JP6815691B2 - コーティング剤 - Google Patents
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Description
すなわち本発明は、下記[1]〜[6]を提供することを課題とする。
[1]下記条件(A)〜(E)を満たす微細繊維状セルロースとモノマーを含有することを特徴とするコーティング剤。
(A)数平均繊維径が2nm以上500nm以下
(B)平均アスペクト比が10以上1000以下
(C)セルロースI型結晶構造を有する
(D)アニオン性官能基を有する
(E)(D)記載のアニオン性官能基の一部、または全てに下記式(1)で示すポリエーテルアミンが結合している
[2]上記微細繊維状セルロースがさらに下記条件を満たすことを特徴とする[1]に記載のコーティング剤。
(F)(D)記載のアニオン性官能基の一部、または全てに上記一般式(1)で示すポリエーテルアミンと下記一般式(2)で示すアミン化合物が結合している。
[3]上記微細繊維状セルロースのアニオン性官能基がカルボキシル基であることを特徴とする[1]または[2]記載のコーティング剤。
[4]上記モノマーがアクリル酸系モノマーおよび/またはメタクリル酸系モノマーであることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれか1項に記載のコーティング剤。
[5]上記アクリル酸系モノマーおよび/またはメタクリル酸系モノマーが3官能以上であることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれか1項に記載のコーティング剤。
[6]上微細繊維状セルロースの固形分含有量が、コーティング剤の重量全体の0.1質量%以上3.0質量%以下であることを特徴とする[1]から[5]のいずれか一項に記載のコーティング剤。
本発明の微細繊維状セルロースは、以下の条件を満たすものである。
上記微細繊維状セルロースの数平均繊維径は2nm以上500nm以下であるが、好ましくは2nm以上150nm以下であり、より好ましくは2nm以上100nm以下であり、特に好ましくは3nm以上80nm以下である。上記数平均繊維径が2nm未満であると、微細繊維状セルロースが溶解することにより、微細繊維状セルロースの結晶構造が失われ、コーティング層の耐熱性、寸法安定性および低線熱膨張係数が不十分となるおそれがあり、上記数平均繊維径が500nmを超える場合は、コーティング層の透明性が不十分となるおそれがある。また最大繊維径は、コーティング層の透明性の点で、1000nm以下であることが好ましく、特に好ましくは500nm以下である。
上記微細繊維状セルロースの平均アスペクト比は10以上1000以下であるが、好ましくは100以上、より好ましくは200以上である。平均アスペクト比が10未満であるとコーティング層の耐熱性、寸法安定性、透明性および低線熱膨張係数が不十分となるおそれがある。
上記セルロースナノファイバーは、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース原料を微細化した繊維である。すなわち、天然セルロースの生合成の過程においては、ほぼ例外なくミクロフィブリルと呼ばれるナノファイバーがまず形成され、これらが多束化して高次な固体構造を構成する。
上記セルロースナノファイバーはアニオン性官能基を有する。
本発明において、セルロースにカルボキシル基を導入する方法としては、繊維表面の水酸基の選択性に優れており、反応条件も穏やかであることから、セルロースの水酸基を酸化する方法が好ましい。以下、水酸基の酸化によりカルボキシル基が導入されたセルロースを酸化セルロースという。
本発明の微細繊維状セルロースのアニオン性官能基の含量は微細繊維状セルロースのモノマー中への分散性の点から0.5mmol/g以上2.5mmol/g以下の範囲が好ましく、より好ましくは1.5mmol/g以上2.0mmol/g以下の範囲である。
上記微細繊維状セルロースのアニオン性官能基にはポリエーテルアミンが結合してなる。
下記式(iii)
また微細繊維状セルロースのアニオン性官能基の一部がポリエーテルアミンと結合してなる場合、残りのアニオン性官能基に下記一般式(2)で示されるアミン化合物を結合してもよい。
本発明の微細繊維状セルロースは、下記工程(1)〜(4)を有する製造方法によれば、より効率的に製造できるため好ましい。
工程(1):セルロースI型結晶構造を有するセルロース繊維を水に分散させた後、そのセルロース繊維の水酸基を、カルボキシル基を有する置換基に変換する工程
工程(2):上記セルロース繊維の分散媒である水をモノマーに置換する工程
工程(3):上記分散媒置換後のセルロース繊維にポリエーテルアミン等を添加する工程
工程(4):上記ポリエーテルアミンが結合したセルロース繊維を上記モノマー中でナノ解繊する工程
工程(1)は、セルロースI型結晶構造を有するセルロースの水酸基を、酸化等によりカルボキシル基を有する置換基(カルボキシル基、カルボキシル塩基、カルボキシルアルキル基等)に変換させる工程である。
上記酸化セルロースは上記天然セルロースと、N−オキシル化合物と、共酸化剤の存在下で酸化処理をして、カルボキシ基を含有するセルロース繊維を得られる。
上記酸化処理後のセルロース繊維は、還元剤により還元させることが好ましい。これにより、アルデヒド基およびケトン基の一部ないし全部が還元され、水酸基に戻る。なお、カルボキシル基は還元されない。そして、上記還元による、上記酸化セルロースの、後述するセミカルバジド法によって算出されるカルボニル基(アルデヒド基とケトン基)の合計含量は、0.3mmol/g以下とすることが好ましく、特に好ましくは0.1mmol/g以下である。これにより、微細繊維状セルロースの分子量低下が抑制され、溶剤中での増粘効果を長期間維持することができる。なお、カルボニル基が0.5mmol/gを超えると、長期保存による凝集物の発生や、粘度が時間経過と共に著しく低下するといったおそれがある。なお、上記還元反応に使用する還元剤としては、一般的なものを使用することが可能であるが、好ましくは、LiBH4、NaBH3CN、NaBH4があげられる。なかでも、NaBH4は、コスト及び利用可能性という観点から特に好ましい。
工程(2)は、上記処理後のセルロース繊維を酸で洗浄することで、上記工程(1)で導入したカルボキシル基を酸型にし、適宜、ろ過と水洗とを繰り返して精製し、遠心分離機等により固液分離を行った後、モノマーによるセルロースの洗浄を、繰り返し行い、水からモノマーへと置換を行う工程である。
上記酸は、セルロース繊維水分散液を酸性に維持できればよいため、酸の種類は特に限定されず、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、過酸化水素などの無機酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、アジピン酸、セバシン酸、セバシン酸ソーダ、ステアリン酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、フマール酸、グルコン酸などの有機酸のいずれであっても用いることができる。酸によるセルロース繊維の変質や損傷を回避でき、廃液処理の容易さなどの観点から、塩酸を用いることが好ましい。
工程(3)は、上記分散媒置換後の酸化セルロースに対し、上記式(1)に示されるポリエーテルアミンおよび必要に応じて上記式(2)で示されるアミン化合物を添加する工程である。これにより、上記セルロースのカルボキシル基に、上記式(1)に示されるポリエーテルアミン等が結合し、セルロースの親油化が行われる。なお、上記反応は、上記モノマー中で行われる。
工程(4)は、上記親油化後のセルロース繊維を有機溶剤中でナノ解繊する工程である。上記ナノ解繊に使用する分散機としては、例えば、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散処理、ビーター、ディスク型レファイナー、コニカル型レファイナー、ダブルディスク型レファイナー、グラインダー等の強力で叩解能力のある装置を使用することで、より微細化することが可能となり、より効率的かつ高度なダウンサイジングが可能となる。なお、上記分散機としては、例えば、スクリュー型ミキサー、パドルミキサー、ディスパー型ミキサー、タービン型ミキサー等を用いても差し支えない。なお、本工程においては必要に応じて後述する有機溶媒を配合しても良い。
本発明に好適に使用できるモノマーとしては、特に限定はされないが、アクリル酸系モノマー、メタクリル酸系モノマー、エポキシ系モノマー等が挙げられ、これらの内、微細繊維状セルロースとモノマーの相溶性の点からアクリル酸系モノマー、メタクリル酸系モノマーが好ましい。
針葉樹パルプ2gに、水150ml、臭化ナトリウム0.25g、TEMPO0.025gを加え、充分撹拌して分散させた後、13%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が5.2mmol/gとなるように加え、反応を開始した。反応の進行に伴いpHが低下するため、pHを10〜11に保持するように0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、pHの変化が見られなくなるまで反応した(反応時間:120分)。反応終了後、0.1N塩酸を添加して中和した後、遠心分離機で固液分離し、純水を加えて固形分濃度4%に調整した。その後、24%NaOH水溶液にてスラリーのpHを10に調整した。スラリーの温度を30℃として水素化ホウ素ナトリウムをセルロース繊維に対して0.2mmol/g加え、2時間反応させることで還元処理した。反応後、0.1N塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、セルロース繊維A1を得た。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液の添加量を、上記パルプ1.0gに対して12.0mmol/gとした以外は、セルロース繊維A1の調製法に準じて、セルロース繊維A2を得た。
針葉樹パルプ100gを、イソプロパノール(IPA) 435gと水65gとNaOH9.9gの混合液中にいれ、30℃で1時間撹拌した。このスラリー系に50%モノクロル酢酸のIPA 溶液23.0gを加え、70℃に昇温し1.5時間反応させた。得られた反応物を80%メタノールで洗浄し、その後メタノールで置換し乾燥させ、セルロース繊維A3を得た。
尿素 20g、リン酸二水素ナトリウム二水和物 12g、リン酸水素二ナトリウム 8gを20gの水に溶解させてリン酸化剤を調整し、家庭用ミキサーで粉砕した針葉樹パルプ(LBKP)20gをニーダーで攪拌しながらスプレー噴霧し、リン酸化剤含浸パルプを得た。次いで、リン酸化剤含浸パルプを140℃に加熱したダンパー付きの送風乾燥機内で60分間、加熱処理してリン酸化パルプを得た。得られたリン酸化パルプに水を加えて固形分濃度2%とし、攪拌、混合して均一に分散させた後、濾過、脱水の操作を2回繰り返した。次いで、得られた回収パルプに、水を加えて、固形分濃度2%とし、攪拌しながら、1N水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加し、pH12〜13のパルプスラリーを得た。続いて、このパルプスラリーを濾過、脱水し、更に水を加えて濾過、脱水の操作を2回繰り返し、その後メタノールで置換し乾燥させ、セルロース繊維A4を得た。
針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)50gを水4950gに分散させ、パルプ濃度2%の分散液を調製した。この分散液をセレンディピターMKCA6−3(増幸産業社製)で30回処理し、セルロース繊維A’1を得た。
原料の針葉樹パルプに替えて再生セルロースを使用するとともに、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の添加量を、再生セルロース1.0gに対して27.0mmol/gとした以外は、セルロース繊維A1の調製法に準じて、セルロース繊維A’2を調製した。
上記セルロース繊維を用いて、下記評価方法に従い、各特性の評価を行った。
X線回折装置(リガク社製、RINT−Ultima3)を用いて、セルロース繊維の回折プロファイルを測定し、2シータ=14〜17°付近と、2シータ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークが見られる場合は結晶構造(I型結晶構造)が「あり」と評価し、ピークが見られない場合は「なし」と評価した。
上記セルロース繊維0.25gを水に分散させたセルロース水分散体60mlを調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行った。測定はpHが11になるまで続けた。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において、消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記式に従いカルボキシル基量を求めた。
上記セルロース繊維を0.6質量%スラリーに調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.4とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量からカルボキシル基量を測定し、下式を用いて算出することが出来る。
上記セルロース繊維をイオン交換水で固形分濃度0.2質量%となるように希釈した後、イオン交換樹脂による処理、アルカリを用いた滴定によって測定した。イオン交換樹脂による処理では、0.2質量%微細セルロース繊維含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った。その後、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂とスラリーを分離した。アルカリを用いた滴定では、イオン交換後の微細セルロース繊維水分散体に、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えながら、水分散体が示す電気伝導度の値の変化を計測した。すなわち、電気伝導度の値が最も小さくなるまでに加えたアルカリ量[mmol]mmolを、滴定対象スラリー中の固形分[g]で除して、リン酸基量[mmol/g]とした。
上記セルロース繊維を約0.2g精秤し、これに、リン酸緩衝液によりpH=5に調整したセミカルバジド塩酸塩3g/l水溶液を正確に50ml加え、密栓し、二日間振とうした。つぎに、この溶液10mlを正確に100mlビーカーに採取し、5N硫酸25ml、0.05Nヨウ素酸カリウム水溶液5mlを加え、10分間撹拌した。その後、5%ヨウ化カリウム水溶液10mlを加え、直ちに自動滴定装置を用いて、0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液にて滴定し、その滴定量等から、下記式に従い、試料中のカルボニル基量(アルデヒド基とケトン基との合計含量)を求めた。
上記セルロース繊維A1にメタノールを加えてろ過し、メタノール洗浄を繰り返して、上記セルロース繊維に含まれる水をメタノールに置換した。その次に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、以下DPHAと略す)を加えてろ過し、DPHA洗浄を繰り返して、上記セルロース繊維に含まれるメタノールをDPHAに置換した。その後、DPHAと、上記セルロース繊維A1のカルボキシル基量と等量のポリエーテルアミン(JEFFAMINE M−2070、HUNTSMAN社製)とを加えて、セルロース繊維濃度を0.5%になるように希釈し、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバースト)を用いて圧力100MPaで1回処理し、コーティング剤を得た。上記コーティング剤に開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを添加(モノマー重量に対して3%重量)し、上記開始剤が溶解したことを確認した後、バーコーターを用いてコロナ処理したPETフィルム上に塗布した。その後、放射照度を約200mW/cm2とし、1分間紫外線を照射することで複合フィルムを作製した。
上記コーティング剤と上記複合フィルムを用いて、下記評価方法に従い、各特性の評価を行った。
上記コーティング剤のセルロース繊維の数平均繊維径、および繊維長を、透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子社製JEM−1400)を用いて観察した。すなわち、各セルロース繊維を親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、数平均繊維径、および繊維長を算出した。さらに、これらの値を用いてアスペクト比を下記式に従い、算出した。
上記複合フィルムを用いて、ヘーズメーター(日本電色工業社製、NDH 4000)でヘーズ値を測定した。ヘーズ値の大きさにより、透明性を以下のように評価した。
◎:ヘーズ値が0以上0.25未満
○:0.25以上0.5未満
△:0.5以上1未満
×:1以上
上記複合フィルムの熱膨張係数を熱機械的分析装置(リガク社製、TMA8311)の引張モードを用いて測定した。0℃から300℃まで昇温速度5℃/分、荷重7mN、窒素雰囲気下で昇温し、20℃から200℃までのサンプル伸びから線熱膨張係数[ppm/K]を算出した。
上記複合フィルムを正方形(縦6cm×横6cm)に切り抜き、20℃で24時間保存した後、高さが一番低い1点を押さえ、他3点の高さの平均値ΔH(mm)を算出した。高さの平均値ΔHにより、寸法安定性を以下のように評価した。
◎:ΔHが0以上5未満
○:5以上10未満
△:10以上15未満
×:15以上
上記複合フィルムの押し込み弾性率を、超微小押し込み硬さ試験機(エリオ二クス社製、ENT−1100a)を用いて測定した。上記複合フィルムに超微小荷重(試験荷重0.3mN、測定温度26℃)をかけ、押し込み弾性率を算出した。
上記複合フィルムを用いて、デジタル超高抵抗/微小電流計(ADVANTEST社製、R8340)で表面固有抵抗値[Ω]を測定した。表面固有抵抗値の大きさにより、帯電防止性を以下のように評価した。
◎:表面固有抵抗値が1.0×1011未満
○:1.0×1011以上1.0×1013未満
△:1.0×1013以上1.0×1015未満
×:1.0×1015以上
粘弾性測定装置(エスアイアイナノテクノロジー社製、EXSTAR TMA6100)の引張モードを用いて、温度範囲:−20〜300℃、昇温速度:2℃/分、窒素雰囲気下で樹脂組成物の粘弾性を測定した。この測定により、各温度における貯蔵弾性率の値が測定される。20℃での貯蔵弾性率をA、200℃での貯蔵弾性率をBとしたとき、耐熱性は以下の式で定義した。
○:0.5以上
△:0.2以上0.5未満
×:0.2未満
セルロース繊維種類と、モノマーであるDPHAと、修飾剤であるポリエーテルアミン(HUNTSMAN社製、JEFFAMINE M−2070)と、コーティング剤中のセルロース繊維濃度を、下記の表2のように変更した。それ以外は実施例1と同様の手法でおよびコーティング剤、および複合フィルムを調製し、各特性の評価を行った。
セルロース繊維A3に水を加え、固形分1%に希釈し、T.K.ホモミクサー(PRIMIX社製)を用いて8000rpm×10分間撹拌しながら、溶液のpHが2になるまで1N塩酸を加えた。その後、濾過を行い、水で十分洗浄し、さらにメタノールで繰り返して洗浄することで、メタノールに溶剤置換した。その次に、DPHAを加えてろ過し、DPHA洗浄を繰り返して、上記セルロース繊維に含まれるメタノールをDPHAに置換した酸型セルロース繊維A3を作製した。上記酸型セルロース繊維A3にDPHAと、上記酸型セルロース繊維A3のカルボキシル基量と等量のポリエーテルアミン(JEFFAMINE M−2070、HUNTSMAN社製)とを加えて、セルロース繊維濃度を0.5%になるように希釈し、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバースト)を用いて圧力100MPaで1回処理し、コーティング剤を得た。上記コーティング剤に開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを添加(モノマー重量に対して3%重量)し、上記開始剤が溶解したことを確認した後、バーコーターを用いてコロナ処理したPETフィルム上に塗布した。その後、放射照度を約200mW/cm2とし、1分間紫外線を照射することで複合フィルムを作製した。上記コーティング剤、および複合フィルムを用いて、実施例1と同様の評価方法で、各特性の評価を行った。
セルロース繊維A4に水を加え、固形分1%に希釈し、T.K.ホモミクサー(PRIMIX社製)を用いて8000rpm×10分間撹拌しながら、溶液のpHが2になるまで1N塩酸を加えた。その後、濾過を行い、水で十分洗浄し、さらにメタノールで繰り返して洗浄することで、メタノールに溶剤置換した。その次に、DPHAを加えてろ過し、DPHA洗浄を繰り返して、上記セルロース繊維に含まれるメタノールをDPHAに置換した酸型セルロース繊維A4を作製した。上記酸型セルロース繊維A4にDPHAと、上記セルロース繊維A4のリン酸基量と等量のポリエーテルアミン(HUNTSMAN社製、JEFFAMINE M−2070)とを加えて、2%に希釈し、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバースト)を用いて圧力100MPaで1回処理し、コーティング剤を得た。上記コーティング剤に開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを添加(モノマー重量に対して3%重量)し、上記開始剤が溶解したことを確認した後、バーコーターを用いてコロナ処理したPETフィルム上に塗布した。その後、放射照度を約200mW/cm2とし、1分間紫外線を照射することで複合フィルムを作製した。上記コーティング剤、および複合フィルムを用いて、実施例1と同様の評価方法で、各特性の評価を行った。
セルロース繊維A1をセルロース繊維A2に、修飾剤であるポリエーテルアミン(HUNTSMAN社製、JEFFAMINE M−2070)を下記表2記載のポリエーテルアミン(HUNTSMAN社製、JEFFAMINE M−2070)/脂肪族アミンの混合溶液(モル比で50/50)に変更した以外は、実施例1と同様の手法でコーティング剤、および複合フィルムを調製し、各特性の評価を行った。
セルロース繊維A1をセルロース繊維A2に、修飾剤であるポリエーテルアミン(HUNTSMAN社製、JEFFAMINE M−2070)を下記表2記載のポリエーテルアミン(HUNTSMAN社製、JEFFAMINE M−2070)/脂肪族アミンの混合溶液(モル比75/25)に変更した以外は、実施例1と同様の手法でコーティング剤、および複合フィルムを調製し、各特性の評価を行った。
セルロース繊維A1をセルロース繊維A2に、修飾剤であるポリエーテルアミン(HUNTSMAN社製、JEFFAMINE M−2070)を下記表2記載のポリエーテルアミン(HUNTSMAN社製、JEFFAMINE M−2070)/脂肪族アミンの混合溶液(モル比25/75)に変更した以外は、実施例1と同様の手法でコーティング剤、および複合フィルムを調製し、各特性の評価を行った。
上記セルロース繊維A2に水と水酸化ナトリウムとを加えて、セルロース繊維濃度を0.5%になるように希釈し、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバースト)を用いて圧力100MPaで1回処理した。その後、T.K.ホモミクサー(PRIMIX社製)を用いて8000rpm×10分間撹拌しながら、水溶液のpHが2になるまで1N塩酸を加えた。その後、濾過を行い、水で十分洗浄し、さらにメタノールで繰り返して洗浄することで、メタノールに溶剤置換した。その次に、DPHAを加えてろ過し、DPHA洗浄を繰り返して、上記セルロース繊維に含まれるメタノールをDPHAに置換した酸型セルロース繊維A2を作製した。上記酸型セルロース繊維A2にDPHAと、上記酸型セルロース繊維A2のカルボキシル基量と等量のデシルアミンとを加えて、セルロース繊維報土を0.5%になるように希釈し、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバースト)を用いて圧力100MPaで1回処理し、コーティング剤を得た。上記コーティング剤に開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを添加(モノマー重量に対して3%重量)し、上記開始剤がモノマーに溶解したことを確認した後、バーコーターを用いてコロナ処理したPETフィルム上に塗布した。その後、UV硬化することで複合フィルムを作製した。上記コーティング剤、および複合フィルムを用いて、実施例1と同様の評価方法で、各特性の評価を行った。
セルロース繊維A3にメタノールを加え、ろ過し、メタノールで繰り返して洗浄することでセルロース繊維に含まれる水をメタノールに溶剤置換した。その次に、DPHAを加えてろ過し、DPHA洗浄を繰り返して、上記セルロース繊維に含まれるメタノールをDPHAに置換した。その後、さらにDPHAを加えて0.5%に希釈して、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバースト)を用いて圧力100MPaで1回処理し、コーティング剤を得た。
セルロース繊維A′1にメタノールを加え、ろ過し、メタノールで繰り返して洗浄することでセルロース繊維に含まれる水をメタノールに溶剤置換した。その次に、DPHAを加えてろ過し、DPHA洗浄を繰り返して、上記セルロース繊維に含まれるメタノールをDPHAに置換した。その後、さらにDPHAを加えてセルロース繊維濃度が0.5%になるように希釈し、コーティング剤を得た。
セルロース繊維A′2に水を加えて希釈し、凍結乾燥機(東京理化機器社製、FDU−2100)を用いて凍結乾燥を行い、乾燥物を得た。上記乾燥物にDPHAと、上記セルロース繊維A′2のカルボキシル基量と等量のポリエーテルアミン(HUNTSMAN社製、JEFFAMINE M−2070)とを加えて0.5%に希釈し、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバースト)を用いて圧力100MPaで1回処理し、コーティング剤を得た。
表2に示すモノマーに開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを添加(モノマー重量に対して3%重量)し、上記開始剤がモノマーに溶解したことを確認した後、バーコーターを用いてコロナ処理したPETフィルム上に塗布した。その後、UV硬化することでフィルムを作製した。上記フィルムを用いて、実施例1と同様の評価方法で、各特性の評価を行った。
※2 HUNTSMAN社製、JEFFAMINE M−2095
※3 第一工業製薬社製、ニューフロンティア PET−03
※4 第一工業製薬社製、ニューフロンティア TMPT
※5 第一工業製薬社製、ニューフロンティア L−C9A
※6 第一工業製薬社製、ニューフロンティア TMPTM
※7 ダイセル社製、セロキサイド2021P
※8 共栄社化学社製、エポライト1600
※9 数平均繊維径が1nm以下であるため測定不可。
※10 モノマー中で微細繊維状セルロースが凝集し、複合フィルムを作製できなかったため測定不可。
Claims (5)
- 下記条件(A)〜(F)を満たす微細繊維状セルロースとモノマーを含有するコーティング剤。
(A)数平均繊維径が2nm以上500nm以下
(B)平均アスペクト比が10以上1000以下
(C)セルロースI型結晶構造を有する
(D)アニオン性官能基を有する
(E)上記(D)に記載のアニオン性官能基の一部に下記式(1)で示すポリエーテルアミンが結合している
(F)上記(D)に記載のアニオン性官能基の一部、または全てに下記一般式(1)で示すポリエーテルアミンと下記一般式(2)で示すアミン化合物が結合している
- 上記微細繊維状セルロースのアニオン性官能基がカルボキシル基であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング剤。
- 上記モノマーがアクリル酸系モノマーおよび/またはメタクリル酸系モノマーであることを特徴とする請求項1または2に記載のコーティング剤。
- 上記アクリル酸系モノマーおよび/またはメタクリル酸系モノマーが3官能以上であることを特徴とする請求項3に記載のコーティング剤。
- 上記微細繊維状セルロースの固形分含有量が、コーティング剤の重量全体の0.1質量%以上3質量%以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコーティング剤。
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