JP2022001649A - 接着組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】非水溶性樹脂を含有し、接着性に優れる接着組成物を提供すること。【解決手段】非水溶性樹脂と、カルボキシ基を含む微細セルロース繊維に修飾基が結合してなる微細セルロース繊維複合体とを含有する接着組成物であって、前記微細セルロース繊維(換算量)の割合が非水溶性樹脂100質量部に対して1.5質量部以上50質量部以下である接着組成物。【選択図】なし

Description

本発明は接着組成物に関する。
従来、有限な資源である石油由来のプラスチック材料が多用されていたが、近年、環境
に対する負荷の少ない技術が脚光を浴びるようになり、かかる技術背景の下、天然に多量
に存在するバイオマスであるセルロース繊維を用いた種々の材料が注目されている。
例えば特許文献1には、水系樹脂接着剤とアニオン変性あるいはカチオン変性されたセ
ルロースナノファイバーを含有することで、最大点応力、最大点伸度、弾性率に優れた水
系接着剤組成物を提供することができると示されている。
特開2014−132072号公報
特許文献1では水系樹脂組成物に関する発明しか開示されておらず、非水溶性樹脂を含
む接着組成物においては、十分な接着性の向上が求められるところである。
本発明は、非水溶性樹脂を含有し、接着性に優れる接着組成物を提供することに関する
即ち、本発明の要旨は下記〔1〕に関する。
〔1〕 非水溶性樹脂と、イオン性基を含む微細セルロース繊維及び/又はイオン性基を
含む微細セルロース繊維に修飾基が結合してなる微細セルロース繊維複合体とを含有する
接着組成物。
本発明によれば、非水溶性樹脂を含有し、接着性に優れる接着組成物を提供することが
できる。
〔接着組成物〕
本発明の接着組成物は、(1)非水溶性樹脂と(2)セルロース系成分、即ち、(a)イオン性
基を含む微細セルロース繊維及び/又は(b)イオン性基を含む微細セルロース繊維に修飾
基が結合してなる微細セルロース繊維複合体とを含有する。なお、本明細書において、「
イオン性基を含む微細セルロース繊維」を「微細セルロース繊維」と、「イオン性基を含
む微細セルロース繊維に修飾基が結合してなる微細セルロース繊維複合体」を「微細セル
ロース繊維複合体」と記載している場合がある。
本発明者らが検討した結果、種々の非水溶性樹脂に、イオン性基を含む微細セルロース
繊維及び/又は微細セルロース繊維複合体を含有させると、得られる接着組成物の基材と
の接着性が向上することが判明した。その詳細な理由は不明であるが、このような微細セ
ルロース繊維及び/又は微細セルロース繊維複合体を添加することで、寸法安定性が向上
することから、基材との剥離が生じにくくなったため接着性が向上したのではないかと考
えられる。
本発明の接着組成物中の非水溶性樹脂の濃度は、接着性の観点から、好ましくは45.
0質量%以上であり、より好ましくは50.0質量%以上であり、更に好ましくは54.
0質量%以上である。一方、同様の観点から、好ましくは99.9質量%以下であり、よ
り好ましくは99.5質量%以下であり、更に好ましくは99.0質量%以下である。
接着組成物中のイオン性基を含む微細セルロース繊維又は微細セルロース繊維複合体の
濃度は、接着性の観点から、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5
質量%以上であり、更に好ましくは1.0質量%以上である。一方、同様の観点から、好
ましくは40.0質量%以下であり、より好ましくは35.0質量%以下であり、更に好
ましくは30.0質量%以下である。なお、接着組成物中に、イオン性基を含む微細セル
ロース繊維及び微細セルロース繊維複合体の両方が含有されている場合、前記濃度は両方
の合計である。
接着組成物における微細セルロース繊維(換算量)の割合は、接着性の観点から、非水
溶性樹脂100質量部に対して好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.
5質量部以上であり、更に好ましくは1質量部以上である。一方、同様の観点から、非水
溶性樹脂100質量部に対して好ましくは50質量部以下であり、より好ましくは30質
量部以下であり、更に好ましくは10質量部以下である。微細セルロース繊維又は微細セ
ルロース繊維複合体の割合をこのように設定することで、本発明の接着組成物の内部に微
細セルロース繊維又は微細セルロース繊維複合体が均一に分散し、その結果、接着性が向
上するものと考えられる。
なお、微細セルロース繊維(換算量)とは、イオン性基を含む微細セルロース繊維、(
即ち、修飾基が結合していないもの)の質量を指すか、又はイオン性基を含む微細セルロ
ース繊維に修飾基が結合してなる微細セルロース繊維複合体の質量から修飾基の質量を引
いた質量を指す。微細セルロース繊維複合体における微細セルロース繊維(換算量)は、
後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
〔非水溶性樹脂〕
本発明における非水溶性樹脂とは、水に溶解しないか、又は水への溶解性が極めて低い
樹脂のことである。具体的には、25℃の水への溶解度が水100g当たり1mg以下で
ある樹脂のことを、非水溶性樹脂と呼ぶ。
前記の溶解度は次のとおりである。1L(25℃)の水に、100mgの樹脂を添加し
て、スターラー等の撹拌装置を用いて24時間攪拌した後、その溶液(又は懸濁液)を2
5℃で、3000×gの条件で、30分間遠心分離し、不溶残渣を集めた後、この残渣を
105℃で3日間乾燥し、乾燥後の質量(乾燥質量)を測定する。そして、乾燥質量が9
9mg未満の場合を水溶性、99mg以上の場合を非水溶性と判断する。
本発明で用いられる非水溶性樹脂としては、単独で接着性を有する樹脂や、硬化剤と併
用することにより接着性を発揮する樹脂が好ましいものとして挙げられる。非水溶性樹脂
は、単独で使用してもよく、2種以上の混合樹脂として用いても良い。
非水溶性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビ
ニル樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂及びゴム系樹脂等が挙げられる。
〔イオン性基を含む微細セルロース繊維〕
本発明で用いられるイオン性基を含む微細セルロース繊維は、微細セルロース繊維中に
イオン性基を含むように変性された微細セルロース繊維である。本発明で用いられるイオ
ン性基を含む微細セルロース繊維は、上述した非水溶性樹脂と混合することで、接着性に
優れた接着組成物を得ることができる。微細セルロース繊維は、原料として天然セルロー
ス繊維を使用していることに起因して、セルロースI型結晶構造を有している。
セルロースI型とは天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶化度と
は、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。
本発明における微細セルロース繊維の結晶化度は、接着性の観点から、好ましくは30
%以上であり、より好ましくは35%以上であり、更に好ましくは40%以上であり、更
に好ましくは45%以上である。また、使用するセルロース原料のコストの観点から、好
ましくは95%以下であり、より好ましくは90%以下であり、更に好ましくは85%以
下であり、更に好ましくは80%以下である。なお、本明細書において、本発明における
微細セルロース繊維や微細セルロース繊維複合体等のセルロースの結晶化度は、具体的に
は後述の実施例に記載の方法により測定される。
イオン性基を含む微細セルロース繊維の平均繊維径は、均一な繊維径を持つ微細セルロ
ース繊維複合体を製造する観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは
0.5nm以上であり、更に好ましくは1.0nm以上であり、更に好ましくは2.0n
m以上であり、更に好ましくは3.0nm以上である。また、同様の観点から、好ましく
は100nm以下であり、より好ましくは50nm以下であり、更に好ましくは20nm
以下であり、更に好ましくは10nm以下であり、更に好ましくは6.0nm以下であり
、更に好ましくは5.0nm以下である。イオン性基を含む微細セルロース繊維の平均繊
維径は、実施例に記載の方法によって測定することができる。
イオン性基を含む微細セルロース繊維の平均繊維長は、接着性の観点から、好ましくは
150nm以上であり、より好ましくは200nm以上である。同様の観点から、好まし
くは1000nm以下であり、より好ましくは750nm以下であり、更に好ましくは5
00nm以下であり、更に好ましくは400nm以下である。イオン性基を含む微細セル
ロース繊維の平均繊維長は、実施例に記載の方法によって測定することができる。
イオン性基を含む微細セルロース繊維の平均アスペクト比、すなわち繊維長/繊維径の
値は、接着性の観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは10以上であり、更
に好ましくは20以上であり、更に好ましくは40以上であり、更に好ましくは50以上
であり、その上限は好ましくは250以下であり、より好ましくは200以下であり、更
に好ましくは150以下であり、更に好ましくは100以下であり、更に好ましくは90
以下である。同様の観点から、平均アスペクト比が前記範囲内にある場合、アスペクト比
の標準偏差は、好ましくは60以下であり、より好ましくは50以下であり、更に好まし
くは45以下であり、下限は特に設定されないが、経済性の観点から、好ましくは4以上
である。イオン性基を含む微細セルロース繊維の平均アスペクト比は、実施例に記載の方
法によって測定することができる。
イオン性基を含む微細セルロース繊維は、安定的な微細化及び修飾基導入の観点から、
イオン性基の含有量が、好ましくは0.1mmol/g以上であり、より好ましくは0.
4mmol/g以上であり、更に好ましくは0.6mmol/g以上である。その上限は
、好ましくは3.0mmol/g以下であり、より好ましくは2.0mmol/g以下で
あり、更に好ましくは1.8mmol/g以下である。イオン性基がアニオン性基の場合
のアニオン性基の含有量は、実施例に記載の方法によって測定することができる。
イオン性基としては、例えば、アニオン性基及びカチオン性基が挙げられる。アニオン
性基としては、例えばカルボキシ基、硫酸基及びリン酸基等が挙げられ、カチオン性基と
しては、その基内にアンモニウム、ホスホニウム、スルホニウムなどのオニウムを有する
基が挙げられる。微細セルロース繊維への導入効率の観点から、イオン性基としてはアニ
オン性基が好ましく、アニオン性基としてはカルボキシ基がより好ましい。
本発明において、アニオン性基を含む微細セルロース繊維におけるアニオン性基の対と
なるイオン(カウンターイオン)は、接着組成物中の分散性の観点から、好ましくはプロ
トンである。
〔微細セルロース繊維複合体〕
本発明において、イオン性基を含む微細セルロース繊維に修飾基が結合してなる微細セ
ルロース繊維複合体の好ましい態様の一つは、該繊維中に含まれるイオン性基及び水酸基
からなる群より選択される1種以上の基に修飾基が結合してなる微細セルロース繊維複合
体である。微細セルロース繊維複合体は、原料として天然セルロース繊維を使用している
ことに起因して、セルロースI型結晶構造を有している。
微細セルロース繊維複合体の平均繊維径、平均繊維長、平均アスペクト比、イオン性基
の含有量及びセルロースの結晶化度の好適範囲は、イオン性基を含む微細セルロース繊維
と同様である。
微細セルロース繊維複合体における修飾基の平均結合量は、接着性の観点から、好まし
くは0.01mmol/g以上であり、より好ましくは0.05mmol/g以上であり
、更に好ましくは0.1mmol/g以上であり、更に好ましくは0.3mmol/g以
上であり、更に好ましくは0.5mmol/g以上である。また、接着性の観点から、好
ましくは3.0mmol/g以下であり、より好ましくは2.5mmol/g以下であり
、更に好ましくは2.0mmol/g以下であり、更に好ましくは1.8mmol/g以
下であり、更に好ましくは1.5mmol/g以下である。修飾基として任意の2種以上
の修飾基が同時に微細セルロース繊維に導入されている場合、修飾基の平均結合量は、導
入されている修飾基の合計量が前記範囲内であることが好ましい。
微細セルロース繊維複合体における修飾基の導入率は、接着性の観点から、好ましくは
10%以上であり、より好ましくは30%以上であり、更に好ましくは50%以上であり
、更に好ましくは60%以上であり、更に好ましくは70%以上であり、接着性の観点か
ら、好ましくは99%以下であり、より好ましくは97%以下であり、更に好ましくは9
5%以下であり、更に好ましくは90%以下である。修飾基として任意の2種以上の修飾
基が同時に導入されている場合には、導入率の合計が上限の100%を超えない範囲にお
いて、前記範囲内となることが好ましい。
本明細書において、修飾基の平均結合量及び導入率は、修飾基を有する化合物の添加量
、修飾基を有する化合物の種類、反応温度、反応時間、溶媒などによって調整することが
できる。修飾基の平均結合量(mmol/g)及び導入率(%)とは、微細セルロース繊
維表面のイオン性基又は水酸基に修飾基が導入された量及び割合のことである。微細セル
ロース繊維のイオン性基含有量や水酸基含有量は公知の方法(例えば、滴定、IR測定等
)に従って測定することで算出できる。修飾基の平均結合量及び導入率は、例えば、イオ
ン性基がアニオン性基の場合には、実施例に記載の方法で算出される。
微細セルロース繊維複合体におけるイオン性基としては、微細セルロース繊維と同様で
あり、アニオン性基が好ましく、アニオン性基としては、カルボキシ基が好ましい。
微細セルロース繊維複合体は、分散液の状態で使用することもできるし、あるいは乾燥
処理等により該分散液から溶媒を除去して、乾燥した粉末状の微細セルロース繊維複合体
(粉末状の微細セルロース繊維複合体は適宜溶媒を所定量含んでいても良い。)として使
用することもできる。乾燥処理の方法は、微細セルロース繊維複合体の品質を維持できる
方法であれば特に制限されず、例えば熱風やヒーター、真空による乾燥、フリーズドライ
、スプレードライ等の方法が挙げられる。
〔微細セルロース繊維複合体の製造方法〕
微細セルロース繊維複合体の製造方法は、上述したイオン性基を含む微細セルロース繊
維に修飾基を導入できるのであれば、特に限定なく公知の方法に従って製造することがで
きる。
微細セルロース繊維複合体の製造方法は、例えば、原料のセルロース繊維にイオン性基
を導入して、イオン性基を含むセルロース繊維を得る工程、イオン性基を含むセルロース
繊維に修飾基を導入して、イオン性基を含むセルロース繊維に修飾基が結合してなるセル
ロース繊維複合体を得る工程、及びイオン性基を含むセルロース繊維に修飾基が結合して
なるセルロース繊維複合体を微細化処理して、イオン性基を含む微細セルロース繊維に修
飾基が結合してなる微細セルロース繊維複合体を得る工程、を含む。
微細セルロース繊維複合体の製造方法は、第1の製造形態として、前記のように、イオ
ン性基を導入する工程、修飾基を導入する工程、及び微細化処理工程をこの順で行っても
よく、これに代えて、第2の実施形態として、イオン性基を導入する工程、微細化処理工
程、及び修飾基を導入する工程をこの順で行ってもよい。微細化処理工程における微細化
処理の方法は、イオン性基を含むセルロース繊維又は修飾基が結合してなるセルロース繊
維複合体を溶媒中に分散させて行うことができる。具体的な処理方法は、例えば、特開2
013−151661号公報の微細化工程の説明を参照して実施することができる。
原料のセルロース繊維としては、環境負荷の観点から、天然セルロース繊維を用いるこ
とが好ましい。天然セルロース繊維としては、例えば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ
等の木材パルプ;コットンリンター、コットンリントのような綿系パルプ;麦わらパルプ
、バガスパルプ等の非木材系パルプ;バクテリアセルロース等が挙げられ、これらの1種
を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(イオン性基がカチオン性基の態様)
イオン性基がカチオン性基の場合、セルロース繊維へカチオン性基を導入する方法とし
ては、セルロース繊維にアルカリの存在下においてカチオン化剤で処理する方法等が挙げ
られる。
(イオン性基がアニオン性基の態様)
アニオン性基がスルホン酸基の場合、セルロース繊維へスルホン酸基を導入する方法と
しては、セルロース繊維に硫酸を添加し加熱する方法等が挙げられる。
アニオン性基がリン酸基の場合、セルロース繊維へリン酸基を導入する方法としては、
乾燥状態又は湿潤状態のセルロース繊維に、リン酸又はリン酸誘導体の粉末や水溶液を混
合する方法や、セルロース繊維の分散液にリン酸又はリン酸誘導体の水溶液を添加する方
法等が挙げられる。これらの方法を採用した場合、好ましくは、リン酸又はリン酸誘導体
の粉末や水溶液を混合または添加した後に、脱水処理及び加熱処理等を行う。修飾基を導
入する方法としては、修飾基を有する化合物、例えば後述の第1級アミン〜第3級アミン
等と、リン酸基を有するセルロース繊維又はリン酸基を有する微細セルロース繊維とを混
合する方法等が挙げられる。
アニオン性基がカルボキシ基の場合、以下に示すように、修飾基をイオン結合によって
セルロース繊維又は微細セルロース繊維に結合させる態様(態様A)、修飾基を共有結合
によってセルロース繊維又は微細セルロース繊維に結合させる態様(態様B)が挙げられ
る。なお、共有結合として、アミド結合の場合を以下に示す。
(態様A)
工程(1):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、カルボキシ基
含有セルロース繊維を得る工程。
工程(2A):工程(1)で得られたカルボキシ基含有セルロース繊維(又はカルボキシ
基含有微細セルロース繊維)と、修飾基を有する化合物とを混合する工程。
(態様B)
工程(1):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、カルボキシ基
含有セルロース繊維を得る工程。
工程(2B):工程(1)で得られたカルボキシ基含有セルロース繊維(又はカルボキシ
基含有微細セルロース繊維)と、修飾基を有する化合物とをアミド化反応させる工程。
工程(1)
本工程においては、天然セルロース繊維に対して、例えば、特開2015−14333
6号公報に記載の酸化処理工程(例えば、TEMPOを触媒とした酸化処理)、及び必要
に応じて精製工程を行うことで、カルボキシ基を含むセルロース繊維が得られる。
前記セルロースの水酸基を酸化処理する方法としては特に制限されないが、例えば、2
,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)を触媒とし
て、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤及び臭化ナトリウム等の臭化物を反応させて酸化処
理する方法が適用できる。より詳細には、特開2011−140632号公報に記載の方
法を参照することができる。
TEMPOを触媒としてセルロース繊維の酸化処理を行うことによって、セルロース構
成単位のC6位のヒドロキシメチル基(−CHOH)が選択的にカルボキシ基に変換さ
れる。特にこの方法は、原料のセルロース繊維表面の酸化対象となるC6位の水酸基の選
択性に優れており、且つ反応条件も穏やかである点で有利である。従って、本発明におけ
るカルボキシ基を含む微細セルロース繊維の好ましい態様として、セルロース構成単位の
C6位がカルボキシ基であるセルロース繊維が挙げられる。
上述のいずれかの方法でセルロース繊維にカルボキシ基を導入することによって、原料
のセルロース繊維がカルボキシ基で変性され、カルボキシ基を含むセルロース繊維となる
。この時点では、微細化処理は施されていない。カルボキシ基を含むセルロース繊維に対
して、還元処理や低アスペクト比化処理を更に行うことが好ましい。
工程(2A)
本工程は、(1)カルボキシ基含有セルロース繊維又は(2)カルボキシ基含有微細セルロー
ス繊維と、修飾基を有する化合物とを溶媒中で混合することにより実施される。本工程は
、例えば、特開2015−143336号公報の工程(B)に記載の方法を参照して実施
することができる。
工程(2B)
本工程においては、(1)カルボキシ基含有セルロース繊維又は(2)カルボキシ基含有微細
セルロース繊維と、修飾基を有する化合物とを縮合剤の存在下で混合し、(微細)セルロ
ース繊維に含有されるカルボキシ基と、修飾基を有する化合物のアミノ基とを縮合反応さ
せてアミド結合を形成する。本工程は、例えば、特開2015−143337号公報の工
程(B)に記載の方法を参照して実施することができる。
工程(2A)又は工程(2B)において、修飾基を有する化合物と接触する対象が(1)
カルボキシ基含有セルロース繊維の場合、工程(2A)又は工程(2B)の後で微細化処
理工程が実施される(前記の「第1の製造形態」に該当する。)。あるいは、工程(2A
)又は工程(2B)において、修飾基を有する化合物と接触する対象が(2)カルボキシ基
含有微細セルロース繊維の場合、工程(2A)又は工程(2B)の前に微細化処理工程が
実施される(前記の「第2の製造形態」に該当する。)。
また、微細セルロース繊維複合体は、態様A及び態様Bを組み合わせて得られる繊維複
合体であってもよい。この場合、工程(2A)及び工程(2B)については、いずれの工
程を先に行ってもよい。
修飾基のカルボキシ基への具体的な結合様式としてはカルボキシ基に修飾基を有する化
合物をイオン結合及び/又は共有結合を介して結合させたものであることがより好ましい
。カルボキシ基への具体的な結合様式としては、アミン塩等とのイオン結合や、アミド結
合、エステル結合及びウレタン結合等の共有結合が挙げられる。
セルロース繊維中に含まれるカルボキシ基及び/又は水酸基に修飾基を結合させるため
には、例えば修飾基を有する化合物(「修飾用化合物」ともいう。)を用いることが好ま
しい。修飾用化合物としては、セルロース繊維のカルボキシ基又は水酸基との結合様式に
応じて適切なものを選択すればよい。
結合様式がイオン結合の場合には、修飾用化合物として第1級アミン、第2級アミン、
第3級アミン、第4級アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物等が挙げられる。これら
の化合物には、修飾基として各種の炭化水素基、例えば鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和
炭化水素基、環式飽和炭化水素基、及び芳香族炭化水素基等の炭化水素基や、共重合部位
等を導入することができる。これらの基や部位は単独で又は2種以上を組み合わせて導入
されていてもよい。
第1級アミン〜第3級アミンとしては、例えば、プロピルアミン、ジプロピルアミン、
ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、オクチルアミン、
ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、ドデシルアミン、ジドデシルアミン、ジステア
リルアミン、アニリン、オクタデシルアミン、ジメチルベヘニルアミンが挙げられる。第
4級アンモニウム化合物としては、例えば、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(T
EAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、テトラプロピルアンモ
ニウムヒドロキシド(TPAH)が挙げられる。これらの中では、接着性の観点から、好
ましくは、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、ジヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオ
クチルアミン、トリオクチルアミン、ドデシルアミン、ジドデシルアミン、ジステアリル
アミンである。
修飾用化合物として、第4級アンモニウム化合物及びホスホニウム化合物を用いる場合
には、その陰イオン成分として、反応性の観点から、好ましくは塩化物イオン及び臭化物
イオンなどのハロゲン化物イオン、硫酸水素イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボ
レートイオン、ヘキサフルオロフォスフェイトイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イ
オン及びヒドロキシイオンが挙げられ、より好ましくはヒドロキシイオンが挙げられる。
結合様式が共有結合の場合には、カルボキシ基を修飾するか、あるいは水酸基を修飾す
るかに応じて適切な修飾用化合物が用いられる。カルボキシ基を修飾する場合、例えばア
ミド結合を介して修飾する場合には、修飾用化合物として例えば第1級アミン及び第2級
アミンを用いることが好ましい。エステル結合を介して修飾する場合には、修飾用化合物
として例えばブタノール、オクタノール及びドデカノール等のアルコールを用いることが
好ましい。ウレタン結合を介して修飾する場合には、修飾用化合物として例えばイソシア
ネート化合物を用いることが好ましい。これらの化合物には、修飾基として各種の炭化水
素基、例えば鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、環式飽和炭化水素基、及び芳
香族炭化水素基等の炭化水素基や、共重合部位等を導入することができる。これらの基や
部位は単独で又は2種以上を組み合わせて導入されていてもよい。
水酸基を修飾する場合、例えばエステル結合を介して修飾する場合には、修飾用化合物
として例えば酸無水物を用いることが好ましく、特に無水酢酸、無水プロピオン酸及び無
水コハク酸を用いることが好ましい。エーテル結合を介して修飾する場合には、修飾用化
合物として例えばエポキシ化合物(例えば、酸化アルキレン及びアルキルグリシジルエー
テル)、アルキルハライド並びにその誘導体(例えばメチルクロライド、エチルクロライ
ド及びモノクロロ酢酸)が好ましい。ウレタン結合を介して修飾する場合には、修飾用化
合物として例えばイソシアネート化合物を用いることが好ましい。これらの化合物には、
修飾基として各種の炭化水素基、例えば鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、環
式飽和炭化水素基、及び芳香族炭化水素基等の炭化水素基や、共重合部位等を導入するこ
とができる。これらの基や部位は単独で又は2種以上を組み合わせて導入されていてもよ
い。
修飾用化合物に、修飾基として上述した鎖式飽和炭化水素基が導入される場合、該鎖式
飽和炭化水素基は、直鎖状又は分岐状であってもよい。鎖式飽和炭化水素基の炭素数は、
取扱い性の観点から、1つの修飾基における炭素数は、好ましくは1以上30以下であり
、より好ましくは2以上24以下であり、更に好ましくは3以上18以下である。
修飾用化合物に、修飾基として上述した鎖式不飽和炭化水素基が導入される場合、該鎖
式不飽和炭化水素基は、直鎖状又は分岐状であってもよい。1つの修飾基における炭素数
は、好ましくは1以上30以下であり、より好ましくは2以上18以下であり、更に好ま
しくは3以上12以下である。
修飾用化合物に、修飾基として上述した環式飽和炭化水素基が導入される場合、該環式
飽和炭化水素基の炭素数は、1つの修飾基の炭素数は、好ましくは3以上20以下であり
、より好ましくは4以上16以下であり、更に好ましくは5以上16以下である。
修飾用化合物に、修飾基として上述した芳香族炭化水素基が導入される場合、該芳香族
炭化水素基としては、例えば、置換又は非置換のアリール基及びアラルキル基が挙げられ
る。アリール基及びアラルキル基は、芳香族環そのものが置換されたものでも非置換のも
のであってもよい。アリール基の炭素数は6以上であり、好ましくは24以下であり、よ
り好ましくは20以下であり、更に好ましくは14以下であり、更に好ましくは12以下
であり、更に好ましくは10以下である。一方、アラルキル基の総炭素数は7以上であり
、好ましくは8以上であり、また好ましくは24以下であり、より好ましくは20以下で
あり、更に好ましくは14以下であり、更に好ましくは13以下であり、更に好ましくは
11以下である。
修飾基が炭化水素基であり、該炭化水素基が置換基を有する場合は、修飾基における炭
素数が上述の範囲を満たすことを条件として、置換基として、例えば炭素数1〜6の直鎖
又は分岐鎖のアルコキシ基;アルコキシ基の炭素数が1〜6の直鎖又は分岐のアルコキシ
カルボニル基;臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;炭素数1〜6のアシル基;アラ
ルキル基;アラルキルオキシ基;炭素数1〜6のアルキルアミノ基;アルキル基の炭素数
が1〜6のジアルキルアミノ基や、水酸基、エーテル、アミド等を用いてもよい。なお、
前述の各種の炭化水素基そのものが別の炭化水素基に置換基として結合していてもよい。
上述した各種の修飾基として有する第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4
級アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物、酸無水物及びイソシアネート化合物は、市
販品を用いることができ、また公知の方法に従って調製することができる。
本発明における微細セルロース繊維複合体は、その修飾基が共重合部位を含むことがで
きる。そのような共重合部位としては、例えば、エチレンオキサイド/プロピレンオキサ
イド(EO/PO)共重合部位等を用いることができる。EO/PO共重合部位とは、エ
チレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)がランダム又はブロック状に
重合した構造を意味する。
EO/PO共重合部位中のPOの含有率(モル%)は、接着性の観点から、好ましくは
1モル%以上であり、より好ましくは5モル%以上であり、更に好ましくは7モル%以上
であり、更に好ましくは10モル%以上である。同様の観点から、好ましくは100モル
%以下であり、より好ましくは90モル%以下であり、更に好ましくは85モル%以下で
あり、更に好ましくは75モル%以下であり、更に好ましくは60モル%以下であり、更
に好ましくは50モル%以下であり、更に好ましくは40モル%以下であり、更に好まし
くは30モル%以下である。
EO/PO共重合部位の分子量は、接着性の観点から、好ましくは500以上であり、
より好ましくは1,000以上であり、更に好ましくは1,500以上である。同様の観
点から、好ましくは10,000以下であり、より好ましくは7,000以下であり、更
に好ましくは5,000以下であり、更に好ましくは4,000以下であり、更に好まし
くは3,500以下であり、更に好ましくは2,500以下である。
修飾用化合物が、EO/PO共重合部位とアミノ基とを有するアミンである場合、EO
/PO共重合部位とアミノ基とは、直接に結合していてもよく、あるいは連結基を介して
結合していてもよい。連結基としては例えば炭化水素基が好ましく、特に炭素数が好まし
くは1以上6以下、より好ましくは1以上3以下のアルキレン基が用いられる。アルキレ
ン基としては例えば、エチレン基及びプロピレン基が好ましい。
EO/PO共重合部位を有するアミン(「EOPOアミン」ともいう。)としては、例
えば下記式(i)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022001649
〔式中、Rは水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を示し、EO
及びPOはランダム又はブロック状に存在し、aはEOの平均付加モル数を示す正の数、
bはPOの平均付加モル数を示す正の数である。〕
式(i)におけるaはEOの平均付加モル数を示し、接着性の観点から、好ましくは1
1以上であり、より好ましくは15以上であり、更に好ましくは20以上であり、更に好
ましくは25以上であり、更に好ましくは30以上である。同様の観点から、好ましくは
100以下であり、より好ましくは70以下であり、更に好ましくは60以下であり、更
に好ましくは50以下であり、更に好ましくは40以下である。
式(i)におけるbはPOの平均付加モル数を示し、接着性の観点から、好ましくは1
以上であり、より好ましくは3以上であり、更に好ましくは5以上である。同様の観点か
ら、好ましくは50以下であり、より好ましくは40以下であり、更に好ましくは30以
下であり、更に好ましくは25以下であり、更に好ましくは20以下であり、更に好まし
くは15以下であり、更に好ましくは10以下である。
EO/PO共重合部位中のPOの含有率(モル%)は、アミンが式(i)で表される場
合は、前記aとbに基づいて計算することが可能であり、具体的にはb×100/(a+
b)より求めることができる。POの含有率の好ましい範囲は上述のとおりである。
式(i)におけるRは、接着性の観点から水素原子が好ましい。Rが炭素数1〜6
の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である場合、該アルキル基は好ましくはメチル基、エチル
基、n−プロピル基及びsec−プロピル基である。
式(i)で表されるEO/PO共重合部位を有するアミンについての詳細は、例えば特
許第6105139号公報に記載されている。
前記EOPOアミンは、例えば、市販品を好適に用いることができ、具体例としては、
HUNTSMAN社製のJeffamine M−2070、Jeffamine M−
2005、Jeffamine M−2095、Jeffamine M−1000、J
effamine M−600、Surfoamine B200、Surfoamin
e L100、Surfoamine L200、Surfoamine L207,S
urfoamine L300、XTJ−501、XTJ−506、XTJ−507、X
TJ―508;BASF社製のM3000、Jeffamine ED−900、Jef
famine ED−2003、Jeffamine D−2000、Jeffamin
e D−4000、XTJ−510、Jeffamine T−3000、Jeffam
ineT−5000、XTJ−502、XTJ−509、XTJ−510等が挙げられる
〔硬化剤〕
本発明においては硬化剤を用いてもよい。硬化剤は本発明の接着組成物に含まれていて
もよく、接着組成物とは異なる容器に充填したものでもよい。硬化剤としては、使用する
非水溶性樹脂の種類に応じて、公知のものを選択して使用することができる。
非水溶性樹脂がエポキシ樹脂の場合、通常のエポキシ樹脂の硬化剤として使用されてい
るもの、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジシアンジアミド、ポリカルボン酸、ポ
リカルボン酸ヒドラジド、酸無水物、ポリメルカプタン、ポリフェノールなど、量論的反
応を行う化合物と、イミダゾール、ルイス酸錯体、オニウム塩のように触媒的に作用する
化合物がある。量論的反応を行う化合物を用いる場合には、硬化促進剤、例えば各種アミ
ン類、イミダゾール、ルイス酸錯体、オニウム塩、ホスフィンなどが挙げられる。
非水溶性樹脂がウレタン樹脂の場合、通常のウレタン樹脂の硬化剤として使用されてい
るもの、具体的には、芳香族イソシアネートが挙げられる。
本発明における硬化剤の量は特に制限されず、硬化剤の種類に応じて適切な量を適宜採
用すればよい。
〔その他の成分〕
本発明の接着組成物には、必要に応じて、重合開始剤、可塑剤、安定化剤、滑剤等の接
着組成物の分野で公知の成分が含まれていてもよい。かかる成分の量は特に制限されず、
適切な量を適宜採用すればよい。
〔接着組成物の製造方法〕
本発明の接着組成物は、非水溶性樹脂並びにイオン性基を含む微細セルロース繊維及び
/又は微細セルロース繊維複合体を混合することで製造することができる。さらに、必要
に応じて溶媒、硬化剤や前記のその他の成分を混合することができる。
接着組成物を構成する各成分を混合する方法は特に限定されず、一般的な方法、例えば
、撹拌機、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を使用する方法が挙げられる。
溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、メタクリル酸メチル、エ
タノール、イソプロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスル
ホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン(THF)
、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル、アセトン、メ
チルエチルケトン(MEK)、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエ
ン、酢酸等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが
できる。溶媒を使用する場合、その量としては、例えば、非水溶性樹脂100質量部に対
して、好ましくは50質量部以上であり、より好ましくは100質量部以上であり、一方
、好ましくは5000質量部以下であり、より好ましくは2000質量部以下である。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に
制限されるものではない。
〔セルロースの結晶化度〕
微細セルロース繊維及び微細セルロース繊維複合体におけるセルロースの結晶化度は、
X線回折法による回折強度値からSegal法により算出したセルロースI型結晶化度で
あり、下記計算式(A)により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×1
00 (A)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°
)の回折強度、I18.5は,アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を
示す。〕
〔微細セルロース繊維及び微細セルロース繊維複合体の平均繊維径〕
微細セルロース繊維又は微細セルロース繊維複合体に水又はエタノールを加えて、その
濃度が0.0001質量%の分散液を調製し、該分散液をマイカ(雲母)上に滴下して乾
燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(AFM、Nanoscope III
Tapping mode AFM、Digital instrument社製、プロ
ーブはナノセンサーズ社製Point Probe (NCH)を使用)を用いて、該観
察試料中のセルロース繊維の繊維高さを測定する。その際、該セルロース繊維が確認でき
る顕微鏡画像において、微細セルロース繊維又は微細セルロース繊維複合体を5本以上抽
出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出する。繊維方向の距離より、平均繊維長を
算出する。平均アスペクト比は平均繊維長/平均繊維径より算出し、標準偏差も算出する
〔微細セルロース繊維及び微細セルロース繊維複合体のアニオン性基含有量〕
乾燥質量0.5gの微細セルロース繊維又は微細セルロース繊維複合体を100mLビ
ーカーにとり、イオン交換水を加えて全体で55mLとし、そこに0.01M塩化ナトリ
ウム水溶液5mLを加えて分散液を調製する。微細セルロース繊維又は微細セルロース繊
維複合体が十分に分散するまで該分散液を撹拌する。この分散液に0.1M塩酸を加えて
pHを2.5〜3に調整し、自動滴定装置(東亜ディーケーケー社製、商品名「AUT−
50」)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液
に滴下し、1分ごとの電導度及びpHの値を測定する。pH11程度になるまで測定を続
け、電導度曲線を得る。この電導度曲線から水酸化ナトリウム滴定量を求め、次式により
、微細セルロース繊維又は微細セルロース繊維複合体のアニオン性基含有量を算出する。
アニオン性基含有量(mmol/g)=水酸化ナトリウム滴定量×水酸化ナトリウム
水溶液濃度(0.05M)/微細セルロース繊維又は微細セルロース繊維複合体の質量(
0.5g)
〔微細セルロース繊維複合体の修飾基の平均結合量及び導入率(イオン結合)〕
修飾基の結合量を次のIR測定方法によって求め、下記式によりその平均結合量及び導
入率を算出する。IR測定は、具体的には、乾燥させた微細セルロース繊維又は微細セル
ロース繊維複合体を赤外吸収分光装置(IR)(サーモフィッシャーサイエンティフィッ
ク社製、商品名:Nicolet 6700)を用いATR法にて測定し、次式により、
イオン結合による修飾基の平均結合量及び導入率を算出する。以下はアニオン性基がカル
ボキシ基の場合を示す。以下の「1720cm−1のピーク強度」は、カルボニル基に由
来するピーク強度である。なお、カルボキシ基以外のアニオン性基の場合はピーク強度の
値を適宜変更し、修飾基の平均結合量及び導入率を算出すればよい。
修飾基の結合量(mmol/g)=[微細セルロース繊維のカルボキシ基含有量(mm
ol/g)]×[(微細セルロース繊維の1720cm−1のピーク強度−修飾基導入後の
微細セルロース繊維複合体の1720cm−1のピーク強度)/微細セルロース繊維の1
720cm−1のピーク強度]
修飾基の導入率(%)=100×(修飾基の結合量(mmol/g))/(導入前の微
細セルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g))
〔微細セルロース繊維複合体の修飾基の平均結合量及び導入率(アミド結合)〕
アミド結合による修飾基の平均結合量は、下記式により算出する。
修飾基の結合量(mmol/g)=(修飾基導入前の微細セルロース繊維中のカルボキ
シ基含有量(mmol/g))−(修飾基導入後の微細セルロース繊維複合体中のカルボ
キシ基含有量(mmol/g))
修飾基の導入率(%)=100×(修飾基の結合量(mmol/g))/(導入前の微
細セルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g))
〔微細セルロース繊維複合体における微細セルロース繊維(換算量)〕
微細セルロース繊維複合体における微細セルロース繊維(換算量)は、以下の方法によ
って測定する。
(1)添加される修飾用化合物が1種類の場合
微細セルロース繊維量(換算量)を下記式Aによって算出する。
<式A>
微細セルロース繊維量(換算量)(g)=微細セルロース繊維複合体の質量(g)/〔1
+修飾用化合物の分子量(g/mol)×修飾基の結合量(mmol/g)×0.001
(2)添加される修飾用化合物が2種類以上の場合
各修飾用化合物のモル比率(即ち、添加される修飾用化合物の合計モル量を1とした時
のモル比率)を考慮して、微細セルロース繊維量(換算量)を算出する。下記式Bは、修
飾用化合物が2種類用いた場合であって、第1修飾用化合物と第2修飾用化合物とのモル
比率が、第1修飾用化合物:第2修飾用化合物=X:(1−X)である場合の微細セルロ
ース繊維量(換算量)を算出する式である。
<式B>
微細セルロース繊維量(換算量)(g)=微細セルロース繊維複合体の質量(g)/〔1
+第1修飾用化合物の分子量(g/mol)×X×修飾基の結合量(mmol/g)×0
.001+第2修飾用化合物の分子量(g/mol)×(1−X)×修飾基の結合量(m
mol/g)×0.001〕
なお、微細セルロース繊維と修飾用化合物との結合様式がイオン結合の場合、上述の式
A及び式Bにおいて、「修飾用化合物の分子量」とは、修飾用化合物が第1級アミン、第
2級アミン又は第3級アミンである場合は「共重合部を含めた修飾用化合物全体の分子量
」を指し、修飾基を有する化合物が第4級アンモニウム化合物又はホスホニウム化合物で
ある場合は「(共重合部を含めた修飾用化合物全体の分子量)−(陰イオン成分の分子量
)」を指す。
一方、微細セルロース繊維と修飾用化合物との結合様式がアミド結合の場合、上述の式
A及び式Bにおいて、「修飾用化合物の分子量」とは、修飾用化合物が第1級アミン又は
第2級アミンである場合、「(共重合部を含めた修飾基を有する化合物全体の分子量)−
18」である。
〔微細セルロース繊維の調製〕
調製例1
針葉樹の漂白クラフトパルプ(フレッチャー チャレンジ カナダ社製、商品名「Ma
chenzie」、CSF650ml)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPO
としては、市販品(ALDRICH社製、Free radical、98質量%)を用
いた。次亜塩素酸ナトリウム及び臭化ナトリウムは市販品を用いた。
まず、針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gを9900gのイオン交換水で十分に
撹拌した後、該パルプ質量100gに対し、TEMPO1.25g、臭化ナトリウム12
.5g、次亜塩素酸ナトリウム28.4gをこの順で添加した。自動滴定装置(東亜ディ
ーケーケー社製、商品名:AUT−701)でpHスタット滴定を用い、0.5M水酸化
ナトリウム水溶液を滴下してpHを10.5に保持した。反応を120分(20℃)行っ
た。水酸化ナトリウム水溶液の滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて
、得られた酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、酸化パルプ3
.9gとイオン交換水296.1gを高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、商品名:
スターバーストラボ HJP−2 5005)を用いて245MPaで酸化パルプの微細
化処理を2回行い、Na塩型のカルボキシ基を含む微細セルロース繊維の分散液(固形分
濃度1.3質量%)を得た。この微細セルロース繊維の平均繊維径は3.3nm、カルボ
キシ基含有量は1.8mmol/g、結晶化度は60%であった。
調製例2
調製例1で得られたカルボキシ基を含む微細セルロース繊維の分散液4088.75g
(固形分濃度1.3質量%)及びイオン交換水4085gをビーカーに入れて、0.5質
量%の水溶液とし、メカニカルスターラーにて室温(25℃)下、30分間撹拌した。続
いて1M塩酸水溶液245gをビーカーに仕込み、室温下、1時間撹拌して反応させた。
反応終了後、ろ過し、その後、イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸及び塩を除去した。
アセトンで溶媒置換した後、メチルエチルケトン(MEK)で溶媒置換し、微細セルロー
ス繊維が膨潤した状態のMEK含有酸型微細セルロース繊維の分散液(固形分濃度3.2
質量%)を得た。この微細セルロース繊維の平均繊維径は3.3nm、カルボキシ基含有
量は1.8mmol/g、結晶化度は60%であった。
〔EOPOアミンの調製〕
調製例3
プロピレングリコール第三級ブチルエーテル132g(1モル)を1Lのオートクレー
ブに仕込み、75℃に加熱し、フレーク状の水酸化カリウム1.2gを加え、溶解するま
で撹拌した。次いで、表1に示す量のエチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(
PO)を前記オートクレーブに供給し、110℃で0.34MPaにて反応させた後、ケ
イ酸マグネシウム(ダラスグループ社製、商品名:Magnesol 30/40)7.
14gを投入して95℃で中和した。得られた生成物にジ第三級ブチル−p−クレゾール
0.16gを添加、混合した後、濾過して、EO/PO共重合体であるポリエーテルを
得た。
一方、酸化ニッケル/酸化銅/酸化クロム(モル比:75/23/2)(和光純薬工業
社)の触媒を充填した1.250mLの管状反応容器に、上記で得られたポリエーテル(
8.4mL/min)、アンモニア(12.6mL/min)及び水素(0.8mL/m
in)をそれぞれ供給した。容器の温度を190℃に維持し、圧力を14MPaに維持し
た。そして容器からの粗流出液を70℃及び3.5mmHgにて30分間減圧留去した。
得られたアミノ化ポリエーテル200g及び15%塩酸水溶液93.6gをフラスコに仕
込み、この混合物を100℃にて3.75時間加熱して、第三級ブチルエーテルを塩酸で
開裂させた。そして生成物を15%の水酸化カリウム水溶液144gで中和した。次に中
和された生成物を112℃で1時間減圧留去して濾過し、式(i)で表されるEO/PO
共重合部を有するモノアミンを得た。なお、得られたモノアミンは、EO/PO共重合部
とアミンが直接結合しており、式(i)におけるRは水素原子であった。
Figure 2022001649
なお、EO/PO共重合部の分子量は、例えば、表1のアミンの場合、
1409〔EO分子量(44.03)×EO付加モル数(32)〕+522〔PO分子量
(58.04)×PO付加モル数(9)〕+58.04〔出発原料中のPO部分分子量(
プロピレングリコール)〕=1989
を四捨五入して2000と算出した。
Figure 2022001649
〔微細セルロース繊維複合体の製造〕
製造例1
マグネティックスターラー及び撹拌子を備えたビーカーに、調製例2で得られたカルボ
キシ基含有微細セルロース繊維の分散液50g(固形分濃度3.2質量%)を仕込み、ジ
メチルホルムアミド(DMF)で溶媒置換を行った。続いて、カルボキシ基含有微細セル
ロース繊維のカルボキシ基1molに対してアミン基1molに相当する量のヘキシルア
ミンを修飾用化合物としてこのビーカーに仕込み、DMF150g中に溶解させた。次い
で、室温(25℃)で14時間撹拌して反応させた。反応終了後ろ過し、微細セルロース
繊維にヘキシル基がイオン結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。
製造例2〜4、8〜10
使用したアミンの種類及び量を表2に示したものに変更したこと以外は製造例1と同様
の方法で、微細セルロース繊維にアミンがイオン結合を介して連結した微細セルロース繊
維複合体を得た。
製造例5
マグネティックスターラー及び撹拌子を備えたビーカーに、調製例2で得られたカルボ
キシ基含有微細セルロース繊維の分散液35g(固形分濃度3.2質量%)を仕込み、D
MFで溶媒置換を行った。続いて、カルボキシ基含有微細セルロース繊維のカルボキシ基
1molに対して、アミン基0.3molに相当する量の(調製例3で得られた)EOP
Oアミン、0.4molに相当する量の縮合剤である4−(4,6−ジメトキシ−1,3
,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド(DMT−MM)
、及び0.4molに相当する量のN−メチルホルマリン(NMM)をこのビーカーに仕
込み、DMF150g中に溶解させた。次いで、室温(25℃)で14時間撹拌して反応
させた。反応終了後ろ過し、イオン交換水にて洗浄、DMT−MM塩等を除去し、アセト
ンで洗浄及び溶媒置換することで、微細セルロース繊維に、EOPOアミンがアミド結合
を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。
製造例6〜7
使用したアミンの種類及び量、並びに縮合剤の量を表2に示したものに変更したこと以
外は製造例5と同様の方法で、微細セルロース繊維にアミンがアミド結合を介して連結し
た微細セルロース繊維複合体を得た。
Figure 2022001649
表2中のEOPOアミンとは、調製例3で得られたEOPOアミンである。
〔エポキシ樹脂含有接着組成物の製造〕
実施例1−1
製造例1で製造した微細セルロース繊維複合体に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製、
商品名:JER828)、硬化剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール、和光純薬工業
社製)及び溶媒(DMF)を表3に示す配合量となるよう添加して、超音波ホモジナイザ
ー(日本精機製作所社製、商品名:US−300E)にて2分間撹拌した。その後、高圧
ホモジナイザー(吉田機械社製、商品名:ナノヴェイタL−ES)にて150MPaで3
パス微細処理した。得られた溶液を撹拌器(シンキー社製、商品名:あわとり練太郎)を
用いて7分間撹拌し、接着組成物を得た。
実施例1−2
微細セルロース繊維複合体を、製造例2で製造した微細セルロース繊維複合体に変更し
たこと以外は実施例1−1と同様にして接着組成物を得た。
比較例1−1
微細セルロース繊維複合体を用いなかったこと以外は実施例1−1と同様にして接着組
成物を得た。
上記の実施例及び比較例で得られた各接着組成物を、バーコーターを用いて塗布厚1.
8mmで銅箔上に塗工した。その後、塗工面の上に銅箔をもう一枚重ね、80℃で1時間
乾燥し、溶媒を除去した後、150℃で1時間熱硬化させて、銅箔同士が接着した評価サ
ンプルを製造した。各評価サンプルについて、以下の試験を行った。
試験例1(接着性)
塗工面の上に重ねた側の銅箔を剥がす時の接着性を、下記の評価基準に従い、1〜5の
5段階で評価した。5が最も接着性が優れていることを示す。
1:塗工面の上に重ねた側の銅箔上に硬化物の付着が全く認められない(付着量は0%以
上5%未満;なお、付着量とは、目視判断において、剥がす前の銅箔と接着剤とが重なっ
ている面積を100%として、剥がした時に銅箔に接着剤が付着している面積のパーセン
テージをいう。)
2:塗工面の上に重ねた側の銅箔上に硬化物の付着がほとんど認められない(付着量は5
%より多く、20%未満)
3:塗工面の上に重ねた側の銅箔上に若干の硬化物の付着が認められる(付着量は20%
以上50%未満
4:塗工面の上に重ねた側の銅箔上に硬化物の付着が認められる(付着量は50%以上7
0%未満)
5:塗工面の上に重ねた側の銅箔上に硬化物の付着が多く認められる(付着量は70%以
上)
Figure 2022001649
〔ウレタン樹脂含有接着組成物の製造〕
実施例2−1、2−2
製造例3で得られた微細セルロース繊維複合体、ウレタン樹脂である主剤(ポリエステ
ルポリオール(DIC社製、商品名:LX−500、有効分60重量%)、及び硬化剤(
芳香族イソシアネート)(DIC社製、商品名:KW−75、有効分75重量%)を表4
に示す配合量になるように混合した。この混合物に、溶媒としての酢酸エチルを表4に示
す量添加後、室温で2時間撹拌した。その後高圧ホモジナイザーを用いて、100MPa
で1パス、150MPaで2パス微細処理し、固形分濃度40.7%の接着組成物を調製
した。
比較例2−1
微細セルロース繊維複合体を用いなかったこと以外は実施例2−1と同様にして接着組
成物を調製した。
上記の実施例及び比較例で得られた各接着組成物を、PETフィルム上にバーコーター
を用いて塗布厚22μmで塗工した。80℃で10秒乾燥させることで溶媒を除去して接
着層を形成させた。接着層に別のPETフィルムを張り付け、40℃72時間熟成させる
ことでラミネートフィルム状の評価サンプルを作製した。各評価サンプルについて、以下
の試験を行った。
試験例2(接着性)
評価サンプルのラミネートフィルムからPETフィルムから剥がす時の接着性を、試験
例1と同じ評価基準で、「塗工面の上に重ねた側の銅箔」を「接着層に張り付けた側のP
ETフィルム」と読み替えて、1〜5の5段階で評価した。
Figure 2022001649
〔アクリル樹脂含有接着組成物の製造〕
実施例3−1
マグネティックスターラーを備えたビーカーに、調製例2で得られたカルボキシ基含有
微細セルロース繊維の分散液50g(固形分濃度3.2質量%)を仕込み、表5に示す量
となるようにメタクリル酸メチル(MMA)で置換を行った。この分散液を高圧ホモジナ
イザーを用いて60MPaで1パス、100MPaで1パス微細処理した。得られた溶液
に対して、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純
薬工業社製、商品名:V−65B)を加え、撹拌器(シンキー社製、商品名:あわとり練
太郎)を用いて7分間攪拌し、接着組成物を得た。
実施例3−2〜3−7
表5に示すように、カルボキシ基含有微細セルロース繊維を複合体に変更し、その量も
変更したこと以外は実施例3−1と同様にして接着組成物を製造した。
比較例3−1
カルボキシ基含有微細セルロース繊維を用いなかったこと以外は実施例3−1と同様に
して接着組成物を製造した。
上記の実施例及び比較例で得られた各接着組成物を、厚さ10mm、300mm四方の
ガラス同士を対向させ、その両方の間に0.2mmの間隔を設けて軟質塩化ビニル製ガス
ケット(シール材)を挟み込んで形成されたセルの中空部に注入した。真空脱気と窒素置
換を行い、65℃で2時間重合させた。その後、120℃で1時間乾燥させ、厚さ約0.
2mmのシート状の評価サンプルを製造した。各評価サンプルについて、以下の試験を行
った。
試験例3(接着性)
ガラスの一方を固定し、評価サンプルのシートから他方のガラスを剥がす時の接着性を
、試験例1と同じ評価基準で、「塗工面の上に重ねた側の銅箔」を「剥がされるガラスに
接したシール材」と読み替えて、1〜5の5段階で評価した。
Figure 2022001649
〔ポリ塩化ビニル樹脂含有接着組成物の製造〕
実施例4−1
マグネティックスターラーを備えたビーカーに、調製例2で得られたカルボキシ基含有
微細セルロース繊維分散液50g(固形分濃度3.2質量%)を仕込み、DMFで溶媒置
換を行った。ポリ塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ社製、商品名:ZEST1400Z)、可
塑剤(花王社製、商品名:ビニサイザー80K)、塩ビ用安定化剤(ADEKA社製、商
品名:アデカスタブRUP−103)、滑剤(ステアリン酸)(花王社製、商品名:ルナ
ックS70V)を表6の配合量になるように混合しDMF溶液を添加した。得られた混合
液を超音波ホモジナイザーにて2分間攪拌、高圧ホモジナイザーにて100MPaで2パ
ス、150MPaで1パス微細処理して、接着組成物を得た。
実施例4−2〜4−4
表6に示すように、カルボキシ基含有微細セルロース繊維を複合体に変更し、その量も
変更したこと以外は実施例4−1と同様にして接着組成物を製造した。
比較例4−1
カルボキシ基含有微細セルロース繊維を用いなかったこと以外は実施例4−1と同様に
して接着組成物を得た。
上記の実施例及び比較例で得られた各接着組成物を、バーコーターを用いて塗布厚1.
0mmで銅箔上に塗工した。その後、塗工面の上に銅箔をもう一枚重ね、80℃で1日間
乾燥を行い溶媒を除去し、銅箔同士が接着した評価サンプルを製造した。各評価サンプル
について、以下の試験を行った。
試験例4(接着性)
接着性は前記試験例1と同じ方法で評価した。
Figure 2022001649
〔フェノキシ樹脂含有接着組成物の製造〕
実施例5−1
マグネティックスターラーを備えたビーカーに、調製例2で得られたカルボキシ基含有
微細セルロース繊維分散液50g(固形分濃度3.2質量%)を仕込み、DMFで溶媒置
換を行った。フェノキシ樹脂(新日鉄住金社製)を表7の配合量になるように混合し、D
MF溶液を添加し撹拌した。得られた混合液を超音波ホモジナイザーにて2分間攪拌、高
圧ホモジナイザーにて100MPaで2パス、150MPaで1パス微細処理させた。得
られた溶液に対して、あわとり練太郎(シンキー社製)を用いて7分間撹拌し、接着組成
物を得た。
実施例5−2〜5−5
表7に示すように、カルボキシ基含有微細セルロース繊維を複合体に変更し、その量も
変更したこと以外は実施例5−1と同様にして接着組成物を製造した。
比較例5−1
カルボキシ基含有微細セルロース繊維を用いなかったこと以外は実施例5−1と同様に
して接着組成物を製造した。
上記の実施例及び比較例で得られた各接着組成物を、バーコーターを用いて塗布厚1.
0mmで銅箔上に塗工した。その後、塗工面の上に銅箔をもう一枚重ね、120℃で8時
間乾燥し、溶媒を除去して銅箔同士が接着した評価サンプルを製造した。各評価サンプル
について、以下の試験を行った。
試験例5(接着性)
接着性は前記試験例1と同じ方法で評価した。
Figure 2022001649
上記の結果より、本発明の接着組成物は接着性が高いことが分かった。一方、本発明に
係る微細セルロース繊維又は微細セルロース繊維複合体を含有しない組成物は、接着性の
点で本発明よりも明らかに劣っていることが分かった。
なお、本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
[1] 非水溶性樹脂と、イオン性基を含む微細セルロース繊維及び/又はイオン性基を含む微細セルロース繊維に修飾基が結合してなる微細セルロース繊維複合体とを含有する接着組成物。
[2] 前記非水溶性樹脂が、25℃の水への溶解度が水100g当たり1mg以下の樹脂である、前記[1]に記載の接着組成物。
[3] 前記非水溶性樹脂が、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂及びゴム系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂である、前記[1]又は[2]に記載の接着組成物。
[4] 前記イオン性基がアニオン性基である、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の接着組成物。
[5] 前記アニオン性基がカルボキシ基である、前記[4]に記載の接着組成物。
本発明の接着組成物は、接着剤として利用することができる。

Claims (4)

  1. 25℃の水への溶解度が水100g当たり1mg以下の樹脂である非水溶性樹脂と、カルボキシ基を含む微細セルロース繊維に修飾基がアミド結合及び/又はイオン結合を介して結合してなる微細セルロース繊維複合体とを含有する接着組成物であって、
    前記微細セルロース繊維(換算量)の割合が非水溶性樹脂100質量部に対して1.5質量部以上50質量部以下である接着組成物。
  2. 前記微細セルロース繊維複合体における修飾基の平均結合量が0.3mmol/g以上3.0mmol/g以下である、請求項1に記載の接着組成物。
  3. 前記修飾基がエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部位を含む、請求項1又は2に記載の接着組成物。
  4. 前記非水溶性樹脂が、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂及びゴム系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着組成物。
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