JP2024047178A - プリプレグ及び繊維強化プラスチック - Google Patents

プリプレグ及び繊維強化プラスチック Download PDF

Info

Publication number
JP2024047178A
JP2024047178A JP2022152653A JP2022152653A JP2024047178A JP 2024047178 A JP2024047178 A JP 2024047178A JP 2022152653 A JP2022152653 A JP 2022152653A JP 2022152653 A JP2022152653 A JP 2022152653A JP 2024047178 A JP2024047178 A JP 2024047178A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meth
group
prepreg according
acrylic monomer
prepreg
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022152653A
Other languages
English (en)
Inventor
奈緒 河村
Nao Kawamura
拓也 秋田
Takuya Akita
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2022152653A priority Critical patent/JP2024047178A/ja
Publication of JP2024047178A publication Critical patent/JP2024047178A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)

Abstract

【課題】強度と弾性率を維持しつつ、靭性が改善された繊維強化プラスチックを得ることができるプリプレグ、及びこのプリプレグを用いて形成された繊維強化プラスチックの提供。【解決手段】マトリクス樹脂組成物と強化繊維とを含むプリプレグであって、前記マトリクス樹脂組成物が、エポキシ樹脂及び(メタ)アクリルモノマーを含み、前記(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量と、前記エポキシ樹脂のエポキシ当量との比R(二重結合当量/エポキシ当量)が1.0以上である、プリプレグ。【選択図】なし

Description

本発明は、プリプレグ及び繊維強化プラスチックに関する。
繊維強化複合材料の1つである繊維強化プラスチックは、軽量で、高強度、高剛性であるため、スポーツ・レジャー用途から、自動車や航空機等の産業用途まで、幅広く用いられている。
繊維強化プラスチックの製造方法としては、強化繊維などの長繊維(連続繊維)からなる補強材にマトリクス樹脂を含浸させた中間材料、すなわちプリプレグを使用する方法がある。この方法によれば、繊維強化プラスチックの強化繊維の含有量を管理しやすいとともに、その含有量を高めに設計することが可能であるという利点があり、プリプレグを複数枚積層し、加熱硬化することにより、成形物を得ることができる。
軽量化のニーズから、強化繊維としては比強度及び比弾性率に優れた炭素繊維が、マトリクス樹脂としては炭素繊維との接着性に優れたエポキシ樹脂が、多く用いられている。
しかしながら、エポキシ樹脂は、一般にその硬化物(樹脂硬化物)が脆く、靱性が低い傾向にあるため、繊維強化プラスチックの破壊靱性や剛性の改善が技術的な課題であった。
そこで、近年、ブロックコポリマー等の改質剤を添加し、樹脂の硬化過程で生じる相分離構造を用いて、靱性向上を図る検討がなされているが、この改質系においてはエポキシ樹脂の樹脂硬化物のガラス転移温度(Tg)や、樹脂硬化物の弾性率が低下する傾向にある。
また、ポリエーテルスルホン等のエンジニアリングプラスチックによる改質手法によりエポキシ樹脂の強靱性化は従来行われているが、大幅な粘度上昇が避けられない。
この問題を解決するため、改質剤の原料となるモノマーを「in situ 重合法」により系内で重合させ、改質剤の生成とマトリクス樹脂の硬化反応を同時に行う試みがなされている(例えば非特許文献1参照)。
この試みではラジカル重合により生成するビニルポリマーを改質剤として用いており、繊維強化プラスチックの分野においても、エポキシ樹脂とラジカル重合を併用して中間材料を製造する技術開発が進んでいる(例えば特許文献1~3参照)。
大山俊幸,ネットワークポリマー, Vol.36,No.5,p211-222(2015)
特許第3669090号公報 特開平11-43547号公報 特許第5424021号公報
本発明の目的の一つは、強度と弾性率を維持しつつ、靭性が改善された繊維強化プラスチックを得ることができるプリプレグ、及びこのプリプレグを用いて形成された繊維強化プラスチックを提供することである。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] マトリクス樹脂組成物と強化繊維とを含むプリプレグであって、
前記マトリクス樹脂組成物が、エポキシ樹脂及び(メタ)アクリルモノマーを含み、
前記(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量と、前記エポキシ樹脂のエポキシ当量との比R(二重結合当量/エポキシ当量)が1.0以上である、プリプレグ。
[2] 前記マトリクス樹脂組成物が、硬化剤及び熱ラジカル重合開始剤をさらに含む、前記[1]のプリプレグ。
[3] 前記エポキシ樹脂が、ノボラック型エポキシ樹脂及び3官能以上のアミン型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、前記[1]又は[2]のプリプレグ。
[4] 前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が150g/eq以上である、前記[1]~[3]のいずれかのプリプレグ。
[5] 前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が250g/eq以下である、前記[1]~[4]のいずれかのプリプレグ。
[6] 前記(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量が150g/eq以上である、前記[1]~[5]のいずれかのプリプレグ。
[7] 前記(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量が1500g/eq以下である、前記[1]~[6]のいずれかのプリプレグ。
[8] 前記(メタ)アクリルモノマーが、分子量150以上の単官能(メタ)アクリルモノマー及び分子量150以上の2官能(メタ)アクリルモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、前記[1]~[7]のいずれかのプリプレグ。
[9] 前記(メタ)アクリルモノマーが、下記一般式(1)で表される単官能(メタ)アクリルモノマー及び下記一般式(2)で表される2官能(メタ)アクリルモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、前記[1]~[8]のいずれかのプリプレグ。
Figure 2024047178000001
一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2~6のアルキレン基であり、Rは芳香族炭化水素基又は脂環炭化水素基であり、pは1以上の整数である。
一般式(2)中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2~55の2価の有機基である。
[10] 前記一般式(1)中の前記Rが炭素数2~6のアルキレン基であり、前記Rがフェニル基、ビフェニル基又はジシクロペンテニル基であり、前記pが1~4の整数である、前記[9]のプリプレグ。
[11] 前記一般式(2)中の前記Rが炭素数2~15のアルキレン基又は環式構造を有する炭素数6~55の2価の有機基である、前記[9]又は[10]のプリプレグ。
[12] 前記環式構造を有する炭素数6~55の2価の有機基が、下記一般式(3)で表される2価の有機基である、前記[11]のプリプレグ。
Figure 2024047178000002
一般式(3)中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数2~6のアルキレン基であり、R及びR10はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、m及びnはそれぞれ独立して1以上の整数である。
[13] 前記硬化剤が、ジシアンジアミド、芳香族アミン類、ウレア類及びイミダゾール類からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、前記[2]のプリプレグ。
[14] 前記熱ラジカル重合開始剤が有機過酸化物類を含む、前記[2]又は[13]のプリプレグ。
[15] 前記熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が70℃以上である、前記[2]、[13]及び[14]のいずれかのプリプレグ。
[16] 前記マトリクス樹脂組成物が、熱可塑性樹脂をさらに含む、前記[1]~[15]のいずれかのプリプレグ。
[17] 前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエーテルスルホン及びフェノキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、前記[16]のプリプレグ。
[18] 前記マトリクス樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、前記(メタ)アクリルモノマーを5~40質量部含む、前記[1]~[17]のいずれかのプリプレグ。
[19] 前記マトリクス樹脂組成物は、前記(メタ)アクリルモノマー100質量部に対して、前記熱ラジカル重合開始剤を0.1~5質量部含む、前記[2]、[13]、[14]及び[15]のいずれかのプリプレグ。
[20] 前記[1]~[19]のいずれかのプリプレグを硬化させてなる、繊維強化プラスチック。
本発明の好ましい態様によれば、強度と弾性率を維持しつつ、靭性が改善された繊維強化プラスチックを得ることができるプリプレグを提供することができる。また、マトリクス樹脂と強化繊維との接着強度が改善された繊維強化プラスチックを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、マトリクス樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を「樹脂硬化物」と称し、その中でも特に板状の硬化物を「樹脂板」と称することがある。
「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
本明細書に開示の含有量、種々の物性値、性状値の数値範囲は、その下限値及び上限値を任意に組み合わせて新たな数値範囲とすることができる。
[プリプレグ]
本発明の第一の態様のプリプレグは、マトリクス樹脂組成物と強化繊維とを含む。
プリプレグは、マトリクス樹脂組成物及び強化繊維に加えて、これら以外の成分を含んでいてもよいし、含んでいなくでもよい。プリプレグは、マトリクス樹脂組成物及び強化繊維のみからなることが好ましい。
<マトリクス樹脂組成物>
マトリクス樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び(メタ)アクリルモノマーを含む。
マトリクス樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び(メタ)アクリルモノマーに加えて、硬化剤及び熱ラジカル重合開始剤をさらに含むことが好ましい。マトリクス樹脂組成物は、エポキシ樹脂、(メタ)アクリルモノマー、硬化剤及び熱ラジカル重合開始剤に加えて、熱可塑性樹脂をさらに含むことが好ましい。マトリクス樹脂組成物は、エポキシ樹脂、(メタ)アクリルモノマー、硬化剤、熱ラジカル重合開始剤及び熱可塑性樹脂以外の成分(以下、「任意成分」ともいう。)をさらに含んでいてもよい。
マトリクス樹脂組成物に含まれる各成分については後述する。
エポキシ樹脂及び(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量と、エポキシ樹脂のエポキシ当量との比R(二重結合当量/エポキシ当量)が1.0以上となるように、マトリクス樹脂組成物に配合されている。
エポキシ樹脂のエポキシ当量が小さくなるほど、マトリクス樹脂組成物の架橋構造が密となり、樹脂硬化物及び繊維強化プラスチックの弾性率が向上する傾向がある。また、(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量が大きくなるほど、樹脂硬化物及び繊維強化プラスチックの靭性が向上する傾向がある。比Rを1.0以上とすることで、硬化時の反応速度論的にエポキシ樹脂の硬化物が海相、(メタ)アクリルモノマーの重合体が島相となるような微細な相分離を進行させることができる。靭性の向上は、クラックが分散島相に到達したときに、(i)島相への応力集中によるキャビテーション、(ii)キャビテーションによるひずみの拘束の解放と応力集中の緩和、(iii)キャビテーションによる樹脂の剪断変形の誘起、(iv)島相自体の変形によるエネルギー吸収、(v)島相による亀裂成長抑制等が起こることで発現する。
比Rは1.0以上であり、繊維強化プラスチックの強度及び弾性率が向上することから、1.1以上が好ましく、1.3以上がより好ましい。
比Rの上限値については特に制限されないが、繊維強化プラスチックの靭性が向上することから、比Rは10.0以下が好ましく、5.0以下がより好ましく、3.0以下がさらに好ましい。
比Rの前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、比Rは1.0~10.0が好ましく、1.1~5.0がより好ましく、1.3~3.0がさらに好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量及び(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量については後述する。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂(以下、「(A)成分」ともいう。)としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、樹脂硬化物の弾性率が高まることから、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂が好ましい。グリシジルアミン型エポキシ樹脂の中では、3官能以上のアミン型エポキシ樹脂が好ましい。グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えばトリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル-m-キシレンジアミン等が挙げられる。ノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。優れた取り扱い性を有するプリプレグ、及び機械物性や耐熱性が改善された繊維強化プラスチックを得ることができる点で、2種以上を併用することが好ましい。特に、ノボラック型エポキシ樹脂と3官能以上のアミン型エポキシ樹脂とを併用することが好ましい。
ノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、jER152、jER154(以上、三菱ケミカル株式会社製)、EPICLON N-740、EPICLON N-770、EPICLON N-775(以上、DIC株式会社製)、YDPN-638(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂;EPICLON N-660、EPICLON N-670、EPICLON N-680、EPICLON N-690(以上、DIC株式会社製)等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;jER157S70(三菱ケミカル株式会社製)、EPICLON N-865、EPICLON N-885(以上、DIC株式会社製)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
3官能以上のアミン型エポキシ樹脂の市販品としては、例えばjER630、jER604(以上、三菱ケミカル株式会社製)、YH-434、YH-434L、(以上、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社)、スミエポキシELM434(以上、住友化学株式会社製)、TEPIC-G、TEPIC-S、TEPIC-SP、TEPIC-SS、TEPIC-PAS B26L、TEPIC-PAS B22、TEPIC-VL、TEPIC-UC(以上、日産化学株式会社製)、TETRAD-X、TETRAD-C(以上、三菱ガス化学株式会社製)、アラルダイトMY0500、MY0510、MY0600、MY0610、MY0720、MY0721、MY0725(以上、ハンツマン・ジャパン株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
上述した以外のエポキシ樹脂の市販品としては、以下に示すもの挙げられる。
25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、例えばjER827、jER828(以上、三菱ケミカル株式会社製)、YD-127、YD-128(以上、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)、EPICLON840、EPICLON850(以上、DIC株式会社製)、D.E.R331、D.E.R332(以上、THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、例えばjER806、jER807(以上、三菱ケミカル株式会社製)、YDF-170(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC株式会社製)、D.E.R354(THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
25℃で半固形状又は固形状のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、例えばjER1001、jER1002、jER1004、jER1007、jER1009(以上、三菱ケミカル株式会社製)、EPICLON2050、EPICLON3050、EPICLON4050、EPICLON7050(以上、DIC株式会社製)、YD-011、YD-012、YD-013、YD-014、YD-902、YD-903N、YD-904、YD-907、YD-7910、YD-6020(以上、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
25℃で半固形状又は固形状のビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えばjER4004P、jER4005P、jER4007P、jER4010P(以上、三菱ケミカル株式会社製)、YDF-2001、YDF-2004、YDF-2005RD(以上、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
25℃で半固形状又は固形状のオキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂としては、ACR1348(株式会社ADEKA製)、DER852、DER858(以上、THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)、TSR-400(DIC株式会社製)、YD-952(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は樹脂硬化物の架橋点間分子量が大きくなり、その硬化物は靭性が向上することから、150g/eq以上が好ましく、160g/eq以上がより好ましく、165g/eq以上がさらに好ましい。また、エポキシ樹脂のエポキシ当量は樹脂硬化物の弾性率の低下が起きにくいことから、250g/eq以下が好ましく、240g/eq以下がより好ましく、230g/eq以下がさらに好ましい。エポキシ樹脂のエポキシ当量が上記上限値以下であれば、樹脂硬化物の弾性率の低下を防ぐことができる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量の前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、エポキシ樹脂のエポキシ当量は150~250g/eqが好ましく、160~240g/eqがより好ましく、165~230g/eqがさらに好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236:2001に準拠して測定することができる。
マトリクス樹脂組成物が複数のエポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂のエポキシ当量は、マトリクス樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ樹脂のエポキシ当量の平均値であり、以下の通り算出可能である。
例えば、3種類のエポキシ樹脂を併用する場合を例に計算方法を説明する。エポキシ当量がE1(g/eq)のエポキシ樹脂をW1質量部、エポキシ当量がE2(g/eq)のエポキシ樹脂をW2質量部、エポキシ当量がE3(g/eq)のエポキシ樹脂をW3質量部配合する場合、そのエポキシ当量は以下の計算式で求められる。
エポキシ当量=(W1+W2+W3)/(W1/E1+W2/E2+W3/E3)
エポキシ樹脂の含有量は、マトリクス樹脂組成物の総質量に対して、必要に応じて変更しえるが、60~95質量%が好ましく、70~95質量%がより好ましく、70~85質量%がさらに好ましい。エポキシ樹脂の含有量が上記下限値以上であると、硬化物の機械物性を向上させることができる。エポキシ樹脂の含有量が上記上限値以下であると、硬化不良のない硬化物が得られやすい。
((メタ)アクリルモノマー)
(メタ)アクリルモノマー(以下、「(B)成分」ともいう。)は、樹脂硬化物の弾性率や靱性の向上に寄与する成分である。
(メタ)アクリルモノマーとしては、単官能(1個のアクリロイル基を有する)(メタ)アクリルモノマー、2官能以上の(2個以上のアクリロイル基を有する)(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。これらの中でも、単官能(メタ)アクリルモノマー、2官能(メタ)アクリルモノマーが好ましく、分子量150以上の単官能(メタ)アクリルモノマー、分子量150以上の2官能(メタ)アクリルモノマーがより好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
単官能(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチルビシクロヘプタン、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチル(メタ)アクリレート、4-アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン、4-アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジオキソラン、o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチレン(メタ)アクリレート、エトキシ化-o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、パラクミルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化パラクミルフェノール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-ベンジル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシベンジル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、単官能(メタ)アクリルモノマーの揮発性を低下させ、樹脂硬化物の靭性をより向上させることができることから、分子内に1つ以上のオキシアルキレン基及び1つ以上の環式構造(環状骨格)の少なくとも一方を有する単官能(メタ)アクリルモノマーが好ましく、分子内に1つ以上のオキシアルキレン基及び1つ以上の環式構造を有する単官能(メタ)アクリルモノマー(以下、「(B1)成分」ともいう。)がより好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
(B1)成分としては、下記一般式(1)で表される単官能(メタ)アクリルモノマー(以下、「モノマー(1)」ともいう。)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2024047178000003
一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2~6のアルキレン基であり、Rは芳香族炭化水素基又は脂環炭化水素基であり、pは1以上の整数である。
は水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。
は炭素数2~6のアルキレン基であり、炭素数2~4のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましく、炭素数2のアルキレン基(エチレン基)がさらに好ましい。Rのアルキレン基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
は芳香族炭化水素基又は脂環炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。脂環炭化水素基としては、例えばジシクロペンテニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。Rとしては、フェニル基、ビフェニル基又はジシクロペンテニル基が好ましい。Rの芳香族炭化水素基又は脂環炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、例えば炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
pは1以上の整数であり、1~10の整数が好ましく、1~4の整数がより好ましい。
モノマー(1)としては、一般式(1)中のRが炭素数2~6のアルキレン基であり、Rがフェニル基、ビフェニル基又はジシクロペンテニル基であり、pが1~4の整数である単官能(メタ)アクリルモノマーが好ましい。具体的には、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチレン(メタ)アクリレート、エトキシ化-o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化パラクミルフェノール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
2官能(メタ)アクリルモノマーとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコ-ル、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールF、ジオキサングリコール、ビスフェノキシフルオレンエタノール等のジオール、またこれらジオールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド又はカプロラクトンを付加して得たジオール類を(メタ)アクリル酸と反応させることによりエステル化して得たジ(メタ)アクリレート類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、樹脂硬化物の弾性率、強度、靭性のバランスをより良好なものにできることから、分子内に1つ以上のオキシアルキレン基及び1つ以上の環式構造の少なくとも一方を有する2官能(メタ)アクリルモノマーが好ましく、分子内に1つ以上のオキシアルキレン基及び1つ以上の環式構造を有する2官能(メタ)アクリルモノマー(以下、「(B2)成分」ともいう。)がより好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
好ましい2官能(メタ)アクリルモノマーの一例としては、下記一般式(2)で表される2官能(メタ)アクリルモノマー(以下、「モノマー(2)」ともいう。)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2024047178000004
一般式(2)中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2~55の2価の有機基である。
及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であり、R及びRともに水素原子が好ましい。
は炭素数2~55の2価の有機基である。2価の有機基は、酸素原子を有していてもよいし、有していなくてもよいが、有していることが好ましい。2価の有機基としては、例えば炭素数2~15のアルキレン基、環式構造を有する炭素数6~55の2価の有機基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。環式構造を有する炭素数6~55の2価の有機基としては、1つ以上のオキシアルキレン基を有するものが好ましく、下記一般式(3)で表される2価の有機基がより好ましい。
なお、モノマー(2)のうち、Rが下記一般式(3)で表される2価の有機基である化合物は、(B2)成分の一例に相当する。
Figure 2024047178000005
一般式(3)中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数2~6のアルキレン基であり、R及びR10はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、m及びnはそれぞれ独立して1以上の整数である。
及びRはそれぞれ独立して炭素数2~6のアルキレン基であり、炭素数2~4のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましく、R及びRともに炭素数2のアルキレン基(エチレン基)がさらに好ましい。R及びRのアルキレン基は、それぞれ直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
及びR10はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がさらに好ましく、R及びR10ともに炭素数1のアルキル基(メチル基)が特に好ましい。アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
m及びnはそれぞれ独立して1以上の整数であり、1~10の整数が好ましく、1~4の整数がより好ましい。また、m+nが2~20の整数が好ましく、2~10の整数がより好ましく、2~6の整数がさらに好ましい。
モノマー(2)としては、一般式(2)中のRが炭素数2~12のアルキレン基又は環式構造を有する炭素数6~55の2価の有機基である2官能(メタ)アクリルモノマーが好ましく、一般式(2)中のRが一般式(3)で表される2価の有機基である2官能(メタ)アクリルモノマーがより好ましい。具体的には、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートが好ましく、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の(B2)成分がより好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
(メタ)アクリルモノマーの分子量は(メタ)アクリルモノマーの取扱い性に優れ、揮発を抑制でき、マトリクス樹脂組成物を調製する際の調製温度やプリプレグを作製する際の含浸温度を十分に高め、一定の品質の製品を得ることができることから、150以上が好ましく、190以上がより好ましく、220以上がさらに好ましく、250以上が特に好ましい。また、(メタ)アクリルモノマーの分子量は(メタ)アクリルモノマーをマトリクス樹脂組成物に均一に分散させやすいことから、1500以下が好ましく、分子量は1000以下がより好ましく、800以下がさらに好ましい。
(メタ)アクリルモノマーの分子量の前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、(メタ)アクリルモノマーの分子量は150~1500が好ましく、190~1500がより好ましく、220~1000がさらに好ましく、250~800が特に好ましい。
(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量は繊維強化プラスチックの弾性率がより向上することから、150g/eq以上が好ましく、250g/eq以上がより好ましい。また、エポキシ樹脂との相溶性が高めることができることから、(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量は1500g/eq以下が好ましく、1000g/eq以下がより好ましい。
(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量の前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量は150~1500g/eqが好ましく、250~1000g/eqがより好ましい。
(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量は、(メタ)アクリルモノマーの分子量をMとし、分子中のエチレン性不飽和二重結合の数をDとしたときに、下記式より求められる値である。
(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量=M/D
本発明においては、マトリクス樹脂組成物が複数の(メタ)アクリルモノマーを含む場合、(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量は、マトリクス樹脂組成物に含まれる全ての(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量の平均値であり、以下の通り算出可能である。
例えば、3種類の(メタ)アクリルモノマーを併用する場合を例に計算方法を説明する。二重結合当量がD1(g/eq)の(メタ)アクリルモノマーをW4質量部、二重結合当量がD2(g/eq)の(メタ)アクリルモノマーをW5質量部、二重結合当量がD3(g/eq)の(メタ)アクリルモノマーをW6質量部配合する場合、その二重結合当量は以下の計算式で求められる。
二重結合当量=(W4+W5+W6)/(W4/D1+W5/D2+W6/D3)
(メタ)アクリルモノマーの含有量は、マトリクス樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ樹脂100質量部に対し、5質量部が好ましく、10質量部以上がより好ましい。また、エポキシ樹脂100質量部に対し、40質量部以下が好ましく、35質量部以下がより好ましい。(メタ)アクリルモノマーの含有量が上記範囲内であれば、プリプレグを硬化した際に、(メタ)アクリルモノマーの重合体を島相とする海島構造が形成されやすく、弾性率、靭性、耐熱性のバランスが特に良好となる。
(メタ)アクリルモノマーの含有量の前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、(メタ)アクリルモノマーの含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対し、5~40質量部が好ましく、10~35質量部がより好ましい。
(メタ)アクリルモノマーの含有量は、プリプレグの状態であればガスクロマトグラフィー法や液体クロマトグラフィー法等の分離分析法により特定でき、繊維強化プラスチックの状態、すなわち硬化物の状態であれば熱分解ガスクロマトグラフィー法により特定できる。
(硬化剤)
硬化剤(以下、「(C)成分」ともいう。)としては、例えばジシアンジアミド、脂肪族アミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類、ウレア類、イミダゾール類等のアミン系硬化剤の他、酸無水物類、フェノール類、塩化ホウ素アミン錯体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、ジシアンジアミド、芳香族アミン類、ウレア類、イミダゾール類、酸無水物類が好ましく、ジシアンジアミド、芳香族アミン類、ウレア類、イミダゾール類がより好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂の硬化を十分に進行させるために、マトリクス樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ樹脂100質量部に対し、1質量部が好ましく、2質量部以上がより好ましい。樹脂組成物の貯蔵安定性の観点からは、エポキシ樹脂100質量部に対し、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。
硬化剤の含有量の前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対し、1~40質量部が好ましく、2~30質量部がより好ましい。
ジシアンジアミドは約210℃の融点を有するため、低温領域ではエポキシ樹脂と相溶せず、硬化剤として用いるとマトリクス樹脂組成物のポットライフが優れる。
ジシアンジアミドの市販品としては、例えばDICY7、DICY15(以上、三菱ケミカル株式会社製)、DICYANEX 1400F(エボニック・ジャパン株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
ジシアンジアミドの含有量は、マトリクス樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ樹脂100質量部に対し、1~15質量部が好ましく、2~10質量部がより好ましい。ジシアンジアミドの含有量が上記下限値部以上であれば、エポキシ樹脂の硬化を進行させやすい。ジシアンジアミドの含有量が上記上限値部以下であれば、硬化物の外観不良を抑制しやすい。
樹脂硬化物の耐熱性と機械物性がより優れる傾向にあるため、マトリクス樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ樹脂が有するエポキシ基の全モル数に対し、ジシアンジアミドの活性水素のモル数は0.4~1倍となる量とすることが好ましく、0.5~0.8倍とすることがより好ましい。
芳香族アミン類としては、例えば3,3’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジイソプロピル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジイソプロピル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトライソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラ-t-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-メチレン-ビス[2-イソプロピル-6-メチルアニリン]、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、耐熱性と機械物性に優れ、さらに線膨張係数及び吸湿による耐熱性の低下が小さい樹脂硬化物が得られることから、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホンが好ましい。特に、4,4’-ジアミノジフェニルスルホンは、プリプレグのタックライフを長い期間保持することができる点で好ましい。3,3’-ジアミノジフェニルスルホンは、樹脂硬化物の弾性率や靱性を高くすることができるため好ましい。また、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホンを同時に配合してもよい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
芳香族アミン類の含有量は、マトリクス樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ樹脂100質量部に対し、1~60質量部が好ましく、2~50質量部がより好ましい。芳香族アミン類の含有量が上記下限値部以上であれば、耐熱性と弾性率に優れる傾向にある。芳香族アミン類の含有量が上記上限値部以下であれば、靭性に優れる傾向にある。
アミノ基の活性水素当量数は、マトリクス樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂のエポキシ当量数の0.5~1.5倍であることが好ましく、0.6~1.4倍であることがより好ましい。これらのエポキシ樹脂硬化剤のアミノ基の活性水素当量数を全エポキシ樹脂のエポキシ当量数の0.5~1.5倍となるように配合することで、樹脂硬化物の弾性率、靭性及び耐熱性を良好な範囲にすることができる傾向にある。
芳香族アミン類の中でも、4,4’-ジアミノジフェニルスルホンの市販品としては、例えばセイカキュアS(活性水素当量62g/eq、和歌山精化工業株式会社製)、スミキュアS(活性水素当量62g/eq、住友化学株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
3,3’-ジアミノジフェニルスルホンの市販品としては、例えば3,3’-DAS(活性水素当量62g/eq、三井化学ファイン株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
その他の芳香族アミン類の市販品としては、例えばMDA-220(活性水素当量50g/eq、三井化学株式会社製)、jERキュアW(活性水素当量45g/eq、三菱ケミカル株式会社製)、Lonzacure M-DEA(活性水素当量78g/eq)、Lonzacure M-DIPA(活性水素当量92g/eq)、Lonzacure M-MIPA(活性水素当量78g/eq)、Lonzacure DETDA 80(活性水素当量45g/eq)(以上、Lonza株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ウレア類は、分子内にジメチルウレイド基を有し、高温で加熱することによりイソシアネート基とジメチルアミンを生成し、エポキシ基を活性化する。
ウレア類としては、例えばジメチルウレイド基が芳香環に結合した芳香族ジメチルウレア、ジメチルウレイド基が脂肪族化合物に結合した脂肪族ジメチルウレア等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、硬化物の耐熱性及び曲げ強度が高くなる傾向にある点で、芳香族ジメチルウレアが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
ウレア類の含有量は、マトリクス樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ樹脂100質量部に対し、1~15質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましい。ウレア類の含有量が上記下限値部以上であれば、マトリクス樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂の硬化を促進し、樹脂硬化物の機械物性や耐熱性を高くすることができる傾向にある。ウレア類の含有量が上記上限値部以下であれば、樹脂硬化物の耐熱性と靱性を高く保持できる傾向にある。
芳香族ジメチルウレアとしては、例えばフェニルジメチルウレア、メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、トリレンビス(ジメチルウレア)等が挙げられる。芳香族ジメチルウレアの具体例としては、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)(MBPDMU)、3-フェニル-1,1-ジメチルウレア(PDMU)、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU)、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチルウレア、2,4-ビス(3,3-ジメチルウレイド)トルエン(TBDMU)、m-キシリレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、硬化促進能力や樹脂硬化物への耐熱性付与といった点から、MBPDMU、PDMU、DCMU、TBDMUがより好ましい。
脂肪族ジメチルウレアとしては、イソホロンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア、ヘキサメチレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
ウレア類の市販品としては、例えばDCMUとして、DCMU-99(保土谷化学工業社製)等、MBPDMUとして、Technicure MDU-11(A&C Catalysts社製);Omicure(オミキュア)52(蝶理GLEX株式会社)等、PDMUとして、Omicure(オミキュア)94(蝶理GLEX株式会社)、TBDMUとして、Omicure(オミキュア)24(蝶理GLEX株式会社)、U-CAT 3512T(サンアプロ株式会社製)等、脂肪族ジメチルウレアとして、U-CAT 3513N(サンアプロ株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イミダゾール類は、その構造の中に非共有電子対を有する窒素原子を有し、エポキシ基を活性化させることができるため、硬化を促進することができる。
イミダゾール類としては、例えばイミダゾール、イミダゾールアダクト、包接イミダゾール、マイクロカプセル型イミダゾール、安定化剤を配位させたイミダゾール化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
イミダゾール類の含有量は、マトリクス樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ樹脂100質量部に対し、1~15質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましい。イミダゾール類の含有量が上記下限値部以上であれば、マトリクス樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂の硬化を促進し、樹脂硬化物の耐熱性を高くすることができる傾向にある。イミダゾール類の含有量が上記上限値部以下であれば、機械的特性により優れた樹脂硬化物が得られる傾向にある。
イミダゾール類の具体例としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-エチル-4-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、1-シアノエチル-2-フェニル-4,5-ジ(2-シアノエトキシ)メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アダクト処理、異分子による包接処理、マイクロカプセル処理、あるいは安定化剤を配位させたイミダゾールは、イミダゾールを修飾したものである。修飾により活性を落とし、低温領域で優れたポットライフを発現しつつも硬化促進することができる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
イミダゾール類の市販品としては、例えば2E4MZ、2P4MZ、2PZ-CN、C11Z-CNS、C11Z-A、2MZA-PW、2MAOK-PW、2P4MHZ-PW、2PHZ-PW(以上、四国化成工業株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イミダゾールアダクトの市販品としては、例えばエポキシ樹脂のエポキシ基へイミダゾール化合物が開環付加した構造を有する、PN-50、PN-50J、PN-40、PN-40J、PN-31、PN-23、PN-H(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
包接イミダゾールの市販品としては、例えばTIC-188、KM-188、HIPA-2P4MHZ、NIPA-2P4MHZ、TEP-2E4MZ、HIPA-2E4MZ、NIPA-2E4MZ(以上、日本曹達株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マイクロカプセル型イミダゾールの市販品としては、例えばノバキュアHX3721、ノバキュアHX3722、ノバキュアHX3742、ノバキュアHX3748(以上、旭化成イーマテリアルズ株式会社製);LC-80(A&C Catalysts社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
安定化剤を配位させたイミダゾール化合物は、例えば四国化成工業株式会社製のイミダゾールアダクトであるキュアダクトP-0505(ビスフェノールAジグリシジルエーテル/2-エチル-4-メチルイミダゾールアダクト)に、四国化成工業株式会社製の安定化剤であるL-07N(エポキシ-フェノール-ホウ酸エステル配合物)を組み合わせることにより用意できる。キュアダクトP-0505の替わりに、先に挙げた各種イミダゾールやイミダゾールアダクト等のイミダゾール化合物を用いても同様の効果が得られる。
酸無水物類としては、例えば水素化メチルナジック酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
硬化剤は、融点が70℃以上である硬化剤(以下、「(C1)成分」ともいう。)を含むことが好ましい。
(C1)成分の含有量は、(C)成分の総質量に対して50質量%以上が好ましく、80質量以上がより好ましく、100質量%であってもよい。(C1)成分の含有量が上記下限値以上であれば、低温領域でエポキシ樹脂と硬化剤が相溶することを抑制し、エポキシ樹脂と硬化剤が直ちに反応することを抑制する傾向にある。すなわち、ポットライフが長いマトリクス樹脂組成物を得ることができ、可使時間の長いプリプレグを得ることができる傾向にある。
(C1)成分の具体例としては、ジシアンジアミド(融点208℃)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(融点175℃)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(融点170℃)、4,4’-メチレン-ビス[2-イソプロピル-6-メチルアニリン](融点72℃)、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)(融点216℃)、3-フェニル-1,1-ジメチルウレア(融点126℃)、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(融点159℃)、2,4-ビス(3,3-ジメチルウレイド)トルエン(融点180℃)、2-フェニルイミダゾール(融点137℃)、2,4-ジアミノ-6-(2’-エチル-4-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン(融点248℃)、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン・イソシアヌル酸付加物(融点260℃以上)、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(融点230℃以上)、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール(融点191℃)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(熱ラジカル重合開始剤)
ラジカル重合開始剤には、熱によって活性化する熱ラジカル重合開始剤と、光照射によって活性化する光ラジカル重合開始剤がある。エポキシ樹脂の熱硬化と同時にラジカルを発生できることから、ラジカル重合開始剤として、少なくとも熱ラジカル重合開始剤(以下、「(D)成分」ともいう。)を用いることが好ましい。すなわち、マトリクス樹脂組成物に熱ラジカル重合開始剤を配合することによって、エポキシ樹脂の熱硬化と同時に、(メタ)アクリルモノマーの重合を進行させることができる。
熱ラジカル重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリルモノマーの重合を十分に進行させるために、マトリクス樹脂組成物に含まれる全ての(メタ)アクリルモノマー100質量部に対し、0.1質量部が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。プリプレグの保存安定性の観点からは、(メタ)アクリルモノマー100質量部に対し、10質量部以下が好ましく、9質量部以下がより好ましい。
熱ラジカル重合開始剤の含有量の前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、熱ラジカル重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリルモノマー100質量部に対し、0.1~5質量部が好ましく、0.2~3質量部がより好ましい。
熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度は、プリプレグの保存安定性の観点からは、70℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。マトリクス樹脂組成物の硬化過程において(メタ)アクリルモノマーの重合を十分に進行させる観点からは、150℃以下が好ましい。
熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度の前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度は、70~150℃が好ましく、100~150℃がより好ましい。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えばアゾ系化合物類、有機過酸化物類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、熱分解時に気体が発生しにくい観点から、有機過酸化物類(以下、「(D1)成分」ともいう。)が好ましい。
(D1)成分の含有量は、(D)成分の総質量に対して80質量%以上が好ましく、90質量以上がより好ましく、100質量%であってもよい。(D1)成分の含有量が上記下限値以上であれば、ボイドが抑制された高品質な繊維強化プラスチックが容易に得られやすい。
また、(D1)成分の含有量は、(メタ)アクリルモノマーの重合を十分に進行させるために、マトリクス樹脂組成物に含まれる全ての(メタ)アクリルモノマー100質量部に対し、0.1質量部が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。プリプレグの保存安定性の観点からは、(メタ)アクリルモノマー100質量部に対し、10質量部以下が好ましく、9質量部以下がより好ましい。
(D1)成分の含有量の前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、(D1)成分の含有量は、(メタ)アクリルモノマー100質量部に対し、0.1~10質量部が好ましく、0.2~9質量部がより好ましい。
(D1)成分としては、例えばジアシルパーオキサイド、アルキルパーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
(D1)成分の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド(110℃)、アセチルアセトンパーオキサイド(130℃)等のケトンパーオキサイド類;1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(95℃)、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(87.1℃)、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(90.7℃)、2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン(103.1℃)、n-ブチル4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート(104.5℃)、2,2-ジ(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(94.7℃)、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(86.7℃)、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン(95℃)等のパーオキシケタール類;p-メンタンハイドロパーオキサイド(128℃)、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(145.1℃)、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド(152.9℃)、クメンハイドロパーオキサイド(157.9℃)、t-ブチルハイドロパーオキサイド(166.5℃)等のハイドロパーオキサイド類;ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(119.2℃)、ジクミルパーオキサイド(116.4℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(117.9℃)、t-ブチルクミルパーオキサイド(119.5℃)、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド(116.4℃)、ジ-t-ブチルパーオキサイド(123.7℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3(128.4℃)等のジアルキルパーオキサイド類;ジイソブチリルパーオキサイド(32.7℃)、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(59.4℃)、ラウロイルパーオキサイド(61.6℃)、ジコハク酸パーオキサイド(65.9℃)、m-トルオイルパーオキサイド(73.1℃)、ジベンゾイルパーオキサイド(73.6℃)、ジオクタノイルパーオキサイド(63℃)等のジアシルパーオキサイド類;ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート(40.3℃)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(40.5℃)、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(40.8℃)、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(43.6℃)、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート(40.5℃)、ジ(3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネート(43℃)等のパーオキシジカーボネート類;クミルパーオキシネオデカノエート(36.5℃)、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(40.7℃)、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート(44.5℃)、t-ブチルパーオキシネオデカノエート(46.4℃)、t-ヘキシルパーオキシピバレート(53.2℃)、t-ブチルパーオキシピバレート(54.6℃)、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルへキサノエート(65.3℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(66.2℃)、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(69.9℃)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(72.1℃)、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(95℃)、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート(97.1℃)、t-ブチルパーオキシラウレート(98.3℃)、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(98.7℃)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート(99℃)、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート(99.4℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(99.7℃)、t-ブチルパーオキシアセテート(101.9℃)、t-ブチルパーオキシベンゾエート(104.3℃)、t-ブチルパーオキシマレイックアシッド(96.1℃)、t-ブチルパーオキシイソブチレート(75℃)等のパーオキシエステル類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、括弧内の数値は、10時間半減期温度である。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂(以下、「(E)成分」ともいう。)としては、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテル、ポリオレフィン、液晶ポリマー、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリルスチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、AES(アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン共重合体)、ASA(アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、ブロックコポリマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、エポキシ樹脂に対する溶解性と樹脂フロー制御性に優れることから、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂が好ましい。その中でも特に、配合量が少量でも樹脂フロー制御性に優れることからポリビニルホルマールが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂フロー制御性が良好に発揮される傾向にあることから、マトリクス樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ樹脂100質量部に対し、1質量部が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましい。マトリクス樹脂組成物の粘度上昇が小さくなる観点からは、エポキシ樹脂100質量部に対し、30質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、6質量部以下がさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の含有量の前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、熱可塑性樹脂の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対し、1~30質量部が好ましく、2~10質量部がより好ましく、3~6質量部がさらに好ましい。
(任意成分)
任意成分としては、例えばエポキシ樹脂の硬化促進剤、リン系難燃剤(例えばリン含有エポキシ樹脂、赤燐、ホスファゼン化合物、リン酸塩類、リン酸エステル類等)、無機系難燃化剤(例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等)、離型剤(例えば天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド、エステル類、パラフィン類等)、無機充填剤(例えば結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウムなどの粉体や、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維等)、着色剤(例えばカーボンブラック、ベンガラ等)、有機顔料、無機顔料、シランカップリング剤、シリコーンオイル、湿潤分散剤、消泡剤、脱泡剤、無機酸化物又はその他助剤(例えばアンチモン化合物、硼酸亜鉛、錫酸亜鉛、Mo化合物、ZrO、硫化亜鉛、ゼオライト、酸化チタンナノフィラー系等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
また、任意成分として、例えばラジカル重合性の二重結合を有するオリゴマー又はプレポリマーを用いてもよい。オリゴマー又はプレポリマーとしては、例えばマクロモノマー、アクリルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
(マトリクス樹脂組成物の製造方法)
マトリクス樹脂組成物は、上述した各成分を加熱混合することにより得られる。各成分の混合方法としては、例えば三本ロールミル、プラネタリミキサー、ニーダー、ホモジナイザー、ホモディスパー等の混合機を用いる方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<強化繊維>
強化繊維は、プリプレグ中で強化繊維基材(強化繊維の集合体)として存在させることができ、シート状であることが好ましい。
強化繊維基材中の繊維の配向は、強化繊維が単一方向に配列したものであってもよく、ランダム方向に配列したものであってもよい。
強化繊維基材の形態としては、強化繊維の織物、強化繊維の不織布、強化繊維の長繊維が一方向に引き揃えられたシート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。比強度や比弾性率が高い繊維強化プラスチックを成形できるという観点からは、連続繊維が単一方向に引き揃えられた強化繊維の束からなるシートをプリプレグに用いることが好ましい。取り扱いが容易であるという観点からは、強化繊維の織物をプリプレグに用いることが好ましい。
強化繊維基材の目付は特に制限されないが、例えば10~4000g/mとすることができる。
強化繊維の材質としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、高強度ポリエステル繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、得られる繊維強化プラスチックの機械物性が高まり、また、軽量化できる観点から、強化繊維としては炭素繊維が好ましい。
炭素繊維の繊維径は、3~12μmが好ましい。
炭素繊維のストランド引張強度は1.5~9GPaが好ましい。また、炭素繊維のストランド引張弾性率は150~400GPaが好ましい。炭素繊維のストランド引張強度及びストランド引張弾性率がそれぞれ上記範囲内であれば、得られる繊維強化プラスチックの剛性が高まる。
ここで、炭素繊維のストランド引張強度及びストランド引張弾性率は、それぞれJIS R 7601:1986に準拠して測定される値である。
炭素繊維は、複数の炭素繊維を束ねた炭素繊維束として用いることが好ましい。また、炭素繊維束を複数束用いて一方向に繊維を引き揃えたシート状の強化繊維基材としてもよいし、炭素繊維束をチョップしたチョップド炭素繊維束を散布してシート状の強化繊維基材としてもよい。
炭素繊維束における炭素繊維の本数は、1000~70000本が好ましい。
<プリプレグの製造方法>
プリプレグは、例えばマトリクス樹脂組成物を強化繊維基材に含浸させることで得られる。マトリクス樹脂組成物を強化繊維基材に含浸させる方法としては、例えばマトリクス樹脂組成物をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して低粘度化してから、強化繊維基材に含浸させるウェット法;マトリクス樹脂組成物を加熱により低粘度化してから、強化繊維基材に含浸させるホットメルト法(ドライ法)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マトリクス樹脂組成物の強化繊維基材への含浸温度は、マトリクス樹脂組成物の粘度に合わせて設定するものであるが、マトリクス樹脂組成物の硬化反応が開始せず、マトリクス樹脂組成物を強化繊維基材に十分に含浸させる必要がある観点から、40~120℃が好ましく、50~110℃がより好ましい。
ウェット法は、強化繊維基材をマトリクス樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法である。
ホットメルト法には、加熱により低粘度化したマトリクス樹脂組成物を直接、強化繊維基材に含浸させる方法;一旦、マトリクス樹脂組成物を離型紙等の基材の表面に塗布して樹脂フィルムを作製しておき、次いで強化繊維基材の両側又は片側から樹脂フィルムを重ね、加熱加圧することにより強化繊維基材にマトリクス樹脂組成物を含浸させる方法がある。離型紙等の基材の表面にマトリクス樹脂組成物を塗布して得られる塗布層は、未硬化のままでホットメルト法に用いてもよいし、塗布層を硬化させた後にホットメルト法に用いてもよい。
プリプレグ中に残留する溶媒が実質的に存在しない観点から、ホットメルト法によりプリプレグを製造することが好ましい。
プリプレグ中のマトリクス樹脂組成物の含有量(以下、「樹脂含有量」ともいう。)は、プリプレグの総質量に対して、15~50質量%が好ましく、15~45質量%がより好ましく、15~40質量%がさらに好ましい。樹脂含有量が上記下限値以上であれば、強化繊維とマトリクス樹脂組成物との接着性を十分に確保することができる。樹脂含有量が上記上限値以下であれば、繊維強化プラスチックの機械物性がより高まる。
プリプレグ中の強化繊維の含有量(以下、「繊維含有量」ともいう。)は、プリプレグの総体積に対して、40~80体積%が好ましく、45~80体積%がより好ましく、50~80体積%がさらに好ましい。繊維含有量が上記下限値以上であれば、繊維強化プラスチックの機械物性がより高まる。繊維含有量が上記上限値以下であれば、強化繊維とマトリクス樹脂組成物との接着性を十分に確保することができる。
<作用効果>
以上説明した本実施形態のプリプレグは、特定の比Rで配合されたエポキシ樹脂及び(メタ)アクリルモノマーを含むマトリクス樹脂組成物と、強化繊維とを含むので、強化繊維とマトリクス樹脂組成物の接着強度が向上し、強度と弾性率を維持しつつ、靭性が改善された繊維強化プラスチックを得ることができる。
<用途>
本実施形態のプリプレグは、繊維強化プラスチックの中間材料として好適である。
[繊維強化プラスチック]
本発明の第二の態様の繊維強化プラスチックは、上述した本発明の第一の態様のプリプレグを硬化させてなるものである。すなわち、繊維強化プラスチックは、プリプレグに含まれるマトリクス樹脂組成物の硬化物と、強化繊維とを含む。
本発明の第一の態様のプリプレグを加熱すると、マトリクス樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂の硬化と同時に、(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合が進行する。このとき、マトリクス樹脂組成物が硬化剤を含んでいれば、エポキシ樹脂の硬化反応が促進される。また、マトリクス樹脂組成物が熱ラジカル重合開始剤を含んでいれば、熱ラジカル重合開始剤が開裂しフリーラジカルを生成することによって、(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合反応が促進される。よって、マトリクス樹脂組成物の硬化物は、エポキシ樹脂の硬化物と(メタ)アクリルポリマーとで構成される。
繊維強化プラスチックは、例えば、2枚以上のプリプレグが積層された積層体の硬化物とすることができる。具体的には、プリプレグを2枚以上積層した後、得られた積層体に圧力を付与しながら、加熱硬化させる方法等により成形することで繊維強化プラスチックからなる成形品が得られる。
プリプレグを2枚以上積層する場合、全てのプリプレグが本発明の第一の態様のプリプレグであってもよいし、本発明の第一の態様のプリプレグと、本発明の第一の態様のプリプレグ以外のプリプレグ(以下、「他のプリプレグ」ともいう。)とを併用してもよい。
他のプリプレグとしては、熱可塑性樹脂組成物と強化繊維とを含むプリプレグ、エポキシ樹脂組成物と強化繊維とを含むプリプレグ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
成形方法としては、例えばプレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法、シートラップ成形法、強化繊維のフィラメントやプリフォームにマトリクス樹脂組成物を含浸させて硬化し成形品を得るRTM(Resin Transfer Molding)、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding:真空樹脂含浸製造法)、フィラメントワインディング、RFI(Resin Film Infusion)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、良質な繊維強化プラスチックが得られやすいという観点からは、オートクレーブ成形法が好ましく、高い生産性が得られるという観点からは、プレス成形法が好ましい。
プレス成形法で繊維強化プラスチックを製造する場合、プリプレグ、又はプリプレグを積層して作製したプリフォームを、予め硬化温度に調整した金型に挟んで加熱加圧し、プリプレグ又はプリフォームを硬化することが好ましい。
プレス成形時の金型内の温度は、100~180℃が好ましい。また、1~15MPaの条件下で1~20分間、プリプレグ又はプリフォームを硬化させることが好ましい。
<作用効果>
以上説明した本実施形態の繊維強化プラスチックは、本発明の第一の態様のプリプレグを硬化させてなるものであるため、強化繊維とマトリクス樹脂組成物の接着強度が向上し、強度と弾性率を維持しつつ、靭性が改善されており、強度及び弾性率が高い。
<用途>
本実施形態の繊維強化プラスチックは、例えば自動車用部材;航空宇・宙素材;土木・建築用素材;釣り竿、ゴルフシャフト、ラケット等のスポーツ・レジャー用素材;圧力容器;風車ブレード等の工業用素材など、幅広い用途に使用できる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の記載によっては限定されない。実施例、及び比較例で使用した原料を以下に示す。
[原料]
<(A)成分:エポキシ樹脂>
・MY0600:トリグリシジル-m-アミノフェノール(ハンツマン・ジャパン株式会社社製、商品名「MY0600」、エポキシ当量106g/eq)。
・jER604:テトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「jER 604」、エポキシ当量120g/eq)。
・N-660:固形ノボラック型骨格を有するエポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名「EPICLON N-660」、エポキシ当量207g/eq)。
・N-690:固形ノボラック型骨格を有するエポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名「EPICLON N-690」、エポキシ当量214g/eq)。
・jER4005P:固形ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「jER 4005P」、エポキシ当量1075g/eq)。
・jER4007P:固形ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、製品名「jER 4007P」、エポキシ当量2250g/eq)。
・jER807:液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「jER 807」、エポキシ当量167.5g/eq)。
・TSR-400:固形オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名「EPICLON TSR-400」、エポキシ当量338g/eq)。
<(B)成分:(メタ)アクリルモノマー>
・A-BPE-4:エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(第一工業製薬株式会社製、商品名「ニューフロンティア A-BPE-4」、分子量:512、2官能、二重結合当量256g/eq、一般式(2)中、R及びRが水素原子であり、Rが一般式(3)で表される2価の有機基であり、一般式(3)中のR及びRがエチレン基であり、R及びR10がメチル基であり、m+nが4であるモノマー(2))。
・AMP-20GY:フェノキシジエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名「AMP-20GY」、分子量:236、単官能、二重結合当量236g/eq、一般式(1)中、Rが水素原子であり、Rがエチレン基であり、Rがフェニル基であり、pが2の整数であるモノマー(1))。
・FA-314A:ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(昭和電工マテリアルズ株式会社製、商品名「ファンクリル FA-314A」、分子量452、単官能、二重結合当量452g/eq、一般式(1)中、Rが水素原子であり、Rがエチレン基であり、Rがノニル基を有するフェニル基(ノニルフェニル基)であり、pが4の整数であるモノマー(1))。
・FA-512AS:ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(昭和電工マテリアルズ株式会社製、商品名「ファンクリル FA-512AS」、分子量248、単官能、二重結合当量248g/eq、一般式(1)中、Rが水素原子であり、Rがエチレン基であり、Rがジシクロペンテニル基であり、pが1の整数であるモノマー(1))。
・A-LEN-10:エトキシ化-o-フェニルフェノールアクリレート(新中村化学工業株式会社、商品名「A-LEN-10」、分子量268、単官能、二重結合当量268g/eq、一般式(1)中、Rが水素原子であり、Rがエチレン基であり、Rがビフェニル基であり、pが1の整数であるモノマー(1))。
・A-NOD-N:1,9-ノナンジオールジアクリレート(新中村化学工業株式会社、商品名「A-NOD-N」、分子量268、2官能、二重結合当量134g/eq、一般式(2)中、R及びRが水素原子であり、Rが炭素数9の直鎖状のアルキレン基であるモノマー(2))。
<(C)成分:硬化剤>
・DICYANEX 1400F:ジシアンジアミド(エボニック・ジャパン株式会社製、商品名「DICYANEX 1400F」、活性水素当量21g/eq、融点208℃)。
・Omicure94:3-フェニル-1,1-ジメチルウレア(蝶理GLEX株式会社、商品名「Omicure94」、活性水素等量164g/eq、融点126℃)。
<(D)成分:熱ラジカル重合開始剤>
・PERCUMYL D:ジクミルパーオキサイド(日油株式会社製、商品名「パークミルD」、10時間半減期温度116.4℃)。
<(E)成分:熱可塑性樹脂>
・VINYLEC K:ポリビニルホルマール樹脂(JNC株式会社製、商品名「ビニレックK」)。
・VINYLEC E:ポリビニルホルマール樹脂(JNC株式会社製、商品名「ビニレックE」)。
[実施例1]
<マトリクス樹脂組成物の調製>
まず、表1に示す組成に従い、(C)成分と、(A)成分のうち液状のエポキシ樹脂の一部を、これらの質量比が1:1となるように容器に計量し、撹拌混合した。これを三本ロールミルにてさらに細かく混合し、硬化剤入りマスターバッチを得た。
次いで、表1に示す組成に従い、硬化剤入りマスターバッチで使用した以外の(A)成分と、(E)成分とをフラスコに計量し、オイルバスを用いて140℃で加熱撹拌し、(E)成分を溶解混合した後、80℃まで冷却した。引き続き、(B)成分を加え、撹拌混合することで均一な粘調液を得た後、65℃程度まで冷却した。引き続き、先に調製した硬化剤入りマスターバッチと、(D)成分を加え、撹拌混合することにより未硬化のマトリクス樹脂組成物を得た。
なお、表中の空欄は、その成分が配合されていないこと(配合量0質量部)を意味する。
<マトリクス樹脂組成物の硬化物(樹脂板)の作製>
未硬化のマトリクス樹脂組成物を60~70℃の真空中で脱泡した後、2枚のガラス板の間に注入することで板状に成形し、2℃/分で昇温し、オーブン雰囲気温度150℃で120分保持することで加熱硬化させ、厚さ2.0mmの硬化物(樹脂板)を作製した。
<プリプレグの作製>
離型紙上で、コンマコーター(株式会社ヒラノテクシード製、製品名「R-HC」)を用いて未硬化のマトリクス樹脂組成物をフィルム状にし、離型紙上に樹脂目付け26.8g/mの樹脂フィルムを作製し、離型紙の載っていない面に厚み17μmポリエチレン製の保護フィルムを貼りつけた。
樹脂フィルムから離型紙を剥離した後、炭素繊維(繊維径7μm、ストランド引張強度4.9GPa、ストランド引張弾性率235GPa)を引き揃えて得られた繊維目付125g/mの炭素繊維シートの両面に、離型紙を剥離した面が接するように樹脂フィルムを貼り合わせ、加熱ロールで含浸させて、樹脂含有量30質量%、繊維含有量62体積%の未硬化の一方向プリプレグを得た。
<繊維強化プラスチック板の作製>
未硬化のプリプレグを300mm×300mmにカットし、繊維方向を揃えて18枚重ねて積層体を得た。この積層体をオートクレーブで圧力0.6MPa下で2℃/分で昇温し、150℃で120分保持して加熱硬化させて、厚さ2.0mmの繊維強化プラスチック板を得た。
得られた樹脂板及び強化繊維プラスチック板について、下記の各評価方法の記載に従って、各種評価を行った。その結果を表1、2に示す。
<評価>
(樹脂板の機械物性(曲げ強度、曲げ弾性率、破壊靭性)の評価)
厚さ2.0mmの樹脂板を、長さ60mm×幅8mmに加工して試験片とした。得られた試験片について、温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具(圧子R=3.2mm、サポートR=3.2mm、サポート間距離(L)=32mm)を設置した万能試験機(INSTRON社製、製品名「INSTRON 5965」)を用いて、クロスヘッドスピード2mm/分の条件で、樹脂板の曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。具体的には、上記測定条件で得られた応力-歪み曲線を用いて、曲げ歪み0.05~0.25%の区間で割線法により曲げ弾性率(単位:GPa)を算出した。
別途、厚さ3.0mmの樹脂板について、ASTM D5045に示されるSENB法に準拠して、破壊靭性値(KIc)を測定した。
(繊維強化プラスチック板の90°曲げ物性(90°曲げ強度、90°曲げ弾性率、破断歪み)の評価)
厚さ2.0mmの繊維強化プラスチック板を、長さ60mm×幅12.7mmに加工して試験片とした。得られた試験片について、温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具(圧子R=5.0mm、サポートR=3.2mm)を設置した万能試験機(INSTRON社製、製品名「INSTRON 5965」)を用いて、サポート間距離(L)と試験片の厚み(d)の比L/d=16、クロスヘッドスピード(分速)=(L2×0.01)/(6×d)として、繊維強化プラスチック板の90°曲げ強度、90°曲げ弾性率及び破断歪みを測定した。
[実施例2~4]
表1に示す配合組成となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてマトリクス樹脂組成物を調製した。得られたマトリクス樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂板を作製し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
表1に示す配合組成となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてマトリクス樹脂組成物を調製した。得られたマトリクス樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂板、プリプレグ及び繊維強化プラスチック板を作製し、評価した。結果を表1、2に示す。
[比較例1~3]
表1に示す配合組成となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてマトリクス樹脂組成物を調製した。得られたマトリクス樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂板を作製し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例4]
表1に示す配合組成となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてマトリクス樹脂組成物を調製した。得られたマトリクス樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ及び繊維強化プラスチック板を作製し、評価した。結果を表2に示す。
Figure 2024047178000006
Figure 2024047178000007
表1に示す結果から明らかなように、実施例1~5で得られた樹脂板は、曲げ強度、曲げ弾性率及び破壊靭性のバランスに優れていた。樹脂板の曲げ強度、曲げ弾性率は、(メタ)アクリルモノマー含まない場合と比較して85%以上の値を維持しながら破壊靭性が向上した。
また、表2に示す結果から明らかなように、実施例1、5で得られた繊維強化プラスチック板は、90°曲げ強度、90°曲げ弾性率及び破断歪みのバランスに優れていた。
一方、(B)成分を用いていない比較例1で得られた樹脂板は、実施例1~5と比較して破壊靭性が低かった。
比Rが1.0未満である比較例2、3で得られた樹脂板は、実施例1~5と比較して曲げ強度が低かった。特に比較例2で得られた樹脂板は、実施例1~5と比較して破壊靭性も低かった。
(B)成分を用いていない比較例4で得られた繊維強化プラスチック板は、実施例1および5と比較して90°曲げ強度及び90°曲げ弾性率が低かった。
これらの結果より、実施例1~5で得られたプリプレグであれば、強度と弾性率を維持しつつ、靭性が改善された繊維強化プラスチックを得ることができることが示された。
本発明のプリプレグを用いることにより、靭性を維持しつつ、強度と弾性率が改善された繊維強化プラスチックを得ることができる。よって、本発明によれば、機械物性に優れた繊維強化プラスチック成形体、例えば釣り竿、ゴルフシャフト、ラケット等のスポーツ・レジャー用途成形体から航空機、自動車等の産業用途成形体まで、幅広く適用することができる。

Claims (20)

  1. マトリクス樹脂組成物と強化繊維とを含むプリプレグであって、
    前記マトリクス樹脂組成物が、エポキシ樹脂及び(メタ)アクリルモノマーを含み、
    前記(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量と、前記エポキシ樹脂のエポキシ当量との比R(二重結合当量/エポキシ当量)が1.0以上である、プリプレグ。
  2. 前記マトリクス樹脂組成物が、硬化剤及び熱ラジカル重合開始剤をさらに含む、請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記エポキシ樹脂が、ノボラック型エポキシ樹脂及び3官能以上のアミン型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載のプリプレグ。
  4. 前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が150g/eq以上である、請求項1又は2に記載のプリプレグ。
  5. 前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が250g/eq以下である、請求項1又は2に記載のプリプレグ。
  6. 前記(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量が150g/eq以上である、請求項1又は2に記載のプリプレグ。
  7. 前記(メタ)アクリルモノマーの二重結合当量が1500g/eq以下である、請求項1又は2に記載のプリプレグ。
  8. 前記(メタ)アクリルモノマーが、分子量150以上の単官能(メタ)アクリルモノマー及び分子量150以上の2官能(メタ)アクリルモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載のプリプレグ。
  9. 前記(メタ)アクリルモノマーが、下記一般式(1)で表される単官能(メタ)アクリルモノマー及び下記一般式(2)で表される2官能(メタ)アクリルモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載のプリプレグ。
    Figure 2024047178000008
    一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2~6のアルキレン基であり、Rは芳香族炭化水素基又は脂環炭化水素基であり、pは1以上の整数である。
    一般式(2)中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2~55の2価の有機基である。
  10. 前記一般式(1)中の前記Rが炭素数2~6のアルキレン基であり、前記Rがフェニル基、ビフェニル基又はジシクロペンテニル基であり、前記pが1~10の整数である、請求項9に記載のプリプレグ。
  11. 前記一般式(2)中の前記Rが炭素数2~15のアルキレン基又は環式構造を有する炭素数6~55の2価の有機基である、請求項9に記載のプリプレグ。
  12. 前記環式構造を有する炭素数6~55の2価の有機基が、下記一般式(3)で表される2価の有機基である、請求項11に記載のプリプレグ。
    Figure 2024047178000009
    一般式(3)中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数2~6のアルキレン基であり、R及びR10はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、m及びnはそれぞれ独立して1以上の整数である。
  13. 前記硬化剤が、ジシアンジアミド、芳香族アミン類、ウレア類及びイミダゾール類からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項2に記載のプリプレグ。
  14. 前記熱ラジカル重合開始剤が有機過酸化物類を含む、請求項2に記載のプリプレグ。
  15. 前記熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が70℃以上である、請求項2又は14に記載のプリプレグ。
  16. 前記マトリクス樹脂組成物が、熱可塑性樹脂をさらに含む、請求項1又は2に記載のプリプレグ。
  17. 前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエーテルスルホン及びフェノキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項16に記載のプリプレグ。
  18. 前記マトリクス樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、前記(メタ)アクリルモノマーを5~40質量部含む、請求項1又は2に記載のプリプレグ。
  19. 前記マトリクス樹脂組成物は、前記(メタ)アクリルモノマー100質量部に対して、前記熱ラジカル重合開始剤を0.1~5質量部含む、請求項2又は14に記載のプリプレグ。
  20. 請求項1又は2に記載のプリプレグを硬化させてなる、繊維強化プラスチック。
JP2022152653A 2022-09-26 2022-09-26 プリプレグ及び繊維強化プラスチック Pending JP2024047178A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022152653A JP2024047178A (ja) 2022-09-26 2022-09-26 プリプレグ及び繊維強化プラスチック

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022152653A JP2024047178A (ja) 2022-09-26 2022-09-26 プリプレグ及び繊維強化プラスチック

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024047178A true JP2024047178A (ja) 2024-04-05

Family

ID=90527174

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022152653A Pending JP2024047178A (ja) 2022-09-26 2022-09-26 プリプレグ及び繊維強化プラスチック

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024047178A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6993549B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたフィルム、成形品、プリプレグ及び繊維強化プラスチック
JP4775520B2 (ja) 繊維強化複合材料用樹脂組成物、その硬化物、繊維強化複合材料、繊維強化樹脂成形品、及びその製造方法
JP7509175B2 (ja) プリプレグ及び繊維強化プラスチック
JP4872139B2 (ja) 繊維強化複合材料用樹脂組成物、その硬化物、繊維強化複合材料、繊維強化樹脂成形品、及びその製造方法
US11142610B2 (en) Curable epoxy resin composition, fiber-reinforced composite material and molded body using same
JP2017002202A (ja) エポキシ樹脂組成物、成形品、プリプレグ、繊維強化複合材料および構造体
JP7200732B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料
US20230383077A1 (en) Resin composition, prepreg, and fiber-reinforced plastic
JP7172725B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたフィルム、成形品、プリプレグ及び繊維強化プラスチック
JP2024047178A (ja) プリプレグ及び繊維強化プラスチック
JP2024061086A (ja) プリプレグおよび炭素繊維強化プラスチック
JP7456126B2 (ja) プリプレグ及び繊維強化プラスチック
WO2023153435A1 (ja) プリプレグ、炭素繊維強化プラスチック、およびプリプレグの製造方法
JP7230433B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、成形材料の製造方法、成形材料、繊維強化複合材料及び繊維強化複合材料の製造方法
WO2021261196A1 (ja) ラジカル硬化性樹脂組成物、繊維強化成形材料、及びそれを用いた成形品