JPWO2019082672A1 - 繊維強化複合材およびこれを用いてなる硬化物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、強化繊維および集束剤を有する強化繊維束と、マトリックス樹脂と、を含む、繊維強化複合材料であって、前記集束剤が、第1のビスフェノール型エポキシ樹脂およびアルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂を含み、前記マトリックス樹脂が、第2のビスフェノール型エポキシ樹脂およびアミン硬化剤を含む、繊維強化複合材料を提供する。この繊維強化複合材料は、優れた機械物性を有する硬化物を形成することができる。

Description

本発明は、繊維強化複合材およびこれを用いてなる硬化物に関する。
繊維強化複合材料は、ガラス繊維等の強化繊維をマトリックス樹脂に入れて強度を向上させた複合材料である。マトリックス樹脂は、軽量であるものの、それ自体では弾性率が低く構造用材料に適しているとはいえないが、弾性率の高い繊維を含有させることで、軽量かつ弾性率の高い材料を得ることができる。
繊維強化複合材料は、繊維、樹脂、添加剤、プリプレグの製造方法、樹脂ペレットの製造方法、成形方法等の違いによって異なる物性を示すことから、各原料および製造方法等において研究開発が進められている。
例えば、繊維については、一般に、複数の強化繊維が集束剤(サイジング剤)により束ねられた強化繊維束の形態でマトリックス樹脂に添加される。強化繊維束の形態を有することで形態保持性が良好となり、マトリックス樹脂への分散性等が向上しうる。
このように集束剤(サイジング剤)は繊維強化複合材料への性能に影響を及ぼしうることから、これまでに種々の検討がなされている。例えば、特許文献1には、ウレタン変性エポキシ樹脂(A)と、芳香族系ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂及び変性ポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂成分(B)とを含有する、強化繊維用サイジング剤に係る発明が記載されている。特許文献1には、前記強化繊維用サイジング剤によれば、強化繊維に対して、マトリックス樹脂との優れた接着性と柔軟性を同時に付与できることが記載されている。
なお、特許文献1には、前記樹脂成分(B)は、前記ウレタン変性エポキシ樹脂(A)と併用することにより、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を飛躍的に向上させることができ、かつ強化繊維に対して優れた柔軟性をも付与できることが記載されている。
また、前記マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、フェノキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられることが記載されている。
国際公開第2014/196372号
特許文献1に記載の集束剤(強化繊維用サイジング剤)によれば、一定のマトリックス樹脂に対する接着性および柔軟性が実現されうる。しかしながら、特許文献1に記載の集束剤を用いて得られる繊維強化複合材料の硬化物は、機械物性が十分とはいえない場合があることが判明した。
そこで、本発明は、得られる硬化物の機械物性に優れる繊維強化複合材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、所定の集束剤と、所定のマトリックス樹脂とを組み合わせることにより、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、強化繊維および集束剤を有する強化繊維束と、マトリックス樹脂と、を含む、繊維強化複合材料に関する。この際、前記集束剤が、第1のビスフェノール型エポキシ樹脂およびアルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂を含み、前記マトリックス樹脂が、第2のビスフェノール型エポキシ樹脂およびアミン硬化剤を含むことを特徴とする。
本発明によれば、得られる硬化物の機械物性に優れる繊維強化複合材料が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
<繊維強化複合材料>
本発明に係る繊維強化複合材料は、強化繊維および集束剤を有する強化繊維束と、マトリックス樹脂と、を含む。この際、前記集束剤が、第1のビスフェノール型エポキシ樹脂およびアルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂を含み、前記マトリックス樹脂が、第2のビスフェノール型エポキシ樹脂およびアミン硬化剤を含む。
従来の繊維強化複合材料は、集束剤およびマトリックス樹脂を別個に検討していた。例えば特許文献1では集束剤について検討しており、上述の通り、所定の樹脂成分(B)は、所定のウレタン変性エポキシ樹脂(A)と併用することにより、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を向上できると記載されている。しかしながら、実際に使用されるマトリックス樹脂は前記樹脂成分(B)とは異なるものであり、集束剤およびマトリックス樹脂の親和性が十分とはいえない。その結果、繊維強化複合材料により得られる硬化物の機械物性は十分とはいえない場合がある。
これに対し、本形態に係る繊維強化複合材料は、集束剤およびマトリックス樹脂が、ともにビスフェノール型エポキシ樹脂を含む。これにより、強化繊維束−マトリックス樹脂が高い親和性を有することとなり、好適な界面制御が可能となる。そして、樹脂のなかでもビスフェノールA型エポキシ樹脂を選択することで、繊維強化複合材料により得られる硬化物はより高い機械物性を有する。
[強化繊維束]
強化繊維束は、強化繊維および集束剤を有する。その他、他の集束剤を含んでいてもよい。
(強化繊維)
強化繊維は、マトリックス樹脂に含有させることで強度を付与する機能を有する。なお、本明細書において「強化繊維」とは、強化繊維束を構成する単繊維を意味する。
強化繊維としては、特に制限されないが、炭素繊維、ガラス繊維、石墨繊維、麻繊維、ケナフ繊維、竹繊維、レーヨン繊維、リヨセル繊維、炭化ケイ素繊維、アルミニウム繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維)、スチール繊維、ポリアセタール繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維、ポリケトン繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、コットンフィブリル、窒化ケイ素ウイスカー、アルミナウイスカー、炭化ケイ素ウイスカー、ニッケルウイスカー等が挙げられる。
これらのうち、強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維であることが好ましく、炭素繊維であることがより好ましい。
なお、前記炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維であっても、ピッチ系炭素繊維であってもよい。この際、前記PAN系炭素繊維は、モノマー成分として、アクリロニトリルとともに、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、およびこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルキルエステル類;アクリルアミドおよびその誘導体;アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびこれらの塩、アルキルエステル類等を含んでいてもよい。また、前記ピッチ系炭素繊維は、メソフューズピッチ系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊維のいずれであってもよい。
上述の強化繊維は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
強化繊維としては、特に制限されないが、撚糸、紡糸、紡績加工、不織加工したものを使用することができる。強化繊維の具体的な形状としては、フィラメント、ヤーン、ロービング、ストランド、チョップドストランド、フェルト、ニードルパンチ、クロス、ロービングクロス、ミルドファイバー等が挙げられる。
(集束剤)
集束剤は、強化繊維とマトリックス樹脂との結合程度を調節する機能、強化繊維の形態を保持する機能、強化繊維の損傷を防止または抑制する機能、強化繊維束のサイズを調整する機能等を有する。
本発明に係る集束剤は、第1のビスフェノール型エポキシ樹脂およびアルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂を含む。その他、第1の他の樹脂、界面活性剤、溶媒等をさらに含んでいてもよい。
集束剤の含有量は、0.1〜6.0質量%であることが好ましく、0.3〜4.0質量%であることがより好ましい。集束剤の含有量が0.1質量%以上であると、強化繊維束の毛羽立ちを抑制または防止でき作業性などが向上することから好ましい。一方、集束剤の含有量が6.0質量%以下であると、強化繊維束の開繊性の低下が防止または抑制でき強化繊維複合材料の強度が向上することから好ましい。
第1のビスフェノール型エポキシ樹脂
第1のビスフェノール型エポキシ樹脂は、強化繊維束を作製するにあたり強化繊維束と後述するマトリックス樹脂との親和性や硬化後の密着性をより向上させる機能等を有する。
第1のビスフェノール型エポキシ樹脂としては、2つのヒドロキシフェニル基を有するビスフェノールまたは前記ビスフェノールを重合して得られる高分子が、2以上のエポキシ基を有する化合物を意味する。第1のビスフェノール型エポキシ樹脂の具体例としては、特に制限されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAP型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールBP型エポキシ樹脂、ビスフェノールC型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールG型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールPH型エポキシ樹脂、ビスフェノールTMC型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂を構成するビスフェノールを2以上組み合わされたものであってもよい。このようなビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAおよびビスフェノールEの混合型エポキシ樹脂、ビスフェノールAおよびビスフェノールFの混合型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらのうち、強化繊維束と後述するマトリックス樹脂との親和性や硬化後の密着性をより向上させる観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いることが好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることがより好ましい。
なお、上述の第1のビスフェノール型エポキシ樹脂は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1のビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に制限されないが、160〜270g/当量であることが好ましく、170〜220g/当量であることがより好ましい。第1のビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ当量が160g/当量以上であると、集束剤の乳化安定性に優れることから好ましい。一方、第1のビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ当量が270g/当量以下であると、繊維集束性をより向上できることから好ましい。
第1のビスフェノール型エポキシ樹脂の集束剤中の含有量は、集束剤の固形分質量に対して、5〜80質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましい。第1のビスフェノール型エポキシ樹脂の含有量が5質量%以上であると、マトリックス樹脂との親和性を向上できることから好ましい。一方、第1のビスフェノール型エポキシ樹脂の含有量が80質量%以下であると、アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂との共乳化性を向上できることから好ましい。なお、本明細書において「集束剤の固形分質量」とは、集束剤の揮発成分を除いた不揮発成分(固形分)の質量を意味する。
アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂
アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂は、エポキシ基を有することから、強化繊維表面(例えば、酸素含有官能基等)との相互作用を生じ、強化繊維表面に接着する機能を有する。また、アルコキシポリオキシアルキレン構造およびウレタン結合を有することから、柔軟性を発現する機能を有する。
アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂としては、特に制限されないが、エポキシ基とヒドロキシ基とを有する化合物、ポリイソシアネート、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルを反応して得られるエポキシ樹脂が挙げられる。この際、さらにポリオール、鎖伸長剤をさらに用いてもよい。
前記エポキシ基とヒドロキシ基とを有する化合物としては、特に制限されないが、グリシドール、メチルグリシドール等のグリシドール化合物;ヒドロキシ基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂、ヒドロキシ基を有するビスフェノールF型エポキシ樹脂等のヒドロキシ基を有するビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ブチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オクチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシンノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールADノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールSノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ基の少なくとも一部が開環してヒドロキシ基を有するもの等が挙げられる。これらのうち、エポキシ基とヒドロキシ基とを有する化合物としては、集束性が向上し、かつ、より高強度の成形品が得られることから、ヒドロキシ基を有するビスフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ基の少なくとも一部が開環してヒドロキシ基を有するものであることが好ましく、ヒドロキシ基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂であることがより好ましく、ヒドロキシ基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂であることがさらに好ましい。なお、これらのエポキシ基とヒドロキシ基とを有する化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリイソシアネートとしては、特に制限されないが、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−2,4−フェニレンジイソシアネート(トリレン−2,4−ジイソシアネート(2,4−TDI))、1−メチル−2,6−フェニレンジイソシアネート(トリレン−2,6−ジイソシアネート(2,6−TDI))、1−メチル−2,5−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−3,5−フェニレンジイソシアネート、1−エチル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1−イソプロピル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−ジメチル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−ジメチル−4,6−フェニレンジイソシアネート、1,4−ジメチル−2,5−フェニレンジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアネート、1−メチル−3,5−ジエチルベンゼンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ジエチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1,3,5−トリエチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、1−メチル−ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、ナフタレン−2,7−ジイソシアネート、1,1−ジナフチル−2,2’−ジイソシアネート、ビフェニル−2,4’−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3−3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4−ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;1,3−シクロペンチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;およびこれらの3量体等が挙げられる。
これらのうち、芳香族ポリイソシアネートであることが好ましく、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−2,6−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−2,5−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−3,5−フェニレンジイソシアネートであることがより好ましい。なお、前記ヒドロキシ基を有するビスフェノール型エポキシ樹脂は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとしては、特に制限されないが、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019082672
上記式において、Rはアルキル基を表し、Aは、それぞれ独立して、アルキレンを表し、nは2以上の整数である。
前記Rとしては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、イソヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。これらのうち、Rは、保存安定性がより向上することから、メチル基、エチル基、プロピル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
前記Aとしては、特に制限されないが、メチレン、エチレン、プロピレン、イソブチレン、sec−ブチレン、tert−ブチレン、ペンチレン、iso−ペンチレン、へキシレン等が挙げられる。これらのうち、Aは、保存安定性および繊維集束性がより向上することから、エチレン、プロピレンであることが好ましく、エチレンであることがより好ましい。
nは、2以上の整数であり、好ましくは2〜200であり、より好ましくは5〜150であり、さらに好ましくは5〜100である。
これらのうち、保存安定性および繊維集束性がより向上することから、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルを使用することがより好ましく、ポリオキシエチレンモノメチルエーテルを使用することがより好ましい。
前記ポリオールは、分子中に2以上のヒドロキシ基を有し、かつ、エポキシ基を有さないものであり、数平均分子量が400以上のものを意味する。具体的なポリオールとしては、特に制限されないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、天然油ポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリウレタンポリオール等が挙げられる。これらのポリオールは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本明細書において、数平均分子量の値は、標準物質をポリスチレンとするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値を採用するものとする。この際、前記ゲル浸透クロマトグラフィの測定条件は以下の通りである。すなわち、高速GPCであるHLC−8220(東ソー株式会社製)、カラム(TSK−GELGMHXL×2)を使用し、サンプル5mgを10gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した溶液200mLを装置に注入し、流量:1mL/分(THF)、恒温槽温度:40℃、示差屈折(RI)検出器にて測定する。
前記鎖伸長剤としては、特に制限されないが、2以上の活性水素基を有し、数平均分子量が400未満のものを意味する。具体的な鎖伸長剤としては、特に制限されないが、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、ジエチレングリコール、トリオキシエチレングリコール、テトラオキシエチレングリコール、ペンタオキシエチレングリコール、ヘキサオキシエチレングリコール等のジオール;グリセリン、2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン等のトリオール;テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリン等のテトラオール;キシリトール、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、イノシトール、ジペンタエリスリトール、ペルセイトール等の数平均分子量が400未満のポリオール;エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,3−ブタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ヒドラジン、トリレンジアミン等のジアミン;ジエチレントリアミン等のトリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の数平均分子量が400未満のポリアミン等が挙げられる。これらの鎖伸長剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述のアルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂の構造としては、ポリイソシアネートが有するシアネート基と、エポキシ基とヒドロキシ基とを有する化合物のヒドロキシ基またはポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルが有するヒドロキシ基とが反応することでウレタン結合を形成された構造を有する。ポリイソシアネートが3以上のイソシアネート基を有する場合には、エポキシ基とヒドロキシ基とを有する化合物および/またはポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルの2以上が前記ポリイソシアネートと反応することとなる。また、エポキシ基とヒドロキシ基とを有する化合物が2以上のヒドロキシ基を有する場合には、2以上のヒドロキシ基が複数のポリイソシアネートと反応することもありうる。さらに、ポリオール、鎖伸長剤を使用する場合、ポリイソシアネート−ポリオールまたは鎖伸長剤−ポリイソシアネートといった構造を形成することができ、分子構造を制御することができる。
アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、500〜2000g/当量であることが好ましく、1000〜1500g/当量であることがより好ましい。エポキシ当量が500g/当量以上であると、乳化性が向上できることから好ましい。一方、エポキシ当量が2000g/当量以下であると、繊維集束性が向上し加工性が向上するだけでなく繊維の開繊性が向上して、コンポジット強度が向上できることから好ましい。
アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂の重量平均分子量は、5000〜20000であることが好ましく、7000〜15000であることがより好ましい。重量平均分子量が5000以上であると、乳化性が向上できることから好ましい。一方、重量平均分子量が15000以下であると、繊維集束性が向上し加工性が向上するだけでなく繊維の開繊性が向上して、コンポジット強度が向上できることから好ましい。なお、本明細書において、「重量平均分子量」の値は、上述の数平均分子量と同様の条件で測定された値を採用するものとする。
アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂のポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオール、鎖伸長剤等に由来するオキシアルキレン単位構造の含有率は、30質量%以上であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましい。オキシアルキレン単位構造の含有率が30質量%以上であると、水分散性がより向上することから好ましい。
また、アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂のポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルに由来するアルコキシポリオキシアルキレン単位構造単体の含有率は、3〜60質量%であることが好ましく、10〜55質量%であることがより好ましい。
なお、アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂の製造方法は特に制限されず、公知の方法により合成することができる。この際、触媒存在下で反応を行ってもよいし、無触媒で反応を行ってもよい。
アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂の集束剤中の含有量は、集束剤の固形分質量に対して、30〜90質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましい。アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂の含有量が30質量%以上であると、乳化性が向上できることから好ましい。一方、アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂の含有量が90質量%以下であると、集束剤のマトリックス樹脂に対する親和性が向上して、コンポジット強度が向上できることから好ましい。
第1の他の樹脂
本形態に係る集束剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で第1の他の樹脂を含んでいてもよい。
前記第1の他の樹脂は、第1のビスフェノール型エポキシ樹脂およびアルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂を除く高分子化合物を意味する。なお、本明細書において、「高分子化合物」とは、重量平均分子量が300以上のものを意味する。
前記第1の他の樹脂の具体例としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂;ポリブチレンテレフタレート樹脂;ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;フェノール系樹脂等が挙げられる。これらの第1の他の樹脂は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1の他の樹脂の集束剤中の含有量は、集束剤の固形分質量に対して、2〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
界面活性剤
本形態に係る集束剤は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、集束剤が水などの溶媒中で安定に乳化分散させる機能を有する。
前記界面活性剤としては、特に制限されず、ポリオキシアルキレン構造を有する界面活性剤、スルホン酸塩を有する界面活性剤が挙げられる。
前記ポリオキシアルキレン構造を有する界面活性剤としては、特に制限されないが、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンクミルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンナフチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらのうち、得られる硬化物の機械物性がより向上することから、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体を用いることが好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテルを用いることがより好ましい。
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンエイコシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体のヘキシルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体のオクチルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体のノニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体のラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体のステアリルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体のエイコシルエーテル等のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体のアルキルエーテルなどが挙げられる。これらうち、乳化性が向上することから、アルキル基の炭素原子数が8〜18のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いることが好ましく、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルを用いることがより好ましい。
前記ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテルとしては、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル等のスチレン付加モル数が1〜3のポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、スチレン付加モル数が1〜3のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のスチリルフェニルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、乳化性が向上することから、スチレン付加モル数が1〜3のポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルを用いることが好ましい。
前記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体の重量平均分子量は、1,000〜30,000であることが好ましく、5,000〜20,000であることがより好ましい。ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体の重量平均分子量が上記範囲にあると、乳化性が向上することから好ましい。
また、前記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体中のポリオキシエチレンの含有量は、40〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。
前記スルホン酸塩を有する界面活性剤は、スルホン酸塩に基づく親水性部と、疎水性部とを有する。
スルホン酸塩を有する界面活性剤の具体例としては、特に制限されないが、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホ酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩等が挙げられる。これらのうち、
これらのうち、ポリオキシアルキレン構造を有する界面活性剤を用いることが好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテルを用いることがより好ましく、スチレン付加モル数が1〜3のポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルやポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いることがさらに好ましく、スチレン付加モル数が1〜3のポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルが特に好ましい。
界面活性剤の集束剤中の含有量は、集束剤の固形分質量に対して、1〜40質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましい。
溶媒
本形態に係る集束剤は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒は意図的に添加されている場合の他、製造工程において残存している場合もありうる。
前記溶媒としては、特に制限されないが、水;水と混和する有機溶媒が挙げられる。
前記有機溶媒としては、特に制限されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;イソプロピルアルコール、ブタノール、セロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等が挙げられる。これらのうち、前記有機溶媒としては、アルコール、ケトン類を用いることが好ましく、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトンを用いることがより好ましい。なお、これらの有機溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒としては、水のみを用いてもよいし、有機溶媒のみを用いてもよいし、水および有機溶媒の混合液を用いてもよいが、安全性や環境に対する負荷の点から、水、水および有機溶媒の混合液を用いることが好ましく、水を用いることがよりに好ましい。
溶媒の含有量は、集束剤の固形分質量100部に対して、30〜95部であることが好ましく、40〜85部であることがより好ましい。
(他の集束剤)
強化繊維束は、他の集束剤を含んでいてもよい。
前記他の集束剤は、上述の集束剤以外のものであり、他の集束剤材料を含む。その他、界面活性剤、溶媒等をさらに含んでいてもよい。
前記他の集束材料としては、特に制限されないが、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、変性ポリオレフィン(カルボキシ変性ポリオレフィン、アミノ基変性ポリオレフィン、チオール基変性ポリオレフィン)、変性ポリエーテル(カルボキシ基変性ポリエーテル、アミノ基変性ポリエーテル、チオール基変性ポリエーテル)等が挙げられる。上述の他の集束材料は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤、溶媒等については、上述の集束剤と同様のものが用いられうる。
(強化繊維束の構成)
強化繊維束の構成はどのような構成であってもよい。
一実施形態において、強化繊維と他の集束剤とを含む強化繊維束に対して、さらに本発明に係る集束剤を適用して得られる構成とすることができる。例えば、市販の強化繊維束に、本発明に係る集束剤をそのまま用いて得られる強化繊維束が使用されうる。この場合、強化繊維束の少なくとも一部は、強化繊維、他の集束剤、本発明に係る集束剤がこの順に積層された構成を含みうる。
また、別の一実施形態において、強化繊維および本発明に係る集束剤からなる強化繊維束の構成とすることもできる。例えば、市販の強化繊維束に含有される他の集束剤を溶剤洗浄、乾燥等により除去した後に本発明に係る集束剤を使用する形態、サイジング処理が施されていない炭素繊維束に本発明に係る集束剤を使用する形態、強化繊維および本発明に係る集束剤を用いて強化繊維束を製造する形態等が挙げられる。
なお、強化繊維束が、本発明に係る集束剤および他の集束剤をともに含む場合には、強化繊維束における両者の総含有量(集束剤の総含有量)は、強化繊維束の全質量に対して、0.1〜6.0質量%であることが好ましく、0.3〜4.0質量%であることがより好ましい。集束剤の総含有量が0.1質量%以上であると、強化繊維束の毛羽立ちを抑制または防止でき作業性などが向上することから好ましい。一方、集束剤の総含有量が6.0質量%以下であると、強化繊維束の開繊性の低下が防止または抑制でき強化繊維複合材料の強度が向上することから好ましい。
(強化繊維束の製造方法)
強化繊維束の製造方法は特に制限されず、公知の方法が採用されうる。
一実施形態において、強化繊維束の製造方法は、強化繊維または原料強化繊維束に集束剤コーティング剤を付着、乾燥する工程(1)を含む。その他、必要に応じて、強化繊維を調製する工程(2)、紡糸工程(3)等をさらに含んでいてもよい。
工程(2)
工程(2)は、通常、工程(1)の前に行われる。工程(2)は、使用される強化繊維によっても異なるが、適宜公知の手法が採用されうる。
例えば、強化繊維がポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維である場合、強化繊維を調製する工程は以下の通りとなる。すなわち、まず、実質的に撚りのない繊維束に集束されたポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を酸化性雰囲気中で耐炎化処理して耐炎化繊維束を得る。次いで、不活性雰囲気中で炭素化処理することでポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を得る。なお、その後、適宜、電解液中での電解参加処理、気相または液相での酸化処理を行うこともできる。
工程(1)
工程(1)は、強化繊維または原料強化繊維束に集束剤コーティング剤を付着、乾燥する工程である。
強化繊維または原料強化繊維束
強化繊維は、上述のものが用いられうることからここでは説明を省略する。
原料強化繊維束は、強化繊維および他の集束剤を含む強化繊維束であってもよいし、集束剤を含まない強化繊維束であってもよい。
なお、強化繊維および他の集束剤を含む強化繊維束は、必要に応じて、他の集束剤を溶剤洗浄、乾燥等により除去して集束剤を含まない強化繊維束としてもよい。
集束剤コーティング剤
集束剤コーティング剤は、本発明に係る集束剤を含む。具体的には、集束剤コーティング剤は、第1のビスフェノール型エポキシ樹脂、アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂、および溶媒を含む。その他、第1の他の樹脂、界面活性剤等をさらに含んでいてもよい。
第1のビスフェノール型エポキシ樹脂、アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂、第1の他の樹脂、および界面活性剤については、上述したものが用いられうることからここでは説明を省略する。
溶媒についても上述したものが用いられうる。溶媒の集束剤コーティング剤中の含有量は、集束剤の固形分質量100部に対して、10〜98部であることが好ましく、20〜90部であることがより好ましい。
付着
付着は、特に制限されず、公知の方法により行われる。例えば、キスコーター法、ローラー法、浸漬法、スプレー法、刷毛などにより行われる。
なお、他の集束剤を含む他の集束剤コーティング剤を併用することもできる。
また、集束剤の付着量は、集束剤コーティング剤の組成、塗布量、浸漬量、スプレ−量、各々の処理時間によって調整することができる。
乾燥
乾燥についても特に制限されず、公知の方法により行われる。例えば、自然乾燥、熱風乾燥、熱板による乾燥、ローラーによる乾燥、赤外線ヒーターによる乾燥等が挙げられる。
工程(3)
工程(3)は、通常、工程(1)において強化繊維を用いた場合に行われる。
工程(3)としては、特に制限されず、湿式紡糸、乾式紡糸、溶融紡糸のいずれであってもよく、これらの組み合わせであってもよい。これにより、集束剤が付着した強化繊維は強化繊維束を得ることができる。
[マトリックス樹脂]
マトリックス樹脂は、第2のビスフェノール型エポキシ樹脂およびアミン硬化剤を含む。その他、必要に応じて、フェノール化合物、第2の他の樹脂、他の硬化剤、硬化促進剤、有機溶媒、添加剤等をさらに含んでいてもよい。
マトリックス樹脂の粘度は、特に制限されないが、0.1〜1000mPa・sであることが好ましく、0.1〜500mPa・sであることがより好ましく、0.1〜300mPa・sであることがさらに好ましい。マトリックス樹脂の粘度が0.1mPa・s以上であると、マトリックス樹脂を金型等に入れる際にマトリックス樹脂が過剰に流動することを抑制または防止できることから好ましい。一方、マトリックス樹脂の粘度が1000mPa・s以下であると、繊維強化複合材料またはその硬化物を製造する際に流動しやすくなり、ガス抜けが可能となる、充填しやすい等ができることから好ましい。なお、本明細書において、「マトリックス樹脂の粘度」は、120℃で測定した最低粘度を意味する。また、「マトリックス樹脂の粘度」の値は、以下の方法で測定された値を採用するものとする。すなわち、DSR−200(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー株式会社製)を用いて、周波数1Hz、パラレルプレート(25mmφ、ギャップ0.5mm)の条件で測定を行う。120℃に加温したプレート間にマトリックス樹脂を挟み込み、経時で粘度を測定した際の最低粘度をマトリックス樹脂の粘度とする。
(第2のビスフェノール型エポキシ樹脂)
第2のビスフェノール型エポキシ樹脂は、上述した第1のビスフェノール型エポキシ樹脂と同一のものが用いられることからここでは説明を省略する。
第1のビスフェノール型エポキシ樹脂および第2のビスフェノール型エポキシ樹脂は同じものを用いても、異なるものを用いてもよいが、同じものを用いることが好ましい。すなわち、一実施形態において、好ましくは第1のビスフェノール型エポキシ樹脂および第2のビスフェノール型エポキシ樹脂が同一のものを含み、より好ましくは第1のビスフェノール型エポキシ樹脂および第2のビスフェノール型エポキシ樹脂が同一のものからなる。
第2のビスフェノール型エポキシ樹脂のマトリックス樹脂中の含有量は、マトリックス樹脂の固形分質量に対して、60〜95質量%であることが好ましく、70〜85質量%であることがより好ましい。第2のビスフェノール型エポキシ樹脂の含有量が60質量%以上であると、繊維−樹脂界面の強度を高くすることができることから好ましい。一方、第2のビスフェノール型エポキシ樹脂の含有量が95質量%以下であると、耐熱性を高くできることから好ましい。なお、本明細書において「マトリックス樹脂の固形分質量」とは、マトリックス樹脂の揮発成分を除いた不揮発成分(固形分)の質量を意味する。
(第2の他の樹脂)
本形態に係るマトリックス樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で第2の他の樹脂を含んでいてもよい。
前記第2の他の樹脂は、第2のビスフェノール型エポキシ樹脂を除く高分子化合物を意味する。
第2の他の樹脂としては、特に制限されないが、実質的には第1の他の樹脂と同様のものが用いられうる。第2の他の樹脂は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第2の他の樹脂のマトリックス樹脂中の含有量は、マトリックス樹脂の固形分質量に対して、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
(アミン硬化剤)
アミン硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させる機能を有する。この際、前記エポキシ樹脂には、第1のビスフェノール型エポキシ樹脂、第1の他の樹脂に含まれるエポキシ樹脂、第2のビスフェノール型エポキシ樹脂、第2の他の樹脂に含まれるエポキシ樹脂が含まれうる。なお、前記アミン硬化剤は、通常、第1級アミノ基および/または第2級アミノ基を有する。
アミン硬化剤としては、特に制限されないが、鎖状式アミン化合物、脂環式アミン化合物、芳香族ポリアミン化合物等が挙げられる。
前記鎖状式アミン化合物としては、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン(TETA)、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリエチレンイミンのダイマー酸エステル、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、アジピン酸ヒドラジド等が挙げられる。
前記脂環式アミン化合物としては、メンセンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3−BAC)、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、N−アミノエチルピペラジン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン、N−メチルピペラジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、N−2−アミノエチルピペラジン等が挙げられる。
前記芳香族ポリアミン化合物としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジアミノジエチルジフェニルメタン等が挙げられる。
これらのうち、アミン硬化剤は、曲げ強度、曲げ弾性率、引張強度、ILSS(Interlaminar Shear Strength)等の機械物性がより向上する観点から、脂環式アミン化合物であることが好ましく、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3−BAC)、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンであることが好ましく、耐熱性が高く、低粘度で繊維への含浸性に優れる観点から、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3−BAC)、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサンを用いることがより好ましい。
アミン硬化剤の含有量は、マトリックス樹脂の固形分質量に対して、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。アミン硬化剤の含有量が5質量%以上であると硬化前の粘度を低くして、繊維への含浸性を高くできることから好ましい。一方、アミン硬化剤の含有量が40質量%以下であると得られる硬化物の耐熱性を高くできることから好ましい。
(他の硬化剤)
マトリックス樹脂は他の硬化剤を含んでいてもよい。前記他の硬化剤とは、アミン硬化剤以外の硬化剤を意味する。
他の硬化剤としては、特に制限されないが、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系化合物等が挙げられる。
上述の他の硬化剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(フェノール化合物)
マトリックス樹脂はフェノール化合物を含んでいてもよい。
フェノール化合物は、硬化速度を制御する機能、マトリックス樹脂の粘度を調整する機能等を有する。
フェノール化合物の具体例としては、フェノール;クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールZ等のアルキルフェノール化合物;カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の多価フェノール化合物;1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物;下記式で表される第3級アミノ基を有するフェノール化合物等が挙げられる。
Figure 2019082672
上記式において、Rは、それぞれ独立して、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アラルキル基を表し、Bはアルキレンを表し、pは1〜3の整数を表し、qは1〜5の整数を表し、この際、pおよびqの和は6以下の整数である。
前記アルキル基としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、特に制限されないが、メトキシ基、エトキシ機、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、シクロブチルオキシ基等が挙げられる。
前記アラルキル基としては、特に制限されないが、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、トリルメチル基、トリルエチル基、トリルプロピル基、キシリルメチル基、キシリルエチル基、キシリルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基等が
挙げられる。
これらのうち、前記Rとしては、アルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
前記Bとしては、特に制限されないが、メチレン、エチレン、プロピレン、イソブチレン、sec−ブチレン、tert−ブチレン等が挙げられる。これらのうち、メチレン、エチレンであることが好ましく、メチレンであることがより好ましい。
前記pは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。
qは1〜5の整数を表し、好ましくは1、2、または3であり、より好ましくは、2または3である。
このような第3級アミノ基を有するフェノール化合物としては、2−ジメチルアミノメチルフェノール、4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,6−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−ジメチルアミノエチルフェノール、4−ジメチルアミノエチルフェノール、2,4−ビス(ジメチルアミノエチル)フェノール、2,6−ビス(ジメチルアミノエチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノエチル)フェノール、4−ジメチルアミノメチルカテコール、4−ジメチルアミノメチルレゾルシノール等が挙げられる。
上述のうち、フェノール化合物は、曲げ強度、曲げ弾性率、引張強度、ILSS(Interlaminar Shear Strength)等の機械物性がより向上する観点から、第3級アミノ基を有するフェノール化合物であることが好ましく、硬化物の耐熱性が高くできる観点から、2−ジメチルアミノメチルフェノール、4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,6−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールであることがより好ましく、硬化物の耐熱性が高く、硬化性を速くすることができる観点から、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールであることがさらに好ましい。
なお、上述のフェノール化合物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール化合物の含有量は、マトリックス樹脂の固形分質量に対して、0.5〜10.0質量%であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることがより好ましい。フェノール化合物の含有量が0.5質量%以上であると硬化性を速くできることから好ましい。一方、フェノール化合物の含有量が10.0質量%以下であると硬化物の耐熱性を高くできることから好ましい。
(硬化促進剤)
マトリックス樹脂は硬化促進剤を含んでいてもよい。
前記硬化促進剤としては、特に制限されないが、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)等のフェノール性水酸基を有さない第3級アミン化合物またはその塩;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート等のイミダゾール化合物;トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン化合物;3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエン等の尿素化合物等が挙げられる。これらの硬化促進剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化促進剤の添加量は、マトリックス樹脂の固形分質量に対して、0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.5〜3.0質量%であることがより好ましい。
(有機溶媒)
マトリックス樹脂は有機溶媒を含んでいてもよい。前記有機溶媒は、マトリックス樹脂の粘度を調製する機能を有する。
有機溶媒としては、特に制限されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;イソプロピルアルコール、ブタノール、セロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒のマトリックス樹脂中の含有量は、集束剤のマトリックス樹脂質量100部に対して、70部以下であることが好ましく、45部以下であることがより好ましい。
(添加剤)
マトリックス樹脂は添加剤を含んでいてもよい。
前記添加剤としては、特に制限されないが、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等の難燃剤;酸化チタン、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、窒化ケイ素等の充填剤;可塑剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;光安定化剤;帯電防止剤;導電性付与剤;応力緩和剤;離型剤;結晶化促進剤;加水分解抑制剤;潤滑剤;衝撃付与剤;摺動性改良剤;相溶化剤;核剤;強化剤;補強剤;流動調整剤;染料;増感材;着色用顔料;ゴム質重合体;増粘剤;沈降防止剤;タレ防止剤;消泡剤;カップリング剤;防錆剤;抗菌・防カビ剤;防汚剤;導電性高分子等が挙げられる。これらの添加剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(マトリックス樹脂の製造方法)
マトリックス樹脂の製造方法は、特に制限されず、公知の方法で製造されうる。例えば、マトリックス樹脂の製造方法としては、第2のビスフェノール型エポキシ樹脂にアミン硬化剤を添加し、次いで必要に応じて、フェノール化合物等を添加する方法等が挙げられる。
[繊維強化複合材料の形態]
繊維強化複合材料は、上述の強化繊維束およびマトリックス樹脂を含む。すなわち、繊維強化複合材料は、前記強化繊維束およびマトリックス樹脂が含む第1のビスフェノール型エポキシ樹脂、第2のビスフェノール型エポキシ樹脂、第1の他の樹脂、第2の他の樹脂等に含まれうる熱硬化性樹脂が硬化していない形態を有する。
具体的な繊維強化複合材料の形態としては、強化繊維束にマトリックス樹脂が含浸したシート状の形態(プリプレグ)、粒子状の形態(ペレット)、液状混合物の形態等が挙げられる。
繊維強化複合材料の形態がプリプレグである場合、強化繊維束は、繊維方向が一方向に揃えられたUD(UniDerection)材の形態であってもよいし、縦および横に編み込まれた織物材の形態であってもよい。なお、前記織物材の形態としては、平織、綾織、朱子織等のいずれであってもよい。また、プリプレグは、2以上が積層されていてもよい。この際、積層枚数、積層方向等についても特に制限ない。これらの形態は、所望の性能等によって適宜選択される。
また、繊維強化複合材料の形態がペレットである場合、その形状については、特に制限されず、球状、楕円状、円柱状、多角柱状、針状、棒状、板状、円板状、薄片状、鱗片状、不定形等のいずれであってもよい。
<硬化物>
本発明の一形態によれば、硬化物が提供される。前記硬化物は、繊維強化複合材料を硬化してなる。この際、前記硬化物は、繊維強化複合材料に含まれうる熱硬化性樹脂が硬化している形態を有する。なお、熱硬化性樹脂が硬化していない場合には、繊維強化複合材料に該当する。ここで、本明細書において、「繊維強化複合材料の硬化」とは、示差走査熱量測定(DSC)を実施した際に、硬化発熱が観測されない状態を意味する。
硬化物の形態は、どのような形態を有していてもよい。例えば、単に繊維強化複合材料を硬化して得られる形態を有していてもよいし、得られた硬化物をさらに二次成形してもよい。
得られる硬化物は、機械物性に優れることから、種々の用途、例えば、自動車、航空機、船舶、鉄道等の輸送機分野;風力発電、圧力容器、燃料電池、太陽電池、二次電池、海底油田等のエネルギー分野;建築材料、橋梁構造物、地下構造物、海洋構造物等の土木・建築分野;ロボットアーム、ロール、機械部品等の産業機械分野;筐体、表示装置、半導体、電磁波吸収材料、ICトレー、コンデンサ、キャパシタ、熱源体等の電気・電子分野;医療機器、医療器具等の医療分野;ゴルフシャフト、ゴルフヘッド、釣り具、ヨット、クルーザー、ボート、テニスラケット、バトミントンラケット、野球バット、自転車等のスポーツ・レジャー分野等に好適に適用されうる。なかでも、高い機械物性が要求されうる輸送機分野に特に好適に適用されうる。
<繊維強化複合材料および硬化物の製造方法>
繊維強化複合材料の製造方法は、特に制限されないが、強化繊維束にマトリックス樹脂を含浸させる工程を含む。
含浸方法については、特に制限されない。例えば、強化繊維束に対してマトリックス樹脂を接触させてもよいし、マトリックス樹脂に対して強化繊維束を接触させてもよい。具体的には、金型等に強化繊維束を所定の配列に配置し、これにマトリックス樹脂を流し込む方法、マトリックス樹脂中に強化繊維束を浸漬させる方法等が挙げられる。
得られる繊維強化複合材料の形態に応じて、追加の工程をさらに含んでいてもよい。例えば、繊維強化複合材料の形態がプリプレグである場合には、プリプレグを積層する工程をさらに含んでいてもよい。
硬化物の製造方法は、前記繊維強化複合材料を硬化する工程を含む。
この際、硬化温度は、60〜180℃であることが好ましく、80〜140℃であることがより好ましい。硬化温度が60℃以上であると、硬化完了時間を短くできることから好ましい。一方、硬化温度が180℃以下であると、製造時のエネルギーを抑制できることから好ましい。
また、硬化は予備硬化および本硬化の二段階で行ってもよい。この場合、予備硬化の温度は、40〜100℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。また、本硬化の温度は、60〜180℃であることが好ましく、80〜140℃であることがより好ましい。
硬化時間は、1〜120分であることが好ましく、1〜30分であることがより好ましい。硬化時間が1分以上であると、後述するRTM法等において強化繊維束がマトリックス樹脂に含浸するのに十分な時間が得られることから好ましい。一方、硬化時間が120分以下であると、製造効率が向上することから好ましい。
硬化物の製造方法は、必要に応じて追加の工程をさらに含んでいてもよい。例えば、二次成形する工程をさらに含んでいてもよい。前記二次成形としては、機械加工、ウォータージェット加工、レーザー加工等の切削加工;接着、溶着等の接合等が挙げられる。
好ましい一実施形態において、繊維強化複合材料および/または硬化物の製造方法としては、ハンドレイアップ、スプレーアップ、シート成形(SMC)、フィラメントワインディング、レジントランスファー成形(RTM)、真空含浸工法(VaRTM)、オートクレーブ法等が挙げられる。
前記ハンドレイアップは、繊維を型にセットし、ローラーや刷毛で樹脂を塗布して含浸させながら脱泡し、硬化する方法である。
前記スプレーアップは、繊維と樹脂をスプレーガンから型へ吹き付けて、ローラーや刷毛で含浸させながら脱泡成形し、硬化する方法である。
前記シート成形(SMC)は、繊維に樹脂を含浸させた繊維強化複合材料を、フィルムで挟んで、ローラーを通して連続シートとし、切断して金型内に積んで、プレスで加熱・加圧する方法である。
前記フィラメントワインディングは、繊維を、マトリックス樹脂を含む樹脂浴に通過させて含浸させた繊維複合材料を、回転する金型に巻きつけた後、加熱硬化する方法である。
前記レジントランスファー成形(RTM)は、繊維中間体をセットした凹型を、凸型で密閉してから樹脂を注入し、圧力含浸して硬化する方法である。
前記真空含浸工法(VaRTM)は、成形型の上に積層した強化繊維束を、プラスチックフィルム等に封入して真空吸引した後に、マトリックス樹脂を注入・含浸して硬化させる方法である。
前記オートクレーブ法は、強化繊維束にマトリックス樹脂を含浸し半硬化状態にしたプリプレグを型に積層してプラスチックフィルムなどで積層面全面を覆い、気密シールしてバギングを行い、減圧脱気したままオートクレーブ(加熱加圧成形釜)に入れ加熱・加圧して硬化する方法である。
これらのうち、量産性および低コストの観点から、レジントランスファー成形(RTM)、真空含浸工法(Va−RTM)、フィラメントワインディングが好ましく、レジントランスファー成形(RTM)がより好ましい。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は実施例の記載に制限されるものではない。なお、実施例において「部」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」を表す。
[合成例1]
(アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂の合成)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、エポキシ基とヒドロキシ基とを有する化合物であるエピクロン1050(ヒドロキシ基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:477g/当量、DIC株式会社製)52部と、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルであるユニオックスM−550(ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、水酸基価:100、日油株式会社製)65部と、メチルエチルケトン34部とを加え、40℃で十分に撹拌溶解した。次いで、40℃でポリイソシアネートであるトリレンジイソシアネート20部を添加し、60〜65℃で6時間反応させることで、メトキシポリオキシエチレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂を合成した。
なお、得られたメトキシポリオキシエチレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂について、以下の方法で重量平均分子量を測定した。すなわち、標準物質をポリスチレンとするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定した。具体的には、高速GPCであるHLC−8220(東ソー株式会社製)、カラム(TSK−GELGMHXL×2)を使用し、サンプル5mgを10gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した溶液200mLを装置に注入し、流量:1mL/分(THF)、恒温槽温度:40℃、示差屈折(RI)検出器にて測定した。その結果、メトキシポリオキシエチレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂の重量平均分子量は、11,000であった。
(集束剤コーティング剤の調製)
上記で合成したメトキシポリオキシエチレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂に、第1のビスフェノール型エポキシ樹脂であるエピクロン840(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:190g/当量、DIC株式会社製)137部、および界面活性剤であるエマルゲンA−500(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、花王株式会社製)27部を加え十分に撹拌した。
次いで、イオン交換水920部を30分かけて滴下し、さらに15分間撹拌混合した。得られた水分散物を減圧蒸留により濃縮して、不揮発分30質量%の集束剤コーティング剤1000部を調製した。
[合成例2]
(アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂の合成)
エピクロン1050の添加量を73部、ユニオックスM−550の添加量を92部、メチルエチルケトンの添加量を48部、トリレンジイソシアネートの添加量を28部に変更したことを除いては、合成例1と同様の方法で、メトキシポリオキシエチレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂を合成した。なお、合成例1と同様の方法で重量平均分子量を測定したところ、11,500であった。
(集束剤コーティング剤の調製)
上記で合成したメトキシポリオキシエチレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂に、エピクロン840 97部、他の樹脂であるエピクロンN−740-80M(フェノ−ルノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:190g/当量、DIC株式会社)121部、およびエマルゲンA−500 29部を加え十分に撹拌した。
次に、イオン交換水1190部を用いたことを除いては合成例1と同様の方法で、不揮発分30質量%の集束剤コーティング剤1000部を調製した。
[合成例3]
(アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂の合成)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリオ−ルであるポリエチレングリコール(数平均分子量:330、水酸基価:187)45部およびメチルエチルケトン36部を加え、40℃で十分に撹拌溶解した。次いで、40℃でトリレンジイソシアネート26部を添加し、60〜65℃で4時間反応させた。次に、エピクロン1050 54部、およびポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルであるポリエチレングリコールモノメチルエーテル(水酸基価:102)17部を加えて60〜65℃で4時間反応させることで、メトキシポリオキシエチレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂を合成した。なお、合成例1と同様の方法で重量平均分子量を測定したところ、12,000であった。
(集束剤コーティング剤の調製)
上記で合成したメトキシポリオキシエチレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂に、第1のビスフェノール型エポキシ樹脂であるエピクロン830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:190g/当量、DIC株式会社製)140部、およびエマルゲンA−500 14部を加え十分に撹拌した。
次に、イオン交換水900部を用いたことを除いては合成例1と同様の方法で、不揮発分30質量%の集束剤コーティング剤1000部を調製した。
[合成例4]
(アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂の合成)
エピクロン1050の添加量を55部、ユニオックスM−550の添加量を120部、メチルエチルケトンの添加量を36部、トリレンジイソシアネートの添加量を20部に変更したことを除いては、合成例1と同様の方法で、メトキシポリオキシエチレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂を合成した。なお、合成例1と同様の方法で重量平均分子量を測定したところ、10,500であった。
(集束剤コーティング剤の調製)
エピクロン840を添加せず、イオン交換水の使用量を970部に変更したことを除いては合成例1と同様の方法で不揮発分30質量%の集束剤コーティング剤1000部を調製した。
[合成例5]
(アルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂の合成)
合成例3と同様の方法で、メトキシポリオキシエチレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂を合成した。なお、合成例1と同様の方法で重量平均分子量を測定したところ、12,000であった。
(集束剤コーティング剤の調製)
エピクロン840を添加せず、イオン交換水の使用量を900部に変更したことを除いては合成例1と同様の方法で不揮発分30質量%の集束剤コーティング剤1200部を調製した。
[合成例6]
(集束剤コーティング剤の調製)
エピクロン840 330部およびエマルゲンA−500 33部加え、十分に撹拌した。イオン交換水920部を30分かけて滴下し、さらに15分間撹拌混合した。得られた水分散物を減圧蒸留により濃縮して、不揮発分30質量%の集束剤コーティング剤1000部を調製した。
合成例1〜6で製造した集束剤コーティング剤の組成を下記表1に示す。
Figure 2019082672
[実施例1]
[強化繊維束の作製]
ポリアクリロニトリル系炭素繊維(単糸径:7μm、ストランド強度:4,400MPa、弾性率:235GPa)6000本のノーサイズ糸を束ね、これを、合成例で調整した集束剤コーティング剤(不揮発分30質量%)をイオン交換水で不揮発分5質量%に希釈したものに浸漬法で含浸した。次いで、ローラーで絞ることで有効成分の付着量を1質量%に調整し、150℃で30分間熱処理することによって、繊維集束剤によって表面処理の施された強化繊維束を得た。
(マトリックス樹脂の調製)
第2のビスフェノール型エポキシ樹脂であるエピクロン850(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:188g/当量、DIC株式会社製)100部に、アミン硬化剤である1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3−BAC、三菱ガス化学株式会社製)18.9部およびフェノール化合物であるアンカミン K−54(2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、エボニック株式会社製)2部を25℃で混合し、撹拌することでマトリックス樹脂を調製した。
(繊維強化複合材料および硬化物の製造)
金型内に、上記で作成した強化繊維束を繊維方向が0°と90°となるように、交互に9枚積層して強化繊維シートを作製した。次いで、上記調製したマトリックス樹脂を金型内に注入し、130℃で10分処理することで、厚みが2mmの硬化物を製造した。炭素繊維重量含有量は、65%であった。
[実施例2]
フェノール化合物をp−tert−ブチルフェノール(PTBP、DIC株式会社製)に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料および硬化物を製造した。
[実施例3]
アミン化合物をトリエチレンテトラミン(TETA、東ソー株式会社製)に変更し、添加量を12.9部としたことを除いては、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料および硬化物を製造した。
[実施例4]
第2のビスフェノール型エポキシ樹脂を、エピクロン830−S(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:170g/当量、DIC株式会社製)に変更し、1,3−BACの添加量を20.9部に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料および硬化物を製造した。
[実施例5]
集束剤コーティング剤を合成例2で調製したものに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料および硬化物を製造した。
[実施例6]
アミン化合物をTETAに変更し、添加量を12.9部としたことを除いては、実施例5と同様の方法で繊維強化複合材料および硬化物を製造した。
[実施例7]
集束剤コーティング剤を合成例3で調製したものに変更し、第2のビスフェノール型エポキシ樹脂をエピクロン830−Sに変更し、アミン化合物をTETAに変更し、添加量を14.3部としたことを除いては、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料および硬化物を製造した。
[実施例8]
アミン化合物を1,3−BACに変更し、添加量を20.9部としたことを除いては、実施例7と同様の方法で繊維強化複合材料および硬化物を製造した。
[比較例1]
集束剤コーティング剤を合成例4で調製したものに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料および硬化物を製造した。
[比較例2]
集束剤コーティング剤を合成例5で調製したものに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料および硬化物を製造した。
[比較例3]
集束剤コーティング剤を合成例6で調製したものに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料および硬化物を製造した。
実施例1〜8および比較例1〜3で製造した繊維強化複合材料の組成を下記表1に示す。
Figure 2019082672
[硬化物の評価]
実施例1〜8および比較例1〜3で製造した硬化物の評価を行った。
(曲げ強度、曲げ弾性率)
精密万能試験機(島津製作所株式会社製)を用い、JIS K7074:1998の方法に準拠し、測定を実施した。得られた結果を下記表3に示す。
(引張り強度)
精密万能試験機(島津製作所株式会社製)を用い、JIS K7165:2008の方法に準拠し、測定を実施した。得られた結果を下記表3に示す。
(ILSS)
精密万能試験機(島津製作所株式会社製)を用い、JIS K7078:1991の方法に準拠し、測定を実施した。得られた結果を下記表3に示す。
Figure 2019082672
表3の結果から、実施例1〜8で得られた硬化物は、比較例1〜3で得られた硬化物に比べて、優れた機械物性を有することが分かる。

Claims (5)

  1. 強化繊維および集束剤を有する強化繊維束と、マトリックス樹脂と、を含む、繊維強化複合材料であって、
    前記集束剤が、第1のビスフェノール型エポキシ樹脂およびアルコキシポリオキシアルキレン構造を有するウレタン変性エポキシ樹脂を含み、
    前記マトリックス樹脂が、第2のビスフェノール型エポキシ樹脂およびアミン硬化剤を含む、繊維強化複合材料。
  2. 前記第1のビスフェノール型エポキシ樹脂および前記第2のビスフェノール型エポキシ樹脂が、同一のものを含む、請求項1に記載の繊維強化複合材料。
  3. 前記アミン硬化剤が、脂環式アミン化合物である、請求項1または2に記載の繊維強化複合材料。
  4. 前記マトリックス樹脂が、フェノール化合物をさらに含み、
    前記フェノール化合物が、第3級アミノ基を有するフェノール化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料を硬化してなる、硬化物。
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