JP2020019932A - エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 Download PDF

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大典 小西
Daisuke Konishi
大典 小西
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啓之 平野
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雄一 山北
英喜 高橋
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英喜 高橋
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Abstract

【課題】優れた曲げ弾性率と強度を両立するエポキシ樹脂組成物、および該エポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ、繊維強化複合材料を提供すること。【解決手段】次の成分[A1]、[A2]、[B]を含み、下記条件[a]、[b]、[c]を満たすエポキシ樹脂組成物。[A1]:3官能のアミン型エポキシ樹脂[A2]:ソルビトール型エポキシ樹脂[B]:ジシアンジアミドまたはその誘導体[a]:エポキシ樹脂組成物を130℃で90分反応させて得られる樹脂硬化物の曲げ弾性率が4.3GPa以上[b]:エポキシ樹脂組成物を130℃で90分反応させて得られる樹脂硬化物の曲げ強度が190MPa以上[c]:エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100質量部のうち、成分[A1]と[A2]を合計で40質量部以上含む【選択図】なし

Description

本発明は、スポーツ用途、一般産業用途、および航空宇宙用途に適した繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として好ましく用いられるエポキシ樹脂組成物、ならびに、これをマトリックス樹脂としたプリプレグおよび繊維強化複合材料に関するものである。
繊維強化プラスチックは、航空機、自動車などの輸送機器の軽量化に加え、スポーツ用品、圧力容器、風車ブレードなどの一般産業用途にも幅広く用いられている。繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂としてはエポキシ樹脂が汎用されており、用途や製造法に応じ、粘度などの様々な特性が調節されている。近年の複合材料の適用拡大に伴い、エポキシ樹脂の高性能化も、特に、軽量化に直結するエポキシ樹脂硬化物の破壊強度の向上が望まれている。
一般に、破壊強度を高めるためには、エポキシ樹脂硬化物の弾性率を高める手法が知られている。しかしながら、エポキシ樹脂硬化物の弾性率を高めると通常変形能力が低下し、繊維強化複合材料が破壊にいたるまでの変形量が小さくなり、破壊強度が十分に向上しない。そこで、弾性率と変形能力を両立し、破壊強度を高める技術の構築が望まれている。
特許文献1には、多官能ビスフェノール型エポキシ樹脂とアミン型エポキシ樹脂を併用することにより、エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率と破壊強度を両立する技術が開示されている。
特許文献2には、CFRP管状体の破壊強度を高めるための、CFRP90度曲げを向上させるための樹脂・プリプレグが開示されている。
特許文献3には、3官能型以上のアミン型エポキシ樹脂と、高分子量のビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いることにより、エポキシ樹脂硬化物の弾性率を高める技術が開示されている。
特開2017−226745号公報 特開2016−222935号公報 特開2012−197413号公報
特許文献1および2に記載のエポキシ樹脂組成物は、樹脂硬化物の曲げ弾性率および強度が不足しており、繊維強化複合材料の0°方向の曲げ強度が十分とはいえなかった。
特許文献3に記載のエポキシ樹脂組成物は、樹脂硬化物が比較的高い曲げ弾性率を示すものの、曲げひずみが不足するため、繊維強化複合材料の90°方向の曲げ強度が不十分なものであった。
本発明は、かかる従来技術の欠点を改良し、曲げ弾性率と曲げ強度を高いレベルで両立できるエポキシ樹脂組成物、および、該エポキシ樹脂組成物からなるプリプレグ、ならびに該プリプレグを硬化させてなる、とくに0°および90°曲げ強度に優れる繊維強化複合材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記構成からなるエポキシ樹脂組成物を見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、以下の構成からなる。
次の成分[A1]、[A2]、[B]を含み、下記条件[a]、[b]、[c]を満たすエポキシ樹脂組成物。
[A1]:3官能のアミン型エポキシ樹脂
[A2]:ソルビトール型エポキシ樹脂
[B]:ジシアンジアミドまたはその誘導体
[a]:エポキシ樹脂組成物を130℃で90分反応させて得られる樹脂硬化物の曲げ弾性率が4.3GPa以上
[b]:エポキシ樹脂組成物を130℃で90分反応させて得られる樹脂硬化物の曲げ強度が190MPa以上
[c]:エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100質量部のうち、成分[A1]と[A2]を合計で40質量部以上含む。
また、本発明のプリプレグは、前記エポキシ樹脂組成物と強化繊維からなるプリプレグである。
また、本発明の繊維強化複合材料は、前記プリプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料である。
本発明によれば、高弾性、かつ高い曲げ強度を発現する樹脂硬化物を与え、本発明のエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂とした繊維強化複合材料は、優れた0°方向と90°方向の曲げ強度を両立することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、[A1]3官能のアミン型エポキシ樹脂、[A2]ソルビトール型エポキシ樹脂、[B]ジシアンジアミドを必須成分として含む。まず、これらの構成要素について説明する。
(成分[A1])
本発明における成分[A1]は3官能のアミン型エポキシ樹脂である。
かかる成分[A1]としては、トリグリシジルアミノフェノール型エポキシ樹脂、トリグリシジルアミノクレゾール型エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記トリグリシジルアミノフェノール型エポキシ樹脂としては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM100、ELM120(住友化学工業(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY0500、MY0510、MY0600(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
成分[A1]としては、アミノフェノール型エポキシ樹脂を使用することが好ましい。アミノフェノール型エポキシ樹脂を使用した場合、樹脂硬化物の曲げ弾性率が高くなり、高い0°曲げ強度を有する繊維強化複合材料が得られる。
さらに、エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率を高めるためには、成分[A1]を、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100質量部のうち50〜80質量部含むことが好ましい。この範囲を満たすことで、樹脂硬化物の曲げ弾性率と曲げ強度のバランスを高めることができる。
(成分[A2])
本発明における成分[A2]は、ソルビトール型エポキシ樹脂である。
ソルビトール型エポキシ樹脂としては、“デナコール(登録商標)”EX−614、EX−614B(以上、ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
ここで、ソルビトール型エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100質量部のうち20〜40質量部含むことが好ましい。この範囲を満たすことで、樹脂硬化物の曲げひずみと曲げ強度のバランスを高めることができる。
本発明における、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100質量部のうちの成分[A1]と成分[A2]の合計は40質量部以上である(条件[c])。
成分[A1]と成分[A2]の合計が40質量部より小さい場合、エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率とひずみのバランスが不足し、曲げ強度が不十分となる。その理由は定かではないが、主鎖が柔軟で多官能なソルビトール型エポキシが、3官能アミノフェノール型エポキシとジシアンジアミドが形成するネットワーク構造の欠陥を効果的に補完しているものと推測している。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、該エポキシ樹脂組成物を130℃で90分硬化させてなる樹脂硬化物の曲げ弾性率が4.3GPa以上(条件[a])、かつ、曲げ強度が190MPa以上(条件[b])である。樹脂硬化物の曲げ弾性率と曲げ強度が上記範囲にあることで、0°曲げ強度と90°曲げ強度とを、高いレベルで両立する繊維強化複合材料が得られる。曲げ弾性率が4.3GPa未満であった場合、0°方向の曲げ特性が不十分なものとなる。曲げ強度が190MPa未満であった場合、0°および90°方向の曲げ特性が不十分なものとなる。
ここで、本発明の樹脂硬化物の曲げ弾性率および曲げ強度は、例えば、JIS K7171(1994)に従って3点曲げ試験を実施することにより、評価することができる。
(成分[A3])
本発明では、成分[A3]として、下記[A3]−1および/または[A3]−2を含むことが好ましい。成分[A3]を含むことで、樹脂硬化物の曲げ弾性率、強度に加え、ガラス転移温度とのバランスを高めることができる。ガラス転移温度はエポキシ樹脂硬化物の耐熱性の指標となる温度で、樹脂硬化物のDMAまたはDSC測定により評価することができる。
[A3]−1:ナフタレン型エポキシ樹脂
[A3]−2:イソシアヌル酸型エポキシ樹脂。
本発明における成分[A3]−1は、ナフタレン型エポキシ樹脂である。
ナフタレン型エポキシ樹脂としては、“EPICLON”HP−4032D、HP−4700、HP−4770、HP−5000、HP−4710(以上、DIC(株)製)などが挙げられる。
本発明における成分[A3]−2は、イソシアヌル酸型エポキシ樹脂である。
イソシアヌル酸型エポキシ樹脂しては、“TEPIC(登録商標)”−S、−G、−L、−PAS、−UC、−FL(以上、日産化学(株)製)などが挙げられる。
(成分[B])
本発明における成分[B]は、ジシアンジアミドまたはその誘導体である。ジシアンジアミドは、化学式(HN)C=N−CNで表される化合物である。ジシアンジアミドは、それを硬化剤として得られるエポキシ樹脂硬化物に高い力学特性や耐熱性を与えることができる点で優れており、エポキシ樹脂の硬化剤として広く用いられる。かかるジシアンジアミドの市販品としては、DICY7、DICY15(以上、三菱ケミカル(株)製)などが挙げられる。
成分[B]は、芳香族ウレアなどの硬化促進剤[D]との併用で、成分[B]を単独で配合した場合と比較し、エポキシ樹脂組成物の硬化温度を下げることができる。硬化促進剤[D]としては、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DCMUと略記することもある)、3−(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、フェニルジメチルウレア(PDMUと略記することもある)、トルエンビスジメチルウレア(TBDMUと略記することもある)などが挙げられる。また、芳香族ウレアの市販品としては、DCMU99(保土ヶ谷化学工業(株)製)、“Omicure(登録商標)”24(ピィ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)、“Dyhard(登録商標)”UR505(4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア、CVC製)などが挙げられる。
本発明では、成分[A4]として、成分[A1]〜[A3]とは異なるエポキシ樹脂を用いても良い。
かかるエポキシ樹脂としては、例えば、アニリン型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルスルホン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらを単独で用いても、複数種を組み合わせてもよい。
前記アニリン型エポキシ樹脂の市販品としては、GAN(N,N−ジグリシジルアニリン)、GOT(N,N−ジグリシジル−o−トルイジン)(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
前記ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂の市販品としては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(住友化学工業(株)製)、YH434L(新日鉄住金化学(株)製)、“jER(登録商標)”604(三菱ケミカル(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY720、MY721(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
前記ジアミノジフェニルスルホン型エポキシの市販品としては、TG3DAS(小西化学工業(株)製)などが挙げられる。
前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”828、1001、1007(以上、三菱ケミカル(株)製)などが挙げられる。
前記25℃において液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“EPICLON(登録商標)”830、807(以上、DIC(株)製)などが挙げられる。
前記フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”152、154、180S(以上、三菱ケミカル(株)製)などが挙げられる。
前記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては、HP7200L,HP7200,HP7200H,HP7200HH(以上、DIC(株)製)などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、繊維強化複合材料を製造する工程に適した粘度に調節する目的、粘弾性を調整し、タッグやドレープ特性を調節する目的や、樹脂組成物の機械特性や靭性を高めるなどの目的で、成分[C]として熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。かかる熱可塑性樹脂としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルピロリドン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどが挙げられる。特に、樹脂硬化物の曲げ弾性率、強度を損なうことなくその他の特性を調節できる観点から、成分[C]の熱可塑性樹脂としてポリエーテルスルホンが好ましく用いられる。
本発明の樹脂組成物は、繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として好適に用いられる。繊維強化複合材料の製造法としては、プリプレグ法、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン(引抜成形)法、RTM(Resin Transfer Molding)法等の工法が適宜選択される。樹脂組成物の優れた力学特性を反映させる観点から、プリプレグとして用いることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物の調製には、例えばニーダー、プラネタリーミキサー、3本ロールおよび2軸押出機といった機械を用いて混練しても良いし、均一な混練が可能であれば、ビーカーとスパチュラなどを用い、手で混ぜても良い。
本発明のプリプレグは、前記の方法にて調製したエポキシ樹脂組成物を、強化繊維基材に含浸させて得ることができる。含浸させる方法としては、ホットメルト法(ドライ法)などを挙げることができる。ホットメルト法は、加熱により低粘度化した熱硬化性樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、または離型紙などの上にエポキシ樹脂組成物をコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで強化繊維の両側または片側からこのフィルムを重ね、加圧加熱することにより強化繊維に樹脂を含浸させる方法である。この際、離型紙に塗布する樹脂の量を変えることで、プリプレグの繊維質量含有率を調整することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物からなるプリプレグを積層した後、加熱し硬化させることにより、本発明のエポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物をマトリックス樹脂として含む繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明に用いられる強化繊維は特に限定されるものではなく、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維などが使用できる。これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。軽量かつ高剛性な繊維強化複合材料が得られる観点から、炭素繊維を用いることが好ましい。
プリプレグ積層成形法において、熱および圧力を付与する方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法などを適宜使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物と、強化繊維を含む繊維強化複合材料は、スポーツ用途、航空宇宙用途および一般産業用途に好ましく用いられる。より具体的には、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニスやバドミントンのラケットなどに好ましく用いられる。また、航空宇宙用途では、主翼、尾翼およびフロアビーム等の航空機一次構造材用途、および内装材等の二次構造材用途に好ましく用いられる。さらに一般産業用途では、自動車、自転車、船舶および鉄道車両などの構造材に好ましく用いられる。なかでも、高い0°および90°方向の曲げ強度を有する繊維強化複合材料が得られるという特徴を活かし、複雑な構造を有する構造体に、好適に用いられる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
本実施例で用いる構成要素は以下の通りである。
<使用した材料>
・成分[A1]: 3官能のアミン型エポキシ樹脂
[A1]−1 “アラルダイト(登録商標)”MY0500(アミノフェノール型エポキシ樹脂、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、
[A1]−2 “アラルダイト(登録商標)”MY0600(アミノフェノール型エポキシ樹脂、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)。
・成分[A2] ソルビトール型エポキシ樹脂
[A2]−1 “デナコール(登録商標)”EX−614B(ナガセケムテックス(株)製)。
・成分[A3]−1: ナフタレン型エポキシ樹脂
[A3]−1 “EPICLON(登録商標)”HP−4032D(DIC(株)製)。
・成分[A3]−2: イソシアヌル酸型エポキシ樹脂
[A3]−2 “TEPIC(登録商標)”−S(日産化学(株)製)。
・成分[A4]: その他のエポキシ樹脂
[A4]−1 “jER(登録商標)”828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル(株)製)、
[A4]−2 “EPICLON(登録商標)”830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC(株)製)、
[A4]−3 “エポトート(登録商標)”YDF2001(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、東都化成(株)製)、
[A4]−4 “jER(登録商標)”4007P(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、三菱ケミカル(株)製)、
[A4]−5 “jER(登録商標)”154(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、三菱ケミカル(株)製)。
・成分[B]: ジシアンジアミドまたはその誘導体
[B] DICY7(三菱ケミカル(株)製)。
・成分[C]: 熱可塑性樹脂
[C]−1 “スミカエクセル(登録商標)”PES2603P(ポリエーテルスルホン、住友化学(株)製)、
[C]−2 “ビニレック(登録商標)”K(ポリビニルホルマール、JNC(株)製)。
・成分[D]:硬化促進剤
[D] DCMU99(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジクロロジメチルウレア、保土ヶ谷化学工業(株)製)。
<エポキシ樹脂組成物の調製方法>
ニーダーに、[B]ジシアンジアミドまたはその誘導体および[D]硬化促進剤以外の成分を所定量入れ、60〜150℃まで昇温し、各成分が相溶するまで適宜混練した。すなわち、実施例、比較例中のそれぞれの組成に応じて各成分が相溶可能な温度まで昇温したところ、いずれの組成においても60〜150℃の範囲のいずれかの温度で、各成分を相溶させることができた。60℃まで降温させた後、[B]および必要に応じて[D]を添加し、60℃において30分間混練することにより、エポキシ樹脂組成物を得た。エポキシ樹脂組成は、表1〜5示した通りである。
<エポキシ樹脂硬化物の曲げ特性の評価方法>
未硬化の樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中で、130℃の温度で2時間硬化させ、厚さ2mmの板状の樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、スパンを32mm、クロスヘッドスピードを10mm/分とし、JIS K7171(1994)に従って3点曲げを実施し、曲げ弾性率、曲げひずみおよび曲げ強度を測定した。この際、サンプル数n=6で測定した値を曲げ弾性率、曲げひずみおよび曲げ強度の値として採用した。なお、曲げひずみとは、最大荷重時のひずみのことを示す。
<エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度の評価方法>
前記の方法で作製した厚さ2mmのエポキシ樹脂硬化物から、幅12.7mm、長さ45mmの試験片を切り出し、粘弾性測定装置(ARES、ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、ねじり振動周波数1.0Hz、昇温速度5.0℃/分の条件下で、30〜250℃の温度範囲でDMA測定を行い、ガラス転移温度を読み取った。ガラス転移温度は、貯蔵弾性率G’曲線において、ガラス状態での接線と転移状態での接線との交点における温度とした。
<プリプレグの作製方法>
前記<エポキシ樹脂組成物の調製方法>に準じて得られたエポキシ樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布し、所定の目付の樹脂フィルムを2枚作製した。樹脂フィルムの目付は、39g/mとなるように調整した。次に、シート状に一方向に配列させた炭素繊維“トレカ(登録商標)”T700S−12K−60E(東レ(株)製、目付150g/m)に、得られた樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、温度110℃、圧力2MPaの条件で加圧加熱してエポキシ樹脂組成物を含浸させ、一方向プリプレグを得た。得られたプリプレグの繊維質量含有率は、67%であった。
<コンポジット特性の測定方法>
(1)CFRPの0°曲げ強度
上記<プリプレグの作製方法>により作製した一方向プリプレグの繊維方向を揃え、13プライ積層し、オートクレーブにて、0.6MPaの圧力下、昇温速度1.7℃/分で130℃まで昇温し、同温で2時間保持してエポキシ樹脂を硬化させ、厚み2mmの一方向材のCFRP平板を作製した。この平板から、幅15mm、長さ100mmの試験片を切り出し、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、JIS K7017(1988)に従い、クロスヘッド速度5.0mm/分、スパン80mm、厚子径10mm、支点径4mmで3点曲げ試験を行い、0°曲げ強度を測定した。かかる0°曲げ強度は、試験片6枚につき、繊維質量含有率を60質量%とした換算値の平均値として求めた。
(2)CFRPの90°曲げ強度
上記(1)と同様の方法で、厚さ2mmの一方向材のCFRP平板を作製した。この平板から、幅15mm、長さ60mmの試験片を切り出し、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いJIS K7017(1988)に従い、クロスヘッド速度1.0mm/分、スパン40mm、厚子径10mm、支点径4mmで3点曲げ試験を行い、90°曲げ強度を測定した。かかる90°曲げ強度は、試験片6枚につき、繊維質量含有率を60質量%とした換算値の平均値として求めた。
(実施例1)
エポキシ樹脂として“アラルダイト(登録商標)”MY0600を30質量部、“デナコール(登録商標)”EX−614Bを10質量部、“EPICLON(登録商標)”830を60質量部用い、硬化剤としてDICY7、硬化促進剤としてDCMU99を用いて、上記<エポキシ樹脂組成物の調製方法>に従ってエポキシ樹脂組成物を調製した。
成分[A1]と成分[A2]の合計は40部であり、この樹脂組成物を硬化して得られた平板の曲げ特性およびガラス転移温度を上記<エポキシ樹脂硬化物の曲げ特性の評価方法>および<エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度の評価方法>に従い評価した。その結果、曲げ弾性率、曲げ強度および曲げひずみは、それぞれ4.3GPa、190MPa、6.9%であり、ガラス転移温度は125℃であった。
得られたエポキシ樹脂組成物から、<プリプレグの作製方法>に従って、繊維質量含有率67質量%のプリプレグを作製し、得られたプリプレグを13プライ積層し、130℃で硬化せしめて、一方向の繊維強化複合材料(CFRP)を作製した。
CFRPの機械特性を測定した結果、0°曲げ強度は1751MPa、90°曲げ強度は137MPaと、良好であった。
(実施例2〜23)
樹脂組成をそれぞれ表1〜3に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物、およびCFRPを作製した。
各実施例のエポキシ樹脂組成物に関して、曲げ特性、およびガラス転移温度を評価した結果、いずれも良好な物性が得られた。
(比較例1〜3)
表4に示した樹脂組成について、実施例1と同じ方法で樹脂硬化物、プリプレグ、およびCFRPを作製し、曲げ特性および耐熱性を評価した。
比較例1は、成分[A2]が含まれないため、曲げ弾性率とひずみが不十分であり、CFRPの曲げ強度も不足した。
比較例2は、成分[A1]が含まれておらず、曲げ弾性率が不足した結果、曲げ強度も不足した。また、CFRPの0°および90°曲げ物性も低いものであった。
比較例3は、成分[A1]と[A2]の合計が40質量部未満であり、曲げ弾性率とひずみが両方不足したため、曲げ強度が不十分なものとなった。また、CFRPの曲げ特性も不足した。
(比較例4〜6)
表4に示した樹脂組成について、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物および、CFRP平板を作製した。
比較例4、5では、樹脂弾性率および強度が不足し、CFRP平板の0°および90°曲げ強度も低いものであった。
比較例6では、曲げ弾性率とひずみのバランスが悪く、曲げ強度が不十分なものとなった。また、CFRPの曲げ特性も不足した。
Figure 2020019932
Figure 2020019932
Figure 2020019932
Figure 2020019932
なお、表中の各成分の単位は質量部である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、高い弾性率と曲げ強度を高いレベルで両立する硬化物を与えるため、該エポキシ樹脂組成物を用いた繊維強化複合材料は、優れた0°曲げ強度と90°曲げ強度を有する。これにより、繊維強化複合材料の軽量化が可能となるため、構造設計の自由度が高くなり、様々な構造体への適用の可能性が広がることが期待される。

Claims (9)

  1. 次の成分[A1]、[A2]、[B]を含み、下記条件[a]、[b]、[c]を満たすエポキシ樹脂組成物。
    [A1]:3官能のアミン型エポキシ樹脂
    [A2]:ソルビトール型エポキシ樹脂
    [B]:ジシアンジアミドまたはその誘導体
    [a]:エポキシ樹脂組成物を130℃で90分反応させて得られる樹脂硬化物の曲げ弾性率が4.3GPa以上
    [b]:エポキシ樹脂組成物を130℃で90分反応させて得られる樹脂硬化物の曲げ強度が190MPa以上
    [c]:エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100質量部のうち、成分[A1]と[A2]を合計で40質量部以上含む
  2. 成分[A1]が、アミノフェノール型エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100質量部のうち、成分[A1]を50〜80質量部含む、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100質量部のうち、成分[A2]を20〜40質量部含む、請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 成分[A3]として、下記[A3]−1および/または[A3]−2を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
    [A3]−1:ナフタレン型エポキシ樹脂
    [A3]−2:イソシアヌル酸型エポキシ樹脂
  6. 成分[C]として、熱可塑性樹脂を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 熱可塑性樹脂が、ポリエーテルスルホンである、請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物と強化繊維からなるプリプレグ。
  9. 請求項8に記載のプリプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料。
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