JP2023112896A - プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

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Yuji Misumi
康裕 福原
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Abstract

【課題】肉厚設計の繊維強化複合材料からなる成形品に適用しても難燃性に優れる、プリプレグ及び繊維強化複合材料を提供する。【解決手段】下記成分(A)、(B)、および(C)を含むエポキシ樹脂組成物と強化繊維基材とからなる、プリプレグ。(A)成分:エポキシ樹脂(B)成分:イミダゾール化合物および/またはイミダゾール化合物誘導体(C)成分:下記式で表される有機塩TIFF2023112896000007.tif2652(R1~R6はそれぞれ独立に水素原子、アミノ基、エポキシ基、炭素数1~5のアルキル基、または炭素数6~10のアリール基を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、プリプレグおよび繊維強化複合材料に関する。
樹脂と強化繊維とを組み合わせた繊維強化複合材料(FRP)は、軽量性、剛性、耐衝撃性等に優れることから様々な用途に用いられている。特に炭素繊維強化複合材料は、軽量かつ高強度、高剛性であるため、釣り竿やゴルフシャフト等のスポーツ・レジャー用途、自動車用途や航空機用途等の幅広い分野で用いられている。近年では、炭素繊維強化複合材料の機械的特性に加え、炭素繊維の電磁波遮蔽性といった特長を生かし、ノートパソコンなどの電子・電気機器の筐体としても使用されている。
繊維強化複合材料は、様々な用途の中で、難燃性能を求められることがある。例えば、繊維強化複合材料を電子・電気機器や航空機用の構造体に用いる場合、発熱による繊維強化複合材料の発火が火災の原因となる可能性がある。繊維強化複合材料に難燃性能を付与する方法としては、マトリックス樹脂組成物に臭素化エポキシ樹脂やリン系難燃剤を添加することが知られている(特許文献1および特許文献2)。
特開2017-218573号公報 特開2017-2202号公報
本発明の目的の一つは、肉厚設計の繊維強化複合材料からなる成形品に適用しても難燃性に優れるプリプレグ及び繊維強化複合材料料を提供することである。
本発明は、以下[1]~[16]の実施形態を含む。
[1]下記成分(A)、(B)、および(C)を含むエポキシ樹脂組成物と強化繊維基材とからなる、プリプレグ。
(A)成分:エポキシ樹脂
(B)成分:イミダゾール化合物および/またはイミダゾール化合物誘導体
(C)成分:下記式(1)で表される有機塩
Figure 2023112896000001
…式(1)
(R~Rはそれぞれ独立に水素原子、アミノ基、エポキシ基、炭素数1~5のアルキル基、または炭素数6~10のアリール基を表す。)
[2]前記成分(C)の熱重量分析による窒素雰囲気下で測定した時の10%重量減少温度が300~400℃である、[1]に記載のプリプレグ。
[3]前記成分(C)が40質量%以上の窒素原子を含む、[1]または[2]に記載のプリプレグ。
[4]前記式(1)中、R~RがNH、R~Rが水素原子である、[1]~[3]のいずれかに記載のプリプレグ。
[5]前記エポキシ樹脂組成物100質量部に対し、前記(C)成分を10~30質量部含む、[1]~[4]のいずれかに記載のプリプレグ。
[6]下記(D)成分をさらに含む、[1]~[5]のいずれかに記載のプリプレグ。
(D)成分:ジシアンジアミドおよび/またはジシアンジアミド誘導体
[7]下記(E)成分をさらに含む、[1]~[6]のいずれかに記載のプリプレグ。
(E)成分:尿素化合物
[8]前記エポキシ樹脂組成物から(C)成分を除いたエポキシ樹脂組成物を140℃、1時間の条件で硬化させた硬化物の熱重量分析による窒素雰囲気下で測定した時の10%重量減少温度が300~400℃である、[1]~[7]のいずれかに記載のプリプレグ。
[9]前記エポキシ樹脂組成物の60℃における粘度が10~1000Pa・sである、[1]~[8]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[10]前記(A)成分がオキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂を含む、[1]~[9]のいずれかに記載のプリプレグ。
[11]前記エポキシ樹脂組成物100質量部に対し、前記(B)成分を1~10質量部含む、[1]~[10]のいずれかに記載のプリプレグ。
[12]前記(B)成分と前記(D)成分との含有質量比((B)成分/(D)成分)が、0.5~1.5である、[6]に記載のプリプレグ。
[13]前記(B)成分と前記(C)成分との含有質量比((B)成分/(C)成分)が、0.1~0.5である、[1]~[12]のいずれかに記載のプリプレグ。
[14]前記強化繊維基材が炭素繊維を含む、[1]~[13]のいずれかに記載のプリプレグ。
[15][14]に記載のプリプレグを硬化して得られる、繊維強化複合材料。
[16]前記繊維強化複合材料のUL-94V規格に基づく難燃性試験が厚み2.0mmの試験片でV-0である、[15]に記載の繊維強化複合材料。
本発明のプリプレグによれば、肉厚設計の繊維強化複合材料からなる成形品に適用しても難燃性に優れる。具体的には、UL-94V規格において厚み2.0mmの試験片でV-0相当の難燃性を有する。また、本発明のプリプレグによれば、短時間での成形が可能である。
ヒートフロー曲線の一例を示す模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[プリプレグ]
本発明の一実施形態は、プリプレグに関する。実施形態に係るプリプレグは、成分(A)、(B)、および(C)を含むエポキシ樹脂組成物と強化繊維基材とからなる。
(A)成分:エポキシ樹脂
(B)成分:イミダゾール化合物および/またはイミダゾール化合物誘導体
(C)成分:下記式(1)で表される有機塩
Figure 2023112896000002
…式(1)
(R~Rは、それぞれ独立に水素原子、アミノ基、エポキシ基、炭素数1~5のアルキル基、または炭素数6~10のアリール基を表す。)
プリプレグは、例えば、以下の手順で製造することができる。まず、キャリアフィルム(第一キャリアフィルム)の表面に(A)成分~(C)成分が配合されたエポキシ樹脂組成物を一方の面に塗布する。同様に、エポキシ樹脂組成物を一方の面に塗布した、もう1枚のキャリアフィルム(第二キャリアフィルム)を準備する。次に、第一キャリアフィルムと第二キャリアフィルムのそれぞれのエポキシ樹脂組成物を塗布した面が強化繊維基材側を向くようにし、第一キャリアフィルムと第二キャリアフィルムで強化繊維基材とエポキシ樹脂組成物を挟んだ積層体を形成する。得られた積層体を加圧して、強化繊維基材にエポキシ樹脂組成物を含浸させることにより、プリプレグが得られる。プリプレグ中のエポキシ樹脂組成物の含有量(以下、「樹脂含有量」という)は、プリプレグの総質量に対して、15~50質量%が好ましく、20~45質量%がより好ましく、25~40質量%がさらに好ましい。樹脂含有量が、上記下限値以上であれば強化繊維とエポキシ樹脂組成物との接着性に優れ、上記上限値以下であれば得られる繊維強化複合材料の機械物性がより高まる。
[エポキシ樹脂組成物]
エポキシ樹脂組成物は、前述の(A)成分、(B)成分、および(C)成分を含む。エポキシ樹脂組成物は、さらに、下記(D)成分、(E)成分を含んでいてもよい。
(D)成分:ジシアンジアミドおよび/またはジシアンジアミド誘導体
(E)成分:尿素化合物
<(A)成分>
(A)成分は、エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、オキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。機械物性と難燃性とのバランスに優れた繊維強化複合材料を得ることができることから、エポキシ樹脂組成物は、少なくともフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、またはオキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂およびオキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂の両方を含むことがより好ましい。オキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂は、燃焼と同時に熱分解することで、構造内に含まれる窒素原子が、可燃性のガスを希釈する役割を担い、エポキシ樹脂組成物に効率よく難燃性を付与することができると考えられる。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールBP型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、コストと機械物性のバランスに優れた繊維強化複合材料を得ることができることから、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、またはビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、トリグリシジル-p-アミノフェノール、トリグリシジル-m-アミノフェノール等が挙げられる。(A)成分の含有量は、難燃性とプリプレグの取扱い性の観点から、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して50質量部以上が好ましく、60質量部以上がより好ましい。(A)成分の含有量は、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して95質量部以下とすることができる。
全エポキシ樹脂成分100質量部に対するオキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂の含有量は、強化繊維との接着性や難燃性に優れた強化繊維強化複合材料料が得られることから、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましい。タックやドレープ性に優れたプリプレグを得ることができるとともに、ボイドの少ない強化繊維強化複合材料料を得ることができることから、オキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂の含有量は、全エポキシ樹脂成分100質量部に対して、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。全エポキシ樹脂成分100質量部に対するビスフェノール型エポキシ樹脂の含有量は、コストや機械物性の観点から、30質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましい。ビスフェノール型エポキシ樹脂の含有量は、全エポキシ樹脂成分100質量部に対して、100質量部以下とすることができ、プリプレグのタック性や難燃性の観点からは、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。フェノールノボラック型エポキシ樹脂の含有量は、全エポキシ樹脂成分100質量部に対して、5質量部以上60質量部以下とすることができる。
<(B)成分>
(B)成分は、イミダゾール化合物および/またはイミダゾール化合物誘導体である。(C)成分を含んでいる場合であっても、エポキシ樹脂組成物の硬化を速く進行させることができる。イミダゾール化合物および/またはイミダゾール化合物誘導体は、(D)成分と組み合わせて樹脂組成物に配合することで、エポキシ樹脂組成物をより短時間で硬化させることができる。イミダゾール化合物としては、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、及び2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
イミダゾール誘導体としては、イミダゾール化合物のイミダゾールアダクト、包接イミダゾール、マイクロカプセル型イミダゾール、および安定化剤を配位させたイミダゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の誘導体であってもよい。
アダクト処理、異分子による包接処理、マイクロカプセル処理、あるいは安定化剤を配位させる前のイミダゾールの具体例としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-エチル-4-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、1-シアノエチル-2-フェニル-4,5-ジ(2-シアノエトキシ)メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物100質量部に対する(B)成分の含有量は、硬化を速める観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。エポキシ樹脂組成物100質量部に対する(B)成分の含有量は、保存安定性および機械的特性の観点から、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
<(C)成分>(C)成分は、下記式(1)で表される有機塩である。(C)成分は、熱分解過程で発生する窒素ガスが酸素濃度を希釈することで、燃焼の抑制に寄与することができる。使用後に焼却処理してもハロゲン化水素等の有毒ガスが発生しない。
Figure 2023112896000003
…式(1)
(R~Rは、それぞれ独立に水素原子、アミノ基、エポキシ基、炭素数1~5のアルキル基、または炭素数6~10のアリール基を表す。)
式(1)中、R~Rの炭素数1~5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t-ブチル基等が挙げられ、難燃性の観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。炭素数6~10のアリール基としては、フェニル基、キシキル基、トリル基、ナフチル基などが挙げられ、難燃性の観点から、フェニル基が好ましい。エポキシ樹脂への分散性の観点からは、R~RがNH、R~Rが水素原子である(メラミンシアヌレート)が好ましい。メラミンシアヌレートは、塩基であるメラミンと酸であるシアヌル酸が中和反応することで生成される有機塩である。
(C)成分は、熱重量分析(TGA)における、10%重量減少温度が300~400℃の範囲内であることが好ましい。10%重量減少温度が300~400℃の範囲内にすることで、(A)成分の熱分解と同時に(C)成分に含まれる窒素ガスが発生するため、燃焼時に発生する可燃性のガスを希釈することができ、エポキシ樹脂硬化物に効率よく難燃性を付与させることができる。熱重量分析は、TGA(TA Instrument社製、TGA550)を用いて、窒素雰囲気下、10℃/minの条件で測定できる。
(C)成分は、難燃性の観点から、(C)成分全体の40質量%以上の窒素原子を含むことが好ましく、45質量%以上の窒素原子を含むことがより好ましい。(C)成分は、(C)成分全体の60質量%以下の窒素原子を含むようにすることができる。窒素含有量は(成分中に含まれる窒素量)/(成分全体の分子量)×100により求めることができる。窒素量は、燃焼法による元素分析により測定できる。
(C)成分は、硬化物の弾性率に優れる点から、粒状のものが好ましい。粒状の(C)成分の平均粒子径は、繊維強化複合材料の外観を良好にする観点から、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。平均粒子径は、光散乱法による粒度分布計(日機装株式会社製、AEROTRAC SPR Model 7340)を用いて測定できる。ここで平均粒子径とは、粒度分布計で測定した粒度分布の積算値が50%に相当する粒径である。
(C)成分としては、市販品を用いてもよいし、公知の製造方法により合成したものを用いてもよい。製造方法としては、特開平7-188193号公報や特開平7-149739号公報等に開示されている。市販品としては、MC-4000、MC-4500、MC-6000(いずれも商品名、日産化学工業株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物100質量部に対する(C)成分の含有量は、難燃性の観点から、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。エポキシ樹脂組成物100質量部に対する(C)成分の含有量は、繊維強化複合材料としたときの機械特性と外観の観点から、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。エポキシ樹脂組成物中の(C)成分と(B)成分の含有質量比((B)成分/(C)成分)は、速硬化性の観点から、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましい。難燃性の観点から、質量比((B)成分/(C)成分)は、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましい。
<(D)成分>
(D)成分は、ジシアンジアミドおよび/またはジシアンジアミド誘導体である。ジシアンジアミドの誘導体としては、ジシアンジアミドと、エポキシ樹脂やビニル化合物、アクリル化合物、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド等の各種化合物を結合させたもの等が挙げられるが、反応性の点からジシアンジアミドが好ましい。
エポキシ樹脂組成物100質量部に対する(D)成分の含有量は、硬化促進の観点から、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましい。硬化物の靱性の観点から、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して11質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
(D)成分に対する(B)成分の含有質量比((B)成分/(D)成分)は、0.5~1.5であることが好ましい。この範囲に(B)成分と(D)成分の比率があることで、エポキシ樹脂組成物の硬化速度を向上させることができる。
<(E)成分>
(E)成分は、尿素化合物である。尿素化合物は、高温で加熱することによりイソシアネート基とジメチルアミンを生成し、これらがエポキシ基と反応することで生じた熱により、生成した-NH基とエポキシ基の反応をさらに促進することで硬化速度を向上させることができる。
尿素化合物としては、特に制限されないが、ジメチルウレイド基が芳香環に結合した芳香族ジメチルウレア、ジメチルウレイド基が脂肪族化合物に結合した脂肪族ジメチルウレア等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、硬化速度が向上する観点から、芳香族ジメチルウレアが好ましい。
芳香族ジメチルウレアとしては、フェニルジメチルウレア、メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、トリレンビス(ジメチルウレア)等が挙げられる。より具体的には、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)(MBPDMU)、3-フェニル-1,1-ジメチルウレア(PDMU)、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU)、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチルウレア、2,4-ビス(3,3-ジメチルウレイド)トルエン(TBDMU)等が挙げられる。これらの中でも、硬化促進作用の観点から、フェニルジメチルウレア、メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、およびトリレンビス(ジメチルウレア)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。
脂肪族ジメチルウレアとしては、イソホロンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア、m-キシリレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア、ヘキサメチレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物100質量部に対する(E)成分の含有量は、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。(E)成分の含有量を0.5質量部とすることで、エポキシ樹脂組成物の硬化が促進される。(E)成分の含有量は、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。(E)成分の含有量を10質量部以下とすることで、保存安定性および機械的特性により優れた硬化物が得られる。
<エポキシ樹脂組成物の物性>
60℃におけるエポキシ樹脂組成物の粘度は、5Pa・s以上が好ましく、10Pa・s以上がより好ましい。粘度を5Pa・s以上にすることで、プリプレグ表面に十分なタック性が得られ、成形時の樹脂の流動性が小さくなり、強化繊維の乱れを抑制することができる。60℃におけるエポキシ樹脂組成物の粘度は、2000Pa・s以下が好ましく、1000Pa・s以下がより好ましい。粘度を2000Pa・s以下にすることで、強化繊維基材への含浸性およびプリプレグの成形加工性が向上する。
60℃におけるエポキシ樹脂組成物の粘度は、レオメーター(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、HAAKE MARS 40)を用いて2℃/minの条件で測定できる。
(C)成分を除いたエポキシ樹脂組成物の熱重量分析(TGA)における、10%重量減少温度は300~400℃の範囲内であることが好ましい。エポキシ樹脂硬化物と(C)成分の熱分解挙動を近づけることで、燃焼時に(C)成分の分解ガスがポリマーの表面を持続的に覆うことができ、エポキシ樹脂硬化物に効率よく難燃性を付与させることができる。
エポキシ樹脂組成物の硬化完了時間は、140℃において10分以内であることが好ましく、5分以内であることがより好ましい。前記時間内で硬化が完了した場合、ハイサイクルプレス成型に使用する樹脂組成物として十分な速硬化性を有しているといえる。硬化完了時間は、エポキシ樹脂との相溶性が高く、硬化遅延の生じない難燃剤、及びイミダゾール系硬化剤を併用することで実現され得るが、これらの量、および種類に応じて更に速硬化性を向上させることができる。
エポキシ樹脂組成物の硬化完了時間は、示差走査熱量計(DSC)により等温過程でのエポキシ樹脂組成物の硬化挙動を読み取ることで推定できる。図1は、一定の温度における等温過程でのエポキシ樹脂組成物のヒートフロー曲線の一例を模式的に示したものである。ヒートフロー曲線がベースラインに到達する時間t(e)を硬化度100%、H(p)に到達する時間t(p)を最大発熱ピーク到達時間、ベースラインから水平に引いた線とヒートフロー曲線との交点となる時間t(s)を硬化開始時間とする。ヒートフロー曲線が最大となる発熱量H(p)を最大発熱量、ヒートフロー曲線がベースラインに到達した地点での発熱量H(e)を硬化度100%での発熱量とする。ここで、発熱量がH(e)+(H(p)-H(e))×0.9に到達する時間を硬化度90%とし、硬化度90%に到達する時間を推奨の硬化時間とする。
エポキシ樹脂組成物の硬化物は、2mm程度の厚さで測定される難燃性試験において、UL-94V規格に基づく評価で、V-0相当の難燃性を有する。ここでV-0相当の難燃性とは、UL-94規格に基づき、燃焼速度、燃焼時間、滴下物による発火の有無等を垂直燃焼試験(Vertical burning test)にて評価した際に、V-0の条件を満たすことを示す。
<任意成分>
エポキシ樹脂組成物は、上述した(A)成分~(E)成分以外の成分(以下、「任意成分」と称すことがある。)をさらに含有してもよい。任意成分としては、熱可塑性樹脂、添加剤等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は粘弾性制御や靭性付与のために配合される。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテル、ポリオレフィン、液晶ポリマー、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリルスチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレン共重合体(AES樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アルキル(メタ)アクリレート共重合体(ASA樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルホルマール、フェノキシ樹脂、ブロックポリマー等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの熱可塑性樹脂は1種を単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。中でも、樹脂フロー制御性等に優れる観点から、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリビニルホルマール、ブロックポリマーが好ましい。
エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の様々な添加剤を含有してもよい。添加剤としては、エポキシ樹脂の硬化促進剤、無機質充填材、内部離型剤、有機顔料、無機顔料等が挙げられる。
添加剤としては、より具体的には、無機系難燃化剤として水和金属化合物系(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等)、無機酸化物その他助剤系(アンチモン化合物、硼酸亜鉛,錫酸亜鉛,Mo化合物、ZrO、硫化亜鉛、ゼオライト、酸化チタンナノフィラー系等)、シリコーンオイル、湿潤分散剤、消泡剤、脱泡剤、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド、エステル類、パラフィン類等の離型剤、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の粉体やガラス繊維、繊維長0.01mm~10mm程度の炭素繊維等の無機充填剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<エポキシ樹脂組成物の製造方法>
エポキシ樹脂組成物は、例えば上述した各成分を混合することにより得られる。各成分の混合方法としては、三本ロールミル、プラネタリミキサー、ニーダー、ホモジナイザー、ホモディスパー等の混合機を用いる方法が挙げられる。エポキシ樹脂組成物は、例えば、後述するように、強化繊維の集合体に含浸させてプリプレグの製造に用いることができる。他にも、エポキシ樹脂組成物を離型紙等に塗布して硬化させることで、エポキシ樹脂組成物のフィルムを得ることができる。フィルムとして使用する場合、30℃におけるエポキシ樹脂組成物の粘度が、100~1,000,000Pa・sであると、プリプレグ表面のタックの調整や作業性に優れる。
<強化繊維>
強化繊維は、プリプレグ中で強化繊維基材(強化繊維の単繊維集合体)として存在し、シート状であることが好ましい。強化繊維は、長繊維(連続繊維)であってもよく、例えば0.01~30cmの短繊維であってもよい。強化繊維基材中の繊維の配向は、強化繊維が一方向に配列したものであってもよく、ランダム方向に配列したものであってもよい。強化繊維基材の形態としては、強化繊維の織物、強化繊維の不織布、強化繊維の長繊維が一方向に引き揃えられたシート等が挙げられる。比強度や比弾性率が高い繊維強化複合材料を成形することができるという観点からは、長繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維の束からなるシート(UD基材)をプリプレグに用いることが好ましく、取り扱いが容易であるという観点からは、強化繊維の織物をプリプレグに用いることが好ましい。強化繊維基材の目付は、10g/m以上4000g/m以下とすることができる。
強化繊維の種類としては、ガラス繊維、炭素繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ボロン繊維等が挙げられる。これらの中でも得られる繊維強化複合材料の機械物性および軽量化の観点から、炭素繊維が好ましい。強化繊維基材に用いる炭素繊維束中の炭素繊維の本数は、1,000~70,000本が好ましい。炭素繊維束を複数束用いて一方向に繊維を引き揃えたシート状の強化繊維基材とすることができる。
得られる繊維強化複合材料の剛性の観点から、炭素繊維のストランド引張強度は1.5~9GPaが好ましく、炭素繊維のストランド引張弾性率は150~260GPaが好ましい。炭素繊維のストランド引張強度およびストランド引張弾性率は、JIS R7601:1986に準拠して測定できる。
炭素繊維の繊維径は、3~12μmが好ましい。炭素繊維の繊維径が上記下限値以上であれば、炭素繊維を加工するための、例えば、コーム、ロール等のプロセスにおいて、炭素繊維が横移動して炭素繊維同士が擦れたり、炭素繊維とロール表面等とが擦れたりするときに、炭素繊維が切断したり、毛羽だまりが生じたりしにくい。
<繊維強化複合材料>
繊維強化複合材料は、プリプレグを硬化することにより得られる。すなわち、繊維強化複合材料は、プリプレグに含まれるエポキシ樹脂組成物の硬化物と、強化繊維とを含む。繊維強化複合材料は、例えば、前述のプリプレグを2枚以上積層した後、得られた積層体に圧力を付与しながら、エポキシ樹脂組成物を加熱硬化させる方法等により成形して得られる。繊維強化複合材料のUL-94V規格に基づく難燃性試験において、厚み2.0mmの試験片でV-0であることが好ましい。
成形方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法、シートラップ成形法や、強化繊維のフィラメントやプリフォームにエポキシ樹脂組成物を含浸させて硬化し成形品を得るRTM(Resin Transfer Molding)、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding:真空樹脂含浸製造法)、フィラメントワインディング、RFI(Resin Film Infusion)等が挙げられる。これらの中でも、生産性が高く、良質な繊維強化複合材料が得られやすいという観点から、プレス成形法が好ましい。
プレス成形法で繊維強化複合材料を製造する場合、プリプレグ、またはプリプレグを積層して作製したプリフォームを、予め硬化温度に調整した金型に挟んで加熱加圧することにより、プリプレグまたはプリフォームを硬化させることができる。プレス成形時の金型内の温度は、100~160℃が好ましい。また、1~15MPaの条件下で1~20分間、プリプレグまたはプリフォームを硬化させることが好ましい。
<用途>
繊維強化複合材料は、高度な難燃性能が要求される用途、たとえば電気電子筐体材料や航空機内装用材料等において有用であり、ノートパソコンなどの電気・電子機器用筐体、航空機や自動車の内装部材などに適用できる。その他にも、スポーツ用途、一般産業用途および航空宇宙用途に好適に用いられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例で使用した原料を以下に示す。
[原料]
<(A)成分>
・jER828:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量189g/eq、三菱ケミカル株式会社製の「jER828」
・YD-952:オキサゾリドン型エポキシ樹脂、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の「YD-952」
・YDPN-638:フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量180g/eq、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の「YDPN-638」
<(B)成分>
・2MZA-PW:2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、四国化成工業株式会社製の「2MZA-PW」。
<(C)成分>
・MC-6000:以下構造を有するメラミンシアヌレート、窒素含有量49wt%、平均粒子径2μm以下、日産化学株式会社製の「MC-6000」
Figure 2023112896000004
<(D)成分>
・Dicy15:ジシアンジアミド、三菱ケミカル株式会社製の「jERキュア Dicy15」
<(E)成分>
・Omicure94:3-フェニル-1,1-ジメチルウレア、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製の「Omicure(オミキュア)94」
<その他の添加剤>
・OP935:トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、リン原子含有量23.0質量%、平均粒子径2~3μm、最大粒径10μm未満、分解温度300℃以上、クラリアントジャパン株式会社製の「Exolit OP935」
・OP930:トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、リン原子含有量23.0質量%、平均粒子径3~5μm、最大粒径20μm未満、分解温度300℃以上、クラリアントジャパン株式会社製の「Exolit OP930」
・HCA-HQ-HS:10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10- フォスファフェナントレン-10-オキサイド、リン原子含有量9.6%、平均粒子径1~2μm、三光株式会社製の「HCA-HQ-HS」
<炭素繊維>
・炭素繊維:三菱ケミカル株式会社製の「パイロフィルTR50S15L」
[実施例1]
(A)成分としてjER828、YD-952、YDPN-638、(B)成分として、2MZA-PW、(C)成分としてMC-6000、(D)成分としてDicy15、(E)成分としてOmicure94を用い、以下のようにしてエポキシ樹脂組成物を調製した。
まず、表1に記載の組成に従い、(A)成分内のjER828(液状)と、(B)成分(固形)および(D)成分(固形)および(E)成分(固形)を、固形成分と液状成分の質量比が1:1となるよう容器に計量し、攪拌し、混合した。これを三本ロールミルにてさらに細かく混合し、硬化剤マスターバッチを得た。続けて、表1に記載の組成の内、(C)成分と硬化剤マスターバッチ以外の成分をフラスコに計量し、オイルバスを用いて120℃に加熱し溶解混合した。その後100℃程度まで冷却しつつ、(C)成分を加えて攪拌混合し、65℃程度まで冷却したところで、前記硬化剤マスターバッチを加えて攪拌混合することによりエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、後述するエポキシ樹脂板作製方法に従って、樹脂板を作製した。後述の評価方法に従って、各種測定および評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1~3]
表1に示す配合組成に変更した以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、このエポキシ樹脂組成物を用いて樹脂板を作製し、各種測定および評価を行った。結果を表1に示す。
[樹脂板の作製方法]
未硬化のエポキシ樹脂組成物をオーブン雰囲気温度70℃×10分で予熱後、140℃×40分(昇温速度は10℃/分)で硬化させて、厚さ2mmの樹脂板を得た。
<プリプレグ作製方法>
未硬化のエポキシ樹脂組成物を、ホットメルトコーター(株式会社ヒラノテクシード製、「R-HC」)でフィルム状にし、樹脂目付け41.7g/mのレジンフィルムを作製した。このレジンフィルムを、炭素繊維を引き揃えて得られた、繊維目付125g/mの炭素繊維シートの両面に張り合わせ、加熱ロールで含浸させて、繊維目付125g/m、樹脂含有量40質量%のプリプレグを得た。
<繊維強化複合材料板作製方法1>
前記<プリプレグ作製方法>で得られた実施例のエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグを298mm×298mmにカットし、繊維方向が[0°/90°/0°/90°/0°/90°/0°/90/90°/0°/90°/0°/90°/0°/90°/0°]となるように16枚積み重ねて積層体を得た。この積層体を予め140℃に予熱したプレス成形用金型に投入し、140℃×5分、圧力4MPaの条件でプレス成形して、2.0mm厚の繊維強化複合材料板([0°/90°/0°/90°/0°/90°/0°/90/90°/0°/90°/0°/90°/0°/90°/0°])を得た。
<繊維強化複合材料板作製方法2>
前記<プリプレグ作製方法>で得られた比較例のエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグを298mm×298mmにカットし、繊維方向が[0°/90°/0°/90°/0°/90°/0°/90/90°/0°/90°/0°/90°/0°/90°/0°]となるように16枚積み重ねて積層体を得た。この積層体を予め140℃に予熱したプレス成形用金型に投入し、140℃×10分、圧力4MPaの条件でプレス成形して、2.0mm厚の繊維強化複合材料板([0°/90°/0°/90°/0°/90°/0°/90/90°/0°/90°/0°/90°/0°/90°/0°])を得た。
[評価方法]
(1)樹脂板及び繊維強化複合材料板のUL-94V燃焼試験
得られた厚さ2.0mmの樹脂板及び厚さ2.0mmの繊維強化複合材料板を、長さ127mm×幅12.7mmに加工して試験片とした。該試験片について、燃焼試験機(スガ試験機株式会社製)を用いて、UL-94V規格に従って燃焼試験を実施した。具体的には、試験片をクランプに垂直に取付け、20mm炎による接炎を10秒間行い、燃焼時間を測定した。5個の試験片について燃焼試験を行い、クランプまで燃焼したサンプルの数、各燃焼時間のうちの最大値(max)、および5個の燃焼時間の合計(総燃焼時間:total)を記録した。また、その結果に基づいて判定[V-0、V-1、V-2、fail]を行った。難燃性はV-0が最も優れており、V-1、V-2、failの順に劣っていく。
(2)エポキシ樹脂組成物の硬化度と硬化時間の算出
エポキシ樹脂組成物の硬化完了時間は、示差走査熱量計(DSC)(ティー・エイ・インスツルメント ・ジャパン株式会社製、「DSC250」)を用いて、等温過程でのエポキシ樹脂組成物の硬化挙動を読み取ることで推定した。アルミニウム製のハーメチックパンに樹脂組成物を約10mg分取して、セル内のサンプル台にリファレンスとして空のアルミニウム製のハーメチックパンをリファレンス台に配置し、140℃で40分間保持することで測定した。前記方法にて、最大発熱ピーク到達時間と硬化度90%に到達する時間を算出した。
Figure 2023112896000005
表1の結果から明らかなように、実施例1のエポキシ樹脂組成物は、硬化度90%に到達する時間が4分以内と十分な速硬化性を有していた。これは、(C)成分がエポキシ樹脂組成物に均一に分散され、エポキシ樹脂への反応硬化阻害が生じなかったためと考えられる。また、実施例1のエポキシ樹脂組成物を用いて作製した繊維強化複合材料板は、厚さ2.0mmの試験片ではV-0相当であった。一方で、比較例1~3のエポキシ樹脂組成物を用いて作製した繊維強化複合材料板は、厚さ2.0mmの試験片ではV-1相当であり、樹脂板の傾向とは異なっていた。厚みによる難燃性の違いは、リン系難燃剤と(C)成分の違いから生じたものであり、(C)成分を用いた場合、厚みが増すごとに燃焼部での熱分解過程で発生する窒素ガスが増加し、より酸素濃度を希釈したことで燃焼が抑制されたと考えられる。
H(p):最大発熱量
H(e):硬化度100%での発熱量
t(e):硬化度100%に到達する時間
t(p):最大発熱量に到達する時間
t(s):硬化開始時間

Claims (16)

  1. 下記成分(A)、(B)、および(C)を含むエポキシ樹脂組成物と強化繊維基材とからなる、プリプレグ。
    (A)成分:エポキシ樹脂
    (B)成分:イミダゾール化合物および/またはイミダゾール化合物誘導体
    (C)成分:下記式(1)で表される有機塩
    …式(1)
    (R~Rは、それぞれ独立に水素原子、アミノ基、エポキシ基、炭素数1~5のアルキル基、または炭素数6~10のアリール基を表す。)
  2. 前記成分(C)の熱重量分析による窒素雰囲気下で測定した時の10%重量減少温度が300~400℃である、請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記成分(C)が40質量%以上の窒素原子を含む、請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. 前記式(1)中、R~RがNH、R~Rが水素原子である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  5. 前記エポキシ樹脂組成物100質量部に対し、前記(C)成分を10~30質量部含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  6. 下記(D)成分をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のプリプレグ。
    (D)成分:ジシアンジアミドおよび/またはジシアンジアミド誘導体
  7. 下記(E)成分をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のプリプレグ。
    (E)成分:尿素化合物
  8. 前記エポキシ樹脂組成物から(C)成分を除いたエポキシ樹脂組成物を140℃、1時間の条件で硬化させた硬化物の熱重量分析による窒素雰囲気下で測定した時の10%重量減少温度が300~400℃である、請求項1~7のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  9. 前記エポキシ樹脂組成物の60℃における粘度が10~1000Pa・sである、請求項1~8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 前記(A)成分がオキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  11. 前記エポキシ樹脂組成物100質量部に対し、前記(B)成分を1~10質量部含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  12. 前記(B)成分と前記(D)成分との含有質量比((B)成分/(D)成分)が、0.5~1.5である、請求項6に記載のプリプレグ。
  13. 前記(B)成分と前記(C)成分との含有質量比((B)成分/(C)成分)が、0.1~0.5である、請求項1~12のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  14. 前記強化繊維基材が炭素繊維を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  15. 請求項14に記載のプリプレグを硬化して得られる、繊維強化複合材料。
  16. 前記繊維強化複合材料のUL-94V規格に基づく難燃性試験が厚み2.0mmの試験片でV-0である、請求項15に記載の繊維強化複合材料。
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