JP6903897B2 - エポキシ樹脂組成物、並びにこれを用いた成形品、プリプレグ及び繊維強化プラスチック - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、並びにこれを用いた成形品、プリプレグ及び繊維強化プラスチック Download PDF

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Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物、並びにこれを用いた成形品、プリプレグ及び繊維強化プラスチックに関するものであり、スポーツ・レジャー用途、一般産業用途、航空機用材料用途等に好適に使用されるものである。
繊維強化複合材料の1つである繊維強化プラスチックは、軽量で、高強度、高剛性であることから、スポーツ・レジャー用途から、自動車や航空機等の産業用途まで、幅広く用いられている。
繊維強化プラスチックの製造方法としては、強化繊維等の長繊維(連続繊維)からなる補強材にマトリックス樹脂を含浸させた中間材料、すなわちプリプレグを使用する方法がある。この方法によれば、繊維強化プラスチックの強化繊維の含有量を管理しやすいとともに、その含有量を高めに設計することが可能であるという利点がある。
軽量化のニーズから、強化繊維としては比強度、比弾性率に優れた炭素繊維が、マトリックス樹脂としては炭素繊維との接着性に優れたエポキシ樹脂が多く用いられている。
しかしながら、エポキシ樹脂は、一般にその硬化物が脆く、靱性が低い傾向にあるため、繊維強化プラスチックの破壊靱性や剛性の改善が技術的な課題であった。そこで、近年、ナノフィラーをマトリックス中に分散させることで、その改善を図る検討がなされている。
このナノフィラーとしては、特に、自然界由来のセルロースナノファイバーが注目されており、これを利用することで疲労破壊や衝撃特性が改善された、スポーツ用品に適した繊維強化複合材料が知られている(特許文献1,2参照)。また、セルロースナノファイバーの改良も検討されており、例えば、各種化学処理を施したセルロースナノファイバー、あるいは表面処理せずに解繊樹脂中で微細化したセルロースナノファイバー等を用いた複合材料も知られている(特許文献3,4参照)。
特開2011−148214号公報 特開2010−24413号公報 特開2015−48375号公報 特許第5477516号公報
しかしながら、特許文献1〜4のいずれにおいても、繊維強化プラスチックとしての性能発現に不可欠なマトリックス樹脂の検討は充分になされていない。
特許文献1においては、マトリックス樹脂として用いられているエポキシ樹脂組成物の詳細が明らかにされていない。特許文献2〜4には、各種エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として使用した例が記載されているが、これらを用いた繊維強化プラスチックは、特に曲げ強度が充分ではなかった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、セルロースナノファイバーが配合された特定のエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いることによって、優れた機械物性をもった繊維強化プラスチックが得られることを見出したものである。本発明は、特に管状の複合材料に適用した際に、優れた破壊強度を得ることができるエポキシ樹脂組成物と、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、さらにはこのプリプレグを用いて形成された繊維強化プラスチックを提供するものである。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、特定の構造を有するエポキシ樹脂を用いることにより、前記課題を解決し、所望の性能を有する繊維強化プラスチックを提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1] 下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含むエポキシ樹脂組成物。
成分(A):オキサゾリドン骨格含有エポキシ樹脂
成分(B):成分(A)以外のエポキシ樹脂
成分(C):硬化剤
成分(D):セルロースナノファイバー
[2] 前記成分(B)が、エポキシ当量が350以上のエポキシ樹脂及び/又はエポキシ当量が350未満のエポキシ樹脂である、[1]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[3] 硬化剤(C)がジシアンジアミド、ウレア類、イミダゾール類、芳香族アミン類の中から選ばれる少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] 前記成分(A)を全エポキシ樹脂100質量部中5質量部以上80質量部以下含む、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
[5] 前記成分(B)を全エポキシ樹脂100質量部中20質量部以上95質量部以下含む、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
[6] 前記成分(D)を本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対し、0.1〜15質量部含む、[1]〜[5]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
[7] 硬化物の曲げ強度が135MPa以上、弾性率が3.3GPa以上、破断伸度が8.5%以上である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
[8] さらに、成分(E)として熱可塑性樹脂を含む、[1]〜[7]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
[9] 前記成分(E)を全エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下含む、[8]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物からなる成形品。
[11] [1]〜[9]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物が強化繊維に含浸されたプリプレグ。
[12] [1]〜[9]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維とからなる繊維強化プラスチック。
[13] 層間せん断強度が90MPa以上である、[12]に記載の繊維強化プラスチック。
[14] 管状である[12]又は[13]に記載の繊維強化プラスチック。
本発明のエポキシ樹脂組成物を繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂として用いることによって、優れた機械物性をもった繊維強化プラスチックが得られる。とりわけ、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いることにより、管状体の繊維強化プラスチックにおいて優れた破壊強度を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、「エポキシ樹脂」とは、1分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を意味する。
また、「エポキシ樹脂組成物」という用語は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、硬化促進剤と、場合により熱可塑性樹脂やその他の添加剤とを含む組成物を意味する。すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を含み、さらに前記成分(E)やその他添加剤を含んでも良い。
また、本発明において、エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を「樹脂硬化物」と称し、その中でも特に板状の硬化物を「樹脂板」と称することがある。
<成分(A)>
成分(A)は、オキサゾリドン骨格含有エポキシ樹脂である。
オキサゾリドン骨格含有エポキシ樹脂は、これを含むエポキシ樹脂組成物を含むプリプレグの常温での作業性を良好にし、また前記エポキシ樹脂組成物の硬化物の弾性率、耐熱性および強化繊維や成分(D)との接着性を高める。
オキサゾリドン環構造はイソシアネート基とエポキシ基の付加反応により生成する。本発明におけるオキサゾリドン骨格含有エポキシ樹脂の製造方法としては、特に限定されず、例えば、イソシアネート化合物とビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂とを、オキサゾリドン環形成触媒の存在下で反応させることにより、ほぼ理論量で得ることができる。イソシアネート化合物とエポキシ樹脂は、当量比1:2〜1:10の範囲で反応させることが好ましく、両者の比が上記範囲である場合、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性及び耐水性がより良好となる傾向にある。本発明においては、各種のイソシアネート化合物を原料とすることができるが、オキサゾリドン環構造をエポキシ樹脂の骨格に組み込むためには、複数のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物であることが好ましい。また、前記成分(A)を含むエポキシ樹脂組成物の硬化物が高い耐熱性を有するためには、剛直な構造を持つジイソシアネートが好ましい。
原料として用いるイソシアネート化合物の具体例としては、例えば、メタンジイソシアネート、ブタン−1,1−ジイソシアネート、エタン−1,2−ジイソシアネート、ブタン−1,2−ジイソシアネート、トランスビニレンジイソシアネート、プロパン−1,3−ジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、2−ブテン−1,4−ジイソシアネート、2−メチルブテン−1,4−ジイソシアネート、2−メチルブタン−1,4−ジイソシアネート、ペンタン−1,5−ジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、ヘプタン−1,7−ジイソシアネート、オクタン−1,8−ジイソシアネート、ノナン−1,9−ジイソシアネート、デカン−1,10−ジイソシアネート、ジメチルシランジイソシアネート、ジフェニルシランジイソシアネート、ω,ω’−1,3−ジメチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω’−1,4−ジメチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω’−1,3−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω’−1,4−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω’−1,4−ジメチルナフタレンジイソシアネート、ω,ω’−1,5−ジメチルナフタレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,6−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−3,5−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−2,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,3’−ジメトキシビスフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジフェニルサルフアイト−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルフォン−4,4’−ジイソシアネート等の2官能イソシアネート化合物;ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアネートチオフォスフェート)−3,3’、4,4’−ジフェニルメタンテトライソシアネート等の多官能イソシアネート化合物;前記イソシアネート化合物の2量体や3量体等の多量体、アルコールやフェノールによりマスクされたブロックイソシアネート及びビスウレタン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらイソシアネート化合物は2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記イソシアネート化合物の中でも、耐熱性が向上する傾向にあるため、好ましくは2又は3官能イソシアネート化合物であり、より好ましくは2官能イソシアネート化合物、さらに好ましくはイソホロン、ベンゼン、トルエン、ジフェニルメタン、ナフタレン、ノルボルネン、ポリメチレンポリフェニレンポリフェニル、ヘキサメチレンから選ばれる骨格を有する2官能イソシアネート化合物である。イソシアネート化合物の官能基数が多すぎると、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性が低下する傾向にあり、少なすぎるとエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。
また、成分(A)の原料となるエポキシ樹脂としては、各種のエポキシ樹脂を用いることができるが、オキサゾリドン環構造を効率的にエポキシ樹脂の骨格に組み込むためには、分子の両末端にエポキシ基を持つエポキシ樹脂が好ましい。成分(A)の原料となるエポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等の2価フェノール類由来のエポキシ樹脂;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4−〔1−〔4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール等のトリス(グリシジルオキシフェニル)アルカン類等に由来するエポキシ樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック等のノボラック由来のエポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等は成分(A)の粘度を高くしすぎないため、特に好ましい。
イソシアネート化合物として、トリレンジイソシアネートのようなトルエン骨格を有する2官能イソシアネート(例えば、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,6−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−3,5−ジイソシアネート)1分子と、エポキシ樹脂としてビスフェノールAジグリシジルエーテル2分子とを、混合反応させて得られる付加反応物は、プリプレグの常温での作業性とエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性を良好なものとするために特に好ましい。
市販品として入手可能なオキサゾリドン環構造を有するエポキシ樹脂(成分(A))としては、AER4152、AER4151、LSA3301、LSA2102(いずれも商品名、旭化成イーマテリアルズ株式会社製)やACR1348(商品名、株式会社ADEKA社製)、DER852、DER858(商品名、DOW社製)、TSR−400(商品名、DIC社製)等が挙げられ、いずれも本発明に好ましく用いられるが、AER4152やTSR−400が特に好ましい。
前記成分(A)としては、上述のようなエポキシ樹脂を2種以上併用しても構わない。
成分(A)の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部中5質量部以上80質量部以下であることが好ましい。成分(A)の含有量が5質量部以上であれば、耐熱性や機械物性に優れた樹脂硬化物を得ることができる傾向にある。より好ましくは7質量部以上であり、さらに好ましくは10質量部以上である。一方、成分(A)の含有量が80質量部以下であれば、タックやドレープ性に優れたプリプレグを得ることができるとともに、破壊靱性が高くボイドの無い樹脂硬化物を得ることができる傾向にある。より好ましくは75質量部以下であり、さらに好ましくは70質量部以下である。成分(A)の含有量は、7〜75質量部の範囲であることがより好ましく、10〜70質量部の範囲であることが特に好ましい。
<成分(B)>
成分(B)は、成分(A)以外のエポキシ当量が350以上のエポキシ樹脂及び/又はエポキシ当量が350未満のエポキシ樹脂である。
エポキシ当量が350以上のエポキシ樹脂及び/又はエポキシ当量が350未満のエポキシ樹脂としては特に制限されないが、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく用いられる。例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、あるいはこれらを変性したエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノールのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシ)メタンのような上記以外のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、およびこれらを変性したエポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、2官能エポキシ樹脂としてはエポキシ樹脂組成物の粘度および機械物性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂が特に好ましく用いられる。また、3官能以上のエポキシ樹脂は、より優れた強度や弾性率、耐熱性が得られることから、パラ型やメタ型のトリグリシジルアミノフェノール型エポキシ樹脂やテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましく用いられる。大別すると、エポキシ当量が350以上、より好ましくは450以上のエポキシ樹脂は主に靱性を向上させることができ、エポキシ当量が350未満のエポキシ樹脂は主に強度や弾性率、耐熱性を向上させることができる。
前記エポキシ樹脂は、本発明のエポキシ樹脂組成物の未硬化時の粘弾性を調整して作業性を向上させたり、樹脂硬化物の強度や弾性率、靱性、耐熱性を向上させたりするために、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(B)の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部中20質量部以上95質量部以下とするのが好ましい。成分(B)の含有量が20質量部以上であれば、強度、弾性率や破壊靱性等が両立された樹脂硬化物を得ることができる傾向にある。より好ましくは25質量部以上である。一方、成分(B)の含有量が95質量部以下であれば、耐熱性や機械物性に優れた樹脂硬化物を得ることができる傾向にある。より好ましくは90質量部以下であり、さらに好ましくは85質量部以下である。
また、エポキシ当量が350以上のエポキシ樹脂は成分(B)中、5質量部以上60質量部以下とするのが好ましい。エポキシ当量が350以上のエポキシ樹脂が5質量部以上であれば樹脂硬化物に適当な靱性と耐衝撃性を付与することができる傾向にある。60質量部以下であれば、樹脂硬化物に適当な弾性率と耐熱性を付与することができる傾向にある。より好ましくは10質量部以上55質量部以下である。
さらに、エポキシ当量が350未満のエポキシ樹脂は成分(B)中、15質量部以上90質量部以下とするのが好ましい。エポキシ当量が350未満のエポキシ樹脂が15質量部以上であれば、エポキシ樹脂組成物には適当な粘度を付与することができるとともに、樹脂硬化物には適当な弾性率と耐熱性を付与することができる傾向にある。90質量部以下であれば、樹脂硬化物に適当な靱性と耐衝撃性を付与することができる傾向にある。より好ましくは20質量部以上85質量部以下である。
また、成分(B)としては市販品を用いてもよい。
エポキシ樹脂の市販品としては、例えばjER807(エポキシ当量170g/eq)、jER4004P(エポキシ当量908g/eq)、jER4005P(エポキシ当量1070g/eq)、jER4007P(エポキシ当量2270g/eq)、jER4010P(エポキシ当量4400g/eq)、jER828(エポキシ当量189g/eq)、jER1001(エポキシ当量475g/eq)、jER1002(エポキシ当量650g/eq)、jER1004(エポキシ当量925g/eq)、jER1007(エポキシ当量1975g/eq)、jER1009(エポキシ当量2850g/eq)、jER604(エポキシ当量120g/eq)、jER630(エポキシ当量98g/eq)、jER1032H60(エポキシ当量169g/eq)、jER152(エポキシ当量175g/eq)、jER154(エポキシ当量178g/eq)、YX−7700(エポキシ当量273g/eq)、YX−4000(エポキシ当量186g/eq)(以上、三菱化学株式会社製);YDF−2001(エポキシ当量475g/eq)、YDF−2004(エポキシ当量950g/eq)(以上、KUKDO CHEMICAL社製);GAN(エポキシ当量125g/eq)、GOT(エポキシ当量135g/eq)、NC−2000(エポキシ当量241g/eq)、NC−3000(エポキシ当量275g/eq)(以上、日本化薬株式会社製);YDPN−638(エポキシ当量180g/eq)、TX−0911(エポキシ当量172g/eq)(以上、新日鉄住金化学株式会社製)、Epon165(エポキシ当量230g/eq)(以上、モメンティブスペシャリティケミカルズ社製);MY−0500(エポキシ当量110g/eq)、MY−0600(エポキシ当量106g/eq)、ECN−1299(エポキシ当量230g/eq)(以上、ハンツマンジャパン株式会社製);HP−4032(エポキシ当量150g/eq)、HP−4700(エポキシ当量162g/eq)、HP−7200(エポキシ当量265g/eq)(以上、DIC株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<成分(C)>
成分(C)は、硬化剤である。成分(C)として用いられる硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、ウレア類、イミダゾール類、芳香族アミン類、その他アミン系硬化剤、酸無水物、塩化ホウ素アミン錯体等を用いることができるが、特にジシアンジミド、ウレア類、イミダゾール類、芳香族アミン類の中から選ばれる少なくとも1種の硬化剤を用いるのが好ましい。また、成分(C)としては、平均粒子径の小さい硬化剤を用いるのが好ましい。これは、平均粒子径が小さいものほど、硬化時における硬化剤のエポキシ樹脂への溶解性が良好となるため、得られる樹脂硬化物や繊維強化プラスチックの機械物性が向上する傾向にあるためである。また、硬化剤が未溶解のまま樹脂硬化物や繊維強化プラスチック中に残存する場合でも、これが樹脂硬化物や繊維強化プラスチックの破壊の起点となりにくくなる傾向にあるためである。
ジシアンジアミドは融点が高く、低温領域でエポキシ樹脂との相溶性が抑えられるので、硬化剤(C)として用いると、ポットライフが優れるエポキシ樹脂組成物が得られる傾向にあるので好ましい。また、エポキシ樹脂組成物が硬化剤(C)としてジシアンジアミドを含むことで、樹脂硬化物の機械物性が向上する傾向にあり好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物中のジシアンジアミドの含有量は、このエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂が有するエポキシ基の全モル数に対し、ジシアンジアミドの活性水素のモル数が0.4〜1倍となる量とするのが好ましい。0.4倍以上とすることにより、耐熱性が良好で、機械物性が良好な(すなわち強度や弾性率が高い)硬化物が得られる傾向にある。また、1倍以下とすることにより、機械物性(すなわち塑性変形能力や耐衝撃性に優れた)が良好な硬化物が得られる傾向にあるという利点を有する。さらに、このジシアンジアミドの活性水素のモル数を0.5〜0.8倍とすることによって、樹脂硬化物の耐熱性がより優れる傾向にあるため、より好ましい。
ジシアンジアミドの市販品としては、例えばDICY7、DICY15(以上、三菱化学社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
成分(C)として用いられるウレア類は、分子内にジメチルウレイド基を有し、高温で加熱することによりイソシアネート基とジメチルアミンを生成し、これらが成分(A)や成分(B)のエポキシ基や、その他併用する成分(C)を活性化するものであれば、特に制限されないが、例えばジメチルウレイド基が芳香環に結合した芳香族ジメチルウレア、ジメチルウレイド基が脂肪族化合物に結合した脂肪族ジメチルウレア等を挙げることができる。これらの中でも、硬化速度が速くなり、硬化物の耐熱性および曲げ強度が高くなる傾向にある点で、芳香族ジメチルウレアが好ましい。
芳香族ジメチルウレアとしては、例えばフェニルジメチルウレア、メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、およびトリレンビス(ジメチルウレア)等が好適に用いられる。具体例としては、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)(MBPDMU)、3−フェニル−1,1−ジメチルウレア(PDMU)、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチルウレア、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエン(TBDMU)、m−キシリレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア等が挙げられる。これらの中でも、硬化促進能力付与や樹脂硬化物の機械特性向上の点から、DCMU、MBPDMU、TBDMU、PDMUがより好適に用いられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪族ジメチルウレアとしては、例えばイソホロンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア、ヘキサメチレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア等が挙げられる。
また、ウレア類は市販品を用いてもよい。
DCMUの市販品としては、例えばDCMU−99(以上、保土谷化学工業社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
MBPDMUの市販品としては、例えばTechnicure MDU−11(以上、A&C Catalysts社製);Omicure(オミキュア)52(以上、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
PDMUの市販品としては、例えばOmicure(オミキュア)94(以上、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
TBDMUの市販品としては、例えばOmicure(オミキュア)24(以上、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製)、U−CAT 3512T(サンアプロ株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
脂肪族ジメチルウレアの市販品としては、例えばU−CAT 3513N(サンアプロ株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ウレア類の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対し、1〜15質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。ウレア類の含有量が1質量部以上であれば、エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂を十分に硬化、硬化促進し、機械物性や耐熱性を高くすることができる傾向にある。一方、ウレア類の含有量が15質量部以下であれば、樹脂硬化物の靱性を高く保持できる傾向にある。
成分(C)として用いられるイミダゾール類はイミダゾールであっても良く、イミダゾールアダクト、包接イミダゾール、マイクロカプセル型イミダゾール、安定化剤を配位させたイミダゾール化合物等を用いることもできる。
これらは、その構造の中に非共有電子対を有する窒素原子を有し、これが成分(A)や成分(B)のエポキシ基を活性化させたり、さらにその他併用する成分(C)をも活性化させたりすることができ、硬化や硬化を促進することができる。
イミダゾールの具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(2−シアノエトキシ)メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アダクト処理、異分子による包接処理、マイクロカプセル処理、あるいは安定化剤を配位させたイミダゾールは、前記のイミダゾールを修飾したものである。これらはイミダゾールにアダクト処理、異分子による包接処理、マイクロカプセル処理により、あるいは安定化剤を配位させることで活性を落とすことにより、低温領域で優れたポットライフを発現しつつも硬化や硬化促進能力が高い。
また、イミダゾール類としては市販品を用いてもよい。
イミダゾールの市販品としては2E4MZ、2P4MZ、2PZ−CN、C11Z−CNS、C11Z−A、2MZA−PW、2MA−OK、2P4MHZ−PW、2PHZ−PW(以上、四国化成工業社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イミダゾールアダクトの市販品としては、例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基へイミダゾール化合物が開環付加した構造を有する、PN−50、PN−50J、PN−40、PN−40J、PN−31、PN−23、PN−H(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
包接イミダゾールの市販品としては、例えばTIC−188、KM−188、HIPA−2P4MHZ、NIPA−2P4MHZ、TEP−2E4MZ、HIPA−2E4MZ、NIPA−2E4MZ(以上、日本曹達株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マイクロカプセル型イミダゾールの市販品としては、例えばノバキュアHX3721、HX3722、HX3742、HX3748(以上、旭化成イーマテリアルズ株式会社製);LC−80(以上、A&C Catalysts社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、安定化剤を配位させたイミダゾール化合物は、例えば四国化成工業株式会社製のイミダゾールアダクトであるキュアダクトP−0505(ビスフェノールAジグリシジルエーテル/2−エチル−4−メチルイミダゾールアダクト)に、四国化成工業株式会社製の安定化剤であるL−07N(エポキシ−フェノール−ホウ酸エステル配合物)を組み合わせることにより用意できる。前記キュアダクトP−0505の替わりに、先に挙げた各種イミダゾールやイミダゾールアダクト等のイミダゾール化合物を用いても同様の効果が得られる。安定化剤を配位させる前のイミダゾール化合物としてはエポキシ樹脂に対する溶解性が低いものが好適に用いられ、この点からキュアダクトP−0505が好ましい。
イミダゾール類の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対し、1〜15質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。イミダゾール類の含有量が1質量部以上であれば、エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂の硬化や硬化促進作用、耐熱性が充分に得られる傾向にある。一方、イミダゾール類の含有量が15質量部以下であれば、機械的特性により優れた樹脂硬化物が得られる傾向にある。
成分(C)として用いられる芳香族アミン類としては、例えば、3,3’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、耐熱性、弾性率に優れ、さらに線膨張係数および吸湿による耐熱性の低下が小さい硬化物が得られる4,4’−ジアミノジフェニルスルホンおよび3,3’−ジアミノジフェニルスルホンを用いることが好ましい。4,4’−ジアミノジフェニルスルホンはプリプレグのタックライフを長い期間保持することができる点でも好ましい。3,3’−ジアミノジフェニルスルホンはプリプレグのタックライフや硬化物の耐熱性では4,4’−ジアミノジフェニルスルホンに劣ることがあるものの、硬化物の弾性率や靱性を高くすることができるため好ましい。また、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンを同時に配合すれば、硬化物の耐熱性、弾性率を調整しやすいため好ましい。これら芳香族アミン類は単独で用いてもよいし、適宜配合して用いてもよい。
芳香族アミン類の配合量は、特にジアミノジフェニルスルホンにおいては、アミノ基の活性水素当量数は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂のエポキシ当量数の0.5〜1.5倍であることが好ましく、0.6〜1.4倍であることがより好ましい。これらのエポキシ樹脂硬化剤の配合量を0.5〜1.5倍とすることで、エポキシ樹脂硬化物の弾性率、靭性および耐熱性を良好な範囲にすることができる傾向にある。
また、芳香族アミン類は市販品を用いてもよい。
4,4’−ジアミノジフェニルスルホンの市販品としてはセイカキュアS(和歌山精化工業(株)製)、スミキュアS(住友化学(株)製)等が、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンの市販品としては3,3’−DAS(三井化学ファイン(株)製)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。その他芳香族アミン類の市販品としては、MDA−220(三井化学(株)製)、“jERキュア(登録商標)”W(ジャパンエポキシレジン(株)製)、Lonzacure(登録商標)M−DEA(Lonza(株)製)、“Lonzacure(登録商標)”M−DIPA(Lonza(株)製)、“Lonzacure(登録商標)”M−MIPA(Lonza(株)製)および“Lonzacure(登録商標)”DETDA 80(Lonza(株)製)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
成分(C)として用いることのできるその他アミン系硬化剤としては、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、メタキシレンジアミン、イソフォロンジアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。
また、成分(C)として用いることのできる酸無水物としては、水素化メチルナジック酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。
<成分(D)>
成分(D)として本発明に使用し得るセルロースナノファイバーは、各種セルロースを解繊及び/又は微細化することで得られ、本発明のエポキシ樹脂組成物に配合することで、樹脂硬化物の破壊強度を向上することができる。
本発明におけるセルロースは、解繊材料及び/又は微細化材料として利用可能なものであればよく、パルプ、綿、紙、レーヨン・キュプラ・ポリノジック・アセテート等の再生セルロース繊維、バクテリア産生セルロース、ホヤ等の動物由来セルロース等が利用可能である。また、これらのセルロースは必要に応じて表面を化学修飾処理したものであってもよい。
パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ双方を好適に使用できる。木材パルプとしては、機械パルプと化学パルプとあり、リグニン含有量の少ない化学パルプのほうが好ましい。化学パルプにはサルファイドパルプ、クラフトパルプ、アルカリパルプ等があるが、いずれも好適に使用できる。非木材パルプとしては、藁、バガス、ケナフ、竹、葦、楮、亜麻等いずれも利用可能である。
綿は主に衣料用繊維に用いられる植物であり、綿花、綿繊維、綿布のいずれも利用可能である。
紙はパルプから繊維を取り出し漉いたもので、新聞紙や廃牛乳パック、コピー済み用紙等の古紙も好適に利用できる。
また、微細化材料としてのセルロースとして、セルロースを破砕し一定の粒径分布を有したセルロース粉末を用いても良く、日本製紙ケミカル社製のKCフロック(登録商標)、旭化成ケミカルズ社製のセオラス(登録商標)、FMC社製のアビセル(登録商標)等が挙げられる。
本発明に使用し得るセルロースナノファイバーは機能性を高めるために修飾処理されていてもよい。本発明において、セルロースナノファイバーは、セルロースを解繊及び/又は微細化してセルロースナノファイバーを製造したのち、修飾する化合物をさらに添加して、セルロースナノファイバーと反応させる(すなわち前記セルロースナノファイバー表面の水酸基を修飾基により化学修飾し、前記水酸基を減じる)ことで得られる変性セルロースナノファイバーであってもよい。
修飾する化合物としては、アルキル基、アシル基、アシルアミノ基、シアノ基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、アリールオキシ基、シリル基、カルボキシル基等の官能基をセルロースナノファイバーに化学的に結合させて修飾する化合物等が挙げられる。化学的な修飾により、セルロースナノファイバー間の水素結合による強い密着を防ぐことで高分子材料に容易に分散し、良好な界面結合を形成させることができる。また、化学修飾されることにより耐熱性を有するため、他の材料に混入させることで、他の材料に耐熱性を付与することができる。前記セルロースナノファイバー中の全体の水酸基のうち、修飾基により化学修飾される割合は、0.01%〜50%であることが好ましく、0.1%〜45%であることがより好ましい。
また、化学的に結合させなくても、修飾する化合物がセルロースナノファイバーに物理的に吸着する形でセルロースナノファイバーを修飾していてもよい。物理的に吸着する化合物としては界面活性剤等が挙げられ、アニオン性、カチオン性、ノニオン性いずれを用いてもよいが、カチオン性の界面活性剤を用いることが好ましい。
セルロースナノファイバーは、電子顕微鏡で観察して求めた平均繊維幅が2〜1000nmであることが好ましい。セルロースナノファイバーの平均繊維幅は2〜700nmがより好ましく、2〜500nmがさらに好ましい。セルロースナノファイバーの平均繊維幅が前記上限値を超えると、セルロースナノファイバーとしての特性(高強度や高剛性、高寸法安定性、樹脂と複合化した際の高分散性)を得ることが困難になる。セルロースナノファイバーの平均繊維幅が前記下限値未満であると、セルロース分子として分散媒に溶解してしまうため、セルロースナノファイバーとしての特性(高強度や高剛性、高寸法安定性)を得ることが困難になる。
微細セルロース繊維の数平均繊維径は、走査型電子顕微鏡SEM、透過型電子顕微鏡TEM等で観察することにより計測して求めることができる。例えば、微細セルロース繊維分散液から水、有機溶媒等を乾燥除去した後、30,000倍に拡大したSEM写真の対角線に線を引き、その近傍にある繊維をランダムに12点抽出し、最も太い繊維と最も細い繊維を除去した10点の測定値の平均を数平均繊維径とすることができる。
セルロースナノファイバーの平均繊維長は、0.05〜10μmが好ましく、0.05〜8μmがより好ましい。平均繊維長が前記下限値以上であれば、セルロースナノファイバーを樹脂に配合した際の強度向上効果が充分に得られる傾向にある。平均繊維長が前記上限値以下であれば、セルロースナノファイバーを樹脂に配合した際の混合性がより良好となる傾向にある。平均繊維長は例えば、前記平均繊維幅を測定する際に使用した電子顕微鏡観察画像を解析することにより求めることができる。
前記セルロースナノファイバーはエポキシ樹脂等のマトリックス樹脂に分散されたマスターバッチとして使用できることが好ましい。
セルロースナノファイバーのエポキシ樹脂マスターバッチとしてはYL7883−3、YL7883−5、YL7883−10、YL7883−15、YL7923−3、YL7923−5、YL7923−10、YL7923−15、YL7951−10(以上、三菱化学株式会社製)等が入手できるが、これらに限定されるものではない。なお、本願においてはセルロースナノファイバー含有エポキシ樹脂マスターバッチを用いたが、成分(D)はセルロースナノファイバー自体であり、エポキシ樹脂は成分(B)に含めた。
成分(D)であるセルロースナノファイバーの含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対し、0.1〜15質量部が好ましい。成分(D)の含有量が0.1質量部以上であれば、樹脂硬化物の破壊強度を向上させることができる傾向にある。より好ましくは0.3質量部以上であり、さらに好ましくは0.5質量部以上である。また、成分(D)の含有量が15質量部以下であれば、エポキシ樹脂組成物の未硬化時の粘弾性が適正な範囲となる傾向にあるので好ましい。より好ましくは、13質量部以下であり、さらにより好ましくは、10質量部以下である。
<成分(E)> 熱可塑性樹脂は、本発明のエポキシ樹脂組成物の成形時の樹脂フロー制御や樹脂硬化物への靱性付与を目的として、必要に応じて本発明のエポキシ樹脂組成物に成分(E)として配合することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテル、ポリオレフィン、液晶ポリマー、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリルスチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ABS、AES、ASA、ポリ塩化ビニル、ポリビニルホルマール樹脂、フェノキシ樹脂、ブロックポリマー等が挙げられる。これらの中でも、樹脂フロー制御性等に優れることから、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂が好ましい。また、フェノキシ樹脂は樹脂硬化物の難燃性をより高める点でも好ましく、ポリビニルホルマール樹脂は硬化物の耐熱性を損なうことなく、得られるプリプレグのタックを適切な範囲に容易に制御でき、また強化繊維とエポキシ樹脂組成物の接着性を改善する点からも好ましい。また、ブロックポリマーは樹脂硬化物の靱性や耐衝撃性がより向上する点で好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノキシ樹脂としては、YP−50、YP−50S、YP70、ZX−1356−2、FX−316(以上新日鉄住金化学株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ポリビニルホルマール樹脂としては、ビニレック(登録商標)K(平均分子量:59000)、ビニレックL(平均分子量:66000)、ビニレックH(平均分子量:73000)、ビニレックE(平均分子量:126000)(以上JNC株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、樹脂硬化物に180℃を超える耐熱性が必要とされる場合、ポリエーテルスルホンやポリエーテルイミドが好ましく用いられる。具体的には、ポリエーテルスルホンとして、スミカエクセル(登録商標)3600P(平均分子量:16400)、スミカエクセル5003P(平均分子量:30000)、スミカエクセル5200P(平均分子量:35000)、スミカエクセル7600P(平均分子量:45300)(以上、住友化学工業株式会社製)、Ultrason E2020P(平均分子量:48000)(以上、BASF社製)、Virantage VW−10200(平均分子量:46500)、Virantage VW−10700(平均分子量:21000)(以上、Solvay社製)等が挙げられる。ポリエーテルイミドとしては、ULTEM1000(平均分子量:32000)、ULTEM1010(平均分子量:32000)、ULTEM1040(平均分子量:20000)(以上、GEプラスチックス(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ブロックポリマーとしては、Nanostrength M52、Nanostrength M52N、Nanostrength M22、Nanostrength M22N、Nanostrength 123、Nanostrength 250、Nanostrength 012、Nanostrength E20、Nanostrength E40(以上ARKEMA社製)、TPAE−8、TPAE−10、TPAE−12、TPAE−23、TPAE−31、TPAE−38、TPAE−63、TPAE−100、PA−260(以上T&K TOKA社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
成分(E)の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対し、1〜20質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましい。成分(E)の含有量が1質量部以上であれば、樹脂フロー制御や物性改良効果が良好に発揮される傾向にある。一方、成分(E)の含有量が20質量部以下であれば、樹脂硬化物の耐熱性や機械物性、プリプレグのタックやドレープ性が良好に保たれやすくなる傾向にある。
<任意成分>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の様々な添加剤を含有してもよい。
添加剤としては、エラストマー、熱可塑性エラストマー、難燃剤(例えばリン含有エポキシ樹脂や赤燐、ホスファゼン化合物、リン酸塩類、リン酸エステル類等)、シリコーンオイル、湿潤分散剤、消泡剤、脱泡剤、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド、エステル類、パラフィン類等の離型剤、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の粉体や金属酸化物、金属水酸化物、ガラス繊維、炭素繊維等の無機充填剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シランカップリング剤等が挙げられる。さらに必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、カーボンナノチューブ、フラーレン等を配合することもできる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<エポキシ樹脂組成物の製造方法>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば上述した各成分を混合することにより得られる。
各成分の混合方法としては、三本ロールミル、プラネタリミキサー、ニーダー、ホモジナイザー、ホモディスパー等の混合機を用いる方法が挙げられる。
<エポキシ樹脂組成物の粘性>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば後述するように、強化繊維集合体に含浸させてプリプレグの製造に用いることができる。
30℃におけるエポキシ樹脂組成物の粘度は、得られるプリプレグ表面のタックの調整や作業性の観点から、粘度の下限値は100Pa・s以上が好ましく、300Pa・s以上がより好ましく、500Pa・s以上がさらに好ましい。また、粘度の上限値は1000000Pa・s以下が好ましく、900000Pa・s以下がより好ましく、800000Pa・s以下がさらに好ましい。
また、60℃におけるエポキシ樹脂組成物の粘度は、得られるプリプレグの品位の観点から、10Pa・s以上が好ましく、20Pa・s以上がより好ましく、30Pa・s以上がさらに好ましい。また、強化繊維集合体への含浸性や、プリプレグの成形加工性の観点から、1000Pa・s以下が好ましく、900Pa・s以下がより好ましく、800Pa・s以下がさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物の最低粘度は、成形時の樹脂の流動性制御(強化繊維の乱れの抑制)の観点から、最低粘度の下限値は0.05Pa・s以上が好ましく、0.07Pa・s以上がより好ましく、0.1Pa・s以上がさらに好ましい。また、最低粘度の上限値は50Pa・s以下が好ましく、40Pa・s以下がより好ましく、30Pa・s以下がさらに好ましい。
なお、この最低粘度は、昇温モードでエポキシ樹脂組成物の粘度を測定した際に得られる粘度カーブにおいて粘度が一番低くなる点と定義される。
また、エポキシ樹脂組成物の粘度は、例えば回転粘度計で25mmφパラレルプレートを用いて、プレートギャップ500μm、昇温速度2℃/分で昇温、角速度10rad/sec、ストレス300Paで測定することにより求められる。
<エポキシ樹脂組成物のポットライフ>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、ポットライフに優れる。例えば、配合直後のエポキシ樹脂組成物と、温度20℃、湿度50%の環境下で90日保管した時点のエポキシ樹脂組成物のガラス転移点を測定した場合、90日経時後のガラス転移点の上昇を20℃以下とすることができる。ガラス転移点の上昇を20℃以下とすることで、本発明のエポキシ樹脂組成物をプリプレグ化した後にこれを常温下で長期間保管した場合であっても、マトリックス樹脂の反応が抑制され、プリプレグのタックやドレープが適切な範囲に留まり、ハンドリングに適するため好ましい。より好ましくは、上記のガラス転移点の上昇を15℃以下とするのがより好ましい。なお、ガラス転移点は、示差走査熱量分析(DSC)により求めることができる。
<エポキシ樹脂板の物性>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、その樹脂硬化物の曲げ強度は135〜200MPaの範囲内であることが好ましい。より好ましくは、140〜190MPaの範囲内である。この曲げ強度が135MPaに満たない場合は、繊維強化複合材料とした際の静的強度が不充分となる場合がある。また、200MPaを超える場合は、繊維強化複合材料とした際の靱性が不充分となりがちで、繊維強化複合材料の耐衝撃性が不足する場合がある。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、その樹脂硬化物の弾性率が3.3〜5GPaの範囲内、その樹脂硬化物の破断伸度が8.5〜15%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、弾性率が3.5〜5GPa、破断歪が10〜14%である。かかる弾性率が3.3GPaに満たない場合や破断伸度が15%を優に超える場合は繊維強化複合材料とした際の静的強度が不充分となる場合がある。5GPaを超える場合や破断歪が8.5%に満たない場合は、繊維強化複合材料とした際の靱性が不充分となりがちで、繊維強化複合材料の耐衝撃性が不足する場合がある。ここで、弾性率については、本発明の目的を損なうことのない範囲内で、セルロースナノファイバーを含有することにより、向上させることができる。
<作用効果>
以上説明した本発明のエポキシ樹脂組成物は、上述した成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)、必要に応じて成分(E)やその他添加剤を含むため、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いれば、機械物性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。
「成形品」
本発明の成形品は、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物を成形してなるものである。
エポキシ樹脂組成物の成形法としては、例えば射出成形法(フィルムやガラス板等のインサート成形を含む)、射出圧縮成形法、押出法、ブロー成形法、真空成形法、圧空成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法等が挙げられる。これらの中でも、量産性に優れ、高い寸法精度の成形品を得ることができる点から、射出成形法、射出圧縮成形法が好ましい。
本発明の成形品は、本発明のエポキシ樹脂組成物を成形してなるので、機械物性に優れるため、例えば車両用製品、モバイル機器等の筐体、家具用製品、建材用製品等に適用できる。
<エポキシ樹脂組成物からなるフィルム>
本発明のエポキシ樹脂組成物を離型紙等に塗布して硬化することで、前記エポキシ樹脂組成物のフィルムを得ることができる。このフィルムはプリプレグを製造するための中間材料として、また、基材に貼り付け硬化させることで表面保護フィルム、接着フィルムとして有用である。
本発明の成形品の1つの側面は、前述のエポキシ樹脂組成物のフィルムとしての使用である。
また、その使用方法は、本発明のエポキシ樹脂組成物を離型紙等の基材の表面に塗布することが好ましい。得られた塗布層は未硬化のまま別の基材に張り付けて硬化しても良く、前記塗布層自体を硬化させ、フィルムとして使用しても良い。
「プリプレグ」
本発明のプリプレグは、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物を強化繊維集合体に含浸させてなるものである。含浸させる方法としてはエポキシ樹脂組成物をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、含浸させるウェット法と、加熱により低粘度化し、含浸させるホットメルト法(ドライ法)等を挙げることができる。
ウェット法は、強化繊維をエポキシ樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法であり、ホットメルト法は、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、または一旦エポキシ樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで強化繊維の両側または片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより強化繊維に樹脂を含浸させる方法である。ホットメルト法によれば、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上皆無となるため好ましい。
プリプレグ全質量に対するエポキシ樹脂組成物の含有量(以下、「樹脂含有量」という)は、15〜50質量%が好ましく、20〜45質量%がより好ましく、25〜40質量%がさらに好ましい。樹脂含有量が、15質量%以上であれば、強化繊維集合体とエポキシ樹脂組成物との接着性を十分確保することができ、50質量%以下であれば機械物性を高く保持できる。
強化繊維集合体を構成する強化繊維としては特に限定されず、繊維強化複合材料を構成する強化繊維として公知のものの中から用途等に応じて適宜選択すればよく、例えば炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、高強度ポリエステル繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維等の各種の無機繊維または有機繊維を用いることができる。これらの中でも、比強度、比弾性の観点から、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維が好ましく、機械物性や軽量化の観点から炭素繊維が特に好ましい。前記繊維は金属で表面処理されていても良い。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
詳しくは後述するが、本発明のプリプレグを硬化して得られる繊維強化プラスチックを杆状体や構造体の一部または全部に用いる場合、繊維強化複合材料の剛性の点から、炭素繊維のストランド引張強度は1〜9GPaが好ましく、1.5〜9GPaがより好ましく、炭素繊維のストランド引張弾性率は150〜1000GPaが好ましく、200〜1000GPaがより好ましい。炭素繊維のストランド引張強度およびストランド引張弾性率は、JIS R 7601(1986)に従って測定される。
強化繊維集合体の形態としては特に制限されず、通常のプリプレグの基材として使用される形態を採用でき、例えば、強化繊維が一方向に引き揃えられたものであってもよく、織物や不織布、またはノンクリンプファブリックでもよい。
本発明のプリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物を強化繊維集合体に含浸させてなるので、硬化することで機械物性に優れた繊維強化プラスチックを得ることができる。
「繊維強化プラスチック」
本発明の繊維強化プラスチックは、上述した本発明のプリプレグを積層後、積層体に圧力を付与しながら樹脂を加熱硬化させる方法等により得られるものである。
繊維強化プラスチックは、機械特性、難燃性、耐熱性、電磁波遮蔽性等に優れることから、強化繊維として炭素繊維を含むことが好ましい。
ここで熱及び圧力を付与する方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法、シートラップ成形法や、強化繊維のフィラメントやプリフォームにエポキシ樹脂組成物を含浸させて硬化し成形品を得るRTM(Resin Transfer Molding)、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding:真空樹脂含浸製造法)、フィラメントワインディング、RFI(Resin Film Infusion)等を挙げることができるが、これらの成形方法に限られるものではない。
ラッピングテープ法は、マンドレル等の芯金にプリプレグを捲回して、繊維強化プラスチック製の管状体を成形する方法であり、ゴルフシャフト、釣り竿等の棒状体を作製する際好適な方法である。より具体的には、マンドレルにプリプレグを捲回し、プリプレグの固定及び圧力付与のため、プリプレグの外側に熱可塑性フィルムからなるラッピングテープを捲回し、オーブン中で樹脂を加熱硬化させた後、芯金を抜き取って繊維強化プラスチック製管状体を得る方法である。
また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せしめ、成形する方法である。本方法は、ゴルフシャフト、バット、テニスやバドミントン等のラケットの如き複雑な形状物を成形する際に好ましく用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物をマトリックス樹脂として用いた繊維強化プラスチックは、スポーツ用途、一般産業用途および航空宇宙用途に好適に用いられる。より具体的には、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニスやバドミントンのラケット用途、ホッケー等のスティック用途、およびスキーポール用途に好適に用いられる。更に一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、および補修補強材料等に好適に用いられる。
本発明のプリプレグを管状に硬化させてなる繊維強化プラスチック製管状体は、ゴルフシャフト、釣り竿等に好適に用いることができる。
「繊維強化プラスチック製管状体」
前記繊維強化プラスチック製管状体は例えば、以下の(I)〜(V)に記すような方法で作製できる。
一方向プリプレグを、繊維方向が円筒軸方向に対して−45°および+45°になるよう、2plyを積層し、さら一方向プリプレグを、繊維方向が円筒軸方向に対して平行になるよう、1plyを積層し、内径が6mmの複合材料製管状体を作製する。マンドレルは、直径6mm、長さ300mmのステンレス製丸棒を使用する。
(I)作製した一方向プリプレグから、縦200mm×横76mmの長方形形状(長辺の方向に対して繊維軸方向が45度となるように)に2枚切り出す。この2枚のプリプレグの繊維の方向をお互いに交差するように、かつ短辺方向に9mmずらして張り合わせる。
(II)離型処理したマンドレルに張り合わせたプリプレグの長方形形状の長辺とマンドレル軸方向が同一方向になるように、マンドレルを捲回する。
(III)その上に、一方向プリプレグを縦200mm×横161mmの長方形形状(長辺方向が繊維軸方向となる)に切り出したものを、その繊維の方向がマンドレル軸の方向と同一になるように、マンドレルに捲回する。
(IV)さらに、その上から、ラッピングテープ(耐熱性フィルムテープ)を巻きつけて捲回物を覆い、硬化炉中、130℃で90分間、加熱成形する。なお、ラッピングテープの幅は15mm、張力は3N、巻き付けピッチ(巻き付け時のずれ量)は1mmとし、これを積層体と同じ厚みになるようラッピングする。
(V)この後、マンドレルを抜き取り、ラッピングテープを除去して繊維強化プラスチック製管状体を得る。
「構造体」
上述した本発明の繊維強化プラスチックから構造体を得ることができる。この構造体は、本発明の繊維強化プラスチックのみからなるものであってもよいし、本発明の繊維強化プラスチックと他の材料(例えば金属、インジェクション成形された熱可塑性樹脂製部材等)とから構成されるものであってもよい。
この構造体は、本発明の繊維強化プラスチックで一部または全部が構成されているので、難燃性および耐熱性に優れる。
この構造体は、例えば航空機や自動車の内装部材、電気・電子機器用筐体等にも適用できる。
「繊維強化プラスチックの層間せん断強度(ILSS)」
層間せん断強度(ILSS)は、強化繊維の単糸/マトリックス樹脂間の界面強度が大きく影響する一方向繊維強化プラスチックの層間せん断強度を短試長曲げ試験により測定する方法であり、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を示す指標である。
本発明の繊維強化プラスチックは、90MPaを超える、非常に優れたILSSを有することができるものであり、そのILSSは90〜150MPaの範囲内であることが好ましい。より好ましくは、90〜140MPaである。ILSSが90MPaに満たない場合は、強化繊維とエポキシ樹脂組成物との接着が不充分となり、繊維強化複合材料の耐衝撃性が不足する場合がある。150MPaを超える場合は、繊維強化複合材料の引張強度が不充分となる場合がある。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例および比較例で使用した原料を以下に示す。
「原料」
<成分(A)>
・AER4152:オキサゾリドン骨格含有エポキシ樹脂、エポキシ当量338g/eq、旭化成イーマテリアルズ株式会社製の「AER4152」。
<成分(B)>
・jER828:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量189g/eq、三菱化学株式会社製の「jER828」。
・jER807:液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量170g/eq、三菱化学株式会社製の「jER807」。
・jER1002:固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量650g/eq、三菱化学株式会社製の「jER1002」。
・jER4007P:固形ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量2270g/eq、三菱化学株式会社製の「jER4007P」。
<成分(C)>
・DICY15:ジシアンジアミド、活性水素当量21g/eq、三菱化学株式会社製の「jERキュア DICY15」。
・DCMU−99:3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、保土谷化学工業社製の「DCMU−99」。
・Omicure94:フェニルジメチルウレア、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製の「Omicure94」。
・2MZA−PW:2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン、四国化成工業株式会社製の「キュアゾール 2MZA−PW」。
・セイカキュアS:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、和歌山精化工業株式会社製の「セイカキュアS」。
<成分(B)及び成分(D)を含むマスターバッチ>
・YL7883−10:セルロースナノファイバー含有エポキシ樹脂マスターバッチ、アセチル化セルロースナノファイバー(成分(D)、アセチル化度約23.3%)含有量10%、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(成分(B))含有量90%、三菱化学株式会社製。
・YL7923−10:セルロースナノファイバー含有エポキシ樹脂マスターバッチ、アセチル化セルロースナノファイバー(成分(D)、アセチル化度約10%)含有量10%、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(成分(B))含有量90%、三菱化学株式会社製。
・YL7951−10:セルロースナノファイバー含有エポキシ樹脂マスターバッチ、アセチル化セルロースナノファイバー(成分(D)、アセチル化度約36.3%)含有量10%、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(成分(B))含有量90%、三菱化学株式会社製。
<成分(E)>
・ビニレックE:ポリビニルホルマール樹脂、JNC株式会社製の「ビニレックE」。
<炭素繊維>
・炭素繊維:三菱レイヨン株式会社製の「パイロフィルTR50S15L」。
「実施例1」
成分(A)としてAER4152、成分(B)としてjER828およびjER1002、成分(C)としてDICY15およびDCMU−99、成分(B)及び成分(D)を含むマスターバッチとしてYL7883−10、成分(E)としてビニレックEを用い、以下のようにしてエポキシ樹脂組成物を調製した。
まず、表1に記載の組成に従い、成分(B)(成分(B)のうちの液状成分)と、成分(C)(固形)とを、固形成分と液状成分の質量比が1:1となるよう容器に計量し、成分(D)を含むマスターバッチを加えてから攪拌し、混合した。これを三本ロールミルにてさらに細かく混合し、硬化剤入りマスターバッチを得た。
続けて、表1に記載の組成の内、硬化剤入りマスターバッチ以外の成分をフラスコに計量し、オイルバスを用いて150℃に加熱し溶解混合した。その後65℃程度まで冷却したところで、前記硬化剤入りマスターバッチを加えて攪拌混合することによりエポキシ樹脂組成物を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物を用い、後述する<エポキシ樹脂板作製方法>に従って、樹脂板を作製した。また後述の<評価方法>に従って、樹脂板の曲げ特性を評価した。樹脂板の曲げ強度は164MPa、曲げ弾性率は3.62GPa、破断伸度は12.1%であった。
「実施例2〜10」
表1に示す配合組成に変更し、実施例5〜10で成分(B)及び成分(D)を含むマスターバッチとしてYL7951−10を用いた以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、樹脂板を作製し、その測定および評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006903897
表1中、「セルロースナノファイバー含有量(質量部)」は全エポキシ樹脂100質量部に対するセルロースナノファイバー含有量(質量部)を示す。
「実施例11」
成分(A)としてAER4152、成分(B)としてjER807およびjER4007P、成分(C)としてDICY15およびDCMU−99、成分(B)及び成分(D)を含むマスターバッチとしてYL7951−10を用い、以下のようにしてエポキシ樹脂組成物を調製した。
まず、表2に記載の組成に従い、成分(B)(成分(B)のうちの液状成分)と、成分(C)(固形)とを、固形成分と液状成分の質量比が1:1となるよう容器に計量し、成分(D)を含むマスターバッチを加えてから攪拌し、混合した。これを三本ロールミルにてさらに細かく混合し、硬化剤入りマスターバッチを得た。
続けて、表2に記載の組成の内、硬化剤入りマスターバッチ以外の成分をフラスコに計量し、オイルバスを用いて140℃に加熱し溶解混合した。その後65℃程度まで冷却したところで、前記硬化剤入りマスターバッチを加えて攪拌混合することによりエポキシ樹脂組成物を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物を用い、後述する<エポキシ樹脂板作製方法>、<プリプレグ作製方法>、<繊維強化プラスチック板作製方法>および<繊維強化プラスチック製管状体作製方法>に従って、樹脂板、プリプレグ、繊維強化プラスチック板および繊維強化プラスチック製管状体を作製した。また後述の<評価方法>に従って、各種測定および評価を行った。樹脂板の曲げ強度は176MPa、曲げ弾性率は4.12GPa、破断伸度は13.4%であった。繊維強化プラスチック板のILSSは95.1MPaであった。繊維強化プラスチック製管状体の曲げ強度は1349Mpa、曲げ弾性率は53.3GPaであった。
「実施例12〜14」
表2に示す配合組成に変更し、実施例12で成分(B)及び成分(D)を含むマスターバッチとしてYL7883−10を用い、実施例13、14で成分(B)及び成分(D)を含むマスターバッチとしてYL7923−10を用いた以外は、実施例11と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、樹脂板、プリプレグ、繊維強化プラスチック板を作製した。また後述の<評価方法>に従って、各種測定および評価を行った。結果を表2に示す。
「比較例1」
表2に示す配合組成に変更した以外は、実施例11と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得た後、樹脂板、プリプレグ、繊維強化プラスチック板および繊維強化プラスチック製管状体を作製し、各種測定および評価を行った。樹脂板の曲げ強度は150MPa、曲げ弾性率は3.24GPa、破断伸度は10.4%であった。繊維強化プラスチック板のILSSは84.1MPaであった。繊維強化プラスチック製管状体の曲げ強度は1113Mpa、曲げ弾性率は50.5GPaであった。
セルロースナノファイバーを含有しない比較例1は、各実施例に対して各物性値が劣っていた。
Figure 0006903897
表2中、「セルロースナノファイバー含有量(質量部)」は全エポキシ樹脂100質量部に対するセルロースナノファイバー含有量(質量部)を示す。
<エポキシ樹脂板作製方法>
未硬化のエポキシ樹脂組成物をオーブン雰囲気温度135℃×90分(昇温速度は2℃/分)で硬化させて、厚さ2mmの樹脂板を作製した。
<プリプレグ作製方法>
未硬化のエポキシ樹脂組成物を、コンマコーター(株式会社ヒラノテクシード製、「M−500」)でフィルム状にし、樹脂目付け40.4g/mのレジンフィルムを作製した。このレジンフィルムを、炭素繊維を引き揃えて得られた、繊維目付150g/mの炭素繊維シートの両面に張り合わせ、加熱ロールで含浸させて、繊維目付150g/m、樹脂含有量35質量%のプリプレグを得た。
<繊維強化プラスチック板作製方法>
前記<プリプレグ作製方法>で得られたプリプレグを300mm×300mmにカットし、繊維方向が[0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°]となるように14枚積み重ねて積層体を得た。この積層体をオートクレーブで圧力0.04MPa下で2℃/分で昇温し、80℃で60分保持後、圧力0.6MPa下で2℃/分で昇温し、130℃で90分保持して加熱硬化させて、厚さ2.1mmの繊維強化プラスチック板を得た。
<繊維強化プラスチック製管状体作製方法>
前記繊維強化プラスチック製管状体は、以下の(I)〜(V)に記す方法で作製した。
一方向プリプレグを、繊維方向が円筒軸方向に対して−45°および+45°になるよう、2plyを積層し、さら一方向プリプレグを、繊維方向が円筒軸方向に対して平行になるよう、1plyを積層し、内径が6mmの繊維強化プラスチック製管状体を作製した。マンドレルは、直径6mm、長さ300mmのステンレス製丸棒を使用した。
(I)作製した一方向プリプレグから、縦200mm×横76mmの長方形形状(長辺の方向に対して繊維軸方向が45度となるように)に2枚切り出した。この2枚のプリプレグの繊維の方向をお互いに交差するように、かつ短辺方向に9mmずらして張り合わせた。
(II)離型処理したマンドレルに張り合わせたプリプレグの長方形形状の長辺とマンドレル軸方向が同一方向になるように、マンドレルを捲回した。
(III)その上に、一方向プリプレグを縦200mm×横161mmの長方形形状(長辺方向が繊維軸方向となる)に切り出したものを、その繊維の方向がマンドレル軸の方向と同一になるように、マンドレルに捲回した。
(IV)さらに、その上から、ラッピングテープ(耐熱性フィルムテープ)を巻きつけて捲回物を覆い、硬化炉中、130℃で90分間、加熱成形した。なお、ラッピングテープの幅は15mm、張力は3N、巻き付けピッチ(巻き付け時のずれ量)は1mmとし、これを積層体と同じ厚みになるようラッピングした。
(V)この後、マンドレルを抜き取り、ラッピングテープを除去して繊維強化プラスチック製管状体を得た。
(1)樹脂板の曲げ特性の評価
前記<エポキシ樹脂板作製方法>で得られた厚さ2mmの樹脂板を、長さ60mm×幅8mmに加工して試験片とした。該試験片について、3点曲げ治具(圧子、サポートともに3.2mmR、サポート間距離32mm)を設置した万能試験機(インストロン社製)を用い、クロスヘッドスピード2mm/分の条件で、樹脂板の曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率、破断伸度(破断歪み))を測定した。
(2)繊維強化プラスチックの層間せん断試験(ILSS)
前記<繊維強化プラスチック板作製方法>で得られた繊維強化プラスチック板を、試験片の長手方向に対して補強繊維が0゜に配向するように試験片(長さ25mm×幅6.3mm)に加工し、万能試験機(INSTRON社製、製品名:INSTRON 4465)を用いて、繊維強化プラスチックの層間せん断強度を測定した。温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具(圧子R=3.2mm、サポートR=1.6mm)を用い、サポート間距離(L)と試験片の厚み(d)の比L/d=4、クロスヘッドスピード(分速)=(L2×0.01)/(6×d)として、繊維強化複合材料の層間せん断強度(ILSS)を測定した。
(3)繊維強化プラスチック製管状体の曲げ特性の評価
前記<繊維強化プラスチック製管状体作製方法>で作製した内径6mm、長さ200mmの複合材料製管状体を3点曲げ治具(圧子75mmR、サポート12.5mmR、サポート間距離150mm)を設置した万能試験機(インストロン社製)を用い、クロスヘッドスピード20mm/分の条件で、繊維強化プラスチック製管状体の曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)を測定した。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いることにより、優れた管状の繊維強化プラスチックを得ることができる。よって、本発明によれば、機械物性に優れた繊維強化プラスチック成形体、例えばゴルフクラブ用シャフト等のスポーツ・レジャー用途成形体から航空機等の産業用途の成形体まで、幅広く提供することができる。

Claims (13)

  1. 下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含んでなり
    記成分(A)を全エポキシ樹脂100質量部中5質量部以上80質量部以下含み
    記成分(B)を全エポキシ樹脂100質量部中20質量部以上95質量部以下含み、
    成分(B)中、エポキシ当量が350以上のエポキシ樹脂が5質量部以上60質量部以下
    であり、成分(B)中、エポキシ当量が350未満のエポキシ樹脂が15質量部以上90
    質量部以下であり
    記成分(D)を全エポキシ樹脂100質量部に対し0.1〜15質量部含む
    ポキシ樹脂組成物。
    成分(A):オキサゾリドン骨格含有エポキシ樹脂
    成分(B):成分(A)以外のエポキシ当量が350以上のエポキシ樹脂及びエポキ
    シ当量が350未満のエポキシ樹脂
    成分(C):ジシアンジアミド、ウレア類、イミダゾール類、芳香族アミン類の中か
    ら選ばれる少なくとも1種である硬化剤
    成分(D):セルロースナノファイバー
  2. 前記成分(D)がアセチル化セルロースナノファイバーである、請求項1に記載のエポ
    キシ樹脂組成物。
  3. 前記成分(D)の平均繊維長が0.05〜10μmである、請求項1又は2に記載のエ
    ポキシ樹脂組成物。
  4. 前記成分(D)の平均繊維幅が2〜1000nmである、請求項1〜のいずれか一項
    に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記硬化剤(C)がジシアンジアミド及びウレア類を含む、請求項1〜のいずれか一
    項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 硬化物の曲げ強度が135MPa以上、弾性率が3.3GPa以上、破断伸度が8.5
    %以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. さらに、成分(E)として熱可塑性樹脂を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の
    エポキシ樹脂組成物。
  8. 前記成分(E)を全エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下含
    む、請求項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物からなる成形品。
  10. 請求項1〜のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物が強化繊維に含浸されたプリ
    プレグ。
  11. 請求項1〜のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維とからな
    る繊維強化プラスチック。
  12. 層間せん断強度が90MPa以上である、請求項11に記載の繊維強化プラスチック。
  13. 管状である請求項11又は12に記載の繊維強化プラスチック。
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