JP2016138220A - 樹脂組成物及び接着剤 - Google Patents

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健一 濱田
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Abstract

【課題】 接着強度の高い樹脂組成物を提供すると共に、この樹脂組成物を用いて低温から高温までの広い範囲で高い接着性を有する耐熱性のある接着剤を提供する。
【解決手段】 マトリクス樹脂(A)と、硬化剤(B)と、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)と、を含有する樹脂組成物において、該マトリクス樹脂(A)はエポキシ樹脂を含有し、該セルロースナノファイバーの含有量を該樹脂組成物の全量に対して0.1〜10質量%の範囲とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物に関し、特に自動車構造パネル等に好適に用いられる、低温のみならず高温での接着強度にも優れる樹脂組成物と、これを用いた接着剤及び構造用接着剤に関するものである。
近年、環境・安全に対する社会的な関心の高まりにより、省エネルギー化、二酸化炭素を削減する製品に対するニーズが高くなっている。特に自動車や航空機といった輸送機器の分野では、燃費向上のため、車体を軽量化する試みが実施されている。従来の鋼板からアルミニウムや、炭素繊維複合材料等を用いて、車体を軽量化しながらも、その剛性は高く保持する必要がある。軽量化のためには、各種軽量化基材を組み合わせて使用しなければならず、その接合部の強度・剛性を高くする、すなわち接着接合部分の強度を高く保持する必要がある。自動車においては車体の剛性、強度等を高く保持するため、スポット溶接と接着剤を併用したウェルボンド工法が採用されている。ウェルボンド工法に用いられる接着剤は、低温(約−20℃)から高温(約80℃)まで鋼板に対する高い接着性が求められている。このような車体に用いられる接着剤は、構造用接着剤と呼ばれている。
ウェルボンド工法に用いられる接着剤としては、ウレタン変性エポキシ樹脂にコアシェル粒子を分散させた接着剤を用いる方法(特許文献1、2)やビスフェノールAにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドをそれぞれ2〜20モル付加した化合物からなるエポキシ樹脂にコアシェル粒子を分散させたものが用いられている(特許文献3)。しかしながら、この方法では十分に高い接着強度を発揮するためには、コアシェル粒子を大量に配合する必要があり、この結果、組成物の弾性率が低下し、接合部の剛性を高くすることができない。この結果高温での強度、弾性率が低下してしまう問題があった。
特開2010−59388号公報 特開2010−270204号公報 特開平5−214310号公報
本発明は、上記事情に鑑み、接合部の剛性を低下させず、接着強度の高い樹脂組成物、及びこの樹脂組成物を用いた接着剤を提供する。更に低温から高温まで、高い接着性を有する耐熱性のある接着剤や構造用接着剤を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、樹脂組成物にセルロースナノファイバーを含有させることで、接着強度が向上し、低温から高温まで、高い接着性を有する樹脂組成物及び接着剤が得られることを見出した。
すなわち本発明に係わる樹脂組成物と接着剤は、下記[1]と[2]である。
[1]マトリクス樹脂(A)と、硬化剤(B)と、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)と、を含有する接着剤において、該マトリクス樹脂(A)はエポキシ樹脂を含有し、該セルロースナノファイバーの含有量が該樹脂組成物の全量に対して0.1〜10質量%の範囲であることを特徴とする樹脂組成物。
[2]前記[1]の樹脂組成物を用いたことを特徴とする接着剤。
本発明の樹脂組成物及び接着剤は、十分に高い接着性を有し、かつ低温から高温まで高い接着強度を有する材料を得ることができる。
また更に、実質的に水や有機溶媒を使用せずに、直接解繊樹脂中でセルロースを解繊及び/又は微細化することでセルロースナノファイバーが得られるため、水や有機溶媒の除去工程及びセルロースナノファイバーの精製工程等の煩雑な工程を経ず、樹脂に分散させることが可能となり、セルロースナノファイバーの補強効果を容易に発現させることが可能となる。
以下において、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔マトリクス樹脂(A)〕
本発明に使用し得るマトリクス樹脂としては、接着剤として使用できるものであれば特に制限が無く、モノマーであってもオリゴマーであってもポリマーであってもかまわず、ポリマーはホモポリマーであってもコポリマーであってもかまわない。また、これらは一種類でも複数種類を組み合わせて使用してもかまわない。ポリマーの場合、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても、いずれも使用することができる。
熱可塑性樹脂とは、加熱により溶融成形を行う樹脂をいう。その具体例としてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、酢酸セルロース樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリケトン樹脂、液晶ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。
熱硬化性樹脂とは、加熱または光・紫外線、放射線や触媒などの手段によって硬化される際に実質的に不溶かつ不融性に変化し得る特性を持った樹脂である。その具体例としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリル(テレ)フタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。また、本発明の樹脂の主成分が熱可塑性樹脂の場合、熱可塑性樹脂の特性を損なわない範囲で少量の熱硬化性樹脂を添加することや、逆に主成分が熱硬化性樹脂の場合に熱硬化性樹脂の特性を損なわない範囲で少量の熱可塑性樹脂やアクリル、スチレン等のモノマーを添加することも可能である。
上記マトリクス樹脂(A)には、エポキシ樹脂が含有されている。エポキシ樹脂は他の樹脂に比べて金属との密着性が高く、かつ弾性率も高い。加えて、エポキシ樹脂は、破壊ひずみも高い。その結果、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を選択することにより、高弾性率の樹脂組成物が得られ、その樹脂組成物を用いた接着剤の性能も高くなる。
本発明で使用し得るエポキシ樹脂は、1分子中にオキシラン環、すなわちエポキシ基を有する化合物であって、その構造等に特に制限はない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ノニルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、t−ブチルカテコール型エポキシ樹脂等の多価エポキシ樹脂等が挙げられ、更に1価のエポキシ樹脂としては、ブタノール等の脂肪族アルコール、炭素数11〜12の脂肪族アルコール、フェノール、p−エチルフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−ターシャリブチルフェノール、s−ブチルフェノール、ノニルフェノール、キシレノール等の1価フェノール類とエピハロヒドリンとの縮合物、ネオデカン酸等の1価カルボキシル基とエピハロヒドリンとの縮合物等が挙げられ、グリシジルアミンとしては、ジアミノジフェニルメタンとエピハロヒドリンとの縮合物等、多価脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、大豆油、ヒマシ油等の植物油のポリグリシジルエーテルが挙げられ、多価アルキレングリコール型エポキシ樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、エリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、トリメチロールプロパンとエピハロヒドリンとの縮合物等、また樹脂骨格中にゴム骨格(例えばポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル基末端アクリロニトリルブタジエンゴム等)を有するゴム変性エポキシ樹脂やウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、更には特開2005−239928号公報記載の水性エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは1種類で用いても、2種類以上を併用しても良い。
前記エポキシ樹脂は、必要に応じて非反応性希釈剤等を加えて液状化・低粘度化したものであってもよい。
〔硬化剤(B)〕
本発明に用いられる硬化剤(B)は特に限定されず、通常のエポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものを用いることができる。例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族アミン、芳香族ポリアミン、ジシアンジアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸ヒドラジド、酸無水物、ポリメルカプタン、ポリフェノールなど、量論的反応を行う化合物と、イミダゾール、ルイス酸錯体、オニウム塩のように触媒的に作用する化合物がある。量論的反応を行う化合物を用いる場合には、硬化促進剤、例えば各種アミン類、イミダゾール、ルイス酸錯体、オニウム塩、ホスフィンなどを用いることができる。
本発明の硬化剤としては特にジシアンジアミドが好ましい。ジシアンジアミドは、潜在性硬化剤と呼ばれ、エポキシ樹脂に添加した場合の樹脂組成物の保存安定性に優れる。またこの樹脂組成物の硬化物は接着性にも優れる。よって接着剤用途に用いる硬化剤としてはジシアンジアミドが好ましい。
また、本発明における硬化剤(B)の含有量は特に制限されず、硬化剤の種類によって最適な添加量を適宜選択して、添加すれば良い。
本発明の効果が損なわれない範囲であれば、マトリクス樹脂には従来公知の各種添加剤を含有しても良く、例えば、加水分解防止剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、重合開始剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン等)、酸化防止剤、無機フィラー、有機フィラー等をあげることができる。
〔セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)〕
セルロースナノファイバーを製造する方法としては、パルプ等のセルロースを解繊する方法が用いられる。解繊方法としては、例えばセルロースの水懸濁液等を、リファイナー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸または多軸混練機、ビーズミル等による機械的な磨砕、ないし叩解することにより解繊する方法を使用することができる。上記方法を1種または複数種類組み合わせてセルロースナノファイバーを製造してもよい。
かかるセルロースナノファイバーに含まれる水をアルコール等の溶媒で置換した後、樹脂と混合し、加熱、減圧等により溶媒を除去し、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)を製造してもよいし、かかるセルロースナノファイバーに含まれる水を凍結乾燥等により除去し、得られたセルロースナノファイバーを樹脂等と混合し、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)を製造してもよい。
本発明における更に好ましいセルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)としては、後述するように、セルロースを直接解繊樹脂(D)中で解繊及び/又は微細化したものである。この解繊樹脂組成物(C)中に含まれるセルロースナノファイバーが最終的に得られる樹脂組成物及び接着剤を補強する。セルロースナノファイバーは、直接解繊樹脂(D)中でセルロースを解繊及び/又は微細化して得られるものであり、水や有機溶剤中で解繊及び/又は微細化されるセルロースナノファイバーと比べて、微細化に使用した媒体を除去する必要が無い。また、直接解繊樹脂(D)中でセルロースを解繊及び又は微細化されているため、他のマトリクス樹脂との相性も良く、マトリクス樹脂中にセルロースナノファイバーを容易に分散させることが可能となる。
本発明において、セルロースナノファイバーが解繊された状態とは、厳密な定義は難しいが、例えば、セルロースの繊維径について5nm〜1000nmの範囲内で解された状態にあり、その各繊維の間に樹脂が存在することが電子顕微鏡観察などで確認することができる。樹脂を介して繊維同士が絡み合って補強構造となることを考慮すると、繊維径について5nm〜500nmの範囲がより好ましく、5nm〜300nmの範囲にあることが特に好ましい。
さらに、本発明においてセルロースナノファイバーが微細化された状態とは、厳密な定義は難しいが、例えば、解繊する前のセルロースの長さが、解繊した後に短くなった状態である。解繊後のセルロースナノファイバーの長さが、微細化されずに解繊する前と同じ長さであってもよいが、分散性を考慮すると、微細化され、セルロースナノファイバーの長さが解繊する前よりも短くなっていることが好ましい。したがって、解繊樹脂(E)中でセルロースナノファイバーが解繊されているだけでも良いが、解繊及び/又は微細化されていることがより好ましい。
一方、セルロースナノファイバーが解繊されていない状態とは、セルロースの繊維径が1μmを超えて集合している状態をいい、電子顕微鏡観察などで確認することができる。
〔セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)の添加物〕
本発明におけるセルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)に対しては、さらに、本発明の効果を損なわない範囲であれば、各種樹脂、添加剤、有機及び無機フィラーなどを添加することが可能である。各種樹脂、添加剤、有機及び無機フィラーは、セルロースの微細化前に添加しても、微細化後に添加しても構わないが、その後の樹脂組成物及び接着剤との複合に際して、乾燥や精製などの不純物除去工程が必要となるようなものは、発明の効果を損ねる為に好ましくない。
〔セルロースナノファイバー〕
本発明に使用し得るセルロースナノファイバーは、各種セルロースを解繊及び/又は微細化することで得られ、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)として樹脂組成物及び接着剤に配合することで、補強をすることができる。
本発明におけるセルロースは、解繊材料及び/又は微細化材料として利用可能なものであればよく、パルプ、綿、紙、レーヨン・キュプラ・ポリノジック・アセテートなどの再生セルロース繊維、バクテリア産生セルロース、ホヤなどの動物由来セルロースなどが利用可能である。また、これらのセルロースは必要に応じて表面を化学修飾処理したものであってもよい。
パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ双方を好適に使用できる。木材パルプとしては、機械パルプと化学パルプとあり、リグニン含有量の少ない化学パルプのほうが好ましい。化学パルプにはサルファイドパルプ、クラフトパルプ、アルカリパルプなどがあるが、いずれも好適に使用できる。非木材パルプとしては、藁、バガス、ケナフ、竹、葦、楮、亜麻などいずれも利用可能である。
綿は主に衣料用繊維に用いられる植物であり、綿花、綿繊維、綿布のいずれも利用可能である。
紙はパルプから繊維を取り出し漉いたもので、新聞紙や廃牛乳パック、コピー済み用紙などの古紙も好適に利用できる。
また、微細化材料としてのセルロースとして、セルロースを破砕し一定の粒径分布を有したセルロース粉末を用いても良く、日本製紙ケミカル社製のKCフロック(登録商標)、旭化成ケミカルズ社製のセオラス(登録商標)、FMC社製のアビセル(登録商標)などが挙げられる。
本発明に使用し得るセルロースナノファイバーは修飾処理されていてもよい。本発明において、セルロースナノファイバーは、セルロースを解繊及び/又は微細化してセルロースナノファイバーを製造したのち、修飾する化合物をさらに添加して、セルロースナノファイバーと反応させることで得られる変性セルロースナノファイバーであってもよい。
修飾する化合物としては、アルキル基、アシル基、アシルアミノ基、シアノ基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、アリールオキシ基、シリル基、カルボキシル基等の官能基をセルロースナノファイバーに化学的に結合させて修飾する化合物等が挙げられる。
また、化学的に結合させなくても、修飾する化合物がセルロースナノファイバーに物理的に吸着する形でセルロースナノファイバーを修飾してもよい。物理的に吸着する化合物としては界面活性剤等が挙げられ、アニオン性、カチオン性、ノニオン性いずれを用いてもよいが、カチオン性の界面活性剤を用いることが好ましい。
〔解繊樹脂(D)〕
本発明における解繊樹脂(D)は、セルロースを解繊及び/又は微細化することができる樹脂であれば特に制限されないが、特に優れるのはポリエステル系樹脂(D1)、ビニル樹脂(D2)、エポキシ樹脂(D3)、変性エポキシ樹脂(D4)である。
〔ポリエステル系樹脂(D1)〕
本発明におけるポリエステル系樹脂(D1)とは、下記一般式(1)で表される1種若しくは2種以上のポリオールと、下記一般式(2)で表される1種若しくは2種以上のポリカルボン酸とを反応させて得られる、ポリエステル樹脂である。
A−(OH)m・・・(1)
(式中、Aは酸素原子を含んでいても良い炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族基またはヘテロ環芳香族基を表す。mは2〜4の整数を表す。)
B−(COOH)n・・・(2)
(式中、Bは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族基またはヘテロ環芳香族基を表す。nは2〜4の整数を表す。)
一般式(1)で表されるポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンチルグリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ヘプタンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、1,3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール、エチレングリコールカーボネート、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
一般式(2)で表されるポリカルボン酸としては、不飽和二塩基酸及びその無水物があり、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸及びこれらのエステル等があり、ハロゲン化無水マレイン酸等、アコニット酸などのα,β−不飽和二塩基酸やジヒドロムコン酸等のβ,γ−不飽和二塩基酸が挙げられる。また、飽和二塩基酸及びその無水物として、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、コハク酸無水物、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸,2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、またこれらのジアルキルエステル等が挙げられる。
なお、上記のポリオールとポリカルボン酸に加えて、実質的にその特性を損なわない程度に1価アルコール、1価カルボン酸、及びヒドロキシカルボン酸を用いても良い。
1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、3−ブタノール、n−アミルアルコール、n−ヘキサノール、イソヘキサノール、n−ヘプタノール、イソヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、イソオクタノール、n−ノナノール、イソノナノール、n−デカノール、イソデカノール、イソウンデカノール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、トリデシルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いても良い。
1価カルボン酸としては、安息香酸、ヘプタン酸、ノナン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸等が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いても良い。
ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、p―ヒドロキシ安息香酸等が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いても良い。
また、本発明におけるポリエステル系樹脂(D1)としては、上記ポリエステル樹脂を変性して得られる変性ポリエステル樹脂を用いても良い。変性ポリエステル樹脂としては、ウレタン変性ポリエステル、アクリル変性ポリエステル、エポキシ変性ポリエステル、シリコーン変性ポリエステルなどが挙げられる。
また、本発明におけるポリエステル系樹脂(D1)としては、直鎖状でもよく、多分岐状ポリエステルを用いても構わない。
本発明におけるポリエステル系樹脂(D1)は、エステル基濃度が6.0mmol/g以上であることが好ましい。より好ましくは6.0〜14mmol/g、更に好ましくは6.0〜20mmol/g、特に好ましくは6.0〜30mmol/gである。
また、エステル基濃度が6.0mmol/g以上かつ酸価が10KOHmg/g以上であると、好ましい。
より好ましくは酸価10〜100KOHmg/g、更に好ましくは10〜200KOHmg/g、特に好ましくは10〜300KOHmg/gである。
また、エステル基濃度が6.0mmol/g以上かつ水酸基価が10以上であると、好ましい。
より好ましくは水酸基価10〜500KOHmg/g、更に好ましくは10〜800KOHmg/g、特に好ましくは10〜1000KOHmg/gである。
また、本発明におけるポリエステル系樹脂は、エステル基濃度が6.0mmol/g以上で、酸価が10KOHmg/g以上かつ水酸基価が10KOHmg/g以上であると、特に好ましい。
セルロースは一分子当たりに3つの水酸基を含有し、親水性を有している。エステル基濃度、酸価、水酸基価を高くすることにより、一般的には疎水性であるポリエステル系樹脂の疎水性が弱くなり、より親水性に近い性質をポリエステル系樹脂に付与することができる。このためエステル基濃度、酸価、水酸基価の高いポリエステル系樹脂は、親水性であるセルロースとの親和性が良くなり、解繊樹脂として好ましい形態なると予想される。
本発明において、前記ポリエステル系樹脂(D1)は単独で用いても良いが、複数を組み合わせて用いても構わない。
〔ビニル樹脂(D2)〕
本発明におけるビニル樹脂(D2)とは、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体であり、ビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル誘導体、ビニルエステル誘導体、マレイン酸ジエステル誘導体、(メタ)アクリルアミド誘導体、スチレン誘導体、ビニルエーテル誘導体、ビニルケトン誘導体、オレフィン誘導体、マレイミド誘導体、(メタ)アクリロニトリルが好適に挙げられる。ビニル樹脂としては、その中でも特に(メタ)アクリル酸エステル誘導体を重合して得られる(メタ)アクリル樹脂が特に好ましい。
以下、これらのビニルモノマーの好ましい例について説明する。(メタ)アクリル酸エステル誘導体の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸―2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸―3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸―4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸―2−フェニルビニル、(メタ)アクリル酸―1−プロペニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸―2−アリロキシエチル、(メタ)アクリル酸プロパルギル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
ビニルエステル誘導体の例としては、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル誘導体の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル誘導体の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル誘導体の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド誘導体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
スチレン誘導体の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
ビニルエーテル誘導体の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル及びフェニルビニルエーテルなどが挙げられる。
ビニルケトン誘導体の例としては、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどが挙げられる。
オレフィン誘導体の例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
マレイミド誘導体の例としては、マレイミド、ブチルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミドなどが挙げられる。
そのほかにも、(メタ)アクリロニトリル、ビニル基が置換した複素環式基(例えば、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、ビニルカルバゾールなど)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクトン等も使用できる。
〔官能基〕
本発明に使用し得るビニル樹脂(D2)は、官能基を有することが好ましい。これは、マトリクス樹脂との相互作用により機械特性など成形体の物性を向上させることが可能となるからである。官能基としては、具体的にはハロゲン基(フッ素、塩素)、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シラノール基、シアノ基等が挙げられ、これらを複数種有していても構わない。
前記ビニル樹脂(D2)は、前記ビニルモノマーを重合開始剤の存在下、反応容器中で加熱、必要により熟成することにより得ることができる。反応条件としては例えば、重合開始剤及び溶媒によって異なるが、反応温度が30〜150℃、好ましくは60〜120℃である。重合は、非反応性溶剤の存在下で行っても差し支えない。
非反応性溶剤を存在させずに重合すれば、ビニル樹脂を重合した後に非反応性溶剤を除去する必要が無くなり、好ましい。しかし、非反応性溶剤を存在させずに重合する場合、重合するビニルモノマーの濃度が高く、重合で発生する反応熱を除去しつつ、反応温度を制御することが難しくなる。そこで、非反応性溶剤を用いて前記ビニルモノマーを適宜希釈した状態で重合を行えば、重合で発生する反応熱を除去することが容易となる。非反応性溶剤は、ビニル樹脂を重合した後に加熱、減圧等により除去すればよい。
前記重合開始剤としては、例えばt−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンパーヒドロキシド、アセチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等過酸化物;アゾビスイソブチルニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等アゾ化合物などが挙げられる。
前記非反応性溶剤としては、例えばヘキサン、ミネラルスピリット等脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で使用しても、複数種類併用しても構わない。
本発明において、前記ビニル樹脂(D2)は単独で用いても良いが、複数を組み合わせて用いても構わない。また、直鎖型ポリマーであっても分岐型ポリマーであってもよく、分岐型ポリマーの場合くし型でも星型でも構わない。
〔分子量〕
本発明で使用するビニル樹脂の分子量は、数平均分子量が3000以下であることが好ましい。詳細な理由は不明であるが、数平均分子量が3000以下であれば、セルロース繊維への親和性が高まるためではないかと予想される。
〔酸価〕
本発明におけるビニル樹脂(D2)の数平均分子量が3000以下のとき、酸価が30KOHmg/g以上60KOHmg/g未満であるとより好ましい。
〔水酸基価〕
本発明におけるビニル樹脂(D2)の数平均分子量が3000以下のとき、水酸基価が30KOHmg/g以上であると好ましく、50KOHmg/g以上であるとより好ましい。
本発明におけるビニル樹脂(D2)の数平均分子量が3000以下のとき、酸価が30KOHmg/g以上60KOHmg/g未満且つ水酸基価が30KOHmg/g以上であると特に好ましい。
本発明におけるビニル樹脂(D2)を製造する際用いた溶剤は、解繊樹脂(D)として使用する前に除去することが望ましい。除去する方法としては、加熱、減圧等が用いられる。
〔エポキシ樹脂(D3)〕
本発明で用いるセルロースを解繊及び/又は微細化するためのエポキシ樹脂(D3)は、分子内にエポキシ基を有する化合物であって、その構造等に特に制限はない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ノニルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、t−ブチルカテコール型エポキシ樹脂等の多価エポキシ樹脂等が挙げられ、更に1価のエポキシ樹脂としては、ブタノール等の脂肪族アルコール、炭素数11〜12の脂肪族アルコール、フェノール、p−エチルフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−ターシャリブチルフェノール、s−ブチルフェノール、ノニルフェノール、キシレノール等の1価フェノール類とエピハロヒドリンとの縮合物、ネオデカン酸等の1価カルボキシル基とエピハロヒドリンとの縮合物等が挙げられ、グリシジルアミンとしては、ジアミノジフェニルメタンとエピハロヒドリンとの縮合物等、多価脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、大豆油、ヒマシ油等の植物油のポリグリシジルエーテルが挙げられ、多価アルキレングリコール型エポキシ樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、エリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、トリメチロールプロパンとエピハロヒドリンとの縮合物等、また樹脂骨格中にゴム骨格(例えばポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル基末端アクリロニトリルブタジエンゴム等)を有するゴム変性エポキシ樹脂やウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、更には特開2005−239928号公報記載の水性エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは1種類で用いても、2種類以上を併用しても良い。
〔変性エポキシ樹脂(D4)〕
本発明における変性エポキシ樹脂(D4)とは、エポキシ基を有し、水酸基価が100mgKOH/g以上である変性エポキシ樹脂(D4)である。該変性エポキシ樹脂(D4)は、エポキシ樹脂とカルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(d)とを反応させることで得ることができる。
〔カルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(d)〕
本発明におけるカルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(d)は、上記エポキシ樹脂(D3)と反応して水酸基価が100mgKOH/g以上である変性エポキシ樹脂(D4)を生成するものであればよく、カルボキシル基を有する化合物(d1)と、アミノ基を有する化合物(d2)と、カルボキシル基及びアミノ基を有する化合物(d3)のいずれか1種以上を用いることができる。
また、カルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(d)においてさらに水酸基を有するカルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(d4)は、エポキシ樹脂(D3)と反応した際に変性エポキシ樹脂(D4)に高い水酸基価を付与できるため、特に好ましい。
〔カルボキシル基を有する化合物(d1)〕
本発明におけるカルボキシル基を有する化合物(d1)とは、カルボキシル基を一つ以上有する化合物である。カルボキシル基を一つ有する化合物として、具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、イソプロピル酸、イソステアリン酸、ネオデカン酸、などの脂肪酸、安息香酸、メチル安息香酸、ジメチル安息香酸、トリメチル安息香酸、フェニル酢酸、4−イソプロピル安息香酸、2−フェニルプロパン酸、2−フェニルアクリル酸、3−フェニルプロパン酸、ケイ被酸などの芳香族カルボン酸等が挙げられる。カルボキシル基を二つ以上有する化合物として、具体的には、コハク酸、アジピン酸、テレフタレート酸、イソフタル酸、ピロメリット酸などのカルボン酸類、及びこれらの無水物を挙げることができる。さらに、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸及びこれらのエステル等があり、ハロゲン化無水マレイン酸等、アコニット酸などのα,β−不飽和二塩基酸やジヒドロムコン酸等のβ,γ−不飽和二塩基酸が挙げられる。また、飽和二塩基酸及びその無水物として、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、コハク酸無水物、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸,2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
〔アミノ基を有する化合物(d2)〕
本発明におけるアミノ基を有する化合物(d2)とは、アミノ基を一つ以上有する化合物である。具体的には、アミノ基を一つ有する化合物として、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチル−2−プロパンアミン、アニリン、トルイジン、2−アミノアントラセンなどをあげることができる。2つ以上のアミノ基を有する化合物としては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−シクロヘキシルメタンジアミン、ノルボルナンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、キシリレンジアミンなどをあげることができる。
〔カルボキシル基及びアミノ基を有する化合物(d3)〕
本発明におけるカルボキシル基及びアミノ基を有する化合物(d3)とは、カルボキシル基とアミノ基を一つずつ以上有する化合物である。代表的にはアミノ酸が挙げられ、さらに水酸基を有しても構わない。具体的には、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスオアラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アミノラク酸、テアニン、トリコロミン酸、カイニン酸等が挙げられる。
〔さらに水酸基を有する、カルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(d4)〕
さらに水酸基を有する、カルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(d4)とは、カルボキシル基またはアミノ基を有し、さらに水酸基を一つ以上有する化合物である。具体的には、グリコール酸、グリセリン酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシラク酸、リンゴ酸、2,3−ジヒドロキシブタン二酸、クエン酸、イソクエン酸、メバロン酸、バントイン酸、リシノール酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ヒドロキシフェニルプロパン酸、マンデル酸、ベンジル酸、ヒドロキシメチルアミン、ヒドロキシエチルアミン、ヒドロキシプロピルアミンなどが挙げられる。
〔変性エポキシ樹脂(D4)の製造〕
本発明における水酸基価が100mgKOH/g以上である変性エポキシ樹脂(D4)は、エポキシ樹脂のエポキシ基とカルボキシル基又はアミノ基を有する化合物(d)のカルボキシル基又はアミノ基を反応させることで得ることができる。水酸基価が100mgKOH/gより少ない場合、セルロースとの親和性が低くなることから、セルロースナノファイバーへの解繊は進みにくいため、好ましくない。エポキシ基とカルボキシル基又はアミノ基の反応比は、水酸基価が100mgKOH/g以上生じ、かつ所望のエポキシ基量が残るように任意に設定すればよい。
変性エポキシ樹脂(D4)中のエポキシ基量は一分子あたり0.3個以上が好ましく、0.5個以上がさらに好ましく、1個以上が最も好ましい。
変性エポキシ樹脂(D4)の製造は、無溶媒もしくは溶媒中で行うことができる。好ましくは、脱溶剤が必要ない無溶媒での反応が好ましい。使用する重合溶媒は特に制限はない。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ブチルセロソルブ、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸イソブチル等が挙げられる。また、これらの溶媒は単独で使用しても良いし、混合して使用しても良い。
また、反応触媒としてルイス酸触媒やルイス塩基触媒を使用しても良い。具体的には、三フッ化ホウ素、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノピリジン、ピリジン、8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。
反応温度は、室温〜200℃の間が好ましい。
〔セルロースの微細化〕
本発明において、セルロースナノファイバーは、水または解繊樹脂(D)中で解繊及び/又は微細化される。セルロースの解繊及び/又は微細化は、水または解繊樹脂(D)中にセルロースを添加し、機械的に箭断力を与えることにより行うことができる。箭断力を与える手段としては、ビーズミル、超音波ホモジナイザー、一軸押出機、二軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、グラインダー、加圧ニーダー、2本ロール等の公知の混練機等を用い剪断力を与えることができる。これらの中でも高粘度の樹脂中でも安定した剪断力を得られる観点から加圧ニーダーを用いることが好ましい。
上記手法により、セルロースはセルロースナノファイバー化する。本発明における微細化方法では、例えば、長軸方向に100nm〜1000000nm、短軸方向に5nm〜1000nmに微細化することが可能である。
本発明において、解繊樹脂(D)を用いてセルロースの解繊及び/又は微細化する場合、解繊樹脂(D)とセルロースの比率は任意に変更が可能である。微細化後にさらに樹脂組成物及び繊維強化複合材料に複合化するため、予め解繊樹脂(D)に対するセルロース濃度がある程度高いほうがより樹脂の強化の効果があげられる。一方で、解繊樹脂(D)の比率が少なすぎると十分なセルロースの微細化効果を得ることができない。解繊樹脂(D)とセルロースの合計量に対して、セルロースの比率は10質量%〜90質量%、好ましくは30質量%〜70質量%、より好ましくは40質量%〜60質量%となることが好ましい。
〔接着剤〕
接着剤は、少なくともマトリクス樹脂(A)と硬化剤(B)とセルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)とを複合化することによって得られる。
好ましい接着剤の製造方法は、まず、
(1)解繊樹脂(D)中で直接セルロースを解繊及び/又は微細化してセルロースナノファイバーを得た後、
(2)該セルロースナノファイバーを含有する解繊樹脂組成物(C)とマトリクス樹脂(A)を含む樹脂組成物を得て、
(3)さらに硬化剤(B)を複合化して最終的な樹脂組成物を得る工程を経ることにより、接着剤とする方法である。なお、上記(2)の工程において、マトリクス樹脂(A)と硬化剤(B)とを一緒に含有させることでも構わない。
〔その他の添加剤〕
接着剤には、その用途に応じて従来公知の各種添加剤を含有しても良く、例えば、加水分解防止剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、重合開始剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン等)、酸化防止剤、導電性付与剤、摺動性付与剤、界面活性剤、触媒、硬化促進剤、無機フィラー、有機フィラー等をあげることができる。これらの添加剤は、上記(2)の工程や(3)の工程で添加することもできるが、上記(3)の工程で最終的な樹脂組成物を得た後に添加する方が、接着剤として必要な用途に応じて調整ができるために好ましい。
〔セルロースナノファイバーの量〕
上述した最終的な樹脂組成物中におけるセルロースナノファイバーの量は、接着性能の観点からは0.1質量%以上であり、粘度調整の観点からは10質量%以下であるが、好ましくは0.1〜7質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
本発明の樹脂組成物は、マトリクス樹脂(A)、硬化剤(B)、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)及び必要に応じて各種添加剤成分を均質に混練することにより、調製することができる。この際に用いられる混練機としては、ディスパー、プラネタリーミキサー、ニーダー、ヘンシェルミキサー、ロール、押出機等を挙げることができる。また作製した樹脂組成物は、通常の方法、例えばスプレー、シーラーガン、刷毛塗り等の方法で被接着基板に塗布することができる。
本発明の樹脂組成物は、接着剤、特に構造用接着剤として使用する事ができる。
〔用途〕
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、機械的特性を損なうことなく優れた接着強度を有しているので、航空宇宙分野、エレクトロニクス、土木、建築等の技術分野での使用、自動車、車載向け用途等幅広く使用することができる。
以下、本発明の態様を更に詳細に説明する。なお、「部」及び「%」は、特に明記がない場合、質量換算である。
〔セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)の製造〕
まず、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)を製造するために、窒素ガス導入管、還流コンデンサ、攪拌機を備えた2Lのガラス製フラスコにジエチレングリコール758.2部(7.14mol、仕込みモル比0.53)、アジピン酸652.6部(4.47mol、仕込みモル比0.33)、無水マレイン酸183.9部(1.88mol、仕込みモル比0.14)を仕込み、窒素気流下に、加熱を開始した。内温200℃にて、常法にて脱水縮合反応を行った。酸価が13KOHmg/gになったところで、直ちに150℃まで冷却し、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを仕込み原料質量に対し100ppm添加した。さらに室温まで冷却し、酸価13KOHmg/g、水酸基価89KOHmg/g、エステル基濃度が9.1mmol/gである、ポリエステル系樹脂を得た。
なお、酸価、水酸基価、エステル基濃度は以下の方法で規定した。
(酸価の測定方法)
500mlビーカーに試薬特級水酸化カリウム33gを計量し、イオン交換水150mlを徐々に加え冷却した(KOH溶解液)。5リットル容器に半分の量の工業用メタノールを入れ、KOH溶解液を混合しながら徐々に移した。更に工業用メタノールを徐々に加えて全量を5リットルとした(0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液)。
100ml三角マイヤーに試薬特級シュウ酸0.1gを精秤し、イオン交換水30ccを加えて溶かした。1%フェノールフタレイン指示薬数滴を加え、0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液で滴定し、下記計算式(3)により力価を求めた。
力価=シュウ酸質量(g)×1000/[滴定(ml)×6.3]・・・(3)
100ml三角マイヤーに試料1gを採取し、トルエン、メタノール混合中性溶剤(トルエンとメタノールを7対3の割合で混合しフェノールフタレインを指示薬として0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液で中和)30gを加え、スターラーで撹拌した。更にエタノールで希釈した1%フェノールフタレイン指示薬を数滴加え、撹拌した。次に0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液で滴定し、下記計算式(4)により酸価を求めた。
酸価=滴定量(ml)×力価×5.611/試料の質量(g)・・・(4)
(水酸基価の測定)
末端水酸基価は、13C−NMRスペクトルにおける、末端構造及びエステル結合に由来する各ピークの面積比から求めた。測定装置は、日本電子製JNM−LA300を用い、試料の10wt%重クロロホルム溶液に緩和試薬としてCr(acac)3 10mgを加え、ゲートデカップリング法による13C−NMRの定量測定を行なった。積算は4000回行なった。
(エステル基濃度の計算方法)
エステル基濃度は下記計算式(5)により求めた。
エステル基濃度(mmol/g)
=生成エステル基量(mmol)/[仕込みモノマー量(g)−生成水量(g)]・・・(5)
(セルロースの微細化)
前記ポリエステル系樹脂を600質量部、日本製紙ケミカル社製のセルロースパウダー製品「KCフロック(登録商標) W−50GK」(繊維径約20〜30μm、繊維長約200〜400μm)400質量部を、森山製作所製加圧ニーダー(DS1−5GHH−H)を用いて60rpmで600分加圧混練を行ってセルロースの微細化処理を行い、マスタバッチを得た。得られたマスタバッチを、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)とした。
得られたセルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)を走査型電子顕微鏡で確認したところ、セルロース繊維は、その繊維径が100nm〜300nm程度の範囲で解繊されていることが確認できた。なお、任意の20本の平均繊維径は約160nmであった。また、セルロース繊維長は、元の繊維長よりも短くなっていることも確認できた。このようにセルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)は、樹脂中にセルロースナノファイバーが良好に解繊かつ微細化された状態で、均一に分散されていることが確認できた。
(実施例1)
〔樹脂組成物1の製造〕
得られたセルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)を2.5部、DIC株式会社製エポキシ樹脂 EPICLON(登録商標)850S(ビスフェノールA型)を36.9部、EPICLON(登録商標)1055(ビスフェノールA型)を55.3部とを80℃に加熱しながら混合した。混合は、プライミクス社製撹拌装置「ラボリューション(登録商標)」に同社製「ネオミクサー(登録商標)撹拌翼4−2.5型」を装着して12000回転で30分間撹拌することによって行った。得られた混合液94.7部を80℃の加熱下、味の素株式会社製の硬化剤(ジシアンジアミド) アミキュア(登録商標)AH−154を5.3部仕込み、1分間撹拌し、樹脂組成物1を得た。樹脂組成物1中のセルロースナノファイバーの含有率は1質量%となる。
〔試験片の作製〕
厚み1.6mm、幅25mm、長さ100mmの冷間圧延鋼板を被着材として使用し、150℃、1時間加熱して樹脂組成物1を硬化させ、剛性被着材の引張せん断接着強さ用試験片を作製した(JIS K 6850準拠)。
(引張せん断接着強さ試験)
上記で得られた試験片に対して、JIS K 6850に基づき、下記の引張せん断接着試験を行った。
次にインストロン社製万能試験機を用い、JIS K 6850の引張せん断接着試験に準拠し、毎分9MPaの荷重速度にて、−20℃、23℃、80℃の雰囲気下にて試験を実施した(試験数5)。
−20℃の測定で得られた引張せん断接着強さ(S-20)(MPa)から23℃の測定で得られた引張せん断接着強さ(S23)(MPa)を引き、−20℃の測定で得られた引張せん断接着強さで除して、23℃における引張せん断接着強さの低下率を算出した(下記計算式(6))。

引張せん断接着強さ低下率(%)
={[(S-20)−(S23)]/(S-20)}×100・・・(6)
上記計算式の23℃の測定で得られた引張せん断接着強さ(S23)(MPa)を80℃の測定で得られた引張せん断接着強さ(S80)(MPa)に変えて、80℃における引張せん断接着強さの低下率を同様にして算出した。
(比較例1)
実施例1で用いたセルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)を使用しなかった以外は実施例1と同様に樹脂組成物を作製し(樹脂組成物2)、試験片を作製し、物性を測定し、引張せん断接着強さの低下率を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2016138220
実施例1、比較例1の比較より、セルロースナノファイバーを添加することで、引張せん断接着強さの低下を抑制することが確認された。
(実施例2)
〔樹脂組成物3の製造〕
実施例1で用いたEPICLON(登録商標)850S(ビスフェノールA型)をEPICLON(登録商標)830(ビスフェノールF型)に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物3を作製した。
実施例1と同様に引張せん断接着強さ用の試験片(試験数5)を作製し、引張せん断接着試験を実施し、引張せん断接着強さの低下率を算出した。
(比較例2)
実施例2で用いたセルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)を使用しなかった以外は実施例2と同様に樹脂組成物を作製し(樹脂組成物4)、試験片を作製し、物性を測定し、引張せん断接着強さの低下率を算出した。
測定結果を表2に示す。
Figure 2016138220
実施例1、比較例1とは異なる樹脂を用いた実施例2、比較例2の比較でも、セルロースナノファイバーを添加することで、引張せん断接着強さの低下を抑制することが確認された。
セルロースナノファイバーを添加することにより、高温下での接着強度の低下が抑制され、耐熱性の高い接着剤となることを確認することができた。
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、機械的特性を損なうことなく優れた接着強度を有していることから、航空宇宙分野、エレクトロニクス、土木、建築等の技術分野での使用、自動車、車載向け用途等幅広く使用することができる。

Claims (5)

  1. マトリクス樹脂(A)と、硬化剤(B)と、セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)と、を含有する樹脂組成物において、
    該マトリクス樹脂(A)はエポキシ樹脂を含有し、
    該セルロースナノファイバーの含有量が該樹脂組成物の全量に対して0.1〜10質量%の範囲であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記セルロースナノファイバーの含有量が前記樹脂組成物の全量に対して0.1〜7質量%の範囲である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記セルロースナノファイバーを含む解繊樹脂組成物(C)は、セルロースを直接解繊樹脂(D)中で微細化して得られたものである請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記硬化剤(B)が、ジシアンジアミドを含む硬化剤である請求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とする接着剤。
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