JP2011057851A - エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性と引張強度に優れる繊維強化複合材料を得るために好適なプリプレグ、ならびにそのマトリックス樹脂として好適なエポキシ樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】[A]以下の化学式(1)で表されるエポキシ基との反応性を有する化合物、[B]エポキシ樹脂、[C]エポキシ樹脂硬化剤成分を含むエポキシ樹脂組成物。
R−X・・・(1)(但し、化学式(1)中、Xはエポキシ基との反応性を有する官能基であり、アミノ基(−NH2または−NHR1(R1は、アルキル基、アリール基))、水酸基(−OH)、−SH、−COOHのいずれかを表す。また、化学式(1)中、Rは環構造を少なくとも2つ有する1価の有機基を表す。)
【選択図】なし
【解決手段】[A]以下の化学式(1)で表されるエポキシ基との反応性を有する化合物、[B]エポキシ樹脂、[C]エポキシ樹脂硬化剤成分を含むエポキシ樹脂組成物。
R−X・・・(1)(但し、化学式(1)中、Xはエポキシ基との反応性を有する官能基であり、アミノ基(−NH2または−NHR1(R1は、アルキル基、アリール基))、水酸基(−OH)、−SH、−COOHのいずれかを表す。また、化学式(1)中、Rは環構造を少なくとも2つ有する1価の有機基を表す。)
【選択図】なし
Description
本発明は、スポーツ用途、航空機用途および一般産業用途に適した繊維強化複合材料、これを得るためのプリプレグ、さらにはそのマトリックス樹脂として好適に用いられるエポキシ樹脂組成物に関するものである。
近年、炭素繊維やアラミド繊維などを強化繊維として用いた繊維強化複合材料は、その高い比強度と比弾性率を利用して、航空機や船舶、自動車などの構造材料、テニスラケット、ゴルフシャフトおよび釣り竿などのスポーツ用途、およびパソコン筐体、圧力容器、建築補強剤などの一般産業用途などに利用されてきている。
その繊推強化複合材料の製造方法には、強化繊維に未硬化のマトリックス樹脂が含浸されたシート状中間材料であるプリプレグを用い、それを硬化させる方法や、モールド中に配置した強化繊維に液状の樹脂を流し込んで中間体を得て、それを硬化させるレジン・トランスファー・モールディング法などが用いられている。これらの製造方法のうち、プリプレグを用いる方法では、通常、プリプレグを複数枚積層した後、加熱加圧することによって繊維強化複合材料成形物を得ている。このプリプレグに用いられるマトリックス樹脂としては、プロセス性などの生産性の面から、熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂が用いられることが多い。
近年、繊維強化複合材料の使用例が増えるに従い、この繊維強化複合材料に対する要求特性は厳しくなってきている。特に、構造材用途では軽量化への要求が強く、より薄い材料で剛性を十分に発現させるために繊維強化複合材料に対してさらなる高性能化が求められている。特に、航空機部材や自動車部材等への適用においては、高温高湿下や低温下などのより厳しい使用環境での高強度化が要求されている。
繊維強化複合材料の高強度化には、強化繊維の高強度化や高繊維体積分率化(高Vf化)、強化繊維強度の高利用率化が必要である。一般に、強化繊維を高強度化するほど、繊維強化複合材料としたときに繊維本来の強度を利用することが難しくなる傾向がある。例えば強化繊維のストランド強度を向上させても、繊維強化複合材料の引張強度が十分に発現せず、引張強度利用率(繊維強化複合材料の引張強度/(強化繊維のストランド強度×体積繊維含有率)×100)は、低下していく傾向にある。そのため、高強度の炭素繊維を用いても、繊維強化複合材料としての強度を十分に向上させることは困難であった。
さらに、同じ強度の強化繊維を用いた複合材料であっても、組み合わせるマトリックス樹脂や成形条件により、その引張強度利用率が大きく変動することが知られている。特に、マトリックス樹脂の硬化条件が180℃以上と高温になると、その硬化の際に繊維強化複合材料に残留する熱応力歪から高強度が発現しにくいという問題がある。そのため、これまでにも、高温での硬化でも十分な引張強度を出すためのマトリックス樹脂の改質の検討が行われてきている。
マトリックス樹脂の引張破断伸度を上げると、繊維強化複合材料の引張強度利用率は向上することが知られている。マトリックス樹脂の引張破断伸度の向上には、例えば、マトリックス樹脂の架橋密度を下げることが有効とされる。しかしながら、マトリックス樹脂の架橋密度を下げると樹脂の耐熱性や弾性率が低下することがあり、繊維強化複合材料の構造材への適用において、引張強度と同様に重要な特性である耐熱性や圧縮強度などの特性を十分に保持するためには有効な配合が限られるという問題がある。
それを解決するために、引張破断伸度と破壊靱性KIcが特定の関係を満たすことにより、マトリックス樹脂の弾性率と耐熱性を保持しながら高い引張強度利用率が得られることが示されている(特許文献1参照。)。しかしながら、破壊靱性KIcの向上のために、マトリックス樹脂に熱可塑性樹脂やゴム成分を多量に配合すると、一般的に粘度が上昇し、プリプレグ製造のプロセス性や取扱性を損ねることがある。このように、繊維強化複合材料の引張強度と耐熱性、プリプレグ製造のプロセス性や取り扱い性を満たす例は限られていた。
一方、繊維強化複合材料の耐熱性や圧縮強度を発現させるには、マトリクス樹脂の耐熱性や弾性率を向上させることなどが有効とされるが、引張強度とのトレードオフに陥ることがあった。マトリックス樹脂の弾性率を向上させる手法として、例えば、極性基を有する硬化剤を配合することが示されている(特許文献2参照)。また、極性の大きい官能基を有し、マトリックス樹脂と反応性を持つ化合物を配合することでもマトリックス樹脂の弾性率を向上させることが示されている(特許文献3参照)。しかしながら、これらの例では、極性官能基を多用するため樹脂硬化物または繊維強化複合材料としたときにその吸水性が高くなる、すなわち耐水性が悪くなることがある。吸水の結果、繊維強化複合材料の強度が低下することがあり、実用に適さないため、改良することが望まれる。また、これらの例から得られるマトリックス樹脂については、繊維強化複合材料の引張強度との関係は述べられていない。
そこで本発明の目的は、耐熱性と引張強度に優れる繊維強化複合材料を得るために好適なプリプレグ、ならびにそのマトリックス樹脂として好適なエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を有するものである。
すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、以下の成分[A]、[B]、[C]を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
[A]化学式(1)で表される、エポキシ基との反応性を有する化合物、
R−X ・・・化学式(1)
(但し、化学式(1)中、Xはエポキシ基との反応性を有する官能基であり、アミノ基(−NH2または−NHR1(R1は、アルキル基、アリール基))、水酸基(−OH)、−SH、−COOHのいずれかを表す。また、化学式(1)中Rは、環構造を少なくとも2つ有する1価の有機基を表す。)
[B]エポキシ樹脂、
[C]エポキシ樹脂硬化剤。
[A]化学式(1)で表される、エポキシ基との反応性を有する化合物、
R−X ・・・化学式(1)
(但し、化学式(1)中、Xはエポキシ基との反応性を有する官能基であり、アミノ基(−NH2または−NHR1(R1は、アルキル基、アリール基))、水酸基(−OH)、−SH、−COOHのいずれかを表す。また、化学式(1)中Rは、環構造を少なくとも2つ有する1価の有機基を表す。)
[B]エポキシ樹脂、
[C]エポキシ樹脂硬化剤。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、強化繊維と組み合わせて、プリプレグおよび繊維強化複合材料を形成することができる。
本発明によれば、耐熱性、耐水性および引張強度特性に優れた繊維強化複合材料、およびこれを得るためのプリプレグおよびそのマトリックス樹脂として好適なエポキシ樹脂組成物が得られる。
特に、このエポキシ樹脂組成物により得られる繊維強化複合材料は高い引張強度特性を有するため、航空機用途の主翼や風車のブレードなどの大型の構造部材に好適に用いられる。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物、およびこれを用いたプリプレグおよび繊維強化複合材料料について詳細に説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物における成分[A]は、化学式(1)で表される、エポキシ基との反応性を有する化合物であり、繊維強化複合材料の引張強度を発現させるために必要な成分である。
R−X ・・・化学式(1)
但し、化学式(1)中、Xはエポキシ基との反応性を有する官能基であり、アミノ基(−NH2または−NHR1(R1は、アルキル基、アリール基))、水酸基(−OH)、−SH、−COOHのいずれかを表す。また、化学式中Rは、環構造を少なくとも2つ有する1価の有機基を表す。
但し、化学式(1)中、Xはエポキシ基との反応性を有する官能基であり、アミノ基(−NH2または−NHR1(R1は、アルキル基、アリール基))、水酸基(−OH)、−SH、−COOHのいずれかを表す。また、化学式中Rは、環構造を少なくとも2つ有する1価の有機基を表す。
エポキシ基との反応性を有する官能基Xは、成分[A]がマトリックス樹脂の硬化中にマトリックス樹脂のネットワークに取り込まれるために必須の構造である。好ましくはアミノ基または水酸基である。エポキシ樹脂組成物およびプリプレグの保管中に反応が進行しにくいという観点から、より好ましくは芳香族環に直接結合したアミノ基またはフェノール性水酸基である。
化学式(1)中、Rの環構造は、求める耐熱性等のマトリックス樹脂特性を得るために必須の構造である。Rが環構造を少なくとも2つ有することは、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させたとき、および繊維強化複合材料としたときの耐熱性や耐水性の観点から必要である。また、後述するとおり、エポキシ樹脂組成物およびプリプレグの製造プロセス中および保管中、また繊維強化複合材料の成型時において成分[A]が揮発または昇華して組成変動しないためにも好ましい構成である。
成分[A]において化学式(1)中、Rの環構造としては、例えばシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素環、ベンゼン等の芳香族環、フラン、キノリンなどの複素環が挙げられる。
また、Rの環構造を少なくとも2つ含む構造としては、次の化学式(2)で表される構造や、縮合多環の構造が挙げられる。
Z−(W)n−Z’ ・・・化学式(2)
但し、化学式(2)中、Z、Z’は芳香族環、脂肪族環、複素環から選ばれる環構造を、Wは炭素数4以下のアルキレン基、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−SO−、−COO−から選ばれる基を、nは0あるいは1である。一般式(2)における環構造Z、Z’の好ましい例を以下の化学式(3)に挙げる。
但し、化学式(2)中、Z、Z’は芳香族環、脂肪族環、複素環から選ばれる環構造を、Wは炭素数4以下のアルキレン基、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−SO−、−COO−から選ばれる基を、nは0あるいは1である。一般式(2)における環構造Z、Z’の好ましい例を以下の化学式(3)に挙げる。
但し、化学式(3)中、R2は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲンから選ばれる1種以上の基を、YはC(R3)2(R3は、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲンから選ばれる1種以上の基)、S、O、COを表し、p=0〜5の整数、q=0〜4の整数、r=0〜3の整数である。また、前記化学式(2)で表される一価の有機基Rが、前記化学式(1)で表されるエポキシ基との反応性を有する官能基Xと結合する位置は、ZまたはZ’のいずれか一方の環構造上の任意の炭素原子(但し、R2、Wと結合している炭素原子を除く)である。
耐熱性の観点から、Z、Z’のうち少なくとも一方が芳香族、複素芳香族環であることが好ましい。
成分[A]として用いることのできる化合物のうち、前記化学式(2)で表される構造を有する化合物の具体例として、各種アミノビフェニル、フェノキシアニリン、アミノフェニルフェニルスルホン、アミノフェニルフェニルスルフィド、アミノベンゾフェノン、アミノ安息香酸シクロヘキシル、アミノ安息香酸メンチル、アミノ安息香酸ベンジル、およびそれらの環構造上の水素がアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲンで置換された誘導体が挙げられる。
縮合多環の構造としては、ナフタレン、アントラセンなどの芳香族、インドール、ベンゾフランなどの複素環、ノルボルナン、アダマンタン、デカヒドロナフタレンなどの脂肪族が挙げられる。このような縮合多環構造の好ましい例を以下の化学式(4)に挙げる。
化学式(4)中R2は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲンから選ばれる1種以上の基を、R4は、水素またはアルキル基またはアリール基を、YはC(R3)2(R3は、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲンから選ばれる1種以上の基)、S、O、COを表し、q=0〜4の整数、r=0〜3の整数、s=0〜2の整数、t=0あるいは1である。また、前記化学式(4)で表される一価の有機基Rが前記のエポキシ基との反応性を有する官能基Xと結合する位置は、環構造上の任意の炭素原子(但し、R2と結合している炭素原子を除く)である。
これらの構造のうち、耐熱性の観点から、縮合多環構造は芳香族または複素芳香族の縮合多環構造であることが好ましい。
成分[A]として用いることのできる化合物のうち、縮合多環構造を有する成分[A]の具体例として、アミノナフタレン、アミノアントラキノン、アミノキノリン、アミノフルオレン、アミノフルオレノン、N−フェニル−N’−ナフチルアミン、およびそれらの環構造上の水素がアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲンで置換された誘導体が挙げられる。
その他に成分[A]の具体例としては、N,N’−ジフェニルアミン、N,N’−ジトリルアミンが挙げられる。
また、成分[A]の沸点が低い場合、もしくは昇華性を持つ場合、樹脂組成物製造プロセスやプリプレグでの保管時、積層作業時などにおいて成分[A]が蒸発して組成が変動する可能性がある。また繊維強化複合材料の成型時にボイドの原因となる可能性がある。従って、成分[A]の沸点が大気圧下で200℃以上であることが好ましい。
本発明においては、成分[A]は1種の化合物を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明における成分[B]エポキシ樹脂は、耐熱性や機械特性発現のために必要な成分である。本発明においては、[B]エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明において、エポキシ樹脂とは、分子中に一つ以上のエポキシ基を有する化合物である。分子中のエポキシ基が1個の場合1官能、2個の場合2官能、というように、分子中のエポキシ基の数がN個のエポキシ樹脂をN官能のエポキシ樹脂と呼ぶ。本発明におけるエポキシ樹脂としては、1官能以上であればよいが、耐熱性と弾性率を向上させる観点から、エポキシ樹脂[B]としては3官能以上のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
3官能以上のエポキシ樹脂において、官能基数は好ましくは3〜7であり、より好ましくは3〜5である。成分[B]エポキシ樹脂の官能基数がかかる好ましい範囲であれば、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させた後の樹脂硬化物が脆くなることを抑制しやすくなる。
3官能以上のエポキシ樹脂としては、グリシジルアミン型エポキシ樹脂およびグリシジルエーテル型エポキシ樹脂から選択することが好ましい。3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン型、ジアミノジフェニルスルホン型、アミノフェノール型、メタキシレンジアミン型、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン型、イソシアヌレート型等のエポキシ樹脂が挙げられる。中でも、取り扱い製と耐熱性、弾性率等機械物性のバランスが良いことから、ジアミノジフェニルメタン型とアミノフェノール型のエポキシ樹脂が特に好ましく用いられる。
また、3官能以上のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、フェノールアラルキル型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、およびテトラフェニロールエタン型等のエポキシ樹脂、およびビナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。
上記以外のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビスアリールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、およびグリシジルアニリン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
少なくとも1種の3官能以上のエポキシ樹脂と少なくとも1種の2官能のエポキシ樹脂とを配合することにより、樹脂の流動性と硬化後の耐熱性を兼ね備えることができる。また、グリシジルアミン型エポキシ樹脂とグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を組み合わることにより、耐熱性および耐水性とプロセス性の両立が可能になる。また、常温で液状のエポキシ樹脂を少なくとも1種と、常温で固形状のエポキシ樹脂を少なくとも1種を配合することにより、プリプレグのタック性とドレープ性を適切にすることができる。
強化繊維との接着性と機械物性のバランスから、[B]エポキシ樹脂100質量部中にグリシジルアミン型エポキシ樹脂が30〜100質量部配合されることが好ましい。
液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびレゾルシノール型エポキシ樹脂は、低粘度であるために、他のエポキシ樹脂と組み合わせて使うことが好ましい。
また、固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂および固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂は、液状のビスフェノールA型およびビスフェノールF型エポキシ樹脂に比較しより靭性の高い構造が得られるため、グリシジルアミン型エポキシ樹脂や液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂や液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂と組み合わせて好ましく用いられる。
ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂は、低吸水率かつ高耐熱性の硬化樹脂を与える。また、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂およびジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂も、低吸水率の硬化樹脂を与えるため好適に用いられる。ウレタン変性エポキシ樹脂およびイソシアネート変性エポキシ樹脂は、破壊靱性と伸度の高い硬化樹脂を与える。
以下に、成分[B]として用いることのできるエポキシ樹脂の市販品の例を挙げる。
ジアミノジフェニルメタン型のエポキシ樹脂の市販品としては、ELM434(住友化学(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY720、“アラルダイト(登録商標)”MY721、“アラルダイト(登録商標)”MY9512、“アラルダイト(登録商標)”MY9663(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、および“エポトート(登録商標)”YH―434(東都化成(株)製)などが挙げられる。
メタキシレンジアミン型のエポキシ樹脂の市販品としては、TETRAD−X(三菱ガス化学(株)製)が挙げられる。
1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン型のエポキシ樹脂の市販品としては、TETRAD−C(三菱ガス化学(株)製)が挙げられる。
イソシアヌレート型のエポキシ樹脂の市販品としては、TEPIC−P(日産化学工業(株)製)が挙げられる。
アミノフェノール型のエポキシ樹脂の市販品としては、ELM120やELM100(以上、住友化学(株)製)、“jER(登録商標)”630(ジャパンエポキシレジン(株)製)、および“アラルダイト(登録商標)”MY0600、“アラルダイト(登録商標)”MY0510(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
トリスヒドロキシフェニルメタン型のエポキシ樹脂の市販品としては、Tactix742(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)が挙げられる。
テトラフェニロールエタン型のエポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”1031S(ジャパンエポキシレジン(株)製)が挙げられる。
ビナフタレン骨格を有する多官能エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”HP4700(DIC(株)製)などが挙げられる。
ナフタレン骨格を含有する多官能エポキシ樹脂の市販品としては、NC−7300(日本化薬(株)製)、“エポトート(登録商標)”ESN−175、“エポトート(登録商標)”ESN−375(以上東都化成(株)製)なども挙げられる。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”HP7200(DIC(株)製)などが挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、DEN431やDEN438(以上、ダウケミカル社製)および“jER(登録商標)”152(ジャパンエポキシレジン(株)製)などが挙げられる。
オルソクレゾールノボラック型のエポキシ樹脂の市販品としては、EOCN−1020(日本化薬(株)製)や“エピクロン(登録商標)”N−660(DIC(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“EPON(登録商標)”825(ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン(登録商標)”850(DIC(株)製)、“エポトート(登録商標)”YD―128(東都化成(株)製)、およびDER―331やDER−332(以上、ダウケミカル社製)などが挙げられる。
固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”1001、“jER(登録商標)”1004AFおよび“jER(登録商標)”1007(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”806、“jER(登録商標)”807および“jER(登録商標)”1750(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン(登録商標)”830(DIC(株)製)および“エポトート(登録商標)”YD―170(東都化成(株)製)などが挙げられる。
固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”4002、 “jER(登録商標)”4004Pおよび“jER(登録商標)”4007P(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)などが挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール(登録商標)”EX−201(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
グリシジルアニリン型のエポキシ樹脂の市販品としては、GANやGOT(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ビフェニル型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”YX4000および“jER(登録商標)”YL6677(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)などが挙げられる。
ウレタン変性エポキシ樹脂の市販品としては、AER4152(旭化成エポキシ(株)製)などが挙げられる。
ヒダントイン型のエポキシ樹脂の市販品としては、AY238(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)が挙げられる。
ビスアリールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂の市販品としては、オグソールPG、オグソールPG−100、オグソールEG(以上、大阪ガスケミカル(株)製)等が挙げられる。
本発明で用いられるエポキシ樹脂[B]としては、前記以外にも、前記エポキシ樹脂[B]と熱硬化性樹脂の共重合体、変性体およびこれらの2種類以上をブレンドした樹脂組成物なども用いることができる。
エポキシ樹脂[B]と共重合させて用いられる上記の熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂およびポリイミド樹脂等が挙げられる。[B]と共重合させて用いられる上記の熱硬化性樹脂は、1種を用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂[B]や[B]と熱硬化性樹脂を共重合させたもの、また[B]の変性体は、単独で用いてもよいし2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。複数の[B]を組み合わせて用いることで前述のとおり多様な特性を追加することができる。
本発明において用いられるエポキシ樹脂硬化剤[C]は、前記のエポキシ樹脂[B]の硬化剤であり、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物である。エポキシ樹脂硬化剤[C]は樹脂組成物を硬化させた際に架橋密度を適切にし、十分な剛性と耐熱性を与えるために必須の成分である。硬化剤[C]としては、エポキシ基との反応性を有する官能基を有するものであれば特に限定されないが、より具体的には、例えば、ジシアンジアミド、芳香族ポリアミン、アミノ安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリフェノール化合物、イミダゾール誘導体、脂肪族アミン、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリメルカプタンおよび三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などが挙げられる。
エポキシ樹脂硬化剤[C]が芳香族ポリアミン芳香族ポリアミンである場合、耐熱性の良好なエポキシ樹脂硬化物が得られるので好ましい。また、[C]が酸無水物である場合、アミン化合物硬化に比べ吸水率の低い硬化物を与えるので、これも好ましい。
芳香族ポリアミンの具体例としては、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミンやそれらの各種誘導体および位置異性体が挙げられる。芳香族ポリアミン硬化剤の市販品としては、例えば、“セイカキュア(登録商標)”S(住友化学(株)製)、MDA−220(三井化学(株)製)、“jERキュア(登録商標)”W(ジャパンエポキシレジン(株)製)、3,3’−DAS(三井化学(株)製)、“Lonza Cure(登録商標)”M−DIPA(Lonza(株)製)、および“Lonza Cure(登録商標)”M−MIPA(Lonza(株)製)などが挙げられる。
酸無水物硬化剤の具体例としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルジヒドロ無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、シクロペンタンテトラカルボン酸ジアンヒドリド、無水ナジック酸、メチル無水ナジック酸、ビシクロ(2.2.2)オクト−7−2,3,5,6−テトラカルボン酸ジアンヒドリドなどが挙げられる。メチルテトラヒドロ無水フタル酸の市販品としては、“リカシッド(登録商標)”MT500(新日本理化(株)製)があげられる。ヘキサヒドロ無水フタル酸の市販品としては、“リカシッド(登録商標)”HH(新日本理化(株)製),HHPA(丸善石油化学(株)製)が挙げられる。メチルヘキサヒドロ無水フタル酸の市販品としては、“EPICLON(登録商標)” B−570、“EPICLON(登録商標)” B−650(以上DIC(株)製)などが挙げられる。ヘキサヒドロ無水フタル酸とメチルヘキサヒドロフタル酸の混合物の市販品としては、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸:ヘキサヒドロ無水フタル酸=70:30で配合された“リカシッド(登録商標)”MH700(新日本理化(株)製)が挙げられる。無水メチルナジック酸の市販品としては、“カヤハード(登録商標)”MCD (日本化薬(株)製)が挙げられる。トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸の市販品としては、“jERキュア(登録商標)”YH−306(ジャパンエポキシレジン(株)製)が挙げられる。
本発明で用いられるエポキシ樹脂硬化剤[C]としては、前記以外にも、これらの硬化剤[C]を潜在化したもの、例えば、アミンアダクトやマイクロカプセル化したものを用いることもできる。このような潜在化させた硬化剤を使用した場合、プリプレグの保存安定性、特にタック性やドレープ性が室温放置しても変化しにくい。
これらの硬化剤[C]および[C]を潜在化した硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
エポキシ基との反応性を有する化合物[A]とエポキシ樹脂[B]および硬化剤[C]の配合比は、[B]のエポキシ当量と化合物[A]や硬化剤[C]の活性水素当量の関係や、目的とする用途、目標とする物性等よって適宜設定されるものであるが、本発明においては、樹脂硬化物や繊維強化複合材料としたときの耐熱性および力学特性の観点から、エポキシ基との反応性を有する化合物[A]と硬化剤[C]の配合比は、分子数で[A]:[C]=0.3:1〜2:1の範囲で配合することが好ましい。[C]に対する[A]の配合量が少なすぎる場合、[A]を配合する効果が十分に得られない可能性がある。また、[C]に対する[A]の配合量が多すぎる場合、硬化物の耐熱性が低下したり、もろくなる可能性がある。より好ましい範囲は、[A]:[C]=0.4:1〜1.2:1の範囲である。
さらに、エポキシ基との反応性を有する化合物[A]と硬化剤[C]のエポキシ樹脂[B]に対する配合量は、[[A]と[C]の活性水素当量の合計]/[エポキシ基]の当量比が0.7〜1.2となるように配合することが好ましい。特に芳香族アミン類の配合量は、[アミノ基中の活性水素]/[エポキシ基]の当量比0.7〜0.9を用いることにより、当量で用いた場合より高弾性率樹脂が得られることがあり、これも好ましい。
また、これらエポキシ基との反応性を有する化合物[A]とエポキシ樹脂[B]と硬化剤[C]、あるいはそれらの一部を完全にまたは部分的に反応させた物を、本発明のエポキシ樹脂組成物中に配合してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、成分[A]、[B]、[C]に加えて、エポキシ樹脂組成物の靱性や粘弾性を制御するために熱可塑性樹脂を配合することができる。
このような熱可塑性樹脂としては、一般に、主鎖に、炭素−炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、チオエーテル結合、スルホン結合およびカルボニル結合からなる群から選ばれた結合を有する熱可塑性樹脂であることが好ましいが、部分的に架橋構造を有していても差し支えない。また、これらの熱可塑性樹脂は、結晶性を有していても非晶性であってもよい。より具体的には、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリビニルホルマール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリエーテルニトリルおよびポリベンズイミダゾール等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
樹脂硬化物の耐熱性や靱性、および未硬化の樹脂の粘度制御の面から、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミドが好ましく用いられる。ポリエーテルスルホンの市販品としては、“スミカエクセル(登録商標)”PES3600P、PES5003P、PES5200P、PES7600P(以上、住友化学(株)製)などが挙げられる。ポリエーテルイミドの市販品としては、“Ultem(登録商標)”1000、“Ultem(登録商標)”1010、“Ultem(登録商標)”1040(以上、SABICイノベーティブプラスチックス(株)製)などが挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂成分は、樹脂硬化物または繊維強化複合材料としたときの耐溶剤性の観点から、本発明で用いられるエポキシ樹脂[B]に溶解させて配合することが好ましい。
これらの熱可塑性樹脂は、本発明で用いられるエポキシ樹脂[B]との親和性の観点から、エポキシ樹脂[B]と反応し得る官能基を末端または分子鎖中に有することが好ましい。
エポキシ樹脂[B]と熱可塑性樹脂の配合割合(質量部)は、配合した全エポキシ樹脂組成物の合計100質量部に対して、好ましくは熱可塑性樹脂の配合量が2〜40質量部であり、より好ましくは5〜25質量部の範囲である。熱可塑性樹脂の配合量が多すぎる場合、樹脂組成物の粘度が上昇し、樹脂組成物およびプリプレグの製造プロセス性や取り扱い性を損ねることがある。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、未硬化樹脂の粘弾性や樹脂硬化物の靱性などを改良するため、各種の改質剤を添加することができる。具体的には、ゴム粒子および熱可塑性樹脂粒子等の有機粒子を配合することができる。
ゴム粒子としては、取り扱い性等の観点から、架橋ゴム粒子、および架橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコアシェルゴム粒子が好ましく用いられる。
架橋ゴム粒子の市販品としては、カルボキシル変性のブタジエン−アクリロニトリル共重合体の架橋物からなるFX501P(日本合成ゴム工業社製)、アクリルゴム微粒子からなるCX−MNシリーズ(日本触媒(株)製)、YR−500シリーズ(東都化成(株)製)等を使用することができる。
コアシェルゴム粒子の市販品としては、例えば、ブタジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物からなる“パラロイド(登録商標)”EXL−2655(Rohm&Haas社製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体からなる“スタフィロイド (登録商標)”AC−3355、TR−2122(ガンツ化成(株)製)、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合物からなる“パラロイド(PARALOID)(登録商標)”EXL−2611、EXL−3387(Rohm&Haas社製)等を使用することができる。
熱可塑性樹脂粒子としては、ポリアミド粒子やポリイミド粒子が好ましく用いられ、ポリアミド粒子の市販品として、SP−500(東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”1002、3502、3801(アルケマ社製)等を使用することができる。
本発明では、ゴム粒子および熱可塑性樹脂粒子等の有機粒子は、得られる樹脂硬化物の弾性率と靱性を両立させる点から、全エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜30質量部配合することが好ましく、より好ましくは1〜15質量部配合することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、カップリング剤や、熱硬化性樹脂粒子、あるいはシリカゲル、カーボンブラック、クレイ、カーボンナノチューブ、金属粉体といった無機粒子、無機フィラー等を配合することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂硬化物のガラス転移温度は、好ましくは120〜250℃、より好ましくは150〜210℃である。
本発明のエポキシ樹脂を硬化させて得られる樹脂硬化物のゴム状態弾性率は、好ましくは20MPa以下、より好ましくは17MPa以下である。
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂硬化物の曲げ弾性率は、好ましくは2.5〜5GPa、より好ましくは3.5〜5GPaである。
本発明のプリプレグに用いられる強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、PBO繊維、高強力ポリエチレン繊維、アルミナ繊維および炭化ケイ素繊維などを用いることができる。これらの繊維を、2種類以上混合して用いても構わない。特に、材料の軽量化や高強度化の要求が高い用途においては、その優れた比弾性率と比強度のため、炭素繊維や黒鉛繊維が好適に用いられる。
強化繊維の形態や配列は特に限定されるものではなく、例えば、一方向に引き揃えられた長繊維、単一のトウ、織物、ニット、不織布、マットおよび組紐などの繊維構造物が用いられる。また、特に、比強度と比弾性率が高いことを要求される用途には、連続繊維の形態であることが好ましい。強化繊維が単一方向に引き揃えられた配列が最も適しているが、取り扱いの容易なクロス(織物)状の配列も本発明には適している。
本発明においては、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが可能であるが、耐衝撃性に優れ、高い剛性および機械強度を有する複合材料を得られることから、JIS R 7601に記載の方法によるストランド引張試験における引張弾性率が200〜500GPa、引張強度4 .4〜8.0GPa 、引張伸度1 .7〜2.2%の高強度高伸度の炭素繊維が適している。今後の高性能化の要求に応えるためには、引張強度が5.4GPa以上の高強度の炭素繊維がより好ましい。
本発明において好ましく用いられる炭素繊維を有してなる炭素繊維束は、一つの繊維束中のフィラメント数が2500〜50000本の範囲であることが好ましい。フィラメント数が2500本を下回ると繊維配列が蛇行しやすく強度低下の原因となりやすい。また、フィラメント数が50000本を上回るとプリプレグ作製時あるいは成形時に樹脂含浸が難しいことがある。フィラメント数は、より好ましくは2800〜25000本の範囲である。
炭素繊維の市販品としては、“トレカ(登録商標)”T800G−24K、“トレカ(登録商標)”T800S−24K、“トレカ(登録商標)”T700G−24K、“トレカ(登録商標)”T300−3K、および“トレカ(登録商標)”T700S−12K(以上東レ(株)製)などが挙げられる。
本発明によるプリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸したものである。本発明のプリプレグに好ましく用いられる炭素繊維を用いる場合、そのプリプレグに含まれる炭素繊維の質量分率は好ましくは40〜90質量%であり、より好ましくは50〜80質量%である。炭素繊維の質量分率が低すぎると、得られる複合材料の重量が過大となり、比強度および比弾性率に優れる繊維強化複合材料の利点が損なわれることがあり、また、炭素繊維の質量分率が高すぎると、樹脂組成物の含浸不良が生じ、得られる複合材料がボイドの多いものとなり易く、その力学特性が大きく低下することがある。
本発明によるプリプレグは、単位面積あたりの強化繊維量が70〜2000g/m2であることが好ましい。かかる強化繊維量が70g/m2未満では、繊維強化複合材料成形の際に、所定の厚みを得るために積層枚数を多くする必要があり、作業が繁雑となることがある。一方で、強化繊維量が2000g/m2を超えると、プリプレグのドレープ性が悪くなる傾向にある。単位面積あたりの強化繊維量のより好ましい範囲は、90〜500g/m2である。
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、エポキシとの反応性を有する化合物[A]と硬化剤[C]以外の構成要素(成分)をまず60〜100℃程度の温度で均一に加熱混練し、次いで80℃以下の温度まで冷却した後に、成分[A]と[C]を加えて混練することが好ましい。熱可塑性樹脂を溶解して配合する場合は、成分[A]と[C]以外の構成要素を140〜170℃程度の温度で均一に加熱混練し、次いで80℃程度の温度まで冷却した後に、成分[A]と[C]を加えて混練することが好ましい。ただし、各成分の配合方法は特にこれらの方法に限定されるものではない。
本発明のエポキシ樹脂組成物の混練方法は、一般的にエポキシ樹脂組成物の調製に使用されるどのような方法でもよい。例えば、ニーダーやプラネタリーミキサー、三本ロールなどが用いられる。
本発明のプリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物を、メチルエチルケトンやメタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、強化繊維に含浸させるウェット法と、エポキシ樹脂組成物を加熱により低粘度化し、強化繊維に含浸させるホットメルト法等によって好適に製造することができる。
ウェット法は、強化繊維をエポキシ樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発せしめ、プリプレグを得る方法である。
ホットメルト法は、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、またはエポキシ樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングした樹脂フィルムを作製しておき、次に強化繊維の両側または片側からその樹脂フィルムを重ね、加熱加圧することによりエポキシ樹脂組成物を転写含浸せしめ、プリプレグを得る方法である。このホットメルト法では、プリプレグ中に残留する溶媒が実質的に皆無となるため、好ましい方法である。
また、本発明の繊維強化複合材料は、このような方法により製造された単独または複数のプリプレグを積層後、得られた積層体に熱および圧力を付与しながらエポキシ樹脂を加熱硬化させる方法等により製造することができる。
熱および圧力を付与する方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法および内圧成形法等が使用される。特にスポーツ用品の成形には、ラッピングテープ法と内圧成形法が好ましく用いられる。
ラッピングテープ法は、マンドレル等の芯金にプリプレグを捲回して、繊維強化複合材料製の管状体を成形する方法であり、ゴルフシャフトや釣り竿等の棒状体を作製する際に好適な方法である。より具体的には、マンドレルにプリプレグを捲回し、プリプレグの固定および圧力付与のため、プリプレグの外側に熱可塑性樹脂フィルムからなるラッピングテープを捲回し、オーブン中でエポキシ樹脂を加熱硬化させた後、芯金を抜き去って管状体を得る方法である。
また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームを金型中にセットし、次いでその内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せしめ、管状体を成形する方法である。この内圧成形法は、ゴルフシャフト、バット、およびテニスやバトミントン等のラケットのような複雑な形状物を成形する際に、特に好ましく用いられる。
本発明の繊維強化複合材料は、前記したエポキシ樹脂組成物を用いて、プリプレグを経由しない方法によっても製造することができる。
このような方法としては、例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させた後加熱硬化する方法、すなわち、ハンド・レイアップ法、フィラメント・ワインディング法、プルトルージョン法、レジン・インジェクション・モールディング法およびレジン・トランスファー・モールディング法等が用いられる。これら方法では、エポキシ樹脂からなる1つ以上の主剤と、1つ以上の硬化剤とを使用直前に混合してエポキシ樹脂組成物を調製する方法が好ましく採用される。
本発明の繊維強化複合材料は、航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板、ICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途、建築材料、さらにはゴルフシャフトやテニスラケットなどスポーツ用途に好ましく用いられる。
以下、実施例によって、本発明のエポキシ樹脂組成物と、それを用いたプリプレグと繊維強化複合材料について、より具体的に説明する。実施例で用いた樹脂原料、プリプレグおよび繊維強化複合材料の作製方法、樹脂硬化物の弾性率および耐熱性評価方法、引張強度の評価法を、次に示す。実施例の各種評価およびプリプレグの作製環境は、特に断りのない限り、温度25℃±2℃、相対湿度50%の雰囲気で行ったものである。
(1)実施例に用いた樹脂原料および強化繊維
<成分[A]:エポキシ基との反応性を有する化合物>
沸点は特に記載のない場合は大気圧下のものである。
・4−フェノキシアニリン(東京化成工業(株)製、沸点320℃(30mmHg下))
・2−フェノキシアニリン(和光純薬工業(株)製、沸点153℃(23mmHg下))
・2−アミノビフェニル(東京化成工業(株)製、沸点299℃)
・1−アミノアントラキノン(東京化成工業(株)製、沸点350℃以上)
・アントラニル酸メンチル(シグマ・アルドリッチ(株)製、沸点250℃以上)。
<成分[A]:エポキシ基との反応性を有する化合物>
沸点は特に記載のない場合は大気圧下のものである。
・4−フェノキシアニリン(東京化成工業(株)製、沸点320℃(30mmHg下))
・2−フェノキシアニリン(和光純薬工業(株)製、沸点153℃(23mmHg下))
・2−アミノビフェニル(東京化成工業(株)製、沸点299℃)
・1−アミノアントラキノン(東京化成工業(株)製、沸点350℃以上)
・アントラニル酸メンチル(シグマ・アルドリッチ(株)製、沸点250℃以上)。
<エポキシ基との反応性を有する化合物(化学式(1)のRに含まれる環構造が1つ)>
・2−アミノ安息香酸エチル(和光純薬工業(株)製、沸点267℃)。
・2−アミノ安息香酸エチル(和光純薬工業(株)製、沸点267℃)。
<成分[B]:エポキシ樹脂>
・ELM434(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、エポキシ当量:120、住友化学(株)製)(3官能以上のエポキシ樹脂)
・“アラルダイト(登録商標)”MY0600(トリグリシジル−m−アミノフェノール、エポキシ当量:118、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)(3官能以上のエポキシ樹脂)
・“エピクロン(登録商標)”830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:172、DIC(株)製)(2官能のエポキシ樹脂)。
・ELM434(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、エポキシ当量:120、住友化学(株)製)(3官能以上のエポキシ樹脂)
・“アラルダイト(登録商標)”MY0600(トリグリシジル−m−アミノフェノール、エポキシ当量:118、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)(3官能以上のエポキシ樹脂)
・“エピクロン(登録商標)”830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:172、DIC(株)製)(2官能のエポキシ樹脂)。
<成分[C]:エポキシ樹脂硬化剤>
・“セイカキュア(登録商標)”−S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、和歌山精化工業(株)製)
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、三井化学ファイン(株)製)。
・“セイカキュア(登録商標)”−S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、和歌山精化工業(株)製)
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、三井化学ファイン(株)製)。
<熱可塑性樹脂>
・“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P(ポリエーテルスルホン、住友化学(株)製)。
・“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P(ポリエーテルスルホン、住友化学(株)製)。
<炭素繊維(強化繊維)>
・“トレカ(登録商標)”T800G−24K−31E(繊維数24,000本、ストランド強度5.9GPa、引張弾性率294GPa、引張伸度2.0%の炭素繊維、東レ(株)製)。
・“トレカ(登録商標)”T800G−24K−31E(繊維数24,000本、ストランド強度5.9GPa、引張弾性率294GPa、引張伸度2.0%の炭素繊維、東レ(株)製)。
(2)エポキシ樹脂組成物の調製
[実施例1〜7,比較例1、2]
エポキシ樹脂[B]および熱可塑性樹脂を150℃で加熱溶解後、70℃まで冷却し、エポキシ基との反応性を有する化合物[A]およびエポキシ樹脂硬化剤[C]を加え混練して、表1、2に示す組成のエポキシ樹脂組成物を調製した。なお、表1、2中の樹脂組成の値は、質量部を示す。
[実施例1〜7,比較例1、2]
エポキシ樹脂[B]および熱可塑性樹脂を150℃で加熱溶解後、70℃まで冷却し、エポキシ基との反応性を有する化合物[A]およびエポキシ樹脂硬化剤[C]を加え混練して、表1、2に示す組成のエポキシ樹脂組成物を調製した。なお、表1、2中の樹脂組成の値は、質量部を示す。
[比較例3、4]
エポキシ樹脂[B]を60〜100℃で加熱溶解後、70℃以下とし、エポキシ基との反応性を有する化合物[A]およびエポキシ樹脂硬化剤[C]を加え混練して、表2に示す組成のエポキシ樹脂組成物を調製した。なお、表2中の樹脂組成の値は、質量部を示す。
エポキシ樹脂[B]を60〜100℃で加熱溶解後、70℃以下とし、エポキシ基との反応性を有する化合物[A]およびエポキシ樹脂硬化剤[C]を加え混練して、表2に示す組成のエポキシ樹脂組成物を調製した。なお、表2中の樹脂組成の値は、質量部を示す。
(3)樹脂硬化物の曲げ弾性率測定
(2)の方法で調整した樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中で180℃の温度で2時間硬化させ、厚さ2mmの樹脂硬化物を得た。これから幅10mm、長さ55mmの試験片を切り出し、インストロン万能試験機を用い、スパン長を32mm、クロスヘッドスピードを2.5mm/分とし、JIS K7171(1999)に従って3点曲げを実施し、曲げ弾性率を得た。サンプル数n=5とし、その平均値で比較した。
(2)の方法で調整した樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中で180℃の温度で2時間硬化させ、厚さ2mmの樹脂硬化物を得た。これから幅10mm、長さ55mmの試験片を切り出し、インストロン万能試験機を用い、スパン長を32mm、クロスヘッドスピードを2.5mm/分とし、JIS K7171(1999)に従って3点曲げを実施し、曲げ弾性率を得た。サンプル数n=5とし、その平均値で比較した。
(4)樹脂硬化物の耐熱性およびゴム状態弾性率
上記(3)で作製した樹脂硬化物の板から、幅12.7mm、長さ40mmの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置を使用し、サンプル厚み2.0mm、幅12.7mm、スパン長30mmとし、ねじり振動周波数1.0Hz、発生トルク3〜200gf・cm、昇温速度5.0℃/分の条件下で、30〜300℃の温度範囲でDMA測定を行い、温度120〜300℃のガラス転移温度およびゴム状態弾性率を読み取った。ここで、DMA測定におけるガラス転移温度とは、貯蔵弾性率(G’)−温度のグラフにおいてガラス領域の接線とガラス転移領域の接線との交点における温度と定義する。また、ゴム状態弾性率とは、ガラス転移温度を上回る温度領域で貯蔵弾性率の変化が平坦になった領域での貯蔵弾性率であり、ここでは特にガラス転移温度が高くない限り250℃での貯蔵弾性率と定義する。動的粘弾性測定装置として、ティー・エイ・インスツルメント社製動的粘弾性測定装置ARESを用いた。
上記(3)で作製した樹脂硬化物の板から、幅12.7mm、長さ40mmの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置を使用し、サンプル厚み2.0mm、幅12.7mm、スパン長30mmとし、ねじり振動周波数1.0Hz、発生トルク3〜200gf・cm、昇温速度5.0℃/分の条件下で、30〜300℃の温度範囲でDMA測定を行い、温度120〜300℃のガラス転移温度およびゴム状態弾性率を読み取った。ここで、DMA測定におけるガラス転移温度とは、貯蔵弾性率(G’)−温度のグラフにおいてガラス領域の接線とガラス転移領域の接線との交点における温度と定義する。また、ゴム状態弾性率とは、ガラス転移温度を上回る温度領域で貯蔵弾性率の変化が平坦になった領域での貯蔵弾性率であり、ここでは特にガラス転移温度が高くない限り250℃での貯蔵弾性率と定義する。動的粘弾性測定装置として、ティー・エイ・インスツルメント社製動的粘弾性測定装置ARESを用いた。
(5)樹脂硬化物の吸水率の測定
上記(3)で作成した樹脂硬化物の板から幅10mm、長さ55mmの試験片を切り出し、浸漬前の重量を測定した。100℃の温水に20時間浸漬し、浸漬後の重量を測定した。(浸漬後の重量−浸漬前の重量)/浸漬前の重量×100により、吸水率(%)を算出した。
上記(3)で作成した樹脂硬化物の板から幅10mm、長さ55mmの試験片を切り出し、浸漬前の重量を測定した。100℃の温水に20時間浸漬し、浸漬後の重量を測定した。(浸漬後の重量−浸漬前の重量)/浸漬前の重量×100により、吸水率(%)を算出した。
(6)プリプレグの作製
上記(2)で調製したエポキシ樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に一方向に配列させた、上記(1)の東レ(株)製、炭素繊維“トレカ(登録商標)”T800G−24K−31Eに、樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧により樹脂を含浸させ、炭素繊維の目付が190g/m2、マトリックス樹脂の質量分率が35.5%の一方向プリプレグを作製した。
上記(2)で調製したエポキシ樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に一方向に配列させた、上記(1)の東レ(株)製、炭素繊維“トレカ(登録商標)”T800G−24K−31Eに、樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧により樹脂を含浸させ、炭素繊維の目付が190g/m2、マトリックス樹脂の質量分率が35.5%の一方向プリプレグを作製した。
(7)繊維強化複合材料の0°の定義
JIS K7017(1999)にかかれている通り、一方向繊維強化複合材料の繊維方向を軸方向とし、軸方向を0°軸と定義した時の軸直交方向を90°と定義する。
JIS K7017(1999)にかかれている通り、一方向繊維強化複合材料の繊維方向を軸方向とし、軸方向を0°軸と定義した時の軸直交方向を90°と定義する。
(8)繊維強化複合材料の作製と0°引張強度
上記(6)で作成した一方向プリプレグを所定の大きさにカットし、一方向に6枚積層した後、真空バッグをおこない、オートクレーブを用いて、温度180℃、圧力6kg/cm2、2時間で硬化させ、体積繊維含有率(Vf)56%の一方向強化材(繊維強化複合材料)を得た。この一方向強化材を幅12.7mm、長さ230mmでカットし、両端に厚み1.2mm、長さ50mmのガラス繊維強化プラスチック製のタブを接着し試験片を得た。この試験片をインストロン万能試験機を用いて、温度25℃、または−60℃の環境下で、クロスヘッドスピード1.27mm/分で引張試験を行った。
上記(6)で作成した一方向プリプレグを所定の大きさにカットし、一方向に6枚積層した後、真空バッグをおこない、オートクレーブを用いて、温度180℃、圧力6kg/cm2、2時間で硬化させ、体積繊維含有率(Vf)56%の一方向強化材(繊維強化複合材料)を得た。この一方向強化材を幅12.7mm、長さ230mmでカットし、両端に厚み1.2mm、長さ50mmのガラス繊維強化プラスチック製のタブを接着し試験片を得た。この試験片をインストロン万能試験機を用いて、温度25℃、または−60℃の環境下で、クロスヘッドスピード1.27mm/分で引張試験を行った。
引張強度利用率(%)は、繊維強化複合材料の引張強度/(強化繊維のストランド強度×体積繊維含有率)×100により算出した。
実施例1〜7のように、化学式(1)のRに含まれる環構造を少なくとも2つ有する[A]を配合すると、同様の組成で[A]を配合しない場合(比較例1および2)に比べて、引張強度が向上した。特に、−60℃の極低温での引張強度を向上させる効果が得られた。
化学式(1)のRに含まれる環構造を少なくとも2つ有する[A]を配合した場合、同様の組成で[A]を配合しない場合(比較例1および2)に比べて、吸水率が低下し、繊維強化複合材料の耐水性を改善させる効果が得られた。
また、化学式(1)のRに含まれる環構造を少なくとも2つ有する[A]を配合した場合、同様の組成で化学式(1)のRに含まれる環構造が1つの化合物を配合した場合(比較例3および4)に比べて、吸水率が低下し、繊維強化複合材料の耐水性を改善させる効果が得られた。
本発明のエポキシ樹脂組成物と用いることで高い耐熱性と引張強度特性を有する繊維強化複合材料が得られる。本発明のエポキシ樹脂を用いた繊維強化複合材料は、航空機用途の主翼や風車のブレードなどの大型の構造部材をはじめ、自動車外板、ICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途、建築材料、さらにはゴルフシャフトやテニスラケットなどスポーツ用途に好ましく用いられる。
Claims (9)
- 成分[A]、[B]、[C]を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
[A]化学式(1)で表される、エポキシ基との反応性を有する化合物
R−X ・・・化学式(1)
(但し、化学式(1)中、Xはエポキシ基との反応性を有する官能基であり、アミノ基(−NH2または−NHR1(R1はアルキル基、アリール基))、水酸基(−OH)、−SH、−COOHのいずれかを表す。また、化学式(1)中、Rは環構造を少なくとも2つ有する1価の有機基を表す。)
[B]エポキシ樹脂
[C]エポキシ樹脂硬化剤 - 成分[A]における有機基Rが、縮合多環脂肪族、縮合多環芳香族、縮合多環複素環、または下記化学式(2)で表される構造から選ばれる1種以上の構造を含む有機基である、請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
Z−(W)n−Z’ ・・・化学式(2)
(但し、化学式(2)中、Z、Z’は芳香族環、脂肪族環、複素環から選ばれる構造を、Wは炭素数4以下のアルキレン基、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−SO−、−COO−から選ばれる基を表し、nは0あるいは1である。) - 前記エポキシ樹脂[B]が3官能以上のエポキシ樹脂を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分[A]におけるエポキシとの反応性を有する官能基Xがアミノ基または水酸基である、請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分[C]が芳香族アミン硬化剤、またはフェノール硬化剤である、請求項1〜6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物と強化繊維を含むプリプレグ。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物と強化繊維に含浸し、硬化させてなる繊維強化複合材料。
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JP2009209043A JP2011057851A (ja) | 2009-09-10 | 2009-09-10 | エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 |
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-
2009
- 2009-09-10 JP JP2009209043A patent/JP2011057851A/ja active Pending
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