JP7456126B2 - プリプレグ及び繊維強化プラスチック - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたフィルム、成形品、プリプレグ及び繊維強化プラスチックに関するものであり、スポーツ・レジャー用途、一般産業用途、航空機用材料用途等に好適に使用されるものである。
繊維強化プラスチックは、軽量で、高強度、高剛性であるため、スポーツ・レジャー用途から、自動車や航空機等の産業用途まで、幅広く用いられている。繊維強化プラスチックは、強化繊維などの連続繊維からなる補強材にマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグを使用して得ることができる。また、プリプレグを複数枚積層、加熱硬化することにより、成形品を得ることが出来る。多くの分野において軽量化のニーズから、強度弾性率の観点から強化繊維として炭素繊維が、炭素繊維との接着性の観点からマトリックス樹脂としてエポキシ樹脂が多く用いられている。成形品の強度や重さに対しては、一般的に使用されるエポキシ樹脂は、硬化後の特性として脆く、靱性が低いことから、その繊維強化プラスチックの破壊靱性や剛性の改善が求められていた。
この課題に対し、特許文献1では特定のエポキシ樹脂とラジカル重合性モノマーをマトリクス樹脂に用いることによって、優れた強度、弾性率と靱性を併せ持つ樹脂硬化物を形成し、優れた機械物性をもった繊維強化プラスチックが得られることを見出している(特許文献1)。
国際公開第2018/117214号
特許文献1に開示されている技術においては、樹脂曲げ試験時の歪みが十分ではなく、また、中弾性炭素繊維との接着性が低いために、繊維強化プラスチックの90°曲げ強度が低下しやすい傾向があった。本発明は、特に管状の複合材料に適用した際に、優れた破壊強度を得ることができる硬化性樹脂組成物と、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、さらにはこのプリプレグを用いて形成された繊維強化プラスチックを提供するものである。
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、環状構造を有する(メタ)アクリレートと鎖状構造を有する(メタ)アクリレートを併用することで、硬化性樹脂組成物の剛性と歪みを高め、優れた機械物性をもった繊維強化プラスチックが得られることを見出したものである。すなわち、本発明は以下に関する。
[1]炭素繊維とマトリクス樹脂とを含むプリプレグであって、前記マトリクス樹脂が下記成分(A)、(B)、(C1)、(C2)、及び(D)を含むプリプレグ。
成分(A):軟化点80℃以上のビスフェノール型エポキシ樹脂、
成分(B):25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂、
成分(C1):環状構造を有する(メタ)アクリレート、
成分(C2):鎖状構造を有する(メタ)アクリレート
成分(D):硬化剤。
[2]前記マトリクス樹脂が、成分(E):ポリシロキサン構造を有する化合物を含む、[1]に記載のプリプレグ。
[3]前記マトリクス樹脂が、成分(H):オキサゾリドン型エポキシ樹脂を含む、[1]または[2]に記載のプリプレグ。
[4]前記成分(C1)が、ベンゼン骨格、イソシアヌル酸骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ビフェニル骨格、フェニルベンゾエート骨格、アゾベンゼン骨格、およびスチルベン骨格を含む分子構造からなる群より選ばれる少なくとも1つの部分構造を有する、[1]~[3]のいずれか1つに記載のプリプレグ。
[5]前記成分(C1)が、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、またはビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のプリプレグ。
[6]前記成分(C2)が、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートである、[1]~[5]のいずれか1つに記載のプリプレグ。
[7]前記成分(C1)及び前記成分(C2)の含有質量比率(C1/C2)が、2.0以上20以下である、[1]~[6]のいずれか1つに記載のプリプレグ。
[8]下記成分(A1)、(C1)、(C2)、及び(D)を含む、硬化性樹脂組成物。
成分(A1):エポキシ樹脂、
成分(C1):環状構造を有する(メタ)アクリレート、
成分(C2):鎖状構造を有する(メタ)アクリレート
成分(D):硬化剤。
[9]前記硬化性樹脂組成物の成分(C1)が、ベンゼン骨格、イソシアヌル酸骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ビフェニル骨格、フェニルベンゾエート骨格、アゾベンゼン骨格、およびスチルベン骨格を含む分子構造からなる群より選ばれる少なくとも1つの部分構造を有する、[8]に記載の硬化性樹脂組成物。
[10]前記成分(A1)が下記成分(A)および(B)を含む、[8]または[9]に記載の硬化性樹脂組成物。
成分(A):軟化点80℃以上のビスフェノール型エポキシ樹脂、
成分(B):25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂。
[11]前記硬化性樹脂組成物が、成分(H):オキサゾリドン型エポキシ樹脂を含む、[8]~[10]のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
[12]前記成分(D)がジシアンジアミド、ウレア類、イミダゾール類、および芳香族アミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種である成分(d1)、およびラジカル重合開始剤である成分(d2)を含む、[8]~[11]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[13]前記成分(d1)を前記硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上15質量部以下含む、[12]に記載の硬化性樹脂組成物。
[14]前記成分(d2)を前記硬化性樹脂組成物に含まれる全(メタ)アクリレート化合物類の合計100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下含む、[12]または[13]に記載の硬化性樹脂組成物。
[15]前記成分(A)を前記硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して10質量部以上80質量部以下含む、[10]に記載の硬化性樹脂組成物。
[16]前記成分(B)を前記硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して20質量部以上80質量部以下含む、[10]に記載の硬化性樹脂組成物。
[17]前記成分(C1)および(C2)を前記硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して合計で5質量部以上45質量部以下含む、[8]~[16]のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
[18]前記成分(C1)及び前記成分(C2)の含有質量比率(C1/C2)が、2.0以上20以下である、[8]~[17]のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
[19]成分(I):熱可塑性樹脂を含む、[8]~[18]のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
[20]前記成分(I)を前記硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上15質量部以下含む、[19]に記載の硬化性樹脂組成物。
[21][8]~[20]のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物から形成されるフィルム。
[22][8]~[20]のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
[23][8]~[20]のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物が強化繊維の集合体に含浸したプリプレグ。
[24][8]~[20]のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物の硬化物と強化繊維とからなる、繊維強化プラスチック。
[25]前記強化繊維が炭素繊維である、[24]に記載の繊維強化プラスチック。
[26]管状である、[24]または[25]に記載の繊維強化プラスチック。
本発明の硬化性樹脂組成物は硬化樹脂の剛性と歪みを高め、優れた機械物性をもった繊維強化プラスチックが得ることができる
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、「エポキシ樹脂」とは、1分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を意味し、「2官能以上の(メタ)アクリレート化合物類」とは、1分子内に2個以上の二重結合を有するアクリレート化合物(アクリル酸エステル)及び/又はメタクリレート化合物(メタクリル酸エステル)を意味する。また、「硬化性樹脂組成物」とは、エポキシ樹脂と、(メタ)アクリレート化合物類と、硬化剤と、硬化促進剤と、場合により熱可塑性樹脂や添加剤等とを含む樹脂組成物を意味する。本発明において、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を「樹脂硬化物」と称し、その中でも特に板状の硬化物を「樹脂板」と称することがある。なお、本発明で軟化点、エポキシ当量、活性水素当量とは、以下の条件で測定される値である。すなわち、軟化点は、JIS-K7234:2008(環球法)に準拠して測定される値である。エポキシ当量は、JIS K-7236:2001に準拠して測定される値である。活性水素当量は、JIS K-7237:1995に準拠して測定される値である。
〔硬化性樹脂組成物〕
本発明の硬化性樹脂組成物の態様の一つ(以下、「本樹脂組成物」とも記す。)は、成分(A1)、成分(C1)、成分(C2)、及び成分(D)を含む。さらに、成分(C)、成分(E)、成分(H)、成分(I)、成分(F)、成分(G)及び任意成分としての添加剤を含んでもよい。
<成分(A1)>
成分(A1)としては、エポキシ樹脂であればいずれのエポキシ樹脂でも使用可能であり、具体的にはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ヒドロフタル酸型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、ビスフェノキシエタノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスクレゾールフルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンから選ばれる1種以上のエポキシ樹脂が好ましい。成分(A1)は、後述する(A)および/または(B)を用いることが好ましい。特に、これらのエポキシ樹脂を複数組み合わせることで、優れた取り扱い性を有し、成形時の樹脂フローがより制御可能なプリプレグ、および機械特性や耐熱性に優れる炭素繊維強化複合材料を得ることができる。
<成分(A)>
成分(A)は、軟化点80℃以上のビスフェノール型エポキシ樹脂である。軟化点は、樹脂硬化物が優れた靱性を有することから、好ましくは82℃以上、より好ましくは85℃以上である。一方、樹脂硬化物の耐熱性が適正に保たれ、タックやドレープ性(型形状追従性)に優れたプリプレグを得ることができるとともに、ボイドの無い繊維強化複合材料を得ることができることから、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下である。
本樹脂組成物は、成分(A)を、本樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して10質量部以上80質量部以下含むことが好ましい。成分(A)の含有量の下限は、より好ましくは13質量部以上であり、さらに好ましくは15質量部以上である。また、成分(B)の含有量の上限は、より好ましくは60質量部以下であり、さらに好ましくは40質量部以下である。全エポキシ樹脂とは、例えば、成分(A)及び成分(B)としてのエポキシ樹脂の合計、若しくは本樹脂組成物がさらに後述する成分(F)及び/又は成分(H)を含有する場合には、成分(A)、成分(B)、成分(F)及び/又は成分(H)としてのエポキシ樹脂の合計を意味する。
本樹脂組成物中、成分(A)の含有量が下限値以上であれば、靱性に優れた樹脂硬化物を得ることができる。一方、成分(A)の含有量が上限値以下であれば、樹脂硬化物の耐熱性が適正に保たれ、タックやドレープ性(型形状追従性(しなやかさ))に優れたプリプレグを得ることができるとともに、ボイドの無い繊維強化複合材料を得ることができる。
成分(A)は、市販品を用いてもよい。市販品として入手可能な、軟化点80℃以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、これらに限定されないが、jER1055、jER1004、jER1007、jER1009(いずれも商品名、三菱ケミカル株式会社製)やEPICLON2050、EPICLON3050、EPICLON4050、EPICLON7050、EPICLON HM-091、EPICLON HM-101(いずれも商品名、DIC株式会社製)やYD-902、YD-903N、YD-904、YD-907、YD-7910、YD-6020(いずれも商品名、新日鉄住金化学株式会社製)等が挙げられる。また、市販品として入手可能な、軟化点80℃以上のビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、これらに限定されないが、jER4004P、jER4005P、jER4007P、jER4010P(いずれも商品名、三菱ケミカル株式会社製)やYDF2004、YDF-2005RD(いずれも商品名、新日鉄住金化学株式会社製)等が挙げられる。成分(A)として、これらの中から1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
<成分(B)>
成分(B)は、25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂である。成分(B)は主に、本樹脂組成物の樹脂硬化物の強度や弾性率、耐熱性の向上に寄与する。尚、ここで「液状」とは、ビスフェノール型エポキシ樹脂が流動性を示すことを示す。25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂の粘度は、25℃において500Pa・s以下であることが好ましく、300Pa・s以下であることがより好ましい。また、0.1Pa・s以上であることが好ましい。粘度をこの範囲にすると、本樹脂組成物の作業性を良好なものとすることができる。粘度の測定は、実施例に記載の方法で測定することができる。
本樹脂組成物は、成分(B)を、本樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して20質量部以上80質量部以下含むことが好ましい。成分(B)の含有量の下限は、より好ましくは25質量部以上であり、さらに好ましくは28質量部以上である。また、成分(B)の含有量の上限は、より好ましくは75質量部以下であり、さらに好ましくは70質量部以下であり、特に好ましくは50部以下である。本樹脂組成物中、成分(B)の含有量が下限値以上であれば、強度、弾性率に優れた樹脂硬化物を得ることができる。一方、成分(B)の含有量が上限値以下であれば、靱性に優れた樹脂硬化物を得ることができる。
成分(B)は、市販品を用いてもよい。市販品として入手可能な、25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(成分(B))としては、これらに限定されないが、jER827(エポキシ当量185g/eq)、jER828(エポキシ当量189g/eq)(以上、三菱ケミカル株式会社製)、YD-127(エポキシ当量185g/eq)、YD-128(エポキシ当量189g/eq)(以上、新日鉄住金化学株式会社製)、EPICLON840(エポキシ当量185g/eq)、EPICLON850(エポキシ当量189g/eq)(以上、DIC株式会社製)、D.E.R331(エポキシ当量187/eq)、D.E.R332(エポキシ当量173g/eq)(THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)等が挙げられる。市販品として入手可能な、エポキシ当量250以下のビスフェノールF型エポキシ樹脂(成分(B))としては、これらに限定されないが、jER806(エポキシ当量165g/eq)、jER807(エポキシ当量170g/eq)(以上、三菱ケミカル株式会社製)、YDF-170(エポキシ当量170g/eq)(新日鉄住金化学株式会社製)、EPICLON830(エポキシ当量170g/eq)、EPICLON835(エポキシ当量172g/eq)(以上、DIC株式会社製)、D.E.R354(エポキシ当量170g/eq)(以上、THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)等が挙げられる。これらの中から1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
<成分(C)>
成分(C)は、(メタ)アクリレート化合物類であり、強度及び靱性の観点から、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物類であることが好ましい。成分(C)として、成分(C1):環状構造を有する(メタ)アクリレートおよび成分(C2):鎖状構造を有する(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。尚、成分(C1)と成分(C2)とは異なる構造を有するものとする。環状構造を有するとは、ベンゼンやシクロヘキサンなどの環状構造を分子内に有することを指す。鎖状構造を有するとは、炭素数2以上の炭素鎖構造を分子内に有することを指す。その中でも、分岐鎖状構造を有することが好ましく、分岐鎖状構造を有するとは、炭素鎖構造のうち最も長い炭素鎖を主鎖としたとき、前記主鎖から分岐して伸長する炭素鎖を有すること指す。また、成分(C2)は、環状構造を有さない非環状構造であることが好ましい。成分(C1)は、環状構造を有し、剛直な骨格を有するため、本樹脂組成物の樹脂硬化物の弾性率の向上に寄与し、成分(C2)は柔軟な構造を有するため、本樹脂組成物の樹脂硬化物の靱性の向上に寄与する。(C1)と成分(C2)とを同時に含有することで、本樹脂組成物の弾性率と靱性とが向上するため、強度の高い樹脂硬化物を得ることができる。
成分(C1)の2官能(メタ)アクリレート化合物としては、トリシクロデカンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノキシフルオレンエタノール、ビフェノール等のジオール、またこれらジオールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはカプロラクトンを付加して得たジオール類を(メタ)アクリル酸と反応させることによりエステル化して得たジ(メタ)アクリレート類が挙げられる。
成分(C2)の2官能(メタ)アクリレート化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコ-ル、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジオキサングリコール等のジオール、またこれらジオールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはカプロラクトンを付加して得たジオール類を(メタ)アクリル酸と反応させることによりエステル化して得たジ(メタ)アクリレート類が挙げられる。
成分(C1)の3官能(メタ)アクリレート化合物としては、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のトリオールやp-アミノフェノールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはカプロラクトン等を付加して得たアルコール類を(メタ)アクリル酸と反応させることによりエステル化して得たトリ(メタ)アクリレート類が挙げられる。成分(C2)の3官能(メタ)アクリレート化合物としては、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等のトリオールやテトラオールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはカプロラクトン等を付加して得たアルコール類を(メタ)アクリル酸と反応させることによりエステル化して得たトリ(メタ)アクリレート類が挙げられる。
成分(C2)の4官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等のポリオール、またこれらポリオールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはカプロラクトンを付加して得たポリオール類を(メタ)アクリル酸と反応させることによりエステル化して得たポリ(メタ)アクリレート類が挙げられる。
また、成分(C1)としては1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4′-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、2,4-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネートおよび2,2′-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、成分(C2)としては3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートの少なくとも1種に、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ-ト、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を直接付加して得られるウレタンポリ(メタ)アクリレート類等や、フェニルベンゾエート骨格、アゾベンゼン骨格、およびスチルベン骨格を含む分子構造をもつアクリレート類等が挙げられる。
これらの中でも、成分(C1)としては、弾性率の観点から、環状構造を有する2官能以上の(メタ)アクリレートであることが好ましい。また、弾性率の観点から、ベンゼン骨格、イソシアヌル酸骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ビフェニル骨格、フェニルベンゾエート骨格、アゾベンゼン骨格、およびスチルベン骨格を含む分子構造からなる群より選ばれる少なくとも1つの部分構造を有することが好ましい。具体的には、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、またはビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物およびそれらのカプロラクトン変性物あるいはエチレンオキシド変性物が好ましい。成分(C2)としては、靭性の観点から、官能基数2以上4以下の(メタ)アクリレートであることが好ましく、具体的には、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであることが好ましい。
成分(C1)及び成分(C2)においては、炭素繊維複合材料中間材を作成する工程で揮発しないように揮発性の低いものを選ぶことが好ましい。揮発性の観点から、モノマーの分子量が200以上であることが好ましく、250以上であることがより好ましい。取り扱い性の観点から、モノマーの分子量が3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましい。それぞれ成分(C1)および成分(C2)の列記の中から1種を単独で用いてもよく、それぞれ2種以上を組み合わせて併用してもよい。
本樹脂組成物は、成分(C)を、本樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して5質量部以上45質量部以下含むことが好ましい。成分(C)の含有量の下限は、より好ましくは10質量部以上である。また、成分(C)の含有量の上限は、より好ましくは40質量部以下である。成分(C1)及び成分(C2)の合計量も成分(C)の好ましい含有量と同様である。本樹脂組成物中、成分(C)の含有量が下限値以上であれば、強度、弾性率に優れた樹脂硬化物を得ることができる傾向にある。一方、成分(C)の含有量が上限値以下であれば、寸法安定性に優れた樹脂硬化物を得ることができる傾向にある。また、成分(C1)及び成分(C2)の含有質量比率(C1/C2)は、弾性率の観点から、2.0以上が好ましく、3.0以上がより好ましい。靱性の観点から、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。
<成分(D)>
成分(D)は、硬化剤である。成分(D)として用いられる硬化剤としては特に限定されないが、成分(A)および(B)を硬化させる成分(d1)と、成分(C)を硬化させる(d2)を併用させることが好ましい。成分(d1)としては、ジシアンジアミド、ウレア類、イミダゾール類、芳香族アミン類、その他アミン系硬化剤、酸無水物、塩化ホウ素アミン錯体等を用いることができるが、特にジシアンジアミド、ウレア類、イミダゾール類、芳香族アミン類の中から選ばれる少なくとも1種の硬化剤を用いるのが好ましい。
ジシアンジアミドは融点が高く、低温領域でエポキシ樹脂との相溶性が抑えられるため、硬化剤(d1)として用いると、ポットライフが優れる硬化性樹脂組成物が得られる傾向にあるので好ましい。また、硬化性樹脂組成物が硬化剤(d1)としてジシアンジアミドを含むことで、樹脂硬化物の機械物性が向上する傾向にあり好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物中のジシアンジアミドの含有量は、この硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂が有するエポキシ基の全モル数に対し、ジシアンジアミドの活性水素のモル数が0.4~1倍となる量とするのが好ましい。0.4倍以上とすることにより、耐熱性が良好で、機械物性が良好な(すなわち強度や弾性率が高い)硬化物が得られる傾向にある。また、1倍以下とすることにより、機械物性(すなわち塑性変形能力や耐衝撃性に優れた)が良好な硬化物が得られる傾向にあるという利点を有する。さらに、このジシアンジアミドの活性水素のモル数を0.5~0.8倍とすることによって、樹脂硬化物の耐熱性がより優れる傾向にあるため、より好ましい。ジシアンジアミドの市販品としては、例えばDICY7、DICY15(以上、三菱ケミカル社製)、DICYANEX1400F(エアープロダクツ社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
成分(d1)として用いられるウレア類は、分子内にジメチルウレイド基を有し、高温で加熱することによりイソシアネート基とジメチルアミンを生成し、これらが成分(A)や成分(B)のエポキシ基や、その他併用するエポキシ樹脂を活性化するものであれば、特に制限されないが、例えばジメチルウレイド基が芳香環に結合した芳香族ジメチルウレア、ジメチルウレイド基が脂肪族化合物に結合した脂肪族ジメチルウレア等をあげることができる。これらの中でも、硬化速度が速くなり、硬化物の耐熱性および曲げ強度が高くなる傾向にある点で、芳香族ジメチルウレアが好ましい。
芳香族ジメチルウレアとしては、例えばフェニルジメチルウレア、メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、およびトリレンビス(ジメチルウレア)などが好適に用いられる。具体例としては、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)(MBPDMU)、3-フェニル-1,1-ジメチルウレア(PDMU)、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU)、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチルウレア、2,4-ビス(3,3-ジメチルウレイド)トルエン(TBDMU)、m-キシリレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレアなどが挙げられる。これらの中でも、硬化促進能力や樹脂硬化物への耐熱性付与といった点から、DCMU、MBPDMU、TBDMU、PDMUがより好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪族ジメチルウレアとしては、例えばイソホロンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア、ヘキサメチレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレアなどが挙げられる。また、ウレア類は市販品を用いてもよい。DCMUの市販品としては、例えばDCMU-99(以上、保土谷化学工業社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。MBPDMUの市販品としては、例えばTechnicure MDU-11(以上、A&C Catalysts社製);Omicure(オミキュア)52(以上、蝶理GLEX株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
PDMUの市販品としては、例えばOmicure(オミキュア)94(以上、蝶理GLEX株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。TBDMUの市販品としては、例えばOmicure(オミキュア)24(以上、蝶理GLEX株式会社製)、U-CAT 3512T(サンアプロ株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。脂肪族ジメチルウレアの市販品としては、例えばU-CAT 3513N(サンアプロ株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ウレア類の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対し、1質量部以上15質量部以下が好ましく、2質量部以上10質量部以下がより好ましい。ウレア類の含有量が1質量部以上であれば、エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂を十分に硬化、硬化促進し、機械物性や耐熱性を高くすることができる傾向にある。一方、ウレア類の含有量が15質量部以下であれば、樹脂硬化物の靱性を高く保持できる傾向にある。
成分(d1)として用いられるイミダゾール類はイミダゾールであっても良く、イミダゾールアダクト、包接イミダゾール、マイクロカプセル型イミダゾール、安定化剤を配位させたイミダゾール化合物等を用いることもできる。これらは、その構造の中に非共有電子対を有する窒素原子を有し、これが成分(A)や成分(B)のエポキシ基を活性化させたり、さらにその他併用するエポキシ樹脂をも活性化させたりすることができ、硬化を促進することができる。イミダゾールの具体例としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-エチル-4-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、1-シアノエチル-2-フェニル-4,5-ジ(2-シアノエトキシ)メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アダクト処理、異分子による包接処理、マイクロカプセル処理、あるいは安定化剤を配位させたイミダゾールは、前記のイミダゾールを修飾したものである。これらはイミダゾールにアダクト処理、異分子による包接処理、マイクロカプセル処理により、あるいは安定化剤を配位させることで活性を落とすことにより、低温領域で優れたポットライフを発現しつつも硬化や硬化促進能力が高い。
また、イミダゾール類としては市販品を用いてもよい。イミダゾールの市販品としては2E4MZ、2P4MZ、2PZ-CN、C11Z-CNS、C11Z-A、2MZA-PW、2MA-OK、2P4MHZ-PW、2PHZ-PW(以上、四国化成工業社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。イミダゾールアダクトの市販品としては、例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基へイミダゾール化合物が開環付加した構造を有する、PN-50、PN-50J、PN-40、PN-40J、PN-31、PN-23、PN-H(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。包摂イミダゾールの市販品としては、例えばTIC-188、KM-188、HIPA-2P4MHZ、NIPA-2P4MHZ、TEP-2E4MZ、HIPA-2E4MZ、NIPA-2E4MZ(以上、日本曹達株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。マイクロカプセル型イミダゾールの市販品としては、例えばノバキュアHX3721、HX3722、HX3742、HX3748(以上、旭化成株式会社製);LC-80(以上、A&C Catalysts社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、安定化剤を配位させたイミダゾール化合物は、例えば四国化成工業株式会社製のイミダゾールアダクトであるキュアダクトP-0505(ビスフェノールAジグリシジルエーテル/2-エチル-4-メチルイミダゾールアダクト)に、四国化成工業株式会社製の安定化剤であるL-07N(エポキシ-フェノール-ホウ酸エステル配合物)を組み合わせることにより用意できる。前記キュアダクトP-0505の替わりに、先にあげた各種イミダゾールやイミダゾールアダクトなどのイミダゾール化合物を用いても同様の効果が得られる。安定化剤を配位させる前のイミダゾール化合物としてはエポキシ樹脂に対する溶解性が低いものが好適に用いられ、この点からキュアダクトP-0505が好ましい。
イミダゾール類の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対し、1質量部以上15質量部以下が好ましく、2質量部以上10質量部以下がより好ましい。イミダゾール類の含有量が1質量部以上であれば、エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂の硬化や硬化促進作用、耐熱性が充分に得られる傾向にある。一方、イミダゾール類の含有量が15質量部以下であれば、機械的特性により優れた樹脂硬化物が得られる傾向にある。
成分(d1)として用いられる芳香族アミン類としては、例えば、3,3’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジイソプロピル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジイソプロピル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトライソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラ-t-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、耐熱性、弾性率に優れ、さらに線膨張係数および吸湿による耐熱性の低下が小さい硬化物が得られる4,4’-ジアミノジフェニルスルホンおよび3,3’-ジアミノジフェニルスルホンを用いることが好ましい。4,4’-ジアミノジフェニルスルホンはプリプレグのタックライフを長い期間保持することができる点でも好ましい。3,3’-ジアミノジフェニルスルホンはプリプレグのタックライフや硬化物の耐熱性では4,4’-ジアミノジフェニルスルホンに劣ることがあるものの、硬化物の弾性率や靱性を高くすることができるため好ましい。また、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホンを同時に配合すれば、硬化物の耐熱性、弾性率を調整しやすいため好ましい。これら芳香族アミン類は単独で用いてもよいし、適宜配合して用いてもよい。芳香族アミン類の配合量は、特にジアミノジフェニルスルホンにおいては、アミノ基の活性水素当量数は、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂のエポキシ当量数の0.5~1.5倍であることが好ましく、0.6~1.4倍であることがより好ましい。これらのエポキシ樹脂硬化剤の配合量を0.5~1.5倍とすることで、樹脂硬化物の弾性率、靭性および耐熱性を良好な範囲にすることができる傾向にある。
また、芳香族アミン類は市販品を用いてもよい。4,4’-ジアミノジフェニルスルホンの市販品としてはセイカキュアS(活性水素当量62g/eq、和歌山精化工業(株)製)、スミキュアS(活性水素当量62g/eq、住友化学(株)製)等が、3,3’-ジアミノジフェニルスルホンの市販品としては3,3’-DAS(活性水素当量62g/eq、三井化学ファイン(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されない。その他、芳香族アミン類の市販品としては、MDA-220(活性水素当量50g/eq、三井化学(株)製)、“jERキュア(登録商標)”W(活性水素当量45g/eq、ジャパンエポキシレジン(株)製)、Lonzacure(登録商標)M-DEA(活性水素当量78g/eq)、“Lonzacure(登録商標)”M-DIPA(活性水素当量92g/eq)、“Lonzacure(登録商標)”M-MIPA(活性水素当量78g/eq)及び“Lonzacure(登録商標)”DETDA 80(活性水素当量45g/eq)(以上、Lonza(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
成分(d1)として用いることのできるその他アミン系硬化剤としては、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、メタキシレンジアミン、イソフォロンジアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。また、成分(d1)として用いることのできる酸無水物としては、水素化メチルナジック酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。
成分(d2)として用いることのできるラジカル重合開始剤としては、アゾ系化合物類、パーオキサイド系化合物類、光ラジカル重合開始剤等を用いることができるが、特にパーオキサイド系化合物類の中から選ばれる少なくとも1種の硬化剤を用いるのが好ましい。
アゾ系化合物類としては、例えば2,2-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、ジメチル1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレート)等が挙げられる。
パーオキサイド系化合物類としては、例えばメチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n-ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、t-ブチルハイドロパーオキサイド、P-メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α、α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、桂皮酸パーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-3-メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、α、α’-ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1-シクロヘキシル-1-メチ-ルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルへキサノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシマレイックアシッド、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシ-m-トルオイルベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t-ブチルパーオキシ)イソフタレート、t-ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4-フェニルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)ベンジル]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、t-ブチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2-メチル-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルホリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
上記化合物は、成分(d2)として一種単独で、または二種以上を併用して用いることができるが、プリプレグの保存安定性の面で、10時間半減期温度が100℃以上であるものが好適に用いられる。また、成分(d2)の使用量は、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂と全(メタ)アクリレート化合物類の合計100質量部に対し、0.1~5質量部が好ましく、0.2~3質量部がより好ましい。成分(d2)の含有量が0.1質量部以上であれば、硬化性樹脂組成物中に含まれる(メタ)アクリレート化合物類の硬化が充分に出来る傾向にある。一方、成分(d2)の含有量が5質量部以下であれば、保存安定性に優れた樹脂組成物が得られる傾向にある。尚、全(メタ)アクリレート化合物類とは、成分(C)としての(メタ)アクリレート化合物類、若しくは本発明の硬化性樹脂組成物がさらに後述する成分(G)を含有する場合には、成分(C)および成分(G)としての(メタ)アクリレート化合物類の合計を意味する。
<成分(E)>
成分(E)は、ポリシロキサン構造を有する化合物である。ポリシロキサンとは、ケイ素原子と酸素原子の結合であるシロキサン結合の繰り返し単位を有することを指す。成分(A1)エポキシ樹脂と成分(C)(メタ)アクリレート化合物類とを含むマトリックス樹脂に成分(E)を添加することで、樹脂フィルムに樹脂欠けや樹脂取られなく、含浸斑のないプリプレグが得られる。ポリシロキサン構造を有する化合物を含有する表面調整剤を使用してもよい。表面調整剤とは、表面張力、相溶性や極性などを調整する添加剤である。表面調整剤は、ポリシロキサン構造を有する化合物以外の化合物を含んでいてもよく、その他の成分としては溶剤や希釈剤があげられ、具体的には、溶剤としてはトルエン、キシレン、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、モノフェニルグリコール、ホワイトスピリット、メトキシプロピルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチロラクトン、メタキシレンヘキサフロライドなどを用いることができ、希釈剤としてはアルキルモノグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジル-o-トルイジンなどを用いることができる。
本樹脂組成物は、前記硬化性樹脂組成物の成分(E)以外の全成分100質量部に対して、前記成分(E)の含有量は、樹脂欠けや樹脂取られがない樹脂フィルムを得ることができ、含浸斑のないプリプレグを得ることができることから、0.05質量部以上であることが好ましく、0.07質量部以上であることがより好ましく、0.08質量部以上であることがさらに好ましい。樹脂硬化物の曲げ試験において弾性率と伸度が適正に保つことができることから、0.5質量部以下であることが好ましく、0.4質量部以下であることがより好ましく0.2質量部以下であることがさらに好ましい。また、成分(C)100質量部に対して前記成分(E)は、樹脂欠けや樹脂取られがない樹脂フィルムを得ることができ、含浸斑のないプリプレグを得ることができることから、0.08質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましい。樹脂硬化物の曲げ試験において弾性率と伸度が適正に保つことができることから、5質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましい。
ポリシロキサン構造を有する化合物としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、メタクリル酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル等を使用できる。樹脂欠け等が起こりにくいことから、ポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましい。ポリシロキサンとしては、変性されたポリシロキサンを使用することができ、例えばポリエーテル変性、ポリエステル変性、脂肪酸エステル変性、ポリオール変性、アクリル樹脂変性、フェニル変性、フッ素変性、アラルキル変性等が挙げられる。これらの中でも、樹脂フィルムの樹脂欠け等が起こりにくいことから、ポリエーテル変性ポリシロキサンが好ましい。
相溶性や、表面張力、分極を容易に調節できる点でポリシロキサン構造の側鎖にポリエーテル構造を付加することがより好ましい。さらに好ましくはポリシロキサン構造の側鎖にエチレンオキサイド(EO)および/またはプロピレンオキサイド(PO)を有するポリエーテル構造を付加することで、EOでは親水性、POでは疎水性を付与することができ、ポリシロキサン構造を有する化合物の極性を調節することができる。これらのポリシロキサン構造を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(E)は、市販品を用いてもよい。市販品として入手可能な、ポリシロキサン構造を有する化合物またはポリシロキサン構造を有する化合物を含有する表面調整剤(成分(E))としては、例えば、ポリエーテル変性されたポリシロキサン構造を有する化合物としては、ビックケミー株式会社製のBYK-300(ジメチルシロキサン キシレン/イソブタノール)、BYK-302(ジメチルシロキサン)、BYK-306(ジメチルシロキサン キシレン/モノフェニルグリコール)、BYK-307(ポリジメチルシロキサン)、BYK-320(ポリメチルアルキルシロキサン ホワイトスピリット/メトキシプロピルアセテート)、BYK-325およびBYK-325N(ポリエステル変性ポリメチルアルキルシロキサン PMA/モノフェニルグリコール)、BYK-326(ポリメチルアルキルシロキサン)、BYK-330(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン メトキシプロピルアセテート)、BYK-331(ポリジメチルシロキサン)、BYK-333(ポリジメチルシロキサン)、BYK-342(ポリジメチルシロキサン ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)、BYK-345(シロキサン)、BYK-346(シロキサン ジプロピレングリコールモノメチエーテル)、BYK-347(シロキサン)、BYK-348(シロキサン)、BYK-349(シロキサン)、BYK-375(水酸基を有するポリエーテル-ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンジプロピレングリコールモノメチルエーテル)、BYK-377(水酸基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)、BYK-378(ポリジメチルシロキサン)、BYK-3455(ポリジメチルシロキサン)、BYK-3760(ポリジメチルシロキサン)や、信越化学工業株式会社製のKP-124、KP-109、KP-110、KP-121、KP-118、KP-341、KP-112、KP-125、KP-101、KP-106、KP-120等が挙げられる(括弧内は主成分と溶媒を示す)。ポリエステル変性されたポリシロキサン構造を有する化合物としては、ビックケミー株式会社製のBYK-310、BYK-313、BYK-315N、BYK-370等、脂肪酸エステル変性されたポリシロキサン構造を有する化合物としては、KP-626等(商品名、信越化学工業株式会社製)、ポリオール変性されたポリシロキサン構造を有する化合物としては、KP-105、KP-104等(いずれも商品名、信越化学工業株式会社製)、アクリル樹脂変性されたポリシロキサン構造を有する化合物としては、KP-611等(商品名、信越化学工業株式会社製)、フェニル変性されたポリシロキサン構造を有する化合物としては、KP-327、KP-323、KP-322等(いずれも商品名、信越化学工業株式会社製)、フッ素変性されたポリシロキサン構造を有する化合物としては、KP-625等(商品名、信越化学工業株式会社製)、アラルキル変性されたポリシロキサン構造を有する化合物としては、BYK-322、BYK-323等(いずれも商品名、ビックケミー株式会社製)や、KP-623、KP-624、KP-620等(いずれも商品名、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
<成分(F)>
本樹脂組成物は、成分(F)として、本樹脂組成物の未硬化時の粘弾性を調整して作業性を向上させ、樹脂硬化物の強度や弾性率、靱性、耐熱性を向上させる目的で、以下に記載のエポキシ樹脂を含んでもよい。成分(F)としては、成分(A)や成分(B)として用いられるビスフェノール型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂であって上記の目的に適するものであれば特に制限されないが、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく用いられる。例えば、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等成分(A)や成分(B)として用いられる以外のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノールのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂;テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシ)メタンのような上記以外のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及びこれらを変性したエポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。3官能以上のエポキシ樹脂は、より優れた強度や弾性率、耐熱性が得られることから、パラ型やメタ型のトリグリシジルアミノフェノール型エポキシ樹脂やテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
成分(F)として用いられるエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、jER1001(エポキシ当量475g/eq)、jER1002(エポキシ当量650g/eq)、jER604(エポキシ当量120g/eq)、jER630(エポキシ当量98g/eq)、jER1032H60(エポキシ当量169g/eq)、jER152(エポキシ当量175g/eq)、jER154(エポキシ当量178g/eq)、YX-7700(エポキシ当量273g/eq)、YX-4000(エポキシ当量186g/eq)(以上、三菱ケミカル株式会社製);GAN(エポキシ当量125g/eq)、GOT(エポキシ当量135g/eq)、NC-2000(エポキシ当量241g/eq)、NC-3000(エポキシ当量275g/eq)(以上、日本化薬株式会社製);YDPN-638(エポキシ当量180g/eq)、TX-0911(エポキシ当量172g/eq)(以上、新日鉄住金化学株式会社製)、Epon165(エポキシ当量230g/eq)(以上、モメンティブスペシャリティケミカルズ社製);MY-0500(エポキシ当量110g/eq)、MY-0600(エポキシ当量106g/eq)、ECN-1299(エポキシ当量230g/eq)(以上、ハンツマンジャパン株式会社製);HP-4032(エポキシ当量150g/eq)、HP-4700(エポキシ当量162g/eq)、HP-7200(エポキシ当量265g/eq)、TSR-400(以上、DIC株式会社製);AER4152、AER4151、LSA3301、LSA2102(以上、旭化成株式会社製)、ACR1348(エポキシ当量350g/eq)(以上、株式会社ADEKA社製);DER852(エポキシ当量320g/eq)、DER858(エポキシ当量400g/eq)(以上、THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
成分(F)の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部中、5~35質量部が好ましく、10~30質量部がより好ましい。成分(F)の含有量が5質量部以上であれば、物性改良効果が良好に発揮される傾向にあるため好ましい。一方、成分(F)の含有量が35質量部以下であれば、本発明の硬化性樹脂組成物の特性が良好に保たれやすくなる傾向にあるため好ましい。
<成分(G)>
本樹脂組成物は、成分(G)として、本樹脂組成物の架橋構造を制御したり、粘度を低下させたり、密着性を付与したりする目的で、以下のような単官能(メタ)アクリレート化合物類を含んでもよい。ここで「単官能(メタ)アクリレート化合物類」とは、1分子内に1個の二重結合を有するアクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物を意味する。成分(G)として、利用可能な化合物の具体例としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチルビシクロヘプタン、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、4-アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン、4-アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジオキソラン、o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、パラクミルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化パラクミルフェノール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、得られる組成物の硬化収縮率が低く、得られる硬化物の強度に優れることから、分子内に環状構造を有する化合物が好ましい。
本発明において、成分(G)の含有量は特に限定されないが、本樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1~5質量部の範囲が好ましい。成分(G)の含有量が0.1質量部であれば、物性改良効果が良好に発揮される傾向にあるため好ましい。一方、成分(G)の含有量が5質量部であれば、本発明の硬化性樹脂組成物の特性が良好に保たれやすくなる傾向にあるため好ましい。
<成分(H)>
成分(H)は、オキサゾリドン型エポキシ樹脂である。オキサゾリドン型エポキシ樹脂は、オキサゾリドン環状構造を有するエポキシ樹脂であり、これを含むエポキシ樹脂組成物を含むプリプレグの常温での作業性を良好にし、また前記エポキシ樹脂組成物の硬化物の弾性率、耐熱性および強化繊維との接着性を高める。
オキサゾリドン環状構造はイソシアネート基とエポキシ基の付加反応により生成する。本発明におけるオキサゾリドン骨格含有エポキシ樹脂の製造方法としては、特に限定されず、例えば、イソシアネート化合物とビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂とを、オキサゾリドン環形成触媒の存在下で反応させることにより、ほぼ理論量で得ることができる。イソシアネート化合物とエポキシ樹脂は、当量比1:2~1:10の範囲で反応させることが好ましく、両者の比が上記範囲である場合、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性及び耐水性がより良好となる傾向にある。本発明においては、各種のイソシアネート化合物を原料とすることができるが、オキサゾリドン環状構造をエポキシ樹脂の骨格に組み込むためには、複数のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物であることが好ましい。また、前記成分(H)を含むエポキシ樹脂組成物の硬化物が高い耐熱性を有するためには、剛直な構造を持つジイソシアネートが好ましい。
原料として用いるイソシアネート化合物の具体例としては、例えば、メタンジイソシアネート、ブタン-1,1-ジイソシアネート、エタン-1,2-ジイソシアネート、ブタン-1,2-ジイソシアネート、トランスビニレンジイソシアネート、プロパン-1,3-ジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、2-ブテン-1,4-ジイソシアネート、2-メチルブテン-1,4-ジイソシアネート、2-メチルブタン-1,4-ジイソシアネート、ペンタン-1,5-ジイソシアネート、2,2-ジメチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、ヘキサン-1,6-ジイソシアネート、ヘプタン-1,7-ジイソシアネート、オクタン-1,8-ジイソシアネート、ノナン-1,9-ジイソシアネート、デカン-1,10-ジイソシアネート、ジメチルシランジイソシアネート、ジフェニルシランジイソシアネート、ω,ω’-1,3-ジメチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω’-1,4-ジメチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω’-1,3-ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω’-1,4-ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω’-1,4-ジメチルナフタレンジイソシアネート、ω,ω’-1,5-ジメチルナフタレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、1-メチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、1-メチルベンゼン-2,5-ジイソシアネート、1-メチルベンゼン-2,6-ジイソシアネート、1-メチルベンゼン-3,5-ジイソシアネート、ジフェニルエーテル-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルエーテル-2,4’-ジイソシアネート、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、ビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,3’-ジメトキシビスフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジメトキシジフェニルメタン-3,3’-ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジフェニルサルフアイト-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルスルフォン-4,4’-ジイソシアネート等の2官能イソシアネート化合物;ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4-フェニルイソシアネートチオフォスフェート)-3,3’、4,4’-ジフェニルメタンテトライソシアネート等の多官能イソシアネート化合物;前記イソシアネート化合物の2量体や3量体等の多量体、アルコールやフェノールによりマスクされたブロックイソシアネート及びビスウレタン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらイソシアネート化合物は2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記イソシアネート化合物の中でも、耐熱性が向上する傾向にあるため、好ましくは2又は3官能イソシアネート化合物であり、より好ましくは2官能イソシアネート化合物、さらに好ましくはイソホロン、ベンゼン、トルエン、ジフェニルメタン、ナフタレン、ノルボルネンポリメチレンポリフェニレンポリフェニル、ヘキサメチレンから選ばれる骨格を有する2官能イソシアネート化合物である。イソシアネート化合物の官能基数が多すぎると、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性が低下する傾向にあり、少なすぎるとエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。
また、成分(H)の原料となるエポキシ樹脂としては、各種のエポキシ樹脂を用いることができるが、オキサゾリドン環状構造を効率的にエポキシ樹脂の骨格に組み込むためには、分子の両末端にエポキシ基を持つエポキシ樹脂が好ましい。成分(H)の原料となるエポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等の2価フェノール類由来のエポキシ樹脂;1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-(4-ヒドロキシフェニル)エタン、4,4-〔1-〔4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール等のトリス(グリシジルオキシフェニル)アルカン類等に由来するエポキシ樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック等のノボラック由来のエポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等は成分(H)の粘度を高くしすぎないため、特に好ましい。
イソシアネート化合物として、トリレンジイソシアネートのようなトルエン骨格を有する2官能イソシアネート(例えば、1-メチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、1-メチルベンゼン-2,5-ジイソシアネート、1-メチルベンゼン-2,6-ジイソシアネート、1-メチルベンゼン-3,5-ジイソシアネート)1分子と、エポキシ樹脂としてビスフェノールAジグリシジルエーテル2分子とを、混合反応させて得られる付加反応物は、プリプレグの常温での作業性とエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性を良好なものとするために特に好ましい。
市販品として入手可能なオキサゾリドン環状構造を有するエポキシ樹脂(成分(H))としては、AER4152、AER4151、LSA3301、LSA2102(いずれも商品名、旭化成イーマテリアルズ株式会社製)やACR1348(商品名、株式会社ADEKA社製)、DER852、DER858(商品名、THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)、TSR-400(商品名、DIC社製)などがあげられ、いずれも本発明に好ましく用いられるが、AER4152やTSR-400が特に好ましい。前記成分(H)としては、上述のようなエポキシ樹脂を2種以上併用しても構わない。
成分(H)の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部中5質量部以上60質量部以下であることが好ましい。成分(H)の含有量が5質量部以上であれば、耐熱性や機械物性に優れた樹脂硬化物を得ることができる傾向にある。好ましくは10質量部以上であり、より好ましくは15質量部以上であり、さらに好ましくは30部以上である。一方、成分(H)の含有量が60質量部以下であれば、タックやドレープ性に優れたプリプレグを得ることができるとともに、破壊靱性が高くボイドの無い樹脂硬化物を得ることができる傾向にある。より好ましくは58質量部以下であり、さらに好ましくは55質量部以下である。成分(H)の含有量は、10~58質量部の範囲であることがより好ましく、15~55質量部の範囲であることがさらに好ましく、30~55質量部の範囲であることが特に好ましい。なお、本発明において、成分(A)、(B)、(F)、(H)の量(質量部)は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂の総質量に対する質量%とも解釈できるものである。
<成分(I)>
熱可塑性樹脂は、本発明の硬化性樹脂組成物の成形時の樹脂フロー制御や樹脂硬化物への靱性付与を目的として、必要に応じて本発明の硬化性樹脂組成物に成分(I)として配合することができる。すなわち、本樹脂組成物は、さらに、成分(I)として熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
本樹脂組成物は、成分(I)を、本樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上15質量部以下含むことが好ましく、2質量部以上10質量部以下含むことがより好ましい。成分(I)の含有量が1質量部以上であれば、樹脂フロー制御や物性改良効果が良好に発揮される傾向にあるため好ましい。一方、成分(I)の含有量が15質量部以下であれば、硬化性樹脂組成物の粘度、樹脂硬化物の耐熱性や機械物性、プリプレグのタックやドレープ性が良好に保たれやすくなる傾向にあるため好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテル、ポリオレフィン、液晶ポリマー、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリルスチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、AES(アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン共重合体)、ASA(アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルホルマール樹脂、フェノキシ樹脂、ブロックポリマー等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、樹脂フロー制御性等に優れることから、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリビニルホルマール樹脂が好ましい。また、フェノキシ樹脂やポリエーテルスルホンは、樹脂硬化物の耐熱性や難燃性をより高める観点から好ましく、ポリビニルホルマール樹脂は、硬化物の耐熱性を損なうことなく、得られるプリプレグのタックを適切な範囲に容易に制御でき、また強化繊維とエポキシ樹脂組成物の接着性を改善する観点から好ましい。ブロックポリマーは、靱性や耐衝撃性を向上させるため好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノキシ樹脂としては、YP-50、YP-50S、YP70、ZX-1356-2、FX-316(以上、新日鉄住金化学株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。ポリビニルホルマール樹脂としては、ビニレック(登録商標)K(質量平均分子量:59,000)、ビニレックL(質量平均分子量:66,000)、ビニレックH(質量平均分子量:73,000)、ビニレックE(質量平均分子量:126,000)(以上、JNC株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、樹脂硬化物に180℃を超える耐熱性が必要とされる場合、ポリエーテルスルホンやポリエーテルイミドが好ましく用いられる。具体的には、ポリエーテルスルホンとして、スミカエクセル(登録商標)3600P(質量平均分子量:16,400)、スミカエクセル5003P(質量平均分子量:30,000)、スミカエクセル5200P(質量平均分子量:35,000)、スミカエクセル7600P(質量平均分子量:45,300)(以上、住友化学株式会社製)等が挙げられる。ポリエーテルイミドとしては、ULTEM1000(質量平均分子量:32,000)、ULTEM1010(質量平均分子量:32,000)、ULTEM1040(質量平均分子量:20,000)(以上、SABICイノベーティブプラスチックス株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
ブロックコポリマーとしては、Nanostrength M52、Nanostrength M52N、Nanostrength M22、Nanostrength M22N、Nanostrength 123、Nanostrength 250、Nanostrength 012、Nanostrength E20、Nanostrength E40(以上、ARKEMA社製)、TPAE-8、TPAE-10、TPAE-12、TPAE-23、TPAE-31、TPAE-38、TPAE-63、TPAE-100、PA-260(以上、T&K TOKA社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
<任意成分>
本樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の様々な添加剤を含有してもよく、組成物の貯蔵安定性向上や、硬化物層の変色や変質を避けるために、酸化防止剤や光安定剤を添加することもできる。この具体例としては、例えば、各種市販されている、住友化学(株)製スミライザーBHT、スミライザーS、スミライザーBP-76、スミライザーMDP-S、スミライザーGM、スミライザーBBM-S、スミライザーWX-R、スミライザーNW、スミライザーBP-179、スミライザーBP-101、スミライザーGA-80、スミライザーTNP、スミライザーTPP-R、スミライザーP-16;旭電化工業(株)製アデカスタブAO-20、アデカスタブAO-30、アデカスタブAO-40、アデカスタブAO-50、アデカスタブAO-60AO-70、アデカスタブAO-80、アデカスタブAO-330、アデカスタブPEP-4C、アデカスタブPEP-8、アデカスタブPEP-24G、アデカスタブPEP-36、アデカスタブHP-10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ329K、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010;チバスペシャリティーケミカルズ(株)製チヌビン770、チヌビン765、チヌビン144、チヌビン622、チヌビン111、チヌビン123、チヌビン292;日立化成工業(株)製ファンクリルFA-711M、FA-712HM等が挙げられる。
これら酸化防止剤や光安定剤の添加量は特に限定さないが、それぞれ全エポキシ樹脂と全(メタ)アクリレート化合物類の合計部数に対して、0.001~5質量部の範囲で添加することが好ましく、0.01~3質量部の範囲がより好ましい。その他添加剤としては、エラストマー、熱可塑性エラストマー、難燃剤(例えばリン含有エポキシ樹脂や赤燐、ホスファゼン化合物、リン酸塩類、リン酸エステル類等)、湿潤分散剤、消泡剤、脱泡剤、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド、エステル類、パラフィン類等の離型剤、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の粉体や金属酸化物、金属水酸化物、ガラス繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン等の無機フィラー、炭素繊維、セルロースナノファイバー等の有機フィラー、表面有機化処理した無機フィラー等、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シランカップリング剤、導電材等公知の添加剤が挙げられる。さらに必要に応じて、スリップ剤、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤、紫外線吸収剤等を配合することもできる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
<硬化性樹脂組成物の粘性>
60℃における本樹脂組成物の粘度は、得られる樹脂フィルムの形態保持性、樹脂フィルムの製造時の作業性やプリプレグの含浸性の観点から、粘度の下限値は50Pa・s以上が好ましく、70Pa・s以上がより好ましく、80Pa・s以上がさらに好ましい。また、粘度の上限値は300Pa・s以下が好ましく、270Pa・s以下がより好ましく、250Pa・s以下がさらに好ましい。
本樹脂組成物の最低粘度は、成形時の樹脂の流動性制御(強化繊維の乱れの抑制)の観点から、最低粘度の下限値は0.05Pa・sであることが好ましく、0.07Pa・sであることがより好ましく、0.1Pa・sであることがさらに好ましい。また、最低粘度の上限値は50Pa・sであることが好ましく、40Pa・sであることがより好ましく、30Pa・sであることがさらに好ましい。なお、この最低粘度は、昇温モードで硬化性樹脂組成物の粘度を測定した際に得られる粘度カーブにおいて粘度が一番低くなる点と定義される。また、硬化性樹脂組成物の粘度は、例えば、回転粘度計(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社製、「MARS 40」)で25mmφパラレルプレートを用いて、プレートギャップ500μm、昇温速度2℃/分で昇温、角速度10rad/sec、ストレス300Paで測定することにより求められる。
<樹脂板の物性>
本発明の硬化性樹脂組成物は、その樹脂硬化物の曲げ弾性率が3.5~6GPaの範囲内であることが好ましく、その樹脂硬化物の破断伸度が6~15%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、曲げ弾性率が3.6~5GPa、破断伸度が7~14%である。かかる弾性率が3.5GPaに満たない場合や破断伸度が15%を優に超える場合は繊維強化複合材料とした際の静的強度が不充分となる場合がある。曲げ弾性率が6GPaを超える場合や破断伸度が6%に満たない場合は、繊維強化複合材料とした際の靱性が不充分となりがちで、繊維強化複合材料の耐衝撃性が不足する場合がある。
<硬化性樹脂組成物の製造方法及び用途>
本発明の硬化性樹脂組成物は、これに限定されないが、例えば、上述した各成分を混合することにより得られる。各成分の混合方法としては、三本ロールミル、プラネタリミキサー、ニーダー、ホモジナイザー、ホモディスパー等の混合機を用いる方法が挙げられる。本樹脂組成物は、例えば、後述するように、強化繊維集合体に含浸させてプリプレグの製造に用いることができる。他にも、本樹脂組成物を離型紙等に塗布して硬化することで、本樹脂組成物のフィルムを得ることができる。
<作用効果>
以上説明した本樹脂組成物は、上述した成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)及び成分(E)、必要に応じて成分(H)や成分(I)、成分(F)、成分(G)及びその他添加剤を含むため、本樹脂組成物を用いれば、外観不良がなく機械物性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。
〔成形品〕
本発明の成形品は、上述した本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物から形成されるものである。硬化性樹脂組成物の成形法としては、例えば射出成形法(フィルムやガラス板等のインサート成形を含む)、射出圧縮成形法、押出法、ブロー成形法、真空成形法、圧空成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法等が挙げられる。これらの中でも、量産性に優れ、高い寸法精度の成形品を得ることができる点から、射出成形法、射出圧縮成形法が好ましいが、これらに限定されない。本発明の成形品は、本発明の硬化性樹脂組成物を成形してなるので、機械物性に優れるため、例えば車両用製品、モバイル機器等の筐体、家具用製品、建材用製品等に適用できる。
<硬化性樹脂組成物からなるフィルム>
本発明の成形品の実施形態の一つに、フィルムとしての使用がある。このフィルムはプリプレグを製造するための中間材料として、また、基材に貼り付けた後、硬化させることによって、表面保護フィルム又は、接着フィルムとしても有用である。また、その使用方法は、これに限定されないが、本発明の硬化性樹脂組成物を離型紙等の基材の表面に塗布することが好ましい。得られた塗布層は、未硬化のまま別の基材に張り付けて硬化させることで、フィルムとして使用してもよく、前記塗布層自体を硬化させることで、フィルムとして使用してもよい。
〔プリプレグ〕
本発明のプリプレグは、上述した本発明の硬化性樹脂組成物が強化繊維集合体に含浸したものである。本樹脂組成物を強化繊維集合体に含浸させる方法としては、公知の方法でよく、例えば、本樹脂組成物をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して、低粘度化してから含浸させるウェット法と、加熱により低粘度化してから含浸させる、ホットメルト法(ドライ法)等をあげることができるが、これらに限定されない。
ウェット法は、強化繊維を硬化性樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法である。一方でホットメルト法には、加熱により低粘度化した硬化性樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法と、一旦硬化性樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで強化繊維の両側または片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより強化繊維に樹脂を含浸させる方法がある。ホットメルト法によれば、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上存在しないため好ましい。
本発明のプリプレグの硬化性樹脂組成物の含有量(以下、「樹脂含有量」という)は、本発明のプリプレグの全質量を100%としたとき、15~50質量%であることが好ましく、20~45質量%であることがより好ましく、25~40質量%であることがさらに好ましい。樹脂含有量が、15質量%以上であれば、強化繊維集合体と硬化性樹脂組成物との接着性を十分確保することができ、50質量%以下であれば機械物性を高く保持できる。
強化繊維集合体を構成する強化繊維としては特に限定されず、繊維強化複合材料を構成する強化繊維として公知のものから用途等に応じて適宜選択すればよい。具体例として例えば、炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、高強度ポリエステル繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維等の各種の無機繊維または有機繊維を用いることができる。これらの中でも、比強度、比弾性の観点から、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維が好ましく、機械物性や軽量化の観点から炭素繊維が特に好ましい。強化繊維として炭素繊維を用いる場合、金属による表面処理を施してもよい。これらの強化繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
本発明のプリプレグを硬化して得られる繊維強化複合材料の剛性の観点から、炭素繊維のストランド引張強度は、1~9GPaが好ましく、1.5~9GPaがより好ましく、炭素繊維のストランド引張弾性率は150~1,000GPaが好ましく、200~1,000GPaがより好ましい。炭素繊維のストランド引張強度及びストランド引張弾性率は、JIS R7601:1986に準拠して測定される値である。
強化繊維集合体の形態としては特に制限されず、通常のプリプレグの基材として使用される形態を採用でき、例えば、強化繊維が一方向に引き揃えられたもの(UD: UniDirection)であってもよく、織物や不織布、またはノンクリンプファブリック(Non-Crimp Fabric)でもよい。本発明のプリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物を強化繊維集合体に含浸させてなるので、機械物性に優れた繊維強化プラスチックの原材料とすることができる。
〔繊維強化プラスチック〕
本発明の繊維強化プラスチックは、上述した本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物と強化繊維とからなる。本発明の繊維強化プラスチックは、これに限定されないが、例えば、上述した本発明のプリプレグを積層した後、積層体に圧力を付与しながら、硬化性樹脂を加熱硬化させる方法等により成形して得られる。本発明の繊維強化プラスチックは、機械特性、難燃性、耐熱性、電磁波遮蔽性等に優れることから、強化繊維として炭素繊維を含むことが好ましい。
本発明の繊維強化プラスチックの成形方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法、シートラップ成形法や、強化繊維のフィラメントやプリフォームに硬化性樹脂組成物を含浸させて硬化し成形品を得るRTM(Resin Transfer Molding)、VaRTM(Vacuum assistedResin Transfer Molding:真空樹脂含浸製造法)、フィラメントワインディング、RFI(Resin Film Infusion)等が挙げられるが、これらの成形方法に限られるものではない。
ラッピングテープ法は、マンドレル等の芯金にプリプレグを捲回して、繊維強化プラスチック製の管状体を成形する方法であり、ゴルフシャフト、釣り竿等の棒状体を作製する際に好ましく用いられる。より具体的には、マンドレルにプリプレグを捲回し、プリプレグの固定及び圧力付与のため、プリプレグの外側に熱可塑性フィルムからなるラッピングテープを捲回し、オーブン中で樹脂を加熱硬化させた後、芯金を抜き取って繊維強化プラスチック製管状体を得る方法である。また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せしめ、成形する方法である。本方法は、ゴルフシャフト、バット、テニスやバドミントン等のラケットの如き複雑な形状物を成形する際に好ましく用いられる。
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物をマトリックス樹脂として用いた繊維強化プラスチックは、スポーツ用途、一般産業用途、及び航空宇宙用途に好適に用いられる。より具体的には、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニスやバドミントンのラケット用途、ホッケー等のスティック用途、及びスキーポール用途に好適に用いられる。更に一般産業用途では、自動車、船舶、及び鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、及び補修補強材料等に好適に用いられる。
<構造体>
上述した本発明の繊維強化プラスチックから構造体を得ることができる。この構造体は、本発明の繊維強化プラスチックのみからなるものであってもよいし、本発明の繊維強化プラスチックと他の材料(例えば金属、インジェクション成形された熱可塑性樹脂製部材等)とから構成されるものであってもよい。
この構造体は、本発明の繊維強化プラスチックで一部または全部が構成されているので、難燃性、及び耐熱性に優れる。この構造体は、例えば航空機や自動車の内装部材、電気・電子機器用筐体等にも適用できる。
〔繊維強化プラスチック製管状体〕
繊維強化プラスチック製管状体は、管状の繊維強化プラスチックであり、上述したプリプレグを、ラッピングテープ法等の公知の成形方法によって、積層、硬化及び成形して得られる。前記硬化組成物の硬化物を使用した繊維強化プラスチック製管状体は、優れた破壊強度・弾性率を有するため、ゴルフシャフト、釣り竿等に好適に用いることができる。繊維強化プラスチック製管状体は、一方向に引き揃えられた強化繊維に本発明の樹脂組成物が含浸した一方向プリプレグから得ることができる。一方向プリプレグの繊維方向が円筒軸方向に対して-45°及び+45°になるよう、プリプレグの2plyを積層して、さら一方向プリプレグを、繊維方向が円筒軸方向に対して平行になるように、プリプレグの1plyを積層して、内径が6mmの複合材料製管状体を作製することができる。ここでマンドレルとは、ステンレス製の丸棒である。
具体的には例えば、以下の[1a]~[5a]に記すような方法で作製できるがこれに限定されない。
[1a]作製した一方向プリプレグから、縦200mm×横76mmの長方形状のプリプレグを、長辺方向に対して繊維軸方向が45度となるように、2枚切り出す。この2枚のプリプレグの繊維の方向をお互いに交差するように、かつ短辺方向に9mmずらして張り合わせる。
[2a]離型処理したマンドレルに、上記張り合わせたプリプレグを、その長辺とマンドレル軸方向が同一方向になるように捲回する。
[3a]その上に、作製した一方向プリプレグから、縦200mm×横161mmの長方形状のプリプレグを、長辺方向が繊維方向となるように切り出したものを、その繊維
方向がマンドレル軸方向と同一になるように、マンドレルに捲回する。
[4a]さらに、その上から、ラッピングテープとして、耐熱性フィルムテープを巻きつけて捲回物を覆い、硬化炉中、130℃で90分間、加熱成形する。なお、ラッピングテープの幅は15mm、張力は3N、巻き付けピッチ(巻き付け時のずれ量)は1mmとし、これを積層体と同じ厚みになるようラッピングする。
[5a]この後、マンドレルを抜き取り、ラッピングテープを除去して繊維強化プラスチック製管状体を得る。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例、及び比較例で使用した原料を以下に示す。なお、軟化点、エポキシ当量は、以下の条件で測定した。
1)軟化点:JIS-K7234:2008(環球法)に準拠して測定された値である。2)エポキシ当量:JIS-K7236:2001に準拠して測定された値である。
「原料」
<成分(A)>
jER4007P:固形ビスフェノールF型エポキシ樹脂(軟化点108℃、三菱ケミカル株式会社製、品名「jER4007P」)。
<成分(B)>
jER807:液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量170g/eq、三菱ケミカル株式会社製、品名「jER807」)。
<成分(C)>
エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物
ペンタエリスリトールテトラアクリレート
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
<成分(d1)>
1400F:ジシアンジアミド(活性水素当量21g/eq、エアープロダクツ社製、品名「DICYANEX 1400F」)。
DCMU-99:3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(保土谷化学工業社製、品名「DCMU-99」)。
<成分(d2)>
ジクミルパーオキサイド(10時間半減期温度116.4℃)。
<成分(E)>
BYK-378:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン株式会社製、品名「BYK-378」)。
<その他の表面調整剤>
BYK-DYNWET 800N:アルコールアルコキシレート(ビックケミー・ジャパン株式会社製、品名「BYK-DYNWET 800N」)。
<成分(H)>
TSR-400:オキサゾリドン型エポキシ樹脂(エポキシ当量338g/eq、DIC株式会社製、品名「TSR-400」)。
<成分(I)>
ビニレックE:ポリビニルホルマール樹脂(JNC株式会社製、品名「ビニレックE」)。
<炭素繊維>
TR:三菱ケミカル株式会社製、品名「パイロフィルTR50S15L」。
MR:三菱ケミカル株式会社製、品名「パイロフィルMR70 12P」。
(実施例1)
成分(A)としてjER4007P、成分(B)としてjER807、成分(C1)としてエトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、成分(C2)としてペンタエリスリトールテトラアクリレート、成分(d1)として1400FならびにDCMU-99、成分(d2)としてジクミルパーオキサイド、成分(I)としてビニレックE、成分(H)としてTSR-400、成分(E)としてBYK-378を用い、以下のようにして硬化性樹脂組成物を調製した。まず、表1に記載の組成に従い、成分(B)(液状)と、成分(d1)(固形)とを、固形成分と液状成分の質量比が1:1となるよう容器に計量、攪拌し、混合し、成分(D)を含むマスターバッチを作成した。これを三本ロールミルにてさらに細かく混合し、硬化剤入りマスターバッチを得た。
続けて、表1に記載の組成の内、成分(A)と硬化剤入りマスターバッチで使用した以外の成分(B)、成分(I)、成分(H)をフラスコに計量し、オイルバスを用いて150℃に加熱し、溶解混合した。その後65℃程度まで冷却したところで、成分(C1)及び成分(C2)、前記硬化剤入りマスターバッチ、成分(d2)、成分(E)を加えて攪拌混合することにより未硬化の硬化性樹脂組成物を得た。得られた未硬化の硬化性樹脂組成物、硬化性樹脂組成物を用いて作製した樹脂板、樹脂板、プリプレグについて、各種測定、及び評価を行った。その結果を表1に示す。
「樹脂板の作製」
未硬化の硬化性樹脂組成物を、2枚のガラス板の間に注入して、板状に成形し、2℃/分で昇温し、オーブン雰囲気温度130℃で90分保持して加熱硬化させて、厚さ2mmの樹脂板を作製した。
「プリプレグの作製」
未硬化の硬化性樹脂組成物を、コンマコーター(株式会社ヒラノテクシード製、「M-500」)でフィルム状にし、離型紙上に樹脂目付け16.7g/mの樹脂フィルムを作製し、離型紙の載っていない面に厚み17μmポリエチレン製の保護フィルムを貼りつけた。この樹脂フィルムを、炭素繊維を引き揃えて得られた、繊維目付100g/mの炭素繊維シートの両面に張り合わせ、加熱ロールで含浸させて、プリプレグ目付133.4g/m、樹脂含有量25質量%の未硬化の一方向プリプレグを得た。
「繊維強化プラスチック板の作成」
上記で得られた樹脂含有率25質量%の未硬化のプリプレグを300mm×300mmにカットし、繊維方向を揃えて24枚重ねて積層体を得た。この積層体をオートクレーブで圧力0.04MPa下で2℃/分で昇温し、80℃で60分保持後、圧力0.6MPa下で2℃/分で昇温し、130℃で90分保持して加熱硬化させて、厚さ2.1mmの繊維強化プラスチック板を得た。
「樹脂板の曲げ強度、曲げ弾性率、破断伸度(破断歪み)の測定」
上記「樹脂板の作製」で得られた厚さ2mmの樹脂板を、長さ60mm×幅8mmに加工して試験片とした。該試験片について、温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具(圧子R=3.2mm、サポートR=3.2mm、サポート間距離(L)=32mm)を設置した万能試験機(INSTRON社製、「INSTRON 5565」)を用いて、クロスヘッドスピード2mm/分の条件で、樹脂板の曲げ強度、曲げ弾性率、破断伸度(破断歪み)を測定した。
「繊維強化プラスチックの90°曲げ強度、曲げ弾性率、破断伸度(破断歪み)の測定」
上記「繊維強化プラスチック板の作製」で得られた厚さ2.1mmの繊維強化プラスチック板を、長さ60mm×幅12.7mmに加工して試験片とした。該試験片について、温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具(圧子R=3.2mm、サポートR=3.2mm)を設置した万能試験機(INSTRON社製、「INSTRON 5565」)を用いて、サポート間距離(L)と試験片の厚み(d)の比L/d=16、クロスヘッドスピード(分速)=(L×0.01)/(6×d)として、繊維強化プラスチック板の90°曲げ強度、曲げ弾性率、破断伸度(破断歪み)を測定した。
「60℃における樹脂粘度」
熱硬化性樹脂組成物の粘度は、以下の条件で測定した。
装置:レオメーター(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社製、「MARS 40」)、
使用プレート:25φパラレルプレート、
プレートギャップ:0.5mm、
測定周波数:10rad/秒、
測定温度:60℃、
測定時間:30分、
応力:300Pa
上記測定条件で60℃まで加温した後に試料をプレートに載せて等温粘度測定を行い、最低粘度を60℃における樹脂粘度とした。
(比較例1~5)
表1に示す配合組成のように、その組成比を変更した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を調製し、樹脂板、樹脂フィルム、プリプレグを作製し、各種測定、及び評価を行った。その評価結果を表1に示す。
表1に示すように、各実施例は、成分(C1)または(C2)を含有しない比較例に対し、曲げ強度または破断ひずみの評価が優れていた。本願実施例の樹脂組成物およびプリプレグは強度及び靭性を高度に両立できることが理解される。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いることにより、優れた繊維強化プラスチックを得ることができる。よって、本発明によれば、機械物性に優れた繊維強化プラスチック成形体、例えばゴルフクラブ用シャフトなどのスポーツ・レジャー用途成形体から航空機等の産業用途の成形体まで、幅広く提供することができる。

Claims (21)

  1. 炭素繊維とマトリクス樹脂とを含むプリプレグであって、前記マトリクス樹脂が下記成分(A)、(B)、(C1)、(C2)、(D)、及び(I)を含むプリプレグ。
    成分(A):軟化点80℃以上のビスフェノール型エポキシ樹脂、
    成分(B):25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂、
    成分(C1):環状構造を有する(メタ)アクリレート、
    成分(C2):鎖状構造を有する(メタ)アクリレート、
    成分(D):硬化剤、
    成分(I):熱可塑性樹脂。
  2. 前記マトリクス樹脂が、成分(E):ポリシロキサン構造を有する化合物を含む、請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記マトリクス樹脂が、成分(H):オキサゾリドン型エポキシ樹脂を含む、請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. 前記成分(C1)が、ベンゼン骨格、イソシアヌル酸骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ビフェニル骨格、フェニルベンゾエート骨格、アゾベンゼン骨格、およびスチルベン骨格を含む分子構造からなる群より選ばれる少なくとも1つの部分構造を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  5. 前記成分(C1)が、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、またはビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物である、請求項1~4のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  6. 前記成分(C2)が、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートである、請求項1~5のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  7. 前記成分(C1)及び前記成分(C2)の含有質量比率(C1/C2)が、2.0以上20以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  8. 下記成分(A1)、(C1)、(C2)、(D)、及び(I)を含む硬化性樹脂組成物の硬化物と、強化繊維とからなる繊維強化プラスチックであって、前記強化繊維が炭素繊維である、繊維強化プラスチック
    成分(A1):エポキシ樹脂、
    成分(C1):環状構造を有する(メタ)アクリレート、
    成分(C2):鎖状構造を有する(メタ)アクリレート、
    成分(D):硬化剤、
    成分(I):熱可塑性樹脂。
  9. 前記硬化性樹脂組成物の成分(C1)が、ベンゼン骨格、イソシアヌル酸骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ビフェニル骨格、フェニルベンゾエート骨格、アゾベンゼン骨格、およびスチルベン骨格を含む分子構造からなる群より選ばれる少なくとも1つの部分構造を有する、請求項8に記載の繊維強化プラスチック
  10. 前記成分(A1)が下記成分(A)および(B)を含む、請求項8または9に記載の繊維強化プラスチック
    成分(A):軟化点80℃以上のビスフェノール型エポキシ樹脂、
    成分(B):25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂。
  11. 前記硬化性樹脂組成物が、成分(H):オキサゾリドン型エポキシ樹脂を含む、請求項8~10のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック
  12. 前記成分(D)がジシアンジアミド、ウレア類、イミダゾール類、および芳香族アミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種である成分(d1)、およびラジカル重合開始剤である成分(d2)を含む、請求項8~11のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック
  13. 前記成分(d1)を前記硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上15質量部以下含む、請求項12に記載の繊維強化プラスチック
  14. 前記成分(d2)を前記硬化性樹脂組成物に含まれる全(メタ)アクリレート化合物類の合計100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下含む、請求項12または13に記載の繊維強化プラスチック
  15. 前記成分(A)を前記硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して10質量部以上80質量部以下含む、請求項10に記載の繊維強化プラスチック
  16. 前記成分(B)を前記硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して20質量部以上80質量部以下含む、請求項10に記載の繊維強化プラスチック
  17. 前記成分(C1)および(C2)を前記硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して合計で5質量部以上45質量部以下含む、請求項8~16のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック
  18. 前記成分(C1)及び前記成分(C2)の含有質量比率(C1/C2)が、2.0以上20以下である、請求項8~17のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック
  19. 前記成分(I)を前記硬化性樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上15質量部以下含む、請求項8~18のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック
  20. 管状である、請求項8~19のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック。
  21. 下記成分(A1)、(C1)、(C2)、(D)、及び(I)を含む硬化性樹脂組成物が強化繊維の集合体に含浸したプリプレグであって、前記強化繊維が炭素繊維である、プリプレグ
    成分(A1):エポキシ樹脂、
    成分(C1):環状構造を有する(メタ)アクリレート、
    成分(C2):鎖状構造を有する(メタ)アクリレート、
    成分(D):硬化剤、
    成分(I):熱可塑性樹脂。
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