JP6302629B2 - スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物 - Google Patents

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本発明は、耐熱性と強度に優れるスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物に関するものである。
スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体は、一般のポリスチレンに比較して、耐熱性に優れることから、食品容器等の包装材料、住宅の断熱材用途の発泡ボード、光拡散板等の原料として使用されている。包装材料の分野では、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体を押出成形した発泡シートは、耐熱性と断熱性に優れるため、電子レンジ等で加熱に供する食品包装容器に成形され使用されている。また、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体を押出成形して二軸延伸されたシートは、耐熱性と強度に優れるため、電子レンジ等で加熱に供する食品包装容器の蓋材に成形され使用されている。その他、光拡散板は液晶テレビのバックライトや照明等に用いられるが、使用環境に応じて、耐熱性が必要となる場合があり、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体を押出成形あるいは射出成形した光拡散板が用いられている。
一方、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体は、一般のポリスチレンに比べて、脆いという欠点を有しており、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体を押出成形した発泡シートは、一般のポリスチレンの発泡シートに比べて脆く、シート巻取り時やシート成形時にシートが破断する問題がある。
そのため、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の脆さを改良するため、MBS樹脂やスチレン−ブタジエン共重合体(SBS)などのエラストマー成分を配合することが提案されている。
しかしながら、MBS樹脂やスチレン−ブタジエン共重合体などのエラストマー成分による改良では、比較的多くの添加量が必要となり、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体が本来有する耐熱性や剛性が低下する問題があるため、少ない添加量で脆さの改良効果の大きいエラストマー成分が望まれている。
特開昭61−163949号公報 特開平2−58548号公報 特開平3−269040号公報
本発明の課題は、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体が本来有する耐熱性や剛性を損ねることなく、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の脆さを改良することである。
本発明は、下記(1)〜(6)に示すところである。
(1)(A)重量平均分子量が14万〜40万であり、(メタ)アクリル酸系単量体単位の含有量が2.0〜15.0質量%のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体90.0〜99.0質量%と、(B)スチレン−ブタジエン共重合体1.0〜10.0質量%よりなる組成物であり、(B)成分のブタジエン比率が65質量%以上、かつ(B)成分の重量平均分子量が11万以上であることを特徴とするスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物である。
(2)(B)成分のタイプAデュロメータ硬さが20〜80であることを特徴とする(1)に記載のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物。
(3)(1)又は(2)に記載のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物を成形してなる発泡シート。
(4)(1)又は(2)に記載のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物を成形してなる非発泡シート。
(5)(3)に記載の発泡シートを熱成形してなる食品包装容器。
(6)(4)に記載の非発泡シートを熱成形してなる食品包装容器。
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物は、欠点である脆さが改良されていることから、成形加工時における破断を防止することができ、得られる成形品の強度にも優れ、耐熱性や剛性といった本来の特徴も維持している。
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体とは、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体とに由来する単位構造を有する共重合体である。スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体を共重合して得ることができる。スチレン系単量体とは、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の単独または混合物であり、好ましくはスチレンである。(メタ)アクリル酸系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸等であり、メタクリル酸が好ましい。
スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体には、その他の単位構造を少量有していても良い。その他の単位構造は5%以下が好ましい。その他の単位構造としては、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体と共重合可能なビニル系単量体に由来する単位構造がある。共重合可能なビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル等が挙げられる。
スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の重合方法としては、ポリスチレン等で工業化されている塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法等公知の重合方法が挙げられる。品質面や生産性の面では、塊状重合法、溶液重合法が好ましく、連続重合であることが好ましい。溶媒として例えばベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレン等のアルキルベンゼン類やアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサンやシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等が使用できる。
スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の重合時に、必要に応じて重合開始剤、連鎖移動剤を使用することができる。重合開始剤として、有機過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾネート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ポリエーテルテトラキス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、エチル−3,3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等が挙げられる。連鎖移動剤としては、脂肪族メルカプタン、芳香族メルカプタン、ペンタフェニルエタン、α−メチルスチレンダイマー及びテルピノーレン等が挙げられる。
連続重合の場合、まず重合工程にて公知の完全混合槽型攪拌槽や塔型反応器等を用い、目標の分子量、分子量分布、反応転化率となるよう、重合温度調整等により重合反応が制御される。重合工程を出た重合体を含む重合溶液は、脱揮工程に移送され、未反応の単量体及び重合溶媒が除去される。脱揮工程は加熱器付きの真空脱揮槽やベント付き脱揮押出機などで構成される。脱揮工程を出た溶融状態の重合体は造粒工程へ移送される。造粒工程では、多孔ダイよりストランド状に溶融樹脂を押出し、コールドカット方式や空中ホットカット方式、水中ホットカット方式にてペレット形状に加工される。
スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体中の(メタ)アクリル酸系単量体単位含有量は、2.0〜15.0質量%である。好ましくは、3.5〜13.0質量%であり、更に好ましくは5.0〜11.0質量%である。(メタ)アクリル酸系単量体単位含有量が2.0質量%未満では耐熱性が不十分となる。また、(メタ)アクリル酸系単量体単位含有量が15.0質量%を超えると、成形加工時の粘度が著しく上昇し、成形加工性が低下して、生産性が悪化する。また、共重合体の製造工程で共重合体中に大量にゲルが生成することがある。
(メタ)アクリル酸系単量体単位含有量は、重合で使用する原料中の(メタ)アクリル酸系単量体濃度によって調整することができる。重合工程で複数の反応器を使用する場合は、各反応器に(メタ)アクリル酸系単量体を分割添加してもよい。
スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の(メタ)アクリル酸系単量体単位含有量の測定は室温で実施した。スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体0.5gを秤量し、トルエン/エタノール=8/2(体積比)の混合溶液に溶解後、水酸化カリウム0.1mol/Lエタノール溶液にて中和滴定を行い、終点を検出し、水酸化カリウムエタノール溶液の使用量より、(メタ)アクリル酸系単量体の質量基準の含有量を算出した。なお、中和滴定は電位差自動滴定装置として京都電子工業株式会社製AT−510を使用して測定を行った。
スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の重量平均分子量(Mw)は14万〜40万であり、好ましくは16万〜30万、更に好ましくは、18万〜25万である。Mwが14万未満になると、脆さが一段と大きくなり、本発明の方法を用いても、十分に脆さを改善できない可能性がある。また、Mwが40万を超えると、成形加工時の粘度が著しく上昇し、成形加工性が低下して、生産性が悪化する。
重量平均分子量(Mw)は、重合工程の反応温度、滞留時間、重合開始剤の種類及び添加量、連鎖移動剤の種類及び添加量、重合時に使用する溶媒の種類及び量等によって制御することができる。
重量平均分子量(Mw)及びZ平均分子量(Mz)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、次の条件で測定した。
GPC機種:昭和電工株式会社製Shodex GPC−101
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製 PLgel 10μm MIXED−B
移動相:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃、注入口35℃、検出器35℃
検出器:示差屈折計
本発明の分子量は単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出したものである。
また、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物からスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の分子量を測定する際は、組成物中の溶媒に不溶なゴム成分等(SBS、MBS)を遠心分離によって除去した後、測定することができる。
本発明のスチレン−ブタジエン共重合体とは、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、それらの水素添加物である。スチレン−ブタジエン共重合体のブタジエン比率は、65質量%以上であり、好ましくは75質量%以上である。ブタジエン比率が65質量%未満では、期待される脆さの改良効果が発現するスチレン−ブタジエン共重合体の含有量が多くなり、耐熱性や剛性が低下する。
スチレン−ブタジエン共重合体のブタジエン比率は、四酸化オスミウムを触媒としてジターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解した後、分解物にメタノールを添加して析出させた成分をポリスチレン成分として重量を測定することで算出した。
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物におけるスチレン−ブタジエン共重合体の含有量は1.0〜10.0質量%であり、好ましくは2.0〜5.0%である。スチレン−ブタジエン共重合体の含有量が1.0質量%未満では、脆さの改良が不十分であり、10.0質量%を超えると、含有量に見合うだけの改質効果は得られず、また、耐熱性や剛性が低下する。
本発明のスチレン−ブタジエン共重合体の重量平均分子量(Mw)は11万以上である。Mwが11万未満では、期待される脆さの改良効果が発現するスチレン−ブタジエン共重合体の含有量が多くなり、耐熱性や剛性が損なわれてしまい好ましくない。
重量平均分子量(Mw)及びZ平均分子量(Mz)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、前記のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体のMw及びMz、Mnの測定と同じ条件で測定した。
本発明の分子量は単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出したものである。
スチレン−ブタジエン共重合体のタイプAデュロメータ硬さ(HDA)は20〜80であることが好ましく、更に好ましくは20〜60である。タイプAデュロメータ硬さが80を超えると、期待される脆さの改良効果が発現するスチレン−ブタジエン共重合体の含有量が多くなり、耐熱性や剛性が損なわれてしまい好ましくない。
タイプAデュロメータ硬さ(HDA)はJIS K 7215に準拠し、厚さ8mmの試験片を作成し、タイプAデュロメータを用いて測定を行った。
本発明のスチレン−ブタジエン共重合体の添加方法としては、成形加工時にスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体とブレンドする方法が挙げられる。また、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体とスチレン−ブタジエン共重合体を単軸若しくは二軸押出機で溶融ブレンド方法が挙げられる。その他、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の重合工程、脱揮工程、造粒工程でスチレン−ブタジエン共重合体を添加混合する方法が挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物には、必要に応じて、ステアリン酸、高級脂肪酸金属塩、エチレンビスステアリルアミド等の滑剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、離型剤、着色剤、充填材、難燃剤等の添加剤が含まれていても良い。
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物には、発泡シート又は非発泡シートを二次成形した際に発生するスケルトンと呼ばれる打抜き屑やそのリサイクルペレットを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物は、射出成形、押出成形、圧縮成形等、目的に応じた成形方法で用いることができる。例えば、発泡押出成形することにより、発泡シートが得られ、発泡シートを真空熱成形等で二次成形することにより食品包装容器に成形される。
本発明の組成物は、発泡剤とともに溶融押出する事で発泡シートが得られ、公知の押出発泡シート製造方法を用いる事ができる。具体的には、単軸押出機や二軸押出機を2基直列に配置し、1基目の押出機で発泡剤を発泡核剤とともに溶融混錬し、2基目の押出機で冷却により樹脂温度を120℃〜180℃に調整した後、サーキュラーダイスにより大気に放出し減圧発泡する方法が挙げられる。
発泡剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジフルオロ−クロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素等の物理発泡剤を用いることができる。また、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム、クエン酸等の分解型発泡剤、二酸化炭素、窒素等の無機ガスや水を使用することもできる。これら発泡剤を適宜混合して使用できるが、工業的にはブタンが使用されることが多く、発泡押出性や発泡シートの二次成形性、発泡剤の観点から、イソブタンとノルマルブタンからなる混合ブタンを使用することが好ましい。ブタンはポリスチレン系樹脂に対する透過速度が遅いため、発泡押出直後は発泡シート中に通常1〜3質量%程度残存する。この残存量は二次成形における二次発泡厚や熱成形性に影響するため、一定の熟成期間を設けることで適宜調整する。
発泡核剤としては、タルク、炭酸カルシウム、クレー等の無機物粉末が挙げられ、これらを単独あるいは混合物としても用いることができる。中でも、気泡径を小さくする効果が大きく、安価という点でタルクが最も好ましい。発泡核剤の添加方法は特に制限が無く、直接押出機の供給孔に添加しても良いし、本発明の組成物と共に添加することもできる。また、スチレンの単独重合体やスチレン−メタクリル酸メチル共重合体等を基材としたマスターバッチを作成し、そのマスターバッチを用いて供給することもできる。発泡核剤の添加量は通常、0.1〜5質量%である。また、該マスターバッチには高級脂肪酸や高級脂肪酸の金属塩をあらかじめ配合しておいても良い。また、エチレンビスステアリルアミド等の滑材、流動パラフィンやシリコーンオイル等の展着剤、その他の界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、可塑剤、耐候剤、顔料等が含まれていても良い。
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物により得られる発泡シートの厚さは0.5〜4.0mmが好ましく、1.0〜3.0mmがより好ましい。発泡シートの厚さが0.5mm未満では、2次成形後の容器の強度や断熱性が低下する。発泡シートの厚さが4.0mmを超える場合、2次成形時にシートの温度ムラが発生しやすく、成形性が悪化する。
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物により得られる発泡シートの密度は50〜150kg/mが好ましく、60〜130kg/mであることがより好ましい。発泡シートの密度が50kg/m未満であると、2次成形後の容器の強度が低下する。発泡シートの密度が150kg/mを超える場合、容器重量が重くなり軽量化の観点から望ましくない。密度D(kg/m)は、発泡シートの坪量S(g/m)とシート厚さT(mm)より、D=S/Tで算出することができる。
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物により得られる発泡シートにおいて、シートの厚み方向の平均気泡径Xは0.10〜0.40mmであることが好ましく、シートの厚み方向の平均気泡径Xが0.10mm未満であると2次成形における成形性が低下する。シートの厚み方向の平均気泡径Xが0.40mmを超える場合、発泡シートの外観が悪化し、強度も低下する。
また、押出方向の平均気泡径Yと厚み方向の平均気泡径Xの比(Y/X)、及び幅方向の平均気泡径Zと厚み方向の平均気泡径Xの比(Z/X)は各々1.0〜2.5であることが好ましい。Y/X、Z/Xが1.0未満であると2次成形時のドローダウンが大きくなるため望ましくない。また、Y/X、Z/Xが2.5を超える場合、気泡の扁平度が大きく発泡シートの強度が低下する場合がある。
シートの厚み方向の平均気泡径X、押出方向の平均気泡径Y、幅方向の平均気泡径Zは発泡シートの押出方向の垂直断面、幅方向の垂直断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察し、ASTM D2842−06に記載の平均弦長に基づいて下記式を用いて算出することができる。
平均弦長=直線の長さ/気泡数
平均気泡径=平均弦長/0.616
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物により得られる発泡シートには、厚み方向の中央部に比べて密度が大きい、いわゆるスキン層と呼ばれる表面層をシートの表裏面に設けることができる。スキン層を設けることで、シートの強度を上げることができ、外観も美麗に仕上がる。スキン層はサーキュラーダイスを出た直後の発泡シート表面を風冷することによって調整できる。
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物により得られる発泡シートは、その片面もしくは両面に熱可塑性樹脂シート又はフィルムを積層することにより、成形性、強度、剛性を改良することができる。上記の積層するシートやフィルムを構成する熱可塑性樹脂としてはポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられるが、接着層を用いなくても積層可能でリサイクル性も良好なスチレン系樹脂が好ましい。
前記で積層される熱可塑性樹脂シート又はフィルムの厚みに特に制限はないが、0.01mm〜0.3mmが好ましい。シート又はフィルムの厚みが薄いと物性の改良効果が小さく、厚すぎると軽量化の観点から望ましくない。
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物により得られる発泡シートは、真空成形や圧空成形、マッチドモールド成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、リッジ成形、プラグアンドリッジ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形等、公知の熱成形方法を用いて、トレー、弁当容器、丼容器、カップ、蓋付箱型等の各種形状や大きさの容器に加工することができる。
また、本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物は、非発泡で押出したシートを二軸延伸することで、二軸延伸シートが得られ、それを熱板成形することで蓋材等の食品包装容器に成形される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜5、比較例1〜7)
スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体として、重量平均分子量が21万で、メタクリル酸単量体単位の含有量が8質量%であるスチレン−メタクリル酸共重合体(東洋スチレン株式会社製 トーヨースチロール T080)を用いた。スチレン−メタクリル酸共重合体に、表1に示したSBSの改質剤A、改質剤B、改質剤C、ブタジエン比率が40質量%であるMBS樹脂の改質剤D(株式会社カネカ社製 カネエースB−28)を表2、表3に示した配合で添加し、二軸押出機(東芝機械株式会社製 TEM−26SS)を用いて、フィード量20kg/h、スクリュー回転数250rpm、シリンダー温度180〜220℃設定で溶融押出ブレンドして、ペレット化した。
得られたペレットを射出成形して、各種特性の評価を行った結果を表2、表3に示す。
なお、各種特性評価の測定は以下の方法で行った。
(1)シャルピー衝撃強さ(ノッチ無し) JIS K 7111に準拠し、ノッチ無しとし、エッジワイズ衝撃で、4Jの錘を用いて試験を行った。
(2)ビカット軟化温度 JIS K 7206に準拠し、昇温速度50℃/hr、試験荷重50Nで求めた。
(3)引張試験 JIS K 7161およびK 7162に準拠し、試験速度5mm/minで試験を行った。
(4)曲げ試験 JIS K 7171に準拠し、試験速度2mm/minで試験を行った。
(5)メルトマスフローレート JIS K 7210に準拠し、200℃、49N荷重の条件で求めた。
Figure 0006302629
Figure 0006302629
Figure 0006302629
実施例の成形品は、ノッチ無しシャルピー衝撃強さ、引張特性が改善されており、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の欠点である脆さが大幅に改善されている。また、比較例に比べて、少ない配合量で脆さが改善されるため耐熱性と剛性(曲げ弾性率)の低下を小さく抑えることができる。
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物は、強度と耐熱性、剛性のバランスに優れており、食品包装容器等に用いられる発泡シートや非発泡シートに好適である。また、住宅の断熱材用途の発泡ボードや光拡散板用途にも好適である。

Claims (6)

  1. (A)重量平均分子量が21万〜25万であり、(メタ)アクリル酸系単量体単位の含有量が2.0〜15.0質量%のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体96.0〜98.0質量%と、(B)スチレン−ブタジエン共重合体2.0〜4.0質量%よりなる組成物であり、(B)成分のブタジエン比率が75質量%以上、かつ(B)成分の重量平均分子量が11万以上であることを特徴とするスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物。
  2. (B)成分のタイプAデュロメータ硬さが20〜80であることを特徴とする請求項1に記載のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物を成形してなる発泡シート。
  4. 請求項1又は2に記載のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物を成形してなる非発泡シート。
  5. 請求項3に記載の発泡シートを熱成形してなる食品包装容器。
  6. 請求項4に記載の非発泡シートを熱成形してなる食品包装容器。
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