JP2021107544A - エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、及び繊維強化プラスチック - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、及び繊維強化プラスチック Download PDF

Info

Publication number
JP2021107544A
JP2021107544A JP2020216031A JP2020216031A JP2021107544A JP 2021107544 A JP2021107544 A JP 2021107544A JP 2020216031 A JP2020216031 A JP 2020216031A JP 2020216031 A JP2020216031 A JP 2020216031A JP 2021107544 A JP2021107544 A JP 2021107544A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy resin
resin composition
viscosity
prepreg
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020216031A
Other languages
English (en)
Inventor
拓也 寺西
Takuya Teranishi
拓也 寺西
二郎 杉山
Jiro Sugiyama
二郎 杉山
一美 外川
Hitomi Togawa
一美 外川
正洋 市野
Masahiro Ichino
正洋 市野
晃太郎 能澤
Kotaro Nozawa
晃太郎 能澤
玲美 宮町
Remi Miyamachi
玲美 宮町
敦 野原
Atsushi Nohara
敦 野原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Group Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Chemical Holdings Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Publication of JP2021107544A publication Critical patent/JP2021107544A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】プリプレグの製造時に含浸されやすく、成形時に樹脂フローが起きにくい樹脂組成物とプリプレグ、さらにはこのプリプレグを用いて形成された繊維強化プラスチックを提供する。【解決手段】エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物であって、下記式(1)で表される粘度倍率が35倍以下であるエポキシ樹脂組成物。式(1)粘度倍率=40℃におけるエポキシ樹脂組成物粘度/90℃におけるエポキシ樹脂組成物粘度【選択図】 なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、及び繊維強化プラスチックに関するものであり、スポーツ・レジャー用途、一般産業用途、航空機用材料用途等に好適に使用されるものである。
繊維強化プラスチックは、軽量で、高強度、高剛性であるため、スポーツ・レジャー用途から、自動車や航空機等の産業用途まで、幅広く用いられている。繊維強化プラスチックは、強化繊維などの連続繊維からなる補強材にマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグを使用して得ることができる。また、プリプレグを複数枚積層、加熱硬化することにより、成形品を得ることが出来る。多くの分野において軽量化のニーズから、強度弾性率の観点から強化繊維として炭素繊維が、炭素繊維との接着性の観点からマトリックス樹脂としてエポキシ樹脂が多く用いられている。プリプレグの製造工程において、強化繊維に樹脂を含浸させる工程(70〜120℃程度)では、樹脂が強化繊維の間に含浸していきやすいように粘度が低い方が好ましい。一方で、プリプレグ成形工程において、プレス成型、内圧成形、シートラップ成形等では硬化温度(120〜180℃程度)で樹脂が流れ出さないように粘度が高い方が好ましい。一般的にエポキシ樹脂は温度を上昇すれば粘度が低下するが、プリプレグの製造時と硬化時の粘度差が少ないことが求められている。
この課題に対し、特許文献1では特定の熱可塑性樹脂を用いることによって、プリプレグを得る際のプロセス性に優れたエポキシ樹脂組成物得られることを見出している。
特開2007−154160号公報
特許文献1に開示されている技術においては、熱可塑性樹脂を含有することで、粘度が上昇し、プリプレグ製造時の含浸性が低下する。製造時の粘度が高いと樹脂が含浸しにくく、強化繊維内に空気が残るため、硬化後の繊維強化プラスチックの強度低下や外観不良につながる。また、硬化時の粘度が低いと樹脂フローが多くなりすぎ、繊維蛇行による物性低下や外観不良につながる。本発明は、プリプレグの製造時に含浸されやすく、成形時に樹脂フローが起きにくい樹脂組成物とプリプレグ、さらにはこのプリプレグを用いて形成された繊維強化プラスチックを提供するものである。
本発明は、以下[1]〜[22]の態様を含むものである。
[1]エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物であって、下記式(1)で表される粘度倍率が35倍以下であるエポキシ樹脂組成物。
式(1)
粘度倍率=40℃におけるエポキシ樹脂組成物粘度/90℃におけるエポキシ樹脂組成物粘度
[2]前記熱可塑性樹脂がスチレンを含む重合体またはポリエステル重合体を含む、[1]に記載のエポキシ樹脂組成物
[3]前記熱可塑性樹脂がエポキシ樹脂に溶解している、[1]または[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4]エポキシ樹脂100質量部に対して前記熱可塑性樹脂を1〜30質量部含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[5]前記熱可塑性樹脂がスチレンを含む重合体を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[6]前記スチレンを含む重合体に含まれるスチレンの含有量が、スチレンを含む重合体100質量部に対して50質量部以上である、[5]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[7]前記スチレンを含む重合体が、スチレン―アクリル共重合体である、[5]または[6]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[8]前記熱可塑性樹脂がポリエステル重合体を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[9]前記ポリエステル重合体が結晶性ポリエステルである、[8]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[10]前記エポキシ樹脂が液状エポキシ樹脂およびガラス転移温度が70℃以上の固形エポキシ樹脂を含む、[1]〜[9]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[11]前記エポキシ樹脂組成物が硬化剤を含む、[1]〜[10]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[12][1]〜[11]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物と強化繊維とを含む、プリプレグ。
[13]前記強化繊維が炭素繊維である、[12]に記載の繊維強化プラスチック。
[14]炭素繊維束とマトリックス樹脂とからなるプリプレグの製造方法であって、エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂とを含み、下記式(1)で表される粘度倍率が48倍以下であるエポキシ樹脂組成物を用いる、プリプレグの製造方法。
式(1)
粘度倍率=40℃におけるエポキシ樹脂組成物粘度/90℃におけるエポキシ
[15]前記エポキシ樹脂組成物を炭素繊維束に含浸させる、[14]に記載のプリプレグの製造方法。
[16]前記エポキシ樹脂組成物が硬化剤を含む、[14]または[15]に記載のプリプレグの製造方法。
[17]エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物及び強化繊維からなるプリプレグであって、前記熱可塑性樹脂は下記条件1で測定された粘度倍率が48倍以下となるものである、プリプレグ。
<条件1>
前記熱可塑性樹脂を液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂と5:95の割合で混合して混合物を得る。得られた混合物を180℃になるまで加熱する。前記熱可塑性樹脂を溶解させた後、室温で放冷する。室温まで冷却した混合物をレオメーターを用いて昇温粘度測定を行い、40℃における混合物の粘度を90℃における混合物の粘度で除した値を粘度倍率とする。
[18]前記熱可塑性樹脂が結晶性ポリエステルを含む、[17]に記載のプリプレグ。
[19]前記熱可塑性樹脂の結晶融点が100℃〜150℃である、[17]または[18]に記載のプリプレグ。
[20]前記強化繊維が炭素繊維である、[17]〜[19]のいずれかに記載のプリプレグ。
[21]エポキシ樹脂および硬化剤を含むマトリックス樹脂と強化繊維とからなるプリプレグであって、前記マトリックス樹脂が結晶性ポリエステルを含む、プリプレグ。
[22]前記結晶性ポリエステルが下記条件2にて得られる2回目のDSC曲線の結晶融解熱が15J/g以上である、[21]に記載のプリプレグ。
<条件2>
JIS K7122(1987)の熱流束示差走査熱量測定法に基づいて、熱流束示差走査熱量測定法に基づき前記結晶性ポリエステルを試験片とし、加熱速度10℃/分にて融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に測定されるDSC曲線を1回目のDSC曲線とし、次いで1回目のDSC曲線の融解ピーク終了時よりも30℃高い温度にて10分間保った後、冷却速度10℃/分にて30℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分にて融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させて測定されるDSC曲線を2回目のDSC曲線とする。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、プリプレグの製造時と硬化時の粘度差が少なく、プリプレグ製造時に含浸性に優れ、プリプレグ硬化時には樹脂の流れ出し(樹脂フロー)が少ない。本発明のエポキシ樹脂組成物を用いることで、含浸性に優れ、ボイドの無いプリプレグおよびこのプリプレグを用いて形成された成形体は繊維蛇行が少なく外観および物性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、「エポキシ樹脂」とは、1分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を意味する。エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を「樹脂硬化物」と称し、その中でも特に板状の硬化物を「樹脂板」と称することがある。
[エポキシ樹脂組成物]
本発明のエポキシ樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物」とも記す。)の態様としては、エポキシ樹脂と、熱可塑性樹脂とを含み、下記式(1)で表される粘度倍率が48倍以下とすることができる。プリプレグの製造時と硬化時の各温度における粘度差を小さくすることで、プリプレグの製造時にはプリプレグの取り扱いが容易で樹脂が含浸しやすく、硬化時には樹脂フローが抑制されることで、硬化後の繊維強化プラスチックの強度低下や外観不良を抑制することができる。40倍以下がより好ましく、35倍以下がさらに好ましく、25倍以下が特に好ましい。強度低下及び外観不良の両方を抑制する観点からは、2倍以上が好ましく、10倍以上が好ましい。例えば、液状ビスフェノール型エポキシ樹脂に、スチレン―アクリル共重合体100質量部に対してスチレンの含有量が50質量部以上のスチレン―アクリル共重合体、または結晶性ポリエステルを混合して用いることで粘度倍率を下げることができる。
式(1)
粘度倍率=40℃におけるエポキシ樹脂組成物粘度/90℃におけるエポキシ樹脂組成物粘度
粘度は、レオメーターを用いて以下の<粘度測定条件>で 試料をプレートに載せて40℃あるいは90℃に加温した後に、上等温粘度測定を行い、最低粘度を40℃あるいは90℃における樹脂粘度とした。
<粘度測定条件>
使用プレート:25φパラレルプレート、
プレートギャップ:0.5mm、
測定周波数:10rad/秒、
測定温度:60℃、
測定時間:30分、
応力:300Pa
熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂に可溶であることが好ましい。エポキシ樹脂に可溶であるとは、熱可塑性樹脂の溶け残りがない程度に実質的に溶解できることを意味し、具体的には、メッシュ(#100)の平織金網(線径0.1mm、開き目0.15mm)を通過できるものが例示できる。溶解する温度は、0℃〜400℃の範囲で設定することができる。熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂に一度溶解させた後に析出させてもよく、この場合には小粒径かつ粒径がそろった析出物を得られる。さらに、硬化剤、硬化促進剤及び任意成分としての添加剤を含んでもよい。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂としては、いずれのエポキシ樹脂でも使用可能であり、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ヒドロフタル酸型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、ビスフェノキシエタノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスクレゾールフルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンから選ばれる1種以上のエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、後述する液状および固形のエポキシ樹脂を併用することが好ましい。特に、これらのエポキシ樹脂を複数組み合わせることで、優れた取り扱い性を有し、成形時の樹脂フローがより制御可能なプリプレグ、および機械特性や耐熱性に優れる炭素繊維強化プラスチックを得ることができる。
<液状エポキシ樹脂>
液状エポキシ樹脂は、25℃で液状のエポキシ樹脂である。液状エポキシ樹脂は主に、熱可塑性樹脂の溶解性向上と本樹脂組成物の樹脂硬化物の強度や弾性率、耐熱性の向上に寄与する。尚、ここで「液状」とは、エポキシ樹脂が流動性を示すことを示す。25℃で液状のエポキシ樹脂の粘度は、25℃において500Pa・s以下であることが好ましく、300Pa・s以下であることがより好ましい。また、0.1Pa・s以上であることが好ましい。粘度をこの範囲にすると、本樹脂組成物の作業性を良好なものとすることができる。粘度の測定は回転式レオメーターで試料に周期的な変形(歪み)を与え、それによって生じる応力と位相差を検出することで測定できる。
液状エポキシ樹脂の含有量は、本樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して20質量部以上80質量部以下であることが好ましい。液状エポキシ樹脂の含有量の下限は、より好ましくは25質量部以上であり、さらに好ましくは28質量部以上である。また、液状エポキシ樹脂の含有量の上限は、より好ましくは75質量部以下であり、さらに好ましくは70質量部以下であり、特に好ましくは50質量部以下である。本樹脂組成物中、液状エポキシ樹脂の含有量が下限値以上であれば、熱可塑性樹脂を溶解しやすく、強度、弾性率に優れた樹脂硬化物を得ることができる。一方、液状エポキシ樹脂の含有量が上限値以下であれば、靱性に優れた樹脂硬化物を得ることができる。
液状エポキシ樹脂は、市販品を用いてもよい。市販品として入手可能な、25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(液状エポキシ樹脂)としては、これらに限定されないが、jER827(エポキシ当量185g/eq)、jER828(エポキシ当量189g/eq)(以上、三菱ケミカル株式会社製)、YD−127(エポキシ当量185g/eq)、YD−128(エポキシ当量189g/eq)(以上、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)、EPICLON840(エポキシ当量185g/eq)、EPICLON850(エポキシ当量189g/eq)(以上、DIC株式会社製)、D.E.R331(エポキシ当量187/eq)、D.E.R332(エポキシ当量173g/eq)(THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)等が挙げられる。市販品として入手可能な、25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂(液状エポキシ樹脂)としては、これらに限定されないが、jER806(エポキシ当量165g/eq)、jER807(エポキシ当量170g/eq)(以上、三菱ケミカル株式会社製)、YDF−170(エポキシ当量170g/eq)(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)、EPICLON830(エポキシ当量170g/eq)、EPICLON835(エポキシ当量172g/eq)(以上、DIC株式会社製)、D.E.R354(エポキシ当量170g/eq)(以上、THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)等が挙げられる。これらの中から1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
<固形エポキシ樹脂>
固形エポキシ樹脂は、軟化点70℃以上のビスフェノール型エポキシ樹脂であることが好ましい。軟化点は、樹脂硬化物が優れた靱性を有することから、好ましくは72℃以上、より好ましくは75℃以上である。一方、樹脂硬化物の耐熱性が適正に保たれ、ドレープ性(型形状追従性)に優れたプリプレグを得ることができるとともに、ボイドの無い繊維強化プラスチックを得ることができることから、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下である。固形のエポキシ樹脂を含有することで、室温の粘度が上がり、タック等のプリプレグの取り扱いが改善される。
固形エポキシ樹脂の含有量は、本樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して10質量部以上80質量部以下であることが好ましい。固形エポキシ樹脂の含有量の下限は、より好ましくは13質量部以上であり、さらに好ましくは15質量部以上である。また、固形エポキシ樹脂の含有量の上限は、より好ましくは60質量部以下であり、さらに好ましくは40質量部以下である。固形エポキシ樹脂の含有量が下限値以上であれば、タック性の良い靱性に優れた樹脂硬化物を得ることができる。一方、固形エポキシ樹脂の含有量が上限値以下であれば、樹脂硬化物の耐熱性が適正に保たれ、ドレープ性(型形状追従性)に優れたプリプレグを得ることができるとともに、ボイドの無い繊維強化プラスチックを得ることができる。
固形エポキシ樹脂は、市販品を用いてもよい。市販品として入手可能な、軟化点70℃以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、これらに限定されないが、jER1055、jER1004、jER1007、jER1009(いずれも商品名、三菱ケミカル株式会社製)やEPICLON2050、EPICLON3050、EPICLON4050、EPICLON7050、EPICLON HM−091、EPICLON HM−101(いずれも商品名、DIC株式会社製)やYD−902、YD−903N、YD−904、YD−907、YD−7910、YD−6020(いずれも商品名、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)等が挙げられる。また、市販品として入手可能な、軟化点70℃以上のビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、これらに限定されないが、jER4004P、jER4005P、jER4007P、jER4010P(いずれも商品名、三菱ケミカル株式会社製)やYDF2004、YDF−2005RD(いずれも商品名、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)等が挙げられる。市販品として入手可能な軟化点70℃以上のオキサゾリドン環状構造を有するエポキシ樹脂としては、AER4152、AER4151、LSA3301、LSA2102(いずれも商品名、旭化成イーマテリアルズ株式会社製)やACR1348(商品名、株式会社ADEKA社製)、DER852、DER858(商品名、THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)、TSR−400(商品名、DIC社製)などがあげられ、いずれも本発明に好ましく用いられるが、AER4152やTSR−400が特に好ましい。固形エポキシ樹脂として、これらの中から1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
<熱可塑性樹脂>
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いることができる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテル、ポリオレフィン、液晶ポリマー、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリルスチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、AES(アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン共重合体)、ASA(アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルホルマール樹脂、フェノキシ樹脂、ブロックポリマー等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、強化繊維への樹脂含浸時の粘度上昇が少なく、樹脂フロー制御性に優れることから、スチレンを含む重合体またはポリエステル重合体が好ましい。
スチレンを含む重合体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレンなどのスチレン系モノマーをモノマー単位として含む単独重合体又は共重合体、スチレン系モノマーと、このスチレン系モノマーと共重合可能な一種又は二種以上のビニルモノマーとをモノマー単位として含む共重合体などが挙げれられる。スチレンを含む重合体の市販品としては、MM290、HF77、SGP10、G9401、H9152、G9001、SX100、SX300(以上、PSジャパン社製)、XC−540HB、XC−520CR−3500、XC−515(以上、DIC社製)、TX800LF、TH−21、TX−100S、TH−11、TH−23、CL−430、TE−10S、530L、730L(以上、デンカ社製)、エスチレンMS−200NT、ATS−4KR10(以上、日鉄ケミカル&マテリアル)等が挙げられるが、これらに限定されない。樹脂含浸時の粘度上昇が少ないため、スチレンを含む重合体100質量部に対してスチレンを50質量部以上含む重合体が好ましい。スチレン―アクリル共重合体が樹脂フロー制御性に優れるため特に好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル重合体としては任意のジカルボン酸とジオールとを縮合させて得ることができる。ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカジカルボン酸等を挙げることができる。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等を挙げることができる。ポリエステルを構成するジカルボン酸成分とジオール成分はそれぞれ1種又は2種以上を用いてもよい。
ポリエステル重合体の市販品としては、SP−154、SP−156、SP−160、SP−170、SP−176、SP−181、SP−182、SP−180、SP−185(以上、三菱ケミカル社製)、FX−200、TX1000(以上、Eastman社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。この中でも、樹脂含浸時の粘度上昇が少なく、樹脂フロー制御しやすいため、結晶性ポリエステルが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。結晶性ポリエステルは、エポキシ樹脂組成物中での結晶粒子の形態安定性の観点から、下記条件2にて得られる2回目のDSC曲線の結晶融解熱が15J/g以上であることが好ましく、18J/g以上がより好ましい。結晶粒子を融解させるときの溶け残り低減のため、下記条件2にて得られる2回目のDSC曲線の結晶融解熱が40J/g以下であることが好ましく、30J/g以下がより好ましい。
<条件2>
JIS K7122(1987)の熱流束示差走査熱量測定法に基づいて、熱流束示差走査熱量測定法に基づき前記結晶性ポリエステルを試験片とし、加熱速度10℃/分にて融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に測定されるDSC曲線を1回目のDSC曲線とし、次いで1回目のDSC曲線の融解ピーク終了時よりも30℃高い温度にて10分間保った後、冷却速度10℃/分にて30℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分にて融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させて測定されるDSC曲線を2回目のDSC曲線とする。
結晶性ポリエステルは、前述の条件1でエポキシ樹脂に溶解後、室温に冷却することで結晶として析出するものであることが好ましい。例えば、プリプレグやシートモールディングコンパウンド(SMC)の中間材製造時の含浸温度が30〜60℃である場合に、このような結晶性ポリエステルを含有すると含浸時にはポリエステルが結晶化した状態を保持してマトリクス樹脂組成物の粘度を低く保つことができて含浸性が向上し、含浸後の中間材の成形時には加熱によって結晶粒子の融解によって中間材中のマトリックス樹脂の粘度が上昇する。これにより成形時には粘度が上昇した状態となるため樹脂フローが抑制できる。
熱可塑性樹脂の含有量としては、本樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上30質量部以下含むことが好ましく、2質量部以上10質量部以下含むことがより好ましく、3質量部以上6質量部以下含むことがさらに好ましい。熱可塑性樹脂の含有量が1質量部以上であれば、樹脂フロー制御が良好に発揮される傾向にあるため好ましい。一方、熱可塑性樹脂の含有量が30質量部以下であれば、樹脂含浸時の粘度上昇が少なくなるため好ましい。
熱可塑性樹脂の結晶融点としては、成形時の樹脂フローを抑制し成形外観を良好にする観点から、90℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、110℃以上がさらに好ましい。熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂に溶解させる作業性の観点から150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。結晶融点はDSCで測定できる。
<硬化剤>
エポキシ樹脂の硬化剤としては特に限定されないが、ジシアンジアミド、ウレア類、イミダゾール類、芳香族アミン類、その他アミン系硬化剤、酸無水物、塩化ホウ素アミン錯体等を用いることができる。特にジシアンジアミド、ウレア類、イミダゾール類、芳香族アミン類の中から選ばれる少なくとも1種の硬化剤を用いるのが好ましい。
ジシアンジアミドは融点が高く、低温領域でエポキシ樹脂との相溶性が抑えられるため、硬化剤として用いると、ポットライフが優れる樹脂組成物が得られる傾向にあるので好ましい。また、樹脂組成物が硬化剤としてジシアンジアミドを含むことで、樹脂硬化物の機械物性が向上する傾向にあり好ましい。
本樹脂組成物中のジシアンジアミドの含有量は、本樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂が有するエポキシ基の全モル数に対し、ジシアンジアミドの活性水素のモル数が0.4〜1倍となる量とするのが好ましい。0.4倍以上とすることにより、耐熱性が良好で、機械物性が良好な(すなわち強度や弾性率が高い)硬化物が得られる傾向にある。また、1倍以下とすることにより、機械物性(すなわち塑性変形能力や耐衝撃性に優れた)が良好な硬化物が得られる傾向にあるという利点を有する。さらに、このジシアンジアミドの活性水素のモル数を0.5〜0.8倍とすることによって、樹脂硬化物の耐熱性がより優れる傾向にあるため、より好ましい。ジシアンジアミドの市販品としては、例えばDICY7、DICY15(以上、三菱ケミカル社製)、DICYANEX1400F(エアープロダクツ社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
エポキシ硬化剤として用いられるウレア類は、分子内にジメチルウレイド基を有し、高温で加熱することによりイソシアネート基とジメチルアミンを生成し、これらがエポキシ基と化学反応するものであれば、特に制限されないが、例えばジメチルウレイド基が芳香環に結合した芳香族ジメチルウレア、ジメチルウレイド基が脂肪族化合物に結合した脂肪族ジメチルウレア等をあげることができる。これらの中でも、硬化速度が速くなり、硬化物の耐熱性および曲げ強度が高くなる傾向にある点で、芳香族ジメチルウレアが好ましい。
芳香族ジメチルウレアとしては、例えばフェニルジメチルウレア、メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、およびトリレンビス(ジメチルウレア)などが好適に用いられる。具体例としては、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)(MBPDMU)、3−フェニル−1,1−ジメチルウレア(PDMU)、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチルウレア、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエン(TBDMU)、m−キシリレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレアなどが挙げられる。これらの中でも、硬化促進能力や樹脂硬化物への耐熱性付与といった点から、DCMU、MBPDMU、TBDMU、PDMUがより好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪族ジメチルウレアとしては、例えばイソホロンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア、ヘキサメチレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレアなどが挙げられる。また、ウレア類は市販品を用いてもよい。DCMUの市販品としては、例えばDCMU−99(以上、保土谷化学工業社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。MBPDMUの市販品としては、例えばTechnicure MDU−11(以上、A&C Catalysts社製);Omicure(オミキュア)52(以上、蝶理GLEX株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
PDMUの市販品としては、例えばOmicure(オミキュア)94(以上、蝶理GLEX株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。TBDMUの市販品としては、例えばOmicure(オミキュア)24(以上、蝶理GLEX株式会社製)、U−CAT 3512T(サンアプロ株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。脂肪族ジメチルウレアの市販品としては、例えばU−CAT 3513N(サンアプロ株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ウレア類の含有量は、本樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対し、1質量部以上15質量部以下が好ましく、2質量部以上10質量部以下がより好ましい。ウレア類の含有量が1質量部以上であれば、樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂を十分に硬化、硬化促進し、機械物性や耐熱性を高くすることができる傾向にある。一方、ウレア類の含有量が15質量部以下であれば、樹脂硬化物の靱性を高く保持できる傾向にある。
エポキシ硬化剤として用いられるイミダゾール類はイミダゾールであってもよく、イミダゾールアダクト、包接イミダゾール、マイクロカプセル型イミダゾール、安定化剤を配位させたイミダゾール化合物等を用いることもできる。これらは、その構造の中に非共有電子対を有する窒素原子を有し、これがエポキシ基を活性化さることができ、硬化を促進することができる。イミダゾールの具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(2−シアノエトキシ)メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アダクト処理、異分子による包接処理、マイクロカプセル処理、あるいは安定化剤を配位させたイミダゾールは、前記のイミダゾールを修飾したものである。これらはイミダゾールにアダクト処理、異分子による包接処理、マイクロカプセル処理により、あるいは安定化剤を配位させることで活性を落とすことにより、低温領域で優れたポットライフを発現しつつも硬化や硬化促進能力が高い。
また、イミダゾール類としては市販品を用いてもよい。イミダゾールの市販品としては2E4MZ、2P4MZ、2PZ−CN、C11Z−CNS、C11Z−A、2MZA−PW、2MA−OK、2P4MHZ−PW、2PHZ−PW(以上、四国化成工業社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。イミダゾールアダクトの市販品としては、例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基へイミダゾール化合物が開環付加した構造を有する、PN−50、PN−50J、PN−40、PN−40J、PN−31、PN−23、PN−H(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。包摂イミダゾールの市販品としては、例えばTIC−188、KM−188、HIPA−2P4MHZ、NIPA−2P4MHZ、TEP−2E4MZ、HIPA−2E4MZ、NIPA−2E4MZ(以上、日本曹達株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。 マイクロカプセル型イミダゾールの市販品としては、例えばノバキュアHX3721、HX3722、HX3742、HX3748(以上、旭化成株式会社製);LC−80(以上、A&C Catalysts社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、安定化剤を配位させたイミダゾール化合物は、例えば四国化成工業株式会社製のイミダゾールアダクトであるキュアダクトP−0505(ビスフェノールAジグリシジルエーテル/2−エチル−4−メチルイミダゾールアダクト)に、四国化成工業株式会社製の安定化剤であるL−07N(エポキシ−フェノール−ホウ酸エステル配合物)を組み合わせることにより用意できる。前記キュアダクトP−0505の替わりに、先にあげた各種イミダゾールやイミダゾールアダクトなどのイミダゾール化合物を用いても同様の効果が得られる。安定化剤を配位させる前のイミダゾール化合物としてはエポキシ樹脂に対する溶解性が低いものが好適に用いられ、この点からキュアダクトP−0505が好ましい。
イミダゾール類の含有量は、本樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対し、1質量部以上15質量部以下が好ましく、2質量部以上10質量部以下がより好ましい。イミダゾール類の含有量が1質量部以上であれば、樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂の硬化や硬化促進作用、耐熱性が充分に得られる傾向にある。一方、イミダゾール類の含有量が15質量部以下であれば、機械的特性により優れた樹脂硬化物が得られる傾向にある。
<任意成分>
本樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の様々な添加剤を含有してもよい。添加剤としては、難燃剤(例えばリン含有エポキシ樹脂や赤燐、ホスファゼン化合物、リン酸塩類、リン酸エステル類等)、湿潤分散剤、消泡剤、脱泡剤、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド、エステル類、パラフィン類等の離型剤、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の粉体や金属酸化物、金属水酸化物、ガラス繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン等の無機フィラー、炭素繊維、セルロースナノファイバー等の有機フィラー、表面有機化処理した無機フィラー等、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シランカップリング剤、導電材等公知の添加剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
<エポキシ樹脂組成物の粘度>
60℃における本樹脂組成物の粘度は、得られる樹脂フィルムの形態保持性、樹脂フィルムの製造時の作業性やプリプレグの含浸性の観点から、粘度の下限値は50Pa・s以上が好ましく、70Pa・s以上がより好ましく、80Pa・s以上がさらに好ましい。また、粘度の上限値は300Pa・s以下が好ましく、270Pa・s以下がより好ましく、250Pa・s以下がさらに好ましい。
本樹脂組成物の最低粘度は、成形時の樹脂の流動性制御(強化繊維の乱れの抑制)の観点から、最低粘度は0.05Pa・s以上であることが好ましく、0.07Pa・s以上であることがより好ましく、0.1Pa・s以上であることがさらに好ましい。また、最低粘度は50Pa・s以下であることが好ましく、40Pa・s以下であることがより好ましく、30Pa・s以下であることがさらに好ましい。なお、この最低粘度は、昇温モードで樹脂組成物の粘度を測定した際に得られる粘度カーブにおいて粘度が一番低くなる点と定義される。また、樹脂組成物の粘度は、例えば、回転粘度計(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社製、「MARS 40」)で25mmφパラレルプレートを用いて、プレートギャップ500μm、昇温速度2℃/分で昇温、角速度10rad/sec、ストレス300Paで測定することにより求められる。
<エポキシ樹脂組成物の製造方法及び用途>
本樹脂組成物は、これに限定されないが、例えば、上述した各成分を混合することにより得られる。各成分の混合方法としては、三本ロールミル、プラネタリミキサー、ニーダー、ホモジナイザー、ホモディスパー等の混合機を用いる方法が挙げられる。本樹脂組成物は、例えば、後述するように、強化繊維集合体に含浸させてプリプレグの製造に用いることができる。他にも、本樹脂組成物を離型紙等に塗布して硬化することで、本樹脂組成物のフィルムを得ることができる。
<エポキシ樹脂組成物からなるフィルム>
本樹脂組成物からなるフィルムはプリプレグを製造するための中間材料として、また、基材に貼り付けた後、硬化させることによって、表面保護フィルム又は、接着フィルムとしても有用である。また、その使用方法は、これに限定されないが、本樹脂組成物を離型紙等の基材の表面に塗布することが好ましい。得られた塗布層は、未硬化のまま別の基材に張り付けて硬化させることで、フィルムとして使用してもよく、前記塗布層自体を硬化させることで、フィルムとして使用してもよい。
[プリプレグ]
プリプレグは、上述した本樹脂組成物を強化繊維集合体に含浸させて得ることができる。また別のプリプレグの態様として、エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物及び強化繊維からなるプリプレグであって、前記熱可塑性樹脂は下記条件1で測定された粘度倍率が48倍以下となるものであるプリプレグが挙げられる。
<条件1>
前記熱可塑性樹脂を液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂と5:95の割合で混合して混合物を得る。得られた混合物を180℃になるまで加熱する。前記熱可塑性樹脂を溶解させた後、混合物を金属メッシュ(#100)に通し、通過した混合物を室温で放冷する。室温まで冷却した混合物をレオメーターを用いて昇温粘度測定を行い、40℃における混合物の粘度を90℃における混合物の粘度で除した値を粘度倍率とする。熱可塑性樹脂は濁りが確認できなくなるまで溶解させる。溶解しない熱可塑樹脂は、金属メッシュにより除かれるため粘度倍率は溶解した熱可塑樹脂と液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂との関係で測定されることになる。
他のプリプレグの態様としては、エポキシ樹脂および硬化剤を含むマトリックス樹脂と強化繊維とからなるプリプレグであって、前記マトリックス樹脂が結晶性ポリエステルを含む、プリプレグが挙げられる。
プリプレグの形態としては、シートモールディングコンパウンド(SMC)、UDプリプレグ、クロスプリプレグ等が挙げられる。樹脂組成物を強化繊維集合体に含浸させる方法としては、公知の方法でよく、例えば、樹脂組成物をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して、低粘度化してから含浸させるウェット法と、加熱により低粘度化してから含浸させる、ホットメルト法(ドライ法)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
ウェット法は、強化繊維を樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法である。一方でホットメルト法には、加熱により低粘度化した樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法と、一旦樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで強化繊維の両側または片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより強化繊維に樹脂を含浸させる方法がある。ホットメルト法によれば、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上存在しないため好ましい。
プリプレグの樹脂組成物の含有量(以下、「樹脂含有量」という)は、本発明のプリプレグの全質量を100%としたとき、15〜50質量%であることが好ましく、20〜45質量%であることがより好ましく、25〜40質量%であることがさらに好ましい。樹脂含有量が、15質量%以上であれば、強化繊維集合体と樹脂組成物との接着性を十分確保することができ、50質量%以下であれば機械物性を高く保持できる。
強化繊維集合体を構成する強化繊維としては特に限定されず、繊維強化プラスチックを構成する強化繊維として公知のものから用途等に応じて適宜選択すればよい。具体例として例えば、炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、高強度ポリエステル繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維等の各種の無機繊維または有機繊維を用いることができる。これらの中でも、比強度、比弾性の観点から、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維が好ましく、機械物性や軽量化の観点から炭素繊維が特に好ましい。強化繊維として炭素繊維を用いる場合、金属による表面処理を施してもよい。これらの強化繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
プリプレグを硬化して得られる繊維強化プラスチックの剛性の観点から、炭素繊維のストランド引張強度は、1〜9GPaが好ましく、1.5〜9GPaがより好ましく、炭素繊維のストランド引張弾性率は150〜1,000GPaが好ましく、200〜1,000GPaがより好ましい。炭素繊維のストランド引張強度及びストランド引張弾性率は、JIS R7601:1986に準拠して測定される値である。
強化繊維集合体の形態としては特に制限されず、通常のプリプレグの基材として使用される形態を採用でき、例えば、強化繊維が一方向に引き揃えられたもの(UD: UniDirection)であってもよく、織物や不織布、またはノンクリンプファブリック(Non−Crimp Fabric)でもよい。
[繊維強化プラスチック]
繊維強化プラスチックは、上述した本樹脂組成物の硬化物と強化繊維とからなる。例えば、上述のプリプレグを積層した後、積層体に圧力を付与しながら、エポキシ樹脂を加熱硬化させる方法等により成形して得られる。繊維強化プラスチックは、機械特性、難燃性、耐熱性、電磁波遮蔽性等に優れることから、強化繊維として炭素繊維を含むことが好ましい。
繊維強化プラスチックの成形方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法、シートラップ成形法や、強化繊維のフィラメントやプリフォームに硬化性樹脂組成物を含浸させて硬化し成形品を得るRTM(Resin Transfer Molding)、VaRTM(Vacuum assistedResin Transfer Molding:真空樹脂含浸製造法)、フィラメントワインディング、RFI(Resin Film Infusion)等が挙げられるが、これらの成形方法に限られるものではない。
本樹脂組成物の硬化物をマトリックス樹脂として用いた繊維強化プラスチックは、スポーツ用途、一般産業用途、及び航空宇宙用途に好適に用いられる。より具体的には、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニスやバドミントンのラケット用途、ホッケー等のスティック用途、及びスキーポール用途に好適に用いられる。更に一般産業用途では、自動車、船舶、及び鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、及び補修補強材料等に好適に用いられる。
<構造体>
上述した本発明の繊維強化プラスチックから構造体を得ることができる。この構造体は、本発明の繊維強化プラスチックのみからなるものであってもよいし、本発明の繊維強化プラスチックと他の材料(例えば金属、インジェクション成形された熱可塑性樹脂製部材等)とから構成されるものであってもよい。
この構造体は、本発明の繊維強化プラスチックで一部または全部が構成されているので、難燃性、及び耐熱性に優れる。この構造体は、例えば航空機や自動車の内装部材、電気・電子機器用筐体等にも適用できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例、及び比較例で使用した原料を以下に示す。なお、軟化点、エポキシ当量は、以下の条件で測定した。
1)軟化点:JIS−K7234:2008(環球法)に準拠して測定された値である。
2)エポキシ当量:JIS−K7236:2001に準拠して測定された値である。
「原料」
<エポキシ樹脂>
jER828:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189g/eq、三菱ケミカル株式会社製、品名「jER828」)。
jER1001:固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量475g/eq、三菱ケミカル株式会社製、品名「jER1001」)。
<熱可塑性樹脂>
TX−800LF:結晶性スチレン−メチルメタクリレート樹脂(デンカ株式会製、品名「TX−800LF」)スチレン含有量53.5wt%。
TH−21:結晶性メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂(デンカ株式会社製、品名「TH−21」)。スチレン含有量60wt%
MS−200NT:結晶性スチレン−メチルメタクリレート樹脂(東洋スチレン株式会社製、品名「MS−200NT」)スチレン含有量78.5wt%。
MM290:結晶性スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂(PSジャパン株式会社製、品名「MM290」)スチレン含有量84wt%。
SP−154:結晶性ポリエステル樹脂(三菱ケミカル株式会社製、品名「SP−154」、融点120℃、Tg−20℃、2回目のDSC曲線の結晶融解熱が15J/g)
SP−156:結晶性ポリエステル樹脂(三菱ケミカル株式会社製、品名「SP−156」、融点110℃、Tg−20℃、2回目のDSC曲線の結晶融解熱が21J/g)
Capa6800:ポリカプロラクトン(パーストープ社製、品名「Capa6800」)
FX200:非晶性コポリエステル樹脂(Eastman株式会社製、品名「FX200」)。
ビニレックE:非晶性ポリビニルホルマール樹脂(JNC株式会社製、品名「ビニレックE」)。
5003MP:非晶性ポリエーテルスルホン樹脂(住友化学株式会社製、品名「スミカエクセル5003MP」)。
YP−50S:非晶性フェノキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、品名「YP−50S」)
<硬化剤>
Dicyanex 1400F:ジシアンジアミド(EVONIC製、品名「Dicyanex 1400F」)
<硬化促進剤>
オミキュア24:2,4−トルエンビスジメチルウレア(ハンツマン製、オミキュアU−24)
(製造例1)
エポキシ樹脂としてjER828、熱可塑性樹脂としてTX−800LFを質量比でjER828:TX−800LF=95:5となるように計量し、180℃で3時間加熱攪拌することで熱可塑溶解エポキシ樹脂組成物を得た。得られた熱可塑溶解エポキシ樹脂組成物は平織金網メッシュ100を通過させて未溶解分が残っていないことを確認した。評価結果を表1に示す
<粘度測定>
エポキシ樹脂組成物の粘度は、以下の条件で測定した。
装置:レオメーター(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社製、「MARS 40」)、
使用プレート:25φパラレルプレート、
プレートギャップ:0.5mm、
測定周波数:10rad/秒、
測定温度:60℃、
測定時間:30分、
応力:300Pa
試料をプレートに載せて40℃あるいは90℃に加温した後に、上記測定条件で等温粘度測定を行い、最低粘度を40℃あるいは90℃における粘度とした。
「粘度倍率」
粘度倍率は以下の式より算出した。
粘度倍率=40℃におけるエポキシ樹脂組成物粘度/90℃におけるエポキシ樹脂組成物粘度
Figure 2021107544
(製造例2〜11)
表1に示すように、熱可塑性樹脂を変更した以外は、製造例1と同様にして熱可塑溶解エポキシ樹脂を調製し、評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(実施例1)
液状エポキシ樹脂としてjER828、固形エポキシ樹脂としてjER1001をjER828:jER1001=39.2:40.0となるように計量し、100℃で加熱攪拌することで熱可塑溶解エポキシ樹脂を得た。エポキシ樹脂としてjER828、熱可塑性樹脂としてSP156を質量比でjER828:SP156=1:1となるように計量し、180℃で3時間加熱攪拌することで熱可塑溶解エポキシ樹脂を得た。得られた熱可塑溶解エポキシ樹脂は平織金網メッシュ100を通過させて未溶解分が残っていないことを確認した。その後、熱可塑性溶解エポキシ樹脂を室温で除熱し、熱可塑性樹脂が結晶化して析出し樹脂混合物2を得た。
次いで、jER828を15質量部、Dicyanex1400Fを5.9質量部、オミキュア24を4.7質量部計量して混合し、三本ロールで分散させた硬化剤マスターバッチを得た。樹脂混合物1を79.2質量部、樹脂混合物2を25.6質量部、硬化剤マスターバッチ11.6質量部を40℃で均一になるまで撹拌し、熱可塑性樹脂を5wt%含有するエポキシ樹脂組成物を得た。
次いで、2枚のフィルムを用いた場合のプリプレグの樹脂含有率が33質量%となるように樹脂フィルム目付けを設定し、55℃条件で、得られたエポキシ樹脂組成物をフィルムコーターにて離型紙に塗布し樹脂フィルムを得た。
この樹脂フィルムの樹脂塗布面上に、繊維目付が125g/mのシートになるように、炭素繊維(三菱ケミカル株式会社製、製品名:TR50S)をドラムワインドにて巻きつけた。さらにもう1枚の樹脂フィルムをドラムワインド上で炭素繊維シート上に貼り合わせた。
2枚の樹脂フィルムに挟まれた炭素繊維シートを温度100℃、圧力0.4MPa、送り速度1m/分の条件でフュージングプレス(アサヒ繊維機械工業(株)、製品名:JR−600LTSW)に通し、繊維目付が125/m、樹脂含有量が33質量%、幅320mmのプリプレグを得た。

得られたプレプレグを300mm×300mmに切り出し、炭素繊維の配向が揃う様に16枚を積層し、オートクレーブで圧力0.6MPa下で、2℃/minで昇温し、140℃で120分間加熱硬化させて繊維強化プラスチックパネルを得た。この時、プリプレグ成形時物性として樹脂フロー率を下記の方法で評価した。
<成形時の樹脂フロー率の測定>
積層したプリプレグ(スタック)が含有する樹脂のうちフローした樹脂の質量パーセントを樹脂フロー率とした。樹脂フロー率はスタックの質量、硬化後の繊維強化プラスチックの質量、およびスタック中の樹脂総質量から式2の通り算出した。
樹脂フロー率=スタック中の樹脂総質量/(硬化前のスタック質量−硬化後のスタック質量)×100・・・(2)。
(比較例1)
熱可塑性樹脂を含まない以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを調製し、評価を行った。その評価結果を表2に示す。
Figure 2021107544
表2に示すように、実施例に記載された熱可塑性樹脂を使用した場合は、粘度倍率が低く、製造時と硬化時の粘度差が少なくなり、プリプレグ製造時に含浸状態が良く、プリプレグ硬化時には樹脂フローが少なかった。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いることにより、優れた繊維強化プラスチックを得ることができる。よって、本発明によれば、機械物性に優れた繊維強化プラスチック成形体、例えばゴルフクラブ用シャフトなどのスポーツ・レジャー用途成形体から航空機等の産業用途の成形体まで、幅広く提供することができる。

Claims (22)

  1. エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物であって、下記式(1)で表される粘度倍率が35倍以下であるエポキシ樹脂組成物。
    式(1)
    粘度倍率=40℃におけるエポキシ樹脂組成物粘度/90℃におけるエポキシ樹脂組成物粘度
  2. 前記熱可塑性樹脂がスチレンを含む重合体またはポリエステル重合体を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂がエポキシ樹脂に溶解している、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. エポキシ樹脂100質量部に対して前記熱可塑性樹脂を1〜30質量部含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記熱可塑性樹脂がスチレンを含む重合体を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 前記スチレンを含む重合体に含まれるスチレンの含有量が、スチレンを含む重合体100質量部に対して50質量部以上である、請求項5に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 前記スチレンを含む重合体が、スチレン―アクリル共重合体である、請求項5または6に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 前記熱可塑性樹脂がポリエステル重合体を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 前記ポリエステル重合体が結晶性ポリエステルである、請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 前記エポキシ樹脂が液状エポキシ樹脂およびガラス転移温度が70℃以上の固形エポキシ樹脂を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  11. 前記エポキシ樹脂組成物が硬化剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物と強化繊維とを含む、プリプレグ。
  13. 前記強化繊維が炭素繊維である、請求項12に記載の繊維強化プラスチック。
  14. 炭素繊維束とマトリックス樹脂とからなるプリプレグの製造方法であって、エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂とを含み、下記式(1)で表される粘度倍率が48倍以下であるエポキシ樹脂組成物を用いる、プリプレグの製造方法。
    式(1)
    粘度倍率=40℃におけるエポキシ樹脂組成物粘度/90℃におけるエポキシ
  15. 前記エポキシ樹脂組成物を炭素繊維束に含浸させる、請求項14に記載のプリプレグの製造方法。
  16. 前記エポキシ樹脂組成物が硬化剤を含む、請求項14または15に記載のプリプレグの製造方法。
  17. エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物及び強化繊維からなるプリプレグであって、前記熱可塑性樹脂は下記条件1で測定された粘度倍率が35倍以下となるものである、プリプレグ。
    <条件1>
    前記熱可塑性樹脂を液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂と5:95の割合で混合して混合物を得る。得られた混合物を180℃になるまで加熱する。前記熱可塑性樹脂を溶解させた後、混合物を金属メッシュ(#100)に通し、通過した混合物を室温で放冷する。室温まで冷却した混合物をレオメーターを用いて昇温粘度測定を行い、40℃における混合物の粘度を90℃における混合物の粘度で除した値を粘度倍率とする。
  18. 前記熱可塑性樹脂が結晶性ポリエステルである、請求項17に記載のプリプレグ。
  19. 前記熱可塑性樹脂の結晶融点が100℃〜150℃である、請求項17または18に記載のプリプレグ。
  20. 前記強化繊維が炭素繊維である、請求項17〜19のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  21. エポキシ樹脂および硬化剤を含むマトリックス樹脂と強化繊維とからなるプリプレグであって、前記マトリックス樹脂が結晶性ポリエステルを含む、プリプレグ。
  22. 前記結晶性ポリエステルが下記条件2にて得られる2回目のDSC曲線の結晶融解熱が15J/g以上である、請求項21に記載のプリプレグ。
    <条件2>
    JIS K7122(1987)の熱流束示差走査熱量測定法に基づいて、熱流束示差走査熱量測定法に基づき前記結晶性ポリエステルを試験片とし、加熱速度10℃/分にて融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に測定されるDSC曲線を1回目のDSC曲線とし、次いで1回目のDSC曲線の融解ピーク終了時よりも30℃高い温度にて10分間保った後、冷却速度10℃/分にて30℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分にて融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させて測定されるDSC曲線を2回目のDSC曲線とする。
JP2020216031A 2019-12-27 2020-12-25 エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、及び繊維強化プラスチック Pending JP2021107544A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019237642 2019-12-27
JP2019237642 2019-12-27

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021107544A true JP2021107544A (ja) 2021-07-29

Family

ID=76967763

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020216031A Pending JP2021107544A (ja) 2019-12-27 2020-12-25 エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、及び繊維強化プラスチック

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021107544A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114230974A (zh) * 2021-12-14 2022-03-25 江苏兆鋆新材料股份有限公司 一种碳纤维环氧预浸料用增韧环氧树脂及其制备方法
CN115536983A (zh) * 2022-10-28 2022-12-30 泰州高意诚复合材料有限公司 低玻纤含量高刚度smc材料

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114230974A (zh) * 2021-12-14 2022-03-25 江苏兆鋆新材料股份有限公司 一种碳纤维环氧预浸料用增韧环氧树脂及其制备方法
CN114230974B (zh) * 2021-12-14 2024-04-02 江苏兆鋆新材料股份有限公司 一种碳纤维环氧预浸料用增韧环氧树脂及其制备方法
CN115536983A (zh) * 2022-10-28 2022-12-30 泰州高意诚复合材料有限公司 低玻纤含量高刚度smc材料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6903897B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、並びにこれを用いた成形品、プリプレグ及び繊維強化プラスチック
US11161975B2 (en) Curable resin composition, and film, molded article, prepreg, and fiber-reinforced plastic using said curable resin composition
JP6187699B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、成形品、プリプレグ、繊維強化複合材料および構造体
JP5768893B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及びこれを用いたフィルム、プリプレグ、繊維強化プラスチック
JP5761366B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いたフィルム、プリプレグ、繊維強化プラスチック
JP6950174B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、並びにこれを用いた成形品、プリプレグ及び繊維強化プラスチック
US20220153923A1 (en) Thermosetting resin composition, prepreg, fiber-reinforced plastic molded body and method for producing same
US12091479B2 (en) Epoxy resin composition for fiber-reinforced composite material, fiber-reinforced composite material, and production method thereof
JP5468853B2 (ja) 複合材料
CN111278886A (zh) 热固性树脂组合物、预浸料、纤维增强复合材料及其制造方法
JP2021107544A (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、及び繊維強化プラスチック
WO2016104314A1 (ja) エポキシ樹脂組成物、並びにこれを用いたフィルム、プリプレグ及び繊維強化プラスチック
WO2020100785A1 (ja) 熱硬化性成形材料、繊維強化複合材料、繊維強化プラスチック用熱硬化性エポキシ樹脂組成物、熱硬化性成形材料の製造方法、繊維強化プラスチック
JP2017122205A (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、及び、繊維強化複合材料の製造方法
JP2006291093A (ja) 繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物
JP2016084372A (ja) プリプレグ及び繊維強化プラスチック
JP7172725B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたフィルム、成形品、プリプレグ及び繊維強化プラスチック
JP2019157057A (ja) 硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ、フィルム及び繊維強化プラスチック
JP2021001245A (ja) 繊維強化エポキシ樹脂複合材及び繊維強化プラスチック
JP2022147485A (ja) エポキシ樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ及び繊維強化プラスチック
JP5078208B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び該エポキシ樹脂組成物を使用したプリプレグ
JP5468819B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及びそれをマトリックス樹脂とするプリプレグ
EP4196462A1 (en) Urea derivatives and their use as curatives and curative accelerators for resin systems
JP2021147496A (ja) エポキシ樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ及び繊維強化プラスチック
JP7456126B2 (ja) プリプレグ及び繊維強化プラスチック

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231025

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20240528

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240711

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240716

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20240903