JP2011148938A - エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 Download PDF

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Shiori Kawamoto
史織 川本
Yuuki Maeda
祐希 前田
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Abstract

【課題】優れた難燃性、耐熱性および力学特性を有し、特に電子・電気部品筐体の製造において有用な速硬化性を有するエポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料を提供することにある。
【解決手段】少なくとも、特定のエポキシ樹脂[A]、[B]、アミン系硬化剤[C]、硬化促進剤[D]およびリン原子含有化合物[E]を含み、成分[A]と成分[B]の配合量が式1、2および3の条件を満たし、かつ、成分[E]の配合量が、全エポキシ樹脂組成物中にリン原子含有量として0.2〜3質量%含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(式1)[A]/([A]+[B]+[C])≧0.05
(式2)[B]/([A]+[B]+[C])≧0.05
(式3)([A]+[B])/([A]+[B]+[C])≧0.8
【選択図】なし

Description

本発明は、特に電子電気部品筐体に好適に用いられ、繊維強化複合材料の製造に好適に用いられるエポキシ樹脂組成物に関するものであり、より詳しくは、優れた難燃性と高い力学特性を有するエポキシ樹脂組成物、および該エポキシ樹脂組成物と炭素繊維からなるプリプレグ、ならびに該プリプレグを硬化させて得られる繊維強化複合材料に関するものである。
従来、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維と、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂からなる繊維強化複合材料は、軽量性と優れた力学特性からゴルフクラブ、テニスラケット、釣り竿などのスポーツ分野をはじめ、航空・宇宙機、自動車、鉄道車両、船舶などの構造材料、コンクリート構造物の補修・補強といった土木・建築分野など幅広い分野で使用されてきた。
近年では、優れた力学特性のみならず、例えば炭素繊維が導電性を有することから、炭素繊維を強化繊維とする繊維強化複合材料がノートパソコンやビデオカメラなどの電子・電気機器の筐体などにも適用され、筐体の薄肉化による機器重量の軽減などに役立っている。
このような繊維強化複合材料は、熱硬化性樹脂を強化繊維に含浸して得られる中間素材であるプリプレグを複数枚、積層し、オートクレーブにて加熱・加圧して得られることが多い。
繊維強化複合材料の様々な用途の中で、特に航空機や車両などの構造材料や建築材料は、火災によって着火・燃焼しないよう、材料に難燃性を有することが強く求められている。また電子電気機器用途においても、装置内部からの発熱や外部の高温にさらされることにより、筐体や部品などが発火、燃焼する事故を防ぐため、優れた難燃性が求められている。
繊維強化複合材料の難燃性を向上させる技術としては、特許文献1のような臭素に代表されるハロゲンを分子中に有するエポキシ樹脂、例えば臭素化エポキシ樹脂を配合する方法がある。しかしながら、ハロゲンを含有する化合物は燃焼時にハロゲン化水素等の有害物質を発生する可能性があり、人体や自然環境に悪影響を及ぼすことが懸念される。また、特許文献2のような臭素化エポキシ樹脂に加えて三酸化アンチモンを難燃助剤に用いる方法があるが、三酸化アンチモンは燃焼時に有毒な煙霧を発生するばかりでなく、三酸化アンチモン自体が有毒なため取扱いに注意が必要になる。
一方、近年では、前記理由からハロゲンを含む化合物や三酸化アンチモンを使用せず、一定の難燃性を達成する技術開発が行われている。そのような技術としては、例えば特許文献3のような、エポキシ樹脂に赤リンを配合する技術が開示されている。この技術は燃焼時にハロゲン化水素を発生せず、赤リン中に含まれる、難燃性を付与する働きをするリン元素の含有率が非常に大きいことから、少量の添加量において、エポキシ樹脂本来の特性を損なうことなく十分な難燃性を得ることができる。しかしながら、赤リンは配合することにより樹脂に赤着色が起きることが分かっている。そのため、赤リンを含まない樹脂組成物に比べ、製造における装置や器具の洗浄に多大な能力が必要となり、さらに電子・電気部品筐体用途においては、繊維強化複合材料表面の色調が限定されるといった問題が発生する。
別の難燃化技術としては、特許文献4のように、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂およびクレゾールノボラック型エポキシ樹脂に、難燃剤としてリン酸エステルを、さらに硬化剤に窒素元素を含有するフェノール樹脂を使用する方法が開示されている。しかしながら、この技術では、エポキシ樹脂本来の耐熱性および力学特性を低下する問題があり、さらには、通常、数分で硬化が終了する繊維強化複合材料が望まれる電子・電気部品筐体分野において、窒素元素を含有するフェノール樹脂の硬化剤は硬化が遅く生産性が低下する問題がある。
以上の理由により、ハロゲン化合物、三酸化アンチモンおよび赤リン等を含まず、生産性に優れたエポキシ樹脂組成物の開発が望まれていた。
特公昭59−52653号公報 特開平09−278914号公報 国際公開2005/082982号パンフレット 特開2006−182991号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の背景に鑑み、優れた難燃性、耐熱性および力学特性を有し、特に電子・電気部品筐体の製造において有用な速硬化性を有するエポキシ樹脂組成物、および該エポキシ樹脂組成物を適用した中間素材であるプリプレグを提供することであり、さらには該プリプレグを適用することで、優れた難燃性と高い耐熱性、力学物性を有する繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも次の成分[A]、[B]、[C]、[D]および[E]を含み、成分[A]と成分[B]の配合量が式1、2および3の条件を満たし、かつ、成分[E]の配合量が、全エポキシ樹脂組成物中にリン原子含有量として0.2〜3質量%含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
[A]次式(I)で示されるエポキシ樹脂
Figure 2011148938
(式中、Arは、ベンゼン環、ナフタレン環から選ばれる芳香環を表し、Arはベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル基から選ばれる芳香環を表す。また、nは0以上の整数を表す。)
[B]次式(II)で示されるエポキシ樹脂
Figure 2011148938
(式中、R、R、Rは、水素原子またはメチル基を表す。また、nは0以上の整数を表す。)
[C]アミン系硬化剤
[D]硬化促進剤
[E]リン原子含有化合物
(式1)[A]/([A]+[B]+[C])≧0.05
(式2)[B]/([A]+[B]+[C])≧0.05
(式3)([A]+[B])/([A]+[B]+[C])≧0.8。
本発明のエポキシ樹脂の好ましい様態によれば、成分[B]の式(II)中のR、R、Rはすべて水素原子であり、また、成分[A]の式(I)中のArはベンゼン環、Arはビフェニル基である。
また、本発明のエポキシ樹脂物の好ましい様態によれば、成分[E]であるリン原子含有化合物がリン酸エステル構造を有するものである。
本発明のプリプレグの好ましい態様は、本発明のエポキシ樹脂組成物が強化繊維に含浸させて得られるものであり、さらに好ましい態様は、強化繊維が炭素繊維である。
本発明の繊維強化複合材料の好ましい態様は、少なくとも本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維から構成されるものであり、さらに好ましい態様は、厚さ2mm以下で、UL94試験における難燃性がV−1以上である。
本発明の繊維強化複合材料の好ましい製造方法は、本発明のプリプレグを積層後、熱硬化させたものであり、別の好ましい製造方法は本発明のプリプレグを積層後、プレス成型法にて硬化させたものである。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、優れた難燃性、速硬化性、耐熱性および力学特性を有し、かつ、該エポキシ樹脂組成物と強化繊維を含むプリプレグを積層後、硬化させて得られる繊維強化複合材料は、優れた難燃性、耐熱性および力学物性を有することから、難燃性を求められる材料、特に電子・電気部品筐体に好適に使用することができる。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料について詳細に説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成は、少なくとも次の成分[A]、[B]、[C]、[D]および[E]から構成される。
ここで、エポキシ樹脂とは1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を指す。
[A]次式(I)で示されるエポキシ樹脂
Figure 2011148938
(式中、Arは、ベンゼン環、ナフタレン環から選ばれる芳香環を表し、Arはベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル基から選ばれる芳香環を表す。また、nは0以上の整数を表す。)
[B]次式(II)で示されるエポキシ樹脂
Figure 2011148938
(式中、R、R、Rは、水素原子またはメチル基を表す。また、nは0以上の整数を表す。)
[C]アミン系硬化剤
[D]硬化促進剤
[E]リン原子含有化合物。
本発明の成分[A]としては、例えばビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂が好適に使用できるが、式(I)中のArがベンゼン環、Arがビフェニル基であるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が、難燃性により優れているため、特に好ましく用いることができる。
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の市販品としては、例えばNC−3000(軟化点58℃)、NC−3000H(軟化点69℃)、NC−3000L(軟化点70℃)(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
フェノールアラルキル型エポキシ樹脂の市販品としては、例えばNC−2000(軟化点58℃)、NC−2000L(軟化点52℃)(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂の市販品としては、例えばESN−475(軟化点80℃)、ESN−475V(軟化点80℃)(以上、新日鉄化学(株)製)などが挙げられる。
本発明の成分[B]としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好適に使用できるが、式(II)中のR、R、Rがすべて水素原子であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂が、難燃性に優れているため、特に好ましく用いることができる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば“jER(登録商標)”152、“jER(登録商標)”154(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン(登録商標)”N−740、“エピクロン(登録商標)”N−770、“エピクロン(登録商標)”N−775(以上、DIC(株)製)、PY307、EPN1179、EPN1180(以上、ハンツマン・ジャパン(株)製)、YDPN638、YDPN638P(以上、東都化成(株)製)、DEN431、DEN438、DEN439(以上、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー社製)、EPR600(Bakelite社製)、EPPN−201(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば“jER(登録商標)”180S(ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン(登録商標)”N−660、“エピクロン(登録商標)”N−665、“エピクロン(登録商標)”N−670、“エピクロン(登録商標)”N−673、“エピクロン(登録商標)”N−680、“エピクロン(登録商標)”N−695、“エピクロン(登録商標)”N−665−EXP、“エピクロン(登録商標)”N−672−EXP、“エピクロン(登録商標)”N−655−EXP−S、“エピクロン(登録商標)”N−662−EXP−S、“エピクロン(登録商標)”N−665−EXP−S、“エピクロン(登録商標)”N−670−EXP−S、“エピクロン(登録商標)”N−685−EXP−S(以上、DIC(株)製)、ECN9511、ECN1273、ECN1280、ECN1285、ECN1299(以上、ハンツマン・ジャパン(株)製)、YDCN−701、YDCN−702、YDCN−703、YDCN−704(以上、東都化成(株)製)、CER−1020、EOCN−1020−62、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S(以上、日本化薬(株)製)、ESCN200L、ESCN220L、ESCN220F、ESCN220HH(以上、住友化学(株)製)、EPR650(Bakelite社製)などが挙げられる。
本発明の成分[A]および[B]は式1、2および3の条件を満たす範囲で配合される。
(式1)[A]/([A]+[B]+[C])≧0.05
(式2)[B]/([A]+[B]+[C])≧0.05
(式3)([A]+[B])/([A]+[B]+[C])≧0.8。
式(1)における[A]/([A]+[B]+[C])の値は、0.05以上であり、0.1以上であれば好ましい。[A]/([A]+[B]+[C])の値が0.05に満たない場合、繊維強化複合材料の難燃性が不十分であることから十分な難燃性を得るために多量の難燃剤を必要としたり、繊維強化複合材料の耐熱性や機械物性が低下したりするため好ましくない。また、繊維強化複合材料の難燃性の観点から、[A]/([A]+[B]+[C])の値は高いほうが好ましいが、一般的に、式(1)で表されるエポキシ樹脂は骨格が剛直であるためガラス転移温度が25℃を超える傾向にあり、多量に配合するとエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、プリプレグを製造するときに未含浸部が発生したり、プリプレグのドレープ性が低く、取扱い性が悪くなったりする。そのため[A]/([A]+[B]+[C])の値の上限は通常0.95程度である。
式(2)における[B]/([A]+[B]+[C])の値は、0.05以上であり、0.3以上であれば好ましい。[B]/([A]+[B]+[C])の値が0.05に満たない場合、繊維強化複合材料の難燃性が不十分であることから十分な難燃性を得るために多量の難燃剤を必要としたり、繊維強化複合材料の耐熱性や機械物性が低下したりするため好ましくない。また、繊維強化複合材料の難燃性の観点から、[B]/([A]+[B]+[C])の値は高いほうが好ましいが、一般的に、式(2)で表されるエポキシ樹脂は骨格が剛直であるためガラス転移温度が25℃を超える傾向にあり、多量に配合するとエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、プリプレグを製造するときに未含浸部が発生したり、プリプレグのドレープ性が低く、取扱い性が悪くなったりする。そのため[B]/([A]+[B]+[C])の値の上限は通常0.95程度である。
式(3)における([A]+[B])/([A]+[B]+[C])の値は0.8以上であり、0.85以上であれば好ましい。([A]+[B])/([A]+[B]+[C])の値が0.8に満たない場合、繊維強化複合材料の難燃性および耐熱性が不十分となるため好ましくない。繊維強化複合材料の難燃性および耐熱性の観点から、([A]+[B])/([A]+[B]+[C])の値は高い方が好ましいが、一般的に、式(1)、(2)で表されるエポキシ樹脂は骨格が剛直であるため、ガラス転移温度が25℃を超える傾向にあり、多量に配合するとエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、プリプレグを製造するときに未含浸部が発生したり、プリプレグのドレープ性が低く、取扱い性が悪くなったりする場合がある。そのため([A]+[B])/([A]+[B]+[C])の値の上限は通常0.95程度である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、未硬化の状態であれば各成分の配合割合は、赤外吸収分析(略称:IR)、水素−核磁気共鳴(略称:1H−NMR)、炭素−13核磁気共鳴(略称:13C−NMR)、ガスクロマトグラフィ−質量分析(略称:GC−MS)、高速液体クロマトグラフィー(略称:HPLC)などの分析方法を組み合わせることにより同定することができる。例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物を水、アルコール類、アセトニトリル、ジクロロメタン、トリフルオロ酢酸などの単独あるいは混合溶媒に溶解させた後、不純物を濾過し、上澄み液をHPLCで、濾別されたものをIRで測定するなどの方法を用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、成分[A]および[B]以外のエポキシ樹脂が配合されてもよい。成分[A]および[B]以外のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリジジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテルなどの脂肪族エポキシ樹脂、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−4−アミノ−3−メチルフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−メチレンジアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−2,2’−ジエチル−4,4’−メチレンジアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステルなどのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、アジピン酸ビス−3,4−エポキシシクロヘキシルメチルなどの脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリレンイソシアネートの付加により得られるオキサゾリドン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、N−グリシジルフタルイミド、ゴム変性エポキシ樹脂などが挙げられる。特にビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂は、耐熱性、力学物性および粘度のバランスがよく、好適に用いることができ、グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、エポキシ基の含有量が多いことから、耐熱性を高めるのに好適に用いることができる。
本発明の成分[C]であるアミン系硬化剤とは、分子中にアミン性窒素原子を有する化合物をいう。かかる硬化剤としては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン等の芳香族ポリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4、4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)ポリエチレンイミンのダイマー酸エステル等の脂肪族アミン、これらの活性水素を有するアミン化合物に、エポキシ化合物、アクリロニトリル、フェノールとホルムアルデヒド、チオ尿素などの化合物を反応させて得られる変性アミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールや1置換イミダゾールのような活性水素を持たない第三アミン、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、アジピン酸ヒドラジドやナフタレンカルボン酸ヒドラジドのようなポリカルボン酸ヒドラジド、三フッ化ホウ素・エチルアミン錯体や三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体のようなルイス酸錯体などが挙げられる。
本発明の成分[C]は、樹脂調合工程での安定性や室温での保存安定性、あるいは強化繊維へのエポキシ樹脂組成物を含浸する工程で受ける熱履歴に対する安定性などのため、熱活性型で潜在性を有することが好ましい。ここで熱活性型の潜在性とは、所定温度以下では活性の低い状態であるが、一定の熱履歴を受けることにより相変化や化学変化などを起こして、活性の高い状態に変わるという性質を意味する。
熱活性型で潜在性を有するアミン系硬化剤としては、ジシアンジアミドであることが好ましい。ジシアンジアミドは粒子状の硬化剤であり、25℃での温度下ではエポキシ樹脂に溶解せず、粒子状のまま成分[A]、[B]およびその他のエポキシ樹脂成分に分散した状態となるため、各エポキシ樹脂成分中のエポキシ基と接触する面積が小さくなることから反応性をほとんど示さず、通常180℃以上まで加熱するとエポキシ樹脂に溶解し、エポキシ基と反応する特徴を有する。
本発明の成分[D]である硬化促進剤は、成分[C]であるアミン系硬化剤の硬化活性を高めるために用いられる。硬化促進剤としては、例えば、三級アミン、ルイス酸錯体、オニウム塩、イミダゾール、フェノール化合物など単独、あるいは複数種組み合わせて用いることができる。特に成分[C]としてジシアンジアミドを用いる場合は、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、4,4’−メチレンビス(ジフェニルジメチルウレア)、2,4−トルエンビス(3,3−ジメチルウレア)のような尿素誘導体やイミダゾール誘導体を硬化促進剤として組み合わせて好適に用いることができる。ジシアンジアミド単独では硬化に170〜180℃程度の温度が必要であるのに対し、かかる組み合わせを用いた樹脂組成物は80〜150℃で硬化可能となる。特に、ジシアンジアミドと一分子中にウレア結合を2個以上有する化合物との組み合わせが好ましい。一分子中にウレア結合を2個以上有する化合物としては、4,4’−メチレンビス(ジフェニルジメチルウレア)あるいは2,4−トルエンビス(3,3−ジメチルウレア)が好ましく、これらの化合物を用いた場合、150〜160℃で2〜30分程度で硬化可能である。
かかる成分[D]は固形状でも液状でもよいが、固形の粒子状であり、25℃での温度下ではほとんどエポキシ樹脂に溶解せず、粒子状のまま成分[A]、[B]およびその他のエポキシ樹脂成分に分散した状態となる性状の方が、樹脂調合工程での安定性や室温での保存安定性、あるいは強化繊維へのエポキシ樹脂組成物を含浸する工程で受ける熱履歴に対する安定性が向上するため好ましい。
本発明の成分[E]は、リン原子含有化合物である。リン原子の難燃効果は、リン原子の炭化物形成の促進効果によるものであり、エポキシ樹脂組成物中のリン原子含有量に大きく影響を受ける。本発明において、全樹脂組成物中のリン原子含有量は0.2〜3質量%であることを必要とし、0.5〜3質量%であれば好ましい。より好ましくは1〜2質量%である。リン原子含有量が0.2質量%未満であると、難燃効果が十分に得られないことがあり、3質量%を超えると、繊維強化複合材料の耐熱性や機械特性、特に引張強度やシャルピー衝撃値などで示される靭性、ゲル化時間に悪影響を及ぼす場合がある。ここでいうリン原子含有量は、リン原子化合物の構造から、リン原子含有化合物に含まれるリン原子の総質量を算出し、その値を全樹脂組成物の質量で除した物を割合とすることができる。すなわち、リン原子の「質量(g)/全樹脂組成物の質量(g)×100」で求めることができる。
また、エポキシ樹脂組成物や樹脂降下物の有機元素分析や、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析)などにより定量することもできる。樹脂硬化物を用いて定量されたリン原子化合量の測定結果から、エポキシ樹脂組成物中のリン原子含有量を定量するに際し、前記樹脂硬化物の有機元素分析やICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析)などにより定量された樹脂硬化物中のリン原子含有量とエポキシ樹脂組成物中のリン原子含有量とが同一であるとすることができる。
本発明の成分[E]であるリン原子含有化合物としては、分子中にリン原子を含むものであれば特に限定されることはなく、例えば、リン酸エステル、ポリリン酸塩などの有機リン化合物、赤リンなどが挙げられる。中でも、取扱い性が良好であり、かつ透明な色味の樹脂硬化物が得られることから、リン酸エステル構造を有する化合物が好ましく用いられる。
リン酸エステルの具体例としては、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ミラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物などの縮合リン酸エステルを挙げることができる。縮合リン酸エステルとしては、レゾルシノールビス(ジ2,6−キシリル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)などが挙げられる。レゾルシノールビス(ジ2,6−キシリル)ホスフェートの市販品としては、PX−200(大八化学工業(株)製)が挙げられる。レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)の市販品としては、CR−733S(大八化学工業(株)製)が挙げられる。ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)の市販品としては、CR−741(大八化学工業(株)製)が挙げられる。中でも、硬化性および耐熱性に優れる点から、レゾルシノールビス(ジ2,6−キシリル)ホスフェートが好ましく用いられる。
また、リン酸、ポリリン酸と周期律表I族〜II族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンとの塩からなるリン酸塩、ポリリン酸塩を挙げることができる。ポリリン酸塩の塩としては、金属塩としてリチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、鉄(II)塩、鉄(III)塩、アルミニウム塩など、脂肪族アミン塩としてメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチレンジアミン塩、ピペラジン塩などがあり、芳香族アミン塩としては、ピリジン塩、トリアジン塩、メラミン塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
また、上記の他に、リン原子と窒素原子が二重結合で結ばれた構造を有するホスファゼン化合物、リン酸エステルアミドなども好適に使用できる。これらのリン原子含有化合物は単独で用いても、複数種を併用しても良い。
また、本発明の成分[E]であるリン原子含有化合物は、硬化反応中にエポキシ骨格に取り込まれてもよく、エポキシ樹脂組成物に分散または相溶していてもよい。ここで、相溶とは固形分を有せず、どの部分においても同一なリン原子濃度を有する状態である。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、難燃性向上のため、適宜、他の難燃剤を配合してもよい。
他の難燃剤としては、例えば、メラミンシアヌレート、硫酸メラミン、スルファミン酸グアニジンなどの窒素原子を含有する化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化スズなどの金属水和物、硼酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、シリコーン樹脂、シリコーンオイルなどが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、粘弾性制御や靱性付与のため、適宜、熱可塑性樹脂を配合することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、芳香族ビニル単量体・シアン化ビニル単量体・ゴム質重合体から選ばれる少なくとも2種類を構成成分とする重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フェノキシ樹脂などが挙げられる。これらの中で、ポリビニルホルマールが、多くの種類のエポキシ樹脂を良好な相溶性を有し、エポキシ樹脂組成物の流動性制御の効果が大きい点で好ましく用いられる。ポリビニルホルマールの市販品をとしては、“ビニレック(登録商標)”(チッソ(株)製)が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、熱可塑性樹脂を配合する場合の配合量は、成分[A]、[B]、およびその他の配合されるエポキシ樹脂の全量を100質量部とした場合、0.5〜10質量部含まれることが好ましい。熱可塑性樹脂の配合量を0.5質量部以上とすることにより、粘弾性の制御や靭性付与といった効果が得られやすくなり、さらに10質量部以下とすることにより、プリプレグのドレープ性や、繊維強化複合材料の難燃性を高いレベルで維持できるようになる。
本発明のエポキシ樹脂組成物をプリプレグ用途で用いる場合、得られるプリプレグに適度なタック性やドレープ性を付与する目的で、50℃の温度における粘度が100〜20000Pa・sであることが好ましく、150〜10000Pa・sであればより好ましい。ここで、粘度とは動的粘弾性装置ARES−2KFRTN1−FCO−STD(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、直径40mmのパラレルプレートにパラレルプレート間の距離が1mmとなるように該エポキシ樹脂組成物をセット後、ねじりモード(測定周波数:0.5Hz)で測定した値である。また、樹脂セッティングから所定温度の粘度を測定知るまでの時間は15分以内とした。50℃の温度における粘度が100Pa・sに満たない場合、得られるプリプレグの形状保持性が不十分となり割れが生じたり、繊維強化複合材料の成型時において樹脂フローが多く発生し、繊維含有量にばらつきを生じたりする場合がある。また、50℃の温度における粘度が20000Pa・sを超える場合、エポキシ樹脂組成物をフィルム化に加工する工程でかすれを生じたり、強化繊維への含浸工程で未含浸部が発生したりする場合がある。
本発明のエポキシ樹脂組成物および該エポキシ樹脂組成物を使用した繊維強化複合材料は、産業材料用途、特に電子電気部品筐体に好適に用いることができる。電子電気部品筐体用途では、所定の温度にて、短時間で大量に生産できることが望まれるため、短時間で硬化する材料が好ましい。具体的には、成形温度におけるゲル化時間が5分以下であることが好ましく、特に、生産性を向上する目的においては、短時間であるほど好ましい。ここで、ゲル化時間は次のようにして測定することができる。すなわち、エポキシ樹脂組成物を2cmサンプルとして採取し、加硫/硬化特性試験機キュラストメーターV型(JSRトレーディング(株)製)を用いて150℃に加熱したダイスにサンプルを入れ、ねじり応力をかけてサンプルの硬化の進行にともなう粘度上昇をダイスに伝わるトルクとして測定する。測定開始後、トルクが0.001N・mに達するまでの時間をゲル化時間とした。成形温度は本発明の成分[C]および[D]の種類によって、通常80〜200℃の温度範囲の中で適宜調節される。例えば、成分[C]としてジシアンジアミド、成分[D]として3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素を用いる場合、ゲル化時間を5分以下とするためには、硬化温度は140〜160℃の温度範囲に調整される。
本発明のエポキシ樹脂組成物を前記した硬化条件、例えば150℃の温度下で5分間硬化して得られる硬化物のガラス転移温度は、90〜250℃であることが好ましく、90〜220℃であればさらに好ましい。ガラス転移温度が90℃に満たない場合は硬化物の耐熱性が不十分な場合があり、例えば、電子電気部品筐体用途においては、装置内部の発熱により繊維強化複合材料にゆがみが発生することはある。ガラス転移温度が250℃を超える場合、3次元架橋構造の架橋密度が高くなることから硬化物が脆くなり、繊維強化複合材料の引張強度や耐衝撃性が低下する場合がある。ここでガラス転移温度は、JIS K7121(1987)に従い、DSC法にて求められる中間点温度である。測定装置には示差走査熱量計DSC Q2000(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、窒素ガス雰囲気下において昇温速度40℃/分で測定される。
本発明のプリプレクは、該エポキシ樹脂組成物が強化繊維に含浸したシート状中間素材である。
本発明で用いられる強化繊維としては、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維等が挙げられ、特に軽量かつ高性能であり、難燃性の高い繊維強化複合材料が得られる点で、炭素繊維が好ましく用いられる。
かかる強化繊維として好ましく用いられる炭素繊維としては、具体的にはアクリル系、ピッチ系およびレーヨン系等の炭素繊維が挙げられ、特に引張強度の高いアクリル系の炭素繊維が好ましく用いられる。
かかるアクリル系の炭素繊維は、例えば、次に述べる工程を経て製造することができる。アクリロニトリルを主成分とするモノマーから得られるポリアクリロニトリルを含む紡糸原液を、湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法、または溶融紡糸法により紡糸する。紡糸後の凝固糸は、製糸工程を経て、プリカーサーとし、続いて耐炎化および炭化などの工程を経て炭素繊維を得ることができる。
炭素繊維の形態としては、有撚糸、解撚糸および無撚糸等を使用することができるが、繊維強化複合材料の成形性と強度特性のバランスが良いため、解撚糸または無撚糸が好ましく用いられる。
かかる炭素繊維は、通常、引張強度が2GPa〜12GPaの範囲である。炭素繊維本来の引張強度や繊維強化複合材料としたときの耐衝撃性の面から、引張強度は高ければ高いほど好ましく、引張強度が3GPa〜10GPaであれば、さらに好ましい。
また、かかる炭素繊維は、通常、引張弾性率が150Gpa〜1000GPaの範囲である。弾性率がこの範囲より低いと、得られる繊維強化複合材料の剛性が不足し薄肉化・軽量化が不十分となる場合があり、逆に弾性率がこの範囲より高いと、一般に炭素繊維の強度が低下する傾向がある。より好ましくは200GPa〜700GPaの範囲である。ここで、炭素繊維の引張強度と弾性率は、JIS R7601(1986)にしたがって測定されるストランド引張強度とストランド引張弾性率を意味する。
本発明で用いられる炭素繊維の市販品としては、“トレカ(登録商標)”T700SC−12K(引張強度:4.9GPa、引張弾性率:230GPa、伸び:2.1%、繊維比重:1.80、東レ(株)製)、“トレカ(登録商標)”T800HB−12K(引張強度:5.5GPa、引張弾性率:294GPa、伸び:1.9%、繊維比重:1.81、東レ(株)製)、 “トレカ(登録商標)”T800SC−24K(引張強度:5.9GPa、引張弾性率:294GPa、伸び:2.0%、繊維比重:1.80、東レ(株)製)、“トレカ(登録商標)”M40JB−12K(引張強度:4.4GPa、引張弾性率:377GPa、伸び:1.2%、繊維比重:1.75、東レ(株)製)などが挙げられる。
本発明において、炭素繊維はシート状繊維として用いられる。シート状繊維は炭素繊維単独または他の無機繊維および化学繊維などと組み合わせたものからなり、その形態としては、繊維方向がほぼ同方向に引き揃えられたものや、織物、ニット、ブレイドおよびマット等を適宜使用することができる。特に一方向に引き揃えられた繊維を用いた、いわゆる一方向プリプレグは、繊維の方向が揃っており、炭素繊維の曲がりが少ないため繊維方向の強度利用率が高く、また、一方向プリプレグは、複数のプリプレグを適切な積層構成で積層した後成形すると、繊維強化複合材料の各方面の弾性率と強度を自由に制御できるため好ましい。また、各種織物を用いた織物プリプレグも、強度と弾性率の異方性が少ない材料が得られること、表面に繊維織物の模様が浮かび意匠性に優れることから好ましい態様である。複数種のプリプレグ、例えば、一方向プリプレグと織物プリプレグの両方を用いて繊維強化複合材料を成形することも可能である。
本発明のプリプレグは、従来から知られている通常の方法によって製造される。すなわち、該エポキシ樹脂組成物をメチルエチルケトンやメタノールなどの有機溶媒に溶解させて低粘度化し、強化繊維からなるシート状繊維を浸漬させながら含浸させた後、オーブンなどを用いて有機溶媒を蒸発させてプリプレグとするウェット法、あるいは、該エポキシ樹脂組成物を、有機溶媒を用いずに加熱により低粘度化し、ロールや離型紙上にフィルムを作成し、次いで強化繊維からなるシート状繊維の両側あるいは片側からそのフィルムを重ね、加熱、加圧することにより含浸させるホットメルト法などが適宜使用できるが、プリプレグ中に残留する有機溶媒が実質的に皆無であるホットメルト法が好ましく用いることができる。
ホットメルト法にてプリプレグを製造する場合、プリプレグの取り扱い性を適切な範囲とするために、含浸する工程において、該エポキシ樹脂組成物が到達する最高温度は、好ましくは60℃〜150℃の範囲であり、80℃〜130℃の範囲であれば、さらに好ましい。かかる最高温度が高すぎると、該エポキシ樹脂組成物中で硬化反応が部分的に進行してガラス転移温度が上昇してしまい、得られるプリプレグが適正なドレープ性を保持できないことがある。また、かかる最高温度が低すぎると、強化繊維への十分な含浸が困難となる場合がある。
本発明のプリプレグは、該エポキシ樹脂組成物が必ずしも繊維束の内部まで含浸されている必要はなく、シート状繊維の表面付近に該エポキシ樹脂組成物が局在化している態様であっても良い。
本発明のプリプレグは、プリプレグ全質量に対する強化繊維の質量含有率(以下、Wfと表す。)が50〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは60〜85質量%であり、65〜85質量%であれば特に好ましい。Wfが50質量%未満の場合、該エポキシ樹脂組成物の含有量が多すぎて難燃性が不足したり、比弾性率と比強度に優れる繊維強化複合材料に要求される諸特性を満たすことができなかったりする場合がある。また、Wfが90質量%を超えると、強化繊維とマトリックス樹脂の接着性が低下し、プリプレグを積層した際にプリプレグ同士が接着せず、得られる炭素繊維強化複合材料において層間で剥離してしまう場合がある。ここでいうWfは、JIS K7071(1988)にしたがって測定される繊維質量含有率を意味する。
本発明のプリプレグを用いて繊維強化複合材料を成形するには、プリプレグを所定の寸法に裁断後、所定枚数を積層した積層物に熱と圧力を加えながら、該エポキシ樹脂組成物を硬化させる方法を好ましく用いることができる。
熱と圧力を加えながら、該エポキシ樹脂組成物を加熱硬化させる方法には、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、および内圧成形法などがある。
例えば、板状の繊維強化複合材料を成形する方法としては、シート状のプリプレグを所定の寸法に裁断後、剛体ツール上に所定枚数、所定の繊維軸方向に積層し、可撓性フィルムでシールした後、剛体ツールと可撓性フィルムの間を真空ポンプにて吸引して脱気し、オートクレーブに設置後、加熱、加圧することで繊維強化複合材料を得ることができる。
ここで、剛体ツールの材質としては、スチールやアルミニウム等の金属、繊維強化プラスチック(FRP)、木材および石膏など既存の各種のものが用いられる。可撓性のフィルムの材料には、ナイロン、フッ素樹脂およびシリコーン樹脂等が用いられる。
繊維強化複合材料を成形する温度としては、成分[C]および[D]の種類によって、通常80〜220℃の温度範囲で調整される。かかる成形温度が低すぎると、十分な速硬化性が得られない場合があり、逆に高すぎると、熱歪みによる反りが発生しやすくなったりする場合がある。例えば、成分[C]としてジシアンジアミド、成分[D]として3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素を用いる場合、硬化温度は140〜160℃の温度範囲に調整される。
また、繊維強化複合材料を成形する圧力としては、プリプレグの厚みやWfなどにより異なるが、通常1〜10kgf/cmの圧力範囲で調整される。かかる成形圧力が低すぎると、プリプレグの内部まで十分に熱が伝わらず、局所的に未硬化となったり、反りが発生したりする場合がある。逆に高すぎると、樹脂が硬化する前に周囲に流れ出してしまい、繊維強化複合材料中に未含浸部分が発生したり、目的とするWfが得られなかったりする場合がある。
本発明の繊維強化複合材料は、2mm以下の厚さで測定される難燃性が、UL94規格による測定で、好ましくは難燃性がV−1以上、より好ましくはV−0という高い難燃性を有したものであり、また、繊維強化複合材料全体に含まれるリン原子濃度が0.05〜1.5質量%である。本発明の繊維強化複合材料を電気・電子機器の筐体として用いる場合、さらに薄い肉厚で使用される可能性を想定すれば、厚さ1.5mm以下で、好ましくは難燃性がV−1以上、より好ましくはV−0の難燃性を有することが好ましく、より薄い肉厚である、厚さ0.7mm以下も、好ましくは難燃性がV−1以上、より好ましくはV−0の難燃性を有していることが特に好ましい。
ここで、V−0およびV−1の難燃性とは、UL94(Underwriters Laboratories Inc.で考案された米国燃焼試験法)において、燃焼時間やその状態、延焼の有無、滴下(ドリップ)の有無やその滴下物の燃焼性などにより規定されているV−1およびV−0規格の条件を満たした難燃性を示す。
本発明の繊維強化複合材料を電子・電気部品筐体として用いる場合、落下時に材料の衝撃吸収が大きい方がよく、シャルピー衝撃値が高い材料が好ましく用いられる。プリプレグが一方向プリプレグであった場合、シャルピー衝撃値が100J/m以上であることが好ましい。より好ましくは150J/m以上であり、200J/m以上であればさらに好ましい。ここで、シャルピー衝撃値とは、JIS K7077(1991)記載の方法に準じて測定した値である。シャルピー衝撃値の上限に制限はなく、高いほど落下時の材料の衝撃吸収能力が大きくなり、適用した製品の耐久性が向上するため好ましい。
また、本発明の繊維強化複合材料は、製造に使用したプリプレグが一方向プリプレグである場合、繊維軸方向の引張強度が1500MPa以上であることが好ましく、より2000MPa以上であれば、さらに好ましい。繊維軸方向の引張強度が1500MPa未満であると、繊維強化複合材料に要求される力学特性を満たすことができない場合がある。ここでいう引張強度とは、ASTM D3039記載の方法に準じて測定することができる。
本発明の繊維強化複合材料は、高い耐熱性と力学物性を有し、優れた難燃性を有するため、航空機や車両などの構造材料および内装材、コンクリート構造物の補修・補強といった土木・建築材料およびノートパソコンやビデオカメラなどの電子・電気機器の筐体など好適に用いることができる。
以下、実施例により、本発明のエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、炭素繊維強化複合材料、電子電気部品筐体についてさらに具体的に説明する。実施例で用いられる各成分とエポキシ樹脂組成物の調合方法は、下記の(1)と(2)に示すとおりである。また、実施例では、各種特性(物性)を次の(3)〜(8)に示す方法で測定した。これらの物性の測定は、特に断りのない限り、温度23℃、相対湿度50%の環境下で行った。
(1)各樹脂(の調合)と炭素繊維
エポキシ樹脂(成分[A])
・NC−2000(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、日本化薬(株)製)
・NC−3000(ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、日本化薬(株)製)
・ESN−475(ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂、新日鉄化学(株)製)。
エポキシ樹脂(成分[B])
・“jER(登録商標)”154(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)
・“エピクロン(登録商標)”N−660(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、DIC(株)製)
・“エピクロン(登録商標)”N−770(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、DIC(株)製)。
エポキシ樹脂(その他)
・“jER(登録商標)”828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)。
アミン系硬化剤(成分[C])
・Dicy7(ジシアンジアミド、ジャパンエポキシレジン(株)製)。
硬化促進剤(成分[D])
・“オミキュア(登録商標)”52(4,4’−メチレンビス(ジフェニルジメチルウレア)、ピイ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)
・“オミキュア(登録商標)”24(2,4’−トルエンビス(3,3−ジメチルウレア)、ピイ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)
・DCMU−99(3,4−ジクロロフェニル−1,1−ジメチルウレア、保土谷化学工業(株)製)。
リン含有化合物(成分[E])
・PX−200(レゾルシノールビス(ジ2,6−キシリル)ホスフェート、リン含有量9.0%、大八化学工業(株)製)
・CR−733S(レゾルシノールビス(ジホスフェート)、リン含有量10.9%、大八化学工業(株)製)
・“ノーバレッド(登録商標)”120(表面皮膜赤リン、リン含有量75%、燐化学工業(株)製)。
熱可塑性樹脂
・“ビニレック(登録商標)”K(ポリビニルホルマール、チッソ(株)製)。
炭素繊維
・“トレカ(登録商標)”T700SC−12000(引張強度4.9GPa、引張弾性率230GPa、伸び2.1%、繊維比重1.80、東レ(株)製)。
(2)エポキシ樹脂組成物の調合
実施例1〜10、12、13、比較例1〜5については、ニーダー中に、エポキシ樹脂、“ビニレック(登録商標)”K、リン原子含有化合物を所定量加え、混錬しつつ、160℃の温度まで昇温させ、固形成分を完全に溶解させることにより透明な粘調液を得た。混錬を続けたまま50〜60℃の温度まで降温させ、Dicy7、硬化促進剤を所定量加えて均一に分散するように30分撹拌し、エポキシ樹脂組成物を得た。
実施例11については、ニーダー中に、ESN−475、“jER(登録商標)”154、“ビニレック(登録商標)”Kを所定量加え、混錬しつつ、160℃の温度まで昇温させ、固形成分を完全に溶解させることにより透明な粘調液を得た。混錬を続けたまま50〜60℃の温度まで降温させ、“ノーバレッド”120、Dicy7、硬化促進剤を所定量加えて均一に分散するように30分撹拌し、エポキシ樹脂組成物を得た。
(3)エポキシ樹脂組成物のゲル化時間
エポキシ樹脂組成物から2cmをサンプルとして準備し、樹脂の硬化を追跡するためにキュラストメータV型(日合商事(株)製)を用いてゲル化時間を測定した。測定開始後、トルクが0.001N・mに達した時間をゲル化時間とした。
(4)150℃ 3分硬化後のガラス転移温度
未硬化のエポキシ樹脂組成物を、約2mm厚になるように150℃の温度で3分間硬化させ、硬化物を得た。得られた硬化物から質量10mgの試験片をカットしてサンプルを準備し、JIS K7121(1987)にしたがって、示差走査熱量計(DSC)を用いてガラス転移温度を測定した。測定条件は、窒素雰囲気下で、昇温速度は40℃/minとし、DSC曲線が階段状変化を示す部分の中間点ガラス転移温度を求めた。示差走査熱量計として、Pyris DSC(パーキンエルマー・インスツルメント社製)を用いた。
(5)プリプレグの作製
(6)難燃性
上記(5)で作製した一方向プリプレグを、繊維方向に揃えて積層し、加熱プレスによる成形を150℃の温度で3分、6kgf/cmの圧力下で行い、それぞれ厚さ0.6−0.7mm、および0.19−0.21mmの炭素繊維強化複合材料板を得て、それぞれの難燃性を測定した。
難燃性は、UL94規格に基づき、垂直燃焼試験により難燃性を評価した。成形された繊維強化複合材料から、幅12.7±0.1mm、長さ127±1mmの試験片5本を切り出した。バーナーの炎の高さを19mmに調整し、垂直に保持した試験片中央下端を炎に10秒間さらした後、炎から離し燃焼時間を記録した。消炎後は、ただちにバーナー炎をさらに10秒間当てて炎から離し燃焼時間を計測した。有炎滴下物(ドリップ)がなく、1回目、2回目とも消火までの時間が10秒以内、かつ5本の試験片に10回接炎した後の燃焼時間の合計が50秒以内ならばV−0と判定し、燃焼時間が30秒以内かつ5本の試験片に10回接炎した後の燃焼時間の合計が250秒以内であればV−1と判定した。また、V−1と同じ燃焼時間でも有炎滴下物がある場合はV−2と判定し、燃焼時間がそれより長い場合、あるいは試験片保持部まで燃焼した場合はV−outと判定した。
(7)0°引張試験
上記(5)で作製した一方向プリプレグを、繊維方向に揃えて積層し、加熱プレスによる成形を150℃の温度で3分、6kgf/cmの圧力下で行い、1±0.05mm厚の一方向の炭素繊維強化複合材料板を得た。得られた炭素繊維強化複合材料の両面に長さ56mm、厚さ1.5mmのガラスタブを接着した後、0°方向が長さ方向になるように幅12.7±0.1mm、長さ250±5mmの試験片を切り出し、ASTM D3039記載の方法に準じて引張速度2.0mm/分で試験し、0°引張強度を測定した。試験数はn=6とし、平均値を0°引張強度とした。
(8)シャルピー衝撃試験
上記(5)で作製した一方向プリプレグを、繊維方向に揃えて積層し、オートクレーブによる成形を150℃の温度で3分、6kgf/cmの圧力下で行い、3±0.05mm厚の一方向の炭素繊維強化複合材料板を得た。得られた炭素繊維強化複合材料から、0°方向が長さ方向になるように幅10±0.2mm、長さ80±1mmの試験片を切り出し、JIS K7077記載の方法に準じて試験片支持台間の距離60mm、ハンマーの回転軸まわりのモーメント300kgf・cm、持上角度134.5°として試験片中央に衝撃を与え、試験片破談後のハンマーの振り上がり角度からシャルピー衝撃値を求めた。なお、シャルピー衝撃試験機としては米倉製作所(株)製シャルピー衝撃試験機を用いた。
実施例1〜13の結果を表1に、比較例1〜5結果を表2に示す。表1および2中のエポキシ樹脂組成物の数字は、質量部を表す。
(実施例1)
表1に示す通り、成分[A]としてNC−2000、成分[B]として“jER”154および“エピクロン”N−770、成分[D]として“オミキュア”52、成分[E]としてPX−200を用い、[A]/([A]+[B]+[C])=0.19、[B]/([A]+[B]+[C])=0.67、([A]+[B])/([A]+[B]+[C])=0.86、リン原子含有量がエポキシ樹脂組成物全体の1.37%となるように調整したところ、エポキシ樹脂組成物のゲル化時間は1.53分と150℃において3分で硬化可能であり、樹脂硬化物の150℃ 3分硬化後Tgは122℃であり良好な結果を示した。また、炭素繊維強化複合材料のTgは137℃、厚み0.6−0.7mmおよび0.19−0.21mmの炭素繊維強化複合材料の難燃性はV−0を達成し十分な難燃性を得た。0°引張強度とシャルピー衝撃値等の機械特性も良好であった。
(実施例2)
成分[E]としてPX−200に代えてCR−733Sを用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、樹脂硬化物の150℃ 3分硬化後Tgと炭素繊維強化複合材料のTgがやや低い以外は、実施例1と同等であった。
(実施例3)
成分[A]としてNC−2000、成分[B]として“jER”154、成分[D]として“オミキュア”52、成分[E]としてPX−200を用い、[A]/([A]+[B]+[C])=0.38、[B]/([A]+[B]+[C])=0.57、([A]+[B])/([A]+[B]+[C])=0.95、リン原子含有量がエポキシ樹脂組成物全体の1.07%となるように調整したところ、エポキシ樹脂組成物のゲル化時間は1.48分、樹脂硬化物の150℃ 3分硬化後Tgは120℃であり良好な結果を示した。また、炭素繊維強化複合材料のTgは136℃、厚み0.6−0.7mmおよび0.19−0.21mmの炭素繊維強化複合材料の難燃性はV−0を達成し十分な難燃性を得た。機械特性も良好であった。
(実施例4)
成分[D]として“オミキュア”52に代えてDCMU−99を用いた以外は実施例3と同様にして、樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、エポキシ樹脂組成物のゲル化時間は2.66分と遅く、樹脂硬化物の150℃ 3分硬化後Tgと炭素繊維強化複合材料のTgがやや低い以外は、実施例3と同等で良好であった。
(実施例5)
成分[A]、成分[B]の配合比、および成分[E]のPX−200の配合量を15質量部から10質量部に変更し、[A]/([A]+[B]+[C])=0.57、[B]/([A]+[B]+[C])=0.38、リン原子含有量がエポキシ樹脂組成物全体の0.74%となるように調整した以外は実施例3と同様にして樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、厚み0.6−0.7mmおよび0.19−0.21mmの炭素繊維強化複合材料の難燃性はV−0を達成し、ゲル化時間、Tg、機械特性は実施例3と同等で良好であった。
(実施例6)
成分[A]としてNC−3000、成分[B]として“jER”154および“エピクロン”N−770を用い、[A]/([A]+[B]+[C])=0.10、[B]/([A]+[B]+[C])=0.86となるように調整した以外は実施例1と同様にして、樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、厚み0.6−0.7mmおよび0.19−0.21mmの炭素繊維強化複合材料の難燃性はV−1を達成し、ゲル化時間、Tg、機械特性は実施例1と同等で良好であった。
(実施例7)
成分[A]のNC−3000の配合量を10質量部から20質量部に、成分[D]として“オミキュア”52に代えて“オミキュア”24を用い、[A]/([A]+[B]+[C])=0.19となるように調整した以外は実施例6と同様にして、樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、厚み0.6−0.7mmおよび0.19−0.21mmの炭素繊維強化複合材料の難燃性はV−0を達成し、ゲル化時間、Tg、機械特性は実施例6と同等で良好であった。
(実施例8)
成分[A]のNC−3000の配合量を10質量部から20質量部に変更し、さらに成分[E]のPX−200を20質量部から15質量部に変更した以外は実施例7と同様にして、樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、厚み0.6−0.7mmおよび0.19−0.21mmの炭素繊維強化複合材料の難燃性はV−0を達成し、ゲル化時間、Tg、機械特性は実施例6と同等で良好であった。
(実施例9)
成分[E]としてPX−200に代えてCR−733Sを用いた以外は実施例8と同様にして、樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、樹脂硬化物の150℃ 3分硬化後Tgと炭素繊維強化複合材料のTgがやや低い以外は、実施例8と同等であった
(実施例10)
成分[A]としてESN−475、成分[B]として“jER”154を用い、[A]/([A]+[B]+[C])=0.19、([A]+[B])/([A]+[B]+[C])=0.95となるように調整した以外は実施例1と同様にして、樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、厚み0.6−0.7mmおよび0.19−0.21mmの炭素繊維強化複合材料の難燃性はV−1を達成し、ゲル化時間、Tg、機械特性は実施例1と同等で良好であった。
(実施例11)
成分[E]としてPX−200に代えて赤リン“ノーバレッド”120を用いた以外は実施例10と同様にして、樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、シャルピー衝撃値がやや低いが、厚み0.6−0.7mmおよび0.19−0.21mmの炭素繊維強化複合材料の難燃性はV−1を達成し、ゲル化時間、Tg、0°引張強度は実施例10と同等で良好であった。
(実施例12)
成分[A]、成分[B]の配合比、および成分[E]のPX−200の配合量を20質量部から15質量部に変更し、[A]/([A]+[B]+[C])=0.29、[B]/([A]+[B]+[C])=0.52、([A]+[B])/([A]+[B]+[C])=0.95、原子含有量がエポキシ樹脂組成物全体の1.07%となるように調整した以外は実施例10と同様にして、樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、厚み0.6−0.7mmおよび0.19−0.21mmの炭素繊維強化複合材料の難燃性はV−1を達成し、ゲル化時間、Tg、機械特性は実施例1と同等で良好であった。
(実施例13)
成分[B]として、“jER”154に代えてN−660を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、厚み0.6−0.7mmおよび0.19−0.21mmの炭素繊維強化複合材料の難燃性はV−1を達成し、ゲル化時間、Tg、0°引張強度は実施例1と同等で良好であった。
(比較例1)
成分[A]を含まず、[A]/([A]+[B]+[C])=0とした以外は実施例1と同様にして、樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、厚み0.6−0.7mmおよび0.19−0.21mmの炭素繊維強化複合材料の難燃性はV−outとなり不合格であった。
(比較例2)
成分[A]としてNC−3000を用い、([A]+[B])/([A]+[B]+[C])=0.76となるように調整した以外は実施例1と同様にして、樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、炭素繊維強化複合材料の難燃性は厚み0.6−0.7mmの試験片においてはV−1を達成したが、厚み0.19−0.21mmの試験片においてはV−outとなり不合格であった。
(比較例3)
成分[E]を含まず、リン原子含有量がエポキシ樹脂組成物全体の0%とした以外は実施例5と同様にして、樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、厚み0.6−0.7mmおよび0.19−0.21mmの炭素繊維強化複合材料の難燃性はV−outとなり不合格であった。
(比較例4)
成分[A]を、[A]/([A]+[B]+[C])=0.03とした以外は実施例1と同様にして、樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、厚み0.6−0.7mmおよび0.19−0.21mmの炭素繊維強化複合材料の難燃性はV−outとなり不合格であった。
(比較例5)
成分[E]を、リン原子含有量がエポキシ樹脂組成物全体の3.77%とした以外は実施例1と同様にして、樹脂硬化物、炭素繊維強化複合材料を作製した。特性を評価したところ、ゲル化時間が4.56分となり、硬化が遅かった。また、Tgが低くなった。
Figure 2011148938
Figure 2011148938

Claims (10)

  1. 少なくとも、次の成分[A]、[B]、[C]、[D]および[E]を含み、成分[A]と成分[B]の配合量が式1、2および3の条件を満たし、かつ、成分[E]の配合量が、全エポキシ樹脂組成物中にリン原子含有量として0.2〜2.7質量%含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
    [A]次式(I)で示されるエポキシ樹脂
    Figure 2011148938
    (式中、Arは、ベンゼン環、ナフタレン環から選ばれる芳香環を表し、Arはベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル基から選ばれる芳香環を表す。また、nは0以上の整数を表す。)
    [B]次式(II)で示されるエポキシ樹脂
    Figure 2011148938
    (式中、R、R、Rは、水素原子またはメチル基を表す。また、nは0以上の整数を表す。)
    [C]アミン系硬化剤
    [D]硬化促進剤
    [E]リン原子含有化合物
    (式1)[A]/([A]+[B]+[C])≧0.05
    (式2)[B]/([A]+[B]+[C])≧0.05
    (式3)([A]+[B])/([A]+[B]+[C])≧0.8
  2. 成分[B]の式(II)中のR、R、Rがすべて水素原子である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 成分[A]の式(I)中のArがベンゼン環、かつ、Arがビフェニル基である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 成分[E]がリン酸エステル構造を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物が強化繊維に含浸させてなるプリプレグ。
  6. 強化繊維が炭素繊維である、請求項5に記載のプリプレグ。
  7. 少なくとも、請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維を含む、繊維強化複合材料
  8. 厚さ2mm以下で、UL94試験における難燃性がV−1以上である、請求項7に記載の繊維強化複合材料。
  9. 請求項6または7に記載のプリプレグを積層後、熱硬化させる、繊維強化複合材料の製造方法。
  10. 請求項6または7に記載のプリプレグを積層後、プレス成形法にて硬化させる、繊維強化複合材料の製造方法。
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