JP2016020446A - 樹脂組成物、繊維強化複合材料及び成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]マトリクス樹脂(A)と、熱可塑性樹脂(B)、セルロースナノファイバーを含む補強材(C)と、を含有する樹脂組成物において、該マトリクス樹脂(A)はエポキシ樹脂を含有し、該エポキシ樹脂中には、1分子中にエポキシ基を3個以上含む芳香族エポキシ樹脂を含有することを特徴とする樹脂組成物。
本発明に使用し得るマトリクス樹脂は、エポキシ樹脂を含有することが必須であり、該エポキシ樹脂中には、1分子中にエポキシ基を3個以上含む芳香族エポキシ樹脂を含有することが必須である。
熱可塑性樹脂とは、加熱により溶融成形を行う樹脂を言う。その具体例としてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、酢酸セルロース樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリケトン樹脂、液晶ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。
セルロースナノファイバーを製造する方法としては、パルプ等のセルロースを解繊する方法が用いられる。解繊方法としては、例えばセルロースの水懸濁液等を、リファイナー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸または多軸混練機、ビーズミル等による機械的な磨砕、ないし叩解することにより解繊する方法を使用することができる。上記方法を1種または複数種類組み合わせてセルロースナノファイバーを製造してもよい。
本発明におけるセルロースナノファイバーを含む補強材(C)に対しては、さらに、本発明の効果を損なわない範囲であれば、各種樹脂、添加剤、有機及び無機フィラーなどを添加することが可能である。各種樹脂、添加剤、有機及び無機フィラーは、セルロースの微細化前に添加しても、微細化後に添加しても構わないが、その後の樹脂組成物および繊維強化複合材料との複合に際して、乾燥や精製などの不純物除去工程が必要となるようなものは、発明の効果を損ねる為に好ましくない。
本発明における強化繊維(D)は、繊維強化複合材料に用いられるものであればよく、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維等の無機繊維のほか、有機繊維を用いてもよい。中でも、炭素繊維とガラス繊維は、産業上利用範囲が広いため、好ましい。これらのうち、一種類のみ用いてもよく、複数種を同時に用いてもよい。
本発明に使用し得るセルロースナノファイバー(E)は、各種セルロースを解繊及び/又は微細化することで得られ、セルロースナノファイバー(E)を含む補強材(C)として樹脂組成物および繊維強化複合材料に配合することで、補強をすることができる。
本発明における解繊樹脂(F)は、セルロースを解繊及び/又は微細化することができる樹脂であれば特に制限されないが、特に優れるのはポリエステル系樹脂(F1)、ビニル樹脂(F2)、エポキシ樹脂(F3)、変性エポキシ樹脂(F4)である。
本発明におけるポリエステル系樹脂(F1)とは、下記一般式(1)で表される1種若しくは2種以上のポリオールと、下記一般式(2)で表される1種若しくは2種以上のポリカルボン酸とを反応させて得られる、ポリエステル樹脂である。
(式中、Aは酸素原子を含んでいても良い炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族基またはヘテロ環芳香族基を表す。mは2〜4の整数を表す。)
(式中、Bは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族基またはヘテロ環芳香族基を表す。nは2〜4の整数を表す。)
また、エステル基濃度が6.0mmol/g以上かつ酸価が10KOHmg/g以上であると、好ましい。
より好ましくは酸価10〜100KOHmg/g、更に好ましくは10〜200KOHmg/g、特に好ましくは10〜300KOHmg/gである。
また、エステル基濃度が6.0mmol/g以上かつ水酸基価が10以上であると、好ましい。
より好ましくは水酸基価10〜500KOHmg/g、更に好ましくは10〜800KOHmg/g、特に好ましくは10〜1000KOHmg/gである。
また、本発明におけるポリエステル系樹脂は、エステル基濃度が6.0mmol/g以上で、酸価が10KOHmg/g以上かつ水酸基価が10KOHmg/g以上であると、特に好ましい。
本発明におけるビニル樹脂(F2)とは、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体であり、ビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル誘導体、ビニルエステル誘導体、マレイン酸ジエステル誘導体、(メタ)アクリルアミド誘導体、スチレン誘導体、ビニルエーテル誘導体、ビニルケトン誘導体、オレフィン誘導体、マレイミド誘導体、(メタ)アクリロニトリルが好適に挙げられる。ビニル樹脂としては、その中でも特に(メタ)アクリル酸エステル誘導体を重合して得られる(メタ)アクリル樹脂が特に好ましい。
フマル酸ジエステル誘導体の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、およびフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル誘導体の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、およびイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
本発明に使用し得るビニル樹脂(F2)は、官能基を有することが好ましい。これは、マトリクス樹脂との相互作用により機械特性など成形体の物性を向上させることが可能となるからである。官能基としては、具体的にはハロゲン基(フッ素、塩素)、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シラノール基、シアノ基等が挙げられ、これらを複数種有していても構わない。
本発明で使用するビニル樹脂の分子量は、数平均分子量が3000以下であることが好ましい。詳細な理由は不明であるが、数平均分子量が3000以下であれば、セルロース繊維への親和性が高まるためではないかと予想される。
本発明におけるビニル樹脂(F2)の数平均分子量が3000以下のとき、酸価が30KOHmg/g以上60KOHmg/g未満であるとより好ましい。
本発明におけるビニル樹脂(F2)の数平均分子量が3000以下のとき、水酸基価が30KOHmg/g以上であると好ましく、50KOHmg/g以上であるとより好ましい。
本発明で用いるセルロースを解繊及び/又は微細化するためのエポキシ樹脂(F3)は、分子内にエポキシ基を有する化合物であって、その構造等に特に制限はない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ノニルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、t−ブチルカテコール型エポキシ樹脂等の多価エポキシ樹脂等が挙げられ、更に1価のエポキシ樹脂としては、ブタノール等の脂肪族アルコール、炭素数11〜12の脂肪族アルコール、フェノール、p−エチルフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−ターシャリブチルフェノール、s−ブチルフェノール、ノニルフェノール、キシレノール等の1価フェノール類とエピハロヒドリンとの縮合物、ネオデカン酸等の1価カルボキシル基とエピハロヒドリンとの縮合物等が挙げられ、グリシジルアミンとしては、ジアミノジフェニルメタンとエピハロヒドリンとの縮合物等、多価脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、大豆油、ヒマシ油等の植物油のポリグリシジルエーテルが挙げられ、多価アルキレングリコール型エポキシ樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、エリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、トリメチロールプロパンとエピハロヒドリンとの縮合物等、更には特開2005−239928号公報記載の水性エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは1種類で用いても、2種類以上を併用しても良い。
本発明における変性エポキシ樹脂(F4)とは、エポキシ基を有し、水酸基価が100mgKOH/g以上である変性エポキシ樹脂(F4)である。該変性エポキシ樹脂(F4)は、エポキシ樹脂とカルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(f)とを反応させることで得ることができる。
本発明におけるカルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(f)は、上記エポキシ樹脂(F3)と反応して水酸基価が100mgKOH/g以上である変性エポキシ樹脂(F4)を生成するものであればよく、カルボキシル基を有する化合物(f1)と、アミノ基を有する化合物(f2)と、カルボキシル基及びアミノ基を有する化合物(f3)のいずれか1種以上を用いることができる。
本発明におけるカルボキシル基を有する化合物(f1)とは、カルボキシル基を一つ以上有する化合物である。カルボキシル基を一つ有する化合物として、具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、イソプロピル酸、イソステアリン酸、ネオデカン酸、などの脂肪酸、安息香酸、メチル安息香酸、ジメチル安息香酸、トリメチル安息香酸、フェニル酢酸、4−イソプロピル安息香酸、2−フェニルプロパン酸、2−フェニルアクリル酸、3−フェニルプロパン酸、ケイ被酸などの芳香族カルボン酸等が挙げられる。カルボキシル基を二つ以上有する化合物として、具体的には、コハク酸、アジピン酸、テレフタレート酸、イソフタル酸、ピロメリット酸などのカルボン酸類、及びこれらの無水物を挙げることができる。さらに、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸及びこれらのエステル等があり、ハロゲン化無水マレイン酸等、アコニット酸などのα,β−不飽和二塩基酸やジヒドロムコン酸等のβ,γ−不飽和二塩基酸が挙げられる。また、飽和二塩基酸およびその無水物として、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、コハク酸無水物、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸,2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
本発明におけるアミノ基を有する化合物(f2)とは、アミノ基を一つ以上有する化合物である。具体的には、アミノ基を一つ有する化合物として、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチル−2−プロパンアミン、アニリン、トルイジン、2−アミノアントラセンなどをあげることができる。2つ以上のアミノ基を有する化合物としては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−シクロヘキシルメタンジアミン、ノルボルナンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、キシリレンジアミンなどをあげることができる。
本発明におけるカルボキシル基及びアミノ基を有する化合物(f3)とは、カルボキシル基とアミノ基を一つずつ以上有する化合物である。代表的にはアミノ酸が挙げられ、さらに水酸基を有しても構わない。具体的には、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスオアラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アミノラク酸、テアニン、トリコロミン酸、カイニン酸等が挙げられる。
さらに水酸基を有する、カルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(f4)とは、カルボキシル基またはアミノ基を有し、さらに水酸基を一つ以上有する化合物である。具体的には、グリコール酸、グリセリン酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシラク酸、リンゴ酸、2,3−ジヒドロキシブタン二酸、クエン酸、イソクエン酸、メバロン酸、バントイン酸、リシノール酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ヒドロキシフェニルプロパン酸、マンデル酸、ベンジル酸、ヒドロキシメチルアミン、ヒドロキシエチルアミン、ヒドロキシプロピルアミンなどが挙げられる。
本発明における水酸基価が100mgKOH/g以上である変性エポキシ樹脂(F4)は、エポキシ樹脂のエポキシ基とカルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(f)のカルボキシル基又はアミノ基を反応させることで得ることができる。水酸基価が100mgKOH/gより少ない場合、セルロースとの親和性が低くなることから、セルロースナノファイバーへの解繊は進みにくいため、好ましくない。エポキシ基とカルボキシル基又はアミノ基の反応比は、水酸基価が100mgKOH/g以上生じ、かつ所望のエポキシ基量が残るように任意に設定すればよい。
本発明において、セルロースナノファイバー(E)は、水または解繊樹脂(F)中で解繊及び/又は微細化される。セルロースの解繊及び/又は微細化は、水または解繊樹脂(F)中にセルロースを添加し、機械的に箭断力を与えることにより行うことができる。箭断力を与える手段としては、ビーズミル、超音波ホモジナイザー、一軸押出機、二軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、グラインダー、加圧ニーダー、2本ロール等の公知の混練機等を用い剪断力を与えることができる。これらの中でも高粘度の樹脂中でも安定した剪断力を得られる観点から加圧ニーダーを用いることが好ましい。
繊維強化複合材料は、少なくともマトリクス樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とセルロースナノファイバーを含む補強材(C)を含有する樹脂組成物と、強化繊維(D)とを複合化することによって得られる。
前記樹脂組成物中におけるセルロースナノファイバー(E)の量は、0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜7質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。0.1質量%以上とすることで靭性向上効果が得られる。
繊維強化複合材料には、その用途に応じて従来公知の各種添加剤を含有しても良く、例えば、加水分解防止剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、重合開始剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン等)、酸化防止剤、無機フィラー、有機フィラー等をあげることができる。
本発明の繊維強化複合材料を使用して板状の製品を製造するのであれば、押し出し成形法が一般的であるが、平面プレスによっても可能である。この他、異形押し出し成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、真空成形法、射出成形法等を用いることが可能である。またフィルム状の製品を製造するのであれば、溶融押出法の他、溶液キャスト法を用いることができ、溶融成形方法を用いる場合、インフレーションフィルム成形、キャスト成形、押出ラミネーション成形、カレンダー成形、シート成形、繊維成形、ブロー成形、射出成形、回転成形、被覆成形等が挙げられる。また、活性エネルギー線で硬化する樹脂の場合、活性エネルギー線を用いた各種硬化方法を用いて成形体を製造する事ができる。特に、熱硬化性樹脂をマトリクス樹脂の主成分とする場合には、成形材料をプリプレグ化してプレスやオートクレーブにより加圧加熱する成形法が挙げられ、この他にもRTM(Resin Transfer Molding)成形、VaRTM(Vaccum assist Resin Transfer Molding)成形、FW(Filament Winding)成形、積層成形、ハンドレイアップ成形等が挙げられる。
本発明の繊維強化複合材料は、各種用途に好適に利用できる。例えば、産業用機械部品(例えば電磁機器筐体、ロール材、搬送用アーム、医療機器部材など)、一般機械部品、自動車・鉄道・車両等部品(例えば外板、シャシー、空力部材、座席など)、船舶部材(例えば船体、座席など)、航空関連部品(例えば、胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウル、ドア、座席、内装材など)、宇宙機・人工衛星部材(モーターケース、主翼、構体、アンテナなど)、電子・電気部品(例えばパーソナルコンピュータ筐体、携帯電話筐体、OA機器、AV機器、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品など)、建築・土木材料(例えば鉄筋代替材料、トラス構造体、つり橋用ケーブルなど)、生活用品、スポーツ・レジャー用品(例えばゴルフクラブシャフト、釣り竿、テニスやバトミントンのラケット、バットなど)、風力発電用筐体部材等が挙げられる。また容器・包装部材、例えば燃料電池に使用されるような水素ガスなどを充填する高圧力容器にも好適に使用することができる。
まず、補強材(C)を製造するために、窒素ガス導入管、還流コンデンサ、攪拌機を備えた2Lのガラス製フラスコにジエチレングリコール758.2部(7.14mol、仕込みモル比0.53)、アジピン酸652.6部(4.47mol、仕込みモル比0.33)、無水マレイン酸183.9部(1.88mol、仕込みモル比0.14)を仕込み、窒素気流下に、加熱を開始した。内温200℃にて、常法にて脱水縮合反応を行った。酸価が13KOHmg/gになったところで、直ちに150℃まで冷却し、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを仕込み原料質量に対し100ppm添加した。さらに室温まで冷却し、酸価13KOHmg/g、水酸基価89KOHmg/g、エステル基濃度が9.1mmol/gである、ポリエステル系樹脂を得た。
(酸価の測定方法)
500mlビーカーに試薬特級水酸化カリウム33gを計量し、イオン交換水150mlを徐々に加え冷却した(KOH溶解液)。5リットル容器に半分の量の工業用メタノールを入れ、KOH溶解液を混合しながら徐々に移した。更に工業用メタノールを徐々に加えて全量を5リットルとした(0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液)。
100ml三角マイヤーに試薬特級シュウ酸0.1gを精秤し、イオン交換水30ccを加えて溶かした。1%フェノールフタレイン指示薬数滴を加え、0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液で滴定し、下記計算式(3)により力価を求めた。
末端水酸基価は、13C−NMRスペクトルにおける、末端構造およびエステル結合に由来する各ピークの面積比から求めた。測定装置は、日本電子製JNM−LA300を用い、試料の10wt%重クロロホルム溶液に緩和試薬としてCr(acac)3 10mgを加え、ゲートデカップリング法による13C−NMRの定量測定を行なった。積算は4000回行なった。
エステル基濃度は下記計算式(5)により求めた。
=生成エステル基量(mmol)/[仕込みモノマー量(g)−生成水量(g)]・・・(5)
前記ポリエステル系樹脂を600質量部、日本製紙ケミカル社製のセルロースパウダー製品「KCフロック(登録商標) W−50GK」(繊維径約20〜30μm、繊維長約200〜400μm)400質量部を、森山製作所製加圧ニーダー(DS1−5GHH−H)を用いて60rpmで600分加圧混練を行ってセルロースの微細化処理を行い、マスタバッチを得た。得られたマスタバッチを、セルロースナノファイバーを含有する補強材(C)とした。
〔樹脂組成物1の製造〕
得られた補強材(C)を8.9部、DIC株式会社製エポキシ樹脂 EPICLON(登録商標)830を126.7部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂としてALDRICH社製、4,4‘−メチレンビス[N,N−ビス(オキシラニルメチル)アニリン]を100部とを混合した。混合は、プライミクス社製撹拌装置「ラボリューション(登録商標)」に同社製「ネオミクサー(登録商標)撹拌翼4−2.5型」を装着して12000回転で30分間撹拌することによって行った。窒素ガス導入管、還流コンデンサ、攪拌機を備えた500mLのガラス製セパラブルフラスコに、得られた混合液235.6部を仕込み、窒素気流下に、170℃に加熱した。170℃の加熱下、住友化学株式会社製 スミカエクセル(登録商標)PES5003PSを20部仕込み、2時間攪拌した。その後120℃に冷却し、和歌山精化工業株式会社製 セイカキュア−Sを100部仕込み20分攪拌し、樹脂組成物1を得た。樹脂組成物1中のセルロースナノファイバーの含有率は1質量%となる。
成形は、JIS K 7072(1991)の5.4に示されている開放金型を用い、5.4.2の炭素繊維ヤーンを用いる場合に則り成形した。即ち120℃に加熱した樹脂組成物1中に東レ株式会社製の炭素繊維「トレカ(登録商標)T800SC−2400」を一方向にテンションをかけた状態で並べて浸漬して含浸させ、予め離形剤を塗布したキャビティー面積200mm×200mmの解放金型に樹脂組成物1を含浸させた炭素繊維を所定厚みの半分量をセットした。次に初期き裂導入のため、JIS K 7086(1993)に示される試験板作製方法の一例に則り、離形処理を施したポリイミドフィルム(12.5μm厚み)を二つ折りにして、亀裂が炭素繊維と平行となる方向に進むように金型の端部にセットした。更に樹脂を含浸させた炭素繊維を所定厚みの半分量重ねた。この結果、ポリイミドフィルムが中間層の端部に入ったことになる。
金型を閉じて180℃、面圧1MPaで120分加圧加熱し、樹脂組成物1にセルロースナノファイバー1質量%を含んだ繊維強化複合材料1の成形品を得た。成形品の肉厚は3mmで、炭素繊維の容積含有率は65%であった。
上記で得られた成形品に対して、JIS K 7086に基づき、下記のDCB試験を行った。
成形品より幅20mm、長さ150mmの試験片をダイヤモンドカッターにて切り出した。次にインストロン社製万能試験機を用い、JIS K 7086のDCB試験に準拠し、室温23℃、湿度50%の雰囲気下にてDCB試験を実施した(試験数3)。測定結果は0.23、0.22、0.23kJ/m2であり、平均すると0.23kJ/m2であった。
上記で得られた成形品に対して、JIS K 7086に基づき、下記のENF試験を行った。
成形品より幅20mm、長さ140mmの試験片をダイヤモンドカッターにて切り出した。次にインストロン社製万能試験機を用い、JIS K 7086のENF試験に準拠し、室温23℃、湿度50%の雰囲気下にてENF試験を実施した(試験数3)。測定結果は0.87、0.85、0.82kJ/m2であり、平均すると0.85kJ/m2であった。
実施例1で用いた補強材(C)を使用しなかった以外は実施例1と同様に樹脂組成物を作製し(樹脂組成物2)、成形板、試験片を作製し、物性を測定した。DCB試験の結果は、0.17、0.16、0.16kJ/m2であり、平均すると0.16kJ/m2であった。ENF試験の結果は、0.65、0.62、0.64kJ/m2であり、平均すると0.63kJ/m2であった。
コアシェルポリマー粒子を含むマスターバッチとして株式会社カネカ製のカネエース(登録商標)MX−136(コアシェルポリマー粒子濃度25質量%)を14.2部、DIC株式会社製エポキシ樹脂 EPICLON(登録商標)830を121.4部、ALDRICH社製、4,4‘−メチレンビス[N,N−ビス(オキシラニルメチル)アニリン]を100部とを混合した。混合は、プライミクス社製撹拌装置「ラボリューション(登録商標)」に同社製「ネオミクサー(登録商標)撹拌翼4−2.5型」を装着して12000回転で30分間撹拌することによって行った。窒素ガス導入管、還流コンデンサ、攪拌機を備えた500mLのガラス製セパラブルフラスコに、得られた混合液235.6部を仕込み、窒素気流下に、170℃に加熱した。170℃の加熱下、住友化学株式会社製 スミカエクセル(登録商標)PES5003PSを20部仕込み、2時間攪拌した。その後120℃に冷却し、和歌山精化工業株式会社製 セイカキュア−Sを100部仕込み20分攪拌し、樹脂組成物3を得た。樹脂組成物3中のコアシェルポリマー粒子の含有率は1質量%となる。
Claims (9)
- マトリクス樹脂(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、セルロースナノファイバーを含む補強材(C)と、を含有する樹脂組成物において、
該マトリクス樹脂(A)はエポキシ樹脂を含有し、
該エポキシ樹脂中には、1分子中にエポキシ基を3個以上含む芳香族エポキシ樹脂を含有することを特徴とする樹脂組成物。 - 前記1分子中にエポキシ基を3個以上含む芳香族エポキシ樹脂の含有量が、全てのエポキシ樹脂中の30質量%以上である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記1分子中にエポキシ基を3個以上含む芳香族エポキシ樹脂が、グリシジルアミン型エポキシ樹脂である請求項1又は2のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記セルロースナノファイバーの含有量が0.1〜10質量%の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記セルロースナノファイバーが、解繊樹脂中で微細化されたセルロースナノファイバーである請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂がポリエーテルサルホンである請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物と、強化繊維(D)と、を含有することを特徴とする繊維強化複合材料。
- 前記強化繊維(D)が、炭素繊維である請求項7に記載の繊維強化複合材料。
- 請求項7又は8のいずれかに記載の繊維強化複合材料を成形して得られたことを特徴とする成形品。
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