JP2022122756A - エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 Download PDF

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JP2022122756A JP2021020204A JP2021020204A JP2022122756A JP 2022122756 A JP2022122756 A JP 2022122756A JP 2021020204 A JP2021020204 A JP 2021020204A JP 2021020204 A JP2021020204 A JP 2021020204A JP 2022122756 A JP2022122756 A JP 2022122756A
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Abstract

【課題】潜在性に優れ、かつ硬化後に水に浸漬しても白化せず耐候性に優れた炭素繊維複合材料を与える炭素繊維複合材料用プリプレグ、及び炭素繊維複合材料を提供することを目的とする。【解決手段】炭素繊維と、ウレア化合物およびエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物とからなるプリプレグであって、ウレア化合物が脂肪族ウレア化合物を含み、下記測定条件で測定された粒子の面積比率が5%以下である、プリプレグ。[測定条件A]プリプレグを5枚積層し、オートクレーブにて130℃、90分間保持の条件で硬化して得た繊維強化複合材料を湿式切断機で切断し、その切断面を400番から1200番の耐水サンドペーパーを用いて研磨した後に仕上げ用アルミナ粉で研磨することで観察用断面を得る。該断面のデジタル顕微鏡画像を取得し、層間樹脂部に存在する粒子の面積を積算することで面積比率を得る。【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物、およびプリプレグそしてそれを成型することによって得られる繊維強化複合材料に関する。
樹脂と強化繊維とを組み合わせた繊維強化複合材料は、軽量性、剛性、耐衝撃性等に優れることから様々な用途に用いられている。特に炭素繊維強化複合材料は、軽量かつ高強度、高剛性であるため、釣り竿やゴルフシャフト等のスポーツ・レジャー用途、自動車用途や航空機用途等の幅広い分野で用いられている。
炭素繊維複合材料の成形方法は、成形時の繊維屈曲による強度低下を防ぐため、まっすぐに引き揃えた炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグを中間材料として用い、成形型に積層してオートクレーブやオーブン、プレスで硬化する方法が一般的である。
炭素繊維複合材料はその特性を活かし構造部材として用いられるだけでなく、織物を表面に配置してクロス目を意匠として用いる場合がある。その際はクリア塗装などの透明な表面処理を施して用いられることが多い。
炭素繊維強化複合材料においては、複合材料としたときの強度に優れるエポキシ樹脂がマトリクス樹脂として一般的に用いられる。プリプレグ用エポキシ樹脂の硬化剤としてジシアンジアミド(Dicy)と芳香族ウレアの組み合わせがよく用いられるが、これらは成形品の表面に白色析出物が生じて外観を損ねるという課題がある。また、芳香環骨格を持つことにより太陽光の曝露で黄変しやすいため、炭素繊維強化複合材料を意匠部品として使用するには適さない場合もあった。
そこで、特許文献1には芳香環骨格を減量することにより耐候性を改善した樹脂組成物が提案されている。
国際公開第2003/002661号
本発明は、保存安定性に優れ、かつ硬化後に水に浸漬しても白化せず耐候性に優れるプリプレグおよびそれらを用いた炭素繊維複合材料を提供することを目的とする。
本発明は以下[1]~[9]の態様を有する。
[1]炭素繊維と、ウレア化合物およびエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物とからなるプリプレグであって、ウレア化合物が脂肪族ウレア化合物を含み、下記測定条件Aで測定された粒子の面積比率が5%以下である、プリプレグ。
[測定条件A]
プリプレグを5枚積層し、オートクレーブにて130℃、90分間保持の条件で硬化して得た繊維強化複合材料を湿式切断機で切断し、その切断面を400番から1200番の耐水サンドペーパーを用いて研磨した後に仕上げ用アルミナ粉で研磨することで観察用断面を得る。該断面のりデジタル顕微鏡画像を取得し、層間樹脂部に存在する粒子の面積を積算することで面積比率を得る。
[2]前記脂肪族ウレア化合物が25℃において固体である、[1]に記載のプリプレグ。
[3]下記構造式(1)で表されるウレア化合物を含む、[1]または[2]に記載のプリプレグ。
Figure 2022122756000001

…式(1)
[4]前記エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、前記ウレア化合物を3質量部以上10質量部以下含む、[1]から[3]のいずれかに記載のプリプレグ。
[5][1]から[4]のいずれかに記載のプリプレグを成形することによって得られる繊維強化複合材料。
[6]炭素繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化複合材料であって、繊維強化複合材料が脂肪族ウレア化合物を含み、下記測定条件Bで測定された粒子の面積比率が5%以下である、繊維強化複合材料。
[測定条件B]
前記繊維強化複合材料を湿式切断機で切断し、その切断面を400番から1200番の耐水サンドペーパーを用いて研磨した後に仕上げ用アルミナ粉で研磨することで観察用断面を得る。該断面のデジタル顕微鏡画像を取得し、層間樹脂部に存在する粒子の面積を積算することで面積比率を得る。
[7]前記マトリックス樹脂がエポキシ樹脂の硬化物である、[6]に記載の繊維強化複合材料。
[8]炭素繊維と、硬化剤およびエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物とからなるプリプレグであって、硬化剤100質量部に対して脂肪族ウレア化合物を60質量部以上含む、プリプレグ。
[9]前記構造式(1)で表されるウレア化合物を含む、[8]に記載のプリプレグ。
本発明によれば、潜在性に優れ、かつ硬化後に水に浸漬をしても白化せず耐候性に優れたプリプレグ、および炭素繊維複合材料を提供することができる。
図1は、繊維強化複合材料断面の一例を示す断面図である。 図2は、クロスプリプレグの織構造の一例である。
[プリプレグ]
本発明のプリプレグの一態様は、炭素繊維と、ウレア化合物およびエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物とからなるプリプレグであって、ウレア化合物が脂肪族ウレア化合物を含み、下記測定条件Aで測定された粒子の面積比率が5%以下である。白化を抑制する観点から、粒子の面積比率3%以下であることが好ましい。
<測定条件A>
5枚積層したプリプレグを、オートクレーブにて130℃90分間保持の条件で硬化して得た繊維強化複合材料を湿式切断機で切断し、その切断面を400番から1200番の耐水サンドペーパーを用いて研磨した後に仕上げ用アルミナ粉で研磨することで観察用断面を得る。該断面のデジタル顕微鏡画像を撮影し、層間樹脂部に存在する粒子の面積を積算することで、粒子の面積比率を得る。
図1には、図2で示される織構造の炭素繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させたクロスプリプレグを積層して硬化した繊維強化複合材料の態様を示した。層間樹脂部とは、例えば図1で示された部分1である。部分1は繊維が存在せずマトリックス樹脂によって構成されている。粒子は、例えば、図1においては2で示されたものである。粒子の断面形状は円に限られるものではなく、三角形、四角形などの多角形、楕円、不定形のものも含む。層間樹脂部に存在する粒子は未溶解の硬化剤粒子等のマトリックス樹脂に溶解しない物質であると考えることができる。粒子の存在率を特定範囲とすることで繊維強化複合材料の破壊の起点となること、および白化による外観不良を抑制することができる。マトリックス樹脂の主成分がエポキシ樹脂の場合に硬化剤としてジシアンジアミドを用いたプリプレグにおいては、ジシアンジアミドが粒子として層間樹脂部に存在する。繊維強化複合材料の切断方向は、プリプレグの硬化物が積層された断面が確認できればどの方向であってもよい。例えば、炭素繊維が連続繊維の場合には繊維方向および繊維方向に垂直な方向のいずれの方向にも切断できる。繊維強化複合材料の同一断面から実際のスケールで1000μm以上の連続した層間樹脂部領域の粒子の面積比率を3か所以上取得し、その平均値を粒子の面積比率とすることが好ましい。
<ウレア化合物>
ウレア化合物は、脂肪族ウレアを含むものである。ウレア化合物は、高温で加熱することによりイソシアネート基とジメチルアミンを生成し、これらがエポキシ基と反応する。またこの反応で生じた熱により、-NHとエポキシ基の反応をさらに促進する。ウレア化合物としては、例えばウレイド基が芳香環に結合した芳香族ウレア、ウレイド基が脂肪族鎖に結合した脂肪族ウレアなどが挙げられる。脂肪族ウレアとしては、下記構造式(2)で表されるウレアが挙げられる。
-NH-CO-NR …式(2)

(式(2)中、Rは水素原子、又は炭素数1~6のアルキル基、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基である。)
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t-ブチル基等が挙げられ、メチル基またはエチル基が特に好ましい。具体的には、イソホロンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア、m-キシリレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア、ヘキサメチレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア等の脂肪族ジメチルウレアが挙げられる。潜在性の観点から、25℃で固体である脂肪族ウレアが好ましい。脂肪族ウレアの炭素数は、得られる硬化物の耐熱性の観点から、10以下であることが好ましく、5以下がより好ましく、通常1以上である。これらの中でも、太陽光の暴露で黄変しにくく、潜在性を有しつつ高い反応性を有する点で、下記式(1)で表されるウレア化合物が好ましい。
Figure 2022122756000002

…式(1)
芳香族ウレアとしては、フェニルジメチルウレア、メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、トリレンビス(ジメチルウレア)などの芳香族ジメチルウレアが挙げられる。芳香族ジメチルウレアの具体例としては、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)(MBPDMU)、3-フェニル-1,1-ジメチルウレア(PDMU)、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU)、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル )-1,1-ジメチルウレア、2,4-ビス(3,3-ジメチルウレイド)トルエン(TBDMU)などが挙げられる。これらの中でも、硬化促進能力や樹脂硬化物への耐熱性付与といった点から、フェニルジメチルウレア、メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、およびトリレンビス(ジメチルウレア)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ウレア化合物の市販品としては、例えばDYHARD UR-700(Alzchem)、PDMUの市販品としては、例えばOmicure(オミキュア)94(以上、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
エポキシ樹脂組成物100質量部に対するウレア化合物全体の含有量は、硬化促進の観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。耐候性、耐熱性、機械的特性により優れた樹脂硬化物が得られることから、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。脂肪族ウレア化合物の含有量は、硬化速度を向上させる観点から、ウレア化合物全体100質量部に対して、50質量部以上が好ましく、80質量部以上がより好ましい。ウレア化合物全体100質量部に対して100質量部以下とすることができる。また、保存安定性の観点から、硬化剤100質量部に対して脂肪族ウレア化合物を50質量部以上含むことが好ましく、60質量部以上含むことがより好ましく、80質量部以上含むことがさらに好ましい。
<その他の硬化剤成分>
本発明のエポキシ樹脂には、前述のウレア化合物以外のその他の硬化剤を含んでよい。その他の硬化剤としては、ジシアンジアミドまたはジシアンジアミド誘導体、イミダゾール類、アミン系硬化剤等が挙げられる。ジシアンジアミドおよびその誘導体は融点が高く、低温領域におけるエポキシ樹脂との相溶性が低く、優れたポットライフを有するエポキシ樹脂組成物が得られるとともに、高い機械的特性を有する樹脂硬化物が得られる。
エポキシ樹脂組成物100質量部に対するジシアンジアミドまたはジシアンジアミド誘導体成分の含有量は、硬化後に未溶解の硬化剤粒子の残存を抑制する観点から、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。ウレア化合物以外の硬化剤は、実質的に含まないことが特に好ましい。
ジシアンジアミドの誘導体としては、例えばジシアンジアミドと、エポキシ樹脂やビニル化合物、アクリル化合物、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナ ントレン-10-オキサイド等の各種化合物を結合させたものなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ジシアンジアミドと併用してもよい。
イミダゾール類としては、イミダゾール、イミダゾールアダクト、包接イミダゾール、マイクロカプセル型イミダゾール、安定化剤を配位させたイミダゾール化合物等を用いることができる。これらは、その構造の中に非共有電子対を有する窒素原子を有し、これがエポキシ基を活性化さることができ、硬化を促進することができる。イミダゾールの具体例としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-エチル-4-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、1-シアノエチル-2-フェニル-4,5-ジ(2-シアノエトキシ)メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられる。アダクト処理、異分子による包接処理、マイクロカプセル処理、あるいは安定化剤を配位させたイミダゾールは、前記のイミダゾールを修飾したものである。これらはイミダゾールにアダクト処理、異分子による包接処理、マイクロカプセル処理により、あるいは安定化剤を配位させることで活性を落とすことにより、低温領域で優れたポットライフを発現しつつも硬化や硬化促進能力が高い。また、ジシアンジアミドと併用してもよい。
アミン系硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、鎖状脂肪族ポリアミンであるところの、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3-ペンタンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、脂環式ポリアミンである、イソホロンジアミン、4,4’-メチレンビスシクロヘキシルアミン、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、芳香族ポリアミンである、m-キシリレンジアミン、4,4’- メチレンジアニリン、4,4’-メチレンビス(2-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2-エチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2-イソプロピルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2- クロロアニリン)、4,4’ -メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2-エチル-6-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2-ブロモ-6-エチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(N-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(N-エチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(N-sec-ブチルアニリン)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-シクロヘキシリデンジアニリン、4,4’-(9-フルオレニリデン)ジアニリン、4,4’-(9-フルオレニリデン)ビス(N-メチルアニリン)、4,4’-ジアミノベンズアニリド、4,4’-オキシジアニリン、2,4-ビス(4-アミノフェニルメチル)アニリン、4-メチル-m-フェニレンジアミン、2-メチル-m-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、2-クロロ-p-フェニレンジアミン、2,4,6-トリメチル-m-フェニレンジアミン、2,4-ジエチル-6-メチル-m-フェニレンジアミン、4,6-ジエチル-2-メチル-m-フェニレンジアミン、4,6-ジメチル-m-フェニレンジアミン、トリメチレンビス(4-アミノベンゾエート)などがある。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ヒドロフタル酸型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、ビスフェノキシエタノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスクレゾールフルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンから選ばれる1種以上のエポキシ樹脂が好ましい。後述する液状および固形のエポキシ樹脂を併用することができる。エポキシ樹脂を複数種組み合わせることで、優れた取り扱い性を有するプリプレグ、および機械特性や耐熱性に優れる炭素繊維強化複合材料を得ることができる。
液状のエポキシ樹脂は、25℃で液状のエポキシ樹脂である。液状のエポキシ樹脂は主に、熱可塑性樹脂の溶解性向上と本エポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物の強度や弾性率、耐熱性の向上に寄与する。25℃で液状のエポキシ樹脂の粘度は、25℃において500Pa・s以下であることが好ましく、300Pa・s以下であることがより好ましい。また、0.1Pa・s以上であることが好ましい。粘度をこの範囲にすると、エポキシ樹脂組成物の作業性を良好なものとすることができる。粘度の測定は回転式レオメーターで試料に周期的な変形(歪み)を与え、それによって生じる応力と位相差を検出することで測定できる。ビスフェノール型エポキシ樹脂であることが好ましい。
液状のエポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して20質量部以上80質量部以下混合することが好ましい。液状のエポキシ樹脂の含有量の下限は、より好ましくは25質量部以上であり、さらに好ましくは28質量部以上である。また、液状のエポキシ樹脂の含有量の上限は、より好ましくは75質量部以下であり、さらに好ましくは70質量部以下であり、特に好ましくは50質量部以下である。エポキシ樹脂組成物中、液状のエポキシ樹脂の含有量が下限値以上であれば、熱可塑性樹脂を溶解しやすく、強度、弾性率に優れた樹脂硬化物を得ることができる。一方、液状のエポキシ樹脂の含有量が上限値以下であれば、靱性に優れた樹脂硬化物を得ることができる。
液状のエポキシ樹脂は、市販品を用いてもよい。市販品として入手可能な、25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(液状のエポキシ樹脂)としては、これらに限定されないが、jER827(エポキシ当量185g/eq)、jER828(エポキシ当量189g/eq)(以上、三菱ケミカル株式会社製)、YD-127(エポキシ当量185g/eq)、YD-128(エポキシ当量189g/eq)(以上、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)、EPICLON840(エポキシ当量185g/eq)、EPICLON850(エポキシ当量189g/eq)(以上、DIC株式会社製)、D.E.R331(エポキシ当量187/eq)、D.E.R332(エポキシ当量173g/eq)(THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)等が挙げられる。市販品として入手可能な、25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂(液状のエポキシ樹脂)としては、これらに限定されないが、jER806(エポキシ当量165g/eq)、jER807(エポキシ当量170g/eq)(以上、三菱ケミカル株式会社製)、YDF-170(エポキシ当量170g/eq)(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)、EPICLON830(エポキシ当量170g/eq)、EPICLON835(エポキシ当量172g/eq)(以上、DIC株式会社製)、D.E.R354(エポキシ当量170g/eq)(以上、THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)等が挙げられる。これらの中から1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
固形のエポキシ樹脂を含有することで、室温の粘度を上げることができ、プリプレグが取り扱いやすくなる。固形のエポキシ樹脂は、軟化点70℃以上のエポキシ樹脂であることが好ましい。ビスフェノール型エポキシ樹脂、オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂、および硬化剤とあらかじめ予備反応したエポキシ樹脂を用いることができる。軟化点は、樹脂硬化物が優れた靱性を有することから、好ましくは72℃以上、より好ましくは75℃以上である。一方、樹脂硬化物の耐熱性が適正に保たれ、ドレープ性(型形状追従性)に優れたプリプレグを得ることができるとともに、ボイドの無い繊維強化複合材料を得ることができることから、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下である。
固形のエポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して10質量部以上80質量部以下混合することが好ましい。固形のエポキシ樹脂の含有量の下限は、より好ましくは13質量部以上であり、さらに好ましくは15質量部以上である。また、固形のエポキシ樹脂の含有量の上限は、より好ましくは70質量部以下であり、さらに好ましくは60質量部以下である。エポキシ樹脂組成物中、固形のエポキシ樹脂の含有量が下限値以上であれば、タック性の良い靱性に優れた樹脂硬化物を得ることができる。一方、固形のエポキシ樹脂の含有量が上限値以下であれば、樹脂硬化物の耐熱性が適正に保たれ、ドレープ性(型形状追従性)に優れたプリプレグを得ることができるとともに、ボイドの無い繊維強化複合材料を得ることができる。
固形のエポキシ樹脂は、市販品を用いてもよい。市販品として入手可能な、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、これらに限定されないが、jER1055、jER1004、jER1007、jER1009(いずれも商品名、三菱ケミカル株式会社製)やEPICLON2050、EPICLON3050、EPICLON4050、EPICLON7050、EPICLON HM-091、EPICLON HM-101(いずれも商品名、DIC株式会社製)やYD-902、YD-903N、YD-904、YD-907、YD-7910、YD-6020(いずれも商品名、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)等が挙げられる。また、市販品として入手可能な、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、これらに限定されないが、jER4004P、jER4005P、jER4007P、jER4010P(いずれも商品名、三菱ケミカル株式会社製)やYDF2004、YDF-2005RD(いずれも商品名、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)等が挙げられる。市販品として入手可能なオキサゾリドン環状構造を有するエポキシ樹脂としては、AER4152、AER4151、LSA3301、LSA2102(いずれも商品名、旭化成イーマテリアルズ株式会社製)やACR1348(商品名、株式会社ADEKA社製)、DER852、DER858(商品名、THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)、TSR-400(商品名、DIC社製)などがあげられ、いずれも本発明に好ましく用いられるが、AER4152やTSR-400が特に好ましい。固形のエポキシ樹脂として、これらの中から1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
<その他のエポキシ樹脂>
本発明のエポキシ樹脂組成物には、前述のエポキシ樹脂以外のその他のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。その他のエポキシ樹脂としてはとしては、これらに限定されないが、jER834(商品名、三菱ケミカル株式会社製)やEPICLON860(商品名、DIC株式会社製)やYD-134(商品名、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、としては、これらに限定されないが、EPICLON N-740(商品名、DIC株式会社製)やYDPN-638(商品名、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)等のノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらの中から1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
<熱可塑性樹脂>
エポキシ樹脂組成物には熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテル、ポリオレフィン、液晶ポリマー、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリルスチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、AES(アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン共重合体)、ASA(アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルホルマール樹脂、フェノキシ樹脂、ブロックポリマー等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、強化繊維への樹脂フロー制御性に優れることから、ポリエーテルスルホン、ポリビニルホルマール樹脂、フェノキシ樹脂がより好ましい。配合量が少量でも樹脂フロー制御性に優れることからポリビニルホルマール樹脂がさらに好ましい。熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂の含有量としては、本樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上30質量部以下含むことが好ましく、2質量部以上10質量部以下含むことがより好ましく、3質量部以上6質量部以下含むことがさらに好ましい。熱可塑性樹脂の含有量が1質量部以上であれば、樹脂フロー制御が良好に発揮される傾向にあるため好ましい。一方、熱可塑性樹脂の含有量が30質量部以下であれば、樹脂含浸時の粘度上昇が少なくなるため好ましい。
上記熱可塑性樹脂の中でも、樹脂フロー制御性等に優れる観点から、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリビニルホルマール、ブロックポリマーが好ましい。特に、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミドを用いれば、樹脂硬化物の耐熱性や難燃性がより高まる。ポリビニルホルマールを用いれば、樹脂硬化物の耐熱性を損なうことなく、得られるプリプレグのタックを適切な範囲に容易に制御できる。加えて、強化繊維と樹脂硬化物の接着性がより高まる。ブロックポリマーを用いれば、樹脂硬化物の靱性や耐衝撃性が向上する。
フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、YP-50、YP-50S、YP70、ZX-1356-2、FX-316(いずれも商品名、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
ポリビニルホルマールの市販品としては、例えば、ビニレック(登録商標)のK(数平均分子量:59,000)、L(数平均分子量:66,000)、H(数平均分子量:73,000)、E(数平均分子量:126,000)(いずれも商品名、JNC株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
樹脂硬化物に180℃を超える耐熱性が必要とされる場合、熱可塑性樹脂としてはポリエーテルスルホンやポリエーテルイミドが好ましく用いられる。ポリエーテルスルホンの市販品としては、例えば、スミカエクセル(登録商標)の3600P(数平均分子量:16,400)、5003P(数平均分子量:30,000)、5200P(数平均分子量:35,000)、7600P(数平均分子量:45,300)(いずれも商品名、住友化学株式会社製)などが挙げられる。ポリエーテルイミドの市販品としては、例えば、ULTEM(登録商標)の1000(数平均分子量:32,000)、1010(数平均分子量:32,000)、1040(数平均分子量:20,000)(いずれも商品名、SABICイノベーティブプラスチックスジャパン合同会社製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
ブロックポリマーの市販品としては、例えば、Nanostrength(登録商標)のM52、M52N、M22、M22N、123、250、012、E20、E40(いずれも商品名、ARKEMA社製);TPAE-8、TPAE-10、TPAE-12、TPAE-23、TPAE-31、TPAE-38、TPAE-63、TPAE-100、PA-260(いずれも商品名、株式会社T&K TOKA製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
添加剤としては、例えば、エポキシ樹脂の硬化促進剤、無機質充填材、内部離型剤、有機顔料、無機顔料などが挙げられる。エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の様々な添加剤を含有してもよい。添加剤としては、リン系難燃剤(リン含有エポキシ樹脂、赤燐、ホスファゼン化合物、リン酸塩類、リン酸エステル類等)、無機系難燃化剤として水和金属化合物系(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等)、無機酸化物その他助剤系(アンチモン化合物、硼酸亜鉛,錫酸亜鉛,Mo化合物,ZrO,硫化亜鉛,ゼオライト,酸化チタンナノフィラー系等)、シリコーンオイル、湿潤分散剤、消泡剤、脱泡剤、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド、エステル類、パラフィン類等の離型剤、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の粉体やガラス繊維、炭素繊維等の無機充填剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シランカップリング剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<エポキシ樹脂組成物の製造方法>
エポキシ樹脂組成物は、例えば、上述した各成分を混合することにより得られる。各成分の混合方法としては、三本ロールミル、プラネタリミキサー、ニーダー、ホモジナイザー、ホモディスパー等の混合機を用いる方法が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物は、例えば、後述するように、強化繊維基材に含浸させてプリプレグの製造に用いることができる。他にも、エポキシ樹脂組成物を離型紙等に塗布して硬化することで、エポキシ樹脂組成物のフィルムを得ることができる。また、30℃におけるエポキシ樹脂組成物の粘度は、100~1,000,000Pa・sとすることができる。
<炭素繊維>
炭素繊維は、プリプレグ中で炭素繊維基材(炭素繊維の集合体)として存在し、シートであることが好ましい。炭素繊維は、炭素繊維が単一方向に配列したものであってもよく、ランダム方向に配列したものであってもよい。
炭素繊維の形態としては炭素繊維の織物、炭素繊維の不織布、炭素繊維の長繊維が一方向に引き揃えられたシートなどが挙げられる。炭素繊維は、比強度や比弾性率が高い繊維強化複合材料を成形することができるという観点からは、長繊維が単一方向に引き揃えられた炭素繊維の束からなるシートであることが好ましく、取り扱いが容易であるという観点からは、炭素繊維の織物であることが好ましい。
プリプレグには炭素繊維以外の強化繊維を含んでいてもよく、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維などを用いることができる。繊維強化複合材料
炭素繊維の繊維径は、3~12μmが好ましい。炭素繊維の繊維径が上記下限値以上であれば、炭素繊維を加工するための、例えば、コーム、ロール等のプロセスにおいて、炭素繊維が横移動して炭素繊維同士が擦れたり、炭素繊維とロール表面等とが擦れたりするときに、炭素繊維が切断したり、毛羽だまりが生じたりしにくい。このため、安定した強度の繊維強化複合材料を好適に製造することができる。炭素繊維の繊維径が上記上限値以下であれば、通常の方法で炭素繊維を製造することができる。炭素繊維束における炭素繊維の本数は、1,000~70,000本が好ましい。
繊維強化複合材料の剛性の観点から、炭素繊維のストランド引張強度は1.5~9GPaが好ましく、炭素繊維のストランド引張弾性率は150~260GPaが好ましい。炭素繊維のストランド引張強度およびストランド引張弾性率は、JISR7601:1986に準拠して測定される値である。
<プリプレグの製造方法>
プリプレグは、例えば、上述したエポキシ樹脂組成物を強化繊維基材に含浸させることで得られる。このようにして得られるプリプレグは、エポキシ樹脂組成物が強化繊維基材に含浸したものである。
エポキシ樹脂組成物を強化繊維基材に含浸させる方法としては、例えばエポキシ樹脂組成物をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して低粘度化してから、強化繊維基材に含浸させるウェット法;エポキシ樹脂組成物を加熱により低粘度化してから、強化繊維基材に含浸させるホットメルト法(ドライ法)などが挙げられるが、これらに限定されない。
ウェット法は、強化繊維基材をエポキシ樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法である。ホットメルト法には、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物を直接、強化繊維基材に含浸させる方法と、一旦エポキシ樹脂組成物を離型紙等の基材の表面に塗布してフィルムを作製しておき、次いで強化繊維基材の両側または片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより強化繊維基材に樹脂を含浸させる方法がある。離型紙等の基材の表面に塗布して得られる塗布層は、未硬化のままでホットメルト法に用いてもよいし、塗布層を硬化させた後にホットメルト法に用いてもよい。ホットメルト法によれば、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上存在しないため好ましい。
プリプレグ中のエポキシ樹脂組成物の含有量(以下、「樹脂含有量」という)は、プリプレグの総質量に対して、15~50質量%が好ましく、20~45質量%がより好ましく、25~40質量%がさらに好ましい。樹脂含有量が、上記下限値以上であれば強化繊維とエポキシ樹脂組成物との接着性を充分に確保することができ、上記上限値以下であれば繊維強化複合材料の機械物性がより高まる。
[繊維強化複合材料]
繊維強化複合材料は、炭素繊維とマトリックス樹脂とからなり、繊維強化複合材料が脂肪族ウレア化合物を含み、下記測定条件Bで測定された粒子の面積比率が5%以下であることが好ましい。白化を抑制する観点から、3%以下が好ましい。
[測定条件B]
前記繊維強化複合材料を湿式切断機で切断し、その切断面を400番から1200番の耐水サンドペーパーを用いて研磨した後に仕上げ用アルミナ粉で研磨することで観察用断面を得る。該断面撮影によりデジタル顕微鏡画像を取得し、層間樹脂部に存在する粒子の面積を積算することで面積比率を得る。
繊維強化複合材料は、プリプレグを硬化することで得られる。すなわち、繊維強化複合材料は、プリプレグに含まれるエポキシ樹脂組成物の硬化物と、強化繊維とを含む。2枚以上のプリプレグが積層された積層体の硬化物とすることができる。繊維強化複合材料は、例えば、前述のプリプレグを2枚以上積層した後、得られた積層体に圧力を付与しながら、エポキシ樹脂組成物を加熱硬化させる方法等により成形して得られる。
成形方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法、シートラップ成形法や、強化繊維のフィラメントやプリフォームにエポキシ樹脂組成物を含浸させて硬化し成形品を得るRTM(Resin Transfer Molding)、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding:真空樹脂含浸製造法)、フィラメントワインディング、RFI(Resin Film Infusion)などが挙げられるが、これらの成形方法に限られるものではない。これらの中でも、エポキシ樹脂組成物の特徴を十分に生かすことができ、しかも生産性が高く、良質な繊維強化複合材料が得られやすいという観点から、プレス成形法が好ましい。
プレス成形法で繊維強化複合材料を製造する場合、プリプレグ、またはプリプレグを積層して作製したプリフォームを、予め硬化温度に調製した金型に挟んで 加熱加圧して、プリプレグまたはプリフォームを硬化することが好ましい。プレス成形時の金型内の温度は、100~160℃が好ましい。また、1~15MPaの条件下で1~20分間、プリプレグまたはプリフォームを硬化させることが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例および比較例で使用した原料を以下に示す。
[原料]
<脂肪族ウレア成分>
・UR700:N,N‘-ジメチルウレアト、AlzChem社製「DYHARD UR700」
<エポキシ樹脂成分>
・jER828:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量189g/eq、 三菱化学株式会社製の「jER828」。
・jER1001:固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量475g/eq、 三菱化学株式会社製の「jER1001」。
・jER154:固形フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量178g/eq、三菱ケミカル株式会社製の「jER154」。
<熱可塑性樹脂>
ビニレックE:ポリビニルホルマール樹脂(JNC株式会社製、品名「ビニレックE」)。
<その他の硬化剤>
・DICY15:ジシアンジアミド、三菱化学株式会社製の 「jERキュア DICY15」。
・Omicure94:フェニルジメチルウレア、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社 製の「Omicure(オミキュア)94」。
・Fluid111:液状硬化剤、AlzChem社製の「DYHARD fluid111」
<炭素繊維>
・炭素繊維織物:三菱ケミカル株式会社製「TR3523M」。繊維目付け200g/m
[実施例1]
ウレア成分としてUR700を用い、以下のようにしてエポキシ樹脂組成物を調製した。
まず、表1に記載の組成に従い、jER828(液状)と、ウレア化合物(固形)及び液状硬化剤であるFluid111を除くその他硬化剤(固形)を、固形成分と液状成分の質量比が1:1となるよう容器に計量し、攪拌し、混合した。これを三本ロールミルにてさらに細かく混合し、硬化剤マスターバッチを得た。続けて、表1に記載の組成の内、硬化剤マスターバッチおよび液状硬化剤Fulid111以外の成分をフラスコに計量し、オイルバスを用いて120℃に加熱し溶解混合した。その後65℃程度まで冷却したところで、前記 硬化剤マスターバッチおよび液状硬化剤Fluid111を加えて攪拌混合することによりエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、後述する[エポキシ樹脂板作製方法]に従って、樹脂板を作製した。また後述の[評価方法]に従って、各種測定および評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2、比較例1~2]
表1に示す配合組成に変更した以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、樹脂板、プリプレグおよび繊維強化複合材料板を作製し、各種測定および評価を行った。結果を表1に示す。
[エポキシ樹脂板作製方法]
未硬化のエポキシ樹脂組成物をオーブン雰囲気温度130℃×90分(昇温速度は2℃/分)で硬化させて、厚さ2mmの樹脂板を作製した。
<プリプレグの作製>
樹脂組成物を炭素繊維織物へ含浸させて、プリプレグを得た。得られたプリプレグは、適当なタックと硬さを有しており作業性に優れていた。プリプレグの炭素繊維目付は200g/m、樹脂含有率は40質量%であった。
<プリプレグの保存安定性>
上記で得られたプリプレグを2週間、23℃、50%RHの条件で放置した後のタックとドレープ性を触感により比較し、放置前のタックとドレープ性と変わらないものを〇、プリプレグが硬くタックが弱くなっているものを×とした。
<繊維強化複合材料の作製>
プリプレグを300mm×300mmで裁断し、ハンドレイアップ法で積層した。強化繊維の長手方向が各プリプレグ層で直交するように積層した。硬化条件はオートクレーブにより130℃で90分(昇温速度は2℃/分)とした。
<エポキシ樹脂部分に占める粒子の面積測定>
複数枚積層したプリプレグを、オートクレーブにて130℃、90分間保持の条件で硬化して得た繊維強化複合材料を湿式切断機で切断し、その切断面を400番から1200番の耐水サンドペーパーを用いて研磨した後に仕上げ用アルミナ粉で研磨することで観察用断面を得る。該断面のデジタル顕微鏡画像を撮影し、層間樹脂部に存在する未溶解の硬化剤粒子の面積を画像解析ソフトウェアImageJを用いて積算することで、未溶解硬化剤の面積比率を得た。
<繊維強化複合材料の白化測定>
上記で得た繊維強化複合材料を、24時間水に浸漬させた後に目視で白化の有無を判断した。外観上変化の無い物を〇、白化が見られたものを×とした。
Figure 2022122756000003
表1の結果から明らかなように、実施例1及び2のプリプレグは、室温における潜在性に優れ、かつ硬化後の炭素繊維複合材料を水浸漬しても白化せず耐候性にも優れていた。一方、エポキシ樹脂への溶解性に劣る硬化剤を多く含む比較例1では、炭素繊維複合材料の内部に未溶解の硬化剤粒子を含むため水浸漬により白化した。また、液状の硬化剤を使用した比較例2では、水浸漬による白化は見られなかったものの、樹脂の潜在性が十分でなく、プリプレグの保存安定性に劣っていた。
本発明によれば保存安定性に優れ、かつ硬化後に水浸漬をしても白化せず耐候性に優れた炭素繊維複合材料を与える炭素繊維複合材料用プリプレグ、及び炭素繊維複合材料を提供することができる。したがって、本発明は繊維強化複合材料を得るために好適に利用でき、産業上極めて重要である。

Claims (9)

  1. 炭素繊維と、ウレア化合物およびエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物とからなるプリプレグであって、ウレア化合物が脂肪族ウレア化合物を含み、下記測定条件Aで測定された粒子の面積比率が5%以下である、プリプレグ。
    [測定条件A]
    プリプレグを5枚積層し、オートクレーブにて130℃、90分間保持の条件で硬化して得た繊維強化複合材料を湿式切断機で切断し、その切断面を400番から1200番の耐水サンドペーパーを用いて研磨した後に仕上げ用アルミナ粉で研磨することで観察用断面を得る。該断面のデジタル顕微鏡画像を取得し、層間樹脂部に存在する粒子の面積を積算することで面積比率を得る。
  2. 前記脂肪族ウレア化合物が25℃において固体である、請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 下記構造式(1)で表されるウレア化合物を含む、請求項1または2に記載のプリプレグ。
    Figure 2022122756000004

    …式(1)
  4. 前記エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、前記ウレア化合物を3質量部以上10質量部以下含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のプリプレグを成形することによって得られる繊維強化複合材料。
  6. 炭素繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化複合材料であって、繊維強化複合材料が脂肪族ウレア化合物を含み、下記測定条件Bで測定された粒子の面積比率が5%以下である、繊維強化複合材料。
    [測定条件B]
    繊維強化複合材料を湿式切断機で切断し、その切断面を400番から1200番の耐水サンドペーパーを用いて研磨した後に仕上げ用アルミナ粉で研磨することで観察用断面を得る。該断面のデジタル顕微鏡画像を取得し、層間樹脂部に存在する粒子の面積を積算することで面積比率を得る。
  7. 前記マトリックス樹脂がエポキシ樹脂の硬化物である、請求項6に記載の繊維強化複合材料。
  8. 炭素繊維と、硬化剤およびエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物とからなるプリプレグであって、硬化剤100質量部に対して脂肪族ウレア化合物を60質量部以上含む、プリプレグ。
  9. 下記構造式(1)で表されるウレア化合物を含む、請求項8に記載のプリプレグ。
    Figure 2022122756000005

    …式(1)
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