JP6950174B2 - エポキシ樹脂組成物、並びにこれを用いた成形品、プリプレグ及び繊維強化プラスチック - Google Patents
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Description
繊維強化プラスチックの製造方法としては、強化繊維等の長繊維(連続繊維)からなる補強材にマトリックス樹脂を含浸させた中間材料、すなわちプリプレグを使用する方法がある。この方法によれば、繊維強化プラスチックの強化繊維の含有量を管理しやすいとともに、その含有量を高めに設計することが可能であるという利点がある。
しかしながら、エポキシ樹脂は、一般にその硬化物が脆く、靱性が低い傾向にあるため、繊維強化プラスチックの破壊靱性や剛性の改善が技術的な課題であった。そこで、近年、ナノフィラーをマトリックス中に分散させることで、その改善を図る検討がなされている。
特許文献1においては、マトリックス樹脂として用いられているエポキシ樹脂組成物の詳細が明らかにされていない。特許文献2〜4には、各種エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として使用した例が記載されているが、これらを用いた繊維強化プラスチックは、特に曲げ強度が充分ではなかった。
[1] 下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含むエポキシ樹脂組成物。
成分(A):軟化点80℃以上のビスフェノールF型エポキシ樹脂
成分(B):エポキシ当量250以下のビスフェノールF型エポキシ樹脂
成分(C):硬化剤
成分(D):セルロースナノファイバー
[2] 成分(C)がジシアンジアミド、ウレア類、イミダゾール類及び芳香族アミン類の中から選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[3] 前記成分(A)を全エポキシ樹脂100質量部中20質量部以上80質量部以下含む、[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] 前記成分(B)を全エポキシ樹脂100質量部中20質量部以上80質量部以下含む、[1]〜[3]のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物。
[5] 前記成分(D)を本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対し、0.1〜15質量部含む、[1]〜[4]のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物。
[6] さらに、成分(E)として熱可塑性樹脂を含む、[1]〜[5]のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物。
[7] 前記成分(E)を全エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上15質量部以下含む、[6]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物からなる成形品。
[9] [1]〜[7]のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物が強化繊維集合体に含浸したプリプレグ。
[10] [1]〜[7]のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維とからなる繊維強化プラスチック。
[11] 管状である、[10]に記載の繊維強化プラスチック。
なお、本発明において、「エポキシ樹脂」とは、1分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を意味する。
また、「エポキシ樹脂組成物」という用語は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、硬化促進剤と、場合により熱可塑性樹脂やその他の添加剤とを含む組成物を意味する。
また、本発明において、エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を「樹脂硬化物」と称し、その中でも特に板状の硬化物を「樹脂板」と称することがある。
なお、本発明で軟化点、エポキシ当量、活性水素当量とは、以下の条件で測定される値である。
1)軟化点:JIS−K7234:2008(環球法)に準拠して測定される値である。
2)エポキシ当量:JIS K−7236:2001に準拠して測定される値である。
3)活性水素当量:JIS K−7237:1986に準拠して測定される値である。
本発明のエポキシ樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物」とも記す。)は、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を含む。さらに成分(E)やその他成分(F)、及び任意成分としての添加剤を含んでもよい。
成分(A)は、軟化点80℃以上のビスフェノールF型エポキシ樹脂である。成分(A)の軟化点が80℃以上であれば、本樹脂組成物の樹脂硬化物が、優れた靱性を有する。
成分(A)の含有量の下限は、好ましくは25質量部以上であり、より好ましくは30質量部以上である。また、成分(A)の含有量の上限は、好ましくは75質量部以下であり、より好ましくは70質量部以下である。
本樹脂組成物中、成分(A)の含有量が20質量部以上であれば、靱性に優れた樹脂硬化物を得ることができる傾向にある。一方、成分(A)の含有量が80質量部以下であれば、樹脂硬化物の耐熱性が適正に保たれ、タックやドレープ性に優れたプリプレグを得ることができるとともに、ボイドの無い繊維強化複合材料を得ることができる傾向にある。
市販品として入手可能な、軟化点80℃以上のビスフェノールF型エポキシ樹脂(成分(A))としては、これらに限定されないが、jER4004P、jER4005P、jER4007P、jER4010P(いずれも商品名、三菱化学株式会社製)やYDF2004(商品名、KUKDO CHEMICAL社製)等が挙げられる。
成分(A)として、上述のエポキシ樹脂のいずれもが本発明に好ましく用いられ、これらの中から1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
成分(B)は、エポキシ当量250以下のビスフェノールF型エポキシ樹脂である。成分(B)は主に、本樹脂組成物の樹脂硬化物の強度や弾性率、耐熱性の向上に寄与する。
本樹脂組成物は、成分(B)を、本樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部中20質量部以上80質量部以下含む。
成分(B)の含有量の下限は、好ましくは25質量部以上であり、より好ましくは30質量部以上である。また、成分(B)の含有量の上限は、好ましくは75質量部以下であり、より好ましくは70質量部以下である。
本樹脂組成物中、成分(B)の含有量が20質量部以上であれば、強度、弾性率に優れた樹脂硬化物を得ることができる傾向にある。一方、成分(B)の含有量が80質量部以下であれば、靱性に優れた樹脂硬化物を得ることができる傾向にある。
市販品として入手可能な、エポキシ当量250以下のビスフェノールF型エポキシ樹脂(成分(B))としては、これらに限定されないが、jER806(エポキシ当量165g/eq)、jER807(エポキシ当量170g/eq)(以上、三菱化学株式会社製)、YDF−170(エポキシ当量170g/eq)(新日鉄住金化学株式会社製)、EPICLON830(エポキシ当量170g/eq)、EPICLON835(エポキシ当量172g/eq)(以上、DIC株式会社製)、D.E.R354(エポキシ当量170g/eq)(THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)等が挙げられる。これらの中から1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
成分(C)は、硬化剤である。成分(C)として用いられる硬化剤としては特に限定されないが、例えば、ジシアンジアミド、ウレア類、イミダゾール類、芳香族アミン類、その他アミン系硬化剤、酸無水物及び塩化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。
成分(C)は、これらの中から2種類以上を併用してもよく、単独で1種類を使用してもよいが、特にジシアンジアミド、ウレア類、イミダゾール類及び芳香族アミン類の中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本樹脂組成物が成分(C)としてジシアンジアミドを含むと、本樹脂組成物の樹脂硬化物の機械物性が向上するため好ましい。
当該モル数が0.4倍以上であれば、耐熱性が良好で、機械物性が良好な、すなわち強度や弾性率が高い、樹脂硬化物が得られるため好ましい。また、当該モル数が1.0倍以下であれば、機械物性が良好な、すなわち塑性変形能力や耐衝撃性に優れた、樹脂硬化物が得られるため好ましい。
耐熱性がより優れた樹脂硬化物が得られることから、ジシアンジアミドの活性水素の当該モル数を0.5〜0.8倍とすることが、より好ましい。
ジシアンジアミドは、市販品を用いてもよい。
ジシアンジアミドの市販品としては、例えばDICY7、DICY15(活性水素当量21g/eq)(以上、三菱化学社製)、DICYANEX1400F(活性水素当量21g/eq)(エアープロダクツ社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
このようなウレア類として、例えば、ジメチルウレイド基が芳香環に結合した芳香族ジメチルウレアや、ジメチルウレイド基が脂肪族化合物に結合した脂肪族ジメチルウレア等が挙げられる。これらの中でも、硬化速度が速くなり、硬化物の耐熱性及び曲げ強度が高くなる傾向があるため、芳香族ジメチルウレアが好ましい。
これらの中でも、硬化促進能力や樹脂硬化物への耐熱性付与といった点から、DCMU、MBPDMU、TBDMU、PDMUがより好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
脂肪族ジメチルウレアとしては、例えばイソホロンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア、ヘキサメチレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア等が挙げられるが、これらに限定されない。
DCMUの市販品としては、例えばDCMU−99(以上、保土谷化学工業社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
MBPDMUの市販品としては、例えばTechnicure MDU−11(以上、A&C Catalysts社製);Omicure(オミキュア)52(以上、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
PDMUの市販品としては、例えばOmicure(オミキュア)94(以上、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
TBDMUの市販品としては、例えばOmicure(オミキュア)24(以上、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製)、U−CAT 3512T(サンアプロ株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
脂肪族ジメチルウレアの市販品としては、例えばU−CAT 3513N(サンアプロ株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらは、その構造の中に非共有電子対を有する窒素原子を有し、これが成分(A)や成分(B)のエポキシ基を活性化したり、さらにその他併用する成分(C)をも活性化したりすることができ、硬化や硬化を促進することができる。
イミダゾールの市販品としては2E4MZ、2P4MZ、2PZ−CN、C11Z−CNS、C11Z−A、2MZA−PW、2MA−OK、2P4MHZ−PW、2PHZ−PW(以上、四国化成工業社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
イミダゾールアダクトの市販品としては、例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基へイミダゾール化合物が開環付加した構造を有する、PN−50、PN−50J、PN−40、PN−40J、PN−31、PN−23、PN−H(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
包接イミダゾールの市販品としては、例えばTIC−188、KM−188、HIPA−2P4MHZ、NIPA−2P4MHZ、TEP−2E4MZ、HIPA−2E4MZ、NIPA−2E4MZ(以上、日本曹達株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
マイクロカプセル型イミダゾールの市販品としては、例えばノバキュアHX3721、HX3722、HX3742、HX3748(以上、旭化成イーマテリアルズ株式会社製);LC−80(以上、A&C Catalysts社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
前記キュアダクトP−0505の替わりに、先に挙げた各種イミダゾールやイミダゾールアダクト等のイミダゾール化合物を用いても同様の効果が得られる。安定化剤を配位させる前のイミダゾール化合物としてはエポキシ樹脂に対する溶解性が低いものが好適に用いられ、この点からキュアダクトP−0505が好ましい。
4,4’−ジアミノジフェニルスルホンの市販品としてはセイカキュアS(活性水素当量62g/eq、和歌山精化工業(株)製)、スミキュアS(活性水素当量62g/eq、住友化学(株)製)等が、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンの市販品としては3,3’−DAS(活性水素当量62g/eq、三井化学ファイン(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
その他、芳香族アミン類の市販品としては、MDA−220(活性水素当量50g/eq、三井化学(株)製)、“jERキュア(登録商標)”W(活性水素当量45g/eq、ジャパンエポキシレジン(株)製)、Lonzacure(登録商標)M−DEA(活性水素当量78g/eq)、“Lonzacure(登録商標)”M−DIPA(活性水素当量92g/eq)、“Lonzacure(登録商標)”M−MIPA(活性水素当量78g/eq)及び“Lonzacure(登録商標)”DETDA 80(活性水素当量45g/eq)(以上、Lonza(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、成分(C)として用いることのできる酸無水物としては、水素化メチルナジック酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等が挙げられるが、これらに限定されない。
成分(D)はセルロースナノファイバーである。
成分(D)として本樹脂組成物に用いられるセルロースナノファイバーは、各種セルロースを解繊及び/又は微細化することで得られ、本樹脂組成物に配合することで、樹脂硬化物の破壊強度を向上することができる。
成分(D)の含有量が0.1質量部以上であれば、樹脂硬化物の破壊強度を向上させることができる傾向にあるため好ましい。また、成分(D)の含有量が15質量部以下であれば、エポキシ樹脂組成物の未硬化時の粘弾性が適正な範囲となる傾向にあるため好ましい。
綿は主に衣料用繊維に用いられる植物であり、綿花、綿繊維、綿布のいずれも利用可能である。
紙はパルプから繊維を取り出し漉いたもので、新聞紙や廃牛乳パック、コピー済み用紙等の古紙も好適に利用できる。
変性セルロースナノファイバーは、セルロースを解繊及び/又は微細化してセルロースナノファイバーを製造したのち、修飾する化合物をさらに添加して、セルロースナノファイバーと反応させることで得られる。つまり、セルロースナノファイバー表面の水酸基を修飾基により化学修飾し、前記水酸基を減じる反応によって、変性セルロースナノファイバーは得られる。
修飾する化合物としては、アルキル基、アシル基、アシルアミノ基、シアノ基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、アリールオキシ基、シリル基、カルボキシル基等の官能基をセルロースナノファイバーに化学的に結合させて修飾する化合物等が挙げられる。化学的な修飾により、セルロースナノファイバー間の水素結合による強い密着を防ぐことで高分子材料に容易に分散し、良好な界面結合を形成させることができる。また、化学修飾されることにより耐熱性を有するため、他の材料に混入させることで、他の材料に耐熱性を付与することができる。前記セルロースナノファイバー中の全体の水酸基のうち、修飾基により化学修飾される割合は、0.01%〜50%であることが好ましく、0.1%〜45%であることがより好ましい。
セルロースナノファイバーをエポキシ当量250以下のビスフェノールF型エポキシ樹脂に分散させたマスターバッチとして、YL7951−10(以上、三菱化学株式会社製)等があるが、これに限定されない。また、セルロースナノファイバーをエポキシ当量250以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂に分散させたマスターバッチとして、YL7883−3、YL7883−5、YL7883−10、YL7883−15、YL7923−3、YL7923−5、YL7923−10、YL7923−15(以上、三菱化学株式会社製)等があるが、これらに限定されない。
また、エポキシ当量250以下のビスフェノールF型エポキシ樹脂に、成分(D)を分散させたマスターバッチを用いる場合には、該マスターバッチに含まれるビスフェノールF型エポキシ樹脂の質量を、成分(B)の含有量と合算する。
一方、エポキシ当量250以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂に、成分(D)を分散させたマスターバッチを用いる場合には、該マスターバッチに含まれるビスフェノールA型エポキシ樹脂の質量を、後述の成分(F)の含有量と合算する。ただし、本樹脂組成物が成分(F)を、マスターバッチ由来の分を除いて他に含まないのであれば、成分(F)の含有量は、マスターバッチに含まれるビスフェノールA型エポキシ樹脂の質量と同一であるものとみなしてよい。
熱可塑性樹脂は、本発明のエポキシ樹脂組成物の成形時の樹脂フロー制御や樹脂硬化物への靱性付与を目的として、必要に応じて本発明のエポキシ樹脂組成物に成分(E)として配合することができる。すなわち、本樹脂組成物は、さらに、成分(E)として熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
成分(E)の含有量が1質量部以上であれば、樹脂フロー制御や物性改良効果が良好に発揮される傾向にあるため好ましい。一方、成分(E)の含有量が15質量部以下であれば、エポキシ樹脂組成物の粘度、樹脂硬化物の耐熱性や機械物性、プリプレグのタックやドレープ性が良好に保たれやすくなる傾向にあるため好ましい。
これらの中でも、樹脂フロー制御性等に優れることから、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂が好ましい。また、フェノキシ樹脂は、樹脂硬化物の難燃性をより高める観点から好ましく、ポリビニルホルマール樹脂は、硬化物の耐熱性を損なうことなく、得られるプリプレグのタックを適切な範囲に容易に制御でき、また強化繊維とエポキシ樹脂組成物の接着性を改善する観点から好ましい。ブロックポリマーは、靱性や耐衝撃性を向上させるため好ましい。
これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリビニルホルマール樹脂としては、ビニレック(登録商標)K(平均分子量:59,000)、ビニレックL(平均分子量:66,000)、ビニレックH(平均分子量:73,000)、ビニレックE(平均分子量:126,000)(以上JNC株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
成分(F)としては特に制限されないが、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく用いられる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、オキサゾリドン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノールのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂;テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシ)メタンのような上記以外のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及びこれらを変性したエポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、2官能エポキシ樹脂としてはエポキシ樹脂組成物の粘度及び耐熱性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましく用いられる。
3官能以上のエポキシ樹脂は、より優れた強度や弾性率、耐熱性が得られることから、パラ型やメタ型のトリグリシジルアミノフェノール型エポキシ樹脂やテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
本樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の様々な添加剤を含有してもよい。
添加剤としては、エラストマー、熱可塑性エラストマー、難燃剤(例えばリン含有エポキシ樹脂や赤燐、ホスファゼン化合物、リン酸塩類、リン酸エステル類等)、シリコーンオイル、湿潤分散剤、消泡剤、脱泡剤、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド、エステル類、パラフィン類等の離型剤、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の粉体や金属酸化物、金属水酸化物、ガラス繊維、炭素繊維等の無機充填剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シランカップリング剤等が挙げられる。さらに必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、カーボンナノチューブ、フラーレン等を配合することもできる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
30℃における本樹脂組成物の粘度は、得られるプリプレグ表面のタックの調整や作業性の観点から、粘度の下限値は100Pa・s以上が好ましく、300Pa・s以上がより好ましく、500Pa・s以上がさらに好ましい。また、粘度の上限値は1,000,000Pa・s以下が好ましく、900,000Pa・s以下がより好ましく、800,000Pa・s以下がさらに好ましい。
60℃における本樹脂組成物の粘度は、得られるプリプレグの品位の観点から、10Pa・s以上が好ましく、20Pa・s以上がより好ましく、30Pa・s以上がさらに好ましい。また、強化繊維集合体への含浸性や、プリプレグの成形加工性の観点から、1,000Pa・s以下が好ましく、900Pa・s以下がより好ましく、800Pa・s以下がさらに好ましい。
なお、この最低粘度は、昇温モードでエポキシ樹脂組成物の粘度を測定した際に得られる粘度カーブにおいて粘度が一番低くなる点と定義される。
また、エポキシ樹脂組成物の粘度は、例えば、回転粘度計(TAインスツルメント社製、品名「AR−G2」)で25mmφパラレルプレートを用いて、プレートギャップ500μm、昇温速度2℃/分で昇温、角速度10rad/sec、ストレス300Paで測定することにより求められる。
本樹脂組成物は、ポットライフに優れる。例えば、配合直後のエポキシ樹脂組成物と、温度20℃、湿度50%の環境下で90日間、保管した時点のエポキシ樹脂組成物のガラス転移点を測定した場合、90日経時後のガラス転移点の上昇を20℃以下とすることができる。ガラス転移点の上昇を20℃以下とすることで、本発明のエポキシ樹脂組成物をプリプレグ化した後にこれを常温下で長期間保管した場合であっても、マトリックス樹脂の反応が抑制され、プリプレグのタックやドレープが適切な範囲に留まり、ハンドリングに適するため好ましい。より好ましくは、上記のガラス転移点の上昇を15℃以下とするのがより好ましい。なお、ガラス転移点は、示差走査熱量分析(DSC)により求めることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、その樹脂硬化物の弾性率が3.5〜5GPaの範囲内であることが好ましく、その樹脂硬化物の破断伸度が10〜15%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、弾性率が3.6〜5.0GPa、破断歪が10〜14%である。かかる弾性率が3.5GPaに満たない場合や破断伸度が15%を優に超える場合は繊維強化複合材料とした際の静的強度が不充分となる場合がある。5GPaを超える場合や破断歪が10%に満たない場合は、繊維強化複合材料とした際の靱性が不充分となりがちで、繊維強化複合材料の耐衝撃性が不足する場合がある。ここで、弾性率については、本発明の効果を損なうことのない範囲内で、セルロースナノファイバーを含有することにより、向上させることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、これに限定されないが、例えば、上述した各成分を混合することにより得られる。
各成分の混合方法としては、三本ロールミル、プラネタリミキサー、ニーダー、ホモジナイザー、ホモディスパー等の混合機を用いる方法が挙げられる。
本樹脂組成物は、例えば、後述するように、強化繊維集合体に含浸させてプリプレグの製造に用いることができる。他にも、本樹脂組成物を離型紙等に塗布して硬化することで、本樹脂組成物のフィルムを得ることができる。
以上説明した本樹脂組成物は、上述した成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)、必要に応じて成分(E)や成分(F)及びその他添加剤を含むため、本樹脂組成物を用いれば、機械物性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明の成形品は、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物からなる。
エポキシ樹脂組成物の成形法としては、例えば射出成形法(フィルムやガラス板等のインサート成形を含む)、射出圧縮成形法、押出法、ブロー成形法、真空成形法、圧空成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法等が挙げられる。これらの中でも、量産性に優れ、高い寸法精度の成形品を得ることができる点から、射出成形法、射出圧縮成形法が好ましいが、これらに限定されない。
本発明の成形品は、本発明のエポキシ樹脂組成物を成形してなるので、機械物性に優れるため、例えば車両用製品、モバイル機器等の筐体、家具用製品、建材用製品等に適用できる。
本発明の成形品の実施形態の一つに、フィルムとしての使用がある。このフィルムはプリプレグを製造するための中間材料として、また、基材に貼り付けた後、硬化させることによって、表面保護フィルム又は、接着フィルムとしても有用である。
また、その使用方法は、これに限定されないが、本発明のエポキシ樹脂組成物を離型紙等の基材の表面に塗布することが好ましい。得られた塗布層は、未硬化のまま別の基材に張り付けて硬化させることで、フィルムとして使用してもよく、前記塗布層自体を硬化させることで、フィルムとして使用してもよい。
本発明のプリプレグは、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物が強化繊維集合体に含浸したものである。本樹脂組成物を強化繊維集合体に含浸させる方法としては、公知の方法でよく、例えば、本樹脂組成物をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して、低粘度化してから含浸させるウェット法と、加熱により低粘度化してから含浸させる、ホットメルト法(ドライ法)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
ホットメルト法によれば、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上存在しないため好ましい。
これらの強化繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
炭素繊維のストランド引張強度及びストランド引張弾性率は、JIS R 7601:1986に準拠して測定される値である。
本発明のプリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物を強化繊維集合体に含浸させてなるので、機械物性に優れた繊維強化プラスチックの原材料とすることができる。
本発明の繊維強化プラスチックは、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維とからなる。
本発明の繊維強化プラスチックは、これに限定されないが、例えば、上述した本発明のプリプレグを積層した後、積層体に圧力を付与しながら、エポキシ樹脂を加熱硬化させる方法等により成形して得られる。
本発明の繊維強化プラスチックは、機械特性、難燃性、耐熱性、電磁波遮蔽性等に優れることから、強化繊維として炭素繊維を含むことが好ましい。
また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せしめ、成形する方法である。本方法は、ゴルフシャフト、バット、テニスやバドミントン等のラケットの如き複雑な形状物を成形する際に好ましく用いられる。
上述した本発明の繊維強化プラスチックから構造体を得ることができる。この構造体は、本発明の繊維強化プラスチックのみからなるものであってもよいし、本発明の繊維強化プラスチックと他の材料(例えば金属、インジェクション成形された熱可塑性樹脂製部材等)とから構成されるものであってもよい。
この構造体は、例えば航空機や自動車の内装部材、電気・電子機器用筐体等にも適用できる。
層間せん断強度(ILSS)は、強化繊維の単糸/マトリックス樹脂間の界面強度が大きく影響する一方向繊維強化プラスチックの層間せん断強度を短試長曲げ試験により測定する方法であり、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を示す指標である。
ILSSは万能試験機(INSTRON社製、「INSTRON 5565」)を用いて、温度23℃、湿度50%RHの条件下で測定される値である。
ILSSが90MPaに満たない場合は、強化繊維とエポキシ樹脂組成物との接着が不充分となり、繊維強化複合材料の耐衝撃性が不足する場合がある。ILSSが150MPaを超える場合は、繊維強化複合材料の引張強度が不充分となる場合がある。
繊維強化プラスチック製管状体は、管状である、本発明の繊維強化プラスチックである。すなわち、上述した本発明のプリプレグを、ラッピングテープ法等の公知の成形方法によって、積層、硬化及び成形して得られる、管状の繊維強化プラスチックである。
本発明の繊維強化プラスチック製管状体は、優れた破壊強度・弾性率を有するため、ゴルフシャフト、釣り竿等に好適に用いることができる。
具体的には例えば、以下の(I)〜(V)に記すような方法で作製できるがこれに限定されない。
(I)作製した一方向プリプレグから、縦200mm×横76mmの長方形状のプリプレグを、長辺方向に対して繊維軸方向が45度となるように、2枚切り出す。この2枚のプリプレグの繊維の方向をお互いに交差するように、かつ短辺方向に9mmずらして張り合わせる。
(II)離型処理したマンドレルに、上記張り合わせたプリプレグを、その長辺とマンドレル軸方向が同一方向になるように捲回する。
(III)その上に、作製した一方向プリプレグから、縦200mm×横161mmの長方形状のプリプレグを、長辺方向が繊維方向となるように切り出したものを、その繊維方向がマンドレル軸方向と同一になるように、マンドレルに捲回する。
(IV)さらに、その上から、ラッピングテープとして、耐熱性フィルムテープを巻きつけて捲回物を覆い、硬化炉中、130℃で90分間、加熱成形する。なお、ラッピングテープの幅は15mm、張力は3N、巻き付けピッチ(巻き付け時のずれ量)は1mmとし、これを積層体と同じ厚みになるようラッピングする。
(V)この後、マンドレルを抜き取り、ラッピングテープを除去して繊維強化プラスチック製管状体を得る。
なお、軟化点、エポキシ当量は、以下の条件で測定した。
1)軟化点:JIS−K7234:2008(環球法)に準拠して測定した。
2)エポキシ当量:JIS−K7236:2001に準拠して測定した。
3)活性水素当量:JIS−K7237:1986に準拠して測定した。
<成分(A)>
jER4004P:固形ビスフェノールF型エポキシ樹脂(軟化点85℃、三菱化学株式会社製、品名「jER4004P」)。
jER4007P:固形ビスフェノールF型エポキシ樹脂(軟化点108℃、三菱化学株式会社製、品名「jER4007P」)。
<成分(B)>
jER807:液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量170g/eq、三菱化学株式会社製、品名「jER807」)。
<成分(C)>
DICY15:ジシアンジアミド(活性水素当量21g/eq、三菱化学株式会社製、品名「jERキュア DICY15」)。
DCMU−99:3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(保土谷化学工業社製、品名「DCMU−99」)。
Omicure94:N,N−ジメチル−N’−フェニルウレア(ピィ・ティ・アイ・ジャパン社製、品名「Omicure94」)。
<成分(D)を含むマスターバッチ>
成分(D)を含むマスターバッチとして、三菱化学株式会社製の、品名「YL7951−10」を使用した。YL7951−10は、アセチル化度約36%のアセチル化セルロースナノファイバー(成分(D))と、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(成分(B))からなる。その組成は表1に示す通り、全エポキシ樹脂100質量部に対して、成分(B)を9質量部、成分(D)を1質量部含むように調整した。
マスターバッチに含まれるビスフェノールF型エポキシ樹脂の質量については、成分(B)の含有量と合算し、マスターバッチ由来のセルロースナノファイバーの質量については、本組成物中の成分(D)の含有量とした。
すなわち、表1の「成分(D)を含むマスターバッチ[部]」中、「jER807(成分(B))[部]」は、本樹脂組成物の全エポキシ樹脂100質量部に対する、マスターバッチ由来の成分(B)の含有量(質量部)を示し、「アセチル化セルロースナノファイバー(成分(D))[部]」は、本樹脂組成物の全エポキシ樹脂100質量部に対するセルロースナノファイバー(成分(D))の含有量(質量部)を示す。
<成分(E)>
ビニレックK:ポリビニルホルマール樹脂(JNC株式会社製、品名「ビニレックK」)。
<成分(F)>
MY−0600:m−アミノフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量105g/eq、ハンツマンジャパン株式会社製、品名「MY−0600」)。
jER828:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189g/eq、三菱化学株式会社製、品名「jER828」)。
jER1004:固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(軟化点97℃、三菱化学株式会社製、品名「jER1004」)。
<炭素繊維>
炭素繊維:三菱レイヨン株式会社製、品名「パイロフィルTR50S15L」。
成分(A)としてjER4004P、成分(B)としてjER807、成分(C)としてDICY15及びDCMU−99、成分(D)を含むマスターバッチとしてYL7951−10を用い、以下のようにしてエポキシ樹脂組成物を調製した。
まず、表1に記載の組成に従い、固体状の成分(C)を、容器に計量した。次に、液体状の成分(B)と固体状の成分(C)の質量比が1:1となるように、成分(B)を該容器に計量した。次に表1に記載の組成に従い、成分(D)を含むマスターバッチを該容器に加えて攪拌し、これらを混合した。得られた混合物を三本ロールミルにてさらに細かく混合し、硬化剤入りマスターバッチを得た。
続けて表1に記載の成分のうち成分(A)の全量と、硬化剤入りマスターバッチで使用した分を除いた残りの量の成分(B)とをフラスコに計量しオイルバスを用いて140℃に加熱して溶解混合した。その後65℃程度まで冷却したところで、前記硬化剤入りマスターバッチをフラスコに加えて攪拌混合することにより未硬化のエポキシ樹脂組成物を得た。
未硬化のエポキシ樹脂組成物を、2枚のガラス板の間に注入して、板状に成形し、2℃/分で昇温し、オーブン雰囲気温度135℃で90分保持して加熱硬化させて、厚さ2mmの樹脂板を作製した。
「プリプレグの作製」
未硬化のエポキシ樹脂組成物を、コンマコーター(株式会社ヒラノテクシード製、「M−500」)でフィルム状にし、樹脂目付け40.4g/m2のレジンフィルムを作製した。このレジンフィルムを、炭素繊維を引き揃えて得られた、繊維目付150g/m2の炭素繊維シートの両面に張り合わせ、加熱ロールで含浸させて、繊維目付150g/m2、樹脂含有量35質量%の未硬化のプリプレグを得た。
「繊維強化プラスチック板の作製」
上記で得られた樹脂含有量35質量%の未硬化のプリプレグを300mm×300mmにカットし、繊維方向が[0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°]となるように14枚積み重ねて積層体を得た。この積層体をオートクレーブで圧力0.04MPa下で2℃/分で昇温し、80℃で60分保持後、圧力0.6MPa下で2℃/分で昇温し、130℃で90分保持して加熱硬化させて、厚さ2.1mmの繊維強化プラスチック板を得た。
「繊維強化プラスチック製管状体の作製」
前記繊維強化プラスチック製管状体は、以下の(I)〜(VI)に記す方法で作製した。
(I)上記で作製した樹脂含有量35質量%の一方向プリプレグから、縦200mm×横76mmの長方形状のプリプレグを、長辺方向に対して繊維軸方向が45度となるように、2枚切り出した。この2枚のプリプレグの繊維の方向をお互いに交差するように、かつ短辺方向に9mmずらして張り合わせた。
(II)離型処理したマンドレルに、上記張り合わせたプリプレグを、その長辺とマンドレル軸方向が同一方向になるように捲回した。マンドレルは、直径6mm、長さ300mmのステンレス製丸棒を使用した。
(III)その上に、作製した一方向プリプレグから、縦200mm×横161mmの長方形状のプリプレグを、長辺方向が繊維方向となるように切り出したものを、その繊維方向がマンドレル軸方向と同一になるように、マンドレルに捲回した。
(IV)さらに、その上から、ラッピングテープとして、耐熱性フィルムテープを巻きつけて捲回物を覆い、硬化炉中、130℃で90分間、加熱成形した。なお、ラッピングテープの幅は15mm、張力は3N、巻き付けピッチ(巻き付け時のずれ量)は1mmとし、これを積層体と同じ厚みになるようラッピングした。
(V)この後、マンドレルを抜き取り、ラッピングテープを除去して、内径6mm、長さ200mmの繊維強化プラスチック製管状体を得た。
上記「エポキシ樹脂板の作製」で得られた厚さ2mmの樹脂板を、長さ60mm×幅8mmに加工して試験片とした。該試験片について、温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具(圧子R=3.2mm、サポートR=3.2mm、サポート間距離(L)=32mm)を設置した万能試験機(INSTRON社製、「INSTRON 5565」)を用いて、クロスヘッドスピード2mm/分の条件で、エポキシ樹脂板の曲げ強度、曲げ弾性率、破断伸度(破断歪み)を測定した。
上記「繊維強化プラスチック板の作製」で得られた厚さ2.1mmの繊維強化プラスチック板を、長さ60mm×幅12.7mmに加工して試験片とした。該試験片について、3点曲げ治具(圧子R=5.0mm、サポートR=3.2mm)を設置した万能試験機(INSTRON社製、「INSTRON 5565」)を用いて、サポート間距離(L)と試験片の厚み(d)の比L/d=16、クロスヘッドスピード(分速)=(L2×0.01)/(6×d)として、繊維強化プラスチック板の曲げ特性として90°曲げ弾性率を測定した。
上記「繊維強化プラスチック板の作製」で得られた繊維強化プラスチック板を、試験片の長手方向に対して補強繊維が0゜に配向するように試験片(長さ25mm×幅6.3mm)に加工し、万能試験機(INSTRON社製、「INSTRON 445565」)を用いて、繊維強化プラスチックの層間せん断強度を測定した。温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具(圧子R=3.2mm、サポートR=1.6mm)を用い、サポート間距離(L)と試験片の厚み(d)の比L/d=4、クロスヘッドスピード(分速)=(L2×0.01)/(6×d)として、繊維強化複合材料の層間せん断強度(ILSS)を測定した。
上記「繊維強化プラスチック製管状体の作製」で得られた内径6mm、長さ200mmの繊維強化プラスチック製管状体を3点曲げ治具(圧子R=75mm、サポートR=12.5mm、サポート間距離(L)=150mm)を設置した万能試験機(INSTRON社製、「INSTRON 5565」)を用い、クロスヘッドスピード20mm/分の条件で、繊維強化プラスチック製管状体の曲げ特性として、曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
表1に示す配合組成のように、その組成比を変更した以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、樹脂板、プリプレグ、繊維強化プラスチック板、繊維強化プラスチック製管状体を作製し、各種測定、及び評価を行った。その評価結果を表1に示す。
Claims (10)
- 下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含み、
成分(A)を全エポキシ樹脂100質量部中20質量部以上80質量部以下含み、
成分(B)を全エポキシ樹脂100質量部中20質量部以上80質量部以下含み、
成分(D)を全エポキシ樹脂100質量部に対し、0.5質量部以上15質量部以下含む、エポキシ樹脂組成物。
成分(A):軟化点80℃以上のビスフェノールF型エポキシ樹脂
成分(B):エポキシ当量250以下のビスフェノールF型エポキシ樹脂
成分(C):硬化剤
成分(D):平均繊維径が2〜1,000nmであり、平均繊維長が0.05〜10μmであるセルロースナノファイバー - 成分(C)がジシアンジアミド、ウレア類、イミダゾール類及び芳香族アミン類の中から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(D)を全エポキシ樹脂100質量部に対し、3質量部以上15質量部以下含む、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- さらに、成分(E)として熱可塑性樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(E)を全エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上15質量部以下含む、請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(D)が前記成分(B)に分散したマスターバッチを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物からなる成形品。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物が強化繊維集合体に含浸したプリプレグ。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維とからなる繊維強化プラスチック。
- 管状である、請求項9に記載の繊維強化プラスチック。
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