JP2016138220A - 樹脂組成物及び接着剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 マトリクス樹脂(A)と、硬化剤(B)と、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)と、を含有する樹脂組成物において、該マトリクス樹脂(A)はエポキシ樹脂を含有し、該セルロースナノファイバーの含有量を該樹脂組成物の全量に対して0.1〜10質量%の範囲とする。
【選択図】 なし
Description
[1]マトリクス樹脂(A)と、硬化剤(B)と、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)と、を含有する接着剤において、該マトリクス樹脂(A)はエポキシ樹脂を含有し、該セルロースナノファイバーの含有量が該樹脂組成物の全量に対して0.1〜10質量%の範囲であることを特徴とする樹脂組成物。
本発明に使用し得るマトリクス樹脂としては、接着剤として使用できるものであれば特に制限が無く、モノマーであってもオリゴマーであってもポリマーであってもかまわず、ポリマーはホモポリマーであってもコポリマーであってもかまわない。また、これらは一種類でも複数種類を組み合わせて使用してもかまわない。ポリマーの場合、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても、いずれも使用することができる。
本発明に用いられる硬化剤(B)は特に限定されず、通常のエポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものを用いることができる。例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族アミン、芳香族ポリアミン、ジシアンジアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸ヒドラジド、酸無水物、ポリメルカプタン、ポリフェノールなど、量論的反応を行う化合物と、イミダゾール、ルイス酸錯体、オニウム塩のように触媒的に作用する化合物がある。量論的反応を行う化合物を用いる場合には、硬化促進剤、例えば各種アミン類、イミダゾール、ルイス酸錯体、オニウム塩、ホスフィンなどを用いることができる。
セルロースナノファイバーを製造する方法としては、パルプ等のセルロースを解繊する方法が用いられる。解繊方法としては、例えばセルロースの水懸濁液等を、リファイナー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸または多軸混練機、ビーズミル等による機械的な磨砕、ないし叩解することにより解繊する方法を使用することができる。上記方法を1種または複数種類組み合わせてセルロースナノファイバーを製造してもよい。
本発明におけるセルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)に対しては、さらに、本発明の効果を損なわない範囲であれば、各種樹脂、添加剤、有機及び無機フィラーなどを添加することが可能である。各種樹脂、添加剤、有機及び無機フィラーは、セルロースの微細化前に添加しても、微細化後に添加しても構わないが、その後の樹脂組成物及び接着剤との複合に際して、乾燥や精製などの不純物除去工程が必要となるようなものは、発明の効果を損ねる為に好ましくない。
本発明に使用し得るセルロースナノファイバーは、各種セルロースを解繊及び/又は微細化することで得られ、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)として樹脂組成物及び接着剤に配合することで、補強をすることができる。
本発明における解繊樹脂(D)は、セルロースを解繊及び/又は微細化することができる樹脂であれば特に制限されないが、特に優れるのはポリエステル系樹脂(D1)、ビニル樹脂(D2)、エポキシ樹脂(D3)、変性エポキシ樹脂(D4)である。
本発明におけるポリエステル系樹脂(D1)とは、下記一般式(1)で表される1種若しくは2種以上のポリオールと、下記一般式(2)で表される1種若しくは2種以上のポリカルボン酸とを反応させて得られる、ポリエステル樹脂である。
(式中、Aは酸素原子を含んでいても良い炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族基またはヘテロ環芳香族基を表す。mは2〜4の整数を表す。)
(式中、Bは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族基またはヘテロ環芳香族基を表す。nは2〜4の整数を表す。)
本発明におけるビニル樹脂(D2)とは、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体であり、ビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル誘導体、ビニルエステル誘導体、マレイン酸ジエステル誘導体、(メタ)アクリルアミド誘導体、スチレン誘導体、ビニルエーテル誘導体、ビニルケトン誘導体、オレフィン誘導体、マレイミド誘導体、(メタ)アクリロニトリルが好適に挙げられる。ビニル樹脂としては、その中でも特に(メタ)アクリル酸エステル誘導体を重合して得られる(メタ)アクリル樹脂が特に好ましい。
フマル酸ジエステル誘導体の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル誘導体の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
本発明に使用し得るビニル樹脂(D2)は、官能基を有することが好ましい。これは、マトリクス樹脂との相互作用により機械特性など成形体の物性を向上させることが可能となるからである。官能基としては、具体的にはハロゲン基(フッ素、塩素)、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シラノール基、シアノ基等が挙げられ、これらを複数種有していても構わない。
本発明で使用するビニル樹脂の分子量は、数平均分子量が3000以下であることが好ましい。詳細な理由は不明であるが、数平均分子量が3000以下であれば、セルロース繊維への親和性が高まるためではないかと予想される。
本発明におけるビニル樹脂(D2)の数平均分子量が3000以下のとき、酸価が30KOHmg/g以上60KOHmg/g未満であるとより好ましい。
本発明におけるビニル樹脂(D2)の数平均分子量が3000以下のとき、水酸基価が30KOHmg/g以上であると好ましく、50KOHmg/g以上であるとより好ましい。
本発明で用いるセルロースを解繊及び/又は微細化するためのエポキシ樹脂(D3)は、分子内にエポキシ基を有する化合物であって、その構造等に特に制限はない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ノニルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、t−ブチルカテコール型エポキシ樹脂等の多価エポキシ樹脂等が挙げられ、更に1価のエポキシ樹脂としては、ブタノール等の脂肪族アルコール、炭素数11〜12の脂肪族アルコール、フェノール、p−エチルフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−ターシャリブチルフェノール、s−ブチルフェノール、ノニルフェノール、キシレノール等の1価フェノール類とエピハロヒドリンとの縮合物、ネオデカン酸等の1価カルボキシル基とエピハロヒドリンとの縮合物等が挙げられ、グリシジルアミンとしては、ジアミノジフェニルメタンとエピハロヒドリンとの縮合物等、多価脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、大豆油、ヒマシ油等の植物油のポリグリシジルエーテルが挙げられ、多価アルキレングリコール型エポキシ樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、エリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、トリメチロールプロパンとエピハロヒドリンとの縮合物等、また樹脂骨格中にゴム骨格(例えばポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル基末端アクリロニトリルブタジエンゴム等)を有するゴム変性エポキシ樹脂やウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、更には特開2005−239928号公報記載の水性エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは1種類で用いても、2種類以上を併用しても良い。
本発明における変性エポキシ樹脂(D4)とは、エポキシ基を有し、水酸基価が100mgKOH/g以上である変性エポキシ樹脂(D4)である。該変性エポキシ樹脂(D4)は、エポキシ樹脂とカルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(d)とを反応させることで得ることができる。
本発明におけるカルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(d)は、上記エポキシ樹脂(D3)と反応して水酸基価が100mgKOH/g以上である変性エポキシ樹脂(D4)を生成するものであればよく、カルボキシル基を有する化合物(d1)と、アミノ基を有する化合物(d2)と、カルボキシル基及びアミノ基を有する化合物(d3)のいずれか1種以上を用いることができる。
本発明におけるカルボキシル基を有する化合物(d1)とは、カルボキシル基を一つ以上有する化合物である。カルボキシル基を一つ有する化合物として、具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、イソプロピル酸、イソステアリン酸、ネオデカン酸、などの脂肪酸、安息香酸、メチル安息香酸、ジメチル安息香酸、トリメチル安息香酸、フェニル酢酸、4−イソプロピル安息香酸、2−フェニルプロパン酸、2−フェニルアクリル酸、3−フェニルプロパン酸、ケイ被酸などの芳香族カルボン酸等が挙げられる。カルボキシル基を二つ以上有する化合物として、具体的には、コハク酸、アジピン酸、テレフタレート酸、イソフタル酸、ピロメリット酸などのカルボン酸類、及びこれらの無水物を挙げることができる。さらに、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸及びこれらのエステル等があり、ハロゲン化無水マレイン酸等、アコニット酸などのα,β−不飽和二塩基酸やジヒドロムコン酸等のβ,γ−不飽和二塩基酸が挙げられる。また、飽和二塩基酸及びその無水物として、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、コハク酸無水物、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸,2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
本発明におけるアミノ基を有する化合物(d2)とは、アミノ基を一つ以上有する化合物である。具体的には、アミノ基を一つ有する化合物として、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチル−2−プロパンアミン、アニリン、トルイジン、2−アミノアントラセンなどをあげることができる。2つ以上のアミノ基を有する化合物としては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−シクロヘキシルメタンジアミン、ノルボルナンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、キシリレンジアミンなどをあげることができる。
本発明におけるカルボキシル基及びアミノ基を有する化合物(d3)とは、カルボキシル基とアミノ基を一つずつ以上有する化合物である。代表的にはアミノ酸が挙げられ、さらに水酸基を有しても構わない。具体的には、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスオアラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アミノラク酸、テアニン、トリコロミン酸、カイニン酸等が挙げられる。
さらに水酸基を有する、カルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(d4)とは、カルボキシル基またはアミノ基を有し、さらに水酸基を一つ以上有する化合物である。具体的には、グリコール酸、グリセリン酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシラク酸、リンゴ酸、2,3−ジヒドロキシブタン二酸、クエン酸、イソクエン酸、メバロン酸、バントイン酸、リシノール酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ヒドロキシフェニルプロパン酸、マンデル酸、ベンジル酸、ヒドロキシメチルアミン、ヒドロキシエチルアミン、ヒドロキシプロピルアミンなどが挙げられる。
本発明における水酸基価が100mgKOH/g以上である変性エポキシ樹脂(D4)は、エポキシ樹脂のエポキシ基とカルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(d)のカルボキシル基又はアミノ基を反応させることで得ることができる。水酸基価が100mgKOH/gより少ない場合、セルロースとの親和性が低くなることから、セルロースナノファイバーへの解繊は進みにくいため、好ましくない。エポキシ基とカルボキシル基又はアミノ基の反応比は、水酸基価が100mgKOH/g以上生じ、かつ所望のエポキシ基量が残るように任意に設定すればよい。
本発明において、セルロースナノファイバーは、水または解繊樹脂(D)中で解繊及び/又は微細化される。セルロースの解繊及び/又は微細化は、水または解繊樹脂(D)中にセルロースを添加し、機械的に箭断力を与えることにより行うことができる。箭断力を与える手段としては、ビーズミル、超音波ホモジナイザー、一軸押出機、二軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、グラインダー、加圧ニーダー、2本ロール等の公知の混練機等を用い剪断力を与えることができる。これらの中でも高粘度の樹脂中でも安定した剪断力を得られる観点から加圧ニーダーを用いることが好ましい。
接着剤は、少なくともマトリクス樹脂(A)と硬化剤(B)とセルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)とを複合化することによって得られる。
(1)解繊樹脂(D)中で直接セルロースを解繊及び/又は微細化してセルロースナノファイバーを得た後、
(2)該セルロースナノファイバーを含有する解繊樹脂組成物(C)とマトリクス樹脂(A)を含む樹脂組成物を得て、
(3)さらに硬化剤(B)を複合化して最終的な樹脂組成物を得る工程を経ることにより、接着剤とする方法である。なお、上記(2)の工程において、マトリクス樹脂(A)と硬化剤(B)とを一緒に含有させることでも構わない。
接着剤には、その用途に応じて従来公知の各種添加剤を含有しても良く、例えば、加水分解防止剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、重合開始剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン等)、酸化防止剤、導電性付与剤、摺動性付与剤、界面活性剤、触媒、硬化促進剤、無機フィラー、有機フィラー等をあげることができる。これらの添加剤は、上記(2)の工程や(3)の工程で添加することもできるが、上記(3)の工程で最終的な樹脂組成物を得た後に添加する方が、接着剤として必要な用途に応じて調整ができるために好ましい。
上述した最終的な樹脂組成物中におけるセルロースナノファイバーの量は、接着性能の観点からは0.1質量%以上であり、粘度調整の観点からは10質量%以下であるが、好ましくは0.1〜7質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、機械的特性を損なうことなく優れた接着強度を有しているので、航空宇宙分野、エレクトロニクス、土木、建築等の技術分野での使用、自動車、車載向け用途等幅広く使用することができる。
まず、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)を製造するために、窒素ガス導入管、還流コンデンサ、攪拌機を備えた2Lのガラス製フラスコにジエチレングリコール758.2部(7.14mol、仕込みモル比0.53)、アジピン酸652.6部(4.47mol、仕込みモル比0.33)、無水マレイン酸183.9部(1.88mol、仕込みモル比0.14)を仕込み、窒素気流下に、加熱を開始した。内温200℃にて、常法にて脱水縮合反応を行った。酸価が13KOHmg/gになったところで、直ちに150℃まで冷却し、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを仕込み原料質量に対し100ppm添加した。さらに室温まで冷却し、酸価13KOHmg/g、水酸基価89KOHmg/g、エステル基濃度が9.1mmol/gである、ポリエステル系樹脂を得た。
(酸価の測定方法)
500mlビーカーに試薬特級水酸化カリウム33gを計量し、イオン交換水150mlを徐々に加え冷却した(KOH溶解液)。5リットル容器に半分の量の工業用メタノールを入れ、KOH溶解液を混合しながら徐々に移した。更に工業用メタノールを徐々に加えて全量を5リットルとした(0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液)。
末端水酸基価は、13C−NMRスペクトルにおける、末端構造及びエステル結合に由来する各ピークの面積比から求めた。測定装置は、日本電子製JNM−LA300を用い、試料の10wt%重クロロホルム溶液に緩和試薬としてCr(acac)3 10mgを加え、ゲートデカップリング法による13C−NMRの定量測定を行なった。積算は4000回行なった。
エステル基濃度は下記計算式(5)により求めた。
=生成エステル基量(mmol)/[仕込みモノマー量(g)−生成水量(g)]・・・(5)
前記ポリエステル系樹脂を600質量部、日本製紙ケミカル社製のセルロースパウダー製品「KCフロック(登録商標) W−50GK」(繊維径約20〜30μm、繊維長約200〜400μm)400質量部を、森山製作所製加圧ニーダー(DS1−5GHH−H)を用いて60rpmで600分加圧混練を行ってセルロースの微細化処理を行い、マスタバッチを得た。得られたマスタバッチを、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)とした。
〔樹脂組成物1の製造〕
得られたセルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)を2.5部、DIC株式会社製エポキシ樹脂 EPICLON(登録商標)850S(ビスフェノールA型)を36.9部、EPICLON(登録商標)1055(ビスフェノールA型)を55.3部とを80℃に加熱しながら混合した。混合は、プライミクス社製撹拌装置「ラボリューション(登録商標)」に同社製「ネオミクサー(登録商標)撹拌翼4−2.5型」を装着して12000回転で30分間撹拌することによって行った。得られた混合液94.7部を80℃の加熱下、味の素株式会社製の硬化剤(ジシアンジアミド) アミキュア(登録商標)AH−154を5.3部仕込み、1分間撹拌し、樹脂組成物1を得た。樹脂組成物1中のセルロースナノファイバーの含有率は1質量%となる。
厚み1.6mm、幅25mm、長さ100mmの冷間圧延鋼板を被着材として使用し、150℃、1時間加熱して樹脂組成物1を硬化させ、剛性被着材の引張せん断接着強さ用試験片を作製した(JIS K 6850準拠)。
上記で得られた試験片に対して、JIS K 6850に基づき、下記の引張せん断接着試験を行った。
引張せん断接着強さ低下率(%)
={[(S-20)−(S23)]/(S-20)}×100・・・(6)
実施例1で用いたセルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)を使用しなかった以外は実施例1と同様に樹脂組成物を作製し(樹脂組成物2)、試験片を作製し、物性を測定し、引張せん断接着強さの低下率を算出した。結果を表1に示す。
〔樹脂組成物3の製造〕
実施例1で用いたEPICLON(登録商標)850S(ビスフェノールA型)をEPICLON(登録商標)830(ビスフェノールF型)に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物3を作製した。
実施例2で用いたセルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)を使用しなかった以外は実施例2と同様に樹脂組成物を作製し(樹脂組成物4)、試験片を作製し、物性を測定し、引張せん断接着強さの低下率を算出した。
Claims (5)
- マトリクス樹脂(A)と、硬化剤(B)と、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)と、を含有する樹脂組成物において、
該マトリクス樹脂(A)はエポキシ樹脂を含有し、
該セルロースナノファイバーの含有量が該樹脂組成物の全量に対して0.1〜10質量%の範囲であることを特徴とする樹脂組成物。 - 前記セルロースナノファイバーの含有量が前記樹脂組成物の全量に対して0.1〜7質量%の範囲である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)は、セルロースを直接解繊樹脂(D)中で微細化して得られたものである請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記硬化剤(B)が、ジシアンジアミドを含む硬化剤である請求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とする接着剤。
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