JP6721883B2 - 強化繊維及び樹脂を含む複合材料からなる中間基材及び成形体並びに当該成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明の第1実施形態に係る中間基材(以降、「第1基材」と称呼される場合がある。)について説明する。
第1基材は、熱硬化性樹脂のプレポリマーである第1母材とナノセルロース(NCe)及びナノカーボン(NC)からなる複合体とを含む第1材料からなる第1部分と、熱可塑性樹脂である第2母材と強化繊維とを含む第2材料からなる第2部分と、を含む中間基材である。
上記のように、第1基材は、熱硬化性樹脂のプレポリマーである第1母材とナノセルロース(NCe)及びナノカーボン(NC)からなる複合体とを含む第1材料からなる第1部分と、熱可塑性樹脂である第2母材と強化繊維とを含む第2材料からなる第2部分と、を含む。例えば、図9の(a)は、図4に示したシート状の第1部分110と図6に示したシート状の第2部分120との積層体として構成された第1基材100の構成を示す模式図である。また、図9の(b)は、一対の図6に示したシート状の第2部分120によって図4に示したシート状の第1部分110が挟まれているサンドイッチ状の積層体として構成された第1基材100の構成を示す模式図である。更に、図9の(c)は、第2母材とは異なる熱可塑性樹脂である第3母材と強化繊維とを含む第3材料からなる第3部分130と図6に示したシート状の第2部分120とによって図4に示したシート状の第1部分110が挟まれているサンドイッチ状の積層体として構成された第1基材100の構成を示す模式図である。第1基材の構成は上記に限定されず、上述した構成を更に組み合わせてもよい。
以下、本発明の第2実施形態に係る中間基材(以降、「第2基材」と称呼される場合がある。)について説明する。
そこで、第2基材は、上述した第1基材であって、前記ナノセルロース(NCe)は官能基によって修飾されている、中間基材である。
ナノセルロース(NCe)は分子構造中にヒドロキシル基(OH基)を有するので、例えばカルボニル基及びヒドロキシル基等の極性の高い官能基を分子構造中に有する母材に対しては比較的良好な親和性を呈する。しかしながら、上述したように、多種多様な材料が第1母材、第2母材及び強化繊維として採用され得る。そこで、これらの材料に対する高い親和性を有する官能基によってNCeを修飾することにより、これらの材料とNCeとの密着性を高めることができる。その結果、上記複合体を介して、これらの材料同士の良好な密着性が達成される。
以下、本発明の第3実施形態に係る中間基材(以降、「第3基材」と称呼される場合がある。)について説明する。
第3基材は、上述した第1基材又は第2基材であって、前記ナノセルロース(NCe)はセルロースナノファイバ(CeNF)であり、前記ナノカーボン(NC)はカーボンナノチューブ(CNT)であり、前記複合体は、前記セルロースナノファイバ(CeNF)が前記カーボンナノチューブ(CNT)の表面に絡み付いた錯綜体である、中間基材である。
上記のようにCeNFが絡み付いてCNTの表面を覆うことにより、CNT同士の凝集の原因である分子間力が低減され、第1部分におけるCNTの分散性が高まり、その結果として第3基材から製造される成形体におけるCNTの分散性が高まる。これにより、上述したように複合体を介して第1母材、第2母材及び強化繊維の間の密着性を高める効果を良好に発揮することができる。
以下、本発明の第4実施形態に係る中間基材(以降、「第4基材」と称呼される場合がある。)について説明する。上述したように、本発明基材の第2部分を構成する強化繊維は、例えば、本発明基材から製造される成形体の用途及び製造条件等に応じて、繊維強化樹脂複合材料における強化繊維として使用される種々の強化繊維から適宜選択することができる。このような強化繊維の中でも、炭素繊維(CF)、ガラス繊維(GF)、及び用途に照らして十分な強度を有する樹脂繊維(RF)が特に好ましい。
そこで、第4基材は、上述した第1基材乃至第3基材の何れかに該当する中間基材であって、前記強化繊維は、炭素繊維(CF)、ガラス繊維(GF)、並びにポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、及びポリアミドイミド繊維を含む樹脂繊維(RF)からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維である、中間基材である。
第4基材の第2部分に含まれる強化繊維は、上述したように、当該技術分野において強化繊維として広く使用されているものの中から適宜選択することができる。従って、例えば第4基材から製造される成形体の用途等に応じて、好適な太さ、長さ、及び強度等を有する強化繊維を適宜選択することができる。即ち、コストの過剰な増大を招くこと無く、第4基材から製造される成形体の特性(例えば、機械的強度等)を高い自由度にて設計することができる。
以下、本発明の第5実施形態に係る中間基材(以降、「第5基材」と称呼される場合がある。)について説明する。上述したように、本発明基材の第1部分を構成する第1母材は、例えば、本発明基材から製造される成形体の用途及び製造条件等に応じて、繊維強化樹脂複合材料における母材として使用される熱硬化性樹脂を始めとする多種多様な熱硬化性樹脂のプレポリマーの中から適宜選択することができる。また、本発明基材の第2部分を構成する第2母材もまた、例えば、第1基材から製造される成形体の用途及び製造条件等に応じて、繊維強化樹脂複合材料における母材として使用される熱可塑性樹脂を始めとする多種多様な熱可塑性樹脂の中から適宜選択することができる。
そこで、第5基材においては、第1母材及び第2母材として選択され得る種々の材料を具体的に規定する。第5基材は、上述した第1基材乃至第4基材の何れかに該当する中間基材である。
第5基材における第1母材及び第2母材は、上記のように当該技術分野において広く流通している周知の材料の中から適宜選択することができる。従って、例えば第5基材から製造される成形体の用途等に応じて、好適な性質(例えば、機械的強度、耐熱性、耐久性及び審美性等)を有する材料を適宜選択することができる。即ち、コストの過剰な増大を招くこと無く、第5基材から製造される成形体の特性(例えば、機械的強度等)を高い自由度にて設計することができる。
以下、本発明の第6実施形態に係る中間基材(以降、「第6基材」と称呼される場合がある。)について説明する。第1母材と複合体とを含む第1部分は、例えば図5を参照しながら上述したように、半硬化状態にある熱硬化性樹脂のプレポリマーである第1母材の表面が複合体によって被覆されたものであってもよい。この場合、本発明基材は第1部分と熱可塑性樹脂である第2母材及び強化繊維を含む第2材料からなる第2部分とを含むことから、ナノセルロース(NCe)及びナノカーボン(NC)からなる複合体は主として第1部分と第2部分との界面に存在することとなる。
そこで、第6基材は、上述した第1基材乃至第5基材の何れかに該当する中間基材であって、少なくとも前記第1部分と前記第2部分との界面の一部に前記複合体が配設されている、中間基材である。
上記のように第1部分と第2部分との界面に配設された複合体も、第6基材を加熱及び加圧して所望の形状を有する成形体を製造する過程において、熱硬化性樹脂のプレポリマーである第1母材が熔融状態にある第2母材(熱可塑性樹脂)中に混入するときに第1母材と共に第2母材の中に混入することができる。
以下、本発明の第7実施形態に係る中間基材(以降、「第7基材」と称呼される場合がある。)について説明する。上記のように、第6基材においてはナノセルロース(NCe)及びナノカーボン(NC)からなる複合体が少なくとも第1部分と第2部分との界面の一部に配設されている。この複合体は、第6基材を加熱及び加圧して所望の形状を有する成形体を製造する過程において、熱硬化性樹脂のプレポリマーである第1母材が熔融状態にある第2母材(熱可塑性樹脂)中に混入するときに第1母材と共に第2母材の中に混入することができる。しかしながら、上記複合体の少なくとも一部は高い粘度を有する第2母材中に直接(複合体単独で)混入することとなるため、第2母材の中に均一に分散することは困難である。
そこで、第7基材は、上述した第1基材乃至第6基材の何れかに該当する中間基材であって、前記第1部分において前記第1母材の中に前記複合体が分散されている、中間基材である。
上記のように第7基材においては第1母材の中に複合体が分散されている。このように第1母材の中に分散された複合体は、第7基材を加熱及び加圧して所望の形状を有する成形体を製造する過程において、高い粘度を有する第2母材に直接(複合体単独で)混入するのではなく、低い粘度を有する第1母材(熱硬化性樹脂のプレポリマー)と共に第2母材の中に混入する。その結果、複合体同士の凝集が低減されるので、第2母材の中に複合体を均一に分散させることが容易である。
以下、本発明の第8実施形態に係る中間基材(以降、「第8基材」と称呼される場合がある。)について説明する。前述したように、第2部分における第2母材と強化繊維との混合形態は特に限定されず、例えば図6を参照しながら上述したように、第2母材としての熱可塑性樹脂の中に強化繊維が分散されていてもよい。
そこで、第8基材は、上述した第1基材乃至第7基材の何れかに該当する中間基材であって、前記第2部分において、前記第2母材中に前記強化繊維が混入されている、中間基材である。
上記のように第8基材の第2部分においては、第2母材の中に強化繊維が混入されている。このような第2部分としては、例えば、所謂「プリプレグ」、「プリフォーム」及び「スタンパブルシート」等として流通しているものの中から適宜選択することができる。即ち、コストの過剰な増大を招くこと無く、第8基材から製造される成形体の特性(例えば、機械的強度等)を高い自由度にて設計することができる。
以下、本発明の第9実施形態に係る中間基材(以降、「第9基材」と称呼される場合がある。)について説明する。前述したように、第2部分における第2母材と強化繊維との混合形態は特に限定されず、例えば図7及び図8を参照しながら上述したように、第2母材としての熱可塑性樹脂の繊維と強化繊維とが混繊された混合繊維(例えば、コミングルヤーン)であってもよい。
そこで、第9基材は、上述した第1基材乃至第7基材の何れかに該当する中間基材であって、前記第2部分は、前記第2母材からなる繊維と前記強化繊維とからなるコミングルヤーンとして構成されている、中間基材である。
上記のように第9基材の第2部分においては、第2母材からなる繊維と強化繊維とがコミングルヤーンとして混繊されている。このような第2母材からなる繊維としては、例えば、熱可塑性樹脂繊維として流通しているものの中から適宜選択することができる。また、第2母材からなる繊維と強化繊維との混繊比率、それぞれの繊維の配向、及び織り方等を適宜調整することにより、コストの過剰な増大を招くこと無く、第9基材から製造される成形体の特性(例えば、機械的強度等)を高い自由度にて設計することができる。
以下、本発明の第10実施形態に係る中間基材(以降、「第10基材」と称呼される場合がある。)について説明する。本発明基材の形状及び大きさ、本発明基材における第1部分及び第2部分の形状、大きさ及び配置等は、本発明基材から製造される基材から製造される成形体の用途及び製造条件等に応じて適宜設計することができ、特に限定されない。例えば、本発明基材は、図9を参照しながら上述したように、シート状(層状)の第1部分及び第2部分の積層体として構成することができる。
そこで、第10基材は、上述した第1基材乃至第9基材の何れかに該当する中間基材であって、前記第1部分からなる第1層と前記第2部分からなる第2層とが隣接して積層された積層体を含む、シート状中間基材である。
上記のように、第10基材は、熱硬化性樹脂のプレポリマー及び熱可塑性樹脂を母材とするシート状の中間基材である。従って、第10基材は、例えば、所謂「プリプレグ」、「プリフォーム」、及び「スタンパブルシート」等として使用することができる。
以下、本発明の第11実施形態に係る成形体(以降、「第11成形体」と称呼される場合がある。)について説明する。本明細書の冒頭において述べたように、本発明は、強化繊維及び樹脂を含む複合材料からなる中間基材のみならず、強化繊維及び樹脂を含む複合材料からなる成形体にも関する。
第11成形体は、樹脂と、強化繊維と、ナノセルロース(NCe)及びナノカーボン(NC)からなる複合体と、を含む複合材料によって形成されており、前記樹脂は、熱硬化性樹脂である第1樹脂と熱可塑性樹脂である第2樹脂とを含む、成形体である。
上記のように、第11成形体は、樹脂と強化繊維とを含む所謂「繊維強化樹脂複合材料」によって形成された成形体であり、NCe及びNCからなる複合体を更に含む。従って、第11成形体によれば、本発明基材に関して上述したように、樹脂と強化繊維との親和性が高められ、曲げ強度及び衝撃強度等の機械的強度が効果的に向上される。
以下、本発明の第12実施形態に係る成形体(以降、「第12成形体」と称呼される場合がある。)について説明する。尚、第12成形体は、上述した第2基材に対応する。従って、第12成形体の構成及び第12成形体によって達成される効果等については、第2基材に関する説明から明らかであるので、ここでの説明は割愛し、第12成形体の構成についてのみ簡潔に述べる。
第12成形体は、上述した第11成形体であって、前記ナノセルロース(NCe)は官能基によって修飾されている、成形体である。
以下、本発明の第13実施形態に係る成形体(以降、「第13成形体」と称呼される場合がある。)について説明する。尚、第13成形体は、上述した第3基材に対応する。従って、第13成形体の構成及び第13成形体によって達成される効果等については、第3基材に関する説明から明らかであるので、ここでの説明は割愛し、第13成形体の構成についてのみ簡潔に述べる。
第13成形体は、上述した第11成形体又は第12成形体であって、前記ナノセルロース(NCe)はセルロースナノファイバ(CeNF)であり、前記ナノカーボン(NC)はカーボンナノチューブ(CNT)であり、前記複合体は、前記セルロースナノファイバ(CeNF)が前記カーボンナノチューブ(CNT)の表面に絡み付いた錯綜体である、成形体である。
以下、本発明の第14実施形態に係る成形体(以降、「第14成形体」と称呼される場合がある。)について説明する。尚、第14成形体は、上述した第4基材に対応する。従って、第14成形体の構成及び第14成形体によって達成される効果等については、第4基材に関する説明から明らかであるので、ここでの説明は割愛し、第14成形体の構成についてのみ簡潔に述べる。
第14成形体は、上述した第11成形体乃至第13成形体の何れかに該当する成形体であって、前記強化繊維は、炭素繊維(CF)、ガラス繊維(GF)、並びにポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、及びポリアミドイミド繊維を含む樹脂繊維(RF)からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維である、成形体である。
以下、本発明の第15実施形態に係る成形体(以降、「第15成形体」と称呼される場合がある。)について説明する。尚、第15成形体は、上述した第5基材に対応する。従って、第15成形体の構成及び第15成形体によって達成される効果等については、第5基材に関する説明から明らかであるので、ここでの説明は割愛し、第15成形体の構成についてのみ簡潔に述べる。但し、上述したように、以下の説明において、「第1樹脂」は本発明基材の第1部分を構成する第1母材としての熱硬化性樹脂のプレポリマーに由来し、「第2樹脂」は本発明基材の第2部分を構成する第2母材としての熱可塑性樹脂に由来する。
第15成形体は、上述した第11成形体乃至第14成形体の何れかに該当する成形体である。
以下、本発明の第16実施形態乃至第19実施形態に係る成形体(以降、「第16成形体」乃至「第19成形体」と称呼される場合がある。)について説明する。上述したように、本発明に係る成形体(本発明成形体)は、上述した第1基材乃至第10基材を始めとする本発明に係る中間基材(本発明基材)を加熱及び加圧して所望の形状を有する成形体として成形することによって製造することができる。
そこで、第16成形体は、上述した第11成形体乃至第15成形体の何れかに該当する成形体であって、前記樹脂は、前記第1樹脂と前記第2樹脂とが均質に混合されている領域を含む、成形体である。
また、第17成形体は、上述した第16成形体であって、前記樹脂は、前記第2樹脂のみからなる領域を更に含む、成形体である。
更に、第18成形体は、上述した第17成形体であって、前記樹脂は、前記第1樹脂のみからなる領域を更に含む、成形体である。
加えて、第19成形体は、上述した第11成形体乃至第15成形体の何れかに該当する成形体であって、前記樹脂の全体に亘って、前記第1樹脂と前記第2樹脂とが均質に混合されている、成形体である。
第17成形体においては、第1樹脂と混ざり合わないままで残っている第2樹脂が存在する。従って、図13の(b)に示した状態が第17成形体に該当する。
第18成形体においては、第1樹脂と混ざり合わないままで残っている第2樹脂のみならず、第2樹脂と混ざり合わないままで残っている第2樹脂までもが存在する。従って、図13の(c)に示した状態が第18成形体に該当する。
第19成形体においては、全ての第1樹脂と全ての第2樹脂とが均質に混ざり合っている。従って、図13の(a)に示した状態が第19成形体に該当する。
上記のように、同じ本発明基材から製造された本発明成形体であっても、例えば温度及び圧力等の製造条件並びに本発明基材を構成する各種材料の特性等により、第16成形体乃至第19成形体を始めとする様々な内部構造及び特性を達成することができる。従って、例えば温度及び圧力等の製造条件並びに本発明基材を構成する各種材料の特性等を調整することにより、本発明成形体の用途及び要求特性等に応じて、好適な性質(例えば、機械的強度、耐熱性、耐久性及び審美性等)を有する成形体を製造することができる。即ち、コストの過剰な増大を招くこと無く、本発明基材から製造される成形体の特性(例えば、機械的強度等)を高い自由度にて設計することができる。
以下、本発明の第20実施形態に係る成形体(以降、「第20成形体」と称呼される場合がある。)について説明する。前述したように、本発明基材を構成する第1母材、第2母材及び強化繊維として採用される材料に対する高い親和性を有する官能基によってナノセルロース(NCe)を修飾することにより、ナノセルロース(NCe)及びナノカーボン(NC)からなる複合体を介して、これらの材料の間の良好な密着性が達成される。その結果、本発明基材から製造される成形体を構成する第1樹脂、第2樹脂及び強化繊維の間の良好な密着性が達成され、当該成形体における層間剥離を抑制することができるので、当該成形体の曲げ強度及び衝撃強度等の機械的強度を向上させることができる。
そこで、第20成形体は、上述した第11成形体乃至第19成形体の何れかに該当する成形体であって、少なくとも、前記第1樹脂と前記強化繊維との界面の一部、前記第2樹脂と前記強化繊維との界面の一部、又は前記第1樹脂及び前記第2樹脂の混合物と前記強化繊維との界面の一部に前記複合体が配設されている、成形体である。
上記のように、第20成形体においては、少なくとも、第1樹脂と強化繊維との界面の一部、第2樹脂と強化繊維との界面の一部、又は第1樹脂及び第2樹脂の混合物と強化繊維との界面の一部に複合体を配設することにより、当該成形体を構成する第1樹脂、第2樹脂及び強化繊維の間の良好な密着性が達成され、当該成形体における層間剥離を抑制することができる。即ち、第20成形体によれば、当該成形体の曲げ強度及び衝撃強度等の機械的強度を向上させることができる。
本発明基材及び本発明成形体についての以上の説明においては、1層の第1部分と1層の第2部分との積層体、1層の第1部分が2層の第2部分の間に挟まれている積層体、1層の第1部分が1層の第2部分と1層の他の樹脂層(第3部分)との間に挟まれている積層体等を主に例示した。しかしながら、本発明に係る成形体(本発明成形体)の構成は上記に限定されない。
以下、本発明の第21実施形態に係る成形体の製造方法(以降、「第21方法」と称呼される場合がある。)について説明する。本明細書の冒頭において述べたように、本発明は、強化繊維及び樹脂を含む複合材料からなる中間基材及び成形体のみならず、当該成形体の製造方法にも関する。
第21方法は、上述した第11成形体乃至第20成形体の何れかを製造する製造方法であって、上述した第1基材乃至第10基材の何れかを前記第2母材の融点以上の所定の温度に加熱すること、及び前記中間基材を前記所定の温度において所定の圧力によって加圧すること、を含む、成形体の製造方法である。好ましくは、第21方法は、第1母材の硬化温度以上かつ第2母材の融点以上の所定の温度に本発明基材を加熱することを含む。
本発明基材の母材は熱硬化性樹脂のプレポリマー及び熱可塑性樹脂によって構成されている。即ち、熱硬化性樹脂のプレポリマーは本発明基材の母材の一部に過ぎないため、熱硬化性樹脂のみを母材として含む従来技術に係る複合材料からなる中間基材に比べて、より速くプレポリマーを硬化させることができる。従って、第21方法によれば、従来技術に比べて短い時間にて成形体を得ることができる。即ち、成形体の生産効率が高い。
Claims (15)
- 熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂のプレポリマーである第1母材とナノセルロース(NCe)及びナノカーボン(NC)からなる複合体とを含む第1材料からなる第1部分と、
熱可塑性樹脂としてのポリアミド樹脂である第2母材と強化繊維としての炭素繊維(CF)とを含む第2材料からなる第2部分と、
を含み、
前記ナノセルロース(NCe)はセルロースナノファイバ(CeNF)であり、
前記ナノカーボン(NC)はカーボンナノチューブ(CNT)であり、
前記複合体は、前記セルロースナノファイバ(CeNF)が前記カーボンナノチューブ(CNT)の表面に絡み付いた錯綜体であり、
前記第1部分と前記第2部分とは隣接している、
中間基材。 - 請求項1に記載された中間基材であって、
前記ナノセルロース(NCe)は官能基によって修飾されている、
中間基材。 - 請求項1又は請求項2に記載された中間基材であって、
少なくとも前記第1部分と前記第2部分との界面の一部に前記複合体が配設されている、
中間基材。 - 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載された中間基材であって、
前記第1部分において前記第1母材の中に前記複合体が分散されている、
中間基材。 - 請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載された中間基材であって、
前記第2部分において、前記第2母材中に前記強化繊維が混入されている、
中間基材。 - 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載された中間基材であって、
前記第2部分は、前記第2母材からなる繊維と前記強化繊維とからなるコミングルヤーンとして構成されている、
中間基材。 - 請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載された中間基材であって、
前記第1部分からなる第1層と前記第2部分からなる第2層とが隣接して積層された積層体を含む、
シート状中間基材。 - 請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載された中間基材を加熱及び加圧して所望の形状に成形することによって得られる成形体であって、
前記成形体は、樹脂と、強化繊維としての炭素繊維(CF)と、ナノセルロース(NCe)及びナノカーボン(NC)からなる複合体と、を含む複合材料によって形成されており、
前記樹脂は、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂である第1樹脂と熱可塑性樹脂としてのポリアミド樹脂である第2樹脂とを含み、
前記ナノセルロース(NCe)はセルロースナノファイバ(CeNF)であり、
前記ナノカーボン(NC)はカーボンナノチューブ(CNT)であり、
前記複合体は、前記セルロースナノファイバ(CeNF)が前記カーボンナノチューブ(CNT)の表面に絡み付いた錯綜体であり、
前記樹脂と前記強化繊維との界面の少なくとも一部に前記複合体が介在している、
成形体。 - 請求項8に記載された成形体であって、
前記ナノセルロース(NCe)は官能基によって修飾されている、
成形体。 - 請求項8又は請求項9に記載された成形体であって、
前記樹脂は、前記第1樹脂と前記第2樹脂とが均質に混合されている領域を含む、
成形体。 - 請求項10に記載された成形体であって、
前記樹脂は、前記第2樹脂のみからなる領域を更に含む、
成形体。 - 請求項11に記載された成形体であって、
前記樹脂は、前記第1樹脂のみからなる領域を更に含む、
成形体。 - 請求項8又は請求項9に記載された成形体であって、
前記樹脂の全体に亘って、前記第1樹脂と前記第2樹脂とが均質に混合されている、
成形体。 - 請求項8乃至請求項13の何れか1項に記載された成形体であって、
少なくとも、前記第1樹脂と前記強化繊維との界面の一部、前記第2樹脂と前記強化繊維との界面の一部、又は前記第1樹脂及び前記第2樹脂の混合物と前記強化繊維との界面の一部に前記複合体が配設されている、
成形体。 - 請求項8乃至請求項14の何れか1項に記載された成形体の製造方法であって、
請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載された中間基材を前記第2母材の融点以上の所定の温度に加熱すること、及び
前記中間基材を前記所定の温度において所定の圧力によって加圧すること、
を含む、
成形体の製造方法。
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