JP2019218540A - エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 Download PDF

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啓之 平野
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Abstract

【課題】高い曲げ弾性率と曲げひずみを両立し、かつ、耐熱性に優れるエポキシ樹脂組成物、および該エポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ、繊維強化複合材料を提供すること。【解決手段】次の成分[A]、[B]、[C]を含み、下記条件[a]、[b]、[c]を満たすエポキシ樹脂組成物。[A]:3官能のアミン型エポキシ樹脂[B]:25℃において固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂[C]:芳香族アミン化合物[a]:エポキシ樹脂組成物を180℃で120分反応させて得られる樹脂硬化物の曲げひずみ量が6%以上[b]:成分[B]の平均エポキシ当量が600〜1000g/eq[c]:エポキシ樹脂組成物を180℃で120分反応させて得られる樹脂硬化物の、動的粘弾性測定より得られるガラス転移温度X(℃)と、ゴム状態の貯蔵弾性率Y(MPa)が、下式(1)を満たす0.087X−6≦Y≦0.087X−4 ・・・(1)【選択図】なし

Description

本発明は、スポーツ用途、一般産業用途、および航空宇宙用途に適した繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として好ましく用いられるエポキシ樹脂組成物、ならびに、これをマトリックス樹脂としたプリプレグおよび繊維強化複合材料に関するものである。
繊維強化プラスチックの製造には、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸したシート状の中間基材(プリプレグ)が汎用される。プリプレグを積層、加熱して熱硬化性樹脂を硬化する方法で成形体が得られ、航空機やスポーツなど、様々な分野へ適用されている。プリプレグのマトリックス樹脂として用いられる熱硬化性樹脂としては、耐熱性、接着性、機械強度に優れることから、エポキシ樹脂が汎用される。近年、構造部材への繊維強化複合材料の適用が拡大するにつれて、部材のさらなる軽量化の要求が高まり、プリプレグに用いられるエポキシ樹脂の高性能化が望まれている。具体的には、繊維強化複合材料の破壊強度を高めることで、軽量かつ高性能な部材の設計が可能となる。
一般に、繊維強化複合材料の破壊強度を高めるためには、エポキシ樹脂硬化物の弾性率と変形能力を、同時に高める手法が知られているが、一般に弾性率を高めると変形能力が不足する。エポキシ樹脂硬化物の変形能力を高めるために、柔軟な骨格構造を有するエポキシ樹脂を配合する技術が知られているが、架橋点間の運動性の向上にともないガラス転移温度が低下するため、高い耐熱性が要求される用途への適用が困難であった。そこで、弾性率と変形能力を両立し、かつ、耐熱性を維持する技術の構築が望まれている。
特許文献1には、多官能ビスフェノール型エポキシ樹脂とアミン型エポキシ樹脂を併用することにより、エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率と破壊強度を両立する技術が開示されている。
特許文献2には、3官能型以上のアミン型エポキシ樹脂と、高分子量のビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いることにより、エポキシ樹脂硬化物の弾性率を高める技術が開示されている。
特許文献3には、アミン型エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂を必須成分としたエポキシ樹脂組成物を、芳香族アミンで硬化させる事により、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性を維持したまま、変形能力を高める技術が記載されている。
特開2017−226745号公報 特開2012−197413号公報 国際公開第2016/067736号
特許文献1に記載のエポキシ樹脂組成物は、樹脂硬化物の曲げ弾性率が不足しており、繊維強化複合材料の0°方向の曲げ強度が十分とはいえなかった。
特許文献2に記載のエポキシ樹脂組成物は、樹脂硬化物が比較的高い曲げ弾性率を示すものの、変形量が不足するため、繊維強化複合材料の90°方向の曲げ強度が不十分なものであった。また、耐熱性も不十分なものであった。
特許文献3に開示されているエポキシ樹脂組成物は、樹脂硬化物の耐熱性は高いが、曲げ弾性率が不足しており、繊維強化複合材料の機械特性が低いものであった。
本発明は、かかる従来技術の欠点を改良し、曲げ弾性率と曲げひずみを高いレベルで両立し、かつ、耐熱性に優れる樹脂硬化物を得ることができるエポキシ樹脂組成物、および、該エポキシ樹脂組成物からなるプリプレグ、ならびに該プリプレグを硬化させてなる、とくに0°および90°曲げ強度に優れる繊維強化複合材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記構成からなるエポキシ樹脂組成物を見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、以下の構成からなる。
次の成分[A]、[B]、[C]を含み、下記条件[a]、[b]、[c]を満たすエポキシ樹脂組成物。
[A]:3官能のアミン型エポキシ樹脂
[B]:25℃において固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂
[C]:芳香族アミン化合物
[a]:エポキシ樹脂組成物を180℃で120分反応させて得られる樹脂硬化物の曲げひずみ量が6%以上
[b]:成分[B]の平均エポキシ当量が600〜1000g/eq
[c]:エポキシ樹脂組成物を180℃で120分反応させて得られる樹脂硬化物の、動的粘弾性測定より得られるガラス転移温度X(℃)と、ゴム状態の貯蔵弾性率Y(MPa)が、下式(1)を満たす
0.087X−6≦Y≦0.087X−4 ・・・(1)。
また、本発明のプリプレグは、前記エポキシ樹脂組成物と強化繊維からなるプリプレグである。
また、本発明の繊維強化複合材料は、前記プリプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料である。
本発明によれば、曲げ弾性率と曲げひずみを高いレベルで両立し、かつ、耐熱性に優れる樹脂硬化物を与え、本発明のエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂とした繊維強化複合材料は、優れた0°方向と90°方向の曲げ強度を両立することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、[A]3官能のアミン型エポキシ樹脂、[B]25℃において固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂、[C]芳香族アミン化合物を必須成分として含む。まず、これらの構成要素について説明する。
(成分[A])
本発明における成分[A]は3官能のアミン型エポキシ樹脂である。
かかる成分[A]としては、トリグリシジルアミノフェノール型エポキシ樹脂、トリグリシジルアミノクレゾール型エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記トリグリシジルアミノフェノール型エポキシ樹脂としては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM100、ELM120(住友化学工業(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY0500、MY0510、MY0600(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
成分[A]としては、アミノフェノール型エポキシ樹脂を使用することが好ましい。アミノフェノール型エポキシ樹脂を使用した場合、樹脂硬化物の曲げ弾性率が高くなり、高い0°曲げ強度を有する繊維強化複合材料が得られる。
さらに、エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率を高めるためには、成分[A]を、全エポキシ100質量部のうち50〜80質量部含むことが好ましく、さらに好ましくは、55〜65質量部の範囲である。上記範囲を満たすことで、曲げ弾性率とひずみ量のバランスが良いエポキシ樹脂硬化物を得られる。
(成分[B])
本発明における成分[B]は、25℃において固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂である。
前記ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、“jER(登録商標)”4004P、4005P、4010P(以上、三菱ケミカル(株)製)、“エポトート(登録商標)”YDF−2004、YDF−2001、YDF−2005RD(以上、東都化成(株)製)などが挙げられる。
ここで、成分[B]の平均エポキシ当量(以下、EEW)は600〜1000g/eqの範囲である(条件[b])。成分[B]のEEWが600g/eqよりも小さい場合、曲げ弾性率が不足する。成分[B]のEEWが1000g/eqよりも大きい場合、曲げ弾性率とひずみ量が低下する。
成分[B]の平均エポキシ当量は、例えば、JIS K7236(2001)に従って電位差滴定を実施することにより、評価することができる。ここで、ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、全エポキシ100質量部のうち20〜40質量部含むことが好ましい。上記範囲を満たすことで、樹脂硬化物の曲げ弾性率を損なう事なく、ひずみ量を高めることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、該エポキシ樹脂組成物を180℃で120分硬化させてなる樹脂硬化物の曲げひずみ量が6%以上(条件[a])である。樹脂硬化物の曲げひずみが上記範囲にあることで、該エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂とする繊維強化複合材料の90°曲げ強度が優れたものとなる。曲げひずみ量が6%未満であった場合、90°方向の曲げ特性が不十分なものとなる。
ここで、本発明の樹脂硬化物の曲げ弾性率、ひずみ量、および強度は、例えば、JIS K7171(1994)に従って3点曲げ試験を実施することにより、評価することができる。ここで、本発明における曲げひずみ量は、3点曲げ試験において最大の荷重を示した際の変位量から計算することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、180℃で120分硬化させて得られる樹脂硬化物について、動的粘弾性測定より得たガラス転移温度X(℃)とゴム状態の貯蔵弾性率Y(MPa)が、下式を満たす(条件[c])。
0.087X−6≦Y≦0.087X−4 ・・・(1)
ゴム状態の貯蔵弾性率が0.087X−6よりも低い場合、曲げひずみ量と耐熱性を両立することができない。また、0.087X−4よりも高い場合、曲げ弾性率が不足し、繊維強化複合材料の0°方向の曲げ強度が不十分なものとなる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、ゴム状態の貯蔵弾性率Yが上記範囲を満たすことで、曲げ強度と耐熱性のバランスに優れた繊維強化複合材料が得られる。その理由は定かではないが、ゴム状態の貯蔵弾性率とガラス転移温度の関係が特定の範囲となることで、エポキシ樹脂硬化物中の架橋点の密度が適切なものとなるためと推測している。
ここで、本発明の樹脂硬化物のガラス転移温度とゴム状態の貯蔵弾性率は、DMA測定(動的粘弾性測定)の昇温測定を実施して得られる、貯蔵弾性率と温度の散布図から算出することができる。ガラス転移温度は、上記散布図において、ガラス領域に引いた接線と、ガラス転移領域に引いた接線との交点における温度である。また、ゴム状態の貯蔵弾性率は、ガラス転移温度を50℃上回る温度における貯蔵弾性率である。
(成分[C])
本発明における成分[C]は芳香族アミン化合物である。
かかる成分[C]としては、アニリン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−メチレン−ビス(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)、ジアミノジフェニルスルホンなどが挙げられる。
本発明における、成分[C]の活性水素モル数(Mc)と全エポキシ樹脂100質量部中の活性エポキシ基モル数(Ma)の関係は、下式(2)に示す範囲となることが好ましい。
0.95≦Ma/Mc≦1.05 ・・・(2)
かかる範囲とすることで、エポキシ樹脂と硬化剤の反応が効率的に起きるため、樹脂硬化物の曲げ強度が高いものとなり、より高い90°曲げ強度を有する繊維強化複合材料が得られる。
なお、全エポキシ樹脂100質量部中の活性エポキシ基モル数(Ma)とは、各エポキシ樹脂活性基のモル数の和のことであり、下式で表される。
Ma=(エポキシ樹脂Aの質量/エポキシ樹脂Aのエポキシ当量)+(エポキシ樹脂Bの質量/エポキシ樹脂Bのエポキシ当量)+・・・・+(エポキシ樹脂Wの質量/エポキシ樹脂Wのエポキシ当量)。
また、成分[C]の活性水素モル数(Mc)は、芳香族アミン化合物の質量を芳香族アミン化合物の活性水素当量で除することにより求められ、下式で表される。
Mc=芳香族アミン化合物の質量/芳香族アミン化合物の活性水素当量。
前記ジエチルトルエンジアミンとしては、“jERキュア(登録商標)”W(三菱ケミカル社製)などを使用することができる。4,4’−メチレン−ビス(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)としては、“Lonzacure(登録商標)”M−MIPA(Lonza社製)などを使用することができる。ジアミノジフェニルスルホンとしては、“セイカキュア(登録商標)”−S(セイカ(株)製)、3,3’−DAS(三井化学ファイン(株)製)などが挙げられる。
成分[C]としては、ジアミノジフェニルスルホンを使用することが好ましく、さらに好ましくは、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンである。ジアミノジフェニルスルホンを用いた場合、樹脂硬化物の曲げ弾性率が高くなり、さらに高い0°曲げ強度を有する繊維強化複合材料が得られる。
本発明に用いられるエポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を失わない範囲において、成分[D]として、成分[A]、[B]とは異なるエポキシ樹脂を用いても良い。
かかるエポキシ樹脂としては、例えば、アニリン型エポキシ樹脂、イソシアヌル酸型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルスルホン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、25℃において液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらを単独で用いても、複数種を組み合わせてもよい。
前記アニリン型エポキシ樹脂の市販品としては、GAN(N,N−ジグリシジルアニリン)、GOT(N,N−ジグリシジル−o−トルイジン)(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
前記イソシアヌル酸型エポキシ樹脂の市販品としては、“TEPIC(登録商標)”−S(日産化学工業(株)製)、G(日産化学工業(株)製)、アラルダイト(登録商標)”PT9810(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
前記ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂の市販品としては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(住友化学工業(株)製)、YH434L(新日鉄住金化学(株)製)、“jER(登録商標)”604(三菱ケミカル(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY720、MY721(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
前記ジアミノジフェニルスルホン型エポキシの市販品としては、TG3DAS(小西化学工業(株)製)などが挙げられる。
前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”828、1001、1007(以上、三菱ケミカル(株)製)などが挙げられる。
前記25℃において液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“EPICLON(登録商標)”830、807(以上、大日本インキ化学工業(株)製)などが挙げられる。
前記フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、jER(登録商標)”152、154、180S(以上、三菱ケミカル(株)製)などが挙げられる。
前記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては、HP7200L,HP7200,HP7200H,HP7200HH,HP7200HHH(以上、DIC(株)製)などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、粘弾性を調整し、プリプレグのタッグやドレープ特性を改良する目的や、樹脂組成物の機械特性や靭性を高めるなどの目的で、成分[E]として熱可塑性樹脂を用いることができる。かかる熱可塑性樹脂としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルピロリドン、ポリスルホンなどが挙げられる。
次に、本発明の繊維強化複合材料について説明する。具体的には、本発明のエポキシ樹脂組成物からなるプリプレグを積層した後、加熱し硬化させることにより、本発明のエポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物をマトリックス樹脂として含む繊維強化複合材料を得ることができる。以下に、具体的に説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物の調製には、例えばニーダー、プラネタリーミキサー、3本ロールおよび2軸押出機といった機械を用いて混練しても良いし、均一な混練が可能であれば、ビーカーとスパチュラなどを用い、手で混ぜても良い。
本発明のプリプレグは、前記の方法にて調製したエポキシ樹脂組成物を、強化繊維基材に含浸させて得ることができる。含浸させる方法としては、ホットメルト法(ドライ法)などを挙げることができる。ホットメルト法は、加熱により低粘度化した熱硬化性樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、または離型紙などの上にエポキシ樹脂組成物をコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで強化繊維の両側または片側からこのフィルムを重ね、加圧加熱することにより強化繊維に樹脂を含浸させる方法である。この際、離型紙に塗布する樹脂の量を変えることで、プリプレグの繊維質量含有率を調整することができる。
本発明に用いられる強化繊維は特に限定されるものではなく、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維などが使用できる。これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。軽量かつ高剛性な繊維強化複合材料が得られる観点から、炭素繊維を用いることが好ましい。
プリプレグ積層成形法において、熱および圧力を付与する方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法などを適宜使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物と、強化繊維を含む繊維強化複合材料は、スポーツ用途、航空宇宙用途および一般産業用途に好ましく用いられる。より具体的には、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニスやバドミントンのラケットなどに好ましく用いられる。また、航空宇宙用途では、主翼、尾翼およびフロアビーム等の航空機一次構造材用途、および内装材等の二次構造材用途に好ましく用いられる。さらに一般産業用途では、自動車、自転車、船舶および鉄道車両などの構造材に好ましく用いられる。なかでも、高い0°および90°方向の曲げ強度を有する繊維強化複合材料が得られるという特徴を活かし、複雑な構造を有する構造体に、好適に用いられる。加えて、耐熱性と曲げ強度のバランスに優れるため、レーシングカーなどの耐熱性が要求される構造部材などにも、好適に用いられる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
本実施例で用いる構成要素は以下の通りである。
<使用した材料>
・成分[A]:3官能のアミン型エポキシ樹脂
[A]−1 “アラルダイト(登録商標)”MY0500(アミノフェノール型エポキシ樹脂、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
[A]−2 “アラルダイト(登録商標)”MY0600(アミノフェノール型エポキシ樹脂、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)。
・成分[B]:25℃において固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂
[B]−1 “エポトート(登録商標)”YDF−2001(東都化成(株)製)、
[B]−2 “jER(登録商標)”4004P(三菱ケミカル(株)製)、
[B]−3 “エポトート(登録商標)”YDF−2004(東都化成(株)製)、
[B]−4 “エポトート(登録商標)”YDF−2005RD(東都化成(株)製)、
[B]−5 “jER(登録商標)”4007P(三菱ケミカル(株)製)、
[B]−6 “jER(登録商標)”4010P(三菱ケミカル(株)製)。
・成分[C]:芳香族アミン化合物
[C]−1 セイカキュア―S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製)、
[C]−2 3,3’DAS(3、3’−ジアミノジフェニルスルホン、三井化学ファイン(株)製)、
[C]−3 “Lonzacure(登録商標)”M−MIPA(4,4’−メチレン−ビス(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)、Lonza社製)、
[C]−4 “jERキュア(登録商標)”W(ジエチルトルエンジアミン、三菱ケミカル(株)製)。
・成分[D]:その他のエポキシ樹脂
[D]−1 GAN(ジグリシジルアニリン型エポキシ樹脂、日本化薬(株)製)、
[D]−2 “TEPIC(登録商標)”−S(イソシアヌル酸型エポキシ樹脂、日産化学工業(株)製)、
[D]−3 “スミエポキシ(登録商標)”ELM434(ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、住友化学工業(株)製)、
[D]−4 TG3DAS(ジアミノジフェニルスルホン型エポキシ樹脂、小西化学工業(株)製)、
[D]−5 “jER(登録商標)”828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル(株)製)、
[D]−6 “jER(登録商標)”1001(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル(株)製)、
[D]−7 “jER(登録商標)”1004(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル(株)製)、
[D]−8 “EPICLON(登録商標)”830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、大日本インキ化学工業(株)製)、
[D]−9 “EPICLON(登録商標)”807(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、大日本インキ化学工業(株)製)、
[D]−10 NER−7604(多官能ビスフェノールF型エポキシ樹脂、日本化薬(株)製)、
[D]−11 EHPE−3150(固形脂環式エポキシ樹脂、ダイセル(株)製)、
[D]−12 AER−4152(オキサゾリドン環型エポキシ樹脂、旭化成イーマテイリアルズ(株)製)。
・成分[E]:熱可塑性樹脂
[E]−1 “ビニレック(登録商標)”K(ポリビニルホルマール、JNC(株)製)、
[E]−2 “ビニレック(登録商標)”E(ポリビニルホルマール、JNC(株)製)、
[E]−3 “スミカエクセル(登録商標)”PES5003P(ポリエーテルスルホン、住友化学(株)製)、
[E]−4 “Virantage(登録商標)”VW−10700RFP(ポリエーテルスルホン、Solvay社製)。
・成分[F]:その他の硬化剤
[F]−1 DICY7(ジシアンジアミド、三菱ケミカル(株)製)、
[F]−2 DCMU99(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、保土ヶ谷化学工業(株)製)。
<エポキシ樹脂の平均エポキシ当量の測定方法>
ガラスビーカーに、成分[B]を約300mgとなるように秤量、投入し、さらに10mLのクロロホルムを添加した。秤量した成分がクロロホルムに溶解するまで、マグネティックスターラを用いて撹拌した。前記溶液に対し、酢酸を20mL添加し、つづいて臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液(0.4g/mL酢酸)を10mL添加し、撹拌した。前記溶液に電極を浸漬し、過塩素酸−酢酸標準液(0.1mol/L)にて電位差滴定を実施し、JIS K7236(2001)に従って、成分[B]の平均エポキシ当量を算出した。平均エポキシ当量は、表1〜4に示した通りである。
<エポキシ樹脂組成物の調製方法>
ニーダーに、[C]芳香族アミン化合物および[F]その他の硬化剤以外の成分を所定量入れ、60〜150℃まで昇温し、各成分が相溶するまで適宜混練した。すなわち、実施例、比較例中のそれぞれの組成に応じて各成分が相溶可能な温度まで昇温したところ、いずれの組成においても60〜150℃の範囲のいずれかの温度で、各成分を相溶させることができた。60℃まで降温させた後、[C]または[F]を添加し、60℃において30分間混練することにより、エポキシ樹脂組成物を得た。エポキシ樹脂組成は、表1〜4に示した通りである。
<エポキシ樹脂硬化物の曲げ特性の評価方法>
未硬化の樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中で、硬化剤の種類に応じて180℃または130℃の温度で2時間硬化させ、厚さ2mmの板状の樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、スパンを32mm、クロスヘッドスピードを10mm/分とし、JIS K7171(1994)に従って3点曲げを実施し、曲げ弾性率および曲げ強度を測定した。この際、サンプル数n=6で測定した値を曲げ弾性率および曲げ強度の値として採用した。
<エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度と貯蔵弾性率の評価方法>
未硬化の樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中で、硬化剤の種類に応じて180℃または130℃の温度で2時間硬化させ、厚さ2mmの板状の樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物から、幅12.7mm、長さ45mmの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置(ARES W/FCO:TAインスツルメント社製)を用い、固体ねじり治具に試験片をセットし、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、ひずみ量0.08%にて、40〜260℃の温度範囲について測定を行った。この際、ガラス転移温度は、得られた貯蔵弾性率と温度のグラフにおいて、ガラス状態に引いた接線と、ガラス転移温度領域に引いた接線との交点における温度とした。ゴム状態の貯蔵弾性率は、得られた貯蔵弾性率と温度のグラフにおいて、ガラス転移温度を50℃上回る温度における貯蔵弾性率とした。
<プリプレグの作製方法>
前記<エポキシ樹脂組成物の調製方法>に準じて得られたエポキシ樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布し、所定の目付の樹脂フィルムを2枚作製した。樹脂フィルムの目付は、39g/mとなるように調整した。次に、シート状に一方向に配列させた炭素繊維トレカ“(登録商標)”T700S−12K−60E(東レ(株)製、目付150g/m)に、得られた樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、温度110℃、圧力2MPaの条件で加圧加熱してエポキシ樹脂組成物を含浸させ、一方向プリプレグを得た。得られたプリプレグの繊維質量含有率は、67%であった。
<コンポジット特性の測定方法>
(1)CFRPの0°曲げ強度
上記<プリプレグの作製方法>により作製した一方向プリプレグの繊維方向を揃え、13プライ積層し、オートクレーブにて、180℃または130℃の温度で2時間、0.6MPaの圧力下、昇温速度1.7℃/分で成形して、厚み2mmの一方向材のCFRPを作製した。この積層板から、幅15mm、長さ100mmとなるように切り出し、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、JIS K7017(1988)に従って3点曲げを実施した。クロスヘッド速度5.0mm/分、スパン80mm、厚子径10mm、支点径4mmで測定を行い、曲げ強度を測定した。かかる0°曲げ強度は、6個の試料について測定し、繊維質量含有率を60質量%とした換算値を算出して、その平均を0°曲げ強度として求めた。
(2)CFRPの90°曲げ強度
上記(1)と同様の方法で、一方向材のCFRPを作製した。得られた厚み2mmの一方向積層板を、幅15mm、長さ60mmとなるように切り出し、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いJIS K7017(1988)に従って3点曲げを実施した。クロスヘッド速度1.0mm/分、スパン40mm、厚子径10mm、支点径4mmで測定を行い、曲げ強度を測定した。かかる90°曲げ強度は、6個の試料について測定し、繊維質量含有率を60質量%とした換算値を算出して、その平均を90°曲げ強度として求めた。
(実施例1)
エポキシ樹脂として“アラルダイト(登録商標)”MY0500を10質量部、“アラルダイト(登録商標)”MY0600を45質量部、“エポトート(登録商標)”YDF−2004を18質量部、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434を10質量部、EPICLON(商標登録)”830を17質量部、芳香族アミン化合物としてセイカキュア−Sを41.5質量部、熱可塑性樹脂として“ビニレック(登録商標)”Kを5.0質量部用い、上記<エポキシ樹脂組成物の調製方法>に従ってエポキシ樹脂組成物を調製した。
<エポキシ樹脂の平均エポキシ当量の測定方法>に従って、成分[B]の平均エポキシ当量を測定したところ、980g/eqであった。
<エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度と貯蔵弾性率の評価方法>に従いガラス転移温度およびゴム状態の貯蔵弾性率を測定したところ、それぞれ、175℃、10.0MPaであった。式(1)に示されるガラス転移温度(X)とゴム状態の貯蔵弾性率(Y)の関係(式(1):0.087X−6≦Y≦0.087X−4)において、X=175℃であるため、9.2≦Y≦11.2となり、該エポキシ樹脂硬化物のゴム状態の貯蔵弾性率は、式(1)の範囲を満たした。
このエポキシ樹脂組成物について、<エポキシ樹脂硬化物の曲げ特性の評価方法>に従い、180℃にて硬化したエポキシ樹脂硬化物の曲げ特性を取得したところ、曲げ弾性率は4.7GPa、曲げひずみ量は6.9%、曲げ強度は205MPaであった。
得られたエポキシ樹脂組成物から、<プリプレグの作製方法>に従って、繊維質量含有率67質量%のプリプレグを作製し、得られたプリプレグを13プライ積層し、180℃で硬化せしめて、一方向の繊維強化複合材料(CFRP)を作製した。
CFRPの機械特性を測定した結果、0°曲げ強度は1810MPa、90°曲げ強度は132MPaと、良好であった。
(実施例2〜15)
樹脂組成をそれぞれ表1および2に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物、およびCFRPを作製した。
表1に示したエポキシ樹脂硬化物について、実施例1にと同じ方法で、ガラス転移温度とゴム状態の貯蔵弾性率を取得した。各実施例のエポキシ樹脂硬化物は、式(1):0.087X−6≦Y≦0.087X−4(式中、Xはガラス転移温度、Yはゴム状態の貯蔵弾性率を表す)の関係を満たし、各実施例のエポキシ樹脂組成物に関して、曲げ特性を評価した結果、全ての水準で良好な物性が得られた。
また、CFRPの機械特性を評価した結果、全ての水準で良好な物性が得られた。
(比較例1)
表3に示した樹脂組成について、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグを作製した。成分[B]の平均エポキシ当量は2273g/eqであった。
実施例1と同じ方法で、ガラス転移温度とゴム状態の貯蔵弾性率を取得した。このエポキシ樹脂硬化物について、式(1):0.087X−6≦Y≦0.087X−4(式中、Xはガラス転移温度、Yはゴム状態の貯蔵弾性率を表す)の関係を調べたところ、式(1)を満たさなかった。<エポキシ樹脂硬化物の曲げ特性の評価方法>に従い、130℃にて硬化したエポキシ樹脂硬化物の曲げ特性を取得したところ、樹脂硬化物の曲げ弾性率は4.5GPaであったが、曲げひずみ量は4.3%、曲げ強度は180MPaと低いものとなった。また、ガラス転移温度は93℃であった。
得られたエポキシ樹脂組成物から、<プリプレグの作製方法>に従って、繊維質量含有率67質量%のプリプレグを作製し、得られたプリプレグを13プライ積層し、130℃で硬化せしめて、一方向の繊維強化複合材料(CFRP)を作製した。
CFRPの機械特性を測定した結果、0°曲げ強度は1701MPa、90°曲げ強度は113MPaであり、90°曲げ強度が低いものであった。
(比較例2〜3)
表3に示した樹脂組成について、比較例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物、および、CFRPを作製し、樹脂硬化物の曲げ特性、ガラス転移温度とゴム状態の貯蔵弾性率の関係(式(1))、および、CFRPの曲げ特性を取得した。また、各エポキシ樹脂組成物は、成分[B]を含まない。各樹脂硬化物は式(1)を満たさないため、樹脂硬化物の曲げ弾性率が低く、また、耐熱性も不十分なものであった。また、CFRPの曲げ特性が不十分であった。
(比較例4)
表3に示した樹脂組成について、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物、および、CFRPを作製し、樹脂硬化物の曲げ特性、ガラス転移温度とゴム状態の貯蔵弾性率の関係(式(1))、および、CFRPの曲げ特性を取得した。該エポキシ樹脂組成物は、成分[B]を含まない。樹脂硬化物は式(1)を満たさず、曲げ弾性率が3.7GPa、曲げひずみ量が5.8%、曲げ強度が181MPaと低いものとなった。
また、CFRPの0°および90°曲げ強度も低いものであった。
(比較例5)
表3に示した樹脂組成について、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物、および、CFRPを作製し、樹脂硬化物の曲げ特性、ガラス転移温度とゴム状態の貯蔵弾性率の関係(式(1))、および、CFRPの曲げ特性を取得した。該エポキシ樹脂組成物は、成分[B]を含まないが、25℃において液状のビスフェノールFを40質量部含む。樹脂硬化物は式(1)を満たさず、曲げ弾性率、曲げひずみ量、曲げ強度は不十分なものであり、また、CFRPの90°曲げ強度も98MPaと低いものであった。
(比較例6)
表3に示した樹脂組成について、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物、および、CFRPを作製し、樹脂硬化物の曲げ特性、ガラス転移温度とゴム状態の貯蔵弾性率の関係(式(1))、および、CFRPの曲げ特性を取得した。該エポキシ樹脂組成物は、成分[B]の平均エポキシ当量は2273g/eqであり、樹脂硬化物は式(1)を満たさない。樹脂硬化物の曲げ弾性率は4.5GPaだが、曲げ強度が180MPaと低いため、CFRPの90°曲げ強度が89MPaと不十分なものとなった。
(比較例7)
表4に示した樹脂組成について、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物、および、CFRPを作製し、樹脂硬化物の曲げ特性、ガラス転移温度とゴム状態の貯蔵弾性率の関係(式(1))、および、CFRPの曲げ特性を取得した。該エポキシ樹脂組成物は、成分[B]の平均エポキシ当量は4190g/eqであり、樹脂硬化物は式(1)を満たさないため、曲げひずみ量が低いものであった。
また、CFRPの90°曲げ強度が90MPaと不十分であった。
(比較例8)
表4に示した樹脂組成について、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物、および、CFRPを作製し、樹脂硬化物の曲げ特性、ガラス転移温度とゴム状態の貯蔵弾性率の関係(式(1))、および、CFRPの曲げ特性を取得した。該エポキシ樹脂組成物は、成分[B]の平均エポキシ当量は480g/eqであり、樹脂硬化物は式(1)を満たさず、曲げ弾性率が不十分なものとなった。また、耐熱性も不十分であった。
また、CFRPの90°曲げ強度が97MPaと低いものであった。
(比較例9)
表4に示した樹脂組成について、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物、および、CFRPを作製し、樹脂硬化物の曲げ特性、ガラス転移温度とゴム状態の貯蔵弾性率の関係(式(1))、および、CFRPの曲げ特性を取得した。該エポキシ樹脂組成物は、成分[B]を含まないが、25℃で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂を40質量部含む。樹脂硬化物は式(1)を満たさず、ガラス転移温度は180℃と高いが、曲げ弾性率が4.0GPaと低く、また、CFRPの曲げ強度が不十分であった。
(比較例10)
表4に示した樹脂組成について、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物、および、CFRPを作製し、樹脂硬化物の曲げ特性、ガラス転移温度とゴム状態の貯蔵弾性率の関係(式(1))、および、CFRPの曲げ特性を取得した。該エポキシ樹脂組成物は、成分[B]を含まないが、25℃で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂を30質量部含む。樹脂硬化物は式(1)を満たさず、曲げ弾性率および曲げ強度は低く、また、CFRPの0°および90°曲げ強度も不十分であった。
(比較例11)
表4に示した樹脂組成について、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物、および、CFRPを作製し、樹脂硬化物の曲げ特性、ガラス転移温度とゴム状態の貯蔵弾性率の関係(式(1))、および、CFRPの曲げ特性を取得した。該エポキシ樹脂組成物は、成分[A]を含まないが、4官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂であるELM434を60質量部含む。樹脂硬化物は式(1)を満たさず、ガラス転移温度は190℃と高いが、曲げ弾性率は4.0GPa、曲げ強度は160MPaと低く、また、CFRPの0°および90°曲げ強度も低いものであった。
Figure 2019218540
Figure 2019218540
Figure 2019218540
Figure 2019218540
なお、表中の各成分の単位は質量部である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、弾性率と曲げひずみを高いレベルで両立し、かつ耐熱性に優れる樹脂硬化物を与えるため、該エポキシ樹脂組成物を用いた繊維強化複合材料は、優れた0°曲げ強度と90°曲げ強度を有する。これにより、繊維強化複合材料の軽量化が可能となり、かつ、耐熱性が要求される用途へも展開できるため、様々な構造部材に適用可能である。

Claims (8)

  1. 次の成分[A]、[B]、[C]を含み、下記条件[a]、[b]、[c]を満たすエポキシ樹脂組成物。
    [A]:3官能のアミン型エポキシ樹脂
    [B]:25℃において固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂
    [C]:芳香族アミン化合物
    [a]:エポキシ樹脂組成物を180℃で120分反応させて得られる樹脂硬化物の曲げひずみ量が6%以上
    [b]:成分[B]の平均エポキシ当量が600〜1000g/eq
    [c]:エポキシ樹脂組成物を180℃で120分反応させて得られる樹脂硬化物の、動的粘弾性測定より得られるガラス転移温度X(℃)と、ゴム状態の貯蔵弾性率Y(MPa)が、下式(1)を満たす
    0.087X−6≦Y≦0.087X−4 ・・・(1)
  2. 成分[A]が、アミノフェノール型エポキシ樹脂である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 全エポキシ樹脂100質量部のうち、成分[A]を50〜80質量部含む、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 全エポキシ樹脂100質量部のうち、成分[B]を20〜40質量部含む、請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 成分[C]が、ジアミノジフェニルスルホンである、請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 成分[C]が、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンである、請求項5に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物と強化繊維からなるプリプレグ。
  8. 請求項7に記載のプリプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料。
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