JP2023127110A - プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

プリプレグおよび繊維強化複合材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2023127110A
JP2023127110A JP2022030681A JP2022030681A JP2023127110A JP 2023127110 A JP2023127110 A JP 2023127110A JP 2022030681 A JP2022030681 A JP 2022030681A JP 2022030681 A JP2022030681 A JP 2022030681A JP 2023127110 A JP2023127110 A JP 2023127110A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
prepreg according
prepreg
phosphorus
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022030681A
Other languages
English (en)
Inventor
侑司 三角
Yuji Misumi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2022030681A priority Critical patent/JP2023127110A/ja
Publication of JP2023127110A publication Critical patent/JP2023127110A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)

Abstract

【課題】繊維強化複合材料の厚みによらず難燃性を発現できるプリプレグを提供すること、および厚みによらず難燃性に優れた成形品を提供する。【解決手段】強化繊維基材にマトリックス樹脂組成物を含浸させてなるプリプレグであって、前記強化繊維基材がピッチ系炭素繊維を含み、前記マトリックス樹脂組成物がリン系難燃剤を含む、プリプレグ。【選択図】 なし

Description

本発明は、プリプレグおよび繊維強化複合材料に関する。
炭素繊維は原料の違いにより、ポリアクリロニトリル(PAN)を原料とするPAN系と、コールタールピッチや石油を原料とするピッチ系に分類される。そして、ピッチ系炭素繊維は、軽量、高剛性に優れることから、航空宇宙用途やスポーツ・レジャー用途等の幅広い分野で用いられている。
炭素繊維は通常の繊維と比較して熱伝導性や放熱性に優れているが、特にピッチ系炭素繊維は黒鉛結晶が規則正しく並んだ黒鉛結晶であるため、PAN系炭素繊維と比較して、繊維軸方向への熱伝導性が極めて高い。そのため低熱抵抗化の要求が高まりつつある電子機器用途への展開も期待されている。
樹脂と炭素繊維を組み合わせた炭素繊維強化複合材料(CFRP)は、様々な用途の中で、難燃性能を求められることがある。例えば、炭素繊維強化複合材料を電子・電気機器や航空機用の構造体等に用いる場合、発熱による発火が火災の原因となる可能性があるため、難燃性能が求められる。炭素繊維強化複合材料に難燃性能を付与する方法としては、マトリックス樹脂組成物に臭素化エポキシ樹脂を添加する方法が広く用いられていた。しかし近年では、ハロゲンを含む樹脂組成物の燃焼時に発生する物質の人体や環境への負荷を考慮して、リン系難燃剤を含むエポキシ樹脂組成物が用いられるようになってきている。例えば、特許文献1及び特許文献2では、特定のリン系難燃剤を用いることで、樹脂硬化物または繊維強化複合材料にて、UL-94V燃焼試験においてV-0を達成している。
特開2017-2202号公報 特開2012-86578号公報
本発明の目的の一つは、繊維強化複合材料の厚みによらず難燃性を発現できるプリプレグを提供すること、および厚みによらず難燃性に優れた成形品を提供することにある。
本発明は、以下[1]~[22]の形態を有する。
[1]強化繊維基材にマトリックス樹脂組成物を含浸させてなるプリプレグであって、前記強化繊維基材がピッチ系炭素繊維を含み、前記マトリックス樹脂組成物がリン系難燃剤を含む、プリプレグ。
[2]レーザーフラッシュ法により測定された、前記強化繊維基材の熱伝導率が100W/mK以上である、[1]に記載のプリプレグ。
[3]前記ピッチ系炭素繊維の平均繊維径が9μm以上である、[1]または[2]に記載のプリプレグ。
[4]前記マトリックス樹脂組成物に含まれるリン含有量が1質量%以上である、[1]~[3]のいずれかに記載のプリプレグ。
[5] 前記リン系難燃剤がリン系難燃剤粒子を含み、前記リン系難燃剤粒子のレーザー回析法により測定されたメジアン径(D50)が炭素繊維の平均繊維径以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のプリプレグ。
[6]前記リン系難燃剤粒子の、レーザー回析法により測定されたメジアン径(D50)が5μm未満である、[1]~[5]のいずれかに記載のプリプレグ。
[7]前記リン系難燃剤が、下記式(1)で表される有機ホスフィン酸金属塩を含む、[1]~[6]のいずれかに記載のプリプレグ。
Figure 2023127110000001
…式(1)
(式(1)中、RおよびRは各々独立にアルキル基またはアリール基を表す。Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Ni、Li、K、およびNaからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、mは1~4の整数を表す。)
[8]前記式(1)中、R11およびR12がアルキル基であり、MがAlで、mが3である、[1]~[7]のいずれかに記載のプリプレグ。
[9]前記マトリックス樹脂の60℃における粘度が10~1000Pa・sである、[1]~[8]のいずれかに記載のプリプレグ。
[10]前記マトリックス樹脂100質量部に対して、前記リン系難燃剤を1質量部以上15質量部以下含む、[1]~[9]のいずれかに記載のプリプレグ。
[11]前記マトリックス樹脂が硬化剤およびエポキシ樹脂を含む、[1]~[10]のいずれかに記載のプリプレグ。
[12]前記硬化剤がジシアンジアミドおよび/またはジシアンジアミド誘導体を含む、[11]に記載のプリプレグ。
[13]前記硬化剤がイミダゾール化合物および/またはイミダゾール化合物誘導体を含む、[11]または[12]に記載のプリプレグ。
[14]前記硬化剤が尿素化合物を含む、[11]~[13]のいずれかに記載のプリプレグ。
[15]前記尿素化合物が、フェニルジメチルウレア、メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、およびトリレンビス(ジメチルウレア)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、[14]に記載のプリプレグ。
[16] 前記エポキシ樹脂全体のエポキシ当量が150~250g/eqである、[11]~[15]のいずれかにに記載のプリプレグ。
[17] 前記エポキシ樹脂がオキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂を含む、[11]~[16]のいずれかに記載のプリプレグ。
[18]前記ピッチ系炭素繊維が炭素繊維全体の80質量%以上の割合で含まれる、[1]~[17]のいずれかに記載のプリプレグ。
[19][1]~[18]いずれかに記載のプリプレグを硬化して得られる繊維強化複合材料。
[20]厚みが0.5mm以上の部位を有する[19]に記載の繊維強化複合材料。
[21]炭素繊維目付が100g/m以上である、[19]または[20]に記載の繊維強化複合材料。
[22]前記炭素繊維強化複合材料のUL-94規格に基づく難燃性試験が、厚み0.5mm以上の試験片でV-0である、[19]~[21]のいずれかに記載の繊維強化複合材料。
本発明によれば、厚みによらず難燃性に優れた繊維強化複合材料を提供できる。具体的には、UL-94V規格にて厚み0.5mm~2.0mmの試験片でV-0相当の難燃性を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
[プリプレグ]
本発明の一実施形態は、プリプレグに関する。プリプレグは、強化繊維基材束にマトリックス樹脂組成物を含浸させてなるものであり、強化繊維基がピッチ系炭素繊維を含み、マトリックス樹脂組成物がリン系難燃剤を含む。本形態実施のプリプレグを硬化して得られた繊維強化複合材料を燃焼させたとき、リン系難燃剤による炭化促進効果と、ピッチ系炭素繊維による高熱伝導により、優れた難燃性が発現できる。具体的には、繊維強化複合材料が厚い場合、試験片加熱部での強化繊維の絶対量が多いため、熱伝導率の高いピッチ系炭素繊維を用いることで、熱を外部に効率的に逃がすことができる。そのため、試験片加熱部で着火温度に到達することがなく、難燃性を発現できる。繊維強化複合材料が薄い場合、試験片加熱部での強化繊維の絶対量が少ないため、熱を外部に効率的に逃がすことができない。そのため、試験片の過熱部周辺で局所的に温度が上昇するが、その局所的な温度上昇によりリン系難燃剤による固相でのチャー形成が促進され、難燃性を発現できる。よって、ピッチ系炭素繊維とリン系難燃剤を組み合わせることで、厚みによらず難燃性に優れた繊維強化複合材料が得られる。
プリプレグは、例えば、以下の手順で製造することができる。まず、キャリアフィルム(第一キャリアフィルム)の表面にリン系難燃剤が含まれたマトリックス樹脂を一方の面に塗布する。同様に、マトリックス樹脂を一方の面に塗布した、もう1枚のキャリアフィルム(第二キャリアフィルム)を準備する。次に、第一キャリアフィルムと第二キャリアフィルムのそれぞれのマトリックス樹脂を塗布した面が強化繊維基材側を向くようにし、第一キャリアフィルムと第二キャリアフィルムで強化繊維基材とマトリックス樹脂を挟んだ積層体を形成する。得られた積層体を加圧して、強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させることにより、プリプレグが得られる。プリプレグ中のマトリックス樹脂の含有量(以下、「樹脂含有量」という)は、プリプレグの総質量に対して、15~50質量%が好ましく、20~45質量%がより好ましく、25~40質量%がさらに好ましい。樹脂含有量が、上記下限値以上であれば強化繊維とマトリックス樹脂との接着性に優れ、上記上限値以下であれば得られる繊維強化複合材料の機械物性がより高まる。
[強化繊維基材]
強化繊維基材は、ピッチ系炭素繊維を含有することが好ましい。ピッチ系炭素繊維は連続繊維であってもよいし短尺繊維であってもよい。連続したピッチ系炭素繊維を引き揃えて一方向に引き揃えられた連続繊維基材とすることもできるし、連続繊維基材に短尺のピッチ系炭素繊維を含有させることもできる。ピッチ系炭素繊維は、コールタールピッチや石油ピッチを精製、改質、熱処理することで得られた紡糸ピッチを、所定の温度で炭化、黒鉛化することで製造できる。強化繊維基材はPAN系炭素繊維を含んでいてもよい。ピッチ系炭素繊維の含有量は、難燃性の観点から、炭素繊維全体に対して70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。ピッチ系炭素繊維の含有量は、炭素繊維全体に対して100質量%以下とすることができる。ピッチ系炭素繊維の含有量は、難燃性の観点から、プリプレグ全体に対して45質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。ピッチ系炭素繊維の含有量は、強化繊維基材への含浸性の観点から、プリプレグ全体に対して80質量%以下が好ましく、75質量%以下が好ましい。
強化繊維基材の熱伝導率は100W/mK以上であることが好ましく、120W/mK以上がより好ましい。熱伝導率を100W/mK以上にすることで、繊維強化複合材料の燃焼時に熱を逃がすことができ、局部過熱を抑制し、加熱部が着火温度に達しないようにすることができる。強化繊維基材の熱伝導率は、1000W/mK以下とすることができる。熱伝導率が100W/mK以上のピッチ系炭素繊維を使用して強化繊維基材とすることもできる。
強化繊維基材の熱伝導率は、熱拡散率測定装置(レーザーフラッシュ法)により、繊維強化複合材料の比熱と熱拡散率を測定し、次式によって算出できる。
K=Cp・a・ρ/Vf
ここで、Kは炭素繊維の熱伝導率、Cpは繊維強化複合材料の比熱、aは繊維強化複合材料の熱拡散率、ρは繊維強化複合材料の密度、Vfは繊維強化複合材料に含まれる炭素繊維の体積分率を表す。
ピッチ系炭素繊維の比重は1.9~2.2であることが好ましい。炭素繊維の比重が前記範囲内に存在することで、グラファイト構造の存在比率が高くなり、熱伝導率の高い炭素繊維を得ることができるため、繊維強化複合材料の難燃性が向上する。
ピッチ系炭素繊維の繊維径は、5~20μmとすることができ、9~15μmが好ましい。繊維径が上記下限値以上であれば、リン系難燃剤が粒子であっても幅広い粒度分布の粒子を基材の内部まで均一に分散させることができ、繊維強化複合材料の難燃性が向上する。強化繊維基材に含まれる炭素繊維全体の繊維径は、5~15μmが好ましい。
ピッチ系炭素繊維の引張弾性率は、400~900GPaであることが好ましい。炭素繊維の引張弾性率が前記範囲内に存在することで、強度と弾性率の発現性でバランスのとれた繊維強化複合材料が得られる。
プリプレグに使用する強化繊維基材(強化繊維の単繊維集合体)は、シート状であることが好ましい。強化繊維は、長繊維(連続繊維)であってもよく、例えば0.01~30cmの短繊維であってもよい。強化繊維基材としては、炭素繊維以外の強化繊維を含有していてもよく、含有していてもよい強化繊維としては、アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維等が挙げられる。強化繊維基材中の繊維の配向は、強化繊維が一方向に配列したものであってもよく、ランダム方向に配列したものであってもよい。強化繊維基材の形態としては、強化繊維の織物、強化繊維の不織布、強化繊維の長繊維が一方向に引き揃えられたシート等が挙げられる。比強度や比弾性率が高い繊維強化複合材料を成形することができるという観点からは、長繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維の束からなるシート(UD基材)をプリプレグに用いることが好ましく、取り扱いが容易であるという観点からは、強化繊維の織物をプリプレグに用いることが好ましい。強化繊維基材の目付は、10g/m以上4000g/m以下とすることができる。
[マトリックス樹脂組成物]
マトリックス樹脂組成物は、リン系難燃剤を含むことが好ましい。リン系難燃剤としては、リン酸エステル、有機ホスフィン酸塩、赤燐、リン含有エポキシ樹脂等が挙げられる。リン酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、1,3-フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。リン含有エポキシ樹脂としては、ビス(3-ヒドロキシプロピル)イソブチルホスフィンオキシドのジグリシジルエーテル(IHPOGly)、ビス-フェノキシ(3-ヒドロキシ)フェニルホスフィンオキシド(BPHPPO)のエポキシ化物、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン10-オキシド(DOPO)がエポキシ化された樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系難燃剤は、リン含有量が高く、難燃性を効率的に付与できることから、リン酸エステル、有機ホスフィン酸金属塩、および赤燐の群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。中でも、加水分解性、熱安定性が優れているため、加工時の圧力や熱による硬化剤等の粒子のブリードアウト現象が起こりにくいことから、有機ホスフィン酸金属塩がより好ましい。熱安定性の観点から、DSC測定で観測される有機ホスフィン酸金属塩の分解温度は、250℃以上が好ましく、300℃以上がより好ましい。有機ホスフィン酸金属塩の分解温度は、500℃以下とすることができる。
有機ホスフィン酸金属塩としては、下記式(1)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2023127110000002
…式(1)
(式(1)中、RおよびRは各々独立にアルキル基またはアリール基を表す。Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Ni、Li、K、およびNaからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、mは1~4の整数を表す。)
およびRのアルキル基およびアリール基は、直鎖状であってもよいし、分岐していてもよい。RおよびRとしては、難燃性の観点からアルキル基が好ましい。アルキル基としては、難燃性の観点から炭素数1~20であることが好ましく、炭素数1~6であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t-ブチル基等が挙げられ、メチル基またはエチル基が特に好ましい。アリール基としては、難燃性の観点から炭素数1~20であることが好ましく、炭素数1~8であることがより好ましい。具体的には、フェニル基、キシリル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が特に好ましく、Mとしては、難燃性の観点からAl、Zn、またはTiが好ましく、Alがより好ましい。
上記式(1)で表される有機ホスフィン酸金属塩としては、例えばトリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル等が挙げられる。これらの中でも、高い難燃性や耐湿性を有するエポキシ樹脂組成物が得られる点で、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウムが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。市販品としては、例えばExolit OP930、OP935、OP945、OP1230(いずれも商品名、クラリアントジャパン株式会社製)等が挙げられる。有機ホスフィン酸金属塩は、難燃性の観点から、リン系難燃剤全体100質量部に対して40質量部以上含むことが好ましく、50質量部以上含むことがより好ましい。有機ホスフィン酸金属塩は、リン系難燃剤全体に対して100質量%以下とすることができる。有機ホスフィン酸金属塩は、難燃性の観点から、マトリックス樹脂組成物100質量部に対して4質量部以上含むことが好ましく、7質量部以上含むことがより好ましい。有機ホスフィン酸金属塩は、繊維強化複合材料の機械的特性の観点から、マトリックス樹脂組成物100質量部に対して15質量部以下含むことが好ましく、12質量部以下含むことがより好ましい。
リン系難燃剤は、耐熱性や剛性に優れた繊維強化複合材料が得られることからリン系難燃粒子を含んでいることが好ましい。リン系難燃粒子を含むことで、ブリードアウト現象が発生しにくく、繊維強化複合材料の表面外観品質が向上する。
レーザー回析法により測定された、リン系難燃粒子のメジアン径(D50)は、強化繊維基材に含まれる炭素繊維全体の平均繊維径以下であることが好ましい。メジアン径(D50)が炭素繊維全体の平均繊維径以下であると、プリプレグ表面に難燃粒子が局在化しないため表面外観品質を向上させ、繊維強化複合材料の厚みの違いによる難燃性能のばらつきを小さくすることができる。
レーザー回析法により測定された、リン系難燃粒子のメジアン径(D50)は、5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましい。メジアン径(D50)を4μm以下とすることで、リン系難燃粒子をマトリックス樹脂に均一に分散させることができ、均一な難燃性を有する繊維強化複合材料が得られる。メジアン径は予めビーズミル等により粉砕したり、液状のマトリックス樹脂成分等との配合時に3本ロール等により粉砕したりすることで、調節できる。
リン系難燃剤は、マトリックス樹脂組成物に含まれるリン含有量が1質量%以上となるように配合することが好ましく、1.2質量%以上となるように配合することがより好ましい。マトリックス樹脂組成物に含まれるリン含有量を1質量%以上とすることで、硬化物の難燃性が向上する。リン含有量を3.0質量%以下とすることができる。マトリックス樹脂組成物100質量部に対するリン系難燃剤の含有量は、難燃性の観点から、1質量部以上が好ましく、7質量部以上がより好ましい。リン系難燃剤の含有量は、繊維強化複合材料の機械的特性の観点から、15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましい。
マトリックス樹脂組成物に含まれる樹脂は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が挙げられる。含浸性や耐熱性の観点からは、熱硬化性樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン系樹脂、尿素性樹脂、メラミン樹脂、イミド系樹脂が挙げられる。中でも、耐熱性や成形性に優れ、より機械強度が高い炭素繊維強化複合材料が得られることから、エポキシ樹脂がより好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。熱硬化性樹脂を用いる場合にはマトリックス樹脂組成物は硬化剤を含有することが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリールケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、オキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。機械物性と難燃性とのバランスに優れた繊維強化複合材料を得ることができることから、少なくともビスフェノール型エポキシ樹脂、またはオキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂、およびオキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂の両方を含むことがより好ましい。オキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂は、燃焼と同時に熱分解することで、構造内に含まれる窒素原子が、可燃性のガスを希釈する役割を担い、エポキシ樹脂組成物に効率よく難燃性を付与することができると考えられる。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールBP型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、コストと機械物性のバランスに優れた炭素繊維強化複合材料を得ることができることから、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、またはビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、トリグリシジル-p-アミノフェノール、トリグリシジル-m-アミノフェノール等が挙げられる。
マトリックス樹脂組成物中のエポキシ当量は150~250g/eqであることが好ましい。エポキシ当量が上記下限値以上であれば、耐熱性に優れた繊維強化複合材料が得られ、上記上限値以下であれば、保存安定性に優れたプリプレグが得られる。エポキシ当量はJIS K7236に従って測定できる。
全エポキシ樹脂成分100質量部に対するオキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂の含有量は、強化繊維との接着性や難燃性に優れた繊維強化複合材料が得られることから、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましい。タックやドレープ性に優れたプリプレグを得ることができるとともに、ボイドの少ない繊維強化複合材料を得ることができることから、オキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂の含有量は、全エポキシ樹脂成分100質量部に対して、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。全エポキシ樹脂成分100質量部に対するビスフェノール型エポキシ樹脂の含有量は、コストや機械物性の観点から、20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。ビスフェノール型エポキシ樹脂の含有量は、全エポキシ樹脂成分100質量部に対して、100質量部以下とすることができ、プリプレグのタック性や難燃性の観点からは、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。
60℃におけるマトリックス樹脂組成物の粘度は、5Pa・s以上が好ましく、10Pa・s以上がより好ましい。粘度を5Pa・s以上にすることで、プリプレグ表面に十分なタック性が得られ、成形時の樹脂の流動性が小さくなり、強化繊維の乱れを抑制することができる。60℃におけるマトリックス樹脂の粘度は、2000Pa・s以下が好ましく、1000Pa・s以下がより好ましい。粘度を2000Pa・s以下にすることで、強化繊維基材への含浸性およびプリプレグの成形加工性が向上する。プリプレグに含まれる難燃剤の分散性が向上するため、繊維強化複合材料全体に均一に難燃性を付与することができる。60℃におけるマトリックス樹脂の粘度は、レオメーター(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、HAAKE MARS 40)を用いて2℃/minの条件で測定できる。
マトリックス樹脂100質量部に対する熱硬化性樹脂の比率は、70質量部以上が好ましく、80質量部以上がより好ましい。熱硬化性樹脂の比率を70質量部以上とすることで、成形性、機械強度に優れた炭素繊維強化複合材料が得られる。硬化剤と熱硬化性樹脂の含有比率(硬化剤の質量/熱硬化性樹脂の質量)は成形における硬化性を向上させる観点から、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましい。プリプレグの保存安定性の観点から、0.3以下が好ましく、0.2以下がより好ましい。リン系難燃剤と熱硬化性樹脂の含有比率(リン系難燃剤の質量/熱硬化性樹脂の質量)は難燃性の観点から、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましい。成形における硬化性を向上させる観点から、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。リン系難燃剤と硬化剤の含有比率(リン系難燃剤の質量/硬化剤の質量)はプリプレグの保存安定性の観点から、0.3以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。成形における硬化性を向上させる観点から、1.5以下が好ましく、1.0以下がより好ましい。
硬化剤は、ジシアンジアミドおよび/またはジシアンジアミド誘導体を含むことが好ましい。ジシアンジアミドおよびその誘導体は融点が高く、低温領域におけるエポキシ樹脂との相溶性が低いことから、優れたポットライフを有するエポキシ樹脂組成物が得られるとともに、高い機械的特性を有する硬化物が得られる。ジシアンジアミドの誘導体としては、ジシアンジアミドと、エポキシ樹脂やビニル化合物、アクリル化合物、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド等の各種化合物を結合させたもの等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応性の観点からは、ジシアンジアミドが好ましい。ジシアンジアミドの市販品としては、例えばDICY7、DICY15(以上、三菱ケミカル株式会社製);DICYANEX1400F(エボニックジャパン株式会社製)等が挙げられる。
マトリックス樹脂組成物100質量部に対するジシアンジアミドおよび/またはジシアンジアミド誘導体の含有量は、硬化促進の観点から、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましい。硬化物の靱性の観点から、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して12質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
硬化剤は、イミダゾール化合物および/またはイミダゾール化合物誘導体を含むことが好ましい。イミダゾール化合物および/またはイミダゾール化合物誘導体は、より短時間でマトリックス樹脂を硬化させることができる。
イミダゾール化合物としては、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、及び2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
イミダゾール誘導体としては、イミダゾール化合物のイミダゾールアダクト、包接イミダゾール、マイクロカプセル型イミダゾール、および安定化剤を配位させたイミダゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の誘導体であってもよい。
アダクト処理、異分子による包接処理、マイクロカプセル処理、あるいは安定化剤を配位させる前のイミダゾールの具体例としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-エチル-4-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、1-シアノエチル-2-フェニル-4,5-ジ(2-シアノエトキシ)メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
マトリックス樹脂組成物100質量部に対するイミダゾール化合物および/またはイミダゾール化合物誘導体の含有量は、硬化を速める観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。マトリックス樹脂組成物100質量部に対するイミダゾール化合物および/またはイミダゾール化合物誘導体の含有量は、保存安定性および機械的特性の観点から、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
硬化剤は、尿素化合物を含むことが好ましい。尿素化合物は、高温で加熱することによりイソシアネート基とジメチルアミンを生成し、これらがエポキシ基と反応することで生じた熱により、生成した-NH基とエポキシ基の反応をさらに促進することで硬化速度を向上させることができる。
尿素化合物としては、特に制限されないが、ジメチルウレイド基が芳香環に結合した芳香族ジメチルウレア、ジメチルウレイド基が脂肪族化合物に結合した脂肪族ジメチルウレア等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、硬化速度が向上する観点から、芳香族ジメチルウレアが好ましい。
芳香族ジメチルウレアとしては、フェニルジメチルウレア、メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、トリレンビス(ジメチルウレア)等が挙げられる。より具体的には、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)(MBPDMU)、3-フェニル-1,1-ジメチルウレア(PDMU)、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU)、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチルウレア、2,4-ビス(3,3-ジメチルウレイド)トルエン(TBDMU)等が挙げられる。これらの中でも、硬化促進作用の観点から、フェニルジメチルウレア、メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、およびトリレンビス(ジメチルウレア)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。
脂肪族ジメチルウレアとしては、イソホロンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア、m-キシリレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア、ヘキサメチレンジイソシアネートとジメチルアミンとから得られるジメチルウレア等が挙げられる。
マトリックス樹脂組成物100質量部に対する尿素化合物の含有量は、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。尿素化合物の含有量を0.5質量部とすることで、エポキシ樹脂組成物の硬化が促進される。尿素化合物の含有量は、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。尿素化合物の含有量を10質量部以下とすることで、保存安定性および機械的特性により優れた硬化物が得られる。
ジシアンジアミドおよび/またはジシアンジアミド誘導体とイミダゾール化合物および/またはイミダゾール化合物誘導体の含有比率(ジシアンジアミドおよび/またはジシアンジアミド誘導体の質量/イミダゾール化合物および/またはイミダゾール化合物誘導体の質量)は、0.5~1.5であることが好ましい。上記下限値以上であれば、繊維強化複合材料の機械物性がより高まり、上記上限値以下であれば、成形における硬化性が向上する。また、ジシアンジアミドおよび/またはジシアンジアミド誘導体と尿素化合物の含有比率(ジシアンジアミドおよび/またはジシアンジアミド誘導体の質量/尿素化合物の質量)は、1.0~5.0であることが好ましい。上記下限値以上であれば、プリプレグの保存安定性が向上し、上記上限値以下であれば、成形における硬化性が向上する。
マトリックス樹脂は上述した成分以外の成分(以下、「任意成分」と称すことがある。)をさらに含有してもよい。任意成分としては、熱可塑性樹脂、添加剤等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は粘弾性制御や靭性付与のために配合される。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテル、ポリオレフィン、液晶ポリマー、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリルスチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレン共重合体(AES樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アルキル(メタ)アクリレート共重合体(ASA樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルホルマール、フェノキシ樹脂、ブロックポリマー等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの熱可塑性樹脂は1種を単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。中でも、樹脂フロー制御性等に優れる観点から、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリビニルホルマール、ブロックポリマーが好ましい。
マトリックス樹脂は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の様々な添加剤を含有してもよい。添加剤としては、無機質充填材、内部離型剤、有機顔料、無機顔料等が挙げられる。
添加剤としては、より具体的には、無機系難燃化剤として水和金属化合物系(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等)、無機酸化物その他助剤系(アンチモン化合物、硼酸亜鉛,錫酸亜鉛,Mo化合物、ZrO、硫化亜鉛、ゼオライト、酸化チタンナノフィラー系等)、シリコーンオイル、湿潤分散剤、消泡剤、脱泡剤、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド、エステル類、パラフィン類等の離型剤、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の粉体やガラス繊維、繊維長0.01mm~10mm程度の炭素繊維等の無機充填剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<マトリックス樹脂組成物の製造方法>
マトリックス樹脂組成物は、例えば上述した各成分を混合することにより得られる。各成分の混合方法としては、三本ロールミル、プラネタリミキサー、ニーダー、ホモジナイザー、ホモディスパー等の混合機を用いる方法が挙げられる。マトリックス樹脂組成物は、例えば、後述するように、強化繊維の集合体に含浸させてプリプレグの製造に用いることができる。他にも、エポキシ樹脂組成物を離型紙等に塗布して硬化させることで、マトリックス樹脂組成物のフィルムを得ることができる。フィルムとして使用する場合、30℃におけるエポキシ樹脂組成物の粘度が、100~1,000,000Pa・sであると、プリプレグ表面のタックの調整や作業性に優れる。
<繊維強化複合材料>
繊維強化複合材料は、プリプレグを硬化することにより得られる。すなわち、繊維強化複合材料は、プリプレグに含まれるマトリックス樹脂の硬化物と、強化繊維とを含む。繊維強化複合材料は、例えば、前述のプリプレグを2枚以上積層した後、得られた積層体に圧力を付与しながら、マトリックス樹脂を加熱硬化させる方法により成形して得られる。炭素繊維強化複合材料のUL-94V規格に基づく難燃性試験において、厚み0.5mm以上の試験片でV-0であることが好ましい。
成形方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法、シートラップ成形法や、強化繊維のフィラメントやプリフォームにエポキシ樹脂組成物を含浸させて硬化し成形品を得るRTM(Resin Transfer Molding)、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding:真空樹脂含浸製造法)、フィラメントワインディング、RFI(Resin Film Infusion)等が挙げられる。これらの中でも、生産性が高く、良質な繊維強化複合材料が得られやすいという観点から、プレス成形法が好ましい。
プレス成形法で繊維強化複合材料を製造する場合、プリプレグ、またはプリプレグを積層して作製したプリフォームを、予め硬化温度に調整した金型に挟んで加熱加圧することにより、プリプレグまたはプリフォームを硬化させることができる。プレス成形時の金型内の温度は、100~160℃が好ましい。また、1~15MPaの条件下で1~20分間、プリプレグまたはプリフォームを硬化させることが好ましい。
<用途>
成形品は厚みによらず優れた難燃性を有する。したがって、高度な難燃性能が要求される用途、たとえば電気電子筐体材料や航空機内装用材料等において有用であり、ノートパソコン等の電気・電子機器用筐体、航空機や自動車の内装部材等に適用できる。その他にも、スポーツ用途、一般産業用途および航空宇宙用途に好適に用いられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例で使用した原料を以下に示す。
[原料]
<エポキシ樹脂成分>
・jER828:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量189g/eq、三菱ケミカル株式会社製の「jER828」
・YD-952:オキサゾリドン型エポキシ樹脂、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の「YD-952」
・YDPN-638:フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量180g/eq、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の「YDPN-638」
<硬化剤成分>
・Dicy15:ジシアンジアミド、三菱ケミカル株式会社製の「jERキュア Dicy15」
・2MZA-PW:2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、四国化成工業株式会社製の「2MZA-PW」
・Omicure94:3-フェニル-1,1-ジメチルウレア、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製の「Omicure(オミキュア)94」
<難燃剤成分>
・OP935:トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、リン原子含有量23.0質量%、平均粒子径2~3μm、最大粒径10μm未満、分解温度300℃以上、クラリアントジャパン株式会社製の「Exolit OP935」
<炭素繊維>
・ピッチ系炭素繊維:三菱ケミカル株式会社製の「ダイアリードK63712」(平均繊維径11μm、比重2.12、引張弾性率640GPa、熱伝導率140W/mK)
・PAN系炭素繊維:三菱ケミカル株式会社製の「パイロフィルTR50S15L」(平均繊維径7μm、比重1.82、引張弾性率235GPa、熱伝導率6W/mK)
[実施例1]
エポキシ樹脂成分としてjER828、YD-952、YDPN-638、硬化剤成分として、Dicy15、2MZA-PW、Omicure94、難燃剤成分として、OP935を用い、以下のようにしてマトリックス樹脂組成物を調製した。まず、表1に記載の組成に従い、jER828(液状)と、Dicy15(固形)および2MZA-PW(固形)およびOmicure94(固形)を、固形成分と液状成分の質量比が1:1となるよう容器に計量し、攪拌し、混合した。これを三本ロールミルにてさらに細かく混合し、硬化剤マスターバッチを得た。続けて、表1に記載の組成の内、難燃剤成分と硬化剤マスターバッチ以外の成分をフラスコに計量し、オイルバスを用いて120℃に加熱し溶解混合した。その後100℃程度まで冷却しつつ、難燃剤成分を加えて攪拌混合し、65℃程度まで冷却したところで、前記硬化剤マスターバッチを加えて攪拌混合することによりマトリックス樹脂組成物を得た。得られたマトリックス樹脂組成物を用い、後述するプリプレグの作製方法に従ってプリプレグを作製し、それを硬化させることで炭素繊維強化複合材料板を作製した。また、後述の評価方法に従って、各種測定および評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1~2]
表1に示す配合組成に変更した以外は、実施例1と同様にしてマトリックス樹脂組成物を調製し、このマトリックス樹脂組成物を用いてプリプレグおよび炭素繊維強化複合材料板を作製し、各種測定および評価を行った。結果を表1に示す。
<プリプレグ作製方法>
未硬化のマトリックス樹脂組成物を、ホットメルトコーター(株式会社ヒラノテクシード製、「R-HC」)でフィルム状にし、樹脂目付け26.9g/mのレジンフィルムを作製した。このレジンフィルムを、炭素繊維を引き揃えて得られた、繊維目付150g/mの炭素繊維シートの両面に張り合わせ、加熱ロールで含浸させて、繊維目付150g/m、樹脂含有量35質量%のプリプレグを得た。
<炭素繊維強化複合材料板作製方法1>
前記<プリプレグ作製方法>で得られたプリプレグを298mm×298mmにカットし、強化繊維の長手方向が各プリプレグ層で一方向となるように4枚積み重ねて積層体を得た。積層した。この積層体を予め140℃に予熱したプレス成形用金型に投入し、140℃×10分、圧力4MPaの条件でプレス成形して、0.5mm厚の炭素繊維強化複合材料板を得た。
<炭素繊維強化複合材料板作製方法2>
前記<プリプレグ作製方法>で得られたプリプレグを298mm×298mmにカットし、繊維方向が[0°/0°/0°/90°/90°/90°/90°/90°/90°/0°/0°/0°]となるように12枚積み重ねて積層体を得た。この積層体を予め140℃に予熱したプレス成形用金型に投入し、140℃×10分、圧力4MPaの条件でプレス成形して、1.0mm厚の炭素繊維強化複合材料板を得た。
<炭素繊維強化複合材料板作製方法3>
前記<プリプレグ作製方法>で得られたプリプレグを298mm×298mmにカットし、繊維方向が[0°/0°/0°/90°/90°/90°/0°/0°/0°/90°/90°/90°/90°/90°/90°/0°/0°/0°/90°/90°/90°/0°/0°/0°]となるように24枚積み重ねて積層体を得た。この積層体を予め140℃に予熱したプレス成形用金型に投入し、140℃×10分、圧力4MPaの条件でプレス成形して、2.0mm厚の炭素繊維強化複合材料板を得た。
[評価方法]
UL-94V燃焼試験
炭素繊維強化複合材料からなる板の作製で得られた厚さ0.5mm、1.0mm、2.0mmの3種類の炭素繊維強化複合材料板を、127mm×幅12.7mmに加工して試験片とした。該試験片について、燃焼試験機(スガ試験機株式会社製)を用いて、UL-94V規格に従って燃焼試験を実施した。具体的には、試験片をクランプに垂直に取付け、20mm炎による接炎を10秒間行い、燃焼時間を測定した。5個の試験片について燃焼試験を行い、クランプまで燃焼したサンプルの数、各燃焼時間のうちの最大値(max)、および5個の燃焼時間の合計(総燃焼時間:total)を記録した。また、その結果に基づいて判定[V-0、V-1、V-2、fail]を行った。難燃性はV-0が最も優れており、V-1、V-2、failの順に劣っていく。
Figure 2023127110000003
表1の結果から明らかなように、強化繊維基材にピッチ系の炭素繊維、マトリックス樹脂にリン系難燃剤を含むことで、厚み0.5mm~2.0mmの範囲内全てでV-0であることが確認できた。

Claims (22)

  1. 強化繊維基材にマトリックス樹脂組成物を含浸させてなるプリプレグであって、前記強化繊維基材がピッチ系炭素繊維を含み、前記マトリックス樹脂組成物がリン系難燃剤を含む、プリプレグ。
  2. レーザーフラッシュ法により測定された、前記強化繊維基材の熱伝導率が100W/mK以上である、請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記ピッチ系炭素繊維の平均繊維径が9μm以上である、請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. 前記マトリックス樹脂組成物に含まれるリン含有量が1質量%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  5. 前記リン系難燃剤がリン系難燃剤粒子を含み、前記リン系難燃剤粒子のレーザー回析法により測定されたメジアン径(D50)が炭素繊維の平均繊維径以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  6. 前記リン系難燃剤粒子の、レーザー回析法により測定されたメジアン径(D50)が5μm未満である、請求項1~5のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  7. 前記リン系難燃剤が、下記式(1)で表される有機ホスフィン酸金属塩を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のプリプレグ。
    Figure 2023127110000004
    …式(1)
    (式(1)中、RおよびRは各々独立にアルキル基またはアリール基を表す。Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Ni、Li、K、およびNaからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、mは1~4の整数を表す。)
  8. 前記式(1)中、R11およびR12がアルキル基であり、MがAlで、mが3である、請求項1~7のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  9. 前記マトリックス樹脂の60℃における粘度が10~1000Pa・sである、請求項1~8のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  10. 前記マトリックス樹脂100質量部に対して、前記リン系難燃剤を1質量部以上15質量部以下含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  11. 前記マトリックス樹脂が硬化剤およびエポキシ樹脂を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  12. 前記硬化剤がジシアンジアミドおよび/またはジシアンジアミド誘導体を含む、請求項11に記載のプリプレグ。
  13. 前記硬化剤がイミダゾール化合物および/またはイミダゾール化合物誘導体を含む、請求項11または12に記載のプリプレグ。
  14. 前記硬化剤が尿素化合物を含む、請求項11~13のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  15. 前記尿素化合物が、フェニルジメチルウレア、メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、およびトリレンビス(ジメチルウレア)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、請求項14に記載のプリプレグ。
  16. 前記エポキシ樹脂全体のエポキシ当量が150~250g/eqである、請求項11~15のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  17. 前記エポキシ樹脂がオキサゾリドン構造を有するエポキシ樹脂を含む、請求項11~16のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  18. 前記ピッチ系炭素繊維が炭素繊維全体の80質量%以上の割合で含まれる、請求項1~17のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  19. 請求項1~18のいずれか1項に記載のプリプレグを硬化して得られる繊維強化複合材料。
  20. 厚みが0.5mm以上の部位を有する請求項19に記載の繊維強化複合材料。
  21. 炭素繊維目付が100g/m以上である、請求項19または20に記載の繊維強化複合材料。
  22. 前記炭素繊維強化複合材料のUL-94規格に基づく難燃性試験が、厚み0.5mm以上の試験片でV-0である、請求項19~21のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料。
JP2022030681A 2022-03-01 2022-03-01 プリプレグおよび繊維強化複合材料 Pending JP2023127110A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022030681A JP2023127110A (ja) 2022-03-01 2022-03-01 プリプレグおよび繊維強化複合材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022030681A JP2023127110A (ja) 2022-03-01 2022-03-01 プリプレグおよび繊維強化複合材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023127110A true JP2023127110A (ja) 2023-09-13

Family

ID=87971459

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022030681A Pending JP2023127110A (ja) 2022-03-01 2022-03-01 プリプレグおよび繊維強化複合材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023127110A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101860696B1 (ko) 에폭시 수지 조성물, 성형품, 프리프레그, 섬유 강화 복합 재료 및 구조체
US10364347B2 (en) Epoxy resin composition, prepreg, fiber-reinforced composite material, and housing for electrical or electronic equipment
JP6657605B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、成形品、プリプレグ、繊維強化複合材料および構造体
US20150099832A1 (en) Epoxy Resin Composition, Prepreg, and Fiber-Reinforced Composite Material
WO2010140351A1 (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料
JPWO2002050153A1 (ja) 難燃性エポキシ樹脂組成物、それを用いたプリプレグ及び繊維強化複合材料
JP2007302746A (ja) リン含有変性エポキシ樹脂、難燃性マトリックス樹脂組成物、プリプレグ及び複合材料
JP2013532763A (ja) 硬化性組成物
JP2016044246A (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料および構造体
US11732085B2 (en) Epoxy composition
JP2023127110A (ja) プリプレグおよび繊維強化複合材料
JP2022096749A (ja) エポキシ樹脂組成物、およびプリプレグ
JP2024005968A (ja) プリプレグおよび繊維強化複合材料
JP2023112896A (ja) プリプレグおよび繊維強化複合材料
JP2022144570A (ja) エポキシ樹脂組成物、およびプリプレグ
JP2022133828A (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料
WO2022102629A1 (ja) プリプレグ、成形品、およびエポキシ樹脂組成物
JP2006077202A (ja) 難燃性プリプレグ
JP2022122756A (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料
JP2024075850A (ja) プリプレグおよび繊維強化複合材料
JP2023135731A (ja) 成形品の製造方法、および成形品