JP6304681B2 - 金属膜及び金属膜の形成方法 - Google Patents

金属膜及び金属膜の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属膜及び金属膜の形成方法に関する。
リチウムイオン電池の電極には、一般に正極材料に活物質としてコバルト酸リチウム等の金属酸化物、負極材料に活物質としてグラファイトが使用されている。リチウムイオン電池のエネルギー密度を向上させる負極材料としては、グラファイトと比較してリチウムイオンの比容量の大きなシリコン、スズが注目されている(特許文献1等)。
リチウムイオン電池の充放電特性を向上させるには、充放電特性の優れた材料を使用することに加えて、集電体表面あるいは活物質の比表面積を大きくする方法が有効である。集電体あるいは活物質の比表面積を大きくすると充放電速度の向上が期待でき、また活物質に隙間が多く形成されることから、充放電時の活物質の体積変化によって生じる応力を緩和できるという利点もある。
集電体表面を粗面にしたものとしては、粗面化処理を施した2層の金属箔を積層して形成したもの(特許文献2)、樹脂からなる基材上に導電性膜を介して、表面を粗面とした集電層を設け集電層上に活物質層を設けたもの(特許文献3)等がある。
特開2006−100244号公報 特開2007−26913号公報 特開2008−171788号公報
集電体の表面を粗面に形成すれば、集電体表面にめっき等により活物質を形成すると、集電体の粗面にならって活物質が形成され、活物質層の比表面積を大きくすることができる。
集電体の表面を粗面にする方法には、ブラスト処理などの機械的処理、化学的なエッチング処理、フォトリソグラフィー法を利用する方法、微細な金属粒子を電着させる方法等がある。しかしながら、従来、提案されている方法は、集電体表面(銅表面)を活物質の微細構造と同程度にまで微細に粗面化する方法としては実用的ではない。
表面が微細な粗面構造(凹凸構造)を備える基材は、電極の集電体として利用される他に、粗面の表面を足場としてその上にめっき層や樹脂層を形成する基材として、種々の応用分野がある。
本発明は、基材等の表面を粗面構造として比表面積を大きくした金属膜、及び比表面積の大きな粗面構造を備える金属膜を形成する方法を提供することを目的とする。
本発明に係る金属膜は、めっき金属からなる、厚さが0.02〜1μm程度の板状の析出物が、基材上に交錯して重なり合う構造を備え、銅のみのめっき膜からなることを特徴とする。めっき金属からなる板状の析出物が交錯して重なり合う構造となることから、金属膜の内部に空隙が形成された、きわめて比表面積の大きな金属膜となる。金属膜が空隙構造を備えることから、金属膜に応力が作用した場合に、応力を分散、緩和し、金属膜が崩壊することを防止する。金属膜を構成する析出物の厚さは0.02〜1μm程度である。
金属膜はめっきにより形成されたものであり、めっき金属としては、たとえば銅を使用することができる
また、前記析出物に前記めっき金属とは異なるめっき金属を被着させた構造とすることもできる。
また、本発明に係る金属膜の形成方法は、電解銅めっき法により、めっき金属からなる、厚さが0.02〜1μm程度の板状の析出物が、交錯して重なり合う構造を備える金属膜を形成する方法であって、めっき浴として、電解銅めっき浴を使用し、電解銅めっき浴に添加するポリアクリル酸の濃度cを、2×10 -5 M<c<2×10 -3 Mの範囲に設定することにより、銅のみのめっき膜からなる金属膜を形成することを特徴とする。板状の析出物が、交錯して重なり合う構造とは、板状の析出物がランダムな向きに交錯して重なり合い、めっき膜中に空隙が形成された構造(ポーラス構造)である。
記電解銅めっき浴に添加するポリアクリル酸の濃度cを、2×10-5 M<c<2×10-3 Mの範囲に設定することにより、銅のみからなる板状の析出物が、交錯して重なり合う構造を備える金属膜を形成することができる。
なお、本発明方法を適用する下地材(基材)は、その種類、形状、大きさ、厚さが限定されるものではなく、樹脂フィルム上に形成された銅層のように他の基材上に形成された下地材であってもよい。
また、たとえば、銅めっきからなる金属膜を形成する場合、下地材として用意した銅材上に上述した板状の析出物が交錯して重なり合った構造のめっき膜を形成することもできるし、まず、通常の銅めっき条件により円滑な銅めっき膜を形成した後、上記めっき条件により板状の析出物が交錯して析出する銅めっきを施して、下地の銅めっきと比表面積の大きな銅めっきを連続的に形成する、といったことも可能である。
すなわち、本発明において金属膜という場合は、板状の析出物が交錯して析出した比表面積の大きなめっき膜を単体として意味する場合と、下地材あるいは下地めっきと、比表面積の大きなめっき膜を合わせたものを意味する場合の双方を含む。
本発明に係る金属膜の形成方法では適宜めっきを選択することができ、めっき法が銅めっきに限るものではない。
また、本発明に係る金属膜の形成方法により形成しためっき膜上に、該めっき膜とは異なる金属のめっきを施すことも可能である。たとえば、銅めっきにより比表面積の大きなめっき膜を形成した後、このめっき膜上にスズめっきやニッケルめっき等のめっきを施すことにより、きわめて比表面積の大きなスズめっき膜やニッケルめっき膜を形成することができる。
銅めっき膜上にスズめっきを施しためっき膜は、活物質としてスズを使用したリチウムイオン電池の負極に使用することができ、活物質層の比表面積を大きくすることにより、充放電時間を短縮し、充放電特性の優れた電極として形成することができる。
本発明に係る金属膜は、内部に空隙を備えた微細構造を有することから、電池用電極の製造等に好適に利用することができる。また、本発明に係る金属膜の形成方法によれば、金属の板状体が交錯した構造を有する金属膜を容易にかつ確実に形成することができ、比表面積の大きな粗面状の表面形態が求められるさまざまな製品形態あるいは製品製造に利用することができる。
ポリアクリル酸の添加量を変えて電解銅めっきを施したときの、銅めっき膜表面のSEM像(電流密度0.5A dm-2)である。 ポリアクリル酸の添加量を変えて電解銅めっきを施したときの、銅めっき膜表面のSEM像(電流密度1A dm-2)である。 ポリアクリル酸の添加量を変えて、電解銅−カーボンナノチューブ複合めっきを施したときのめっき膜表面のSEM像(電流密度0.5A dm-2)である。 ポリアクリル酸の添加量を変えて、電解銅−カーボンナノチューブ複合めっきを施したときのめっき膜表面の断面SEM像(電流密度0.5A dm-2)である。 ポリアクリル酸の添加量を変えて、電解銅−カーボンナノチューブ複合めっきを施したときのめっき膜表面のSEM像(電流密度1A dm-2)である。 ポリアクリル酸の添加量を変えて、電解銅−カーボンナノチューブ複合めっきを施したときのめっき膜表面の断面SEM像(電流密度1A dm-2)である。 ポリアクリル酸の添加量を変えて、電解銅−カーボンナノチューブ複合めっきを施したときのめっき膜表面のSEM像(電流密度5A dm-2)である。 ポリアクリル酸の添加量を変えて、電解銅−カーボンナノチューブ複合めっきを施したときのめっき膜表面の断面SEM像(電流密度5A dm-2)である。 カーボンブラックの添加量を変えて、電解銅−カーボンブラック複合めっきを施したときのめっき膜表面のSEM像(電流密度0.5A dm-2)である。 カーボンブラックの添加量を変えて、電解銅−カーボンブラック複合めっきを施したときのめっき膜表面のSEM像(電流密度0.5A dm-2)である。 カーボンブラックの添加量を変えて、電解銅−カーボンブラック複合めっきを施したときのめっき膜表面のSEM像(電流密度1 A dm-2)である。 ポリアクリル酸の添加量を変えて電解銅めっきを施したときの、銅めっき膜表面のSEM像と断面SEM像である。 ポリアクリル酸の添加量を3×10-4 Mとし、通電量を14C、27C、54Cとしたときの、めっき膜表面のSEM像である。 めっき浴にポリアクリル酸を加えたときの電流電位曲線である。
(実施例1)
銅材に電解銅めっきを施し、添加剤として加えたポリアクリル酸の添加量によって銅めっき膜の形態がどのように変化するかを調べた。
1)浴組成
基本浴: CuSO・5HO 0.85M
SO 0.55M
添加剤: ポリアクリル酸(分子量5000)
2)電析条件
電流モード:電流規制法
通電量:60C cm-2
電流密度:0.5〜1A dm-2
アノード:Cu板 カソード:Cu板
図1は、添加剤のポリアクリル酸の添加量を変えてめっきしたときの、めっき膜表面のSEM像を示す(電流密度0.5A dm-2)。図2は、電流密度が1A dm-2のときのSEM像である。図1、図2とも、ポリアクリル酸の添加量を、2×10-6 M(a)、2×10-5 M(b)、2×10-4 M(c)、2×10-3 M(d)としためっき膜表面を示す。
図1、図2を見ると、(a)、(b)、(d)に示すめっき膜は、表面に若干の凹凸は見られるものの、めっき膜全体として平滑である。
これに対し、(c):ポリアクリル酸の添加量2×10-4 Mのめっき膜は、他のめっき膜と対比して、特異的にめっき膜表面が粗面となっている。
図1(c)、図2(c)の拡大像を見ると、めっき膜には1μm以下の小さな凹凸形状が見られ、多数の層状に積層した構造が見られる。この構造は、めっき膜が、多くの微細な(1μm以下)隙間、空隙がめっき膜中に形成された、大きな比表面積を有する特徴的な表面構造となっていることを示す。
本実験結果から、銅材に電解銅めっきを施して表面が特異的な粗面構造になるポリアクリル酸のモル濃度cは、次の範囲内にあることが推定される。
2×10-5 M<c<2×10-3 M (1)
添加剤であるポリアクリル酸の濃度を調整して、銅材上に銅めっきを施す処理方法は容易であり、この処理方法を利用して粗面構造を有する銅表面を得る方法は実用用途としてきわめて有用である。
電池の電極材料を形成する際には、電極の集電体(銅基材)の表面にポリアクリル酸濃度を調整して電解銅めっきを施すことで、簡単に粗面構造の銅めっき膜を形成することができ、この銅表面上にスズ等の活物質を付着させることにより、きわめて比表面積の大きな活物質層を得ることができる。
また、銅配線層と電気的絶縁層である樹脂層とを積層する場合も、まず銅配線層の表面に電解銅めっきを施して銅表面を粗面構造とし、この銅配線層の上に樹脂層を形成することにより、銅配線層上に強固に樹脂層を積層することができる。
実験例1
銅材に、銅−カーボンナノチューブ複合電解めっきを施し、分散剤として用いるポリアクリル酸の添加量を変えてめっき膜の形態がどのように変化するかを調べた。
1)浴組成
基本浴:CuSO・5HO 0.85M
SO 0.55M
カーボンナノチューブ(VGCF:登録商標 昭和電工製):2g/L
分散剤:ポリアクリル酸(分子量5000)
2)電析条件
電流モード:電流規制法
通電量:60C cm-2
電流密度:0.5〜5A dm-2
アノード:Cu板 カソード:Cu板
図3は、電流密度を0.5A dm-2とし、ポリアクリル酸の添加量を2×10-6 M(a)、2×10-5 M(b)、2×10-4 M(c)、2×10-3 M(d)としたときのめっき膜表面のSEM像である。図4は、図3に示す各サンプルについて測定した断面SEM像である。
カーボンナノチューブを用いる電解複合めっきにおいては、分散剤としてポリアクリル酸を利用することが有効であることは既に知られている(特許第4599565号)。本実験はカーボンナノチューブの分散に利用するポリアクリル酸の濃度を変えて実験している。
図3は、めっき膜の表面を観察したもので、カーボンナノチューブ複合めっき膜を形成したことから、めっき膜の表面にカーボンナノチューブが見える。図3(b)のめっき膜には表面の凹凸形状が見られるが、図3(c)のめっき膜の方が、めっき膜の表面の凹凸が微細になっている。
図3(a)、(b)、(d)のめっき膜と比べて図3(c)のめっき膜の構造が特徴的な構造を有することは、図4の断面SEM像を見ると明らかである。
図4(a)、(b)、(c)、(d)の低倍率のSEM像中に、めっき膜に相当する部分(めっき膜の厚さ部分)を矢印で示した。ポリアクリル酸の濃度が増すとともにめっき膜の厚さが厚くなっている。この断面SEM像を見ると、図4(c)のみ、めっき膜の厚さ方向に空隙が形成され、板状体(銅からなる)がランダムな向きに空隙を設けて重なり合った構造に形成されている。板状体の厚さは0.5〜1μm程度である。
一方、図4(a)、(b)、(d)は、めっき膜の膜厚方向には顕著な構造がみられない。
図4(c)に示すめっき膜において、めっき膜の厚さ方向に、膜厚のほぼ全体にわたり、めっき金属からなる板状体が交錯して内部に空隙が形成された構造は、他のサンプルと比較してきわめて特徴的である。この銅の板状体が交錯して重なり合った形態は、分散剤として添加したポリアクリル酸の濃度に起因するものと考えられる。言い換えれば、分散剤であるポリアクリル酸の濃度を調節することにより、めっき膜を板状体が交錯する形態としたり、平滑面としたりすることが可能である。
図5は、電流密度を1A dm-2としポリアクリル酸の添加量を2×10-6 M(a)、2×10-5 M(b)、2×10-4 M(c)、2×10-3 M(d)としたときのめっき膜表面のSEM像、図6は断面SEM像である。
この場合も、ポリアクリル酸濃度を2×10-4 Mとした図5(c)、図6(c)のめっき膜のみが、特異的に板状体が交錯してめっき膜の内部に空隙が形成された構造を呈する。
図7は、電流密度を5A dm-2とし、ポリアクリル酸の添加量を2×10-6 M(a)、2×10-5 M(b)、2×10-4 M(c)、2×10-3 M(d)としたときのめっき膜表面のSEM像、図8は断面SEM像である。
この実験条件のめっき膜は、めっき膜を表面方向から見た場合も、断面方向から見た場合も、凹凸構造等の顕著な差異が認められない。この実験結果は、電解めっきの際における電流密度が、めっき膜の構造に影響を及ぼすことを示していると考えられる。
実験例1の実験結果は、銅材に銅−カーボンナノチューブ複合めっきを施す場合も、板状体が交錯した構造を有するめっき膜を形成するための条件として、ポリアクリル酸のモル濃度が寄与すること、また、電析条件における電流密度がめっき膜の形状を制御する上で影響することを示す。なお、電析条件における電流密度を好適範囲に設定した条件下において、めっき金属の板状体が交錯した構造を有するめっき膜を得るポリアクリル酸濃度cについての条件は、本実験結果においても、前述した(1)式と同様になる。
2×10-5 M<c<2×10-3 M (1)
実験例1に係るめっき膜の構造は、たとえばリチウムイオン電池の負極に利用することにより、電池の充放電特性を改善することができる。リチウムイオン電池の負極は集電体表面に活物質(Si、Sn)を付着させて形成するから、集電体の表面に銅−カーボンナノチューブ複合めっきを施して、板状の析出物がランダムに交錯して重なり合った構造のめっき膜とすれば、活物質層の比表面積を格段に大きくすることができる。また、複合めっき膜から外方に突出したカーボンナノチューブが活物質層に取り込まれることにより、充放電時に活物質層が脱離することを防止し、活物質層の導電性を向上させることができる。
実験例2
銅材に、カーボンブラックと銅との複合めっきを施し、カーボンブラックの添加量を変えたときの、銅材の表面に形成されるめっき膜の形態について調べた。
1)浴組成
基本浴:CuSO・5HO 0.85M
SO 0.55M
カーボンブラック(旭#15:旭カーボン製):0.5〜5g/L
分散剤:ポリアクリル酸(分子量5000)
ポリアクリル酸はカーボンブラック1g/Lに対して、2.5×10-5M添加。
2)電析条件
電流モード:電流規制法
通電量:60C cm-2
電流密度:0.5〜1A dm-2
アノード:Cu板 カソード:Cu板
図9は、電流密度を0.5A dm-2とし、カーボンブラックの添加量を0.5g/L(a)、1g/L(b)、2g/L(c)としたときのめっき膜表面のSEM像である。図10は、電流密度を0.5A dm-2とし、カーボンブラックの添加量を3g/L(a)、4g/L(b)、5g/L(c)としたときのめっき膜のSEM像である。
本実験においては、カーボンブラック1g/Lに対して、ポリアクリル酸を2.5×10-5 M添加しているから、カーボンブラックの添加量によってポリアクリル酸の添加量が相違している。すなわち、カーボンブラックの添加量とポリアクリル酸の添加量は次の関係にある。
カーボンブラック0.5g/L−1.25×10-5Mポリアクリル酸、1g/L−2.5×10-5M、2g/L−5.0×10-5M、3g/L−7.5×10-5M、4g/L−1.0×10-4M、カーボンブラック5g/L−1.25×10-4Mポリアクリル酸。
本実験においても、ポリアクリル酸はカーボンブラックの分散剤として作用する。
図9と図10を見ると、めっき膜の表面が顕著に粗面構造、凹凸構造となっているのは、カーボンブラックの添加量が3g/L、4g/L、5g/Lのときである。このときのポリアクリル酸の添加量は、7.5×10-5 M、1.0×10-4 M、1.25×10-4 Mである。このポリアクリル酸の添加量は、銅−カーボンナノチューブ複合めっきを施した際に、顕著な粗面構造を呈した2×10-4 Mに近似した値となっている。
図11は、電流密度を1A dm-2とし、カーボンブラックの添加量を0.5g/L(a)、1g/L(b)、2g/L(c)、5g/L(d)としたときのめっき膜表面のSEM像である。めっき膜に、板状体が交錯して内部に空隙を備える構造が見られるのは、カーボンブラックの添加量が1g/L、2g/L、5g/Lのときである。このときのポリアクリル酸の添加量は、2.5×10-5M、5.0×10-5M、5g/L−1.25×10-4Mである。この場合のポリアクリル酸の添加量も、銅−カーボンナノチューブ複合めっきを施した際に、顕著な粗面構造を呈したポリアクリル酸の濃度範囲(式(1))に含まれている。
実験例2の実験結果も、銅−カーボンブラック複合めっきにより板状体が交錯した構造の銅表面を形成する方法として、ポリアクリル酸の濃度を調節する方法が有効に利用できることを示している。
銅−カーボンプラック複合めっきも、銅−カーボンナノチューブ複合メッキと同様にめっき膜中にカーボンブラックが取り込まれることにより、めっき膜の導電性を改善することができる。リチウムイオン電池の負極を形成する際に、集電体の表面に銅−カーボンプラック複合めっきによる比表面積の大きなめっき膜を形成すれば、その上に形成する活物質の導電性を改善し、電池の充放電特性を向上させることができる。
なお、図9、10、11において図の破線部分は、カーボンブラックが取り込まれている個所を示す。
実施例2
実施例1と同様に、銅材に電解銅めっきを施し、ポリアクリル酸の添加量によって銅めっき膜の形態がどのように変化するかを調べた。
1)浴組成
基本浴:CuSO・5HO 0.85M
SO 0.55M
添加剤:ポリアクリル酸(分子量5000) 0〜2×10-3
2)電析条件
電流モード:電流規制法
通電量:14〜54C
電流密度:1A dm-2
温度:室温
攪拌:なし
アノード:Cu板 カソード:Cu板

図12は、通電量27Cとした場合で、ポリアクリル酸の添加量を、(a)0M、(b)1×10-4 M、(c)3×10-4 M、(d)5×10-4 M、(e)2×10-3M、としたときのめっき膜表面のSEM像と、めっき膜の断面SEM像を示す。
図12(a)〜(e)の各図より、ポリアクリル酸の添加量が、0M(図12(a))と2×10-3M(図12(e))のサンプルについては、めっき膜が円滑膜に形成され、析出物が交錯した構造が見られないのに対して、ポリアクリル酸の添加量が1×10-4 M、3×10-4M、5×10-4Mである図12(b)、(c)、(d)のサンプルについては、板状の銅析出物がランダムに交錯して重なり合い、内部に空隙が形成された構造となっている。とくに、図12(c)に示す、ポリアクリル酸の添加量が3×10-4 Mであるサンプルについては顕著な粗面構造(板状の析出物が交錯した構造)が認められる。この顕著な粗面構造を示すサンプルのポリアクリル酸の添加量は、実施例1において顕著な粗面構造を示したサンプルの添加量2×10-4 Mと略同一である。
本実験結果は、板状体が交錯した構造のめっき膜を得るための、ポリアクリル酸の添加量として好適な範囲cが、1×10-4 M<c<5×10-4 Mであることを示している。
図13は、めっき浴に加えるポリアクリル酸の添加量を、粗面構造が顕著にあらわれる3×10-4 Mに設定し、通電量を14C、27C、54Cとしたときの、めっき膜表面のSEM像を示す。
図13に示すように、通電量を増やしていくと、板状の多数の細片状に析出した電析物が、細片の厚さは変わらず、板状構造を維持して細片の長さ方向に伸びるように成長していることがわかる。細片の面と平行方向に伸びる形態で電析する結果、めっき膜表面に表れる細片間の間隔が大きくなり、めっき膜には徐々に大きな空隙が形成されていくようになる。細片状(板状体状)に析出した電析物の厚さは100nm(0.1μm)以下で、50nm程度のものも見られる。
図14は、めっき浴にポリアクリル酸を加えた場合の電流電位曲線(作用電極・対極:Cu、参照電極:SCE)を示す。この曲線は、ポリアクリル酸が銅の析出を抑制するように作用することを示す。
ポリアクリル酸を加えたときに、細片の電析物の厚さが変わらずに細片の面方向(板状構造の板面方向)にめっきが伸びていく理由は、めっき時にポリアクリル酸がめっき細片の表面を被覆し、ポリアクリル酸がめっき細片の表面を被覆して細片の表面に銅が析出することを抑え、細片の端面(突端面)にのみ銅めっきが析出していくためと考えられる。
このように、めっき浴に添加するポリアクリル酸の量を調節し、めっき時の通電量を調節する方法は、めっき膜を内部に空隙を備えた板状の析出物が交錯した形態のめっき膜構造を得る上で有用な方法である。
上述した実施例において説明しためっき膜は、内部に空隙を備えた粗面構造となる金属膜である。この金属膜は、通常のめっき膜や他の成膜方法によって形成する金属膜とは異なり、微小な厚さの板状構造体(板状体)が、さまざまな向きに折り重なる構造を備え、かつ板状体の間に空隙が形成された構造となっていることが特徴的である。
この金属膜は、板状体が交錯して内部に空隙を備えた粗面構造を維持したまま、カーボンナノチューブやカーボンブラックといった他の素材を膜内に取り込む複合構造とすることもできる。
このような金属膜の構造は、比表面積をきわめて大きくすることができる構造であること、金属膜の空隙構造によって、金属膜に作用する応力を分散、緩和する作用を有する等の特徴的な作用を有する。
上記実施例では、銅を基材として電解銅めっき、電解銅−カーボンナノチューブ複合めっき、電解銅−カーボンブラック複合めっきを施したが、銅めっきを施す下地材は銅材に限るものではなく、銅材以外の任意の下地材を使用することができる。
また、上記実施例においては、板状体が交錯した粗面構造を有するめっき膜を形成する例として、基材に銅めっきを施したが、銅めっきに限らずニッケルめっき等であっても粗面構造のめっき膜を形成することができる。また、粗面構造の銅めっき膜の表面にニッケルめっき、スズめっき等の他のめっき膜を形成することにより、粗面構造を備えためっき膜を形成することができる。

Claims (3)

  1. めっき金属からなる、厚さが0.02〜1μm程度の板状の析出物が、基材上に交錯して重なり合う構造を備え
    銅のみのめっき膜からなることを特徴とする金属膜。
  2. 電解銅めっき法により、めっき金属からなる、厚さが0.02〜1μm程度の板状の析出物が、基材上に交錯して重なり合う構造を備える金属膜を形成する方法であって、
    めっき浴として、電解銅めっき浴を使用し、電解銅めっき浴に添加するポリアクリル酸の濃度cを、
    2×10 -5 M<c<2×10 -3 M
    の範囲に設定することにより、
    銅のみのめっき膜からなる金属膜を形成することを特徴とする金属膜の形成方法。
  3. めっき金属からなる板状の析出物が、交錯して重なり合う構造を備える銅のみのめっき膜を形成した後、
    前記めっき膜上に、前記めっき金属とは異なる金属のめっきを施すことを特徴とする請求項2記載の金属膜の形成方法。
JP2013271076A 2013-07-24 2013-12-27 金属膜及び金属膜の形成方法 Active JP6304681B2 (ja)

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