JP2023049239A - プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、繊維強化複合材料用途に好適に用いることができる、弾性率、強度に加えて耐熱性、繊維強化複合材料の成形性に優れたプリプレグを提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、下記構成要素[A]~[C]を含み、かつ、下記条件(1)を満たすエポキシ樹脂組成物と、強化繊維とを含むプリプレグを提供する。[A]:エポキシ樹脂[B]:ポリアミン硬化剤[C]:沸点が130℃以上である、一般式(I)または式(II)に示す環状化合物(1):構成要素[A]のエポキシ基のモル数Eと構成要素[C]のモル数Cが、0.01≦C/E≦0.20の関係である。TIFF2023049239000006.tif29170式中のR1、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数2~11のアルキル基、R5は炭素数1~10のアルキル基【選択図】なし

Description

本発明は、航空宇宙用途、一般産業用途およびスポーツ用途などの繊維強化複合材料に好適に用いられる、プリプレグ、繊維強化複合材料に関するものである。
炭素繊維やアラミド繊維などを強化繊維として用いた繊維強化複合材料は、その高い比強度、比弾性率を利用して、航空機や自動車などの構造材料や、テニスラケット、ゴルフシャフト、釣り竿、自転車、筐体などのスポーツ、一般産業用途などに広く利用されている。この繊維強化複合材料に用いられる樹脂組成物としては、耐熱性や生産性の観点から主に熱硬化性樹脂が用いられ、中でも強化繊維との接着性などの力学特性の観点からエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
近年、さらなる軽量化が求められる用途へ繊維強化複合材料を適用するには各種物性の向上が必要である。そのため、繊維強化複合材料の各種機械特性向上を目的として、マトリックス樹脂として用いるエポキシ樹脂の弾性率や伸度、強度の向上が要求されている。しかしながら、高い弾性率を有するエポキシ樹脂硬化物は一般に脆く、伸度が低くなる傾向にある。このため、高い弾性率と伸度を同時に向上することが技術的な課題であった。
この課題の改善を図るため、様々な検討がなされている。例えば、硬化剤として用いるジシアンジアミドが溶け残って欠陥となるのを低減するために添加剤を配合することで、樹脂強度の向上を図る手法が検討されている(特許文献1)。また、エポキシ樹脂と少量の溶剤を含む組成物をホットメルト法により強化繊維に含浸することで、ボイドが著しく少なく機械特性に優れた繊維強化プラスチックを得る手法が検討されている(特許文献2)。
国際公開第2019/181402号 特開2021-1245号公報
特許文献1の技術を用いた場合、得られる樹脂硬化物や繊維強化複合材料の機械特性に優れるが、さらなる耐熱性とのバランス向上が求められる。特許文献2の技術を用いた場合、含浸性に優れた繊維強化プラスチックを得ることができるが、弾性率や耐熱性に特に優れるものではなかった。
そこで、本発明は、繊維強化複合材料用途に好適に用いることができる、弾性率、強度に加えて耐熱性、繊維強化複合材料の成形性に優れたプリプレグを提供することを課題とする。
本発明は、かかる課題を解決するために次のような構成を採用するものである。すなわち、下記構成要素[A]~[C]を含み、かつ、下記条件(1)を満たすエポキシ樹脂組成物と、強化繊維とを含むプリプレグ。
[A]:エポキシ樹脂
[B]:ポリアミン硬化剤
[C]:沸点が130℃以上である、一般式(I)または式(II)に示す環状化合物
(1):構成要素[A]のエポキシ基のモル数Eと構成要素[C]のモル数Cが、0.01≦C/E≦0.20の関係である。
Figure 2023049239000001
式中のR、R、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数2~11のアルキル基、Rは炭素数1~10のアルキル基である。
また、本発明のプリプレグを積層、硬化してなる繊維強化複合材料が提供される。
本発明によれば、繊維強化複合材料用途に好適に用いることができる、弾性率、強度および耐熱性、繊維強化複合材料の成形性に優れたプリプレグが得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のプリプレグは、エポキシ樹脂組成物と、強化繊維とを含み、用いられるエポキシ樹脂組成物は、構成要素[A]~[C]を必須成分として含む。本発明において「構成要素」とは組成物に含まれる化合物を意味する。また、ある物性、特性または構成比率について、必須の範囲、好ましい範囲等が複数の数値範囲で示される場合に、同複数の範囲におけるいずれかの上限値と、いずれかの下限値を組み合わせたものも好ましい範囲である(例えば、下記するH/Eについて、0.30以上、1.10以下を好ましい範囲としてとりえる)。
本発明における構成要素[A]は、エポキシ樹脂である。構成要素[A]のエポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上含むものが、樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物のガラス転移温度を高くし、耐熱性を向上させることができるため好ましい。また1分子中にエポキシ基を1個含むエポキシ樹脂を配合してもよい。これらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし、適宜配合して用いてもよい。
構成要素[A]のエポキシ樹脂としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン型、ジアミノジフェニルスルホン型、アミノフェノール型、ビスフェノール型、メタキシレンジアミン型、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン型、イソシアヌレート型、ヒダントイン型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型およびテトラフェニロールエタン型等のエポキシ樹脂が挙げられる。中でも物性のバランスが良いことから、ジアミノジフェニルメタン型やアミノフェノール型、ビスフェノール型のエポキシ樹脂が特に好ましく用いられる。
ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂の市販品としては、ELM434(住友化学(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY720(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY721(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY9512(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY9663(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ(株)製)、および“エポトート(登録商標)”YH-434(東都化成(株)製)、“jER(登録商標)”630(三菱ケミカル(株)製)などが挙げられる。
ジアミノジフェニルスルホン型エポキシ樹脂の市販品としては、TG3DAS(三井化学ファイン(株)製)などが挙げられる。
アミノフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、ELM120(住友化学(株)製)、ELM100(住友化学(株)製)、“jER(登録商標)”630(三菱ケミカル(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY0500(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY0510(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY0600(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY0610(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”825(三菱ケミカル(株)製)、“エピクロン(登録商標)”850(DIC(株)製)、“エポトート(登録商標)”YD-128(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)、およびDER-331やDER-332(以上、ダウケミカル社製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“アラルダイト(登録商標)”GY282(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、“jER(登録商標)”806、“jER(登録商標)”807、“jER(登録商標)”1750(以上、三菱ケミカル(株)製)、“エピクロン(登録商標)”830(DIC(株)製)および“エポトート(登録商標)”YD-170(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)などが挙げられる。
また、本発明におけるエポキシ樹脂組成物には、前記以外のエポキシ化合物も適宜配合してもよい。
本発明における構成要素[B]は、ポリアミン硬化剤である。ポリアミン硬化剤はエポキシ基と反応し得るアミノ基を複数(アミノ基が2つの態様を含む)有し、硬化剤として機能する。ポリアミン硬化剤はエポキシ樹脂と付加反応するが、その際にエポキシ基の開環により水酸基が生じる。エポキシ樹脂硬化物の架橋構造中に生成したこの水酸基と、後述する構成要素[C]との間に強い分子間相互作用が生じることで、構成要素[C]が架橋構造中に保持されやすくなり、弾性率や強度、伸度の向上効果が得られる。
ポリアミン硬化剤としては、例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミンなどが挙げられる。これらのポリアミン硬化剤は単独で用いてもよいし、適宜配合して用いてもよい。芳香族ポリアミン、中でも芳香族ジアミンは、エポキシ樹脂硬化物に高い機械特性や耐熱性を与えることができる点で硬化剤として優れる。
芳香族ポリアミンに分類されるものとして、2,2’-ジエチルジアミノジフェニルメタン、2,4-ジエチル-6-メチル-m-フェニレンジアミン、4,6-ジエチル-2-メチル-m-フェニレンジアミン、4,6-ジエチル-m-フェニレンジアミン等のジエチルトルエンジアミン、4,4’-メチレンビス(N-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(N-エチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(N-sec-ブチルアニリン)、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジイソプロピル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラ-t-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。中でも、得られる硬化物の機械特性に優れることから、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホンが好ましく用いられる。
また、ポットライフを効果的に向上させることができる点から、ポリアミン硬化剤としては、固形の硬化剤を用いることが好ましい態様である。3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、および、ジシアンジアミドのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。
芳香族ポリアミンの市販品としては、セイカキュアS(和歌山精化工業(株)製)、MDA-220(三井化学(株)製)、“jERキュア(登録商標)”WA(三菱ケミカル(株)製)、および3,3’-DAS(三井化学(株)製)、“Lonzacure(登録商標)”M-DEA(Lonza(株)製)、“Lonzacure(登録商標)”M-DIPA(Lonza(株)製)、“Lonzacure(登録商標)”M-MIPA(Lonza(株)製)および“Lonzacure(登録商標)”DETDA 80(Lonza(株)製)などが挙げられる。
また、ジシアンジアミドの市販品としては、DICY7(三菱ケミカル(株)製)、DICY15(三菱ケミカル(株)製)などが挙げられる。
本発明におけるポリアミン硬化剤の配合量としては、構成要素[A]のエポキシ基のモル数Eとポリアミン硬化剤の活性水素のモル数Hとの比H/Eが0.20以上、1.30以下であることが好ましく、より好ましくは0.30以上、1.20以下、さらに好ましくは0.50以上、1.10以下である。H/Eをかかる範囲内とすることで、エポキシ樹脂とポリアミン硬化剤との反応により架橋構造を適切に形成でき、強度や伸度に優れた樹脂硬化物が得られる。加えて、H/Eを0.50以上、1.10以下とすることで、エポキシ樹脂とポリアミン硬化剤との反応により生成する水酸基の量が適切なものとなる。これにより、後述する構成要素[C]が架橋構造中に保持されやすく、弾性率や強度、伸度の向上効果が得られる。
特に、本発明における構成要素[B]としてジアミノジフェニルスルホンを適用する場合は、構成要素[A]のエポキシ基のモル数Eと、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホンのうち少なくとも一方の硬化剤の活性水素の総モル数との比((3,3’-ジアミノジフェニルスルホンおよび4,4’-ジアミノジフェニルスルホンのうち少なくとも一方の硬化剤の活性水素の総モル数)/E)が0.50以上、1.30以下であることが好ましい。より好ましくは0.70以上、1.20以下、さらに好ましくは0.80以上、1.10以下とすることで、本発明のエポキシ樹脂組成物の耐熱性、力学特性のバランスを良くすることができる場合がある。
また、本発明における構成要素[B]としてジシアンジアミドを適用する場合は、ジシアンジアミドの総量は、樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ基に対し、活性水素基が0.20~1.20当量となる量であることが好ましく、0.30~1.00当量の範囲となる量であることがより好ましく、0.50~0.80当量の範囲となる量とすることが最も好ましい。活性水素基の量がこの範囲となることにより、耐熱性と機械特性のバランスに優れたエポキシ樹脂硬化物を得ることができる場合がある。
構成要素[C]は、沸点が130℃以上である、一般式(I)または(II)に示す環状化合物である。
Figure 2023049239000002
一般式(I)および(II)のR、R、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数2~11のアルキル基、Rは炭素数1~10のアルキル基である。
構成要素[C]は、エポキシ樹脂とポリアミンとが反応して形成される架橋構造において、架橋構造に取り込まれることなく、その空隙部に存在し、硬化後もその状態が保持される。これにより、得られるエポキシ樹脂硬化物の弾性率が高くなる。また、驚くべきことに、構成要素[C]を配合することで、高弾性率のみならず、高伸度で高強度なエポキシ樹脂硬化物が得られる。
また、構成要素[C]の沸点は130℃以上であり、好ましくは190℃以上であり、より好ましくは210℃以上であることで、エポキシ樹脂組成物が硬化する際の構成要素[C]の揮発を抑制でき、機械特性に優れた繊維強化複合材料が得られる。さらに、得られる繊維強化複合材料におけるボイドの発生や機械特性の低下を抑制できる。また、構成要素[C]の沸点は、エポキシ樹脂や硬化剤との相溶性の観点から、400℃以下であることが好ましい。本発明において、沸点は常圧(101kPa)での値である。また、常圧での沸点が測定できない場合は、沸点換算図表で101kPaに換算された換算沸点を用いることができる。
構成要素[C]の分子量mは70以上200以下であることが好ましく、70以上150以下であることがより好ましく、80以上120以下であることがさらに好ましい。構成要素[C]の分子量をかかる範囲内とすることで、構成要素[C]が、エポキシ樹脂とポリアミンとが反応して形成される架橋構造の空隙部に適切に保持され、弾性率や強度、伸度に優れた硬化物が得られる。
構成要素[C]は一般式(I)または(II)に示される環状化合物であり、すなわち、環状構造からなるアミド化合物またはウレア化合物である。環構成要素[C]が、高い極性を有するアミド化合物やウレア化合物であることにより、構成要素[A]と構成要素[B]から形成される架橋構造中のアルコール性水酸基と構成要素[C]との間に強い分子間相互作用が働き、構成要素[C]が架橋構造の空隙部に適切に保持されやすくなるため、優れた伸度や強度の向上効果が得られる。また、環状構造であることにより、架橋構造中に構成要素[C]を保持した状態の硬化物の耐熱性に優れる場合がある。さらに、環状構造であることにより化合物の沸点が高くなりやすく、樹脂硬化時の揮発によるボイド発生を抑制できる場合がある。
構成要素[C]は、一般式(I)におけるRが水素原子である化合物や、一般式(II)におけるRまたはRの少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。上記の水素原子を含む化合物とすることにより、架橋構造中で前述した分子間相互作用がより強くなり、特に優れた伸度や強度の向上効果が得られ、耐熱性、成形性にも優れやすい。
構成要素[C]の融点は室温以上であることが好ましく、140℃以下であることが好ましい。融点が室温以上であることにより、エポキシ樹脂組成物の粘度が低下しすぎず、プリプレグとしての取り扱いに優れやすい。また、融点が140℃以下であることにより、エポキシ樹脂組成物との相溶性が良く、優れた伸度や強度の向上効果が得られやすい。なお、本明細書において室温とは23℃のことを指す。
また、構成要素[C]は、単独の化合物でもよいし、複数種の化合物を適宜配合して用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、構成要素[A]に含まれるエポキシ基の合計のモル数Eと、前記条件(1)を満足する構成要素[C]のモル数Cとの比C/Eが0.01以上、0.20以下であることが重要であることが好ましく、0.07以上、0.20以下であることがより好ましく、0.07以上、0.13以下であることがさらに好ましい。C/Eをかかる範囲内とすることで、構成要素[C]は、エポキシ樹脂とポリアミンとが反応して形成される架橋構造の空隙部に適切に保持され、弾性率や強度、伸度、および耐熱性に優れた硬化物が得られやすい。
本発明のプリプレグに用いるエポキシ樹脂組成物は、硬化速度をコントロールするという観点から硬化促進剤を配合してもよい。硬化促進剤としては、ウレア化合物、イミダゾール化合物などが挙げられ、エポキシ樹脂組成物の保管安定性の観点から特にウレア化合物を好ましく用いることが出来る。
ウレア化合物としては、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア、フェニルジメチルウレア、トルエンビスジメチルウレアなどが挙げられる。また、芳香族ウレア化合物の市販品としては、DCMU99(保土ヶ谷化学工業(株)製)、“Omicure(登録商標)”24(ピィ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)などを使用することができる。
本発明のプリプレグに用いるエポキシ樹脂組成物は熱可塑性樹脂を配合してもよい。樹脂組成物に熱可塑性樹脂を配合することにより、得られる樹脂組成物の粘度制御、プリプレグのタック性の制御、プリプレグを加熱硬化する時の樹脂組成物の流動性の制御および得られる繊維強化複合材料の耐熱性や弾性率を損なうことのない靭性、の向上が期待される。かかる熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂との相溶性が高く、樹脂と強化繊維との接着性を改善できる水素結合性官能基を有する熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
本発明のプリプレグに用いられる強化繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等を好ましく挙げることができるが、炭素繊維が特に好ましい。強化繊維の形態や配列については限定されず、例えば、一方向に引き揃えられた長繊維、単一のトウ、織物、ニット、および組紐などの繊維構造物が用いられる。強化繊維として2種類以上の炭素繊維や、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、PBO繊維、高強力ポリエチレン繊維、アルミナ繊維および炭化ケイ素繊維などを組み合わせて用いても構わない。
炭素繊維としては、具体的にはアクリル系、ピッチ系およびレーヨン系等の炭素繊維が挙げられ、特に引張強度の高いアクリル系の炭素繊維が好ましく用いられる。
炭素繊維の形態としては、有撚糸、解撚糸および無撚糸等を使用することができるが、有撚糸の場合は炭素繊維を構成するフィラメントの配向が平行ではないため、得られる炭素繊維強化複合材料の力学特性の低下の原因となることから、炭素繊維強化複合材料の成形性と強度特性のバランスが良い解撚糸または無撚糸が好ましく用いられる。
炭素繊維は、引張弾性率が200GPa以上、440GPa以下であることが好ましい。炭素繊維の引張弾性率は、炭素繊維を構成する黒鉛構造の結晶度に影響され、結晶度が高いほど弾性率は向上する。この範囲であると炭素繊維強化複合材料の剛性、強度のすべてが高いレベルでバランスするために好ましい。より好ましい弾性率は、230GPa以上、400GPa以下であり、さらに好ましくは260GPa以上、370GPa以下である。ここで、炭素繊維の引張弾性率は、JIS R7608(2008)に従い測定された値である。
本発明のプリプレグは、あらかじめエポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸させた形態であり、様々な公知の方法で製造することができる。例えば、有機溶媒を用いず、樹脂組成物を加熱により低粘度化し、強化繊維に含浸させるホットメルト法により、プリプレグを製造することができる。有機溶剤を使用するウェット法に比べて、成型品にボイドが発生しづらいためホットメルト法が好ましい。
ホットメルト法では、加熱により低粘度化した樹脂組成物を、直接、強化繊維に含浸させる方法、あるいは一旦樹脂組成物を離型紙などの上にコーティングした樹脂フィルム付きの離型紙シートをまず作製し、次いで強化繊維の両側あるいは片側から樹脂フィルムを強化繊維側に重ね、加熱加圧することにより強化繊維に樹脂組成物を含浸させる方法などを用いることができる。
プリプレグ中の強化繊維の含有率は、30質量%以上90質量%以下が好ましい。30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは65質量%以上とすることで、比強度と比弾性率に優れる繊維強化複合材料の利点を得られやすい。また、繊維強化複合材料の成形の際、硬化時の発熱量が高くなりすぎるのを抑えることができる。一方、90質量%以下、より好ましくは85質量%以下とすることで、樹脂の含浸不良による複合材料におけるボイドの発生を抑えることができる。またプリプレグのタック性を維持することができる。
本発明の繊維強化複合材料は、上述した本発明のプリプレグを所定の形態で積層し、加圧・加熱して樹脂を硬化させる方法を一例として、製造することができる。ここで熱及び圧力を付与する方法には、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法等が採用される。
本発明の繊維強化複合材料は、航空宇宙用途、一般産業用途およびスポーツ用途に広く用いることができる。より具体的には、一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両などの構造体等に好適に用いられる。スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニスやバドミントンのラケット用途に好適に用いられる。
以下、本発明を実施例により説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、組成比の単位「部」は、特に注釈のない限り質量部を意味する。また、各種特性(物性)の測定は、特に注釈のない限り温度23℃、相対湿度50%の環境下で行った。
<実施例および比較例で用いられた材料>
(1)構成要素[A]:エポキシ樹脂
・“アラルダイト(登録商標)”MY0600(アミノフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ当量:118g/eq、エポキシ基の数:3、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ(株)製)。
(2)構成要素[B]:ポリアミン硬化剤
・3,3’-DAS(3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、活性水素当量:62g/eq、活性水素の数:4、三井化学ファイン(株)製)
・DICY7(ジシアンジアミド、活性水素当量:21g/eq、活性水素の数:4、三菱ケミカル(株)製)。
(3)構成要素[C]:沸点が130℃以上、かつ、分子内にエポキシ基を有さず、実質的にエポキシ樹脂の硬化能を有さない、式(I)または式(II)に示す環状化合物。
・2-ピロリドン(沸点:245℃、融点:25℃、分子量m:85g/mol、東京化成工業(株)製)
・2-イミダゾリジノン(沸点:279℃、融点:131℃、分子量m:86g/mol、東京化成工業(株)製)
・N-メチルピロリドン(沸点:202℃、融点:-24℃、分子量m:99g/mol、東京化成工業(株)製)
・N,N’-ジメチルプロピレン尿素(沸点:247℃、融点:-20℃、分子量m:128g/mol、東京化成工業(株)製)。
(4)その他の化合物
・DCMU99(3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア、保土ヶ谷化学工業(株)製)
・N-メチルホルムアミド(沸点:180℃、融点:-5℃、分子量m:59g/mol、東京化成工業(株)製)
・N-エチルアセトアミド(沸点:206℃、融点:-32℃、分子量m:73g/mol、東京化成工業(株)製)
・1,3-ジメチル尿素(沸点:269℃、融点:104℃、分子量m:88g/mol、東京化成工業(株)製)
・1,2-プロパンジオール(沸点:188℃、融点:-59℃、分子量m:76、東京化成工業(株)製)。
以下の測定方法を使用し、各実施例のエポキシ樹脂組成物を測定した。
<エポキシ樹脂組成物の調製方法>
(1)硬化剤マスターの調製
液状の構成要素[A]:エポキシ樹脂を10質量部(全てのエポキシ樹脂100質量部に対して10質量部)用意した。これに構成要素[B]:ポリアミン硬化剤をそれぞれ添加し、室温で混練した。混合物を三本ロールミルに2回通すことで、硬化剤マスターを2種調製した。
(2)エポキシ樹脂組成物の調製
前記(1)で使用した液状の構成要素[A]:エポキシ樹脂10質量部を除いた、構成要素[A]90質量部と構成要素[C]をビーカーに投入した。使用した構成要素[C]の融点+10℃まで昇温した後、均一に相溶するまで撹拌した。室温まで降温した後、前記(1)で調製した硬化剤マスターを投入し、同温度で十分に撹拌することで、エポキシ樹脂組成物を得た。
<各種評価方法>
(1)樹脂硬化物の3点曲げ測定
未硬化のエポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールドに注型した。その後、3,3’-DASを硬化剤に用いた場合は、130℃から速度1.7℃/分で昇温して125℃の温度で5時間保持した後、速度1.7℃/分で昇温して225℃の温度で2時間硬化させ、DICY7を硬化剤に用いた場合は、30℃から速度1.7℃/分で昇温して90℃の温度で60分間保持した後、速度2.0℃/分で昇温して135℃の温度で120分間硬化させ、厚さ2mmの板状の樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、スパンを32mm、クロスヘッドスピードを2.5mm/分、サンプル数n=6とし、JIS K7171(1994)に従って3点曲げを実施した時の、弾性率、伸度の平均値をそれぞれ樹脂硬化物の弾性率、伸度とした。
(2)樹脂硬化物のガラス転移温度(Tg)測定
(1)と同様に、厚さ2mmの板状の樹脂硬化板を作製した後、得られた樹脂硬化板から幅12.7mm、長さ55mmの試験片を切り出し、SACMA SRM18R-94に従い、DMA法によりガラス転移温度を求めた。貯蔵弾性率G’曲線において、ガラス状態での接線と転移状態での接線との交点温度値をガラス転移温度とした。ここでは、昇温速度5℃/分、周波数1Hzで測定した。
(3)繊維強化複合材料(CFRP)の成形性
上記<エポキシ樹脂組成物の調製方法>に従い調製したエポキシ樹脂組成物を、フィルムコーターを用いて離型紙上に塗布し、目付66g/mの樹脂フィルムを2枚作製した。炭素繊維“トレカ(登録商標)”T300(東レ(株)製)を用いた二方向クロス(2/2綾織、目付198g/m)を用意し、この両面に上記樹脂フィルムを両面に貼り合わせた後、これをプリプレグ化装置で両面から加熱加圧含浸しプリプレグを得た。プリプレグの樹脂含有率は40質量%であった。この織物プリプレグの繊維方向を揃えて10プライ積層した後、ナイロンフィルムで隙間の無いように覆い、これをオートクレーブ中で130℃、内圧0.3MPaで2時間かけて加熱加圧成形して硬化し、繊維強化複合材料を作製した。得られた繊維強化複合材料中のボイド量が1%未満と、ボイドが実質的に存在しないものを「A」、繊維強化複合材料中のボイド量が1%以上3%未満かつ維強化複合材料の外観に樹脂未含浸部分が認められないものを「B」、繊維強化複合材料中のボイド量が3%以上、または外観に樹脂未含浸部分が認められるものを「C」とした。なお、上記CFRP中のボイド量は、平滑に研磨した繊維強化複合材料にて任意に選定した断面を平滑に研磨した面を落斜型光学顕微鏡で観察し、繊維強化複合材料中のボイドの面積率から算出した。
<実施例1~6、比較例1~6>
表1および表2に記載のとおりの比率で構成要素を混合した樹脂組成物を上記の方法で調製し、前記の方法で樹脂硬化物のガラス転移温度、3点曲げ測定を実施した。また、前記の方法でプリプレグ、CFRPを作製し、CFRPの成形性を確認した。
実施例1~6ではいずれも、弾性率、伸度、Tgのバランスに優れており、成形性にも優れるものであった。比較例1および2の、構成要素[C]および、その他の化合物[C’]を含まない場合、樹脂硬化物の弾性率が劣るものであった。比較例3~6の、構成要素[C]の代わりに、その他の化合物[C’]を含む場合、樹脂硬化物の弾性率には優れるものの、同じ硬化剤を用いた実施例1~4に比べて、Tgや成形性に劣る場合があった。
Figure 2023049239000003
Figure 2023049239000004

Claims (3)

  1. 下記構成要素[A]~[C]を含み、かつ、下記条件(1)を満たすエポキシ樹脂組成物と、強化繊維とを含むプリプレグ。
    [A]:エポキシ樹脂
    [B]:ポリアミン硬化剤
    [C]:沸点が130℃以上である一般式(I)または式(II)に示す環状化合物
    (1):構成要素[A]のエポキシ基のモル数Eと構成要素[C]のモル数Cとが、0.01≦C/E≦0.20の関係である。
    Figure 2023049239000005
    式中のR、R、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数2~11のアルキル基、Rは炭素数1~10のアルキル基
  2. 構成要素[C]の融点が室温以上である、請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 請求項1または2に記載のプリプレグを積層、硬化してなる繊維強化複合材料。
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