樹脂が好ましく用いられ、とりわけ、エポキシ樹脂は繊維層およびフィラーとの接着に優れる点で特に好適に用いられる。エポキシ樹脂は、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂が例示される。
粘着層を構成する樹脂組成物は、このような範囲内の量でフィラーを含有することによって、初期粘着力の維持に必要な樹脂の量を保持しつつも、接着厚みが大きい場合でも、接着・硬化後における弾性率および強度が高度に両立された繊維強化接着シートを提供することが可能になる。
そのようなフィラーの非限定的な例としては、炭素繊維、シリカ、アルミナ、マイカ、ガラス(またはガラス繊維)等が挙げられる。
炭素ミルドファイバーの一例としては、東レ株式会社から入手されるトレカ(登録商標)ミルドファイバーや、日本ポリマー産業株式会社から入手されるCFMPシリーズが挙げられる。
また、繊維層を構成する繊維のVf:体積含有率は、10%~60%であり、好ましくは15~60%であってよく、より好ましくは20%~60%であってよく、更により好ましくは30%~55%であってよく、最も典型的には35%~50%、または40%~50%であってよい。
繊維強化接着シートは、上記の樹脂組成物における所定範囲内のフィラーの含有量と相俟って、このような範囲内の量で繊維を含有することによって、初期粘着力の維持に必要な樹脂の量を保持しつつも、接着厚みが大きい場合でも、接着・硬化後における弾性率および強度が高度に両立された繊維強化接着シートを提供することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る繊維強化接着シートは、粘着層を構成する樹脂組成物がフィラーとしての炭素繊維を含有しており、このフィラーとしての炭素繊維の含有量が樹脂組成物の総質量に対して10質量%~60質量%であり、かつ繊維層を構成する繊維およびフィラーとしての炭素繊維を合わせた繊維含有量が繊維強化接着シートの総質量に対して15質量%~65質量%であることによって、1.0mm以上、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは3.0mm程度に至るまでの大きな接着厚みの場合においても、弾性率および強度が高度に両立された接着硬化物を得ることができる。
なお、この半硬化状態である粘着層(粘着層を構成する熱硬化性樹脂)は、加熱・冷却することによって、熱硬化性樹脂が完全に硬化して流動しなくなる「Cステージ」又は「最終硬化」と呼ばれる状態に移行し得る。このCステージは、例えば熱硬化性樹脂の90モル%を超える量が反応済みである状態である。
本発明に係る繊維強化接着シートは、半硬化状態にて柔軟性(押込み硬さ)が、通常0.1~2.0mmであり、好ましくは0.2~1.0mmであってよい。ここでの柔軟性は、東海精機(株)製の押し込み硬さ試験機で測定できる。なお、測定条件は、サンプルサイズ:50×50×t10mm(積層して作製)、荷重:17,500g、計測開始タイマ(荷重負荷後、計測までの時間):5秒、計測時間タイマ:180秒で行った。
樹脂組成物における硬化剤の含有量は(使用される場合)、特に限定されないが、例えば1質量%以上20質量%以下であってよく、より典型的には2質量%以上15質量%以下であってよい。
硬化剤としては、特に限定されず、公知の任意の硬化剤を使用することができる。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が用いられる場合の硬化剤の例としては、ジシアンジアミド、芳香族ポリアミン、アミノ安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリフェノール化合物、イミダゾール誘導体、脂肪族アミン、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリメルカプタンおよび三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などが挙げられる。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が用いられる場合の硬化剤の典型例として、ジシアンジアミドとイミダゾール類との併用(混合物)が挙げられる。
このような他の添加剤としては、難燃剤(リン含有エポキシ樹脂、赤燐、ホスファゼン化合物、リン酸塩類、リン酸エステル類など)、シリコーンオイル、湿潤分散剤、消泡剤、脱泡剤、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド、エステル類、パラフィン類等の離型剤、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の粉体や炭素繊維以外の無機充填剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シランカップリング剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここでの弾性率(ヤング率)は、JIS K7161:2014に準拠して測定することができる。
また、本発明の繊維強化接着シートは、接着・硬化後において、上述の範囲内の弾性率(ヤング率)と上述の範囲内の引張強度とを併せ持つことが、更に好ましい。
ここでの引張強度は、JIS K7161:2014に準拠して測定することができる。
また、本発明の繊維強化接着シートは、接着・硬化後において、上述の範囲内の弾性率(ヤング率)及び/または上述の範囲内の引張強度と、上述の範囲内の接着厚み0.5mm以上での引張せん断接着強さとを併せ持つことが、更に好ましい。
ここでの引張せん断接着強さは、JIS K6850:1999に準拠し、引張速度を5mm/分に変更して測定することができる。
繊維強化接着シートの製造方法の非限定的な一例を、図2を参照して説明する。
参照符号5は、シート作製機を示す。最初に、所定量の上述の熱硬化性樹脂またはフィラーを含む熱硬化性樹脂および任意成分の硬化剤を、室温(例えば10℃~40℃)にて混合・撹拌することによって樹脂組成物(参照符号6)を形成することができる。次いで、ダイコーター(参照符号7)を用いて、この樹脂組成物の所定量を離型フィルム(参照符号8)の表面上に塗工し、その塗工面に対して単一層または複数層からなる繊維層(参照符号9)を戴置・形成することができる。そして、ダイコーター(参照符号7’)を用いて同様に準備しておいた樹脂組成物(参照符号6’)の所定量が表面上に塗工された離型フィルム(参照符号8’)で、この塗工面が繊維に接するように芯材の繊維層(参照番号9)を挟み込むことができる。その後、含浸ベルト(参照符号10)を用いて両面から圧力を掛けて樹脂組成物を繊維層に含浸させ、巻き取りロール(参照符号11)により巻き取り、巻き取り中または巻き取り後に完全硬化しない程度の時間(たとえば1分~1時間)および温度(例えば40℃~70℃)で加熱することによって、繊維強化接着シートを製造することができる。このとき、繊維層を構成する繊維含有量を繊維強化接着シートの総質量に対して15質量%~65質量%とするように調整する。
離型フィルムを構成する基材の例としては、グラシン紙、上質紙、クラフト紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。
また、離型フィルムの材料の例としては、フッ素系フィルム、シリコーン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂フィルムなどが挙げられる。
ここで、参照符号12は、製造されたままの繊維強化接着シートを示す。参照符号13は、芯材としての繊維層およびその両面の粘着層を含む繊維強化接着シートを示す。参照符号14、14’は、繊維強化接着シートの両面に配された離型フィルムを示す。
上述のように、繊維層およびこの両面に配置された粘着層を含む繊維強化接着シートの全体的な硬化後厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5~3.0mm程度、典型的には0.5~2.0mm程度とすることができる。
例えば、上述の特開2011-231297号公報は、構造材として用いられるプリプレグに関するものであるが、その実施例では10枚重ねのプリプレグの厚みが1mmであることが記載されている(一枚のプリプレグの厚みは0.1mmである)。また、上述の3M社からフィルム状の接着剤として「Y-582A」等の「ボンディングテープ」が市販されている。接着厚みは、製品パンフレットによれば170μmである。これらの情報から、上限3.0mm程度、典型的には2.0mm程度に至るまでの硬化後厚みを物性バランスを保持しつつ達成できることは、本発明の繊維強化接着シートによる従来技術にない利点である。
これらの被着体の中でも、種々の工業分野では軽量化の観点より、繊維強化複合材料、特に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)同士の接着について需要が高い。
樹脂組成物の製造例1
撹拌機を用い、以下の材料を特定の重量比で混合・撹拌し、樹脂組成物を得た。
・エポキシ樹脂(ADEKA社製EP-4300E)100質量部
・硬化剤(ADEKA社製EH-3842)12質量部
・炭素ミルドファイバー(日本ポリマー産業社製CFMP-300X)28質量部
この樹脂組成物における炭素ミルドファイバーの含有割合は、20質量%である。
図2に示したようなシート作製機を用い、上記樹脂組成物を離型フィルム上へ塗工し(塗布量:約450g/m2)、その塗工面に炭素繊維織物(東レ製CO6343B、目付:198g/m2)を直接3枚重ね、さらに同様の樹脂組成物が塗工された離型フィルムで挟み込んだ。
その後、含浸ベルトを用いて両面から圧力を掛けることで、樹脂組成物を炭素繊維織物の積層体に含浸させ、ロール状に巻き取り、加温(約60℃)により半硬化の粘着層を両側に含む繊維強化接着シートを作製した。
離型フィルムを除くこの繊維強化接着シートの厚みは、1.1mmであった(加熱および冷却により完全硬化させた後も実質的にこの厚みが保持される)。なお、炭素繊維織物の積層数や樹脂組成物の量の調整により、硬化後の高強度および高弾性を保持しつつ接着厚みをさらに大きくすることが可能である。
この繊維強化接着シートの総質量に対する繊維(炭素繊維)含有量は、約52質量%であった。
樹脂組成物の製造例2
撹拌機を用い、以下の材料を特定の重量比で混合・撹拌し、樹脂組成物を得た。
・エポキシ樹脂(ADEKA社製EP-4300E)100質量部
・硬化剤(ADEKA社製EH-3842)8.4質量部
・硬化剤(T&K TOKA社製トーマイドTXA-445)7.5質量部
・炭素ミルドファイバー(日本ポリマー産業社製CFMP-300X)29質量部
この樹脂組成物における炭素ミルドファイバーの含有割合は、20質量%である。
図2に示したようなシート作製機を用い、上記樹脂組成物を離型フィルム上へ塗工し(塗布量:約200g/m2)、その塗工面に炭素繊維織物(東レ製CO6343B、目付:198g/m2)を1枚挿入し、さらに同様の樹脂組成物が塗工された離型フィルムで挟み込んだ。
その後、含浸ベルトを用いて両面から圧力を掛けることで、樹脂組成物を炭素繊維織物の積層体に含浸させ、ロール状に巻き取り、常温で半硬化の粘着層を両側に含む繊維強化接着シートを作製した。
離型フィルムを除くこの繊維強化接着シートの厚みは、0.6mmであった(加熱および冷却により完全硬化させた後も実質的にこの厚みが保持される)。
この繊維強化接着シートの総質量に対する繊維(炭素繊維)含有量は、約46質量%であった。
樹脂組成物の製造例3
撹拌機を用い、製造例2と同様に以下の材料を特定の重量比で混合・撹拌し、樹脂組成物を得た。
・エポキシ樹脂(ADEKA社製EP-4300E)100質量部
・硬化剤(ADEKA社製EH-3842)8.4質量部
・硬化剤(T&K TOKA社製トーマイドTXA-445)7.5質量部
・炭素ミルドファイバー(日本ポリマー産業社製CFMP-300X)29質量部
この樹脂組成物における炭素ミルドファイバーの含有割合は、20質量%である。
図2に示したようなシート作製機を用い、上記樹脂組成物を離型フィルム上へ塗工し(塗布量:約600g/m2)、その塗工面には炭素繊維織物は挿入せず、さらに同様の樹脂組成物が塗工された離型フィルムを重ねあわせた。
その後、含浸ベルトを用いて両面から圧力を掛け、ロール状に巻き取り、常温で半硬化させ、接着シートを作製した。
離型フィルムを除くこの接着シートの厚みは、1.1mmであった(加熱および冷却により完全硬化させた後も実質的にこの厚みが保持される)。
この接着シートの総質量に対する繊維(炭素繊維)含有量は、約20質量%であった。
また、この繊維強化接着シートの硬化物(製造例1:130℃で2時間、製造例2および製造例3:180℃で2時間加熱した後に冷却することによって製造)について、各厚み(0.5mm、1.0mm、2.0mm)での引張せん断接着強さ、弾性率(ヤング率)および引張強度を、上述の方法で測定した。
さらに、比較のため、3M社から市販されているフィルム状の接着剤「ボンディングテープ」の「Y-582A」の厚み170μm(製品パンフレット記載の厚み)の硬化シート(比較例1)を形成し、半硬化状態の初期タックおよび柔軟性、ならびに、硬化物について各厚み(0.5mm、1.0mm、2.0mm)での引張せん断接着強さ、弾性率(ヤング率)および引張強度を上述の方法で同様に測定した。
従って、本発明に係る繊維強化接着シートは、幅広い分野において、アルミニウム、ステンレス等の金属、プラスチック、ガラス、繊維強化複合材料等の接着、特に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)同士の接着のため好適に用いられる。
2:樹脂組成物を含浸させた繊維層(芯材)
3:繊維層の両面に配置された樹脂組成物の粘着層
4:フィラー
5:シート作製機
6:樹脂組成物
7:ダイコーター
8:離型フィルム
9:繊維層
6’:樹脂組成物
7’:ダイコーター
8’:離型フィルム
9:繊維層(芯材)
10:含浸ベルト
11:巻き取りロール
12:製造後のままの繊維強化接着シート
13:繊維強化接着シート(芯材としての繊維層および粘着層を含む)
14:離型フィルム
Claims (6)
- 芯材としての繊維層およびこの繊維層の両面に配置された樹脂組成物の接着層を含み、
この樹脂組成物が、フィラーおよび熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物であり、かつ、前記繊維層に前記接着層を構成する樹脂組成物を含浸させた、繊維強化接着シートであって、
前記繊維層を構成する繊維含有量が、繊維強化接着シートの総質量に対して30質量%~65質量%であり、
上記接着層を構成する樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であり、フィラーとしての炭素繊維がミルド炭素繊維であり、
前記樹脂組成物が、一分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と共通の溶媒に分散可能な数平均分子量が2000以上10000未満のポリカルボジイミド樹脂を含むものではなく、
前記樹脂組成物が、樹脂成分100重量部のうちフェノキシ樹脂を50重量部以上含むものではなく、
前記フィラーであるミルド炭素繊維の含有量が、前記接着層を構成する樹脂組成物の総質量に対して10質量~50質量%であり、ミルド炭素繊維の平均繊維長が、50μm~300μmであり、
室温での半硬化状態にて、前記繊維強化接着シートの初期タックが3.0~10Nであり、
硬化後において、20GPa以上の弾性率を有し、200MPa以上の引張強度を有し、かつ、厚み0.5mm以上のシート状にて15MPa以上の引張せん断接着強さを有する、
繊維強化接着シート。 - 前記繊維層が、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維からなる群から選択される繊維から構成されている、請求項1に記載の繊維強化接着シート。
- 前記繊維層の繊維が、1mm以上の平均繊維長を有する繊維から構成されている、請求項1または2に記載の繊維強化接着シート。
- 前記繊維層が炭素繊維から構成されており、この炭素繊維がチョップドファイバー、不織布、織布、UD材またはこれらのいずれかの組み合わせである、請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維強化接着シート。
- 硬化後において、厚み2mm以上のシート状にて15MPa以上の引張せん断接着強さを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維強化接着シート。
- 2つの被着体を接着するために請求項1~5のいずれか1項に記載の繊維強化接着シートを使用する方法であって、
当該方法は、この繊維強化接着シートを加熱することを含み、
この繊維強化接着シートが、芯材としての繊維層およびこの繊維層の両面に配置された樹脂組成物の接着層を含み、
この樹脂組成物が、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物、またはフィラーおよび熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物であり、かつ、前記繊維層に前記接着層を構成する樹脂組成物を含浸させた、繊維強化接着シートであって、
前記繊維層を構成する繊維含有量が、繊維強化接着シートの総質量に対して30質量%~65質量%である、上記方法。
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